JP2012209147A - 有機el装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラミネート装置を使用して撥液材料層を安定して薄膜形成用基板に転写することができる有機EL装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】本適用例の有機EL装置の製造方法は、隔壁(凸部17)が形成された基板37をあらかじめ加熱する工程と、撥液材料が塗布されたフィルム32をローラー26によって基板37に押圧して撥液材料層34を隔壁(凸部17)の頭頂部に転写する転写工程と、機能層形成材料を含む液状体を隔壁によって区画された領域に塗布する塗布工程と、塗布された液状体を乾燥し機能層を形成する乾燥工程を備え、転写工程は基板37がローラー26と接触する時に所定の圧力よりも低い圧力で基板37とフィルム32とを接触させ、所定の時間経過後に所定の圧力より高い圧力で押圧するプロセスと、所定の圧力で押圧するプロセスとを有する。
【選択図】図5
【解決手段】本適用例の有機EL装置の製造方法は、隔壁(凸部17)が形成された基板37をあらかじめ加熱する工程と、撥液材料が塗布されたフィルム32をローラー26によって基板37に押圧して撥液材料層34を隔壁(凸部17)の頭頂部に転写する転写工程と、機能層形成材料を含む液状体を隔壁によって区画された領域に塗布する塗布工程と、塗布された液状体を乾燥し機能層を形成する乾燥工程を備え、転写工程は基板37がローラー26と接触する時に所定の圧力よりも低い圧力で基板37とフィルム32とを接触させ、所定の時間経過後に所定の圧力より高い圧力で押圧するプロセスと、所定の圧力で押圧するプロセスとを有する。
【選択図】図5
Description
本発明は、有機EL製造装置の製造方法に関する。
有機EL装置等の薄型表示装置の製造過程において、薄膜形成用の基板に対して薄膜形成材料を含む液材(液体材料)を微細なノズル(孔)から吐出(滴下)した後、該液材を乾燥硬化させて薄膜パターンを形成するIJ法(インクジェット法)が用いられている。
IJ法では、薄膜形成用の基板上に膜形成領域を囲む隔壁を形成し、該隔壁で囲まれた凹部内に該液材を吐出することが多い。
このような隔壁を用いる場合、例えば特許文献1に示すように、該隔壁の上面(頭頂部)に撥液層を形成する方法が提示されている。該撥液層は、例えばフィルム等に形成された撥液材料層を隔壁上に転写して形成されている。これによれば、上述の凹部内に吐出された液材が隔壁を乗り越えて隣り合う凹部内に進入する現象に起因する塗布ムラが低減され、所望の膜厚や膜形状が確保された高品質の薄膜パターンを形成することができるとされている。
IJ法では、薄膜形成用の基板上に膜形成領域を囲む隔壁を形成し、該隔壁で囲まれた凹部内に該液材を吐出することが多い。
このような隔壁を用いる場合、例えば特許文献1に示すように、該隔壁の上面(頭頂部)に撥液層を形成する方法が提示されている。該撥液層は、例えばフィルム等に形成された撥液材料層を隔壁上に転写して形成されている。これによれば、上述の凹部内に吐出された液材が隔壁を乗り越えて隣り合う凹部内に進入する現象に起因する塗布ムラが低減され、所望の膜厚や膜形状が確保された高品質の薄膜パターンを形成することができるとされている。
しかしながら、ラミネーターなどの転写装置を用いて撥液材料層を隔壁の頭頂部に転写する場合には基板上に形成された隔壁の高さが数μmであるため、転写時の温度や圧力といった転写条件が安定していないと該頭頂部に十分転写が行われないおそれがある。または、転写を行いたくない隔壁で囲まれた凹部(膜形成領域)の底面にまで転写が行われてしまうおそれがある。つまり、均一な転写を行うことが難しいという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、基板上の隔壁によって区画された領域に発光層を含む機能層を備えた有機EL装置の製造方法であって、前記隔壁が形成された前記基板をあらかじめ加熱する工程と、撥液材料が塗布されたフィルムをローラーによって前記基板に押圧して前記撥液材料を前記隔壁に転写する転写工程と、機能性材料を含む液状体を前記隔壁によって区画された領域に塗布する塗布工程と、塗布された前記液状体を乾燥し前記機能層を形成する乾燥工程と、を備え、前記転写工程は、前記基板が前記ローラーを介して前記フィルムと接触する時に所定の圧力よりも低い圧力で前記基板と前記フィルムとを接触させ、所定の時間が経過した後に前記所定の圧力より高い圧力で押圧するプロセスと、前記所定の圧力で押圧するプロセスとを含むことを特徴とする。
本適用例によれば、転写時の圧力を制御する方式であるため、フィルムを介する基板とローラーとの接触に伴う温度変化の補償が可能となり、例えば温度の低下によって撥液材料の転写ムラが生ずるなどの不具合が低減される。転写工程における開始時にこのような温度変化の補償がなされた後に所定の圧力で転写が行われるので、安定した転写状態を実現できる。それゆえに、隔壁の頭頂部に均一に撥液層を形成することができる。従って、隔壁によって区画された領域にIJ法により均一な成膜が可能になり、高品質な有機EL装置を製造することができる。
[適用例2]上記適用例に記載の有機EL装置の製造方法において、前記高い圧力で押圧するプロセスは、前記ローラーに前記基板に向かって瞬時に圧力を印加することが好ましい。
本適用例によれば、高速な圧力制御動作が可能であるため、転写工程における圧力の追従性が向上する。これによって、高速な基板搬送に対応できサイクルタイムの短縮が図れ、製造コストを低減することができる。
[適用例3]上記適用例に記載の有機EL装置の製造方法において、前記ローラーを介して前記フィルムを前記基板に押圧する圧力の制御手段が、電磁石を用いた圧力制御機構であることが好ましい。
本適用例によれば、電磁石に加える電気的信号により瞬時に加圧力の変更が可能なため、転写時における圧力の追従性を向上させることができる。
[適用例4]上記適用例に記載の有機EL装置の製造方法において、前記圧力制御機構は、前記ローラーに内在して配置された磁性体と、前記ローラーを介して前記磁性体と反対側に配置された前記電磁石とを含むことを特徴とする。
[適用例5]上記適用例に記載の有機EL装置の製造方法において、前記圧力制御機構は、前記ローラーに内在して配置された前記電磁石と、前記ローラーを介して前記電磁石と反対側に配置された磁性体とを含むことを特徴とする。
これらの圧力制御機構によれば、電磁石に加える電気的信号により瞬時に転写時の圧力を上げ下げできる。
これらの圧力制御機構によれば、電磁石に加える電気的信号により瞬時に転写時の圧力を上げ下げできる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
(実施形態1)
本実施形態は、有機EL装置を対象としている。そこで、本実施形態にかかる有機EL装置の製造方法を説明する前に、有機EL装置の一例を上げてその概略構成について述べる。
本実施形態は、有機EL装置を対象としている。そこで、本実施形態にかかる有機EL装置の製造方法を説明する前に、有機EL装置の一例を上げてその概略構成について述べる。
本実施形態の有機EL素子を備えた有機EL装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1は有機EL装置の構成を示す概略正面図、図2は有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図、図3は有機EL装置の画像表示領域内における模式断面図である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL装置1は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光(発光色)が得られる画素7を有している。画素7は略矩形状であり、発光領域(表示領域)6においてマトリクス状に配置されている。同色の発光が得られる画素7が図面上において垂直方向(列方向あるいは画素の長手方向)に配列し、異なる発光色の画素7が図面上において水平方向(行方向あるいは画素の短手方向)にR,G,Bの順で配列している。すなわち、異なる発光色の画素7が所謂ストライプ方式で配置されている。なお、異なる発光色の画素7の平面形状と配置は、これに限定されるものではない。
図2に示すように、有機EL装置1は、規則的に配置された複数の有機EL素子118の発光を個別に制御して、表示領域6にカラー画像を形成するアクティブマトリクス型の有機EL装置である。表示領域6には、複数の走査線102と該走査線102と直交する複数の信号線104と該信号線104に対して平行に延在する複数の電源供給線106が形成されている。そして、上記3種類の配線で囲まれる区画毎に、画素7が形成されている。
各々の画素7は、走査線102を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT(薄膜トランジスター)108と、スイッチング用TFT108を介して信号線104から供給される画素信号を保持する保持容量110と、保持容量110によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT112と、駆動用TFT112を介して電源供給線106から駆動電流が供給される有機EL素子118と、で構成されている。
画素7は、赤色光を射出する赤色画素7Rと緑色光を射出する緑色画素7Gと青色光を射出する青色画素7Bの計3種類がある。有機EL装置1においては、かかる発光色の差異が、後述する発光機能層76(図3参照)を発光色に合せて形成することで得られている。なお、以下の記載において「画素7(R,G,B)」と表記した場合、上述の3種類の画素の総称を意味するものとする。他の構成要素についても同様である。
表示領域6の周辺には、走査線駆動回路120、及び信号線駆動回路130が形成されている。走査線102には、走査線駆動回路120から、図示しない外部回路より供給される各種信号に応じて走査信号が順次供給される。そして、信号線104には信号線駆動回路130から画像信号が供給され、電源供給線106には図示しない外部回路から画素駆動電流が供給される。なお、走査線駆動回路120の動作と信号線駆動回路130の動作とは、同期信号線140を介して外部回路から供給される同期信号により相互に同期が図られている。
走査線102が駆動されスイッチング用TFT108がオン状態になると、その時点の信号線104の電位が保持容量110に保持され、保持容量110の状態に応じて駆動用TFT112のレベルが決まる。そして、駆動用TFT112を介して電源供給線106から画素7に駆動電流が供給される。そして個々の画素7(R,G,B)は、該駆動電流の大きさに応じて光を射出する。夫々の画素7(R,G,B)が任意の強度で発光を射出することで、表示領域6にカラー画像が形成される。
なお、以下の記載において、画素7等の符号の後の「(R,G,B)」の表記は、一部省略している。
なお、以下の記載において、画素7等の符号の後の「(R,G,B)」の表記は、一部省略している。
図3は、有機EL装置1の表示領域6(図1参照)内における模式断面図であり、上述の3種類の画素7の断面を示す図である。ただし、スイッチング用TFT108と保持容量110については図示を省略している。
図3に示すように、有機EL装置1は、対向配置された素子基板10と対向基板11の一対の基板、及び該一対の基板間に形成された有機EL素子118を有している。
素子基板10は、ガラスあるいはプラスチックなどからなる。有機EL装置1は、対向基板11側に光を射出するトップエミッション型の有機EL装置である。したがって、素子基板10は透明性を要しない。一方、対向基板11は透明性が必要であり、有機EL装置1においては透明なガラスで形成されている。
図3に示すように、有機EL装置1は、対向配置された素子基板10と対向基板11の一対の基板、及び該一対の基板間に形成された有機EL素子118を有している。
素子基板10は、ガラスあるいはプラスチックなどからなる。有機EL装置1は、対向基板11側に光を射出するトップエミッション型の有機EL装置である。したがって、素子基板10は透明性を要しない。一方、対向基板11は透明性が必要であり、有機EL装置1においては透明なガラスで形成されている。
素子基板10の対向基板11側の面上には、駆動用TFT(以下、単に「TFT」と称する)112が規則的に形成されている。TFT112は、ポリ(多結晶)シリコンからなる半導体層及びゲート電極などで構成されており、公知の技術を用いて形成されている。そのため、詳細の記述は省略する。なお、以下の記載において、素子基板10から見て対向基板11側となる面あるいは方向を「上面」、「上方」あるいは「上側」と称する。
TFT112の上面には、アクリル系の樹脂成分を主体とする層間絶縁膜80が形成されている。そして、該層間絶縁膜80の上面には、画素電極(陽極)74が規則的に形成されている。なお、層間絶縁膜80は、酸化シリコンなどの無機材料を主体とする第1層間絶縁膜とアクリル系の樹脂成分を主体とする第2層間絶縁膜とを積層した構成とすることもできる。画素電極74とTFT112とは、層間絶縁膜80を局所的に除去して形成されたコンタクトホール82を介して電気的に接続されている。
画素電極74はAl(アルミニウム)等の金属あるいはITO(酸化インジウム・錫合金)で形成されており、画素7ごとに島状にパターニングされている。なお、画素電極74がITOで形成されている場合、該画素電極74と素子基板10の間に、素子基板10側に向かう発光を対向基板11側に反射させる反射層を形成する必要がある。
画素電極74の上面には、例えば後述する、機能層としての発光機能層76を形成するための液剤(液状体)を隣り合う画素間で分離してそれぞれの画素7において所望の発光機能層を形成するための凸部としての隔壁15が形成されている。隔壁15は感光性のアクリル樹脂からなり、平面視で画素電極74を囲むようにパターニングされている。なお画素電極74は、外縁部において隔壁15と重なっている。すなわち、画素電極74の外縁部には、隔壁15と該画素電極74とが重なる環状の領域が形成されている。
上述したように画素電極74は島状にパターニングされているため、隔壁15は平面視で網状(格子状)となる。そして、隔壁15の上面(頭頂部)には撥液層36が形成されている。かかる撥液層36は、後述するように、例えば発光機能層76(R,G,B)をIJ法で形成する際に、該発光機能層76の形成材料が隔壁15を乗り越えて隣り合う画素電極74上に流出することを抑制する機能を果たしている。上面に撥液層36を有する凸部が形成された基板が薄膜形成用の基板である。したがって、有機EL装置1においては素子基板10が薄膜形成用の基板であり、発光機能層76(R,G,B)が薄膜(薄膜パターン)の一例である。
隔壁15を側面として画素電極74を底面とする凹部内には、発光機能層76(R,G,B)が形成されている。そして該発光機能層76及び撥液層36などの上面には、陰極78が形成されている。画素電極74と発光機能層76と陰極78との積層体が有機EL素子118である。陰極78は、ITO、又はAl、又はAgMg(銀−マグネシウム合金)などの材料からなり、透明導電性を有している。したがって、発光機能層76内で生じた発光は、該陰極78を介して対向基板11側から図中の矢印の方向に射出される。
発光機能層76は、素子基板10側から順に、正孔注入層と、正孔輸送層と、通電によりすなわち正孔と電子の結合により発光する有機EL層(発光層)と、電子輸送層と、電子注入層と、の計5層が積層されて形成されている。有機EL層を除く4層は上述の3種類の画素7間で共通である。有機EL層のみが、発光色に合せて3種類の画素7間で夫々異なる材料で形成されている。
陰極78の上面には、封止接着層88が、少なくとも表示領域6の全域に渡って形成されている。そして、該封止接着層88により対向基板11が貼り合されている。封止接着層88は素子基板10側から順に封止層と接着層が積層されて形成されており、封止層はさらに素子基板10側から順に電極保護層と緩衝層とガスバリア層とが積層されて形成されている。
図4は、有機EL装置の製造方法を示す工程フローチャートである。図4に示すように、ステップS1〜ステップS6によって回路素子層から隔壁までを形成する。また、ステップS11〜ステップS16によって有機EL装置1が完成する。なお、各種配線や電極、駆動用TFT等を形成する製造工程については、周知の工程と同様なので、ここではそれらの説明を省略又は簡略化し本発明が適用される該当工程であるラミネート転写工程(ステップS6)について詳しく述べる。
まず、ステップS1(回路素子層形成工程)では、公知の製造方法を用いて、素子基板10上に駆動用TFT112の回路素子を形成する。
ステップS2(画素電極形成工程)では、駆動用TFT112を含む回路素子層上に、ITOからなる画素電極74を形成する。
ステップS3(絶縁層形成工程)では、駆動用TFT112、スイッチング用TFT108を含む回路素子層及び画素電極74上に、層間絶縁膜80を形成する。
ステップS4(隔壁形成工程)では、公知の製造方法を用いて、層間絶縁膜80上に隔壁15を形成する。まず、隔壁15の材料の塗工液を層間絶縁膜80上及び画素電極74に塗布した後、塗工液を乾燥させて隔壁層を形成する。次に、この隔壁層における画素7に対応する領域に開口部を形成し高さ1μm〜3μmの隔壁15が完成する。
ステップS2(画素電極形成工程)では、駆動用TFT112を含む回路素子層上に、ITOからなる画素電極74を形成する。
ステップS3(絶縁層形成工程)では、駆動用TFT112、スイッチング用TFT108を含む回路素子層及び画素電極74上に、層間絶縁膜80を形成する。
ステップS4(隔壁形成工程)では、公知の製造方法を用いて、層間絶縁膜80上に隔壁15を形成する。まず、隔壁15の材料の塗工液を層間絶縁膜80上及び画素電極74に塗布した後、塗工液を乾燥させて隔壁層を形成する。次に、この隔壁層における画素7に対応する領域に開口部を形成し高さ1μm〜3μmの隔壁15が完成する。
ステップS5(酸素プラズマ処理工程)では、画素電極74に酸素(O2)プラズマ処理(親液化処理)を施す。酸素プラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100W〜1kW、酸素ガス流量50ml/min〜1000ml/min、板搬送速度0.5mm/sec〜50mm/sec、基板温度70°C〜90°Cである。このような条件で処理することで、画素電極74の撥液性を酸素プラズマ処理を施す前と比べて低くすることができる。
図5は、本実施形態の薄膜形成用基板の製造方法を示す工程断面図である。上述したように、薄膜形成用基板37は上面に撥液層36を有する凸部17が基板面に形成された基板である。なお、薄膜形成用基板37は有機EL装置1の素子基板10あるいは有機EL装置1の対向基板11の総称であるため、符号を別途付与している。同様に、凸部17は有機EL装置1の隔壁15の総称であり、符号を別途付与している。以下、工程順に説明する。なお、以下の記載においては、撥液層36が形成される前の段階の基板に対しても、「薄膜形成用基板」の名称を使用する。
ステップS6(ラミネートフィルム転写工程)では、まず、温度が60°C〜100°Cとなるように薄膜形成用基板37を予備加熱する。続いて、図5(a)に示すように、一方の面に凸部17が形成された薄膜形成用基板37に対してラミネートフィルム32を対向配置する。本図では、双方の要素が若干の間隔を有するように対向配置されているが、双方の要素を完全に密着すなわち面接触させても良い。
ラミネートフィルム32は、薄膜形成用基板37を処理するごとに使い捨てされるフィルムである。具体的には、本工程が実施される度に、新しいラミネートフィルム32がフィルム供給ローラー22から供給される。そして、使用後のラミネートフィルム32は、フィルム巻き取りローラー24で巻き取られる。
本実施形態(及び後述する各実施形態)で用いるラミネートフィルム32は、ベースフィルム33上に撥液材料層34が形成されたフィルム、すなわち、ベースフィルム33と撥液材料層34とが積層されたフィルムである。ベースフィルム33は、例えば厚さがおよそ16μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる。撥液材料層34は、例えばフッ素系撥液材である住友3M製のノベックEGC−1720からなり、層厚はおよそ10nm〜20nmである。なお、撥液材料としてはシリコーン化合物を含むものも採用することができる。
次に、図5(b)に示すように、第2の工程として、ラミネートフィルム32を薄膜形成用基板37に対して押圧する。そして、凸部17の上面に撥液材料層34を転写させる。本実施形態において、押圧は、加圧ローラー26をラミネートフィルム32に押し当てつつ、一方の端部からもう一方の端部まで移動させることで行う。
図5(c)は、凸部17の上面に撥液層36が形成された状態を示す図である。なお、撥液層36は撥液材料層34と同一の材料からなる層であるが、平面視形状等が異なるため別途符号を付与している。図示するように、撥液材料層34は凸部17の上面にのみ転写されて撥液層36を構成しており、凸部17の側面及び凸部17で囲まれた凹部14内には転写されていない。
図6はラミネート装置を示す概略斜視図である。ラミネート装置35は、加圧ローラー26と加圧用エアーシリンダー29、加圧ローラー26に対抗する固定ローラー27、プレヒート部28、フィルム供給ローラー22、フィルム巻き取りローラー24により構成され、このローラー間に薄膜形成用基板37、ラミネートフィルム32(撥液材料層34とベースフィルム33)が通過する。
なお、図6では薄膜形成用基板37、加圧ローラー26や固定ローラー27およびプレヒート部28における加熱用ヒーター並びに温度コントローラー、加圧用エアーシリンダー29のエアー圧力調整器などを図示省略した。また、基板下側に基板搬送用のキャリアフィルム並びにキャリアフィルム用送り・巻き取りローラーがあってもかまわない。
加圧ローラー26並びに固定ローラー27の表面部分は加熱温度範囲において耐熱性を有するゴム材料が用いられ硬度は60〜100となっている。
プレヒート部28は薄膜形成用基板37を予め加熱する目的で加圧ローラー26の手前で、かつ薄膜形成用基板37が通過する経路の下側に設置され、ヒーターの加熱機構は抵抗加熱ヒーターや電磁誘導ヒーターを用いることができる。
なお、図6では薄膜形成用基板37、加圧ローラー26や固定ローラー27およびプレヒート部28における加熱用ヒーター並びに温度コントローラー、加圧用エアーシリンダー29のエアー圧力調整器などを図示省略した。また、基板下側に基板搬送用のキャリアフィルム並びにキャリアフィルム用送り・巻き取りローラーがあってもかまわない。
加圧ローラー26並びに固定ローラー27の表面部分は加熱温度範囲において耐熱性を有するゴム材料が用いられ硬度は60〜100となっている。
プレヒート部28は薄膜形成用基板37を予め加熱する目的で加圧ローラー26の手前で、かつ薄膜形成用基板37が通過する経路の下側に設置され、ヒーターの加熱機構は抵抗加熱ヒーターや電磁誘導ヒーターを用いることができる。
ステップS6(ラミネートフィルム転写工程)では、ラミネート装置35を用いて、転写時に、薄膜形成用基板37が加圧ローラー26を介してラミネートフィルム32と接触する時に所定の圧力よりも低い圧力で薄膜形成用基板37とラミネートフィルム32とを接触させ、所定の時間が経過した後に所定の圧力より高い圧力で押圧するプロセスと、所定の圧力で押圧するプロセスとを含むように圧力制御を行う。以下、図7および図8を参照して詳しく説明する。
図7は薄膜形成用基板37とラミネート装置35の加圧ローラー26との接触開始時をt0とした温度、制御加圧力のタイミングチャート図である。図7(a)は転写時の温度推移を表している。時間t0において加圧ローラー26は待機温度がT0に保持されている。薄膜形成用基板37がラミネートフィルム32を介して加圧ローラー26に接触後、薄膜形成用基板37に加圧ローラー26の熱が奪われるためラミネート温度が低下してゆき時間t1において所定の定常温度T2を割り込み、時間t2において最低温度T3になる。加圧ローラー26の温度コントローラーが温度制御を行うため温度が時間t2以後上昇していく。時間t3において定常温度T3で加圧ローラー26と薄膜形成用基板37を含めた系全体の温度が安定する。薄膜形成用基板37に熱を奪われるためT0>T2>T3となる。
上記の温度変化が生じるとラミネート装置35における転写にばらつきが生じるため転写時の圧力を制御し転写ばらつきを補償する。図7(b)は転写時の圧力推移を表す。上記温度変化に応じて温度が低下する時は転写時の圧力を上昇させる制御を行う。時間t0で基板接触時圧力P0から始まって時間t2に加圧圧力が過渡最大圧力P2になり、その後時間t3において所定の定常圧力P1になるように制御を行う。
図8(a)〜(b)はローラー温度・圧力と搬送速度との関係を示すグラフ、(c)〜(e)は撥液材料層の転写状態を示す概略図である。
同図(a)は温度一定の時の転写時の圧力と基板搬送速度の関係を示している。領域1は撥液材料層34が転写不足の領域を示し、領域3は撥液材料層34が転写過多の領域を示している、領域2が使用可能(最適)領域を示しこの領域内で撥液材料層34の転写を行うことが必須である。実験データーによると隔壁材料に感光性アクリルを用いて高さおよそ2μm、隔壁15間の凹部水平方向距離50μmの薄膜形成用基板37において、プレヒート(予備加熱)100℃・ローラー温度140℃一定、圧力5kgf/cm^2の条件において領域1と領域2の境界は搬送速度略10cm/秒、領域2と領域3の境界は略2cm/秒であった。また、同条件で圧力を1kgf/cm^2にしたときは領域1と領域2の境界は略15cm/秒、領域2と領域3の境界は略3cm/秒であった。
同図(a)は温度一定の時の転写時の圧力と基板搬送速度の関係を示している。領域1は撥液材料層34が転写不足の領域を示し、領域3は撥液材料層34が転写過多の領域を示している、領域2が使用可能(最適)領域を示しこの領域内で撥液材料層34の転写を行うことが必須である。実験データーによると隔壁材料に感光性アクリルを用いて高さおよそ2μm、隔壁15間の凹部水平方向距離50μmの薄膜形成用基板37において、プレヒート(予備加熱)100℃・ローラー温度140℃一定、圧力5kgf/cm^2の条件において領域1と領域2の境界は搬送速度略10cm/秒、領域2と領域3の境界は略2cm/秒であった。また、同条件で圧力を1kgf/cm^2にしたときは領域1と領域2の境界は略15cm/秒、領域2と領域3の境界は略3cm/秒であった。
図8(b)は転写時における圧力一定時のローラー温度と基板搬送速度の関係を示している。上記と同様領域1は撥液材料層34が転写不足、領域3は撥液材料層34が転写過多、領域2が使用可能(最適)領域を示している。この場合の実験データーでは隔壁材料に感光性アクリルを用いて高さおよそ2μm、隔壁15間の凹部水平方向距離50μmの薄膜形成用基板37において、プレヒート(予備加熱)100℃、圧力(線圧)5kgf/cm^2一定の条件において、ローラー温度100℃の時は領域1と領域2の境界は搬送速度がおよそ8cm/秒、領域2と領域3の境界は搬送速度がおよそ0.8cm/秒であった。また、同条件でローラー温度を120℃にしたときは領域1と領域2の境界は搬送速度がおよそ12cm/秒、領域2と領域3の境界は搬送速度がおよそ1cm/秒であった。
図8(c)は上記領域1の撥液材料層34の隔壁15の頂頭部への転写不足の状態を示している。隔壁15の頂頭部の凹部(深さ略100nm〜200nm)に撥液材料層34が転写されていない状態である。
図8(d)は上記領域2の撥液材料層34の転写が良好な状態を示している。隔壁15の頂頭部の凹部にも撥液材料層34が転写され、かつ、隔壁間の画素電極74へは撥液材料層34の転写がされてない状態である。
図8(e)は上記領域3の撥液材料層34の転写が過多の状態を示している。隔壁15間の画素電極74へ撥液材料層34の転写がされている。画素電極74上に撥液材料層34が転写されてしまうとその部分には発光機能層76が形成されずその画素7は不良となる。
図8(d)は上記領域2の撥液材料層34の転写が良好な状態を示している。隔壁15の頂頭部の凹部にも撥液材料層34が転写され、かつ、隔壁間の画素電極74へは撥液材料層34の転写がされてない状態である。
図8(e)は上記領域3の撥液材料層34の転写が過多の状態を示している。隔壁15間の画素電極74へ撥液材料層34の転写がされている。画素電極74上に撥液材料層34が転写されてしまうとその部分には発光機能層76が形成されずその画素7は不良となる。
本実施形態によれば、転写時の圧力を制御する方式であるため、薄膜形成用基板37と加圧ローラー26の(間接的な)接触に伴う温度変化の補償が可能なり、これによって、凸部17に対して均一に撥液材料層34を転写することができる。従って、均一な撥液層36が形成されることにより、後述する機能液の吐出工程において、隔壁15によって区画された画素電極74に液滴吐出法(例えば、インクジェット法)により均一な成膜が可能となる。
次に、図4のステップS11〜ステップS16の製造工程を経て有機EL装置1が完成する。ステップS11〜ステップS16では、公知の製造方法を採用することができる。
ステップS11では、画素電極74上の隔壁15によって囲まれた領域に、正孔注入層材料を含んだ機能液を液滴吐出法(例えば、インクジェット法)により吐出する。
ステップS12では、正孔注入層材料を含む機能液を乾燥させて正孔注入層を形成する。
ステップS13では、ステップS12で形成した正孔注入層上に発光層材料を含んだ機能液を液滴吐出法により吐出する。
ステップS14では、発光層材料を含む機能液を乾燥させて、発光層を形成する、これにより発光機能層76が完成する。
ステップS15では、発光機能層76の形成された素子基板10上のほぼ全体に、例えば蒸着法によって、発光機能層76や隔壁15を覆うように陰極78を形成する。
ステップS16では、陰極78上に、封止接着層88を挟んで対向基板11を配置することにより封止を行う(図3参照)。
ステップS11では、画素電極74上の隔壁15によって囲まれた領域に、正孔注入層材料を含んだ機能液を液滴吐出法(例えば、インクジェット法)により吐出する。
ステップS12では、正孔注入層材料を含む機能液を乾燥させて正孔注入層を形成する。
ステップS13では、ステップS12で形成した正孔注入層上に発光層材料を含んだ機能液を液滴吐出法により吐出する。
ステップS14では、発光層材料を含む機能液を乾燥させて、発光層を形成する、これにより発光機能層76が完成する。
ステップS15では、発光機能層76の形成された素子基板10上のほぼ全体に、例えば蒸着法によって、発光機能層76や隔壁15を覆うように陰極78を形成する。
ステップS16では、陰極78上に、封止接着層88を挟んで対向基板11を配置することにより封止を行う(図3参照)。
上記有機EL装置1の製造方法によれば、ステップS6のラミネートフィルム転写工程において、隔壁15の頭頂部に確実に撥液層36が形成されると共に、画素電極74の表面には撥液材料層34が転写されないので、発光層を含む発光機能層76を所望の厚みおよび膜形状で形成することができる。すなわち、所望の発光特性を有する有機EL素子118を備えた有機EL装置1を歩留まりよく製造することができる。
(実施形態2)
上記有機EL装置1の製造方法において、ラミネート装置35は、加圧ローラー26に薄膜形成用基板37に向かって瞬時に圧力を印加可能な印加手段を有することが好ましい。
これによれば、高速な圧力制御動作が可能であるため、圧力の追従性が向上することとなり、高速な基板搬送に対応できサイクルタイムの短縮が図れ、製造コストを低減することができる。
上記有機EL装置1の製造方法において、ラミネート装置35は、加圧ローラー26に薄膜形成用基板37に向かって瞬時に圧力を印加可能な印加手段を有することが好ましい。
これによれば、高速な圧力制御動作が可能であるため、圧力の追従性が向上することとなり、高速な基板搬送に対応できサイクルタイムの短縮が図れ、製造コストを低減することができる。
(実施形態3)
上記有機EL装置1の製造方法において、ラミネート装置35は、加圧ローラー26を介してラミネートフィルム32を薄膜形成用基板37に押圧する圧力の制御手段として、電磁石を用いた圧力制御機構を備えることが好ましい。圧力制御機構は、例えば、加圧ローラー26に内在して配置された磁性体(例えば回転軸)と、ラミネートフィルム32および薄膜形成用基板37を介して上記磁性体と反対側に配置された電磁石とを含む、または、磁性体と電磁石とを逆に配置してもよい。
上記有機EL装置1の製造方法において、ラミネート装置35は、加圧ローラー26を介してラミネートフィルム32を薄膜形成用基板37に押圧する圧力の制御手段として、電磁石を用いた圧力制御機構を備えることが好ましい。圧力制御機構は、例えば、加圧ローラー26に内在して配置された磁性体(例えば回転軸)と、ラミネートフィルム32および薄膜形成用基板37を介して上記磁性体と反対側に配置された電磁石とを含む、または、磁性体と電磁石とを逆に配置してもよい。
これによれば、電磁石に加える電気的信号により瞬時に加圧力の変更が可能なため、圧力の追従性を向上させることができる。
1…有機EL装置、6…発光領域(表示領域)、7…画素、7R…赤色画素、7G…緑色画素、7B…青色画素、10…素子基板、11…対向基板、15…隔壁、17…凸部、18…液剤(液状体)、22…フィルム供給ローラー、24…フィルム巻き取りローラー、26…ローラーとしての加圧ローラー、27…固定ローラー、28…プレヒート部、29…加圧用エアーシリンダー、32…ラミネートフィルム、33…ベースフィルム、34…撥液材料層、35…ラミネート装置、36…撥液層、37…薄膜形成用基板、74…画素電極(陽極)、76…発光機能層、78…陰極、80…層間絶縁膜、82…コンタクトホール、88…封止接着層、102…走査線、104…信号線、106…電源供給線、108…スイッチング用TFT、110…保持容量、112…駆動用TFT、118…有機EL素子、120…走査線駆動回路、130…信号線駆動回路、140…同期信号線。
Claims (5)
- 基板上の隔壁によって区画された領域に発光層を含む機能層を備えた有機EL装置の製造方法であって、
前記隔壁が形成された前記基板をあらかじめ加熱する工程と、
撥液材料が塗布されたフィルムをローラーによって前記基板に押圧して前記撥液材料を前記隔壁に転写する転写工程と、
機能性材料を含む液状体を前記隔壁によって区画された領域に塗布する塗布工程と、
塗布された前記液状体を乾燥し前記機能層を形成する乾燥工程と、を備え、
前記転写工程は、前記基板が前記ローラーを介して前記フィルムと接触する時に所定の圧力よりも低い圧力で前記基板と前記フィルムとを接触させ、所定の時間が経過した後に前記所定の圧力より高い圧力で押圧するプロセスと、前記所定の圧力で押圧するプロセスとを含むことを特徴とする有機EL装置の製造方法。 - 前記高い圧力で押圧するプロセスは、前記ローラーに前記基板に向かって瞬時に圧力を印加することを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
- 前記ローラーを介して前記フィルムを前記基板に押圧する圧力の制御手段が、電磁石を用いた圧力制御機構であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
- 前記圧力制御機構は、前記ローラーに内在して配置された磁性体と、前記ローラーを介して前記磁性体と反対側に配置された前記電磁石とを含むことを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置の製造方法。
- 前記圧力制御機構は、前記ローラーに内在して配置された前記電磁石と、前記ローラーを介して前記電磁石と反対側に配置された磁性体とを含むことを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2011074376A JP2012209147A (ja) | 2011-03-30 | 2011-03-30 | 有機el装置の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113097411A (zh) * | 2021-03-22 | 2021-07-09 | 深圳市华星光电半导体显示技术有限公司 | 显示面板及显示面板的制备方法 |
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2011
- 2011-03-30 JP JP2011074376A patent/JP2012209147A/ja not_active Withdrawn
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