JP2013038334A - 超電導限流器 - Google Patents
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Abstract
【課題】超電導磁気遮蔽体の磁気遮蔽効果をより高くし、通常時の限流コイルの一層の低インピーダンス化を図ることができる超電導限流器を提供する。
【解決手段】限流コイル11に並設される超電導磁気遮蔽体12は、その限流コイル11と電気的に接続して同電位とし、限流コイル11と超電導磁気遮蔽体12との間での絶縁距離の確保を不要とし、両者間を極めて小さい隙間dに設定とする。
【選択図】図1
【解決手段】限流コイル11に並設される超電導磁気遮蔽体12は、その限流コイル11と電気的に接続して同電位とし、限流コイル11と超電導磁気遮蔽体12との間での絶縁距離の確保を不要とし、両者間を極めて小さい隙間dに設定とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、限流コイルに超電導磁気遮蔽体を並設してなる超電導限流器に関する。
従来より、電路上に生じた過電流を限流する限流器が知られており、例えば地絡や落雷等により電力系統で生じた過電流の限流を行って、電力線や電力機器への負担を低減する限流器等が知られている。
このような限流器の一種に、例えば特許文献1にて示されるように、電路上に直列に介装される筒状の限流コイルの内側に超電導磁気遮蔽体を配置して構成されるものがある。この種の限流器では、通常時の超電導状態にある場合、限流コイルへの入力電流にて生じる磁束から磁気的に遮蔽される磁気遮蔽効果が発揮され、これによりインダクタンスが十分に低減され、限流コイルのインピーダンスが低く保たれる。
一方、電路上に過電流が生じ限流コイルへの入力電流が増大すると、該コイルにて生じる磁束が増大し、超電導磁気遮蔽体の臨界値を超える。すると、磁気遮蔽体が超電導状態から常電導状態に転移する所謂クエンチ現象が生じて、磁気遮蔽効果が喪失する。これにより、限流コイルのインダクタンスによりインピーダンスが増大し、該コイルに流れる過電流の限流が行われるようになっている。
ところで、特許文献1にて示される限流コイルと超電導磁気遮蔽体との関係では、両者間の絶縁を確保すべくその両者間に所定の隙間を設定する必要があり、特にコイルへの印加電圧が高くなるほど、その隙間は拡大する。つまり、限流コイルから超電導磁気遮蔽体が先の隙間にて離間することで磁気遮蔽効果が低下するため、通常時における限流コイルの一層の低インピーダンス化を図るには、より高い磁気遮蔽効果を得る必要がある点でまだ改善の余地があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、超電導磁気遮蔽体の磁気遮蔽効果をより高くし、通常時の限流コイルの一層の低インピーダンス化を図ることができる超電導限流器を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、限流コイルに超電導磁気遮蔽体を並設してなり、前記限流コイルへの入力電流が過電流になると、前記超電導磁気遮蔽体が超電導状態から常電導状態に転移することで前記限流コイルを低インピーダンスとしていた磁気遮蔽効果が喪失し、該コイルのインピーダンス増大により過電流の限流を行う超電導限流器であって、前記超電導磁気遮蔽体と前記限流コイルとが相互に電気的に接続され、その両者が同電位となるように構成されたことをその要旨とする。
この発明では、限流コイルに並設される超電導磁気遮蔽体は、その限流コイルと電気的に接続され、同電位とされる。つまり、限流コイルと超電導磁気遮蔽体との間で絶縁距離を確保する必要がなくなり、両者間において極めて小さい隙間の設定が可能となる。これにより、通常時の超電導状態においてより高い磁気遮蔽効果が得られるようになり、限流コイルを一層低インピーダンスとすることが可能となる。また、印加電圧が高くなっても両者間の隙間寸法を拡大する必要もないため、高い印加電圧においても変わらずより高い遮蔽効果が得られる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超電導限流器において、前記限流コイルは、直列接続の第1及び第2コイルを同心の筒状巻きで径方向に重なるように並設させたものを1組とし、その複数組が同心で径方向に重なるように配置されて構成され、前記超電導磁気遮蔽体は、各組の前記第1及び第2コイル間にそれぞれ介在され該コイルと同電位とすべく接続されたことをその要旨とする。
この発明では、限流コイルは、直列接続の第1及び第2コイルを同心の筒状巻きで径方向に重なるように並設させた組のものを複数組、同心で径方向に重なるように配置され構成される。超電導磁気遮蔽体は、限流コイルの各組の第1及び第2コイル間にそれぞれ介在され、該コイルと同電位とすべく接続される。つまり、超電導磁気遮蔽体と第1及び第2コイルとの隙間がそれぞれ極めて小さく設定できるため、通常時の超電導磁気遮蔽体による磁気遮蔽効果は極めて高く、同心で径方向に多層の筒状巻き型とした限流コイルにおいて一層の低インピーダンス化が可能である。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の超電導限流器において、前記限流コイルは、直列接続の第1及び第2コイルを同心の平面巻きで軸方向に重なるように並設させたものを1組とし、その複数組が同心で軸方向に重なるように配置されて構成され、前記超電導磁気遮蔽体は、各組の前記第1及び第2コイル間にそれぞれ介在され該コイルと同電位とすべく接続されたことをその要旨とする。
この発明では、限流コイルは、直列接続の第1及び第2コイルを同心の平面巻きで軸方向に重なるように並設させた組のものを複数組、同心で軸方向に重なるように配置され構成される。超電導磁気遮蔽体は、限流コイルの各組の第1及び第2コイル間にそれぞれ介在され、該コイルと同電位とすべく接続される。つまり、超電導磁気遮蔽体と第1及び第2コイルとの隙間がそれぞれ極めて小さく設定できるため、通常時の超電導磁気遮蔽体による磁気遮蔽効果は極めて高く、同心で軸方向に多層の平面巻き型とした限流コイルにおいて一層の低インピーダンス化が可能である。
本発明によれば、超電導磁気遮蔽体の磁気遮蔽効果をより高くし、通常時の限流コイルの一層の低インピーダンス化を図ることができる超電導限流器を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の超電導限流器10は、限流コイル11の内側に超電導磁気遮蔽体12が介挿されて構成されている。限流コイル11は、一般的な導体線又は超電導線を用いてコイル本体部分が円筒巻きにて構成され、軸方向一端から一対の導出線11aが導出されている。超電導磁気遮蔽体12は、限流コイル11の内径より若干小さい外径の円筒状をなし、軸方向長さが限流コイル11のコイル本体部分と略同等に構成される。因みに、超電導磁気遮蔽体12は、超電導線材を円筒コイル状に形成、又は超電導板材にて円筒状に形成される。そして、超電導磁気遮蔽体12は、限流コイル11と軸方向で一致する位置となるように挿入配置されている。
図1に示すように、本実施形態の超電導限流器10は、限流コイル11の内側に超電導磁気遮蔽体12が介挿されて構成されている。限流コイル11は、一般的な導体線又は超電導線を用いてコイル本体部分が円筒巻きにて構成され、軸方向一端から一対の導出線11aが導出されている。超電導磁気遮蔽体12は、限流コイル11の内径より若干小さい外径の円筒状をなし、軸方向長さが限流コイル11のコイル本体部分と略同等に構成される。因みに、超電導磁気遮蔽体12は、超電導線材を円筒コイル状に形成、又は超電導板材にて円筒状に形成される。そして、超電導磁気遮蔽体12は、限流コイル11と軸方向で一致する位置となるように挿入配置されている。
また本実施形態の限流器10では、限流コイル11の導出線11aが導出される軸方向一端側において、超電導磁気遮蔽体12の同端部側から接続線12aが延び、該接続線12aが導出線11aの一方と接続されている。つまり、超電導磁気遮蔽体12が限流コイル11と同電位とされている。従って、限流コイル11と超電導磁気遮蔽体12との間の絶縁距離を確保とする必要がなくなるため、両者間の隙間dを極めて小さく設定でき、また印加電圧が高くなっても隙間dの寸法は不変である。
尚、このような限流器10は、超電導材料を超電導状態に維持するために、限流コイル11及び超電導磁気遮蔽体12を液体窒素中に浸してケース内に封入する等してなる冷却装置(図示略)にて所定の低温状態とする構成となっている。
そして、このような限流器10は、例えば電力系統の電路上に介装、即ち限流コイル11の各導出線11aが対応する電力線にそれぞれ接続されて使用され、通常時には超電導状態による磁気遮蔽体12の磁気遮蔽効果にて極めて低インピーダンスとなり、電圧降下が極めて小さい電力伝送が可能である。しかも本実施形態では、限流コイル11と超電導磁気遮蔽体12との間の隙間dが極めて小さく設定されることから、隙間dへの磁束漏れが極めて少なくより高い磁気遮蔽効果を得ることができ、通常時の限流コイル11のインピーダンスは極めて低いものとなる。
また、電力系統にて短絡・落雷等にて過電流が生じた際には、限流コイル11への入力電流の増大、磁束の増大によりその臨界値を超えた超電導磁気遮蔽体12がクエンチにて常電導状態に転移する。これにより、超電導磁気遮蔽体12の磁気遮蔽効果が喪失して、限流コイル11のインピーダンスが増大し、該コイル11に入力される過電流が限流される。このような限流器10の動作によって、過電流から電力線や電力機器等の保護が行われるようになっている。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)限流コイル11に並設される超電導磁気遮蔽体12は、その限流コイル11と電気的に接続され、同電位とされている。つまり、限流コイル11と超電導磁気遮蔽体12との間で絶縁距離を確保する必要がなくなり、両者間において極めて小さい隙間dの設定が可能となる。これにより、通常時の超電導状態においてより高い磁気遮蔽効果が得られるようになり、限流コイル11を一層低インピーダンスとすることができる。また、印加電圧が高くなっても両者間の隙間寸法を拡大する必要もないため、高い印加電圧においても変わらずより高い遮蔽効果が得られ、高電圧仕様においても通常時の限流コイル11の一層の低インピーダンス化が可能となる。
(1)限流コイル11に並設される超電導磁気遮蔽体12は、その限流コイル11と電気的に接続され、同電位とされている。つまり、限流コイル11と超電導磁気遮蔽体12との間で絶縁距離を確保する必要がなくなり、両者間において極めて小さい隙間dの設定が可能となる。これにより、通常時の超電導状態においてより高い磁気遮蔽効果が得られるようになり、限流コイル11を一層低インピーダンスとすることができる。また、印加電圧が高くなっても両者間の隙間寸法を拡大する必要もないため、高い印加電圧においても変わらずより高い遮蔽効果が得られ、高電圧仕様においても通常時の限流コイル11の一層の低インピーダンス化が可能となる。
(2)限流コイル11と超電導磁気遮蔽体12との接続は、コイル11の軸方向一端から延びる導出線11aに対し、同側に設けられた接続線12aを以て両者が接続される。接続線12aをコイル11の本体部分に接続も可能であるが、導出線11aに対して接続することで接続作業が容易である。また、導出線11aと同側に接続線12aを設けることで、短い接続線12aを用いることができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の限流コイル11は、一般的な導体線、超電導線のいずれを用いてもよい。
・上記実施形態の限流コイル11は、一般的な導体線、超電導線のいずれを用いてもよい。
・上記実施形態の超電導磁気遮蔽体12は、超電導線材をコイル状(筒状)に形成してもよく、超電導板材にて筒状に形成してもよい。
・上記実施形態では、限流コイル11のコイル本体部分と超電導磁気遮蔽体12との長さを略同じとしたが、いずれか一方を長くしてもよい。
・上記実施形態では、限流コイル11のコイル本体部分と超電導磁気遮蔽体12との長さを略同じとしたが、いずれか一方を長くしてもよい。
・上記実施形態では、限流コイル11と超電導磁気遮蔽体12とは単層であったが、多層に構成してもよい。
例えば図2に示す超電導限流器20は、直列接続の第1及び第2コイル21x,21yを同心の筒状巻きで径方向に重なるように並設させた組のものを複数組(図2ではそのうち3組を図示)、同心で径方向に重なるように配置され構成される。超電導磁気遮蔽体22は、限流コイル21の各組の第1及び第2コイル21x,21y間にそれぞれ介在され、該コイル21x,21yと同電位とすべく接続される。この場合、第1及び第2コイル21x,21y間の渡り線21aと超電導磁気遮蔽体22からの接続線22aとが接続される。また、隣り合う組の第2コイル21yと第1コイル21xとは渡り線21bにて接続され、限流コイル21の最内周の第1コイル21xと最外周の第2コイル21yからそれぞれ導出線21cが導出される。
例えば図2に示す超電導限流器20は、直列接続の第1及び第2コイル21x,21yを同心の筒状巻きで径方向に重なるように並設させた組のものを複数組(図2ではそのうち3組を図示)、同心で径方向に重なるように配置され構成される。超電導磁気遮蔽体22は、限流コイル21の各組の第1及び第2コイル21x,21y間にそれぞれ介在され、該コイル21x,21yと同電位とすべく接続される。この場合、第1及び第2コイル21x,21y間の渡り線21aと超電導磁気遮蔽体22からの接続線22aとが接続される。また、隣り合う組の第2コイル21yと第1コイル21xとは渡り線21bにて接続され、限流コイル21の最内周の第1コイル21xと最外周の第2コイル21yからそれぞれ導出線21cが導出される。
このように同心で径方向に多層の筒状巻き型とした限流器20においても、超電導磁気遮蔽体22と第1及び第2コイル21x,21yとの隙間dがそれぞれ極めて小さく設定できるため、通常時の超電導磁気遮蔽体22による磁気遮蔽効果は極めて高く、限流コイル21の一層の低インピーダンス化が可能な構成とすることができる。また、多層とすることで限流コイル21に対して多くの超電導磁気遮蔽体22を使用でき、これによる磁気遮蔽効果の向上が可能なため、その分の低インピーダンス化が可能となる。
また図3に示す超電導限流器30は、直列接続の第1及び第2コイル31x,31yを同心の平面巻きで軸方向に重なるように並設させた組のものを複数組(図3ではそのうち4組を図示)、同心で軸方向に重なるように配置され構成される。超電導磁気遮蔽体32は、限流コイル31の各組の第1及び第2コイル31x,31y間にそれぞれ介在され、該コイル31x,31yと同電位とすべく接続される。この場合、第1及び第2コイル31x,31y間の渡り線31aと超電導磁気遮蔽体32からの接続線32aとが接続される。また、隣り合う組の第2コイル31yと第1コイル31xとは渡り線31bにて接続され、限流コイル31の最上層の第1コイル31xと最下層の第2コイル31yからそれぞれ導出線31cが導出される。
このように同心で軸方向に多層の平面巻き型とした限流器30においても、超電導磁気遮蔽体32と第1及び第2コイル31x,31yとの隙間dがそれぞれ極めて小さく設定できるため、通常時の超電導磁気遮蔽体32による磁気遮蔽効果は極めて高く、限流コイル31の一層の低インピーダンス化が可能な構成とすることができる。また上記と同様に、多層とすることで限流コイル31に対して多くの超電導磁気遮蔽体32を使用でき、これによる磁気遮蔽効果の向上が可能なため、その分の低インピーダンス化が可能となる。
・上記実施形態の限流器10(20,30)は、電力系統への設置のみならず、他の電気装置に設置するものであってもよい。
10,20,30…超電導限流器、11,21,31…限流コイル、12,22,32…超電導磁気遮蔽体、21x,31x…第1コイル、21y,31y…第2コイル。
Claims (3)
- 限流コイルに超電導磁気遮蔽体を並設してなり、前記限流コイルへの入力電流が過電流になると、前記超電導磁気遮蔽体が超電導状態から常電導状態に転移することで前記限流コイルを低インピーダンスとしていた磁気遮蔽効果が喪失し、該コイルのインピーダンス増大により過電流の限流を行う超電導限流器であって、
前記超電導磁気遮蔽体と前記限流コイルとが相互に電気的に接続され、その両者が同電位となるように構成されたことを特徴とする超電導限流器。 - 請求項1に記載の超電導限流器において、
前記限流コイルは、直列接続の第1及び第2コイルを同心の筒状巻きで径方向に重なるように並設させたものを1組とし、その複数組が同心で径方向に重なるように配置されて構成され、前記超電導磁気遮蔽体は、各組の前記第1及び第2コイル間にそれぞれ介在され該コイルと同電位とすべく接続されたことを特徴とする超電導限流器。 - 請求項1に記載の超電導限流器において、
前記限流コイルは、直列接続の第1及び第2コイルを同心の平面巻きで軸方向に重なるように並設させたものを1組とし、その複数組が同心で軸方向に重なるように配置されて構成され、前記超電導磁気遮蔽体は、各組の前記第1及び第2コイル間にそれぞれ介在され該コイルと同電位とすべく接続されたことを特徴とする超電導限流器。
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