JP2012150400A - 電子写真感光体、及びそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
電子写真感光体、及びそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の最表面層が、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物が、該[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応により重合した3次元架橋膜からなり、且つ、該3次元架橋膜中の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の残量を表す指数が特定の条件式を満足することを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】なし
Description
以上のように機械的強度に優れ、電気的特性(帯電性、電荷輸送性、残留電位特性)にも優れ、環境依存性も少なく、耐ガス性にも優れて、真に高寿命で安定した画像出力が可能で生産性にも優れる高耐久感光体の提供ができていなかった。
(1)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層の最表面層が、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物が、該[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応により重合した3次元架橋膜からなり、且つ、該3次元架橋膜中の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の残量を表す指数(C/D)/(A/B)が下記(I)の条件を満足することを特徴とする電子写真感光体。
(C/D)/(A/B)=0.35〜0.60 (I)
但し、条件(I)においてA〜Dは以下の通りである。
A=反応前の電荷輸送性化合物の脂肪族C−H伸縮振動ピーク(2940±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
B=反応前の電荷輸送性化合物の芳香族C−H伸縮振動ピーク(3028±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
C=3次元架橋膜の脂肪族C−H伸縮振動ピーク(2940±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
D=3次元架橋膜の芳香族C−H伸縮振動ピーク(3028±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
(2)前記3次元架橋膜がテトラヒドロフランに不溶であることを特徴とする上記(1)に記載の電子写真感光体。
(3)導電性支持体上の感光層が少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に有してなり、該架橋型電荷輸送層が、前記3次元架橋膜である事を特徴とする上記(1)又は(2)に記載の電子写真感光体。
(4)前記3次元架橋膜が電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物に硬化触媒を添加し加熱することで、[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部を脱離させる反応により得られたものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(5)前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物が下記一般式(1)で表されることを特徴する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6)前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物が下記一般式(2)で表されることを特徴する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(7)前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物が下記一般式(3)で表されることを特徴する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(8)前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物が下記一般式(4)で表されることを特徴する上記(5)に記載の電子写真感光体。
(9)前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物が下記一般式(5)で表されることを特徴する上記(6)に記載の電子写真感光体。
(10)前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物が下記一般式(6)で表されることを特徴する上記(7)に記載の電子写真感光体。
(11)電子写真感光体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも有する画像形成方法であって、前記電子写真感光体が、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法。
(12)前記露光工程における感光体上への静電潜像書き込みがデジタル方式により行われることを特徴とする上記(11)に記載の画像形成方法。
(13)電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記電子写真感光体が、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
(14)前記露光手段による電子写真感光体上への静電潜像書き込みがデジタル方式であることを特徴とする上記(13)に記載の画像形成装置。
(15)電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段を有し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジにおいて、前記電子写真感光体が、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(C/D)/(A/B)=0.35〜0.60 (I)
但し、条件(I)においてA〜Dは以下の通りである。
A=反応前の電荷輸送性化合物の脂肪族C−H伸縮振動ピーク(2940±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
B=反応前の電荷輸送性化合物の芳香族C−H伸縮振動ピーク(3028±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
C=3次元架橋膜の脂肪族C−H伸縮振動ピーク(2940±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
D=3次元架橋膜の芳香族C−H伸縮振動ピーク(3028±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
従って、上記3次元架橋膜がテトラヒドロフランに不溶である事は、感光体の表面が巨大分子化されて一体となった構造になっていることを表し、高い機械的特性を発揮する。
ここで、不溶とはテトラヒドロフランに浸漬しても膜が消失しない状態を言う。
更に好ましくは、テトラヒドロフランで濡らした綿棒等で擦っても、その痕跡が残らない状態が好ましい。
この様に溶媒不溶とすることで感光体への異物付着を防止できたり、異物付着を起源とした感光体表面の傷の発生等を防止することができる。
本発明の電子写真感光体における上記3次元架橋膜の電荷輸送性は、従来の架橋膜に比べて最高レベルの特性を有しているが、通常の分子分散型電荷輸送層に比べるとまだ低い。従って、電荷輸送層は従来型の分子分散型電荷輸送層を用い、その表面の保護層として3次元架橋膜を使用する場合に、最高のパフォーマンスを発揮する。
すなわち比較的厚膜の通常の分子分散型電荷輸送層上に薄膜の架橋型電荷輸送層を形成することで、感度特性を低下させることなく上記の特徴を有する電子写真感光体の提供が可能になる。その為に架橋型電荷輸送層の膜厚は1〜10μmが好ましい。
硬化触媒を用いて加熱することで重合反応を実用的な速度で進行させることが可能にあり、表面平滑性に優れた最表面層の形成が可能になる。表面平滑性が極端に悪くなるとトナーのクリーニング性が悪くなり、異常画像の原因となって高画質な印刷ができなくなる。したがって適当な硬化触媒を用いて適当な温度で加熱することにより表面平滑性に優れる上記の本発明の電子写真感光体の形成が可能になり、より高画質な画像を長期に渡って印刷できるようになる。
電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物であれば、重合反応により3次元架橋膜を形成させることが可能であるが、一般式(1)で表される化合物は、分子量当たりの[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の割合が多く、したがって架橋密度の高い3次元架橋膜の形成が可能になることから硬度の高い耐傷性の高い感光体の提供が可能になる。
一般式(2)ので表される化合物は、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を4個有しており、且つ、非共役連結基のX1を有することで適度な分子運動性をも有しており、重合反応による一部の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を残した3次元架橋膜を形成しやすく、出来上がった3次元架橋膜の硬度特性や弾性特性のバランスが良く、強靱で耐傷性、耐摩耗性の両方に優れた表面保護層の形成が可能になる。さらに、X1の構造性から分子の酸化電位が比較的大きく、酸化しにくい特性を有しており、オゾンガスやNOxガスのような酸化性ガスの暴露時にも比較的安定であり、耐ガス性にも強い感光体の提供が可能になる。
一般式(3)で表される化合物は、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を4個有しており、重合反応による一部の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を残した3次元架橋膜を形成しやすい。且つ、Y1で表される特定の芳香族炭化水素構造を介したジアミン構造となっており、分子内電荷移動が可能であり、ホール移動度の速い架橋保護層の形成が可能になる。従って、高速印刷や小径ドラムによる印刷のように感光体への光書き込みから現像までの時間が短くなる様な場合でも、高画質な画像を安定して印刷できるようになる。
一般式(4)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物の中で特に優れるもので、お互いの重合反応性が特によい。[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基同士の重合反応については不明な部分も残っているが、[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の存在する芳香環が3級アミノ基を有するベンゼン環の場合に最も進行が速く、より架橋密度が高い架橋保護層の形成が可能になる。
一般式(5)で表される化合物は、一般式(4)で表される化合物を使用した場合と同様の理由で重合反応性に優れ、且つ、一般式(2)と同様の特徴を有しており、架橋密度の高い架橋保護層の形成が可能になる。
一般式(6)で表される化合物は、一般式(4)で表される化合物を使用した場合と同様の理由で重合反応性に優れ、且つ、一般式(3)と同様の特徴を有しており、架橋密度の高い架橋保護層の形成が可能になる。
また、本発明の画像形成方法において、前記露光工程における感光体上への静電潜像書き込みは、デジタル方式であることが好ましい。これによりPCでの文書及び画像作製出力に効率よく対応でき、かつ、上記の画像形成方法と同様の特徴を持った画像形成方法が提供できる。
また、本発明の画像形成装置において、前記露光手段における感光体上への静電潜像書き込みは、デジタル方式であることが好ましい。これによりPCでの文書及び画像作製出力に効率よく対応でき、かつ上記の画像形成装置と同様の特徴を持った画像形成装置が提供できる。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応については解明できていないが、単一の反応ではなく、以下に示すような複数の反応が競争的に生じて前記化合物同士が連結する反応である。
以下に反応様式を示す。
この反応は、片方の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基のテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル基部分が切れて脱離し、もう片方の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ基部分が切れて脱離しながら、ジメチレンエーテル結合を形成する反応である。
この反応は、両方の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ基部分が切れて脱離しながら、エチレン結合を形成する反応である。
この反応は、片方の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ基部分が切れて脱離しながら、もう片方の芳香環に結合してメチレン結合を形成する反応である。
少なくともこれらの反応が組み合わされて複雑な結合様式を取りながら、3次元の網目状に重合し巨大分子化する。
メチロール基の残留が無い。本発明の重合反応がメチロール基を経由して進行する場合は、メチロール基の残留が発生する。この場合は、極性の高いOH基のために高湿環境下での帯電低下やNOxガス透過性上昇による帯電低下等の問題を引き起こし、本発明の特徴である高い環境安定性や耐ガス性を発揮することができない。
すなわち
A=反応前の電荷輸送性化合物の脂肪族C−H伸縮振動ピーク(2940±10cm-1)の強度
B=反応前の電荷輸送性化合物の芳香族C−H伸縮振動ピーク(3028±10cm-1)の強度
C=3次元架橋膜の脂肪族C−H伸縮振動ピーク(2940±10cm-1)の強度
D=3次元架橋膜の芳香族C−H伸縮振動ピーク(3028±10cm-1)の強度
と定義したときに
(C/D)/(A/B)=0.35〜0.60
を満足するようにすることを特徴とする。
Bは電荷輸送性化合物の赤外吸収スペクトルの芳香族C−H伸縮振動ピーク(3028±10cm-1)の強度を表す。電荷輸送性化合物は芳香族炭化水素基を必ず含むためにこのピークも必ず存在する。ピーク強度は、Aと同様にベースラインからピークトップまでの高さで計算する。
電荷輸送性化合物としては従来から多くの材料が知られている。これら材料のほとんどには芳香環が存在している。例えばトリアリールアミン構造やアミノビフェニル構造やベンジジン構造やアミノスチルベン構造やナフタレンテトラカルボン酸ジイミド構造やベンズヒドラジン構造等においてはいずれも芳香環が存在している。これらのような芳香環に、[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基が3個以上置換した化合物であればいずれも使用することができる。
X1は、炭素数が1から4のアルキレン基、炭素数が2から6のアルキリデン基、フェニレン基を介して炭素数が2から6のアルキリデン基が2個結合した2価基、酸素原子を表す。ここで、炭素数が1から4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の直鎖状及び分岐状アルキレン基を挙げることができ、炭素数が2から6のアルキリデン基としては、1,1−エチリデン基、1,1−プロピリデン基、2,2−プロピリデン基、1,1−ブチリデン基、2,2−ブチリデン基、3,3−ペンタニリデン、3,3−ヘキサニリデン等を挙げることができる。フェニレン基を介して炭素数が2から6のアルキリデン基が2個結合した2価基としては、以下の構造の物が挙げられる。
Y1は、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、スチルベン、ジスチリルベンゼン、縮合多環芳香族炭化水素の2価基を表す。ここで、縮合多環芳香族炭化水素としては、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン等を挙げることができる。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例は次の通りである。
下記反応式に示すように電荷輸送性化合物を原料とし、これを従来知られている方法(例えばビルスマイヤー反応)を用いてホルミル化し、アルデヒド化合物を合成することができる。詳細は特許第3943522号記載のホルミル化等に記載されており、それらの方法が利用できる。
下記反応式に示すようにアルデヒド化合物を製造中間体とし、これを従来知られている還元方法を用いてメチロール化合物を合成することができる。
下記反応式に示すようにメチロール化合物を製造中間体とし、これに3,4−ジヒドロ−2H−ピランを酸触媒下で付加反応させることで[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル化合物を合成することができる。
以下、合成例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を有する中間体化合物の4−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチルブロモベンゼンの合成
図15に、合成例1で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を有する中間体化合物の3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチルブロモベンゼンの合成
図16に、合成例2で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
メチロール中間体の4,4’−ビス[ジ(4−ヒドロキシメチルフェニル)アミノ]ジフェニルメタンの合成
図17に、合成例3で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.4の合成
図18に、合成例4で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.12の合成
図19に、合成例5で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.19の合成
図20に、合成例6で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.24の合成
図21に、合成例7で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.29の合成
図22に、合成例8で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.32の合成
図23に、合成例9で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.43の合成
図24に、合成例10で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.45の合成
図25に、合成例11で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.52の合成
図26に、合成例12で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.57の合成
図27に、合成例13で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基含有電荷輸送性化合物の具体例No.64の合成
図28に、合成例14で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
例えば、合成例5において合成例1で得られた中間体の代わりに合成例2で得られた中間体を用いて同様に反応させれば、具体例No.37の化合物が得られる。
本発明の感光層最表面層に用いられる3次元架橋膜は、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物と硬化触媒を含有する塗工液を必要に応じて溶媒等で希釈調整し、該塗工液を感光体表面に塗工した後、加熱乾燥を行い、重合させることで形成することができる。また、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物を2種以上混合して同様に形成させることもできる。
一方でこの水の影響を利用して架橋密度を調整することが可能である。
図1は、最も基本的な積層感光体の構成例であり、導電性支持体(1)上に電荷発生層(2)、電荷輸送層(3)を順次積層したものである。負帯電で使用する場合は電荷輸送層にホール輸送性電荷輸送物質が使用され、正帯電で使用される場合は電荷輸送層に電子輸送性電荷輸送物質が使用される。
これらの場合、最表面層は電荷輸送層(3)であり、従って、本発明の、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物の重合反応により形成された3次元架橋膜は、この電荷輸送層に適用される。
ここで下引き層は必須ではないが、電荷リークの防止等に重要な機能を果たしており、通常は使用される。
架橋型電荷輸送層に本発明の3次元架橋膜を適用する場合の好ましい膜厚は、前述のように1〜10μmであり、より好ましくは、3〜8μmである。薄すぎると十分な高寿命化が図れず、厚すぎると感度低下や明部電位が上昇し易くなり安定した画像出力がしにくくなる。
<導電性支持体>
前記導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の支持体として良好に用いることができる。
本発明の電子写真感光体においては、支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。該下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。該樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、前記下引き層には、モアレ防止、残留電位の低減等を図るため、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物の微粉末顔料を添加することができる。
前記下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。 前記下引き層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜5μmが好ましい。
また、下引き層は上記種類の組合せで2層以上の積層としても良い。
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含んでおり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。 前記電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス−シリコン等が挙げられる。アモルファス−シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記真空薄膜作製法としては、例えば、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられる。
前記キャスティング法としては、前記無機系もしくは有機系電荷発生物質、必要に応じてバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送物質としては、正孔輸送物質、電子輸送物質、高分子電荷輸送物質、などが挙げられる。
(a)カルバゾール環を有する重合体としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
し、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
前記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、前記結着樹脂100質量部に対して0〜30質量部程度が適当である。
前記電荷輸送層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
このため、前記中間層としては、架橋型電荷輸送層塗工液に対し不溶性又は難溶性であるものが適しており、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成方法としては、前記塗工法が採用される。なお、前記中間層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.05〜2μmが好適である。
本発明の電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、前記架橋型電荷輸送層、前記電荷輸送層、前記電荷発生層、前記下引き層、前記中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
前記酸化防止剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、添加する層の総質量に対し0.01〜10質量%が好ましい。
次に、図面を用いて本発明の画像形成方法、並びに、画像形成装置を詳しく説明する。
図6は、本発明の電子写真プロセス、及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
したがって、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印加することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
このクリーニング部材は、クリーニングブレードあるいはクリーニングブラシ等公知のものが用いられる。また、両者が併用されることもある。
図7において、感光体(10C(シアン)),(10M(マゼンタ)),(10Y(イエロー)),(10K(ブラック))は、ドラム状の感光体(10)であり、これらの感光体(10C,10M,10Y,10K)は、図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(11C,11M,11Y,11K)、現像部材(13C,13M,13Y,13K)、クリーニング部材(17C,17M,17Y,17K)が配置されている。
そして、このような感光体(10C,10M,10Y,10K)を中心とした4つの画像形成要素(20C、20M、20Y、20K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(19)に沿って並置されている。
中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、感光体の高耐久化あるいは高画質化に対し有効かつ有用である。
しかし、感光体が少なくとも4本を必要とすることから、装置の大型化が避けられず、また使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じ、それによって色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりするなど多くの課題を有していた。
それに対し、本発明による感光体は、高光感度ならびに高安定化が実現されたことにより小径感光体でも適用可能であり、かつ残留電位上昇や感度劣化等の影響が低減されたことから、4本の感光体の使用量が異なっていても、残留電位や感度の繰り返し使用経時における差が小さく、長期繰り返し使用しても色再現性に優れたフルカラー画像を得ることが可能となる。
直径60mmの表面研磨したアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層塗工液、下記組成の電荷発生層塗工液、及び下記組成の電荷輸送層塗工液を順次、浸漬塗布し、乾燥することにより、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み22μmの電荷輸送層を形成した。
得られた電荷輸送層上に、下記組成の架橋型電荷輸送層塗工液をスプレー塗工し、150℃で40分間加熱乾燥を行い、厚み6.0μmの架橋型電荷輸送層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
また、架橋型電荷輸送層塗工液を前記アルミニウムシリンダー上へ直接同様に塗工し、同時に加熱乾燥することで赤外吸収スペクトル測定用サンプル膜を作製し、剥がしてKBr板に挟み、赤外吸収スペクトルを測定した。
また、感光体の表面平滑性を表面粗さ計(サーフコム)でRz値を求め、1μm以下を「良好」1μmを超える場合を「不良」と判定した。
・アルキッド樹脂
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・6部
・メラミン樹脂
(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・4部
・酸化チタン
(CREL、石原産業株式会社製) ・・・50部
・メチルエチルケトン ・・・50部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) ・・・0.5部
・シクロヘキサノン ・・・200部
・メチルエチルケトン ・・・ 80部
・下記合成のチタニルフタロシアニン ・・・1.5部
合成は、特開2004−83859号公報に準じた。即ち、1、3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
・ビスフェノールZポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成株式会社製) ・・・ 10部
・テトラヒドロフラン ・・・100部
・1質量%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液
(KF50−100CS、信越化学工業株式会社製) ・・・0.2部
・下記構造式で表される低分子電荷輸送物質 ・・・ 10部
・電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を4個有する化合物
具体例No.12 ・・・ 10部
・酸触媒 Nacure2500(楠本化成社製) ・・・0.1部
・テトラヒドロフラン(脱水) ・・・ 90部
装置は堀場製作所社製フーリエ変換赤外分光光度計(HORIBA FT720)を使用した。
反応前の赤外吸収スペクトル測定は、種々の方法があるが、代表的な測定方法を以下に示す。
(方法I)
電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物単体として測定する方法であり、該化合物をKBr粉と混ぜ、メノー乳鉢等ですりつぶして混合した後、KBr錠剤形成装置にて一体成形した錠剤にして測定する方法である。
(方法II)
前記化合物を揮発性の高い適当な非水系溶媒(例えば、塩化メチレン等)に溶解させ、その液をKBr板又はNaCl板等の赤外吸収領域に透明な板上に塗布し乾燥させて、該透明板上に化合物の薄膜(数μm程度)を形成し、それを用いて測定する方法である。
(方法III)
反応前の塗工液(例えば、前記架橋型電荷輸送層塗工液)を直接KBr板又はNaCl板等の赤外吸収領域に透明な板上に塗布し室温で風乾させた後、そのまま又は該透明板で挟み込んで測定する方法である。
(方法A)
形成された電子写真感光体の表面を直接測定する方法。この場合、反射型赤外分光光度計での測定となる。
(方法B)
形成された電子写真感光体の表面層(3次元架橋膜)を剥がし取り、フィルムとしてそのまま透過法で測定するか、KBr板又はNaCl板等の赤外吸収領域に透明な板に該フィルムを挟み込んで測定する方法である。剥がし取る方法としてはいずれの方法でも良いが、有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン等)中に浸漬しておくことで、表面層を容易に剥がしとることができる。
(方法C)
電子写真感光体の表面層を形成するのと同じ条件で赤外吸収スペクトル測定用サンプルを作製し、測定する方法である。この場合、サンプルが剥がしやすく、電子写真感光体表面層と同じ作製条件が取りやすいことが必要であり、その点で感光体の導電性支持体として多用されるアルミシリンダー上へ直接架橋型電荷輸送層塗工液を塗工して感光体と同様の条件で重合反応させて3次元架橋膜を形成するのが好ましい。カッターナイフ等で適当な大きさに膜を剥がし取り、フィルムとしてそのまま透過法で測定するか、KBr板又はNaCl板等の赤外吸収領域に透明な板に該フィルムを挟み込んで測定する。
これからA/Bは2.95と求められた。
これからC/Dは1.52と求められた。
これらより(C/D)/(A/B)=0.52であった。
得られた電子写真感光体の表面について溶解性試験を行ったところ「不溶」であった。
〔感光体表面平滑性評価結果〕
Rzが1μm以下であり「良好」であった。
実施例1において架橋型電荷輸送層塗工液の組成を以下のように変え、150℃で60分間加熱乾燥したほかは同様にして電子写真感光体を作製した。
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物
具体例No.32 ・・・ 10部
・酸触媒 パラトルエンスルホン酸一水和物 ・・・0.02部
・テトラヒドロフラン(脱水) ・・・ 90部
図13、図14に反応前の具体例No.32の方法IIで測定した赤外吸収スペクトルと加熱乾燥で作製された架橋型電荷輸送層の3次元架橋膜の方法Cで測定した赤外吸収スペクトル測定結果を示す。
得られた電子写真感光体の表面について溶解性試験を行ったところ「不溶」であった。
〔感光体表面平滑性評価結果〕
Rzが1μm以下であり「良好」であった。
実施例2において電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物を下記表の様に変えた他は同様にして電子写真感光体を作製した。得られた架橋型電荷輸送層の(C/D)/(A/B)の値と電子写真感光体表面の溶解性試験結果及び表面平滑性評価結果を表4に示す。
実施例1において架橋型保護層の加熱乾燥温度を170℃として60分間行う以外は同様にして電子写真感光体を作製した。得られた架橋型電荷輸送層の(C/D)/(A/B)の値と電子写真感光体表面の溶解性試験結果及び表面平滑性評価結果を表4に示す。
また、これら実施例1〜12は酸触媒を用いて加熱乾燥することで形成されており、いずれも表面平滑性の良好な表面層を形成できていることがわかる。
実施例2において架橋型電荷輸送層塗工液の組成を以下のように変えて実施したほかは同様にして電子写真感光体を作製した。
・電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物
具体例No.32 ・・・ 10部
・酸触媒 パラトルエンスルホン酸一水和物 ・・・0.02部
・テトラヒドロフラン(脱水) ・・・ 90部
・水 ・・・0.35部
実施例2において架橋型電荷輸送層塗工液の組成を以下のように変えて実施したほかは同様にして電子写真感光体を作製した。
・電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物
具体例No.32 ・・・ 10部
・酸触媒 パラトルエンスルホン酸一水和物 ・・・0.02部
・テトラヒドロフラン(脱水) ・・・ 90部
・水 ・・・ 1.7部
実施例1において架橋保護層を設けない他は同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物の代わりに、下記構造の電荷輸送性化合物を用いる他は同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物の代わりに、下記構造の電荷輸送性化合物を用いる他は同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において電荷輸送性化合部の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物の代わりに、下記構造の電荷輸送性化合物を用いる他は同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において電荷輸送性化合部の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物の代わりに、合成例3で得たメチロール中間体を用いる他は同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において架橋型電荷輸送層塗工液の組成を以下のように変えて実施したほかは同様にして電子写真感光体を作製した。
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・電荷輸送性化合物
比較例6で用いた電荷輸送性化合物 ・・・5.5部
・レゾール型フェノール樹脂PL−2211(群栄化学社製) ・・・ 7部
・酸触媒 Nacure2500(楠本化成社製) ・・・0.2部
・イソプロパノール ・・・ 15部
・メチルエチルケトン ・・・ 5部
実施例1において架橋型保護層の加熱乾燥温度を200℃として60分間行う以外は同様にして電子写真感光体を作製した。得られた架橋型電荷輸送層の(C/D)/(A/B)の値と電子写真感光体表面の溶解性試験結果及び表面平滑性評価結果を前記表5に示す。
表に示すように、[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の残量が規定量より少なくなっており、膜の硬化収縮が大きい影響で膜の平滑性が悪くなっていることがわかる。
<画像出力評価>
実施例1〜12及び比較例3、7、8、9で作製した電子写真感光体の機械的特性、電気的特性、環境特性、耐ガス性を評価した。機械的特性はリコー製デジタルフルカラー複合機MP C7500 SPのプロセスカートリッジに得られた電子写真感光体を着装し、本体に取り付けて600×600dpiの解像度でリコーマイリサイクルペーパーGPのA4用紙を用い、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各中間調帯模様のテストパターンの連続500枚の画像出力を毎分60枚の印刷速度で繰り返し行い、トータル5万枚の印刷を行った後の感光体摩耗量を測定することで評価した。
良好:濃度0.45〜0.35、 若干低下:濃度0.35〜0.25、
低下:濃度0.25〜0.15、 大きく低下:濃度0.15〜0
その結果を表6に示す。
また、一般式(3)及び一般式(6)で表される電荷輸送性化合物を用いた実施例7〜11では、耐ガス性でやや弱いものの明部電位はより小さくなっており電荷輸送性に特に優れていることがわかる。
2:電荷発生層
3:電荷輸送層
4:下引き層
5:架橋型電荷輸送層
6:電荷発生物質と電荷輸送物質を両方含有する単層感光層
7:単層感光層用保護層
10、10Y、10M、10C、10K:感光体
11、11Y、11M、11C、11K:帯電部材
12、12Y、12M、12C、13K:画像露光部材
13、13Y、13M、13C、13K:現像部材
14:搬送ローラ
15:転写紙
16、16Y、16M、16C、16K:転写部材
17、17Y、17M、17C、17K:クリーニング部材
18:除電部材
20Y、20M、20C、20K:画像形成要素
21:給紙コロ
22:レジストローラ
23:転写部材(二次転写部材)
24:定着部材
Claims (15)
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層の最表面層が、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物が、該[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応により重合した3次元架橋膜からなり、且つ、該3次元架橋膜中の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の残量を表す指数(C/D)/(A/B)が下記(I)の条件を満足することを特徴とする電子写真感光体。
(C/D)/(A/B)=0.35〜0.60 (I)
但し、条件(I)においてA〜Dは以下の通りである。
A=反応前の電荷輸送性化合物の脂肪族C−H伸縮振動ピーク(2940±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
B=反応前の電荷輸送性化合物の芳香族C−H伸縮振動ピーク(3028±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
C=3次元架橋膜の脂肪族C−H伸縮振動ピーク(2940±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度
D=3次元架橋膜の芳香族C−H伸縮振動ピーク(3028±10cm-1)の赤外吸収スペクトル強度 - 前記3次元架橋膜がテトラヒドロフランに不溶であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 導電性支持体上の感光層が少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に有してなり、該架橋型電荷輸送層が、前記3次元架橋膜である事を特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記3次元架橋膜が、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物に硬化触媒を添加し加熱することで、[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部を脱離させる反応により得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 電子写真感光体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも有する画像形成方法であって、前記電子写真感光体が、請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法。
- 前記露光工程における感光体上への静電潜像書き込みがデジタル方式により行われることを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
- 電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記電子写真感光体が、請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 前記露光手段による電子写真感光体上への静電潜像書き込みがデジタル方式であることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
- 電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段を有し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジにおいて、前記電子写真感光体が、請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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