本発明の1つの態様によれば、ポータブル電子デバイスのディスプレイであって、ディスプレイに情報を提示するように構成された液晶層と、液晶層に供給される光の量を調整する照明システムと、液晶層の下方の反射層とを備え、ディスプレイを通過し且つ反射層により反射される周囲光の量を調整可能であるように反射層の反射率が調整可能であるディスプレイにより、上記の必要性は満たされる。
反射率を調整可能な反射層を使用することの利点は、十分に明るい照明条件の下では高い反射率を実現可能であり且つ低照明条件でディスプレイが使用される場合はディスプレイの低反射率(又は高透過率)を実現可能なことである。これにより、十分に明るい照明条件の下では、ディスプレイの可読性をほとんど損なうことなく、バックライトシステムにより消費される貴重なバッテリ時間を節約できる。更に、低照明条件であってもディスプレイの高い可読性は実現される。
本発明に係るディスプレイの一実施形態において、反射層の反射率は電気的に調整可能であってもよい。特に、反射層は、第1の制御信号を介して位置を制御することにより反射率を電気的に調整可能である複数のミラーを含んでもよい。
更なる実施形態によれば、本発明に係るディスプレイは、ディスプレイに入射する周囲光のレベルを検出する光センサを備え、この光センサは、検出される周囲光レベルに第1の制御信号が依存するように前記周囲光レベルを検出すてもよい。これにより、ディスプレイの反射率は自動的に調整されてもよい。
しかし、ディスプレイの更なる実施形態において、反射層の反射率に影響する第1の制御信号はユーザにより制御されてもよい。更に、照明システムにより液晶層に供給される光の量は、第1の制御信号に依存する第2の制御信号により制御されてもよい。
本発明に係るディスプレイの更に別の実施形態において、反射層は液晶層と照明システムとの間に配置されてもよい。また、液晶層及び照明システムは互いに平行な平面にそれぞれ配置され、これにより、反射層は液晶層及び照明システムの平面と平行な第1の平面に配置されてもよい。
反射層が複数のミラーを含むディスプレイの実施形態の第1の変形例において、ミラーは第1の位置と少なくとも1つの第2の位置との間で第1の平面の方向に伸縮自在であってもよい。第1の位置はミラーの完全縮小位置であってもよく且つ少なくとも1つの第2の位置はミラーの完全延伸位置であってもよい。
反射層が複数のミラーを含むディスプレイの実施形態の第2の変形例において、ミラーは第1の位置と少なくとも1つの第2の位置との間で第1の平面の方向に展開可能であってもよい。この場合、第1の位置はミラーの完全折りたたみ位置であってもよく且つ少なくとも1つの第2の位置はミラーの完全展開位置であってもよい。
反射層の各ミラーは、ミラーを第1の位置と少なくとも1つの第2の位置との間で移動するように構成されたMEMS(マイクロマシン)エンジンにより制御されてもよい。
しかし、反射層は、液晶層及び照明システムと平行な第1の平面に配置された複数の電気的に制御可能な偏光素子を含んでもよい。偏光素子は、偏光素子を第1の平面内の第1の位置と少なくとも1つの第2の位置との間で移動するように構成されたMEMSエンジンにより制御されてもよい。このようにして、1つのMEMSエンジンにより2つ以上のミラー又は複数群のミラーが制御されてもよい。
本発明の別の態様は、ディスプレイに情報を提示するように構成された液晶層を有するディスプレイと、液晶層を通過する光の量を調整する照明システムとを備えるポータブル電子デバイスに関する。ポータブル電子デバイスは、第2の制御信号によって照明システムを制御するように構成された制御装置を更に備え、ポータブル電子デバイスのディスプレイは液晶層の下方に反射層を更に備え、反射層の反射率は第1の制御信号を介して制御装置により電気的に制御可能である。これにより、あらゆる照明条件の下でポータブル電子デバイスはユーザが読みやすい表示を提供する。
ポータブル電子デバイスの一実施形態において、ポータブル電子デバイスは、ディスプレイに入射する周囲光の量を検出するように構成された光センサを備える。
更なる実施形態において、ポータブル電子デバイスは、光センサにより検出された周囲光の量を1つ以上の閾値と比較し且つ第1の制御信号を反射層へ送信することを制御装置に命令するように構成された処理装置を備えてもよい。また、処理装置は、第1の制御信号に依存する第2の制御信号を照明システムへ送信することを制御装置に命令するように更に構成されてもよい。このように、ディスプレイの反射層の反射率を変更する第1の制御信号は、ディスプレイのバックライトシステムにより発生される光の輝度を変更させてもよく、その場合、反射率が高ければバックライトシステムの光輝度値は減少される。
本発明の更に別の態様は、ポータブル電子デバイスのフラットパネルディスプレイの反射率を制御する方法であって、フラットパネルディスプレイに入射する周囲光のレベルを示す入力信号を受信するステップと;受信された入力信号を異なる照明条件を示す1つ以上の閾値と比較するステップと;比較に応じて第1の制御信号をフラットパネルディスプレイの反射層へ送信するステップと;第1の制御信号によってフラットパネルディスプレイの反射層の反射率を制御するステップとから成る方法に関する。
更に、本発明の別の態様は、電子ディスプレイにおいて反射層の反射率を制御するコンピュータプログラムであって、先に説明した方法ステップを実行するための命令セットを含むコンピュータプログラムに関する。
添付の図面を参照して以下の詳細な説明を検討することにより本発明は更によく理解されるだろう。
図1は、本発明の一実施形態に係るMEMS(マイクロマシン)画素層を備えるディスプレイ100を示す。図1に示される実施形態はポータブル電子デバイスで使用される標準的なLCDディスプレイに関する。しかし、LCDディスプレイに関連する本発明の使用は単なる例であり、本発明がこの用途のみに限定されると考えるべきではない。実際には、本発明は、バックライト機能を有し且つ表示面に画像を投影するために制御信号を使用する他のあらゆる表示技術と組み合わせて使用されてもよい。
従って、本発明は、ディスプレイを照明するためにバックライトシステムを使用するLCD、PDP及び他の技術を利用するディスプレイに関連して使用されてもよい。
図1からわかるように、本発明に係るディスプレイは、互いに積層された複数の層を含む。尚、図1のディスプレイは縮尺どおりには示されていない。すなわち、種々の層の厚さは現実に使用されているディスプレイの例に厳密に対応しない場合もある。
本発明に係るディスプレイは、上から順に上側偏光子110と、第1のリタデーション膜121及び第2のリタデーション膜122と、散乱膜130と、上側ガラス140と、列電極150と、液晶層160と、行電極170と、上部被膜180と、カラーフィルタとを含む。図中の符号110〜190により示される構成要素は公知である。従って、それらの構成要素については簡単に説明する。
ディスプレイ100は層110〜190の下方にMEMS画素層300を更に含む。
更に、図1のディスプレイ100は下側ガラス142と、第3のリタデーション膜123と、下側偏光子112と、バックライトシステム200とを含む。MEMS画素層の下方の層142、123、112及び200は公知の技術である。
基本的なLCD技術では周知であるように、上側偏光子110及び下側偏光子112は通常互いに垂直に配置されるので、上側偏光子110を通過した光は下側偏光子112により阻止される。更に、リタデーション膜121、122、123の機能は、液晶層160を通過した光から楕円偏光成分を除去することによりディスプレイに白黒の色を与えることである。光が液晶層160を通過するとき、液晶層160の内部ねじれ分子構造によってそのような楕円偏光成分が発生する。
散乱膜130に関して説明すると、散乱膜130の役割は、LCDディスプレイの視角を拡大するために、下側偏光子112を通過した光が上側ガラス層140を通過する間に光を散乱させることである。
更に、上側ガラス層140及び下側ガラス層142の役割は、液晶層160を保護すると同時に、バックライトシステム200からの光が妨害されずに液晶層160を通過できるように透明度を確保することである。
ディスプレイ100は列電極150及び行電極170の層を更に備え、それらの電極の面は液晶層と接触している。電極に電圧が印加されると、通常はねじれている液晶分子の螺旋構造が変化し、その結果、分子は電界と平行に整列する。電界の強度によって決まる「ねじれ戻し」の程度に応じて、上側偏光子110、液晶層160を通過する光は2つの偏光子110、112を通過する際多少影響を受ける。この効果と光が通過するカラーフィルタ190の効果との組み合わせによって、カラーフィルタ190に含まれるサブ画素の色である赤、緑及び青の色に種々の微妙な差異が生まれる。このようなカラーフィルタ190の色の差異は、種々のパターンが描かれたカラーフィルタ190中の3つの矩形により概略的に示される。
上述の各層110〜190及び200の機能は当業者に十分知られているので、それらの層の更に詳細な説明は不要である。
本発明に係るディスプレイ100と従来のLCDディスプレイとの相違点は、複数のMEMSミラー、すなわち静電力又はマイクロメートルサイズの電動機により位置を変更できるマイクロメートルサイズのミラーを含むMEMS画素層300の存在である。
尚、MEMS画素層300の各MEMSミラーはLCDディスプレイ100の1つのサブ画素に対応する。また、MEMS画素層300の各MEMSミラーは個別の電気制御信号により制御されてもよいが、MEMSミラーはグループごとに又はすべて同時に1つの共通制御信号により制御されてもよい。
図1の実施例からわかるように、MEMS画素層300はカラーフィルタ190と下側ガラス142との間に配置される。しかし、他の実施形態において、MEMS画素層はバックライトシステム200とカラーフィルタ190との間の任意の位置に配置されてもよい。カラーフィルタ190の下方にMEMS画素層300を配置することにより、バックライトシステム200からの光又はMEMS画素層より上に位置する層を通過した入射光は確実に着色光として表示される。
MEMS画素層の主な利点の1つは、上側偏光子110、液晶層160及びカラーフィルタ190を通過した周囲光又は入射光からMEMSミラーにより反射される光の量を制御可能なことである。これは、MEMSミラーの位置を垂直位置から水平位置に変更するため又はMEMS画素層の平面内の1つの水平位置から別の水平位置へ変更するために静電力又はマイクロメートルサイズの電動機を使用することにより実現可能である。
このようにしてディスプレイ100の反射率を有効に制御可能である。
このことは図3で更に詳細に説明される。
MEMSミラーを含むMEMS画素層の別の利点は、バックライトシステム200から下側偏光子112、カラーフィルタ190、液晶層160及び上側偏光子110を通過する光の量を制御可能なことである。従って、MEMS画素層300はディスプレイ100の透過率に影響を与えることができる。ディスプレイの透過率と反射率とは互いに依存しているので、MEMS画素層300が光を反射させるような照明条件の下では、その反射の程度に応じてバックライト機能は低減されてもよい。
尚、周囲の照明条件に反射率を適合させることが可能なMEMS画素層の使用は本発明の単なる一実施形態にすぎない。NEMS(超微細構造)ミラーを含む層を使用すること又は電気信号によって反射率を変更可能である物質を含む層を使用することも同等に可能だろう。重要な点は、周囲の照明条件に適合可能な反射率を有する反射層を使用するということである。
図2は、図1のディスプレイ100を使用するポータブル電子デバイス105を示す概略図である。
図からわかるように、ポータブル電子デバイスは、液晶層LDL、反射層RL及びバックライトシステムBLを有するディスプレイ100を備える。図1から明らかなように、ディスプレイ100はこの3つの層以外にも層を含むが、無用な繰り返しを避けて読みやすくするためにその他の層は図から省略されている。ディスプレイ100の3つの層はそれぞれ制御装置CUに接続される。制御装置の主な機能は、ディスプレイ100において図形及びテキストを可視化するためにディスプレイ100へ制御信号を送信することである。先に図1に関して説明したように、それらの制御信号のうち1つは、液晶層LDLの上下に配置された列電極及び行電極に印加される電圧の形態をとり且つ液晶層LCLの分子を電極間の電界に沿って再整列させるLCL制御信号であってもよい。先に説明した上側偏光子及び下側偏光子と共に、表示面には多少の陰影領域が形成される。更に、制御装置CUは、LCLを通過した光及びディスプレイ外の周囲から入射する光を反射層RLによりある割合で反射させると同時にバックライトシステムBLSからの光をある割合で透過させるために電圧又は電流の形態の第1の制御信号を反射層RLへ送信するように構成される。また、制御装置CUは、バックライトシステムBLSにより発生される光の量を第2の制御信号によって制御するように構成される。反射層RLの反射率の変化がバックライトシステムBLSにより発生される光の輝度に影響を及ぼすように、第2の制御信号を第1の制御信号に依存させることができる。従って、例えば第1の制御信号が輝度を50%に増加することを反射層に命令した場合、第2の制御信号は同時にバックライトシステムBLSの光の輝度を50%減少することをバックライトシステムBLSに命令してもよい。別の例を挙げると、制御信号が反射率を100%に増加することを反射層RLに命令した場合、第2の制御信号はバックライトシステムBLSを切り換えてもよい。
更に、ポータブル電子デバイス105は中央処理装置CPUを備える。中央処理装置CPUは、どのポータブル電子デバイスにおいても処理装置により通常実行されるタスクの中で、光センサLSからの入力信号を受信し且つその入力信号を対応する光輝度値に変換するように構成される。この光輝度値はディスプレイ100に入射する光の量に相当する。電子デバイスの本実施形態において、光センサLSは表示領域の外側に配置される。しかし、光センサをディスプレイ100の中に配置することも容易に可能だろう。
処理装置CPUは、変換された入力信号を電子デバイスの周囲で起こると思われる種々の照明条件を示す1つ以上の閾値と比較するように構成される。変換入力信号と1つ以上の閾値との比較から判定される照明条件に応じて、上記の比較ステップにおいて判定された照明条件に合わせて反射層RLにより反射率を調整させ且つ反射層RLの反射率に応じてバックライトシステムBLSにより光輝度を調整させるために、処理装置CPUは、第1の制御信号及び場合によっては第2の制御信号をディスプレイ100へ送信することを制御装置CUに命令してもよい。
更に、ポータブル電子デバイス105は、1つ以上の移動通信網又は無線通信網において通信するように構成された送信機/受信機の組み合わせTx/Rxを更に備えてもよい。無線通信機能を有するポータブル電子デバイスは既知であるので、受信機/送信機の組み合わせTx/Rxについては詳細に説明しない。
図3は、本発明に係るMEMS画素層のMEMSミラー305の一実施形態を示す。
この場合、1つのMEMSミラー305が図1のディスプレイの1つのサブ画素に対応すると仮定する。更に、図2のMEMSミラー305は初期位置310から半延伸位置320及び全延伸位置330に向かって延伸されてもよい。同様に、MEMSミラー305は位置310〜330のいずれかから以前の位置310、310の1つに向かって縮小されてもよい。
初期位置310は、バックライトシステムからのほぼすべての光が図2のMEMS画素層を通過して表示面に到達する図1のディスプレイのほぼ100%透過状態を表してもよいが、MEMSミラー305の第2の半延伸位置320は、ディスプレイがほぼ50%の光を透過し且つほぼ50%の光を反射するような状況を発生する。従って、ディスプレイに入射し、ディスプレイの各層を通過してMEMS画素層に到達した光の約50%はMEMS画素層により反射される。
更に、MEMSミラー305の第3の全延伸位置330ではほぼすべての光がMEMS画素層300を通過できないので、ディスプレイは全反射型になる。この場合、ディスプレイに入射したほぼすべての光はMEMS画素層により反射される。
第1の変形例において、MEMSミラー305は扇のように折りたたみ可能又は展開可能であるが、第2の変形例においては、MEMSミラー305は互いに積み重ねられた2つ以上のMEMSミラーを含んでもよいことをここで付け加えておいてもよい。第2の変形例の場合、最上部のミラーは不動であるが、最上部のミラーの下に位置するミラーは最上部のミラーが位置する平面と平行に伸縮自在に移動可能である。
この構成は図4及び図5に詳細に示される。
本実施形態においても同様に、各MEMSミラーは、電気制御信号によりMEMSミラー305の移動を制御する機能を有する専用のMEMSエンジン300を備えると仮定する。しかし、先に述べたように、1つのMEMSエンジン300により2つ以上のMEMSミラー305が制御されてもよい。電気制御信号は、折りたたみ式ミラー305を静電力により又はマイクロメートルサイズの電動機により展開させてもよい。また、電気制御信号により展開が開始されるのであれば、折りたたみ式ミラーの展開は他の任意の適切な手段により実行されてもよい。
更に、電気制御信号は、検出される周囲光のレベル又は図1のディスプレイに入射する入射光のレベルに従って発生されてもよい。MEMSミラーの動きを制御する機構は以下に図6を参照して更に詳細に説明される。
図4は、図1のMEMS画素層で使用されるMEMSミラーの1つの変形例を示す。
図4からわかるように、本変形例のMEMSミラーは、図4の左側に示される初期位置310で折りたたまれている4つのサブMEMSミラーを含む。この初期位置310にあるとき、図1のディスプレイの透過率はほぼ100%である。中央の半展開位置では、MEMSミラーは半分展開されているので、ディスプレイの透過率はほぼ50%になり且つ反射率もほぼ50%になる。この場合、バックライトシステムの出力は50%低減されてもよい。全展開位置330では、MEMSミラーは100%の反射率を示すので、ディスプレイを通ってMEMS画素層まで到達したすべての光を反射する。同時に、図1のバックライトシステムからの光はほぼすべてMEMS画素層を通過しない。従って、展開ミラー位置330にある場合、バックライトを安全にスイッチオフ可能である。このように、図4に示される折りたたみ式ミラーを含むMEMS画素層はポータブル電子デバイスにおいて貴重なバッテリ電力を節約できる。
更に、図4の水平線は、折りたたまれた状態のミラーが位置する平面を示す。図4のミラーが展開されるのは、この平面と平行な方向である。尚、図4の平面は、図1に示されるディスプレイのその他の層が配置されている平面とも平行である。
図4のMEMSミラーの折りたたみ及び展開に関して、それらの動作は、例えば、折りたたまれた状態のミラーを位置310から位置320及び330へ移動させる静電アクチュエータによって実現されてもよい。実現可能な別の方法は、折りたたまれた状態のミラーが位置する平面と平行な方向に運動するピストンによってミラーを離間させることができるマイクロメートルサイズの電動機により図4の折りたたみ式ミラーを延伸させるという方法である。ミラーを動作させる機構は当業者には十分に知られていると考えられるので、ここでは動作機構を詳細に説明しない。図4のMEMSミラーの回動の中心である点322、324及び326においてミラーが互いに接続されてもよいことを述べておくだけで十分である。このようにして、MEMSミラーを位置310まで折りたたみ且つ位置320及び330まで展開させることができる。
図5は、図1のMEMSミラー層を構成するMEMSミラーの別の実施形態を示す。この場合、MEMSミラーは扇のように折りたたまれるのではなく、図示されるように互いに積み重ねられ且つ伸縮自在に動く。
すべてのミラーが平行であり且つ互いに積み重ねられている折りたたみ位置310から開始し、MEMSミラーは半延伸位置320及び全延伸位置330まで滑り出すように延伸されてもよい。図5のMEMSミラーの反射率の変化は図4のMEMSミラーの場合と同じように機能するので、ここでは詳細な説明を省略する。
また、MEMSミラーの伸縮は静電アクチュエータにより又はミラーを離間させる電動機により実現されてもよい。
図4に関して説明したMEMSミラーの変形例と図5に関して説明した変形例との主な相違点の1つは、図4の変形例を使用した場合、図1のMEMSミラー層の厚さが図5の変形例と比較して幾分厚くなるだろうということである。その一方で、図4の変形例は図5の変形例と比較して技術的に容易に実現可能だろう。
MEMS画素層の平面と平行な方向にMEMSミラーを伸縮運動させる方法の1つは、各ミラーを顕微レール上に配列することであってもよい。その場合、静電アクチュエータを使用することにより、ミラーは折りたたみ位置310から全延伸位置330まで移動されてもよい。
図6は、本発明に係る方法の一実施形態を示す。本実施形態において、電子デバイスのディスプレイのMEMS層の反射率は、電子デバイスの光センサで受信される入力信号に従って調整される。
ステップ400において、本発明に係るディスプレイを備えるポータブル電子デバイスは、周囲光のレベル又はデバイスのディスプレイに入射する光のレベルを示す入力信号を受信する。この光センサはディスプレイの付近に配置されてもよいが、表示面自体に配置されてもよい。この場合、光センサを配置可能な位置の1つはディスプレイのほぼ中央だろう。
ステップ405において、電子デバイスの処理装置は、受信された光センサ信号から対応する光レベルを計算する。この計算値はディスプレイに入射する光のレベルに対応する。更に、ステップ405において、検出された光レベルはいくつかの閾値と比較される。
ステップ405において、光レベルは第1の閾値Aより低いことを処理装置が検出した場合、ステップ410において、ディスプレイを全透過モードに切り替えるためにディスプレイへ制御信号を送出することを制御装置は命令される。第1の閾値Aは、弱い白熱光照明のような低照明レベル条件に対応するように設定されてもよい。Aは例えば0〜500luxの範囲内の任意の値に設定されてもよいだろう。
MEMS画素層のMEMSミラーを図2に示されるような折りたたみ位置に戻すようにMEMSミラーへ第1のミラー制御信号を送出すること及びディスプレイのバックライト機能をスイッチオンすることを制御装置に命令するためにディスプレイのバックライト機能へ第2のバックライト制御信号を送出することにより、上記の変化が実現されてもよい。しかし、バックライト機能は全出力に切り換えられてもよく、あるいは計算された光レベルに依存してもよい。周知のように、迷光しか存在しない場合のような非常に低レベルの照明条件の下では、バックライト機能が低出力で機能していても人間の目はディスプレイを完全に読み取り可能であると認知できる。
しかし、ステップ405において、計算された光レベルは第1の閾値A以上であり且つ第2の閾値Bより低いと処理装置が判定した場合、ステップ420において、処理装置はMEMSミラーへ第2のミラー制御信号を送出することを制御装置に命令する。第2のミラー制御信号によって、MEMS画素層のMEMSミラーは、低反射率の半透過モードに対応する位置まで展開するように命令される。この場合、MEMS画素層の反射率は例えば10%であり且つディスプレイの透過率は90%である。これに関連して、制御装置は、使用される出力の量を最大出力値から10%だけ減少することを第2のバックライト制御信号によってバックライトシステムに更に命令してもよい。
第2の閾値Bは、ステップ410の場合より幾分高い輝度を有する白熱光又は他の種類の光を含む低照明条件に対応してもよい。Bは例えば700〜1,000luxの範囲内の値に設定されてもよい。
これに対し、ステップ405において、計算された光レベルは第2の閾値B以上であるが、第3の閾値Cより低いと処理装置が判定した場合、中間反射率を有する半透過モードの位置までMEMSミラーを展開させることを命令するために、処理装置はMEMSミラーへ第3のミラー制御信号を送信することを制御装置に命令する。この場合、例えばディスプレイは50%の透過率及び50%の反射率を示す。これは図2のMEMSミラーの半展開位置に対応するだろう。
第3の閾値Cは、強い白熱光又は他の人工照明を伴う屋内照明条件、あるいは曇天の日中の屋外照明条件に対応するように設定されてもよい。従って、Cは7,000〜10,000luxの範囲内の値に設定されてもよい。
同時に、制御装置は、バックライト機能の出力を例えば50%減少することを命令する第3のバックライト制御信号を送信してもよい。これにより、本発明に係るディスプレイを使用するポータブル電子デバイスにおいて貴重なバッテリ時間を相当に節約できるだろう。
更に、ステップ405において、光センサ信号から計算された光レベルは第3の閾値Cより高いが、第4の閾値Dより低いと処理装置が判定した場合、ステップ440において、処理装置はMEMSミラーへ第4のミラー制御信号を送信することを制御装置に命令してもよい。
この第4のミラー制御信号は、ディスプレイが80%の反射率及び20%の透過率を示すようにMEMSミラーを半透過モードに更に大きく展開させるという効果を有する。
このような第4の閾値Dは、ディスプレイに太陽光が入射していない若干曇った日中の屋外照明条件に対応するように設定されてもよい。このような場合、Dは30,000〜70,000luxの範囲内の値に設定されてもよい。
この場合にも、ポータブル電子デバイスのバッテリ時間を相当に節約できるように、制御装置は、バックライトシステムの出力を80%減少することを命令する第4のバックライト制御信号をバックライトシステムへ送信してもよい。
最後に、ステップ405において、計算された光レベルは第4の閾値Dより高いことを処理装置が検出した場合、ステップ450において、処理装置は、MEMS画素層のMEMSミラーへ第5のミラー制御信号を送信することを制御装置に命令する。これにより、MEMSミラーは完全に展開され、全反射モードに設定される。このような場合、ディスプレイの反射率は100%であり且つ透過率はほぼ0である。
この状況はディスプレイに太陽光が入射している場合に相当してもよい。
これに加えて、ステップ410〜450においてMEMSミラーへ制御信号を送出する前に処理装置がMEMS画素層のMEMSミラーの状態(折りたたまれた状態又は展開された状態)を検査してもよい。この検査を利用して、処理装置は、ステップ410及び405において制御信号を送出することを制御装置に命令すべきか否かを判定してもよい。ディスプレイを100%透過モードにすべき場合にMEMSミラーが既に完全に折りたたまれていること又はディスプレイが全反射モードに設定されるべき場合にMEMSミラーが完全に延伸してしまっていることも起こりうる。この2つの状況では、第1のミラー制御信号又は第5のミラー制御信号を送出する必要はない。また、MEMSミラーが既にある程度延伸している場合、制御装置により送出されるミラー制御信号は、必要とされる反射率を実現する位置までMEMSミラーを戻すことを命令してもよい。
更に、図6に関して説明された方法は、必要に応じて状況410及び450のみ、すなわち反射層の反射率が0%である全透過型ディスプレイを実現する状況又は反射層の反射率が100%である全反射型ディスプレイを実現する状況のみに限定されてもよい。
更に、図6に関して説明された本発明に係る方法の実施形態は、方法ステップ400〜450を実行する命令セットを含むコンピュータプログラムにより実現されるのに特に適することを指摘しておいてもよい。
尚、上記の実施形態は本発明の特定の実施例を示すが、本発明の精神及び範囲は添付の請求の範囲によってのみ最終的に限定される。