JP2013072766A - 臨界実験装置および模擬減速体 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性を維持しつつ、BWRの軸方向上部に存在する高ボイド率の状態を臨界実験装置で模擬する。
【解決手段】臨界実験装置は、軽水を貯えた炉心タンクと、複数の燃料棒を支持する上部格子板および下部格子板と、減速材の二相領域を模擬するために炉心タンクの軽水中に配置され燃料棒が貫通する中空構造のボイドボックス100とを具備する。ボイドボックス100は、炉心に相当する位置の上部に設置される。また、ボイドボックス100は、燃料棒が挿入される複数の燃料案内管101と、側板102と、上端板および下端板と、燃料案内管101、側板102により一つの密閉空間をなしている。この密閉空間内は、鉛直仕切り板201によって内部が仕切られ、さらに複数の分割密閉空間に分割されている。分割密閉空間にはたとえば空胞体を配置してもよい。
【選択図】図3

Description

本発明は、軽水減速型原子炉の臨界実験装置およびそれに用いられる模擬減速体に関する。
工業分野で製作される製品は、市場に出されるか、実際に使用する前に目的とする性能が発揮できるかを確認する必要がある。最もよく用いられる方法は、最終的な製品と殆ど同じものを試作して、その試作品の性能を確かめる方法で、実証試験と呼ばれている。たとえば家電製品でも自動車でも鉄道列車でも試作品を製作して、その性能を確認し品質を保証して最終的な製品として出荷している。
一方、特定の工業分野では、製作する製品の大きさが巨大で、最終的な製品の性能を試作によって確認することが極めて困難である場合がある。また、製作する製品が非常に高価であるか製作数が唯一つあるいは少数であるか、経済的あるいは他のいくつかの理由によって試作品を製作することが合理性をもたない場合もある。
たとえば、実際の原子力発電所や核物質に関係する施設では、これらの発電所や施設を試作することは経済的にも物理的にもほとんど不可能である。理由の一つとして、使用する核物質を簡便に用意することができないことがある。使用済み核燃料の貯蔵施設を建設する場合には、予め貯蔵する使用済み核燃料と同じものを用意しておいて施設の性能を測定することは現実的には不可能である。原子力発電所を建設する際も、予め別の燃料集合体を用意しておいてその核燃料によって炉心の核的性能を確認することは、経済的な面からも成立性がほとんど無い。
そこで、原子力分野では実物を用いた性能の確認ではなく、計算による性能の確認が産業分野の誕生時点から行われてきた。また他の分野、特に高額な製品である航空機やロケット、大型船舶などの設計でも、製品のコストを下げ、製作時間を短縮するために設計段階で計算によって最終的な性能を把握することが、ますます一般的になってきている。
予測計算には、一般的にコンピュータを用いる。製品が従う物理理論に基づいて作成された計算機プログラムによってその「製品」の性能を把握する技術は、計算物理、計算実験あるいは計算機シミュレーション(コンピュータシミュレーション)などと呼ばれ、大きく発達した技術分野になっている。
原子力発電所を建設する場合、設計段階において、実際の燃料集合体を用意して原子炉の炉心の核的性能を確認することは不可能であるので、コンピュータシミュレーションで性能を確認する。また原子炉の炉心に装荷する燃料集合体の体数や燃料集合体に含まれる核物質の濃度や分布についてもコンピュータシミュレーションに基づいて決定される。原子力分野ではこのようなコンピュータシミュレーション技術は不可欠である。
コンピュータシミュレーションは、数値計算の積み重ねであって、必ず計算誤差が付きまとう。計算の確からしさを計算精度と呼ぶが、計算精度を把握することは設計の信頼性・安全性の向上、経済性の改善、設計の合理化のために非常に重要である。計算精度を正確に把握することとは、得られた計算値に伴っている計算誤差を正確に把握することと同じ意味である。
これらのコンピュータシミュレーションの計算精度を確認する手段の一つに臨界実験装置がある。臨界実験装置とは非常に小型の原子炉であって核物質のウラン(U)やプルトニウム(Pu)を用いて臨界状態(外部の中性子源なしに核分裂連鎖反応を持続させること)を実現できる装置であり、核物質あるいは燃料棒を交換したり幾何学的配置の変更が容易にできる装置である。臨界実験装置で核物質や燃料棒の幾何学的配置や物理条件を変更して臨界状態を実現する。また臨界実験装置では臨界状態での核物質や燃料棒の出力分布(核分裂率分布)を測定することができ、核分裂反応の空間分布の測定値を得ることができる(通常は臨界状態に達した後、出力を上昇させて核分裂反応を増加させその後臨界実験装置の反応を停止させた後、核物質や燃料棒等を取出しγ線の強度を測定してもとの核分裂率分布を得る)。
臨界実験装置で実現した臨界状態や核分裂率分布をコンピュータシミュレーションして計算値と測定値を比較することでコンピュータシミュレーションの精度を確認することができる。すなわち超小型の原子炉の計算予測がある許容される範囲内で一致していれば、同様のコンピュータシミュレーションの手法で、実際の商業用の原子炉や燃料集合体、原子炉施設を設計してもよいという保証になる。このとき確認は積分量(全体量:核物質の総量や物理状態)である臨界量と微分量(分布量)である核分裂率分布の双方をもって比較が実施されることが多い。
また臨界実験装置は核分裂反応に関係する新しい製品(燃料集合体や物質)を商業用原子炉に導入する際、許認可手続きの際にそれらの新しい製品の核的性能を実証するために、臨界実験装置で新しい製品の全体あるいは一部を用いて臨界実験を実施してその結果を重要な参考データとして許認可手続きの一部として規制当局に報告することがある。
このように臨界実験装置はコンピュータシミュレーションの精度の確認、許認可作業のための実証試験に用いられてきたが、当然ながら臨界実験装置では実際の商業炉の炉心状態をできる限り模擬できることが望ましい。
特許文献1では、臨界実験装置での実験において、加圧水型原子炉(PWR)の条件を模擬する方法が開示されている。
一方、例えば沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)では、炉心軸方向減速材密度が変化(ボイド率:0%から 80%程度まで)するため、この状態を模擬できることが望ましい。
特開2010−156604号公報
現在、商業用発電所として利用されている軽水炉は沸騰水型原子炉(BWR)、あるいは加圧水型原子炉(PWR)であり、両者とも炉心内の軽水(HO)は高温、高圧である。減速材である軽水(HO)にはBWRで7MPa程度、PWRで15MPa程度の圧力が加わっており、減速材の温度はBWR、PWRとも約300℃程度である。そのため炉内の軽水の密度は室温、大気圧下の密度1.0g/cmよりも小さな値になっており、PWRの炉心内の減速材の密度は約0.66g/cm 〜0.74g/cmである。
一方BWRでは炉心内で蒸気が発生する。炉心の減速材中の蒸気の割合すなわちボイド率は炉心の軸方向の上側に向かって大きくなり、炉心軸方向中心部で40%程度、軸方向上から1/3程度で60%〜70%程度になっている。ボイド率が40%のときに減速材の密度は約0.46g/cm 、70%ボイド率のときに約0.25g/cm程度である。
U235を主体とした原子炉ではU235と中性子の反応は中性子の速度が遅い場合に盛んになるので、軽水炉では核分裂で発生した速い中性子(高速中性子)を軽水(HO)の水素原子核に衝突させることを繰り返して中性子の速度を低下させてU235との反応を促進させている。
軽水炉では軽水(HO)は炉心内で発生した熱を取り出す媒体であるのと同時に、核分裂反応の量や分布を決める重要な物質である。なぜなら減速材の量(密度)と中性子の速度分布が関係するので減速材密度は最終的に核分裂反応の量や分布を決めるからである。つまり核分裂反応と減速材の密度分布が密接に関係している。
詳しくは、原子炉の炉心で発生する核反応はその空間に存在する核物質(通常はウラン)の原子数と、減速材(HO)の水素(H)の原子数密度の比によって支配されるといえる。超小型の原子炉や臨界実験装置でBWRの炉心状態を模擬した実験を行う場合、特にボイド率が高い領域の核反応を模擬するためには減速材(HO)を減少させた空間を炉心内に実現させる必要がある。
一方、先に述べた臨界実験装置は通常、運用上の簡便さや運用上の理由で炉心あるいは炉心内の減速材に加圧することは行わず、大気圧の下で使用される。また温度は常温(室温)付近で利用されてきた。臨界実験装置で炉心や減速材を加熱することがあってもせいぜい80℃以下の範囲で加熱する程度である。よって臨界実験装置で一般の商業用原子力発電所(軽水炉)の炉心温度、圧力を模擬することはできず、1.0g/cmよりも小さな減速材密度をそのままで実現することは不可能と言える。加えて蒸気を炉心内で発生させることもできないので、これまで臨界実験装置で実際の商業用原子力発電所(軽水炉)の炉心状態を模擬した実験を実施する場合、金属でできた中空管などを炉心に設置して炉心の領域に空気の層を持ち込んで軽水(HO:減速材)の割合を減らすことで仮想的に減速材の密度を減らす工夫がなされてきた。また臨界実験装置の炉心に樹脂で構成したブロックなどを装荷して減速材の水素の割合を減らす工夫も行われている。ポリエチレン(Polyethylene)やポリスチレン(Polystyrene)には炭素(C)と水素(H)が含まれるので、樹脂の密度を調整することや、空気を入れて発泡させた樹脂(樹脂中の水素(H)の量の調整)を用いて減速材の密度が小さくなった状態を模擬している。
金属管を用いて臨界実験装置内部に空気の層を導入するには次のような方法がある。
a)一つは、燃料棒と燃料棒の隙間に中空の金属管を設置する方法であり、この金属管は通常中性子を吸収しにくいアルミニウム(Al)製でありボイド(模擬)管と呼ばれる。ボイド管を挿入して減速材の空間領域を減らすことで減速材の割合を減らす。ボイド管は通常、燃料集合体の燃料棒を中心に構成される正方格子のコーナー部分に対角線上に配置されることが多い。
b)もう一つは、燃料棒の外側に管を取り付け、2重管構造とする方法である。燃料棒の外側に取り付ける管をオーバークラッド(Over cladding)と呼ぶ。これは燃料棒を中心とした正方格子で、仮想的に燃料棒の領域を太くして減速材が占める空間を減らす考え方で、本質的にa)の手法と同じである。
c)さらに減速材(HO)を排除する手法として、金属ブロック(通常は アルミニウム製、稀にステンレス鋼製)を臨界実験装置の炉心内に設置して完全に減速材を排除した状態でその金属ブロック内に燃料棒を配置して減速材が存在しない状態を実現する場合がある。
以下、これまでの技術に関して問題点を指摘する。
まずa)のボイド管を炉心に装荷する方法であるが、燃料棒本数が多い場合、単位燃料棒セル当たり1本以上のボイド管を炉心に挿入しなければならないので非常に手間がかかる。加えてボイド管はアルミニウム製などのためたわみ易く、そのために減速材の空間分布に偏り(歪)が生ずる場合があり、燃料棒の核分裂率分布(出力分布)の測定値の誤差の要因になる可能性がある。
次にb)のオーバークラッドはボイド管よりも扱いやすいが、燃料棒ピッチを保持するために燃料棒ピッチを越える外径のものを用いることはできない。加えてオーバークラッドはアルミニウムの薄い中空管なのである程度太いものは強度が十分ではなくて凹みが生じやすい。
さらにこれまでの技術ではa)あるいはb)の手法ではBWRの高ボイド(ボイド率50%以上)の状態を臨界実験装置で実現することはボイド管やオーバークラッドの幾何学的な制約によって無理があり、適切な手段が示されてこなかった。
c)の金属ブロック方式では減速材が殆ど排除されることが良い点ではあり、ボイド率50%以上の状態を模擬できる可能性があるが、代わりにかなりの質量の金属(アルミニウムやステンレス鋼)が炉心内に持ち込まれ、これらの金属によって中性子が散乱されて核分裂反応の分布が異なったり、中性子の一部が吸収されたりする。これらの金属による中性子の吸収や散乱を無視することができず物理現象を変化させており計算機シミュレーション上、好ましくない。
以上のように、これまで臨界実験装置において沸騰水型原子炉(BWR)の軸方向上部で生じている50%を越える高いボイド率を模擬する具体的な手段は示されてこなかった。近年、BWRの運転において高いボイド率での物理現象に関心が高まっており、計算機シミュレーションの精度の確認からも、高ボイド状態(50%より大きいボイド率)を模擬した実験に関心が高まっている。
ところで、高ボイド率模擬を実現する体系においては、ボイド模擬部分に水が浸入する事態が発生した場合でも、その浸入を最小限にとどめる必要がある。
水は中性子の減速効果を有することから、体系中の中性子は、浸入事象が発生する前よりもより減速して低いエネルギーに移行する。すなわち、体系中の中性子のエネルギースペクトルはエネルギーの低い側にシフトする。核分裂性物質の中性子による核分裂反応の断面積は中性子のエネルギーが低いほど大きいため、体系への水の浸入が過大であれば、体系の反応度が急増し中性子束が急激に増加する事態が考えられる。
したがって、高ボイド率の実現にあたっては、減速材である水を大幅に排除する体系としながらも、万が一、その体系に水が浸入しても、これによる反応度の増加を限定し、最小限にとどめる安全上の対策を備えた臨界実験装置であることが重要である。
本発明の目的はこれらの状況を鑑みて、安全性を維持しつつ、BWRの軸方向上部に存在する高ボイド率の状態を臨界実験装置で模擬できるようにすることにある。
上述の目的を達成するため、本発明は、運転状態の軽水減速型原子炉中の燃料集合体中の中性子スペクトルをその軽水減速型原子炉よりも低い温度かつ低い圧力の実験条件で模擬する臨界実験装置において、前記実験条件下で軽水を貯えた炉心タンクと、複数の燃料棒を上部及び下部で支持する上部格子板および下部格子板と、前記軽水減速型原子炉内の減速材の気相と液相との二相領域を模擬するために前記炉心タンクの軽水中に配置され、前記燃料棒が貫通する中空構造の模擬減速体と、を具備し、前記模擬減速体は、前記燃料が挿入される複数の燃料案内管と、側面を囲う側板と、前記燃料案内管と前記側板とで形成される体系の上端および下端部を密閉する上端板および下端板と、前記燃料案内管、側板、上端板および下端板で構成される密閉空間内を仕切り、複数の分割密閉空間を形成せしめる仕切り板と、を有する、ことを特徴とする。
また、本発明は、運転状態の軽水減速型原子炉中の燃料集合体中の中性子スペクトルをその軽水炉よりも低い温度かつ低い圧力の実験条件で模擬する臨界実験装置の前記実験条件下で軽水を貯えた炉心タンク中に設置される模擬減速体において、前記燃料が挿入される複数の燃料案内管と、側面を囲う側板と、前記燃料案内管と前記側板とで形成される体系の上端および下端部を密閉する上端板および下端板と、前記燃料案内管、側板、上端板および下端板で構成される密閉空間内を仕切り、複数の分割密閉空間を形成せしめる仕切り板と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、安全性を維持しつつ、BWRの軸方向上部に存在する高ボイド率の状態を臨界実験装置で模擬することができる。
本発明の第1の実施形態における臨界実験装置の平面図である。 本発明の第1の実施形態における臨界実験装置の立断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るボイドボックスの構成を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係るボイドボックスの構成を示す立断面である。 本発明に係る臨界実験装置の第1の実施形態における臨界実験装置の燃料棒を装荷した状態を示す部分立断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るボイドボックスの構成を示す部分拡大水平断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るボイドボックスの構成を示す部分拡大立断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るボイドボックスの構成を示す部分拡大水平断面図である。
以下、図面を参照して本発明に係る臨界実験装置および模擬減速体の実施形態について説明する。ここで、同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る臨界実験装置の第1の実施形態における臨界実験装置の平面図である。また、図2は、本実施形態における臨界実験装置の立断面図である。
本実施形態による臨界実験装置10は、開放タンク軽水減速型である。この臨界実験装置10は、炉心タンク11を有し、炉心タンク11は、たとえば上部が開放した円筒であって、内部に水を貯えられるようになっている。供給された減速材である軽水300は、この炉心タンク11内に液面を構成する。
炉心タンク11の内側に、炉心架台14、炉心上部構造15、炉心下部構造16が設けられ、炉心上部構造15および炉心下部構造16は、それぞれ上部格子板12および下部格子板13を有する。
上部格子板12および下部格子板13は、核燃料物質が収められた燃料棒20(図5)を所定の位置に配置するための穴を配列した燃料棒配置部が形成された板である。上部格子板12および下部格子板13は、鉛直方向に間隔を置いて配置され、炉心上部構造15、炉心下部構造16の一部として炉心架台14でそれぞれ支持されている。
この臨界実験装置10は、常温かつ常圧の実験室内の実験室床5の上に設けられる。
臨界実験装置の炉心部に相当する範囲内の上部に、ボイドボックス100が設けられている。
図3は、本実施形態に係るボイドボックスの構成を示す平面図である。また、図4は、本実施形態に係るボイドボックスの構成を示す立断面である。
ボイドボックス100は、外観は基本的に鉛直方向に長いボックス形状であり、側面を側板102に、上端面を上端板103に、また下端面を下端板104に囲われている。
さらに、その中に、燃料棒20(図5)が貫通する燃料挿入用パイプ101が、燃料棒体系21(図5)を構成する複数の燃料棒20の配列に対応して設けられている。本実施形態は、19×19型燃料集合体に対応する例である。なお、本発明は19×19型燃料集合体にのみ対応するものではなく、臨界実験装置と実機体系を模擬するために実施される臨界実験の内容に応じ幾何学的な大きさを最適化して製作し、使用する。
また、ボイドボックス100は、その外面が、側板102、上端板103、下端板104および複数の燃料挿入用パイプ101によって密閉空間を構成している。さらに本実施形態におけるボイドボックス100は、図3に示すように、その密閉された内部空間が、鉛直仕切り板201によって分割され、多数の分割密閉空間が構成されている。
図5は、本実施形態における臨界実験装置の燃料棒を装荷した状態を示す部分立断面図である。炉心タンク11内にボイドボックス100を据付けた図1および図2の状態から、燃料棒20を装荷し、燃料集合体を模擬した体系を構成する。その後に、炉心タンク11内に減速材たる軽水300を流入させ、炉心タンク11内の水位を徐々に上昇させ、臨界状態を実現する。
このようにして、本臨界実験装置10を用いて、常温常圧の実験条件で、BWRに装荷される燃料集合体中の運転状態での中性子スペクトルを模擬した臨界実験を行う。ここで、中性子スペクトルとは、各箇所での中性子束レベルのエネルギー分布を意味する。
図6は、本実施形態に係るボイドボックスの構成を示す部分拡大水平断面図である。
鉛直仕切り板201は、燃料挿入用パイプ101間を接続し、あるいは、周辺部分では、燃料挿入用パイプ101と側板102間を接続している。ただし、分割密閉空間を構成できれば、平板でなく曲面を形成する板でもよいし、また、鉛直仕切り板201同士が接続することでもよい。
以上のように構成された本実施形態による臨界実験装置においては、ボイドボックス100に損傷や欠損により孔が生じた場合には、孔の生じた部分が属していた元の分割密閉空間は密閉状態を逸脱し、この縦長で水平断面積の小さな空間に減速材である水が浸入し満水状態となる可能性がある。
すなわち、最も避けるべき状況は、本ボイドボックスを装荷し燃料棒を挿入したのち注水によって臨界実験装置が臨界状態を達成した状態においてボイドボックスに損傷が生じ、ボイドボックス内に中性子減速材である水が浸入し急激な反応度上昇を招くことである。
しかしながら、浸入する水の圧力は静水頭を超えることはないため、その他の分割密閉空間に減速材たる水が浸入し浸入現象が拡大する要因は考えられない。
それぞれ仕切られた分割密閉空間内に水が浸入した状態でも制御不能な大きな反応度が加わらないように各分割密閉空間の容積を制限することにより、反応度上昇を抑制することができる。
一方、外的な荷重や、衝撃が掛かる可能性があり得ると考えられるのは、ボイドボックス100の据付時や、燃料棒20の装荷時である。しかしながら、ボイドボックス100の装荷時には燃料棒20は装荷されておらず、反応度上昇の問題はない。
また、燃料棒20の装荷時には、減速材である水は注入されておらず、万が一、多数の分割密閉空間に同時に損傷が発生し、密閉状態が保持できないものが多数生じたとしても、水の浸入現象は発生せず、この場合も反応度上昇に至る恐れはない。
以上のように、本実施形態によれば、安全性を確保しつつ、BWRの軸方向上部に存在する高ボイド率の状態を臨界実験装置で模擬することができる。
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係るボイドボックスの構成を示す部分拡大立断面図である。
ボイドボックス100は、その外面が、側板102、上端板103、下端板104および複数の燃料挿入用パイプ101によって密閉空間を構成している点は、第1の実施形態と同様である。
本実施形態におけるボイドボックス100は、図7に示すように、その密閉された内部空間が水平仕切り板202で区画され、多数の分割密閉空間が構成されている。
水平仕切り板202は、ボイドボックス100の軸方向に、その内部空間を仕切っている。本実施形態では、全てが、水平仕切り板の場合を示しているが、分割密閉空間を構成できれば、例えば、鉛直仕切り板201と水平仕切り板202とを組み合わせてもよい。また、平板でなく曲面を形成する板でもよい。
以上のように構成された本実施形態による臨界実験装置においては、ボイドボックス100に損傷や欠損により孔が生じた場合でも、第1の実施形態と同様に、浸入する水の量が制限されることから、安全性を維持しつつ、BWRの軸方向上部に存在する高ボイド率の状態を臨界実験装置で模擬することができる。
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態に係るボイドボックスの構成を示す部分拡大水平断面図である。
図8に示すように、鉛直仕切り板201によって仕切られた各分割密閉空間は、内部が空気またはその他の気体が封入された空胞体203が充填されている。このため、万が一、鉛直仕切り板201によって仕切られた分割密閉空間に水が浸入した場合でも、その空間が全て水で充満するのではなく、空胞体203の部分は、水の浸入が排除された領域として残ることになる。
空胞体203は、その周囲の材料は水素等の軽い元素を含まないものであることが望ましいが、そのような材料を使用する場合には薄いものにすることでもよい。また、詰め込みやすさ、あるいは、空胞体203により水の浸入を排除できる容積を増やすために詰め込むことが容易であることを考えれば、空胞体203はフレキシブルであることが望ましい。ただし、空気や気体が入った金属あるいは樹脂製の小さな中空のボールなどであってもよい。
また、空胞体内の気体の圧力を大気圧以上にして封入することでもよい。この場合は、空胞体を含めた損傷が発生した場合に、水の浸入速度を低下する効果が得られる。
本実施形態では、鉛直仕切り板201によって仕切られた分割密閉空間に空胞体203を入れる場合を説明したが、その他の方法により仕切られた分割密閉空間の場合でもよい。
以上のように構成された本実施形態による臨界実験装置においては、ボイドボックス100に損傷や欠損により孔が生じた場合でも、第1の実施形態と同様に、浸入する水の量が制限されることから、安全性を維持しつつ、BWRの軸方向上部に存在する高ボイド率の状態を臨界実験装置で模擬することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、第3の実施形態では空胞体203を例に説明したが、気泡緩衝シート(エアーキャップ、エアークッション)の断片、発泡スチロール(あるいは空気を十分含んだ適切な樹脂)の断片、ガラス繊維(グラスファイバー)の断片等であっても、水の浸入を制限する効果があるものであればよい。
また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
5・・・実験室床
10・・・臨界実験装置
11・・・炉心タンク
12・・・上部格子板
13・・・下部格子板
14・・・炉心架台
15・・・炉心上部構造
16・・・炉心下部構造
20・・・燃料棒
21・・・燃料棒体系
100・・・ボイドボックス(模擬減速体)
101・・・燃料挿入用パイプ(燃料案内管)
102・・・側板
103・・・上端板
104・・・下端板
201・・・鉛直仕切り板
202・・・水平仕切り板
203・・・空胞体
300・・・軽水(減速材)

Claims (6)

  1. 運転状態の軽水減速型原子炉中の燃料集合体中の中性子スペクトルをその軽水減速型原子炉よりも低い温度かつ低い圧力の実験条件で模擬する臨界実験装置において、
    前記実験条件下で軽水を貯えた炉心タンクと、
    複数の燃料棒を上部及び下部で支持する上部格子板および下部格子板と、
    前記軽水減速型原子炉内の減速材の気相と液相との二相領域を模擬するために前記炉心タンクの軽水中に配置され、前記燃料棒が貫通する中空構造の模擬減速体と、
    を具備し、
    前記模擬減速体は、
    前記燃料が挿入される複数の燃料案内管と、
    側面を囲う側板と、
    前記燃料案内管と前記側板とで形成される体系の上端および下端部を密閉する上端板および下端板と、
    前記燃料案内管、側板、上端板および下端板で構成される密閉空間内を仕切り、複数の分割密閉空間を形成せしめる仕切り板と、
    を有する、
    ことを特徴とする臨界実験装置。
  2. 前記仕切り板は、鉛直方向に伸びる鉛直仕切り板を含むことを特徴とする請求項1に記載の臨界実験装置。
  3. 前記仕切り板は、水平方向に伸びる水平仕切り板を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の臨界実験装置。
  4. 前記分割密閉空間の少なくとも一つに一以上の空胞体が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の臨界実験装置。
  5. 前記分割密閉空間の少なくとも一つに減速効果の小さい物体が一以上配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の臨界実験装置。
  6. 運転状態の軽水減速型原子炉中の燃料集合体中の中性子スペクトルをその軽水炉よりも低い温度かつ低い圧力の実験条件で模擬する臨界実験装置の前記実験条件下で軽水を貯えた炉心タンク中に設置される模擬減速体において、
    前記燃料が挿入される複数の燃料案内管と、
    側面を囲う側板と、
    前記燃料案内管と前記側板とで形成される体系の上端および下端部を密閉する上端板および下端板と、
    前記燃料案内管、側板、上端板および下端板で構成される密閉空間内を仕切り、複数の分割密閉空間を形成せしめる仕切り板と、
    を有する、
    ことを特徴とする模擬減速体。
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