JP2013007781A - 液晶デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶の複屈折により光波を変調する液晶デバイスにおいて、良好に配向制御と位相制御を行い、残留複屈折が生じた場合でも、それを補償することを可能とする。
【解決手段】電極を形成した第1の基板1と第2の基板2とで液晶分子5を挟持し、液晶の複屈折により光波を変調する液晶デバイスにおいて、第1の基板1、又は第2の基板2には、光波の波長より短いピッチpを有するグレーティング構造6を設け、グレーティング構造6は、液晶分子5の配向方向を制御し、かつ、液晶を通過した光波の位相制御を行うことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

この発明は、液晶の複屈折を電気的にコントロールし、透過する光波の変調を行う液晶空間光変調デバイスに関し、複屈折モード(ECB:Electrically controlled Birefingence
mode)の表示デバイスや、空間的偏光分布を持ったベクトルビームを発生させるデバイスにおいて、位相補償を行い、デバイスの性能を向上させる技術に関する。
これらの液晶空間光変調デバイスは、液晶の持つ複屈折を利用するため、液晶分子の方向を揃える配向という処理が必要である。また、電圧の印加、無印加時の複屈折の量を最適な値にコントロールするため位相補償という技術を用いている。これらの詳細について各々の場合に分け、以下に述べる。
ECBモードの表示デバイスには、例えば、MVA(Multi Vertical Alignment)モードや、IPS(In-Plane Switching)モードや、OCB(Optically Compensated Bend)モード等があり、その視野角の広さ、応答性の速さにより、近年、盛んに開発されている。
MVAモードでは、負の誘電率異方性を持った液晶を用い、電圧無印加状態で、液晶が上下の基板に垂直に配向する様に処理されている。誘電率異方性が負というのは、液晶分子長軸方向の誘電率が、それに垂直な方向の誘電率に比べて小さく、電圧印加により、電界方向と垂直に液晶分子長軸が倒れる向きに力が加わることを意味する。屈折率はいずれの場合も、液晶分子長軸に平行な方向がそれに直交する方向に比べて大きい値を持っている。電圧印加により液晶が所定の方向に倒れ、その複屈折量をコントロールすることにより光透過量を変化させ、黒から白の階調表示を行っている。このとき、応答性を高めるために、電圧無印加時も液晶が僅かに垂直から傾いており、この角度をプレチルト角度という。一般に、垂直に配向している状態で黒表示を行い、このプレチルトがあることから、図10に示すように複屈折が生じ、光が僅かに透過し、コントラストの低下を招いている。従って、この複屈折をキャンセルするような位相補償を行うことが一般に行われている。
OCBモードでは、電圧無印加状態で、液晶分子は上下基板の近傍では基板に沿って平行に、中間付近では垂直に、円弧を描くような弓なりの配向状態(ベンド配向)を持っている。図9(a)は、OCBモードの液晶デバイスの断面を模式的に示した図で、左右に、電圧をON/OFFした場合の液晶分子の配向状態を示している。電圧印加により液晶は垂直に立ち、複屈折を無くし、クロスニコルに配置した偏光板で光を遮蔽し黒表示を行うが、基板近傍の液晶分子は配向膜によるアンカリングにより垂直には立たず、複屈折を生じ、黒レベルが上がり、コントラストが低下してしまう。MVAモードと同様に、コントラストの向上のため、位相補償が必要になっている。図9(b)には、従来のホモジニアス配向方式の液晶デバイスの液晶配向状態を説明するための断面図である。ホモジニアス配向方式であってもOCBモードと同様に、電圧印加時に、基板近傍の液晶分子が垂直に立ちきらず、これによる発生する複屈折をキャンセルする位相補償が必要となっている。
また、STNの液晶シャッターにおいても、基板近傍の液晶分子が立ちきらずに複屈折が発生し、それを位相差板でキャンセルすることで、印加電圧を低くする技術などが知られている(例えば、特許文献1)。
その他に、一対の基板間に反射膜を設けた内在反射方式の半透過反射型液晶パネルにお
いて、基板間の一部分にパターニング位相差層を設け、明るい半透過反射型を実現する技術などが知られている(例えば、特許文献2)。
ところで、光伝搬方向に垂直な平面内で偏光分布を持ったベクトルビームについての研究が、各方面で進められている。ベクトルビームには、放射状の偏光分布を持つラジアル偏光ビームや、方位角方向の偏光分布を持つアジマス偏光ビームなどが知られている。このようなベクトルビームは、顕微鏡やレーザー加工の分野への応用が提案されており、直線偏光をベクトルビームに変換するデバイスに注目が集まっている。ラジアル偏光を高N.A.のレンズで集光すると、その焦点面で、光の進行方向のZ成分の電界成分のみが強められ、あたかも縦波の様に振舞う。このようなZ成分の電界成分を有するZ偏光ビームは、レーザー共焦点顕微鏡の高分解能化、ラマン顕微鏡への新しいイメージング手段の提供、レーザーマニピュレーション、レーザー加工分野への応用等が提案されている。
例えば、直線偏光をラジアル偏光ビームに変換するデバイスとして、光が入射する平面を、光軸を中心とした扇状に広がる領域に分割し、各々の領域に、2分の1波長板を配置し、入射する直線偏光と2分の1波長板の光軸の角度を僅かずつ変えた、ラジアル偏光を得るデバイスが知られている。これは、直線偏光を、その偏光軸とθ傾いた光軸を持つ2分の1波長板に入射すると、2θ傾斜した直線偏光が得られることを利用し、各々の領域で、その領域の持つ平均的な方位角方向に対して2分の1の角度の光軸を持った2分の1波長板を配置したものである(例えば特許文献3)。
WO01/018593(第10−13頁、図1) 特開2006−72170(第8−10頁、図1、図3) 特許第4512693号(第4−6頁、図1)
このようなラジアル偏光変換デバイスを、同様の構成と機能を持つ液晶デバイスで置き換え、さらに電気的なコントロールを追加することで、チューナブルな素子とすることもできる。例えば、放射状に設けた各領域で、角度を僅かずつ変えたホモジニアス配向となるように液晶を配向し、その複屈折の大きさを2分の1波長とすることで、同様な機能を示す液晶デバイスを作成することができる。
このようなラジアル偏光変換デバイスや、前述の液晶シャッター、半透過反射型液晶パネル等の液晶デバイスにおける共通技術として、液晶の配向処理と位相補償がある。配向処理として最も頻繁に使用されている手法はラビング法であり、ポリイミド等の高分子材料を基板上にスピンコート等で成膜し、回転するローラーに巻きつけたロールで1方向にこすることにより、液晶分子をその方向に配向させるものである。
また、ラビング法の他には、構造配向、光配向等の配向処理も開発されている。構造配向としては、基板表面にSiOx等の無機物を斜方から真空蒸着する斜方蒸着法があり、蒸着物質は、基板表面上で蒸着源に向けて柱状に成長し、規則的な構造を持つ。蒸着角度や蒸着膜厚を変えることで、液晶分子の配向方向をコントロールすることができる。
また、位相補償を行う為に、各種の手法が提案されており、例えば、VA配向デバイスに関しては、広い視野角を達成する為に、負の屈折率異方性を有する位相差板2枚と正の屈折率異方性を有する位相差板1枚を用いた手法がK.Ohmoro等によってSID Digest of Technical Papers(1997)に、OCBデバイスに関しては、2軸性の位相補償板を用いる手法
が、Kuo等によってSID Digest of Technical Paper(1994)にそれぞれ示されているが、これらの位相補償板を設けることは、液晶デバイスの構造や製造工程を複雑にするという問題がある。
特に前述したベクトルビームへ変換させる液晶デバイスの場合では、平面内の放射状の各領域内で配向方向を異ならせる必要があるため、配向処理として、均一な配向となる領域のみ開口を設けたマスクを用い、マスクの位置を少しずつずらしながら、これらの配向処理を行うことが必要となる。
このような液晶デバイスに電圧を印加し、液晶を垂直に配向させることで、ラジアル偏光変換をOFFする場合、電圧印加状態でも、基板界面近傍の液晶分子は配向膜によるアンカリングの影響で垂直に立ちきらず複屈折が残留し、想定外の偏光状態の変化をもたらしてしまう。また、前述した半透過反射型の表示デバイスの場合、黒レベルが上がりコントラストが低下してしまうという問題がある。これを避ける目的で残留複屈折をキャンセルする様に位相補償が必要である。
しかし、このような液晶デバイスは、従来の平面内で均一な遅相軸を備えた位相板をそのまま設置しても、充分に残留複屈折をキャンセルすることはできない。ベクトルビーム変換デバイス等、デバイス平面内で配向方向が異なる領域が必要な場合、配向処理が複雑になるとともに、それに合わせた位相補償板の作成も、それぞれの配向方向と位相差板の光軸を合わせる必要があり、非常に複雑になる。つまり、精度良く位相補償するには、前述した放射状の各領域内に対応して、光軸を考慮しながら位相差板をそれぞれの領域ごとに配置しなければならない。
また、従来の半透過反射型の液晶デバイスにおいても、より表示品質を良好とするには、位相差値を精度良く制御することが必要とされるが、微少領域に位相差層を形成するなど、位相差値が制御しにくいという問題点があった。
そこで、本発明は上記課題を解決し、液晶の配向と液晶デバイスの高精度な位相補償を同時に行うことができ、特性の優れた空間光変調が可能な液晶デバイスをシンプルな構造で提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の液晶デバイスは下記の構成を採用するものである。
電極を形成した第1の基板と第2の基板とで液晶を挟持し、液晶の複屈折により光波を変調する液晶デバイスにおいて、第1の基板、又は第2の基板には、光波の波長より短いピッチpを有するグレーティング構造を設け、このグレーティング構造は、液晶の配向方向を制御し、かつ、液晶を通過した光波の位相制御を行うことを特徴とする。
また、ピッチpは光波の波長の1/2より短いことが好ましい。
また、グレーティング構造のピッチpと、グレーティング構造の凸部の幅eとで決定するグレーティング構造の占有率e/p、及び、グレーティング構造の深さdを制御することで、液晶を通過した記光波の位相制御を行うことが好ましい。
また、液晶の配向方向が同一面内で複数の領域に分割され、複数の領域に対応して、位相制御されていることが好ましい。
本発明によれば、基板の液晶に接する面に設けられたサブ波長微細構造により、液晶分
子の配向方向をコントロールするとともに、位相制御を行うことができ、従来複雑な構造、プロセスで達成していた機能をシンプルな構成で達成することができる。また、特に面内で複数の配向方向をもつような配向分布がある液晶デバイスにおいては、配向制御と残留複屈折除去の機能を同時に実施することができ、同様な機能を達成する為のプロセスを非常に簡略化することができる。これにより、シンプルな構造、かつシンプルなプロセスで作成した液晶デバイスを用い、良好な特性の空間光変調が可能な液晶デバイスを提供できる。
本発明の液晶デバイスの部分断面図を模式的に示す図である。 (a)グレーティングによる配向を行う液晶デバイスの模式図である。 (b)(c)グレーティングの溝方向と液晶の配向方向の関係を説明する模式図である。 構造性複屈折を説明するための図である。 本発明の実施形態のグレーティング構造による構造性複屈折の大きさの1例を表すグラフである。 本発明の液晶分子の配向状態の1例を示す模式断面図である。 本発明の実施形態のグレーティングによる構造性複屈折の大きさの別の1例を表すグラフである。 本発明の実施形態のベクトルビーム変換デバイスを表す外観図である。 (a)本発明の実施形態のベクトルビーム変換デバイスの配向分布を示す図である。 (b)デバイス透過後のビームの偏光分布を説明する図である。 (a)従来のOCB方式液晶デバイスの液晶配向状態を説明するための模式的な断面図である。 (b)従来のホモジニアス配向方式の液晶デバイスの液晶配向状態を説明するための模式的な断面図である。 複屈折の大きさの電圧依存性を示すグラフである。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる液晶デバイスの好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる液晶デバイスの断面の部分拡大図を示している。液晶デバイスは、上下2枚の基板1,2で液晶を挟持した構成であり、基板1,2には、電極3、配向膜4が形成されている。右側半分が電圧印加状態であり、左半分が電圧無印加状態を表している。図は発明の説明に必要な部材のみを表記し、また、分かり易いように縮尺も変えて表記している。表示素子やシャッターとして使う場合は、液晶素子の上下をその透過軸が直交するような2枚の偏光板で挟む必要があり、また、カラー表示するためにはカラーフィルタ、画素駆動のためにはTFT素子がそれぞれ必要であるが、いずれも図では省略している。
次に図2を用いて、図1の配向膜4について詳しく説明する。液晶を配向させる手段として一般的なラビング法ではなく、構造配向による配向処理を行っている。微細ピッチのグレーティング構造を液晶と接する面に形成することにより、液晶の配向を行うことができる。例えば、図2(a)様な矩形格子状のパターンを基板表面に形成し、この基板を用いて液晶を挟みセル化することにより、液晶を配向させることができる。例えば、後述するナノインプリント方式により、ピッチpが180nm、凸部e90nm、凹部70nmのグレーティング6を基板2に形成し、グレーティング6に沿った方向に液晶分子5の配
向を制御することができる。
このようにして作成した基板2を用いて液晶セルを組み立てた場合、一般に、液晶の配向方向は、グレーティング6の溝に沿った方向に液晶分子長軸が並ぶ。これは、グレーティング6による凹凸に沿って液晶分子5が配向する図2(b)のような配向と、グレーティング溝方向と液晶分子長軸方向が揃う図2(c)の様な配向を比べると、液晶の弾性エネルギーが図2(c)の場合がより小さくなり、液晶分子5は弾性エネルギーが最小となるように配向するためである。よって、液晶分子5は、グレーティング6に沿った方向に配向する。
微細なグレーティング構造を形成する手法としては、感光性高分子材料に微細ピッチグレーティングのマスクを用いて、フォトリソグラフィー方式で形成する手法がある。また、レーザーの二光束を干渉させ、その干渉縞を直接記録する方法もあり、レーザーの波長と二光束の交差角度を調整することでグレーティングのピッチを調整することができる。さらに、微細な表面レリーフタイプのグレーティング構造を型として、UV硬化樹脂を用い、透明基板上にUVインプリントで形成する、熱インプリントにより透明樹脂基板に直接グレーティング形状を形成するなど、ナノインプリント方式でその形状を転写する方法等が考えられる。それぞれのマスクや、インプリントモールドは、電子線描画やレーザー描画、自己組織化技術、その他各種方式で形成することができる。
グレーティング6のピッチpが、利用する光波の波長より狭い場合、構成する媒質の比誘電率と占有率から決まる有効屈折率を持った一様な媒質と考えられる。特に、利用する光波の波長の2分の1以下の場合、もはやグレーティング構造による回折光は生じず、より特性の良い光学素子として利用することができる。このときの有効屈折率について、図3と図4を用いて説明する。
図3は図2のグレーティング6のみを拡大して示した図である。斜線部はグレーティング6の溝部である凹部に対応し、斜線のない部分は凸部に対応している。ここで、電界の振動方向が、グレーティング構造に平行なTE波と、それと直交する方向に振動するTM波では、有効屈折率が異なり、それぞれ、次式で表される。
Figure 2013007781
ここで、fは、占有率であり、グレーティング6を構成する媒質の断面での比率を示し、凸部(樹脂)の誘電率がε1、凹部(液晶分子)の誘電率がε2である。εTE,は、グレーティング構造に平行に電界が振動する光に対する格子の誘電率、εTMは、グレーティング構造に垂直に電界が振動する光に対する格子の誘電率である。これらの式により、グレーティング6を構成する材質の屈折率と、その占有割合をコントロールすることで、その複屈折量をコントロールすることができる。
すなわち図2(c)の様な配向の場合、液晶分子5の長軸方向の屈折率をne、短軸方向の屈折率をnoとし、グレーティング6を構成する材質の屈折率をngとする。また、グレーティングのピッチをp、凸部の幅をe、深さをdとする。このとき、樹脂の占有率e/pを変化させ、構造性複屈折によるリタデーションの値を数式(1)、(2)により計算すると図4のグラフのようになる。図4では、ng=1.7、ne=1.75、no=1.5、d=2.5μmの場合である。
ここで図1の液晶デバイスにおける複屈折の電圧特性を図10に示す。電圧印加により、複屈折は低下していくが、ある値(残留複屈折)で飽和している。残留複屈折の値は、液晶デバイスの仕様で異なるが、100nm前後の値である。
この残留複屈折の値を100nmとした場合、液晶分子5の長軸方向の光路長が長くなるので、グレーティング6と液晶分子5による構造性複屈折と同符号になり、お互いの複屈折値でキャンセルすることはできない。従って、両者の和を丁度波長λの整数倍となる光路差にすることで、キャンセルさせることが考えられる。例えば、利用波長範囲の中心波長を500nmとすると、構造性複屈折により400nm与えれば、元々存在した残留複屈折の値と積算することにより、丁度波長λ(500nm)となり、残留複屈折をキャンセルすることが可能である。例えば、図4のグラフから、縦軸の400nmに対応する占有率(e/p)を0.4程度に設定すれば、残留複屈折をキャンセルするのに丁度良いことが分かる。
ここで用いた値は、グレーティング構造の凹部中にある液晶分子5は、電圧印加でその配向方向が変化しない場合を想定している。サブ波長ピッチのグレーティングで、上記例のように、アスペクト比が10程度と大きい場合は、境界のアンカリングの影響で、配向がほとんど変化しないことが考えられる。また、電極をグレーティング6の格子の構造に沿って表面に形成した場合、格子の溝部の電位勾配は上下基板方向に一様な勾配とはならず、ほぼ一様な電位となり、液晶の配向方向が変化しない。
上述の例では、図2(c)のように液晶分子5の長軸がグレーティングの格子に沿った配向をした例を示した。ここで、ピッチpや溝深さ(グレーティング6の深さd)が小さい場合は、そのような配向を示すことが理論的にも報告されているが、溝が深い場合の配向はこれに限らず、格子の方向に対して平行や垂直に配向する例が報告されている。すなわち、図3に示すように、格子に入射する偏光方向を、電界の振動方向が格子に平行なTE波と垂直なTM波に分けて考え、残留複屈折を、TE−TMの光路差とすると、残留複屈折の値は、正の値も、負の値も取りえる。また、溝のピッチp、アスペクト比、電極位置により、格子内の液晶分子5は、電圧印加により電界の方向に液晶分子の方向が変わる場合と、変わらない場合がある。
例えば、図5のようにグレーティング6の格子の溝に垂直で、基板に対して平行なホモジニアス配向する正の誘電率異方性を持った液晶分子5の場合を考えると、電圧印加時、液晶が十分に立ち切らず、垂直から僅かに傾いた角度で立つことから残留複屈折が生じる。残留複屈折として、TE波−TM波の光路差を取ると、負の値となる。一方、格子部での構造性複屈折は、格子を形成する透明材料の屈折率ngを1.75とし、液晶の屈折率ne=1.75、no=1.5、格子深さdを2500nmとすると、光路差(複屈折)は、図6のグラフのようになる。
図6のグラフは、グレーティング6の格子を形成する樹脂の占有率(e/p)を横軸に、TE波−TM波の光路差(nm)をプロットした物である。占有率(e/p)が0.5(50%)、つまり、樹脂と液晶分子の断面の比率が、1対1のときに光路差(複屈折)
は最大になる。液晶の仕様によるが残留複屈折の絶対値は50−100nm程度であり、残留複屈折の値を−50nmとすると、図6のグラフより、占有率(e/p)50%のときに、ほぼキャンセルすることができる。
実際の液晶表示素子は、視野角特性を改善するために、各種光学補償板を積層した構成となっており、例えば垂直配向型の液晶表示デバイスにおいては、λ/4位相差板にCプレート(表面の屈折率が一定で、屈折率楕円体が負の1軸性の複屈折板)を積層したものを利用しており、それらのトータルの位相変調量を勘案して、複屈折量を設計することが望ましい。
次に、直線偏光ビームをベクトルビームに変換する液晶デバイス、特に、偏光方向が放射状に分布したラジアル偏光に変換するラジアル偏光素子について述べる。
ラジアル偏光を作成するデバイスとして、液晶デバイスにより偏光変換させる方法が提案されており、図7のような構成をしている。透明基板1、2で液晶を挟持し、シール部材7で、液晶を封入している。液晶の駆動するアクティブ領域8は、図の円形内であり、8分割に配向分割された例を示している。分割数は8分割にこだわる必要は無く、分割数が多いほど理想的なラジアル偏光が得られるが、得られるビーム特性との兼ね合いで決定すれば良く偶数に限る必要もない。
アクティブ領域の液晶分子の配向方向は、図8(a)に示すような矢印の方向を持ち、各領域の複屈折の値が、入射する光の波長の2分の1波長となるような仕様で作成する。例えば、Δn0.2の液晶を用い、セルギャップを4μmとした場合、光路差は、0.8μmになり、可視から近赤外のレーザー光源に対し、十分に2分の1波長板として機能させることができる。このデバイスに対し、鉛直方向に振動する直線偏光を入射させると、それぞれの領域で、配向方向の傾きをθとした場合、偏光面は、2θ回転し、図8(b)の様な偏光分布を持ったベクトルビームが生成でき、ラジアル偏光ビームに変換させることができる。具体的な配向方向は、8分割の場合、22.5°の整数倍となり、0°、±22.5°、±45°、±67.5°、90°となる。
液晶素子のようにアクティブにコントロールできるデバイスの利点として、直線偏光とラジアル偏光を電気的に切り替えられることが上げられる。このとき、例えば、ホモジニアス液晶を使った場合、電圧を印加することで複屈折を無くし、ベクトルビーム変換デバイスとしてのON/OFFの切り替えを行うことが考えられる。しかし、電圧を印加しても基板界面近傍の液晶は、配向膜のアンカリングにより垂直までは、立ち上がらず、僅かな複屈折を残し、デバイスの特性の低下することが考えられる。
この残留複屈折をキャンセルするためには、図8(a)の液晶の配向方向とは直交する光軸を持った位相差板を精度良く作成することが必要になる。そこで、グレーティング構造で配向処理を行う。グレーティング構造を設けて、液晶分子を所定の方向へ配向させる場合、光軸を中心に放射状のグレーティング構造を設ければ良い。グレーティング構造は、先に記載したいずれの方法でも作成することができるが、本実施形態では、ナノインプリント法を用いて透明基板上にグレーティング構造を一括して形成した。一旦、グレーティング形状が形成されれば、通常の液晶セル作成プロセスで上下基板を貼り合せるだけで、所望の液晶の配向分布が得られる。
また、形成するグレーティング構造のパターンは、所望の位相補償量に合わせて、ピッチpに対する凸部eの比率(占有率:f=e/p)やグレーティング構造の深さdを設計し、液晶材料の特性に合わせて、仕様を決定する。一旦パターンが決まり、インプリント用の金型が作成できれば、インプリント工程により、液晶プロセスの配向プロセス、位相
補償板の貼付プロセスが同時に済み、液晶デバイスの製造プロセスを単純化できる。
このように、本実施形態の液晶デバイスは、光波が透過する平面内において、液晶の配向方向が異なる空間的な配向分布を実現しながら、その領域ごとにあった複屈折を補償することができるので、薄く、高品質な液晶デバイスを提供することができる。また、上記実施形態では、グレーティング構造を下側の基板2に形成したが、上側の基板1に形成してもよく、あるいは、両方に形成しても構わない。また、図1では、電極3の上に配向膜4としてグレーティング構造を配置しているが、グレーティング構造の上に電極を配置しても構わない。
1、2 透明基板
3 透明電極
4 配向膜
5 液晶
6 グレーティング
7 シール
8 アクティブ領域

Claims (4)

  1. 電極を形成した第1の基板と第2の基板とで液晶を挟持し、前記液晶の複屈折により光波を変調する液晶デバイスにおいて、
    前記第1の基板、又は前記第2の基板には、前記光波の波長より短いピッチpを有するグレーティング構造を設け、
    該グレーティング構造は、前記液晶の配向方向を制御し、かつ、前記液晶を通過した前記光波の位相制御を行うことを特徴とする液晶デバイス。
  2. 前記ピッチpは前記光波の波長の1/2より短いことを特徴とする請求項1に記載の液晶デバイス。
  3. 前記グレーティング構造の前記ピッチpと、前記グレーティング構造の凸部の幅eとで決定するグレーティング構造の占有率e/p、及び、前記グレーティング構造の深さdを制御することで、前記液晶を通過した前記光波の位相制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の液晶デバイス。
  4. 前記液晶の配向方向が同一面内で複数の領域に分割され、該複数の領域に対応して、位相制御されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶デバイス。
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