JP2013005621A - 電圧無効電力制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ループ系統において、送電ロスの観点を取り入れた電圧調整を行い、電圧運用範囲内で送電ロスの低減を図りつつ電圧調整を行うことを可能とした電圧無効電力制御システムを提供する。
【解決手段】複数の発変電所を介して送電線をループ状に構成して電力を供給するようにしているループ系統の母線電圧を適正範囲に維持する電圧無効電力制御システムにおいて、母線電圧が目標設定電圧範囲を超えた場合に、ループ系統の各発変電所の調相設備を別々に投入または開放した場合の無効電力量を演算し、この無効電力量に基づき送電ロスの低減が図れるか否かをシミュレーションすると共に母線電圧が目標設定電圧範囲に収まるか否かをシミュレーションし、送電ロスの低減が図れると判定され、且つ、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定された場合に、そのシミュレーションを行った設定状態となるよう調相設備を制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ループ系統の母線電圧を適正な状態に維持するために、各発変電所に設置された調相設備の入り切り制御および変圧器のタップ制御により、電圧・無効電力を調整するための電圧無効電力調整システムに関する。
電力系統の電圧を調整する設備として、発変電所には、通常、二次側電圧の調整を可能とする負荷時タップ切替付き変圧器や無効電力の供給・吸収を行うコンデンサやリアクトルなどの無効電力調整装置(調相設備)が設置されている。
しかしながら、電源の遠隔化により、大地との間の静電容量が大きくなり、発電機による無効電力の調整幅が低下していること、電力系統に接続されている需要家(負荷)が大容量化すると共にこれに比例して無効電力の必要量も増加していること、需要家(負荷)が電力系統内で集中・分散していること、等から電圧の維持に支障をきたすようになってきており、また,無効電力による送電ロスも増大してきている。
この点を解決する手法として、従来、各発電所や変電所に設置されている自動電圧調整装置や自動電圧無効電力調整装置を協調制御することにより電力系統に電圧不安定性が生じないようにする電圧無効電力制御装置が提案されている。
特開平4−275026号公報
しかしながら、上述した制御装置にあっては、電力系統内で定められた電圧運用幅(電圧維持目標)で最適な電圧調整制御ができるよう発変電所に設置された自動電圧調整装置等に制御条件を伝送して電圧維持を図るものであるが、電圧運用幅内での電圧調整のみで、送電ロスの低減の観点での制御は行われていない。このため、電圧が所定の運用巾で最適に制御されても、無効電力による送電ロスが増大する不都合が生じ得るものであった。
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、特にループ系統において、電力系統内の送電ロスの観点を取り入れた電圧調整を行い、電圧運用範囲内で送電ロスの低減を図りつつ電圧調整を行うことを可能とした電圧無効電力制御システムを提供することを主たる課題としている。
上記課題を達成するために、本発明に係る電圧無効電力制御システムは、複数の発変電所を介して送電線をループ状に構成して電力を供給するようにしているループ系統の母線電圧を適正範囲に維持するための電圧無効電力制御システムであって、前記発変電所毎の母線電圧を計測する母線電圧計測手段と、前記発変電所毎の無効電力及びその方向を計測する無効電力計測手段と、前記発変電所毎に設けられる調相設備の状態を検出する調相設備状態検出手段と、前記母線電圧が目標設定電圧範囲を超えた場合に、ループ系統の各発変電所の調相設備を別々に投入または開放した場合の無効電力量を演算する無効電力量演算手段と、この無効電力量演算手段で演算された無効電力量に基づき、送電ロスの低減の有無をシミュレーションする送電ロスシミュレーション手段と、前記各発変電所の調相設備を投入または開放した場合に前記母線電圧が目標設定電圧範囲に収まるか否かをシミュレーションする電圧シミュレーション手段と、前記電圧シミュレーション手段により前記母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定され、且つ、前記送電ロスシミュレーション手段により送電ロスの低減が図れると判定されたシミュレーションがある場合に、そのシミュレーションを行った設定状態となるよう前記調相設備を制御する制御手段とを具備することを特徴としている。
したがって、母線電圧が目標設定電圧範囲を超えた場合には、無効電力量演算手段によりループ系統の各発変電所の調相設備を別々に投入または開放した場合の無効電力量が演算され、送電ロスシミュレーション手段により、この演算された無効電力量に基づき、送電ロスの低減が図れるか否かがシミュレーションされ、また、電圧シミュレーション手段により、各発変電所の調相設備を別々に投入または開放した場合に母線電圧が目標設定電圧範囲に収まるか否かがシミュレーションされ、制御手段により、送電ロスの低減が図れると判定され、且つ、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定された場合に、そのシミュレーションを行った設定状態となるよう調相設備が制御されるので、送電ロスの低減を図りつつ電圧運用範囲に母線電圧を調整することが可能となる。
また、電圧無効電力制御システムは、前記発変電所毎に設けられる変圧器のタップ状態を検出するタップ状態検出手段を備え、前記無効電力量演算手段は、前記母線電圧が目標設定電圧範囲を超えた場合に、ループ系統の各発変電所の変圧器タップを別々に変更した場合の無効電力量を演算する手段を含み、前記送電ロスシミュレーション手段は、前記無効電力量演算手段で演算された変圧器タップを変更した場合の無効電力量に基づき、送電ロスの低減の有無をシミュレーションする手段を含み、前記電圧シミュレーション手段は、前記変圧器タップを変更した場合に前記母線電圧が目標設定電圧内に収まるか否かを判定する手段を含み、前記制御手段は、前記送電ロスシミュレーション手段によりタップ変更後に送電ロスの低減が図れると判定され、且つ、前記電圧シミュレーション手段によりタップ変更後に母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定されたシミュレーションがある場合に、そのシミュレーションを行った設定状態となるように前記変圧器タップを切り替える制御を含むようにしてもよい。
このような構成においては、母線電圧が目標設定電圧範囲を超えた場合には、無効電力量演算手段によりループ系統の各発変電所の変圧器タップを別々に変更した場合の無効電力量が演算され、送電ロスシミュレーション手段により、無効電力量演算手段で演算された変圧器タップを変更した場合の無効電力量に基づき、送電ロスの低減が図れるか否かがシミュレーションされ、また、電圧シミュレーション手段により、変圧器タップを変更した場合に母線電圧が目標設定電圧内に収まるか否かがシミュレーションされ、制御手段により、タップ変更後に送電ロスの低減が図れると判定され、且つ、タップ変更後に母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定された場合に、そのシミュレーションを行った設定状態となるように変圧器タップが切り替えられるので、変圧器タップの変更により、ループ系統に無効電力を循環させ、これにより、変圧器タップの変更前の無効電力を低減させ、送電ロスの低減を図りつつ母線電圧を電圧運用範囲に調整することが可能となる
ここで、送電ロスシミュレーション手段により、送電ロスの低減が図れるシミュレーションが複数ある場合には、送電ロスの低減効果が最も高いシミュレーションの設定状態となるよう制御手段による制御を行うようにするとよい。
また、上述した制御において、送電ロスシミュレーション手段によるシミュレーションの結果、送電ロスの低減が図れると判定され、且つ、電圧シミュレーション手段によるシミュレーションの結果、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定されたシミュレーションがない場合に、ループ系統の各発変電所の変圧器の一次側タップを同時に下げ又は上げの制御を行った場合に母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まるか否かをシミュレーションする第2の電圧シミュレーション手段と、この第2の電圧シミュレーション手段のシミュレーションにより、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定された場合に、そのシミュレーションを行った設定状態となるようにループ系統の各発変電所の変圧器の一次側タップを切り替える第2の制御手段とをさらに具備するようにしてもよい。
このような構成によれば、送電ロスシミュレーション手段で送電ロスの低減が図れると判定されたシミュレーションがない場合や、電圧シミュレーション手段で母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定されたシミュレーションがない場合には、第2の電圧シミュレーション手段により、ループ系統の各発変電所の変圧器の一次側タップを同時に下げ又は上げの制御を行った場合の母線電圧がシミュレーションされ、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まる場合に、第2の制御手段により、ループ系統の各発変電所の変圧器の一次側タップをそのシミュレーションを行った設定状態となるように制御するので、送電ロスの低減を図りつつ母線電圧を目標設定電圧範囲内に収めることが難しい場合に、電圧を安定化させる制御を優先させることが可能となる。
また、第2の電圧シミュレーション手段によるシミュレーションの結果、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まらないと判定された場合には、調相設備や変圧器タップの制御で電圧を安定化させることが困難な場合であるので、オペレータに通知する通知手段を設け、オペレータによる制御に委ねるようにするとよい。
このような構成によれば、第2の電圧シミュレーション手段によるシミュレーションの結果、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まらない場合にオペレータに通知されるので、オペレータによって該当系統に接続されている発電所の発電機の励磁調整や別の発変電所の調相設備を制御することで電圧を目標設定電圧内に収まるようにすることが可能となる。
以上述べたように、本発明に係る電圧無効電力制御システムによれば、母線電圧が目標設定電圧範囲を超えた場合に、各発変電所の調相設備を別々に投入または開放した場合の無効電力量が演算されて、送電ロスの低減が図れるか否かがシミュレーションされ、また、各発変電所の調相設備を投入または開放した場合に母線電圧が目標設定電圧範囲に収まるか否かがシミュレーションされ、送電ロスの低減が図れると判定され、且つ、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定された場合に、そのシミュレーションを行った設定状態となるよう調相設備が制御されるので、送電ロスの低減を図りつつ母線電圧を電圧運用範囲に調整することが可能となる。
また、上述の電圧無効電力制御システムにおいては、母線電圧が目標電圧範囲を超えた場合に、ループ系統の各発変電所の変圧器タップを別々に変更した場合の無効電力量を演算して、それに基づき送電ロスの低減の有無をシミュレーションすると共に、変圧器タップを変更した場合に母線電圧が目標設定電圧内に収まるか否かをシミュレーションし、そのシミュレーションの結果、送電ロスシミュレーション手段により送電ロスの低減が図れると判定され、且つ、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定された場合に、シミュレーションを行った設定状態となるように変圧器タップを制御するようにしてもよく、このような制御によれば、変圧器タップの変更によって循環する無効電力により、タップ変更前に生じていたループ系統の無効電力を低減させ、母線電圧を電圧運用範囲に調整することが可能となる。
ここで、送電ロスの低減が図れるシミュレーションが複数ある場合には、送電ロスの低減効果が最も高いシミュレーションの設定状態となるよう制御手段による制御を行うことで、送電ロスの低減を効果的に行いつつ、電圧の安定化を図ることが可能となる。
尚、以上のシミュレーションにおいて、送電ロスの低減が図れない場合や、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まらない場合において、ループ系統の各発変電所の変圧器の一次側タップを同時に下げ又は上げの制御を行った場合に母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まるか否かをシミュレーションし、その結果、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まるとの判定された場合に、ループ系統の各発変電所の変圧器の一次側タップを、そのシミュレーションを行った設定状態となるように制御することで、送電ロスの低減に優先して電圧の安定化を図ることが可能となる。
また、ループ系統の各発変電所の変圧器の一次タップを同時に下げ又は上げの制御を行った場合のシミュレーションの結果、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まらないと判定された場合には、オペレータに通知することで、オペレータによる電圧調整を優先させることが可能となる。
図1は、本発明に係る電圧無効電力制御システムが適用されるループ系統の構成例を示す図であり、(a)はループ系統図、(b)はループ系統を構成する各変電所の設備仕様を説明する表である。 図2は、本発明に係る電圧無効電力制御システムの構成を説明するブロックダイヤグラムである。 図3は、電圧無効電力制御システムの演算・制御装置での制御処理例を示すフローチャートである。 図4は、B変電所のShRを1台投入した場合の220kV送電線廻りの無効電力と110kV送電線廻りの無効電力の変化を説明する図である。 図5は、A変電所のShRを1台投入した場合のA変電所の連系変圧器下りの無効電力と110kV送電線廻りの無効電力の変化を説明する図である。 図6は、Q2=Q1+4の直線を中心に、A変電所のShR投入により送電ロスの低減が図れた場合とB変電所のShR投入により送電ロスの低減が図れた場合の分布を示す図である。 図7は、連系変圧器の一次側タップを切り替えた場合の無効電力の変化を説明する図である。 図8は、B変電所でShRを1台投入する前後の無効電力の変化を説明する図である。
以下、本発明の電圧無効電力制御システムについて、添付図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態においては、複数の変電所の変圧器(バンク)を介して電圧が異なる系統がループ構成された異電圧ループ系統(環状系統)について説明するが、これに限定されるものではない。
図1において、本発明に係る電圧無効電力制御システムに適用されるループ系統の構成例が示されており、A変電所1とB変電所2との間は、220kVのB連絡線3で接続され、また、110kVのAB線4で接続されている。さらに、A変電所1とC変電所5との間は、110kVのAC線6で接続され、C変電所5とB変電所2の間は、110kVのC線7で接続されている。尚、この例においては、110kV送電線のインピーダンスは、220kV送電線のインピーダンスに比べて非常に大きく設定されている。
このため、A変電所1とB変電所2とは、異電圧であるが、ループ系統で接続されており、系統電圧の調整は、A変電所1とB変電所2において、調相設備(ShR,SC)を入り切り制御することにより、また、連系変圧器の一次側タップを切り換え制御することにより行われ、A変電所、B変電所の110kV母線電圧を、ピーク時に112±1.0kVとなるように調整し、また、オフピーク時に109±1.0kVとなるように調整している。
ここで、A変電所には、連系変圧器として、220/110kV、200MVAの変圧器が2台、調相設備として、20MVAのShR(分路リアクトル)が1台、設置され、また、B変電所には、連系変圧器として、220/110kV,300MVAの連系変圧器が2台、調相設備として、20MVAのShR(分路リアクトル)が4台、20MVAのSC(電力畜電器)が2台、30MVAのSC(電力畜電器)が1台、設置されている。
なお、A変電所1とB変電所2の連系変圧器のタップは、無効電力の循環を防止するため、通常は同一タップで運用されている。
電圧無効電力制御システムは、図2に示されるような構成を有しているもので、A変電所1及びB変電所2のそれぞれにおいて、母線電圧と無効電力とを計測する計測部A1,B1と、調整設備の入り切り状態を把握すると共に変圧器のタップ値を把握する状態把握部A2,B2とを備え、これら計測部A1,B1で計測された母線電圧と無効電力との情報と、状態把握部A2,B2で把握された調整設備の状態と変圧器タップ値の情報は、送信部A3,B3を介して演算・制御装置10へ送信されるようになっている。
演算・制御装置10は、A変電所1及びB変電所2から送られた情報を受信部11で受信し、受信した情報に基づき、演算部12で所定のプログラムにしたがって演算処理し、操作箇所選定部13で母線電圧や無効電力を調整するために最も適した操作箇所(調相設備や変圧器のタップ)を選定し、その選定された操作箇所に対して、操作指令信号を送信部14を介して送信するようにしている。
各変電所は、演算・制御装置10の送信部14から送信された操作指令信号を受信部A4,B4で受信し、操作機器振分け部A5,B5で操作すべき機器(調整設備、変圧器)に対して操作指令信号を振り分けて送信し、操作すべき機器が変圧器であれば、操作指令信号に基づき変圧器タップの上げ下げ制御が自動で行われ、また、操作すべき機器が調相設備であれば、操作指令信号に基づき調相設備の入り切り制御が自動で行われる。
以上の構成において、次に無効電力を調整する手法について、図3に示されるフローチャートに基づき説明する。
まず、演算・制御装置10の演算部12においては、各変電所の計測部A1,B1で計測された母線電圧の情報が随時入力されて、予め設定された電圧目標値(目標設定電圧)を逸脱したか否かがモニタリングされ(ステップ50)、目標設定電圧を逸脱したと判定された場合に、上記ループ系統における送電ロスのシミュレーションと電圧変化のシミュレーションとを行う(ステップ52)。
ここで、送電ロスのシミュレーションは、それぞれの変電所(A変電所、B変電所)において1台の調相設備を別々に「入」とした場合のシミュレーションと、それぞれの変電所(A変電所、B変電所)において連系変圧器の一次側の変圧器タップの「下げ」を別々に実施した場合のシミュレーションとを含み、したがって、電圧のシミュレーションも、それぞれの送電ロスのシミュレーション毎に行われる(それぞれの変電所の調相設備を別々に「入」とした場合の電圧シミュレーションと、それぞれの変電所の変圧器タップを別々に「下げ」とした場合の電圧シミュレーションが行われる)ようになっている。
その後、ステップ52のシミュレーションを完了した後に、全てのシミュレーションに対して、送電ロスの低減効果が高い順に順位付けする(ステップ54)。
その後、送電ロスの低減を図ることができ、且つ、母線電圧が目標設定電圧範囲内となるシミュレーションがあるかどうかを判定し(ステップ56)、送電ロスの低減を図ることができ、且つ、母線電圧が目標設定電圧範囲内となるシミュレーションがあると判定された場合には、ステップ54の優先順位に基づき、最も優先順位が高い(最も送電ロスの低減効果が高い)設定状態となるよう、該当の調相設備又は変圧器タップの制御を行う(ステップ58)。
これに対して、送電ロスの低減が図れるシミュレーションがない場合や、送電ロスの低減が図れる場合であっても、電圧が目標設定電圧範囲内に収めることができるシミュレーションがないと判定された場合には、ステップ60へ進み、両変電所の変圧器タップを同時に下げた場合の電圧変化のシミュレーションを開始し、その上で、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まるか否かを判定する(ステップ62)。
その結果、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定された場合には、送電ロスの低減の有無は考慮せずに両変電所の変圧器のタップを下げる制御を行い(ステップ64)、その後、母線電圧をモニタリングするステップ50へ戻る。これに対して、ステップ62において、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まらないと判定された場合には、オペレータに通知し(ステップ66)、その後、母線電圧をモニタリングするステップ50へ戻る。そして、母線電圧が目標電圧を依然として逸脱していることが判定された場合には、上述した処理を繰り返す。
尚、オペレータは、ステップ66の通知を受けた場合に、該当系統に接続されている発電所の発電機の励磁調整や別の発変電所の調相設備を制御することで電圧を目標設定電圧内に収まるように調節する。
また、ステップ58の調相設備や変圧器タップの制御、ステップ64の両変電所の変圧器タップの制御は、制御後の状態が状態把握部A2,B2で把握され、演算・制御装置10の演算部12へ送られるので、演算部12で演算された指令値と実際に制御した状態とが一致しているかどうかを確認することが可能となり、制御状態を監視できるようになっている。
したがって、上述の制御によれば、ループ系統内の変電所の調相設備や変圧器タップを別々に制御した場合の送電ロスのシミュレーションが実行された上で、送電ロスが軽減されると判定され、且つ、電圧が目標電圧設定範囲内に収まると判定されたシミュレーションがある場合に、最も送電ロスの低減効果が高いシミュレーションの設定状態となるよう調相設備の入り切り制御、又は、変圧器タップの上げ下げ制御が行われるので、送電ロスの低減を図りつつ系統電圧を目標設定電圧内に制御することが可能となる。
次に、上述の構成において、送電ロスを低減しつつ電圧を目標設定電圧内に調整する具体的手法について説明する。
電圧が目標設定電圧から外れた場合には、従来においては、電圧エラーが発生した変電所で調相設備を投入することで電圧を調整しているが、例えば、B変電所の調相設備のうち、ShRを投入した場合には、無効電力がA変電所からB変電所へ流れる。
このため、調相設備の入り切り制御や連系変圧器のタップの切り変え制御により、無効電力による送電ロスを調整し、ループ系統全体として、この無効電力による送電ロスを零にし、又は、できるだけ零に近づけるように電圧を目標設定電圧内に収めるようにすることが好ましい。
即ち、理想的には、
PL=Σ(%rn × Qn^2)=0 ・・・(1)
とすることが望ましい。
ここで、PL:無効電力の有効ロス
%rn:送電線の各々の%オーム
Qn:送電線の各々の無効電力
そこで、調相設備を投入することで無効電力がどのように変化するかをシミュレーションすると、先ず、A変電所とB変電所の調相設備を別々に投入した場合の無効電力の変化がどの程度あるのかを知るために、系統図表から送電線のインピーダンスを調べ、無効電力の変化量を推定する(A変電所220kV母線基準)。
B変電所のShRを1台投入した場合において、各送電線廻りの%インピーダンスと系統全体の%インピーダンスとの比が、例えば、
110kV送電線廻りのΣ%Z/系統全体のΣ%Z≒0.7
220kV送電線廻りのΣ%Z/系統全体のΣ%Z≒0.3
であるとすると、220kV送電線廻りの無効電力の変化量と110kV送電線廻りの無効電力の変化量の比は、図4に示されるように、7:3(逆比)と推定される。
また、A変電所の調相設備(ShR)を1台投入した場合において、各送電線廻りの%インピーダンスと系統全体の%インピーダンスとの比が、例えば、
110kV送電線廻りのΣ%Z/系統全体のΣ%Z≒0.5
A変電所変圧器の%Z/系統全体のΣ%Z≒0.5
であるとすると、A変電所変圧器下りの無効電力の変化量と110kV送電線廻りの無効電力の変化量の比は、図5に示されるように、5:5と推定される。
尚、ここで、送電ロスを軽減したい送電線路は、110kV送電線の線路インピーダンスが、220kV送電線のインピーダンスと比べて非常に大きい場合を想定しているので、110kV送電線路の送電ロスを低減することを考えるものとする。
そこで、B変電所側の無効電力をAB線とC線のそれぞれの無効電力の合計とし、また、A変電所側の無効電力をAB線とAC線とのそれぞれの無効電力の合計とし、調相設備の投入により送電ロスを低減させる条件、即ち、前記(1)式で示す無効電力による送電ロスを零にする条件[(A変電所ShR投入時の送電ロス)−(B変電所ShR投入時の送電ロス)=0]から、A変電所の調相設備(ShR)投入時の送電ロスとB変電所の調相設備(ShR)投入時の送電ロスとが同じになる条件(A変電所ShR投入時の送電ロス=B変電所ShR投入時の送電ロス)を探す。このA変電所の調相設備(ShR)投入時の送電ロスとB変電所の調相設備(ShR)投入時の送電ロスとが同じになる条件は、調相設備の調整によって、これ以上の調整が図れない限界条件を見出すことを意味する。
このため、Q1:A変電所側の無効電力
Q2:B変電所側の無効電力
Qs:ShR投入による無効電力(=20MVA)
とすると、
(A変電所ShR投入時の送電ロス)=(B変電所ShR投入時の送電ロス)は、
(Q1+0.5Qs)^2・%R +(Q2−0.5Qs)^2・%R
=(Q1−0.3Qs)^2 ・%R +(Q2+0.3Qs)^2・%R
より、
Q2=Q1+0.2Qs
=Q1+0.2×20
=Q1+4
となる。
ここで、無効電力は、変電所の110kV母線から送電線に流れる向きを「マイナス」符号、送電線から変電所の110kV母線に流れる向きを「プラス」符号としている。
実際、この関係式(特性式)を、過去の給電記録から、送電ロスを軽減できるポイントをプロットした図表に書き加えると、図6に示されるようになる。
尚、図6における送電ロスの軽減ができるポイントの抽出は、以下の要領で行われた。
(a)給電記録から,ShR投入分の無効電力を差し引く
(b)その状態の無効電力による送電ロス分を算出
(c)B変電所のShRを投入した場合の無効電力による送電ロスを算出
A変電所のShRを投入した場合の無効電力による送電ロスを算出
(d)(b)と(c)を比較し,ShR投入により送電ロスの軽減ができれば、プロットする。
この図から明らかなように、Q2=Q1+4の直線を中心に、B変電所のShR投入(□)とA変電所のShR投入(△)により送電ロスを軽減できたポイントが分布していることから、この特性線上に沿うように(近付けるように)調相設備を制御すれば、即ち、上記特性式に基づいて、右辺と左辺との差の絶対値(|Q2-Q1-4|)をできるだけ小さくすることができれば(好ましくは、零にすることができれば)、無効電力による送電ロスを小さくすることができることになる。換言すれば、この絶対値が小さくなるほど、送電ロスの低減効果が大きくなることを示す。
尚、調相設備を投入することによる電圧変化は、次の通りである。
B変電所で調相設備(ShR)を投入した場合の電圧変化は、以下のようになる。 [X1=0.253%Z÷100=0.00253PU,X2=0.5558%Z÷100=0.005558PU]
△V=X1・X2÷(X1+X2)・△q=0.00253×0.005558÷(0.00253+0.005558)×2.0 =0.00001406÷0.008088×2.0=0.00347PU[投入箇所]
この場合のB変電所110kV母線電圧変化は、
△V110=0.00347−0.00347×(-0.025÷0.5558)=0.00347+0.00015=0.00362PU(0.39kV)であり、
A変電所110kV母線電圧変化は、
△V110=0.00347−0.00347×(0.404÷0.5558)=0.00347−0.00252=0.00095PU(0.10kV)である。
また、A変電所で調相設備(ShR)を投入した場合の電圧変化は、以下のようになる。
△V= X1・X2÷(X1+X2)・△q=0.00413×0.003958÷(0.00413+0.003958)×2.0
=0.00001634÷0.008088×2.0=0.004PU[投入箇所]
この場合のA変電所110kV母線電圧変化は、
△V110=0.004−0.004×(-0.035÷0.413)=0.4+0.084=0.00484PU(0.44kV)であり、
B変電所110kV母線電圧変化は、
△V110=0.004−0.004×(0.1708÷0.3958)=0.004−0.0017=0.0023PU(0.21kV)
である。
以上は、連系変圧器のタップを同一にして運用し、調相設備だけで送電ロスの低減を図る場合であるが、連系変圧器の一次側タップを変えてループ系統に無効電力を循環させ、これにより、タップ変更前の無効電力を低減することも可能となる。
連系変圧器の1次側、2次側に電源がある場合、変圧器の一次側タップを下げると(2次側電圧を下げると)、変圧器の2次側から1次側に無効電力が流れ、一次側タップを上げると(2次側電圧を上げると)、変圧器の1次側から2次側に無効電力が流れる。
したがって、A変電所の連系変圧器のタップを下げると、図7に示されるように、110kVの送電線において、B変電所からA変電所へ向けて無効電力が流れ、タップ変更前においてA変電所からB変電所に流れていた無効電力を少なくすることが可能となる。
そこで、タップを変えた場合の無効電力の循環量を試算するにあたり、1タップを変えた場合の無効電力変化量△Qを求めると、次式となる。
△Q=△N/Z
ここで、△Nは1タップ当りの電圧変化巾[PU]、Zはループ系統のインピーダンスである。また、タップは、1〜13番まであり、1番が235kV,13番が199kVに設定されている。
△N=36kV÷{220kV×(13−1)}=0.0135[PU](12タップ)
Z=Σ%Z÷100=0.8088÷100[PU]
したがって、△Q=△N÷Z=0.0135÷(0.8088÷100)≒1.67[PU] (∴ 16.7MVar)
したがって、タップを変えることにより、16.7MVarの無効電力が循環するので、16MVar程度の無効電力が110kV送電線廻り(AB線、AC線、C線)に流れていれば、タップを切り替えることで調整前の無効電力を相殺することが可能となり、送電ロスを効果的に軽減することが可能となる。
即ち、最もいい結果が得られる場合は、110kV送電線に、A変電所からB変電所に向けて16.7Mvarの無効電力が流れている状態において、A変電所で変圧器タップを「下げ」とする場合であり、この場合の送電ロスは、
(調整前に生じている送電ロス)=(変圧器タップを1段変更した場合の送電ロス)
の関係式から、
(Q1+16.7)^2・%R +(Q2−16.7)^2・%R
=(Q1−16.7)^2 ・%R +(Q2+16.7)^2・%R
Q2=Q1
で表される。したがって、この関係から、右辺と左辺との差の絶対値(|Q2-Q1|)をできるだけ小さくすることができれば(好ましくは、零にすることができれば)、無効電力による送電ロスを小さくすることができ、この絶対値が小さくなるほど、送電ロスの低減効果が大きくなる。
尚、タップを変化させたことによる電圧変化は、
B変電所でタップを1段階変化させた場合に、
B変電所の110kV母線電圧変化は、
△V110=△n×X2÷(X1+X2)=0.0135PU×0.5813÷0.8088
=0.0097PU(1.06kV)、
であり、A変電所の110kV母線電圧の変化は、
△V110=△n×X2÷(X1+X2)=0.0135PU×0.404÷0.8088
=0.0067PU(0.74kV)
となる。また、A変電所でタップを1段階変化させた場合に、
A変電所の110kV母線電圧の変化は、
△V110=△n×X2÷(X1+X2)=0.0135PU×0.5813÷0.8088
=0.0097PU(1.06kV)
であり、B変電所の110kV母線電圧変化は、
△V110=△n×X2÷(X1+X2)=0.0135PU×0.404÷0.8088
0.0067PU(0.74kV)
となる。
以上を踏まえて、今、計測部B1で計測されたB変電所側の無効電力(Q2)及びその方向が+5MVar(送電線からB変電所の110kV母線に5MVarの無効電力が流れている)であり、計測部A1で計測されたA変電所側の無効電力(Q1)及びその方向が+10MVar(送電線からA変電所の110kV母線に10MVarの無効電力が流れている)である場合、調相設備による調整の場合と、変圧器タップによる調整の場合をシミュレーションすると、以下のようになる。
[調相設備による調整の場合]
調相設備による調整前は、Q2=Q1+4を基準にして、両辺の差の絶対値を見ると、
|α|=|Q2−(Q1+4)|
=|5―(10+4)|
=9
である。この状態から、A変電所のShR(20MVA)を1台投入した場合において、A変電所側の無効電力を演算すると、Q1=10+20×0.5=20となり、B変電所側の無効電力を演算すると、Q2=5−20×0.5=−5となり、したがって、|α|は、
|α|=|−5−(20+4)|
=|−5−24|=29
となる。よって、A変電所でShRを投入すると、特性式の右辺と左辺との差の絶対値は、9→29に大きく変化し、送電ロスが低減できないことを予測できる。
これに対して、B変電所のShR(20MVA)を1台投入した場合において、A変電所側の無効電力を演算すると、Q1=10−20×0.3=4となり、B変電所側の無効電力を演算すると、Q2=5+20×0.3=11となり、従って、|α|は、
|α|=|11−(4+4)|
=|11−8|=3
となる。よって、B変電所でShRを投入すると、9→3に小さく変化し、送電ロスが低減できることを予測できる(図8参照)。
[変圧器タップによる調整の場合]
次に、変圧器タップによる調整前は、Q2=Q1を基準にして、両辺の差の絶対値を見ると、
|α|=|Q2−Q1|
=|5―10|
=5
である。この状態から、A変電所の変圧器タップを1段下げた場合、A変電所側の無効電力はQ1=10+16.7=26.7となり、B変電所側の無効電力は、Q2=5−16.7=−11.7となり、したがって、|α|は、
|α|=|−11.7―26.7|
=38.4
となる。よって、A変電所の変圧器タップを下げると、特性式の右辺と左辺との差の絶対値は、5→38.4に大きく変化し、送電ロスが低減できないことを予測できる。
また、B変電所の変圧器タップを1段下げた場合を想定すると、A変電所側の無効電力はQ1=10−16.7=−6.7となり、B変電所側の無効電力は、Q2=5+16.7=21.7となり、したがって、|α|は、
|α|=|21.7−(−6.7)|
=28.4
となる。よって、B変電所の変圧器タップを下げると、特性式の右辺と左辺との差の絶対値は、5→28.4に大きく変化し、送電ロスが低減できないことを予測できる。
したがって、以上のシミュレーションをステップ52で行った後に、ステップ54において、優先順位を付けると、
(1)B変電所の調相設備による調整(9→3 となり6の減)
(2)A変電所の調整設備による調整(9→29 となり20の増)
(3)B変電所の変圧器タップ下げ(5→28.4 となり23.4 の増)
(4)A変電所の変圧器タップ下げ(5→38.4 となり33.4の増)
となり、(1)のみが送電ロスを低減できることになる。
そして、ステップ52で行った電圧シミュレーションの結果、ステップ56において母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定されれば、この(1)の制御がステップ58において実行され、電圧範囲内に収まらなければ、他に送電ロスを低減できるシミュレーションがないので、ステップ60へ移行し、両変電所の変圧器タップを下げた場合のシミュレーションが行われる。
また、仮に、A変電所からB変電所に向けて、16.7MVarの無効電力が流れていたとすると、計測部A1で計測される無効電力及びその方向は、Q1=−16.7(A変電所の110kV母線から送電線に向けて16.7MVarの無効電力が流れる)であり、計測部B1で計測される無効電力及びその方向は、Q2=+16.7(送電線からB変電所の110kV母線に向けて16.7MVarの無効電力が流れる)であり、調相設備による調整と変圧器タップによる調整のシミュレーションは以下のようになる。
[調相設備による調整の場合]
調相設備による調整前は、Q2=Q1+4を基準にして、両辺の差の絶対値を見ると、
|α|=|Q2−(Q1+4)|
=|16.7−(−16.7+4)|
=29.4
である。この状態から、A変電所のShR(20MVA)を1台投入した場合、A変電所側の無効電力を演算すると、Q1=−16.7+20×0.5=−6.7となり、B変電所側の無効電力を演算すると、Q2=16.7−20×0.5=6.7となり、したがって、|α|は、
|α|=|6.7−(−6.7+4)|
=9.4
となる。よって、A変電所でShRを投入すると、特性式の右辺と左辺との差の絶対値は、29.4→9.4と小さく変化し、送電ロスを低減できることを予測できる。
これに対して、B変電所のShR(20MVA)を1台投入した場合を想定すると、A変電所側の無効電力を演算すると、Q1=−16.7−20×0.3=−22.7となり、B変電所側の無効電力を演算すると、 Q2=16.7+20×0.3=22.7となり、|α|は、
|α|=|22.7−(−22.7+4)|
=41.4
となる。よって、B変電所のShRを投入すると、29.4→41.4に大きく変化し、送電ロスが低減できないことを予測できる。
[変圧器タップによる調整の場合]
次に、変圧器タップによる調整前は、Q2=Q1を基準にして、両辺の差の絶対値を見ると、
|α|=|Q2−Q1|
=|16.7−(−16.7)|
=33.4
である。この状態から、A変電所の変圧器タップを1段下げた場合、A変電所側の無効電力はQ1=−16.7+16.7=0となり、B変電所側の無効電力は、Q2=16.7−16.7=0となり、したがって、|α|は、
|α|=|0−0|=0
となる。よって、A変電所の変圧器タップを下げると、特性式の右辺と左辺との差の絶対値は、33.4→0に小さく変化し、送電ロスが低減できることを予測できる。
また、B変電所の変圧器タップを1段下げた場合を想定すると、A変電所側の無効電力はQ1=−16.7−16.7=−33.4となり、B変電所側の無効電力は、Q2=16.7+16.7=33.4となり、したがって、|α|は、
|α|=|33.4−(−33.4)|
=66.8
となる。よって、B変電所の変圧器タップを下げると、特性式の右辺と左辺との差の絶対値は、33.4→66.8に大きく変化し、送電ロスが低減できないことを予測できる。
したがって、以上のシミュレーションをステップ52で行った後に、ステップ54において、優先順位を付けると、
(1)A変電所の変圧器タップ下げ(33.4→0となり33.4の減)
(2)A変電所の調整設備による調整(29.4→9.4 となり20.0 の減)
(3)B変電所の調相設備による調整(29.4→41.4 となり12.0の増)
(4)B変電所の変圧器タップ下げ(33.4→66.8となり33.4の増)
となり、(1)及び(2)が送電ロスを低減できることになり、このうち、送電ロスの低減効果が最も大きいのは、(1)のA変電所の変圧器タップ下げを行った場合であるので、ステップ52で行った電圧シミュレーションの結果、ステップ56において母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定されれば、この(1)の制御がステップ58において実行され、目標設定電圧範囲内に収まらないと判定された場合には、次に送電ロスの低減効果が高い(2)の制御が選択され、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まる場合であれば、この(2)の制御がステップ58において実行される。尚、(2)の制御においても母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まらないと判定された場合には、他に送電ロスを低減できるシミュレーションがないので、ステップ60へ移行し、両変電所の変圧器タップを下げた場合のシミュレーションが行われる。
したがって、以上の制御によれば、母線電圧が目標設定電圧を逸脱した場合には、先ず、それぞれの変電所の調相設備を別々に入/切制御した場合と変圧器タップを別々に変化させた場合のシミュレーションが実行され、また、それぞれの場合の母線電圧の電圧変化がシミュレーションされ、これらのシミュレーションの結果、送電ロスを低減でき、且つ、電圧が目標設定電圧内に収まるシミュレーションがあれば、その中で最も送電ロスの低減効果が高いシミュレーションの設定状態となるように調相設備または変圧器タップが制御され、送電ロスの低減を図れるシミュレーションが無い場合や、送電ロスの低減を図れるが、母線電圧が目標設定電圧内に収まるシミュレーションが無い場合には、両変圧器のタップを同時に変更した場合の電圧変化シミュレーションが行われ、母線電圧が目標電圧の範囲内に収めることが可能と判定された場合には、両変電所の変圧器タップを変更する制御を行い、母線電圧が目標電圧の範囲内に収まらないと判定された場合には、調相設備や変圧器タップの制御では対応できない場合であるので、オペレータへ通知される。
したがって、上述の制御を行うことによって、
(i)電圧運用幅内で電圧調整により送電ロスの低減が図れる、
(ii)送電ロスの低減により発電機出力の低減が図れ,燃料費が低減できる、
(iii)送電ロスの低減により,CO2排出の低減が図れる、
(iv)調相設備(コンデンサ,リアクトル)の適正な投入タイミングにより機器自体の電力損失が低減できる、
等の効果を得ることが可能となる。
尚、上述の実施例では、異電圧ループ系統(環状系統)について説明したが、上述した構成を同一電圧階級のループ系統(環状系統)に適用するようにしてもよい。同一電圧階級のループ系統(環状系統)に適用する場合には、変圧器が存在しないので、上述した調相設備のみによって送電ロスの低減を図りつつ母線電圧を目標設定電圧に維持する制御を行い、母線電圧を目法設定電圧範囲内に収めることができない場合や送電ロスを低減できない場合には、オペレータに通知するようにするとよい。
1 A変電所
2 B変電所
3 B連絡線
4 AB線
5 C変電所
6 AC線
7 C線

Claims (5)

  1. 複数の発変電所を介して送電線をループ状に構成して電力を供給するようにしているループ系統の母線電圧を適正範囲に維持する電圧無効電力制御システムであって、
    前記発変電所毎の母線電圧を計測する母線電圧計測手段と、
    前記発変電所毎の無効電力及びその方向を計測する無効電力計測手段と、
    前記発変電所毎に設けられる調相設備の状態を検出する調相設備状態検出手段と、
    前記母線電圧が目標設定電圧範囲を超えた場合に、ループ系統の各発変電所の調相設備を別々に投入または開放した場合の無効電力量を演算する無効電力量演算手段と、
    この無効電力量演算手段で演算された無効電力量に基づき、送電ロスの低減の有無をシミュレーションする送電ロスシミュレーション手段と、
    前記各発変電所の調相設備を投入または開放した場合に前記母線電圧が目標設定電圧範囲に収まるか否かをシミュレーションする電圧シミュレーション手段と、
    前記送電ロスシミュレーション手段により送電ロスの低減が図れると判定され、且つ、前記電圧シミュレーション手段により前記母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定されたシミュレーションがある場合に、そのシミュレーションを行った設定状態となるよう前記調相設備を制御する制御手段と
    を具備することを特徴とする電圧無効電力制御システム。
  2. 前記発変電所毎に設けられる変圧器のタップ状態を検出するタップ状態検出手段を備え、
    前記無効電力量演算手段は、前記母線電圧が目標設定電圧範囲を超えた場合に、ループ系統の各発変電所の変圧器タップを別々に変更した場合の無効電力量を演算する手段を含み、
    前記送電ロスシミュレーション手段は、前記無効電力量演算手段で演算された変圧器タップを変更した場合の無効電力量に基づき、送電ロスの低減の有無をシミュレーションする手段を含み、
    前記電圧シミュレーション手段は、前記変圧器タップを変更した場合に前記母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まるか否かを判定する手段を含み、
    前記制御手段は、前記送電ロスシミュレーション手段によりタップ変更後に送電ロスの低減が図れると判定され、且つ、前記電圧シミュレーション手段によりタップ変更後に母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定されたシミュレーションがある場合に、そのシミュレーションを行った設定状態となるように前記変圧器タップを切り替える制御を含むことを特徴とする請求項1記載の電圧無効電力制御システム。
  3. 前記送電ロスシミュレーション手段により、送電ロスの低減が図れるシミュレーションが複数ある場合に、送電ロスの低減効果が最も高いシミュレーションの設定状態となるよう制御手段による制御が行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の電圧無効電力制御システム。
  4. 前記送電ロスシミュレーション手段によるシミュレーションの結果、送電ロスの低減が図れると判定され、且つ、前記電圧シミュレーション手段によるシミュレーションの結果、前記母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定されたシミュレーションがない場合に、ループ系統の各発変電所の変圧器の一次側タップを同時に下げ又は上げの制御を行った場合に母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まるか否かをシミュレーションする第2の電圧シミュレーション手段と、
    この第2の電圧シミュレーション手段のシミュレーションにより、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まると判定された場合に、そのシミュレーションを行った設定状態となるように前記ループ系統の各発変電所の変圧器の一次側タップを切り替える第2の制御手段と
    をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電圧無効電力制御システム。
  5. 前記第2の電圧シミュレーション手段によるシミュレーションの結果、母線電圧が目標設定電圧範囲内に収まらないと判定された場合に、オペレータに通知する通知手段を具備することを特徴とする請求項4記載の電圧無効電力制御システム。

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Ibrahim et al. Coordinated Mitigation Actions for Controlling Voltage Violation Occurrences in Operation

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