JP2012140452A - α−1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製するための方法 - Google Patents
α−1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製するための方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】タンパク質画分からα−1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製するための方法を提供する。
【解決手段】タンパク質画分からa1PIを精製するための方法であって、(a)a1PIを含む凍結したタンパク質画分を提供する工程、(b)タンパク質画分が2〜25℃の周囲温度に達するまで周囲温度でタンパク質画分を解凍する工程;(c)2〜25℃の周囲温度で少なくとも4時間にわたってタンパク質画分をインキュベートする工程;および(d)タンパク質画分を洗浄する工程に供する工程を包含する、方法。
【選択図】なし
【解決手段】タンパク質画分からa1PIを精製するための方法であって、(a)a1PIを含む凍結したタンパク質画分を提供する工程、(b)タンパク質画分が2〜25℃の周囲温度に達するまで周囲温度でタンパク質画分を解凍する工程;(c)2〜25℃の周囲温度で少なくとも4時間にわたってタンパク質画分をインキュベートする工程;および(d)タンパク質画分を洗浄する工程に供する工程を包含する、方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、タンパク質画分からα−1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製するための方法に関する。より具体的には、本発明は、α−1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製するための改善された方法に関するものであり、a1PIの収量は、出発材料を解凍する工程とその材料を数時間インキュベートする工程の後に、洗浄する工程に供する工程により増大され得る。
α−1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)は、α1抗トリプシン(alpha−1−antitrypsin;AAT)とも呼ばれており、プロテアーゼの糖ペプチドインヒビターであって、ヒトの血清または生体液においてに見出される。a1PIによるプロテアーゼ阻害は、組織タンパク質分解の調節において必須の要素であって、a1PIが欠損することはいくつかの疾患の病態と関連する。例えば、a1PIの欠損を遺伝的に受け継いだ個体は、重度の早発性気腫に罹患する危険性が増大し、これは、ヒト白血球エラスターゼによる肺組織の破壊が調節されない結果である。外原的なヒトa1PIの投与は、エラスターゼを阻害することが示されており、その投与は生存率の改善と関連しており、a1PI欠損状態にある患者の肺機能低下の速度を低減することにおいて関連する。(Crystal et al.,Ain.J.Respir.Crit.Care Med.158:49−59(1998);総説としては、R.Mahadeva and D.Lomas,Thorax 53:501−505(1998)を参照のこと)。
その治療における有用性のために、商用のa1PIの製造が、重要な研究の対象となった。E.coli(R.Bischoff et al.,Biochemistry 30:3464−3472(1991))、酵母(K.Kwon et al.,J.Biotechnology 42:191−195(1995);Bollen et al.,米国特許第4,629,567号)、および植物(J.Huang et al.,Biotechnol.Prog.17:126−33(2001))における組換えAATの産生、さらに、トランスジェニック哺乳動物の乳汁における分泌(G.Wright et al.,Biotechnology,9:830−834(1991);A.L.Archibald,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:5178−5182(1990))において、多大な進歩がなされてきた。
しかしながら、ヒト血漿からa1PIを単離することが、a1PIを得るためにその量において最も効率的で実際的な方法であり、ヒト血漿がFDAにより認可される唯一の供給源でもある。
沈降法、吸着法、抽出法、クロマトグラフィー法による工程を組み合わせたものを含む、ヒト血漿画分からa1PIを単離および精製するための数多くのプロセスが記載されてきた。
a1PIを単離するための公開されているプロセスのうちの殆どが、コーン画分(Cohn fraction)IV沈降物(例えば、コーン画分IV−1またはコーン画分IV1−4)として知られるヒト血漿1以上の画分から出発する。このコーン画分は、一連のエタノール沈降法およびpH調節処理後のペーストとして血漿から得られる(E.J.Cohn et al.,J.Amer.Chem.Soc,68:459−475(1946))。
M.H.Coan et al.,Vox Sang.,48(6):333−342(1985)には、ポリエチレングリコール沈降法およびDEAE−Sepharoseクロマトグラフィー法により、凍結したコーン画分IV−1ペーストからa1PIを精製した方法が記載されている。R.H.Hein et al.,Eur.Respir.J.Suppl.,9:16s−20s(1990)では、Coanらの文献に記載されたものと同様のプロセスにおいてa1PIを商用に製造するための出発物質としてコーンIV−1ペーストが使用されている。
WO95/35306では、ポリエチレングリコール/ZnCl2沈降法に供されて、その記載に従い得られたコーン画分IV1+IV4沈降物から出発する方法が記載されている。この沈降法では、さらに別のZnCl2沈降法により処理され、その後、その再可溶化された沈降物が、QAEカラムに適用される。
WO98/00154は、コーン分画法の後であってa1PI含有材料をその後の処理工程に供する前に、洗浄する工程が取り入れられるプロセスを教示する。この方法において、そのIV1+IV4ペーストが水または食塩水溶液に懸濁される。次いで、アルブミン、α1グロブリンおよびβグロブリンのようなグロブリンを含む可溶性タンパク質が、濾過法、遠心分離法などによってa1PIを含む不溶性タンパク質から分離される。その残渣を、水または食塩水溶液で洗浄してその不溶性ペーストに物理的に捕捉されていた可溶性タンパク質をさらに取り除く。同様のものが、WO95/35306にも記載されており、次いで、その材料がPEG沈降法およびZnCl2沈降法に供され、イオン交換クロマトグラフィー工程に適用される。
上述したように、ヒト血漿画分由来のa1PIのためのいくつかの他のプロセスが、当該分野において評されている。
しかしながら、a1PIは、α−1抗トリプシン欠損に起因する気腫にとって有効な処置であるが、その処置は、供給源が限定されている上に製造過程が複雑であるために、非常に費用(現在のところ、1年間あたり約25,000ドル)がかかるものである。血漿からヒトa1PIを単離するためのより効率的で費用対効果が高い方法に対する必要性が存在するのである。本発明は、その必要性に応えるものである。
しかしながら、a1PIは、α−1抗トリプシン欠損に起因する気腫にとって有効な処置であるが、その処置は、供給源が限定されている上に製造過程が複雑であるために、非常に費用(現在のところ、1年間あたり約25,000ドル)がかかるものである。血漿からヒトa1PIを単離するためのより効率的で費用対効果が高い方法に対する必要性が存在するのである。本発明は、その必要性に応えるものである。
本発明は、タンパク質画分からα1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製するための方法の改善に関するものであり、この方法において、a1PIの収量は、周囲温度2〜25℃でタンパク質画分を解凍してインキュベートすることにより増大され得る。タンパク質画分からα−1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製するための方法は、以下の工程、すなわち、a1PIを含む凍結したタンパク質画分を提供する工程;2〜25℃の周囲温度にそのタンパク質画分が到達するまでその周囲温度においてそのタンパク質画分を解凍する工程;および解凍したタンパク質画分を少なくとも4時間にわたって周囲温度2〜25℃でインキュベートして、その後、タンパク質画分を洗浄する工程を包含する。本発明に従う場合、引き続く洗浄工程の間にa1PI損失を低減することにより顕著にa1PIの収量が増大され得る。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
タンパク質画分からα−1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製するための方法であって、以下の工程、すなわち
(a)a1PIを含む凍結したタンパク質画分を提供する工程、
(b)該タンパク質画分が2〜25℃の周囲温度に達するまで該周囲温度で該タンパク質画分を解凍する工程;
(c)2〜25℃の周囲温度で少なくとも4時間にわたって該タンパク質画分をインキュベートする工程;および
(d)該タンパク質画分を洗浄する工程に供する工程
を包含する、方法。
(項目2)
前記a1PIを含む凍結したタンパク質画分が血漿由来である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記a1PIを含む凍結したタンパク質画分が、コーン画分IV 1 、コーン画分IV 4 、コーン画分IV 1 +IV 4 およびコーン画分IV 1,4 からなる群より選択される少なく
とも1つのコーン画分を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記コーン画分が、分離方法として濾過を使用することによって得られ、かつ、該コーン画分が濾過助剤を含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記濾過助剤が96〜98%のSiO 2 を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記a1PIを含む凍結したタンパク質画分が、組換え法により作製されたa1PIに由来する、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記凍結したタンパク質画分がヒト由来である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記凍結したタンパク質画分が粉砕されている、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記凍結したタンパク質画分が約4℃の周囲温度で解凍される、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記解凍したタンパク質画分が約4℃の周囲温度でインキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記解凍したタンパク質画分が少なくとも8時間にわたってインキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記解凍したタンパク質画分が少なくとも15時間にわたってインキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記解凍したタンパク質画分が16〜19時間にわたってインキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記解凍したタンパク質画分が、最高52時間までインキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目15)
項目1に記載の方法であって、前記洗浄する工程が、前記解凍してインキュベートしたタンパク質画分を水または食塩水溶液中に15℃未満の温度で少なくとも1時間にわたって懸濁して、その後、その洗浄懸濁物のpHを約5.5または6.0に調節し、濾過または遠心分離によりその可溶性タンパク質を不溶性タンパク質から分離することを包含する、方法。
(項目16)
前記可溶性タンパク質が、濾過によって前記不溶性タンパク質から分離され、該濾過のために濾過助剤が使用される、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記濾過助剤が96〜98%のSiO 2 を含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記洗浄する工程が少なくとも2回実施される、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記洗浄されたタンパク質画分がウイルス不活性化のためにSD処理に供される、項目1に記載の方法。
(項目20)
約15±5%wt/wtの量の糖類が、前記洗浄されたタンパク質画分に添加される、項目5に記載の方法。
(項目21)
SD処理におけるa1PIの収量を増大させるために、a1PIを含むタンパク質画分のSD処理における糖類の使用。
(項目22)
前記収量の増大が少なくとも10%である、項目21に記載される使用。
(項目23)
前記収量の増大が少なくとも20%である、項目21に記載される使用。
(項目24)
前記収量の増大が少なくとも30%である、項目21に記載される使用。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
タンパク質画分からα−1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製するための方法であって、以下の工程、すなわち
(a)a1PIを含む凍結したタンパク質画分を提供する工程、
(b)該タンパク質画分が2〜25℃の周囲温度に達するまで該周囲温度で該タンパク質画分を解凍する工程;
(c)2〜25℃の周囲温度で少なくとも4時間にわたって該タンパク質画分をインキュベートする工程;および
(d)該タンパク質画分を洗浄する工程に供する工程
を包含する、方法。
(項目2)
前記a1PIを含む凍結したタンパク質画分が血漿由来である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記a1PIを含む凍結したタンパク質画分が、コーン画分IV 1 、コーン画分IV 4 、コーン画分IV 1 +IV 4 およびコーン画分IV 1,4 からなる群より選択される少なく
とも1つのコーン画分を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記コーン画分が、分離方法として濾過を使用することによって得られ、かつ、該コーン画分が濾過助剤を含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記濾過助剤が96〜98%のSiO 2 を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記a1PIを含む凍結したタンパク質画分が、組換え法により作製されたa1PIに由来する、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記凍結したタンパク質画分がヒト由来である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記凍結したタンパク質画分が粉砕されている、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記凍結したタンパク質画分が約4℃の周囲温度で解凍される、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記解凍したタンパク質画分が約4℃の周囲温度でインキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記解凍したタンパク質画分が少なくとも8時間にわたってインキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記解凍したタンパク質画分が少なくとも15時間にわたってインキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記解凍したタンパク質画分が16〜19時間にわたってインキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記解凍したタンパク質画分が、最高52時間までインキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目15)
項目1に記載の方法であって、前記洗浄する工程が、前記解凍してインキュベートしたタンパク質画分を水または食塩水溶液中に15℃未満の温度で少なくとも1時間にわたって懸濁して、その後、その洗浄懸濁物のpHを約5.5または6.0に調節し、濾過または遠心分離によりその可溶性タンパク質を不溶性タンパク質から分離することを包含する、方法。
(項目16)
前記可溶性タンパク質が、濾過によって前記不溶性タンパク質から分離され、該濾過のために濾過助剤が使用される、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記濾過助剤が96〜98%のSiO 2 を含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記洗浄する工程が少なくとも2回実施される、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記洗浄されたタンパク質画分がウイルス不活性化のためにSD処理に供される、項目1に記載の方法。
(項目20)
約15±5%wt/wtの量の糖類が、前記洗浄されたタンパク質画分に添加される、項目5に記載の方法。
(項目21)
SD処理におけるa1PIの収量を増大させるために、a1PIを含むタンパク質画分のSD処理における糖類の使用。
(項目22)
前記収量の増大が少なくとも10%である、項目21に記載される使用。
(項目23)
前記収量の増大が少なくとも20%である、項目21に記載される使用。
(項目24)
前記収量の増大が少なくとも30%である、項目21に記載される使用。
(図面の簡単な説明)
(図1)図1は、分離方法として濾過法を使用する工程とその後のpH6.0で洗浄する工程、4℃での解凍時間の影響により得たIV−1ペーストの抽出物におけるa1PI収量(a1PI(mg)/血漿(L))を示す。
(図2)図2は、分離方法として濾過法を使用する工程とその後のpH6.0で洗浄する工程、4℃での解凍時間の影響により得たIV−1ペーストの抽出物における洗浄上清のa1PI含有量(mg/ml)と比較した抽出物中のa1PI収量(mg/ml)と、その抽出物の比活性(a1PI(mg)/タンパク質(mg))を示す。
(図3)図3は、分離法として遠心分離法を使用する工程とその後のpH5.5で洗浄する工程、4℃での解凍時間の影響により得たIV−1ペーストの抽出物のa1PI収量(a1PI(mg)/血漿(L))を示す。
(図4)図4は、分離法として遠心分離法を使用する工程とその後のpH5.5にて4℃で洗浄する工程、4℃での解凍時間の影響により得たIV−1ペーストの抽出物の洗浄上清のa1PI含有量(mg/ml)と比較した抽出物中のa1PI収量(mg/ml)と、その抽出物の比活性(a1PI(mg)/タンパク質(mg))を示す。
(図5)図5は、分離法として遠心分離法を使用する工程、その後のpH6.0での洗浄する工程、4℃での解凍時間の影響により得たIV−1ペーストの抽出物のa1PI収量(a1PI(mg)/血漿(L))を示す。
(図6)図6は、分離方法として遠心分離法を使用する工程、その後のpH6.0での洗浄する工程、4°Cでの解凍時間の影響ことにより得られたIV−1ペーストの抽出物の洗浄上清のa1PI量(mg/ml)と比較した抽出物中のa1PI収量(mg/ml)、およびその抽出物の比活性(a1PI(mg)/タンパク質(mg))を示す。
(図7)図7は、分離方法として遠心分離法を使用する工程、4℃での解凍時間および洗浄する工程のpHの影響により得たIV−1ペーストの洗浄上清のa1PI含有量、そのペーストのPEG上清のa1PI含有量と比較した抽出物中のa1PI収量(総ペーストに対するパーセンテージ(%))と、そのIV−1ペーストのPEG上清の比活性(a1PI(mg)/タンパク質(mg))を示す。
(図8)図8は、分離方法として遠心分離法を使用する工程、4℃での解凍時間および洗浄する工程のpHの影響により得たIV−1ペーストの洗浄上清のa1PIの回収量、そのペーストのPEG上清のa1PIの回収量と比較した抽出物中のa1PI回収量(a1PI(mg)/血漿(L))を示す。
(図9)図9は、分離方法として遠心分離法を使用する工程、4℃の解凍時間と洗浄する工程のpHの影響により得たIV−1ペーストの洗浄上清の総タンパク質含有量、そのIV−1ペーストのPEG上清の総タンパク質含有量と比較した抽出物中の総タンパク質収量(総ペーストにおけるパーセンテージ(%))(これは、ビシンコニン酸(BCA)アッセイにより決定される)、およびそのIV−1ペーストのPEG上清の比活性(a1PI(mg)/タンパク質(mg))を示した。
(図10)図10は、コーンIV−1ペーストの凍結した10Kgブロックの解凍曲線を示す。
(図1)図1は、分離方法として濾過法を使用する工程とその後のpH6.0で洗浄する工程、4℃での解凍時間の影響により得たIV−1ペーストの抽出物におけるa1PI収量(a1PI(mg)/血漿(L))を示す。
(図2)図2は、分離方法として濾過法を使用する工程とその後のpH6.0で洗浄する工程、4℃での解凍時間の影響により得たIV−1ペーストの抽出物における洗浄上清のa1PI含有量(mg/ml)と比較した抽出物中のa1PI収量(mg/ml)と、その抽出物の比活性(a1PI(mg)/タンパク質(mg))を示す。
(図3)図3は、分離法として遠心分離法を使用する工程とその後のpH5.5で洗浄する工程、4℃での解凍時間の影響により得たIV−1ペーストの抽出物のa1PI収量(a1PI(mg)/血漿(L))を示す。
(図4)図4は、分離法として遠心分離法を使用する工程とその後のpH5.5にて4℃で洗浄する工程、4℃での解凍時間の影響により得たIV−1ペーストの抽出物の洗浄上清のa1PI含有量(mg/ml)と比較した抽出物中のa1PI収量(mg/ml)と、その抽出物の比活性(a1PI(mg)/タンパク質(mg))を示す。
(図5)図5は、分離法として遠心分離法を使用する工程、その後のpH6.0での洗浄する工程、4℃での解凍時間の影響により得たIV−1ペーストの抽出物のa1PI収量(a1PI(mg)/血漿(L))を示す。
(図6)図6は、分離方法として遠心分離法を使用する工程、その後のpH6.0での洗浄する工程、4°Cでの解凍時間の影響ことにより得られたIV−1ペーストの抽出物の洗浄上清のa1PI量(mg/ml)と比較した抽出物中のa1PI収量(mg/ml)、およびその抽出物の比活性(a1PI(mg)/タンパク質(mg))を示す。
(図7)図7は、分離方法として遠心分離法を使用する工程、4℃での解凍時間および洗浄する工程のpHの影響により得たIV−1ペーストの洗浄上清のa1PI含有量、そのペーストのPEG上清のa1PI含有量と比較した抽出物中のa1PI収量(総ペーストに対するパーセンテージ(%))と、そのIV−1ペーストのPEG上清の比活性(a1PI(mg)/タンパク質(mg))を示す。
(図8)図8は、分離方法として遠心分離法を使用する工程、4℃での解凍時間および洗浄する工程のpHの影響により得たIV−1ペーストの洗浄上清のa1PIの回収量、そのペーストのPEG上清のa1PIの回収量と比較した抽出物中のa1PI回収量(a1PI(mg)/血漿(L))を示す。
(図9)図9は、分離方法として遠心分離法を使用する工程、4℃の解凍時間と洗浄する工程のpHの影響により得たIV−1ペーストの洗浄上清の総タンパク質含有量、そのIV−1ペーストのPEG上清の総タンパク質含有量と比較した抽出物中の総タンパク質収量(総ペーストにおけるパーセンテージ(%))(これは、ビシンコニン酸(BCA)アッセイにより決定される)、およびそのIV−1ペーストのPEG上清の比活性(a1PI(mg)/タンパク質(mg))を示した。
(図10)図10は、コーンIV−1ペーストの凍結した10Kgブロックの解凍曲線を示す。
(本発明の詳細な説明)
本願発明は、タンパク質画分からα1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製する方法に関するものであり、この方法は、a1PIを含む凍結したタンパク質画分を提供する工程、そのタンパク質画分が2〜25℃の周囲温度に達するまで周囲温度でタンパク質画分を解凍する工程、周囲温度2〜25℃で少なくとも4時間にわたってその解凍したタンパク質画分をインキュベートする工程;およびタンパク質画分を洗浄する工程に供する工程を包含する。
本願発明は、タンパク質画分からα1プロテイナーゼインヒビター(a1PI)を精製する方法に関するものであり、この方法は、a1PIを含む凍結したタンパク質画分を提供する工程、そのタンパク質画分が2〜25℃の周囲温度に達するまで周囲温度でタンパク質画分を解凍する工程、周囲温度2〜25℃で少なくとも4時間にわたってその解凍したタンパク質画分をインキュベートする工程;およびタンパク質画分を洗浄する工程に供する工程を包含する。
そのタンパク質画分は、種々の供給源に由来し得る。有用な供給源としては、血漿、組換え法により産生されたa1PI、またはa1PIを含む他の供給源が挙げられる。
タンパク質を溶液から沈降させるための多くの方法(例えば、塩、アルコールおよびポリプロピレングリコールの添加による方法であり、この方法は、しばしば、冷却処理や種々のpH調整などと併用される)が当該分野において公知である。そのような沈降物を溶液から分離する処理は、遠心分離法、濾過法などにより達成され得る。濾過法が分離法として使用される場合、濾過助剤が使用されてよい。有用な濾過助剤のうちの1つはCELPUREであり、この濾過助剤は96〜98%のSiO2を含む。
本発明は、回復可能なa1PI活性を含む殆どのa1PI含有タンパク質沈降物に対して提供可能である。本明細書において使用される場合の用語「タンパク質画分」は、1種類以上の公知の方法により調製されたa1PI含有タンパク質沈降物をいう。
本発明にとって有用なタンパク質画分としては、例えば、エタノール沈降法による血漿画分(例えば、コーン画分IV1および/またはコーン画分IV4、コーン画分IV1+IV4およびコーン画分IV−1,4のようなコーン画分IV)が挙げられる。そのタンパク質画分は、1種より多い血漿画分を含む組成物もさらに含み得る。
本発明の1つの実施形態において、そのタンパク質画分は、ヒト由来のものである。
タンパク質画分は、−20℃より高い(>−20℃)周囲温度(例えば、4〜8℃)
で凍結した状態で貯蔵して、その後の処理をしてもよい。本発明の1つの実施形態において、その凍結したタンパク質画分は、約4×4×3cm3のサイズを有するブロック状の形態にある約0.05Kgのコーンペーストの部分;約8×8×9cm3のサイズを有するブロック状の形態にある約0.6Kgのコーンペーストの部分を含み得る。そのタンパク質画分は、約32×21×15cm3のサイズである10リットルプラスチック製容器に貯蔵してもよい。
で凍結した状態で貯蔵して、その後の処理をしてもよい。本発明の1つの実施形態において、その凍結したタンパク質画分は、約4×4×3cm3のサイズを有するブロック状の形態にある約0.05Kgのコーンペーストの部分;約8×8×9cm3のサイズを有するブロック状の形態にある約0.6Kgのコーンペーストの部分を含み得る。そのタンパク質画分は、約32×21×15cm3のサイズである10リットルプラスチック製容器に貯蔵してもよい。
本発明の1つの実施形態にしたがって、その凍結したタンパク質画分は、2〜25℃の周囲温度にそのタンパク質画分が到達するまでその周囲温度において解凍される。
本明細書中で使用される場合、「解凍された」タンパク質画分との用語は、周囲温度に到達したタンパク質画分に関する。したがって、用語「解凍する(解凍すること、解凍する工程)」は、その凍結したタンパク質画分の全体がその凍結温度(freezing temperature)より高い周囲温度に到達するまでその周囲温度においてそのタンパク質画分をインキュベートするプロセスに関する。
そのタンパク質画分を解凍するための有用な周囲温度の例としては、15℃を超えない温度、8℃を超えない温度、および5℃を超えない温度が挙げられる。有用な1つの周囲温度は、約4℃である。
本発明の1つの実施形態において、その凍結したタンパク質画分を粉砕することによって、解凍する工程が加速されてもよい。
タンパク質画分が周囲温度に到達するまでに必要な時間は、タンパク質画分の質量、凍結したタンパク質画分の形態、そのタンパク質画分が解凍前に貯蔵されていた温度、ならびにそのタンパク質画分が解凍される周囲温度のような数個のパラメーターに依存する。
解凍する工程は、タンパク質画分に温度センサを設置することによりモニターされてもよい。そのようなセンサは、そのタンパク質画分の表面ならびに内部において設置され得る。その温度センサから得られる情報は、そのタンパク質画分を解凍しそしてインキュベートするための期間を決定するために使用され得る。
本発明の1つの実施形態において、タンパク質画分は、そのタンパク質画分が解凍された時点から、すなわち周囲温度に達した時点から開始して少なくとも4時間にわたってインキュベートされる。本発明のさらなる実施形態において、その解凍されたタンパク質画分は、少なくとも8時間にわたってインキュベートされる。本発明の別の実施形態において、その解凍されたタンパク質画分は、少なくとも15時間にわたってインキュベートされる。本発明の別の実施形態において、その解凍されたタンパク質画分は、16〜19時間にわたりインキュベートされる。本発明のさらなる実施形態において、そのインキュベート時間は、最高52時間であり得る。
その後、そのタンパク質画分は、洗浄工程に供される。
本明細書において使用される場合、用語「洗浄する工程(洗浄すること、洗浄工程)」は、他のタンパク質(例えば、アルブミン、グロブリン)および/または他の不純物が除去されるプロセスをいう。本発明における洗浄する工程は、水または食塩水溶液にタンパク質画分を懸濁することも含む。洗浄する工程に使用される水は、精製水(例えば、注射用蒸留水(WFI))を用いてもよい。食塩水溶液は、例えば、約0.05M〜約0.15MのNaCl溶液でよい。水または食塩水溶液の量は、タンパク質画分の1部あたり5±2部であり得る。
本発明の1つの実施形態では、その洗浄する工程は、15℃未満の温度で、かつ、少なくとも1時間の期間にわたり実施される。
本発明の1つ実施形態では、その洗浄懸濁物のpHは、その後、約5.5±0.2に調整される。本発明の別の実施形態において、その洗浄懸濁物のpHは、その後、約6.0±0.2に調整される。
洗浄する工程におけるa1PIの損失が、水に懸濁する工程の後に低いレベルにまでそのpHを調整することによって低減され得る。凍結したペーストを解凍しインキュベートした後に、洗浄する工程に供することによって、その洗浄する工程におけるpHのレベルを低くする必要がなくなり、それに従い、a1PIの損失が低減され得る。
本発明の実施形態のうちの1つでは、次いで、アルブミン、α−2−グロブリンおよびβ−グロブリンを含むその可溶性タンパク質は、フィルタープレス、遠心分離などによりα−1プロテイナーゼインヒビターを含む不溶性タンパク質から分離される。
本発明の1つの実施形態では、濾過助剤が添加されてもよい。1つの有用な濾過助剤を、CELPUREのような96〜98%SiO2を含む高純度で高性能なケイ藻岩濾過助剤である。
本発明のさらなる実施形態において、その不溶性残渣に物理的に捕捉された可溶性タンパク質をさらに除去するために、上述した洗浄する工程が数回実施されてもよい。本発明の1つの実施形態に従う場合、タンパク質画分は、2回洗浄される。
濾過助剤が添加される場合、その濾過助剤は、濾過を始める前に、1回目の洗浄する工程の最後に添加され得る。
本発明の1つの実施形態に従う場合、その洗浄されたタンパク質画分は、その後の精製工程に供されて、最終的な薬学的調製物となる。
本発明の1つの実施形態において使用されるその後の精製工程は、ポリエチレングリコール(PEG)沈降法、それに続くZnCl2沈降法、溶媒/界面活性剤処理によるウイルス不活性化、陰イオン交換クロマトグラフィー法、およびa1PI含有溶出物の後処理である。
PEG沈降法は、好ましくは約6時間にわたり、あるいはそれより短い時間が使用されても長い時間が使用されてもよいが、約15°C±5°Cの温度にて、残渣の容量に対し不溶性タンパク質残渣を約5±2容量の水にpH8.5±0.5で再懸濁することにより実施され得る。次いで、固形Trisを、最終濃度10±5mMとなるまで添加して、固体NaClを、最終濃度150±20mMとなるまで添加し、そしてpHは8.0に調整される。次いで、ポリエチレングリコール3350を、最終濃度15±5%wt/wtとなるまで添加して、約15±5°Cで約1時間にわたり混合して、α−2−グロブリンを沈降させる。
形成するPEG沈降物が、フィルタープレスにより取り除かれる。このフィルタープレスは、pH8.0±0.5で150±25mM NaClおよび15±5%wt/wt PEGを含む溶液で、濾過する前またその後に洗浄される。あるいは、その沈降物は、遠心分離法により取り除かれる。
ZnCl2沈降法は、ZnCl2(100±10mM)をPEG上清に最終濃度として6±5mMまで添加することにより実施されてもよく、その溶液は、pH7.5±0.5に調整される。この溶液は、約5±5°Cまで冷却され、少なくとも約1時間にわたり混合される。このZnCl2が、粗a1PIを沈降させる。この粗a1PIは、濾過により、例えば、Millipore Corporationによる「Prostak Open−Channel Modules」(本明細書中で参考として援用される)に記載されるようなProstakTM濾過により、または遠心分離法により濃縮され、その濾液は、取り出される。この濃縮した懸濁物または沈降物は、その後の処理にために凍結されてもよい。
ウイルス不活性化のために、その粗a1PIを、再循環によりProstakを介して約50mM NaEDTAに再溶解化した。約15±5%wt/wtの量のスクロースのような糖類(または約0.25±0.05Mクエン酸ナトリウム)が、ウイルス不活性化の際に安定剤として添加される。この溶液を、そのスクロースが溶解するまで15±5℃で混合する。
a1PI含有溶液は、溶媒/界面活性剤(SD)処理によりウイルス不活性化される。10±1% wt/vポリソルビタール80(polysorbital 80)および3±0.3%wt/wtリン酸トリ−n−ブチルの溶液を、そのa1PI溶液に添加して、最終濃度として1.0±0.5%wt/vポリソルビタール80および0.3±0.15%wt/wtリン酸トリ−n−ブチルとする。次いで、その溶液は、少なくとも6時間未満に亘ってpH8±0.5において27±3℃でインキュベートされ、そのa1PIに存在し得るいずれのウイルスも不活性化する。
溶媒/界面活性剤処理によるウイルス不活性化の際に、例えば、スクロースのような糖類が安定剤として存在すると、コントロールと比較してa1PI単位での収量が増大する。このコントロールは、安定化剤として糖類を用いずに溶媒/界面活性剤によりウイルス不活性化を行ったa1PI溶液である。収量における増大は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%であり得る。
このインキュベーションの後で、この処理したa1PI溶液を、0〜10℃まで冷却して、そのpHを8.0±0.1に調整した。
陰イオン交換クロマトグラフィーを、SD処理溶液の1容量当り約1容量の水でSD処理溶液を希釈することにより実施した。次いで、この希釈した溶液を、事前に平衡化してあったQAEクロマトグラフィー媒体またはa1PIに結合する他に類似の陰イオン交換媒体に適用して、他のタンパク質をa1PIから分離することを可能にした。バッチクロマトグラフィーを使用してもカラムクロマトグラフィーを使用してもよい。a1PIがその媒体に吸着した後に、それを、緩衝液を用いてpH8±1で洗浄して、結合していない物質(βタンパク質を含む)を除去する。ここで、この緩衝液は、20±10mM NaClおよび20±10mMリン酸ナトリウム(NaH2PO4)である。次いで、a1PIを、pH8±1で溶出洗浄液を使用して陰イオン交換クロマトグラフィー媒体から溶出させる。ここで、この溶出洗浄液は、100±50mM NaClおよび20±10mMのリン酸ナトリウムを含む。a1PIを含む溶出液を、次の処理のために回収する。
a1PIを取り出した後に、陰イオン交換媒体を、連続的に、次のもので洗浄することによって清浄化される。すなわち、2±0.2M NaC1、20±10mMリン酸ナトリウム(pH8±1)を含む水溶液;その後、注射用蒸留水(WFI);その後、500mM NaOHを含む水溶液;最後に、WFIで洗浄する。次いで、そのクロマトグラフィー媒体を、2±0.2M NaCl,20±10mMリン酸ナトリウム(pH8±1)に貯蔵する。
a1PI含有溶出物の後処理は、そのa1PI含有溶出物を合わせてそれらを0.1〜1.0%wt/wtのベントナイトで約1時間またはそれ以上にわたり処理することにより実施され、アポリポタンパク質の量を低減し、例えば、アポリポプロテインAを約0.01mg/ml未満として、また、アポリポプロテインBを約0.01mg/ml未満にまで低減する。このベントナイトは、濾過により、好ましくは、例えば、Cuno Incによる「Zeta Plus(登録商標)C Series Filter Medium」(本明細書において参考として援用される)に記載されるようなCuno(登録商標)濾過により、取り除かれる。得られた溶液を、そのa1PI活性が少なくとも21.5mg活性a1PI/mlとなるまで限外濾過により濃縮する。次いで、この濃縮した生成物は、0.45ミクロンフィルタを通して濾過され、いずれの沈降物も取り除かれる。次いで、そのa1PIは、Planova 15Nフィルタ処理されてウイルスが取り除かれ、0.22ミクロンフィルタにより無菌濾過されてバイアルに分配され、貯蔵のために凍結乾燥される。a1PIは、2〜8℃で貯蔵される。
凍結乾燥したa1PIは、患者に投与されるために滅菌水で再溶解してもよい。
再構成したa1PIのa1PI活性は、色素形成アッセイ(chromogenic assay)により決定され得る。このようなアッセイは、トリプシンの存在下でp−ニトロアニリンを放出するトリプシン感受性色素形成性基質(Sigma Chemical Co.of St Louis,Mo.により供給されている)を使用する。この放出されるp−ニトロアニリンは、405nmで検出される。a1PIは、p−ニトロアニリンの基質からの放出を阻害する。その生成物中におけるa1PIの活性は、a1PI活性の標準曲線によって決定してもよい。上述のプロセスに従って調製されて凍結乾燥したものを再構成したa1PIの色素形成アッセイは、少なくとも約1.0単位/OD280の比活性を示す。本発明の1つの実施形態において、そのa1PI活性は、E.H.Mattes et al.,Vox Sang.,81:29−36(2001)に記載されるようにスクシニル−(アラニン)3−パラ−ニトロアニリド(Bachem Fine Chemicals)を基質として使用してブタ膵臓エラスターゼ(Boehringer Mannheim)の阻害を測定することによって決定される。
総タンパク質量は、ブラッドフォード法に従ってクマシーブルーを用いて決定され得る。
本発明の実施形態に従う場合、最終的な薬学的調製物は、最初の10分間に、約0.08ml/Kg体重/時間(分)の速度で患者に注入され得る。患者がいずれの不快感をも示さなかった場合、その速度は、耐えられる限り増大してもよい。耐えられる場合、その同一の患者に対する引き続く注入は、さらに高速で行ってもよい。有害事象が生じた場合は、その速度を低下させるべきであり、またはその症状が沈静化するまではその注入は中止されるべきである。次いで、その患者にとって耐え得る速度で注入が再開され得る。
投与されるべきものが大用量であるときは、いくつかの再構成したバイアルのa1PIが無菌処置技術により空の滅菌した静脈注入用容器にプールされる。
(実施例1)
分離方法として濾過を使用したコーン分画法により、そして濾過助剤としてCELPUREを使用することにより得られたIV−1ペーストの100gのアリコートを、4℃で、16時間、8時間、4時間または0時間にわたって解凍した。次いで、これらのアリコートを、5〜7℃で249,1mlのWFIを用いて並行して洗浄して、10分間にわたって攪拌し、1M NaOHを用いてpH6.0に調整し、さらに10分間にわたって攪拌した。15分間にわたり4℃にて5000rpmで行った遠心分離の後に、その上清のサンプルを抜き、CELPUREを含む残りのペーストを17.5℃で5.5倍の体積のWFIで抽出して、30分間にわたり攪拌し、pH8.8に調整して、17.5℃でさらに15.5時間にわたって攪拌した。ここでは、(最初のpH8.8への調整の後に)1時間後、2時間後、3時間後、5時間後、7時間後および8時間後においてpHを調整した。15分間にわたり4℃で5000rpmにてさらに行った遠心分離の後に、その上清を傾瀉して、サンプルを抜いた。
分離方法として濾過を使用したコーン分画法により、そして濾過助剤としてCELPUREを使用することにより得られたIV−1ペーストの100gのアリコートを、4℃で、16時間、8時間、4時間または0時間にわたって解凍した。次いで、これらのアリコートを、5〜7℃で249,1mlのWFIを用いて並行して洗浄して、10分間にわたって攪拌し、1M NaOHを用いてpH6.0に調整し、さらに10分間にわたって攪拌した。15分間にわたり4℃にて5000rpmで行った遠心分離の後に、その上清のサンプルを抜き、CELPUREを含む残りのペーストを17.5℃で5.5倍の体積のWFIで抽出して、30分間にわたり攪拌し、pH8.8に調整して、17.5℃でさらに15.5時間にわたって攪拌した。ここでは、(最初のpH8.8への調整の後に)1時間後、2時間後、3時間後、5時間後、7時間後および8時間後においてpHを調整した。15分間にわたり4℃で5000rpmにてさらに行った遠心分離の後に、その上清を傾瀉して、サンプルを抜いた。
図1は、インキュベーション期間の増大に伴った抽出物中のa1PI収量の増大を示す。その凍結したペーストを解凍およびインキュベートをしなかった場合、8%の血漿性a1PIがその抽出物中において回収され得たが、他方、周囲温度として4℃で4時間のインキュベーションを行った後では、その収量は22%の血漿性a1PIまで増大し、8時間のインキュベーション後では24%まで増大し、16時間のインキュベーション後では27%まで増大した。抽出物中のa1PI含有量は、インキュベーションがない場合の107mg/血漿(L)から、周囲温度で4時間のインキュベーション後では282mg/血漿(L)に、周囲温度で8時間のインキュベート後では311mg/血漿(L)に、周囲温度で16時間のインキュベーション後では352mg/血漿(L)へと増大した。
図2は、インキュベーション時間の増大に伴う、抽出物中の0.33から0.95mg/mlとなった総a1PI含有量の増大を示したものである。同様に、洗浄上清中の総a1PI量が0.42mg/mlから0.09mg/mlに減少した。この抽出物の比活性は、総タンパク質(mg)当りのa1PIとして0.084mgから0.112mgに増大した。
(実施例2)
分離方法として遠心分離法を使用したコーン分画法により得られたIV−1ペーストの50gのアリコートを、4℃で、16時間、8時間、4時間または0時間にわたって解凍した。次いで、これらのアリコートを5〜7℃で350mlのWFIを用いて並行して洗浄して、10分間にわたって攪拌して、1M NaOHを用いてpH5.5またはpH6.0に調整し、さらに10分間にわたって攪拌した。21.2gのCELPUREを添加してさらに10分間にわたって攪拌した後に、15分間にわたる4℃で5000rpmの遠心分離を開始した。その上清のサンプルを抜き、CELPUREを含む残りのペーストを17.5℃で5.5倍の体積のWFIで抽出した。ここでは、(最初のpH8.8への調整の後に)1時間後、2時間後、3時間後、5時間後、7時間後および8時間後においてpHを調整した。15分間にわたり4℃で5000rpmにてさらに行った遠心分離の後に、その上清を傾瀉して、サンプルを抜いた。
分離方法として遠心分離法を使用したコーン分画法により得られたIV−1ペーストの50gのアリコートを、4℃で、16時間、8時間、4時間または0時間にわたって解凍した。次いで、これらのアリコートを5〜7℃で350mlのWFIを用いて並行して洗浄して、10分間にわたって攪拌して、1M NaOHを用いてpH5.5またはpH6.0に調整し、さらに10分間にわたって攪拌した。21.2gのCELPUREを添加してさらに10分間にわたって攪拌した後に、15分間にわたる4℃で5000rpmの遠心分離を開始した。その上清のサンプルを抜き、CELPUREを含む残りのペーストを17.5℃で5.5倍の体積のWFIで抽出した。ここでは、(最初のpH8.8への調整の後に)1時間後、2時間後、3時間後、5時間後、7時間後および8時間後においてpHを調整した。15分間にわたり4℃で5000rpmにてさらに行った遠心分離の後に、その上清を傾瀉して、サンプルを抜いた。
図3は、インキュベーション時間の増大、その後のpH5.5での洗浄する工程に伴った抽出物中のa1PI収量の増大を示す。凍結したペーストを解凍およびインキュベートしなかった場合、抽出物中に35%の血漿性a1PIを回収し得たが、他方、周囲温度として4℃で数時間のインキュベーションを行った後では、その収量は、19時間のインキュベーションの後までに最高で42%の血漿性a1PIまで増大した。その抽出物中のa1PI含有量は、インキュベーションがない場合の459mg/血漿(L)から、周囲温度で4時間のインキュベーション後では506mg/血漿(L)に、周囲温度で8時間のインキュベート後では531mg/血漿(L)、周囲温度で19時間のインキュベーション後では570mg/血漿(L)に増大した。
図4は、インキュベーション時間の増大に伴う、その抽出物中の総a1PI量の1.42mg/mlから1.68mg/mlへの増大を示す。同様に、洗浄した上清中の総a1PI含有量は、0.27mg/mlから0.07mg/mlに減少した。その抽出物の比活性は、有意な影響はなかった。
図5はまた、インキュベーション期間の増大、さらにその後のpH6.0での洗浄する工程に伴う抽出物中におけるa1PI収量の増大を明らかにする。その収量は、19時間のインキュベーション後には、血漿の19%のa1P1から血漿の35%のa1P1に増大した。この抽出物のa1Pl量は、インキュベーションがない場合の248mg/血漿(L)から周囲温度で19時間インキュベーションした後の461mg/血漿(L)に増大した。
図6は、インキュベーション時間の増大に伴う抽出物における総a1PI量の0.79mg/mlから1.30mg/mlへの増大を示す。同様に、洗浄上清における総a1PI量が、0.60mg/mlから0.18mg/mlへと減少した。この抽出物の比活性は、総タンパク質(mg)当り0.10mgのa1PIから0.18mgのa1PIへと僅か変化した。
(実施例3)
実施例2に記載したものと同じ手順を、V−1ペーストの600gアリコートを使用して実施したが、洗浄する前のペーストの分離法として遠心分離処理の代わり濾過を使用する変更をともなった。
実施例2に記載したものと同じ手順を、V−1ペーストの600gアリコートを使用して実施したが、洗浄する前のペーストの分離法として遠心分離処理の代わり濾過を使用する変更をともなった。
図7は、16時間のインキュベーションの後にpH5.5で洗浄する工程をおこなった場合のa1PI収量の相対的増大(総ペーストにおけるパーセンテージ(%))(左側)と、同じインキュベーション持続時間後にpH6.0での洗浄する工程を行った場合のa1PI収量の増大(右側)を比較した。インキュベーションがない場合の収量とその後のpH6.0で洗浄する場合の収量は、pH5.5で洗浄する工程後の収量よりも有意に低かったが、16時間に及ぶペーストのインキュベーションでは、その洗浄上清におけるa1PIの損失が劇的に低減されたためにその収量を同程度の値まで増大させた。
図8は、血漿1L当りの総a1PI回収量(mg)についての比較を示す。
図9は、総タンパク質収量について対応する比較図表を示す。
(実施例4)
遠心分離処理の後に得られ、10Kgプラスチック製容器(32×21×15cm3)に回収され、−20℃以下の低い温度で貯蔵された236kgのIV1ペースト(Vienna,NG pathway)を、解凍して、52時間にわたり5℃でインキュベートした。24時間後に、その10Kg容器の芯部は、約2℃に達した(図10)。そのペーストは、5〜7℃で7容量の水に懸濁して、10分間にわたり勢いよく攪拌して、pH6.0に調整し、5〜7℃でさらに10分間にわたって攪拌した。濾過助剤としてCELPUREを添加した後に、水で洗浄したペーストをCUNO 10−CPフィルタ層を備えるフィルタープレス上で分離した。水で洗浄したペーストを、洗浄後のフィルタープレスから得て、5.5容量の水に溶解させ、pHを8.8に調整して、6時間にわたり15〜20℃にわたって攪拌した。塩を添加した後に、pH8.0において15%PEGにより付随するタンパク質を沈降させて、CUNO 10−CPフィルタ層を備えるフィルタープレスにより取り除いた。その粗抽出a1PIを含む濾液を、2.5mM ZnCl2を添加することにより沈降させ、PROSTAK限外濾過ユニットを使用して10倍にまで濃縮して、最終的に、pH8.0で2〜8℃で50mM EDTA溶液に溶解した。
遠心分離処理の後に得られ、10Kgプラスチック製容器(32×21×15cm3)に回収され、−20℃以下の低い温度で貯蔵された236kgのIV1ペースト(Vienna,NG pathway)を、解凍して、52時間にわたり5℃でインキュベートした。24時間後に、その10Kg容器の芯部は、約2℃に達した(図10)。そのペーストは、5〜7℃で7容量の水に懸濁して、10分間にわたり勢いよく攪拌して、pH6.0に調整し、5〜7℃でさらに10分間にわたって攪拌した。濾過助剤としてCELPUREを添加した後に、水で洗浄したペーストをCUNO 10−CPフィルタ層を備えるフィルタープレス上で分離した。水で洗浄したペーストを、洗浄後のフィルタープレスから得て、5.5容量の水に溶解させ、pHを8.8に調整して、6時間にわたり15〜20℃にわたって攪拌した。塩を添加した後に、pH8.0において15%PEGにより付随するタンパク質を沈降させて、CUNO 10−CPフィルタ層を備えるフィルタープレスにより取り除いた。その粗抽出a1PIを含む濾液を、2.5mM ZnCl2を添加することにより沈降させ、PROSTAK限外濾過ユニットを使用して10倍にまで濃縮して、最終的に、pH8.0で2〜8℃で50mM EDTA溶液に溶解した。
ZN/EDTA濃縮物におけるa1PI収量は、凍結ペースト、ペースト粉砕物、およびpH5.5で洗浄したそれまでの生成物と比較して約20%増大した。
Claims (4)
- SD処理におけるa1PIの収量を増大させるための、a1PIを含むタンパク質画分のSD処理における糖類の使用。
- 前記収量の増大が少なくとも10%である、請求項1に記載される使用。
- 前記収量の増大が少なくとも20%である、請求項1に記載される使用。
- 前記収量の増大が少なくとも30%である、請求項1に記載される使用。
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