JP2013087879A - 衝撃吸収部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る衝撃吸収部材1は、軸圧縮荷重を受けたときに蛇腹状に塑性変形することによって衝撃エネルギーを吸収する筒状の衝撃吸収部材であって、引張り強度が590MPa以上の鋼板によって形成すると共に、軸方向に直交する断面形状が12個の頂点を有する略十字状の閉断面であって、前記12個の頂点のうちの8個の頂点を直線で連結して形成される八角形における斜辺の両端の頂点とその間にある頂点を結ぶ直線の成す角度αが120°≦α≦150°、前記断面形状のアスペクト比が1:1〜2:1、前記八角形における縦辺と横辺のうちの長い方の辺の長さと斜辺の長さの比が1:1〜1.5:1に設定してなることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
このクラッシュボックスに要求される性能を向上するために種々の提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献1においては、クラッシュボックスを安定して蛇腹状に変形させるために塑性変形の起点となる応力集中部(ビード形状部)を設けている(特許文献1の請求項3参照)。応力集中部(ビード形状部)はクラッシュボックスの内側に凸となるものが、軸方向で互い違いになるように設けられている(特許文献1の図2参照)。
特許文献1では、上記のようなビード形状部を設けることで、凸側への変形を誘発し、安定した蛇腹変形を行わせている。なお、特許文献1の図2では、ビード形状部を軸方向で2段設ける例が示され、同文献の図9では7段設ける例が示されている。
特許文献1に示されたように、断面形状を八角形としたとしても、クラッシュボックスが設置されるフロントサイドメンバの端部の形状との関係で、正八角形ではなく長八角形(対向する一対の辺部が長いもの)となる場合が多い。その場合には、長い辺部が残存することになり、軸力の低下やエネルギー吸収効率が低下するという問題がある。
しかし、同一断面で同一方向への変形ではエネルギー吸収効率に限界があり、必ずしも十分なエネルギー吸収を行うことができないという問題がある。
しかしながら、特許文献1においては、この点について何らの検討もされておらず、高強度鋼板を用いた場合にクラッシュボックスとしての機能を適切に発揮するかは疑問である。
引張り強度が590MPa以上の鋼板によって形成すると共に、
軸方向に直交する断面形状が12個の頂点を有する略十字状の閉断面であって、前記12個の頂点のうちの8個の頂点を直線で連結して形成される八角形における斜辺の両端の頂点とその間にある頂点を結ぶ直線の成す角度αが120°≦α≦150°、前記断面形状のアスペクト比が1:1〜2:1、前記八角形における縦辺と横辺のうちの長い方の辺の長さと斜辺の長さの比が1:1〜1.5:1に設定してなることを特徴とするものである。
本発明の実施の形態1を図1〜図6に基づいて説明する。
本実施の形態に係る衝撃吸収部材1は、軸圧縮荷重を受けたときに蛇腹状に塑性変形することによって衝撃エネルギーを吸収する筒状の衝撃吸収部材1であって、引張り強度が590MPa以上の鋼板によって形成すると共に、軸方向に直交する断面形状が12個の頂点を有する略十字状の閉断面であって、12個の頂点のうちの8個の頂点を直線で連結して形成される八角形における斜辺の両端の頂点とその間にある頂点を結ぶ直線の成す角度αが120°≦α≦150°、前記断面形状のアスペクト比(長辺と短辺の比)が1:1〜2:1、前記八角形における縦辺と横辺のうちの長い方の辺の長さと斜辺の長さの比が1:1〜1.5:1に設定してなることを特徴とするものである。
以下、より詳細に説明する。
衝撃吸収部材1は引張り強度が590MPa以上の鋼板によって形成されている。
また、衝撃吸収部材1は筒状の部材であって、軸方向に直交する断面形状が、図3に示すように、A〜Lの12個の頂点を有する略十字状の閉断面になっている。
衝撃吸収部材1の断面形状を詳細に説明する。衝撃吸収部材1の断面における12個の頂点のうち、中心寄りにある4個の頂点B、E、H、Kを除いた8個の頂点A、C、D、F、G、I、J、Lを直線で連結して形成される形状が八角形になっている。そして、八角形における斜辺AC、DF、GI、JLの両端にある頂点、例えば頂点A、Cとその間にある頂点Bを結ぶ直線AB、CBの成す角度αが120°≦α≦150°(本例では135°)に設定されている。また、断面形状における縦の長さLと横の長さSとの比(アスペクト比)が1:1〜2:1(本例では1:1)に設定されている。さらに、縦辺と横辺のうちの長い方の辺の長さと、斜辺の長さの比が1:1〜1.5:1(本例では、縦辺と横辺の長さが同じで、かつ縦辺又は横辺と斜辺の長さの比は1:1)に設定されている。
図5は実験に用いた衝撃吸収部材1の断面形状の説明図である。実験に用いた材料は引張り強度が590MPaの高強度鋼板であり、各部の寸法は以下の通りである。
a=90.9mm、b=104.3mm、c=42.6mm、d=30.6mm、R=5mm、α=135°
図5に示した基本形状から、αを90°、105°、120°、135°、150°、165°、180°に変化させ、それぞれの場合における衝撃吸収部材1のSmm圧潰時の吸収エネルギーを求めた。また、素材としての鋼板の板厚は圧潰時の反力が規程の耐力以下となるように調整している。図6は実験結果を示すグラフであり、横軸がαの値であり、縦軸がSmm圧潰時の吸収エネルギーを示している。
これは、αが120°≦α≦150°の範囲にあるときに、衝撃吸収部材1が安定して蛇腹状に変形していることを示している。実際、αの値が上記の範囲のときには、軸直交方向の一つ断面において、各稜線で変形の向きが内外反転して隣接する面が内外反対方向に変形することを確認している。
アスペクト比については、図5に示した基本形状からc寸法を変化させることでアスペクト比(b:a)を変化させ、それぞれの場合における衝撃吸収部材1のSmm圧潰時の吸収エネルギーを求めた。図7はこの実験結果を示すグラフであり、横軸がアスペクト比の値(b/a)を示し、縦軸がSmm圧潰時の吸収エネルギーを示している。
縦辺と横辺のうちの長い方の辺の長さと斜辺の長さの比については、図5に示した基本形状からc寸法を変化させることで、縦辺の長さ(c寸法)と斜辺の長さ(e寸法)の比を変化させ、それぞれの場合における衝撃吸収部材1のSmm圧潰時の吸収エネルギーを求めた。図8はこの実験結果を示すグラフであり、横軸がc/eの値を示し、縦軸がSmm圧潰時の吸収エネルギーを示している。
なお、上記の説明では縦辺が横辺よりも長い場合について説明したが、横辺が縦辺よりも長い場合には、横辺と斜辺の比が1:1〜1.5:1の範囲にあるときに、引張り強度が590MPa以上の鋼板によって形成した場合であっても衝撃吸収部材1が安定して蛇腹状に変形する。
本発明の実施の形態2に係る衝撃吸収部材2を図9に基づいて説明する。本実施の形態の衝撃吸収部材2は、実施の形態1に示したものに、軸圧縮荷重を受けたときに蛇腹変形の起点となるビード形状部3を設けたものである。ビード形状部3は、図9に示すように、衝撃吸収部材2の一端側に1段のみ設けられている。ビード形状部3は、同一断面の各面に、外側に凸となる外凸ビード形状部3oと、内側に凸となる内凸ビード形状部3iが隣接する各面で交互になるように設けられている。
ビード形状部3を設ける位置は、衝撃吸収部材2における軸圧荷重の入力側であって、入力側端部から衝撃吸収部材2の全長の1/5の範囲にするのが好ましい。
2 衝撃吸収部材(実施の形態2)
3 ビード形状部
3o 外凸ビード形状部
3i 内凸ビード形状部
Claims (2)
- 軸圧縮荷重を受けたときに蛇腹状に塑性変形することによって衝撃エネルギーを吸収する筒状の衝撃吸収部材であって、
引張り強度が590MPa以上の鋼板によって形成すると共に、
軸方向に直交する断面形状が12個の頂点を有する略十字状の閉断面であって、前記12個の頂点のうちの8個の頂点を直線で連結して形成される八角形における斜辺の両端の頂点とその間にある頂点を結ぶ直線の成す角度αが120°≦α≦150°、前記断面形状のアスペクト比が1:1〜2:1、前記八角形における縦辺と横辺のうちの長い方の辺の長さと斜辺の長さの比が1:1〜1.5:1に設定してなることを特徴とする衝撃吸収部材。 - 筒状の各面に蛇腹状塑性変形の起点となるビード形状部が少なくとも1段形成され、同一断面の隣接する面に形成されたビード形状部の凹凸の向きが内外で反対方向になるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収部材。
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