以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る触感呈示装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、触感呈示装置1は、表示制御部12と、音声制御部14と、触感制御部16と、アプリケーション実行部20と、を備えている。また、触感呈示装置1は、表示部30と、タッチセンサ40と、触感呈示部50と、荷重検出部60と、音声出力部70と、記憶部80と、を備えている。なお、表示制御部12と、音声制御部14と、触感制御部16と、アプリケーション実行部20とは、制御部10に含まれるものである。
記憶部80は、例えばNAND型フラッシュメモリ等によって構成し、そのメモリ領域の少なくとも一部に、アプリケーション記憶領域82を含んでいる。記憶部80に含まれるアプリケーション記憶領域82は、各種のアプリケーションを記憶することができる。アプリケーション実行部20は、記憶部80から各種のアプリケーションを読み込んで、当該アプリケーションに基づく処理を実行するとともに、各機能部を制御する。なお、本実施の形態において、アプリケーション実行部20が実行するアプリケーションは、所定の触感を呈示する処理が予め追加されていないものとする。すなわち、本実施の形態においては、アプリケーション実行部20が、触感の呈示に対応していないアプリケーションを実行する場合について説明する。また、本実施の形態においてタッチセンサ40が接触を検出する動作に用いるアプリケーションには、表示部30に表示されたオブジェクトの画像の位置に対応するタッチセンサ40に接触が検出された際、何らかの音声を出力する処理が付加されているものとする。なお、触感呈示装置1に記憶されているアプリケーション等の各種のデータは、記憶部80に記憶されている必要はなく、例えば、触感呈示装置1が備える図示しない通信部により通信を行うことが可能なサーバ等に記憶されていてもよい。
表示部30は、押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)のようなオブジェクトを画像表示する。このオブジェクトは、接触すべき領域を操作者に示唆する画像である。また、押しボタンスイッチとは、操作者が入力の操作に用いるボタンやキー等(以下、単に「キー等」と総称する)である。表示部30は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネル等を用いて構成する。
タッチセンサ40は、通常は表示部30の前面に配置して、表示部30に表示したオブジェクトに対する操作者の指等(接触対象)による接触(または接触の解除)を、対応するタッチセンサ40のタッチ面において検出する。また、タッチセンサ40は、タッチ面に対する接触の位置を検出し、当該検出した接触の位置をアプリケーション実行部20に通知する。このタッチセンサ40は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成する。なお、タッチセンサ40が接触対象による接触を検出する上で、接触対象がタッチセンサ40に物理的に触れることは必須ではない。例えば、タッチセンサ40が光学式である場合は、タッチセンサ40はタッチセンサ40上の赤外線が接触対象で遮られた位置を検出するため、接触対象がタッチセンサ40に触れることは不要である。
触感呈示部50は、例えば圧電振動子等を用いて構成し、タッチセンサ40のタッチ面に接触している接触対象に対して触感を呈示する。この触感呈示部50は、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、タッチ面に接触している接触対象に対して触感を呈示する。荷重検出部60は、タッチセンサ40のタッチ面に対する押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子等の荷重に対してリニアに反応する素子を用いて構成する。また、荷重検出部60は、検出したタッチセンサ40のタッチ面に対する押圧荷重を、触感制御部14に通知する。
音声出力部70は、例えばスピーカ等により構成し、タッチセンサ40上の所定領域における接触が検出されたり、所定のイベントが発生した際に、後述する音声制御部16の制御により、所定の音声を出力する。
表示制御部12は、アプリケーション実行部20からの表示指示に基づいて、表示部30にオブジェクトなどを画像表示したり、あるいは当該画像表示を変更したりする等、表示部30における表示に係る制御を行う。アプリケーション実行部20が表示制御部12に対して表示指示を行う際には、表示部30に表示する画像の表示データなどは、例えば記憶部80に記憶させておいたものを読み出すことができる。表示制御部12は、このようにアプリケーション実行部20が記憶部80から読み出した表示データの供給を受けて、所定の画像を描画するように表示部30を制御する。
触感制御部14は、音声制御部16からの触感を呈示する旨の指示により、所定の条件に基づく所定のパターンの振動を発生するように触感呈示部50を制御する。また、触感制御部14は、音声制御部16からの触感を呈示する旨の指示により呈示される触感(音声を出力する旨の指示に対応付けられた触感)が、押圧荷重の条件を伴うものである場合、荷重検出部60により検出される押圧荷重が、触感を呈示する所定の基準(音声を出力する旨の指示に対応付けられた所定の基準)を満たしているか否かを判定する。この場合、触感制御部14は、触感を呈示する旨の指示を受けた場合、上述の触感を呈示する所定の基準を満たす押圧荷重が荷重検出部60により検出されたら、所定の条件に基づく所定のパターンの振動を発生するように触感呈示部50を制御する。また、このように、触感を呈示する所定の基準を満たす押圧荷重が荷重検出部60により検出された際、触感制御部14は、音声出力部70が所定の音声を発生するタイミングを同期させるための同期情報を音声制御部16に通知する。
音声制御部16は、タッチセンサ40が所定領域における接触を検出したり、所定のイベントが発生した際などに、アプリケーション実行部20からの音声を出力する旨の指示に基づいて、所定の音声を出力するように音声出力部70を制御する。また、音声制御部16は、所定の音声を出力するように音声出力部70を制御する際に、触感を呈示する旨の指示を触感制御部14に出す。この触感を呈示する旨の指示により呈示される触感が、押圧荷重の条件を伴うものである場合、音声制御部16は、触感制御部14に、上述した同期情報を通知するように要求する。
図2は、図1に示した触感呈示装置1の実装構造の一例を示すもので、図2(A)は要部断面図、図2(B)は要部平面図である。表示部30は、筐体61内に収納保持する。表示部30上には、弾性部材からなるインシュレータ62を介して、タッチセンサ40を保持する。なお、本実施の形態に係る触感呈示装置1は、表示部30およびタッチセンサ40を、平面視で矩形状としている。しかしながら、触感呈示装置1が備えるタッチセンサ40または表示部30の構成などの諸条件に応じた形状とすることができる。また、触感呈示装置1は、タッチセンサ40を、図2(B)に仮想線で示す表示部30の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ62を介して表示部30上に保持する。
また、筐体61には、表示部30の表示領域から外れたタッチセンサ40の表面領域を覆うようにアッパカバー63を設け、このアッパカバー63とタッチセンサ40との間に、弾性部材からなるインシュレータ64を配設する。なお、図2に示すタッチセンサ40は、タッチ面40aを有する表面部材を、例えば透明フィルムやガラスで構成し、裏面部材をガラスやアクリルで構成している。タッチセンサ40は、タッチ面40aが押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少量撓む(歪む)、または構造体そのものが微少量撓む構造のものを用いる。
タッチセンサ40の表面上には、アッパカバー63で覆われる各辺の近傍に、タッチセンサ40に加わる荷重(押圧力)を検出するための歪みゲージセンサ51をそれぞれ接着等により設ける。さらに、タッチセンサ40の裏面上には、対向する2つの辺の近傍に、タッチセンサ40を振動させるための圧電振動子52をそれぞれ接着等により設ける。すなわち、図2に示す触感呈示装置1は、図1に示した荷重検出部60を4つの歪みゲージセンサ51を用いて構成し、触感呈示部50を、2つの圧電振動子52を用いて構成している。そして、触感呈示部50によりタッチセンサ40を振動させることにより、タッチ面40aを振動させるようにしている。なお、図2(B)は、図2(A)に示した筐体61、アッパカバー63およびインシュレータ64の図示を省略している。
次に、アプリケーション実行部20による音声を出力する旨の指示と、当該指示に応じて音声制御部16の制御により出力される音声および触感を呈示する旨の指示との対応関係について説明する。図3は、このような対応関係を示すテーブルである。図3に示した対応関係は単なる一例であり、このような対応関係は、触感呈示装置1において実行するアプリケーションに応じて変更することもできる。
図3において、左側の列に示す「トーン識別子」とは、アプリケーション実行部20が音声制御部16に対して音声を出力する旨の指示を出す際に指定する音声を識別するためのものである。このトーン識別子は、所定領域においてタッチセンサ40が検出した接触に応じて、または所定のイベントの発生により、アプリケーション実行部20が音声制御部16に対して出力するもの、または、アプリケーション実行部20が音声制御部16に対して指定するものである。なお、音声を出力する旨の指示は、例えば、このトーン識別子であってもよいし、トーン識別子を含むものであってもよいし、トーン識別子を指定するものであってもよい。図3の中央の列に示す「音の内容」とは、それぞれ対応するトーン識別子に基づいて音声制御部16が音声出力部70を制御することにより出力される音の具体的な内容を示している。さらに、図3の右側の列に示す「触感」とは、それぞれの「音の内容」に対応する音声を出力するように音声制御部16が音声出力部70を制御する際、触感制御部14に出力される触感を呈示する旨の指示により、触感呈示部50が呈示する触感の種別を示している。このように、図3の右側の列に示す「触感」にはそれぞれ音声を出力する旨の指示が対応付けられている。
触感呈示装置1は、図3に示すようなテーブルを、例えば音声制御部16に一時的に記憶することができる。しかしながら、触感呈示装置1は、図3に示すようなテーブルを、アプリケーション実行部20に一時的に記憶するようにしても良いし、あるいは、音声制御部16またはアプリケーション実行部20が、記憶部80から必要に応じて読み出すようにもできる。
図3に示す触感の列において「クリック」と記してあるのは、触感呈示部50が「クリック触感」を呈示することを意味している。なお、ここで、かっこ書に1Nと記載してあるのは、触感を呈示する旨の指示により呈示される触感が、押圧荷重の条件を伴うものであることを意味している。この場合、荷重検出部60が検出する押圧荷重が1N(ニュートン)以上となったら触感を呈示するという条件が課されていることを意味する。また、触感を呈示する旨の指示により呈示される触感(音声を出力する旨の指示に対応付けられた触感)が、押圧荷重の条件を伴うものである場合における、当該押圧荷重の条件は、音声を出力する旨の指示に対応付けられた所定の基準を意味する。このように、触感を呈示する旨には、音声を出力する旨の指示に対応付けられた触感に関する情報が含まれ、場合によっては、さらに音声を出力する旨の指示に対応付けられた所定の基準に関する情報も含まれる。
また、触感の列において「ブルブル」と記してあるのは、触感呈示部50が「ブルブル触感」、すなわち、少しの間ブルブルと振動が継続するような触感を呈示することを意味している。なお、ここではかっこ書を伴わないが、これは、触感を呈示する旨の指示により呈示される触感が、押圧荷重の条件を伴わないことを意味している。すなわち、この場合、所定領域においてタッチセンサ40に対する接触が検出されたら、音声制御部16は、音声出力の制御を行うとともに、触感を呈示する旨の指示を出すことを意味している。
さらに、触感の列において「無し」と記してあるのは、触感呈示部50が触感を呈示しないことを意味している。すなわち、この場合、所定領域においてタッチセンサ40に対する接触が検出されたら、音声出力の制御は行うが、触感を呈示する旨の指示は出さないことを意味している。
例えば、表示部30において数字キーの「4」のオブジェクトが表示された領域に対応する位置のタッチセンサ40に接触が検出されたとする。この場合、アプリケーション実行部20は、表示部30に既に表示している画面の状態を把握しているため、タッチセンサ40から接触位置の情報が通知されると、接触が検出された位置が数字キーの「4」のオブジェクトに対応することが判定できる。すると、アプリケーション実行部20は、実行中のアプリケーションに従って、トーン識別子TONE_KEY_4を音声制御部16に通知する。
図3に示したように、トーン識別子TONE_KEY_4は、[4]キー用のDTMF(Dual Tone Multi Frequency)を意味する。このトーン識別子が通知されると、音声制御部16は、[4]キー用のDTMFを出力するように音声出力部70を制御するとともに、触感呈示部50がクリック触感を呈示するように触感制御部14に触感を呈示する旨の指示を出す。ただし、この触感を呈示する旨の指示を受信した触感制御部14は、直ちにクリック触感を呈示するように制御するのではなく、荷重検出部60が検出する押圧荷重が1Nを超えたと判定した際に、クリック触感を呈示するように触感呈示部50を制御する。
また、例えば、タッチセンサ40が検出した操作者による接触の操作に誤りがあったとする。すなわち、例えばタッチセンサ40において操作者が本来接触すべきでない領域に接触が検出された場合などを想定する。すると、アプリケーション実行部20は、実行中のアプリケーションに従って、トーン識別子TONE_WARNを音声制御部16に通知する。図3に示したように、トーン識別子TONE_WARNは「警告音」を意味する。このトーン識別子が通知されると、音声制御部16は、警告音を出力するように音声出力部70を制御するとともに、触感呈示部50がブルブル触感を呈示するように触感制御部14に触感を呈示する旨の指示を出す。この場合、触感を呈示する旨の指示を受信した触感制御部14は、荷重検出部60が検出する押圧荷重の判定に関係なく、直ちにブルブル触感を呈示するように触感呈示部50を制御する。
さらに、例えば、触感呈示装置1を携帯電話に採用した場合において、通話を着信したとする。すると、アプリケーション実行部20は、実行中のアプリケーションに従って、トーン識別子TONE_RING_Aを音声制御部16に通知する。図3に示したように、トーン識別子TONE_ RING_Aは「第1ベル音」を意味する。このトーン識別子が通知されると、音声制御部16は、第1ベル音を出力するように音声出力部70を制御する。この場合、音声制御部16は、触感を呈示する旨の指示を触感制御部14に出さない。したがって、この場合、触感呈示部50は触感を呈示せずに、音声出力部70は第1ベル音を出力する。
次に、本実施の形態に係る触感呈示装置の動作を説明する。
まず、本実施の形態に係る触感呈示装置1におけるアプリケーション実行部20の動作について説明する。本実施の形態において、アプリケーション実行部20は、実行するアプリケーションが触感の呈示に対応しているか否かにかかわらず、同じ処理により触感呈示装置1の動作を行うことができる。しかしながら、ここでは、実行するアプリケーションが触感の呈示に対応していない場合について説明する。なお、上述したように、以下の説明で用いるアプリケーションには、表示部30に表示されたオブジェクトの画像の位置に対応するタッチセンサ40に接触が検出された際、何らかの音声を出力する処理が付加されているものとする。
図4は、本実施の形態に係る触感呈示装置1においてアプリケーション実行部20を中心とする動作を説明するフローチャートである。
本実施の形態に係る動作が開始すると、アプリケーション実行部20は、まず、実行するように指定されたアプリケーションを記憶部80のアプリケーション記憶領域82から読み出して(ステップS11)、起動する(ステップS12)。アプリケーションを起動したら、アプリケーション実行部20は、各種の初期化処理を行うことにより、初期状態となる(ステップS13)。
以上の初期化処理においては、例えば、触感呈示装置1の表示部30には、タッチセンサ40において操作者の指などによる接触を検出する領域を示唆するため、キー等のオブジェクトの画像を表示する。この際、アプリケーション実行部20は、GUIを構成する各オブジェクトの表示データを、記憶部80から読み出して表示制御部12に供給する。そして、表示制御部12は、アプリケーション実行部20から供給されたオブジェクトの表示データに基づいて、各オブジェクトの画像を表示(描画)するように表示部30を制御する。
上述の初期化処理が完了すると、アプリケーション実行部20は、タッチセンサ40に対する接触の有無を監視する(ステップS14)。ステップS14においてタッチセンサ40に対する接触が検出されたら、アプリケーション実行部20は、当該接触が有効な接触操作であるか否かを判定する(ステップS15)。すなわち、ステップS15において、アプリケーション実行部20は、タッチセンサ40における接触の位置が、表示部30に表示された現在のGUIにおいてキー等のオブジェクトの画像が表示された領域に対応するか否かを判定する。
ステップS15において、接触の位置がオブジェクトの画像が表示された領域に対応する場合、アプリケーション実行部20は、当該接触操作に応じて、所定の表示を行う旨の指示および所定の音声を出力する旨の指示を出す(ステップS16)。なお、所定の音声を出力する旨の指示とは、具体的には、図3において説明したトーン識別子である。また、所定の表示を行う旨の指示は表示制御部12に対して、また所定の音声を出力する旨の指示は音声制御部16に対して出力される。
表示制御部12および音声制御部16は、これらの指示を受信すると、それぞれ指示に応じた各種の処理および/または状態遷移を必要に応じて行う(ステップS17)。なお、ステップS17において、音声制御部16が行う動作は、図5において後述する。
ステップS17において、表示制御部12は、表示されるオブジェクトの画像を変更するように表示部30を制御する。すなわち、キー等のオブジェクトに対する接触が検出された場合、当該オブジェクトの表示画像を変更する。オブジェクトの表示画像を変更する際、例えばオブジェクトが選択されたような表示をしたり、またオブジェクトの色または輝度などを変化させたりして、キー等に対する接触が認識されたことを操作者が視認できるようにするのが好適である。アプリケーションに基づく設定に従ってオブジェクトの画像を変更するための表示データは、アプリケーション実行部20が記憶部80から読み出すことにより、表示制御部12に供給することができる。この表示データを受け取ったら、表示制御部12は、当該表示データを用いて所定の表示を行うように表示部30を制御する。
ステップS17において各種の処理が完了したら、次に、アプリケーション実行部20は、接触操作以外の所定のイベントが発生したか否かを判定する(ステップS18)。ステップS14においてタッチセンサ40が接触を検出しない場合、またステップS15おいて検出された接触が有効な接触でない場合も、アプリケーション実行部20は、ステップS18以降の処理を続行する。なお、ここでいう「接触操作以外の所定のイベント」とは、例えば、設定したタイマーによってカウントされる期間が満了したり、電話機能に基づいて通話を着信したり、バッテリの残量が少なくなったなどのイベントが発生することを想定している。
ステップS18において接触操作以外の所定のイベントの発生が検出された場合、アプリケーション実行部20は、当該発生したイベントに応じて、所定の表示を行う旨の指示および所定の音声を出力する旨の指示を出す(ステップS19)。なお、ここでも、所定の音声を出力する旨の指示とは、具体的には、図3において説明したトーン識別子である。また、所定の表示を行う旨の指示は表示制御部12に対して、また所定の音声を出力する旨の指示は音声制御部16に対して出力される。
表示制御部12および音声制御部16は、これらの指示を受信すると、それぞれ指示に応じた各種の処理および/または状態遷移を必要に応じて行う(ステップS20)。なお、ステップS20において、音声制御部16が行う動作も、図5において後述する。
ステップS20において、表示制御部12は、表示されるオブジェクトの画像を変更するように表示部30を制御する。すなわち、例えば通話の着信のイベントが発生した場合、表示制御部12は、通話を着信している旨を操作者に示唆する画像表示を行うように表示部30を制御する。
ステップS20において各種の処理が完了したら、アプリケーション実行部20は、実行中のアプリケーションを終了させるイベントが発生しているか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21においてアプリケーションを終了させるイベントが発生していると判定された場合、アプリケーション実行部20は、図4に示す処理を終了する。一方、ステップS21においてアプリケーションを終了させるイベントが発生していない場合、アプリケーション実行部20は、ステップS14に戻って処理を続行する。なお、ステップS18において、接触操作以外の所定のイベントの発生が検出されない場合は、アプリケーション実行部20は、ステップS21に戻って処理を続行する。
図5は、本実施の形態に係る触感呈示装置1において音声制御部16を中心とする動作を説明するフローチャートである。
本実施の形態に係る動作が開始すると、音声制御部16は、まず、音声を出力する旨の指示が通知されているか否かを判定する(ステップS31)。ステップS31においては、図4において説明したステップS16またはステップS19における音声を出力する旨の指示が音声制御部16に通知されているか否かを判定する。
ステップS31において音声を出力する旨の指示が通知されている場合、音声制御部16は、通知された音声を出力する旨の指示が、触感を呈示すべき音声種別であるか否かを判定する(ステップS32)。具体的には、ステップS32において、音声制御部16は、アプリケーション実行部20から通知されたトーン識別子に対応する触感が、図3にて説明した「クリック」の触感や「ブルブル」の触感であるか、または触感が「無し」であるかを判定する。
ステップS32において、通知された音声を出力する旨の指示が触感を呈示すべき音声種別である場合、音声制御部16は、音声種別に応じて、触感を呈示する旨の指示を触感制御部14に通知する(ステップS33)。それから、音声制御部16は、当該触感を呈示する旨の指示が、押圧荷重の条件を伴うものであるか否かを判定する(ステップS34)。ステップS34において、触感を呈示する旨の指示が押圧荷重の条件を伴うものである場合、音声制御部16は、触感制御部14に対して、同期情報を通知するよう要求する(ステップS35)。この「同期情報」とは、後述するように、荷重検出部60により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際に触感制御部14から通知される情報である。
ステップS35において同期情報を通知するよう要求したら、音声制御部16は、触感制御部14から同期情報が通知されるのを待機する(ステップS36)。ステップS36において触感制御部14から同期情報が通知されたら、音声制御部16は、指示された所定の音声を出力するように音声出力部70を制御する(ステップS37)。
一方、ステップS32において、通知された音声を出力する旨の指示が触感を呈示すべき音声種別でない場合、音声制御部16は、ステップS37に移行して、指示された音声を出力するように音声出力部70を制御する。また、ステップS34において、触感を呈示する旨の指示が押圧荷重の条件を伴うものでない場合も、音声制御部16は、ステップS37に移行して、指示された音声を出力するように音声出力部70を制御する。
すなわち、本実施の形態においては、音声制御部16は、(アプリケーション実行部20から)音声を出力する旨の指示を受けると、所定の音声を出力するように音声出力部70を制御するとともに、触感を呈示する旨の指示を触感制御部14に出すように制御する。また、本実施の形態においては、触感を呈示する旨の指示が押圧荷重の条件を伴うものである場合、音声制御部16は、荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定の基準を満たした際に通知される同期情報を受信するまでは、音声を出力する制御を行わない。
したがって、本実施の形態において、押圧荷重が所定の基準を満たしていないため、操作者がタッチセンサ40を押圧する操作が有効であると認識されておらず触感が呈示されないにもかかわらず、音声のみが音声出力部70から出力されるという不都合は生じない。このため、操作者がタッチセンサ40を押圧する操作がまだ触感呈示装置に有効と認識されていないにもかかわらず、(操作が有効と認識された旨の)音声のみが音声出力部70から出力されてしまうことにより、操作者が混乱するという事態も生じない。
図6は、本実施の形態に係る触感呈示装置1において触感制御部14を中心とする動作を説明するフローチャートである。
本実施の形態に係る動作が開始すると、触感制御部14は、まず、音声制御部16から、触感を呈示する旨の指示が通知されているか否かを判定する(ステップS51)。ステップS51においては、図5において説明したステップS33における触感を呈示する旨の指示が音声制御部16から触感制御部14に通知されているか否かを判定する。
ステップS51において音声制御部16から触感を呈示する旨の指示が通知された場合、触感制御部14は、当該触感を呈示する旨の指示とともに、音声制御部16から同期情報の通知を要求されているか否かを判定する(ステップS52)。ステップS52における同期情報とは、図5において説明したステップS35において、触感を呈示する旨の指示が押圧荷重の条件を伴うものである場合に、音声制御部16が、触感制御部14に対して通知を要求した情報である。
ステップS52において、音声制御部16から同期情報の通知を要求されている場合、触感制御部14は、荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定の基準を満たしたか否かを監視する(ステップS53)。ステップS53において、触感制御部14は、荷重検出部60により検出される押圧荷重が、タッチセンサ40のタッチ面に対する押圧によって増加しながら所定の基準を満たしたか否かを判定する。すなわち、ステップS53においては、荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定の基準を満たすまで、触感の呈示は保留される。
なお、荷重検出部60は、例えば、4つの歪みゲージセンサ51の出力の平均値から荷重を検出する。ここで、所定の基準を満たす荷重は、操作者が通常の押圧操作を行う際の押圧荷重に基づいて、例えば1N(ニュートン)などの値を予め設定し、その後も設定変更できるようにするのが好適である。また、この基準は、操作者の意図に基づく押圧入力の際の押圧荷重を考慮して(例えば平均値など)、過度に低い基準を設定しないようにする。これは、操作者が意図せずに軽く触れてしまった(タッチ)ような場合の操作を、押圧(プッシュ)入力としては受け付けないようにするため、および後述するリアルな触感のための圧覚を操作者に与えるためである。
ステップS53において、荷重検出部60により検出される押圧荷重が所定の基準を満たしたら、触感制御部14は、音声制御部16に対して前述の同期信号を通知する(ステップS54)。ステップS54において音声制御部16に同期信号を通知したら、触感制御部14は、触感の種別に応じて所定の振動パターンを出力して触感呈示部50が所定の触感を呈示するように制御する(ステップS55)。なお、ステップS54において触感制御部14から音声制御部16に通知された同期信号は、図5において説明したステップS36においてトリガとなるため、次のステップS37において出力される音声と、ステップS55において呈示される触感とは同期する。このように同期信号を用いることにより、触感制御部14および音声制御部16(制御部)は、荷重検出部60により検出される押圧荷重が音声を出力する旨の指示に対応付けられた所定の基準を満たしたら、音声を出力する旨の指示に対応付けられた触感を呈示するように触感呈示部50を制御するとともに、所定の音声を出力するように音声出力部70を制御することができる。
一方、ステップS52において音声制御部16から同期情報の通知が要求されていない場合、触感制御部14は、ステップS55に移行して、直ちに触感の種別に応じて所定の振動パターンを出力して触感呈示部50が所定の触感を呈示するように制御する。
すなわち、本実施の形態においては、触感制御部14は、触感を呈示する旨の指示に基づいて、タッチセンサ40のタッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部50を制御する。また、この場合において、触感制御部14は、触感を呈示する旨の指示に基づいて、荷重検出部60により検出される押圧荷重が所定の基準を満たしたら、タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部50の駆動を制御する。
なお、本実施の形態では、図3において説明したクリック触感を呈示するためには、触感呈示装置1は、操作者の圧覚が刺激された状態で触覚を刺激する。すなわち、触感呈示装置1は、タッチセンサ40に加わる荷重が、触感を呈示する基準(例えば1N)を満たすまでは、圧覚を刺激するようにし、荷重が当該基準を満たすと、圧電振動子52を所定の駆動信号で駆動してタッチ面40aを振動させて触覚を刺激する。これにより、触感呈示装置1は、押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)のようなボタンスイッチを押した際に得られるのと同様なクリック触感を、操作者に呈示することができる。したがって、操作者は、タッチセンサ上部に描画された押しボタンスイッチであっても、押しボタンスイッチを操作した場合と同様のリアルなクリック触感を得ながら、タッチセンサ40に対して入力操作を行うことができるので、違和感を覚えることがない。また、タッチセンサ40を「押した」という意識との連動で入力操作を行うことができるので、単なる押圧による入力ミスも防止することができる。
上述したクリック触感を呈示する際の駆動信号、すなわち触覚を刺激する一定周波数、周期(波長)、波形、振幅は、呈示するクリック触感に応じて適宜設定することができる。例えば、携帯端末に使用されているメタルドームスイッチに代表されるクリック触感を呈示する場合、例えば、170Hzの一定周波数のSin波からなる1周期分の駆動信号により触感呈示部50を駆動する。このような駆動信号により触感呈示部50を駆動させて、タッチ面40aを、基準の押圧荷重が加わった状態で、約15μm振動させる。これにより、実際のキーをクリックした場合のような、リアルなクリック触感を操作者に呈示することができる。
このように、本発明に係る触感呈示装置1によれば、アプリケーション実行部20からの音声を出力する旨の指示に基づいて触感を呈示する。このような構成にすることにより、触感呈示装置1は、操作者の操作に伴って、例えばボタンの表示が反転するなどのGUIを備えていないアプリケーションにも対応できる。また、このような構成にすることにより、触感呈示装置1は、高度な画像解析アルゴリズムも必要としない。さらに、触感呈示装置1は、触感を呈示するタイミングに同期させて音声を出力するため、操作者が操作を行う際に違和感を与えることもない。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上述した実施の形態では、表示制御部12と、触感制御部14と、音声制御部16と、アプリケーション実行部20とは、別の構成要素として説明した。しかしながら、本発明による触感呈示装置は、このような構成に限定されるものではなく、設計の際の要求に応じて種々の構成を採ることができる。例えば、制御部が、表示制御部12と、触感制御部14と、音声制御部16と、アプリケーション実行部20の全てまたは一部の構成要素を含むようにもできる。
また、上記実施の形態では、タッチセンサ40を用いて、当該タッチセンサのタッチ面に対する接触を検出したが、荷重センサ(荷重検出部)を用いて、所定の押圧荷重の基準を満たした場合に、接触がなされたものと判定することもできる。このような荷重検出部は、上述した実施の形態の荷重検出部と同様に、任意の個数の歪みゲージセンサ等を用いて構成することができる。
また、上述した実施の形態において、荷重検出部は、タッチセンサにおける接触検出方式に応じて構成することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できる場合も、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。
また、触感呈示部は、任意の個数の圧電振動子を用いて構成したり、タッチセンサの全面に透明圧電素子を設けて構成したり、触感を呈示する振動を表現できるのであれば、偏心モータを駆動信号の1周期で1回転させるようにして構成したり、することもできる。さらに、荷重検出部および触感呈示部は、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して荷重検出部および触感呈示部を構成することもできる。
上述した実施の形態においては、タッチセンサを表示部の上面に重ねて配置した構成を想定して説明した。しかしながら、本発明による触感呈示装置は、必ずしもこのような構成にする必要はなく、タッチセンサと表示部とを離間した構成にしてもよい。
さらに、本発明を、「発明が解決しようとする課題」の欄において説明した、表示部に表示されたオブジェクトの画像の変化に基づいて触感を呈示する構成と組み合わせれば、一層確実に適切な触感を呈示することができて好適である。
また、本発明に係る触感呈示装置は、圧電素子の出力に基づいて検出される押圧荷重が触感を呈示する所定の基準を満たした際に、当該圧電素子を駆動することを想定して説明した。ここで、圧電素子の出力に基づいて検出される押圧荷重が触感を呈示する基準を満たした際とは、検出される押圧荷重が触感を呈示する基準値に達した際であってもよいし、検出される押圧荷重が触感を呈示する基準値を超えた際でもよいし、圧電素子の出力に基づいて触感を呈示する基準値が検出された際でもよい。
また、上述した実施の形態において、触感呈示部50がタッチ面に接触している接触対象に対して触感を呈示する態様として、触感呈示部50がタッチセンサ40のタッチ面に振動を発生させることにより、タッチ面に接触している接触対象に対して触感を呈示する態様を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、タッチセンサ40上に貼ったフィルムの電荷を制御する等により、機械的な振動を使わずに、タッチ面に接触している接触対象に対して触感を呈示してもよい。
また、上述の本発明の実施形態の説明における「表示部」及び「タッチセンサ」は、表示部とタッチセンサとの両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されてもよい。このような表示部とタッチセンサとの両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものがある。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することにより、タッチ位置を検出することができる。