[1.パチンコ遊技機の全体構造]
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図7を参照して実施形態に係るパチンコ遊技機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ遊技機1の外枠2に対して本体枠3を開放し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ遊技機1の正面図であり、図3は、パチンコ遊技機1の背面図であり、図4は、パチンコ遊技機1の側面図であり、図5は、パチンコ遊技機1の平面図であり、図6は、パチンコ遊技機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の後方から見た分解斜視図であり、図7は、パチンコ遊技機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の前方から見た分解斜視図である。
図1及び図2において、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域255(図7参照)を遊技者が視認し得る透明板であるガラス板60を具備したガラスユニット50と、該ガラスユニット50の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿30とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾板6aによって被覆されている下部前面カバー板6が固着されている。また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、その裏面下部に打球発射装置300と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット650が取り付けられ、扉枠5が本体枠3から開放されたことを検出する扉枠開放スイッチ3aや本体枠3が外枠2から開放されたことを検出する本体枠開放スイッチ3bが設けられ、本体枠3の後面開口222(図6参照)を覆うカバー体750が着脱自在に設けられている。本体枠3には、扉枠5が本体枠3から開放されたことを検出する扉枠開放スイッチ3aと、本体枠3が外枠2から開放されたことを検出する本体枠開放スイッチ3bと、が設けられている。更に、扉枠5には、上記した貯留皿30の他に、遊技窓42を閉塞するようにガラスユニット50と、ハンドル装置70とが設けられている。そして、本実施形態の特徴は、扉枠5に設けられる貯留皿30が1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていたハンドル装置70が扉枠5に設けられ、また、扉枠5と本体枠3とが正面から見てほぼ同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認できなくした点である。以下、パチンコ遊技機1を構成する部材について詳細に説明する。
[1−1.外枠]
外枠2について、主として図8乃至図11を参照して説明する。図8は、外枠2の正面図であり、図9は、外枠2の背面図であり、図10は、外枠2の正面から見た斜視図であり、図11は、外枠2の正面図(A)、正面図のB−B線で切断した断面図(B)、正面図のA−A線で切断した側枠板12の断面図(C)である。
外枠2は、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とを、それぞれの端部を連結するためのコーナー金具14〜16及び上支持金具17で連結することによって方形状に組み付けられるものである。具体的には、開放側の上部は、上枠板10の端部上面及び後面と側枠板13の端部外側面及び後面に差し渡されるコーナー金具14をビス止めすることにより連結し、開放側の下部は、下枠板11の端部底面及び後面と側枠板13の端部外側面及び後面に差し渡されるコーナー金具15をビス止めすることにより連結し、軸支側の上部は、上枠板10の端部上面と側枠板12の端部外側面に差し渡される上支持金具17をビス止めすることにより連結し、軸支側の下部は、下枠板11の端部底面及び後面と側枠板12の端部外側面及び後面に差し渡されるコーナー金具16をビス止めすることにより連結される。
外枠2を構成する上枠板10と下枠板11、及び側枠板12,13のうち、上枠板10と下枠板11とは従来と同じ木製であり、側枠板12,13は、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板10及び下枠板11を従来と同じ木製で構成した理由は、パチンコ遊技機1を遊技場に列設される島に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くするためである。一方、側枠板12,13をアルミニュウム合金の押出し成型板により構成した理由は、従来の木製に比べ強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することができるため、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の側面壁190〜193(図36参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができる。このため左右方向の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができることになり、結果的に遊技盤4の遊技領域255を大きく形成することができるからである。ただし、側枠板12,13をアルミニュウム合金の平板で構成すると、充分な剛性が確保できないため、図11(C)に示すように、側枠板12,13の後方部分内側にリブによって空間部24を形成して後方部分の肉厚h1が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h1は、従来の木製の肉厚よりも薄い寸法となっている。
また、下枠板11と左右の側枠板12,13の下部前面に固定される下部前面カバー板6は、閉止時においてその上面に本体枠3が載置されるものである。下部前面カバー板6の表面は、前述したように装飾板6aによって被覆されているが、装飾板6aの裏面に、その後端に弾性爪が形成される止着突起6b(図9、図11(B)参照)が突設され、その止着突起6bが下部前面カバー板6に貫通される取付穴に貫通させられることにより下部前面カバー板6に取り付けられている。また、下部前面カバー板6の裏面上部には、後当て板7が固着され、本体枠3が載置される下部前面カバー板6の強度を補強している。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板10と側枠板12とを連結するための上支持金具17と下部前面カバー板6の一側上面に沿って取り付けられる下支持金具18とが設けられている。上支持金具17には、前方に突出している支持突出片19に屈曲した支持鉤穴20が形成されており、この支持鉤穴20に本体枠3の後述する上軸支金具152の軸支ピン153(図38参照)が係合されるようになっている。また、下支持金具18も前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分に上向きに支持突起21が突設され、この支持突起21に本体枠3の後述する枠支持板155(図38参照)に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具18の支持突起21に本体枠3の枠支持板155に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具152の軸支ピン153を支持鉤穴20に掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる。
一方、開放側の側枠板13の内側上下には、閉鎖用突起22,23が固着されている。この閉鎖用突起22,23は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる錠装置560のフック部614,624(図86参照)と係合するものである。そして、後に詳述するように錠装置560のシリンダー錠570に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部614,624と閉鎖用突起22,23との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、外枠2を構成する上枠板10、下枠板11、側枠板12,13を連結するための上支持金具17、コーナー金具14〜16をそれぞれ所定の位置に取り付けたときに、図8及び図9に示すように、各金具14〜17の外側面と各枠板10〜13の外側面とがほぼ同一平面となるように、各金具14〜17の取付部分に対応する各枠板10〜13の端部が凹状に形成されている。また、下支持金具18を取り付けたときにも、下部前面カバー板6の上面と下支持金具18の上面とがほぼ同一平面となるようになっている。
[1−1−1.外枠の他の実施形態]
上記した外枠2は、上枠板10、下枠板11、側枠板12,13との端部を背面から見たときにL字状のコーナー金具14〜16と上支持金具17とで連結することにより構成したものを示したが、4つの枠板を連結する構造が異なる実施形態(以下、「第2実施形態に係る外枠2A」という)について図12乃至図20を参照して説明する。図12は、他の実施形態に係る外枠2Aの正面斜視図であり、図13は、同外枠2Aの正面から見た分解斜視図であり、図14は、同外枠2Aの正面図であり、図15は、同外枠2Aの背面図であり、図16は、図14のB−B断面図(A)と図16(A)のC−C断面図(B)、D−D断面図(C)、E−E断面図(D)であり、図17は、本体枠3の上軸支金具152と外枠2Aの上支持金具17Aとの脱着構造を説明するための斜視図であり、図18は、外枠2Aの上支持金具17Aの裏面に設けられるロック部材25の取付状態を示す分解斜視図(A)と下方から見た斜視図(B)であり、図19は、軸支ピン153とロック部材25との関係を説明するための上支持金具17A部分の裏面図であり、図20は、ロック部材25の作用を説明するための上支持金具17A部分の裏面図である。なお、図12乃至図20において、図8〜図11に示す実施形態(以下、「第1実施形態に係る外枠2」という)と同じ機能を奏する部材には、同じ符号の末尾に「A」を付して表した。
図12及び図13において、第2実施形態に係る外枠2Aは、上下の上枠板10A及び下枠板11Aと左右の側枠板12A,13Aとを、それぞれの端部を連結するための連結部材14Aで連結することによって方形状に組み付けられるものである。具体的には、連結部材14Aは、中央と左右とに段差のある表彰台状に形成され、突出した中央の部分が上枠板10A及び下枠板11Aの両端部中央に形成された係合切欠部10B,11Bに嵌合され、一段下がった左右の部分の平面に上枠板10Aの裏面と下枠板11Aの上面とが当接し且つ一段下がった左右の部分の一側面に側枠板12A,13Aの内側面が当接するようになっている。そして、その状態で、上枠板10Aの係合切欠部10Bの両側方及び下枠板11Aの係合切欠部11Bの両側方にそれぞれ形成される挿通穴10C,11Cと連結部材14Aの一段下がった左右の部分の平面に形成される複数(図示の場合2個)の連結穴16A(図13の上枠板10Aと側枠板12Aとを連結する連結部材14Aに表示するが、他の連結部材14Aにも存在する)とを一致させて上方又は下方から複数(図示の場合2本)の連結ビス16Bで止着し、更に、側枠板12A,13Aの上下端部分に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴12B,13Bと連結部材14Aの一段下がった左右の部分の側面に形成される複数(図示の場合3個)の連結穴15A(図13の上枠板10Aと側枠板13Aとを連結する連結部材14Aに表示するが、他の連結部材14Aにも存在する)とを一致させて側方外側から複数(図示の場合3本)の連結ビス15Bで止着することにより、上下の上枠板10A及び下枠板11Aと左右の側枠板12A,13Aとが強固に連結固定される。ただし、3本の連結ビス15Bのうち、1本の連結ビス15Bは、側枠板12A,13Aと連結部材14Aとを連結するものではなく、上枠板10A及び下枠板11Aと連結部材14Aとを側方から直接連結するものである。
外枠2Aを構成する上枠板10Aと下枠板11A、及び側枠板12A,13Aのうち、上枠板10Aと下枠板11Aとは従来と同じ木製であり、側枠板12A,13Aは、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板10A及び下枠板11Aを従来と同じ木製で構成した理由は、第1実施形態の外枠2と同じ理由である。また、この第2実施形態に係る外枠2Aにおいても、側枠板12A,13Aをアルミニュウム合金の平板で構成すると、充分な剛性が確保できないため、図16(C)に示すように、側枠板12A(側枠板13Aも全く同じ構造である。)の後方部分内側にリブによって後方が開放した空間部12G(側枠板13Aの空間部13Gは図15に表示)を形成して後方部分の肉厚h2が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h2は、従来の木製の肉厚と同等若しくは若干薄い寸法となっている。また、図16(B),(D)に示すように、側枠板12Aの空間部12Gの前方には、連結部材14Aの一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる溝部12F(側枠板13Aの溝部13Fは図12に表示)が形成されている。側枠板12Aの溝部12Fから前端部までは、図16(B)〜(D)に示すように、その内側面が連結部材14Aの一段下がった左右の部分の他方の部分が当接する平板状をなすものであるが、その平板部に材料軽減のための浅い凹部が形成されている。更に、前記溝部12Fが形成される反対側の面(外側面)には、図12及び図16(B)に示すように、上支持金具17Aの垂下片部17Eが挿入される凹部12H(側枠板13Aの凹部13Hは図13に表示)が形成されている。
そして、上記のように形成される軸支側の側枠板12Aには、連結部材14Aを取り付けるための構成以外に、その上部に上支持金具17Aの垂下片部17Eを側枠板12Aの外側に取付ビス17Bで止着するための取付穴12Cが穿設されると共に、その下部に下支持金具18Aの側面折曲部に形成される取付穴18Cと一致させて取付ビス18Bで止着するための取付穴12Dが穿設されている。また、取付穴12Dの下部であって側枠板12Aの前方部分に側枠板12Aと下部前カバー板6Aとを止着ビス6Eで止着するための取付穴12Eが形成されている。一方、開放側の側枠部13Aには、連結部材14Aを取り付けるための構成以外に、その上部に閉鎖用突起22Aを取付ネジ22Bで取り付けるための取付穴13Cが穿設され、その下部に閉鎖用突起23Aを取付ネジ23Bで取り付けるための取付穴13Cが穿設されると共に、さらに最下方に側枠板13Aと下部前カバー板6Aとを止着ビス6Eで止着するための取付穴13Dが形成されている。なお、この閉鎖用突起22A,23Aは、第1実施形態の外枠2と同様に、外枠2Aに対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる錠装置560のフック部614,624(図86参照)と係合するものであり、後に詳述するように錠装置560のシリンダー錠570に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部614,624と閉鎖用突起22A,23Aとの係合が外れて本体枠3を外枠2Aに対して開放することができるものである。
また、下枠板11Aと左右の側枠板12A,13Aの下部前面に固定される下部前面カバー板6Aは、閉止時においてその上面に本体枠3が載置されるものであり、下部前面カバー板6Aの表面及び側面は、第1実施形態の外枠2と同様に装飾板6Bによって被覆されているが、装飾板6Bの裏面に、その後端に弾性爪が形成される止着突起6C(図15参照)が突設され、その止着突起6Cが下部前面カバー板6Aに貫通される止着穴6Dに貫通させられることにより下部前面カバー板6Aに取り付けられている。なお、第2実施形態に係る外枠2Aの装飾板6Bの開放側の上面には、本体枠3の閉止時に該本体枠3をスムーズに案内するための案内板6Fが交換可能に装着されている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板10Aと側枠板12Aとを連結する機能も兼用する上支持金具17Aと下部前面カバー板6Aの一側上面に沿って取り付けられる下支持金具18Aとが設けられている。上支持金具17Aには、前方に突出している支持突出片19Aに該支持突片19Aの側方から先端中央部に向かって屈曲して形成された支持鉤穴20Aが形成されており、この支持鉤穴20Aに本体枠3の後述する上軸支金具152の軸支ピン153(図38参照)が着脱自在に係合されるようになっている。この支持鉤穴20Aと軸支ピン153との係合関係については、後に詳述する。また、下支持金具18Aも前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分に上向きに支持突起21Aが突設され、この支持突起21Aに本体枠3の後述する枠支持板155(図38参照)に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具18Aの支持突起21Aに本体枠3の枠支持板155に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具152の軸支ピン153を支持鉤穴20Aに掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる点は、第1実施形態に係る外枠2と同じである。
また、上支持金具17Aは、上枠板10Aの軸支側の上面及び前面に凹状に形成される取付段部10Dに装着されるものであるが、その装着に際し、上支持金具17Aに形成される複数(図示の場合2個)の取付穴17Dと取付段部10Dに穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴10Eとを一致させて取付ビス17Bを上方から差し込み、上枠板10Aの裏面から押し当てられる挟持板17Cに止着することにより上支持金具17Aが上枠板10Aに堅固に固定される。また、上支持金具17Aの外側側方には、側枠板12Aの外側に当接する垂下片部17Eがあり、その垂下片部17Eにも取付穴17D(図18(A)参照)が穿設され、この取付穴17Dと前記取付穴12Cとを取付ビス17Bで止着することにより、上支持金具17Aと側枠板12Aとを固定すると共に、上枠板10Aと側枠板12 Aとを上支持金具17Aを介して連結している。一方、下支持金具18Aは、前述したように側枠板12Aの取付穴12Dと取付穴18Cとを一致させた状態で取付ビス18Bで止着し、さらに、下支持金具18Aの水平面の中程に穿設される取付穴18Dに取付ネジ18Eを差し込むことにより、前記装飾いた6Bを介して前記下部前カバー板6Aの上面に止着されるものである。
上記のように構成される第2実施形態に係る外枠2Aにおいて、その構成部材である上枠板10Aと下枠板11Aと側枠板12A,13Aとを連結部材14Aで連結することにより、第1実施形態に係る外枠2のようにコーナー金具14〜16で連結したものに比べて、連結部材14Aが側枠板12A,13Aの内面に密着して止着されると共に連結部材14Aと上枠板10A及び下枠板11Aが係合した状態で止着されるので、その組み付け強度が高く頑丈な方形状の枠組みとすることができる。上記した連結部材14Aと上枠板10A及び下枠板11Aとの係合状態に加え、連結部材14Aの側枠板12A,13Aへの取り付けに際し、溝部12Fに連結部材14Aの一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる構造であるため、連結部材14Aの側枠板12A,13Aへの取り付けが強固となり、これによっても方形状の枠組みの強度を向上することができると共にその位置決めを正確に行うことができる。また、連結部材14Aによって上枠板10A、下枠板11A、側枠板12A,13Aを連結した後、上支持金具17Aを所定の位置に取り付けたときに、図14及び図15に示すように、各枠板10A,11A,12A,13Aの外側面(外周面)から外側に突出する部材は存在しないので、パチンコ遊技機1を図示しないパチンコ島台に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する玉貸器)と密着して取り付けることができる。また、下支持金具18Aを取り付けたときにも、下部前面カバー板6Aの上面と下支持金具18Aの上面とがほぼ同一平面となるようになっている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支するための上支持金具17Aの裏面には、図18に示すようにロック部材25が回動自在に軸支されている。より詳細に説明すると、図18(A)に示すように、上支持金具17Aの支持突出片19Aは、先端部が円弧状の平板として形成されると共に支持突出片19Aの外側縁に沿って直角に折り曲げられた垂下壁19Bが形成される。この垂下壁19Bにより、上支持金具17Aの支持突出片19Aの強度を向上させることができると共に、正面から見たときに次に説明するロック部材25が視認できないようにして外観を良くし、更に、次に説明するロック部材25の弾性片25cの先端当接部が当接する部位として利用したりロック部材25が支持突出片19Aから外側に飛び出さないように停止部として利用している。また、支持突出片19Aに形成される支持鉤穴20Aは、垂下壁19Bが形成されない反対側の側方から内側にやや向ってさらに先端中央部に向かって傾斜状となるように屈曲して形成されている。そして、支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の溝寸法は、軸支ピン153の直径よりもやや大きな寸法に形成されている。また、上記した垂下壁19Bは、支持鉤穴20Aの前方の入口端部から支持突出片19A及び上支持金具17Aの外側縁に沿って直角に折り曲げられて形成されていると共に、支持鉤穴20Aの前方の入口端部の部分で内側に向って折り曲げられて停止垂下部19Cとなっている。また、支持突出片19Aのほぼ中央に取付穴19Dが穿設され、該取付穴19Dにロック部材25がリベット26によって回転自在に軸支されている。ロック部材25は、合成樹脂によって成型されるものであり、ストッパー部25aと操作部25bとがL字状に形成され、また操作部25bと反対側に円弧状の弾性片25cが一体的に延設されている。そして、ストッパー部25aと操作部25bとがなすL字状の基部に前記リベット26が挿通される取付穴25dが形成されている。しかして、ロック部材25がリベット26によって取付穴19Dに取り付けられて支持突出片19Aの裏面に回転自在に固定した状態においては、図18(B)に示すように、弾性片25cの先端当接部が垂下壁19Bの内側面と当接しており、ストッパー部25aが支持鉤穴20Aの傾斜状穴部を閉塞するようになっている。また、このときストッパー部25aの先端部分は、支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の先頭空間部分を閉塞した状態となっていない。即ち、通常の状態で支持鉤穴20Aの先頭空間部分には、本体枠3の上軸支金具152の軸支ピン153が挿入される空間が形成されている。
ところで、軸支ピン153が支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の先端空間部分に挿入されてストッパー部25aの先端側方が入口端部の停止垂下部19Cに対向している状態(この状態ではストッパー部25aの先端側方と停止垂下部19Cとの間に僅かな隙間があり当接した状態となっていない)である通常の軸支状態においては、屈曲して形成される支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の先端空間部分に位置する軸支ピン153とストッパー部25aの先端面25eとのそれぞれの中心が斜め方向にずれて対向した状態となっている。そして、この通常の軸支状態においては、重量のある本体枠3を軸支している軸支ピン153が支持鉤穴20Aの先端部分に当接した状態となっているので、軸支ピン153からストッパー部25aの先端面25eへの負荷がほとんどかかっていないため、ロック部材25の弾性片25cに対し負荷がかかっていない状態となっている。また、図19(A)に示すように、ストッパー部25aの先端面25eが操作部25bを操作して回動したときにロック部材25がスムーズに回動するように円弧状に形成されている。図示の場合、この円弧状先端面25eの円弧中心は、リベット26の中心(ロック部材25の回転中心)である。このため、軸支ピン153が支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面25eに当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン153と円弧状の先端面25eとの当接部分に作用する分力F1(円弧状先端面25eの円弧の法線方向)と、軸支ピン153と支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けたときに、分力F1の方向がリベット26の中心(ロック部材25の回転中心)を向くため、ロック部材25のストッパー部25aの先端部が支持突出片19Aから外れる方向(図示の時計方向)に回転させるモーメントが働かず、軸支ピン153がロック部材25のストッパー部25aの先端部と支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の一側内面との間に挟持された状態を保持する。このため、通常の軸支状態でもあるいは軸支ピン153の作用力がロック部材25にかかった状態でも、ロック部材25の弾性片25cに常時負荷がかからず、合成樹脂で一体形成される弾性片25cのクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン153の支持鉤穴20Aからの脱落を防止することができる。なお、仮に無理な力がかかってロック部材25のストッパー部25aの先端部が支持突出片19Aから外れる方向(図示の時計方向)に回転させられても、ストッパー部25aの先端部の一側方が停止垂下部19Cに当接してそれ以上外れる方向に回転しないので、ロック部材25が支持突出片19Aの外側にはみ出ることはない。
また、図19(A)に示す実施形態においては、ストッパー部25aの円弧状先端面25eの円弧中心がリベット26の中心(ロック部材25の回転中心)であることにより、軸支ピン153に対し支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向の作用力Fがかかってもロック部材25に回転モーメントが生じないものについて説明したが、図19(B)に示すように、ストッパー部25aの円弧状先端面25fの曲率半径をさらに小さくし、且つロック部材25のリベット26による軸支位置を支持突出片19Aの内側にした場合に、軸支ピン153が支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面25fに当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン153と円弧状の先端面25fとの当接部分に作用する分力F1(円弧状先端面25fの円弧の法線方向)と、軸支ピン153と支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けた場合において、分力F1によって回転モーメントが働いてロック部材25を図示の矢印方向(時計回転方向)に回転させるが、ロック部材25が回転してもストッパー部25aの先端一側方が停止垂下部19Cに当接するだけであるため、ロック部材25が支持突出片19Aの外側にはみ出ることもないし、ロック部材25の弾性片25cに対しても負荷がかかることもない。
つまり、図19(A)及び図19(B)に示す実施形態から理解することができる点は、軸支ピン153が支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって先端面25e,25fに当接したとき、その作用力Fの軸支ピン153と先端面2525e,25fとの当接部分に作用する分力F1によってロック部材25を回転させる回転モーメントが生じない位置若しくはロック部材25をその先端部が支持突出片19Aの外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材25の回転中心(リベット26により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材25の弾性片25cに対しても負荷がかかることはないし、ロック部材25が回転してもストッパー部25aの先端一側方が停止垂下部19Cに当接するだけであるため、ロック部材25が支持突出片19Aの外側にはみ出ることもない。なお、ストッパー部25aの先端面の形状が円弧状でなくても、上記した分力F1の作用により回転モーメントが生じない位置又はロック部材25をその先端部が支持突出片19Aの外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材25の回転中心(リベット26により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材25の弾性片25cに対しても負荷がかかることはないし、ロック部材25が回転してもストッパー部25aの先端一側方が停止垂下部19Cに当接するだけであるため、ロック部材25が支持突出片19Aの外側にはみ出ることもないという点を本出願人は確認している。
上記のように構成されるロック部材25の作用について図20を参照して説明する。外枠2Aに本体枠3を開閉自在に軸支する前提として、本体枠3の枠支持板155(図38参照)に形成される支持穴(図示しない)に下支持金具18Aの支持突起21Aが挿通されていることが必要である。そのような前提において、図20(A)に示すように、本体枠3の上軸支金具152の軸支ピン153をロック部材25のストッパー部25aの側面に当接させて押し込むことにより、図20(B)に示すように、ロック部材25が弾性片25cを変形させながら反時計方向に回動させるので、軸支ピン153を支持鉤穴20Aに挿入することができる。そして、軸支ピン153が支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の先頭空間部分に到達すると、図20(C)に示すように、軸支ピン153とストッパー部25aの先端側面とが当接しなくなるためロック部材25が弾性片25cの弾性力に付勢されて時計方向に回動し、ロック部材25のストッパー部25aが再度通常の状態に戻って支持鉤穴20Aの入口部分を閉塞すると同時に、ストッパー部25aの先端部分が軸支ピン153と対向して軸支ピン153が支持鉤穴20Aから抜け落ちないようになっている。そして、この状態は、図20(D)に示すように、本体枠3が完全に閉じられた状態でもあるいは本体枠3の通常の開閉動作中も保持される。次いで、軸支ピン153を支持鉤穴20Aから取り外すためには、図20(E)に示すように、指を支持突出片19Aの裏面に差し入れてロック部材25の操作部25bを反時計方向に回動することにより、ロック部材25が弾性片25cの弾性力に抗して回動し、ストッパー部25aの先端部分が支持鉤穴20Aから退避した状態となるため、軸支ピン153を支持鉤穴20Aから取り出すことができる。その後、本体枠3を持ち上げて、枠支持板155に形成される支持穴と下支持金具18Aの支持突起21Aとの係合を解除することにより、本体枠3を外枠2Aから取り外すことができる。
上記したように、第2実施形態に係る外枠2Aの上支持金具17Aに設けられるロック部材25は、ストッパー部25aと操作部25bと弾性片25cとが合成樹脂によって一体的に形成されているので、上支持金具17Aの裏面に極めて簡単に取り付けることができると共に、極めて簡単な構造であるため故障も少なく且つ製造コストの低減を計ることができる。また、軸支ピン153が支持鉤穴20Aの傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって先端面25e,25fに当接したとき、その作用力Fの軸支ピン153と先端面2525e,25fとの当接部分に作用する分力F1によってロック部材25を回転させる回転モーメントが生じない位置若しくはロック部材25をその先端部が支持突出片19Aの外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材25の回転中心(リベット26により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材25の弾性片25cに対しても負荷がかかることはなく、合成樹脂で一体形成される弾性片25cのクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン153の支持鉤穴20Aからの脱落を防止することができると共に、ロック部材25が回転してもストッパー部25aの先端一側方が停止垂下部19Cに当接するだけであるため、ロック部材25が支持突出片19Aの外側にはみ出ることもない。なお、このロック部材25は、詳細に説明しなかったが第1実施形態に係る外枠2の上支持金具17にもそのまま適用されている。
[1−2.扉枠]
次に、主として図2及び図21乃至図33を参照して、扉枠5について説明する。図21は、扉枠5の背面図であり、図22は、扉枠5とガラスユニット50とを分離した状態の背面から見た斜視図であり、図23は、扉枠5に着脱自在に取り付けられるガラスユニット50の製作過程を示す斜視図であり、図24は、ガラスユニット50の乾燥剤挿入部分の拡大斜視図であり、図25は、完成したガラスユニット50の側面図(A)、正面図(B)、斜視図(C)であり、図26は、図25(B)のA−A線断面図(A)、B−B線断面図(B)であり、図27は、扉枠5の取り付けられるハンドル装置70の断面図であり、図28は、ハンドル装置70を構成する操作ハンドル部71とジョイントユニット90との関係を示す斜視図であり、図29は、操作ハンドル部71の分解斜視図であり、図30は、ジョイントユニット90の斜視図(A)、分解斜視図(B)であり、図31は、操作ハンドル部71とジョイントユニット90の動作を説明するための動作図であり、図32は、ハンドル装置70と本体枠3に設けられる打球発射装置300との関係を示す斜視図であり、図33は、ハンドル装置70と打球発射装置300とを連結する状態を説明するための断面図である。
図2及び図4に示すように、扉枠5は、方形状に形成され、その上部に縦長六角形状の遊技窓42が形成され、その遊技窓42の下方前面に貯留皿30が設けられ、その貯留皿30の一側(開放側)にハンドル装置70を構成する操作ハンドル部71が突設固定され、貯留皿30の下側に貯留した球を図示しない受け箱(ドル箱)に排出する球排出ボタン30aが設けられている。また、扉枠5の裏面には、前記遊技窓42を閉塞するように透明板ユニットとしてのガラスユニット50が取り付けられると共に、前記操作ハンドル部71に対応する裏面にハンドル装置70を構成するジョイントユニット90も取り付けられている。なお、ガラスユニット50及びハンドル装置70についての詳細な構造については、後に詳述するが、以下には、扉枠5の全体の構造について説明する。
扉枠5は、図21に示すように、その一側上下に設けられる上開閉金具32及び下開閉金具33が本体枠3の上軸支金具152の扉軸支穴154(図38参照)及び扉支持板156の軸支穴157(図38参照)に挿入支持されて本体枠3に開閉自在に軸支されるものである。このため、上開閉金具32には、扉軸支穴154に挿入される摺動軸支ピン(図示しない)が上下方向に摺動自在に設けられ、下開閉金具33には、軸支穴157に挿通される軸ピン(図示しない)が下方に向けて突設されている。しかして、扉枠5を本体枠3に取り付けるには、扉枠5の下開閉金具33の軸ピンを本体枠3の扉支持板156の軸支穴157に差し込んだ後に、扉板の上開閉金具32の摺動軸支ピンを下方に摺動させた状態で本体枠3の上軸支金具152の扉軸支穴154に一致させて摺動軸支ピンを上方に摺動(通常、スプリングの付勢力により上方に摺動される。)させることにより、扉枠5を本体枠3に開閉自在に軸支することができる。
また、扉枠5の前面に設けられる貯留皿30は、図2に示すように、従来のパチンコ遊技機とは異なり、遊技窓42の下方に1つの皿(従来の所謂「上皿」に相当)だけが設けられる構造であるため、貯留皿自体を従来に比べ下方に位置させることができる。このため、遊技窓42の上下方向の寸法も大きくすることができる。また、扉枠5は、前述したように本体枠3の左右の幅とほぼ同じ幅を有して形成されるため、これによっても、遊技窓42の左右方向の寸法も大きくすることができる。つまり、遊技窓42の上下方向及び左右方向の寸法を大きく形成することができるため、この遊技窓42を透視して視認し得る遊技盤4の遊技領域255の上下左右方向の寸法も大きくすることができる。なお、貯留皿30のほぼ中央前方には、遊技盤4に設けられる遊技装置によって実現される遊技内容が遊技者参加型のものであるときに操作し得る演出選択スイッチ31が設けられている。また、貯留皿30、扉枠5の前面の遊技窓42及び扉枠5の周囲には遊技演出効果を奏するための扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5hを内蔵するランプカバーや装飾板によって覆われている。このランプカバーや装飾板は、図4及び図5に示すように凹凸をもって形成されている。
一方、扉枠5の裏面には、図21に示すように、方形状の外周に沿って鉄製の補強板35〜38が固定されている。上部裏面に取り付けられる上補強板35の両端下部には、スピーカ34がスピーカーボックスに固定されて取り付けられており、下部裏面に取り付けられる下補強板36には、遊技窓42の直下に取り付けられ軸支側に賞球口39が開設されている。この賞球口39は、後述する満タンユニット520の出口536(図70参照)と連通して払出された賞球を貯留皿30に流出させるためのものである。また、開放側裏面に取り付けられる側方補強板37は、扉枠5の裏面の上端部から下端部にかけて取り付けられているが、その上部、中央部、下部にフック係止片37aが形成されている。このフック係止片37aは、後に詳述する錠装置560のガラス扉用フック601(図86参照)と係合して扉枠5の本体枠3に対する施錠を行うものである。更に、軸支側裏面に取り付けられる側方補強板38も、扉枠5の裏面の上端部から下端部にかけて取り付けられており、上端部には上開閉金具32、下端部には下開閉金具33が固定されている。補強板35〜38は、貯留皿30に貯留された球からの静電放電によるノイズ等を扉枠5から除去するアース接続板としての役割も担っている。具体的には、補強板35〜38は、鉄製で固定されているため電気的に接続された状態となっており、補強板35〜38に侵入したノイズが側方補強板38の上開放金具32及び下開放金具33に伝わる。上開閉金具32及び下開閉金具33は、上述したように、本体枠3の上軸支金具152の扉軸支穴154(図38参照)及び扉支持板156の軸支穴157(図38参照)に挿入支持されている。このため、強板35〜38に侵入したノイズは、側方補強板38の上開放金具32及び下開放金具33を介して、本体枠3の上軸支金具152及び扉支持板156に伝わり、後述する電源基板686のアース用コネクタ690(図96参照)を経て外部にアースされるようになっている。
また、扉枠5の裏面には、透明板ユニットとしてのガラスユニット50を取り付けるためのガラス止めレバー43、位置決め突起44、掛止凹部45が形成されると共に、錠装置560のシリンダー錠570を挿通させるための錠穴46と、貯留皿30の下流側を一列に整列して流下する打球が供給される打球供給口40と、該打球供給口40の下方に位置して打球供給口40から供給された打球を1個ずつ後述する発射レール164の発射位置に供給するための供給揺動片41と、がそれぞれ形成され又は設けられている。ガラス止めレバー43は、図21に示すように、左右のスピーカ34の設置位置の下方に設けられ、上端をビスで止着されて回動するように設けられているが、そのガラス止めレバー43が軸支される下方は、図22に示すように、次に説明するガラスユニット50の止め片52が嵌まり込むように凹状に形成されると共に、その凹状部に止め片52に形成される位置決め穴53と係合する位置決め突起44が突設されている。また、掛止凹部45は、遊技窓42の下部左右に上方が開放したL字状に形成され、ガラスユニット50の掛止突片54が上方から挿入されて係合されるようになっている。更に、鍵穴46は、図21に示すように、開放側であって前記下補強板36の下方に穿設形成されている。そして、扉枠5を本体枠3に対して閉じたときには、図2に示すように、錠装置560のシリンダー錠570の先端面が鍵穴46に臨み、扉枠5を本体枠3に対して開放したときには、図1に示すように、シリンダー錠570が鍵穴46から離れて位置するようになっている。また、供給揺動片41は、後述する打球発射装置300に設けられる作動片308(図50参照)と当接して打球発射装置300の打球槌336の往復動作に連動して打球供給口40から供給される打球を発射レール164の発射位置に供給するものである。
[1−2−1.透明板ユニット(ガラスユニット)]
次に、扉枠5の裏面に取り付けられる透明板ユニットとしてのガラスユニット50について、図22〜図26を参照して説明する。ガラスユニット50は、図23に示すように、遊技窓42よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長六角形状のユニット枠51と、該ユニット枠51の開口の外周前後面に2枚の透明板としてのガラス板60(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を接着することにより構成されるものである。まず、ユニット枠51について詳細に説明すると、図22に示すように、ユニット枠51の斜め上部左右には、位置決め穴53が形成される止め片52が環状の外側に向かって突設形成され、下部左右には、掛止突片54が環状の外側に向かって突設形成されている。この止め片52と掛止突片54とは、前述したように、ガラスユニット50を扉枠5の裏面に取り付けるためのものである。また、ユニット枠51の外周前後面部には、図26に示すように、ガラス板60を嵌め込むためのガラス当接段部55が周設されており、このガラス当接段部55にガラス板60を接着剤(ホットメルト系接着剤)で接着したときに、ユニット枠51の幅寸法内に2枚のガラス板60が収納された状態となる。更に、ユニット枠51には、図24及び図26に示すように、内部に乾燥剤57を封入する乾燥剤封入空間部56がユニット枠51の内周面と連通するようにその一側下部側方に環状の外部に突出するように形成され、その乾燥剤封入空間部56を閉塞するために多数の通気孔59bが形成された開閉蓋59がユニット枠51の内周面に係止爪59aによって着脱自在に取り付けられるようになっている。また、乾燥剤封入空間部56には、外部と連通する単一の空気穴58が形成されている。なお、乾燥剤封入空間部56は、環状のユニット枠51の上下左右部を除く斜め左右上下部のいずれかの部位に環状の外部に突出するように形成すればよい。
しかして、ガラスユニット50を組み付けるには、図23(A)に示すように、ユニット枠51の乾燥剤封入空間部56に乾燥剤57を封入し、その後、図23(B)に示すように、乾燥剤封入空間部56を閉塞するために開閉蓋59をユニット枠51の内周面側から挿入して係止爪59aを係止させ、さらに、図23(C)に示すように、ユニット枠51の両面からガラス板60をガラス当接段部55に収納当接するように接着剤で接着する。そして、2枚目のガラス板60を接着する際に、2枚のガラス板60で挟まれる密閉空間の空気が開閉蓋59の通気孔59b、乾燥剤封入空間部56、空気穴58を介して外部に逃げるので、2枚目のガラス板60の接着作業が2枚のガラス板60によって挟まれる密閉空間の空気の圧力によって影響を受けることなく容易に行うことができ、最終的に、図23(D)に示すように、2枚のガラス板60を一体化したガラスユニット50を簡単に組み付けることができる。そして、乾燥剤封入空間部56と2枚のガラス板60によって形成される密閉空間とを完全に密封する必要がある場合には、小さな空気穴58を密閉するだけの簡単な作業で密封状態を完了することができる。なお、空気穴58を密閉することに代えて、空気穴58に2枚のガラスの空間部から外部に向かう一方向にのみ空気が流れる弁を設けても良い。
そして、上記のように組み付けられたガラスユニット50を扉枠5に取り付けるには、ガラスユニット50の掛止突片54を扉枠5の掛止凹部45に上方から掛け止めた後、ガラスユニット50の止め片52に形成される位置決め穴53を本体枠5の凹状部に突設される位置決め突起44に挿入させながら止め片52と凹状部とを合致させ、ガラス止めレバー43を閉止位置に回動して止め片52の裏面を押圧する。これによって、ガラスユニット50を扉枠5の裏面に簡単に取り付けることができる。なお、ガラス止めレバー43を閉止位置に回動したときに、ガラス止めレバー43の裏面に形成される凹部(図示しない)と位置決め突起44の先端部とが係合するようになっている。逆に、ガラスユニット50を取り外す場合には、ガラス止めレバー43を開放位置に回動させた後、位置決め穴53を位置決め突起44からはずすようにガラスユニット50の上部を後方に移動させ、その後ガラスユニット50全体を上方に持ち上げるようにすることにより、掛止突片54を掛止凹部45から外してガラスユニット50を扉枠5から簡単に取り外すことができる。
以上詳述したように、本実施形態における透明板ユニットとしてのガラスユニット50は、予めユニット枠51の乾燥剤封入空間部56に乾燥剤57を封入した後で、ガラス板60をユニット枠51の両面に接着剤で貼り付けるだけで組み付けることができるので、従来のようにユニット枠にガラス板を接着した後に、乾燥剤をユニット枠に外側から挿入して乾燥剤の挿入口の周囲を密閉する構造のものに比べて、密閉するにしても極めて小さな空気穴58だけを密閉すればよいため、ガラスユニット50の製造を簡単に行うことができ、ガラスユニット50の生産性が向上するというメリットがある。そして、この場合、乾燥剤封入空間部56が環状のユニット枠51の外部に突出するように一体的に形成されているので、特殊な形状のガラス板を用意する必要はなく、極めて汎用性の高いガラスユニット50を提供することができる。
また、本実施形態においては、従来のように、ユニット枠そのものに通気孔を形成する場合に比べて、開閉蓋59という小さな部品に通気孔59bを形成したので、成型が容易であると共に成型後の通気孔59bの大きさが歪み等で変形することがなく、粒状の乾燥剤57を乾燥剤封入空間部56に封入しても、乾燥剤57が2枚のガラス板60によって形成される密閉空間に零れ落ちることはない。
また、本実施形態においては、乾燥剤封入空間部56は、環状のユニット枠51の上下左右部を除く斜め左右上下部のいずれかの部位に環状の外部に突出するように形成されることにより、一般的に円形状に形成される遊技窓42の斜め左右上下部の遊技窓42として利用されない領域に乾燥剤封入空間部56を配置することができ、結果的に遊技窓42を大きく形成することができる。
更に、本実施形態においては、ガラスユニット50を扉枠5に取り付ける際に、ユニット枠51の下辺左右に形成される掛止突片54を扉枠5の掛止凹部45に差し込み、その後、ユニット枠51の斜め上部左右に形成される止め片52の位置決め穴53を扉枠5の位置決め突起44に係合してガラス止めレバー43を回動するだけの簡単な作業によって取り付けることができる。
[1−2−2.ハンドル装置]
次に、扉枠5の開放側下部に取り付けられるハンドル装置70について、主として図27〜図31を参照して説明する。ハンドル装置70は、扉枠5の開放側下部前面に設けられる操作ハンドル部71と、該操作ハンドル部71に対応する扉枠5の裏面に組み付けられて操作ハンドル部71の回動操作に応じて回転する回転軸75と連携され且つ該回転軸75の回転運動をスライド運動に変化させるジョイントユニット90と、から構成されている。
まず、操作ハンドル部71は、図27に示すように、扉枠5の前面を構成する装飾板(例えば、貯留皿30の外側構成板と兼用して形成される装飾板)に突設される円筒状のハンドル支持筒部5aに挿入固定される。このハンドル支持筒部5aは、パチンコ遊技機1の上方から見た平面視で外側(右側)に向くように傾斜して形成されているため、ハンドル支持筒部5aに挿入固定される操作ハンドル部71も平面視で外側に傾斜(換言するならば、パチンコ遊技機1の前面垂直面に直交する線に対してその先端部がパチンコ遊技機の外側に向かうように傾斜している。)して扉枠5に取付固定されることになる。このように、操作ハンドル部71を平面視で外側に向けて傾斜させることにより、遊技者が操作ハンドル部71を握り易く、回動動作に違和感がなく回動操作が行いやすいという利点がある。そして、本実施形態においては、後述するように、操作ハンドル部71を傾斜設置しても、操作ハンドル部71の回動軸75の回転運動がスムーズに伝達されて打球発射装置300の弾発力を調整することができる構造が採用されている。なお、操作ハンドル部71のハンドル支持筒部5aへの挿入後、ハンドル支持筒部5aと操作ハンドル部71(正確には、後握り部73)とをビス等で連結して操作ハンドル部71がハンドル支持筒部5aから引き抜きできないようになっている。
また、操作ハンドル部71は、図29に示すように、前握り部材72と、後握り部材73と、前握り部材72と後握り部材73との間で回動自在に軸支される回動操作部材74と、該回動操作部材74にその一端部が固定される直線円柱状の回転軸75と、該回転軸75の他端部に固定されるカム76と、から構成されている。後握り部材73は、前記ハンドル支持筒部5aに嵌合される小径部と該小径部の前方の大径部とが一体的に形成され、その中心に回転軸75が貫通される軸貫通穴78が形成されている。回転軸75が軸貫通穴78に挿通される際には、軸受ブッシュ77が軸貫通穴78の後端に嵌めこまれ、その軸受ブッシュ77に回転軸75が挿通される。一方、軸受ブッシュ77を介して軸貫通穴78に貫通された回転軸75は、後握り部材73の前面側に固定される固定軸受部材83の軸受穴84を貫通して回転操作部74の中心に形成される軸嵌合穴86に嵌合される。
また、後握り部材73の前面側には、タッチスイッチ80、発射停止スイッチ82、フック88を固定するための突起や取付穴(共に図示しない)が設けられると共に、単発ボタン81が揺動自在に支持される揺動ピン(図示しない)が形成され、それらの突起や取付穴及び揺動ピンにタッチスイッチ80、発射停止スイッチ82、フック88及び単発ボタン81が取り付けられている。そして、それらが取り付けられた状態でタッチスイッチ80や発射停止スイッチ82からの配線がフック88で纏められて後握り部材73の軸貫通穴78の側方に形成される配線通し穴79、後述する配線通し筒部材108(図27参照)及び配線開口100(図30参照)から扉枠5の裏面に導き出され、ハンドル中継端子板71a(図32参照)に接続されるようになっている。このハンドル中継端子板71aからの配線は、上述した下補強板36に沿って取り付けられており、後述する払出制御基板に電気的に接続されるようになっている。また、固定軸受部材83と回動操作部材74との間には、付勢スプリング85が回転軸75に周設されるように設けられ、この付勢スプリング85が回動操作部材74を常に元の位置に復帰させるようになっている。更に、回動操作部材74の軸嵌合穴86の外側にはスイッチ接触凸部87が突設され、回動操作部材74が付勢スプリング85の付勢力により元位置にある場合に、スイッチ接触凸部87が発射停止スイッチ82のアクチュエータに接触して発射停止スイッチ82をOFFとし、回動操作部材74が遊技者によって回動操作されるとスイッチ接触凸部87が発射停止スイッチ82のアクチュエータと離れてONとする。また、発射停止スイッチ82がONとなっている状態で単発ボタン81が揺動可能になるので、単発ボタン81を押圧することにより、発射停止スイッチ82のアクチュエータをOFF操作することができるようになっている。なお、回動操作部材74の外周表面には、導電性のメッキが施されており、遊技者が回動操作部材74に接触することによりタッチスイッチ80が接触を検出するようになっている。そして、遊技者が回動操作部材74を回動して発射停止スイッチ82がONとなり且つタッチスイッチ80が接触を検出しているときに打球発射装置300の後述する発射モータ344(図51参照)が回転駆動されるようになっている。
また、回転軸75の先端に固定されるカム76は、勾玉状に形成され、回転軸75の回転にしたがって後述するジョイントユニット90のスライド体93(図30及び図31参照)のカム当接部107を押圧して一方向にスライドさせるようになっている。そして、本実施形態においては、この回転軸75の先端に固定されるカム76とジョイントユニット90のスライド体93との連携構造によって前述したような操作ハンドル部71の平面視での傾斜状取付けが可能となっている。
そこで、次に操作ハンドル部71と連結されるハンドル装置70の他方の構成要素であるジョイントユニット90について説明する。ジョイントユニット90は、図30に示すように、収納体91と、該収納体91の内部に収納されて横方向にスライド可能なスライド体93と、該スライド体93が収納された状態で収納体91の前面を被覆するカバー体92と、から構成されている。
収納体91は、前面が開放した直方体の箱状に形成され、その後面にカム挿入開口94が開設されている。また、収容体91の上辺及び下辺には、ジョイントユニット90を扉枠5の裏面に取り付けるための取付ボス穴95がそれぞれ2個ずつ外側に向かって突設形成され、左右の両辺にカバー体92を取り付けるための取付穴96が外側に向かって突設されている。更に、収容体91の上辺及び下辺の内側面には、スライド体93の上下辺の外側面と当接してスライド体93がスムーズに移動しえるようにするために円弧状の当接凸部97(図30(B)では下辺の当接凸部97だけを図示し、上辺の当接凸部97は図示省略されている。)が突設されている。
また、カバー体92は、後面が開放した直方体の箱状に形成され、その前面にスライド体93の前面に突設される円筒ボス状の案内突起104が挿入されてスライド体93の移動を案内する2つの案内横溝98と、スライド体93の前面に突設されるスライド突片102が挿通される挿通横穴99と、前記操作ハンドル部71の後握り部材73の後端に取り付けられて前記カム挿通開口94から挿入される配線通し筒部材108の後端部が臨む配線開口100と、が開設されている。また、カバー体92の左右側方には、収容体91の前記取付穴96に対応する取付穴101が形成され、両者の取付穴96,101とを対応させた状態でビス(図示しない)を止着することにより、カバー体92を収納体91に取り付けることができるようになっている。
更に、収納体91とカバー体92とによって形成される空間内に左右方向に移動可能に収納されるスライド体93は、収納体91よりも小さな後面が開放した直方体の箱状に形成され、その前面壁の前面には、前記案内横溝98に挿入される2つの案内突起104と、前記挿通横穴99に挿通されるスライド突片102が突設されている。スライド突片102は、薄板状に形成され、スライド時の進行方向が傾斜辺103となっている。また、スライド体93の前面壁には、前記2つの案内突起104の間に前記配線通し筒部材108が貫通する筒部材貫通開口105が穿設されている。この筒部材貫通開口105は、固定状態にある配線通し筒部材108がスライド体93のスライドを邪魔しないように横長な長方形状の開口とされている。一方、スライド体93の前面壁の裏面には、前記回転軸75の先端部に固定されるカム76が収納されるカム係合凹部106がリブによって逆L字形状に形成されている。そして、カム係合凹部106を形成するリブの一部の垂直部分がカム係合凹部106内に突出するように円弧状のリブとして形成され、その部分がカム76と当接するカム当接部107となっている。
以上説明した収納体91とスライド体93とカバー体92とを組み付けるには、収納体91にスライド体93を収納し、その状態でカバー体92を前方から被覆する。被覆する際には、案内突起104が案内横溝98に、スライド突片102が挿通横穴99に、それぞれ挿通するように被覆される。被覆した後には、取付穴101,96をビスで螺着することにより、スライド体93を内部に収納した状態でジョイントユニット90の組み付けが終了する。そして、上記のように組みつけられたジョイントユニット90を、図32に示すように、扉枠5の裏面の前記操作ハンドル部71の取付位置に対応して形成される取付凹部110(図6参照)に収納して取付ボス穴95をビス等で螺着してジョイントユニット90を扉枠5に取り付ける。
以上説明してきたように、操作ハンドル部71を扉枠5の前面側からハンドル支持筒部5aに挿通支持し、ジョイントユニット90を扉枠5の裏面側から取付凹部110に取り付けることにより、図27に示すように、回転軸75の先端部に固定されるカム76がスライド体93のカム係合凹部106に収納されるようになっている。この場合、操作ハンドル部71が平面視で傾斜状に取り付けられることにより、カム76も扉枠5の垂直面に対して傾斜状となっているが、係合凹部106が前後方向に所定の空間幅を有しているので、傾斜したカム76の全体を係合凹部106の空間内に収納できるようになっている。また、その収納状態は、図31(A)に示すように、カム76の回転中心がカム当接部107の側方に位置し、勾玉状のカム76の先端がカム係合凹部106の下方空間内に位置するようになっている。
しかして、操作ハンドル部71の回動操作部材74を遊技者が回動操作すると、回転軸75が回動し、それにつれてカム76も回転するので、図31(B)に示すように、カム係合凹部106のカム当接部107とカム76の一側外形面(回転前方の外形面)との当接によってスライド体93が一方向(図31の場合には、図示の右側方向)にスライド移動する。つまり、回転軸75の回転運動がスライド体93のスライド運動に変換される。このため、図31(A)に示す初期状態(回動前)におけるカム76の回転中心とスライド体93のスライド突片102の進行方向の端辺との距離S1が、カム76の最大限の回転によって距離S1よりも大きな距離S2となる。つまり、スライド体93のスライド突片102が「S2−S1」の距離だけスライドすることになる。そして、ジョイントユニット90のスライド突片102のスライド移動が、図28、図32、図33に示すように、打球発射装置300のスライド部材350に伝達されて打球発射装置300の付勢バネ333(図51参照)の張力を調節し、もって打球槌336の付勢力の強弱を調整して遊技者の望む打球の弾発力を得ることができる。なお、ハンドル装置90と打球発射装置300との関係については、打球発射装置300についての説明の後で詳細に説明する。
なお、操作ハンドル部71の内部から配線通し穴79、配線通し筒部材108及び配線開口100を通って扉枠5の裏面に導出された配線は、扉枠5の裏面下辺に沿って軸支側に引き回され、その後、本体枠3の裏面側に取り付けられる基板ユニット650に集約して取り付けられる払出制御基板715の操作ハンドル用端子724(図96参照)に接続されるようになっている。
[1−3.本体枠]
次に、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、打球発射装置300と、賞球を払い出すための賞球タンク400とタンクレール部材410と球通路ユニット420と賞球ユニット450と満タンユニット520と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う錠装置560と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット650と、後面開口222を覆うカバー体750と、等の各種の部品が装着される本体枠3について、図面を参照して説明する。
まず、図34〜図42を参照して、上記した各種の部品が装着される本体枠3自体について説明する。図34は、部品を取り付ける前の本体枠3の正面図であり、図35は、部品を取り付ける前の本体枠3の背面図であり、図36は、部品を取り付ける前の本体枠3の側面図であり、図37は、部品を取り付ける前の本体枠3の背面から見た斜視図であり、図38は、部品を取り付けた本体枠3の前方から見た斜視図であり、図39は、部品を取り付けた本体枠3を外枠2に軸支した状態を前方から見た斜視図であり、図40は、部品を取り付けた本体枠3の背面図であり、図41は、部品を取り付けた本体枠3の背面から見た斜視図であり、図42は、パチンコ遊技機1の中程(遊技制御基板ボックス268部分)の水平線で切断したパチンコ遊技機の断面平面図である。
図34において、本体枠3の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具152及び下軸支金具158(共に図38参照)を取り付けるための軸支金具取付段部150,151が形成され、この軸支金具取付段部150,151に上軸支金具152及び下軸支金具158を取り付けた状態では、本体枠3の上辺及び側辺が上軸支金具152の上辺及び側辺とほぼ同一平面状となり、本体枠3の下辺及び側辺が下軸支金具158の下辺及び側辺とほぼ同一平面状となっている(図40参照)。ここで、上軸支金具152と下軸支金具158について図38と図40を参照して説明する。上軸支金具152は、本体枠3の裏面に取付部を有すると共にその上端辺が前方に突出し、その前方に突出した上面に軸支ピン153が立設固定され、その軸ピン153の側方に扉軸支穴154が穿設されている。一方、下軸支金具158は、本体枠3の裏面に取付部を有すると共にその下端辺及びやや上部に2つの支持板155,156が一体的に突設されている。下方に位置する支持板155は、本体枠3を外枠2の下支持金具155に支持するための枠支持板155を構成するものであり、上方に位置する支持板156は、扉枠5の下開閉金具33を本体枠3に支持するための扉支持板156を構成するものである。このため、枠支持板155に外枠2の下支持金具18の支持突起21を挿入するための軸支穴(図示しない)が形成され、扉支持板156に扉枠5の下開閉金具33に突設される軸ピン(図示しない)を挿入するための軸支穴157が穿設されている。
ところで、本体枠3は、正面から見た場合に、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部159(図38参照)となっており、その遊技盤設置凹部159の下方のやや奥まった領域が板部160となっている。まず、板部160の構成について図34乃至図37を参照して説明する。板部160の上面は、遊技盤4を載置するための遊技盤載置部161となっており、その遊技盤載置部161のほぼ中央に、当該載置部161に遊技盤4を載置したときに遊技盤4に形成されるアウト口256(図43参照)の下面を支持する通路支持突起162が突設されている。
また、図34に示すように、板部160の前面の中央部から開放側の端部に向かってレール取付ボス163が所定間隔を置いて突設され、このレール取付ボス163に発射レール164(図38参照)がビス止め固定されている。また、発射レール164の先端位置に対応する板部160の前面には、レール接続部材165が突設され、遊技盤設置凹部159に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の内滑走面252の下流端である接続通路部259(図43参照)と隣接するようになっている。また、レール接続部材165の側方位置(発射レール164と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具168(図38参照)の上端部を取り付けるための固定具取付ボス166が突設され、その斜め下方にストッパー167が突設されている。即ち、遊技盤固定具168は、固定具取付ボス166を中心にして回転自在に設けられ、前記遊技盤載置部161に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具168を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。また、遊技盤を取り外す場合には、遊技盤固定具168を反時計方向に回して取り外すことにより、簡単に行うことができる。この場合、遊技盤固定具168はストッパー167により反時計方向の余分な回転ができないようになっている。
また、板部160の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部169が形成されており、この発射装置取付部169に本体枠3の裏面から打球発射装置300が固定されている。この点については、後に詳述する。上記した発射装置取付部169の前面壁部分には、前述したジョイントユニット90のスライド突片102と連携されるスライド部材350(図55参照)が収納されるハンドル連結窓172が形成され、該ハンドル連結窓172の隣接する位置に打球槌336の軸受338(図51参照)の端面が臨む軸用穴178が開設されている。また、発射装置取付部169の上壁部分には、打球発射装置300の打球槌336が上方に突出するための槌貫通開口171が切欠形成され、その槌貫通開口171の斜め上方の板部160の前面に錠装置560のシリンダー錠570が貫通するシリンダー錠貫通穴170が開設されている。
一方、板部160の裏面には、図35に示すように、軸支側の上部から板部160の中央部分に向けて延設された後下方に向かう球抜き排出通路173が形成されている。この球抜き排出通路173は、後述する球抜き接続通路515(図38参照)から排出される球をパチンコ遊技機1の下方から島の内部に排出するためのものである。また、上述した発射装置取付部169の上方には、円柱状の案内突起174が後方に向かって突設され、この案内突起174に後述する基板ユニット650の案内孔675(図92参照)が差し込まれて基板ユニット650の取付けを容易にしている。また、基板ユニット650をビスで取り付けるための取付穴部175が板部160の左右上下に形成され、この取付穴部175に基板ユニット650の取付片671を対応させてビスで止着する。また、発射装置取付部169の凹状の内部には、打球発射装置300を取り付けるための発射装置取付ボス177が後方に向かって突設され、更に、開放側の最下端部には、図37に示すように、本体枠3を外枠2に対して閉じる際に、下部前面カバー板6の上面に当接しながら本体枠3の閉止動作を案内するために先端が先細状で縦長形状の案内突片176が後方に向かって突設されている。
板部160には、以上説明した構成以外に、図37に示すように、軸支側の端部上面に前記球抜排出通路173の上流端の開口である球抜接続開口179が形成されている。この球抜接続開口179に球抜接続通路515の下流端が接続されるようになっている。また、球抜接続開口179に隣接する部分は、後に詳述する満タンユニット520(図38参照)を載置するための満タンユニット載置部180が板部160と直交するように水平状に形成され、その満タンユニット載置部180の前方部分に満タンユニット520の係合片539(図72参照)と係合するユニット係合溝181が形成されている。更に、図38に示すように、満タンユニット載置部180の前方の板部160の前面には、扉枠5の開放時に満タンユニット520の出口536から排出される賞球を堰き止める出口開閉装置224が設けられている。この出口開閉装置224については、詳細に説明しないが、扉枠5が閉じているときには、扉枠5の裏面に当接するレバーによって開閉板が下降した状態となっているが、扉枠5が開放されるとレバーへの当接がなくなるため開閉板が上昇して出口536を閉塞するものである。このため、扉枠5の開放時においても満タンユニット520内に貯留された賞球が出口536から零れ落ちることがない。
次に、遊技盤設置凹部159の構成について説明する。遊技盤設置凹部159は、正確には、図34及び図38に示すように、上辺部と開放側の一部に遊技盤4を収納しない前向きの鍔面部分があり、上辺部の鍔面部分には特に何も形成されていないが、開放側の鍔面部分には、錠装置560のガラス扉用フック601が貫通する扉用フック穴199が上中下の3箇所開設されている。つまり、開放側の鍔面部分の裏面に錠装置560が固定されている。
しかして、遊技盤設置凹部159は、軸支側の内側面及び上記した上辺部及び開放側の鍔面部から後方へ周設される第1側面壁190と、該第1側面壁190から後方に周設される第2側面壁191と、該第2側面壁191から後方に周設される第3側面壁192と、該第3側面壁192から後方に周設される第4側面壁193、とにより、本体枠3の左右側辺及び上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。なお、第1側面壁190〜第4側面壁193は、背面から見て上辺及び右辺(軸支側の辺)が段差をもって後方に真っ直ぐに延長されるように形成されるのに対し、左辺(開放側の辺)が第1側面壁190から第4側面壁193に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図5参照)に形成される。これは、左辺(開放側の辺)の第1側面壁190から第4側面壁193までを後方に真っ直ぐ形成したときに、本体枠3を開放する際に、第4側面壁194の最後端部が外枠2の側枠板13の内面と当接してスムーズに開放できない場合があるため、開放側の第1側壁面190から第4側面壁193までが内側傾斜状とすることによりスムーズに開放することができるようにしたものである。それと同時に開放側の第1側面壁190に沿って錠装置560が取り付けられるが、その取付けを第1側面壁190の後端辺に設けられる錠取付穴198(図35参照)を利用して行うため、その錠取付穴198を形成するためにも開放側の第1側面壁190から第4側面壁194を傾斜段差状に形成したものである。更に、第1側面壁190〜第4側面壁193の段差の寸法も、第1側面壁190と第2側面壁191との段差は、後述する遊技盤4の裏面の周辺と当接する必要があるため、ある程度大きな段差をもって形成されるが、それ以外の段差は、極めて小さな段差となっている。もちろん、第2側面壁191〜第4側面壁193までは段差を形成することなく連続的に形成してもよい。
そして、上記した側面壁190〜193は、図36に示すように、それぞれ奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約135mmとなっている。特に、第1側面壁190の幅寸法d1は、遊技盤4の厚みに相当し、残りの第2側面壁191と第3側面壁192と第4側面壁193とによって形成される空間に遊技盤4に設けられる各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。つまり、第1側面壁190は、遊技盤4の厚さとほぼ同じ奥行寸法を有する前側面壁を構成し、第2側面壁191〜第4側面壁193は、遊技盤4の周辺部裏面と当接する段差部を有して第1側面壁190から後方に向かってほぼ当該第1側面壁190と平行状に延設され且つ遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁を構成するものである。特に、本実施形態の場合には、図5に示すように、第2側面壁191〜第4側面壁193のすべての部位の後方への突出量が、本体枠3の裏面側上部に固定される賞球タンク400の球を貯留する貯留部の後面壁400bとほぼ同じ位置となるように形成されている。これにより、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第2側面壁191と第3側面壁192と第4側面壁193とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。
また、図35及び図37に示すように、第4側面壁193の後端辺からは背面から見てその左辺、上辺及び右辺に、左後面壁194、上後面壁195及び後面壁としての右後面壁196がそれぞれパチンコ機の正面と平行となるように内側に向かって突設されている。右後面壁196は、その前面が平板状(図34参照)となっており、その後面に球払出機構を構成する後述の球通路ユニット420と賞球ユニット450とが着脱自在に取り付けられるようになっている。したがって、右後面壁196の内側への突出幅は、球通路ユニット420と賞球ユニット450とを取り付ける幅があれば充分である。また、上後面壁195は、その前面が平板状(図34参照)となっており、その後面に後述するタンクレール部材410が取り付けられるため、その下端辺が傾斜状に形成されている。したがって、上後面壁195の内側への突出幅は、傾斜状に取り付けられるタンクレール部材410の高さ幅寸法があれば充分である。更に、右後面壁914には、その前面が平板状(図34参照)となっており、その後面に後述するカバー体750を軸支するカバー体支持筒部220が形成されている。したがって、右後面壁194の内側への突出幅は、カバー体支持筒部220を形成する幅寸法があれば充分である。
上述したように、第4側面壁193の後端辺から内側に向かって突設される左後面壁194、上後面壁195及び右後面壁196の前面が平板状に形成され、この平板状部分が遊技盤4の周辺部に対応するものであるため、上記したように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第2側面壁191と第3側面壁192と第4側面壁193とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、左後面壁194、上後面壁195及び右後面壁196の内側は、後面開口222となっており、この後面開口222が後述するカバー体750によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
次に、遊技盤設置凹部159の更に詳細な構成について説明すると、前述したように、開放側の平面部分には、錠装置560のガラス扉用フック601が貫通する扉用フック穴199が上中下の3箇所開設されているが、その上下の扉用フック穴199のさらに上中下に錠装置560の後述する係止突起564が係合される錠係止穴198(図35参照)が形成されている。また、開放側の第1側面壁190に沿って錠装置560が取り付けられるが、その取付けをビスで行うための錠取付穴197(図35参照)が第1側面壁190の後端部の上部と中程に形成されている。なお、錠装置560のビスによる取付けは、上部と中程だけではなく、後述する錠取付片568に形成されるビス止め穴596と前記シリンダー錠貫通穴170の上方近傍に形成される錠取付穴208とを対応させてビスで止着することにより、錠装置560の下方も取り付けられるようになっている。
また、図37に示すように、第1側面壁190の上辺前方の左右には、本体枠3を外枠2に対して閉止する際に、外枠2の上枠板10の内周面と当接する案内円弧突起202が突設され、第1側面壁190の後端辺中央に後述する賞球タンク400の切欠部401と連通する逃げ凹部201が形成され、第1側面壁190と第2側面壁191と接続する垂直面にタンク取付溝200が形成されている。そして、このタンク取付溝200に賞球タンク400の取付鍔部407を取り付けたときには、図41に示すように、賞球タンク400の切欠部401が逃げ凹部201と連通して賞球タンク400内に貯留された球の球圧が増加したときに圧抜きして球詰まりが発生しないように機能する。また、賞球タンク400を本体枠3に取り付けたときには、平面視で賞球タンク400の正面側から見て奥側の後面壁400bと第4側面壁193の後端辺193aがほぼ一致(図5参照)するようになっている。なお、上記した案内円弧突起202は、本体枠3の上辺を外枠2の上枠板10の内周面と当接させることにより、本体枠3を持ち上げて本体枠3の下辺と下部前面カバー板6との間に隙間を形成し、その隙間から不正器具を挿入するような不正行為を防止するためのものである。
また、前述した上後面壁195には、タンクレール部材410を取り付けるためのレール係止溝203が後面開口222の開口縁に沿って形成されており、また、第4側面壁193と上後面壁195の屈曲部にレール係止溝204が形成されている。そして、これらレール係止溝203,204にタンクレール部材410の係止突片418,419(図59参照)を係止させることにより、タンクレール部材410を本体枠3に取り付けることができる。また、タンクレール部材410を取り付けたときの下流側に対応する上後面壁195の上部には、レール掛止弾性片205が形成され、レール係止溝203,204にタンクレール部材410の係止突片418,419を係止させて、タンクレール部材410を本体枠3に取り付けたときに、その係止状態が外れないようにレール掛止弾性片205がタンクレール部材410の下流側上端の上から当接するようになっている。タンクレール部材410を取り外すときには、レール掛止弾性片205を後方へ押圧しておいてからレール係止溝203,204と係止突片418,419との係止状態を解除すべくタンクレール部材410を上方に持ち上げればよい。また、レール掛止弾性片205の側方に逃げ穴206が穿設され、レール掛止弾性片205の下方にアース線接続具207形成されている。逃げ穴206は、タンクレール部材410に設けられる整列歯車416の軸ピン417の端部を逃がすために穿設されるものであり、また、アース接続具207は、タンクレール部材410の内部に貼着される金属製の導電板(図示しない)に接触していると共に、後述する電源基板686に設けられるアース用コネクタ690(図96参照)に接続される配線が接続されるものである。
また、右後面壁196には、図35及び図37に示すように、ほぼ右後面壁196に左右両端に垂直状の立壁210を立設し、その立壁210の間に球通路ユニット420と賞球ユニット450とが取り付けられる。ただし、後面開口222側の立壁210は、右後面壁196の下方に形成される切欠部218のやや上方までしか形成されていないのに対し、反対側の立壁210は、右後面壁196の側辺から下辺にかけてL字状に形成されている。
また、左右の立壁210の間の最上流部から中流部よりやや上方まで賞球案内突起211が屈曲状に突設されている。この賞球案内突起211は、後述する球通路ユニット420を取り付けたときに、該球通路ユニット420の球通路422(図61参照)に対応するもので、賞球を一列状に誘導するものである。また、賞球案内突起211の左右には、球通路ユニット420をビスで止着するための通路ユニット取付ボス212、及び位置決めするための位置決めピン226が突設されると共に、後述する球切れスイッチ426(図61参照)に対面するスイッチ対応突起213が突設されている。通路ユニット取付ボス212及び位置決めピン226については、後に詳述する。
更に、左右の立壁210の中流部から下流部にかけて賞球ユニット450の係合部としての鉤状係合部474(図61参照)と係合する係止部としての係合突片215と、賞球ユニット450のボタン挿通係合穴471(図61参照)と係合するロック用弾性爪214と、が形成されると共に、賞球ユニット450のスプロケット457の回転軸458(図66参照)の端部が受け入れられる逃げ穴216が形成されている。また、右後面板196の下方には、切欠開口部218が形成されており、この切欠開口部218に賞球ユニット450の駆動モータとしての4相ステッピングモータである払出モータ465が臨むようになっている(図38参照)。そして、賞球ユニット450は、右後面板196の裏面最下端に形成される係止溝219のその下端を係止して前記係合突片215及びロック用弾性爪214によって右後面板196に着脱自在に取り付けられるようになっている。この着脱自在の構成については、後に詳述する。また、右後面壁196の開放側の端部には、カバー体750の開放側の端辺が入り込むカバー体当接溝217が形成されている。
以上、遊技盤設置凹部159及び板部160とからなる本体枠3の構成について説明してきたが、上記に説明した以外に、本体枠3の構成として、図37に示すように、開放側の側面壁191,192,193の下端が斜めに切り欠けられた切欠部221として構成され、図34に示すように、軸支側の第1側面壁190の内周の上下に遊技盤4の位置決め凹部261(図44参照)が係合される盤位置決め突起223が形成されると共に開放側の平面部分と遊技盤設置凹部159との境目の上下に遊技盤4にもうけられる遊技盤止め具260の端部が係合される盤止め具挿入穴225が形成されている。
本体枠3は、上記したように、遊技盤4、打球発射装置300、賞球タンク400、タンクレール部材410、球通路ユニット420、賞球ユニット450、満タンユニット520、錠装置560、基板ユニット650及びカバー体750が取り付けられるが、以下、これらを順次説明する。
[1−4.遊技盤]
遊技盤4の構成について図43乃至図46を参照して説明する。図43は、遊技盤4の正面から見た斜視図であり、図44は、遊技盤4の正面図であり、図45は、遊技盤4の背面図であり、図46は、遊技盤4の平面図である。なお、遊技盤4には、後述する機能表示ユニットが取り付けられるもの(図101、図115参照)もある。
図43において、遊技盤4は、ほぼ正方形状のベニヤ盤250と、該ベニヤ盤250の前面に遊技領域255を囲むように取り付けられる飾り枠251と、から構成されている。ベニヤ盤250の表面には、装飾セルともいわれる装飾板が貼付されると共に遊技領域255に各種の遊技装置や多数の障害釘(いずれも図示省略)が植立されている。そして、それらの遊技装置や障害釘が設けられた後に飾り枠251がベニヤ盤250の前面に取り付けられるが、その飾り枠251は、ベニヤ盤250の周囲を囲むように内部が円形の空洞状に形成され且つ外形がベニヤ盤250の外形に沿った形状に形成されており、その下辺中程から上辺の中心を過ぎた斜め上方までの円弧面が外滑走面252として形成され、その外滑走面252の終端に設けられる衝止部258の下部位置から上辺の前記衝止部258の対称の逆流防止部材254が設けられる位置までが内滑走面253として形成されている。外滑走面252は、その始端部に前記発射レール164の延長状に設けられたレール接続部材165に連接する接続通路部259が斜め状に形成されており、その接続通路部259に隣接してファール口257が形成されている。また、ファール口257の上流端から衝止部258までの外滑走面252には、金属製のレールが密着して取り付けられている。なお、衝止部258は、勢いよく外滑走面252を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域255の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものであり、逆流防止部材254は、一端発射されて遊技領域255の内側に取り入れられた打球が再度外滑走面252に逆流しないように防止するものである。
また、内滑走面253の下部中央には、アウト口256が設けられ、そのアウト口256から逆流防止部材254までの内滑走面253と外滑走面252との間は、発射された打球が遊技領域255まで誘導される誘導通路を構成するものであるが、遊技領域255に到達せずに外滑走面252を逆流した打球はファール口257に取り込まれて後述する満タンユニット520のファール球入口538に導かれて再度貯留皿30に排出されるようになっている。なお、遊技領域255は、実質的に内滑走面253によって囲まれる領域である。
ところで、遊技盤4の一側には、本体枠3に形成される前記盤位置決め突起223に嵌合する位置決め凹部261が形成され、遊技盤4の他側には、本体枠3に形成される前記盤止め具挿入穴225に挿入される遊技盤止め具260が設けられている。遊技盤止め具260は、押し込み固定したときにその端部が盤止め具挿入穴225に挿入されるようになっている。しかして、遊技盤4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部261が盤位置決め突起223に嵌合するように斜め方向から差し込んだ後、遊技盤4の全体を本体枠3の第1側面壁190に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技盤止め具260を押し込み固定してその端部を盤止め具挿入穴225に挿入して固定する。その後、遊技盤固定具168を回動して遊技盤4の下部前面を固定する。これによって遊技盤4を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技盤4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。
また、遊技盤4の外形形状は、その上部左右に前記扉枠5の裏面に設けられるスピーカ34の後方突出部分を受け入れるようにスピーカ用切欠部262が形成され、また、ファール口257の側方斜め下に後述する満タンユニット520の前方誘導通路535部分の一部が挿入される通路用切欠部263が形成されている。また、飾り枠251の下方左右には、証明確認用の証紙を貼付する証紙貼付部264が設けられている。
一方、遊技盤4の裏面には、遊技領域255に設けられる各種の遊技装置(例えば、大入賞口装置や一般入賞口等の入賞口)に入賞した球を下流側に整列して誘導する入賞空間形成カバー体265が取り付けられており、その入賞空間形成カバー体265の裏面に遊技領域255のほぼ中央に配置される表示装置としての液晶表示器(図示しない)の表示を制御する液晶制御基板や、各種ランプ及びスピーカ34等を制御するサブ統合基板が収納される演出制御基板ボックス266が取り付けられている。
更に、遊技盤4の裏面には、入賞空間形成カバー体265の下方に盤用基板ホルダー267が固定されている。この盤用基板ホルダー267は、その前方に前記入賞空間形成カバー体265によって整列誘導された入賞球を集めるように空間部(この空間部は、前後方向の幅が入賞空間形成カバー体265の幅よりも比較的広いものとして形成されている。)が形成され、その空間部の底面に落下口272(図42参照)が形成されている。この落下口272は、前記アウト口256の後面部分で合流して後述する基板ユニット650に形成されるアウト球通路668(図92参照)に連通するものである。また、盤用基板ホルダー267には、その裏面に遊技動作を制御する主制御基板を収納する遊技制御基板ボックス268と、後述する基板ユニット650に設けられる払出制御基板715や電源基板686(図97参照)等と接続するための中継端子板269と、が取り付けられている。中継端子板269には、遊技盤4を本体枠3に装着するだけで自動的に前記基板ユニット650に設けられるドロワコネクタ730,732と接続されるドロワコネクタ270,271が設けられている。また、盤用基板ホルダー267には、ドロワコネクタ270,271の間から中継端子板269を貫通するように後方に向かって突出する接合案内突起273が形成されている。この接合案内突起273は、後に詳述するように遊技盤4を本体枠3に装着する作業を行ったときに、基板ユニット650側に設けられるドロワコネクタ730,732と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ270,271とが自然に接続されるように基板ユニット650の枠用基板ホルダー651に形成される接合案内孔676に挿入される(図102参照)ものである。なお、これらドロワコネクタの接続については、後に詳述する。
上記した遊技盤4は、本体枠3の第1側面壁190等によって囲まれる遊技盤設置凹部159(図38参照)に収納配置され、遊技盤止め具260と遊技盤固定具168等で本体枠3に固定し、その固定を簡単に解除して本体枠3から遊技盤4を脱着することができる。この場合、遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを極めて簡単に防止する構成を、遊技盤4の一部及び本体枠3の一部を変更することによって達成することができる。この取り外し防止機構について図47乃至図49を参照して説明する。図47は、取り外し防止機構を組み込んだ遊技盤4の正面から見た斜視図であり、図48は、取り外し防止機構を組み込んだ本体枠3の部分斜視図であり、図49は、取り外し防止機構部分の拡大斜視図である。
まず、遊技盤4に設けられる取り外し防止機構としては、図47に示すように、遊技盤4の下方の前記通路用切欠部263と反対側の下端部に遊技盤4の前後に貫通する取付用切欠部280を形成し(正確には、装飾枠251に取付用切欠部280が形成されている。)、その取付用切欠部280の下部に水平方向に締結バー281を掛け渡し固定する。締結バー281には、そのほぼ中央に後述する締結バンド283を掛け止めるための帯溝状の締結部282が形成されている。一方、本体枠3に設けられる取り外し防止機構としては、図48に示すように、本体枠3下方の板部160の上端辺にそって形成される遊技盤載置部161であって発射レール164の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴185を形成し、その締結穴185の前方部分に締結バンド283を掛け止めるための締結連杆186が差し渡されている。
上記のように構成される遊技盤4を本体枠3の遊技盤設置凹部159に収納配置したときには、図49に示すように、締結バー281が遊技盤載置部161に当接して載置した状態になると共に、締結部282と締結連杆186とが一致した状態となる。そして、その状態で締結部282と締結連杆186との一致している部分に対して、締結バー281の上方から一般的に市販されている締結バンド283の先端を通路用切欠部263に差し込んで下方に向けて締結穴185に差し込み前方に導き、その先端を締結バンド283の締結具部分に係合させる。そして、締結バンド283の締結具より前方に飛び出した不必要な先端部分を切断しておく。このようにすれば、締結バンド283を切断しない限り、遊技盤止め具260と遊技盤固定具168等の固定を解除しても、遊技盤4を本体枠3から取り外すことができない。締結バンド283を切断すれば、遊技盤4を本体枠3から取り外すことはできるものの、例えば、締結バンド283をパチンコ店独特のものを使用することにより、異なる締結バンドが締結されていれば、遊技盤4を取り外して何らかの不正行為を行われたことが容易に理解することができるものである。このように極めて簡単な取り外し防止機構により遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを防止することができる。
[1−5.打球発射装置]
打球発射装置300について図50乃至図55を参照して説明する。図50は、打球発射装置300の全体の斜視図(A),発射モータ部分を取り外した状態の斜視図(B)であり、図51は、打球発射装置300の分解斜視図であり、図52は、打球発射装置300と発射レール164との関係を示す正面図(A),発射モータ部分の斜視図(B)であり、図53は、操作ハンドル部71を操作していない状態における打球発射装置300と発射レール164との関係を示す背面図であり、図54は、操作ハンドル部71を操作している状態における打球発射装置300と発射レール164との関係を示す背面図であり、図55は、打球発射装置300に設けられるスライド部材350の平面図(A),正面図(B),正面から見た斜視図(C),正面図(B)のA−A断面図(D)である。
打球発射装置300は、発射ベース枠301に打球槌336を回動自在に軸支すると共に、その打球槌336に往復回動を付与する発射モータ344を発射ベース枠301に取り付け、さらに打球槌336に復帰する付勢力を付与する付勢バネ333の付勢力を調節するスライド杆326及びスライド部材350が発射ベース枠301に設けられることにより構成される。
より詳細に説明すると、図51に示すように、発射ベース枠301は、合成樹脂によって横長な長方形状に成型されるものであり、そのほぼ中心に打球槌336の軸受38が嵌合される軸受筒302が形成され、その上部及び側方に打球槌336の発射原点位置を規制するゴムストッパー部材303,304が取り付け固定されている。即ち、ゴムストッパー部材303,304は、打球槌336が付勢バネ333の付勢力により発射原点位置に戻ったときに打球槌336の衝撃を受け止めるものである。また、発射ベース枠301の後方(発射レール164の下方に対応する部位の反対側)の上方に横長細溝状のスライド案内孔305が形成され、そのスライド案内孔305の下方にスライド部材収納空間306が形成されている。スライド案内孔305は、後述するスライド杆326の後端上部に突設される案内係止片327が挿入されてスライド杆326のスライド移動を案内するものであり、スライド収納空間306には、スライド部材350が左右方向に移動可能に収納されるものである。なお、スライド杆326の前方部分のスライド案内は、スライド杆326の前方に形成される案内長孔329に止めネジ331によって発射ベース枠301に形成される止め穴312に止着される案内ブッシュ330を貫通させることにより行われる。また、スライド収納空間306の底面には、図52に示すように、長方形状の連結開口314が形成されている。
また、発射ベース枠301の上辺の前方部分には、発射ベース枠301の本体に対して庇部が形成されており、前記軸受筒302の上方の庇部に作動片用開口307が穿設されている。この作動片用開口307には、前記扉枠5の貯留皿30の下流側の打球供給口40に臨んで設けられている供給揺動片41と当接する作動片308が作動片用開口307の開口縁の後方上部に突設されている取付部310に止めピン309によって揺動自在に設けられるものである。作動片308は、「て」字状に形成され、その上辺の後端部が止めピン309によって軸支され、その軸支部から下方の円弧部に打球槌336と一体的に回動するベース板339に突設される作動片当接部342と当接し、打球槌336の往復動作に連動して上辺部が供給揺動片41を揺動させ、供給揺動片41の揺動動作により打球供給口40から流出する打球を1個ずつ発射レール614の発射位置に供給するようになっている。
更に、発射ベース枠301には、発射モータ344を内蔵するモータカバー343を止着するためのモータ取付ボス311が後方下部に2箇所と前方上部に1箇所の合計3箇所に突設されていると共に、前記スライド部材収納空間306の下部後方にスライド杆326をスライドさせるためにスライド部材350と連結される揺動片321の下端の軸穴322が挿入される揺動片用ボス313が突設されている。
上記した発射ベース枠301には、打球発射装置300の剛性を高めるために金属プレート315がほぼ密着するように取り付けられている。このため、金属プレート315には、軸受筒302、下方のゴムストッパー部材303、スライド案内孔305、案内ブッシュ330及び揺動片用ボス313にそれぞれ対応する貫通孔316,317,318a,318b,320が形成されていると共に、スライド部材350の連結凸部352が貫通する横長楕円状の貫通孔319も貫通されている。上記のように構成される金属プレート315は、スライド部材350をスライド部材収納空間306に収納した後、それぞれの貫通孔316〜320がそれに対応する部材302,303,305,313,352を貫通あるいは一致させるように発射ベース枠301に密着させてビス止めすることにより発射ベース枠301に固定されるものである。
金属プレート315が取り付けられた発射ベース枠301の揺動片用ボス313の先端部分が貫通孔320から頭を出しているが、その頭の部分に揺動片321の軸穴322が挿通されて、揺動片321が下端を中心にして揺動自在に軸支される。揺動片321は、図51に示すように、縦長杆状に形成され、その下端に前記軸穴322が形成され、その中程にスライド部材350の連結凸部352が挿入されるやや縦長穴形状の連結穴323が形成されている。そして、その連結穴323より上方の前方面がスライド杆326の一端(後端)と当接する当接部324となっている。しかして、揺動片321を揺動片用ボス313に挿通し、且つ貫通孔319から頭を出しているスライド部材350の連結凸部352に連結穴323を挿入してワッシャ付きピン325を連結凸部352に止着することにより、揺動片321が発射ベース枠301に取り付けられる。そして、取り付けられた揺動片321は、スライド部材350のスライドに伴って下端を中心にしてその上方部分が揺動するようになっている。
また、金属プレート315の上部前面には、横長杆状のスライド杆326が左右方向にスライド可能に取り付けられる。即ち、スライド杆326の後方上部に突設されるL字状の案内係止片327を金属プレート315の貫通孔318aに貫通係合させ、スライド杆326の前方に形成される案内長孔329に止めネジ331を有する案内ブッシュ330を貫通させて止めネジ331を止め穴312に止着する。上記した案内係止片327と貫通孔318a、及び案内長孔329と案内ブッシュ330とにより、スライド杆326が金属プレート315を介して発射ベース枠301にスライド可能に装着される。また、スライド杆326には、その一端(後端)に上述した揺動片321の当接部324と当接する被当接部328が形成され、その他端(前端)に付勢バネ333の一端の係止輪334を掛け止めるためのバネ係止部332が突設されている。
金属プレート315が取り付けられた発射ベース枠301の軸受筒302が貫通孔316から突出しているが、その軸受筒302には、打球槌336の軸受338が抜け落ちないように嵌合されている。軸受338の軸には、打球槌336の下端部が固着されると共に同時にベース板339が固着される。ベース板339には、その前方裏面側に前記作動片308と当接する作動片当接部342が突設され、その前方前面に付勢バネ333の他端の係止輪335を掛け止めるためのバネ係止部341が突設され、さらにその後方前面に発射モータ344のモータカム346と係脱するモータ当接突片340が突設されている。打球槌336の上端には、合成樹脂製の槌先337が固着されており、この槌先337が発射レール164の下端部とその上方に固着される発射位置ストッパー359とによって形成される発射位置に突入するように臨んでいる。
一方、発射ベース枠301の前述したモータ取付ボス311には、モータカバー343に収納された発射モータ344が取り付けられる。より具体的には、図52(B)に示すように、モータカバー343は、内部に発射モータ344を収納するように形成された円筒部と、該円筒部の前方に拡大して前記モータ取付ボス311に取り付けるための取付固定穴348が形成される取付部と、が一体的に形成され、円筒部の内部に収納される発射モータ344のモータ軸345の先端に逆回転防止カム347とモータカム346とが固定されている。逆回転防止カム347の外周には、多数の逆歯が形成されており、ストッパー片取付ボス349aに揺動自在に固定されるストッパー片349(図53参照)と係合して発射モータ344の逆方向の回転を防止している。これは、モータカム346が逆方向に回転してモータカム346とモータ当接突片340とが噛み合って打球発射装置300の駆動できなくなる故障が発生しないように防止するためである。また、モータカム346は、勾玉状に形成されており、発射モータ344の回転に伴いモータ当接突片340と係脱しながら打球槌336を往復動作させる。なお、モータカバー343をモータ取付ボス313に取り付けたときには、図50(A)に示すように、打球発射装置300の主たる構成が後面から見て被覆されたような状態となっている。
ところで、前述したスライド部材収納空間306に収納されてスライド移動するスライド部材350は、図55に示すように、後方が開放した直方体状に形成され、その前面に楕円形状の楕円凸部351が突設され、さらに該楕円凸部351の後方位置に円形状の連結凸部352が突設されている。また、上面及び下面には、スライド部材収納空間306内をスライドし易いように断面円弧状のスライド用当接突部353がその両端に突設されている。一方、直方体状に形成されるスライド部材350の空間は、前記扉枠5の裏面下部に設けられるジョイントユニット90のスライド突片102が挿入される挿入空間354となっている。しかして、この挿入空間354は、スライド方向前方の側壁手前側に第1傾斜面355が形成されると共に、その第1傾斜面355のやや後方寄りに上面及び下面の内側から内部に向かって突設され且つ相互の先端間に所定の間隔が形成される挟持片356が形成されている。挟持片356の手前側にも奥に向かって側方視でハ字状に傾斜する第2傾斜面357も形成されている。しかして、スライド突片102が挿入空間354に挿入された状態では、図55(B)に示すように、スライド突片102の傾斜辺103側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片356の間に挿入された状態となっている。なお、スライド部材350の挿入空間354の側方に空間部358が形成されているが、この空間部358は、特に機能を奏しているわけではない。
しかして、上記のように構成されるスライド部材350は、スライド部材収納空間306に収納された状態で、図52(A)に示すように、スライド部材収納空間306の底面に形成される楕円形状の連結開口314に挿入空間354が臨むように形成されていると共に、スライド部材350がスライド部材収納空間306の一方の空間内壁に当接した状態(図52(A)では左の空間内壁に当接しているように図示されているが、通常の状態では右の空間内壁に当接した状態となっている。)となっている。
そこで、まず、スライド部材350と打球発射装置300の付勢バネ333の強弱を調整する関係について説明すると、スライド部材350がスライド部材収納空間306の内部の初期位置(図52(A)において右の空間内壁に当接した位置)にあるときには、図53に示すように、該スライド部材350の連結凸部352に連結された揺動片321がほぼ垂直状態となっている。このため、揺動片321と当接しているスライド杆326も付勢バネ333の付勢力により一方向(図53において左側方向)に付勢された状態で揺動片321の当接部324とスライド杆326の被当接部328とが当接した状態となっている。この状態では、付勢バネ333が張力されていないので、打球槌336が発射モータ344の回転に従動して往復回動しても、打球槌336の復帰力も弱く、発射位置にある打球が弾発されても遊技盤4の遊技領域255に到達することはない。
一方、スライド部材収納空間306の内部をスライド部材350が初期位置から他方方向に移動したとき(図52(A)において左の空間内壁方向に向かって移動したとき)、図54に示すように、揺動片321が下端の軸穴322を軸として揺動して傾動するため、当接部324と被当接部328との当接によりスライド杆326が他方向(図54において右側方向)に向かってスライド移動する。すると、スライド杆326のバネ係止部332に係止されている付勢バネ333も張力されて伸びた状態となる。この状態では、付勢バネ333が張力されているので、打球槌336が発射モータ344の回転に従動して往復回動したときの打球槌336の復帰力が強くなり、発射位置にある打球が強く弾発されて遊技盤4の遊技領域255に到達する。そして、この打球の弾発力の強弱は、スライド部材350のスライド部材収納空間306内でのスライド量に応じて調整することができる。
上記したように、スライド部材350を移動させることにより、打球発射装置300による弾発力を調整することができるが、このスライド部材350の移動は、前述したハンドル装置70の操作ハンドル部71の回動操作部材74の回動操作に応じて移動するジョイントユニット90のスライド体93の移動と連動するようになっている。この点について図27、図28、図32、図33を参照して説明する。
前述したように、ハンドル装置70の操作ハンドル部71の回動操作部材74を回転させることにより、回転軸75の先端に固着される勾玉状のカム76も回転するため、ジョイントユニット90のスライド体93が収納体91の内部を一方向(図33において左方向)に向かってスライド移動する。このため、スライド体93の前面に突設されるスライド突片102も同じ方向にスライド移動することになる。スライド体93のスライド突片102は、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態では、本体枠5の発射装置取付部169に形成される連結開口314を貫通してスライド部材350の挿入空間354に挿入されるようになっている。この場合の挿入状態は、前述したようにスライド突片102の傾斜辺103側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片356の間に挿入された状態である(図33(A)に示す状態)。したがって、スライド突片102が一方向に向かってスライド移動すると、スライド部材350も同一方向に向かってスライド移動することになる。図面で言えば、図33(A)に示す状態から図33(B)に示す状態になる。このとき、前述したように、スライド部材350のスライド移動に伴ってスライド杆326もスライド移動するので、付勢バネ333の付勢力を調整することができる。つまり、ハンドル装置70の回動操作部材74を回動操作することにより、打球発射装置300の打球の弾発力を調整することができるものである。
ところで、本実施形態においては、ハンドル装置70が扉枠5に設けられ、打球発射装置300が本体枠3に設けられているので、扉枠5を開閉する毎にハンドル装置70のスライド突片102と打球発射装置300のスライド部材350とが連携したり離れたりすることになる。しかし、本実施形態においては、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を閉じることにより、スライド突片102がスライド部材350の挿入空間354に自動的に挿入されてハンドル装置70と打球発射装置300とが連携され、逆に、本体枠3に対して扉枠5を開放することにより、スライド突片102が挿入空間354から離れてハンドル装置70と打球発射装置300とを分離することができるので、極めて簡単に扉枠5の開閉に伴ってハンドル装置70と打球発射装置300との連携・分離を行うことができる。特に、スライド突片102が挿入空間354に挿入される際には、スライド突片102の位置が上下方向に多少ずれていても、挿入空間354内に突設される挟持片356の第2傾斜面357によってスライド突片102がスムーズに挟持位置に挿入されるようになっている。
また、時として、操作ハンドル部71の回動操作部材74に遊技者が詰め物を詰めてある程度回動した位置で固定している場合があるが、遊技場の店員がその詰め物を知らずに扉枠5を開閉する場合がある。このような場合でも、扉枠5を開放する場合には、単にスライド突片102が挿入空間354から離れるだけであるので問題はないが、扉枠5を閉める場合に、図33(C)に示すように、スライド突片102の位置が多少一方向にずれた状態(図33の左側にずれた状態)となっているものの、スライド突片102の傾斜辺103とスライド部材350の第1傾斜面355との協働作用により、扉枠5の閉止動作に伴ってスライド部材350を一方向に移動させながら最終的にスライド突片102とスライド部材350とが係合するようになっている。つまり、本実施形態においては、操作ハンドル部71の回動操作部材74がどのような回動位置で固定されていても、操作ハンドル装置70と打球発射装置300との連携を行うことができるものである。
[1−6.賞球タンク]
次に、本体枠3の裏面上部に取り付けられる賞球タンク400について、主として図56を参照して説明する。図56は、賞球タンク400の斜視図(A)、平面図(B)、側面図(C)である。賞球タンク400は、前述したように、本体枠3の裏面上部に形成されるタンク取付溝200(図37参照)に着脱自在に取り付けられるものである。しかして、賞球タンク400は、長方形状の箱状に形成され、パチンコ遊技機1の正面側から見て、その前面壁400aに切欠部401が形成され、その底面が一方から他方に傾斜する第1傾斜底面402と次に説明する排出口404に向かって傾斜する第2傾斜底面403とによって形成されている。また、その第2傾斜底面403の傾斜下端に排出口404が形成されるが、この排出口404は、パチンコ遊技機1の正面側から見て賞球タンク400の後面壁400bよりも外側に突出するように形成されている。また、賞球タンク400の前面壁400aの両端外側には、前記タンク取付溝200と係合する取付鍔部407が形成されていると共に、賞球タンク400の底面の裏面側に本体枠3の前記第4側面壁193に載置当接する載置当接片405,406が突設され、さらに、賞球タンク400の上流側の後面壁400bの下部に後述する球ならし部材413を取り付けるための球ならし取付軸409が突設されている。また、排出口404を除く賞球タンク400の後面壁400b及び上流側側壁には、球の跳ね飛びを防止するための溢れ防止部材408が着脱自在に取り付けられるようになっている。
上記のように構成される賞球タンク400においては、本体枠3のタンク取付溝200に対して取付鍔部407を上方から差し込むように取り付け、載置当接片405,406を本体枠3の第4側面壁194に当接させる。これによって、賞球タンク400が本体枠3の裏面側上部に載置して取り付けられるが、この取り付けられた状態においては、図41に示すように、前面壁400aの切欠部401と本体枠3の裏面に形成された逃げ凹部201とが連通し、また、図5に示すように、排出口404が次に説明するタンクレール部材410の上流端部に臨むようになっている。したがって、賞球タンク400において、球を貯留する貯留部(第1傾斜底面402及び第2傾斜底面403に対応する貯留空間部分)の前後方向の幅は、本体枠3の第2側面壁191〜第4側面壁193までの前後方向の幅とほぼ同じとなるように形成されると共に、それらの側面壁191〜193までの上部に載置されるようになっている。しかして、前述したように、本体枠3の第1側面壁190〜第4側面壁193は、遊技盤4の周辺部の後方突出空間を覆うように深く形成されているので、その側面壁191〜193の上部に載置される賞球タンク400の貯留部の深さは、従来の貯留タンクにくらべて浅く形成されているものの、賞球が貯留されて重量が増加しても賞球タンク400の全体を本体枠3の側面壁192〜193で支持しているので、傾斜底面402,403が変形することなく貯留された球をスムーズに排出口404に導くことができる。また、排出口404が賞球タンク400の後面壁400bから外側に外れた位置に設けられているため、貯留部に貯留された球の流れが第2傾斜底面403から外側に向かって流れるように構成されている。このため、従来のように傾斜底面の一部に開口を設けて排出口としていた賞球タンクに比べて、排出口近傍の貯留部に球詰まり解消のための球崩し部を突出形成することなく球詰まりが発生し難い構造とすることができる。
そして、本実施形態においては、前述したように、遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁191〜193の上部外側に賞球タンク400の貯留部が載置された状態で、しかも、賞球タンク400の排出口404が貯留部の後面壁400bよりも外側に突出して設けられているため、タンクレール部材410が賞球タンク400の貯留部の外側(パチンコ遊技機1の正面から見て奥側)に位置して、タンクレール部材410と賞球タンク400の貯留部とが上下方向に重複しない位置となっているので、遊技盤4の裏面に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁191〜193の上辺を本体枠3の上辺に近い位置で後方に向って突出させることができ、これにより、遊技装置の後方突出部が遊技盤4の上辺部で突出していても後側面壁191〜193の内部に楽に収納することができる。
更に、賞球タンク400の貯留部が遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁191〜193の上部外側に載置されているか否かに関係なく、排出口404が賞球タンク400の後面壁400bから外側に外れた位置に設けられているという構成だけで従来の賞球タンクにはない独特の効果を奏するものである。これについて図57を参考にして説明する。図57は、従来の賞球タンク(A),(B)と本実施形態に係る賞球タンク(C)との排出口部分における球の圧力状態を示す平面図である。図において、通常時、賞球タンク400に貯留される球は、賞球タンク400の貯留部に貯留されて滞留した状態となっている。この場合、従来の賞球タンクのように貯留部の傾斜底面の一部を開口して排出口404Aを形成している場合、例えば、図57(A)に示すように、球崩し部400Bと反対側に排出口404Aが形成された賞球タンクや、図57(B)に示すように、球崩し部400Bに隣接して排出口404Aが形成されている場合には、排出口404Aの部分では、貯留された球の圧力とその圧力に基づく賞球タンクの側壁からの反作用により、常に排出口404A部分に四方から球圧がかかった状態となっている。このため、たまたま球の重合具合によって球同士の圧力が釣り合い、下流側の球が流れ出ても、排出口404A部分で球噛み状態が発生し球詰まりが発生することがあった。これに対し、本実施形態に係る賞球タンク400では、排出口404が賞球タンク400の後面壁400bから外側に外れた位置に設けられているので、図57(C)に示すように、排出口404部分における貯留された球の圧力は、貯留部から排出口404方向に向かう作用力とその反作用だけの二方向からの圧力であり、従来のように四方から圧力を受けるわけではない。このため、下流側の球が流れ出ても、排出口404部分における球噛み状態が発生し難く、球詰まりが発生しないという優れた効果を奏することができる。
[1−7.タンクレール部材]
上記した賞球タンク400の下方に配置されるタンクレール部材410について主として図58乃至図61を参照して説明する。図58は、賞球タンク400、タンクレール部材410、球通路ユニット420、賞球ユニット450、及び満タンユニット520の関係を示すパチンコ遊技機1の背面側から見た斜視図であり、図59は、賞球タンク400、タンクレール部材410、球通路ユニット420、賞球ユニット450、及び満タンユニット520の関係を示すパチンコ遊技機1の正面側から見た斜視図であり、図60は、タンクレール部材410の下流部と球通路ユニット420の上流部との関係を示す断面図(A)と平面図(B)である。
タンクレール部材410は、前述したように、本体枠3の上後面壁195のレール係止溝203,204(図35参照)に着脱自在に取り付けられるものである。そのため、タンクレール部材410には、その後面側の側面の左右辺及び下辺にレール係止溝203に上から差し込まれる複数の係止突片418が突設されると共に、その後面側側面の上辺中央にレール係止溝204に上から掛け止められる鉤状の係止突片419が突設されている。しかして、タンクレール部材410は、上面が開放した傾斜樋状に形成され、その上流端上面が賞球タンク400の排出口404に臨み、その下流端下面が後に詳述する球通路ユニット420に臨んでいる。また、タンクレール部材410の内部は、図5に示すように仕切壁411によって球が2列に整列して流下する通路412となっている。なお、通路412の底面は、細溝が切り欠けられており、通路412を球と一緒に転動する異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、通路412の側壁には、静電気を除去するための金属板(図示しない)が貼付されており、この金属板の下流端が前述したアース線接続具207(図35参照)に接続されている。このため、タンクレール部材410を流下する球に帯電していた静電気が金属板からアース接続具207を介して後述する電源基板686のアース用コネクタ690(図96参照)を経て外部にアースされるようになっている。
また、タンクレール部材410の中流域のやや下流側に重錘を有する卵形状の球ならし部材413が揺動自在に設けられている。この球ならし部材413は、前述した賞球タンク400の球ならし取付軸409に揺動自在に軸支されるものであり、タンクレール部材410の2列のそれぞれの通路412内に向かって垂下され、各通路412を流下する球が上下方向に複数段で流下してきたときに1段となるように整流するものである。また、球ならし部材413の設置位置より下流側のタンクレール部材410の上面が球押え板414によって被覆されている。この球押え板414は、球ならし部材413によって1段とならなかった球を強制的に1段とするように傾斜円弧状に形成されるものである。更に、タンクレール部材410の下流端部には、それぞれの通路412に臨んで一対の整列歯車416が軸ピン417によって回転自在に軸支されている。この整列歯車416は、外周に複数の歯が形成され、一対の整列歯車416の歯のピッチが半ピッチずつずれるようにして軸ピン417に固定されている。このため、タンクレール部材410の各通路412を流下してきた球の上部が整列歯車416の歯と噛み合いながら下流側に流下するときに2列の通路412の球が交互に1つずつ送られることになる。この場合、図60に示すように、各通路412を流れてきた球は、整列歯車416と噛み合いながら2列の通路412の下部に形成される傾斜面412aに沿って中央方向に誘導され、その誘導中に次に説明する球通路ユニット420の球落下通路422の上端入口422dに2列の通路412からの球を交互に一列状にして落下するようになっている。なお、整列歯車416は、その上面を円弧状の歯車カバー415によって被覆されている。
[1−8.球通路ユニット]
上記したタンクレール部材410から一列状に落下される球を賞球ユニット450に導くための球通路ユニット420について、主として図61乃至図65を参照して説明する。図61は、本体枠3と球通路ユニット420及び賞球ユニット450との関係を示す分解斜視図であり、図62は、球通路ユニット420及び賞球ユニット450との関係を示す背面図であり、図63は、球通路ユニット420の背面から見た斜視図であり、図64は、球通路ユニット420の正面図であり、図65は、球通路ユニット420と賞球ユニット450との連結構造を説明するための側面図である。なお、図62及び図63において、賞球ユニット450部分は、ギヤカバー510、アルミ放熱板491、ユニットサブ板475が削除され、ユニットベース体451に形成された球通路部分をわかりやすく描いたものである。ただし、ギヤ等については、球通路との関係を理解し易くするため、一点鎖線で示してある。
球通路ユニット420は、ほぼ長方形状の板材の裏面(背面から見える面を表面という。)に屈曲した一対の屈曲通路壁421によって球落下通路422が形成されている。この球落下通路422は、図60(A)に示すように、その上流が前後方向(背面から見て奥行方向)に屈曲する前後屈曲通路部422aと、該前後屈曲通路部422aに連通して左右方向(背面から見て左右方向)に屈曲する左右屈曲通路部422bと、該左右屈曲通路部422aに連通してほぼ垂直状となっている垂直通路部422cとからなっている。前後屈曲通路部422aは、図60(A)に示すように、上述したタンクレール部材410から落下する上端入口422dの位置が前述したように2列の通路412のほぼ中央であるため、本体枠3の上後面壁195及び右後面壁196の表面から背面側に離れた位置となっているので、前後屈曲通路部422aと右後面壁196に突設される前記賞球案内突起211とによって球落下通路422を右後面壁196の表面に近い位置とするように前後方向に屈曲するものである。また、左右屈曲通路部422bは、図64に示すように、タンクレール部材410から前後屈曲通路部422aを落下してきた球の勢いを弱めるために球通路ユニット420のほぼ横幅一杯にコ字状に屈曲して形成されるものである。更に、垂直通路部422cもほぼ垂直状に形成されているものの若干緩やかに湾曲して形成され、その垂直通路部422cを構成する一方の屈曲通路壁421に切欠部423が形成され、その切欠部423に上端が支軸425によって軸支される球切れ検出片424が揺動自在に取り付けられている。この球切れ検出片424の側方には、球切れスイッチ426が取り付けられ、球切れスイッチ426のアクチュエータ427が球切れ検出片424に当接している。
しかして、垂直通路部422cに球が存在しているときには、垂直通路部422cに存在する球によって球切れ検出片424が押圧されてアクチュエータ427を押して球切れスイッチ426をONとするが、垂直通路部422cに球詰まりや球欠乏により球が存在しなくなると球切れ検出片424が垂直通路部422c内に向かって揺動するので、アクチュエータ427が球切れスイッチ426をOFFとする。球切れスイッチ426がOFFになると、後述する賞球ユニット450の払出モータ465の回転が停止して賞球の払出が停止されるようになっている。なお、切欠部423の下端部には、球切れ検出片424の通路部と反対側への過剰な揺動を防止するためにストッパー突起428が形成されており、また、球通路ユニット420の球切れ検出片424に対応する垂直通路部422cに球詰まり用挿入溝429が形成されている。この球詰まり用挿入溝429は、球詰まり等で球切れ検出片424の揺動動作が行われ難い場合に、球通路ユニット420の後面側からピンを差し込んで球切れ検出片424部分の球詰まりの解消を図るために設けられるものである。更に、球切れ検出片424に対面する他方の屈曲通路壁421は、若干球切れ検出片424側に向かって膨出状に形成されている。これは、垂直通路部422cに球が存在しているときに確実に球切れ検出片424を押圧して球切れスイッチ426をONにするためである。
また、球通路ユニット420には、上記した球落下通路422を避けた位置に止め穴430と位置決めボス431とが形成されている。位置決めボス431は、本体枠3の右後面壁196に形成される位置決めピン226に係合されるものであり、止め穴430は同じく右後面壁196に形成される通路ユニット取付ボス212に対応するものである。しかして、球通路ユニット420を本体枠3に取り付けるには、図61に示すように、位置決めボス431を位置決めピン226に係合させながら通路ユニット取付ボス212と止め穴430とを一致させ、その状態で止め穴430からビス432を螺着することにより行うことができる。更に、球通路ユニット420には、その一側中程にカバー体750の係合片752(図3参照)と係合するカバー体係合溝433が形成されていると共に、下部に賞球ユニット450と連結するための連結蓋部材434が回動自在に設けられている。
連結蓋部材434は、図63に示すように、長方形状の板材の裏面に円弧状に突設される一対の通路壁438を突設することにより構成されており、球通路ユニット420の下部表面の左右両端部に突設される軸支部としての支持突片435に、連結蓋部材434の両端部から延びる支持片436の先端に突設される回転軸部としての突起軸437を嵌合することにより回動自在に軸支されるものである。また、連結蓋部材434は、閉じることにより球通路ユニット420の下方に延長されて通路壁438によって形成される通路と球落下通路422の下流端部とが連通した状態(図65(B)に示す状態)と、開放することにより通路壁438によって形成される通路と球落下通路422の下流端部とが連通しない状態(図65(A)に示す状態)と、に回動し得るが、開放した状態から閉じた状態に移行する際に、連結蓋部材434の支持片436を案内する案内突起439が球通路ユニット420の後面下端部に突設されている。
しかして、球通路ユニット420を本体枠3の右後面壁196に固定した状態で、しかも、後述するように賞球ユニット450を同じく右後面壁196に装着した状態(図65(A)に示す状態)で、連結蓋部材434を閉じて賞球ユニット450に設けられる係止弾性爪470によってその後面を係止することにより、球通路ユニット420の球落下通路422と賞球ユニット450の屈曲通路453とを通路壁438にて連通して、球通路ユニット420の球落下通路422を落下する球を賞球ユニット450の屈曲通路453に導くことができるものである。このように球通路ユニット420に回動自在な連結蓋部材434を設けた理由は、後述するように賞球ユニット420を本体枠3に対して着脱自在に装着し易くすることと、その着脱自在に装着したことに起因して球通路ユニット420と賞球ユニット450との間に形成される空間が球のスムーズな落下を阻害しないようにするためである。
[1−9.賞球ユニット]
次に、上記した球通路ユニット420の下流側に配置される賞球ユニット450について、主として図66乃至図69を参照して説明する。図66は、賞球ユニット450の背面側から見た分解斜視図であり、図67は、払出モータ465と払出部材としてのスプロケット457との関係を説明するための背面図であり、図68は、賞球ユニット450の通路と駆動関係を説明するための背面図であり、図69は、図68のA−A断面図である。
図66において、賞球払出機構としての賞球ユニット450は、一対の屈曲通路壁452によって球通路を構成する屈曲通路453、賞球通路460、及び球抜通路461が形成されるユニットベース体451と、該ユニットベース体451の後面を覆うユニットサブ板475と、該ユニットサブ板475の上部表面(後面側)に取り付けられる賞球ユニット内中継端子板480と、前記ユニットサブ板475のほぼ中央表面領域(後面側領域)に設けられるギヤ群493,494,497及び検出円盤500(回転伝達部材)を被覆するギヤカバー510とから構成されている。以下、これらの構成を順次説明する。
ユニットベース体451は、ほぼ長方形状の板状(この板部分を「底面」という場合がある。)に形成され、その板状のユニットサブ板475側に向かって突設される一対の屈曲通路壁452によって屈曲通路453が形成されている。屈曲通路壁452は、ユニットベース体451の上部中央から下流側のほぼ中程まで球の直径よりもやや大きな間隔で突設されるが、その中程から下流側に大きく左右に分かれて中程から下流端までユニットベース体451の両端辺の側壁を兼ねている。また、中程の屈曲通路壁452が大きく左右に分かれた部分は、球送り回転体としてのスプロケット457が配置される振分空間455を構成し、その振分空間455の下部からユニットベース体451の下流端までに左右に分かれた前記屈曲通路壁452の対をなすように通路区画壁459が突設形成されている。つまり、中程から下流側の左右の屈曲通路壁452と通路区画壁459とによって振分空間455から左右に2つの通路が構成されることなり、一方の通路が賞球通路460を構成し、他方の通路が球抜通路461を構成している。なお、通路区画壁459も左右に大きく分かれており、その分かれた通路区画壁459の内側に払出モータ465を収納するモータ収納空間464が形成されている。即ち、払出モータ465は、球通路(屈曲通路453、賞球通路460、球抜通路461)を避けた位置であって当該球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間464に収納固定される。なお、屈曲通路453は、該通路453内に停留する球のスプロケット457への圧力を弱めるために蛇行状に形成されて振分空間455に到達しているが、その振分空間455の上流側の底面に楕円形状の開口454が形成されている。この開口454は、屈曲通路453内に入った小さなゴミ等を貯留するもので、賞球ユニット450を本体枠3から取り外したときに溜まったゴミ等を取り出すことができるようになっている。
また、上記した振分空間455には、外周に球が嵌り合う複数(図示の場合は、3つ)の凹部が形成された払出部材としてのスプロケット457が回転自在に配置されるが、このスプロケット457が固定される回転軸458の他端を軸支する軸受筒456が振分空間455の底面に形成されている。また、振分空間455の底部を構成する通路区画壁459の上端部は、スプロケット457の回転円弧に沿った凹円弧状に形成され、その一方に形成される賞球通路460の上流部には、計数スイッチ462が着脱自在に装着されている。計数スイッチ462は、先端部に球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、その後端部の形状と合致する取付部を屈曲通路壁452で形成することにより、簡単に着脱自在に取り付けられるものである。なお、計数スイッチ462からの配線(図示しない)は、後述する賞球ユニット内中継端子板480に接続されるようになっている。更に、賞球通路460を構成する屈曲通路壁452の下流側には、ユニットサブ板475と一体的に形成される通路蓋板部509に形成される係止部509aと係合する係止爪463が複数形成されている。ただし、複数の係止爪463のうち、通路蓋板部509の下端の一方の係止部509aと係合する係止爪463は、通路区画壁459側に形成されている。
また、ユニットベース体451の下方であって賞球通路460と球抜通路461との間には、払出モータ465を収納する円形状のモータ収納空間464が形成されるが、このモータ収納空間464の内部に払出モータ465の円筒状本体が収納されるようになっている。ただし、払出モータ465は、その前面に形成される一対の取付片466によってユニットサブ板475の下方に取り付けられるアルミ放熱板491の裏面側にビス467で固着されるようになっている。そして、払出モータ465がユニットサブ板475のアルミ放熱板491に取り付けられた状態で、払出モータ465のモータ軸468は、アルミ放熱板491に穿設された軸挿通穴492を貫通して第1ギヤ493が固着されるようになっている。また、ユニットサブ板475及びアルミ放熱板491でユニットベース体451の後面側を被覆することにより、上記した屈曲通路453、賞球通路479、及び球抜通路461が形成される奥行幅方向の空間内に払出モータ465の円筒状本体部分も収納配置されることになる。そして、払出モータ465を収納するモータ収納空間464と前述したスプロケット457が配置される振分空間455とが、上下方向の極めて近い位置関係に形成されているため、ユニットベース体451の上下方向の長さを短くすることができ、結果的に賞球ユニット450のコンパクト化を図ることができる。
更に、ユニットベース体451には、上記した球抜通路461の最下端に球抜きされた球を賞球ユニット450の裏面側に誘導する誘導突片469が突設され、この誘導突片469に誘導された球が後述する球抜接続通路515に誘導されて最終的にパチンコ遊技機1の外部(島台の下方に設けられる回収樋)に放出されるようになっている。また、ユニットベース体451の上部には、前述した球通路ユニット420の連結蓋部材434を係止する係止弾性爪470が突設されると共に、賞球ユニット450を本体枠3の右後面壁196に着脱自在に取り付けるためのボタン挿通係合穴471及び鉤状係合部474と、ユニットベース体451とユニットサブ板475を挟持した状態でギヤカバー510とを連結するための取付ボス473が設けられている。ボタン挿通係合穴471には、ユニットベース体451の上部一側に設けられて棒状の着脱ボタン472が奥行幅方向に摺動自在に取り付けられるものであり、後述するように、その前方先端が本体枠3の右後面壁196に形成されるロック用弾性爪214に対応している。また、ボタン挿通係合穴471の後端面は、図61に示すように、ロック用弾性爪214の先端部が入り込むように凹状となっている。また、鉤状係合部474は、本体枠3の右後面壁196に形成される係合突片215と係合するもので、賞球ユニット450を右後面壁196に押し当てて下方に押下げることにより、鉤状係合部474と係合突片215とが係合するものである。そして、その係合状態においてロック用弾性爪214とボタン挿通係合穴471とが係合するので、賞球ユニット450の上方向の移動ができないようになっている。なお、鉤状係合部474は、ユニットベース体451の上部左右に形成されている。また、ユニットサブ板475を挟持した状態でユニットベース体451とギヤカバー510とを連結するための取付ボス473は、後面側に向かって長く突設され、ユニットサブ板475に穿設される貫通穴508を貫通した後、ギヤカバー510の取付穴511に対応させ、そのギヤカバー510の表面からネジ512を螺着することにより、ユニットサブ板475を挟持した状態でユニットベース体451とギヤカバー510とを連結している。
上記したユニットベース体451を被覆するユニットサブ板475の構成について説明すると、ユニットサブ板475は、ユニットベース体451の屈曲通路453部分と振分空間455部分と賞球通路460部分とを覆う合成樹脂製の板材に払出モータ465が取り付けられると共に球抜通路461の下流部分とを覆うアルミ放熱板491を取り付けることにより構成されている。そして、ユニットサブ板475の合成樹脂板部の表側(後面側)には、賞球ユニット内中継端子板480を取り付けるための中継基板領域476が上部に形成され、その下方に複数のギヤ493,494,497や検出円盤500が取り付けられるギヤ領域490が形成されている。中継基板領域476は、ほぼ正方形状に形成され、その正方形状に沿って賞球ユニット内中継端子板480を載置する載置リブ477が突設され、その一側垂直辺の上下に後述する基板カバー485の係合突起486と係合する係合溝部478が形成され、その他側垂直辺の中央に基盤カバー485の係止突部487と係合する係止爪部479が形成されている。また、中継基板領域476には、着脱ボタン472が挿通されるボタン挿通穴484と賞球ユニット内中継端子板480をビス(図示しない)で止着するための取付ボス部482が形成されている。
上記した中継基板領域476に取り付けられる賞球ユニット内中継端子板480は、上述した、計数スイッチ462からの配線を中継する計数スイッチ用コネクタ480a、払出モータ465からの配線を中継する払出モータ用コネクタ480b、後述する回転角スイッチ505からの配線を中継する回転角スイッチ用コネクタ480c、球切れスイッチ426からの配線を中継する球切れスイッチ用コネクタ480d、及び払出モータ465のアース用コネクタ480e、後述する払出制御基板715(図96参照)からの配線(ハーネス)を中継する払出制御基板用コネクタ480f、が設けられており、着脱ボタン472が挿通されるボタン挿通穴483と前記取付ボス部482に対応する取付穴481とが穿設されている。しかして、賞球ユニット内中継端子板480を中継基板領域476の載置リブ477に載置した状態で取付穴481と取付ボス部482とを合致させて図示しないビスで止着することにより賞球ユニット内中継端子板480をユニットサブ板475の表面(後面)に止着することができる。
また、上記のように取り付けられる賞球ユニット内中継端子板480は、基板カバー485によって被覆される。基板カバー485は、ほぼ正方形状の前面側が開放したボックス状に形成され、その一側垂直辺の上下基部に係合突起486と他側垂直辺のほぼ中央側面に係止突部487が形成されている。また、基板カバー485の正方形状の垂直面には、ボタン開口488と接続開口部489とが形成されている。しかして、基板カバー485の係合突起486を中継基板領域476の係合溝部478に差し込んで係合した後、係止突部487と係止爪部479とを係合させることにより、簡単に基板カバー485で賞球ユニット内中継端子板480を被覆することができる。逆に、取り外す場合には、係止爪部479を弾性変形させて係止突部487との係合を解除すると共に基板カバー485を斜め手前側に引いて係合突起486と係合溝部478との係合を解除することができる。なお、基板カバー485を被覆した状態では、ボタン挿通係合穴471に係合されている着脱ボタン472の頭部がボタン挿通穴483,484を挿通してボタン開口488から外部に僅かに臨んでいる。また、賞球ユニット内中継端子板480に接続された配線は、接続開口部489から外部に引き出されるようになっている。
次に、ユニットサブ板475に形成されるギヤ領域490に設けられるギヤ493,494,497、及び検出円盤500について説明する。前述したように、払出モータ465のモータ軸468の先端は、ユニットサブ板475のアルミ放熱板491に穿設される軸挿通穴492を貫通してユニットサブ板475の表面(後面側)に突出しており、その突出した部分に第1ギヤ493(駆動ギヤ、歯数Z1=30)が固着されている。第1ギヤ493の上方には、該第1ギヤ493と噛合する第2ギヤ494(回転伝達ギヤ、歯数Z2=30)がギヤカバー510の裏面(前面側)に一端が圧入され且つアルミ放熱板491に穿設される軸穴496に他端が支持される軸495に回転自在に設けられ、その第2ギヤ494の上方には、該第2ギヤ494と噛合する第3ギヤ497(回転伝達ギヤ、歯数Z3=20)がユニットサブ板475に形成される軸穴499に圧入された軸498に回転自在に設けられている。更に、第3ギヤ497の上方には、該第3ギヤ497と噛合するギヤ部502(従動ギヤ、歯数Z4=34)を有する検出円盤500が前記スプロケット457を軸支する回転軸458に回転自在に設けられている。なお、図69に示すように、モータ軸468の先端部がギヤカバー510に形成される受穴に遊嵌されている。また、回転軸458は、その一端がユニットベース体451に形成される軸受筒456に圧入されて支持され、その他端がギヤカバー510に形成される軸受穴に支持されるものであるが、ギヤ領域490の中央よりやや下方に形成された軸貫通穴514を貫通して振分空間455においてスプロケット457を回転自在に軸支し、ユニットサブ板475とギヤカバー510とによって形成される空間において検出円盤500を回転自在に軸支している。ただし、図69に示すように、スプロケット457の後端部が検出円盤500の中心前面部と係合した状態となっているので、スプロケット457と検出円盤500とは、回転軸458を中心として一体的に回転するようになっている。したがって、払出モータ465が回転駆動すると、その回転が第1ギヤ493、第2ギヤ494、第3ギヤ497、検出円盤500のギヤ部502を介してスプロケット457を回転するように伝達される。
ここで、スプロケット457の回転速度は、第1ギヤ493、第2ギヤ494、第3ギヤ497、検出円盤500のギヤ部502によって、払出モータ465の回転速度を減速したものとなる。この減速比nは、機構学による計算により、第1ギヤ497の歯数Z1(=30)/検出円盤500のギヤ部502の歯数Z4(=34)に設定されている。本実施形態では、払出モータ465は48ステップで1回転する4相ステッピングモータであるため、スプロケット456が1回転するには、払出モータ465が約54ステップ回転することとなる。この場合、払出モータ456は1ステップで7.5度(=360度/48ステップ)回転し、スプロケット456は払出モータ456の1ステップで約6.6度(7.5度×減速比n)回転することとなる。
また、第1ギヤ493、第2ギヤ494、第3ギヤ497、検出円盤500のギヤ部502には、遊び(バックラッシュ)がある。具体的には、(1)第1ギヤ493と第2ギヤ494とのバックラッシュと、(2)第2ギヤ494と第3ギヤ497とのバックラッシュと、(3)第3ギヤ497と検出円盤500のギヤ部502とのバックラッシュと、がある。(1)〜(3)の各バックラッシュの大きさは1.75度であり、(1)〜(3)のバックラッシュの総和は5.25度(1.75度×3)となる。このため、総バックラッシュによるスプロケット457の回転角度は5.25度となり、スプロケット457は定位置で停止(本実施形態では、図67に示したスプロケット457の位置が定位置となる。)していても回転軸458を中心として総バックラッシュの分だけ図67中時計方向又は反時計方向に回転することとなる。
このように、総バックラッシュによるスプロケット457の回転角度(5.25度)は、払出モータ456の1ステップの回転によるスプロケット457の回転角度(約6.6度)に近い。このため、スプロケット457の定位置判定では、その詳細な説明は後述するが、総バックラッシュによるスプロケット457の回転角度(5.25度)を考慮して行われている。
検出円盤500の外周は、ギヤ部502の円よりも一回り大きく形成されており、そのギヤ部502よりも外側に突出している外周部分には、スプロケット457の凹部と同じ数(図示の場合には、3個)の検出切欠501が形成されている。この検出切欠501は、ユニットサブ板475の表面に形成される基板取付部507に挟持支持されるセンサ基板504に設けられる投受光方式の回転角スイッチ505(回転位置検出手段)によって検出されるものである(回転角スイッチ505の検出信号は、コネクタ506と回転角スイッチ用コネクタ480bとを接続する配線を介して賞球ユニット内端子板480に伝わる)。そして、回転角スイッチ505は、払出動作時において所定時間内に検出切欠501の検出個数を検出することにより、スプロケット457が正常に回転しているか否かを監視するためのものである。仮に、回転角スイッチ505により、異常回転が検出されたとき(多くは、スプロケット457による球噛み状態)には、スプロケット457を所定回数正逆回転させて異常状態(例えば、球噛み状態)を解消するものである。なお、実際に払いだされた球の個数は、前述した賞球通路460に設けられる計数スイッチ462によって検出して計数のために使用している。なお、図69に示すように、センサ基板504の他端辺もギヤカバー510に形成される基板取付部507に挟持されるようになっている。
ここで、上述したように、検出切欠501は、スプロケット457の凹部と同じ数の3個であり、検出円盤500の外周に等分(120度ごと)に形成されている。また、払出モータ465は、第1ギヤ493、第2ギヤ494、第3ギヤ497、検出円盤500のギヤ部502を介してスプロケット457の回転となる。払出モータ465が約54ステップ回転することでスプロケット457が1回転するため、検出円盤500(スプロケット457)の各検出切欠501間(120度)の回転は、払出モータ465の18ステップ(=約54ステップ/3)の回転となる。
上述したように、ギヤ領域490に設けられる複数のギヤのうち、第2ギヤ494だけがギヤカバー510側に圧入される回転軸495に回転自在に設けられているところ、ギヤ領域490を覆うギヤカバー510には、前記ユニットベース体451に突設されてユニットサブ板475の貫通穴508を貫通する取付ボス473の先端部に対応する位置に穿設される取付穴511が形成されている。そして、ギヤカバー510側に設けられる第2ギヤ494の歯とユニットサブ板475側に設けられる第1ギヤ493及び第3ギヤ497の歯とを噛み合わせながら、取付穴511と取付ボス473とを一致させた状態でギヤカバー510の後面からネジ512で螺着することにより、ユニットサブ板475を挟持する状態でベースユニット体451とギヤカバー510とが一体的に固定される。また、ギヤカバー510の一側側面には、前記賞球ユニット内中継端子板480に接続される配線(例えば、賞球ユニット内中継端子板480と後述する払出制御基板715とを接続する配線等)を掛け留めて纏める配線処理片513が突設されている。
以上、賞球ユニット450の構成について説明してきたが、ユニットベース体451とユニットサブ板475と賞球ユニット内中継端子板480と基板カバー485とギヤカバー510とを組み付けた状態においては、図69に示すように、払い出すべき球が導かれる屈曲通路453の下方位置に払出モータ465の円筒状の本体部分が収納されるように位置する。また、ユニットベース体451には、球通路(屈曲通路453、賞球通路460、球抜通路461)内に配置されたスプロケット457と、球通路を避けた位置であって球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間464に収納された払出モータ465と、を設け、ユニットサブ板475には、その非閉塞面側に沿って払出モータ465のモータ軸468の回転をスプロケット457の回転軸458に伝達する回転伝達部材(第1ギヤ493、第2,3ギヤ494,497、及び検出円盤500のギヤ部502)を設け、しかも、払出モータ465と屈曲通路453の振分空間455に配置される払出部材としてのスプロケット457とをユニットサブ板475の後面のギヤ領域490に設けられる複数のギヤ493,494,497,500(502)によって回転駆動するように連結した構造となっている。即ち、ユニットベース体451とユニットサブ板475との間に形成される球通路(屈曲通路453、賞球通路460、球抜通路461)の奥行き幅内にスプロケット457と払出しモータ465とを収納し、しかも、スプロケット457と払出しモータ465とを連結する回転伝達部材(第1ギヤ493、第2,3ギヤ494,497、及び検出円盤500のギヤ部502)をユニットサブ板475の非閉塞面側の所定幅内に沿って設けたので、球通路の外側に払出モータやスプロケットの一部を配置したものに比べて、賞球ユニット450を薄型化することができる。また、このような賞球ユニット450は、当該賞球ユニット450内の球通路(屈曲通路453、賞球通路460、球抜通路461)が一条の通路形状で形成されることにより、より一層の薄型化が図られている。即ち、従来のように、払出モータ465を賞球ユニットの前面側又は後面側又は側方側に突出させるものと異なり、本体枠3の右後面枠196の後面側に取り付けたときに、賞球ユニット450のいずれの部分もさらに後方に向かって突出することがない構造とすることができる。なお、図69において、払出モータ465の前端部分がユニットベース体451の後面よりも僅かに突出して構成されているが、この突出部分は、図38に示すように、右後面壁196の下方の切欠開口部218から本体枠3の前方部分に臨むようになっているため、結果的にその突出寸法から右後面壁196の板厚寸法を差し引いた寸法だけ突出する程度となり、右後面壁196よりも前方に向かう突出量は僅かなものとなっている。また、このような構成をとることにより、本実施形態では、賞球ユニット450が取り付けられる本体枠3の右後面壁196と遊技盤4の裏面との間に、遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部分を収納する収納空間を奥行き幅方向で大きくとることができる。
また、上記のように構成される賞球ユニット450を本体枠3の右後面壁196に取り付けるためには、図61に示すように、鉤状係合部474と係合突片215とを対応させて位置合わせした後、賞球ユニット450の下端を係止溝219に掛け止め且つ鉤状係合部474と係合突片215とを係合させるために賞球ユニット450を右後面壁196に密着させたまま下方に押下げる。このとき、賞球ユニット450の下端部と係止溝219とが係合し且つ鉤状係合部474と係合突片215とが係合しているので、取付自体は完了しているが、賞球ユニット450を上方に移動させることにより簡単に上記のそれぞれの係合状態が解除されてしまうため、これを防止するために、ロック用弾性爪214がボタン挿通係合穴471に係合するようになっている。つまり、ロック用弾性爪214とボタン挿通係合穴471とが係合することにより、取付状態で賞球ユニット450の上方への移動を防止している。このように、賞球ユニット450を取り付けた後に、球通路ユニット420の連結蓋部材434を前述したように回動して係止弾性爪470で係止することにより、球通路ユニット420の球落下通路422下流端と賞球ユニット450の屈曲通路453の上流端とを一対の通路壁438によって構成される通路を介して連通化することができる。また、賞球ユニット450を取り付けた状態では、賞球通路460の下流端と後に詳述する満タンユニット520の賞球入口542とが接続され、球抜通路461の下流端が球抜接続通路515の上流端と接続される。
一方、賞球ユニット450を取り外すときは、係止弾性爪470による係合を解除して連結蓋部材434を手前側に回動し、その後、着脱ボタン472を押圧してロック用弾性爪214を前面側に移動させてロック用弾性爪214とボタン挿通係合穴471との係合を解除させ、その後着脱ボタン472を押圧したままの状態で賞球ユニット450を上方に引き上げて賞球ユニット450の下端部と係止溝219との係合及び鉤状係合部474と係合突片215との係合を解除して賞球ユニット450を手前側に引き出すことにより、賞球ユニット450を簡単に取り外すことができる。
[1−10.満タンユニット]
上記した賞球ユニット450の下流側に配置される満タンユニット520について、主として図70乃至図75を参照して説明する。図70は、賞球ユニット450と満タンユニット520との関係を示す斜視図であり、図71は、満タンユニット520の分解斜視図であり、図72は、満タンユニット520内の球の流れを示す斜視図であり、図73は、満タン揺動板531の作用を説明するための平面図であり、図74は、満タンユニット520とファール口257との関係を示す一部破断斜視図であり、図75は、同じく満タンユニット520とファール口257との関係を示す断面図である。
満タンユニット520は、前述したように本体枠3の満タンユニット載置部180に載置固定されるものであり、図71に示すように、上面が開放したボックス状に形成されるボックス主体521と、該ボックス主体521の上面を覆う蓋体541とから構成されている。ボックス主体521は、賞球通路460の下流端から流入した球が内部をジグザグ状に誘導されて出口536から排出されるようになっている。このため、その上流部に蓋体541に形成される賞球入口542から流入した球を一端から他端に向かって側方に誘導する側方誘導通路522が区画壁526によって形成されている。側方誘導通路522の賞球入口542の直下の一端部には、球を側方に向かって誘導するように凹円弧状に形成される側方誘導受部523が設けられ、側方誘導通路522の他端内面に側方誘導通路522を流れてきた球の衝撃を受け止めて該球を下流側に誘導する緩衝部材524が設けられている。
また、側方誘導通路522の他端内面に設けられる緩衝部材524に衝突した球は、向きを下流側に変えた後、その下流側に形成される傾斜側壁527によって側方誘導通路522の球の流れと逆方向に流れるように誘導される。つまり、区画壁526と傾斜側壁527とにより逆側方誘導通路525が形成されている。逆側方誘導通路525を流れた球は、その後前方に向かって形成される前方誘導通路535に導かれて該前方誘導通路535の流下端に形成される出口536から前述した貯留皿30の賞球口39に導かれる。
ところで、前記緩衝部材524の下流側で逆側方誘導通路525の一端部には、スイッチ収納空間528が外側に突出するように形成されている。このスイッチ収納空間528の前方下部位置には、支軸ピン529が突設され、該支軸ピン529に満タン揺動板531の軸穴533が挿通されて満タン揺動板531が揺動自在に設けられている。満タン揺動板531は、逆側方誘導通路525の一端側壁を形成するように板状に形成され、その板状の下端に軸穴533が形成されると共にその裏面に検出片532が一体的に形成されている。検出片532は、満タン揺動板531の裏面に連結される扇状の連結板の後端部分を上下方向に突設することにより形成され、その突設した検出片532が後に詳述する投受光方式の満タンスイッチ545の投光器と受光器との間を遮蔽したり導通させたりすることにより満タンスイッチ545のON・OFFを検出するようになっている。なお、支軸ピン529には、軸スプリング530も挿通され、その軸スプリング530の一端が満タン揺動板531の裏面に係止され、他端が支軸ピン529の後方に立設されるバネ係止ピン549に係止されることにより、満タン揺動板531の上端部が常時逆側方誘導通路525側に付勢されている。ただし、スイッチ収納空間528の上部には、側方誘導通路522の他端側壁の下流側延長位置とその後方位置とに2つのストッパー片534が形成されているため、満タン揺動板531の上端部は、この2つのストッパー片534の間で支軸ピン529を中心にして揺動するだけである。なお、スイッチ収納空間528の上部側壁の後方部分には、満タンスイッチ545からの配線546を外部に引き出すための配線引き出し凹部547が形成されている。
更に、逆側方誘導通路525の下流側の一側方にファール球通路537が形成されている。ファール球通路537は、その上流側のファール球入口538が図74に示すように、前述したファール口257に連通し、その下流側が前方誘導通路535の上流側に連通するように屈曲して形成されている。このため、ファール口257に取り入れられたファール球は、ファール球入口538から屈曲したファール球通路537を通って前方誘導通路535に導かれ、さらに出口536及び賞球口39を通って貯留皿30に戻される。
また、ボックス主体521には、前記出口536の両側方と前記ファール入口538の一側方に前記満タンユニット載置部180に形成されるユニット係合溝181に係合される係合片539が突設されると共に、蓋体541に形成される掛止片548と係合する掛止突起540が形成されている。この掛止突起540は、ボックス主体521の左右後方の側壁上部に適宜形成されている。
一方、蓋体541は、ボックス主体520の側方誘導通路522、逆側方誘導通路525、スイッチ収納空間528、前方誘導通路535、及びファール球通路537の上面を覆うような板形状に形成され、前記側方誘導通路522に上流端に対応する位置に正方形状の賞球入口542が開口されている。また、スイッチ収納空間528に対応する位置には、投受光方式の満タンスイッチ545を取り付けるためのスイッチ取付部543が形成されている。満タンスイッチ545のスイッチ取付部543への取り付けは、蓋体541の下面から満タンスイッチ545の形成される係止爪をスイッチ取付部543の係止部に係止させることにより簡単に取り付けるようになっている。更に、蓋体541の周囲には、ボックス主体521の前記掛止突起540と係合するための掛止片548が下方に向かって突設されている。
上記のように構成される満タンユニット520においては、図72に示すように、賞球ユニット520の賞球通路460から払出された球が賞球入口542から側方誘導通路522の上流側に入って側方誘導受部523によって側方に向かって誘導されて緩衝部材524に衝突する。緩衝部材524に衝突した球は、そのまま下流側に向かって傾斜側壁527に当たって逆側方誘導通路525を前記側方誘導通路522の誘導方向と逆方向に誘導されて前方誘導通路535に導かれ、前方誘導通路535の出口536から賞球口39を通って貯留皿30に導かれる。また、ファール球入口538から入ったファール球も屈曲したファール球通路537によって球の勢いを弱められて前方誘導通路535に合流し、前方誘導通路535の出口536から賞球口39を通って貯留皿30に導かれる。
上記のように、満タンユニット520内を球が自然に流れているときには、図73(A)に示すように、側方誘導通路522から逆側方誘導通路525に球が移動するときに、緩衝部材524に当たって傾斜側面527のほぼ中央位置に向かって反射されるため、球が満タン揺動板531に当たることはほとんどない。このため、軸スプリング530の付勢力により満タン揺動板531の上端が前方のストッパー片534に当接した状態となっているため、検出片532が投受光方式の満タンスイッチ545の投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、貯留皿30に賞球が貯留されて満タンユニット520内にも球が充満してきたときには、図73(B)に示すように、前方誘導通路535及び逆側方誘導通路525に貯留された球の圧力により満タン揺動板531が軸スプリング530の付勢力に抗して時計回転方向に揺動して後のストッパー片534に当接した状態となる。この状態では、検出片532が投受光方式の満タンスイッチ545の投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ545がONすると、賞球ユニット450の払出モータ465の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。なお、前方誘導通路535及び逆側方誘導通路525に球が貯留された状態であっても、ファール球通路537の底面の傾斜が極めて強いため、貯留している球がファール球通路537を逆流してファール球入口538から逆流することはない。
上記したように、本実施形態に係る満タンユニット520においては、本体枠3の満タンユニット載置部180に着脱自在に取り付けるものであるため、従来のように、満タン装置を本体枠に形成された払出通路の内部に組み付けるものに比べて、本体枠に満タン構造のための通路を形成する必要がない。また、満タンユニット520の内部をジグザグ状の通路とすることにより、賞球ユニット450の賞球通路460から払出された球の勢いを弱めながら貯留皿30に誘導することができるので、払い出された賞球が貯留皿30から外に飛び出すこともない。また、満タンスイッチ545を作動させる満タン揺動板531が通常の球の流れによって影響を受けることのない側方誘導通路522の流下端の下方の位置に設けられているので、通常時に満タンによる賞球の払出停止状態となることはなく、満タン時にだけ確実に賞球の払出停止状態とすることができる。更に、本実施形態に係る満タンユニット520は、ファール球を導くファール球通路537が賞球を払い出す前方誘導通路535の途中に球の勢いを弱めて合流するようになっているので、賞球の流れを阻害することなくファール球を合流させることができる。
[1−10−1.満タンユニットの他の実施形態]
上記した実施形態(以下、「第1実施形態に係る満タンユニット」という。)に係る満タンユニット520は、満タンスイッチ545を作動させる満タン揺動板531が通常の球の流れによって影響を受けることのない側方誘導通路522の流下端の下方の位置に設けられているものを示したが、満タン時により確実に満タン検出することができる満タンユニットに係る実施形態(以下、「第2実施形態に係る満タンユニット」という。)を図76乃至図80を参照して説明する。図76は、第2実施形態に係る賞球ユニットと満タンユニット520Aとの関係を示す斜視図であり、図77は、第2実施形態に係る満タンユニット520Aの斜視図であり、図78は、第2実施形態に係る満タンユニット520Aの前方から見た分解斜視図であり、図79は、第2実施形態に係る満タンユニット520Aの後方から見た分解斜視図であり、図80は、第2実施形態に係る満タンユニット520Aに設けられる底面開閉板551部分で切断した横断面図である。なお、図中、第2実施形態に係る満タンユニット520Aに係る部品符号において、第1実施形態に係る満タンユニット520に係る部品と同じ機能を有する部品には、同一の番号の後に「A」を付して表した。
第2実施形態に係る満タンユニット520Aと第1実施形態に係る満タンユニット520との大きな相違点は、第1実施形態に係る満タンユニット520の満タンスイッチ545を作動させる満タン揺動板531が逆側方誘導通路525の一端側壁を形成するように板状に形成されているのに対し、第2実施形態に係る満タンユニット520Aの満タンスイッチ545Aを作動させる底面揺動板551を逆側方誘導通路525Aの上流側の底面のほぼ全域に設けた点である。上記以外の小さな相違点は、第1実施形態に係る満タンユニット520の区画壁526に相当する部材が第2実施形態に係る満タンユニット520Aに設けられていない点と、満タンスイッチ545Aを作動させる揺動板が底面揺動板551になったことによるスイッチ収納空間528Aに取り付けられる満タンスイッチ545Aの取付構造が若干異なる点であり、上記以外の相違点はほとんどない。
そこで、主として底面揺動板551に係る構成を中心として第2実施形態に係る満タンユニット520Aについて説明する。図78及び図79に示すように、逆側方誘導通路525Aの上流側の底面には、その底面の全域に亘って開口する底面開口550が形成され、その底面開口550を底面揺動板551が揺動自在に閉塞している。底面開口550は、上面が開放されたほぼ正方形の凹状に形成され、その内部の正面から見て前後方向の側壁に一対の軸支突起554が突設されている。また、底面開口550の凹状の底面にバネ556の下端を位置決めするための円形状のバネ載置凹部555が形成されている。一方、底面開口550を閉塞する底面揺動板551は、ほぼ正方形状に形成され、その裏面下流側に正面から見て前記軸支突起554に嵌合することにより軸支される半円形状の軸受部552が突設形成されている。また、底面揺動板551の裏面中央には、図80に示すように、バネ556の上端が係止されるバネ係止突起551aが下方に向かって突設されている。したがって、底面揺動板551は、バネ556の付勢力によりその上流側が常に上方へ揺動された方向に付勢されている。そして、バネ556は、通常の賞球の払出個数(例えば、15個)が一度に底面揺動板551上に載置したときでも底面揺動板551が下方に揺動せず、賞球の払出個数以上の所定個数の球が底面揺動板551上に載置したときに下方に揺動するようなバネ係数を有するバネ部材によって形成されている。更に、底面揺動板551の上流側に検出突片553が前方に向かって突出されている。この検出突片553は、底面揺動板551の軸受部552を軸支突起554に嵌合軸支したときに、スイッチ収納空間528Aに位置するようになっている。
また、逆側方誘導通路525Aの上流端部の側壁の外側には、満タンスイッチ545Aを収納するためのスイッチ収納空間528Aが一体的に形成されている。スイッチ収納空間528Aに満タンスイッチ545Aを取り付けるために、スイッチ収納空間528Aの上部であって逆側方誘導通路525Aの上流端部の側壁の外側面にスイッチ取付部543Aが形成され、そのスイッチ取付部543Aに満タンスイッチ545Aがビス557によって止着されている。満タンスイッチ545Aは、投光器と受光器とからなるスイッチとして構成され、その受光器と投光器との間を検出突片553が上下に揺動することによりON・OFFを検出するものである。
上記のように構成される満タンユニット520Aにおいては、通常時、満タンユニット520A内を球が自然に流れているときには、側方誘導通路522Aから逆側方誘導通路525Aに球が移動する際に、底面揺動板551に落下するが、通常の賞球の払出個数程度では、バネ556の弾発力が強いので、底面揺動板551が揺動することがなく、図80の実線で示すように、検出突片553が投受光方式の満タンスイッチ545Aの投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、貯留皿30に賞球が貯留されて満タンユニット520A内にも球が充満してきたときには、前方誘導通路535A及び逆側方誘導通路525Aの上流側の全域に形成される底面揺動板551上に貯留された球の圧力により底面揺動板551がバネ556の付勢力に抗して下方に揺動し、図80の二点鎖線で示すように、検出突片553が投受光方式の満タンスイッチ545Aの投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ545AがONすると、第1実施形態に係る満タンユニット520と同様に、賞球ユニット450の払出モータ465の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。
上記したように、第2実施形態に係る満タンユニット520Aにおいては、球が流下する通路(図示の場合には、逆側方誘導通路525A)の通路底面の幅とほぼ同じ幅の底面揺動板551によって満タンスイッチ545を作動させるようにすると共に、通常時の球の流れによって揺動せずある程度の球が載置したときに底面揺動板551揺動するように付勢部材(バネ556)で付勢したので、従来のように一部の通路の底面等に球が載置したことにより球詰まりを検出するものに比べて、その一部の通路部分における球の載置が球詰まりによって検出されない事態を確実に防止することができる。このことは、球の満タンを確実に検出することができるものである。
[1−11.錠装置]
次に、本体枠3の開放側の裏側端辺に沿って垂直方向に取り付けられる錠装置560について主として図81乃至図89を参照して説明する。図81は、錠装置650と本体枠3との関係を示す背面斜視図であり、図82は、錠装置650の本体枠3への掛け止め構造を示す拡大側方断面図であり、図83は、パチンコ遊技機1の縦方向中央よりやや下方の位置で水平方向に切断した一部断面図であり、図84は、錠装置560と本体枠3の側壁190,191との詳細な関係を示す拡大断面図であり、図85は、錠装置650の側面図(A)、前面側から見た斜視図(B)であり、図86は、錠装置560の背面側から見た斜視図(A)、錠装置560のコ字状基体561の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610の斜視図(B),(C)であり、図87は、錠装置560の分解斜視図であり、図88は、扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610の作用を説明するための正面図であり、図89は、不正防止部材582の作用を説明するための正面図である。
錠装置560は、本体枠3の開放側の第1側面壁190に沿って本体枠3のほぼ上端から下端にかけて取り付けられるものであり、図81に示すように、本体枠3の外周側辺と第1側面壁190の立ち上がり部との間の上下端近い部分及び中程に形成される複数(図示の場合、3個)の錠係止穴198と、第1側面壁190の垂直面の上部と中程に切り欠けられて形成される錠取付穴197とシリンダー錠貫通穴170の上部近傍に形成される錠取付穴208と、によって次に説明する錠装置560のコ字状基体561が支持固定されるものである。そこで、以下、錠装置560の構造について詳細に説明する。
図85乃至図87に示すように、錠装置560は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体561と、該コ字状基体561内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆600と、前記コ字状基体561内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆610と、該本体枠用摺動杆610の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体561の下部に取り付けられる不正防止部材582,590と、からなる。
コ字状基体561は、金属を断面コ字状となるように折り曲げ、その内部に扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610とを摺動可能に設けるものであるが、その横幅寸法は従来の断面L字状に成形された基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これは、前述したように遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁190〜193で囲まれる空間を大きくしたため、側面壁190と本体枠3の外周辺との間の寸法が極めて小さくなっていることにより、本実施形態に係る錠装置560の横幅寸法を小さく形成して錠装置560を本体枠3の裏側に取り付けることができるような取付構造として改良したためである。そして、コ字状基体561の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置560が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610とが、それぞれのフック部601、614,624を除いてコ字状基体561に完全に被覆された状態の不正防止構造となっている。
まず、コ字状基体561の開放側と反対の閉塞側上下に本体枠用摺動杆610のフック部614,624が貫通される長方形状のフック貫通開口562が開設されると共に、閉塞側であって第1側面壁190と密着する側面561b(図87参照)上部と中程に水平方向にビス止め部563が突設され、更に、開放側の第1側面壁190と密着しない側面561a(図87参照)の上端部及び中間部と、開放側の両側面561a,561bの下端部に係止突起564が突設形成されている。ビス止め部563と係止突起564は、錠装置560を本体枠3の裏面に取り付けるためのものであり、係止突起564を本体枠3の錠係止穴198に差し込んで上方に移動させ(図82参照)、その状態でビス止め部563と錠取付穴197とが一致するため、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置560を本体枠3に強固に固定することができる。なお、錠装置560のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部563だけではなく、後述する錠取付片568に形成されるビス止め穴596と前記シリンダー錠貫通穴170の上方近傍に形成される錠取付穴208とを対応させて図示しないビスで止着することにより、錠装置560の下方も取り付けられるようになっている。
また、その取り付けに際し、コ字状基体561の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起564を錠係止穴198に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体561の閉塞側(後方部)の上中の2箇所に形成されたビス止め部563及びコ字状基体561の開放側(前方部)に形成されたビス止め穴596を錠取付穴197,208にビスで固定する構造であるため、錠装置560の前方部を係止突起564と錠係止穴198で係止し、錠装置560の後方部をビス止め部563と錠取付穴197で固定し且つ錠装置560の下方部をビス止め穴596と錠取付穴208で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置560を本体枠3に強固に固定することができるものである。換言するならば、錠装置560を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体561に集約して構成した場合でも、錠装置560の前方部と後方部との係止及び固定により、錠装置560を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起564がコ字状基体561の第1側面壁190と密着しない側面561aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部563及びビス止め穴596がコ字状基体561の第1側面壁190と密着する側面561bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第1側面壁190と密着する側面561bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置560を本体枠3に固定することができるものである。
また、コ字状基体561の両側面561a,561bの上部、中程、下部に挿通穴565が形成され、コ字状基体561にガラス扉用摺動部材600及び本体枠用摺動杆610を収納した状態で挿通穴565にリベット566を差込んでかしめることにより、コ字状基体561の内部にガラス扉用摺動部材600及び本体枠用摺動杆610を摺動自在に取り付けることができる。即ち、扉枠用摺動杆600の上中下の3箇所に形成されるリベット用長穴602と本体枠用摺動杆610の上フック部材611及び下フック部材612にそれぞれ1つずつ形成されるリベット用長穴615,620にリベット566を貫通させることにより、扉枠用摺動杆600が上方に移動できるようにし、本体枠用摺動杆610が下方に移動できるようになっている。したがって、図86(B)に示すように本体枠用摺動杆610のリベット用長穴615,620の下端部にリベット566が貫通しており、図86(C)に示すように扉枠用摺動杆600のリベット用長穴602の上端部にリベット566が貫通している。
更に、コ字状基体561の下方部には、その閉塞側面に不正防止切欠部567が形成されると共に、その開放側の本体枠3の第1側面壁190と密着する側面561bの前端部にシリンダー錠570を取り付けるための錠取付片568が側方に向かって突設され、更に、第1側面壁190と密着する側面561bに挿入縦開口579、バネ係止片580、及び逃げ横穴581がそれぞれ形成されている。不正防止切欠部567は、後に説明する第1不正防止部材582のストッパー片部585が進退するようになっている。この点については、後に詳述する。また、錠取付片568は、錠装置560を本体枠3の裏面に取り付けた状態で、遊技盤設置凹部159の下端辺よりも下方の位置となるようにコ字状基体561の側面561bの前端部から側方に向かって突設されるが、この錠取付片568には、シリンダー錠570が貫通する錠挿通穴569が形成されると共にシリンダー錠570をビス572で取り付けるための取付穴573が上下2箇所に穿設され、更に、錠装置560の下部を本体枠3の裏面に取り付けるためのビス止め穴596が穿設されている。また、挿入縦開口579は、シリンダー錠570に固定される係合カム575の第1係合突片576及び第2係合突片577がシリンダー錠570の回動時に侵入するための開口であり、バネ係止片580は、不正防止部材582,590に設けられるバネ593が係止されるものであり、逃げ横穴581は、連結ピン592の移動の邪魔をしないように逃げ穴を構成するものである。この点については後に詳述する。
上記した錠取付片568に取り付けられるシリンダー錠570について説明すると、シリンダー錠570は、錠取付基板571の前方に円筒状のシリンダー錠本体が固定され、そのシリンダー錠本体の錠軸574が錠取付基板571より後面に出ており、その錠軸574の後端に係合カム575がビス578によって固定されている。係合カム575は、ブーメラン形状に形成され、その一端辺が回動時に本体枠用摺動杆610の下降係合穴621に係合する第1係合突片576となっており、その他端辺が回動時に扉枠用摺動杆600の上昇係合穴605に係合する第2係合突片577となっている。そして、上記のように構成されるシリンダー錠570は、円筒状のシリンダー錠本体部分を錠挿通穴569に挿通して錠取付基板571の上下2箇所に形成される取付穴(符号なし)と錠取付片568の取付穴573とを一致させてビス572で螺着することにより、シリンダー錠570をコ字状基体561に固定することができる。
次に、コ字状基体561に取り付けられる不正防止部材582,590について図87を参照して説明する。不正防止部材582,590は、シリンダー錠570を正式な鍵で回動せずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆610を下降させることを防止するためのものである。しかして、不正防止部材582,590は、第1不正防止部材582と第2不正防止部材590とを連結ピン592で連結した構造となっている。第1不正防止部材582は、上端の揺動軸穴583を中心にして揺動自在に構成される縦長の板状に形成され、その揺動軸穴583を前述したコ字状基体561の内部にガラス扉用摺動部材600及び本体枠用摺動杆610を摺動自在に取り付けるための挿通穴565及びリベット566のうち、最下方の挿通穴565及びリベット566によって取り付けられる。
また、第1不正防止部材582には、その板状面に前記挿入縦開口579と重複する縦長な突片挿入穴584が開設され、この突片挿入穴584に第2係合突片577が挿入し得るようになっている。つまり、突片挿入穴584と挿入縦開口579を第2係合突片577が貫通することにより、コ字状基体561の内部に設けられる扉枠用摺動杆600の上昇係合穴605と第2係合突片577とが係合するようになっている。また、第1不正防止部材582の突片挿入穴584の開設位置の斜め上方の外形線が傾斜部582aとなっている。この傾斜部582aは、係合カム575の回動時に第1係合突片576の後面側と当接するもので、係合カム575の回動時に第1係合突片576と傾斜部582aとが当接することにより第1不正防止部材582が揺動軸穴583を中心として揺動(図89(B)において時計回転方向)するようになっている。
更に、第1不正防止部材582には、前記突片挿入穴584の斜め下方の外形線上にストッパー片部585が突設され、そのストッパー片部585の下方に規制突片589が突設され、該規制突片589の前方部にピン穴587と連結穴588とが上下に形成されている。ストッパー片部585は、本体枠用摺動杆610の施錠時に前記不正防止切欠部567及び本体枠用摺動杆610の係合切欠部627に侵入係合して本体枠用摺動杆610が不正に摺動しないようにするものである。また、規制突片589は、第1不正防止部材582と第2不正防止部材590とはバネ593によって連結されるが、そのバネ593で連結されたときに第2不正防止部材590の付勢方向への移動を規制するものである。ピン穴587は、ガイドピン586が固定されるものであり、ガイドピン586が第1不正防止部材582の裏面側からピン穴587に固定された状態で、そのガイドピン586を前記挿入縦開口579の最下端部に形成される横長状開口部に係合させることにより、第1不正防止部材582をコ字状基体561の側面561bに沿って案内するものである。更に、連結穴588は、第1不正防止部材582と第2不正防止部材590とを連結ピン592で連結するためのものである。
上記した第1不正防止部材582に連結される第2不正防止部材590は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴591が形成され、その上部他端にバネ係止穴594が穿設され、下方端部に当接部595が設けられている。連結穴591は、第1不正防止部材582の連結穴588と一致させて連結ピン592で連結するためのものであり、バネ係止穴594は、一端がコ字状基体561のバネ係止片580に係止されるバネ593の他端を係止するものである。また、当接部595は、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定される閉鎖用突起23と当接するものである。なお、上記した第1不正防止部材582及び第2不正防止部材590の作用については、後に詳述する。
次に、コ字状基体561の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆600及び本体枠用摺動杆610について説明する。まず、扉枠用摺動杆600は、縦長の金属製の板状部材から構成され、その一側縦辺の上中下の3箇所に扉枠用フック部601が前方に向かって一体的に突設されている。この扉枠用フック部601は、コ字状基体561内に収納したときに、その開放側から前方に突出しているもので、錠装置560を本体枠3の裏面に固定したときに、本体枠3に形成される扉用フック穴199(図37及び図38参照)から前方に突出し、扉枠5の裏面に形成されるフック係止片37a(図21参照)に係止するものである。なお、扉枠用フック部601は、下向きの係合爪形状となっているため、扉枠用摺動杆600を上昇させることにより扉枠用フック部601とフック係止片37aとの係止状態を解除することができる。
また、扉枠用摺動杆600の上中下の側面中央に、前記リベット566が挿通される縦長のリベット用長穴602が形成され、該リベット用長穴602のうちの最上部のリベット用長穴602の下方及び扉枠用摺動杆600の最下端にガイド突起603が突設されている。リベット用長穴602は、コ字状基体561の挿通穴565に挿通されるリベット566が貫通されるものであり、しかも、このリベット566が扉枠用摺動杆600の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。そして、通常状態においては、リベット用長穴602の上端部にリベット566が貫通当接した状態となっている。また、ガイド突起603は、本体枠用摺動杆610の上フック部材611及び下フック部材612に形成される突片移動穴616,623に挿通されるものであり、扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610との相互の摺動動作を案内するようになっている。
また、扉枠用摺動杆600の上端部にスプリングフック部606が形成され、このスプリングフック部606にスプリング608の一端が係止され、そのスプリング608の他端が本体枠用摺動杆610の上フック部材611に形成されるスプリングフック部617に係止される。これにより、扉枠用摺動杆600が下方向に、本体枠用摺動杆610が上方向に、それぞれ相互に付勢されている。扉枠用摺動杆600の中程には、当接弾性片607が凸状に形成されている。この当接弾性片607は、扉枠用摺動杆600の一側側面からプレスで打ち出して凸状に形成したものであり、コ字状基体561の内側面に当接して内部で扉枠用摺動杆600がガタつかないようにするものである。更に、扉枠用摺動杆600の下方部分の側面には、共に縦長な遊び穴604と上昇係合穴605とが形成されている。遊び穴604は、係合カム575の第1係合突片576が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第1係合突片576の先端部が移動しえる空間を構成するものである。また、上昇係合穴605は、係合カム575の第2係合突片577が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって扉枠用摺動杆600が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆600の縦辺下部後方には、前記不正防止切欠部567よりも上下方向に大きな切欠である逃げ切欠部609が形成されている。この逃げ切欠部609は、第1不正防止部材582のストッパー片部585を確実に不正防止切欠部567及び係合切欠部627に係合させるために邪魔しないように形成されるものである。
一方、本体枠用摺動杆610は、金属板製の上フック部材611と、金属板製の下フック部材612と、上フック部材611と下フック部材612とを連結する連結線杆613と、から構成されている。つまり、本体枠用摺動杆610は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されているわけではなく、フック部614,624を有する上フック部材611と下フック部材612とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材611と下フック部材612とを細い金属製の連結線杆613で連結したものである。このため、狭いコ字状基体561の空間に扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610とを効率よく収納することができる。
ところで、上フック部材611には、その上端部に後方に向かってフック部614が突設され、その板面部にリベット用長穴615と突片移動穴616とが形成され、また、その前方の縦辺下端部にスプリングフック部617と連結穴618とが形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部625が形成されている。フック部614は、コ字状基体561の上方のフック貫通開口562を貫通して外枠2の開放側内側の上部に設けられる閉鎖用突起22に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴615は、扉枠用摺動杆600の上部に形成されるリベット用長穴602に対応するものであり、このリベット用長穴615にリベット566が貫通された通常の状態では、リベット566がリベット用長穴615の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、上フック部材611が下方に向かって移動することができるようになっている。突片移動穴616は、前述したように扉枠用摺動杆600の上方のガイド突片603が挿入されて、扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610との相互の移動を案内するようになっている。スプリングフック部617は、前述したようにスプリング608の他端が係止されるものである。また、連結穴618は、連結線杆613の上端が折り曲げられて挿入されるものである。更に、当接部625は、コ字状基体561に収納されたときに、該コ字状基体561の内部側壁に当接して上フック部材611の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
一方、下フック部材612には、その下端部に後方に向かってフック部624が突設され、その板面部の上方から下方にかけてリベット用長穴620と下降係合穴621と遊び穴622と突片移動穴623とが順次形成され、また、その前方の縦辺上端部に連結穴619が、その後方の縦辺下部に係合切欠部627がそれぞれ形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部626が形成されている。フック部624は、コ字状基体561の下方のフック貫通開口562を貫通して外枠2の開放側内側の下部に設けられる閉鎖用突起23に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴620は、扉枠用摺動杆600の下部に形成されるリベット用長穴602に対応するものであり、このリベット用長穴620にリベット566が貫通された通常の状態では、リベット566がリベット用長穴620の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、下フック部材612が下方に向かって移動することができるようになっている。下降係合穴621は、係合カム575の第1係合突片576が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって本体枠用摺動杆610が下降するように係合するためのものである。また、遊び穴622は、係合カム575の第2係合突片577が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第2係合突片577の先端部が移動し得る空間を構成するものである。突片移動穴623は、前述したように扉枠用摺動杆600の下方のガイド突片603が挿入されて、扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610との相互の移動を案内するようになっている。また、連結穴619は、連結線杆613の下端が折り曲げられて挿入されるものである。更に、当接部626は、コ字状基体561に収納されたときに、該コ字状基体561の内部側壁に当接して下フック部材612の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
以上、錠装置560を構成する各部材について説明してきたが、この錠装置560を組み付けるには、本体枠用摺動杆610の上フック部材611と下フック部材612とを連結線杆613で連結し、その状態で扉枠用摺動杆600のガイド突片603を上フック部材611と下フック部材612の突片移動穴616,623に挿入すると共に、相互のリベット長穴602とリベット用長穴615,620を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材611のフック部614と下フック部材612のフック部624とをコ字状基体561のフック貫通開口562に貫通させながら扉枠用摺動杆600及び本体枠用摺動杆610をコ字状基体561のコ字状の空間に挿入する。その後、挿通穴565からリベット566を差し込む。この際、リベット566がリベット用長穴615,620、602を貫通するように差し込む。ただし、最下端のリベット566を差し込むときには、第1不正防止部材582の揺動軸穴583にもリベット566を差し込んで第1不正防止部材582をコ字状基体561に同時に取り付ける必要がある。なお、第1不正防止部材582をコ字状基体561に取り付ける前に、第1不正防止部材582と第2不正防止部材590とを連結ピン592で連結し且つガイドピン586をピン穴587に図示しないビスで止着しておき、さらにガイドピン586を挿入縦開口579の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
リベット566で扉枠用摺動杆600及び本体枠用摺動杆610をコ字状基体561内に収納固定した状態で、スプリング608をスプリングフック部606,617相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ593をバネ係止片580,594に掛け渡して第2不正防止部材590が規制突片589に当接した状態とする。その後、錠取付片568の錠挿通穴569にシリンダー錠570の円筒状本体部分を挿入してシリンダー錠570をビス572で取付穴573に固定する。なお、このとき係合カム575の第1係合突片576の先端部が傾斜部582aの外側で且つ挿入縦開口579に僅かに挿入し、係合カム575の第2係合突片577の先端部が第1不正防止部材582の突片挿入穴584及び挿入縦開口578に僅かに挿入した状態となるようにシリンダー錠570を錠取付片568に取り付ける。
上記のようにして組み付けた錠装置560を本体枠3の裏面に取り付けるためには、前述したように、扉枠用摺動杆600の扉枠用フック部601を本体枠3に形成される扉用フック穴199に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起564を本体枠3の錠係止穴198に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部563及びビス止め穴596を錠取付穴197,208に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、図81に示すように、錠装置560を本体枠3の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起564がコ字状基体561の第1側面壁190と密着しない側面561aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部563及びビス止め穴596がコ字状基体561の第1側面壁190と密着する側面561bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第1側面壁190と密着する側面561bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置560を本体枠3に固定することができるものである。
ところで、本体枠3の裏面に取り付けられた錠装置560の作用について図88及び図89を参照して説明する。まず、図88を参照して本体枠3の開閉動作と扉枠5の開閉動作について説明する。本体枠3が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図88(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起22,23と本体枠用摺動杆610のフック部614,624とが係止し且つ扉枠用摺動杆600の扉枠用フック部601と扉枠5のフック係止片37aとが係止した状態となっている。その状態でシリンダー錠570に図示しない鍵を差し込んで係合カム575の第1係合突片576が挿入縦開口579内に侵入する方向に回動すると、図88(B)に示すように、第1係合突片576の先端が本体枠用摺動杆610の下降係合穴621に係合してスプリング608の付勢力に抗して下フック部材612を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆613と上フック部材611も押下げられて下降する。このため、外枠2の閉鎖用突起22,23と本体枠用摺動杆610のフック部614,624とが係止状態が解除されるため、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部614,624がスプリング608の付勢力により上昇した状態(図88(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部614,624の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部614,624の上辺傾斜部が閉鎖用突起22,23の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆610が下方に下降し、遂には、フック部614,624の上向き爪部と閉鎖用突起22,23とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆610が上昇して係止状態に戻る。
一方、シリンダー錠570に図示しない鍵を差し込んで係合カム575の第2係合突片577が挿入縦開口579内に侵入する方向に回動すると、図88(C)に示すように、第2係合突片577の先端が扉枠用摺動杆600の上昇係合穴605に係合してスプリング608の付勢力に抗して扉枠用摺動杆600を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフック係止片37aと扉枠用摺動杆600の扉枠用フック部601とが係止状態が解除されるため、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部601がスプリング608の付勢力により下降した状態(図88(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部601の下辺が外側に向かって上り傾斜しているため、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部601の下辺傾斜部がフック係止片37aの上端部と当接するので、扉枠用摺動杆600が上方に上昇し、遂には、扉枠用フック部601の下向き爪部とフック係止片37aとが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆600が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆600は、コ字状基体561の全長とほぼ同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体561が本体枠3の縦方向の側面のほぼ全長に亘って取り付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部601が扉枠用摺動杆600の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているため、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠が確実に行われ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないという利点もある。
上記したように、本実施形態に係る錠装置560は、シリンダー錠570に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。この場合、シリンダー錠570に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆610のフック部614,624にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させる不正行為が行われることがあるが、本実施形態においては、このような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第1番目が第1不正防止部材582と第2不正防止部材590とから構成されるロック機構であり、第2番目の不正防止構造がコ字状基体561の閉鎖空間に扉枠用摺動杆600及び本体枠用摺動杆610が収納される構造である。
まず、第1番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図89を参照して説明する。まず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態においては、図89(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起23と第2不正防止部材590の当接部595とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ593の付勢力により第1不正防止部材582が反時計方向に回動してストッパー片部585が不正防止切欠部567内に侵入し、ストッパー片部585が不正防止切欠部567に対応する位置にある本体枠用摺動杆610の下フック部材612に形成される係合切欠部627と係合した状態となっている。このため、本体枠用摺動杆610にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパー片部585と係合切欠部627とが係合しているので、本体枠用摺動杆610を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができない。
一方、シリンダー錠570に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図89(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム575の第1係合突片576が挿入縦開口579内に侵入するように回動される。この第1係合突片576の回動時に、第1不正防止部材582の傾斜部582aと第1係合突片576の側面とが当接するため、第1不正防止部材582が揺動軸穴583を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパー片部585も不正防止切欠部567から退避するように移動する。このため、ストッパー片部585と係合切欠部627との係合が解除された状態となる。このとき、第2不正防止部材590は、バネ593を伸ばして当接部595が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム575を回動させて第1係合突片576も回動させると、第1係合突片576の先端が下フック部材612の下降係合穴621に係合して本体枠用摺動杆610の全体を下降させるので、フック部614,624と外枠2の閉鎖用突起22,23との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じるときには、第2不正防止部材590は、規制突片589に当接した状態となっているため、第1不正防止部材582と第2不正防止部材590との位置関係は、図89(A)に示す状態とほぼ同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖用突起23と第2不正防止部材590の当接部595とが正面から当接し、最終的に図89(A)に示す状態となる。このため、第1不正防止部材582と第2不正防止部材590とが本体枠3を閉じるときに邪魔になることはない。また、本実施形態においては、第1不正防止部材582と第2不正防止部材590とが本体枠用摺動杆610の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆610を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆600を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆610に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第1番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第1不正防止部材582をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置560が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610とが、それぞれのフック部601、614,624を除いてコ字状基体561の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体561の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆610を引き下げようとしても、コ字状基体561の両側面561a,561bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係る錠装置560は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体561の内部に扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610とを摺動可能に設け且つ錠装置560を操作するためのシリンダー錠570のコ字状基体561への取付位置を遊技盤の下端辺よりも下方となる位置としたので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁190〜193で囲まれる空間を大きくしても、錠装置560を本体枠3の裏側に強固に取り付けることができる。そして、断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置560が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆600と本体枠用摺動杆610とが、それぞれのフック部601、614,624を除いてコ字状基体561に完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆610を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができない。また、錠装置560の取り付けに際し、コ字状基体561の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起564を錠係止穴198に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体561の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部563及びビス止め穴596を錠取付穴197,208にビスで固定する構造であるため、錠装置560の前方部を係止突起564と錠係止穴198で係止し、錠装置560の後方部をビス止め部563及びビス止め穴596と錠取付穴197,208で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置560を本体枠3に強固に固定することができるものである。
なお、上記した実施形態においては、コ字状基体561の下方部をビス止めする構造として錠取付片568に形成されたビス止め穴596と本体枠3のシリンダー錠貫通穴170の上部近傍に形成した錠取付穴208とを螺着する構造としたが、これに代えて、シリンダー錠570を錠取付片568に取り付けるビス572を利用して、該ビス572の先端が錠取付片568を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダー錠貫通穴170の上下に形成する構造でも良い。また、コ字状基体561の下方部をビス止めしなくても、錠装置560の後方部のビス止め部563と錠取付穴197との固定だけでも、錠装置560を本体枠3の裏面に強固に固定されることを確認している。更に、上記した実施形態においては、扉枠用摺動杆600及び本体枠用摺動杆610を左右の側面561a,561bを有するコ字状基体561で完全に被覆するものとしたが、例えば、扉枠用摺動杆600及び本体枠用摺動杆610を第1側面壁190に密着しない反対側の側面561aに摺動自在にリベット等で装着し、第1側面壁190に密着する側面561bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面561aと第1側面壁190とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆600及び本体枠用摺動杆610を収納する構造としてもよい。この場合でも、実施形態と同じような取付構造及び不正防止構造とすることができる。
[1−12.基板ユニット]
次に、本体枠3の裏面下部に取り付けられる基板ユニット650について、主として図90乃至図98を参照して説明する。図90は、基板ユニット650を背面側から見た斜視図であり、図91は、基板ユニット650の背面側から見た分解斜視図であり、図92は、基板ユニット650を前面側から見た斜視図であり、図93は、基板ユニット650の前面側から見た分解斜視図であり、図94は、基板ユニット650の主体をなす枠用基板ホルダー651の前面側から見た正面図であり、図95は、枠用基板ホルダー651の背面図であり、図96は、基板ユニット650の背面図であり、図97は、払出制御基板ボックス655及び端子基板ボックス654を取り外した状態の基板ユニット650の背面図であり、図98は、基板ユニット650に設けられる各基板の接続関係を示す平面図であり、図99は、基板ユニット650と遊技盤4との電気的な接続を示す概略図であり、図100は、払出制御基板と基板ユニットとの配線等を示すパチンコ遊技機の背面図の一部であり、図101は、図102の断面図の断面箇所を説明するための遊技盤4(ただし、この遊技盤4は、図47〜図49に示す取り外し防止機構を組み込んだ遊技盤4である。)の正面図であり、図102は、図101のC−C断面図である。
基板ユニット650は、本体枠3の裏面下部に複数形成されるホルダー用の取付穴部175(図35,図37参照)に取り付けられるものであり、図90及び図91に示すように、合成樹脂成形された枠用基板ホルダー651に、扉中継基板652、電源基板ボックス653、端子基板ボックス654、払出制御基板ボックス655、主ドロワ中継基板657、及び副ドロワ中継基板658の各種基板を取り付けることにより構成されている。上記の基板のうち、扉中継基板652、電源基板ボックス653、端子基板ボックス654、及び払出制御基板ボックス655は、枠用基板ホルダー651の後面側に前後方向に重複して取り付けられ、主ドロワ中継基板657及び副ドロワ中継基板658は、枠用基板ホルダー651の前面側に取り付けられるものである。後述するように、電源基板686は+34V、+18V及び+9Vを作成して供給するため極めて高温な熱源となっており、電源基板686から発せられた熱が上昇する。このため、払出制御基板715を収納する払出制御基板ボックス655を電源基板ボックス653の上面に重複して取り付けることによって、その上昇する熱を受けずに済むようになっている。なお、払出制御基板ボックス655の裏面には、電源基板等からの電磁波の影響を防止すると共に電源基板から発せられる熱を放熱するために金属製のシールド放熱板656が取り付けられ、また、主ドロワ中継基板657及び副ドロワ中継基板658は、基板カバー659に被覆されて取り付けられている。以下、基板ユニット650を構成する各部材について詳細に説明する。
なお、本実施形態におけるシールド放熱板656は、特に、電源基板ボックス653の上面から熱が発せられた熱を外部(外気)に放熱するために、図91及び図93に示すように、シールド放熱板656の板面が凹凸状の凹凸面656aとして形成されている。シールド放熱板656によって払出制御基板715に伝達される熱を小さく抑えることができる。凹凸面656aによって外部(外気)との接触面積を増加させて放熱効果を高めるものである。また、凹凸面656aは、設置したときに熱が放熱し易いように垂直状若しくは傾斜状に形成することが望ましい。もちろん、シールド放熱板656に凹凸面656aを形成しても電磁波に対するシールド効果が損なわれることはない。シールド放熱板656は電源基板等からの電磁波の影響を防止する。これにより、電磁波によるノイズの影響を抑えることができるため、ノイズの影響による払出制御基板ボックス655に収納された払出制御基板715の誤動作を防止することができる。また、このシールド放熱板656のシールド放熱機能は、電源基板ボックス653と払出制御基板ボックス655との間だけではなく、枠用基板ホルダー651に他の複数の基板ボックスが重複して取り付けられる場合には、その下側に位置する基板ボックスと上側に位置する基板ボックスとの間に、本実施形態と同じシールド放熱板656を設けることによっても奏されるものである。
まず、枠用基板ホルダー651は、横長状に合成樹脂で成形され、図91及び図94に示すように、その後面側一側部(図94において右側部)に配線用開口673が形成され、該配線用開口673の内側に扉中継基板652を取り付けるための中継基板用凹部660が形成されている。この中継基板用凹部660は、ほぼ正方形状の扉中継基板652の外形に合致するように正方形状の凹部として形成され、この中継基板用凹部660内の上下辺には、扉中継基板652の裏面を支える当接突部663が突設されると共に、中継基板用凹部660に扉中継基板652を収納した状態で扉中継基板652の一側縦辺の表面と係止する止め爪661が形成されている。また、中継基板用凹部660の外側寄りの上下には、電源基板ボックス653の一端辺に形成される係合係止穴685に係合されて図示しないビスで止着するための取付ボス662が突設されている。
また、枠用基板ホルダー651の後面側において、上記した中継基板用凹部660よりも中央寄りに内部に通す配線を係止して纏めるための2つの配線処理片664が形成されている。この配線処理片664は、垂直面に対して側方から見たときにL字状に突出形成されるもので、その垂直面とL字状突片との間に配線を掛け止めるようになっている。更に、枠用基板ホルダー651の前記中継基板用凹部660の上部からほぼ中央よりやや他端側に近い部分までが電源基板ボックス653を取り付けるための領域(次に説明する右側の低い領域)となっており、その上下辺に電源基板ボックス653の裏面と当接する当接突部665が突設されている。したがって、この電源基板ボックス取付領域に電源基板ボックス653を当接突部665に当接するように取り付けた状態では、電源基板ボックス653の裏面と枠用基板ホルダー651の垂直面との間に空間が形成され、この空間内に基板相互を接続する配線が収納されることになり、この収納された配線を係止して纏めるものが2つの前記配線処理片664である。
なお、電源基板ボックス653を取り付ける領域の他端辺から枠用基板ホルダー651の他端辺(図94において左側辺)までは、後方への突出量が大きく形成されている。つまり、枠用基板ホルダー651は、背面から見たときに、中央よりやや左側の位置で左側が高く右側が低い段差状に形成されており、その右側の低い領域が前記電源基板ボックス653を取り付けるための領域(以下、「電源基板ボックス取付領域」という場合がある。)となっている。そして、この電源基板ボックス取付領域の他端辺側には、電源基板ボックス653の他端辺上下に突設される挿入突起684が挿入される挿入口665aが形成されている。このため、電源基板ボックス653を取り付けるためには、挿入突起684を挿入口665aに差し込んだ後、電源基板ボックス653の一端辺上下に形成される係合係止穴685を取付ボス662に上から差し込んで図示しないビスで止着することにより、電源基板ボックス653を枠用基板ホルダー651に固定することができる。
更に、枠用基板ホルダー651の背面側において、上記した段差状の高い領域は、払出制御基板ボックス655を取り付けるための領域(以下、「払出制御基板ボックス取付領域」という場合がある。)の一部を構成するものであり、この段差状の高い領域の一部には、横L字状の凹状の配線引き廻し空間666が形成されている。この配線引き廻し空間666の底面には、配線用開口674(図93〜図96参照)が形成されており、前記電源基板ボックス取付領域内の2つの配線処理片664に掛け止められた配線を配線引き廻し空間666及び配線用開口674から枠用基板ホルダー651の前面側に引き出すようになっている。また、払出制御基板ボックス取付領域の他端側(図91の左端部側)には、払出制御基板ボックス655の係合弾性片714が係合するための係止突部667が突設形成されている。
次に、枠用基板ホルダー651の前面側の構成について説明すると、図92、図93、図95に示すように、枠用基板ホルダー651の前面側のほぼ中央には、アウト球通路668が逆さL字状に形成されている。このアウト球通路668は、前述したアウト口256(図45参照)、球抜排出通路173(図35参照)の下流側、及び落下口272(図42参照)と対応するように上方が幅広く形成され、下流側が球を列状に排出するように幅狭く形成されている。したがって、基板ユニット650を本体枠3に取り付けたときには、図38に示すように、アウト球通路668の幅広上流部がアウト口256の下面を支持する通路支持突起162の後方に位置するようになっている。そして、アウト球通路668の下流端からアウト球や入賞球、あるいは球抜き球がパチンコ遊技機の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって放出されるものである。
また、枠用基板ホルダー651の前面側であって前記払出制御基板ボックス取付領域に対応する前面側には、その上方領域に主ドロワ中継基板657と副ドロワ中継基板658とを横方向に所定間隔を空けて並列状に取り付けるドロワ取付領域670が形成されている。ドロワ取付領域670には、それぞれの中継基板657,658に形成された支持穴734,735が貫通されて各中継基板657,658を支持するためのドロワ取付ボス669が突設されると共に、それぞれの中継基板657,658の中間位置の上下に接合案内孔676と案内孔675が穿設されている。この接合案内孔676は、図102に示すように、遊技盤4を本体枠3に装着する作業に伴って、基板ユニット650側に設けられるドロワコネクタ730,732(ホルダー側コネクタ)と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ270,271(遊技盤側コネクタ)とが自然に接続されるように遊技盤4の盤用基板ホルダー267に形成される接合案内突起273(図45参照)が挿入されるものである。一方、案内孔675は、基板ユニット650を本体枠3に取り付ける際に、本体枠3に突設される前記案内突起174(図37参照)が挿入されるもので、基板ユニット650の位置決めを行うと共に装着作業の容易化を図っているものである。また、枠用基板ホルダー651の左右両辺及び下辺には、基板ユニット650を本体枠3に取り付けるための取付片671が外側に向かって突設され、該取付片671を本体枠3の前記取付穴部175(図35参照)に対応させて図示しないビスで止着することにより、基板ユニット650が本体枠3の背面下部に取り付けられる。なお、取付穴部175は、図37に示すように、取付片671の外形形状に合致する外周壁を有して形成されている。更に、枠用基板ホルダー651の他端側(図92の右側)側壁の外側に、配線を係止するための配線掛止片672が突設形成されている。
枠用基板ホルダー651の構成は、概ね上記した通りであるが、そのような構成を有する枠用基板ホルダー651に取り付けられる各種の基板の構成について説明する。まず、枠用基板ホルダー651の後面側の前記中継基板用凹部660に装着される扉中継基板652について説明すると、扉中継基板652には、図91に示すように、多ピンコネクタ形式の内部接続端子680と扉枠用接続端子681とが設けられている。扉枠用接続端子681は、枠用基板ホルダー651にすべての基板を取り付けた状態においても、図96に示すように、背面から見て外部から視認できるようになっており、扉枠5に設けられるランプ及びLEDからなる電飾部品やスピーカ等の扉枠用配線742(図98参照)が配線用開口673を通って扉用接続端子681に接続されるものである。また、内部接続端子680は、副ドロワ中継基板658に設けられる扉枠用コネクタ733に内部配線743(図98参照)によって接続されるものである。ただし、この内部配線743は、前述した配線処理片664及び配線引き廻し空間666、配線用開口673を敷設されるように枠用基板ホルダー651の内部に設けられている。
また、枠用基板ホルダー651の後面側の前記電源基板ボックス取付領域に取り付けられる電源基板ボックス653は、電源基板686(図97参照)を固定するボックス主体682と、該ボックス主体682を被覆するカバー体683と、から構成されている。ボックス主体682には、その一端部の上下に前記取付ボス622と係合する係合係止穴685が一体的に形成され、その他端部の上下に前記挿入口665aに挿入される挿入突起684が一体的に形成されている。また、電源基板686のカバー体683に被覆されない部分(図97の右側部と左下部)には、図97に示すように、電源スイッチ687と電源線コネクタ688とCRユニット電源コネクタ689とアース用コネクタ690と払出制御基板用電源コネクタ691とが設けられている。電源スイッチ687は、パチンコ遊技機1の全ての電気機器に電源を供給するためのスイッチであり、パチンコ遊技機1を使用する際にONとするものである。また、電源線コネクタ688は、島内に供給されている交流24V(AC24V)の電源用配線からの電源配線を接続したり、パチンコ遊技機1に帯電したノイズ等を外部にフレームグランドFG2としてアースしたりするためのコネクタである。CRユニット電源コネクタ689は、パチンコ遊技機1に隣接されるカード式球貸器(図示しない;一般的に、CRユニットと言われている。)への電源を供給したりするためのコネクタである。アース用コネクタ690は、パチンコ遊技機1に設けられる帯電防止用の種々のアース線が電気的に接続されており、パチンコ遊技機1に侵入したノイズ等を、電源線コネクタ688を介して、外部にアースするためのコネクタである。具体的には、扉枠5(補強板35〜38)からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFG3としてアース用コネクタ690aと電気的に接続され、タンクレール部材410を流下する球からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFG1としてアース用コネクタ690bと電気的に接続され、賞球ユニット450からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFG1としてアース用コネクタ690cと電気的に接続され、CRユニットからのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFGとしてアース用コネクタ690dと電気的に接続されている。これらのフレームグランドFG,FG1,FG3は、電源線コネクタ688のフレームグランドFG2と電気的に接続されており、このフレームグランドFG2を介して、パチンコ遊技機1の外部にアースされる。更に、払出制御基板用電源コネクタ691には、図98に示すように、電源供給用配線744が接続され、該電源供給用配線744が払出制御基板715の電源用端子722に接続されている。そして、この電源供給用配線744により、払出制御基板715を介して他の制御基板(例えば、演出制御基板ボックス266に収納される液晶制御基板や遊技制御基板ボックス268に収納される主制御基板)等に電源を供給するようになっている。なお、電源供給用配線744は、払出制御基板用電源コネクタ691から前記配線引き廻し空間666に導かれ払出制御基板ボックス655の裏面から後方に引き出されて電源用端子722に接続されるようになっている。つまり、この電源供給用配線744も枠用基板ホルダー651の内部に敷設された状態となっている。
ところで、電源基板ボックス653のカバー体683の後面は、図91に示すように、段差状に形成され、その段差の高い領域が端子基板ボックス654を取り付けるための取付領域692となっており、段差の低い領域が払出制御基板ボックス655を取り付けるための取付領域693となっている。取付領域693は、枠用基板ホルダー651の前述した払出制御基板ボックス取付領域と一緒になって横長の払出制御基板ボックス655を取り付けるための取付領域を構成するものである。なお、上記した段差部のほぼ中央には、払出制御基板ボックス655の後述する係合片713(図93参照)が係合挿入される係合穴696が形成されている。
端子基板ボックス654を取り付けるための取付領域692を構成するカバー体683には、端子基板ボックス654の裏面側に形成される位置決めピン698及び係合片部697とそれぞれ位置決め若しくは係合する位置決め穴695及び取付係合穴694が形成されている。係合片部697は、断面L字状に形成される一方、取付係合穴694は、幅広部と幅狭部とが連続する穴状に形成されているので、係合片部697を取付係合穴694の幅広部に挿入した後、一方向(図示の場合は、枠用基板ホルダー651の中央方向)にスライド移動させることにより、L字状の係合片部697と取付係合穴694の幅狭部とが係合するようになっている。なお、端子基板ボックス654の他側辺の下部に掛止片699が突設され、端子基板ボックス654がカバー体683にスライド移動係合されたときに、掛止片699が払出制御基板ボックス655のボックス主体710の一部と係合するようになっている。なお、この係合は、少し力を入れて端子基板ボックス654を非係合方向にスライド移動させることにより、簡単に外れる程度の係合状態である。
また、端子基板ボックス654には、図96に示すように、複数の外部情報端子701と払出制御基板用端子706とが設けられる外部端子板700aと、度数表示器用端子702と電源アース端子703とCRユニット用端子704と払出制御基板用端子705とが設けられるCRユニット端子板700bと、の2つの基板が上下方向に並列状に収納されている。外部端子板700aに設けられる複数の外部情報端子701は、大当り情報出力信号や始動口入賞情報出力信号等のパチンコ遊技機1の管理に必要な各種の情報信号を外部(例えば、遊技場に設置してある管理コンピュータ(ホールコンピュータ))に導出するためのコネクタであり、それらの情報信号は、主として遊技制御基板ボックス268に収納されている主制御基板から後に詳述する主ドロワ中継コネクタ730270,730を介して払出制御基板715に伝送され、さらに払出制御基板715に設けられる外部端子板用端子718と前記払出制御基板用端子706との接続により、最終的に複数の外部情報端子701のそれぞれに伝達される。CRユニット端子板700bの度数表示器用端子702は、パチンコ遊技機1の、例えば貯留皿30に設けられるプリペイドカードの残度数表示器、貸球スイッチ、及び返却スイッチとの配線が接続されるものである。また、電源アース端子703は、2つのコネクタから構成され、一方のコネクタ(図96の左側)には電源基板686のCRユニット電源コネクタ689からの配線が接続され、他方のコネクタには電源基板686の複数のアース用コネクタ690のうちの1つのアース用コネクタ690からの配線が接続されるものである。更に、CRユニット用端子704は、図示しないCRユニットからの配線が接続されるものであり、払出制御基板715のCRユニット端子板用端子719と前記払出制御基板用端子705とが接続されることにより、払出制御基板715とCRユニットとが接続されることになる。
上記したように、端子基板ボックス654は、遊技制御基板ボックス268に収納される主制御基板からの遊技情報を外部に導出する外部端子板700aと、払出制御基板715とCRユニットとの接続を中継するCRユニット端子板700bと、の両方の基板を収納するものであり、これらは従来別々の基板ボックスに収納されてパチンコ遊技機1の裏面に別々の位置に設けられていたが、本実施形態においては、1つの端子基板ボックス654に纏めて枠用基板ホルダー651に装着したものである。このため、特に、本実施形態の場合、主制御基板と外部端子板700aとを直接配線で接続することなく、払出制御基板715を介して接続した独特な構成を有するものとなっている。
次に、枠用基板ホルダー651の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス653のカバー体683に形成される取付領域693とにわたって取り付けえる払出制御基板ボックス655について、主として図91、図93及び図96を参照して説明する。払出制御基板ボックス655は、横長の長方形状の払出制御基板715が図示しないビス等で固定されるボックス主体710と、該ボックス主体710に取り付けられて払出制御基板715の表面を覆うカバー体711と、から構成されている。ボックス主体710とカバー体711とは、その一側辺(図96の右側辺)を係合させ、その他側辺(図96の左側辺)に分離切断部712でカシメ固定している。これによってボックス主体710とカバー体711とを分離するためには、分離切断部712を切断しないと分離できないようになっている。ただし、分離切断部712におけるカシメ固定は、複数箇所(図示の場合は、1〜4の数字で示す4箇所)のうち、いずれかをカシメ部材でカシメれば良く、例えば、検査等で分離する必要がある場合には、3回まで行うことができる。もちろん、不正に分離した場合には、切断した痕跡が残ることになるので、不正行為があったか否かを直ちに知ることができる。また、ボックス主体710の一側短辺中央には、電源基板ボックス653のカバー体683に形成される係合穴696に差し込まれる係合片713が突設形成され、他側短辺下部には、枠用基板ホルダー651に形成される係止突部667に弾性係合する係合弾性片714が形成されている。したがって、払出制御基板ボックス655を枠用基板ホルダー651に取り付けるには、係合片713を係合穴696に差し込んだ後、係合弾性片714を係止突部667に係合させることにより、簡単に取り付けることができる。そして、枠用基板ホルダー651の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス653のカバー体683に形成される取付領域693とにわたって払出制御基板ボックス655を取り付けた状態においては、それらの取付領域693内に払出制御基板ボックス655が収納された状態となり左右方向にも上下方向にも移動できないように固定された状態となっている。逆に、取り外す場合には、係合弾性片714を弾性方向と逆方向に押圧して係合弾性片714と係止突部667との係合を外して払出制御基板ボックス655を引き上げながら、係合穴696から係合片713を引き抜くことにより、払出制御基板ボックス655を枠用基板ホルダー651から外すことができる。
また、上記したボックス主体710とカバー体711とによって被覆される払出制御基板715には、その一側部(図96の右側部)に扉枠開放スイッチ用端子716a、本体枠開放スイッチ用端子716b、賞球ユニット用端子717、外部端子板用端子718、CRユニット端子板用端子719、操作ハンドル用端子724、エラーLED表示器1730、エラー解除スイッチ1731、及び球抜きスイッチ1732が設けられ、その他側下部(図96の左側部)に満タンスイッチ用端子720、検査用出力端子721、電源用端子722、発射モータ用端子723、及び内部接続端子725が設けられている。
扉枠開放スイッチ用端子716aは、扉枠5が本体枠3から開放されたことを検出する扉枠開放スイッチ3aからの配線が接続されるコネクタである。本体枠開放スイッチ用端子716bは、本体枠3が外枠2から開放されたことを検出する本体枠開放スイッチ3bからの配線が接続されるコネクタである。賞球ユニット用端子717は、前述した賞球ユニット450の中継基板480からの配線が接続される多ピンコネクタである。外部端子板用端子718は、前述したように外部端子板700aの払出制御基板用端子706に接続される多ピンコネクタである。CRユニット端子板用端子719は、前述したようにCRユニット端子板700bの払出制御基板用端子705に接続される多ピンコネクタである。満タンスイッチ用端子720は、満タンユニット520の満タンスイッチ545からの配線が接続されるコネクタである。エラーLED表示器1730は、CRユニット接続異常等のパチンコ遊技機の状態を表示する。エラー解除スイッチ1731は、操作されるとエラーLED表示器1730に表示されているエラーに応じた解除方法の案内がスピーカ34から流れる。球抜きスイッチ1732は、操作されると賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留された球を排出開始する(球抜き開始する)。検査用出力端子721は、払出制御基板715を検査する際に検査機器に接続するためのコネクタであり、検査用の各種の出力信号を出力するための端子である。電源用端子722は、前述したように電源基板686の払出制御基板用電源コネクタ691に電源供給用配線744によって接続されるコネクタである。発射モータ用端子723は、打球発射装置300の発射モータ344からの配線が接続されるコネクタである。操作ハンドル用端子724は、ハンドル装置70の操作ハンドル部71の内部に設けられるタッチスイッチ80及び発射停止スイッチ82からの配線が接続されるコネクタである。内部接続端子725は、主ドロワ中継基板657に設けられる払出制御基板用コネクタ731に信号電源配線745によって接続されるコネクタである。
なお、エラー解除スイッチ1731の左方近傍には、図96に示すように、抵抗R724a〜R724dが配置されている。これらの抵抗R724a〜R724dは、操作ハンドル用端子724に入力された各種検出信号に扉枠5(図21に示した補強板35〜38)からのノイズ等が侵入した際に、グランド(GND)が不安定にならないようにするものであり、その詳細な説明は後述する。
次に、枠用基板ホルダー651の前面側に形成されるドロワ取付領域670に取り付ける主ドロワ中継基板657と副ドロワ中継基板658について説明する。図93に示すように、主ドロワ中継基板657には、遊技盤4の裏面側に取り付けられる中継端子板269に設けられる主ドロワコネクタ270(遊技盤側コネクタ;図45参照)と接続される主ドロワ中継コネクタ730(ホルダー側コネクタ)と、払出制御基板715の内部接続端子725と信号電源配線745を介して接続される払出制御基板用コネクタ731とが上下に設けられている。また、副ドロワ中継基板658には、遊技盤4の裏面側に取り付けられる中継端子板269に設けられる副ドロワコネクタ271(遊技盤側コネクタ;図45参照)と接続される副ドロワ中継コネクタ732(ホルダー側コネクタ)と、扉中継基板652の内部接続端子680と内部配線743を介して接続される扉枠用コネクタ733とが上下に設けられている。また、主ドロワ中継基板657及び副ドロワ中継基板658には、各基板の左右両側に支持穴734,735が穿設され、該支持穴734,735をドロワ取付領域670に突設されるドロワ取付ボス669に差し込むことにより、主ドロワ中継基板657及び副ドロワ中継基板658をドロワ取付領域670内に位置決め支持され、その後、基板カバー659で被覆することにより、堅固に固定される。
ところで、基板カバー659には、主ドロワ中継基板657に設けられる主ドロワ中継コネクタ730及び払出制御基板用コネクタ731と、副ドロワ中継基板658に設けられる副ドロワ中継コネクタ732及び扉用コネクタ733とが基板カバー659の外側に突出するための長方形状のコネクタ用開口736,737,738,739が開設され、また、基板カバー659の裏面側に、ドロワ取付ボス669の先端部が挿通されるピン挿通穴740(図91参照)が形成されると共に、左右両端に基板カバー659を枠用基板ホルダー651に図示しないビスで止着するための止め穴741が形成されている。このため、主ドロワ中継基板657及び副ドロワ中継基板658の支持穴734,735をドロワ取付領域670に突設されるドロワ取付ボス669に差し込み、ドロワ取付ボス669の先端部をピン挿通穴740に挿通しながら基板カバー659で被覆し、止め穴741に図示しないビスで止着することにより、主ドロワ中継基板657及び副ドロワ中継基板658をドロワ取付領域670内に堅固に固定することができる。
以上、基板ユニット650の構成について説明してきたが、本実施形態の場合には、パチンコ遊技機1を駆動制御するために必要な各種の基板のうち、遊技盤4の変更に伴って交換される主制御基板及び液晶制御基板以外の基板である扉中継基板652、電源基板ボックス653に収納された電源基板686、端子基板ボックス654に収納された外部端子基板700、払出制御基板ボックス655に収納された払出制御基板715を、枠用基板ホルダー651に予め組み付けてユニット化し、その組み付けてユニット化した基板ユニット650を本体枠3の背面側下部に取り付けるだけの簡単な作業によって、従来別々に本体枠3の背面側に取り付けていた各種の基板取付作業に比べ、作業能率を向上することができる。また、この場合、基板ユニット650にユニット化される各基板同士の配線も枠用基板ホルダー651の内部に収めることができるので、基板同士を接続する配線が乱雑に入り乱れることがなく、整然と敷設することができる。
また、本実施形態においては、基板ユニット650の前面に主ドロワ中継コネクタ730(ホルダー側コネクタ)を有する主ドロワ中継基板657と副ドロワ中継コネクタ732(ホルダー側コネクタ)を有する副ドロワ中継基板658とが設けられているので、図102に示すように、本体枠3に遊技盤4をその前面側から装着する作業に伴って、遊技盤4の裏面側に設けられる中継端子板269の主ドロワコネクタ270と副ドロワコネクタ271(遊技盤側コネクタ)がそれぞれ対応する主ドロワ中継コネクタ730と副ドロワ中継コネクタ732(ホルダー側コネクタ)とに接続されるので、遊技盤4の装着と基板間の接続とを同時に行うことができる。このため、遊技盤4の交換作業を手際よく行うことができる。
更に、本実施形態においては、基板ユニット650を本体枠3の裏面に固定した後に、本体枠3に設けられる各種の電気機器との配線の接続作業が必要な払出制御基板ボックス655と、外部のCRユニットや管理コンピュータとの接続作業が必要な端子基板ボックス654と、を基板ユニット650の最も後方の視認し易い位置に並列状に配置する一方、外部との接続作業の必要性が少ない電源基板ボックス653や扉中継基板652を内部に配置しているので、複数の基板を前後方向に効率よく重複配置することができ、基板ユニット650の大きさを最小限に設計することができる。ただし、内部に配置される電源基板ボックス653や扉中継基板652においても、外部に接続される端子部分は、すべて外部から視認できるようになっているので、それらの接続作業が手探りになるという問題はない。
[1−12−1.基板ユニットと遊技盤との電気的な接続(ドロワコネクタによる接続)]
次に、基板ユニット650と遊技盤4との電気的な接続について図99を参照して説明する。上述したように、遊技盤4側にはドロワコネクタ270,271が設けられ、基板ユニット650側にはドロワコネクタ730,732が設けられている。図99(a)に示すように、遊技盤4側のドロワコネクタ270,271を基板ユニット650側のドロワコネクタ730,732に挿入することで電気的に接続することができる。遊技盤4側のドロワコネクタ270,271は、図99(b)に示すように、ターミナル270a,271aを備えており、基板ユニット650側のドロワコネクタ730,732は、図99(c)に示すように、コンタクト730a,732aを備えている。遊技盤4側のドロワコネクタ270,271を基板ユニット650側のドロワコネクタ730,732に挿入すると、図99(c)に示すように、ターミナル270a,271aがコンタクト730a,732aを押し下げコンタクト730a,732aが変位する。この変位によって発生したコンタクト730a,732aの反発力は、ターミナル270a,271aを強く接触することで電気的な導通状態となる。これにより、遊技盤4側のドロワコネクタ270,271と、基板ユニット650側のドロワコネクタ730,732と、には、各種制御基板相互による(例えば、主制御基板と払出制御基板715とによる)各種制御信号を伝える制御信号ラインが形成される。また遊技盤4側のドロワコネクタ270と、基板ユニット650側のドロワコネクタ730と、には、さらに、電源基板686によって作成された各種電圧を供給する電圧供給ラインが形成される。このように、遊技盤4を本体枠3に着脱自在に装着することで、遊技盤4側のドロワコネクタ270,271と、基板ユニット650側のドロワコネクタ730,732と、による制御信号ライン及び電圧供給ラインが接離自在に接続することができる。
なお、本実施形態におけるターミナル270a,271a及びコンタクト730a,732aは、ベローズタイプのものを採用している。ピンタイプのものでは作業時にうっかりピンに触れて曲げてしまうおそれがあるが、ベローズタイプのものではそのおそれがない。また、ターミナル270a,271a及びコンタクト730a,732aのメッキには摩擦係数の小さい金メッキを採用している。これにより、遊技盤4の着脱時のすべり良さ(勘合の良さ)が確保されている。
ここで、遊技盤4を本体枠3に取り付けるときに、図97に示した電源スイッチ687を入れたままの状態で、その作業を行うと、ターミナル270aとコンタクト730aとの接点、具体的には、各種電圧供給ライン用接点では大電流(後述する突入電流)が流れるため溶着することとなる。この溶着した状態のまま、遊技盤4を本体枠3に無理に押し込んで取り付けようとすると、コンタクト730aが折れ曲がって壊れたり、その遊技盤4を本体枠から取り外すときに、コンタクト730aがドロワコネクタ730から剥がれて破損したりして、ドロワコネクタ730が使用できなくなる。
また、ターミナル270aとコンタクト730aとが溶着すると、コネクタの破損にともない、各種制御基板が誤動作したり、各種制御基板に実装された電子部品が破損したりするおそれもある。そこで、本実施形態では、溶着を防止する回路を後述する主制御基板に設けて対応している。その詳細な説明については後述する。
[1−12−2.賞球ユニットとの配線等]
次に、払出制御基板ボックス655に収納された払出制御基板715と賞球ユニット450との配線等について図100を参照して説明する。賞球ユニット内中継端子板480には、上述したように、計数スイッチ用コネクタ480a、払出モータ用コネクタ480b、回転角スイッチ用コネクタ480c、球切れスイッチ用コネクタ480d、アース用コネクタ480e、及び払出制御基板用コネクタ480fが設けられている。
計数スイッチ用コネクタ480aは計数スイッチ462からの配線が接続され、払出モータ用コネクタ480bは払出モータ465からの配線が接続され、回転角スイッチ用コネクタ480cは回転角スイッチ505からの配線が接続され、球切れスイッチ用コネクタ480dは球通路ユニット420の球切れスイッチ426からの配線が接続され、アース用コネクタ480eは払出モータ465からのアース線が接続されている。払出制御基板用コネクタ480fは払出制御基板715の賞球ユニット用端子717と配線(ハーネス)により接続されている。
球切れスイッチ426からの配線及び回転角スイッチ505からの配線を除いた、計数スイッチ462からの配線、払出モータ465からの配線、払出モータ465からのアース線、及び払出制御基板用端子717とのハーネスは、配線処理片513により掛け留めてまとめられている。
島から供給された球は、上述したように、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留され、球通路ユニット420に取り込まれ、賞球ユニット450に導かれる。球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生する。このため、賞球ユニット450はノイズの影響を受けやすり環境下にある。
上述したように、賞球ユニット450のセンサ基板504には回転角スイッチ505が設けられており、この回転角スイッチ505からの検出信号は、球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。また、上述した、払出制御用コネクタ480fと賞球ユニット用端子717とを接続するハーネス、つまり賞球ユニット450と払出制御基板715とを接続するハーネスも球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。
[1−13.カバー体]
次に、カバー体750について、図3及び図41を参照して説明する。カバー体750は、本体枠3の後面開口222を覆うものであり、その一側の上中下の3箇所に本体枠3の背面一側に形成されるカバー体支持筒部220に上方から挿入される軸支ピン751が形成され、その他側のほぼ中央に球通路ユニット420に形成されるカバー体係合溝433と係合する係合片752が形成されている。しかして、カバー体750の軸支ピン751をカバー体支持筒部220に差し込むことにより、カバー体750を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片752をカバー体係合溝433に係止することにより、カバー体750を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる各種部品の背面を保護することができる。なお、開放する場合には、係合片752とカバー体係合溝433との係合を解除すればよい。
[1−13−1.カバー体の他の実施形態]
上記した図3及び図41に示したカバー体750(以下、「第1実施形態に係るカバー体750」という。)は、図3からも明らかなように、遊技盤4の裏面下部に取り付けられる遊技制御基板ボックス268を除いた遊技盤4の裏面を覆うように形成されているが、これを遊技制御基板ボックス268を含む遊技盤4の裏面の全体を覆うカバー体としても良い。このようなカバー体800(以下、「第2実施形態に係るカバー体800」という。)を取り付けたパチンコ遊技機について、図103乃至図114を参照して説明する。図103は、第2実施形態に係るカバー体800を取り付けたパチンコ遊技機1であってカバー体800を開放した状態の背面から見た斜視図であり、図104は、第2実施形態に係るカバー体800を取り付けたパチンコ遊技機1の側面図であり、図105は、第2実施形態に係るカバー体800を取り付けたパチンコ遊技機1であってカバー体800の開放側から見た斜視図であり、図106は、第2実施形態に係るカバー体800を取り付けたパチンコ遊技機1であってカバー体800の軸支側から見た斜視図であり、図107は、第2実施形態に係るカバー体800を取り付けたパチンコ遊技機1の背面図であり、図108は、第2実施形態に係るカバー体800を取り外した状態のパチンコ遊技機1の背面図であり、図109は、第2実施形態に係るカバー体800の下辺部と重合当接する払出制御基板ボックス655の斜視図であり、図110は、第2実施形態に係るカバー体800の内側から見た斜視図であり、図111は、第2実施形態に係るカバー体800に設けられるシリンダー錠809の作用を説明するための背面図であり、図112は、図107のA−A断面図であり、図113は、図107のB−B断面図であり、図114は、図107のC−C断面図である。なお、図103〜図114において、それ以前の図面に表示される構成と同じ機能を奏する構成には、同一の符号を付した。
この第2実施形態に係るカバー体800が取り付けられるパチンコ遊技機1の外枠2Aは、図103及び図104に示すように、前述した第2実施形態に係る外枠2Aであり、扉枠5に設けられる貯留皿30の形状も若干異なるものである。更に、本体枠3の構成も右後面壁196の開放端側に形成される後述する止め穴830、施錠穴832及び案内孔833を有する施錠壁831の点(図108参照)、及び後側面壁を構成する第3側面壁192及び第4側面壁193の切欠部221の位置が下方まで延設されている点(図104参照)で相違し、また、払出制御基板ボックス655の構成においても、カバー体711に当接低段面711aが形成される点(図109参照)で相違するだけである。ただし、図103及び図108に表示される遊技制御基板ボックス268は、図45に示される実施形態と同様に遊技盤4の裏面下部に取り付けられる盤用基板ホルダー267に取り付けられるものであり、図103及び図108においては、遊技盤4の図示が省略されている。
そこで、まず、図110を参照して第2実施形態に係るカバー体800について説明する。カバー体800は、やや縦長長方形状の周辺の側壁が立ち上がった皿状に合成樹脂によって形成され(側壁部や長方形板部の上半分には、多数の空気穴が形成されている。)、その縦辺一側の側壁に本体枠3に形成される前記カバー体支持筒部220に挿入されて軸支される複数(図示の場合には4個)の軸支ピン801が一体的に形成され、その縦辺他側の側壁のやや上部寄りに球通路ユニット420に形成される前記カバー体係合溝433に係合する係合片802が一体的に形成されている。この軸支ピン801と係合片802は、第1実施形態に係るカバー体750と同様に、カバー体800の軸支ピン801をカバー体支持筒部220に差し込むことにより、カバー体800を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片802をカバー体係合溝433に係止することにより、カバー体800を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる遊技制御基板ボックス268を含む各種部品の背面を保護することができるものである。そして、この第2実施形態に係るカバー体800が第1実施形態に係るカバー体750と異なる点は、ただ単に開閉自在に設けられるだけではなく、閉じた状態で不正に開放することができないようにシリンダー錠809が設けられる点と、遊技制御基板ボックス268の裏面まで覆ってしまうため、遊技制御基板ボックス268に外部に露出して設けられるRAMクリアスイッチ268aと検査機器が接続される試験用端子268b,268cとに対応する位置に接続操作用開口803が設けられている点と、カバー体800の下辺の側壁の先端辺が閉じた状態で払出制御基板ボックス655のカバー体711の表面に当接する点である。そこで、これらの第2実施形態に係るカバー体800の特徴的な構成について以下説明する。
まず、接続操作用開口803について説明すると、接続操作用開口803は、カバー体800の下辺の当接下辺側壁806の上部に長方形状に形成されており、その大きさは、図107に示すように遊技制御基板ボックス268に外部に露出して設けられるRAMクリアスイッチ268aと検査機器が接続される試験用端子268b,268cとが臨む大きさに開設されている。また、接続操作用開口803の内側には、閉じた状態で遊技制御基板ボックス268の外周面に当接する立壁804と当接突起805とが突設されている。立壁804は、接続操作用開口803の左右開口縁に沿って比較的高く形成され、当接突起805は、接続操作用開口803の上開口縁から一側開口縁に沿って比較的低く突設形成されており、これらの立壁804と当接突起805は、図112及び図113に示すように、遊技制御基板ボックス268の外周面(遊技制御基板ボックス268に収納される主制御基板の表面を含む)との間に隙間が生じないようにして接続操作用開口803から不正具を差し込んで遊技制御基板ボックス268に対して不正な行為が行えないようにしている。
次に、カバー体800の下辺に形成される当接下辺側壁806について説明すると、カバー体800を本体枠3に対して閉じたときに、当接下辺側壁806は、図113及び図114に示すように、枠側基板ホルダー651に取り付けられる払出制御基板ボックス655のカバー体711の上辺部分に当接するようになっている。このため、第2実施形態に係るカバー体800が取り付けられるパチンコ遊技機1の枠側基板ホルダー651に装着される払出制御基板ボックス655のカバー体711の上辺部には、図109に示すように、表面より一段と低く形成される当接低段面711aが形成されている。しかして、枠側基板ホルダー651に取り付けられる払出制御基板ボックス655は、図108に示すように、枠用基板ホルダー651の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス653のカバー体683に形成される取付領域693とにわたって取り付けられた状態において、それらの取付領域693内に払出制御基板ボックス655が収納された状態となり左右方向にも上下方向にも移動できないように固定された状態となっている。このため、払出制御基板ボックス655のカバー体711の上面の一部である当接低段面711aがカバー体800の当接下辺側壁806によって当接被覆されることによって、カバー体800を開放しない限り、払出制御基板ボックス655を枠側基板ホルダー651から取り外すことができない構成となっている。
次に、シリンダー錠809に関連する構成について説明する。図110において、カバー体800の下方側の下方寄りにシリンダー錠809を貫通するための楕円形状の錠穴808が開設されている。この錠穴808にシリンダー錠809の断面楕円状のネジ部810が貫通され、この貫通したネジ部810に内側からナット812が螺着されることによりシリンダー錠809が錠穴808に固定される。また、シリンダー錠809には、ネジ部810の中心から錠軸811がカバー体800の内側に向かって突設され、その錠軸811を楕円形状の施錠片813の下方部に穿設されるネジ穴814に貫通させてナット815で締着することにより、施錠片813をシリンダー錠809の後端部に固着している。この構成により、シリンダー錠809に鍵(遊技場の管理責任者等が所持している)を差し込んで回動することにより施錠片813を90度の範囲で回動することができるようになっている。また、鍵穴808の下部には、カバー体800を閉じる際に、開閉を案内するための案内突起816が内側に向かって突設されている。更に、カバー体800の開放側の上方部であって前記係合片802の上下にネジを螺着するためのネジ止め穴807が形成されている。
一方、上記したネジ止め穴807、施錠片813、及び案内突起816に対応するように、本体枠3側には、止め穴830、施錠穴832、及び案内孔833が形成されている。この構成について図108を参照して説明すると、本体枠3の前述した右後面壁196には、前述したようにカバー体当接溝217が形成されているが、このカバー体当接溝217の上下部(球通路ユニット420のカバー体係合溝433を挟んだ上下)に前記ネジ止め穴807に対応する止め穴830が形成されている。更に、本体枠3の右後面壁196の下方部には、図111に示すように、施錠壁831が本体枠3の縦中心線方向に向かって延設されており、その施錠壁831の上下に施錠穴832と案内孔833とが開設されている。施錠穴832は、楕円形状に形成されて前記施錠片813が貫通するようになっていると共に、施錠穴832の前面側周囲の施錠壁831は、補強用のリブが突設されている。
しかして、カバー体800を開放状態から閉止状態に回動させることにより、図111(A)に示すように、案内突起816が案内孔833に挿入されつつ、シリンダー錠809の施錠片813が施錠穴832を貫通した状態となる。その状態でシリンダー錠809に鍵を差し込んで回動することにより、図111(B)に示すように、施錠片813が90度回転し、施錠片813の一端部が施錠壁831の前面側と係合する。このため、カバー体800が本体枠3に対して施錠されることになる。また、シリンダー錠809によるカバー体800の施錠は、カバー体800の下方部であるため、カバー体800の上方部を本体枠3に固定するために、閉じた状態で合致しているネジ止め穴807と止め穴830に図示しないネジを螺着することにより、カバー体800の上方部も本体枠3に固定される。なお、カバー体800の上方部にもシリンダー錠を設けて、上下でシリンダー錠によってカバー体800を本体枠3に施錠しても良い。
また、第2実施形態に係るカバー体800は、図104に示すように、閉じた状態で、その背面側が賞球タンク400の最後端部(本実施形態の場合には、排出口404の後面壁)、及びタンクレール部材410の後端壁と側方から見たときに同一垂直面となっている。このため、パチンコ遊技機1の背面から見たときに、背面側の上部から下方までに凹凸がなく、きわめてスッキリした形状となっているため、パチンコ遊技機1を運搬するときに全体の厚みが均一で把握し易いため、積み込みや重ね合わせ作業が行いやすく、また、実際に遊技場の島台に設置する際も、背向列設されるパチンコ遊技機1の背面において、相手方のパチンコ遊技機の背面に突出する配線等を気にすることなく、きわめてスムーズに設置することができるものである。この点は、第1実施形態に係るカバー体750を使用したパチンコ遊技機1においても、図4に示すように同一の効果を奏するものである。
なお、上記した第2実施形態において、カバー体800の閉止状態を上方のネジと下方のシリンダー錠809との両方で行った理由は、第一の理由として、カバー体800が第1実施形態に係るカバー体750に比べて被覆面積が縦方向に大きくなっているため、カバー体800の中央だけで閉止状態を保持すると上下部分が熱によって変形するおそれがあるため、上下の2箇所で閉止状態を保持する構成にしたこと。第二の理由として、前述したようにカバー体800の当接下辺側壁806によって払出制御基板ボックス655の上辺部に当接するようにしたので、特に、カバー体800の下辺部をこじ開けることができないようにカバー体800の下方部の閉止状態を強固に維持することが必要であり、結果的にカバー体800の上方部も閉止せざるを得ないこと。そして、この第二の理由により、特に下辺部の閉止状態を維持するためにシリンダー錠809等の施錠装置(シリンダー錠に限らず、遊技場の管理者しか解錠できない施錠装置であれば良い。)を用いることが望ましい。
以上、第2実施形態に係るカバー体800について説明してきたが、この第2実施形態に係るカバー体800は、カバー体800を本体枠3に対して閉じたときに、カバー体800の下辺部である当接下辺側壁806が枠側基板ホルダー651に取り付けられる払出制御基板ボックス655のカバー体711の上辺部分に当接被覆するようになっているため、カバー体800を開放しない限り、払出制御基板ボックス655を枠側基板ホルダー651から取り外すことができない構成となっている。そして、カバー体800がシリンダー錠809によって施錠されるため、カバー体800に被覆される遊技制御基板ボックス268に対する不正行為はもちろん、カバー体800に被覆されない払出制御基板ボックス655に対する不正行為も防止することができる。また、カバー体800を閉じた状態で且つシリンダー錠809を施錠した状態であっても、カバー体800に接続操作用開口803が開設されているため、試験用の試験用端子268b,268cに検査機器を接続したり、あるいはソフトウエア等が暴走して復旧する際に、RAMクリアスイッチ268aを操作することができる。そして、この接続操作用開口803の内側には、立壁804や当接突起805が形成されて遊技制御基板ボックス268との間に隙間が生じないようにされているので、接続操作用開口803からピアノ線等を挿入して遊技盤4の裏面に対する不正行為を防止することができる。
更に、第2実施形態に係るカバー体800は、閉じた状態で、その背面側が賞球タンク400の最後端部、及びタンクレール部材410の後端壁と側方から見たときに同一垂直面となっているため、パチンコ遊技機1の背面から見たときに、背面側の上部から下方までに凹凸がなく、きわめてスッキリした形状となっており、パチンコ遊技機1を運搬するときに全体の厚みが均一で把握し易いため、積み込みや重ね合わせ作業が行いやすく、また、実際に遊技場の島台に設置する際も、背向列設されるパチンコ遊技機1の背面において、相手方のパチンコ遊技機の背面に突出する配線等を気にすることなく、きわめてスムーズに設置することができる。
以上、実施形態について説明してきたが、上記した実施形態では、扉枠5に貯留皿30が1つだけ設けられるものを示したが、必ずしも、1つでなくてもよく、従来と同じように上皿と下皿を有するパチンコ遊技機において、扉枠と本体枠とが分離可能で扉枠に操作ハンドル部を設け、本体枠に打球発射装置を設けたものにも適用することができる。また、上記した実施形態では、ハンドル装置70を構成する操作ハンドル部71及びジョイントユニット90を扉枠5に設けたものを示したが、本体枠3の前面下部に固着される取付板に操作ハンドル部71とジョイントユニット90とを設けても良い。また、この場合には、ジョイントユニット90とスライド部材350とを一体的に形成したような構造としても良い。また、ジョイントユニット90のスライド突片102とスライド部材350の挿入空間354との形状的な構成も図示した実施形態に限ることはなく、例えば、スライド突片102に変えて円柱状のスライド突起を用い、このスライド突起が挿入空間354に形成される円錐形状の穴部に係合するような構造としても良い。更に、上記した実施形態においては、ジョイントユニット90のスライド突片102のスライド移動をスライド部材350及び揺動片321を介してスライド杆326に伝達する構成を示したが、この構成に限ることはなく、例えば、スライド部材350及び揺動片321を省略して、ジョイントユニットのスライド突片がスライド杆に直接連結する構成となるようにしてもよい。この場合においても、スライド突片とスライド杆との係合がスムーズに行われるように、スライド突片を円柱状のスライド突起に形成し、スライド杆に円錐形状の穴部を形成して、スライド突起と円錐形状の穴部との係合がスムーズに行なわれるようにすれば良い。
[2.遊技領域内の各種構成部材]
次に、上述した遊技盤4の各種構成部材について説明する。図115は遊技盤の正面図である。なお、遊技領域255内に打ち込まれた球(以下、「遊技球」と記載する。)が落下するとき、遊技球を弾いて遊技球の進行方向を複雑にする複数の障害釘は、図面の見やすさの関係上、図示を省略した。
遊技盤4の遊技領域255には、図115に示すように、センター役物装置1200、入賞口ユニット1210及び装飾ユニット1220が設けられている。また遊技盤4の飾り枠251には、機能表示ユニット1225が取り付けられている。センター役物装置1200は遊技領域255の中央上寄りに配置されている。これにより、センター役物装置1200の上方及び右方及にはアウト口誘導通路1200aが形成され、遊技領域255内に発射された遊技球がアウト口誘導通路1200aに侵入すると、アウト口誘導通路1200aに沿って落下して後述するアウト口に誘導されるようになっている。センター役物装置1200の下方には入賞口ユニット1210が配置されている。装飾ユニット1220はセンター役物装置1200の左下方(入賞口ユニット1210の左方)に配置されている。機能表示ユニット1225は飾り枠251の右下側に配置されている。まず、センター役物装置1200について説明し、続けて入賞口ユニット1210、装飾ユニット1220、各種表示器及び各種ランプについて説明する。
[2−1.センター役物装置]
センター役物装置1200は、その上側に点灯する演出ランプ1230、右側に明るさが滑らかに変化して階調点灯する階調ランプ1240が設けられている。そして下側に遊技球が左右に揺動するステージ1250と、入賞口ユニット1210に遊技球を誘導する、球誘導孔1260及び球誘導路1270とが設けられており、左側にステージ1250に遊技球を誘導するワープ孔1280と、遊技球が通過することができるゲート1290とが設けられている。このゲート1290に侵入した遊技球はゲートスイッチ1300により検出されて再び遊技領域255内に戻るようになっている。ゲート1290の下方には、ワープ孔1280が配置されている。このワープ孔1280に侵入した遊技球はステージ1250に誘導されて揺動したり又は球誘導孔1260に侵入して球誘導路1270を通過したりして、再び遊技領域255内に戻るようになっている。
センター役物装置1200に侵入した遊技球がセンター役物装置1200からパチンコ遊技機1の内部に侵入しないようセンター役物装置1200には隔壁板1310が設けられている。上述した球誘導孔1260は隔壁板1310に設けられており、球誘導路1270と連結されている。これにより、球誘導孔1260に侵入した遊技球は球誘導路1270を通過して遊技領域255内に再び戻るようになっている。また、隔壁板1310は、液晶表示器1315の表示領域1320に遊技球が衝突するのを防いでいる。
なお、センター役物装置1200の上側には上あご可動体、下側には下あご可動体が配置されており、視認できない位置(原位置)で待機している。これらの上あご可動体及び下あご可動体は、隔壁板1310と表示領域1320との間で可動するようになっており、所定の条件が成立したとき、原位置から表示領域1320の前面側にそれぞれ出現して再び原位置に戻るようになっている。
[2−2.入賞口ユニット]
入賞口ユニット1210は、上始動入賞口1330、下始動入賞口1340、大入賞口装置1350を備えて構成されている。入賞口ユニット1210の上側には上始動入賞口1330が配置されており、この上始動入賞口1330の下方には下始動入賞口1340が配置されている。上始動入賞口1330に入球した遊技球は上始動口スイッチ1360により検出され、下始動入賞口1340に入球した遊技球は下始動口スイッチ1370により検出される。下始動入賞口1340には開閉翼1380が設けられており、開閉翼ソレノイド1390に駆動信号が入力されると、開閉翼1380が開くようになっている。一方、駆動信号が入力されないと、開閉翼1380が閉じるようになっている。開閉翼1380が開くと、下始動入賞口1340に遊技球が入球しやすい開状態となる。一方、開閉翼1380が閉じると、下始動入賞口1340に遊技球が入球することができない閉状態となる。
上始動入賞口1330及び下始動入賞口1340の近傍には、磁気スイッチ1395が遊技盤4の裏面に取り付けられている。この磁気スイッチ1395は磁気を検出するものであり、本実施形態では遊技球を磁石によって上始動入賞口1330又は下始動入賞口1340に入球させる不正行為を検出するために用いている。磁気スイッチとしてリードスイッチ式のものがある。このリードスイッチ式の磁気スイッチは、特定方向の磁気を検出することができ、磁気を検出するとスイッチが閉鎖するものである。
ところで、開閉翼ソレノイド1390に駆動信号が入力されると、開閉翼ソレノイド1390から磁気が発生する。リードスイッチ式の磁気スイッチは、上述したように、特定方向の磁気を検出することができる。このため、上始動入賞口1330及び下始動入賞口1340の近傍にリードスイッチ式の磁気スイッチを遊技盤4の裏面に取り付けるときには、開閉翼ソレノイド1390による磁気を検出しないようにその向きを考慮する必要がある。ところが、開閉翼ソレノイド1390から発生する磁気と見せかけて磁石を上始動入賞口1330又は下始動入賞口1340に接近させると、その接近を検出することが困難となり、遊技球を磁石によって上始動入賞口1330又は下始動入賞口1340に入球させる不正行為を検出することが困難となる。
そこで、本実施形態では、磁気スイッチ1395としてホール素子(例えば、旭化成電子株式会社製:HZ−116C)を2つ組み合わせた回転角度センサ(例えば、旭化成電子株式会社製:AE−8001)を用いており、ホール素子Aで発生する磁気をアナログ量として検出し、もう1つのホール素子Bで開閉翼ソレノイド1390から発生する磁気をアナログ量として検出している。そして回転角度センサでホール素子Aによるアナログ量からホール素子Bによるアナログ量を差し引くことで多方向から発生する磁気を検出している。これにより、遊技球を磁石によって上始動入賞口1330又は下始動入賞口1340に入球させる不正行為を検出している。
ここで、その詳細な説明については後述するが、所定の条件が成立したとき、開閉翼ソレノイド1390に駆動信号が出力されると、開閉翼1380が開いて下始動入賞口1340が閉状態から開状態となる。このとき、遊技球が下始動入賞口1340に入球しやすくなる。一方、開閉翼ソレノイド1390に駆動信号が出力されなくなると、開閉翼1380が閉じて下始動入賞口1340が開状態から閉状態となる。このとき、下始動入賞口1340の左方又は右方から侵入してくる遊技球は開閉翼1380によりブロックされる。下始動入賞口1340の上方には、上述したように、上始動入賞口1330が配置されている。このため、上方から侵入してくる遊技球は上始動入賞口1330によりブロックされている。下始動入賞口1340が閉状態から開状態となると、その左方又は右方から侵入してくる遊技球に加えて、上始動入賞口1330に入球しなかった遊技球、つまり下始動入賞口1340の上方から侵入してくる遊技球は、下始動入賞口1340に入球する機会を得ることができる。
下始動入賞口1340の下方には大入賞口装置1350が配置されている。この大入賞口装置1350は、大入賞口1400、開閉板1410、開閉板ソレノイド1420、カウントスイッチ1430を備えて構成されている。大入賞口1400は横長四角形状を有しており、開閉板ソレノイド1420に駆動信号が出力されると、開閉板1410が開くようになっている。一方、駆動信号が出力されないと、開閉板1410が閉じるようになっている。開閉板1410が開くと、大入賞口1400に遊技球が入球しやすい開放状態となる。一方、開閉板1410が閉じると、大入賞口1400に遊技球が入球することができない閉鎖状態となる。
ここで、その詳細な説明については後述するが、所定の条件が成立したとき、開閉板ソレノイド1420に駆動信号が出力されると、開閉板1410が開いて大入賞口1400が閉鎖状態から開放状態となる。このとき、遊技球が大入賞口1400に入球しやすくなり、この入球した遊技球はカウントスイッチ1430により検出される。一方、開閉板ソレノイド1420に駆動信号が出力されなくなると、開閉板1410が閉じて大入賞口1400が開放状態から閉鎖状態となる。このとき、遊技球が大入賞口1400に入球できなくなる。
なお、入賞口ユニット1210には、大入賞口装置1350の左側に左普通入賞口1440、右側に右普通入賞口1450が設けられている。左普通入賞口1440に入球した遊技球は左入賞口スイッチ1460により検出され、一方、右普通入賞口1450に入球した遊技球は右入賞口スイッチ1470により検出される。
[2−3.装飾ユニット]
装飾ユニット1220は、演出ランプ1570、装飾ユニット側普通入賞口1580,1590を備えて構成されている。装飾ユニット1220の下側には点灯する演出ランプ1570が配置されている。この演習ランプ1570上方に装飾ユニット側普通入賞口1580,1590が配置されている。これらの装飾ユニット側普通入賞口1580,1590に遊技球が入球すると、上述した左入賞口スイッチ1460で検出される。遊技領域255内に発射された遊技球が入賞口ユニット1210及び装飾ユニット1220に設けた各種入賞口のいずれにも入球しなかったときには上述したアウト口256で回収される。また、遊技領域255内に発射された遊技球が上述したアウト口誘導通路1200aに侵入すると、このアウト口誘導通路1200aに沿って落下してそのままアウト口256に誘導されて回収される。
[2−4.各種表示器及び各種ランプ]
機能表示ユニット1225は、その詳細な説明は後述するが、セグメント表示器及びLED等を複数備えて構成されており、これらのセグメント表示器及びLED等には、上特別図柄表示器1480、下特別図柄表示器1490、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500b、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510b、普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530d、遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550、15ラウンド表示ランプ1560がそれぞれ割り当てられている。
機能表示ユニット1225の下側には上特別図柄表示器1480が配置され、この上特別図柄表示器1480の右方に下特別図柄表示器1490が配置されている。上特別図柄表示器1480は、上始動入賞口1330に遊技球が入球すると、大当り遊技状態の発生の有無を所定の特別図柄として変動表示する。一方、下特別図柄表示器1490は、下始動入賞口1340に遊技球が入球すると、上特別図柄表示器1480と同様に、大当り遊技状態の発生の有無を所定の特別図柄として変動表示する。なお、上始動入賞口1330に入球した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されないときには、入球した遊技球の球数を保留数として上特別図柄表示器1480の左方に配置された上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bに表示する。一方、下始動入賞口1340に入球した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されないときには、入球した遊技球の球数を保留数として下特別図柄表示器1490の右方に配置された下特別図柄記憶ランプ1510a,15150bに表示する。
下特別図柄記憶ランプ1510aの上方には普通図柄表示器1520が配置されており、この普通図柄表示器1520の左上方に普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dが配置されている。普通図柄表示器1520は、ゲート1290に遊技球が通過すると、開閉翼1380の開閉の有無を所定の普通図柄として変動表示する。なお、ゲート1290に通過した遊技球は、普通図柄の変動表示で使用されないときには、通過した遊技球の球数を保留数として普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dに表示する。
上特別図柄記憶ランプ1500bの左方には遊技状態表示ランプ1540が配置されている。この遊技状態表示ランプ1540は遊技状態として確率変動又は小当りが生じている旨を所定の色で点灯して報知する。
普通図柄記憶ランプ1530dの上方には、2ランド表示ランプ1550が配置されており、この2ラウンド表示ランプ1550の上方には15ラウンド表示ランプ1560が配置されている。2ラウンド表示ランプ1550は、大入賞口1400が閉鎖状態から開放状態となる最大回数(「ラウンド」という。)が2回である旨を点灯して報知する。一方15ラウンド表示ランプ1560は、ラウンドが15回である旨を点灯して報知する。
[3.機能表示ユニット]
次に、遊技盤4の裏面に取り付けられる機能表示ユニット1225について説明する。図116は機能表示ユニットの分解斜視図の概略図である。
機能表示ユニット1225は、図116に示すように、機能表示基板1225a、カバー部材1225bを備えて構成されている。まず、機能表示基板1225aの構成について説明し、続けてカバー部材1225bの遊技盤4への取り付けについて説明する。
[3−1.機能表示基板の構成]
機能表示基板1225aは、図116に示すように、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12を備えて構成されている。本実施形態では、セグメント表示器SEG1には上特別図柄表示器1480が割り当てられ、セグメントSEG2には下特別図柄表示器1490が割り当てられている。セグメント表示器SEG1,SEG2は、英数字及び図形等を表示することができるようになっており、これらの英数字及び図形等を特別図柄として表示することによって、上述した、上始動入賞口1330に遊技球が入球すると、セグメント表示器SEG1が所定の特別図柄を変動表示し、下始動入賞口1340に遊技球が入球すると、セグメント表示器SEG2が所定の特別図柄を変動表示するようになっている。
LED1には上特別図柄記憶ランプ1500a、LED2には上特別図柄記憶ランプ1500bがそれぞれ割り当てられ、LED3には下特別図柄記憶ランプ1510a、LED4には下特別図柄記憶ランプ1510bがそれぞれ割り当てられている。上始動入賞口1330に入球した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されないときには、入球した遊技球の球数を保留数として上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bが点灯又は点滅するようになっている。具体的には、保留球が1球のときには上特別図柄記憶ランプ1500aが点灯して上特別図柄記憶ランプ1500bが消灯し、保留球が2球のときには上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bがともに点灯し、保留球が3球のときには上特別図柄記憶ランプ1500aが点滅して上特別図柄記憶ランプ1500bが点灯し、保留球が4球のときには上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bがともに点滅する。一方、下始動入賞口1340に入球した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されないときには、入球した遊技球の球数を保留数として下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bが点灯又は点滅するようになっている。具体的には、保留球が1球のときには下特別図柄記憶ランプ1510aが点灯して下特別図柄記憶ランプ1510bが消灯し、保留球が2球のときには下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bがともに点灯し、保留球が3球のときには下特別図柄記憶ランプ1510aが点滅して下特別図柄記憶ランプ1510bが点灯し、保留球が4球のときには下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bがともに点滅する。
LED5には普通図柄表示器1520が割り当てられている。LED5は赤色/緑色/橙色を点灯することができるLEDであり、これらの赤色/緑色/橙色を組み合わせて点灯することもできるようになっている。LED5は、その点灯する色を普通図柄として表示することによって、上述した、ゲート1290に遊技球が通過すると、所定の普通図柄を変動表示するようになっている。
LED6〜LED9には普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dがそれぞれ割り当てられている。ゲート1290に通過した遊技球は、普通図柄の変動表示で使用されないときには、通過した遊技球の球数を保留数として普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dが点灯するようになっている。具体的には、保留球が1球のときには普通図柄記憶ランプ1530aが点灯して普通図柄記憶ランプ1530b〜1530dが消灯し、保留球が2球のときには普通図柄記憶ランプ1530a,1530bが点灯して普通図柄記憶ランプ1530c,1530dが消灯し、保留球が3球のときには普通図柄記憶ランプ1530a〜1530cが点灯して普通図柄記憶ランプ1530dが消灯し、保留球が4球のときには普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dがすべて点灯する。
LED10には遊技状態表示ランプ1540が割り当てられている。LED10は赤色/緑色/橙色を点灯することができるLEDであり、これらの赤色/緑色/橙色を組み合わせて点灯することもできるようになっている。LED10は、その点灯する色を遊技状態として表示することによって、遊技状態が確率変動又は小当りが生じている旨を報知するようになっている。
LED11には2ラウンド表示ランプ1550、LED12には15ラウンド表示ランプ1560がそれぞれ割り当てられている。上述したように、2ラウンド表示ランプ1550は大入賞口1400が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回である旨を点灯して報知するようになっており、一方、15ラウンド表示ランプ1560はラウンドが15回である旨を点灯して報知するようになっている。
このように、機能表示基板1225aに実装された、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12は、上特別図柄表示器1480、下特別図柄表示器1490、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500b、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510b、普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530d、遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550、15ラウンド表示ランプ1560がそれぞれ割り当てられており、各種機能表示を行う、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12、つまり上特別図柄表示器1480、下特別図柄表示器1490、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500b、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510b、普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530d、遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550、15ラウンド表示ランプ1560が機能表示基板1225aに集約された構成になっている。
また、上特別図柄表示器1480及び下特別図柄表示器1490は、大当たり遊技状態を特別図柄としてそれぞれ変動表示するため、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500b、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510b、普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530d、遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプ1560と区別して、それらに割り当てられるLED1〜LED12と異なるセグメント表示器SEG1,SEG2を用いて、英数字及び図形等を特別図柄として変動表示している。
なお、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dに割り当てられるLED6〜LED9の数と、2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプ1560に割り当てられるLED11,LED12の数と、の和が固定値6となっている。
[3−2.カバー部材の遊技盤への取り付け]
機能表示基板1225aは、カバー部材1225bに図示しないネジで固定され、カバー部材1225bが遊技盤4の飾り枠251の裏面から図示しないネジで取り付けられるようになっている。飾り枠251には、機能表示基板1225aのセグメントSEG1,SEG2に対応する位置にセグメント表示器用開口251aが形成されており、これらのセグメント表示器SEG1,SEG2が表示する内容を視認できるようになっている。
また飾り枠251には、機能表示基板1225aのLED1〜LED12に対応する位置にLED用挿通孔251bがそれぞれ設けられており、カバー部材1225bを飾り枠251の裏面に取り付ける際に、LED1〜LED12が遊技盤4と干渉しないようになっている。これらのLED用挿通孔251bは、LED1〜LED12の点灯又は点滅した光が隣接するLEDの点灯又は点滅した光と誤認されないように円筒状に形成されている。なお、セグメント表示器SEG1,SEG2が表示する内容、LED1〜LED12が点灯又は点滅して表示する内容は、後述する機能表示シール1595Aに印刷されている。飾り枠251には、機能表示シール1595Aを貼り付ける機能表示シール貼付部251cが形成されている。なお、機能表示シール貼付部251cには凹部251dが形成されている。この凹部251dにマイナスドライバ等の工具を挿入して貼り付けた機能表示シール1595Aをはがしやすくしている。ここで、機能表示シール1595Aをはがしやすくするために機能表示シール1595Aに突出部を設けることも考えられるが、扉枠5を本体枠3から開閉する際に、その突出部が何らかの原因によって引っ張られて機能表示シール1595Aが機能表示シール貼付部251cからはがれるおそれがある。そこで本実施形態では、機能表示シール貼付部251cに凹部251dを形成することによって、扉枠5を本体枠3から開閉する際に、機能表示シール1595Aが機能表示シール貼付部251cからはがれないようにしている。
[4.機能表示シール]
次に、機能表示シール1595Aについて説明する。図117は機能表示シールの概略図であり、図118は遊技窓を介して機能表示シールを見た部分図である。機能表示シール1595Aは、図117に示すように、その表面に機能表示ごとにグループGrp1〜Grp3にグループ化等されて印刷されており、遊技盤4の非遊技領域である飾り枠251に形成された機能表示シール貼付部251cに貼り付けられている。
グループGrp1は、図117に示すように、上特別図柄表示器1480、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bから構成されており、これらの上特別図柄表示器1480、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bを視認できる実線SL1で囲まれた状態で区画されて機能表示シール1595Aに印刷されている。実線SL1で囲まれた領域は、上特別図柄表示器1480による表示や上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bによる点灯又は点滅を視認できるように、上特別図柄表示器1480、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bと対応する位置が透明となっている。グループGrp1では、上述した上始動入賞口1330への遊技球の入球による特別図柄の変動表示に関する各種情報を表示する。例えば、上述したように、上始動入賞口1330に遊技球が入球すると、上特別図柄表示器1480が所定の特別図柄を変動表示したり、入球した遊技球の球数を保留数として上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bが点灯又は点滅したりする。このように、上特別図柄表示器1480、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bを1つのグループGrp1にグループ化することによって、これらの上特別図柄表示器1480、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500bが上始動入賞口1330への遊技球の入球による特別図柄の変動表示に関する各種情報を示していることを遊技者に伝えることができる。これにより、遊技者は、実線SL1で囲まれた状態で区画されて機能表示シール1595Aに印刷されたグループGrp1を目視することによって上始動入賞口1330への遊技球の入球による特別図柄の変動表示に関する各種情報を容易に確認することができる。
グループGrp2は、図117に示すように、下特別図柄表示器1490、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bから構成されており、これらの下特別図柄表示器1490、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bを視認できる実線SL2で囲まれた状態で区画されて機能表示シール1595Aに印刷されている。実線SL2で囲まれた領域は、下特別図柄表示器1490による表示や下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bによる点灯又は点滅を視認できるように、下特別図柄表示器1490、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bと対応する位置が透明となっている。グループGrp2では、上述した下始動入賞口1340への遊技球の入球による特別図柄の変動表示に関する各種情報を表示する。例えば、上述したように、下始動入賞口1340に遊技球が入球すると、下特別図柄表示器1490が所定の特別図柄を変動表示したり、入球した遊技球の球数を保留数として下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bが点灯又は点滅したりする。このように、下特別図柄表示器1490、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bを1つのグループGrp2にグループ化することによって、これらの下特別図柄表示器1490、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bが下始動入賞口1340への遊技球の入球による特別図柄の変動表示に関する各種情報を示していることを遊技者に伝えることができる。これにより、遊技者は、実線SL2で囲まれた状態で区画されて機能表示シール1595Aに印刷されたグループGrp2を目視することによって下始動入賞口1340への遊技球の入球による特別図柄の変動表示に関する各種情報を容易に確認することができる。
グループGrp3は、図117に示すように、普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dから構成されており、これらの普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dを視認できる実線SL3で囲まれた状態で区画されて機能表示シール1595Aに印刷されている。実線SL3で囲まれた領域は、普通図柄表示器1520による点灯や普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dによる点灯を視認できるように、普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dと対応する位置が透明となっている。普通図柄表示器1520は、上述したように、開閉翼1380の開閉の有無を所定の普通図柄として変動表示し、開閉翼1380が閉状態から開状態となると、遊技球が下始動入賞口1340に入球しやすくなる。このため、普通図柄表示器1520には、上特別図柄表示器1480、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500b、下特別図柄表示器1490、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510b、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530d、遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプと見分けが付くように星印が印刷されている。グループGrp3では、上述したゲート1290に関する各種情報を表示する。例えば、上述したように、ゲート1290に遊技球が通過すると、普通図柄表示器1520が所定の普通図柄を変動表示したり、通過した遊技球の球数を保留数として普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dが点灯したりする。このように、普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dを1つのグループGrp3にグループ化することによって、これらの普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dが普通図柄の変動表示に関する各種情報を示していることを遊技者に伝えることができる。これにより、遊技者は、実線SL3で囲まれた状態で区画されて機能表示シール1595Aに印刷されたグループGrp3を目視することによって普通図柄の変動表示に関する各種情報を容易に確認することができる。
遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプ1560と対応する位置には、図117に示すように、遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプ1560が視認できる実線SL4〜SL6でそれぞれ囲まれた状態で区画されて印刷されている。実線SL4〜SL6で囲まれた領域は、遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプ1560による点灯を視認できるように、遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプ1560と対応する位置が透明となっている。2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプ1560には、ラウンドの最大回数を理解し易いように、2ラウンド表示ランプ1550と対応する位置にはラウンドの最大回数である値2が印刷され、15ラウンド表示ランプ1560と対応する位置にはラウンドの最大回数である値15が印刷されている。上述したように、遊技状態表示ランプ1540は点灯する色を遊技状態として表示することによって遊技状態が確率変動又は小当りが生じている旨を報知し、2ラウンド表示ランプ1550は大入賞口1400が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回である旨を点灯して報知し、15ラウンド表示ランプ1560はラウンドが15回である旨を点灯して報知する。これにより、遊技者は、実線SL4で囲まれた状態で区画されて機能表示シール1595Aに印刷された遊技状態表示ランプ1540を目視することによって遊技状態を容易に確認することができ、実線SL5で囲まれた状態で区画されて機能表示シール1595Aに印刷された2ラウンド表示ランプ1550を目視することによってラウンドの最大回数が2回であるか否かを容易に確認することができ、実線SL6で囲まれた状態で区画されて機能表示シール1595Aに印刷された15ラウンド表示ランプ1560を目視することによってラウンドの最大回数が15回であるか否かを容易に確認することができる。
なお、本実施形態では、上述したように、グループGrp1〜グループGrp3は実線SL1〜SL6で囲まれた状態で区画されて機能表示シール1595Aに印刷されており、遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプ1560と対応する位置は遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプ1560が視認できる実線SL4〜SL6でそれぞれ囲まれた状態で区画されて印刷されている。
このように、機能表示シール1595Aは、図116に示した機能表示基板1225aに集約して実装された、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12の機能がグループGrp1〜Grp3等のようにグループ化されてその内容が印刷されており、区画されている。また普通図柄表示器1520等には星印が印刷されており、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12が表示する内容が、機能表示シール1595Aに集約して印刷されても、それらの意味を容易に理解することができるようになっている。
このような機能と印刷された内容との対応関係が、図117に示すように、シール管理番号1595Aaとして機能表示シール1595Aに印刷されている。このシール管理番号1595Aaは、図117及び図118に示すように、扉枠5を本体枠3に閉じた際に、遊技窓42を介して遊技窓42から視認しにくい位置に印刷されており、遊技者に必要ではない情報を伝えないようになっている。また、上述した機能表示シール貼付部251cに設けた凹部251dも、図117及び図118に示すように、扉枠5を本体枠3に閉じた際に、遊技窓42を介して視認しにくい位置に形成されており、凹部251dを遊技者に視認しにくくしている。
シール管理番号1595Aaは、パチンコ遊技機1を製造するメーカの作業者が、パチンコ遊技機1を組み立てる際に、誤って別仕様の機能表示シールを取り付ける作業ミスを防止するためのものである。また、シール管理番号1595Aaは機能表示シール1595Aの在庫管理にも用いられており、グループGrp1〜グループGrp3等の態様がシール管理番号1595Aaにひも付けされて管理されている。これにより、シール管理番号1595Aaを調べると、シール管理番号1595Aaに対応する機能表示シール1595Aの在庫が分かるようになっている。
ここで、近年のパチンコ遊技機は、そのライフサイクルの短縮化にともないパチンコ遊技機の開発期間も短くなってきている。このため、本実施形態では、例えば、大入賞口1400が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回、15回である旨を点灯して報知する2ラウンド表示ランプ、15ラウンド表示ランプに加えて、ラウンド数が5回、8回である旨を点灯して報知する5ラウンド表示ランプや8ラウンド表示ランプを追加する場合、始動入賞口の数を2つから1つに減らす場合等によるパチンコ遊技機の仕様変更には、共通の機能表示基板1225aを使用することで対応することができるようになっている。このようなパチンコ遊技機の仕様変更にともない機能表示シールに印刷する内容も変更するため、上述した、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12の機能と、機能表示シールに印刷された内容と、の対応関係を、シール管理番号として機能表示シールに印刷している。これにより、例えばパチンコ遊技機の製造元では、ラインの作業者が遊技盤に機能表示シールを貼り付ける前に、パチンコ遊技機の仕様と機能表示シールとが対応しているか否かを、シール管理番号を目視することによって確認することができ、パチンコ遊技機の仕様に対応しない機能表示シールが貼り付けられるのを防止することができる。なお、機能表示シールはシールであり、接着剤などを機能表示シールの裏面等に塗る作業工程がなく、生産性の向上に寄与している。
[5.主基板及び周辺基板]
次に、パチンコ遊技機1の各種制御を行う制御基板について説明する。図119は主基板及び周辺基板のブロック図であり、図120は主基板(主制御基板)に入出力される各種検出信号及び各種駆動信号の概略図である。パチンコ遊技機1の制御構成は、図119に示すように、主基板1600のグループ及び周辺基板1610のグループから構成されており、これら2つのグループにより各種制御が分担されている。まず、主基板1600のグループについて説明し、続けて周辺基板1610のグループについて説明する。
[5−1.主基板のグループ]
主基板1600のグループは、図119に示すように、主制御基板1700、払出制御基板715を備えて構成されている。
[5−1−1.主制御基板]
主制御基板1700は、図119に示すように、マイクロプロセッサとしての主制御MPU1700a、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート1700b、上述したRAMクリアスイッチ268aを備えて構成されている。主制御MPU1700aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されており、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。
主制御MPU1700aは、上述した、上始動口スイッチ1360及び下始動口スイッチ1370からの検出信号が、主制御I/Oポート1700bを介して入力され、また上述した、ゲートスイッチ1300、左入賞口スイッチ1460、右入賞口スイッチ1470、カウントスイッチ1430及び磁気スイッチ1395からの検出信号が、上述した遊技盤4に取り付けられたパネル中継基板1650、そして主制御I/Oポート1700bを介して入力されており、これらの検出信号に基づいて、その詳細な説明については後述するが、上述した、開閉翼ソレノイド1390、開閉板ソレノイド1420への駆動信号を、主制御I/Oポート1700b、そしてパネル中継基板1650を介して出力し、上特別図柄表示器1480、下特別図柄表示器1490、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500b、下特別図柄記憶ランプ1510a,1510b、普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530d、遊技状態表示ランプ1540、2ラウンド表示ランプ1550及び15ラウンド表示ランプ1560への駆動信号を、主制御I/Oポート1700b、パネル中継基板1650を介して上述した機能表示基板1225aに出力する(図120参照)。
また主制御MPU1700aは、遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払い出しに関する各種コマンド等を、上述した主ドロワ中継基板657を介して払出制御基板715に送信したり、この払出制御基板715からのパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンド等を、主ドロワ中継基板657を介して受信したりする。更に主制御MPU1700aは、遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドを、主制御I/Oポート1700bを介して後述する周辺基板1610のサブ統合基板1740に送信したりする(主制御基板1700とサブ統合基板1740との基板間は図示しないハーネスより電気的に接続されている)。なお、主制御MPU1700aは、その詳細な説明は後述するが、払出制御基板715からパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドを受信すると、これらの各種コマンドを整形してサブ統合基板1740に送信する。
主制御基板1700には、その詳細な説明は後述するが、電源基板686から各種電圧が供給されている。この電源基板686は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板1700に電力を供給するバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)を備えている。このキャパシタにより主制御MPU1700aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報をその内蔵するRAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板1700のRAMクリアスイッチ268aが操作されると、その内容が内蔵するRAMから消去(クリア)されるようになっている。このRAMクリアスイッチ268aの操作信号(検出信号)は、主ドロワ中継基板657を介して払出制御基板715にも出力されるようになっている。
また、主制御基板1700には、その詳細な説明は後述するが、停電監視回路が設けられている。この停電監視回路は、電源基板686から供給される各種電圧の低下を監視しており、それらの電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号を出力するようになっている。この停電予告信号は、主制御I/Oポート1700bを介して主制御MPU1700aに入力される他に図示しないハーネスを介して払出制御基板715等にも伝達されている。
[5−1−2.払出制御基板]
払出制御基板715は、図119に示すように、払い出しに関する各種制御を行う払出制御部1710、上述した発射モータ344の発射制御を行う発射制御部1720、上述した、エラーLED表示器1730、エラー解除スイッチ1731、球抜きスイッチ1732を備えて構成されている。
[5−1−2(a).払出制御部]
払出制御部1710は、図119に示すように、マイクロプロセッサとしての払出制御MPU1710a、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート1710b、払出制御MPU1710aが正常に動作しているか否かを監視する外部ウォッチドックタイマ1710c(以下、「外部WDT1710c」と記載する。)、上述した払出モータ465に駆動信号を出力する払出モータ駆動回路1710dを備えて構成されている。払出制御MPU1710aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されており、不正を防止するため機能等も内蔵されている。
払出制御MPU1710aは、その詳細な説明は後述するが、主制御基板1700からの遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払い出しに関する各種コマンドを受信し、主制御基板1700からのRAMクリアスイッチ268aの操作信号(検出信号)が入力される他に、満タンスイッチ545からの検出信号が入力され、球切れスイッチ426、計数スイッチ462及び回転角スイッチ505からの検出信号が賞球ユニット内中継端子板480を介して入力されている。
また払出制御MPU1710aは、その詳細な説明は後述するが、主制御基板1700からの払い出しに関する各種コマンドを受信すると、その受信した払い出しに関する各種コマンドに基づいて払出モータ駆動回路1710dから払出モータ465に駆動信号を出力したり、球抜きスイッチ1732が操作されると、この操作信号(検出信号)に基づいて上述した、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留された遊技球を排出する(球抜きする)ために払出モータ465への駆動信号を出力したり、図示しないCRユニットからの貸球要求信号がCRユニット端子板700bを介して入力されると、この貸球要求信号に基づいて払出モータ465への駆動信号を出力したりする。更に払出制御MPU1710aは、パチンコ遊技機1の状態をエラーLED表示器1730に表示したり、その状態を示す各種コマンドを主制御基板1700に送信したり、満タンスイッチ545からの検出信号が入力されると、この検出信号に基づいて払出モータ駆動回路1710dからの駆動信号を停止して払出モータ465を停止したり、計数スイッチ462からの検出信号が入力されると、この検出信号に基づいて実際に払い出した遊技球の球数を上述した外部端子板700aに出力したりする。この外部端子板700aは、遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと接続されている。このホールコンピュータは、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報等を把握することにより遊技者の遊技を監視している。
[5−1−2(b).発射制御部]
発射制御部1720は、図119に示すように、各種スイッチからの検出信号等が入力される入力回路1720a、定時間ごとにクロック信号を出力する発信回路1720b、このクロック信号に基づいて発射モータ344に駆動信号を出力する発射制御回路1720c、発射モータ344に駆動信号を出力する発射モータ駆動回路1720dを備えて構成されている。発射制御回路1720cは、発信回路1720bからのクロック信号に基づいて、1分当たり約99.95個の遊技球が遊技領域255に向けて発射されるよう発射モータ344の回転速度を制御している。つまり、上述した打球槌336の可動を制御している。
なお、上述したハンドル装置70(操作ハンドル部71)には、上述したように、タッチスイッチ80、発射停止スイッチ82が内蔵されており、操作ハンドル部71の回動操作部材74に触れるとタッチスイッチ80に内蔵された接触検出基板80aにより検出され、発射停止ボタン81を操作すると発射停止スイッチ82により検出される。これらの検出信号は、その詳細な説明は後述するが、上述したハンドル中継端子71aを介して入力回路1720aに入力されている。また、CRユニットがCRユニット端子板700bに電気的に接続されると、CR接続信号がCRユニット端子板700bを介して入力回路1720aに入力される。
払出制御基板715には、電源基板686から各種電圧が主制御基板1700と同様に供給されている。この電源基板686は、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板715に電力を供給するキャパシタを備えている。このキャパシタにより払出制御MPU1710aは電源遮断時にでも払い出しに関する各種の払出情報をその内蔵するRAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した払出情報は、電源投入時に主制御基板1700のRAMクリアスイッチ268aが操作されると、その内容が内蔵するRAMから消去(クリア)されるようになっている。
[5−2.周辺基板のグループ]
周辺基板1610は、図119に示すように、上述した、サブ統合基板1740、液晶制御基板1750を備えて構成されている。サブ統合基板1740と液晶制御基板1750との基板間は、図示しないハーネスによって電気的に接続されている。
[5−2−1.サブ統合基板]
サブ統合基板1740は、図119に示すように、マイクロプロセッサとしてのサブ統合MPU1740a、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するサブ統合ROM1740b、高音質の演奏を行う音源IC1740c、この音源IC1740cが参照する音楽及び効果音等の音情報が記憶されている音ROM1740dを備えて構成されている。
サブ統合MPU1740aは、パラレル入出力ポート、シリアル入出力ポート及びウォッチドックタイマ(WDT)等の各種入出力ポートを内蔵しており、主制御基板1700から各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5hに点灯信号又は点滅信号を出力する扉枠側点灯点滅コマンドをランプ駆動基板1760に出力したり、演出ランプ1230,1570に点灯信号又は点滅信号を出力する遊技盤側点灯点滅コマンドをランプ駆動基板1760に出力したり、階調ランプ1240に階調点灯信号を出力する階調点灯コマンドをランプ駆動基板1760に出力したり、モータによる可動機構を備えた上あご可動体の上あご可動装置1770及びモータによる可動機構を備えた下あご可動体の下あご可動装置1780に駆動信号をランプ駆動基板1760を介してそれぞれ出力したり、音ROM1740dから抽出する音情報を示す音コマンドを音源IC1740cに出力したり、液晶表示器1315に表示させる画面を示す表示コマンドを液晶制御基板1750に出力したりする。
サブ統合MPU1740aから液晶制御基板1750に出力される表示コマンドはシリアル入出力ポートにより行われ、本実施形態では、ビットレート(単位時間あたりに送信できるデータの大きさ)として19.2キロ(k)ビーピーエス(bits per second、以下、「bps」と記載する)が設定されている。
サブ統合MPU1740aからランプ駆動基板1760に出力される、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドは、表示コマンドと異なるシリアル入出力ポートにより行われ、本実施形態では、ビットレートとして250kbpsが設定されている。ランプ駆動基板1760は、その詳細な説明は後述するが、受信した扉枠側点灯点滅コマンドに基づいて点灯信号又は点滅信号を上述した副ドロワ中継基板658を介して出力したり、受信した遊技盤側点灯点滅コマンドに基づいて点灯信号又は点滅信号を演出ランプ1230,1570に出力したり、受信した階調点灯コマンドに基づいて階調点灯信号を階調ランプ1240に出力したりする。
またサブ統合MPU1740aは、上あご可動体の原位置検出信号及び下あご可動体の原位置検出信号が上あご可動装置1770及び下あご可動装置1780からランプ駆動基板1760を介してそれぞれ入力されている。更にサブ統合MPU1740aには、液晶制御基板1750が正常動作している旨を伝える信号(動作信号)が液晶制御基板1750から入力され、上述した演出選択スイッチ31からの演出選択信号(検出信号)が副ドロワ中継基板658、そしてランプ駆動基板1760を介して入力されている。
音源IC1740cは、サブ統合MPU1740aから出力された音コマンドに基づいて音ROM1740dから音情報を抽出し、ランプ駆動基板1760、そして副ドロワ中継基板658を介して上述したスピーカ34から各種演出に合わせた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行う。
サブ統合基板1740は、図示しない、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)も備えており、サブ統合MPU1740aは、その内蔵されたウォッチドックタイマ(内蔵WDT)と外部WDTとを併用してサブ統合MPU1740aのシステムが暴走していないか診断している。
[5−2−2.液晶制御基板]
液晶制御基板1750は、図119に示すように、マイクロプロセッサとしての液晶制御MPU1750a、各種処理プログラム、各種コマンド及び各種データを記憶する液晶制御ROM1750b、上述した液晶表示器1315を表示制御するVDP(Video
Display Processorの略)1750c、液晶表示器1315に表示される画面の各種データを記憶するキャラROM1750d、このキャラROM1750dに記憶されている各種データが転送されてコピーされるキャラRAM1750zを備えて構成されている。
液晶制御MPU1750aは、パラレル入出力ポート、シリアル入出力ポート等を内蔵しており、サブ統合基板1740から上述した表示コマンドを受信すると、その詳細な説明は後述するが、受信した表示コマンドに基づいてVDP1750cを制御して液晶表示器1315の描画制御を行う。なお、液晶制御MPU1750aは、正常に動作していると、上述したように、その旨を伝える動作信号をサブ統合基板1740に出力する。
液晶制御ROM1750bは、液晶表示器1315に描画する画面を生成するための各種プログラムの他に、表示コマンドに対応するスケジュールデータ、表示コマンドに対応する非常駐領域転送スケジュールデータ等を複数記憶している。スケジュールデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、液晶表示器1315に描画する画面の順序が規定されている。非常駐領域転送スケジュールデータは、キャラROM1750dに記憶されている各種データをキャラRAM1750zの後述する非常駐領域に転送する際に、その順序を規定する非常駐領域転送データが時系列に配列されて構成されている。この非常駐領域転送データは、スケジュールデータの進行に従って液晶表示器1315に描画される画面データを、前もって、キャラROM1750dからキャラRAM1750zの非常駐領域に各種データを転送する順序が規定されている。なお、非常駐領域転送スケジュールデータの詳細な説明は後述する。
液晶制御MPU1750aは、サブ統合基板1740から表示コマンドを受信すると、この表示コマンドに対応するスケジュールデータを抽出し、この抽出したスケジュールデータの先頭の画面データを液晶制御ROM1750bから抽出してVDP1750cに出力する。そして液晶制御MPU1750aは、先頭の画面データに続く画面データを抽出してVDP1750cに出力する。このように、液晶制御MPU1750aは、スケジュールデータに時系列に配列された画面データを、先頭の画面データから1つずつ、液晶制御ROM1750bから抽出してVDP1750cに出力する。
VDP1750cは、液晶制御MPU1750aから出力された画面データが入力されると、その詳細な説明は後述するが、入力された画面データに基づいてキャラRAM1750zから後述するスプライトデータを抽出して液晶表示器1315に表示する描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示器1315に出力する。なお、VDP1750cは、液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の描画データをラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した1ライン分の描画データを液晶表示器1315に出力する、いわゆる、ラインバッファ方式が採用されている。
キャラROM1750dは、極めて多くのスプライトデータを記憶しており、その容量が大きくなっている。キャラROM1750dの容量が大きくなると、つまり液晶表示器1315に描画するスプライトの数が多くなると、キャラROM1750dのアクセス速度が無視できなくなり、液晶表示器1315に描画する速度に影響することとなる。そこで、本実施形態では、その詳細な説明は後述するが、アクセス速度の速いキャラRAM1750zに、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータを転送してコピーし、このキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出している。スプライトデータは、スプライトをビットマップ形式に展開する前のデータである基データであり、圧縮された状態でキャラROM1750dに記憶されている。ここで、「スプライト」とは、液晶表示器1315にまとまった単位として表示されるイメージである。例えば、液晶表示器1315に種々の人物を表示させる場合にはそれぞれの人物を描くためのデータを「スプライト」と呼ぶ。これにより、液晶表示器1315に複数人の人物を表示させる場合には複数のスプライトを用いることとなる。また人物のほかに、背景を構成する家、山、道路等もスプライトであり、背景全体を1つのスプライトとすることもできる。これらのスプライトは、画面に配置される位置やスプライト同士が重なる場合の上下関係(以下、「スプライトの重ね合わせの順序」と記載する。)が設定されて液晶表示器1315に表示される。なお、スプライトは縦横それぞれ64画素の矩形領域を複数張り合わせて構成されている。この矩形領域を描くためのデータを「キャラクタ」と呼ぶ。小さなスプライトの場合には1つのキャラクタを用いて表現することができるし、人物など比較的大きいスプライトの場合には、例えば横2×縦3などで配置した合計6個のキャラクタを用いて表現することができる。背景のように更に大きいスプライトの場合には更に多数のキャラクタを用いて表現することができる。このように、キャラクタの数及び配置は、スプライトごとに任意に指定することができるようになっている。
液晶表示器1315は、左右方向に800画素、上下方向に600画素(SVGA)を有しており、液晶表示器1315の左から右に向かって順次、画素に沿った一方向に画素ごとの表示状態を設定する主走査と、その一方向と交差する方向に主走査を繰り返し行う副走査と、によって駆動されるようになっている。液晶表示器1315は、液晶制御基板1750から出力された1ライン分の描画データが入力されると、液晶ドライブ回路1315bは、この1ライン分の描画データに基づいて、主走査として液晶表示器1315の左から右に向かって順次、1ライン分の画素にそれぞれ出力する。そして1ライン分の出力が完了すると、副走査として直下のラインに移行し、同様に次ライン分の描画データが入力されると、この次ライン分の描画データに基づいて、主走査として液晶表示器1315の左から右に向かって順次、1ライン分の画素にそれぞれ出力する。
また液晶表示器1315は、インバータ基板1755によって点灯されるバックライト(冷陰極管)が内蔵されている。
[6.ランプ駆動基板]
次に、ランプ駆動基板1760について説明する。図121はランプ駆動基板のブロック図の一部である。ランプ駆動基板1760は、図121に示すように、階調制御IC1760bを備えて構成されている。この階調制御IC1760bは、サブ統合基板1740から出力された、上述した、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドを受信すると、副ドロワ中継基板658を介して扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5hに点灯信号又は点滅信号を出力したり、演出ランプ1230,1570に点灯信号又は点滅信号を出力したり、階調ランプ1240に階調点灯信号を出力したりする。また階調制御IC1760bは、演出選択スイッチ31からの演出選択信号が副ドロワ中継基板658を介して入力されている。なお、階調制御IC1760bは、電源投入時等、扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5h及び演出ランプ1230,1570を点灯又は点滅させるパターン作成用のデータや階調ランプ1240を階調点灯させるパターン作成用のデータを、初期データとしてサブ統合基板1740から受信して内蔵するRAMに記憶するようになっている。まず、階調制御IC1760bの構成について説明し、続けて各種コマンドついて説明する。
[6−1.階調制御ICの構成]
階調制御IC1760bは、図121に示すように、ノイズ除去部1760ba、シリアル部1760bb、階調更新制御部1760bc、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bd、波形テーブル用レジスタ群1760be、パルス生成部1760bf、入出力部1760bg、出力部1760bhを備えて構成されている。
[6−1−1.ノイズ除去部]
ノイズ除去部1760baは、サブ統合基板1740から出力された初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドを、シリアル入力端子1760bkを介して受信し、電気信号である、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドからノイズを除去している。階調制御IC1760bは、図示しない発信回路が内蔵されており、この発信回路からのクロック信号がノイズ除去部1760baに入力されている。ノイズ除去部1760baは、その入力されたクロック信号に基づいて所定の帯域周波数成分を、電気信号である、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドから除去するフィルタ処理を行う。このフィルタ処理では、実験により得た1マイクロ秒(μs)のノイズが除去されており、フィルタ処理された、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドがシリアル部1760bbに入力される。このように、ノイズの影響を受けたままの状態である、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドがシリアル部1760bbに直接入力されないようになっている。
[6−1−2.シリアル部]
シリアル部1760bbは、ノイズ除去部1760baでフィルタ処理された、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドが入力されると、シリアルデータである、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドをパラレルデータに復元する。このパラレルデータに復元された、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドは、階調更新制御部1760bcに入力される。またシリアル部1760bbは、図示しない入出力方向レジスタ及び入力レジスタが内蔵されており、電源投入時等、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドのほかに、サブ統合基板1740から受信した入出力方向設定コマンドが入出力方向レジスタに記憶されるようになっている。入出力方向レジスタは、入出力方向設定コマンドに基づいて入出力部1760bgを入力側又は出力側に設定する。具体的には、入出力方向レジスタは、扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5h及び演出ランプ1230,1570への点灯信号又は点滅信号、階調ランプ1240への階調点灯信号を出力する入出力端子群1760bmの端子が出力端子となるように入出力部1760bgを出力側に設定する一方、演出選択スイッチ31からの演出選択信号が入力される入出力端子群1760bmの端子が入力端子となるように入出力部1760bgを入力側に設定する。なお、入出力方向レジスタは、入出力部1760bgを入力側に設定すると、信号が入出力端子群1760bmの端子そして入出力部1760bgを介して入力レジスタに入力されるようになっている。シリアル部1760bbは、その入力レジスタに入力された信号を、シリアル出力端子1760bnを介して、サブ統合基板1740に出力する。本実施形態では、演出選択スイッチ31からの演出選択信号が入出力端子群1760bmの端子そして入出力部bgを介して入力レジスタに入力されるようになっている。シリアル部1760bbは、その演出選択信号を、シリアル出力端子1760bnを介して、サブ統合基板1740に出力する。
[6−1−3.階調更新制御部]
階調更新制御部1760bcは、シリアル部1760bbでパラレルデータに復元された、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドが入力されると、パラレルデータに復元された初期データを、階調制御IC1760bの内蔵するRAMである、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bd及び波形テーブル用レジスタ群1760beに記憶する制御を行う一方、パラレルデータに復元された、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドを図示しないコマンドレジスタに記憶する。このコマンドレジスタに記憶された、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドに基づいて、扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5h及び演出ランプ1230,1570を点灯又は点滅させるパターンや階調ランプ1240を階調点灯させるパターンを、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bd及び波形テーブル用レジスタ群1760beに記憶した初期データを参照して作成する制御を行う。この作成された、扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5h及び演出ランプ1230,1570を点灯又は点滅させるパターンや階調ランプ1240を階調点灯させるパターンはパルス生成部1760bfに入力される。
[6−1−4.ON時間設定テーブル用レジスタ群]
ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bdは、階調更新制御部1760bcによる制御によって、電源投入時等、サブ統合基板1740から受信した初期データが記憶される。ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bdは、ON時間設定テーブル0〜ON時間設定テーブル7の合計8つのON時間設定テーブルから構成されている。各ON時間設定テーブルは、0階調〜31階調の合計32階調で構成されている。これらの0階調〜31階調は、パルス幅で発光輝度を指定するON時間がそれぞれ設定されており、12ビット幅、つまり0〜4096ミリ秒(ms)のON時間が設定されている。ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bdに記憶されるデータの大きさは、3072ビット(=8テーブル × 32階調 × 12ビット)であり、サブ統合基板1740からランプ駆動基板1760へのビットレートが、上述したように、250kbps(パルス幅:4μs)に設定されているため、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bdに記憶されるデータの送信時間は、12.288ミリ秒(=3072ビット × 4μs)(ms)となる。
[6−1−5.波形テーブル用レジスタ群]
波形テーブル用レジスタ群1760beは、階調更新制御部1760bcによる制御によって、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bdと同様に、電源投入時等、サブ統合基板1740から受信した初期データが記憶される。波形テーブル用レジスタ群1760beは、波形テーブル0〜波形テーブル2の合計3つの波形テーブルから構成されている。各波形テーブルは、0波形〜89波形の合計90波形で構成されている。これらの0波形〜89波形は、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bdに記憶されているON時間設定テーブル0〜ON時間設定テーブル7の0階調〜31階調を並べた配列が設定されており、5ビット幅、つまり0階調〜32階調が設定されている。波形テーブル用レジスタ群1760beに記憶されるデータの大きさは、1350ビット(=3テーブル
× 90波形 × 5ビット)となり、サブ統合基板1740からランプ駆動基板1760へのビットレートが250kbps(パルス幅:4μs)に設定されているため、波形テーブル用レジスタ群1760beに記憶されるデータの送信時間は、5.4ms(=1350ビット × 4μs)となる。
[6−1−6.パルス生成部]
パルス生成部1760bfは、階調更新制御部1760bcで作成された、扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5h及び演出ランプ1230,1570を点灯又は点滅させるパターンや階調ランプ1240を階調点灯させるパターンが入力されると、これらのパターンに基づいてパルスを生成する。生成されたパルスは入出力部1760bg及び出力部bhに入力され、点灯信号又は点滅信号として入出力端子群1760m及び出力端子群1760bpの端子から演出ランプ1230,1570に出力されたり、階調点灯信号といて階調ランプ1240に出力されたり、点灯信号又は点滅信号として副ドロワ中継基板658を介して扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5hに出力されたりする。これにより、演出ランプ1230,1570及び扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5hが点灯又は点滅し、階調ランプ1240が階調点灯する。
[6−2.各種コマンド]
階調制御IC1760bは、上述したように、サブ統合基板1740から出力された、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドを受信する。これらの扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドは、入出力端子群1760bmが出力端子に設定された端子の番号や出力端子群1760bpの端子の番号、0階調〜31階調のうちのいずれかの階調番号、波形テーブル0〜波形テーブル2のうちのいずれかの波形テーブル番号、次波形に移行するまでの時間である波形移行時間、波形カウンタの初期値(0波形〜89波形のいずれかの波形番号)、波形カウンタ最大値(0波形〜89波形のいずれかの波形番号)、ON時間設定テーブル0〜ON時間設定テーブル7のうちのいずれかのON時間設定テーブル番号、等から構成されている。扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドは、36ビット(4.5バイト)の大きさを有しており、入出力端子群1760bmが出力端子に設定された端子や出力端子群1760bpの端子に対して個別に設定する。
[7.電源システム]
次に、パチンコ遊技機1に供給される電力について説明する。まず、上述した電源基板686について説明し、続いて各制御基板等に供給される電源について説明する。図122はパチンコ遊技機の電源システムを示すブロック図である。
[7−1.電源基板]
電源基板686は、上述した電源線コネクタ688が図示しない電源コードと電気的に接続されており、この電源コードのプラグが島(以下、「パチンコ島設備」と記載する。)の電源コンセントに差し込まれている。上述した電源スイッチ687を操作すると、パチンコ島設備から供給されている電力が電源基板686に供給され、パチンコ遊技機1の電源投入を行うことができる。
電源基板686は、図122に示すように、+34V作成回路686a、+18V作成回路686b、+9V作成回路686cを備えて構成されている。+34V作成回路686aは、パチンコ島設備から供給されている交流24ボルト(AC24V)を整流して直流+34V(DC+34V、以下、「+34V」と記載する。本実施形態では、最大電流として6アンペア(A)を流すことができる。)を作成する。+18V作成回路686bは、パチンコ島設備から供給されているAC24Vを整流して+34Vを作成し、作成した+34Vから直流+18V(DC+18V、以下、「+18V」と記載する。本実施形態では、最大電流として4Aを流すことができる。)を作成する。+9V作成回路686cは、+18V作成回路686bが作成した+18Vから直流+9V(DC+9V、以下、「+9V」と記載する。本実施形態では、最大電流として0.4Aを流すことができる。)を作成する。+34V作成回路686a、+18V作成回路686b、+9V作成回路686cがそれぞれ作成した電圧は、払出制御基板715に供給されている。
[7−2.各制御基板等に供給される電源]
次に、各制御基板等に供給される電源について説明する。電源基板686から供給される、+34V、+18V及び+9Vは、図122に示すように、払出制御基板715に供給され、主ドロワ中継基板657を介して主制御基板1700に供給される。そして主制御基板1700に供給された+34V、+18V及び+9Vは、サブ統合基板1740に供給され、液晶制御基板1750及びランプ駆動基板1760にそれぞれ供給される。なお、液晶制御基板1750には、+34V及び+18Vがサブ統合基板1740を介して供給されている。ここでは、まず、払出制御基板715に供給される電源について説明し、続いて主制御基板1700に供給される電源、サブ統合基板1740に供給される電源、液晶制御基板1750に供給される電源、ランプ駆動基板1760に供給される電源について説明する。
[7−2−1.払出制御基板に供給される電源]
払出制御基板715は、払出制御MPU1710a等の他に、払出制御シリーズレギュレータ715aも備えている。この払出制御シリーズレギュレータ715aは、電源基板686から供給された+9Vが入力されており、この+9Vから払出制御基板715の基準電圧である直流+5V(DC+5V、以下、「+5V」と記載する。)を作成する。この+5Vは、図119に示した、払出制御部1710の払出制御MPU1710aの他に、払出制御I/Oポート1710b、外部WDT1710c、払出モータ駆動回路1710dや発射制御部1720の入力回路1720a、発射制御回路1720c、発射モータ駆動回路1720d等にも入力されている。
電源基板686から供給された+34Vは、払出モータ駆動回路1710dの他に、発射モータ駆動回路1720dに入力されており、図119に示した払出モータ465及び発射モータ344等の駆動電源として使用されている。なお、電源基板686から供給された+18Vは、扉開放スイッチ3aの他に、図119に示した、本体枠開放スイッチ3b、満タンスイッチ545、球切れスイッチ426、計数スイッチ462、回転角スイッチ505等に入力されている。
[7−2−2.主制御基板に供給される電源]
主制御基板1700は、主制御MPU1700a等の他に、主制御シリーズレギュレータ1700c、停電監視回路1700dも備えている。主制御シリーズレギュレータ1700cは、払出制御基板715から供給された+9Vが入力されており、この+9Vから主制御基板1700の基準電圧である+5Vを作成する。この+5Vは、主制御MPU1700aの他に、図119に示した、主制御I/Oポート1700b等にも入力されている。停電監視回路1700dは、その詳細な説明は後述するが、払出制御基板715から供給された+18V及び+9Vが入力されており、これら+18V及び+9Vの停電又は瞬停の兆候を監視している。また停電監視回路1700dは、電波検出スイッチ1700eからの電波検出信号が入力されており、この電波検出信号を監視している。この電波検出スイッチ1700eは、主制御シリーズレギュレータ1700cの近傍に配置されており、主制御シリーズレギュレータ1700cに高周波が照射されているか否かを検出するものである。
停電監視回路1700dは、停電又は瞬停の兆候を検出すると、又は、電波検出スイッチ1700eからの電波検出信号が入力されると、停電予告として停電予告信号を主制御MPU1700aの他にサブ統合基板1740に出力する。また主制御基板1700には主ドロワ中継基板657を介して停電予告信号が入力され、液晶制御基板1750にはサブ統合基板1740を介して停電予告信号が入力される。
払出制御基板715から供給された+34Vは、開閉翼ソレノイド1390の他に、図119に示した開閉板ソレノイド1420等の駆動電源として使用されている。なお、払出制御基板715から供給された+18Vは、上始動スイッチ1360の他に、図119に示した、ゲートスイッチ1300、左入賞口スイッチ1460等に入力されている。
なお、主制御基板1700は活線故障防止回路1700fを備えており、払出制御基板715から供給された+34V、+18及び+9Vは活線故障防止回路1700fに入力される。ここで「活線」とは、配線(ハーネス)に電流が流れている状態のこという。
活線故障防止回路1700fは、その詳細な説明は後述するが、図97に示した電源スイッチ687を入れたままの状態で、つまり払出制御基板715から+34V、+18及び+9Vが供給されたままの状態で、図1に示した、遊技盤4を本体枠3に取り付けるときに、図93に示した、主ドロワ中継端子板657に設けたドロワコネクタ730と、図45に示した、遊技盤4の中継端子板269に設けたドロワコネクタ270と、の溶着を防止する回路である
[7−2−3.サブ統合基板に供給される電源]
サブ統合基板1740は、サブ統合MPU1740a、音源IC1740c等を備えている。サブ統合基板1740は、サブ統合MPU1740aの基準電圧である+5Vと、音源IC1740cの基準電圧である直流+3.3V(DC+3.3V、以下、「+3.3V」と記載する。)と、が液晶制御基板1750から供給されている。+5Vは、サブ統合MPU1740aの他に、例えば図示しないバスバッファ回路にも入力されている。このバスバッファ回路は、サブ統合MPU1740aと図119に示したサブ統合ROM1740bとのバスライン用のインターフェイスとして使用されている。一方、+3.3Vは、音源IC1740cの他に、例えば図119に示した、サブ統合ROM1740b及び音ROM1740dにも入力されている。
主制御基板1700を介して供給された+18Vは、例えば図119に示したスピーカ34から出力する音楽及び効果音等を増幅するパワーアンプに入力されている。なお、主制御基板1700を介して供給された+9Vは、ランプ駆動基板1760にそのまま出力されており、サブ統合基板1740では使用されていない。また、主制御基板1700を介して供給された+34Vは、液晶制御基板1750及びランプ駆動基板1760にそのまま出力されており、サブ統合基板1740では使用されていない。
[7−2−4.液晶制御基板に供給される電源]
液晶制御基板1750は、液晶制御MPU1750a、VDP1750c等の他に、液晶制御電源回路1750eも備えている。この液晶制御電源回路1750eは、サブ統合基板1740を介して供給された+18Vが入力されており、この+18Vからサブ統合MPU1740a等の基準電圧である+5Vと、液晶制御基板1750等の基準電圧である+3.3Vと、液晶制御MPU1750a及びVDP1750cの電源である直流+1.5V(DC+1.5V、以下、「+1.5V」と記載する。)と、VDP1750cの電源である直流2.5V(DC+2.5V、以下、「+2.5V」と記載する。)と、を作成する。この+3.3Vは、液晶制御MPU1750aの他に、VDP1750c、図119に示した、液晶制御ROM1750b、キャラROM1750d及びキャラRAM1750z、液晶表示器1315を駆動する液晶ドライブ回路等にも入力されている。このように、VDP1750cは、+1.5V、+2.5V及び+3.3Vが入力されている。
液晶制御電源回路1750eが作成した+5V及び+3.3Vは、サブ統合基板1740にも供給されており、これらの+5V及び+3.3Vは液晶制御基板1750及びサブ統合基板1740で共通に使用されている。
サブ統合基板1740を介して供給された+34Vは、インバータ基板1755にそのまま出力されており、液晶制御基板1750では使用されていない。
[7−2−5.インバータ基板に供給される電源]
インバータ基板1755は、図119に示した液晶表示器1315のバックライトである冷陰極管を点灯させる陰極蛍光ランプ点灯回路1755aを備えている。冷陰極蛍光ランプ点灯回路1755aは、サブ統合基板1740を介して供給された+34Vが入力されている。
[7−2−6.ランプ駆動基板に供給される電源]
ランプ駆動基板1760は、ランプ駆動シリーズレギュレータ1760a、階調制御IC1760b、上あご可動装置駆動回路1760cを備えている。ランプ駆動シリーズレギュレータ1760aは、サブ統合基板1740を介して供給された+9Vが入力されており、この+9Vからランプ駆動基板1760の基準電圧である+5Vを作成する。この+5Vは、図119に示した階調ランプ1240の階調点灯を行う階調制御IC1760b等に入力されている。サブ統合基板1740を介して供給された+34V、+18Vは、図119に示した上あご可動装置1760の駆動制御を行う上あご可動装置駆動回路1760c等に入力されている。例えば、+34Vは上あご可動体の図示しない駆動モータの駆動電源として使用され、+18Vは上あご可動体の原位置を検出する図示しないフォトセンサ等に入力されている。
[8.電源基板のノイズ対策回路及びアース回路]
次に、電源基板686のアース回路について説明する。パチンコ島設備から供給されたAC24Vは、上述したように、電源線コネクタ688を介して電源基板686に入力されている。この電源基板686には、電源供給ラインであるAC24Vのライン間に現れるノーマルモードノイズと、AC24Vとグランド(GND)との間に現れるコモンモードノイズと、の2種類のモードノイズに対する対策が設けられている。まず、電源基板686のノイズ対策回路について説明し、続いて電源基板686のアース回路について説明する。図123は電源基板のノイズ対策回路及びアース回路を示す回路図である。
[8−1.電源基板のノイズ対策]
パチンコ島設備から供給されるAC24Vは、図123に示すように、電源線コネクタ688を介して、電源スイッチ687(本実施形態では、松下電工製:AJ8221BF)の入力側端子1,3に入力されている。具体的には、電源スイッチ687の入力側端子3にはAC24VのAライン(以下、「AC24VA」と記載する。)が入力されており、電源スイッチ687の入力側端子1にはAC24VのBライン(以下、「AC24VB」と記載する。)が入力されている。電源スイッチ687の出力側端子2,4は、コモンモードノイズ対策用の回路であるコモンモードノイズ対策回路CMC、そしてノーマルモードノイズ対策用の回路であるノーマルモードノイズ対策回路NMCを介して、チョークコイルL1(本実施形態では、ウエノ製:ADR2515−010TDK)に入力されている。
コモンモードノイズ対策回路CMCは、コンデンサC110,C111、バリスタZNR1,ZNR2を備えて構成されている。コンデンサC110,C111はその容量が同一のものであり、コモンモードノイズを除去するものである。一方バリスタZNR1,ZNR2は、サージ吸収素子(サージアブソーバ)であり、そのバリスタ電圧が同一のものである。バリスタZNR1,ZNR2は、コンデンサC110,C111で低減できなかったスパイクノイズを除去するものである。
ノーマルモードノイズ対策回路NMCは、コンデンサC112、バリスタZNR3を備えて構成されている。コンデンサC112は、AC24VA、AC24に発生したノーマルモードノイズを除去するものである。バリスタZNR3は、サージ吸収素子(サージアブソーバ)であり、コンデンサC112で除去できなかったスパイクノイズを除去するものである。
電源スイッチ687の出力側端子4から出力されたAC24VAは、FUSE1、コモンモードノイズ対策回路CMC、そしてノーマルモードノイズ対策回路NMCを介してチョークコイルL1に入力され、電源スイッチ687の出力側端子2から出力されたAC24VBは、FUSE2、コモンモードノイズ対策回路CMC、そしてノーマルモードノイズ対策回路NMCを介してチョークコイルL1に入力されている。チョークコイルL1は、AC24VA、AC24VBのコモンモードノイズの対策部品であり、ノイズ障害を防止している。チョークコイルL1でコモンモードノイズが低減されたAC24VA、AC24VBは、上述した、+34V作成回路686a及び+18V作成回路686bに入力されている。なお、チョークコイルL1に入力されるAC24VA、AC24VBは、チョークコイルL1のほかにCRユニット電源線コネクタ689に入力されており、図示しないCRユニットにAC24VA、AC24VBが供給されている。
[8−2.電源基板のアース回路]
電源基板686のアース用コネクタ690a〜690dには、図96及び図97に示したように、図21に示した扉枠5(補強板35〜38)からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFG3としてアース用コネクタ690aと電気的に接続され、図3に示したタンクレール部材410を流下する球からのノイズ等を除去する(図35に示したアース線接続部207からの)アース線がフレームグランドFG1としてアース用コネクタ690bと電気的に接続され、図3に示した賞球ユニット450からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFG1としてアース用コネクタ690cと電気的に接続され、図示しないCRユニットからのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFGとしてアース用コネクタ690dと電気的に接続されている。
これらのフレームグランドFG,FG1,FG3は、図123に示すように、フレームグランドFG3が抵抗R110を介して電源線コネクタ688のフレームグランドFG2に電気的に接続され、フレームグランドFG1が抵抗R111を介して電源線コネクタ688のフレームグランドFG2に電気的に接続され、フレームグランドFGが抵抗R112を介して電源線コネクタ688のフレームグランドFG2に電気的に接続されている。抵抗R110は、フレームグランドFG1,FGからのノイズ等がフレームグランドFG3に侵入するのを阻止するものであり、抵抗R111は、フレームグランドFG3,FGからのノイズ等がフレームグランドFG1に侵入するのを阻止するものであり、抵抗R112は、フレームグランドFG3,FG1からのノイズ等がフレームグランドFGに侵入するのを阻止するものである。
なお、パチンコ島設備から供給されたAC24VBは、電源線コネクタ688と電源スイッチ687の入力側端子1との間でアレスタDSP1(本実施形態では、三菱マテリアル製:DSP−301N−A21F)の一方と電気的に接続されている。アレスタDSP1の他方は電源線コネクタ688のフレームグランドFG2と電気的に接続されている。アレスタDSP1は、例えば落雷によってパチンコ島設備から供給されるAC24Vに高電圧(「サージ電圧」という。)が侵入した際に、そのサージ電圧を、電源線コネクタ688のフレームグランドFG2にサージ電流として流すことによってサージ電圧を制限し、電源スイッチ687にサージ電圧がかからないようにしたり、電源スイッチ687のON/OFFすることによって一時的に生じる高電圧(サージ電圧)を、電源線コネクタ688のフレームグランドFG2にサージ電流として流すことによってサージ電圧を制限し、電源スイッチ687にサージ電圧がかからないようにしたりしている。これにより、図122に示した、払出制御基板715、主制御基板1700等の各種制御基板をサージ電圧から保護することができ、サージ電圧による故障を防止している。
なお、フレームグランドFG2が接地されなかった場合には、アレスタDSP1を介して、パチンコ島設備の電源であるAC24VB側に電源基板686の放電経路が形成されるようになっており、例えば扉枠5が帯電しにくくなっている。これにより、扉枠5に遊技者が触れても、扉枠5からの静電放電による不快感を遊技者に与えることがない。
[9.主制御基板の回路]
次に、図119に示した主制御基板1700の回路等について説明する。主制御基板1700は、図122に示したように、電源基板686から払出制御基板715を介して直流電源+34V、+18V、+9Vが供給されている。これらの直流電源+34V、+18V、+9Vは、まず上述した活線故障防止回路1700fに入力されている。例えば、+9Vは活線故障防止回路1700fを介して主制御シリーズレギュレータ1700cに入力されている。この主制御シリーズレギュレータ1700cは入力された+9Vから主制御基板1700等の基準電圧である+5Vを作成し、この+5Vが主制御MPU1700a等に入力されている。また、+9V及び+18Vは活線故障防止回路1700fを介して停電監視回路1700dに入力されている。この停電監視回路1700dは、入力された+18V及び+9Vの停電又は瞬停の兆候を監視している。ここでは、まず活線故障防止回路について説明し、続けて主制御シリーズレギュレータ、主制御基板の周辺回路、主制御基板における各種入出力信号、停電監視回路について説明する。図124は活線故障防止回路を示す回路図であり、図125は主制御基板の回路を示す回路図であり、図126は停電監視回路を示す回路図である。
[9−1.活線故障防止回路]
活線故障防止回路1700fは、図124に示すように、+34V用活線故障防止回路1700fa、+18V用活線故障防止回路1700fb、+9V活線故障防止回路1700fcを備えて構成されている。活線故障回路1700fに入力される+34V、+18V、+9Vのうち+18Vは抵抗R100と電気的に直列接続されている。その直列接続された抵抗R100はグランド(GND)と接地された電解コンデンサC100と電気的に接続されている。この電解コンデンサC100により、リップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている。この平滑化された+18Vは、+34V用活線接続故障防止回路1700fa、+18V用活線故障防止回路1700fb、+9V活線故障防止回路1700fcに入力される。
[9−1−1.+34V用活線故障防止回路]
+34V用活線故障防止回路1700faは、リレーRL1(本実施形態では、富士通高見澤製:JV−18S−KT)、サーミスタTH1(本実施形態では、石塚電子製:5D2−11LC)、電解コンデンサC101、コンデンサC102を備えて構成されている。リレーRL1は、コイル、鉄片、スイッチ等を内蔵しており、コイル側入力ピン間に電圧を印加してコイルに電流を流すと、鉄片が可動してスイッチが入り(ONし)、スイッチ側入力ピン間の回路を接続するようになっている。コイル側入力ピンとしての1番ピンはグランドと接地されており、コイル側入力ピンとしての4番ピンは、上述した平滑化された+18Vが電気的に接続されている。これによりコイルに電流が流れてスイッチがONする。スイッチ側入力ピンとしての2番ピン及び3番ピンは、サーミスタTH1と電気的に並列接続されており、この並列接続された一方は、払出制御基板715からの+34Vが電気的に接続されており、その他方は、グランドと接地された電解コンデンサC101と電気的に接続されている。この電解コンデンサC101により、リップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化される。さらに、グランドと接地されたコンデンサC102により、ノイズが除去される。
ここで、図1に示した、遊技盤4を本体枠3に取り付けるときには、遊技盤4に装着された主制御基板1700の電解コンデンサC101はすでに放電された状態となっている。図97に示した電源スイッチ687を入れたままの状態で、つまり払出制御基板715から+34Vが供給されたままの状態で、遊技盤4を本体枠3に取り付けると、図93に示した、基板ユニット650側に設けたドロワコネクタ730と、図45に示した、遊技盤4の中継端子板269に設けたドロワコネクタ270と、が電気的な導通状態となって大電流が電解コンデンサC101に一気に流れ込む(「突入電流」という)。このとき、図99に示した、基板ユニット650側に設けたドロワコネクタ730の+34V電圧供給ラインであるコンタクト730aと、遊技盤4側に設けたドロワコネクタ270の+34V電圧供給ラインであるターミナル270aと、に突入電流が流れるため、+34V電圧供給ラインである、コンタクト730aとターミナル270aとが溶着することとなる。
そこで、本実施形態では、その突入電流をサーミスタTH1で軽減させて電解コンデンサC101で充電するようにしている。これにより、電源スイッチ687を入れたままの状態で、遊技盤4を本体枠3に取り付けるときに生じる、基板ユニット650側に設けたドロワコネクタ730の+34V電圧供給ラインと、遊技盤4側に設けたドロワコネクタ270の+34V電圧供給ラインと、の溶着を防止することができる。これにより、遊技盤4を本体枠3に押し込んでも、溶着による+34V電圧供給ラインである、コンタクト730aとターミナル270aとの破損を防止することができる。なお、本実施形態におけるサーミスタTH1の特性は、初期抵抗値5オーム(Ω)、最大容量電流4A、残留抵抗値0.35Ωであり、サーミスタTH1に電流が流れると、サーミスタTH1の発熱にともないその抵抗値が変化する。これにより、例えばリレーRL1が動作しない場合であっても、サーミスタTH1に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH1自身の発熱が抑制されるため、サーミスタTH1の損傷を防止することができる。
ここで、例えばセメント抵抗のように、抵抗値が変化しない固定抵抗を用いた場合には、発熱に耐えうるようなハイパワーの大型タイプのものを用いる必要がある。このため、固定抵抗の近傍には、熱の影響を受けて誤動作する電子部品を配置することが困難であり、主制御基板1700の基板サイズを大きくする必要がある。一方、温度によって抵抗値が変化するサーミスタTH1を用いた場合には、サーミスタTH1に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH1自身の発熱が抑制される。このため、サーミスタTH1の近傍には、電子部品を配置することができ、サーミスタTH1の発熱に対して主制御基板1700の基板サイズを大きくする必要がない。なお、本実施形態におけるリレーRL1の特性は、ON電圧13.5V、OFF電圧0.9Vであり、リレーRL1に内蔵するスイッチのON/OFF時間は、上述した、抵抗R100と、コンデンサC100と、の時定数から予め設定されており、リレーRL1のスイッチがONする頃には、突入電流がすでに下がった状態となっており、サーミスタTH1に比べて抵抗値が極めて小さいリレーRL1のスイッチに流れるようになる。
[9−1−2.+18V用活線故障防止回路]
+18V用活線故障防止回路1700fbは、リレーRL2(本実施形態では、富士通高見澤製:JV−18S−KT)、サーミスタTH2(本実施形態では、石塚電子製:5D2−11LC)、電解コンデンサC103、コンデンサC104を備えて構成されている。リレーRL2は、リレーRL1と同一の構成であり、コイル側入力ピン間に電圧を印加してコイルに電流を流すと、鉄片が可動してスイッチが入り(ONし)、スイッチ側入力ピン間の回路を接続するようになっている。コイル側入力ピンとしての1番ピンはグランドと接地されており、コイル側入力ピンとしての4番ピンは、上述した平滑化された+18Vが電気的に接続されている。これによりコイルに電流が流れてスイッチがONする。スイッチ側入力ピンとしての2番ピン及び3番ピンは、サーミスタTH2と電気的に並列接続されており、この並列接続された一方は、払出制御基板715からの+18Vが電気的に接続されており、その他方は、グランドと接地された電解コンデンサC103と電気的に接続されている。この電解コンデンサC103により、リップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化される。さらに、グランドと接地されたコンデンサC104により、ノイズが除去される。
ここで、遊技盤4を本体枠3に取り付けるときには、遊技盤4に装着された主制御基板1700の電解コンデンサC103はすでに放電された状態となっている。電源スイッチ687を入れたままの状態で、つまり払出制御基板715から+18Vが供給されたままの状態で、遊技盤4を本体枠3に取り付けると、基板ユニット650側に設けたドロワコネクタ730と、遊技盤4の中継端子板269に設けたドロワコネクタ270と、が電気的な導通状態となって突入電流が電解コンデンサC103に一気に流れ込む。このとき、基板ユニット650側に設けたドロワコネクタ730の+18V電圧供給ラインであるコンタクト730aと、遊技盤4側に設けたドロワコネクタ270の+18V電圧供給ラインであるターミナル270aと、に突入電流が流れるため、+18V電圧供給ラインである、コンタクト730aとターミナル270aとが溶着することとなる。
そこで、本実施形態では、その突入電流をサーミスタTH2で軽減させて電解コンデンサC103で充電するようにしている。これにより、電源スイッチ687を入れたままの状態で、遊技盤4を本体枠3に取り付けるときに生じる、基板ユニット650側に設けたドロワコネクタ730の+18V電圧供給ラインと、遊技盤4側に設けたドロワコネクタ270の+18V電圧供給ラインと、の溶着を防止することができる。これにより、遊技盤4を本体枠3に押し込んでも、溶着による+18V電圧供給ラインである、コンタクト730aとターミナル270aとの破損を防止することができる。なお、本実施形態におけるサーミスタTH2の特性は、上述したサーミスタTH1の特性と同一であり、サーミスタTH2に電流が流れると、サーミスタTH2の発熱にともないその抵抗値が変化する。これにより、例えばリレーRL2が動作しない場合であっても、サーミスタTH2に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH2自身の発熱が抑制されるため、サーミスタTH2の損傷を防止することができる。
ここで、例えばセメント抵抗のように、抵抗値が変化しない固定抵抗を用いた場合には、発熱に耐えうるようなハイパワーの大型タイプのものを用いる必要がある。このため、固定抵抗の近傍には、熱の影響を受けて誤動作する電子部品を配置することが困難であり、主制御基板1700の基板サイズを大きくする必要がある。一方、温度によって抵抗値が変化するサーミスタTH2を用いた場合には、サーミスタTH2に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH2自身の発熱が抑制される。このため、サーミスタTH2の近傍には、電子部品を配置することができ、サーミスタTH2の発熱に対して主制御基板1700の基板サイズを大きくする必要がない。なお、本実施形態におけるリレーRL2の特性は、上述したリレーRL1の特性と同一であり、リレーRL2のスイッチがONする頃には、突入電流がすでに下がった状態となっており、サーミスタTH2に比べて抵抗値が極めて小さいリレーRL2のスイッチに流れるようになる。
[9−1−3.+9V用活線故障防止回路]
+9V用活線故障防止回路1700fcは、リレーRL3(本実施形態では、富士通高見澤製:JV−18S−KT)、サーミスタTH3(本実施形態では、石塚電子製:5D2−11LC)、電解コンデンサC1、コンデンサC2を備えて構成されている。リレーRL3は、リレーRL1,RL2と同一の構成であり、コイル側入力ピン間に電圧を印加してコイルに電流を流すと、鉄片が可動してスイッチが入り(ONし)、スイッチ側入力ピン間の回路を接続するようになっている。コイル側入力ピンとしての1番ピンはグランドと接地されており、コイル側入力ピンとしての4番ピンは、上述した平滑化された+18Vが電気的に接続されている。これによりコイルに電流が流れてスイッチがONする。スイッチ側入力ピンとしての2番ピン及び3番ピンは、サーミスタTH3と電気的に並列接続されており、この並列接続された一方は、払出制御基板715からの+9Vが電気的に接続されており、その他方は、グランドと接地された電解コンデンサC1と電気的に接続されている。この電解コンデンサC1により、リップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化される。さらに、グランドと接地されたコンデンサC2により、ノイズが除去される。
ここで、遊技盤4を本体枠3に取り付けるときには、遊技盤4に装着された主制御基板1700の電解コンデンサC1はすでに放電された状態となっている。電源スイッチ687を入れたままの状態で、つまり払出制御基板715から+9Vが供給されたままの状態で、遊技盤4を本体枠3に取り付けると、基板ユニット650側に設けたドロワコネクタ730と、遊技盤4の中継端子板269に設けたドロワコネクタ270と、が電気的な導通状態となって突入電流が電解コンデンサC1に一気に流れ込む。このとき、基板ユニット650側に設けたドロワコネクタ730の+9V電圧供給ラインであるコンタクト730aと、遊技盤4側に設けたドロワコネクタ270の+9V電圧供給ラインであるターミナル270aと、に突入電流が流れるため、+9V電圧供給ラインである、コンタクト730aとターミナル270aとが溶着することとなる。
そこで、本実施形態では、その突入電流をサーミスタTH3で軽減させて電解コンデンサC1で充電するようにしている。これにより、電源スイッチ687を入れたままの状態で、遊技盤4を本体枠3に取り付けるときに生じる、基板ユニット650側に設けたドロワコネクタ730の+9V電圧供給ラインと、遊技盤4側に設けたドロワコネクタ270の+9V電圧供給ラインと、の溶着を防止することができる。これにより、遊技盤4を本体枠3に押し込んでも、溶着による+9V電圧供給ラインである、コンタクト730aとターミナル270aとの破損を防止することができる。なお、本実施形態におけるサーミスタTH3の特性は、上述したサーミスタTH1,TH2の特性と同一であり、サーミスタTH3に電流が流れると、サーミスタTH3の発熱にともないその抵抗値が変化する。これにより、例えばリレーRL3が動作しない場合であっても、サーミスタTH3に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH3自身の発熱が抑制されるため、サーミスタTH2の損傷を防止することができる。
ここで、例えばセメント抵抗のように、抵抗値が変化しない固定抵抗を用いた場合には、発熱に耐えうるようなハイパワーの大型タイプのものを用いる必要がある。このため、固定抵抗の近傍には、熱の影響を受けて誤動作する電子部品を配置することが困難であり、主制御基板1700の基板サイズを大きくする必要がある。一方、温度によって抵抗値が変化するサーミスタTH3を用いた場合には、サーミスタTH3に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH3自身の発熱が抑制される。このため、サーミスタTH3の近傍には、電子部品を配置することができ、サーミスタTH3の発熱に対して主制御基板1700の基板サイズを大きくする必要がない。なお、本実施形態におけるリレーRL3の特性は、上述したリレーRL1,RL2の特性と同一であり、リレーRL3のスイッチがONする頃には、突入電流がすでに下がった状態となっており、サーミスタTH3に比べて抵抗値が極めて小さいリレーRL3のスイッチに流れるようになる。
[9−2.主制御シリーズレギュレータ]
主制御基板1700は、図125に示すように、主制御MPU1700a、主制御I/Oポート1700b、主制御シリーズレギュレータ1700c(本実施形態では、ローム製:BA50BC0WT)の他に、周辺回路として、リセット信号を出力する主制御システムリセットIC1(本実施形態では、ルネサス製:M51953)、クロック信号を出力する主制御水晶発振器X1(本実施形態では、京セラ製:EXO−3、24メガヘルツ(MHz))を備えて構成されている。
主制御シリーズレギュレータ1700cは、図125に示すように、図124に示した、活線故障防止回路1700fの+9V用活線故障防止回路1700fcを介して電源入力端子であるVCC端子に+9Vが入力されている。この+9Vは、グランド(GND)と接地された電解コンデンサC1(図124に示した電解コンデンサC1と同一)により、リップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化される。さらに、グランドと接地されたコンデンサC2(図124に示したコンデンサC2と同一)により、電源基板686と主制御基板1700との基板間に発生したノイズが除去される。また、この平滑化された+9Vは、VCC端子の他に、主制御シリーズレギュレータ1700cのコントロール端子であるCTL端子にも入力されている。主制御シリーズレギュレータ1700cは、そのCTL端子に+9Vが入力されることにより、VCC端子に入力された+9Vから+5Vを作成して出力端子であるOUT端子から出力する。OUT端子とVCC端子との端子間にはダイオードD1(本実施形態では、1SS133)が設けられており、ダイオードD1のアノード端子とOUT端子とが電気的に接続され、ダイオードD1のカソード端子とVCC端子とが電気的に接続されている。VCC端子とOUT端子との端子間が逆バイアスになったときにはダイオードD1を介してVCC端子側に入力されるようになっており、逆バイアスによる主制御シリーズレギュレータ1700cの破壊を防止している。
OUT端子から出力される+5Vは、グランドと接地された電解コンデンサC3によりリップルが除去されて平滑化されている。この平滑化された+5Vは、主制御システムリセットIC1、主制御水晶発振器X1、主制御MPU1700a、主制御I/Oポート1700b等、にそれぞれ入力されている。なお、接地端子であるGND端子はグランドと接地されており、NC端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[9−3.主制御基板の周辺回路]
[9−3−1.主制御システムリセットIC]
主制御シリーズレギュレータ1700cのOUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、図125に示すように、主制御システムリセットIC1の電源端子に入力されている。主制御システムリセットIC1は、主制御MPU1700a及び主制御I/Oポート1700bにリセットをかけるものであり、遅延回路が内蔵されている。主制御システムリセットIC1の遅延容量端子には、グランドと接地されたコンデンサC4が電気的に接続されており、このコンデンサC4の容量によって遅延回路による遅延時間を設定することができるようになっている。具体的には、主制御システムリセットIC1は、電源端子に入力された+5Vがしきい値(例えば、4.25V)に達すると、遅延時間経過後に出力端子からシステムリセット信号を出力する。
主制御システムリセットIC1の出力端子は、主制御MPU1700aのリセット端子であるSRST端子及び主制御I/Oポート1700bのリセット端子であるRESETN端子と電気的に接続されている。出力端子はオープンコレクタ出力タイプであり、プルアップ抵抗R1により+5Vに引き上げられている。この+5Vに引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサC5によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサC5は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。出力端子は、電源端子に入力される電圧がしきい値より大きいときにはプルアップ抵抗R1により+5Vに引き上げられて論理がHIとなって主制御MPU1700aのSRST端子及び主制御I/Oポート1700bのRESETN端子に入力され、一方、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さいときには論理がLOWとなって主制御MPU1700aのSRST端子及び主制御I/Oポート1700bのRESETN端子に入力される。主制御MPU1700aのSRST端子及び主制御I/Oポート1700bのRESETN端子は負論理入力であるため、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さい状態になると、主制御MPU1700a及び主制御I/Oポート1700bにリセットがかかる。なお、電源端子はグランドと接地されたコンデンサC6と電気的に接続されており、電源端子に入力される+5Vはリップルが除去されて平滑化されている。また、接地端子はグラントと接地されており、NC端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[9−3−2.主制御水晶発振器]
主制御シリーズレギュレータ1700cのOUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、図125に示すように、主制御水晶発振器X1の電源端子であるVDD端子に入力されている。このVDD端子は、グランドと接地されたコンデンサC7と電気的に接続されており、VDD端子に入力される+5Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。また、この平滑化された+5Vは、VDD端子の他に、出力周波数選択端子であるA端子、B端子、C端子及びST端子にも入力されている。主制御水晶発振器X1は、これらのA端子、B端子、C端子及びST端子に+5Vが入力されることにより、24MHzのクロック信号を出力端子であるF端子から出力する。
主制御水晶発振器X1のF端子は、主制御MPU1700aのクロック端子であるCLK端子及び主制御I/Oポート1700bのクロック端子であるCLK端子と電気的に接続されており、24MHzのクロック信号が入力されている。なお、接地端子であるGND端子はグランドと接地されており、F端子の分周波を出力するD端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[9−4.主制御基板で作成された電源]
主制御シリーズレギュレータ1700cのOUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、図125に示すように、主制御MPU1700aの電源端子であるVDD端子及び主制御I/Oポート1700bの電源端子であるVCC端子に入力されている。主制御MPU1700aのVDD端子はグランドと接地されたコンデンサC8と電気的に接続され、主制御I/Oポート1700bのVCC端子はグランドと接地されたコンデンサC9と電気的に接続されており、VDD端子及びVCC端子に入力される+5Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。主制御MPU1700aの接地端子であるVSS端子はグランドと接地され、主制御I/Oポート1700bの接地端子であるGND端子はグランドと接地されている。また、主制御シリーズレギュレータ1700cのOUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、停電監視回路1700d等にも入力されている。
[9−5.主制御基板の各種入出力信号]
図119に示したRAMクリアスイッチ268a(本実施形態では、オムロン製:B3F−1052)の操作は、検出信号として主制御I/Oポート1700bに入力されている。
[9−5−1.RAMクリアスイッチからの検出信号]
RAMクリアスイッチ268aの出力ピンとしての3番ピンは、図125に示すように、主制御I/Oポート1700bの入力ポートPEの5番ピンである入力ピンPE5と電気的に接続されている。入力ピンPE5は負論理入力とするため、RAMクリアスイッチ268aの3番ピンと主制御I/Oポート1700bの入力ピンPE5との端子間の電圧はプルアップ抵抗R2により+5Vに引き上げられている。この+5Vに引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサC10によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサC10は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。RAMクリアスイッチ268aが操作されないときにはプルアップ抵抗R2により+5Vに引き上げられて論理がHIとなって主制御I/Oポート1700bの入力ピンPE5に入力され、一方、RAMクリアスイッチ268aが操作されたときには論理がLOWとなって主制御I/Oポート1700bの入力ピンPE5に入力される。なお、RAMクリアスイッチ268aの1番ピン及び2番ピンはグランドと接地されており、4番ピンは3番ピンと電気的に接続されている。
[9−5−2.その他の各種入出力信号]
主制御MPU1700aのシリアルデータ入力端子であるRX端子は、図119に示した払出制御基板715からのシリアルデータが払主シリアルデータ受信信号として入力されている。一方、主制御MPU1700aのシリアルデータ出力端子であるTX端子から払出制御基板715に送信するシリアルデータが主払シリアルデータ送信信号として出力される。
主制御I/Oポート1700bの入力ポートPE及び入力ポートPDの各入力ピンは、例えば、上述した入力ピンPE5にはRAMクリアスイッチ268aからの検出信号が入力され、入力ピンPE6には図122に示した停電予告信号が入力され、入力ピンPE7には上述した主払シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える払出制御基板715からの払主ACK信号が入力され、入力ピンPD0には上始動口スイッチ1360からの検出信号が入力される。
一方、主制御MPU1700aは、データバスを介して主制御I/Oポート1700bの出力ポートPA〜PCの出力ピンから、例えば、出力ピンPB5から図122に示した停電監視回路1700dに停電予告信号をクリアする停電クリア信号が出力され、出力ピンPB6から上述した払主シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える主払ACK信号が出力され、出力ピンPC0〜PC5から図119に示したサブ統合基板1740に各種コマンドが出力され、出力ピンPB1から開閉翼ソレノイド1390への駆動信号が出力される。
なお、主制御I/Oポート1700bのデータ入出力端子D0〜D7と、主制御MPU1700aのデータ入出力端子D0〜D7と、はデータバスを介して各種情報や各種信号のやり取りを行う。主制御MPU1700aは、入力ポートPE及びPDから各種信号を、データバスを介して読み込み、このデータバスを介して出力ポートPA〜PCから各種信号を出力する。
[9−6.停電監視回路]
次に、図122に示した停電監視回路1700dについて説明する。主制御基板1700には、図122に示したように、払出制御基板715を介して+34V、+18V及び+9Vが供給されており、+18V及び+9Vが停電監視回路1700dに入力されている。停電監視回路1700dは、+18V及び+9Vの停電又は瞬停の兆候を監視しており、停電又は瞬停の兆候を検出すると、停電予告として停電予告信号を、主制御MPU1700aの他に、払出制御基板715及びサブ統合基板1740に出力する。また停電監視回路1700dは、図122に示した電波検出スイッチ1700eからの電波検出信号が入力されており、この電波検出信号が入力されると、停電予告信号として主制御MPU1700aの他に、払出制御基板715及びサブ統合基板1740に出力する。まず、停電監視回路の構成について説明し、続いて、+18Vの停電又は瞬停の監視、+9Vの停電又は瞬停の監視、電波検出スイッチからの電波検出信号の監視について説明する。図126は停電監視回路を示す回路図である。
[9−6−1.停電監視回路の構成]
停電監視回路1700dは、図126に示すように、安定化電源回路IC20(本実施形態では、日本電気製:μPC1093)、コンパレータIC21(本実施形態では、新日本無線製:NJM2903、オープンコレクタ出力タイプ)、インバータIC22(本実施形態では、東京芝浦電気製:TC74HC05、オープンコレクタ出力タイプ)、DタイプフリップフロップIC23(本実施形態では、東京芝浦電気製:TC74HC74)、トランジスタTR20(本実施形態では、2SC1815)を備えて構成されている。
安定化電源回路IC20の基準電圧入力端子であるREF端子及びカソード端子であるK端子は、+5Vと抵抗R20を介して電気的に接続されており、この抵抗R20によりREF端子に入力される電流が制限されている。K端子はコンパレータIC21の比較基準電圧となるリファレンス電圧Vref(本実施形態では、2.495Vが設定されている。)を出力している。このリファレンス電圧Vrefは、グランドと接地されたコンデンサC20によりリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている(コンデンサC20は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。なお、安定化電源回路IC20のアノード端子であるA端子はグランド(GND)と接地されている。
コンパレータIC21は、2つの電圧比較回路を備えており、その1つ(IC21A)は+18Vの監視電圧V1とリファレンス電圧Vrefとを比較するために用いられており、+端子に+18Vの監視電圧V1が入力され、−端子にリファレンス電圧Vrefが入力されている。一方、残りの1つ(IC21B)は+9Vの監視電圧V2とリファレンス電圧Vrefとを比較するために用いられており、+端子に+9Vの監視電圧V2が入力され、−端子にリファレンス電圧Vrefが入力されている。これらの比較結果はDタイプフリップフロップIC23に入力されている。このDタイプフリップフロップIC23は、2つのDタイプフリップフロップ回路を備えており、その1つ(IC23A)を本実施形態で用いている。なお、コンパレータIC21の電源端子であるVcc端子に入力される+5Vは、グランドと接地されたコンデンサC21によりリップルが除去されて平滑化されている。また、DタイプフリップフロップIC23に入力される+5Vは、グランドと接地されたコンデンサC22によりリップルが除去されて平滑化されている。
[9−6−2.+18Vの停電又は瞬停の監視]
+18Vの停電又は瞬停の監視は、上述したように、コンパレータIC21のIC21Aが+18Vの監視電圧V1とリファレンス電圧Vrefとを比較することにより行われている。+18Vは、図126に示すように、抵抗R21,R22による抵抗比によって電圧が分配され、グランドと接地されたコンデンサC23によりリップルが除去されてIC21Aの+端子に入力されている(コンデンサC23は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。抵抗R21,R22の値は、+18Vが停電又は瞬停した際に、その電圧が+18Vから落ち始めて予め設定した停電検知電圧V1pf(本実施形態では、12.53Vに設定されている。)となったときに、+18Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefと同値になるように設定されている。+18Vの電圧が停電検知電圧V1pfより大きいときには、+18Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより大きくなり、その結果として論理がLOWとなる。このため、コンパレータIC21はオープンコレクタ出力タイプであるため、プルアップ抵抗R23により+5Vに引き上げられ、論理がHIとなり、グランドと接地されたコンデンサC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップIC23のプリセット端子であるPR端子に入力される(コンデンサC24は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。このPR端子が負論理入力であるため、+18Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより大きいときには、DタイプフリップフロップIC23の出力端子である1Q端子から主制御I/Oポート1700bに停電予告信号が出力されない。
一方、+18Vの電圧が停電検知電圧V1pfより小さいときには、+18Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより小さくなり、その結果として論理がHIとなる。このため、コンパレータIC21はオープンコレクタ出力タイプであるため、論理がLOWとなり、グランドと接地されたコンデンサC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップIC23のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、+18Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより小さいときには、DタイプフリップフロップIC23の出力端子である1Q端子から主制御I/Oポート1700bに停電予告信号が出力される。
[9−6−3.+9Vの停電又は瞬停の監視]
+9Vの停電又は瞬停の監視は、上述したように、コンパレータIC21のIC21Bが+9Vの監視電圧V2とリファレンス電圧Vrefとを比較することにより行われている。+9Vは、図126に示すように、抵抗R24,R25による抵抗比によって電圧が分配され、グランドと接地されたコンデンサC25によりリップルが除去されてIC21Bの+端子に入力されている(コンデンサC25は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。抵抗R24,R25の値は、+9Vが停電又は瞬停した際に、その電圧が+9Vから落ち始めて予め設定した停電検知電圧V2pf(本実施形態では、7.64Vに設定されている。)となったときに、+9Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefと同値になるように設定されている。+9Vの電圧が停電検知電圧V2pfより大きいときには、+9Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより大きくなり、その結果として論理がLOWとなる。このため、コンパレータIC21はオープンコレクタ出力タイプであるため、プルアップ抵抗R23により+5Vに引き上げられ、論理がHIとなり、グランドと接地されたコンデンサC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップIC23のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、+9Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより大きいときには、DタイプフリップフロップIC23の出力端子である1Q端子から主制御I/Oポート1700bに停電予告信号が出力されない。
一方、+9Vの電圧が停電検知電圧V2pfより小さいときには、+9Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより小さくなり、その結果として論理がHIとなる。このため、コンパレータIC21はオープンコレクタ出力タイプであるため、論理がLOWとなり、グランドと接地されたコンデンサC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップIC23のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、+9Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより小さいときには、DタイプフリップフロップIC23の出力端子である1Q端子から主制御I/Oポート1700bに停電予告信号が出力される。
なお、DタイプフリップフロップIC23のクリア端子であるCLR端子には、主制御MPU1700aから、主制御I/Oポート1700bを介して、停電クリア信号が入力されるようになっている。CLR端子は負論理入力であるため、主制御MPU1700aからの停電クリア信号は、主制御I/Oポート1700bを介してその論理がLOWとなってCLR端子に入力される。DタイプフリップフロップIC23は、CLR端子に停電クリア信号が入力されると、ラッチ状態を解除するようになっており、このとき、プリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する。
一方、主制御MPU1700aからの停電クリア信号の出力が停止されると、主制御I/Oポート1700bを介してその論理がHIとなってCLR端子に入力される。DタイプフリップフロップIC23は、CLR端子に停電クリア信号が入力されないときには、ラッチ状態をセットするようになっており、PR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチする。なお、D入力端子である1D端子、クロック入力端子である1CK端子、接地端子であるGND端子は、グランドと接地されている。また、1Q端子の論理を反転した負論理1Q端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[9−6−4.電波検出スイッチからの電波検出信号の監視]
次に、電波検出スイッチ1700eからの電波検出信号の監視について説明する。電波検出スイッチ1700eは+18Vと抵抗26を介して電気的に接続されており、この電圧が電波検出スイッチ1700eと抵抗27を介してトランジスタTR20のベースに入力され、抵抗27とトランジスタTR20ベースとの間にグランドと接地された抵抗28が電気的に接続されている。また、トランジスタTR20のエミッタはグランドと接地され、トランジスタTR20のコレクタはプルアップ抵抗R29により+5Vに引き上げられてインバータIC22の入力端子と電気的に接続されている。このインバータIC22は、6つのインバータ回路を備えており、その1つ(IC22A)を本実施形態で用いている。なお、インバータIC22の電源端子であるVcc端子に入力される+5Vは、グランドと接地されたコンデンサC26によりリップルが除去されて平滑化されている。
抵抗R27,R28の値は、電波検出スイッチ1700eが電波検出信号を出力しないとき、つまり高周波が照射されていないときに、トランジスタTR20がONする状態となるように設定されている。トランジスタTR20がONする状態では、トランジスタTR20のコレクタからトランジスタTR20のエミッタに電流が流れるため論理がLOWとなってインバータIC22(IC22A)の入力端子に入力される。これにより、上述したように、インバータIC22はオープンコレクタ出力タイプであるため、プルアップ抵抗23により+5Vに引き上げられ、論理がHIとなり、グランドと接地されたコンデンサC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップIC23のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、電波検出スイッチ1700eが電波検出信号を出力しないとき、つまり高周波が照射されていないときには、DタイプフリップフロップIC23の出力端子である1Q端子から主制御I/Oポート1700bに停電予告信号が出力されない。
一方、電波検出スイッチ1700eが電波検出信号を出力するとき、つまり高周波が照射されているときには、トランジスタTR20がOFFする状態となる。トランジスタTR20がOFFする状態では、トランジスタTR20のコレクタからトランジスタTR20のエミッタに電流が流れないためプルアップ抵抗R29により+5Vに引き上げられて論理がHIとなってインバータIC22(IC22A)の入力端子に入力される。これにより、上述したように、インバータIC22はオープンコレクタ出力タイプであるため、論理がLOWとなり、グランドと接地されたコンデンサC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップIC23のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、電波検出スイッチ1700eが電波検出信号を出力するとき、つまり高周波が照射されているときには、DタイプフリップフロップIC23の出力端子である1Q端子から主制御I/Oポート1700bに停電予告信号が出力される。
なお、主制御基板1700から電波検出スイッチ1700eを取り除いた場合には、トランジスタTR20がOFFする状態となるため、トランジスタTR20のコレクタからトランジスタTR20のエミッタに電流が流れないためプルアップ抵抗R29により+5Vに引き上げられて論理がHIとなってインバータIC22(IC22A)の入力端子に入力される。これにより、上述したように、インバータIC22はオープンコレクタ出力タイプであるためプルアップ抵抗23により+5Vに引き上げられ、論理がHIとなり、グランドと接地されたコンデンサC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップIC23のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、電波検出スイッチ1700eを主制御基板1700から取り除いたときには、DタイプフリップフロップIC23の出力端子である1Q端子から主制御I/Oポート1700bに停電予告信号が出力される。このように、電波検出スイッチ1700eを主制御基板1700から取り除いたときには停電予告信号が常に出力される。
[10.払出制御基板の回路]
次に、図119に示した払出制御基板715の回路等について説明する。払出制御基板715は、図122に示したように、電源基板686から直流電源+34V、+18V、+9Vが供給されている。この+9Vが払出制御シリーズレギュレータ715aに入力されている。この払出制御シリーズレギュレータ715aは入力された+9Vから払出制御基板715等の基準電圧である+5Vを作成し、この+5Vが払出制御MPU1710a等に入力されている。また払出制御基板715は、図119に示したように、払出制御部1710及び発射制御部1720等を備えて構成されている。ここでは、まず払出制御シリーズレギュレータについて説明し、続けて払出制御部の回路、払出制御基板で作成された電源、払出制御基板における各種入出力信号、発射制御部の回路について説明する。図127は払出制御部の回路等を示す回路図であり、図128はドライブICの等価回路を示す回路図であり、図129はエラー解除スイッチ等の入力回路を示す回路図であり、図130は主制御基板との各種入出力信号及び外部端子板への各種出力信号を示す入出力図であり、図131は発射制御部の入力回路を示す回路図であり、図132は払出制御基板の実装図等であり、図133は発射制御部の発信回路等を示す回路図である。
[10−1.払出制御シリーズレギュレータIC]
払出制御シリーズレギュレータIC715a(本実施形態では、ローム製:BA50BC0WT)は、図127に示すように、電源入力端子であるVCC端子に+9Vが入力されている。この+9Vは、電源基板686により供給されており、払出制御基板715に入力されると、まずグランド(GND)と接地された電解コンデンサC50により、リップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化される。さらに、グランドと接地されたコンデンサC51により、電源基板686と払出制御基板715との基板間に発生したノイズが除去される。また、この平滑化された+9Vは、VCC端子の他に、払出制御シリーズレギュレータIC715aのコントロール端子であるCTL端子にも入力されている。払出制御シリーズレギュレータIC715aは、そのCTL端子に+9Vが入力されることにより、VCC端子に入力された+9Vから+5Vを作成して出力端子であるOUT端子から出力する。OUT端子とVCC端子との端子間にはダイオードD1(本実施形態では、1SS133)が設けられており、ダイオードD1のアノード端子とOUT端子とが電気的に接続され、ダイオードD1のカソード端子とVCC端子とが電気的に接続されている。VCC端子とOUT端子との端子間が逆バイアスになったときにはダイオードD1を介してVCC端子側に入力されるようになっており、逆バイアスによる払出制御シリーズレギュレータIC715aの破壊を防止している。
OUT端子から出力される+5Vは、グランドと接地された電解コンデンサC52によりリップルが除去されて平滑化されている。この平滑化された+5Vは、払出制御部1710、発射制御部1720等にそれぞれ入力されている。なお、接地端子であるGND端子はグランドと接地されており、NC端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[10−2.払出制御部の回路]
払出制御部1710は、図127に示すように、払出制御MPU1710a、払出制御I/Oポート1710b、外部WDT1710c(本実施形態では、ミツミ製:MM1075XD)、払出モータ駆動回路1710dの他に、周辺回路として、払出制御水晶発振器X50(本実施形態では、エプソントヨコム製:SG−531P、8メガヘルツ(MHz))を備えて構成されている。
[10−2−1.外部WDT(外部ウォッチドックタイマ)]
払出制御シリーズレギュレータIC715aのOUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、図127に示すように、外部WDT1710cのVcc端子に入力されている。外部WDT1710cは、払出制御MPU1710aにリセットをかけるものであり、ウォッチドックタイマが内蔵されている。外部WDT1710cは、Vcc端子に入力された+5Vの電圧を監視する機能と、払出制御MPU1710aが正常に動作しているか否かを監視する機能と、を有しており、Vcc端子に入力された+5Vの電圧がしきい値(本実施形態では、4.2Vに設定されている。)に達すると、負論理RESET端子からリセット信号を出力したり、外部WDT1710cのCK端子に払出制御MPU1710aから払出制御I/Oポート1710bを介して外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内に入力されないと、負論理RESET端子からリセット信号を出力したりする。
外部WDT1710cのTC端子はグランドと接地されたコンデンサC53が電気的に接続されており、外部WDT1710cのRCT端子は+5Vに引き上げられたプルアップ抵抗R50が電気的に接続されている。上述したクリア信号解除時間は、コンデンサC53の容量と、プルアップ抵抗R50の抵抗値と、によって設定することができる。なお、本実施形態では、クリア信号解除時間として払出制御MPU1710aの割り込みタイマ(1.75ms)の20回分に相当する時間35ms(=1.75ms×20回)が設定されている。
外部WDT1710cの負論理RESET端子は、払出制御MPU1710aのリセット端子であるRST0端子及び払出制御I/Oポート1710bのリセット端子であるRESETN端子と電気的に接続されている。負論理RESET端子はオープンコレクタ出力タイプであり、プルアップ抵抗R51により+5Vに引き上げられている。この+5Vに引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサC54によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサC54は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。負論理RESET端子は、Vcc端子に入力される電圧がしきい値より大きいときにはプルアップ抵抗R50により+5Vに引き上げられて論理がHIとなって払出制御MPU1710aのRST0端子及び払出制御I/Oポート1710bのRESETN端子に入力され、一方、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さいときには論理がLOWとなって払出制御MPU1710aのRST0端子及び払出制御I/Oポート1710bのRESETN端子に入力される。
また負論理RESET端子は、CK端子に入力される外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にONからOFFに切り替わって外部WDTクリア信号が解除されたときにはプルアップ抵抗R51により+5Vに引き上げられて論理がHIとなって払出制御MPU1710aのRST0端子及び払出制御I/Oポート1710bのRESETN端子に入力され、一方、CK端子に入力される外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にONされたまま外部WDTクリア信号が解除されなかったときには論理がLOWとなって払出制御MPU1710aのRST0端子及び払出制御I/Oポート1710bのRESETN端子に入力される。
払出制御MPU1710aのRST0端子は負論理入力であるため、Vcc端子に入力される電圧がしきい値より小さい状態となったり、CK端子に入力される外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にONされたまま外部WDTクリア信号が解除されなかったときには、払出制御MPU1710a及び払出制御I/Oポート1710bにリセットがかかる。なお、外部WDT1710cのVs端子には、グランドと接地されたコンデンサC55が電気的に接続されており、Vcc端子にはグランドと接地されたコンデンサC56が電気的に接続されている。このコンデンサC56によってVcc端子に入力される+5Vはリップルが除去されて平滑化されている。また、外部WDT1710cの接地端子であるGND端子はグラントと接地されており、外部WDT1710cの正論理RESET端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[10−2−2.払出制御水晶発振器]
払出制御シリーズレギュレータIC715aのOUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、図127に示すように、払出制御水晶発振器X50の電源端子であるVCC端子に入力されている。このVCC端子は、グランドと接地されたコンデンサC57と電気的に接続されており、VCC端子に入力される+5Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。また、この平滑化された+5Vは、VCC端子の他に、払出制御水晶発振器X50の出力許可(Output Enable)端子であるOE端子にも入力されている。払出制御水晶発振器X50は、そのOE端子に+5Vが入力されることにより、8MHzのクロック信号を出力端子であるOUT端子から出力する。
払出制御水晶発振器X50のOUT端子は、払出制御MPU1710aのクロック端子であるMCLK端子及び払出制御I/Oポート1710bのクロック端子であるCLK端子と電気的に接続されており、8MHzのクロック信号が払出制御MPU1710a及び払出制御I/Oポート1710bに入力されている。
[10−2−3.払出モータ駆動回路]
払出モータ駆動回路1710dは、図127に示すように、ドライブIC50(本実施形態では、東京芝浦電気製:MP4303)を備えて構成されている。このドライブIC50は、4つのダーリントンパワートランジスタを備えており、本実施形態では、エミッタ端子をグランドと接地させ、ベース端子に払出モータ駆動信号が入力されると、対応するコレクタ端子から励磁信号である駆動パルスが出力されるようになっている。
電源基板686から供給された+34Vは、図127に示すように、ツェナーダイオードZD51(本実施形態では、HZ36BPTK−E)を介してドライブIC50のカソード端子に入力されている。ツェナーダイオードZD51のアノード端子は+34Vと電気的に接続されており、ツェナーダイオードZD51のカソード端子がドライブIC50のカソード端子と電気的に接続されている。ドライブIC50のカソード端子に入力された+34Vは、払出モータ465の駆動電源となる。ドライブIC50のベース端子は、払出制御I/Oポート1710bの出力ポートPBの出力ピンPB0〜PB3と電気的に接続されており、出力ピンPB0〜PB3から出力された払出モータ駆動信号に応じて対応するコレクタ端子から励磁信号である駆動パルスが抵抗R52〜R55、賞球ユニット用端子717、そして賞球ユニット内中継端子板480を介して払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)に出力される。これらの駆動パルスは、払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)に流す励磁電流のスイッチングにより行われ、払出モータ465を回転させる。なお、このスイッチングにより各相(/B相、B相、A相、/A相)の駆動パルス(励磁信号)を遮断したときには逆起電力が発生する。この逆起電力がドライブIC50の耐圧を超えると、ドライブIC50が破損するため、保護としてドライブIC50のカソード端子とツェナーダイオードZD51のカソード端子とを電気的に接続している。
[10−2−3(a).ドライブICの吸収する熱]
ドライブIC50は、上述したように、4つのダーリントンパワートランジスタを備えており、本実施形態では、エミッタ端子をグランドと接地させ、ベース端子に払出モータ駆動信号が入力されると、対応するコレクタ端子から励磁信号である駆動パルスが出力されるようになっている。ドライブIC50Cは、図128に示すように、ダーリントンパワートランジスタPTr1〜PTr4と、フライバック電圧吸収用ダイオードFBD1〜FBD4と、を同一のパッケージに内蔵している。
ダーリントンパワートランジスタPTr1〜PTr4は、ダーリントン接続された2つのトランジスタ、抵抗及びダイオードが電気的に回路接続されてチップ化されている。ダーリントンパワートランジスタPTr1〜PTr4のコレクタ端子は、一方がグランド(GND)と接地されたフライバック電圧吸収用ダイオードFBD1〜FBD4が電気的に回路接続されている。フライバック電圧吸収用ダイオードFBD1〜FBD4は、払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)に駆動パルス(励磁信号)が遮断されたときに発生する逆起電力を熱に変換して除去することによって、ダーリントンパワートランジスタPTr1〜PTr4を保護しており、フライバック電圧吸収用ダイオードFBD1及びFBD2が一対となってチップ化され、フライバック電圧吸収用ダイオードFBD3及びFBD4が一対となってチップ化されている。このように、ドライブIC50のパッケージは、払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)に駆動パルス(励磁信号)を出力するダーリントンパワートランジスタPTr1〜PTr4による発熱と、払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)からの逆起電力を熱に変換するフライバック電圧吸収用ダイオードFBD1〜FBD4による発熱と、を吸収し、この吸収した熱を外気(ドライブIC50の周囲)に逃がしている。
ところが、上述したように、払出制御基板715を収納する払出制御基板ボックス655、パチンコ遊技機1の最大の熱源である電源基板686を収納する電源基板ボックス653等は、枠用基板ホルダー651の後面側に前後方向に重複して取り付けられている。このため、払出制御基板715は電源基板686から発せられる熱を少なからず吸収していることとなる。また、払出制御基板ボックス655のカバー体711等はパチンコ島設備内に露出した状態となっており、パチンコ島設備は他のパチンコ遊技機と背向で列設されためパチンコ遊技機の電源基板や各種制御基板等から発せられる熱によってパチンコ島設備内の温度が高くなっている。
このように、ダーリントンパワートランジスタPTr1〜PTr4及びフライバック電圧吸収用ダイオードFBD1〜FBD4による発熱を、ドライブIC50のパッケージが吸収しても、ドライブIC50の周囲、つまり外気の温度が高くなっている状態では、その吸収した熱を外気に逃がす効率が低下するため、ドライブIC50のパッケージに熱が蓄えられることとなる。そうすると、ドライブIC50のパッケージの温度が高くなって、ダーリントンパワートランジスタPTr1〜PTr4の接合温度がジャンクション温度まで高くなると、ダーリントンパワートランジスタPTr1〜PTr4が故障することとなる。
[10−2−3(b).払出モータ駆動信号の出力する順番]
そこで、本実施形態では、払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)に出力する駆動パルス(励磁信号)の順番として、A相、B相、/A相そして/B相となるように、ドライブIC50のベース端子に払出モータ駆動信号が入力されるようになっている。これにより、フライバック電圧吸収用ダイオードFBD1〜FBD4が払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)からの逆起電力を熱に変換する順番も、FBD1、FBD3、FBD2そしてFBD4となる。そうすると、上述した、フライバック電圧吸収用ダイオードFBD1及びFBD2が一対となったチップと、フライバック電圧吸収用ダイオードFBD3及びFBD4が一対となったチップと、が交互に発熱することとなる。このように交互に発熱する場合と、払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)に出力する駆動パルス(励磁信号)の順番として、A相、/A相、B相そして/B相、つまり、フライバック電圧吸収用ダイオードFBD1〜FBD4が払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)からの逆起電力を熱に変換する順番としてFBD1、FBD2、FBD3そしてFBD4とする場合と、を比べると、交互に発熱する場合の方がフライバック電圧吸収用ダイオードFBD1及びFBD2が一対となったチップの発熱又はフライバック電圧吸収用ダイオードFBD3及びFBD4が一対となったチップの発熱を小さく抑えることができ、ドライブIC50のパッケージの温度上昇の低減に寄与することができる。したがって、熱によるダーリントンパワートランジスタPTr1〜PTr4の故障を防止することができる。
なお、本実施形態では、払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)に出力する駆動パルス(励磁信号)の順番として、A相、B相、/A相そして/B相となるようにプログラムしているが、例えば、図127に示した、ドライブIC50のコレクタ端子である4番ピン及び9番ピンを、賞球ユニット端子717側で互いに入れ代えるように予め配線しておくことによって、払出モータ465の各相(/B相、B相、A相、/A相)に出力する駆動パルス(励磁信号)の順番として、A相、/A相、B相そして/B相となるようにプログラムしても、賞球ユニット端子717側でその順番がB相、/A相、A相そして/B相となり、フライバック電圧吸収用ダイオードFBD3及びFBD4が一対となったチップと、フライバック電圧吸収用ダイオードFBD1及びFBD2が一対となったチップと、が交互に発熱することができる。
[10−3.払出制御基板で作成された電源]
払出制御シリーズレギュレータIC715aのOUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、図127に示すように、払出制御MPU1710aの電源端子であるVDD及び払出制御I/Oポート1710bの電源端子であるVCCに入力されている。払出制御MPU1710aのVDD端子はグランドと接地されたコンデンサC58と電気的に接続され、払出制御I/Oポート1710bのVCC端子はグランドと接地されたコンデンサC59と電気的に接続されており、VDD端子及びVCC端子に入力される+5Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。払出制御MPU1710aの接地端子であるVSS端子はグランドと接地され、払出制御I/Oポート1710bの接地端子であるGND端子はグランドと接地されている。また、払出制御シリーズレギュレータIC715aのOUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、発射制御部1720等にも入力されている。
[10−4.払出制御基板における各種入出力信号]
[10−4−1.払出制御I/Oポートの各種入出力信号]
エラー解除スイッチ1731(本実施形態では、アルプス電気製:SKHHDGA010)の操作、球抜きスイッチ1732(本実施形態では、アルプス電気製:SKHHDAA010)の操作は、検出信号として払出制御I/Oポート1710bに入力されている。
ここで、図119に示したエラーLED表示器1730に、球切れ、球がみ、賞球ストック(未払出分あり)、接続異常等の動作エラー状態が表示されると、エラー解除スイッチ1731を操作して図119に示したスピーカ34から動作エラー状態に応じたエラー解除法を伝える音声案内が流れ、その指示に従って動作エラー状態を解除する。パチンコ遊技機1をホールに設置して移設するときや、上述した、賞球タンク400及びタンクレール部材410に溜まったゴミ(例えば、遊技球のメッキがはがれた粉等)を取り除くときには、上述したように、球抜きスイッチ1732を操作して賞球タンク400、タンクレール部材410等に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の外部に排出する。
[10−4−1(a).エラー解除スイッチからの検出信号]
エラー解除スイッチ1731の出力ピンとしての1番ピンは、図127に示すように、払出制御I/Oポート1710bの入力ポートPDの5番ピンである入力ピンPD5と電気的に接続されている。入力ピンPD5は負論理入力とするため、エラー解除スイッチ1731の1番ピンと払出制御I/Oポート1710bの入力ピンPD5との端子間の電圧はプルアップ抵抗R56により+5Vに引き上げられている。この+5Vに引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサC60によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサC60は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。エラー解除スイッチ1731が操作されないときにはプルアップ抵抗R56により+5Vに引き上げられて論理がHIとなったエラー解除検出信号が払出制御I/Oポート1710bの入力ピンPD5に入力され、一方、エラー解除スイッチ1731が操作されたときには論理がLOWとなったエラー解除検出信号が払出制御I/Oポート1710bの入力ピンPD5に入力される。
[10−4−1(b).球抜きスイッチからの検出信号]
球抜きスイッチ1732の出力ピンとしての1番ピンは、図127に示すように、払出制御I/Oポート1710bの入力ポートPDの2番ピンである入力ピンPD2と電気的に接続されている。入力ピンPD2は負論理入力とするため、球抜きスイッチ1732の1番ピンと払出制御I/Oポート1710bの入力ピンPD2との端子間の電圧はプルアップ抵抗R57により+5Vに引き上げられている。この+5Vに引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサC61によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサC61は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。球抜きスイッチ1732が操作されないときにはプルアップ抵抗R57により+5Vに引き上げられて論理がHIとなった球抜き検出信号が払出制御I/Oポート1710bの入力ピンPD2に入力され、一方、球抜きスイッチ1732が操作されたときには論理がLOWとなった球抜き検出信号が払出制御I/Oポート1710bの入力ピンPD2に入力される。
[10−4−1(c).その他の各種入出力信号]
払出制御I/Oポート1710bのシリアルデータ入力端子であるRXD端子は、図119に示した主制御基板1700からのシリアルデータが主払シリアルデータ受信信号として入力されている。一方、払出制御I/Oポート1710bのシリアルデータ出力端子であるTXD端子から主制御基板1700に送信するシリアルデータが払主シリアルデータ送信信号として出力される。
払出制御I/Oポート1710bの入力ポートPD及び入力ポートPEの各入力ピンは、例えば、上述した、入力ピンPD5にはエラー解除スイッチ1731からのエラー解除検出信号が入力され、入力ピンPD2には球抜きスイッチ1732からの球抜き検出信号が入力され、入力ピンPD7には上述した払主シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える主制御基板1700からの主払ACK信号が入力され、入力ピンPD1には満タンスイッチ545からの検出信号が入力される。
一方、払出制御I/Oポート1710bの出力ポートPA〜PCの出力ピンから、例えば、出力ピンPB0〜PB5から払出モータ駆動信号が出力され、出力ピンPC3から上述した主払シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える払主ACK信号が出力され、出力ピンPC5から外部WDT1710cへ外部WDTクリア信号が出力される。
なお、払出制御I/Oポート1710bのデータ入出力端子D0〜D7と、払出制御MPU1710aのデータ入出力端子D0〜D7と、はデータバスを介して各種情報や各種信号のやり取りを行う。払出制御MPU1710aは、入力ポートPD及びPEから各種信号を、データバスを介して読み込み、このデータバスを介して出力ポートPA〜PCから各種信号を出力する。
[10−4−2.扉枠開放スイッチ及び本体枠開放スイッチからの検出信号]
上述したように、本体枠3には、扉枠5が本体枠3から開放された状態であるか否かを検出する扉枠開放スイッチ3aと、本体枠3が外枠2から開放された状態であるか否かを検出する本体枠開放スイッチ3bと、が設けられている。これらの検出信号は、図119に示したように、払出制御基板715に入力されている。
[10−4−2(a).扉枠開放スイッチからの検出信号]
扉枠開放スイッチ3aは、常閉形(ノーマルクローズ(NC))を用いており、扉枠5が本体枠3から開放された状態でスイッチがON(導通)し、扉枠5が本体枠3に閉鎖された状態でスイッチがOFF(切断)するようになっている。扉枠開放スイッチ3aの端子は、図129に示すように、扉枠開放スイッチ用端子716aと電気的に接続されている。扉枠開放スイッチ3aからの検出信号の一方は、抵抗R60を介してトランジスタTR60のベースに入力され、抵抗R60とトランジスタTR60のベースとの間にグランドと接地された抵抗R61が電気的に接続されている。また、トランジスタTR60のエミッタはグランドと接地され、トランジスタTR60のコレクタは後述するトランジスタTR61のコレクタと電気的に接続されている。トランジスタTR60のコレクタとトランジスタTR61のコレクタとの電気的な接続により論理和の回路(OR回路)が形成され、その演算結果が枠開放情報出力情報として図119に示した主ドロワ中継基板657を介して主制御基板1700に出力される。一方、扉枠開放スイッチ3aからの検出信号の他方は、上述した外部端子板用端子718を介して扉枠開放信号として図119に示した外部端子板700aに出力される。なお、扉枠開放信号は、外部端子板700aに設けた扉枠開放スイッチ用フォトカプラのカソードと電気的に接続されおり、扉枠開放スイッチ用フォトカプラのアノードには+18Vが入力されている。このように、扉枠開放スイッチ3aには+18Vの電圧が印加されている。
[10−4−2(b).本体枠開放スイッチからの検出信号]
本体枠開放スイッチ3bは、扉枠開放スイッチ3aと同様に、常閉形(ノーマルクローズ(NC))を用いており、本体枠3が外枠2から開放された状態でスイッチがON(導通)し、本体枠3が外枠2に閉鎖された状態でスイッチがOFF(切断)するようになっている。本体枠開放スイッチ3bの端子は、図129に示すように、本体枠開放スイッチ用端子716bと電気的に接続されている。本体枠開放スイッチ3bからの検出信号の一方は、抵抗R62を介してトランジスタTR61のベースに入力され、抵抗R62とトランジスタTR61のベースとの間にグランドと接地された抵抗R63が電気的に接続されている。また、トランジスタTR61のエミッタはグランドと接地され、トランジスタTR61のコレクタは上述したトランジスタTR60のコレクタと電気的に接続されている。トランジスタTR60のコレクタとトランジスタTR61のコレクタとの電気的な接続により論理和の回路(OR回路)が形成され、その演算結果が枠開放情報出力情報として図119に示した主ドロワ中継基板657を介して主制御基板1700に出力される。一方、本体枠開放スイッチ3bからの検出信号の他方は、扉枠開放スイッチ3aからの扉枠開放信号と同様に、上述した外部端子板用端子718を介して本体枠開放信号として図119に示した外部端子板700aに出力される。なお、本体枠開放信号は、扉枠開放信号と同様に、外部端子板700aに設けた本体枠開放スイッチ用フォトカプラのカソードと電気的に接続されおり、本体枠開放スイッチ用フォトカプラのアノードには+18Vが入力されている。このように、本体枠開放スイッチ3bには扉枠開放スイッチ3aと同様に+18Vの電圧が印加されている。
本実施形態では、上述したように、扉枠開放スイッチ3a、本体枠開放スイッチ3bをノーマルクローズのスイッチを用いている。このため、扉枠開放スイッチ3aが短絡してスイッチがON(導通)する状態となっても、扉枠5が本体枠3から開放された状態となり、本体枠開放スイッチ3bが短絡してスイッチがON(導通)する状態となっても、本体枠3が外枠2から開放された状態となる。このように、扉枠開放スイッチ3a、本体枠開放スイッチ3bをノーマルクローズのスイッチを用いることで、短絡時にでも例えば上述した枠開放情報出力信号を、主ドロワ中継基板657を介して主制御基板1700に出力することができ、図119に示した、主制御基板1700の主制御MPU1700aは、扉枠5が本体枠3から開放された状態や本体枠3が外枠2から開放された状態を判断することができる。
なお、扉枠開放スイッチ3a、本体枠開放スイッチ3bをノーマルクローズのスイッチから、常開形(ノーマルオープン(NO))のスイッチ(扉枠開放スイッチ3a’、本体枠開放スイッチ3b’)に替えると、扉枠開放スイッチ3a’は、扉枠5が本体枠3から閉鎖された状態でスイッチがON(導通)し、扉枠5が本体枠3に開放された状態でスイッチがOFF(切断)する。本体枠開放スイッチ3b’は、本体枠3が外枠2から閉鎖された状態でスイッチがON(導通)し、本体枠3が外枠2に開放された状態でスイッチがOFF(切断)する。ここで、扉枠開放スイッチ3a’が断線してスイッチがOFF(切断)する状態となっても、扉枠5が本体枠3から開放された状態となり、本体枠開放スイッチ3b’が断線してスイッチがOFF(切断)する状態となっても、本体枠3が外枠2から開放された状態となる。このように、扉枠開放スイッチ3a’、本体枠開放スイッチ3b’をノーマルオープンのスイッチを用いることで、断線時にでも例えば上述した枠開放情報出力信号を、主ドロワ中継基板657を介して主制御基板1700に出力することができ、主制御基板1700の主制御MPU1700aは、扉枠5が本体枠3から開放された状態や本体枠3が外枠2から開放された状態を判断することができる。
[10−4−3.主制御基板との各種入出力信号及び外部端子板への各種出力信号]
ここで、払出制御基板715と主制御基板1700との各種入出力信号と、払出制御基板715による外部端子板700aへの各種出力信号について説明する。
[10−4−3(a).主制御基板との各種入出力信号]
払出制御基板715は、図119に示したように、主ドロワ中継基板657を介して主制御基板1700と各種入出力信号のやり取りを行う。具体的には、図130(a)に示すように、払出制御基板715は、その内部接続端子725を介して主ドロワ中継基板657と各種入出力信号のやり取りを行う。内部接続端子725から主ドロワ中継基板657に出力する信号としては、上述した、払主シリアルデータ送信信号、払主ACK信号、枠開放情報出力情報等がある。一方、主ドロワ中継基板657から内部接続端子725に入力される信号としては、上述した、主払シリアルデータ受信信号、主払ACK信号、RAMクリア信号、停電予告信号、枠開放情報出力情の他に、大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力情報、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する各種情報(遊技情報)がある。なお、グランド(GND)、+34V、+18V、+9Vの各種電源は、内部接続端子725を介して主ドロワ中継基板657に供給されている。
[10−4−3(b).外部端子板への各種出力信号]
払出制御基板715は、その外部端子板用端子718を介して外部端子板700aに各種信号を出力する。具体的には、図130(b)に示すように、上述した、扉枠開放信号、本体枠開放信号の他に、図119に示した払出モータ465が実際に払い出した遊技球の球数を示す賞球数情報出力信号を直接出力する他、主制御基板1700から払出制御基板715を介して出力する遊技情報等がある。上述したように、外部端子板700aは、図示しない遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと電気的に接続されており、遊技者の遊技等を監視している。
[10−5.発射制御部の回路]
次に、発射制御部1720について説明する。発射制御部1720は、図119に示したように、入力回路1720a、発振回路1720b、発射制御回路1720c、発射モータ駆動回路1720dを備えて構成されている。
[10−5−1.入力回路]
払出制御基板715は、図131に示すように、CRユニット端子板用端子719、操作ハンドル用端子724等が設けられている。これらの端子に入力された各種信号は、入力回路1720aに入力されている。この入力回路1720aは、図示しないCRユニットからのCR接続信号と、図119に示したタッチスイッチ80からの検出信号と、図119に示した発射停止スイッチ82からの検出信号が入力されている。CR接続信号は、図119に示したように、CRユニットがCRユニット端子板700bに電気的に接続されるとCRユニット端子板700bを介して入力回路1720aに入力され、タッチスイッチ80からの検出信号は、上述した操作ハンドル部71の回動操作部材74に触れると、タッチスイッチ80により検出されて図119に示したハンドル中継端子71aを介して入力回路1720aに入力され、発射停止スイッチ82からの検出信号は、上述した発射停止ボタン81を操作すると、発射停止スイッチ82により検出されてハンドル中継端子71aを介して入力回路1720aに入力される。
[10−5−1(a).CRユニットからの接続信号]
CRユニット端子板700bと払出制御基板715との基板間は図示しないハーネスにより電気的に接続されている。このハーネスでは、ノイズの影響を受けにくくするために、図131に示すように、CR接続信号を伝えるライン(伝送線)がプルアップ抵抗R70により+18Vに引き上げられている。
CR接続信号が入力回路1720aに入力されると、抵抗R71を介してトランジスタTR70(本実施形態では、2SC1815)のベースに入力される。この抵抗R71とトランジスタTR70のベースとの間にはグランドと接地された抵抗R72が電気的に接続されている。抵抗R71,R72の値は、CR接続信号が入力されていないとき、つまりCRユニットがCRユニット端子板700bと電気的に接続されていないときには、トランジスタTR70がONする状態となるように設定されている。
トランジスタTR70のコレクタは、プルアップ抵抗R73により+5Vに引き上げられており、負論理とした発射許可信号を発射制御回路1720cに出力する。
トランジスタTR70がONする状態、つまりCRユニットがCRユニット端子板700bと電気的に接続されていないときには、トランジスタTR70のコレクタからトランジスタTR70のエミッタに電流が流れるため論理がLOWとなった発射許可検出信号が発射制御回路1720cに出力される。一方、トランジスタTR70がOFFする状態、つまりCRユニットがCRユニット端子板700bと電気的に接続されているときには、トランジスタTR70のコレクタからトランジスタTR70のエミッタに電流が流れないためプルアップ抵抗R73により+5Vに引き上げられて論理がHIとなった発射許可検出信号が発射制御回路1720cに出力される。
[10−5−1(b).タッチスイッチからの検出信号]
タッチスイッチ80からの検出信号が入力回路1720aに入力されると、抵抗R724bを介してトランジスタTR71(本実施形態では、2SC1815)のベースに入力される。この抵抗R724bとトランジスタTR71のベースとの間にはグランドと接地された抵抗R75が電気的に接続されている。抵抗R724b,R75の値は、タッチスイッチ80が検出信号を出力するとき、つまり操作ハンドル部71の回動操作部材74に触れていないときには、トランジスタTR71がONする状態となるように設定されている。トランジスタTR71のベースに入力される電圧は、グランドと接地されたコンデンサC70によりノイズが除去されて平滑化されている。
トランジスタTR71のコレクタは、プルアップ抵抗R76により+5Vに引き上げられており、負論理としたタッチ検出信号を発射制御回路1720cに出力する。
トランジスタTR71がONする状態、つまり操作ハンドル部71の回動操作部材74に触れていないときには、トランジスタTR71のコレクタからトランジスタTR71のエミッタに電流が流れるため論理がLOWとなったタッチ検出信号が発射制御回路1720cに出力される。一方、トランジスタTR71がOFFする状態、つまり操作ハンドル部71の回動操作部材74に触れているときには、トランジスタTR71のコレクタからトランジスタTR71のエミッタに電流が流れないためプルアップ抵抗R76により+5Vに引き上げられて論理がHIとなったタッチ検出信号が発射制御回路1720cに出力される。
なお、タッチスイッチ80からの検出信号は、上述したように、ハンドル中継端子71aを介して操作ハンドル用端子724に入力されているが、ハンドル中継端子71aから操作ハンドル用端子724までは配線により電気的に接続されている。この配線は、図32に示した下補強板36に沿って取り付けられている。この下補強板36は、上述したように、貯留皿30に貯留された球からの静電放電によるノイズ等を扉枠5から除去するアース接続板としての役割も担っているため、ハンドル中継端子71aからの配線はノイズ等の影響を極めて受けやすい環境下にある。このため、タッチスイッチ80からの検出信号にノイズ等が侵入すると、グランド(GND)の電圧が0V〜+3Vに上下して不安定となり、図119に示した、例えば払出制御基板715における払出制御部1710の払出制御MPU1710aの電源端子VDDに入力されている+5Vとの電位差が払出制御MPU1710aの作動電圧より小さくなって払出制御MPU1710aが突然リセットするおそれがある。そこで、本実施形態では、+18Vが電源側ノイズ低減抵抗である抵抗R724aを介してタッチスイッチ80に供給されるとともに、タッチスイッチ80からの検出信号が検出信号側ノイズ低減抵抗である抵抗R724bを介して入力されることによってグランド(GND)を安定化させている。
本実施形態では、抵抗R724a,R724bとして巻線式の抵抗を用いており、抵抗R724a,R724bのコイル成分であるインダクタンスにより、ハンドル中継端子71aからの配線に侵入したノイズ等によるグランド(GND)の高周波成分をより抑制することができる。これにより、払出制御基板715における払出制御部1710の払出制御MPU1710aに、突然リセットがかからなくなるとともに、払出制御基板715と主制御基板1700との各種入出力信号のやり取りでグランド(GND)の変動による通信エラーが生じなくなる。
[10−5−1(c).発射停止スイッチからの検出信号]
発射停止スイッチ82からの検出信号が入力回路1720aに入力されると、抵抗R724dを介してトランジスタTR72(本実施形態では、2SC1815)のベースに入力される。この抵抗R724dとトランジスタTR72のベースとの間にはグランドと接地された抵抗R78が電気的に接続されている。抵抗R724d,R78の値は、発射停止スイッチ82が検出信号を出力するとき、つまり操作ハンドル部71の発射停止ボタン81を操作していないときには、トランジスタTR72がONする状態となるように設定されている。トランジスタTR72のベースに入力される電圧は、グランドと接地されたコンデンサC71によりノイズが除去されて平滑化されている。
トランジスタTR72のコレクタは、プルアップ抵抗R79により+5Vに引き上げられており、負論理とした発射停止検出信号を発射制御回路1720cに出力する。
トランジスタTR71がONする状態、つまり操作ハンドル部71の発射停止ボタン81を操作していないときには、トランジスタTR72のコレクタからトランジスタTR72のエミッタに電流が流れるため論理がLOWとなった発射停止検出信号が発射制御回路1720cに出力される。一方、トランジスタTR72がOFFする状態、つまり操作ハンドル部71の発射停止ボタン81を操作しているときには、トランジスタTR72のコレクタからトランジスタTR72のエミッタに電流が流れないためプルアップ抵抗R79により+5Vに引き上げられて論理がHIとなった発射停止検出信号が発射制御回路1720cに出力される。
なお、発射停止スイッチ82からの検出信号は、上述したように、ハンドル中継端子71aを介して操作ハンドル用端子724に入力されているが、ハンドル中継端子71aから操作ハンドル用端子724までは配線により電気的に接続されている。この配線は、図32に示した下補強板36に沿って取り付けられている。この下補強板36は、上述したように、貯留皿30に貯留された球からの静電放電によるノイズ等を扉枠5から除去するアース接続板としての役割も担っているため、ハンドル中継端子71aからの配線はノイズ等の影響を極めて受けやすい環境下にある。このため、発射停止スイッチ82からの検出信号にノイズ等が侵入すると、グランド(GND)の電圧が0V〜+3Vに上下して不安定となり、例えば払出制御基板715における払出制御部1710の払出制御MPU1710aの電源端子VDDに入力されている+5Vとの電位差が払出制御MPU1710aの作動電圧より小さくなって払出制御MPU1710aが突然リセットするおそれがある。そこで、本実施形態では、+18Vが電源側ノイズ低減抵抗である抵抗R724cを介して発射停止スイッチ82に供給されるとともに、発射停止スイッチ82からの検出信号が検出信号側ノイズ低減抵抗である抵抗R724dを介して入力されることによってグランド(GND)を安定化させている。
本実施形態では、抵抗R724c,R724dとして巻線式の抵抗を用いており、抵抗R724c,R724dのコイル成分であるインダクタンスにより、ハンドル中継端子71aからの配線に侵入したノイズ等によるグランド(GND)の高周波成分をより抑制することができる。これにより、払出制御基板715における払出制御部1710の払出制御MPU1710aに、突然リセットがかからなくなるとともに、払出制御基板715と主制御基板1700との各種入出力信号のやり取りでグランド(GND)の変動による通信エラーが生じなくなる。また、表皮効果も炭素皮膜抵抗に比べ
[10−5−1(d).電源側ノイズ低減抵抗及び検出信号側ノイズ低減抵抗の配置]
ここで、電源側ノイズ低減抵抗である抵抗R724a,R724cと、検出信号側ノイズ低減抵抗であるR724b,R724dの配置について説明する。払出制御基板715は、上述したように、タッチスイッチ80からの検出信号及び発射停止スイッチ82からの検出信号が操作ハンドル用端子724を介して入力されている。タッチスイッチ80には電源側ノイズ低減抵抗である抵抗R724a及び検出信号側ノイズ低減抵抗である抵抗R724bが設けられ、発射停止スイッチ82には電源側ノイズ低減抵抗である抵抗R724c及び検出信号側ノイズ低減抵抗である抵抗R724dが設けられている。これらの抵抗R724a〜R724dは、図132(a)に示すように、払出制御基板715の部品面715aのエラー解除スイッチ1731の左方近傍に配置されている。
払出制御基板715の部品面715a及びハンダ面715bは、図132(b),(c)に示すように、抵抗R724a〜R724dを配線するパターン(「配線パターン」という。)回りが箔抜けされた状態となっている箔抜け領域724a,724bを設けている。この箔抜け領域724a,724bでは、抵抗R724a〜R724dの配線パターン回りに+18V等の電源線やグランド(GND)線が配置されないようになっている。これにより、抵抗R724a〜R724dの配線パターンに侵入してくるノイズ等を箔抜け領域724a,724bで防止することができ、グランド(GND)の変動を抑制することができる。
また、抵抗R724a〜R724dは、ハンダ面715bでハンダ付けされる銅箔部分(「ランド」という。)が他の電子部品等のランドと所定間隔だけ離して配置されている。抵抗R724a〜R724dのランドと、他の電子部品等のランドと、の距離は、電源線の電位やグランド(GND)線の電位が互いに影響を及ぼさない程度に設定されている。これにより、他の電子部品等のランドからの電源線の電位やグランド(GND)線の電位の影響を防止することができ、グランド(GND)の変動を抑制することができる。
[10−5−2.発振回路]
発振回路1720bは、図133に示すように、水晶振動子X80(本実施形態では、リバーエレテック製:HC−49/U03、4MHz)、この水晶振動子X80の負荷容量を設定するコンデンサC80,C81、帰還抵抗R80を備えて構成されている。水晶振動子X80の両端子は発射制御回路1720cに電気的に接続されており、水晶振動子X80と発射制御回路1720cとは閉ループの回路となっている。この閉ループの回路には、水晶振動子X80と並列に帰還抵抗R80が電気的に接続されている。水晶振動子X80の両端子には、グランドと接地されたコンデンサC80,C81がそれぞれ電気的に接続されている。帰還抵抗R80の値及びコンデンサC80,C81の負荷容量は、水晶振動子X80が安定して発振するように設定されている。これにより、発振回路1720bは、ゆらぎが抑えられたクロック信号を発射制御回路1720cに供給することができる。
[10−5−3.発射制御回路]
発射制御回路1720cは、図133に示すように、発振回路1720bからのクロック信号がクロック入出端子XT1,XT2に入力されており、この入力されたクロック信号に基づいて発射モータ344の回転速度を決定する基準パルスを出力端子AA,BBから発射モータ駆動回路1720dに出力する。なお、電源端子であるVCC端子は+5Vが入力されており、グランドと接地されたコンデンサC82と電気的に接続されている。これにより、VCC端子に入力される+5Vはリップルが除去されて平滑化されている。また、接地端子であるGND端子はグランドに接地されている。
発射制御回路1720cは、上述した、発射許可信号が入力端子E1に入力され、タッチ検出信号が入力端子E3に入力され、発射停止検出信号が入力端子E4に入力されている。発射制御回路1720cは、これらの発射許可検出信号、タッチ検出信号、発射停止検出信号の論理積(AND)をとり、この演算結果をスタート端子であるST端子から発射モータ駆動回路1720dに出力する。このST端子は、出力端子AA,BBから出力する基準パルスを許可している旨又は禁止している旨を発射モータ駆動回路1720dに伝えるものである。具体的には、発射許可検出信号、タッチ検出信号、発射停止検出信号の論理がすべてHIである場合(CRユニットがCRユニット端子板700bと電気的に接続され、操作ハンドル部71の回動操作部材74に触れ、操作ハンドル部71の発射停止ボタン81を操作していない場合)には、ST端子から論理がHIとなったスタート信号が出力され、出力端子AA,BBから許可した基準パルスが出力されている旨を発射モータ駆動回路1720dに伝える一方、発射許可検出信号、タッチ検出信号、発射停止検出信号のうち少なくとも1つに論理がLOWである場合(例えば、CRユニットがCRユニット端子板700bと電気的に接続され、操作ハンドル部71の回動操作部材74に触れ、操作ハンドル部71の発射停止ボタン81を操作している場合)には、ST端子から論理がLOWとなったスタート信号が出力され、出力端子AA,BBから禁止した基準パルスが出力されている旨を発射モータ駆動回路1720dに伝える。
[10−5−4.発射モータ駆動回路]
発射モータ駆動回路1720dは、図133に示すように、発射制御回路1720cの出力端子AA,BBから出力された基準パルスが入力され、発射制御回路1720cのST端子から出力されたスタート信号が入力されている。具体的には、発射制御回路1720cの出力端子AAから出力された基準パルスは発射モータ駆動回路1720dのA相入力端子であるINA端子に入力され、発射制御回路1720cの出力端子BBから出力された基準パルスは発射モータ駆動回路1720dのB相入力端子であるINB端子に入力され、発射制御回路1720cのST端子から出力されたスタート信号は発射モータ駆動回路1720dのスタート端子であるST端子に入力されている。
発射モータ駆動回路1720dは、ST端子に論理がHIであるスタート信号が入力されると、INA端子に入力された基準パルスに基づいてA相出力端子であるA端子から発射モータ用端子723を介して発射モータ344のA相に励磁信号である駆動パルスが出力される一方、A端子から出力される駆動パルスの論理を反転した励磁信号である駆動パルスがA相反転出力端子であるAX端子から発射モータ用端子723を介して発射モータ344の/A相に出力され、INB端子に入力された基準パルスに基づいてB相出力端子であるB端子から発射モータ用端子723を介して発射モータ344のB相に励磁信号である駆動パルスが出力される一方、B端子から出力される駆動パルスの論理を反転した励磁信号である駆動パルスがB相反転出力端子であるBX端子から発射モータ用端子723を介して発射モータ344の/B相に出力される。
なお、発射モータ駆動回路1720dの電源端子であるVCC1は+5Vが入力されており、発射モータ駆動回路1720dのA相電源電圧端子であるVCC2A端子及びB相電源電圧端子であるVCC2B端子は発射モータ344の駆動用電圧である+34Vが入力されている。これらのVCC2A端子及びVCC2B端子は、グランドと接地された電解コンデンサC83と電気的に接続されており、発射モータ344の駆動による一時的な電圧低下を抑えることで駆動トルクを一定に保持している。また、VCC2A端子及びVCC2B端子は、グランドと接地されたコンデンサC84と電気的に接続されており、接地端子であるGND端子はグランドと接地されている。
[11.液晶制御基板の回路(ブロック図)]
次に、図119に示した、液晶表示器1315の描画制御を行う液晶制御基板1750の回路等について説明する。液晶制御基板1750の回路は極めて複雑であるため、簡易的なブロック図を用いて説明する。図134は液晶制御基板のブロック図である。液晶制御基板1750は、図119に示した、液晶制御MPU1750a、液晶制御ROM1750b、VDP1750c、キャラROM1750d及びキャラRAM1750zの他に、図134に示すように、スケーラIC1750f、フレームメモリ1750g、LVDS(Low Voltage Differential Signalingの略)トランスミッタ1750h、転送IC1750m等を備えて構成されている。液晶制御基板1750は、図122に示したように、電源基板686から払出制御基板715、主制御基板1700そしてサブ統合基板1740を介して直流電源+34V、+18Vが供給されている。この+18Vが液晶制御電源回路1750eに入力されている。この液晶制御電源回路1750eは入力された+18Vからサブ統合MPU1740a等の基準電圧である+5Vを作成したり、液晶制御基板1750等の基準電圧である+3.3Vを作成したり、液晶制御MPU1750a及びVDP1750cの電源である+1.5Vを作成したり、VDP1750cの電源である+2.5Vを作成したりする。スケーラIC1750fには、+3.3Vの他に、直流+1.8V(DC+1.8V、以下、「+1.8V」と記載する。)が入力されている。なお、この+1.8Vは、図示しない電源回路によって作成されており、上述した+18Vから作成されているが、液晶制御電源回路1750eで生成してもよい。ここでは、まず液晶制御基板1750の構成について説明し、続けてスケーラIC1750fの設定、液晶表示器1315に表示させる画面の生成について説明する。図135はスケーラICのレジスタ群の一例を示すテーブルであり、図136はフレームメモリの内部を示す簡略図であり、図137は液晶表示器に表示させる画面の生成の一例を示す説明図である。
[11−1.液晶制御基板の構成]
[11−1−1.液晶制御MPU]
液晶制御MPU1750aは、上述したように、サブ統合基板1740からの表示コマンドが入力されている。この表示コマンドは、上述したように、液晶表示器1315に表示させる画面を示すものであり、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aのシリアル入出力から出力(送信)されている。液晶制御MPU1750aは、図134に示すように、表示コマンドを液晶シリアルデータDSP−SERとして受信しており、この液晶シリアルデータDSP−SERを受信すると、その旨を伝えるDSP−ACK信号をサブ統合基板1740に出力する。
液晶制御MPU1750aは、受信した液晶シリアルデータDSP−SERをパラレルデータに復元して表示コマンドを解析し、この解析した表示コマンドに対応するスケジュールデータを液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出したスケジュールデータから先頭の画面データを液晶制御ROM1750bから抽出してVDP1750cに出力する。このスケジュールデータは、上述したように、画面の構成を規定する画面データが時系列に配置されて構成されており、液晶表示器1315に描画する画面の順序が規定されている。画面データについての詳細な説明は後述する。
液晶制御MPU1750aは、その詳細な説明は後述するが、転送IC1750mを制御することによって、キャラROM1750dに記憶されている、上述したスプライトデータを、アクセス速度の速いキャラRAM1750zに転送してコピーする。このキャラRAM1750zは、図134に示すように、常駐領域1750za、非常駐領域1750zbを備えて構成されている。常駐領域1750zaには、背景を液晶表示器1315に描画するスプライトデータや、「大当り」、「電源復旧中です」等の文字を液晶表示器1315に描画するスプライトデータが転送されてコピーされるようになっており、突発的に液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータが主として記憶される。一方、非常駐領域1750zbには、変動開始からその停止までの間、途中で液晶表示器1315に描画するスプライトデータや、大当り遊技状態開始からその停止までの間、途中で液晶表示器1315に描画するスプライトデータ等が、液晶表示器1315に描画するまでに間に合うように転送されてコピーされるようになっており、スケジュールデータに沿って液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータが主として記憶されている。非常駐領域1750zbは、液晶表示器1315に描画する内容に応じてスプライトデータが置き換えられる領域となっている。
液晶制御MPU1750aは、図134に示すように、VDP1570cからDMA実行中信号DMAFLAGが入力されている。このDMA実行中信号DMAFLAGは、VDP1750cが液晶制御MPU1750aからの画面データを受け入れない旨を伝える信号であり、液晶制御MPU1750aは、その詳細は後述するが、DMA実行中信号DMAFLAGの出力が停止されたことを契機として、割り込み処理を行う。
液晶制御MPU1750aは、図134に示すように、フレームメモリ1750gの制御信号であるフィールド信号FIELDを出力したり、スケーラIC1750fにインターフェースクロック信号(以下、「I/Fクロック信号」と記載する。)SCL−SCLKと同期して書き込みシリアルデータSCL−S0を送信したり、スケーラIC1750fからI/Fクロック信号SCL−SCLKと同期して読み出しシリアルデータSCL−S1を受信したり、スケーラIC1750fへのアクセスを有効又は無効に設定するアクセスセット信号SCL−SSを出力したりする。これらの各種信号や各種データについての詳細な説明は後述する。
なお、液晶制御基板1750は、図134に示すように、フリップフロップ1750i、外部ウォッチドックタイマ1750k(以下、「外部WDT1750k」と記載する。)を備えており、液晶制御MPU1750aは、その詳細な説明は後述するが、外部WDTクリア信号を、フリップフロップ1750iを介して、外部WDT1750kに出力している。外部WDT1750kは、所定期間内に外部WDTクリア信号が入力されないと、液晶制御MPU1750a、VDP1750c及び転送IC1750mにリセット信号を出力するようになっている。また液晶制御MPU1750aが出力した外部WDTクリア信号は、フリップフロップ1750iを介して、DSP−RUN信号としてサブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aに入力されるようになっている。
また液晶制御MPU1750aは、図134に示すように、サブ統合基板1740から、上述した、RAM−CLR信号、停電予告信号が入力されている。
[11−1−2.転送IC]
転送IC1750mは、上述したように、液晶制御MPU1750aからの制御によって、キャラROM1750dに記憶さているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750za及び非常駐領域1750zbに転送してコピーする。
転送IC1750mは、図134に示すように、レジスタ群1750maを備えて構成されている。このレジスタ群1750maは、転送元アドレス、転送先アドレス、転送バイト数を設定する各種レジスタを備えている。転送IC1750mは、液晶制御MPU1750aがそれらの各種レジスタに設定値を書き込むと、キャラROM1750dに記憶さているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750za及び非常駐領域1750zbに転送してコピーするようになっている。なお、レジスタ群1750maには、転送元アドレス、転送先アドレス、転送バイト数の他に、キャラROM1750d及びキャラRAM1750zに合ったアクセス条件を設定するレジスタも備えている。
また転送IC1750mは、VDP1750cがスプライトデータを抽出する際に、キャラROM1750dに代えてキャラRAM1750zからそのスプライトデータを抽出するように回路構成されている。つまり、転送IC1750mは、VDP1750cがキャラROM1750dからスプライトデータを抽出しているように振る舞っている。キャラROM1750dは、上述したように、極めて多くのスプライトデータを記憶している。これにより、液晶表示器1315に描画するスプライトの数が多くなると、キャラROM1750dのアクセス速度が無視できなくなり、液晶表示器1315に描画する速度に影響することとなる。このため、液晶制御MPU1750aは、転送IC1750mを制御することによって、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータを、アクセス速度の速いキャラRAM1750zに転送してコピーしている。これにより、VDP1750cは、転送IC1750mの回路構成によって、キャラRAM1750zからスプライトデータを高速に抽出できるようになっている。したがって、VDP1750cは、液晶表示器1315に描画するスプライトの数が極めて多くなっても、高速にアクセスすることができる。
なお、転送IC1750mは、図134に示すように、外部WDT1750kからのリセット信号が入力されるようになっており、リセット信号が入力されていない状態では、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送してコピーしたり、VDP1750cがキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出したりすることができる一方、リセット信号が入力されている状態では、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送してコピーすることができなくなったり、VDP1750cがキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出することができなくなったりする。
[11−1−3.画面データの構成]
液晶制御MPU1750aからVDP1750cに出力される画面データは、スプライト設定データ及び描画条件設定データから構成されている。スプライト設定データは、上述したキャラクタを複数張り合わせてスプライトとして画面に表示させるデータ、スプライトの描画色を設定するデータ、スプライトの描画位置を設定するデータ、複数のスプライトをグループ化するデータ等から構成されている。一方、描画条件設定データは、仮想スクリーン(以下、「キャンバス」と記載する。)の大きさを設定するデータ、キャンバスの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、グループ化されたスプライトをレイヤに配置して合成画面を設定するデータ、上述したラインバッファから液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の大きさを設定するデータ、解像度を設定するデータ等から構成されている。
[11−1−4.VDP]
VDP1750cは、上述したように、液晶制御MPU1750aからの画面データが入力されている。VDP1750cは、入力された画面データに基づいて転送IC1750mによってキャラRAM1750zから上述したスプライトデータを抽出し、この抽出したスプライトデータをVDP1750cの仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVでビットマップに展開して描画データを生成する。そしてVDP1750cは、生成した描画データを1ライン分ずつラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した描画データをスケーラIC1750fに出力する。
[11−1−4(a).スプライトレジスタ及びVDPレジスタ]
VDP1750cは、図134に示すように、スプライトレジスタ1750ca、VDPレジスタ1750cbを備えて構成されている。スプライトレジスタ1750caはスプライト設定データが書き込まれるレジスタであり、VDPレジスタ1750cbは描画条件設定データが書き込まれるレジスタである。スプライトレジスタ1750caは、第1バッファ及び第2バッファという2つの等しい記憶容量のバッファとして構成されている(「ダブルバッファ」という)。VDP1750cは、液晶制御MPU1750aからの画面データのうち、スプライト設定データを第1バッファに取り込むと、この取り込んだスプライト設定データを第1バッファから第2バッファに転送する。この転送は、DMA(Direct Memory Accessの略)転送により行う。このDMA転送では、VDP1750cが液晶制御MPU1750aによる制御を介すことなく、第1バッファに書き込まれたスプライト設定データを第2バッファにコピーするため、高速なデータ転送を行うことができる。これにより、第1バッファに新たなスプライト設定データが書き込まれるまで、つまり新たなスプライト設定データで上書きされない限り、第1バッファ及び第2バッファには、同一のスプライト設定データが書き込まれた状態となっている。一方、VDPレジスタ1750cbは、スプライトレジスタ1750caとは異なり、第1バッファのみで構成されている(「シングルバッファ」という)。
VDP1750cは、DMA転送を行っている間、液晶制御MPU1750aからの画面データ、つまりスプライト設定データを受け入ることができないため、その旨を伝えるDMA実行中信号DMAFLAGを液晶制御MPU1750aに出力する。そしてVDP1750cは、そのDMA転送を完了すると、液晶制御MPU1750aからの画面データ、つまりスプライト設定データを受け入ることができるため、その旨を伝えるDMA実行中信号DMAFLAGの出力を停止する。一方、VDPレジスタ1750cbは、上述したように、シングルバッファであるため、VDP1750cがDAM転送を行っている間においても、液晶制御MPU1750aからの画面データ、つまり描画条件設定データを受け入れることができようになっている。
このように、第1バッファに取り込んだスプライト設定データを第2バッファにDMA転送することによって、第2バッファにスプライト設定データが書き込まれるようになっている。なお、スプライトレジスタ1750caをダブルバッファとし、第1バッファに取り込んだスプライト設定データを、DMA転送により短期間で第2バッファに高速転送する構成を取ることで、転送後直後から、第1バッファへの書き込みが可能になる。したがって、従来、ブランキング信号が出力されている限られた時間内で書き込みを行うように構成されているVDPに比べて、本実施形態におけるVDP1750cは、サブ統合基板1740からの表示コマンドを受信する割り込み処理が発生してスプライト設定データを第1バッファに書き込む処理が中断されても、その割り込み処理が終わってからでも十分余裕をもってスプライト設定データを第1バッファに書き込むことができる。本実施形態では、第1バッファから第2バッファへのDMA転送は16ミリ秒(ms)ごとに行われているため、DMA実行中信号DMAFLAGの出力も16msごとに出力されることとなる。第1バッファに取り込むスプライト設定データは常に同一の大きさであるため、第1バッファから第2バッファへのDMA転送にかかる時間も常に同一となり、DMA実行中信号DMAFLAGの出力が16msごとに停止されることとなる。
またVDP1750cは、DMA転送を完了すると、第2バッファに書き込まれたスプライト設定データと、VDPレジスタ1750cbに書き込まれた描画条件設定データと、に基づいて、上述したように、転送IC1750mによってキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出し、この抽出したスプライトデータを、仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVでビットマップに展開して描画データを生成する。そしてVDP1750cは、生成した描画データを1ライン分ずつラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した描画データをスケーラIC1750fに出力する。
VDP1750cは、生成した描画データを、図134に示すように、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に分解し、クロック信号CLK−INと同期して、赤色映像信号R−INN、緑色映像信号G−INN、青色映像信号B−INN、水平同期信号HS−IN、垂直同期信号VS−INとしてスケーラIC1750fに出力する。ここで、水平同期信号HS−IN及び垂直同期信号VS−INは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に分解された画面を再構成するために用いる信号であり、水平同期信号HS−INは水平方向の同期をとるものであり、垂直同期信号VS−INは垂直方向の同期をとるものである。
なお、VDP1750cは、図134に示すように、外部WDT1750kからのリセット信号が入力されるようになっており、リセット信号が入力されていない状態ではENABLE信号DE−INをスケーラIC1750fに出力する一方、リセット信号が入力されていない状態ではENABLE信号DE−INをスケーラIC1750fに出力しない。このENABLE信号DE−INは、赤色映像信号R−INN、緑色映像信号G−INN、青色映像信号B−INNが有効な信号である旨をスケーラIC1750fに伝える信号である。
[11−1−5.スケーラIC]
スケーラIC1750fは、上述したように、VDP1750cからの描画データが、クロック信号CLK−INと同期して、赤色映像信号R−INN、緑色映像信号G−INN、青色映像信号B−INN、水平同期信号HS−IN、垂直同期信号VS−INとして入力されている。スケーラIC1750fは、これらの赤色映像信号R−INN、緑色映像信号G−INN、青色映像信号B−INN、水平同期信号HS−IN、垂直同期信号VS−INに基づいて描画データを再構成し、フレームメモリ1750gに書き込む。
スケーラIC1750fは、図134に示すように、レジスタ群1750faを備えて構成されている。レジスタ群1750faの具体的な構成については後述するが、スケーラIC1750fは、レジスタ群1750faに書き込まれた各種設定値を参照してVDP1750cからの描画データを再構成する。そしてスケーラIC1750fは、液晶制御MPU1750aからのフィールド信号FIELDに基づいて再構成した描画データをフレームメモリ1750gに書き込む。レジスタ群1750faに書き込まれる各種設定値は、液晶制御MPU1750aにより書き込まれるようになっている。具体的には、液晶制御MPU1750aは、まずスケーラIC1750fのレジスタ群1750faへのアクセスを有効に設定するアクセスセット信号SCL−SSをスケーラIC1750fに出力する。そしてレジスタに書き込む旨を伝える1ビットの情報と書き込むレジスタのアドレスの値を示す7ビットの情報との合計8ビット(1バイト)の情報を書き込みシリアルデータSCL−S0としてI/Fクロック信号SCL−SLKと同期してスケーラIC1750fに送信し、続いてレジスタに書き込む設定値を示す8ビット(1バイト)の情報を書き込みシリアルデータSCL−S0としてI/Fクロック信号SCL−SLKと同期してスケーラIC1750fに送信する。このように、液晶制御MPU1750aは、書き込むレジスタのアドレスの値そして書き込む設定値を、順に書き込みシリアルデータSCL−S0として、I/Fクロック信号SCL−SLKと同期してスケーラIC1750fに送信する。
スケーラIC1750fは、I/Fクロック信号SCL−SLKと同期して書き込みシリアルデータSCL−S0を取り込み、この取り込んだ書き込みシリアルデータSCL−S0をパラレルデータに復元して書き込むレジスタに設定値を書き込む。なお、液晶制御MPU1750aは、書き込むレジスタのアドレスの値及び書き込む設定値の送信が完了すると、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faへのアクセスを無効に設定するアクセスセット信号SCL−SSをスケーラIC1750fに出力する。これにより、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faへのアクセスが無効化されるため、レジスタ群1750faに書き込まれた各種設定値を保護することができる。
ここで、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faに書き込まれた各種設定を、液晶制御MPU1750aが読み出して参照する場合には、まずスケーラIC1750fのレジスタ群1750faへのアクセスを有効に設定するアクセスセット信号SCL−SSをスケーラIC1750fに出力する。そしてレジスタに読み出す旨を伝える1ビットの情報と読み出すレジスタのアドレスの値を示す7ビットの情報との合計8ビット(1バイト)の情報を書き込みシリアルデータSCL−S0としてI/Fクロック信号SCL−SLKと同期してスケーラIC1750fに送信する。スケーラIC1750fは、I/Fクロック信号SCL−SLKと同期して書き込みシリアルデータSCL−S0を取り込み、この取り込んだシリアルデータSCL−S0をパラレルデータに復元して読み出すレジスタに書き込まれている設定値を読み出し、読み出しシリアルデータSCL−S1としてI/Fクロック信号SCL−SLKと同期して液晶制御MPU1750aに送信する。液晶制御MPU1750aは、I/Fクロック信号SCL−SLKと同期して読み込みシリアルデータSCL−S1を取り込み、この取り込んだ読み出しシリアルデータSCL−S1をパラレルデータに復元して読み出したレジスタに書き込まれている設定値を参照することができる。このように、液晶制御MPU1750aは、レジスタに設定値を書き込む場合と異なり、読み出すレジスタのアドレスの値を書き込みシリアルデータSCL−S0としてI/Fクロック信号SCL−SLKと同期してスケーラIC1750fに送信する。なお、液晶制御MPU1750aは、読み出すレジスタのアドレスの値を送信し、読み出すアドレスに書き込まれている設定値の受信を完了すると、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faへのアクセスを無効に設定するアクセスセット信号SCL−SSをスケーラIC1750fに出力する。これにより、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faへのアクセスが無効化されるため、レジスタ群1750faに書き込まれた各種設定値を保護することができる。
スケーラIC1750fは、上述したように、レジスタ群1750faに書き込まれた各種設定値に基づいてVDP1750cからの描画データを再構成してフレームメモリ1750gに書き込む。スケーラIC1750fは、その詳細な説明は後述するが、書き込んだ描画データを読み出して、図134に示すように、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に分解し、クロック信号CLK−OUT同期して、赤色映像信号R、緑色映像信号G、青色映像信号B、水平同期信号HS−OUT、垂直同期信号VS−OUTとしてLVDSトランスミッタ1750hに出力する。ここで、水平同期信号HS−OUT及び垂直同期信号VS−OUTは、上述した、水平同期信号HS−IN及び垂直同期信号VS−INと同様に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に分解された画面を再構成するために用いる信号であり、水平同期信号HS−OUTは水平方向の同期をとるものであり、垂直同期信号VS−OUTは垂直方向の同期をとるものである。
なお、スケーラIC1750fは、図134に示すように、VDP1750cからENABLE信号DE−INが入力されている。スケーラIC1750fは、ENABLE信号DE−INが入力されている状態ではENABLE信号DEVOをLVDSトランスミッタ1750hに出力する一方、ENABLE信号DEVOが入力されていない状態ではENABLE信号DEVOをLVDSトランスミッタ1750hに出力しない。このENABLE信号DEVOは、赤色映像信号R、緑色映像信号G、青色映像信号Bが有効な信号である旨をLVDSトランスミッタ1750hに伝える信号である。
[11−1−6.フレームメモリ]
フレームメモリ1750gは、上述したように、スケーラIC1750fで再構成された描画データが書き込まれたり、書き込まれた描画データが読み出されたりする。
フレームメモリ1750gは、図134に示すように、4つの記憶領域に区画されたフィールド(フィールド1750g[0]〜フィールド1750g[3])から構成されている。これらのフィールド1750g[0]〜フィールド1750g[3]は、800×300の画素分を単位に分けられている。
液晶表示器1315は、上述したように、左右方向に800画素、上下方向に600画素を有しており、フレームメモリ1750g[0]に書き込まれた描画データを上画面、フレームメモリ1750g[1]に書き込まれた描画データを下画面とすることによって1画面が構成されるようになっている。また、フレームメモリ1750g[2]に書き込まれた描画データを上画面、フレームメモリ1750g[3]に書き込まれた描画データを下画面とすることによって1画面が構成されるようになっている。このように、フレームメモリ1750gは、2画面分の描画データが書き込まれるようになっている。
液晶制御MPU1750aは、VDP1750cから出力される描画データが上画面の描画データであるか、又は下画面の描画データであるか、を示すフィールド信号FIELDをスケーラIC1750fに出力する。スケーラIC1750fは、フィールド信号FIELDが入力されると、この入力されたフィールド信号FIELDに基づいて、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]〜フィールド1750g[3]に書き込むフィールドを特定するようになっている。このように、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]〜フィールド1750g[3]にVDP1750cからの上画面の描画データ及び下画面の描画データを誤りなく書き込むことができるようになっている。なお、スケーラIC1750fは、上画面の描画データ及び下画面の描画データが書き込まれると、上画面の描画データそして下画面の描画データを順次読み出し、上述したように、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に分解し、クロック信号CLK−OUT同期して、赤色映像信号R、緑色映像信号G、青色映像信号B、水平同期信号HS−OUT、垂直同期信号VS−OUTとしてLVDSトランスミッタ1750hに出力する。
[11−1−7.LVDSトランスミッタ]
LVDSトランスミッタ1750hは、上述したように、スケーラIC1750fからの上画面の描画データ及び下画面の描画データが、クロック信号CLK−OUTと同期して、赤色映像信号R、緑色映像信号G、青色映像信号B、水平同期信号HS−OUT、垂直同期信号VS−OUTとして入力されている。またLVDSトランスミッタ1750hは、スケーラIC1750fからENABLE信号DEVOが入力されている。LVDSトランスミッタ1750hは、高速シリアル伝送を実現するために、小振幅となっており、外来ノイズによる影響を受けにくくするために差動方式で伝送している(「小振差動信号方式による伝送方式」という)。クロック信号と同期して、赤色映像信号R、緑色映像信号G、青色映像信号B、水平同期信号HS−OUT、垂直同期信号VS−OUT、ENABLE信号DEVOを、液晶表示器1315に送信する。
LVDSトランスミッタ1750hからの赤色映像信号R、緑色映像信号G、青色映像信号B、水平同期信号HS−OUT、垂直同期信号VS−OUT、ENABLE信号DEVOは、図134に示すように、液晶表示器1315に備えたLVDSレシーバ1315aで受信されるようになっている。LVDSレシーバ1315aは、受信した赤色映像信号R、緑色映像信号G、青色映像信号B、水平同期信号HS−OUT、垂直同期信号VS−OUT、ENABLE信号DEVOのシリアルデータをパラレルデータに復元する。LVDSレシーバ1315aは、復元された赤色映像信号R、緑色映像信号G、青色映像信号B、水平同期信号HS−OUT、垂直同期信号VS−OUTに基づいて描画データを再構成し、液晶表示器1315に備えた液晶ドライブ回路1315bによって液晶表示器1315に駆動信号が出力される。これにより、上画面の描画データ及び下画面の描画データによる1画面分の描画データが液晶表示器1315に表示される。なお、ENABLE信号DEVOは、赤色映像信号R、緑色映像信号G、青色映像信号Bが有効な信号である旨を、LVDSトランスミッタ1750h、そして液晶表示器1315のLVDSレシーバ1315aを介して、液晶表示器1315に備えた液晶ドライブ回路1315bに伝える信号である。
[11−2.スケーラICの設定]
次に、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faについて説明する。レジスタ群1750faは、図135に示すように、フィールド1750g[0]〜フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0〜OSFILD3、フィールド1750g[0]〜フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0〜ISFILD3、メモリ読み出し改行幅レジスタOMWI、メモリ書き込み改行幅レジスタIMWI、メモリアクセス制御レジスタMDACT、メモリアクセススタートアドレスレジスタMDAST、メモリアクセスエンドアドレスレジスタMDAEND等を備えて構成されている。
[11−2−1.読み出し開始アドレスレジスタ]
フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0〜フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3は、図134に示した、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]〜フィールド1750g[3]の読み出し開始を指定する先頭アドレスがそれぞれ設定されるレジスタである。フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0〜フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3は、図135に示すように、24ビット(3バイト)の記憶容量をそれぞれ有しており、1バイトごとにアドレスが対応付けられている。これらの1バイトごとに所定の設定値が設定されている。
[11−2−1(a).フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0]
フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0は、図135に示すように、1バイト目のOSFILD0[7:0]にアドレス0x08(ここで、「0x」は値08が16進数で表記されていることを意味する。以下、同じ。)、2バイト目のOSFILD0[15:8]にアドレス0x09、3バイト目のOSFILD0[23:16]にアドレス0x0Aがそれぞれ対応付けられている。これらのアドレス0x08〜0x0Aを指定してフィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0(OSFILD0[23:16],OSFILD0[15:8],OSFILD0[7:0])にアクセスすることができるようになっており、設定値として、OSFILD0[23:16]に0x00、OSFILD0[15:8]に0x00、OSFILD0[7:0]に0x00がそれぞれ設定されている。スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]の読み出し開始を指定する先頭アドレスを、それらの設定値により取得し、上述したように、フィールド1750g[0]に書き込まれた上画面の描画データを読み出す。なお、フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0の設定値は、その詳細な説明は後述するが、図134に示した、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
[11−2−1(b).フィールド1750g[1]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD1]
フィールド1750g[1]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD1は、図135に示すように、1バイト目のOSFILD1[7:0]にアドレス0x0B、2バイト目のOSFILD1[15:8]にアドレス0x0C、3バイト目のOSFILD1[23:16]にアドレス0x0Dがそれぞれ対応付けられている。これらのアドレス0x0B〜0x0Dを指定してフィールド1750g[1]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD1(OSFILD1[23:16],OSFILD1[15:8],OSFILD1[7:0])にアクセスすることができるようになっており、設定値として、OSFILD1[23:16]に0x00、OSFILD1[15:8]に0x00、OSFILD1[7:0]に0x00がそれぞれ設定されている。スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[1]の読み出し開始を指定する先頭アドレスを、それらの設定値により取得し、上述したように、フィールド1750g[1]に書き込まれた下画面の描画データを読み出す。なお、フィールド1750g[1]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD1の設定値は、その詳細な説明は後述するが、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
このように、スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]及びフィールド1750g[1]の読み出し開始を指定する先頭アドレスを、フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0及びフィールド1750g[1]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD1にそれぞれ設定された設定値により取得することで、フィールド1750g[0]に書き込まれた上画面の描画データを読み出し、続けてフィールド1750g[1]に書き込まれた下画面の描画データを読み出すことができ、1画面分の描画データをフレームメモリ1750gから読み出すことができる。なお、フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0及びフィールド1750g[1]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD1にそれぞれ設定された設定値が同値となっているが、これは、1画面分の描画データをフレームメモリ1750gから読み出す先頭アドレスが同じであるためである(図136(a)参照)。
[11−2−1(c).フィールド1750g[2]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD2]
フィールド1750g[2]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD2は、図135に示すように、1バイト目のOSFILD2[7:0]にアドレス0x0E、2バイト目のOSFILD2[15:8]にアドレス0x0F、3バイト目のOSFILD2[23:16]にアドレス0x10がそれぞれ対応付けられている。これらのアドレス0x0E〜0x10を指定してフィールド1750g[2]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD2(OSFILD2[23:16],OSFILD2[15:8],OSFILD2[7:0])にアクセスすることができるようになっており、設定値として、OSFILD2[23:16]に0x20、OSFILD2[15:8]に0x00、OSFILD2[7:0]に0x00がそれぞれ設定されている。スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[2]の読み出し開始を指定する先頭アドレスを、それらの設定値により取得し、上述したように、フィールド1750g[2]に書き込まれた上画面の描画データを読み出す。なお、フィールド1750g[2]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD2の設定値は、その詳細な説明は後述するが、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
[11−2−1(d).フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3]
フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3は、図135に示すように、1バイト目のOSFILD3[7:0]にアドレス0x11、2バイト目のOSFILD3[15:8]にアドレス0x12、3バイト目のOSFILD3[23:16]にアドレス0x13がそれぞれ対応付けられている。これらのアドレス0x11〜0x13を指定してフィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3(OSFILD3[23:16],OSFILD3[15:8],OSFILD3[7:0])にアクセスすることができるようになっており、設定値として、OSFILD3[23:16]に0x20、OSFILD3[15:8]に0x00、OSFILD3[7:0]に0x00がそれぞれ設定されている。スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[3]の読み出し開始を指定する先頭アドレスを、それらの設定値により取得し、上述したように、フィールド1750g[3]に書き込まれた下画面の描画データを読み出す。なお、フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3の設定値は、その詳細な説明は後述するが、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
このように、スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[1]及びフィールド1750g[2]の読み出し開始を指定する先頭アドレスを、フィールド1750g[1]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD1及びフィールド1750g[2]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD2にそれぞれ設定された設定値により取得することで、フィールド1750g[1]に書き込まれた上画面の描画データを読み出し、続けてフィールド1750g[2]に書き込まれた下画面の描画データを読み出すことができ、1画面分の描画データをフレームメモリ1750gから読み出すことができる。なお、フィールド1750g[1]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD1及びフィールド1750g[2]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD2にそれぞれ設定された設定値が同値となっているが、これは、1画面分の描画データをフレームメモリ1750gから読み出す先頭アドレスが同じであるためである(図136(a)参照)。
[11−2−2.書き込み開始アドレスレジスタ]
フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0〜フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3は、図134に示した、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]〜フィールド1750g[3]の書き込み開始を指定する先頭アドレスがそれぞれ設定されるレジスタである。フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0〜フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3は、図135に示すように、24ビット(3バイト)の記憶容量をそれぞれ有しており、1バイトごとにアドレスが対応付けられている。これらの1バイトごとに所定の設定値が設定されている。
[11−2−2(a).フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0]
フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0は、図135に示すように、1バイト目のISFILD0[7:0]にアドレス0x14、2バイト目のISFILD0[15:8]にアドレス0x15、3バイト目のISFILD0[23:16]にアドレス0x16がそれぞれ対応付けられている。これらのアドレス0x014〜0x16を指定してフィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0(ISFILD0[23:16],ISFILD0[15:8],ISFILD0[7:0])にアクセスすることができるようになっており、設定値として、ISFILD0[23:16]に0x00、OSFILD0[15:8]に0x00、OSFILD0[7:0]に0x00がそれぞれ設定されている。スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]の書き込み開始を指定する先頭アドレスを、それらの設定値により取得し、上述したように、フィールド1750g[0]に上画面の描画データを書き込む。なお、フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0の設定値は、その詳細な説明は後述するが、図134に示した、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
[11−2−2(b).フィールド1750g[1]書き込み開始アドレスレジスタISFILD1]
フィールド1750g[1]書き込み開始アドレスレジスタISFILD1は、図135に示すように、1バイト目のISFILD1[7:0]にアドレス0x17、2バイト目のISFILD1[15:8]にアドレス0x18、3バイト目のISFILD1[23:16]にアドレス0x19がそれぞれ対応付けられている。これらのアドレス0x017〜0x19を指定してフィールド1750g[1]書き込み開始アドレスレジスタISFILD1(ISFILD1[23:16],ISFILD1[15:8],ISFILD1[7:0])にアクセスすることができるようになっており、設定値として、ISFILD1[23:16]に0x03、OSFILD1[15:8]に0xCF、OSFILD1[7:0]に0x00がそれぞれ設定されている。スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[1]の書き込み開始を指定する先頭アドレスを、それらの設定値により取得し、上述したように、フィールド1750g[1]に下画面の描画データを書き込む。なお、フィールド1750g[1]書き込み開始アドレスレジスタISFILD1の設定値は、その詳細な説明は後述するが、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
このように、スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]及びフィールド1750g[1]の書き込み開始を指定する先頭アドレスを、フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0及びフィールド1750g[1]書き込み開始アドレスレジスタISFILD1にそれぞれ設定された設定値により取得することで、フィールド1750g[0]に上画面の描画データを書き込み、フィールド1750g[1]に下画面の描画データを書き込むことができ、1画面分の描画データをフレームメモリ1750gに書き込むことができる。なお、フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0とフィールド1750g[1]書き込み開始アドレスレジスタISFILD2とにそれぞれ設定された設定値が異なった値となっているが、これは、上述したように、VDP1760cからの上画面の描画データ及び下画面の描画データを、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]及びフィールド1750g[1]にそれぞれ分けて書き込むことによって、1画面分の描画データをフレームメモリ1750gで生成するためである(図136(b)参照)。
[11−2−2(c).フィールド1750g[2]書き込み開始アドレスレジスタOSFILD2]
フィールド1750g[2]書き込み開始アドレスレジスタISFILD2は、図135に示すように、1バイト目のISFILD2[7:0]にアドレス0x1A、2バイト目のISFILD2[15:8]にアドレス0x1B、3バイト目のISFILD2[23:16]にアドレス0x1Cがそれぞれ対応付けられている。これらのアドレス0x01A〜0x1Cを指定してフィールド1750g[2]書き込み開始アドレスレジスタISFILD2(ISFILD2[23:16],ISFILD2[15:8],ISFILD2[7:0])にアクセスすることができるようになっており、設定値として、ISFILD2[23:16]に0x20、OSFILD2[15:8]に0x00、OSFILD2[7:0]に0x00がそれぞれ設定されている。スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[2]の書き込み開始を指定する先頭アドレスを、それらの設定値により取得し、上述したように、フィールド1750g[2]に上画面の描画データを書き込む。なお、フィールド1750g[2]書き込み開始アドレスレジスタISFILD2の設定値は、その詳細な説明は後述するが、図134に示した、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
[11−2−2(d).フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタOSFILD3]
フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3は、図135に示すように、1バイト目のISFILD3[7:0]にアドレス0x1D、2バイト目のISFILD3[15:8]にアドレス0x1E、3バイト目のISFILD3[23:16]にアドレス0x1Fがそれぞれ対応付けられている。これらのアドレス0x01D〜0x1Fを指定してフィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3(ISFILD3[23:16],ISFILD3[15:8],ISFILD3[7:0])にアクセスすることができるようになっており、設定値として、ISFILD3[23:16]に0x23、OSFILD3[15:8]に0xCF、OSFILD3[7:0]に0x00がそれぞれ設定されている。スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[3]の書き込み開始を指定する先頭アドレスを、それらの設定値により取得し、上述したように、フィールド1750g[3]に下画面の描画データを書き込む。なお、フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3の設定値は、その詳細な説明は後述するが、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
このように、スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[2]及びフィールド1750g[3]の書き込み開始を指定する先頭アドレスを、フィールド1750g[2]書き込み開始アドレスレジスタISFILD2及びフィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3にそれぞれ設定された設定値により取得することで、フィールド1750g[2]に上画面の描画データを書き込み、フィールド1750g[3]に下画面の描画データを書き込むことができ、1画面分の描画データをフレームメモリ1750gに書き込むことができる。なお、フィールド1750g[2]書き込み開始アドレスレジスタISFILD2とフィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3とにそれぞれ設定された設定値が異なった値となっているが、これは、上述したように、VDP1760cからの上画面の描画データ及び下画面の描画データを、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[2]及びフィールド1750g[3]にそれぞれ分けて書き込むことによって、1画面分の描画データをフレームメモリ1750gで生成するためである(図136(b)参照)。
[11−2−3.メモリ読み出し改行幅レジスタ]
メモリ読み出し改行幅レジスタOMWIは、上述したフレームメモリ1750gから描画データを読み出す際に、図134に示した液晶表示器1315の左右方向の総画素、つまり1ライン分の画素が設定されるレジスタである。メモリ読み出し改行幅レジスタOMWIは、図135に示すように、8ビット(1バイト)の記憶容量を有しており、アドレス0x20が対応付けられている。このアドレス0x20を指定してメモリ読み出し改行幅レジスタOMWI[7]にアクセスすることができるようになっており、設定値として、メモリ読み出し改行幅レジスタOMWI[7]に0xDが設定されている。ここで、本実施形態では、上述したように、液晶表示器1315はその左右方向、つまり1ライン分として800画素を有している。メモリ読み出し改行幅レジスタOMWIの設定値として、少なくとも、上述したキャラクター(64画素の矩形領域を描くためのデータ)を左右方向に並べて表示する総画素が液晶表示器1315の800画素より大きくなるように設定される。具体的には、液晶表示器1315の800画素をキャラクターの64画素で割った値12.5より大きい整数値となる値13(=0xD)が設定されている。なお、メモリ読み出し改行幅レジスタOMWI[7]の設定値は、その詳細な説明は後述するが、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
[11−2−4.メモリ書き込み改行幅レジスタ]
メモリ書き込み改行幅レジスタIMWIは、VDP1750cからの描画データをフレームメモリ1750gに書き込む際に、液晶表示器1315の左右方向の総画素、つまり1ライン分の画素が設定されるレジスタである。メモリ書き込み改行幅レジスタIMWIは、図135に示すように、8ビット(1バイト)の記憶容量を有しており、アドレス0x21が対応付けられている。このアドレス0x21を指定してメモリ書き込み改行幅レジスタIMWI[7]にアクセスすることができるようになっており、設定値として、メモリ読み出し改行幅レジスタOMWI[7]に設定された設定値と同値である0xDが設定されている。ここで、本実施形態では、上述したように、液晶表示器1315はその左右方向、つまり1ライン分として800画素を有している。メモリ書き込み改行幅レジスタIMWIの設定値として、少なくとも、上述したキャラクター(64画素の矩形領域を描くためのデータ)を左右方向に並べて表示する総画素が液晶表示器1315の800画素より大きくなるように設定される。具体的には、液晶表示器1315の800画素をキャラクターの64画素で割った値12.5より大きい整数値となる値13(=0xD)が設定されている。なお、メモリ書き込み改行幅レジスタIMWI[7]の設定値は、その詳細な説明は後述するが、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
[11−2−5.メモリアクセス制御レジスタ]
メモリアクセス制御レジスタMDACTは、フレームメモリ1750gへのアクセスを設定するレジスタである。メモリアクセス制御レジスタMDACTは、図135に示すように、8ビット(1バイト)の記憶容量を有しており、アドレス0x26が対応付けられている。このアドレス0x26を指定してメモリアクセス制御レジスタMDACTにアクセスすることができるようになっており、設定値として、メモリアクセス制御レジスタMDACT[7:4]に0x0、MDACT[3]に0x0、MDACT[2:0]に0x0がそれぞれ設定されている。メモリアクセス制御レジスタMDACT[7:4]は、リザーブ値であり、0x0に固定されている。メモリアクセス制御レジスタMDACT[3]は、フレームメモリ1750gへの接続テストを設定するビットであり、値1(=0x1)がセットされると接続テストが行え、通常動作では値0(=0x0)がセットされる。本実施形態ではメモリアクセス制御レジスタMDACT[3]に0x0がセットされており、通常動作となっている。メモリアクセス制御レジスタMDACT[2:0]は、ダイレクトメモリアクセスコマンドを設定することができ、その詳細な説明は省略するが、本実施形態では、液晶制御MPU1750aからフレームメモリ1750gへのアクセスを有効化する値0(=0x0)がセットされている。このように、メモリアクセス制御レジスタMDACT[7:0]に設定される設定値は、0x0となり、この0x0は、電源投入時やリセット時にスケーラIC1750fが初期値として設定するデフォルト値となっているが、本実施形態では、その詳細な説明は後述するが、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されるようになっている。
[11−2−6.メモリアクセススタートアドレスレジスタ]
メモリアクセススタートアドレスレジスタMDASTは、液晶制御MPU1750aからフレームメモリ1750gをアクセスする際に、開始アドレスを設定するレジスタである。メモリアクセススタートアドレスレジスタMDASTは、図135に示すように、1バイト目のMDAST[7:0]にアドレス0x27、2バイト目のMDAST[15:8]にアドレス0x28、3バイト目のMDAST[23:16]にアドレス0x28がそれぞれ対応付けられている。これらのアドレス0x027〜0x29を指定してメモリアクセススタートアドレスレジスタMDAST(MDAST[23:16],MDAST[15:8],MDAST[7:0])にアクセスすることができるようになっており、設定値として、MDAST[23:16]に0x0、MDAST[15:8]に0x0、MDAST[7:0]に0x0がそれぞれ設定されている。このようにメモリアクセススタートアドレスレジスタMDAST[23:16],MDAST[15:8],MDAST[7:0],に設定される設定値は、すべて0x0となり、この0x0は、電源投入時やリセット時にスケーラIC1750fが初期値として設定するデフォルト値となっている。このため、本実施形態では、電源投入後やリセット後に、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されないようになっている。
[11−2−7.メモリアクセスエンドアドレスレジスタ]
メモリアクセスエンドアドレスレジスタMDAENDは、液晶制御MPU1750aからフレームメモリ1750gをアクセスする際に、終了アドレスを設定するレジスタである。メモリアクセスエンドアドレスレジスタMDAENDは、図135に示すように、1バイト目のMDAEND[7:0]にアドレス0x2A、2バイト目のMDAEND[15:8]にアドレス0x2B、3バイト目のMDAEND[23:16]にアドレス0x2Cがそれぞれ対応付けられている。これらのアドレス0x02A〜0x2Cを指定してメモリアクセスエンドアドレスレジスタMDAEND(MDAEND[23:16],MDAEND[15:8],MDAEND[7:0])にアクセスすることができるようになっており、設定値として、MDAEND[23:16]に0x0、MDAEND[15:8]に0x0、MDAEND[7:0]に0x0がそれぞれ設定されている。このようにメモリアクセスエンドアドレスレジスタMDAEND[23:16],MDAEND[15:8],MDAEND[7:0]に設定される設定値は、すべて0x0となり、この0x0は、電源投入時やリセット時にスケーラIC1750fが初期値として設定するデフォルト値となっている。このため、本実施形態では、電源投入後やリセット後に、液晶制御MPU1750aからのI/Fクロック信号SCL−SCLと同期して送信された書き込みシリアルデータSCL−S0により設定されないようになっている。
[11−3.液晶表示器に表示させる画面の生成]
次に、図134に示した液晶表示器1315に表示させる画面の生成について説明する。ここでは、一例として、上述した、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]及びフィールド1750g[1]にそれぞれ書き込まれた上画面の描画データ及び下画面の描画データを、フレームメモリ1750gに1画面分の描画データとして生成し、液晶表示器1315に表示させる概要について説明する。
VDP1750cは、液晶制御MPU1750aからの画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいて転送IC1750mによってキャラRAM1750zから上述したスプライトデータを抽出し、この抽出したスプライトデータをVDP1750cの仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVでビットマップに展開して描画データを生成する。そしてVDP1750cは、生成した描画データをそのまま上画面の描画データとして1ライン分ずつラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した描画データをスケーラIC1750fに出力する。ここで、キャンバスCVは、その左上を原点として設定されており、左から右に向かう方向を「x方向」、上から下に向かう方向を「y方向」と設定されている。
スケーラIC1750fは、レジスタ群1750faに書き込まれた各種設定値を参照してVDP1750cからの上画面の描画データを再構成し、この再構成した上画面の描画データを、液晶制御MPU1750aからのフィールド信号FIELDに基づいてフレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]に書き込む。これにより、図137(a)に示すように、上画面(800×300の画素(ドット))の描画データがフィールド1750g[0]に書き込まれる。
続いてVDP1750cは、抽出したスプライトデータをマイナスy方向に値300だけずらし、つまりy方向に値300だけ減算し、キャンバスCVでビットマップに展開して描画データを生成する。そしてVDP1750cは、生成した描画データをそのまま下画面の描画データとして1ライン分ずつラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した描画データをスケーラIC1750fに出力する。
スケーラIC1750fは、レジスタ群1750faに書き込まれた各種設定値を参照してVDP1750cからの下画面の描画データを再構成し、液晶制御MPU1750aからのフィールド信号FIELDに基づいて再構成した下画面の描画データをフレームメモリ1750gのフィールド1750g[1]に書き込む。これにより、図137(b)に示すように、下画面(800×300の画素(ドット))の描画データがフィールド1750g[1]に書き込まれる。
そしてスケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]及びフィールド1750g[1]にそれぞれ書き込まれた上画面の描画データ及び下画面の描画データを、フレームメモリ1750gに1画面分(800×600の画素(ドット))の描画データとして生成し、上画面の描画データそして下画面の描画データを順次読み出すことによって、図137(c)に示すように、1画面分の描画データを液晶表示器1315の表示領域1320に表示させることができる。
このように、VDP1750cは、VDP1750cの仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVでビットマップに展開された共通の描画データを基にして、上画面の描画データ及び下画面の描画データを生成することができる。VDP1750cは、その生成した上画面の描画データ及び下画面の描画データを、液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分(800の画素(ドット))の描画データとして1ライン分ずつラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した描画データをスケーラIC1750fに出力することによって、生成した上画面の描画データ及び下画面の描画データを、つまり1画面分の描画データをフレームメモリ1750gに高速に書き込むことができる。したがって、VDP1750cが1画面分(800×600の画素(ドット))の描画データを一度にフレームメモリ1750gに出力することができない場合でも、解像度を低下させることなく1画面分の描画データをフレームメモリ1750gに書き込むことができる。
またVDP1750cは、キャンバスCVの原点からx方向に800ドット、y方向に300ドットの矩形領域である切り出し領域に配置された描画データを切り出してスケーラIC1750fに出力している。本実施形態では、上画面の描画データを生成する場合を基準として設定している。このため、上画面の描画データを生成する場合には、キャンバスCVでビットマップに展開された描画データは切り出し領域にすでに配置された状態となっている。一方、下画面の描画データを生成する場合には、キャンバスCVでビットマップに展開された描画データのy座標値から値300だけ減算して配置することによって下画面の描画データを切り出し領域に移動させた状態とすることができる。
[12.主制御基板の各種制御処理]
次に、パチンコ遊技機1の遊技の進行に応じて主制御基板1700が行う各種制御処理について説明する。まず、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、続いて主制御側電源投入時処理、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。図138は主制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図139は図138の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図140は主制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
[12−1.各種乱数]
遊技制御に用いられる各種乱数として、大当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いられる大当り判定用乱数と、この大当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる大当り判定用初期値決定用乱数と、大当り遊技状態を発生させないときにリーチを発生させるか否かの決定に用いられるリーチ判定用乱数と、図115に示した、上特別図柄表示器1480及び下特別図柄表示器1490に表示する変動表示パターンの決定に用いられる変動表示パターン用乱数と、大当り遊技状態を発生させるときに上特別図柄表示器1480及び下特別図柄表示器1490に表示する特別図柄の組み合わせを決定するのに用いられる大当り図柄用乱数と、この大当り図柄用乱数の初期値の決定に用いられる大当り図柄用初期値決定用乱数等が用意されている。またこれらの乱数に加えて、図115に示した下始動入賞口1340の開閉翼1380を開閉動作させるか否かの決定に用いられる普通図柄当り判定用乱数と、この普通図柄当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる普通図柄当り判定用初期値決定用乱数と、図115に示した普通図柄表示器1520に表示する変動表示パターンの決定に用いられる普通図柄変動表示パターン用乱数等が用意されている。
[12−2.主制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、主制御基板1700の主制御MPU1700aは、図138及び図139に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。この主制御側電源投入時処理が開始されると、主制御MPU1700aは、スタックポインタの設定を行う(ステップS10)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS10では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS10に続いて、図126に示したDタイプフリップフロップIC23のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を開始する(ステップS12)。この停電クリア信号は、上述したように、図125に示した主制御I/Oポート1700bを介して、その論理がLOWとなってクリア端子CLRに入力される。これにより、主制御MPU1700aは、図126に示したDタイプフリップフロップIC23のラッチ状態を解除することができ、後述するラッチ状態をセットするまでの間、DタイプフリップフロップIC23のプリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する状態とすることができ、その1Q端子からの信号を監視することができる。
ステップS12に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS14)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS16)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧(図126に示したリファレンス電圧Vref)より小さくなると、図126に示した停電監視回路1700dから停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると停電監視回路1700dから停電予告信号が入力される。そこで、ステップS14のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS16の判定でその停電予告信号が入力されているか否かの判定を行っている。この判定では、停電予告信号として、上述したDタイプフリップフロップIC23の出力端子である1Q端子から出力されている信号に基づいて行う。
ステップS16に続いて、DタイプフリップフロップIC23のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を停止する(ステップS18)。この停電クリア信号の出力を停止することで、主制御I/Oポート1700bを介して、その論理がHIとなってクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、主制御MPU1700aは、DタイプフリップフロップIC23をラッチ状態にセットすることができる。DタイプフリップフロップIC23は、そのプリセット端子であるPR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチすると、出力端子である1Q端子から停電予告信号を出力する。
ステップS18に続いて、図119に示したRAMクリアスイッチ268aが操作されているか否かを判定する(ステップS20)。この判定は、主制御基板1700のRAMクリアスイッチ268aが操作され、その操作信号(検出信号)が主制御MPU1700aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ268aが操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ268aが操作されていないと判定する。
ステップS20でRAMクリアスイッチ268aが操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットし(ステップS22)、一方、ステップS20でRAMクリアスイッチ268aが操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS24)。このRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU1700aに内蔵されたRAM(以下、「主内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS22及びステップS24でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU1700aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS22又はステップS24に続いて、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS26)。このウェイトタイマ処理2では、図119に示した、液晶制御基板1750による液晶表示器1315の描画制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。例えば、図119に示した液晶制御ROM1750bから圧縮された各種の制御プログラムを読み出して、同図に示した液晶制御MPU1750aに内蔵されたRAMに展開して記憶する。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。
ステップS26に続いて、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS28)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS28でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS30)。このチェックサムは、主内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS30に続いて、算出したチェックサムの値(サム値)が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致しているか否かを判定する(ステップS32)。一致しているときには、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS34)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値等のバックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS34でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として主内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS36)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGに値0をセットするほか、主制御MPU1700aに内蔵されたROM(以下、「主内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主内蔵RAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態、高周波が照射されたことを検出してリセットし、その後に復帰した状態も含める。
ステップS36に続いて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS38)。この電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。
一方、ステップS28でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS32でチェックサムの値(サム値)が一致していないときには、又はステップS34でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS40)。具体的には、値0を主内蔵RAMに書き込むことよって行う(なお、初期値として主内蔵ROMから所定値を読み出して、セットしてもよい)。これにより、例えば、上述した、大当り判定用乱数や初期値更新型のカウンタ等の値に初期値0をセットする。
ステップS40に続いて、初期設定として主内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS42)。この設定は、主内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS42に続いて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS44)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を、図119に示したサブ統合基板1740に報知するためのRAMクリア報知コマンドと、サブ統合基板1740の各種検査を行うためのテストコマンドと、を作成し、送信情報として主内蔵RAMの送信情報記憶領域に記憶する。なお、サブ統合基板1740がRAMクリア報知コマンドを受信すると、このRAMクリア報知コマンドを液晶制御基板1750に送信し、一方、サブ統合基板1740がテストコマンドを受信すると、図119に示した、音源IC1740c、液晶制御基板1750及びランプ駆動基板1760の各種検査を行うためのテストコマンドを液晶制御基板1750及びランプ駆動基板1760等に送信する。
ステップS38又はステップS44に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS46)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。
ステップS46に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS48)。この設定によりステップS46で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS48に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS50)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS50に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS52)。この判定では、図126に示した停電監視回路1700dからの停電予告信号に基づいて行う。図126に示したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりすると、電圧が停電予告電圧(図126に示したリファレンス電圧Vref)より小さくなり、停電監視回路1700dから停電予告として停電予告信号が入力される。
ステップS52で停電予告信号の入力がないときには非当落乱数更新処理を行う(ステップS54)。この非当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用初期値決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、上述した初期値更新型のカウンタであり、大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ増える(カウントアップする)。このカウンタは、非当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数が設定(更新)されると、この大当り判定用初期値決定用乱数から上限値までカウントアップし、続けて下限値から大当り判定用初期値決定用乱数までカウントアップする。そして再び非当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数が更新される。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS54に続いて、再びステップS50に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS52で停電予告信号の入力があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS54で非当落乱数更新処理を行い、ステップS50〜ステップS54を繰り返し行う。なお、このステップS50〜ステップS54の処理を「主制御側メイン処理」という。
一方、ステップS52で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS56)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。
ステップS56に続いて、停電クリア信号を、主制御I/Oポート1700bを介して図126に示したDタイプフリップフロップIC23のクリア端子であるCLR端子に出力したり、図119に示した開閉翼ソレノイド1390、開閉板ソレノイド1420、上特別図柄表示器1480、下特別図柄表示器1490、上特別図柄記憶ランプ1500、下特別図柄記憶ランプ1510、普通図柄表示器1520、普通図柄記憶ランプ1530、遊技状態表示ランプ1540、小当り表示ランプ1550、ラウンド表示ランプ1560等に出力している駆動信号を停止する(ステップS58)。停電クリア信号が出力されることによりDタイプフリップフロップIC23はラッチ状態を解除することができる。
ステップS58に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS60)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、主内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS60に続いて、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする。(ステップS62)、これによりバックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS62に続いて、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS64)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS64に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、主制御MPU1700aにリセットがかかり、その後主制御MPU1700aは、この主制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS56〜ステップS64の処理及び無限ループを「主制御側電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(主制御MPU1700a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS32では主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS34では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報を2重にチェックすることによりバックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[12−3.主制御側タイマ割り込み処理]
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。この主制御側タイマ割り込み処理は、図138及び図139に示した主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板1700の主制御MPU1700aは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS70)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)のステップS50においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS70に続いて、割り込みフラグのクリアを行う(ステップS72)。この割り込みフラグがクリアされることにより割り込み周期が初期化され、次の割り込み周期がその初期値から計時される。
ステップS72に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御I/Oポート1700bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。具体的には、図115に示した、左普通入賞口1440及び装飾ユニット側普通入賞口158,159に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ1460からの検出信号、右普通入賞口1450に入球した遊技球を検出する右入賞口スイッチ1470からの検出信号、大入賞口1400に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ1430からの検出信号、上始動入賞口1330に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ1360からの検出信号、下始動入賞口1340に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ1370からの検出信号、ゲート1290を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ1300からの検出信号、磁石を用いた不正行為を検出する磁気スイッチ1395からの検出信号や後述する賞球制御処理で送信した賞球コマンドを図119に示した払出制御基板715が正常に受信した旨を伝える払出制御基板715からのACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS74に続いて、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って図115に示した、上特別図柄表示器1480及び下特別図柄表示器1490が点灯する時間、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って図115に示した普通図柄表示器1520が点灯する時間の他に、主制御基板1700(主制御MPU1700a)が送信した各種コマンドを払出制御基板715が正常に受信した旨を伝えるACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の時間管理を行う。具体的には、変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間を正確に計っている。
本実施形態では、ACK信号入力判定時間が100msに設定されている。このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間及びACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数及び大当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、図139に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS54の非当落乱数更新処理で更新される、大当り判定用初期値決定用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。これらの大当り判定用初期値決定用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。一方、大当り判定用乱数及び大当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとにカウントアップする。このカウンタは、大当り判定用初期値決定用乱数から上限値までをカウントアップし、続けて下限値から大当り判定用初期値決定用乱数までをカウントアップする。大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲をカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される(この大当り判定用初期値決定用乱数は上述した非当落乱数更新処理でも更新される)。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS78に続いて、賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出す賞球コマンドを作成したり、主制御基板1700と払出制御基板715との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成したりする。そして作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを払出制御基板715に送信する。例えば、図115に示した大入賞口1400に遊技球が1球、入球すると、賞球として15球を払い出す賞球コマンドを作成して払出制御基板715に送信したり、この賞球コマンドを払出制御基板715が正常に受信完了した旨を伝える払主ACK信号が所定時間内に入力されないときには主制御基板1700と払出制御基板715との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成して払出制御基板715に送信したりする。なお、これらの詳細な説明は後述する。
ステップS80に続いて、枠コマンド受信処理を行う(ステップS82)。払出制御基板715は、その詳細な説明は後述するが、例えば上述した賞球ユニット450が球がみを起こして遊技球を払い出せない状態等の状態コマンドを送信する。ステップS82の枠コマンド受信処理では、この状態コマンドを正常に受信すると、その旨を払出制御基板715に伝える情報を、出力情報として主内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また、その詳細な説明は後述するが、正常に受信した状態コマンドを整形して送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS82に続いて、不正行為検出処理を行う(ステップS84)。この不正行為検出処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出して、磁気スイッチ1395からの検出信号がある場合、カウントスイッチ1430からの検出信号が大当り遊技状態でないときにある場合(大入賞口1400に遊技球が入球するとき)等には、異常状態として賞球異常報知コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて始動入賞処理を行う。この始動入賞処理では、入力情報から図115に示した、上始動口スイッチ1360又は下始動口スイッチ1370からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した、大当り判定用乱及び大当り図柄用乱数等を更新する各種カウンタの値を抽出して始動情報として主内蔵RAMの始動情報記憶領域に記憶する。
この始動情報記憶領域には、始動情報記憶ブロック0〜7(8つの始動情報記憶ブロック)が設けられており、始動情報記憶ブロック0、始動情報記憶ブロック1、始動情報記憶ブロック2、・・・、そして始動情報記憶ブロック7の順に始動情報が記憶されるようになっている。例えば始動情報が始動情報記憶ブロック0〜6に記憶されている場合、上始動口スイッチ1360からの検出信号が入力端子に入力されていたときには始動情報を始動情報記憶ブロック7に記憶する。このとき、上始動口スイッチ1360により検出されたことを示す識別情報も記憶するようになっている。これにより、始動情報記憶ブロック0〜7には、遊技球が上始動口スイッチ1360又は下始動口スイッチ1370のうちどちらに検出されたものであるか、時系列で記憶されることとなる(つまり、履歴が分かるように記憶されている)。
始動情報は始動情報記憶ブロック0に記憶されているものが読み出される。この始動情報が読み出されると、始動情報記憶ブロック1の始動情報が始動情報記憶ブロック0に、始動情報記憶ブロック2の始動情報が始動情報記憶ブロック1に、・・・、始動情報記憶ブロック7の始動情報が始動情報記憶ブロック6に、それぞれシフトされて始動情報記憶ブロック7が空き領域となる。例えば、始動情報記憶ブロック0〜2に始動情報が記憶されている場合には、始動情報記憶ブロック1の始動情報が始動情報記憶ブロック0に、始動情報記憶ブロック2の始動情報が始動情報記憶ブロック1にそれぞれシフトされて始動情報記憶ブロック2〜7が空き領域となる。ここで、始動情報記憶ブロック0〜7に始動情報が記憶されていると、それらの始動情報記憶ブロックの数を保留球として図115に示した、上特別図柄記憶ランプ1500a,1500b及び下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bを点灯させるよう、上述した識別情報に基づいて上特別図柄記憶ランプ1500a,1500b及び下特別図柄記憶ランプ1510a,1510bの点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。なお、本実施形態では、上始動口スイッチ1360及び下始動口スイッチ1370により検出された遊技球を始動情報として始動情報記憶ブロックに記憶できる数は最大4個にそれぞれ設定されている。
始動入賞処理に続いて、始動情報記憶ブロック0から始動情報を読み出し、この始動情報に基づいて遊技処理を行う。この遊技処理では、例えば読み出した始動情報から、大当り判定用乱数の値を取り出して主内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定(大当りであるか否かを判定)したり、大当り図柄用乱数の値を取り出して主内蔵ROMに予め記憶されている確変当り判定値と一致するか否かを判定(確率変動を発生させるか否かの判定)したりする。ここで、「確率変動」とは、大当りする確率が通常時(低確率)にくらべて高く設定された高確率(確変時)に変化することであり、上述した大当り判定値は、低確率では通常時判定テーブルから読み出され、一方、高確率では確変時判定テーブルから読み出される。
これらの判定結果により発生させる遊技状態が決定する。この決定した遊技状態に、上述した変動表示パターン用乱数に基づいて変動表示パターンを決定して遊技演出コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。また、発生させる遊技状態に応じて、例えば大当り遊技状態となるときには図115に示した、開閉板1410を開閉動作させるよう開閉板ソレノイド1420への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS86に続いて、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいてゲート入賞処理を行う。このゲート入賞処理では、入力情報から図115に示したゲートスイッチ1300からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出してゲート情報として主内蔵RAMのゲート情報記憶領域に記憶する。
このゲート情報記憶領域には、ゲート情報記憶ブロック0〜3(4つのゲート情報記憶ブロック)が設けられており、ゲート情報記憶ブロック0、ゲート情報記憶ブロック1、ゲート情報記憶ブロック2、そしてゲート情報記憶ブロック3の順にゲート情報が記憶されるようになっている。例えばゲート情報がゲート情報記憶ブロック0〜2に記憶されている場合、ゲートスイッチ1300からの検出信号が入力端子に入力されていたときにはゲート情報をゲート情報記憶ブロック3に記憶する。
ゲート情報はゲート情報記憶ブロック0に記憶されているものが読み出される。このゲート情報が読み出されると、ゲート情報記憶ブロック1のゲート情報がゲート情報記憶ブロック0に、ゲート情報記憶ブロック2のゲート情報がゲート情報記憶ブロック1に、ゲート情報記憶ブロック3のゲート情報がゲート情報記憶ブロック2に、それぞれシフトされてゲート情報記憶ブロック3が空き領域となる。例えば、ゲート情報記憶ブロック0〜2にゲート情報が記憶されている場合には、ゲート情報記憶ブロック1のゲート情報がゲート情報記憶ブロック0に、ゲート情報記憶ブロック2のゲート情報がゲート情報記憶ブロック1にそれぞれシフトされてゲート情報記憶ブロック2及びゲート情報記憶ブロック3が空き領域となる。ここで、ゲート情報記憶ブロック0〜3にゲート情報が記憶されていると、それらのゲート情報記憶ブロックの数を保留球として図115に示した、普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dを点灯させるよう、上述したゲート情報に基づいて普通図柄記憶ランプ1530a〜1530dの点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。なお、本実施形態では、ゲートスイッチ1300により検出された遊技球をゲート情報としてゲート情報記憶ブロックに記憶できる数は最大4個に設定されている。
ゲート入賞処理に続いて、ゲート情報記憶ブロック0からゲート情報を読み出し、この読み出したゲート情報から、普通図柄当り判定用乱数の値を取り出して主内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と、が一致するか否かを判定する。一致しているときには、図115に示した、開閉翼1380を開閉動作させるよう開閉翼ソレノイド1390への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また、上述した普通図柄変動表示パターン用乱数に基づいて普通図柄変動表示パターンを決定して図115に示した普通図柄表示器1520を点灯させるよう普通図柄表示器1520への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、主制御I/Oポート1700bの出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。例えば、出力情報に基づいて出力端子から、払出制御基板715からの状態コマンドを正常に受信完了したときには主払ACK信号を払出制御基板715に出力したり、大当り遊技状態であるときには図115に示した、大入賞口1400の開閉板1410の開閉動作を行う開閉板ソレノイド1420に駆動信号を出力したり、図130(a)に示した、大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力情報、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する各種情報(遊技情報)を払出制御基板715に出力したりする。
ステップS90に続いて、サブ統合基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。このサブ統合基板コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報を図119に示したサブ統合基板1740に送信する。この送信情報には、上述したように、遊技演出コマンド、RAMクリア報知コマンド、テストコマンド、賞球異常報知コマンド及び状態コマンド等がある。この送信情報を送信する他に、主制御基板1700と払出制御基板715との基板間の接続状態を確認するときにセットされるセルフチェックフラグの値に基づいてその接続状態に不具合が生じているときには接続不具合コマンドを作成してサブ統合基板1740に送信する。
ステップS92に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。ステップS94でウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS70においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS94に続いて、レジスタの切替(復帰)を行い(ステップS96)、このルーチンを終了する。ここで、この主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御MPU1700aは、ハード的に汎用レジスタの内容をスタックに積んで退避する。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS96では、スタックに積んで退避した内容を読み出し、もとのレジスタに書き込む。なお、主制御MPU1700aは、ステップS96による復帰の後に割り込み許可の設定を行う。
[13.払出制御基板の各種制御処理]
次に、払出制御基板715が行う各種制御処理について説明する。まず、払出制御側電源投入時処理について説明し、続いて払出制御側タイマ割り込み処理、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球抜き判定設定処理、払出設定処理、球抜き設定処理について説明する。図141は払出制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図142は図141の払出制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図143は図142に続いて払出制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図144は払出制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図145は球抜きスイッチ操作判定処理の一例を示すフローチャートであり、図146は回転角スイッチ履歴作成処理の一例を示すフローチャートであり、図147はスプロケット定位置判定スキップ処理の一例を示すフローチャートであり、図148は球がみ判定処理の一例を示すフローチャートであり、図149は賞球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図150は貸球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図151はストック監視処理の一例を示すフローチャートであり、図152は払出球抜き判定設定処理の一例を示すフローチャートであり、図153は払出設定処理の一例を示すフローチャートであり、図154は球抜き設定処理の一例を示すフローチャートである。なお、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球抜き判定設定処理は、後述する払出制御側電源投入時処理におけるステップS356の主要動作設定処理の一処理として行われ、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、そして払出球抜き判定設定処理の順番で優先順位が設定されている。
[13−1.払出制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図141〜図143に示すように、払出制御側電源投入時処理を行う。この払出制御側電源投入時処理が開始されると、払出制御MPU1710aは、割り込みモードの設定を行う(ステップS300)。この割り込みモードは、払出制御MPU1710aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する払出制御側タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この払出制御側タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理が行われる。
ステップS300に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS302)。このI/Oの入出力設定では、払出制御MPU1710aのI/Oポートの入出設定等を行う。
ステップS302に続いて、ウェイトタイマ処理1を行う(ステップS304)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、図122に示したように、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が主制御基板1700の停電監視回路1700dから入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では電圧が停電予告電圧以下となると停電監視回路1700dからの停電予告信号が入力される。そこで、ウェイトタイマ処理1では、電源投入後、電圧が停電予告電圧より高くなるまで待っている。本実施形態では、この待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。
ステップS304に続いて、図119に示したRAMクリアスイッチ268aが操作されているか否かを判定する(ステップS306)。この判定は、主制御基板1700のRAMクリアスイッチ268aが操作され、その操作信号(検出信号)が払出制御MPU1710aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ268aが操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ268aが操作されていないと判定する。
ステップS306でRAMクリアスイッチ268aが操作されているときには、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値1をセットし(ステップS308)、一方、ステップS306でRAMクリアスイッチ268aが操作されていないときには、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値0をセットする(ステップS310)。この払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU1710aに内蔵されたRAM(以下、「払出内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、例えば賞球ストック数、実球計数、駆動指令数、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等の払い出しに関する払出情報(その詳細な説明は後述する。)を消去するか否かを示すフラグであり、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS308及びステップS310でセットされた払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU1710aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS308又はステップS310に続いて、払出内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS312)。この設定により払出内蔵RAMへのアクセスができ、例えば払出情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。
ステップS312に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS314)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS314では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS314に続いて、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS316)。上述したように、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS316で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0であるとき、つまり払出情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS318)。このチェックサムは、払出内蔵RAMに記憶されている払出情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS318に続いて、算出したチェックサムの値が後述する払出制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS320)。一致しているときには、払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS322)。この払出バックアップフラグHBK−FLGは、払出情報、チェックサムの値及び払出バックアップフラグHBK−FLGの値等の払出バックアップ情報を後述する払出制御側電源断時処理において払出内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、払出制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、払出制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS322で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるとき、つまり払出制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として払出内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS324)。この設定は、払出バックアップフラグHBK−FLGに値0をセットする他に、払出制御MPU1710aに内蔵されたROM(以下、「払出内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を払出内蔵RAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、上述したように、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。
一方、ステップS316で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり払出情報を消去するときには、又はステップS320でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS322で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり払出制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、払出内蔵RAMの全領域をクリアし(ステップS326)、初期設定として払出内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS328)。この設定は、払出内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を払出内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS324又はステップS328に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS330)。この設定は、後述する払出制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では1.75msに設定されている。
ステップS330に続いて、割り込み許可設定を行う(ステップS332)。この設定によりステップS330で設定した割り込み周期、つまり1.75msごとに払出制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS332に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS334)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、図122に示したように、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が主制御基板1700の停電監視回路1700dから入力される。ステップS334の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS334で停電予告信号の入力がないときには1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS336)。この1.75ms経過フラグHT−FLGは、後述する、1.75msごとに処理される払出制御側タイマ割り込み処理で1.75msを計時するフラグであり、1.75ms経過したとき値1、1.75ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS336で1.75ms経過フラグHT−FLGが値0であるとき、つまり1.75ms経過していないときには、ステップS334に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定する。
一方、ステップS336で1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり1.75ms経過したときには、1.75ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし(ステップS338)、図119に示した外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)1710cに外部WDTクリア信号を出力する(ONする、ステップS340)。この外部WDT1710cは、払出制御MPU1710aの動作(システム)を監視するものであり、外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間に停止されないときには払出制御MPU1710a及び図119に示した払出制御I/Oポート1710bにリセット信号を出力してリセットをかける(払出制御MPU1710aのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS340に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS342)。このポート出力処理では、払出内蔵RAMの出力情報記憶領域から各種情報を読み出してこの各種情報に基づいて各種信号を払出制御I/Oポート1710bの出力端子から出力する。出力情報記憶領域には、例えば、主制御基板1700からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信した旨を伝える払主ACK情報、払出モータ465への駆動制御を行う駆動情報、払出モータ465が実際に遊技球を払い出した球数の賞球数情報、図119に示した、エラーLED表示器1730に表示するLED表示情報、CRユニットからの貸球要求信号を正常に受信した旨を伝える受信完了情報等の各種情報が記憶されており、この出力情報に基づいて払出制御I/Oポート1710bの出力端子から、主制御基板1700からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信したときには払主ACK信号を主制御基板1700に出力したり、払出モータ465に駆動信号を出力したり、払出モータ465が実際に遊技球を払い出した球数を賞球数情報信号として図119に示した外部端子板700aに出力したり(本実施形態では、払出モータ465が実際に10個の遊技球を払い出すごとに外部端子板700aに賞球数情報信号を出力している。)、エラーLED表示器1730に表示信号を出力したり、CRユニットからの貸球要求信号を正常に受信したときには受信完了信号をCRユニットに出力したりする。
ステップS342に続いて、ポート入力処理を行う(ステップS344)。このポート入力処理では、払出制御I/Oポート1710bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば図119に示した、エラー解除スイッチ1731の操作信号、回転角スイッチ505からの検出信号、計数スイッチ462からの検出信号、満タンスイッチ545からの検出信号、CRユニットからの貸球要求信号や接続信号等の各種信号からの検出信号、後述するコマンド送信処理で送信した各種コマンドを主制御基板1700が正常に受信した旨を伝える主制御基板1700からの主払ACK信号等、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS344に続いて、タイマ更新処理を行う(ステップS346)。このタイマ更新処理では、その詳細な説明は後述するが、上述したスプロケット457による球がみ状態が生じているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球がみ判定時間、スプロケット457の定位置判定を行わない際に設定されているスキップ判定時間、上述した、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球を排出する際に設定されている球抜き判定時間、上述した満タンユニット520が遊技球で満タンであるか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている満タン判定時間、図119に示した球切れスイッチ426からの検出信号により上述した球通路ユニット420に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球切れ判定時間等の時間管理を行う。例えば、球がみ判定時間が5005msに設定されているときには、タイマ割り込み周期が1.75msに設定されているので、このタイマ更新処理を行うごとに球がみ判定時間を1.75msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球がみ判定時間を正確に計っている。
本実施形態では、スキップ判定時間が22.75ms、球抜き判定時間が60060ms、満タン判定時間が504ms、球切れ判定時間が119msにそれぞれ設定されており、このタイマ更新処理を行うごとに球抜き判定時間、満タン判定時間及び球切れ判定時間を1.75msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球抜き判定時間、満タン判定時間及び球切れ判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種判定時間は、時間管理情報として払出内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS346に続いて、CR通信処理を行う(ステップS348)。このCR通信処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、CRユニットからの貸球要求信号が入力されているか否かを判定する。貸球要求信号が入力され、この貸球要求信号を正常に受信したときには、その旨を伝える受信完了情報を上述した出力情報記憶領域に記憶するとともに、その貸球要求信号を貸球情報として払出内蔵RAMの貸球情報記憶領域に記憶する。一方、貸球要求信号を正常に受信できなかったときには、その旨を伝える貸球要求エラー情報を払出内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶する。
CRユニットからの接続信号が入力されているときには、CRユニットとの接続が正常であるとしてその旨を伝えるCR接続情報を状態情報記憶領域に記憶する。なお、接続信号が入力されていないときには、CRユニットとの接続が異常であるとしてその旨を伝えるCR接続情報を状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS348に続いて、満タン及び球切れチェック処理を行う(ステップS350)。この満タン及び球切れチェック処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、満タンスイッチ545からの検出信号により上述した満タンユニット520が遊技球で満タンとなっているか否かを判定したり、図119に示した球切れスイッチ426からの検出信号により上述した球通路ユニット420に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かを判定したりする。例えば、満タンユニット520が遊技球で満タンとなっているか否かの判定は、タイマ割り込み周期1.75msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ545からの検出信号がON、前回(1.75ms前)の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ545からの検出信号がOFFとなったとき、つまり満タンスイッチ545からの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS346のタイマ更新処理で上述した満タン判定時間(504ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で満タン判定時間が値0となったとき、つまり満タン判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ545からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、満タンスイッチ545からの検出信号がONであるときには、満タンユニット520が遊技球で満タンであるとしてその旨を伝える満タン情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。一方、満タンスイッチ545からの検出信号がOFFであるときには、満タンユニット520が遊技球で満タンでないとしてその旨を伝える満タン情報を状態情報記憶領域域に記憶する。
球通路ユニット420に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定も、タイマ割り込み周期1.75msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がON、前回(1.75ms前)の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がOFFとなったとき、つまり球切れスイッチからの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS346のタイマ更新処理で上述した球切れ判定時間(119ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で球切れ判定時間が値0となったとき、つまり球切れ判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチ426からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、球切れスイッチ426からの検出信号がONであるときには、球通路ユニット420に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上であるとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する一方、球切れスイッチ426からの検出信号がOFFであるときには、球通路ユニット420に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS350に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS352)。このコマンド受信処理では、主制御基板1700からの払い出しに関する各種コマンドを受信する。この各種コマンドを正常に受信したときには、その旨を伝える払主ACK情報を上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、各種コマンドを正常に受信できなかったときには、主制御基板1700と払出制御基板715との基板間の接続に異常が生じている旨を伝える接続異常情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。なお、主制御基板1700からの払い出しに関する各種コマンドの詳細な説明は後述する。
ステップS352に続いて、コマンド解析処理を行う(ステップS354)。このコマンド解析処理では、ステップS352で受信したコマンドの解析を行い、その解析したコマンドを受信コマンド情報として払出内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶する。
ステップS354に続いて、主要動作設定処理を行う(ステップS356)。この主要動作設定処理では、賞球、貸球、球抜き及び球がみ等の動作設定を行ったり、未払い出しの球数(賞球ストック数)を監視したりする。なお、これらの動作設定や監視の詳細な説明は後述する。
ステップS356に続いて、LED表示データ作成処理を行う(ステップS358)。このLED表示データ作成処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、図119に示した、払出制御基板715のエラーLED表示器1730に表示する表示データを作成してLED表示情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。例えば、状態情報記憶領域から上述した球切れ情報を読み出し、この球切れ情報に対応する表示データ(本実施形態では、表示値1)を作成してLED表示情報を出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS358に続いて、コマンド送信処理を行う(ステップS360)。このコマンド送信処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、この各種情報に基づいてコマンドを作成して主制御基板1700に送信する。なお、これらのコマンドの詳細な説明は後述する。
ステップS360に続いて、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)1710cに外部WDTクリア信号の出力を停止する(OFFする、ステップS362)。これにより、外部WDT1710cをクリアし、払出制御MPU1710a及び払出制御I/Oポート1710bにリセットがかからないようにする。また外部WDT1710cは、外部WDTクリア信号の出力が停止されると、クリア信号解除時間の計時を開始する。
ステップS362に続けて、再びステップS334に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS336で1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定し、この1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり1.75ms経過したときには、ステップS338で1.75ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし、ステップS340で外部WDT1710cに外部WDTクリア信号を出力(ON)し、ステップS342でポート出力処理を行い、ステップS344でポート入力処理を行い、ステップS346でタイマ更新処理を行い、ステップS348でCR通信処理を行い、ステップS350で満タン及び球切れチェック処理を行い、ステップS352でコマンド受信処理を行い、ステップS354でコマンド解析処理を行い、ステップS356で主要動作設定処理を行い、ステップS358でLED表示データ作成処理を行い、ステップS360でコマンド送信処理を行い、ステップS362で外部WDT1710cに外部WDTクリア信号の出力を停止(OFF)し、ステップS334〜ステップS362を繰り返し行う。なお、このステップS334〜ステップS362の処理を「払出制御側メイン処理」という。
主制御基板1700による遊技の進行に応じて払出制御側メイン処理の処理内容が異なってくる。このため、払出制御MPU1710aの処理に要する時間が変動することとなる。そこで、払出制御MPU1710aは、ステップS342のポート出力処理において、主制御基板1700からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信した旨を伝える払主ACK信号を、優先して主制御基板1700に出力している。これにより、払出制御MPU1710aは、変動する他の処理を十分に行えるよう、その処理時間を確保している。
一方、ステップS334で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS364)。この設定により後述する払出制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、払出内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、上述した払出情報の書き換えを保護している。ステップS364に続いて、払出モータ465への駆動信号の出力を停止する(ステップS366)。これにより、遊技球の払い出しを停止する。ステップS366に続いて、外部WDT1710cに外部WDTクリア信号を出力してその出力を停止する(ON/OFFする、ステップS368)。これにより、外部WDT1710cをクリアする。ステップS368に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS370)。このチェックサムは、ステップS318で算出したチェックサムの値及び払出バックアップフラグHBK−FLGの値の記憶領域を除く、払出内蔵RAMの作業領域の払出情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS370に続いて、払出バックアップフラグHBK−FLGに値1をセットする。(ステップS372)、これにより払出バックアップ情報の記憶が完了する。ステップS372に続いて、払出内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS374)。この設定により払出内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、払出内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が保護される。ステップS374に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、外部WDT1710cにクリア信号をON/OFFしない。このため、外部WDT1710cは、払出制御MPU1710a及び払出制御I/Oポート1710bにリセット信号を出力してリセットをかける。その後払出制御MPU1710aは、この払出制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS364〜ステップS374の処理及び無限ループを「払出制御側電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(払出制御MPU1710a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により払出制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS320では払出内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS322では払出制御側電源断時処理が正常に終了されたか否かを検査している。このように、払出内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報を2重にチェックすることにより払出バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[13−2.払出制御側タイマ割り込み処理]
次に、払出制御側タイマ割り込み処理について説明する。この払出制御側タイマ割り込み処理は、図141〜図143に示した払出制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、1.75ms)ごとに繰り返し行われる。
払出制御側タイマ割り込み処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図144に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS380)。ここでは、上述した払出制御側メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを払出制御側タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS380に続いて、1.75ms経過フラグHT−FLGに値1をセットする(ステップS382)。この1.75経過フラグHT−FLGは、この払出制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに、つまり1.75msごとに1.75msを計時するフラグであり、1.75ms経過したとき値1、1.75ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS382に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS384)。この復帰は、ステップS380でスタックに積んで退避した内容を読み出してレジスタに書き込むことにより行われる。ステップS384に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS386)、このルーチンを終了する。
[13−3.球抜きスイッチ操作判定処理]
次に、球抜きスイッチ操作判定処理について説明する。この球抜きスイッチ操作判定処理では、図119に示した球抜きスイッチ1732が操作されているか否かを判定する。
球抜きスイッチ操作判定処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図145に示すように、球抜きスイッチ1732が操作されているか否かを判定する(ステップS390)。この判定は、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS344のポート入力処理で球抜きスイッチ1732からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS390では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して球抜きスイッチ1732からの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報に球抜きスイッチ1732からの検出信号があるときには、球抜きスイッチ1732が操作されていると判定する。一方、入力情報に球抜きスイッチ1732からの検出信号がないときには、球抜きスイッチ1732が操作されていないと判定する。
ステップS390で球抜きスイッチ1732が操作されているときには、球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットする(ステップS392)。この球抜きフラグRMV−FLGは、上述した、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS392に続いて、上述した球抜き判定時間を有効に設定し(ステップS294)、このルーチンを終了する。この球抜き判定時間が有効になることによって、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS346のタイマ更新処理で球抜き判定時間の減算が行われる。
一方、ステップS390で球抜きスイッチ1732が操作されていないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、ステップS392でセットされた球抜きフラグRMV−FLGは、払出制御MPU1710aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
[13−4.回転角スイッチ履歴作成処理]
次に、回転角スイッチ履歴作成処理について作成する。この回転角スイッチ履歴作成処理では、図119に示した回転角スイッチ505からの検出信号の履歴を作成する。
回転角スイッチ履歴作成処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図146に示すように、払出内蔵RAMから回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS400)。この回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有しており、回転角スイッチ505からの検出信号の履歴を回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTとして払出内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域に記憶されている。ステップS400では、この回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出している。
ステップS400に続いて、回転角スイッチ505からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS402)。この判定は、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS344のポート入力処理で回転角スイッチ505からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS402では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して回転角スイッチ505からの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報に回転角スイッチ505からの検出信号があるときには、上述した、スプロケット457の回転位置を把握する検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であると判定する。一方、入力情報に回転角スイッチ505からの検出信号がないときには、検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態と判定する。
ステップS402で検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であるときには、ステップS400で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトしたのち、最下位ビットB0に値1をセットし(ステップS404)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS402で検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるときには、ステップS400で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトしたのち、最下位ビットB0に値0をセットし(ステップS404)、このルーチンを終了する。
このように、この回転角スイッチ履歴作成処理が行われるごとに、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトしたのち、検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態又は検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態に応じて最下位ビットB0に値1又は値0がセットされるため、回転角スイッチ505からの検出信号の履歴を作成することができる。
[13−5.スプロケット定位置判定スキップ処理]
次に、スプロケット定位置判定スキップ処理について説明する。このスプロケット定位置判定スキップ処理は、上述したスプロケット457が定位置にあるか否かの判定を、所定の条件が成立しているときにスキップする。なお、スプロケット457の定位置判定は、賞球ユニット450による遊技球の払い出しが終了した際に行われるようにもなっている。これにより、球がみが発生していない状態で払出モータ465のモータ軸の回転を確実に開始することができる。
スプロケット定位置判定スキップ処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図147に示すように、定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS410)。この定位置判定スキップフラグSKP−FLGは、スプロケット457の定位置判定を行うか否かを示すフラグであり、スプロケット457の定位置判定を行わないとき(スキップするとき)値1、スプロケット457の定位置判定を行うとき(スキップしないとき)値0にそれぞれ設定される。
ステップS410で定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0であるとき(スキップしないとき)、つまりスプロケット457の定位置判定を行うときには、払出内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出し(ステップS412)、定位置判定値と一致しているか否かを判定する(ステップS414)。この定位置判定値は、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS414の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ここで、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0が値1となる場合は、4回のタイマ割り込み周期で続けて、上述した、検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であることを意味している。この4回のタイマ割り込み周期の発生では、図119に示した払出モータ465が4ステップ回転している。払出モータ465の回転は、上述したように、第1ギヤ493、第2ギヤ494、第3ギヤ497、検出円盤500のギヤ部502を介してスプロケット457の回転となる。これらの第1ギヤ493、第2ギヤ494、第3ギヤ497、検出円盤500のギヤ部502には遊び(バックラッシュ)があるため、スプロケット457は定位置で停止していても上述した回転軸458を中心としてバックラッシュの分だけ時計方向又は反時計方向に回転することとなる。
このバックラッシュによるスプロケット457の回転は、上述したように、払出モータ465の約2ステップの回転に相当する。このため、本実施形態では、スプロケット457の定位置判定を行う場合には、回転角スイッチ505からの検出信号の履歴、図146で示した回転角スイッチ履歴作成処理で回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを作成し、作成した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0、つまり最新の4回のタイマ割り込み周期の発生による回転角スイッチ505からの検出信号に基づいて行っている。これにより、4回のタイマ割り込み周期では、払出モータ465が4ステップ回転しているため、バックラッシュによるスプロケット457の回転より多く回転しており、バックラッシュによるスプロケット457の回転を吸収することができる。したがって、バックラッシュによるスプロケット457の定位置の誤検出を防ぐことができるため、スプロケット457の回転位置を払出モータ465の回転位置で正しく管理することができる。なお、本実施形態では、4回のタイマ割り込み周期は7ms(=1.75ms×4回)であり、バックラッシュ吸収時間として設定されている。
ステップS414で、ステップS412で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、定位置判定スキップフラグSKP−FLGに値1をセットする(ステップS416)。これにより、スプロケット457の定位置判定を行わない(スキップする)ように設定することができる。なお、払出制御MPU1710aは、ステップS416におけるスプロケット457の回転位置をスプロケット457の定位置に設定する。
ステップS416に続いて、スキップ判定時間を有効に設定し(ステップS418)、このルーチンを終了する。ここで、上述した、検出切欠501は、スプロケット457の凹部と同じ数の3個であり、検出円盤500の外周に等分(120度ごと)に形成されている。また、払出モータ465の回転は、上述したように、第1ギヤ493、第2ギヤ494、第3ギヤ497、検出円盤500のギヤ部502を介してスプロケット457の回転となる。このため、検出円盤500(スプロケット457)の各検出切欠501間(120度)の回転は、払出モータ465の18ステップの回転に相当する。
払出制御MPU1710aは、スプロケット457の回転位置を払出モータ465のステップ数に基づいて管理している。具体的には、(1)検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移し出す過渡状態(「エッジ検出状態」という。)と、(2)検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態(「定位置確定状態」という。)と、(3)検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態(「定位置判定スキップ状態」)と、の3つの状態で管理している。(1)のエッジ検出状態では払出モータ465の1ステップの回転に相当し、(2)の定位置確定状態では払出モータ465の4ステップの回転に相当し、(3)の定位置判定スキップ状態では払出モータ465の13ステップの回転に相当し、計18ステップの回転で検出円盤500の各検出切欠501間(120度)の回転位置、つまりスプロケット457の回転位置を管理している。
(3)の定位置判定スキップ状態では、検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるため、スキップ判定時間は、払出モータ465の13ステップ回転する時間が設定されている。上述したように、タイマ割り込み周期が1.75msに設定されているので、スキップ判定時間が22.75ms(=1.75ms×13ステップ)となる。
ステップS418でスキップ判定時間が有効になることによって、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS346のタイマ更新処理でスキップ判定時間の減算が行われる。なお、払出制御MPU1710aは、スキップ判定時間を減算し、その減算結果が値0になると、定位置判定スキップフラグSKP−FLGに初期値0をセットする。
一方、ステップS410で定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0でない(値1である)とき(スキップするとき)、つまりスプロケット457の定位置判定を行わないときには、又はステップS414で、ステップS412で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、ステップS416でセットされた定位置判定スキップフラグSKP−FLGは、払出制御MPU1710aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
パチンコ島設備から供給された遊技球は、上述したように、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留され、球通路ユニット420に取り込まれ、賞球ユニット450に導かれる。遊技球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生する。このため、賞球ユニット450はノイズの影響を受けやすり環境下にある。上述したように、賞球ユニット450のセンサ基板504には回転角スイッチ505が設けられており、この回転角スイッチ505からの検出信号は遊技球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。また、払出制御基板715の賞球ユニット用端子717と賞球ユニット750(賞球ユニット内中継端子板480)の払出制御基板用コネクタ480fとを接続する配線(ハーネス)も遊技球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。
そこで、本実施形態では、ノイズの影響による誤検出を抑制するために、上述した(3)の定位置判定スキップ状態、つまり検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態では、スプロケット457の定位置判定を行わないようにしている。これにより、スプロケット457の定位置判定の精度を高めている。なお、スプロケット457の定位置を検出するために必要な周期や期間は、上述したように、予め計算によって求めることができるため、スキップ判定時間を簡単に設定及び調整するこができる。
[13−6.球がみ判定処理]
次に、球がみ判定処理について説明する。この球がみ判定処理は、上述したスプロケット457による球がみ状態が生じているか否かを判定する。
球がみ判定処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図148に示すように、払出内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS420)。
ステップS420に続いて、上述した回転角スイッチ505からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS422)。この判定は、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS344のポート入力処理で回転角スイッチ505からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS422では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して回転角スイッチ505からの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報に回転角スイッチ505からの検出信号があるときには、上述した、スプロケット457の回転位置を把握する検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であると判定する。一方、入力情報に回転角スイッチ505からの検出信号がないときには、検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態と判定する。
ステップS422で検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるときには、球がみ判定中フラグVAL−FLGに値0をセットし(ステップS424)、このルーチンを終了する。この球がみ判定中フラグは、スプロケット457による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、球がみ状態が生じているとき値1、球がみ状態が生じていないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS424では、検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態、つまりスプロケット457が回転しいる状態であり、球がみ状態が生じていないとして球がみ判定中フラグVAL−FLGに値0をセットしている。
一方、ステップS422で検出切欠501が回転角スイッチ505の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移していない状態であるときには、球がみ状態が生じているとして球がみ判定中フラグVAL−FLGに値1をセットし(ステップS426)、球がみ判定時間を有効に設定し(ステップS428)、このルーチンを終了する。この球がみ判定時間が有効になることによって、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS346のタイマ更新処理で球がみ判定時間の減算が行われる。なお、ステップS424及びステップS426でセットされた球がみ判定中フラグVAL−FLGは、払出制御MPU1710aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
[13−7.各種賞球ストック数加算処理]
次に、各種賞球ストック数加算処理について説明する。この各種賞球ストック数加算処理には、賞球用賞球ストック数加算処理と貸球用賞球ストック数加算処理とがあり、賞球用賞球ストック数加算処理は主制御基板1700からの後述する賞球コマンドに基づいて払い出す球数を加算する処理であり、貸球用賞球ストック数加算処理はCRユニットからの貸球要求信号に基づいて払い出す球数を加算する処理である。まず、賞球用賞球ストック数加算処理について説明し、続いて貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。なお、本実施形態では、賞球用賞球ストック数加算処理が優先的に行われるように設定されており、この賞球用賞球ストック数加算処理で加算された賞球ストック数に応じた遊技球が上述した賞球ユニット450で払い出されたあと、貸球用賞球ストック数加算処理が行われるように設定されている。
[13−7−1.賞球用賞球ストック数加算処理]
賞球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図149に示すように、賞球コマンドがあるか否かを判定する(ステップS430)。この判定は、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS354のコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、その解析したコマンドは受信コマンド情報として払出内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶されている。ステップS430では、この受信コマンド情報記憶領域から受信コマンド情報を読み出して賞球コマンドであるか否かの判定を行う。
ステップS430で受信コマンド情報が賞球コマンドであるときには、この賞球コマンドに対応する賞球数PBVを、賞球数情報テーブルから読み出す(ステップS432)。この賞球数情報テーブルは、その詳細な説明は後述するが、賞球コマンドと賞球数PBVとを対応付けて払出内蔵ROMに予め記憶されている情報テーブルである。
ステップS432に続いて、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出す(ステップS434)。この賞球ストック数PBSは、賞球ユニット450で遊技球を未だ払い出していない数、つまり未払い出しの球数を表しており、本実施形態では、2バイト(16ビット)の記憶容量を有している。これにより、賞球ストック数PBSは、0〜65535個までの未払い出しの球数を記憶することができるようになっている。
ステップS434で読み出した賞球ストック数PBSにステップS432で読み出した賞球数PBVを加算し(ステップS436)、このルーチンを終了する。なお、ステップS436で加算したあと、ステップS430で読み出した賞球コマンドを受信コマンド情報記憶領域から消去する。
一方、ステップS430で受信コマンド情報が賞球コマンドでないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[13−7−2.貸球用賞球ストック数加算処理]
次に、貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。この貸球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図150に示すように、貸球要求信号があるか否かを判定する(ステップS440)。この判定は、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS344のポート入力処理でCRユニットからの貸球要求信号に基づいて行う。具体的には、その貸球要求信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS440では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して貸球要求信号があるか否かの判定を行う。
ステップS440で貸球要求信号があるときには、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS442)、この賞球ストック数PBSに貸球数RBVを加算し(ステップS444)、このルーチンを終了する。貸球数RBVは固定値であり、払出内蔵ROMに予め記憶されている。本実施形態では、貸球数RBVとして値25が設定されている。なお、ステップS444で加算したあと、ステップS440で読み出した貸球要求信号を入力情報記憶領域から消去する。また、本実施形態では、賞球を優先している(賞球と貸球とを区別して管理している)。このため、貸球要求信号があるときであっても、貸球要求信号を保持し、賞球の払い出しの完了をもって貸球の払い出しを行う。したがって、賞球ストックPBSが値0になってから貸球の払い出しを行うようになっている。
一方、ステップS440で貸球要求信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[13−8.ストック監視処理]
次に、ストック監視処理について説明する。このストック監視処理は、遊技者が遊技中に上述した満タンユニット520に遊技球を満タンにした状態(ストックした状態)で遊技を続けていないか監視する処理である。
ストック監視処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図151に示すように、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS450)、読み出した賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH以上であるか否かを判定する(ステップS452)。注意的しきい値THは、本実施形態では値50に設定されている。
ステップS452で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH以上であるときには、注意フラグCA−FLGに値1をセットする(ステップS454)。この注意フラグCA−FLGは、遊技者が満タンユニット520に遊技球のストックを開始し、遊技球の未払い出し数(上述した賞球ストック数)が注意的しきい値TH以上に達している旨を示すフラグであり、注意的しきい値TH以上に達しているとき値1、注意的しきい値TH以上に達していないとき値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS452で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH未満であるときには、注意フラグCA−FLGに値0をセットし(ステップS456)、このルーチンを終了する。
遊技状態が大当りとなり、遊技者がリラックスして図119に示した液晶表示器1315で繰り広げられる演出に見入ったり、上述した、上あご可動体及び下あご可動体の可動による演出に見入ったりしていると、遊技者は、うっかりして1ラウンドの間、賞球として払い出された遊技球を、上述した、貯留皿30から球排出ボタン30aを操作して抜かないことがある。この状態で遊技を続けると、貯留皿30が遊技球で満タンとなり、そして満タンユニット520に遊技球が溜まり出す。満タンユニット520が遊技球で満タンになると、上述したように、賞球ストック数PBSの値が増加して注意的しきい値TH以上となり、その詳細な説明は後述するが、注意演出として図119に示した扉枠装飾ランプ5gが点滅する。この扉枠装飾ランプ5gの点滅によって、例えばホールの店員に対して遊技者の遊技を注意する旨を伝えることができる。これにより、ホールの店員は遊技者に貯留皿30から遊技球を抜く旨を伝えることができ、遊技者は貯留皿30(満タンユニット520)に遊技球を満タンにした状態で遊技を継続することを防止することができる。
なお、本実施形態では、注意的しきい値TH1は、1バイト(8ビット)で表せる上限値255の約5分の1に相当する値50に設定されている。これにより、ホールの店員に対してできるだけ早い段階で遊技者の遊技に注意を促す旨を伝えることができるようになっている。
[13−9.払出球抜き判定設定処理]
次に、払出球抜き判定設定処理について説明する。この払出球抜き判定設定処理は、図119に示した払出モータ465で遊技球を、上述した貯留皿30に払い出すか、上述した、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球をパチンコ遊技機1から排出するか、又はこのような払い出しや排出を行わないか、いずれかに設定する処理である。
払出球抜き判定設定処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図152に示すように、球がみ中フラグPBE−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS470)。この球がみ中フラグPBE−FLGは、その詳細な説明は後述するが、払出モータ465が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS470で球がみ中フラグPEB−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり球がみ動作を行っていないときには、賞球ストック数PBSを払出内蔵RAMから読み出し(ステップS472)、読み出した賞球ストック数PBSが値0より大きいか否かを判定する(ステップS474)。この判定は、払出モータ465による遊技球の払い出しにおいて未払い出しの球数があるか否かを判定している。
ステップS474で賞球ストック数PBSが値0より大きいとき、つまり未払い出し球数があるときには、上述した満タンユニット520が遊技球で満タンであるか否かを判定する(ステップS476)。この判定は、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS350の満タン及び球切れチェック処理で記憶された満タン情報に基づいて行う。具体的には、満タン情報は払出内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されている。ステップS476では、この状態情報記憶領域から満タン情報を読み出して満タンユニット520が遊技球で満タンであるか否かを判定する。
ステップS476で満タンユニット520が遊技球で満タンでないときには、後述する払出設定処理を行い(ステップS478)、このルーチンを終了する。これにより、貯留皿30に遊技球が払い出される。
一方、ステップS476で満タンユニット520が遊技球で満タンであるときには、そのままこのルーチンを終了する。本実施形態のパチンコ遊技機1では、満タンユニット520が遊技球で満タンになると、払出モータ465を強制停止する。この払出モータ465が強制停止中に賞球が発生すると、払出モータ465による未払い出しの球数が増え、図149に示した賞球用賞球ストック数加算処理によって賞球ストック数PBSが加算されて増加することとなる。
一方、ステップS470で球がみ中フラグPBE−FLGが値1、つまり球がみ動作を行っているときには、又はステップS474で賞球ストック数PBSが値0より大きくない(値0である)とき、つまり未払い出し球数がないときには、球抜きフラグRMV−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS480)。この球抜きフラグRMV−FLGは、上述したように、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS480の判定は、図145に示した球抜きスイッチ操作判定処理におけるステップS390の判定結果に基づいて行う。つまり、図119に示した球抜きスイッチ1732からの操作信号(検出信号)が入力されると、球抜きスイッチ操作判定処理におけるステップS392で球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットする。
ステップS480で球抜きフラグRMV−FLGが値1であるとき、つまり賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球を排出するときには、後述する球抜き設定処理を行い(ステップS482)、このルーチンを終了する。これにより、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球が排出される。
このように、電源投入後に球抜きスイッチ1732を操作すると、この払出球抜き判定設定処理のステップS482で球抜き設定処理を行うこととなり、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球を排出することができるようになっている。この排出を終了すると、球抜きフラグRMV−FLGに値0をセットする。
一方、ステップS480で球抜きフラグRMV−FLGが値0であるとき、つまり賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球を排出しないときには、そのままこのルーチンを終了する。これにより、遊技球の払い出しや排出が行われない。
[13−9−1.払出設定処理]
次に、払出設定処理について説明する。この払出設定処理では、図119に示した払出モータ465を駆動して遊技球を払い出す設定を行う。
払出設定処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図153に示すように、駆動指令数DRVを払出内蔵RAMから読み出す(ステップS490)。この駆動指令数DRVは、払出モータ465で払い出す遊技球の球数を指令するものであり、賞球ストック数PBSと同値である。
ステップS490に続いて、駆動指令数DRVが値0であるか否かを判定する(ステップS492)。この判定は、払出モータ465で払い出す遊技球の球数が残っているか否かを駆動指令数DRVに基づいて判定する。
ステップS492で駆動指令数DRVが値0であるとき、つまり払出モータ465で払い出す遊技球の球数がゼロ個であるときには、払出モータ465への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS494)。この設定では、払出モータ465に駆動信号を停止する駆動情報を設定して上述した払出内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS494に続いて、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS496)、実球計数PBを読み出す(ステップS498)。この実球計数PBは、払出モータ465が実際に払い出した遊技球の球数をカウントしたものである。このカウントは、その詳細な説明は後述するが、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS344のポート入力処理で図119に示した計数スイッチ462からの検出信号に基づいて行う。
ステップS498に続いて、ステップS496で読み出した賞球ストック数PBSからステップS498で読み出した実球計数PBを引いた値を、賞球ストック数PBS及び駆動指令数DRVにセットし(ステップS500)、実球計数PBに値0をセットし(ステップS502)、このルーチンを終了する。なお、駆動指令数DRV及び実球計数PBが値0であるときには、ステップS502では、ステップS496で読み出した賞球ストック数PBSの値がそのまま駆動指令数DRVにセットされる。
一方、ステップS492で駆動指令数DRVが値0でないとき、つまり払出モータ465で払い出す遊技球の球数があるときには、払出モータ465への駆動信号の出力を設定する。(ステップS504)。この設定では、払出モータ465に駆動信号を出力する駆動情報を設定して出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS504に続いて、球がみ判定中フラグVAL−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS506)。この球がみ判定中フラグVAL−FLGは、上述したように、スプロケット457による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、球がみ状態が生じているとき値1、球がみ状態が生じていないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS506で球がみ判定中フラグVAL−FLGが値0であるとき、つまり球がみ状態が生じていないときには、駆動指令数DRVに値1だけ引き(デクリメントし、ステップS508)、計数スイッチ462からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS510)。この判定は、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS344のポート入力処理で計数スイッチ462からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS510では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ462からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS510で計数スイッチ462からの検出信号があるときには、実球計数PBに値1だけ足し(インクリメントし、ステップS512)、このルーチンを終了する。ステップS512で実球計数PBをインクリメントすることで実球計数PBをカウントアップすることとなる。一方、ステップS510で計数スイッチ462からの検出信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップ506で球がみ判定中フラグVAL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり球がみ状態が生じているときには、球がみ判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS514)。この判定は、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS346のタイマ更新処理で減算された球がみ判定時間に基づいて行う。具体的には、その球がみ判定時間は、時間管理情報として払出内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS514では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球がみ判定時間が経過したか否かを判定する。なお、球がみ判定時間中には払出モータ465は、球がみ動作を行う。この球がみ動作は、上述した、賞球ユニット450のスプロケット457による球がみ状態を解消するために行う。
ステップS514で球がみ判定時間が経過していないときには、球がみ動作を行うよう払出モータ465への駆動信号の出力を設定する(ステップS516)。この設定では、払出モータ465に駆動信号を出力する駆動情報を設定して上述した払出内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS516に続いて、球がみ中フラグPBE−FLGに値1をセットし(ステップS518)、このルーチンを終了する。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出モータ465による球がみ動作を行っているとき(球がみ動作中)値1、球がみ動作を行っていないとき(球がみ動作の終了)値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS514で球がみ判定時間が経過したときには、球がみ動作を終了するよう払出モータ465への駆動信号の停止を設定する(ステップS520)。この設定では、払出モータ465に駆動信号を停止する駆動情報を設定して出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS520に続いて、球がみ動作の終了として球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS522)、このルーチンを終了する。
[13−9−2.球抜き設定処理]
次に、球抜き設定処理について説明する。この球抜き設定処理では、図119に示した払出モータ465を駆動して、上述した、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球を排出する。
球抜き設定処理が開始されると、払出制御基板715の払出制御MPU1710aは、図154に示すように、球抜き判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS530)。この判定は、図143に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS346のタイマ更新処理で更新された球抜き判定時間に基づいて行う。具体的には、その球抜き判定時間は、時間管理情報として払出内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS530では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球抜き判定時間が経過したか否かを判定する。なお、球抜き判定時間中には払出モータ465は、球抜き動作を行う。この球抜き動作は、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球を排出するために行う。
ステップS530で球抜き判定時間が経過していないときには、球抜き動作を行うよう払出モータ465への駆動信号の出力を設定する(ステップS532)。この設定では、払出モータ465に駆動信号を出力する駆動情報を設定して上述した払出内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS532に続いて、球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットし(ステップS534)、このルーチンを終了する。この球抜きフラグRMV−FLGは、上述したように、賞球タンク400及びタンクレール部材410に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS530で球抜き判定時間が経過したときには、球抜き動作を終了するよう払出モータ465への駆動信号の停止を設定し(ステップS536)、このルーチンを終了する。この設定では、払出モータ465に駆動信号を停止する駆動情報を設定して出力情報記憶領域に記憶する。
[14.払い出し関する各種コマンド等]
次に、払い出し関する各種コマンド等について説明する。まず、図119に示した、主制御基板1700から払出制御基板715に送信する払い出しに関するコマンド(賞球コマンド)について説明し、続いて払出制御基板715から主制御基板1700に送信するパチンコ遊技機1の状態コマンド、この状態コマンドを整形した整形状態コマンドについて説明する。図155は払い出しに関するコマンドの一例を示す賞球数情報テーブルであり、図156は状態コマンドの一例を示すテーブルであり、図157は状態コマンドを整形した整形状態コマンドの一例を示すテーブルである。
[14−1.賞球コマンド]
賞球コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、主制御基板1700から払出制御基板715に送信する払い出しに関するコマンドである。本実施形態のように、パチンコ遊技機1にCRユニット(パチンコ遊技機と通信して、パチンコ遊技機に供給する遊技球を、パチンコ遊技機(賞球ユニット)の払出モータを駆動して貯留皿に貸球として払い出す装置(「CR機」という。))が接続されている場合には、図155(a)に示すように、主制御基板1700から払出制御基板715に送信する賞球コマンドには、コマンド10H〜コマンド1EH(「H」は16進数を表す。)が用意されており、コマンド10Hでは賞球1個が指定され、コマンド11Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド1EHでは賞球15個が指定されている。この指定された賞球数だけ、払出制御基板715は、図119に示した払出モータ465を駆動して遊技球を払い出す制御を行う。
また、パチンコ遊技機1に図示しない貸球機(遊技球を貯留皿に貸球として直接払い出す装置(「一般機」という。))が隣接して設けられている場合には、図155(b)に示すように、主制御基板1700から一般機に送信する賞球コマンドには、コマンド20H〜コマンド2EHが用意されており、コマンド20Hでは賞球1個が指定され、コマンド21Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド2EHでは賞球15個が指定されている。この指定された賞球数だけ、一般機は遊技球を払い出す制御を行う。
なお、CR機及び一般機の共通のコマンドとして、図155(c)に示すように、コマンド30Hが用意されており、このコマンド30Hではセルフチェックが指定されている。送信側は、コマンド送信後、所定期間、受信側からコマンドの受け取り確認として出力するACK信号が入力されない場合に、コマンド30Hを送信して、ACK信号が入力されるか否かをチェックすることで接続状態を確認する。本実施形態におけるCR機の場合では、払出制御基板715がCRユニットとの接続状態を確認する。
[14−2.状態コマンド]
状態コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、払出制御基板715から主制御基板1700に送信するコマンドである。状態コマンドには、図156に示すように、枠状態1、エラー解除ナビ及び枠状態2に区分されており、枠状態1、エラー解除ナビ、そして枠状態2の順で優先順位が設定されている。
枠状態1には、球切れ、満タン、50個以上のストック中、接続異常及びCR未接続が用意されており、球切れではビット0(B0、「B」はビットを表す。)に値1がセットされ、満タンではビット1(B1)に値1がセットされ、50個以上のストック中ではビット2(B2)に値1がセットされ、接続異常ではビット3(B3)に値1がセットされ、CR未接続ではビット4(B4)に値1がセットされる。なお、状態コマンドのうち、枠状態1である旨を伝えるビット5(B5)〜ビット7(B7)にはB5に値1、B6に値0、そしてB7に値0がセットされている。
エラー解除ナビには、球がみ、計数スイッチエラー及びリトライ上限エラーが用意されており、球がみではビット2(B2)に値1がセットされ、計数スイッチエラーではビット3(B3)に値1がセットされ、リトライ上限エラーではビット4(B4)に値1がセットされる。ここで、「計数スイッチエラー」とは、図119に示した計数スイッチ462の不具合が生じているか否かを示すものである。「リトライ上限エラー」とは、つじつまの合わない払い出しが繰り返し行われたことを示すものである。なお、状態コマンドのうち、エラー解除ナビである旨を伝えるビット5(B5)〜ビット7(B7)にはB5に値0、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
枠状態2には、球抜き中が用意されており、球抜き中ではビット0(B0)に値1がセットされる。なお、状態コマンドのうち、枠状態2である旨を伝えるビット5(B5)〜ビット7(B7)にはB5に値1、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
[14−3.整形状態コマンド]
図119に示した、主制御基板1700の主制御MPU1700aは、図119に示したサブ統合基板1740に各種コマンドを送信する。これらの各種コマンドは、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、この2バイトのち、1バイト(8ビット)の記憶容量をコマンドの種類を示すステータスとして用い、そして残りの1バイト(8ビット)の記憶容量を演出のバリエーションを示すモードとして用いている。
主制御MPU1700aは、払出制御基板715から上述した状態コマンドを受信すると、図157に示すように、付加情報である「10000001B(=81H)」をステータスに設定するとともに、受信した状態コマンドをモードに設定して2バイト(16ビット)の記憶容量を有する整形状態コマンドに整形する。この整形状態コマンドは、図140に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92のサブ統合基板コマンド送信処理の一処理としてサブ統合基板1740に送信される。なお、整形状態コマンドの詳細な説明は、上述した状態コマンドの内容と同一であるためその説明を省略する。
[15.サブ統合基板の各種制御処理]
次に、図119に示した、主制御基板1700(主制御MPU1700a)から各種コマンドを受信するサブ統合基板1740(サブ統合MPU1740a)の各種処理について説明する。まず、サブ統合側電源投入時処理について説明し、続いてサブ統合側タイマ割り込み処理、サブ統合側コマンド受信割り込み処理、サブ統合側コマンド受信終了割り込み処理、ストック報知処理、球抜き報知処理について説明する。図158はサブ統合側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図159はサブ統合側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図160はサブ統合側コマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図161はサブ統合側コマンド受信終了割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図162は液晶シリアルコマンド制御処理の一例を示すフローチャートであり、図163は送信バッファ空割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図164はDSP−ACK信号割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図165はストック報知処理の一例を示すフローチャートであり、図166は球抜き報知処理の一例を示すフローチャートである。なお、液晶シリアルコマンド制御処理は、後述するサブ統合側タイマ割り込みにおけるステップS766で行われ、ストック報知処理及び球抜き報知処理は、後述するサブ統合側電源投入時処理におけるステップS728の払出状態判定処理の一処理として行われる。また、サブ統合側コマンド受信割り込み処理、サブ統合側コマンド受信終了割り込み処理、DSP−ACK信号割り込み処理、送信バッファ空割り込み処理、サブ統合側タイマ割り込み処理、そして16ms定常処理の順番で優先順位が設定されている。
[15−1.サブ統合側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、図158に示すように、サブ統合側電源投入時処理を行う。このサブ統合側電源投入時処理が開始されると、サブ統合MPU1740aは、初期設定処理を行う(ステップS700)。この初期設定処理は、サブ統合MPU1740aを初期化する処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理と、図119に示した、扉枠装飾ランプ5aa,5b〜5h及び演出ランプ1230,1570を点灯又は点滅させるパターン作成用のデータや階調ランプ1240を階調点灯させるパターン作成用のデータから構成された初期データを、一度に階調制御IC1760bに送信する処理等を行う。なお、サブ統合MPU1740aは、この初期設定処理で、まず自身を初期化する処理を行うことによって、主制御基板1700から出力される、遊技演出の制御に関する各種コマンドやパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドを受信することができる状態となっており、割り込み許可が設定された状態となっている。このサブ統合MPU1740aを初期化する処理にかかる時間は、マイクロ秒(μs)オーダーであり、極めて短い時間でサブ統合MPU1740aを初期化することができる。
ステップS700に続いて、16ms経過フラグST−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS702)。この16ms経過フラグST−FLGは、後述するサブ統合側タイマ割り込み処理で16msを計時するフラグであり、16ms経過したとき値1、16ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS702で16ms経過フラグST−FLGが値1であるとき、つまり16ms経過したときには、16ms経過フラグST−FLGに値0をセットし(ステップS704)、16ms処理中フラグSP−FLGに値1をセットする(ステップS706)。この16ms処理中フラグSP−FLGは、後述する16ms定常処理を開始するとき値1、終了するとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS706に続いて、処理時間計測タイマPCTの計時を開始し、16ms定常処理を開始する(ステップS708)。この処理時間計測タイマPCTは、16ms定常処理の処理時間を計時する。
ステップS708に続いて、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)に外部WDTクリア信号を出力する(ONにする、ステップS710)。この外部WDTは、サブ統合MPU1740aの動作(システム)を監視するものであり、外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間に停止されないときにはサブ統合MPU1740aにリセットかける(サブ統合MPU1740aのシステムが暴走していないか定期的に診断している)。なお、サブ統合MPU1740aは、WDTを内蔵しており、ステップS710では、外部WDTに外部WDTクリア信号をONするほかに、内蔵WDTをクリアしている。このように、サブ統合MPU1740aは、内蔵WDTと外部WDTとを併用してサブ統合MPU1740aのシステムが暴走していないか診断している。
ステップS710に続いて、テストモードフラグTM−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS712)。このテストモードフラグTM−FLGは、後述するコマンド解析処理で主制御基板1700(主制御MPU1700a)から受信したコマンドがテストコマンドであるか否かを示すフラグであり、テストコマンドであるとき値1、テストコマンドでないとき値0に設定される。なお、ステップS712では、16ms前に後述するコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。
ステップS712でテストモードフラグTM−FLGが値0であるとき、つまり主制御基板1700(主制御MPU1700a)から受信したコマンドがテストコマンドでないときには、図121に示した、ランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bへの送信カウンタに値0をセット(クリア)する(ステップS714)。この送信カウンタは、ライトカウンタ及びリードカウンタから構成されており、ライトカウンタは送信するデータを送信バッファに書き込んだ回数をカウントするものであり、リードカウンタは送信バッファから読み出した回数をカウントするものである。送信カウンタに値0をセットすると、ライトカウンタ及びリードカウンタの値が値0となる。
ステップS714に続いて、演出選択スイッチ入力処理を行う(ステップS716)。この演出選択スイッチ入力処理では、図119に示した演出選択スイッチ31からの演出選択信号が入力されているか否かを判定する。
ステップS716に続いて、階調制御IC1760bへのコマンドを送信データとして設定してランプ駆動基板1760に送信開始する(ステップS718)。送信開始すると、送信データを送信バッファに書き込むごとにライトカウンタをカウントアップし、送信バッファに書き込んだ送信データを送信するごとにリードカウンタをカウントアップする。ここで、ステップS718では、サブ統合基板1740のサブ統合基板1740aが、後述するコマンド解析処理で主制御基板1700(主制御MPU1700a)から受信したコマンドに基づいて上述した、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドをランプ駆動基板1760に送信すると、ランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bは、これらの扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドを受信し、階調制御IC1760bの階調更新制御部1760bcにおける図示しないコマンドレジスタに記憶する。扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドは、上述したように、入出力端子群1760bmが出力端子に設定された端子の番号や出力端子群1760bpの端子の番号、0階調〜31階調のうちのいずれかの階調番号、波形テーブル0〜波形テーブル2のうちのいずれかの波形テーブル番号、次波形に移行するまでの時間である波形移行時間、波形カウンタの初期値(0波形〜89波形のいずれかの波形番号)、波形カウンタ最大値(0波形〜89波形のいずれかの波形番号)、ON時間設定テーブル0〜ON時間設定テーブル7のうちのいずれかのON時間設定テーブル番号、等から構成されている。階調制御IC1760bは、階調更新制御部1760bcの図示しないコマンドレジスタに記憶された扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド及び階調点灯コマンドに基づいて入出力端子群1760bmの出力端子に設定された端子や出力端子群1760bpの端子から点灯信号、点滅信号及び階調点灯信号を出力する。なお、ステップS718では、16ms前に後述するコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。
ステップS718に続いて、図119に示した音源IC1740cの初期化を行う(ステップS720)。この音源IC1740cの初期化では、図示しないボリュームつまみのアナログ量を検出して、そのアナログ量に見合う音量が図119に示したスピーカ31から流れるように音源IC1740cのマスターボリューム値の設定等を行う。
ステップS720に続いて、DSP−RUN信号が入力されているか否かを判定する(ステップS722)。DSP−RUN信号は、図119に示した液晶制御基板1750から入力され、液晶制御基板1750が正常動作している旨を伝える信号である。なお、DSP−RUN信号の読み込みは、後述するサブ統合側タイマ割り込み処理で行われ、ステップS722の判定では、サブ統合側タイマ割り込み処理で読み込まれたDSP−RUN信号に基づいて行う。
ステップS722でDSP−RUN信号が入力されているとき、つまり液晶制御基板1750が正常動作しているときには、RAM−CLR信号を液晶制御基板1750に出力する(ONする、ステップS724)。このRAM−CLR信号は、液晶制御基板1750を強制的にリセットする信号であり、リセットしないときON、リセットするときOFFにする。
一方、ステップS722でDSP−RUN信号が入力されていないとき、つまり液晶制御基板1750が正常動作していないときには、又はステップS724に続いて、コマンド解析処理を行う(ステップS726)。このコマンド解析処理では、図119に示した主制御基板1700からの各種コマンドを、後述する、サブ統合側コマンド受信割り込み処理及びサブ統合側コマンド受信終了割り込み処理で受信し、この受信した各種コマンドの解析を行う。
ステップS726に続いて、払出状態判定処理を行う(ステップS728)。この払出状態判定処理では、ステップS726のコマンド解析処理で解析したコマンドが図157に示した整形状態コマンドであるか否かの判定を行い、解析したコマンドが整形状態コマンドであるときには、その整形状態コマンドに基づいて各種報知処理を行う。
ステップS728に続いて、演出選択スイッチメイン処理を行う(ステップS730)。この演出選択スイッチメイン処理では、ステップS716の演出選択スイッチ入力処理の判定結果(演出選択スイッチ31からの演出選択信号が入力されているか否かの判定結果)に基づいて演出に関する各種処理を行う。
ステップS730に続いて、スケジューラメイン処理を行う(ステップS732)。このスケジューラメイン処理では、図119に示した、音源IC1740c、ランプ駆動基板1760の階調制御IC1760b、上あご可動装置1770及び下あご可動装置1780の各モータ等に関するデータを更新(ポインタを更新)する。
ステップS732に続いて、図柄メイン処理を行う(ステップS734)。この図柄メイン処理では、液晶制御基板1750に送信する表示コマンドの準備を行う。この表示コマンドは、上述したように、液晶表示器1315に表示させる画面を示すものである。図柄メイン処理では、表示コマンドを、サブ統合MPU1740aに内蔵されたRAM(以下、「サブ統合内蔵RAM」と記載する。)に設けたサブ統合側送信リングバッファに記憶する。この「サブ統合側送信リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。
一方、ステップS712でテストモードフラグTM−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり主制御基板1700(主制御MPU1700a)から受信したコマンドがテストコマンドであるときには、テストコマンド取得処理を行う(ステップS736)。このテストコマンド取得処理では、ステップS726のコマンド解析処理で解析したテストコマンドに基づいて、音源IC1740c、液晶制御基板1750及びランプ駆動基板1760の各種検査を行うテストコマンドの準備を行う。
ステップS736に続いて、テスト処理を行う(ステップS738)。このテスト処理では、ステップS36のテストコマンド取得処理で準備したテストコマンドを、音源IC1740c、液晶制御基板1750及びランプ駆動基板1760に送信する。
ステップS734又はステップS738に続いて、外部WDTに外部WDTクリア信号の出力を停止する(OFFにする、ステップS740)。これにより、外部WDTをクリアし、サブ統合MPU1740aにリセットがかからないようにする。また外部WDTは、外部WDTクリア信号の出力が停止されると、クリア信号解除時間の計時を開始する。なお、サブ統合MPU1740aは、ステップS710でのみ内蔵WDTをクリアしており、16ms定常処理が開始されるごとに、つまり16msごとに内蔵WDTをクリアするようになっている。このように、内蔵WDTは、16msごとにクリアされないと、サブ統合MPU1740aにリセットをけるようになっている。
ステップS740に続いて、16ms処理中フラグSP−FLGに値0(16ms定常処理の終了)をセットし(ステップS742)、再びステップS702に戻る。
一方、ステップ702で16ms経過フラグST−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり16ms経過していないときには、ランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bへの送信が完了したか否かを判定する(ステップS744)。この判定は、上述した送信カウンタに基づいて行い、送信バッファに書き込んだ回数をカウントするライトカウンタの値と、送信バッファから読み出した回数をカウントするリードカウンタの値と、が一致しているか否かによって行う。送信が完了すると、ライトカウンタの値とリードカウンタの値とが一致する。
ステップS744でランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bへの送信が完了したときには、処理時間計測タイマPCTを取得する(ステップS746)。この処理時間計測タイマPCTは、上述したように、16ms定常処理の処理時間を計時するものであり、ステップS746では、ステップS708〜ステップS746までにかかった処理時間を取得する。
ステップS746に続いて、階調制御IC1760bへの送信データを設定してランプ駆動基板1760に送信開始する(ステップS748)。送信開始すると、上述したように、送信データを送信バッファに書き込むごとにライトカウンタをカウントアップし、送信バッファに書き込んだ送信データを送信するごとにリードカウンタをカウントアップする。ここで、ステップS748では、16msからステップS746で取得した処理時間を引いた残時間を算出し、ステップS700で送信した初期データと同一の初期データからその16msの残時間で送信できるデータを抽出して送信データとして階調制御IC1760bに送信しており、ノイズの影響を受けてON時間設定テーブル用レジスタ群1760bd及び波形テーブル用レジスタ群1760beに記憶された初期データが異常なデータとならないようにしている。ところで、上述したように、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bdに記憶されるデータの大きさは3072ビットであり、波形テーブル用レジスタ群1760beに記憶されるデータの大きさが1350ビットであるため、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bd及び波形テーブル用レジスタ群1760beに記憶されるデータの大きさは4422ビットとなる。サブ統合基板1740からランプ駆動基板1760へのビットレートが、上述したように、250kbps(パルス幅:4μs)に設定されているため、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bd及び波形テーブル用レジスタ群1760beに記憶されるデータの送信時間は、17.688ms(=4422ビット × 4μs)となり、16ms定常処理の中で初期データすべてを上書きすることができない。そこで、本実施形態では、ステップS700で送信した初期データと同一の初期データから16msの残時間で送信できるデータを送信データとして階調制御IC1760bに送信し、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bd及び波形テーブル用レジスタ群1760beに記憶された初期データを、16msの残時間を利用して少しずつ上書きするようにしている。これにより、ON時間設定テーブル用レジスタ群1760bd及び波形テーブル用レジスタ群1760beに記憶された初期データが16msの残時間内で少しずつ繰り返し上書きされる。なお、ステップS748において、16msからステップS746で取得した処理時間を引いた残時間を算出する際に、後述する、サブ統合側タイマ割り込み処理、サブ統合側コマンド受信割り込み処理、サブ統合側コマンド受信終了割り込み処理等の各種割り込み処理の発生回数、つまり各種割り込み処理にかかる時間が考慮されており、16msの残時間は、16msから、ステップS746で取得した処理時間及び各種割り込みにかかる時間を引いた時間となっている。
ステップS748に続いて、再びステップS702に戻り、16ms経過フラグST−FLGが値1であるか否かを判定する。
一方、ステップS744でランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bへの送信が完了していないときには、再びステップS702に戻る。
ステップS702に戻ると、16ms経過フラグST−FLGが値1であるか否かを判定し、この16ms経過フラグST−FLGが値1であるとき、つまり16ms経過したときには、ステップS704で16ms経過フラグST−FLGに値0をセットし、ステップS706で16ms処理中フラグSP−FLGに値1をセットし、ステップS708〜ステップS740の16ms定常処理を行い、ステップS742で16ms処理中フラグSP−FLGに値0をセットし、再びステップS702に戻る。一方、ステップS702で16ms経過フラグST−FLGが値1でないとき、つまり16ms経過していないときには、ステップS744でランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bへの送信が完了した否かを判定し、送信が完了したときにはステップS746で処理時間計測タイマPCTを取得し、ステップS748で残時間で算出し、この残時間で送信できるデータを再設定してランプ駆動基板1760に送信開始する。一方、ステップS744でランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bへの送信が完了していないときには、再びステップS702に戻る。
[15−2.サブ統合側タイマ割り込み処理]
次に、サブ統合側タイマ割り込み処理について説明する。このサブ統合側タイマ割り込み処理が開始されると、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、図159に示すように、テストモードフラグTM−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS760)。このテストモードフラグTM−FLGは、上述したように、図158に示したサブ統合側電源投入時処理におけるステップS726のコマンド解析処理で主制御基板1700(主制御MPU1700a)から受信したコマンドがテストコマンドであるか否かを示すフラグであり、テストコマンドであるとき値1、テストコマンドでないとき値0に設定される。
ステップS760でテストモードフラグTM−FLGが値0であるとき、つまり主制御基板1700(主制御MPU1700a)から受信したコマンドがテストコマンドでないときには、モータ2msタイマ割り込み処理を行う(ステップS762)。このモータ2msタイマ割り込み処理では、図158に示したサブ統合側電源投入時処理におけるステップS732のスケジューラメイン処理で設定されたデータ(駆動パターン)に基づいて、図119に示した、上あご可動装置1770及び下あご可動装置1780の各モータ等に駆動信号を出力する制御を行う。
ステップS762に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS764)。このスイッチ入力処理では、上述した、上あご可動体の原位置検出信号及び下あご可動体の原位置検出信号が上あご可動装置1770及び下あご可動装置1780からランプ駆動基板1760を介してそれぞれ入力されているか否かを判定し、これらの原位置検出信号に基づいて上あご可動体及び下あご可動体が原位置にあるか否かを判定している。
ステップS764に続いて、液晶シリアルコマンド制御処理を行う(ステップS766)。この液晶シリアルコマンド制御処理では、その詳細な説明は後述するが、図119に示した液晶制御基板1750に、上述した、液晶表示器1315に表示させる画面を示す表示コマンドを送信する。この表示コマンドは、上述したように、サブ統合内蔵RAMに設けたサブ統合側送信リングバッファに記憶されており、サブ統合MPU1740aは、このサブ統合側送信リングバッファから表示コマンドを抽出して液晶制御基板1750に送信する。
表示コマンドは、上述した、ランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bに送信する初期データ等と、異なるシリアル入出力ポートから送信されている。この送信カウンタは、ライトカウンタ及びリードカウンタから構成されており、ライトカウンタは送信するデータを送信バッファに書き込んだ回数をカウントするものであり、リードカウンタは送信バッファから読み出した回数をカウントするものである。送信が完了すると、ライトカウンタの値とリードカウンタの値とが一致する。なお、送信カウンタに値0をセットすると、ライトカウンタ及びリードカウンタの値が値0となる。
一方、ステップ760でテストモードフラグTM−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり主制御基板1700(主制御MPU1700a)から受信したコマンドがテストコマンドであるとき又はステップS766に続いて、2ms更新カウンタCに値1を加算する(ステップS768)。この2ms更新カウンタCは、このサブ統合側タイマ割り込み処理が行われた回数をカウントするカウンタであり、2ms更新カウンタCの値1は2msの時間に相当する。
ステップS768に続いて、2ms更新カウンタCが値8、つまり16ms(=2ms更新カウンタC×2ms)であるか否かを判定する(ステップS770)。ステップS770で16msであるときには、16ms経過フラグST−FLGに値1をセットし(ステップS772)、16ms処理中フラグSP−FLGが値0、つまり図158に示したサブ統合側電源投入時処理におけるステップS708〜ステップS740の16ms定常処理を行っているか否かを判定する(ステップS774)。
ステップS774で16ms処理中フラグSP−FLGが値0であるとき、つまり16ms定常処理を行っていないときには、作業領域のバックアップを行い(ステップS776)、このルーチンを終了する。この作業領域のバックアップは、図158に示したサブ統合側電源投入時処理におけるステップS708〜ステップS740の16ms定常処理で処理した情報を、サブ統合内蔵RAMに設けた作業領域上のコピー領域にコピーする。
一方、ステップS770で16ms経過していないとき又はステップS774で16ms定常処理中に情報の設定がなかったときには、そのままこのルーチンを終了する。
[15−3.サブ統合側コマンド受信割り込み処理]
次に、サブ統合側コマンド受信割り込み処理について説明する。このサブ統合側コマンド受信割り込み処理が開始されると、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、図160に示すように、主制御基板1700からのコマンドを受信開始する信号(以下、「WR信号」という。)と、主制御基板1700からの各種基板をセレクトする信号(以下、「SEL信号」という。)と、がともに値1であるか否かを判定する(ステップS780)。主制御基板1700の主制御MPU1700aは、まずサブ統合基板1740に対応するSEL信号を値1、そしてWR信号を値1にそれぞれセットしてサブ統合基板1740にコマンドを送信する。
このコマンドは、1パケット4ニブルにより構成されている。この「ニブル」とは、4ビットを意味し、2ニブルでは8ビット(1バイト)、つまり4ニブルでは16ビット(2バイト)となる。1ニブルのデータの抽出は、WR信号が値0から値1に立ち上がって(「アップエッジ」という。)、所定時間(例えば、20マイクロ秒(μs)〜50μs)保持された後、WR信号が値1から値0に立ち下がる(「ダウンエッジ」という。)ことによって行い、1パケットでは合計4回行う。
ステップS780でWR信号及びSEL信号がともに値1であるとき、つまり主制御MPU1700aがサブ統合基板1740にコマンドを送信するときには、コマンド受信処理を行い(ステップS782)、このルーチンを終了する。このコマンド受信処理は、受信した1ニブル分のコマンド(4分割されたコマンドのうち1つ)をサブ統合内蔵RAMに設けたサブ統合側受信リングバッファに記憶する。この「サブ統合側受信リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。
サブ統合側リングバッファに記憶したあと、続いてバッファライトカウンタを値1だけ加算する。このバッファライトカウンタは、コマンド受信処理を行うごとに値1ずつ加算する。このため、1パケット(4ニブル)を記憶するとバッファライトカウンタは値4になる。
一方、ステップS780でSEL信号及びWR信号がともに値0であるとき、つまり主制御MPU1700aがサブ統合基板1740にコマンドを送信しないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、主制御基板1700からサブ統合基板1740へのコマンド送信時には、上述したようにWR信号のアップエッジからダウンエッジまでの所定時間(例えば、20μs〜50μs)、SEL信号、WR信号、データ(4ビット)が一定に保持されているが、ノイズの影響により信号が乱れ、コマンドを正常に受信できないおそれがある。そこで、このノイズ対策として、サブ統合MPU1740aは、SEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信(1回目)すると所定時間経過(例えば、1μs)後、再びSEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信する。そして、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致しているか否かを判定する。1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致しているときには、ステップS780でWR信号及びSEL信号がともに値1であるか否かを判定する。一方、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致していないときには、所定時間経過後、再びSEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信し、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致するまで判定を繰り返し行う。
[15−4.サブ統合側コマンド受信終了割り込み処理]
次に、サブ統合側コマンド受信終了割り込み処理について説明する。このサブ統合側コマンド受信終了割り込み処理が開始されると、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、図161に示すように、WR信号及びSEL信号がともに値0であるか否かを判定する(ステップS790)。主制御基板1700の主制御MPU1700aは、サブ統合基板1740にコマンドの送信を完了すると、WR信号に値0をセットした後、SEL信号を値0にセットする(ダウンエッジ)。
ステップS790でWR信号及びSEL信号がともに値0であるとき、つまり主制御MPU1700aがサブ統合基板1740にコマンドの送信を完了したときには、コマンド受信終了処理を行い(ステップS792)、このルーチンを終了する。このコマンド受信終了処理は、図160に示したサブ統合側コマンド受信割り込み処理で加算されたバッファライトカウンタに値0をセットする。コマンドを正常に受信できたときには、1パケット4ニブルであるため、バッファライトカウンタは値4となる。また、1パケット分の受信を行えなかったとき、つまりバッファライトカウンタが値4未満のときには、受信したコマンドを破棄する。
一方、ステップS790でWR信号及びSEL信号がともに値0でないとき、つまり主制御MPU1700aがサブ統合基板1740にコマンドの送信を完了していないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、上述したように、ノイズ対策として、サブ統合MPU1740aは、SEL信号を受信(1回目)すると所定時間経過(例えば、1μs)後、再びSEL信号を受信し、1回目に受信したSEL信号と一致しているか否かを判定する。1回目に受信したSEL信号と一致しているときには、ステップS790でWR信号及びSEL信号がともに値0であるか否かを判定する。一方、1回目に受信したSEL信号と一致していないときには、所定時間経過後、再びSEL信号を受信し、1回目に受信したSEL信号と一致するまで判定を繰り返し行う。
[15−5.液晶シリアルコマンド制御処理]
次に、液晶シリアルコマンド制御処理について説明する。この液晶シリアルコマンド制御処理は、図134に示した液晶シリアルデータDSP−SERを、サブ統合基板1740から液晶制御基板1750に出力する。
液晶シリアルコマンド制御処理が開始されると、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、図162に示すように、表示コマンドがあるか否かを判定する(ステップS800)。この表示コマンドは、上述したように、液晶表示器1315に表示させる画面を示すものであり、サブ統合内蔵RAMに設けたサブ統合側送信リングバッファに記憶されている。ステップS800では、このサブ統合側送信リングバッファに表示コマンドが記憶されているか否かを判定する。
ステップS800で表示コマンドがあるとき、つまりサブ統合側送信リングバッファに表示コマンドが記憶されているときには、送信中フラグTX−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS802)。この送信中フラグTX−FLGは、表示コマンドを液晶シリアルデータDSP−SERとして液晶制御基板1750に送信しているか否かを示すフラグであり、液晶シリアルデータDSP−SERを送信中であるとき値1、液晶シリアルデータDSP−SER送信中でないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS802で送信中フラグTX−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり液晶シリアルデータDSP−SERを送信中でないときには、送信バッファが空であるか否かを判定する(ステップS804)。この判定は、液晶シリアルデータDSP−SERを液晶制御基板1750に送信するシリアル入出力ポートの送信バッファの状態を示すステータスに基づいて送信バッファが空であるか否かを判定する。
ステップS804で送信バッファが空であるときには、サム値を算出する(ステップS806)。このサム値は、サブ統合側送信リングバッファに記憶されている表示コマンドに基づいて行う。ここで、表示コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するモードと、から構成される基コマンドを1つ又は複数連なって構成されている。ステータスはコマンドの種類を示すものであり、一方モードは演出のバリエーションを示すものである。基コマンドは、その1バイト目としてステータス、その2バイト目としてモードが割り振られている。基コマンドとして、例えば、図157で示した主制御基板1700から送信された整形状態コマンド等の他に、変動の種類を示す変動パターン情報コマンド、当り又ははずれを示す当落情報コマンド、遊技状態の種類を示す遊技状態情報コマンド等が含まれる。ステップS806では、基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスが示す情報と、基コマンドの2バイト目として割り振られたモードが示す情報と、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出する。そして、その算出したサム値を基コマンドに付加して、つまり基コマンドの3バイト目として拡張して割り振ることによって送信用基コマンドを作成する。つまり送信用基コマンドは、1バイト目として基コマンドのステータスが割り振られ、2バイト目として基コマンドのモードが割り振られ、3バイト目として基コマンドのステータスと基コマンドのモードとを数値とみなしてその合計を算出したサム値が割り振られている。このように、送信用基コマンドは、3バイトの記憶容量を有しており、3バイトで構成されたパケットとして扱われている。
ステップS806に続いて、送信バッファに1バイト目をセットする(ステップS808)。ここでは、送信バッファに送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスをセットすることによってシリアル入出力ポートから1ビットずつステータスの情報を液晶制御基板1750に送信する。これにより、表示コマンドを液晶シリアルデータDSP−SERとして送信開始する。
ステップS808に続いて、送信カウンタTXCに値1をセットする(ステップS810)。この送信カウンタTXCは、送信用基コマンドの何バイト目を送信バッファにセットしたかを示すカウンタであり、送信用基コマンドの1バイト目が送信バッファにセットされると値1、送信用基コマンドの2バイト目が送信バッファにセットされると値2、送信用基コマンドの3バイト目が送信バッファにセットされると値3となる。なお、送信カウンタTXCは、電源投入時等に初期値0にセットされる。
ステップS810に続いて、DSP−ACK信号待ち時間をセットする(ステップS812)。このDSP−ACK信号待ち時間は、図134に示したDSP−ACK信号が液晶制御基板1750から入力され得る期間を設定するものである。本実施形態では、サブ統合基板1740から液晶制御基板1750への送信方式として調歩同期式シリアルを採用しており、ビットレートとして19.2kbps、液晶シリアルデータDSP−SERのフォーマットとして8ビット通信、LSBファースト、偶数パリティ付加、ストップ1ビットとなっている。これにより、送信用基コマンドは、上述したように、3バイト(24ビット)の記憶容量を有しているため、処理時間等を含め、DSP−ACK信号待ち時間として1.6ミリ秒(ms)に設定している。ここで、DSP−ACK信号は、上述したように、液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aが液晶シリアルデータDSP−SERを受信した旨を伝える信号であり、液晶制御MPU1750aは、サブ統合MPU1740aがステップS808で送信開始した表示コマンドをDSP−ACK信号待ち時間内で受信した際に、その旨を伝えるDSP−ACK信号をサブ統合基板1740(サブ統合MPU1740a)に出力する。
ステップS812に続いて、液晶シリアルデータDSP−SERを送信中であるとして送信フラグTX−FLGに値1をセットし(ステップS814)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS802で送信フラグTX−FLGが値1であるとき、つまり液晶シリアルデータDSP−SERを送信中であるときには、DSP−ACK信号待ち時間がタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS816)。
ステップS816でDSP−ACK信号待ち時間がタイムアウトしたとき、つまりDSP−ACK信号が液晶制御基板1750から入力され得る期間を超えているときには、サブ統合側リングバッファに記憶されている表示コマンドを構成する基コマンドを再送信するために、ステップS804で送信バッファが空であるか否かを判定し、送信バッファが空であるときにはステップS806で基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスが示す情報と、基コマンドの2バイト目として割り振られたモードが示す情報と、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出し、この算出したサム値を基コマンドの3バイト目として拡張して割り振ることによって送信用基コマンドを作成する。そしてステップS810で送信用基コマンドの1バイト目が送信バッファにセットされたとして送信カウンタTXCに値1をセットし、ステップS812でDSP−ACK信号待ち時間をセットしてDSP−ACK信号が液晶制御基板1750から入力される期間を設定し、ステップS814で液晶シリアルデータDSP−SERを送信中であるとして送信フラグTX−FLGに値1をセットし、このルーチンを終了する。なお、本実施形態では、再送信する回数として4回に設定しており、同一の送信用基コマンドを最大で5回、液晶制御基板1750に送信するようになっている。
一方、ステップS816でDSP−ACK信号待ち時間がタイムアウトしていなとき、つまりDSP−ACK信号が液晶制御基板1750から入力され得る期間内であるときには、ステップS806で作成した送信用基コマンドの2バイト目として割り振られたモード、そして3バイト目として割り振られたサム値を順に送信するため、そのままこのルーチンを終了する。なお、モード及びサム値は、送信バッファが空になると、その詳細な説明は後述するが、これを契機として割り込みが発生し、この割り込み処理の中で、それぞれ送信バッファにセットされてシリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に送信される。
一方、ステップS800で表示コマンドがないとき、つまりサブ統合側送信リングバッファに表示コマンドが記憶されていないときには、液晶制御基板1750に送信する表示コマンドがないため、そのままこのルーチンを終了し、ステップS804で送信バッファが空でないときには、送信バッファが空になるのを待つため、そのままこのルーチンを終了する。
この液晶シリアルコマンド制御処理は、上述したように、図159に示したサブ統合側タイマ割り込み処理におけるステップS766で行われている。つまり2msごとに繰り返し行われている。サブ統合MPU1740aは、液晶シリアルコマンド制御処理におけるステップS806で送信用基コマンドを作成してその1バイト目を送信バッファにセットすると、シリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に送信開始し、ステップS812でDSP−ACK信号待ち時間をセットし、ステップS814で液晶シリアルデータDSP−SERを送信中であるとして送信フラグTX−FLGに値1をセットする。これにより、2ms経過後に、液晶シリアルコマンド制御処理が開始されても、液晶シリアルデータDSP−SERを送信中であるとして送信フラグTX−FLGに値1がセットされているため、DSP−ACK信号待ち時間がタイムアップしないかぎり、つまりDSP−ACK信号が液晶制御基板1750から入力される得る期間内では、送信用基コマンドの1バイト目に続く、2バイト目そして3バイト目を送信バッファにセットしないようになっている。送信用基コマンドの2バイト目は、送信バッファにセットされた1バイト目の送信が完了して送信バッファが空になると、これを契機として割り込みが発生し、この割り込み処理の中で送信バッファにセットされてシリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に送信開始される。そして、送信用基コマンドの3バイト目は、送信バッファにセットされた2バイト目の送信が完了して送信バッファが空になると、この割り込み処理の中で送信バッファにセットされてシリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に送信開始される。このように、液晶シリアルコマンド制御処理は、ステップS806で送信用基コマンドを作成してその1バイト目を送信バッファにセットすると、送信用基コマンドの2バイト目及び3バイト目を送信する制御から切り離されるようになっている。これにより、2msごとに行われる、図159に示したサブ統合側タイマ割り込み処理の負荷を軽減している。
なお、表示コマンドが基コマンドを複数連なって構成されている場合において、これらすべての基コマンドを液晶制御基板1750が受信することによって液晶制御基板1750が液晶表示器1315の描画制御を行う場合には、サブ統合基板のサブ統合MPU1740aは、シリアル入出力ポートから1ビットずつ基コマンドを数珠繋ぎにして液晶制御基板1750に送信し、すべての基コマンドを送信完了したのちに、サム値を送信することができる。このサム値は、送信した基コマンドを数値とみなしてその合計を算出した値である。液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aは、すべての基コマンド及びサム値を受信したのち、これらの受信した基コマンドを数値とみなしてその合計であるサム値を算出し、この算出したサム値と、受信したサム値と、が一致しているか否かを判定することによって受信したすべての基コマンド、つまり表示コマンドが正しくサブ統合基板1740から液晶制御基板1750に伝わったか否かを確認することができる。そして一致していないときには、サブ統合MPU1740aは、同一の表示コマンドを液晶制御基板1750に再送信する。ところが、すべての基コマンドを送信完了してからサム値を送信して液晶制御MPU1750aが上述したサム値による判定で表示コマンドが正しくサブ統合基板1740から液晶制御基板1750に伝わったかいなかを判定していると、例えば、表示コマンドが大きい場合、つまり基コマンドの数が大きい場合では、そのうちの1つの基コマンドが、サブ統合基板1740と液晶制御基板1750との基板間を電気的に接続するハーネスに侵入したノイズの影響をたまたま受けて変化すると、他の基コマンドは正しくサブ統合基板1740から液晶制御基板1750に伝わったにもかかわらず、液晶制御MPU1750aは上述したサム値による判定で表示コマンドが正しくサブ統合基板1740から液晶制御基板1750に伝わらなかったと判断することとなり、サブ統合MPU1740aは、同一の表示コマンドを液晶制御基板1750に再送信することとなる。そうすると、サブ統合基板1740と液晶制御基板1750との基板間で無駄な送信時間を費やすことによって最上位である主制御基板1700と最下位である液晶制御基板1750との同期性を維持できなくなる。そこで、本実施形態では、基コマンドに基づいてサム値を算出し、この算出したサム値を基コマンドに付加して送信用基コマンドを作成し、この作成した送信用基コマンドを液晶制御基板1750に送信している。これにより、送信用基コマンドが、サブ統合基板1740と液晶制御基板1750との基板間を電気的に接続するハーネスに侵入したノイズの影響をたまたま受けて変化しても、サブ統合MPU1740aは、同一の送信用基コマンドを液晶制御基板1750に再送信することによって、表示コマンドを構成するすべての基コマンドを液晶制御基板1750に再送信する必要がなくなり、無駄な送信時間を費やすことがなくなる。したがって、基コマンドごとに送信用基コマンドを作成して液晶制御基板1750に送信する方法を採用することで、最上位である主制御基板1700と最下位である液晶制御基板1750との同期性を維持することできる。
[15−6.送信バッファ空割り込み処理]
次に、送信バッファ空割り込み処理について説明する。この送信バッファ空割り込み処理は、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aに内蔵されたシリアル入出力ポートの送信バッファが空になると、これを契機として開始される。
送信バッファ空割り込み処理が開始されると、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、図163に示すように、送信カウンタTXCが値3であるか否かを判定する(ステップS820)。この送信カウンタTXCは、上述したように、送信用基コマンドの何バイト目を送信バッファにセットしたかを示すカウンタであり、送信用基コマンドの1バイト目が送信バッファにセットされると値1、送信用基コマンドの2バイト目が送信バッファにセットされると値2、送信用基コマンドの3バイト目が送信バッファにセットされると値3となる。
ステップS820で送信カウンタTXCが値3でないとき、つまり送信用基コマンドの3バイト目が送信バッファにセットされていないときには、送信バッファに送信用基コマンドの次バイト目をセットし(ステップS822)、送信カウンタTXCの値に値1を加え(インクリメントし、ステップS824)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS820で送信カウンタTXCが値3であるとき、つまり送信用基コマンドの3バイト目が送信バッファにセットされたときには、そのままこのルーチンを終了する。
具体的には、図162に示した液晶シリアルコマンド送信制御処理におけるステップS808では、上述したように、送信用基コマンドの1バイト目が送信バッファにセットされており、この送信用基コマンドの1バイト目が、シリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に出力され、送信バッファが空になると、この送信バッファ空割り込み処理が開始される。そしてステップS822で送信バッファに送信用基コマンドの2バイト目をセットし、送信用基コマンドの2バイト目が送信バッファにセットされたとしてステップS824で送信カウンタTXCの値に値1を加え、送信カウンタの値を値2にセットし、このルーチンを終了する。送信バッファにセットされた送信用基コマンドの2バイト目が、シリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に出力され、送信バッファが空になると、再びこの送信バッファ空割り込み処理が開始される。そしてステップS822で送信バッファに送信用基コマンドの3バイト目をセットし、送信用基コマンドの3バイト目が送信バッファにセットされたとしてステップS824で送信カウンタTXCの値に値1を加え、送信カウンタの値を値3にセットし、このルーチンを終了する。送信バッファにセットされた送信用基コマンドの3バイト目が、シリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に出力され、送信バッファが空になると、再びこの送信バッファ空割り込み処理が開始される。この場合、送信カウンタTXCがすでに値3となっているため、ステップS820でそのままこのルーチンを終了する。このように、図162に示した液晶シリアルコマンド送信制御処理は送信用基コマンドの1バイト目のみ送信バッファにセットし、送信バッファ空割り込み処理は送信用基コマンドの2バイト目及び3バイト目を送信バッファにセットするようになっている。
[15−7.DSP−ACK信号割り込み処理]
次に、DSP−ACK信号割り込み処理について説明する。このDSP−ACK信号割り込み処理は、図134に示したDSP−ACK信号が液晶制御基板1750からサブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aに入力されると、これを契機として開始される。
DSP−ACK信号割り込み処理が開始されると、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、送信中フラグTX−FLGに値0をセットし(ステップS830)、このルーチンを終了する。この送信中フラグTX−FLGは、上述したように、表示コマンドを液晶シリアルデータDSP−SERとして液晶制御基板1750に送信しているか否かを示すフラグであり、液晶シリアルデータDSP−SERを送信中であるとき値1、液晶シリアルデータDSP−SER送信中でないとき値0にそれぞれ設定される。
サブ統合MPU1740aは、液晶制御基板1750からDSP−ACK信号が入力されると、表示コマンドを構成する基コマンドに基づいて作成した送信用基コマンドを液晶制御基板1750が受信完了したとして、ステップS830で送信中フラグTX−FLGに値0をセットしている。なお、サブ統合MPU1740aは、ステップS830で送信中フラグTX−FLGに値0をセットする他に、サブ統合内蔵RAMに設けたサブ統合側送信リングバッファに記憶されている表示コマンドを構成する次基コマンドがあれば、この次基コマンドを抽出できるように、次基コマンドが記憶されているアドレスにポインタを進める。
[15−8.ストック報知処理]
次に、ストック報知処理について説明する。このストック報知処理が開始されると、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、図165に示すように、50個以上のストック中であるか否かを判定する(ステップS840)。この判定は、図158に示したサブ統合側電源投入時処理におけるステップS726のコマンド解析処理で主制御基板1700から送信された送信情報から各種コマンドを解析し、解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、解析したコマンドが枠状態1を示す整形状態コマンドであるか否かを判定(ステータス:81H、モード:B7,B6=値0、B5=値1)し、枠状態1を示す整形状態コマンドであるときには、図157に示したモード、つまり枠状態1を示す状態コマンドのビットB2に値1がセットされているか否かを判定する。
ステップS840で50個以上のストック中でないとき、つまり枠状態1を示す状態コマンドのビットB2に値1がセットされていない(値0がセットされている)ときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS840で50個以上のストック中であるとき、つまり枠状態1を示す状態コマンドのビットB2に値1がセットされているときには、例えばホールの店員に対して遊技者の遊技を注意する旨を伝えるために注意演出として図119に示した扉枠装飾ランプ5gの点滅制御を行い(ステップS842)、このルーチンを終了する。この点滅制御は、上述した、ランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bに扉枠側点灯点滅コマンドを送信することにより行い、階調制御IC1760bが扉枠側点灯点滅コマンドを受信すると、扉枠装飾ランプ5gに点滅信号を出力する。なお、ストック状態が50個未満になると、払出制御基板715から主制御基板1700を介してサブ統合基板1740に状態コマンドが出力される。サブ統合基板1740は、解析した状態コマンドに基づいて(状態コマンドのビットB2に値0がセットされているか否かを判定する。)ランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bに扉枠側点灯点滅コマンドの送信を停止する。これにより、階調制御IC1760bは扉枠装飾ランプ5gに点滅信号の出力を停止する。
ここで、上述したように、遊技者は、遊技状態が大当りとなると、うっかりして50個程度であれば、上述した、貯留皿30から球排出ボタン30aを操作して遊技球を抜かないことがある。このように、遊技球を抜かないでいると、未払い出しの球数(上述した賞球ストック数PBS)が増加して注意演出が行われることとなる。そうすると、例えば遊技状態が大当りとなるごとに、うっかりしていると、注意演出が行われることとなり、せっかくの大当りというリラックスした状態にあるにもかかわらず、遊技者にいらだちを感じてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、注意演出として50個以上のストック中である旨をホールの店員に報知するために扉枠装飾ランプ5gの点滅に留めている。
[15−9.球抜き報知処理]
次に、球抜き報知処理について説明する。この球抜き報知処理が開始されると、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、図166に示すように、球抜き中であるか否かを判定する(ステップS850)。この判定は、図158に示したサブ統合側電源投入時処理におけるステップS726のコマンド解析処理で主制御基板1700から送信された送信情報から各種コマンドを解析し、解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、解析したコマンドが枠状態2を示す整形状態コマンドであるか否かを判定(ステータス:81H、モード:B7=値0、B6,B5=値1)し、枠状態2を示す整形状態コマンドがあるときには、図157に示したモード、つまり枠状態2を示す状態コマンドのビットB0に値1がセットされているか否かを判定する。
ステップS850で球抜き中でないとき、つまり枠状態2を示す状態コマンドのビットB0に値1がセットされていない(値0がセットされている)ときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS850で球抜き中であるとき、つまり枠状態2を示す状態コマンドのビットB0に値1がセットされているときには、図119に示した扉枠装飾ランプ5g,5hの点滅制御を行い(ステップS852)、このルーチンを終了する。この点滅制御は、上述した、ランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bに扉枠側点灯点滅コマンドを送信することにより行い、階調制御IC1760bが扉枠側点灯点滅コマンドを受信すると、扉枠装飾ランプ5g,5hに点滅信号を出力する。なお、球抜きの終了を契機に、払出制御基板715から主制御基板1700を介してサブ統合基板1740に状態コマンドが出力される。サブ統合基板1740は、解析した状態コマンドに基づいて(状態コマンドのビットB0に値0がセットされているか否かを判定する。)ランプ駆動基板1760の階調制御IC1760bに扉枠側点灯点滅コマンドの送信を停止する。これにより、階調制御IC1760bは扉枠装飾ランプ5g,5hに点滅信号の出力を停止する。
[16.液晶制御基板の各種制御処理]
次に、図119に示した、サブ統合基板1740(サブ統合MPU1740a)から表示コマンドを受信する液晶制御基板1750の各種処理について説明する。まず、液晶制御側電源投入時処理について説明し、続いてDMAFLAG割り込み処理、液晶制御側コマンド受信割り込み処理について説明する。図167は液晶制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図168はDMAFLAG割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図169は描画データの生成を示すタイミングチャートであり、図170は液晶制御側コマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図171は液晶シリアルデータの送信及び受信確認を示すタイミングチャートである。なお、サブ統合側コマンド受信割り込み処理、DMAFLAG割り込み処理の順番で優先順位が設定されている。
[16−1.液晶制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aは、図167に示すように、液晶制御側電源投入時処理を行う。この液晶制御側電源投入時処理が開始されると、液晶制御MPU1750aは、ブート処理を行う(ステップS1000)。このブート処理では、図119に示した、液晶制御ROM1750bに記憶されている各種プログラムを、液晶制御MPU1750aに内蔵されたRAM(以下、「液晶内蔵RAM」と記載する。)にコピーしたりする。液晶制御MPU1750aは、必要に応じて液晶内蔵RAMから各種プログラムを読み出して行う。なお、本実施例では、液晶内蔵RAMの容量の制限によって上述したスケジュールデータについてはコピーせず液晶制御ROM1750bから抽出しているが、液晶内蔵RAMの容量に余裕があればスケジュールデータもコピーしてもよい。
ステップS1000に続いて、SIO初期設定処理を行う(ステップS1002)。このSIO初期設定処理では、液晶制御MPU1750aに内蔵されたシリアル入出力の初期設定を行い、図134に示した、サブ統合基板1740からの液晶表示器1315に表示させる画面を示す表示コマンドを液晶シリアルデータDSP−SERとして受信するコマンド割り込み処理の許可を設定する。これにより、液晶制御MPU1750aに内蔵されたシリアル入出力の受信バッファが表示コマンドを受信すると、割り込み受信があった旨を液晶制御MPU1750aに内蔵された中央演算処理装置であるCPUコアに伝えている。
ステップS1002に続いて、転送IC初期設定処理を行う(ステップS1002)。この転送IC初期設定処理では、図134に示した、転送IC1750mのレジスタ群1750maにおける、アクセス条件等を各種レジスタに書き込んで初期設定する。
ステップS1004に続いて、スプライトデータ常駐領域転送開始処理を行う(ステップS1006)。このスプライトデータ常駐領域転送開始処理では、図134に示した、転送IC1750mのレジスタ群1750maに転送元アドレス、転送先アドレス、転送バイト数等の各種設定値を書き込んで設定し、スプライトデータ転送開始信号を転送IC1750mに出力する。このスプライトデータ転送開始信号が入力されると、転送IC1750mは、レジスタ群1750maに書き込まれた各種設定値に基づいてキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750zaに転送開始する。転送IC1750mは、スプライトデータ常駐領域転送開始処理を行うと、液晶制御MPU1750aによる制御を介すことなく、つまり独立して、レジスタ群1750maに書き込まれた各種設定値に基づいてキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750zaに転送開始する。具体的には、最初に電源復旧中である旨を伝えるため、液晶制御MPU1750aは、転送IC1750mのレジスタ群1750maに転送元アドレス、転送先アドレス、転送バイト数等の各種設定値を書き込んで設定し、スプライトデータ転送開始信号を転送IC1750mに出力する。転送IC1750mは、キャラRAM1750zの常駐領域1750zaに「電源復旧中です」という文字のスプライトデータを転送してコピーする。これにより、後述するDMAFLAG割り込み処理において、VDP1750cは、「電源復旧中です」のスプライトデータ(液晶表示器1315の所定の位置に描画する情報を含んでいる。)をキャラRAM1750zの常駐領域1750zaから抽出し、この抽出したスプライトデータを仮想スクリーンであるキャンバスCVでビットマップに展開して描画データを生成する。その後、液晶表示器1315には、この液晶電源投入時処理が開始されると、まず「電源復旧中です」という文字が描画されることとなる。そして、この「電源復旧中です」という文字が描画されている間では、背景のスプライトデータや、「大当り」の文字等のスプライトデータ等、突発的に液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータが、継続して常駐領域1750zaに転送されている。なお、本実施形態では、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータが極めて多いため、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750zaに転送開始してから転送完了するまでに、約10秒(s)かかっている。
ステップS1006に続いて、ポート設定処理を行う(ステップS1008)。このポート設定処理では、液晶制御MPU1750aに内蔵された各種入出力ポートの設定を行う。具体的には、各種入出力ポートの入出力方向の設定等を行う。
ステップS1008に続いて、VDP初期設定処理を行う(ステップS1010)。このVDP初期設定処理では、図134に示したVDP1750cの初期設定を行う。具体的には、VDP1750cのVDPレジスタ1750cbに、描画条件設定データのうち、VDP1750cの環境設定に関するデータを書き込む。この描画条件設定データは、上述したように、仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVの大きさを設定するデータ、キャンバスCVの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、グループ化されたスプライトをレイヤに配置して合成画面を設定するデータ、上述したラインバッファから液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の大きさを設定するデータ、解像度を設定するデータ等から構成されている。ここでは、VDP1750cのVDPレジスタ1750cbに、VDP1750cの環境設定に関するデータとして、仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVの大きさを設定するデータ、キャンバスCVの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、ラインバッファから液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の大きさを設定するデータ、解像度を設定するデータを書き込む。なお、VDP1750cは、このVDP初期設定処理により、図134に示したDMA実行中信号DMAFLAGの出力準備が完了する。
ステップS1010に続いて、スケーラIC初期設定処理1を行う(ステップS1012)。このスケーラIC初期設定処理1では、図134に示したスケーラIC1750fのレジスタ群1750faの初期化を行う。具体的には、図135に示したレジスタ群1750faを構成する、フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0〜フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3、フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0〜フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3、メモリ読み出し改行幅レジスタOMWI、メモリ書き込み改行幅レジスタIMWI、メモリアクセス制御レジスタMDACT、メモリアクセススタートアドレスレジスタMDAST、メモリアクセスエンドアドレスレジスタMDAEND等の各種レジスタにそれぞれの設定値を書き込む。これらの設定値は、図134に示した、書き込みシリアルデータSCL−S0として、I/Fクロック信号SCL−SCLと同期してスケーラIC1750fに送信することによって設定される。
ステップS1012に続いて、非割り込み側定常処理を繰り返し行う(ステップS1014)。この非割り込み側定常処理では、図119に示した液晶表示器1315に表示させる、遊技の結果に影響しないスプライトを表示させるか否かの判定等を行う。
ここで、パチンコ遊技機1が設置されるホールには、他の多種多様なパチンコ遊技機が設置されている。このため、ホールの電力事情などによって、パチンコ遊技機1に供給される電力が一時停止する瞬停が発生するおそれがある。遊技者がパチンコ遊技機1で遊技を行っている最中に、瞬停が発生すると、復電時に、主制御基板1700の主制御MPU1700aは、図138に示した主制御側電源投入時処理を行い、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、図158のサブ統合側電源投入時処理を行い、液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aは、図167に示した液晶制御側電源投入時処理を行う。
主制御MPU1700aは、主制御電源投入時処理におけるステップS26のウェイトタイマ2では、液晶制御側電源投入時処理におけるステップS1000のブート処理が完了するまで待っている処理であり、その後、主制御電源投入時処理におけるステップS46で割り込み許可を設定した後、4msごとに、図140に示した主制御側タイマ割り込み処理で遊技の進行を行っている。サブ統合MPU1740aは、サブ統合側電源投入時処理におけるステップS700の初期設定処理でマイクロ秒(μs)オーダーという極めて短い時間で自身を初期化する処理を行い、割り込み許可を設定した後、図160に示したサブ統合側コマンド受信処理割り込み処理で主制御基板1700からの遊技演出コマンドを受信することができるようになり、また2msごとに、図159示したサブ統合側タイマ割り込み処理で演出の進行を行っている。このサブ統合側タイマ割り込み処理におけるステップS766の液晶シリアルコマンド制御処理で液晶制御基板1750に表示コマンド等を送信することができるようになる。液晶制御MPU1750aは、液晶制御投入時処理におけるステップS1000のブート処理を行い、続いてステップS1002のSIO初期設置処理を行う。このSIO初期設定処理では、上述したようにサブ統合基板1740からの液晶表示器1315に表示させる画面を示す表示コマンドを液晶シリアルデータDSP−SERとして受信することができる状態となる。ステップS1002のSIO初期設置処理続いてステップS1003の転送IC初期設定処理、そしてステップS1006のスプライトデータ常駐領域転送開始処理によって、転送IC1750mは、スプライトデータ常駐領域転送開始処理を行うと、液晶制御MPU1750aによる制御を介すことなく、つまり独立して、各種レジスタに書き込まれた設定値に基づいてキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750zaに転送開始する。
このように、瞬停が発生しても、復電時に、液晶制御MPU1750aは、電源投入時処理におけるステップS1000のブート処理に続いて、同処理におけるステップS1002のSIO初期設定処理を行うことができるため、サブ統合基板1740からの液晶シリアルデータDSP−SERを取りこぼすことなく受信することができる。また、転送IC1750mは、そのレジスタ群1750maの各種レジスタ群1750maに設定値が液晶制御MPU1750aにより書き込まれると、設定値に基づいて液晶制御MPU1750aによる制御を介すことなく、つまり独立して、各種レジスタに書き込まれた設定値に基づいてキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送開始する。このため、液晶制御MPU1750aは、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送開始してから転送完了するまで待たずに、液晶制御側電源投入時処理におけるステップ
S1008のポート設定処理を行うことができ、続いてステップS1010のVDP初期設定処理を行ってDMA実行中信号DMAFLAGの出力準備が完了するため、後述するDMAFLAG割り込み処理を速やかに行うことができる。したがって、瞬停が発生しても、復電時に遊技を速やかに再開することができる。
[16−2.DMAFLAG割り込み処理]
次に、DMAFLAG割り込み処理について説明する。このDMAFLAG割り込み処理は、図134に示した、VDP1750cからのDMA実行中信号DMAFLAGに基づいて行う。このDMA実行中信号DMAFLAGは、上述したように、VDP1750cが液晶制御MPU1750aからの画面データ、詳しくはスプライト設定データを受け入れない旨を伝える信号であり、液晶制御MPU1750aは、DMA実行中信号DMAFLAGの出力が停止されたことを契機として、DMAFLAG割り込み処理を行う。DMA実行中信号DMAFLAGの出力は、上述したように、16ミリ秒(ms)ごとに停止されるため、液晶制御MPU1750aはDMAFLAG割り込み処理を16msごとに行う。なお、液晶制御MPU1750aは、その内蔵された入出力ポートから図134に示した外部WDTクリア信号を、このDMAFLAG割り込み処理を開始するごとに、図134に示したフリップフロップ1750iに出力するようになっている。
DMAFLAG割り込み処理が開始されると、液晶制御MPU1750aは、多重割り込み許可の設定を行う(ステップS1020)。この多重割り込み許可の設定では、VDP1750cからのDMA実行中信号DMAFLAGによる割り込み、サブ統合基板1740からの表示コマンドを受信する際の割り込み等の各種割り込み処理を有効に設定する。これらの各種割り込み処理の設定が、例えばノイズの影響を受けて有効から無効に変化すると、各種割り込み処理が行えなくなるおそれがあり、遊技を中断せざるを得ない状態となる。そこで、本実施形態では、このDMAFLAG割り込み処理の中で、つまり16msごとに、多重割り込み許可の設定を行っている。
ステップS1020に続いて、ノイズキャンセル判定処理を行う(ステップS1022)。このノイズキャンセル判定処理では、DMA実行中信号DMAFLAGが入力される端子のノイズの影響を判定する。具体的には、その端子に入力された信号をサンプリングして(「端子レベル」という。)ノイズ除去時間を超えているか否かにより行う。
ステップS1022に続いて、端子レベルは正常か否かの判定を行う(ステップS1024)。この判定は、ステップS1022の端子レベルに基づいて行う。具体的には、端子レベルがノイズ除去時間を超えているとき、つまり端子に入力されたDMA実行中信号DMAFLAGがノイズの影響を受けていない信号であるときには正常と判定する一方、端子レベルがノイズ除去時間を超えていないとき、つまり端子に入力されたDMA実行中信号DMAFLAGがノイズの影響を受けている信号であるときには異常と判定する。
ステップS1024で端子レベルが正常であるとき、つまり端子に入力されたDMA実行中信号DMAFLAGがノイズの影響を受けていない信号であるときには、上下フラグUD−FLGが値0であるか否かの判定を行う(ステップS1026)。この上下フラグUD−FLGは、上画面の描画データを生成するか、又下画面の描画データを生成するか、のいずれかを示すフラグであり、上画面の描画データを生成するとき値0、下画面の描画データを生成するとき値1に設定される。
ステップS1026で上下フラグUD−FLGが値0、つまり1画面のうち、上画面の描画データを生成するときには、ポート設定処理を行う(ステップS1028)。このポート設定処理では、図167に示した液晶制御電源投入時処理におけるステップS1008のポート設定処理と同一の処理を行い、液晶制御MPU1750aに内蔵された各種入出力ポートの設定を行う。
ステップS1028に続いて、VDP初期設定処理を行う(ステップS1030)。このVDP初期設定処理では、図167に示した液晶制御側電源投入時処理におけるステップS1010のVDP初期設定処理で行った処理と同一の処理を行い、VDP1750cのVDPレジスタ1750cbに、VDP1750cの環境設定に関するデータとして、仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVの大きさを設定するデータ、キャンバスCVの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、ラインバッファから液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の大きさを設定するデータ、解像度を設定するデータを書き込む。つまりそれぞれのデータを上書きする。
ステップS1030に続いて、スケーラIC初期設定処理2を行う(ステップS1032)。このスケーラIC初期設定処理2では、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faのうち、図135に示した、フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0〜フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3、フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0〜フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3、メモリ読み出し改行幅レジスタOMWI、メモリ書き込み改行幅レジスタIMWI、メモリアクセス制御レジスタに、それぞれの設定値を書き込む。つまりそれぞれの設定値を上書きする。これらの設定値は、図134に示した、書き込みシリアルデータSCL−S0として、I/Fクロック信号SCL−SCLと同期してスケーラIC1750fに送信することによって設定される。
ステップS1032に続いて、コマンド解析処理を行う(ステップS1034)。このコマンド解析処理では、図119に示したサブ統合基板1740からの表示コマンドを、後述する液晶制御側コマンド受信割り込み処理で受信し、この受信した表示コマンドの解析を行う。
ステップS1034に続いて、描画条件設定データ設定処理を行う(ステップS1036)。この描画条件設定データ設定処理では、ステップS1034で解析した表示コマンドに対応するスケジュールデータを図134に示した液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出したスケジュールデータから先頭の画面データを液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出した先頭の画面データのうち、描画条件設定データをVDP1750cのVDPレジスタ1750cbに出力したり、又はそのスケジュールデータが進行中であるときには、スケジュールデータに時系列に配列された画面データを1つ進めて次の画面データを液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出した画面データのうち、描画条件設定データをVDP1750cのVDPレジスタ1750cbに出力したりする。描画条件設定データは、上述したように、仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVの大きさを設定するデータ、キャンバスCVの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、グループ化されたスプライトをレイヤに配置して合成画面を設定するデータ、ラインバッファから液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の大きさを設定するデータ、解像度を設定するデータ等から構成されている。具体的には、VDP1750cのVDPレジスタ1750cbに、描画条件設定データのうち、VDP1750cの環境設定に関するデータ以外のデータを書き込む。ここでは、VDP1750cのVDPレジスタ1750cbに、VDP1750cの環境設定に関するデータ以外のデータとして、キャンバスCVの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、グループ化されたスプライトをレイヤに配置して合成画面を設定するデータを書き込む。つまりそれぞれのデータを上書きする。
ステップS1036に続いて、スプライト設定データ設定処理を行う(ステップS1038)。このスプライト設定データ設定処理では、ステップS1034で解析した表示コマンドに対応するスケジュールデータを図134に示した液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出したスケジュールデータから先頭の画面データを液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出した先頭の画面データのうち、スプライト設定データをVDP1750cのスプライトレジスタ1750caに出力したり、又はそのスケジュールデータが進行中であるときには、スケジュールデータに時系列に配列された画面データを1つ進めて次の画面データを液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出した画面データのうち、スプライト設定データをVDP1750cのスプライトレジスタ1750caに出力したりする。スプライト設定データは、上述したように、キャラクタを複数張り合わせてスプライトとして画面に表示させるデータ、スプライトの描画色を設定するデータ、スプライトの描画位置を設定するデータ、複数のスプライトをグループ化するデータ等から構成されている。
スプライト設定データ設定処理を行う際には、16ms前に、VDP1750cのスプライトレジスタ1750caに書き込んだスプライト設定データがスプライトレジスタ1750caの第1バッファからスプライトレジスタ1750caの第2バッファへDMA転送されて第1バッファ及び第2バッファに同一のスプライト設定データが書き込まれた状態となっている。VDP1750cは、第2バッファへDMA転送されたスプライト設定データ、つまり16ms前のスプライト設定データに基づいて転送IC1750mによってキャラRAM1750mからスプライトデータを抽出し、この抽出したスプライトデータをVDP1750cの仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVでビットマップに展開して描画データを生成する。本実施形態では、上述したように、上画面の描画データを生成する場合を基準として設定している。このため、上画面の描画データを生成する場合には、キャンバスCVでビットマップに展開された描画データは、キャンバスCVの原点からx方向に800ドット、y方向に300ドットの矩形領域である切り出し領域にすでに配置された状態となっている。VDP1750cは、その詳細な説明は後述するが、所定の条件が成立すると、生成した描画データをそのまま上画面の描画データとして1ライン分ずつラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した描画データをスケーラIC1750fに出力する。
ステップS1038に続いて、スプライトデータ非常駐領域転送開始処理を行う(ステップS1039)。このスプライトデータ非常駐領域転送開始処理では、ステップS1034のコマンド解析処理で解析した表示コマンドに対応する非常駐領域転送スケジュールデータを図134に示した液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出した非常駐領域転送スケジュールデータから先頭の非常駐領域転送データを抽出する。この抽出した先頭の非常駐領域伝送データに基づいて、図134に示した、転送IC1750mのレジスタ群1750maに転送元アドレス、転送先アドレス等を各種レジスタに書き込んで設定し、転送IC1750mがキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの非常駐領域1750zbに転送開始したり、又は非常駐領域転送スケジュールデータが進行中であるときには、非常駐領域転送スケジュールデータに時系列に配列された非常駐領域転送データを1つ進めて次の非常駐領域転送データを液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出した非常駐領域転送データに基づいて、転送IC1750mのレジスタ群1750maに転送元アドレス、転送先アドレス等を各種レジスタに書き込んで設定し、転送IC1750mがキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの非常駐領域1750zbに転送開始したりする。非常駐領域転送スケジュールデータは、上述したように、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの非常駐領域1750zbに転送する際に、その順序を規定する非常駐領域転送データが時系列に配列されて構成されている。この非常駐領域転送データは、スケジュールデータの進行に従って液晶表示器1315に描画される画面データを、前もって、キャラROM1750dからキャラRAM1750z非常駐領域1750zbにスプライトデータを転送する順序が規定されている。つまり非常駐領域転送スケジュールは、スケジュールデータに従ってスプライトが液晶表示器1315に描画される時期に間に合うようにキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送する時期が規定されている。これにより、キャラROM1750dからキャラRAM1750zへのスプライトデータの転送時期を管理することができる。このように、液晶制御MPU1750aは、表示コマンドに対応する、スケジュールデータ及び非常駐領域転送スケジュールデータの2本のスケジューラを平行に進行することによって液晶表示器1315の描画の進行を行っている。なお、液晶制御MPU1750aは、転送IC1750mのレジスタ群1750maに各種設定値を書き込んで設定すると、スプライトデータ転送開始信号を転送IC1750mに出力する。このスプライトデータ転送開始信号が入力された転送IC1750mは、レジスタ群1750maに書き込まれた各種設定値に基づいて、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送開始する。
ステップS1039に続いて、スプライトの最適化を行う(ステップS1040)。このスプライトの最適化では、キャンバスCVでビットマップに展開した際に、描画データのうち、図134に示した液晶表示器1315の表示領域外のスプライトを削除している。これにより、VDP1750cには、不要なスプライトがなくなるため、VDP1750cの演算処理能力を向上させることができる。
ステップS1040に続いて、上下フラグUD−FLGに値1をセットする(ステップS1042)。これにより、上画面の描画データの生成が完了し、下画面の描画データの生成を行うことができるようになる。
ステップS1042に続いて、図134に示した、スケーラIC1750fへのフィールド信号FIELDの出力を停止し(フィールド信号FIELDをOFFし、ステップS1044)、このルーチンを終了する。このフィールド信号FIELDの出力が停止されることによって、スケーラIC1750fは、図134に示したフレームメモリ1750gに上画面の描画データを書き込む準備が整う。
一方、ステップS1026で上下フラグUD−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり下画面の描画データを生成するときには、ポート設定処理を行う(ステップS1046)。このポート設定処理では、ステップS1028のポート設定処理と同一の処理、つまり図167に示した液晶制御電源投入時処理におけるステップS1008のポート設定処理と同一の処理を行い、液晶制御MPU1750aに内蔵された各種入出力ポートの設定を行う。
ステップS1046に続いて、VDP初期設定処理を行う(ステップS1048)。このVDP初期設定処理では、ステップS1030のVDP初期設定処理と同一の処理、つまり図167に示した液晶制御側電源投入時処理におけるステップS1010のVDP初期設定処理で行った処理と同一の処理を行い、VDP1750cのVDPレジスタ1750cbに、VDP1750cの環境設定に関するデータとして、仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVの大きさを設定するデータ、キャンバスCVの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、ラインバッファから液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の大きさを設定するデータ、解像度を設定するデータを書き込む。つまりそれぞれのデータを上書きする。
ステップS1048に続いて、スケーラIC初期設定処理2を行う(ステップS1050)。このスケーラIC初期設定処理2では、ステップS1032のスケーラIC初期設定処理2と同一の処理であり、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faのうち、図135に示した、フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0〜フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3、フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0〜フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3、メモリ読み出し改行幅レジスタOMWI、メモリ書き込み改行幅レジスタIMWI、メモリアクセス制御レジスタに、それぞれの設定値を書き込む。つまりそれぞれの設定値を上書きする。これらの設定値は、図134に示した、書き込みシリアルデータSCL−S0として、I/Fクロック信号SCL−SCLと同期してスケーラIC1750fに送信することによって設定される。
ステップS1050に続いて、描画条件設定データ設定処理を行う(ステップS1052)。この描画条件設定データ設定処理では、ステップS1036と同一の描画条件設定データ設定処理であり、前回、つまり16ms前に、このDMAFLAG割り込み処理におけるステップS1036の描画条件設定データ設定処理で書き込んだ環境設定に関するデータ以外の同一のデータである、キャンバスCVの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、グループ化されたスプライトをレイヤに配置して合成画面を設定するデータを書き込む。つまりそれぞれのデータを上書きする。
ステップS1052に続いて、スプライト設定データ座標変更設定処理を行う(ステップS1054)。このスプライト設定データ座標変更設定処理では、前回、つまり16ms前に、このDMAFLAG割り込み処理におけるステップS1038のスプライト設定データ設定処理でVDP1750cのスプライトレジスタ1750caに書き込んだスプライト設定データのうち、スプライトの描画位置を設定するデータのy座標値を値300だけ減算する。
スプライト設定データ座標変更設定処理を行う際には、16ms前に、このDMAFLAG割り込み処理におけるステップS1038のスプライト設定データ設定処理でVDP1750cのスプライトレジスタ1750caに書き込んだスプライト設定データがスプライトレジスタ1750caの第1バッファからスプライトレジスタ1750caの第2バッファへDMA転送されて第1バッファ及び第2バッファに同一のスプライト設定データが書き込まれた状態となっている。液晶制御MPU1750aは、第1バッファに書き込まれているスプライト設定データのうち、スプライトの描画位置を設定するデータのy座標値を値300だけ減算する。これにより、次回、つまり16ms後に、y座標値が変更されたスプライト設定データがスプライトレジスタ1750caの第1バッファからスプライトレジスタ1750caの第2バッファへDMA転送されて第1バッファ及び第2バッファに同一のスプライト設定データが書き込まれた状態となっている。VDP1750cは、第2バッファへDMA転送されたスプライト設定データ、つまりy座標が変更されたスプライト設定データに基づいて転送IC1750mによってキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出し、この抽出したスプライトデータをVDP1750cの仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVでビットマップに展開して描画データを生成する。この描画データは、キャンバスCVの左上に設定された原点からx方向に800ドット、y方向に300ドットの矩形領域である切り出し領域に配置された状態となっている。VDP1750cは、その詳細な説明は後述するが、所定の条件が成立すると、生成した描画データをそのまま下画面の描画データとして1ライン分ずつラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した描画データをスケーラIC1750fに出力する。
ステップS1054に続いて、コード対比チェック処理を行う(ステップS1056)。このコード対比チェック処理では、図167に示した液晶制御側電源投入時処理におけるステップS1000のブート処理で液晶制御ROM1750bから液晶内蔵RAMに複製された各種プログラムが、液晶制御ROM1750bに記憶されている各種プログラムと一致しているか否かの整合性の確認を行う。一致していないプログラムがあるときには、そのプログラムを液晶制御ROM1750bから液晶内蔵RAMにコピーし直す。このように、液晶内蔵RAMには、整合性がとれた各種プログラムが記憶されるようになっている。
ステップS1056に続いて、作業領域のバックアップを行う(ステップS1058)。この作業領域のバックアップは、このDMAFLAG割り込み処理で処理した情報を液晶内蔵RAMに設けた作業領域上のコピー領域にコピーする。
ステップS1058に続いて、上下フラグUD−FLGに値0をセットする(ステップS1060)。これにより、下画面の描画データの生成が完了し、次の1画面である上画面の描画データの生成を行うことができるようになる。
ステップS1060に続いて、スケーラIC1750fへのフィールド信号FIELDの出力を開始し(フィールド信号FIELDをONし、ステップS1062)、このルーチンを終了する。このフィールド信号FIELDの出力が開始されることによって、スケーラIC1750fは、フレームメモリ1750gに下画面の描画データを書き込む準備が整う。
一方、ステップS1024で端子レベルが異常であるとき、つまり端子に入力されたDMA実行中信号DMAFLAGがノイズの影響を受けている信号であるときには、そのままこのルーチンを終了する。
なお、液晶制御MPU1750aは、DMAFLAG割り込み処理において、つまり16msごとに、ステップS1028のポート設定処理、ステップS1030のVDP初期設定処理、そしてステップS1032のスケーラIC初期設定処理2を順に行うか、又はステップS1046のポート設定処理、ステップS1048のVDP初期設定処理、そしてステップS1050のスケーラIC初期設定処理2を順に行う。
ステップS1028及びステップS1046のポート設定処理では、液晶制御MPU1750aがノイズの影響を受けると、液晶制御MPU1750aの入出力方向が変わってVDP1750cやスケーラIC1750fとの電気的な信号のやりとりが困難となり、制御不能に陥ったりする。そこで、液晶制御MPU1750aは、DMAFLAG割り込み処理において、つまり16msごとに、ステップS1028又はステップS1046のいずれかのポート設定処理を行うことで、ノイズの影響の影響を受けにくくしている。
ステップS1030及びステップS1048のVDP初期設定処理では、VDP1750cがノイズの影響を受けると、VDP1750cのVDPレジスタ1750cbに書き込まれた環環境設定に関するデータが変化して、仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVでビットマップに展開した描画データを上述した切り出し領域に配置することが困難となり、正しい描画データを生成することができなくなったり、解像度が高くなったり又は小さくなったりしてゆがんだ描画データをスケーラIC1750fに出力してしまったりする。そこで、液晶制御MPU1750aは、DMAFLAG割り込み処理において、つまり16msごとに、ステップS1030又はステップS1048のいずれかのVDP初期設定処理を行うことで、VDP1750cのVDPレジスタ1750cbに、VDP1750cの環境設定に関するデータとして、仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVの大きさを設定するデータ、キャンバスCVの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、ラインバッファから液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の大きさを設定するデータ、解像度を設定するデータを書き込むことによって、つまり上書きすることによってノイズの影響を受けにくくしている。
ステップS1032及びステップS1050のスケーラIC初期設定処理2では、スケーラIC1750fがノイズの影響を受けると、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faのうち、例えば、フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0〜フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3に設定された設定値が変化して上画面の描画データ及び下画面の描画データを正しく読み出せなくなる。そうすると、1画面分の描画データを読み込んでも混沌とした描画データとなる。また、フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0〜フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3に設定された設定値が変化して上画面の描画データ及び下画面の描画データをフィールド1750g[0]〜フィールド1750g[3]に正しく書き込むことができなくなる。そうすると、フレームメモリ1750gに混沌とした1画面分の描画データが生成されたりする。そこで、液晶制御MPU1750aは、DMAFLAG割り込み処理において、つまり16msごとに、ステップS1032又はステップS1050のいずれかのスケーラIC初期設定処理2を行うことで、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faを構成する、フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0〜フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3、フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0〜フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3、メモリ読み出し改行幅レジスタOMWI、メモリ書き込み改行幅レジスタIMWI、メモリアクセス制御レジスタMDACTにそれぞれ設定値を書き込むことによって、つまり上書きすることによってノイズの影響を受けにくくしている。したがって、ノイズの影響を受けても液晶表示器1315に正しい1画面分の描画データを描画して表示することができる。
次に、描画データの生成方法について図169のタイミングチャートを用いて説明する。VDP1750cから液晶制御MPU1750aに入力されている、図169(e)に示すDMA実行中信号DMAFLAGの出力が停止されてその信号が立ち下がると(「ダウンエッジ」という。タイミングT0)、液晶制御MPU1750aは、図168に示したDMAFLAG割り込み処理を行う。
このDMAFLAG割り込み処理が開始されると、液晶制御MPU1750aはVDP初期設定処理を行う(タイミングT1、DMAFLAG割り込み処理のステップS1030)。このVDP初期設定処理では、上述したように、図169(a)に示す、VDP1750cのVDPレジスタ1750cbに、VDP1750cの環境設定に関するデータとして、仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVの大きさを設定するデータ、キャンバスCVの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、ラインバッファから液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の大きさを設定するデータ、解像度を設定するデータを書き込む。つまりそれぞれのデータを上書きする。
続いて、液晶制御MPU1750aはスケーラIC初期設定処理2を行う(タイミングT2、同処理のステップS1032)。このスケーラIC初期設定処理2では、上述したように、図169(b)に示す、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faのうち、フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0〜フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3、フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0〜フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3、メモリ読み出し改行幅レジスタOMWI、メモリ書き込み改行幅レジスタIMWI、メモリアクセス制御レジスタに、それぞれの設定値を書き込む。つまりそれぞれの設定値を上書きする。
続いて、液晶制御MPU1750aはスプライト設定データ設定処理を行う(タイミングT3、同処理のステップS1038)。このスプライト設定データ設定処理では、N番目スプライト設定データとして、上述したように、同処理のステップS1034で解析した表示コマンドに対応するスケジュールデータを図134に示した液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出したスケジュールデータから先頭の画面データを液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出した先頭の画面データのうち、スプライト設定データをVDP1750cのスプライトレジスタ1750caに出力したり、又はそのスケジュールデータが進行中であるときには、スケジュールデータに時系列に配列された画面データを1つ進めて次の画面データを液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出した画面データのうち、スプライト設定データをVDP1750cのスプライトレジスタ1750caに出力したりする。
続いて、VDP1750cは、図169(f)に示す垂直同期信号VS−INを出力してその信号が立ち上がると(「アップエッジ」という。タイミングT4)、図169(d)に示すVDP出力として(N−1)番目下画面の描画データを1ライン分ずつラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した描画データを図134に示したスケーラIC1750fに出力する。この(N−1)番目下画面の描画データは、16ms前、DMAFLAG割り込み処理におけるステップS1038のスプライト設定データ設定処理でVDP1750cのスプライトレジスタ1750caに書き込んだスプライト設定データのうち、スプライトの描画位置を設定するデータのy座標値を値300だけ減算して生成されている。タイミングT4では、スケーラIC1750fは、図169(f)に示す垂直同期信号VS−INがアップエッジするのを契機として、図169(g)に示す液晶制御MPU1750aからのフィールド信号FIELDに基づいて、VDP1750cから出力される描画データが上画面の描画データであるか、又は下画面の描画データであるか、を伝える信号である、図169(h)に示すIFLD0、図169(i)に示すIFLD1信号をフレームメモリ1750gにそれぞれ出力するとともに、図169(n)に示す、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[2]に書き込まれた上画面の描画データそしてフレームメモリ1750gのフィールド1750g[3]に書き込まれた下画面の描画データを順次読み出し、図134に示したLVDSトランスミッタ1750hを介して、液晶表示器1315に出力する。フレームメモリ1750gは、入力された、図169(h)に示すIFLD0、図169(i)に示すIFLD1信号によって、図169(m)に示すフレームメモリ1750gのフィールド1750g[1]に(N−1)番目下画面の描画データを書き込む。
続いて、液晶制御MPU1750aは、図169(g)に示すフィールド信号FIELDをダウンエッジし(タイミングT5、同処理のステップS1044)、DMAFLAG割り込み処理を終了する。
続いて、タイミングT0から16ms経過し、図169(e)に示すDMA実行中信号DMAFLAGがダウンエッジすると(タイミングT6)、液晶制御MPU1750aは、再びDMAFLAG割り込み処理を行う。
このDMAFLAG割り込み処理が開始されると、液晶制御MPU1750aはVDP初期設定処理を行う(タイミングT7、DMAFLAG割り込み処理のステップS1048)。このVDP初期設定処理では、上述したように、図169(a)に示す、VDP1750cのVDPレジスタ1750cbに、VDP1750cの環境設定に関するデータとして、仮想スクリーンである図示しないキャンバスCVの大きさを設定するデータ、キャンバスCVの一部をウィンドウの形状(矩形領域)に切り出して画面に表示させるデータ、ラインバッファから液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の大きさを設定するデータ、解像度を設定するデータを書き込む。つまりそれぞれのデータを上書きする。
続いて、液晶制御MPU1750aはスケーラIC初期設定処理2を行う(タイミングT8、同処理のステップS1050)。このスケーラIC初期設定処理2では、上述したように、図169(b)に示す、スケーラIC1750fのレジスタ群1750faのうち、フィールド1750g[0]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD0〜フィールド1750g[3]読み出し開始アドレスレジスタOSFILD3、フィールド1750g[0]書き込み開始アドレスレジスタISFILD0〜フィールド1750g[3]書き込み開始アドレスレジスタISFILD3、メモリ読み出し改行幅レジスタOMWI、メモリ書き込み改行幅レジスタIMWI、メモリアクセス制御レジスタに、それぞれの設定値を書き込む。つまりそれぞれの設定値を上書きする。
続いて、液晶制御MPU1750aはスプライト設定データ設定座標変更設定処理を行う(タイミングT9、同処理のステップS1054)。このスプライト設定データ座標変更設定処理では、タイミングT3でVDP1750cのスプライトレジスタ1750caに書き込んだN番目スプライト設定データのうち、スプライトの描画位置を設定するデータのy座標値を値300だけ減算する。これにより、生成される描画データは、キャンバスCVの左上に設定された原点からx方向に800ドット、y方向に300ドットの矩形領域である切り出し領域に配置された状態となる。
続いて、VDP1750cは、図169(f)に示す垂直同期信号VS−INをアップエッジして(タイミングT10)、図169(d)に示すVDP出力としてN番目上画面の描画データを1ライン分ずつラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した描画データをスケーラIC1750fに出力する。このN番目上画面の描画データは、タイミングT3でVDP1750cのスプライトレジスタ1750caに書き込んだスプライト設定データから生成されている。タイミングT10では、スケーラIC1750fは、図169(f)に示す垂直同期信号VS−INがアップエッジするのを契機として、図169(g)に示す液晶制御MPU1750aからのフィールド信号FIELDに基づいて、VDP1750cから出力される描画データが上画面の描画データであるか、又は下画面の描画データであるか、を伝える信号である、図169(h)に示すIFLD0、図169(i)に示すIFLD1信号をフレームメモリ1750gにそれぞれ出力するとともに、図169(n)に示す、フレームメモリ1750gのフィールド1750g[0]に書き込まれた上画面の描画データそしてフレームメモリ1750gのフィールド1750g[1]に書き込まれた下画面の描画データを順次読み出し、LVDSトランスミッタ1750hを介して、液晶表示器1315に出力する。フレームメモリ1750gは、入力された、図169(h)に示すIFLD0、図169(i)に示すIFLD1信号によって、図169(m)に示すフレームメモリ1750gのフィールド1750g[2]にN番目上画面の描画データを書き込む。
続いて、液晶制御MPU1750aは、図169(g)に示すフィールド信号FIELDをアップエッジし(タイミングT11、同処理のステップS1062)、DMAFLAG割り込み処理を終了する。
スケーラIC1750fは、図169(n)に示すように、タイミングT10でフィールド1750g[0]に書き込まれた上画面の描画データそしてフィールド1750g[1]に書き込まれた下画面の描画データを順次読み出し、LVDSトランスミッタ1750hを介して、液晶表示器1315に出力する。続いて、タイミングT0から16ms経過し、フィールド1750g[0]に書き込まれた上画面の描画データそしてフィールド1750g[1]に書き込まれた下画面の描画データを順次読み出し、LVDSトランスミッタ1750hを介して、液晶表示器1315に出力する。このように、液晶表示器1315には、32msの間、同一の画面が描画されるようになっており、液晶表示器1315に描画される1画面は、32msごとに更新されるようになっている。
[16−3.液晶制御側コマンド受信割り込み処理]
次に、液晶制御側コマンド受信割り込み処理について説明する。液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aは、サブ統合基板1740から図134に示した液晶シリアルデータDSP−SERが送信開始されると、これを契機として液晶シリアルデータDSP−SERを液晶制御MPU1750aの内蔵するシリアル入出力ポートで1バイト(8ビット)の情報を受信バッファに取り込み、この取り込みが完了すると、これを契機として割り込みが発生し、この液晶制御側コマンド受信割り込み処理を行う。液晶シリアルデータDSP−SERは、上述したように、表示コマンドを構成する基コマンドに基づいて作成された送信用基コマンドであり、送信用基コマンドの1バイト目として基コマンドのステータスが割り振られ、送信用基コマンドの2バイト目として基コマンドのモードが割り振られ、送信用基コマンドの3バイト目として基コマンドのステータスと基コマンドのモードとを数値とみなしてその合計を算出したサム値が割り振られている。
液晶制御側コマンド受信割り込み処理が開始されると、液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aは、図170に示すように、1バイト受信期間タイマがタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS1100)。この1バイト受信期間タイマは、サブ統合基板1740から送信される液晶シリアルデータDSP−SERのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を設定するものである。
ステップS1100で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまりサブ統合基板1740から送信される液晶シリアルデータDSP−SERのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間内であるときには、液晶制御MPU1750aの内蔵するシリアル入出力ポートの受信バッファから受信した1バイトの情報を取り込み(ステップS1102)、受信カウンタRXCに値1を加える(インクリメントする、ステップS1104)。この受信カウンタRXCは、受信バッファから取り出した回数を示すカウンタであり、サブ統合基板1740から液晶シリアルデータDSP−SER、つまり送信用基コマンドの1バイト目であるステータスを受信バッファから取り出すと値1、送信用基コマンドの2バイト目であるモードを受信バッファから取り出すと値2、送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出すと値3となる。なお、受信カウンタRXCは、電源投入時等に初期値0がセットされる。
ステップS1104に続いて、DSP−ACK信号をONからOFFにセットする(ステップS1106)。このDSP−ACK信号をONからOFFにセットすることで送信用基コマンドの1バイト目であるステータスを受信開始した旨を、サブ統合基板1740に伝えている。
ステップS1106に続いて、受信カウンタRXCが値3である否か、つまり送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出したか否かを判定する(ステップS1108)。この判定では、送信用基コマンドの1バイト目であるステータスに続いて、送信用基コマンドの2バイト目であるモード、そして送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したか否かを判定している。
ステップS1108で受信カウンタRXが値3でないとき、つまり送信用基コマンドの1バイト目であるステータスに続いて、まだ送信用基コマンドの2バイト目であるモード、そして送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出していないときには、1バイト受信期間タイマのセットを行い(ステップS1110)、このルーチンを終了する。ステップS1110で1バイト受信期間タイマがセットされることで、送信用基コマンドの2バイト目であるモード又は送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を受信し得る期間が設定される。
一方、ステップS1108で受信カウンタRXCが値3であるとき、つまり送信用基コマンドの1バイト目であるステータスに続いて、送信用基コマンドの2バイト目であるモード、そして送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したときには、受信カウンタRXCに初期値0をセットし(ステップS1112)、サム値を算出する(ステップS1114)。この算出は、ステップS1102で受信バッファからすでに取り出した、送信用基コマンドの1バイト目であるステータスと、送信用基コマンドの2バイト目であるモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出する。
ステップS1114に続いて、ステップS1102で受信バッファからすでに取り出した送信用基コマンドの3バイト目であるサム値と、ステップS114で算出したサム値と、が一致しているか否かを判定する(ステップS1116)。ステップS1102で受信バッファからすでに取り出した送信用基コマンドの3バイト目であるサム値は、上述したように、図162に示した液晶シリアルコマンド制御処理におけるステップS806で算出したものであるため、ステップS1116で算出したサム値と一致しているはずである。ところが、パチンコ遊技機1は、上述したように、パチンコ島設備から遊技球が供給されており、遊技球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生するため、パチンコ遊技機1はノイズの影響を受けやすり環境下にある。そこで、本実施形態では、サブ統合基板1740側では、表示コマンドを構成する基コマンドに基づいて送信用基コマンドを作成している。この送信用基コマンドは、上述したように、送信用基コマンドの1バイト目として基コマンドのステータスが割り振られ、送信用基コマンドの2バイト目として基コマンドのモードが割り振られ、送信用基コマンドの3バイト目として基コマンドのステータスと基コマンドのモードとを数値とみなしてその合計を算出したサム値が割り振られている。一方、液晶制御基板1750側では、受信した送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスと、2バイト目として割り振られたモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出し、この算出したサム値が、受信した送信用基コマンドの3バイト目として割り振られたサム値と一致しているか否かを判定している。これにより、サブ統合基板1740と液晶制御基板1750との基板間において、送信用基コマンドがノイズの影響を受けて正規と異なる送信用基コマンドに変化したか否かを判定している。
ステップS116で、ステップS1102で受信バッファからすでに取り出した送信用基コマンドの3バイト目であるサム値と、ステップS114で算出したサム値と、が一致しているときには、受信した送信用基コマンドを液晶制御側受信リングバッファに記憶する(ステップS1118)。この「液晶制御側受信リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。なお、液晶制御MPU1750aは、ステップS1118で液晶制御側受信リングバッファに記憶する際に、受信した送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスと、2バイト目として割り振られたモードと、を対応付けて記憶しており、3バイト目として割り振られたサム値を破棄している。
ステップS1118に続いて、DSP−ACK信号をOFFからONにセットし(ステップS1120)、このルーチンを終了する。このDSP−ACK信号をOFFからONにセットすることで送信用基コマンドの1バイト目であるステータス、2バイト目であるモード、そして3バイト目であるサム値を受信完了した旨を、サブ統合基板1740に伝えている。
一方、ステップS1100で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまりサブ統合基板1740から送信される液晶シリアルデータDSP−SERのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を超えているときには、又はステップS116で、ステップS1102で受信バッファからすでに取り出した送信用基コマンドの3バイト目であるサム値と、ステップS114で算出したサム値と、が一致していないときには、そのままこのルーチンを終了する。これにより、液晶制御MPU1750aは、DSP−ACK信号をOFFからONにセットすることができなくなり、上述したように、図162に示した液晶シリアルコマンド制御処理におけるステップS816で、DSP−ACK信号待ち時間タイムがタイムアップしたと判定され、再び同一の基コマンドから送信用基コマンドを作成してその1バイト目〜3バイト目を順に送信開始することとなる。
次に、液晶シリアルデータの送信及び受信確認について図171のタイミングチャートを用いて説明する。本実施形態では、上述したように、サブ統合基板1740から液晶制御基板1750への送信方式として調歩同期式シリアルを採用しており、ビットレートとして19.2kbps、液晶シリアルデータDSP−SERのフォーマットとして8ビット通信、LSBファースト、偶数パリティ付加、ストップ1ビットとなっている。
サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、サブ統合内蔵RAMに設けたサブ統合側送信リングバッファに表示コマンドが記憶されていると、表示コマンドを構成する基コマンドに基づいて送信用基コマンドを作成し、この作成した送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスSTTSをサブ統合MPU1740aに内蔵されたシリアル入出力ポートの送信バッファにセットする(タイミングS0、図162に示した液晶シリアルコマンド制御処理におけるステップS808)。この送信バッファに送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスをセットすることによってシリアル入出力ポートから1ビットずつ、図171(a)に示す液晶シリアルデータDSP−SERとして液晶制御基板1750に送信開始する(送信内容は、図171(c)に示すステータスSTTSとなる)。
続いて、液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aは、サブ統合基板1740から送信された送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスを液晶制御MPU1750aに内蔵されたシリアル入出力ポートの受信バッファで取り込み、この取り込みが完了すると、受信バッファから送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスを取り込み、図171(b)に示すDSP−ACK信号をONからOFFにセットする(タイミングS1、図170に示した液晶制御側コマンド受信割り込み処理におけるステップS1106)。
続いて、サブ統合MPU1740aは、送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスが、シリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に出力され、送信バッファが空になると、送信バッファに送信用基コマンドの2バイト目として割り振られたモードをセットする(タイミングS2、図163に示した送信バッファ空割り込み処理におけるステップS822)。この送信バッファに送信用基コマンドの2バイト目として割り振られたモードをセットすることによってシリアル入出力ポートから1ビットずつ、図171(a)に示す液晶シリアルデータDSP−SERとして液晶制御基板1750に送信開始する(送信内容は、図171(c)に示すモードMODEとなる)。
続いて、液晶制御MPU1750aは、サブ統合基板1740から送信された送信用基コマンドの2バイト目として割り振られたモードをシリアル入出力ポートの受信バッファで取り込み、この取り込みが完了すると、受信バッファから送信用基コマンドの2バイト目として割り振られたステータスを取り込む。このとき、図171(b)に示すDSP−ACK信号は、OFFしたままの状態となっている。
続いて、サブ統合MPU1740aは、送信用基コマンドの2バイト目として割り振られたモードが、シリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に出力され、送信バッファが空になると、送信バッファに送信用基コマンドの3バイト目として割り振られたサム値をセットする(タイミングS3、図163に示した送信バッファ空割り込み処理におけるステップS822)。この送信バッファに送信用基コマンドの3バイト目として割り振られたサム値をセットすることによってシリアル入出力ポートから1ビットずつ、図171(a)に示す液晶シリアルデータDSP−SERとして液晶制御基板1750に送信開始する(送信内容は、図171(c)に示すサム値SUMとなる)。
続いて、液晶制御MPU1750aは、サブ統合基板1740から送信された送信用基コマンドの3バイト目として割り振られたサム値を液晶制御MPU1750aに内蔵されたシリアル入出力ポートの受信バッファで取り込み、この取り込みが完了すると、受信バッファから送信用基コマンドの3バイト目として割り振られたサム値を取り込み、すでに受信バッファから取り込んだ、送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスと、送信用基コマンドの2バイト目として割り振られたモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出し、この算出したサム値と、取り込んだ受信バッファから送信用基コマンドの3バイト目として割り振られたサム値と、が一致しているか否かを判定する。そして一致しているときには、図171(b)に示すDSP−ACK信号をOFFからONにセットする(タイミングS4、図170に示した液晶制御側コマンド受信割り込み処理におけるステップS1120)。
以上説明した本実施形態のパチンコ遊技機1によれば、例えば上始動入賞口1330、液晶表示器1315が遊技盤4に形成された遊技領域255に設けられており、遊技領域255に向かって打球発射装置300から打ち込まれた遊技球が上始動入賞口1330に入球したことに基づいて液晶表示器1315の描画制御を行っている。
パチンコ遊技機1は、主制御基板1700、サブ統合基板1740、液晶制御基板1750を備えている。主制御基板1700は、遊技の進行を制御しており、この遊技の進行に基づいて遊技演出コマンドを作成して出力するマイクロプロセッサである主制御MPU1700aが実装されている。サブ統合基板1740は、主制御基板1700からの遊技演出コマンドを受信しており、この受信した遊技演出コマンドに基づいて、コマンドの種類を示すステータス及び演出のバリエーションを示すモードから構成される基コマンドを1つ又は複数連ねてサブ統合側送信リングバッファに表示コマンドとして記憶し、このサブ統合側送信リングバッファから基コマンドを1つずつ順に送信するマイクロプロセッサであるサブ統合MPU1740aが実装されている。サブ統合側送信リングバッファは、サブ統合MPU1740aに内蔵されたRAMであるサブ統合内蔵RAMに設けられている。液晶制御基板1750は、サブ統合基板1740からの表示コマンドを受信しており、この受信した表示コマンドに基づいて液晶表示器1315の描画制御を行うマイクロプロセッサである液晶制御MPU1750aが実装されている。このように、パチンコ遊技機1では、最上位の主制御基板1700から最下位の液晶制御基板1750に向かって一方向に各種コマンドが送信されるようになっており、主制御基板1700とサブ統合基板1740との基板間、サブ統合基板1740と液晶制御基板1750との基板間は、ハーネスによって電気的に接続され、各種コマンドが伝わるようになっている。
マイクロプロセッサである主制御MPU1700aは、図138の主制御側電源投入時処理で、電源投入時又は復電時に、主制御MPU1700aを起動開始している。主制御MPU1700aは、図138の主制御側電源投入時処理におけるステップS48の割り込み許可を設定した後、4ミリ秒(ms)ごとに、図140の主制御側タイマ割り込み処理で遊技の進行を行っている。なお、「復電」とは、例えば停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)からその後に電力が復旧することである。
主制御MPU1700aは、図140の主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS74のスイッチ入力処理で、例えば上始動入賞口1330に遊技球が入球したか否かを検出している。図140の主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS86の特別図柄及び特別電動役物制御処理のうち、遊技処理で、ステップS74のスイッチ入力処理で、例えば上始動入賞口1330に遊技球が入球したことに基づいて大当りであるか否かの当落の判定を行っており、この判定結果に基づいて遊技演出コマンドを作成している。主制御MPU1700aは、図140の主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92のサブ統合基板コマンド送信処理で、ステップS86の特別図柄及び特別電動役物制御処理のうち、遊技処理で作成した遊技演出コマンドをサブ統合基板に送信している。
マイクロプロセッサであるサブ統合MPU1740aは、基コマンドを液晶制御基板1750に送信するシリアル入出力ポートが内蔵されており、図158のサブ統合側電源投入時処理で、電源投入時又は復電時に、サブ統合MPU1740aを起動開始している。サブ統合MPU1740aは、図158のサブ統合側電源投入時処理におけるステップS700の初期設定処理でサブ統合MPU1740aの割り込み許可を設定した後、2ミリ秒(ms)ごとに、図159のサブ統合側タイマ割り込み処理で演出の制御を行っている。サブ統合MPU1740aは、でシリアル入出力ポートの送信バッファが空になると、これを契機として図163の送信バッファ空割り込み処理を行い、DSP−ACK信号が液晶制御基板1750から入力されると、これを契機として図164のDSP−ACK信号割り込み処理を行う。
サブ統合MPU1740aは、16ミリ秒(ms)ごとに、図158のサブ統合側電源投入時処理におけるステップS726のコマンド解析処理〜ステップS734の図柄メイン処理で主制御基板1700からの遊技演出コマンドに基づいて、基コマンドを1つ又は複数連ねてサブ統合内蔵RAMに設けたサブ統合側送信リングバッファに表示コマンドとして記憶している。
サブ統合MPU1740aは、図162の液晶シリアルコマンド制御処理でサブ統合側送信リングバッファから基コマンドを抽出して液晶制御基板1750に送信している。
図162の液晶シリアルコマンド制御処理は、ステップS800でサブ統合側送信リングバッファに基コマンドが記憶されているか否かを判定している。ステップS806で、ステップS800でサブ統合側送信リングバッファに基コマンドが記憶されていると判定したときのみ、基コマンドのステータス及びモードを数値とみなしてその合計であるサム値を算出しており、この算出したサム値を基コマンドに付加した送信用基コマンドを作成している。ステップS808で、ステップS806で作成した送信用基コマンドのステータスをシリアル入出力ポートの送信バッファにセットして1ビットずつ液晶制御基板1750に送信開始している。ステップS816でDSP−ACK信号がDSP−ACK信号待ち時間内に入力されたか否かを判定している。ステップS816の判定でDSP−ACK信号待ち時間がタイムアウトした際には、ステップS808でセットした同一の送信用基コマンドのステータスをシリアル入出力ポートの送信バッファにセットして1ビットずつ液晶制御基板1750に再送信開始している。
図163の送信バッファ空割り込み処理は、送信用基コマンドのステータスの送信完了後、続いて送信用基コマンドのモードをシリアル入出力ポートの送信バッファにセットしてシリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に出力し、送信用基コマンドのモードの送信完了後、続いて送信用基コマンドのサム値をシリアル入出力ポートの送信バッファにセットしてシリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に出力している。このように、図162の液晶シリアルコマンド制御処理のステップS808で送信用基コマンドのステータスをシリアル入出力ポートの送信バッファにセットし、シリアル入出力ポートの送信バッファが空になると、これを契機として図163の送信バッファ空割り込み処理が送信用基コマンドのステータスに続いて送信用基コマンドのモードをシリアル入出力ポートの送信バッファにセットしてシリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に出力している。そしてシリアル入出力ポートの送信バッファが空になると、これを契機として送信バッファ空割り込み処理が送信用基コマンドのモードに続いて送信用基コマンドのサム値をシリアル入出力ポートの送信バッファにセットしてシリアル入出力ポートから1ビットずつ液晶制御基板1750に出力している。つまり図162の液晶シリアルコマンド制御処理は、液晶シリアルコマンド制御処理のステップS808で送信用基コマンドのステータスをシリアル入出力ポートの送信バッファにセットすると、送信用基コマンドのモード及びサム値を送信する制御から切り離されるようになっている。これにより、2msごとに行われる、液晶シリアルコマンド制御処理を含んでいる図159のサブ統合側タイマ割り込み処理の負荷を軽減している。
図164のDSP−ACK信号割り込み処理は、DSP−ACK信号が液晶制御基板1750から入力されると、サブ統合側送信リングバッファに記憶されている次の基コマンドを送信対象として設定している。これにより、サブ統合側送信リングバッファに記憶されている基コマンドの送信対象が進むこととなる。
マイクロプロセッサである液晶制御MPU1750aは、サブ統合基板1740からの送信用基コマンドを受信するシリアル入出力ポートが内蔵されており、図167の液晶制御側電源投入時処理で、電源投入時又は復電時に、液晶制御MPU1750aを起動開始している。液晶制御MPU1750aは、シリアル入出力ポートの受信バッファが送信用基コマンドのステータス、モード又はサム値のいずれかを受信すると、これを契機として図170の液晶制御側コマンド受信割り込み処理を行う。
図170の液晶制御側コマンド受信割り込み処理は、ステップS1102で送信用基コマンドのステータス、モードそしてサム値を、シリアル入出力ポートの受信バッファから順に取り込んでいる。ステップS1108で、ステップS1102で送信用基コマンドのステータス、モードそしてサム値を、シリアル入出力ポートの受信バッファから順に取り込み完了したか否かを判定している。ステップS1114で、ステップS1102で送信用基コマンドのステータス、モードそしてサム値を、ステップS1108でシリアル入出力ポートの受信バッファから順に取り込み完了したと判定したときのみ、ステップS1102で取り込んだ送信用基コマンドのステータス及び送信用基コマンドのモードを数値とみなしてその合計であるサム値を算出している。ステップS1116で、ステップS1114で算出したサム値と、ステップS1102でシリアル入出力ポートの受信バッファから取り込んだ送信用基コマンドのサム値と、が一致しているか否かを判定している。ステップS1120で、ステップS1114で算出したサム値と、ステップS1102でシリアル入出力ポートの受信バッファから取り込んだ送信用基コマンドのサム値と、が一致しているときのみ、DSP−ACK信号をサブ統合基板1740に出力している。
このように、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、表示コマンドを構成する基コマンドに基づいて、基コマンドのステータス及びモードを数値とみなしてその合計であるサム値を算出し、この算出したサム値を基コマンドに付加して送信用基コマンドを作成する。そしてサブ統合MPU1740aは、作成した送信用基コマンドのステータス、モードそしてサム値を順に液晶制御基板1750に送信している。液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aは、受信した送信用基コマンドのステータス及びモードを数値とみなしてその合計であるサム値を算出し、この算出したサム値と、受信した送信用基コマンドのサム値と、が一致しているときのみ、DSP−ACK信号をサブ統合基板1740に出力している。サブ統合MPU1740aは、DSP−ACK信号がDSP−ACK信号待ち時間内に入力されないときには、再度同一の送信用基コマンドを液晶制御基板1750に送信している。これにより、サブ統合基板1740と液晶制御基板1750との基板間のハーネスに突発的にノイズが侵入して正しい送信用基コマンドが伝わらなくても、サブ統合MPU1740aが送信用基コマンドを液晶制御基板1750に再送信することで、正しい送信用基コマンドを伝えることができる。つまり、最上位である主制御基板1700は、サブ統合基板1740と液晶制御基板1750との基板間に生じた不具合を把握することができなくても、サブ統合基板1740及び液晶制御基板1750側でその不具合を速やかに解決することによって、主制御基板1700による遊技の進行と、液晶制御基板1750による液晶表示器1315の描画の進行と、の間にギャップが生じにくくなる。したがって、ノイズの影響を受けても、最上位の主制御基板1700と最下位の液晶制御基板1750との同期性を維持することができる。
また、液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aは、送信用基コマンドのステータスを、シリアル入出力の受信バッファから取り込んだときにはDSP−ACK信号をOFFにすることで受信開始状態(図171のタイミングS1)である旨をサブ統合基板1740に伝え、送信用基コマンドのモード及び送信用基コマンドのサム値を、シリアル入出力の受信バッファから取り込んだときにはDSP−ACK信号をOFFに維持することで受信中状態(図171のタイミングS1〜タイミングS4)である旨をサブ統合基板1740に伝え、受信した送信用基コマンドのステータス及びモードを数値とみなしてその合計であるサム値を算出し、この算出したサム値と、受信した送信用基コマンドのサム値と、が一致しているときにはDSP−ACK信号をONにすることで受信完了状態(図171のタイミングS4)である旨をサブ統合基板1740に伝えている。サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、液晶制御基板1750からの送信用基コマンドのDSP−ACK信号を監視(モニタ)することによって、送信用基コマンドのステータス、モード及びサム値のうち、どの段階で異常が生じたかを判断することができる。なお、開発段階において、液晶制御基板1750からのDSP−ACK信号と、送信用基コマンドのステータス、モード及びサム値と、をプローブを介して、検査装置(例えば、オシロスコープ)に入力し、DSP−ACK信号の受信開始状態、受信中状態、受信完了状態と、送信用基コマンドのステータス、モード及びサム値と、の対応関係を検査装置で監視(モニタ)することによって、サブ統合基板1740と液晶制御基板1750との基板間の送受信状態の他に、サブ統合基板1740側の不具合や液晶制御基板1750側の不具合を確認することができる。
[17.別例]
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、パチンコ遊技機1を例にとって説明したが、本発明が適用できる遊技機はパチンコ遊技機に限定されるものではなく、パチンコ遊技機以外の遊技機、例えばスロットマシン又はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させた融合遊技機(遊技球を用いてスロット遊技を行うもの。)などにも適用することができる。
主制御マイクロプロセッサは、少なくとも、主制御側電源投入時制御手段、主制御側定期タイマ割り込み制御手段を備えている。主制御側電源投入時制御手段は、電源投入時又は復電時に、主制御マイクロプロセッサを起動開始している。主制御側定期タイマ割り込み制御手段は、主制御側電源投入時制御手段で主制御マイクロプロセッサの割り込み許可を設定した後、主制御側定期割り込みタイマによる割り込みが発生するごとに、遊技の進行を行っている。なお、「復電」とは、例えば停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)からその後に電力が復旧することである。
サブ統合マイクロプロセッサは、基コマンドを液晶制御基板に送信するシリアル出力ポートが内蔵されており、少なくとも、サブ統合側電源投入時制御手段、サブ統合側定期タイマ割り込み制御手段、送信バッファ空割り込み制御手段、受信完了割り込み制御手段を備えている。サブ統合側電源投入時制御手段は、電源投入時又は復電時に、サブ統合マイクロプロセッサを起動開始している。サブ統合側定期タイマ割り込み制御手段は、サブ統合側電源投入時制御手段でサブ統合マイクロプロセッサの割り込み許可を設定した後、サブ統合側定期割り込みタイマによる割り込みが発生するごとに、演出の制御を行っている。送信バッファ空割り込み制御手段は、シリアル出力ポートの送信バッファが空になると、これを契機として発生する割り込みである。受信完了割り込み制御手段は、受信完了した旨を伝える信号が液晶制御基板から入力されると、これを契機として発生する割り込みである。
液晶制御側コマンド受信割り込み制御手段は、少なくとも、取り込み制御手段、送信用基コマンド取り込み完了判定制御手段、液晶制御側サム値算出制御手段、整合性判定制御手段、送信用基コマンド受信完了制御手段、液晶制御側リングバッファ記憶制御手段を含んでいる。取り込み制御手段は、送信用基コマンドのステータス、モードそしてサム値を、シリアル入力ポートの受信バッファから順に取り込んでいる。送信用基コマンド取り込み完了判定制御手段は、取り込み制御手段で、送信用基コマンドのステータス、モードそしてサム値を、シリアル入力ポートの受信バッファから順に取り込み完了したか否かを判定している。液晶制御側サム値算出制御手段は、送信用基コマンド取り込み完了判定制御手段で、送信用基コマンドのステータス、モードそしてサム値を、取り込み制御手段でシリアル入力ポートの受信バッファから順に取り込み完了したと判定したときのみ、取り込み制御手段で取り込んだ送信用基コマンドのステータス及び送信用基コマンドのモードを数値とみなしてその合計であるサム値を算出している。整合性判定制御手段は、液晶制御側サム値算出制御手段で算出したサム値と、取り込み制御手段でシリアル入力ポートの受信バッファから取り込んだ送信用基コマンドのサム値と、が一致しているか否かを判定している。送信用基コマンド受信完了制御手段は、整合性判定制御手段で、液晶制御側サム値算出制御手段で算出したサム値と、取り込み制御手段でシリアル入力ポートの受信バッファから取り込んだ送信用基コマンドのサム値と、が一致しているときのみ、送信用基コマンドの受信完了した旨を伝える信号をサブ統合基板に出力している。液晶制御側リングバッファ記憶制御手段は、整合性判定制御手段で、液晶制御側サム値算出制御手段で算出したサム値と取り込み制御手段でシリアル入力ポートの受信バッファから取り込んだ送信用基コマンドのサム値とが一致しているときのみ、その送信用基コマンドのステータス及びモードを、液晶制御マイクロプロセッサに内蔵されるRAMに設けた液晶制御側リングバッファに対応付けて記憶するとともに、その送信用基コマンドのサム値を破棄している。
本実施形態では、例えば、図115の遊技盤4が遊技盤に相当し、図115の遊技領域255が遊技領域に相当し、図7の打球発射装置300が打球発射装置に相当し、図115の上始動入賞口1330が始動入賞口に相当し、図115の液晶表示器1315が液晶表示器に相当し、図1のパチンコ遊技機1がパチンコ遊技機に相当し、図119の主制御MPU1700aが主制御マイクロプロセッサに相当し、図119の主制御基板1700が主制御基板に相当し、サブ統合内蔵RAMが内蔵されたRAMに相当し、リングバッファがサブ統合側送信リングバッファに相当し、図119のサブ統合MPU1740aがサブ統合マイクロプロセッサに相当し、図119のサブ統合基板1740がサブ統合基板に相当し、図119の液晶制御MPU1750aが液晶制御マイクロプロセッサに相当し、図119の液晶制御基板1750が液晶制御基板に相当し、図138の主制御側電源投入時処理が主制御側電源投入時制御手段に相当し、4ミリ秒(ms)が主制御側定期割り込みタイマに相当し、図140の主制御側タイマ割り込み処理が主制御側定期タイマ割り込み制御手段に相当し、図140の主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS74のスイッチ入力処理がスイッチ入力制御手段に相当し、図140の主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS86の特別図柄及び特別電動役物制御処理のうち、遊技処理が遊技制御手段に相当し、図140の主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92のサブ統合基板コマンド送信処理が遊技演出コマンド送信制御手段に相当し、サブ統合MPU1740aのシリアル入出力ポートがシリアル出力ポートに相当し、図158のサブ統合側電源投入時処理がサブ統合側電源投入時制御手段に相当し、2ミリ秒(ms)がサブ統合側定期割り込みタイマに相当し、図159のサブ統合側タイマ割り込み処理がサブ統合側定期タイマ割り込み制御手段に相当し、図163の送信バッファ空割り込み処理が送信バッファ空割り込み制御手段に相当し、図164のDSP−ACK信号割り込み処理が受信完了割り込み制御手段に相当し、16ミリ秒(ms)がサブ統合側定期割り込みタイマの所定数倍の時間に相当し、図158のサブ統合側電源投入時処理におけるステップS726のコマンド解析処理〜ステップS734の図柄メイン処理が演出制御手段に相当し、図162の液晶シリアルコマンド制御処理が基コマンド送信制御手段に相当し、図162の液晶シリアルコマンド制御処理におけるステップS800の判定が基コマンド記憶有無判定制御手段に相当し、図162の液晶シリアルコマンド制御処理におけるステップS806のサム値を算出する処理が送信用基コマンド作成制御手段に相当し、図162の液晶シリアルコマンド制御処理におけるステップS808の送信バッファに1バイト目をセットする処理が送信用基コマンド送信開始制御手段に相当し、図134のDSP−ACK信号が送信用基コマンドの受信完了した旨を伝える信号に相当し、DSP−ACK信号待ち時間が予め定めた時間に相当し、図162の液晶シリアルコマンド制御処理におけるステップS816の判定が送信用基コマンド受信完了判定制御手段に相当し、図162の液晶シリアルコマンド制御処理におけるステップS816の判定でDSP−ACK信号待ち時間がタイムアウトした際に、同処理におけるステップS808の送信バッファに1バイト目をセットする処理が送信用基コマンド再送信開始制御手段に相当し、液晶制御MPU1750aのシリアル入出力ポートがシリアル入力ポートに相当し、図167の液晶制御側電源投入時処理が液晶制御側電源投入時制御手段に相当し、図170の液晶制御側コマンド受信割り込み処理が液晶制御側コマンド受信割り込み制御手段に相当し、図170の液晶制御側コマンド受信割り込み処理におけるステップS1102の受信バッファから取り込む処理が取り込み制御手段に相当し、図170の液晶制御側コマンド受信割り込み処理におけるステップS1108の判定が送信用基コマンド取り込み完了判定制御手段に相当し、図170の液晶制御側コマンド受信割り込み処理におけるステップS1114のサム値を算出する処理が液晶制御側サム値算出制御手段に相当し、図170の液晶制御側コマンド受信割り込み処理におけるステップS1116の判定が整合性判定制御手段に相当し、図170の液晶制御側コマンド受信割り込み処理におけるステップS1120のDSP−ACK信号をONする処理が送信用基コマンド受信完了制御手段に相当し、液晶制御側受信リングバッファが液晶制御側リングバッファに相当し、図170の液晶制御側コマンド受信割り込み処理におけるステップS1118の処理が液晶制御側リングバッファ記憶制御手段に相当する。
一方、ステップS1100で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまりサブ統合基板1740から送信される液晶シリアルデータDSP−SERのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を超えているときには、又はステップS1116で、ステップS1102で受信バッファからすでに取り出した送信用基コマンドの3バイト目であるサム値と、ステップS1114で算出したサム値と、が一致していないときには、そのままこのルーチンを終了する。これにより、液晶制御MPU1750aは、DSP−ACK信号をOFFからONにセットすることができなくなり、上述したように、図162に示した液晶シリアルコマンド制御処理におけるステップS816で、DSP−ACK信号待ち時間タイムがタイムアップしたと判定され、再び同一の基コマンドから送信用基コマンドを作成してその1バイト目〜3バイト目を順に送信開始することとなる。