JP2012152151A - 分子診断型植物工場及び分子診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物体の外観情報以外の情報に基づき植物体の生育状態を判定し、植物体の選別や環境制御を高精度に行うことを可能とする技術を提供する。
【解決手段】植物の生育に伴い増加する内在性遺伝子の発現量を生物発光で識別することができるように改変された植物体の生育状態を診断する分子診断システムを備えた分子診断型植物工場であって、該分子診断システムが、発光遺伝子を導入した発光遺伝子導入植物体を生育するための栽培光を投射する光投射手段と、該発光遺伝子導入植物体の生育に伴い増加した内在性遺伝子の発現量を生物発光として撮像して発光画像を取得する発光画像取得手段と、該発光画像における生物発光の発光量に基づいて該発光遺伝子導入植物体の生育状態を診断する生育状態診断手段と、を備えた、分子診断型植物工場により解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、植物の生育状態を、内在性の遺伝子発現による生物発光で見ることができるように改変された植物から発せられた生物発光に基づいて診断する分子診断型植物工場及び分子診断方法に関する。
植物工場は、光、温度、湿度、水、養分など植物栽培に必要な要素をすべて人工的にコントロールして農産物を生産するための播種から収穫、出荷までを効率よく工業的に行う設備であり、自然環境に関係なく四季を通じて、無農薬で均一な植物を安定供給でき、また従来の農法のような広い土地を必要とせず、寒冷地、砂漠等の不毛地、都市の未利用空間、大型船舶上等、あらゆる場所での植物栽培を可能にするものであるため、近年急速に脚光を浴びている。
植物工場においては、環境制御や栽培工程の変更が比較的容易であるという利点がある。そのため、植物工場において、食用の野菜や観賞用の植物を植物工場で育成する場合、実際に育ちつつある植物の葉・茎その他植物の形や大きさの外観を見ながら、経験則による環境制御等を実施し、よりきれいな形や望む大きさになるように栽培される。
先進的な植物工場で、カメラでの植物体の撮像と画像処理等により生育状態を診断してその情報からのフィードバック等の制御を実現したり、選別等を行うような場合であっても、植物体の外観情報を用いて生育環境や工程の最適化制御をするという本質は同じであった。
例えば、特開2004−121033号公報には、複数の苗を育苗するための育苗光を投射するプロジェクタと、複数の苗を撮像した苗画像を取得するCCDカメラと、苗画像に基づいて複数の苗それぞれの生育状態を判定する生育状態判定部と、生育状態判定部により判定された複数の苗それぞれの生育状態に基づいて、複数の苗それぞれの生育に適した育苗光の投射領域および投射条件を設定する投射条件設定部とを備えた植物体栽培装置が記載されている(特許文献1)。
さて、昨今の新しい植物活用としては、医薬等に用いられる高付加価値タンパク質などの有用物質を植物体内で生産させ、そのまま家畜等の飼料としたり、抽出精製して利用する目的での技術開発が注目を集めている(非特許文献1)。この場合、植物葉緑体は高密度に外来タンパク質を貯蔵する場所として優れるため、外来タンパク質遺伝子を葉緑体ゲノムに導入したレタスのような葉菜植物等を閉鎖型植物工場で栽培するといった例がある。
植物の環境応答、特に光合成・光環境応答に対する最適化技術は、農林水産生物に飛躍的な機能向上をもたらす重要な技術的ニーズの一つである。近年、光環境応答の主要な生理機構としての体内時計が、遺伝子レベルから個体レベルに渡って研究され、メカニズムの解明が飛躍的に進んでいる(非特許文献2及び3)。多くの生物において、代謝活動は体内時計によって調節され、約一日周期の内在性リズムである概日リズム(サーカディアンリズム)を刻むことで、一日の昼夜サイクルの下で最も効率良く働くよう設計されている。例えば、植物は朝方から昼間に光合成の効率が上昇し、夜間は糖輸送の代謝効率が上昇する。この日周性の概日リズムは、外部環境条件が一定で時刻を知らせる因子が一切存在しない場合でも、体内時計により自発的に生じる。また、体内時計が生み出す概日リズムと周期が一致する明暗サイクルの条件下で、成長速度や葉緑素濃度が最大になるサーカディアン共鳴現象が見出されている。さらに、体内時計は光合成遺伝子や細胞伸長遺伝子を含む全ゲノム中約10%程度の遺伝子群の発現タイミングを調節し、代謝のバランスを整えていることが知られている。また、体内時計の主要遺伝子である時計遺伝子の遺伝子工学的改変によって、植物の成長期間を延長し開花を遅延する効果が期待できる(特許文献2)。
特開2004−121033号公報 特表2002−501381号公報
福田、「安全安心レタスから医薬用レタスまで−遺伝子発現制御植物工場の開発−」、SHITA REPORT No.24、日本生物環境工学会、2007年1月 McClung,C.R..Plant circadian rhythms.Plant Cell 18:792−803、2006 Nakamichi,N.et al.,The Plant Cell,Vol.22:594−605,March 2010
植物体の外観をカメラで撮像し画像処理等により生育状態を診断してその情報に基づいて環境制御や植物体の選別等を行う方法は、植物体の葉、茎、つぼみ等を撮像して環境制御や選別等を行うため、育苗期(播種後約数週間)の苗では、判定材料となる植物体の外観情報量が乏しく、精密な判定は困難である。
また、医薬等に用いられる高付加価値タンパク質などの有用物質を植物体内で生産させる場合、植物体の外観をカメラで撮像し画像処理等により生育状態を診断してその情報に基づいて環境制御を行ったり、植物体の選別等を行う方法では、植物体の見た目がきれいか否か、植物体の大きさが大きいか否かといった外観情報は有用物質の生産性には絶対的な意味を持たないため、有用物質を生産させる植物体の育成条件の最適化制御や選別等が出来ないという問題があった。
植物工場が植物栽培に必要な要素をすべて人工的にコントロールしなければならないものであるため、体内時計の働きを無視して一定な連続明条件などで栽培すると、作物の成長や形態形成などに異常が生じる。このような理由から、体内時計に着目した代謝サイクルの最適化技術は、人工的な昼夜サイクルを生み出す閉鎖型植物工場においては特に重要な技術的ニーズの一つとなっている。
そこで本発明は、植物体の外観情報以外の情報に基づき植物体の生育状態を判定し、植物体の選別や環境制御を高精度に行うことを可能とする技術を提供することを目的とする。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、植物の生育に伴い発現が増加する内在性遺伝子の発現量を生物発光で識別することができるように改変された植物体の生物発光に基づいて植物体の生育状態を診断する分子診断システムを備えた分子診断型植物工場であって、該分子診断システムが、発光遺伝子を導入した発光遺伝子導入植物体を生育するための栽培光を投射する光投射手段と、該発光遺伝子導入植物体の生育に伴い増加した内在性遺伝子の発現量を生物発光として撮像して発光画像を取得する発光画像取得手段と、該発光画像における生物発光の発光量に基づいて該発光遺伝子導入植物体の生育状態を診断する生育状態診断手段と、を備えた、分子診断型植物工場を提供するものである。
また、本発明は、植物の生育に伴い発現が増加する内在性遺伝子の発現量を生物発光で識別することができるように改変された植物体の生物発光に基づいて植物体の生育状態を診断する分子診断方法であって、発光遺伝子を導入した発光遺伝子導入植物体を生育するために栽培光を投射する光投射工程と、該発光遺伝子導入植物体の生育に伴い増加した内在性遺伝子の発現量を生物発光として撮像して発光画像を取得する発光画像取得工程と、該発光画像における生物発光の発光量に基づいて該発光遺伝子導入植物体の生育状態を診断する育成状態診断工程と、を有する、分子診断方法を提供するものである。
本発明によれば、植物体の生育状態を内在性遺伝子の発現量に基づいて診断することで、外観情報に基づいて植物体の生育状態を診断する場合よりも高精度に診断することができる。すなわち、植物体内における内在性遺伝子の発現と植物体の成長が相関関係にあることから、内在性遺伝子の発現の強さに基づいて分子レベルで植物体の生育状態を診断することが可能となり、育苗期のような早い段階であっても優良苗の選別や有用タンパクの発現量の推定が可能となる。また、内在性遺伝子の発現量から植物の代謝サイクルを推定することができ、分子レベルでその植物体に最も適した環境制御が可能となる。
本発明の実施形態である分子診断型植物工場1の概要を示す図である。 早期診断ステージBにおける分子診断システムの構成を説明するための図である。 図3は早期診断ステージBにおける分子診断システムの分子診断処理を示す流れ図である。 補正アルゴリズムを育苗パレット16の座標情報(x,y)に設定したデータの一例を示す図である。 発光画像取得手段22が撮影した幼苗10の発光画像と、その生育状態の診断結果データの一例を示す図である。 栽培後の乾物重と幼苗10の葉面積、ならびに栽培後の乾物重と幼苗の発光量の相関図である。 生物発光生成総量と幼苗の葉面積、ならびに生物発光生成総量と幼苗の発光量の相関を示す図である。 栽培ステージCにおける分子診断システムの構成を説明するための図である。 栽培ステージCにおける分子診断システムの分子診断処理を示す流れ図である。 発光量の測定値に基づいて作成された概日リズム情報の一例を示す図である。 発光量の測定値に基づいて作成された光合成関連遺伝子(クロロフィルAB結合タンパク質遺伝子CAB)の発現情報の一例である。
本発明の実施形態について、図を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明の実施形態である分子診断型植物工場1の概要を示す図である。図1では、理解を容易にするために、一般的な植物工場に備えられている各種設備(例えば、照明などの光源、エアコンなどの空調設備、水耕栽培設備など)は省略しており、特に断りがない限り、これら各種設備が設置されているものとする。
本実施形態の分子診断型植物工場1は、植物の生育に伴い増加する発光分子の生物発光に基づいて植物体の生育状態を診断する分子診断システムを備えた植物工場であって、外壁50で囲まれた空間内に、育苗ステージA、早期診断ステージB、栽培ステージCの3つの空間が形成されている。
育苗ステージAは、育苗期(播種後約数週間)の期間中、苗を育苗するための領域であり、培地に無菌的に播種され発芽した複数の幼苗10が育苗棚12に格納されている。育苗棚12には、幼苗10に栽培光を照射するための光照射手段14が装着されている。光照射手段14は、苗の栽培光として適しているものであれば特に限定はないが、例えば、蛍光灯、LED等が好適である。
ここで、本実施形態において使用される苗(植物体)は、遺伝子工学的手法を用いて予め生物発光を行うタンパク質をコードする発光遺伝子が任意の目的物質遺伝子のプロモーター部分に導入されており(以下、発光遺伝子導入植物体と言う)、この発光遺伝子導入植物体の生育に伴い発光分子が増加し、増加したこれら発光分子が基質と反応して生物発光を行う。
「生物発光」とは、生物による可視光の放射であり、ホタル、コメツキムシ、発光細菌(Photobacterium photoreum、Vibrio harveyi等)、ウミホタル、ウミシイタケ、ヤコウチュウ等、ルシフェラーゼによる発光の仕組みを利用した発光を意味する。コスト又は材料の入手の容易性の観点からは、前記発光遺伝子はホタル由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子であり、前記発光分子はルシフェラーゼであることが好ましい。
早期診断ステージBは、育苗ステージAで育苗された幼苗10を後述する栽培ステージCに定植する前に、優良苗の選別にあたって苗の生育状況を診断する領域である。早期診断ステージBには、暗箱20と、発光画像取得手段22と、生育状態診断手段24と、選別手段28が設置されている。
図2は、早期診断ステージBにおける分子診断システムの構成を説明するための図である。また、図3は早期診断ステージBにおける分子診断システムの分子診断処理を示す流れ図である。
暗箱20は、幼苗10を収容可能であって、かつ、外部からの光が入射しないように暗空間を形成するためのものである。かかる機能を有するものであればその構成に特に限定はなく、大きさや形も任意に設計することができる。
発光画像取得手段22は、暗箱20内の幼苗10から発せられた生物発光を撮像して発光画像を取得するためのものである。発光画像取得手段22としては、例えば、高感度CCDカメラ、光電子倍増管など、微弱な生物発光を撮像し得る手段であれば特に限定はない。
また、発光画像取得手段22は、図1及び図2においては幼苗10の上方に設置され、苗を上方から撮影できるようになっているが、暗箱20の側面に設置し、幼苗10の側面から撮影するように構成してもよく、各方向から撮影できるように、複数の発光画像取得手段22を設置することも可能である。この発光画像取得手段22により取得された幼苗10の発光画像は、生育状態診断手段24へ送信され、画像記憶手段26に画像を記憶する(S100)。
生育状態診断手段24は、発光画像取得手段22から取得した発光画像における生物発光の発光量に基づいて、幼苗10(発光遺伝子導入植物体)の生育状態を診断するものである。
生育状態診断手段24が取得した発光画像情報には、育苗パレット16の座標情報(x,y)が含まれており、生育状態診断手段24はこの座標情報を取得して(S110)、座標情報に基づき、各幼苗10の領域を抽出するとともに発光量の測定を行う(S120)。
ここで、発光量を測定した実測値に基づいて育成状態の診断結果データを作成することもできるが、育苗ステージAにおいて幼苗10がどの位置に置かれるか、例えば、育苗棚12の上か下か、光照射手段14に近いか遠いか等によっては、幼苗10がよく育つ場合や逆に育ちにくいといった環境差が起こり得る。そのため、育成状態を診断する際にも、生物発光の発光量そのものを絶対値として判断するだけでは、苗が優良か否かという資質により発光が少なかったのか、育苗ステージAでのたまたまその個体が置かれた位置の環境が悪くて生育が思わしくなく、結果として生物発光の発光絶対量が少なく測定されたのかは不明であり、優良苗選別の本質において判断を誤る可能性がある。
そこで、生物発光の発光量に対して、育苗ステージAの各位置ごとに求めておいた補正係数を作用させてから、発光量が多いか少ないかの判断をすることが好ましい(S130)。
すなわち、生育状態診断手段24が、幼苗10(発光遺伝子導入植物体)の位置情報と平均発光量に基づき幼苗10の位置ごとの補正係数を算出し、発光量の実測値に補正係数を乗じる補正アルゴリズムを備えることが好ましい。
具体的には、十分に多い回数の育苗をすれば、最終的にはどの位置の苗も発光量はほぼ同程度であることが期待できる。従って、実際に十分多い回数育苗した結果の位置毎の平均発光量の実測値を求め、全ての位置を合計して求めた発光量の平均値よりも少なかった位置の苗には、平均値にまで高める補正ができるような係数を求めておく。逆に、平均値より高かった位置の苗には、平均値にまで低くするような係数を求めておく。これら補正係数を、その後の育苗で計測された発光量の測定値に対して作用させることで、苗の位置にかかわらず、苗自体が優良か否かの本来の資質を推測・判断することが可能となる。
図4に、補正アルゴリズムを育苗パレット16の座標情報(x,y)に設定したデータの一例を示す。図4に示すように、補正アルゴリズムは、育苗パレット16の座標情報に対応させて行う。
実測値の補正を行った後、基準値と実測値との比較を行い(S140)、育成状態の診断結果情報を作成する(S150)。
図5は、発光画像取得手段22が撮影した幼苗10の発光画像と、その生育状態の診断結果データの一例である。図5(A)に示すように、4×4セルの育苗パレット16を暗箱20の上方から撮影すると、幼苗10の二葉から発せられた生物発光の種々の発光画像データが取得できる。この生物発光は、発光遺伝子が植物体内で発現して発光分子を生産し、基質に含まれているルシフェリンと発光分子が反応して発生したものである。
また、この生物発光の発光量は幼苗10の生育状態の良否と相関関係を有し、発光量が多い苗(図5(A)の10a)ほど優良であることを意味する。一方、幼苗10が先天的に欠陥を有している、発育が悪い又は発光遺伝子が何らかの原因により発現していない等の場合には、発光量が少ないか、まったく生物発光が発生せず撮影画像には映し出されない(図5(A)の10b、10c、10d)。
生育状態診断手段24には予め幼苗10の選別の基準となる発光量の基準値(閾値)が設定されており、かかる基準値以上の発光量を示す苗(例えば10a)は、次の栽培ステージCへの定植を許可する「○」の診断情報が作成され、基準値未満の発光量しか示さなかった苗(例えば10b、10c、10d)は、次の栽培ステージCへの定植を許可しない「×」の診断情報が作成され、その情報が選別手段28へ送信される。
なお、図4(A)では4×4セルの育苗パレット16の例を説明したが、育苗パレットは任意のセル数を設定することができ、育成状態の診断も任意のセル数ごとに行うことができる。
選別手段28は、生育状態診断手段24が作成した診断情報を取得し、この診断情報に基づいて優良苗と不良苗を選別する。選別手段28の構成は、例えば、植物を傷つけないように培地ごと苗を把持可能なロボットハンド部と、把持した苗を育苗ステージAから栽培ステージCもしくは廃棄箱等に移載可能な搬送部による構成とすることができる。
優良苗(例えば10a)は栽培ステージCで使用される栽培パレットに移植され、不良苗(例えば10b、10c、10d)は廃棄処分される。
このように、早期診断ステージBでは、育苗期の段階で優良苗を高精度で選別することができるため、栽培ステージCにおける歩留まり率と平均生産量の向上によるコスト削減や生産性の増大が達成される。
図6に、栽培後の乾物重と幼苗の葉面積、ならびに栽培後の乾物重と幼苗の発光量の相関図を示す。いずれの場合も正の相関があることが認められ、幼苗の葉面積および幼苗の発光量は早期診断の指標として利用可能であることが分かる。また、これらは様々な光環境下で一般に利用可能である。
幼苗の葉面積と乾重量の相関係数RDVと、幼苗の発光量と乾物重の相関係数RDBを比較すると、全ての試験条件においてRDV<RDBであった。したがって、乾物重の早期診断の指標としては発光量が葉面積より優れている。
さらに、図7に該プロモータ活性総量(発光タンパク質生成総量)と幼苗の葉面積、ならびに該プロモータ活性総量と幼苗の発光量の相関を示す。いずれの場合も正の相関があることが認められ、幼苗の葉面積および幼苗の発光量は早期診断の指標として利用可能であることが分かる。また、これらは様々な光環境下で一般に利用可能である。
また、幼苗の葉面積と該プロモータ活性総量の相関係数RLVと、幼苗の発光量と該プロモータ活性総量の相関係数RLBを比較すると、全ての試験条件においてRLV<RLBであった。したがって、該プロモータ活性総量に対する早期診断の指標としても発光量が葉面積より優れている。
栽培ステージCは、選別した優良苗(例えば10a)を水耕栽培システム等を利用して栽培する領域である。図1に示すように、栽培ステージCは植物体の成長を促進させるための光照射手段30、水耕栽培手段32、温湿度管理手段34から構成される栽培装置36等を備え、栽培装置36に、発光画像取得手段38と、生育状態診断手段40が設置されている。
図8は、栽培ステージCにおける分子診断システムの構成を説明するための図である。また、図9は栽培ステージCにおける分子診断システムの分子診断処理を示す流れ図である。
栽培装置36は、光照射手段30の光照射を制御し、発光遺伝子が導入された発光植物100の生育に適した栽培光を照射するとともに、分子診断を行う際は、一時的に暗箱状態を作り出すことができる。
発光画像取得手段38は、栽培装置36内の発光植物100から発せられた生物発光を撮像して発光画像を取得するためのものである。発光画像取得手段38としては、例えば、高感度CCDカメラ、光電子倍増管など、微弱な生物発光を撮像し得る手段であれば特に限定はない。
また、発光画像取得手段38は、図1及び図8においては植物体の上方に設置され、発光植物100を上方から撮影できるようになっているが、栽培装置36の側面に設置し、発光植物100の側面から撮影するように構成してもよく、各方向から撮影できるように、複数の発光画像取得手段38を設置することも可能である。
この発光画像取得手段38により取得された発光植物100の発光画像は、生育状態診断手段40へ送信され、画像記憶手段42に画像を記憶する(S200)。
生育状態診断手段40は、発光画像取得手段38から取得した発光画像における生物発光の発光量に基づいて、発光植物100(発光遺伝子導入植物体)の生育状態を診断し、栽培光などの環境条件を制御する情報を作成するものである。
生育状態診断手段40が取得した発光画像情報には、定植パレット44の座標情報(x,y)が含まれており、生育状態診断手段40はこの座標情報を取得して(S210)、座標情報に基づき、各発光植物100の領域を抽出するとともに発光量の測定を行う(S230)。ここで、発光量を測定した実測値に基づいて育成状態の診断結果データを作成することもできるが、育苗ステージAにおいて実施した補正アルゴリズムを実行することもできる。
次いで得られた発光量の測定値に基づき、生育状態診断手段40は得られた発光量の測定値に基づき分子診断情報を作成する(S240)。分子診断情報としては、有用遺伝子発現情報や光合成遺伝子発現情報、概日リズム(サーカディアンリズム)情報など、栽培過程において有効な遺伝子の発現情報を挙げることができる。分子診断情報が例えば概日リズム情報の場合は、まず、連続照明条件下における2時間程度の消灯(暗期パルスDP)に対する発光植物100の概日リズムの位相応答曲線と、連続照明条件下における自由継続周期を計測する。次いで、この位相応答曲線を用いた位相振動子モデルに基づき、暗期パルスの同期領域及び位相固定点を算出する。
生育状態診断手段40は作成された同期領域情報及び位相固定点情報に基づき、光合成活性最低となる時間帯(体内時刻が深夜となる状態、平均値の約15%減)に位相固定点が実現される暗期パルスDPの周期を決定する(S250)。
図10は、発光量の測定値に基づいて作成された概日リズム情報の一例である。図10に示すように、発光量は約1日の周期をもって増減している。その周期は植物の種類と栽培条件によってそれぞれ異なるが、図10に示すように概日リズムの周期や振幅、暗期パルス(DP)に対する応答を診断することができる。
図11は、ルシフェラーゼ遺伝子導入グリーンウエーブレタスLsCAB::LUCの発光量の測定値に基づいて作成された光合成関連遺伝子(クロロフィルAB結合タンパク質遺伝子CAB)の発現情報の一例である。図11に示すように、光合成関連遺伝子は約1日の周期をもって増減している。グリーンウエーブレタスの場合は、図11に示す矢印のタイミングで暗期パルス(DP)を与えると、効率よく光合成を行わせることができる。
決定された暗期パルスDPの周期情報を取得した生育状態診断手段40は、光照射手段30の栽培光の照射時間を制御し、例えば、暗期パルスDPの周期ごとに2時間程度消灯する(S260)。
このように、栽培ステージCでは、「最適な暗期パルスの周期」を算出しそれを実践することで、照明コストを節約するとともに、発光植物100の光合成を効率よく行うことができる。
なお、上記の実施形態では、選別した優良苗(10a)を栽培ステージCで栽培する例を示したが、これに限定されず、例えば、発光遺伝子を導入していない幼苗を栽培ステージCで栽培する際に、上記の要領で選別した発光遺伝子導入植物体(幼苗)と共に栽培することもできる。
すなわち、栽培ステージCにおいては、全ての植物体に発光遺伝子が導入されていなくてもよく、一部(例えば、1個体)に発光遺伝子が導入されていれば、その個体について上述した分子診断を行い、暗期パルスその他環境制御のための情報を得ることができる。その際、発光遺伝子導入植物体は一種の生体センサーとしての役割を果たすものである。これにより、一部の発光遺伝子導入植物体をセンシングした結果を、栽培ステージC全体の植物に対して適用することができるため、非組換え体を栽培する場合も分子診断情報を利用した最適栽培を行なうことができる。
なお、発光遺伝子導入植物体はその役割が終われば廃棄し、出荷される非組換え体に混入しないように取り扱うこともできる。
また、本実施形態の分子診断型植物工場において好適な植物としては、レタス、小松菜、ホウレンソウ、キュウリ、トマト、ピーマン、サンチュ、水菜、春菊等の野菜類;ルッコラ、バジル等のハーブ類;イチゴ、ミカン、マンゴー、ブドウ、ナシ等の果物類;コメ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、トウモロコシ、モロコシ、アワ、ヒエ、キビ等の穀類;バラ、カーネーション、洋ラン、ガーベラ、トルコキキョウ等の花卉類;ポトス、セローム、アジアンタム等の観葉植物等、種々の農産物を挙げることができる。
1…分子診断型植物工場
10…幼苗
12…育苗棚
14…光照射手段
16…育苗パレット
20…暗箱
22…発光画像取得手段
24…生育状態診断手段
26…画像記憶手段
28…選別手段
30…光照射手段
32…水耕栽培手段
34…温湿度管理手段
36…栽培装置
38…発光画像取得手段
40…生育状態診断手段
42…画像記憶手段
44…定植パレット
50…外壁
100…発光植物
A…育苗ステージ
B…早期診断ステージ
C…栽培ステージ

Claims (12)

  1. 植物の生育に伴い増加する内在性遺伝子の発現量を生物発光で識別することができるように改変された植物体の生物発光に基づいて植物体の生育状態を診断する分子診断システムを備えた分子診断型植物工場であって、
    該分子診断システムが、
    発光遺伝子を導入した発光遺伝子導入植物体を生育するための栽培光を投射する光投射手段と、
    該発光遺伝子導入植物体の生育に伴い増加した内在性遺伝子の発現量を生物発光として撮像して発光画像を取得する発光画像取得手段と、
    該発光画像における生物発光の発光量に基づいて該発光遺伝子導入植物体の生育状態を診断する生育状態診断手段と、
    を備えた、分子診断型植物工場。
  2. 前記発光遺伝子がルシフェラーゼをコードする遺伝子であり、前記発光分子がルシフェラーゼである、請求項1に記載の分子診断型植物工場。
  3. 前記生育状態診断手段による診断情報に基づいて優良苗と不良苗を選別するための選別手段を備えた、請求項1又は2に記載の分子診断型植物工場。
  4. 前記生育状態診断手段が、前記発光遺伝子導入植物体の位置情報と平均発光量に基づき前記発光遺伝子導入植物体の位置ごとの補正係数を算出し、前記発光量の実測値に補正係数を乗じる補正アルゴリズムを備えた、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の分子診断型植物工場。
  5. 前記生育状態診断手段が、前記発光遺伝子導入植物体の発光量に基づき、前記発光遺伝子導入植物体の栽培過程において有効な分子診断情報を作成する手段を備えた、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の分子診断型植物工場。
  6. 前記分子診断情報が、有用遺伝子発現情報、光合成遺伝子発現情報、概日リズム情報からなる群から選択された少なくとも1種である、
    請求項5に記載の分子診断型植物工場。
  7. 植物の生育に伴い増加する内在性遺伝子の発現量を生物発光で識別することができるように改変された植物体の生物発光に基づいて植物体の生育状態を診断する分子診断方法であって、
    発光遺伝子を導入した発光遺伝子導入植物体を生育するために栽培光を投射する光投射工程と、
    該発光遺伝子導入植物体の生育に伴い増加した内在性遺伝子の発現量を生物発光として撮像して発光画像を取得する発光画像取得工程と、
    該発光画像における生物発光の発光量に基づいて該発光遺伝子導入植物体の生育状態を診断する育成状態診断工程と、
    を有する、分子診断方法。
  8. 前記発光遺伝子がルシフェラーゼをコードする遺伝子であり、前記発光分子がルシフェラーゼである、請求項7に記載の分子診断方法。
  9. 前記生育状態診断工程による診断情報に基づいて優良苗と不良苗を選別するための選別工程を有する、請求項7又は8に記載の分子診断方法。
  10. 前記生育状態診断工程において、前記発光遺伝子導入植物体の位置情報と平均発光量に基づき前記発光遺伝子導入植物体の位置ごとの補正係数を算出し、前記発光量の実測値に補正係数を乗じる補正アルゴリズム工程を有する、
    請求項7〜9のいずれか1項に記載の分子診断方法。
  11. 前記生育状態診断工程において、前記発光遺伝子導入植物体の発光量に基づき、前記発光遺伝子導入植物体の栽培過程において有効な分子診断情報を作成する工程を有する、
    請求項7〜10のいずれか1項に記載の分子診断型方法。
  12. 前記分子診断情報が、有用遺伝子発現情報、光合成遺伝子発現情報、概日リズム情報からなる群から選択された少なくとも1種である、
    請求項11に記載の分子診断型植物工場。
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