JP2012105648A - 薬剤耐性突然変異と関連する配列検出のためのhiv−1配列の増幅 - Google Patents

薬剤耐性突然変異と関連する配列検出のためのhiv−1配列の増幅 Download PDF

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Abstract

【課題】組織または体液試料などのヒト生物学的試料に存在するHIV−1核酸を検出する方法を提供する。
【解決手段】HIV−1のgagおよびpol遺伝子の異なる部分を増幅するための、そしてこうした増幅された核酸配列を検出するための核酸オリゴヌクレオチドの配列。gagおよびpol標的配列に特異的な増幅オリゴヌクレオチドを用いて、生物学的試料におけるHIV−1核酸を増幅し、そして検出する。
【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)の診断的検出に関し、そしてより具体的には、核酸増幅、および増幅された配列、特にHIV−1薬剤耐性の発展に関連する配列の検出を用いて、HIV−1核酸配列を検出するための組成物およびアッセイに関する。
発明の背景
HIV−1は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因病原体である。感染した個体が症状を明らかにする前であっても、感染の有効な治療を決定し、そして体液中の感染性ウイルスの伝播を避けるため、HIV−1感染の早期検出が重要である。感染した組織または体液においてHIV−1核酸配列の存在を早期に検出すれば、他へのウイルスの伝播を予防するため、より早い治療および工程につなげることが可能である。早期診断に有効であるためには、HIV−1核酸配列を検出する試薬および方法は、試験する試料中の、比較的少数のウイルスコピー(例えば血漿mlあたり、数百コピー)を検出可能でなければならない。さらに、HIV−1サブタイプおよび/またはウイルス薬剤耐性に関連する突然変異的変化などの、感染した個体に存在するHIV−1に関するさらなる情報を提供する診断法が、予後のために有用である。
薬剤で治療され、そしてHIV−1増殖および症状の再燃を経験しているHIV−1患者において、薬剤耐性突然変異(1以上の核酸塩基の置換、欠失または挿入)が発見されてきている。表現型の変化を生じ、それによってウイルスが抗レトロウイルス薬剤に耐性になる、こうした突然変異は、gag遺伝子で発見され、これはしばしば、プロテアーゼ切断部位に影響を与え、そしてプロテアーゼおよび逆転写酵素(RT)コード領域両方において、pol遺伝子で発見されている(Gingerasら, 1991, J. Infect. Dis. 164(6):1066−1074;Richmanら, 1991, J. Infect. Dis. 164(6):1075−1081;Schinaziら, 1993, Antimicrob. Agents Chemother. 37(4):875−881;Najeraら, 1994, AIDS Res. Hum. Retroviruses 10(11):1479−1488;Eastmanら, 1995, J. AIDS Hum. Retrovirol. 9(3):264−273;Frenkelら, 1995, J. Clin. Microbiol. 33(2):342−347;Shirasakaら, 1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92(6):2398−2402;Lealら, 1996, Eur. J. Clin. Invest. 26(6):476−480;Clelandら, 1996, J. AIDS Hum. Retrovirol. 12(1):6−18;Schmitら, 1996, AIDS 10(9):995−999;Vasudevechariら, 1996, Antimicrob. Agents Chemother. 40(11):2535−2541;Winslowら, 1996, AIDS 10(11):1205−1209;Fontenotら, Virology 190(1):1−10;Cornelissenら, 1997, J. Virol. 71(9):6348−6358;Ivesら, 1997, J. Antimicrob. Chemother. 39(6):771−779)。
HIV−1に感染した患者に存在するウイルス突然変異に関する情報は、臨床家が使用して、特定の抗レトロウイルス療法を患者で開始するかまたは持続するかどうかなど、適切な治療を決定することが可能である。さらに、治療中、HIV−1の性質決定を可能にする、患者試料の試験を継続すれば、薬剤耐性ウイルスの出現を示すことが可能であり、それによって、臨床家が、療法をより有効なものに改変することが可能になる。薬剤耐性試験が臨床的に有用であることを示唆する証拠は、遡及的および前向き介入に基づく研究から得られる(Durantら, 1999, Lancet 353:2195−2199;Clevenberghら, 1999, Antiviral Ther. 4:抄録60;Baxterら, 1999, Antiviral Ther. 4:抄録61;Cohenら, 2000, 第7回レトロウイルスおよび日和見感染に関する会議(カリフォルニア州サンフランシスコ)、抄録237)。薬剤耐性を与えることが知られるいくつかの突然変異は、プロテアーゼコード配列の20のコドンおよび逆転写酵素(RT)コード配列の27のコドンに影響を及ぼす(Hirschら, 2000, JAMA 18:2417−2426)。polにおける190の突然変異の包括的リストが、Schinaziら(Int’l Antiviral News 8:65−91(2000))に報告された。gag切断部位に影響を及ぼす突然変異は、プロテアーゼにおける耐性突然変異による酵素活性の損失を補償することが示されている。したがって、適切なコドンに関する配列情報を提供する遺伝子型アッセイに対する必要性があり、これは、こうしたアッセイが、患者のウイルス集団のより少数の構成要素であったとしても薬剤失敗に寄与しうるウイルス突然変異体を検出可能であるためである。
HIV−1ゲノムは非常に可変性であり、その遺伝的関連性に基づいて、3群(M、OおよびN)が記載される。最も蔓延している群、Mは、サブタイプ(AからJ)を含有し、サブタイプA、BおよびCが、世界中で発見されるウイルスサブタイプの約95%を占める。アジアで頻繁に見られるサブタイプEは、gagおよびpol遺伝子中にサブタイプA配列を含む組換えウイルスである。したがって、有効な診断アッセイは、A、BおよびCサブタイプの少なくとも1つを、そして好ましくはすべてを検出可能でなければならない。
多様なアッセイおよび試薬を用いたHIV−1の検出が、先に記載されてきている。例えば米国特許第5,594,123号、第5,176,995号および第5,008,182号(Sninskyら)は、HIV−1核酸を増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく検出を開示する。米国特許第5,688,637号(Moncanyら)は、HIV−1遺伝子の選択された領域のオリゴヌクレオチドプライマー配列、および該プライマーを用いて、ウイルス配列を増幅し、そして増幅された産物を検出する方法を開示する。米国特許第5,712,385号(McDonoughら)および第5,856,088号(McDonoughら)は、HIV−1配列を検出するための増幅オリゴヌクレオチド、プローブおよび方法を開示する。米国特許第5,786,177号(Moncanyら)は、遺伝子発現のため、HIV−1ヌクレオチド配列を増幅する方法、および産生したポリペプチドを精製する方法を開示する。HIV−1の存在を検出するのに有用なHIV−1核酸配列は、米国特許第5,773,602号およびEP 0 178 978(Alizonら)、米国特許第5,843,638号(Montagnierら)、第6,001,977号(Changら)、第5,420,030号(Reitzら)および第5,869,313号(Reitzら)、およびEP 0 181 150(Luciwら)に開示されてきている。PCT第WO9961666号は、HIV遺伝子配列における多型突然変異を検出する方法を開示し、該方法は、切迫したウイルス薬剤耐性突然変異のリスクが増加している指標を提供する。
核酸を増幅して、標的配列の、より多くのコピーを産生する方法が、先に記載されている。例えば、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号(Mullisら)は、変性および重合反応の一連の熱周期を用いて、多コピーの標的配列を産生する、PCR増幅を開示する。RNAポリメラーゼを用いた転写に頼る増幅法は、米国特許第5,399,491号および第5,554,516号(Kacianら)、米国特許第5,437,990号(Burgら)、PCT第WO8801302号および第WO8810315号(Gingerasら)、米国特許第5,130,238号(Malekら);並びに米国特許第4,868,105号および第5,124,246号(Urdeaら)に開示されている。リガーゼ連鎖反応(LCR)は、4つの異なるオリゴヌクレオチドを用いて、ハイブリダイゼーション、連結、および変性の周期を用いることによって、標的およびその相補鎖を増幅する(EP第0 320 308号)。鎖置換増幅(SDA)は、半修飾DNA標的二重鎖の一方の鎖にニックを形成する制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含有するプライマーを用い、その後、プライマー伸長および鎖置換工程が続く(米国特許第5,422,252号(Walkerら))。
核酸配列は、相補配列(例えばオリゴヌクレオチドプローブ)とのハイブリダイゼーションを用いることによって、検出可能である(米国特許第5,503,980号(Cantor)、第5,202,231号(Drmanacら)、第5,149,625号(Churchら)、第5,112,736号(Caldwellら)、第5,068,176号(Vijgら)、および第5,002,867号(Macevicz)を参照されたい)。ハイブリダイゼーション検出法は、DNAチップ上のプローブアレイを用いて、1ヌクレオチドが異なる、4つの関連プローブ配列の組において、正確に相補的なプローブ配列に選択的にハイブリダイズする、標的核酸に関する配列情報を提供することが可能である(米国特許第5,837,832号および第5,861,242号(Cheeら)を参照されたい)。
発明の概要
本発明の1つの側面にしたがって、HIV−1のgagまたはpol遺伝子の一部を増幅するための核酸オリゴマーであって、配列番号5から配列番号22および配列番号33から配列番号68からなる群より選択される配列を含み、所望により、核酸主鎖中に、1以上の2’−O−メトキシ連結、ペプチド核酸連結、ホスホロチオエート連結、メチルホスホネート連結またはそれらのいずれかの組み合わせが含まれることが可能である、前記核酸オリゴマーを提供する。1つの態様において、オリゴマーは、配列番号5から配列番号10および配列番号33から配列番号45からなる群より選択される配列を有するプロモーター−プライマーであり、該配列の5’部分にT7 RNAポリメラーゼ用のプロモーター配列が含まれる。別の態様において、核酸オリゴマーは:第一のgag配列を増幅するための、配列番号5、配列番号11、配列番号33、配列番号35、配列番号46、または配列番号47および配列番号17または配列番号59;第二のgag配列を増幅するための、配列番号6、配列番号12、配列番号34、配列番号36、配列番号48または配列番号49および配列番号18または配列番号60;pol遺伝子のプロテアーゼ配列を増幅するための、配列番号7、配列番号13、配列番号37、配列番号38、配列番号50または配列番号51および配列番号19、配列番号61または配列番号62;pol遺伝子の第一の逆転写酵素(RT)配列を増幅するための、配列番号8、配列番号14、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号52、配列番号53または配列番号54および配列番号20、配列番号63、配列番号64または配列番号65;pol遺伝子の第二のRT配列を増幅するための、配列番号9、配列番号15、配列番号42、配列番号43、配列番号55または配列番号56および配列番号21または配列番号66;並びにpol遺伝子の第三のRT配列を増幅するための、配列番号10、配列番号16、配列番号44、配列番号45、配列番号57または配列番号58および配列番号22、配列番号67または配列番号68からなる群より選択されるオリゴマーの混合物である。
本発明の別の側面にしたがって、gagまたはpol配列由来のHIV−1配列に特異的にハイブリダイズし、配列番号23から配列番号29からなる群より選択される塩基配列および検出可能シグナルを生じる標識を有する、標識オリゴヌクレオチドを提供する。該オリゴヌクレオチドには、所望により、核酸主鎖中に、1以上の2’−O−メトキシ連結、ペプチド核酸連結、ホスホロチオエート連結、メチルホスホネート連結またはそれらのいずれかの組み合わせが含まれることが可能である。1つの態様において、標識オリゴヌクレオチドには、発光シグナルを生じる化合物である、標識が含まれ、そして好ましくは、該標識は、均質検出系で検出可能な化学発光シグナルを生じる。1つの態様において、標識オリゴヌクレオチドは、アクリジニウムエステル(AE)化合物で標識され、そして:第一のgag配列に特異的にハイブリダイズする配列番号23;第二のgag配列に特異的にハイブリダイズする配列番号24;第三のgag配列に特異的にハイブリダイズする配列番号25;プロテアーゼ配列に特異的にハイブリダイズする配列番号26;第一のRT配列に特異的にハイブリダイズする配列番号27;第二のRT配列に特異的にハイブリダイズする配列番号28;および第三のRT配列に特異的にハイブリダイズする配列番号29からなる群より選択される配列を含有する。
本発明の別の側面にしたがって、生物学的試料におけるHIV−1を検出する方法であって:HIV−1核酸を含有する試料を提供し;gagおよびpol配列内に含有される、少なくとも1つのHIV−1標的配列を特異的に増幅する、2以上の増幅オリゴマーと、試料とを、核酸の増幅を可能にする条件下で混合し、ここで増幅オリゴマーは:
第一のgag配列を増幅するための、配列番号5、配列番号11、配列番号33、配列番号35、配列番号46、または配列番号47および配列番号17または配列番号59;
第二のgag配列を増幅するための、配列番号6、配列番号12、配列番号34、配列番号36、配列番号48または配列番号49および配列番号18または配列番号60;
プロテアーゼ配列である第一のpol配列を増幅するための、配列番号7、配列番号13、配列番号37、配列番号38、配列番号50または配列番号51および配列番号19、配列番号61または配列番号62;
第一の逆転写酵素(RT)配列である第二のpol配列を増幅するための、配列番号8、配列番号14、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号52、配列番号53または配列番号54および配列番号20、配列番号63、配列番号64または配列番号65;
第二のRT配列である第三のpol配列を増幅するための、配列番号9、配列番号15、配列番号42、配列番号43、配列番号55または配列番号56および配列番号21または配列番号66;並びに
第三のRT配列である第四のpol配列を増幅するための、配列番号10、配列番号16、配列番号44、配列番号45、配列番号57または配列番号58および配列番号22、配列番号67または配列番号68;あるいは
少なくとも1つのgag配列および少なくとも1つのpol配列の増幅を可能にする、それらの組み合わせ
からなる群より選択される配列を有し、
標的配列を増幅して、増幅された核酸産物を産生し;そして増幅された核酸産物の存在を検出する工程を含んでなる、前記方法を提供する。1つの態様において、増幅工程は、実質的に等温条件下で行う転写仲介増幅法を用いる。別の態様において、検出工程は:gag配列から産生される増幅された核酸にハイブリダイズするための、配列番号23、配列番号24もしくは配列番号25の配列を有する標識オリゴマー、またはそれらのいずれかの組み合わせを有するオリゴマーの混合物;pol配列から産生される増幅された核酸にハイブリダイズするための、配列番号26、配列番号27、配列番号28もしくは配列番号29の配列を有する標識オリゴマー、またはそれらのいずれかの組み合わせを有するオリゴマーの混合物;あるいは2以上の標的配列から産生される増幅された核酸にハイブリダイズするための、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28または配列番号29の配列を有する、少なくとも2つの標識オリゴマーの混合物を用いる。別の態様において、検出工程は、核酸プローブアレイへの増幅された核酸のハイブリダイゼーションを検出する。1つの態様には、HIV−1核酸を含有する試料と、HIV−1核酸に特異的にハイブリダイズする配列を有する、少なくとも1つの捕捉オリゴマーとを接触させ、こうしてHIV−1核酸が含まれるハイブリダイゼーション複合体を形成し、そして他の試料構成要素から該ハイブリダイゼーション複合体を分離する工程がさらに含まれる。
付随する図は、本発明のいくつかの態様を例示する。図は、説明と合わせ、本発明の原理を説明し、そして例示するのに役立つ。
図1は、HIV−1 gagおよびpol遺伝子領域(上部に、左から右へ、5’から3’方向に示す)の模式図であり、本発明の増幅オリゴヌクレオチドおよび方法を用いて産生される、増幅される配列(gagおよびpol領域の下に示す、Gag1、Gag2、Prt、RT1、RT3およびRT4)の相対的な位置およびサイズを示す。1つの態様において、上のGag1、Gag2およびRT3領域の群が、1つの多重反応中で増幅され、そして下のPrt、RT1およびRT4領域の群が、別の多重反応中で増幅される。 図2は、図1に記載するような、HIV−1 gagおよびpol領域、並びに増幅される配列の模式図であるが、この態様では、上のGag1、PrtおよびRT3領域の群が、1つの多重反応中で共に増幅され、そして下のGag2、RT1およびRT4領域の群が、別の多重反応中で増幅される。
発明の詳細な説明
本発明には、1以上のHIV−1標的領域を増幅し、そして増幅された配列を検出することによって、生物学的試料におけるHIV−1核酸を検出する方法およびオリゴヌクレオチドが含まれる。増幅される標的領域は、HIV−1ウイルスが薬剤耐性になる際に、潜在的に突然変異される可能性がある多くのコドンが含まれるものである。検出工程は、増幅産物を、標識プローブとハイブリダイズさせ、そして標識プローブから生じるシグナルを検出することによるなど、増幅された標的配列と特異的に関連するシグナルを検出する、既知の多様な方法のいずれかを用いて行うことが可能である。検出工程はまた、核酸塩基配列のすべてまたは一部などの、増幅された配列に関するさらなる情報を提供することも可能である。本発明の組成物および方法は、HIV−1配列の存在を検出し、そして検出可能配列情報に基づく遺伝的下位群または薬剤耐性表現型などの、感染性病原体に関するさらなる情報を提供するのに有用である。したがって、本発明は、医療従事者および患者に、HIV−1感染に関する有用な診断および予後情報を提供する。好ましい態様において、HIV−1ゲノムの多数の異なる部分を多重反応中で増幅して、単一反応容器中で異なるHIV−1配列の多数のコピーを産生する。その後、異なる領域から増幅された産物を検出し、そして/またはさらに解析する。多重反応は、試料に関して行う個々の反応数を最小限にし、そして多数の領域が増幅されるため、1つの領域が十分に増幅されていなくても、偽陰性結果の可能性を回避する。1つの態様において、該方法は、2つの異なる多重反応中で、増幅オリゴヌクレオチドを用いて、HIV−1ゲノムの多数の異なる部分を増幅し、累積して約2.5kbのHIV−1配列を増幅する。
本発明の方法には、好ましくは、先に、米国特許第5,399,491号および第5,554,516号(Kacianら)に詳細に開示されたような、等温転写仲介核酸増幅法を用いた増幅が含まれる。該方法には、プローブオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって、核酸の存在を検出する、既知の多様な方法のいずれを用いることも可能な検出工程が含まれる。好ましくは、検出工程は、先に、Arnoldら Clinical Chemistry 35:1588−1594(1989)、並びに米国特許第5,658,737号(Nelsonら)、および第5,118,801号および第5,312,728号(Lizardiら)に詳細に記載されるような、均質検出法を用いる。本発明の方法にはまた、既知の多様な精製法のいずれかを用いて、増幅前に他の試料構成要素から標的HIV−1を精製する、所望による工程が含まれることも可能である。核酸を精製する方法は、当該技術分野に公知である(Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー, 1989)§§1.23−1.40、2.73−2.80、4.26−4.32および7.3−7.35)。好ましい態様は、PCT第WO9850583号(Weisburgら)に詳細に開示される溶液相ハイブリダイゼーションなどの、最小限の工程を伴う、比較的迅速な精製工程を用いる。簡潔には、精製は、標的に、そして磁気粒子(Whiteheadら、米国特許第4,554,088号および第4,695,392号)などの除去可能固体支持体上の固定オリゴヌクレオチドにハイブリダイズして、他の試料構成要素から標的核酸を分離する、オリゴヌクレオチドを用いる。
本発明は、組織または体液試料などのヒト生物学的試料に存在するHIV−1核酸を検出する方法を提供する。「生物学的試料」には、HIV−1核酸を含有する可能性がある、生存しているまたは死亡したヒト由来のいずれかの組織、体液または材料が含まれ、例えば、末梢血、血漿、血清、リンパ液、骨髄、子宮頚スワブ試料、リンパ節組織、呼吸組織または滲出物、胃腸組織、尿、糞便、精液または他の体液、組織または材料が含まれる。標準法を用いて、生物学的試料を処理して、物理的または機械的に組織または細胞構造を破壊し、水性または有機溶液中に、細胞内構成要素を遊離させて、さらなる解析のため、核酸を調製することが可能である。
「核酸」は、窒素性複素環塩基類、または塩基類似体(analog)類を有し、ホスホジエステル結合によって共に連結されて、ポリヌクレオチドを形成する、ヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体を含んでなる多量体化合物を指す。核酸には、慣用的なRNAおよびDNA、並びにその類似体が含まれる。核酸の「主鎖」は、既知の多様な連結で構成されることが可能であり、該連結には、1以上の糖−ホスホジエステル連結、ペプチド核酸結合(米国特許第5,539,082号(Nielsenら)に記載されるような「ペプチド核酸」または「PNA」に見られるもの)、ホスホロチオエート連結、メチルホスホネート連結またはそれらの組み合わせが含まれる。糖部分は、リボースまたはデオキシリボース、あるいは、2’メトキシおよび2’ハロゲン化物置換物(例えば2’−F)など、こうした糖の既知の置換物であることが可能である。窒素性塩基は、慣用的な塩基(A、G、C、T、U)、その類似体、例えばイノシン(「I」)またはネブラリン(「N」)あるいは合成類似体(The Biochemistry of the Nucleic Acids 5−36, Adamsら監修, 第11版, 1992;Lin & Brown, 1989, Nucl. Acids Res. 17:10373−83;Lin & Brown, 1992, Nucl. Acids Res. 20:5149−52)、プリンまたはピリミジン塩基類の誘導体(例えば、N−メチルデオキシグアノシン、デアザ−またはアザ−プリン類、およびデアザ−またはアザ−ピリミジン類、5または6位に置換基を有するピリミジン塩基類、2、6または8位に置換基を有するプリン塩基類、2−アミノ−6−メチルアミノプリン、O−メチルグアニン、4−チオ−ピリミジン類、4−アミノ−ピリミジン類、4−ジメチルヒドラジン−ピリミジン類、およびO−アルキル−ピリミジン類;PCT第WO9313121号(Cook)を参照されたい)およびその位でポリマー主鎖に窒素性塩基が含まれない、「無塩基性(abasic)」残基(米国特許第5,585,481号(Arnoldら))であることが可能である。核酸は、天然存在RNAまたはDNAに見られるような慣用的な糖、塩基および連結のみを含んでなることが可能であるし、または慣用的な構成要素および置換の組み合わせ(例えば2’メトキシ主鎖を介して連結される慣用的塩基、または慣用的塩基および1以上の塩基類似体を含むポリマー)が含まれることが可能である。
オリゴマーの主鎖組成は、オリゴマーおよび相補核酸鎖間に形成される、ハイブリダイゼーション複合体の安定性に影響を与える可能性がある。本発明のオリゴマーの態様には、PNA、糖−ホスホジエステル連結、オリゴマーの一部またはすべてにおける2’メトキシ連結、またはその誘導体が含まれることが可能である。改変されたオリゴマー主鎖は、標準的DNAまたはRNAに相対して、ハイブリダイゼーション複合体安定性を増進することが可能である。例えば、PNAであるか、あるいは2’−メトキシ連結(2’−O−メチルリボフラノシル部分を含有する;PCT第WO98/02582号)または2’−F置換RNA基を有するオリゴマーは、相補的2’OH RNAと安定したハイブリダイゼーション複合体を形成する。2つの糖基を連結する連結は、全体の電荷または電荷密度、あるいは立体相互作用に影響を与えることによって、ハイブリダイゼーション複合体安定性に影響を与えることが可能である。オリゴマーの態様には、複合体安定性に影響を与える荷電(例えばホスホロチオエート)または中性(例えばメチルホスホネート)基を用いた連結が含まれることが可能である。
本発明には、HIV−1標的配列を特異的に増幅する増幅オリゴヌクレオチドまたはオリゴマー、およびHIV−1標的配列またはその増幅産物を検出するプローブオリゴヌクレオチドまたはオリゴマーが含まれる。「オリゴヌクレオチド」および「オリゴマー」は、一般的に1,000残基未満を有するポリマー核酸を指し、約2から5残基の下限および約500から900残基の上限を有するサイズ範囲にあるポリマーが含まれる。好ましい態様において、オリゴマーは、約5から約15残基の下限および約100から200残基の上限を有するサイズ範囲にある。より好ましくは、本発明のオリゴマーは、約10から約15残基の下限および約17から100残基の上限を有するサイズ範囲にある。オリゴマーは、天然に存在する核酸から精製することが可能であるが、一般的には、多様な公知の酵素的または化学的方法のいずれかを用いて、合成する。
「増幅オリゴヌクレオチド」または「増幅オリゴマー」は、標的核酸またはその相補体にハイブリダイズし、そして核酸増幅反応に関与するオリゴヌクレオチドである。増幅オリゴマーには、テンプレートとして別の核酸鎖を用いて、オリゴマーの3’端が酵素的に伸長される、プライマーおよびプロモーター−プライマーが含まれる。いくつかの態様において、増幅オリゴヌクレオチドは、標的配列(またはその相補鎖)の領域に相補的である、少なくとも約10の隣接する塩基、そしてより好ましくは約12の隣接する塩基を含有し、そして所望により、標的配列またはその相補体に結合しない他の塩基を含有することが可能である。例えば、プロモーター−プライマーは、標的結合塩基、および標的配列にハイブリダイズしないプロモーター配列が含まれる、さらなる5’塩基を含有することが可能である。隣接する標的結合塩基は、該塩基が結合する配列に、好ましくは少なくとも約80%、そしてより好ましくは約90%から100%相補的である。増幅オリゴマーは、好ましくは、約10から約60塩基長であり、そして修飾ヌクレオチドまたは塩基類似体が含まれることが可能である。
本発明の態様は、HIV−1ゲノムの領域、特にgagおよびpol遺伝子配列の領域を特異的に増幅する、増幅オリゴマーを用いる。これらの増幅オリゴヌクレオチドには、配列番号5から配列番号22および配列番号33から配列番号68の配列が含まれる。プロモーター−プライマーである、いくつかの増幅オリゴマーには、プロモーター配列が含まれる(配列番号5から配列番号10および配列番号33から配列番号45)。プロモーター−プライマーに含まれる、好ましいT7プロモーター配列は、配列番号1から配列番号4に示す。当業者は、プライマーとして機能可能なオリゴマー(すなわち標的配列に特異的にハイブリダイズし、そして3’ポリメラーゼ伸長可能端を有するもの)を修飾して、5’プロモーター配列を含ませ、そしてこうしてプロモーター−プライマーにすることが可能であると認識するであろう。同様に、いかなるプロモーター−プライマー配列も、そのプロモーター配列と独立にプライマーとして機能可能である(配列番号11から配列番号16および配列番号46から配列番号58における、プロモーターを含まずに示す配列など)。
「増幅する」または「増幅」により、多コピーの標的核酸配列あるいはその相補体または断片を生じるための方法を意味する(すなわち増幅された産物は、完全標的配列より少ない配列を含有することが可能である)。例えば、断片は、標的核酸の内部位にハイブリダイズし、そして該位から重合を開始する増幅オリゴヌクレオチドを用いることにより、標的核酸の一部を増幅することによって、産生可能である。既知の増幅法には、例えば、レプリカーゼ仲介増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)増幅、鎖置換増幅(SDA)および転写関連または転写仲介増幅(TMA)が含まれる。レプリカーゼ仲介増幅は、QBレプリカーゼを用いて、RNA配列を増幅する(米国特許第4,786,600号(Kramerら);PCT第WO9014439号)。PCR増幅は、DNAポリメラーゼ、向かい合う鎖のプライマーおよび熱反復を用いて、多コピーのDNAまたはcDNAを合成する(米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号(Mullisら);Mullisら, 1987, Methods in Enzymology 155:335−350)。LCR増幅は、少なくとも4つの異なるオリゴヌクレオチドを用いて、ハイブリダイゼーション、連結、および変性の周期を用いることにより、標的の相補鎖を増幅する(EP第0 320 308号)。SDAは、標的配列が含まれる半修飾DNA二重鎖の一方の鎖にニックを形成する制限エンドヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼの認識部位を含有するプライマーを用い、その後、プライマー伸長および鎖置換工程が続く(米国特許第5,422,252号および第5,470,723号(Walkerら))。エンドヌクレアーゼニック形成に頼らない等温鎖置換増幅法もまた知られる(米国特許第6,087,133号(Dattaguptaら))。転写関連または転写仲介増幅は、プロモーター配列が含まれるプライマー、および該プロモーターに特異的なRNAポリメラーゼを用いて、標的配列から多数の転写物を産生し、こうして標的配列を増幅する(米国特許第5,399,491号、第5,480,784号、第5,824,518号および第5,888,779号(Kacianら)、第5,437,990号(Burgら)、第5,409,818号(Daveyら)、第5,554,516号および第5,766,849号(McDonoughら)、第5,130,238号(Malekら)、第4,868,105号および第5,124,246号(Urdeaら)、および第5,786,183号(Ryderら)、PCT第WO8801302号および第WO8810315号(Gingerasら))。
本発明の好ましい態様は、転写仲介増幅(TMA)反応において、本増幅オリゴマーを用いて、HIV−1標的配列を増幅する。当業者は、ポリメラーゼ仲介プライマー伸長を用いる核酸増幅の他の方法において、これらの増幅オリゴヌクレオチドが容易に使用可能であることを認識するであろう。
「転写仲介増幅」は、RNAポリメラーゼを用いて、核酸テンプレートから多数のRNA転写物を産生する核酸増幅を指す。増幅反応は、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、RNアーゼH活性、リボヌクレオシド三リン酸、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、およびプロモーター−プライマーを使用し、そして1以上のさらなる増幅オリゴヌクレオチドが含まれることが可能である。好ましい態様は、米国特許第5,399,491号、第5,480,784号、第5,824,518号および第5,888,779号(Kacianら)、第5,554,516号および第5,766,849号(McDonoughら)、および第5,786,183号(Ryderら)に詳細に開示される方法を用いる。
HIV−1標的配列の増幅後、増幅された配列およびプローブオリゴヌクレオチド配列間に形成されるハイブリダイゼーション複合体の検出を可能にするプローブへのハイブリダイゼーションを用いて、増幅された産物を検出する。いくつかの態様において、プローブを標識し、そしてハイブリダイゼーション複合体から検出されるシグナルは、標識プローブから生じる。他の態様において、増幅された産物を標識し、そしてプローブにハイブリダイズさせ、そして検出されるシグナルは、ハイブリダイゼーション複合体中の標識産物から生じる。検出工程で、配列情報を提供する態様において、増幅された核酸を、オリゴヌクレオチドプローブのアレイ(米国特許第5,837,832号および第5,861,242号(Cheeら))にハイブリダイズさせ、そしてコンピューター化システムを用いて、検出されたシグナルを解析し(米国特許第5,733,729号および第6,066,454号(Lipshutzら))、システムによって、「塩基コール」から核酸配列を生じる。
「プローブ」は、ハイブリダイゼーションを促進する条件下で、核酸標的配列に特異的にハイブリダイズし、それにより、標的配列の検出を可能にする核酸オリゴマーを指す。検出は、直接(すなわち標的配列に直接ハイブリダイズするプローブから生じる)であっても、または間接的(すなわちプローブおよび標的配列を連結する中間分子構造にハイブリダイズするプローブから生じる)であってもよい。プローブの「標的配列」は、プローブオリゴマーの少なくとも一部に特異的にハイブリダイズする、核酸内、好ましくは増幅された核酸中の配列を指す。プローブは、標的特異的配列およびプローブの三次元コンホメーションに貢献する他の配列(米国特許第5,118,801号および第5,312,728号(Lizardiら)を参照されたい)を含んでなることが可能である。「十分に相補的な」配列は、プローブおよび標的配列が、標準的塩基対形成(G:C、A:TまたはA:U対形成)により完全に相補的でなくても、ハイブリダイゼーション条件下で、標的配列へのプローブオリゴマーの安定なハイブリダイゼーションを可能にする。「十分に相補的な」プローブ配列は、100%相補的ではないが、プローブの全塩基配列によって、ハイブリダイゼーション条件において、別の配列と特異的にハイブリダイズすることが可能である、1以上の残基(無塩基性残基が含まれる)を含有することが可能である。適切なハイブリダイゼーション条件は、当該技術分野に公知であり、塩基配列組成に基づいて、容易に予測可能であるか、または日常的な試験を用いることによって、実験的に決定することが可能である(例えば、Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー, 1989)§§1.90−1.91、7.37−7.57、9.47−9.51および11.47−11.57、特に§§9.50−9.51、11.12−11.13、11.45−11.47および11.55−11.57を参照されたい)。好ましい態様において、プローブには、標的配列に、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは約100%相補的である、隣接塩基が含まれる。
検出のため、プローブは、標識されることが可能であり、すなわち、検出可能分子部分または検出可能シグナルを導く化合物に、直接または間接的に連結することが可能である。直接標識は、共有結合および非共有相互作用(例えば水素結合、疎水性およびイオン性相互作用)を含む、標識をプローブに連結する結合または相互作用を通じて、あるいはキレートまたは配位複合体の形成を通じて、生じることが可能である。間接的標識は、標識をプローブに連結し、そして検出可能シグナルを増幅することが可能な、架橋部分(「リンカー」)の使用を通じて、生じる(例えば、PCT第WO95/16055号(Urdeaら)を参照されたい)。標識は公知であり、そして例えば、放射性核種、リガンド(例えばビオチン、アビジン)、酵素および/または酵素基質、反応性基、遷移金属などの酸化還元活性部分(例えばRu)、発色団(例えば検出可能な色を与える部分)、発光化合物(例えば、生物発光、燐光または化学発光標識)および蛍光化合物が含まれる。当業者は、標識プローブが、検出のため、プローブ試薬の比活性を最適化するのに、標的配列に特異的にハイブリダイズする、標識および非標識オリゴヌクレオチドの混合物であることが可能であると認識するであろう。いくつかの態様において、プローブ上の標識は、均質アッセイ系で検出可能であり、すなわち、混合物において、非結合標識プローブに比較して、結合した標識プローブが、安定性または差別的分解などの検出可能な変化を示す。均質アッセイで使用するのに好ましい標識は、化学発光化合物(米国特許第5,656,207号(Woodheadら)、第5,658,737号(Nelsonら)、および第5,639,604号(Arnold, Jr.ら))である。好ましい化学発光標識にはアクリジニウムエステル(「AE」)化合物が含まれ、これは標準的AEまたはその誘導体(例えば、ナフチル−AE、オルト−AE、1−または3−メチル−AE、2,7−ジメチル−AE、4,5−ジメチル−AE、オルト−ジブロモ−AE、オルト−ジメチル−AE、メタ−ジメチル−AE、オルト−メトキシ−AE、オルト−メトキシ(シンナミル)−AE、オルト−メチル−AE、オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−メタ−ジフルオロ−AE、および2−メチル−AE)であることが可能である。核酸に標識を付着させ、そして標識を検出する方法は、当該技術分野に公知である(例えばSambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー, 1989), 第10章;米国特許第5,658,737号(Nelsonら)、第5,656,207号(Woodheadら)、第5,547,842号(Hoganら)、および第5,283,174号(Arnold, Jr.ら)、並びにPCT第WO9802582号(Becker)を参照されたい)。
本発明の方法は、所望により、増幅前に他の試料構成要素からHIV−1標的核酸を精製する工程を含むことが可能である。「精製」によって、標的が生物学的試料の1以上の構成要素(例えば他の核酸、タンパク質、炭水化物または脂質)から分離されていることを意味する。好ましくは、精製工程は、少なくとも約70%、そしてより好ましくは約90%以上の他の試料構成要素を除去する。こうした精製工程が含まれる態様において、HIV−1標的核酸は、先に詳細に記載されるように(PCT第WO98/50583号)、核酸ハイブリダイゼーションに基づいて、HIV−1標的配列を固定(すなわち固体支持体に付着した)オリゴマーに特異的に連結する、「捕捉オリゴマー」にハイブリダイズされる。この工程は、他の試料構成要素からの標的の迅速な分離を可能にする、2溶液相ハイブリダイゼーション(捕捉オリゴマーおよび標的のハイブリダイゼーション、その後、固定オリゴマーへの標的:捕捉オリゴマー複合体のハイブリダイゼーション、標的:捕捉オリゴマー:固定オリゴマー複合体を生じる)を伴うため、好適である。
「本質的にからなる」によって、本発明の基本的なそして新規の特性を実質的に変化させない、さらなる単数または複数の構成要素、単数または複数の組成物あるいは単数または複数の方法工程が、本発明の組成物または方法に含まれていてもよいことを意味する。こうした特性には、試料に存在するHIV−1配列を増幅し、そして検出する能力が含まれる。
別に定義しない限り、本明細書に用いるすべての科学的および技術的用語は、相当する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書に用いる多くの用語の一般的な定義は、例えば、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 第2版(Singletonら, 1994, John Wiley & Sons, ニューヨーク州ニューヨーク)に提供される。別に言及しない限り、本明細書に使用されるかまたは意図される技術は、一般の当業者の1人に公知の標準的方法である。実施例は、好ましい態様のいくつかを例示する。
本発明には、ヒト生物学的試料に存在するHIV−1核酸を検出するための核酸オリゴマーおよび方法が含まれる。増幅オリゴマーとして使用するのに適したDNA配列を決定するため、同一または同様の配列領域をマッチングすることによって、一般的には既知のサブタイプのものであり、そして公的にアクセス可能なデータベース(例えばGenBank)から入手可能な部分的または相補的配列が含まれる、既知のHIV−1配列を並列させ、そして公知の分子生物学的技術を用いて比較した。アルゴリズムの使用は、配列比較を容易にすることが可能であるが、当業者は、アルゴリズムの助けを借りず、容易にこうした比較を行うことが可能である。オリゴマー配列が既知の薬剤耐性突然変異を含有せず、オリゴマーの組み合わせが各々、約300から600ntを増幅し、オリゴマーが、核酸構造を予測する公知の方法に基づいて予測される二次構造を最小限しか含有せず、配列が既知の多型塩基(サブタイプ内またはサブタイプ間多型)をほとんど含有せず、そして多型が生じる残基に関しては、比較される配列の大部分において、その位で見出される塩基または塩基類似体(例えばネブラリン)をその位で用いることを条件として、HIV−1 gagおよびpol遺伝子の一部を増幅するであろう、増幅オリゴマーを設計した(HIV−1 HXB2、GenBank寄託番号KO3455に基づく)。増幅オリゴマーを設計する際に用いた配列比較は、一般的に:gag領域に関しては、22のサブタイプA、41のサブタイプB、12のサブタイプC、11のサブタイプD、6のサブタイプF、4のサブタイプG、3のサブタイプH、および2のサブタイプJ配列;プロテアーゼ領域に関しては、22−34のサブタイプA、36−41のサブタイプB、15のサブタイプD、26のサブタイプF、および8のサブタイプG配列;そしてRT領域に関しては、32−44のサブタイプA、38−46のサブタイプB、24のサブタイプC、9−15のサブタイプD、5−26のサブタイプF、および8のサブタイプG配列であった。
増幅された配列内に生じるものに相補的な配列に関して選択して、プローブオリゴマーを同様に設計した。公知の合成法を用いて、DNAオリゴマーを合成し、そして増幅またはプローブオリゴマーとしての有効性に関して試験した。標識プローブは、実質的に米国特許第5,639,604号(10欄6行から11欄3行、および実施例8を参照されたい)に詳細に記載されるように、リンカーを介して付着させたAE化合物で標識した。オリゴマーの有効性を、本明細書に記載する増幅および検出系で試験し、そしていくつかの場合、例えば1以上の残基を変化させるか、塩基類似体を置換するか、あるいはオリゴマー主鎖の一部またはすべてを修飾する(例えばDNAに対して2’−O−メチルRNAを置換する)ことによって、オリゴマー配列を修飾して、増幅または検出を最適にした。
これらの解析に基づいて、本明細書に記載する増幅オリゴヌクレオチドを同定した。増幅オリゴヌクレオチドには、所望により、増幅された標的配列から転写物を産生するためのプロモーター配列が含まれることが可能であり、そして好ましいT7プロモーター配列を配列番号1から配列番号4に示す。T7プロモーター配列が含まれる増幅オリゴマーに関しては、プライマー配列は、T7プロモーター配列を含み(配列番号5から配列番号10および配列番号33から配列番号45)、そしてT7プロモーター配列を含まず(配列番号11から配列番号16および配列番号46から配列番号58)示している。当業者は、プロモーター配列を含むまたは含まない、HIV−1に特異的な増幅オリゴマーが、適切な増幅条件下で、プライマーとして有用である可能性があると認識するであろう。
図1および2を参照すると、上部は、HIV−1ゲノムのgagおよびpol領域(gagおよびpolと標示する、重複する斜線領域)を例示し、そして下部は、増幅プライマーを用いて増幅される領域(Gag1、Gag2、Prt、RT1、RT3およびRT4と下に標示する二重線)のおよそのサイズおよび位置を示す。これらの増幅される領域には特徴が含まれ:Gag1はGag P24およびGag P17間の切断部位を含有し;Gag2は他のGag切断部位を含有し;PrtはGagの3’端の2つの切断部位、プロテアーゼ領域、並びにプロテアーゼおよび逆転写酵素(RT)間の切断部位を含有し;RT1はRTの41および190間のコドンを含有し;RT3はRTの200および350間のコドンを含有し;そしてRT4はRTの3’端のコドン、並びにRTおよびRNアーゼH間の切断部位を含有する。図1および2は、増幅される領域の相対サイズおよび位置を例示するが、増幅される領域の絶対サイズは、用いる増幅オリゴマーの特定の組み合わせに応じて、わずかに変化する可能性がある。例えば、配列番号5および配列番号17の配列を有するプライマーを用いて増幅されるGag配列は、260nt増幅産物(Gag1)を産生し、そして配列番号6および配列番号18は、415nt増幅産物(Gag2)を産生する。配列番号7および配列番号19の配列を有するプライマーを用いて増幅されるプロテアーゼ(Prt)領域は、574nt増幅産物を産生する。pol遺伝子の3つの逆転写酵素(RT)配列は:532nt産物(RT1)を産生する配列番号8および配列番号20、464nt産物(RT3)を産生する配列番号9および配列番号21、並びに384nt産物(RT4)を産生する配列番号10および配列番号22の配列を有するプライマーを用いる増幅から生じる。関連増幅オリゴマー配列の他の組み合わせを同様に用いて、例えば:Gag1に関して(配列番号33および配列番号17または配列番号59)、Gag2に関して(配列番号34または配列番号36および配列番号60)、Prtに関して(配列番号37または配列番号38および配列番号19、配列番号61または配列番号62)、RT1に関して(配列番号39、配列番号40または配列番号41および配列番号20、配列番号63、配列番号64または配列番号65)、RT3に関して(配列番号42または配列番号43および配列番号66)、そしてRT4に関して(配列番号44または配列番号45および配列番号67または配列番号68)、これらの領域を増幅することが可能である。好ましい態様において、配列番号18から配列番号22、および配列番号35の増幅オリゴマーには、1以上の5’残基の主鎖に関して、好ましくは残基1から4に関して、2’−O−メトキシ連結が含まれる。
増幅される標的配列の検出のため、増幅される配列に相補的なプローブ配列を設計し、そしてこうしたプローブの好ましい態様は、配列番号23から配列番号29、配列番号69および配列番号70の配列を有する。より具体的には、配列番号23のプローブは、Gag1増幅産物または単位複製配列(amplicon)にハイブリダイズし、配列番号24のプローブは、HIV−1サブタイプAテンプレートから産生されるGag1単位複製配列にハイブリダイズし、配列番号25および配列番号69のプローブはGag2単位複製配列にハイブリダイズし、配列番号26のプローブはPrt単位複製配列にハイブリダイズし、配列番号27および配列番号70のプローブはRT1単位複製配列にハイブリダイズし、配列番号28のプローブはRT3単位複製配列にハイブリダイズし、そして配列番号29のプローブはRT4単位複製配列にハイブリダイズする。いかなる主鎖を用いて、プローブオリゴマーの塩基配列を連結することも可能であり、そしていくつかの態様には、例えば配列番号24から配列番号29、配列番号69および配列番号70に関して、1以上の2’−O−メトキシ連結が含まれる。標識プローブとして用いる際、プローブオリゴマーには、いかなる既知の検出可能標識または検出可能シグナルの産生を導く標識が含まれることも可能である。いくつかの態様において、プローブオリゴマーは、先に記載されるように(米国特許第5,639,604号(Arnold, Jr.ら))、リンカーを介してアクリジニウムエステル(AE)化合物で標識する。例えば、プローブのいくつかの態様は、以下のように標識する:配列番号23、残基9および10の間、配列番号24、残基10および11の間、配列番号25、残基17および18の間、配列番号26、残基9および10の間、配列番号27、残基16および17の間、配列番号28、残基9および10の間、配列番号29、残基10および11の間、配列番号69、残基11および12の間、並びに配列番号70、残基11および12の間。
捕捉オリゴマーを用いて、他の試料構成要素からHIV−1標的を精製する態様では、捕捉オリゴマー配列は、配列番号30、配列番号31および配列番号32の組み合わせであった。これらの捕捉プローブには、HIV−1配列(polまたはLTR配列)と特異的にハイブリダイズする配列の5’部分および固体支持体(例えば常磁性粒子)上の相補的固定オリゴマー(dT14)とハイブリダイズする3’ポリA「テール」部分が含まれる。当業者は、ポリ−dAテールの代わりに、相補的固定配列に結合する、いかなる3’部分を用いてもよく、そしてハイブリダイゼーションを可能にするいかなる主鎖を用いて、捕捉オリゴマーの塩基配列を連結してもよいことを認識するであろう。
これらの構成要素を用いて、生物学的試料におけるHIV−1配列を検出するアッセイには、所望により、1以上の捕捉オリゴマーを用いて、試料から標的HIV−1核酸を精製し、少なくとも2つのプライマーを用いて、好ましくは転写仲介増幅反応を用いることによって、標的HIV−1領域を増幅し、そして増幅された核酸に特異的にハイブリダイズする1以上のプローブと、増幅された核酸とをハイブリダイズさせることによって、増幅された核酸を検出する工程が含まれる。検出工程が標識プローブを用いるならば、結合した標識プローブから生じるシグナルを検出する。検出工程が固体支持体に付着したプローブアレイ(「DNAチップ」)へのハイブリダイゼーションを用いるならば、増幅された産物に特異的に結合するプローブ位置を検出するため、増幅産物を、DNAチップにハイブリダイズさせる前に、標識することが可能である。単位複製配列は、増幅工程の一部として、または増幅後に標識可能である。増幅後に単位複製配列を標識するのに好ましい方法はまた、DNAチップ上での検出のため、産物をより小さい部分に寸断する(詳細に関しては、PCT第WO00/65926号およびPCT第PCT/IB99/02073号を参照されたい)。
増幅前に、所望による精製工程を用いる場合、好ましくは、PCT第WO98/50583号に記載される2工程ハイブリダイゼーション法を用いることによるなど、最小限の取り扱い工程を用いて、単一反応容器中で行う。簡潔には、第一のハイブリダイズ条件下で、HIV−1標的核酸を含有する試料に捕捉オリゴマーを添加し、ここで捕捉オリゴマーの1つの部分がHIV−1標的配列に特異的にハイブリダイズし、捕捉オリゴマー:HIV−1 RNA複合体を生じる。その後、第二のハイブリダイズ条件下で、捕捉プローブの第二の部分が、磁気ビーズなどの固体支持体上に固定した相補的オリゴマー配列にハイブリダイズし、固定オリゴマー:捕捉オリゴマー:HIV−1 RNA複合体を生じる。どちらのハイブリダイゼーション条件でも、試料は、塩、界面活性剤および緩衝剤(例えば400mM HEPES、1−10%ラウリル硫酸リチウム(LLS)、240−832mM LiOH、0−783mM LiCl、pH7.6−8.0)、捕捉オリゴマー(類)、および固体粒子上の固定オリゴマーの混合物中にあり、そして2つの異なるハイブリダイゼーション条件は、第一および第二の温度でインキュベーションすることによって得られる。その後、付着した固定オリゴマー:捕捉オリゴマー:HIV−1 RNA複合体を含む固体支持体を、他の試料構成要素から物理的に分離して、標的HIV−1 RNAを精製する。付着した核酸複合体を含む固体支持体は、標準的方法を用いて洗浄し(例えば核酸複合体がハイブリダイズしたままであることを可能にする条件下で、緩衝水性溶液でリンスして)、HIV−1 RNAをさらに精製することが可能である。磁気粒子が固体支持体である場合、物理的分離は、容器に磁場を適用することによって、容易に達成可能である。精製後、支持体に付着したHIV−1 RNA含有複合体は、増幅に直接使用可能である。
2以上の増幅オリゴマーを用いたHIV−1標的の増幅は、多コピーの標的配列またはその相補体を産生するプライマー伸長に頼る、既知の多様な核酸増幅反応を用いて、達成可能である。1つの態様は、実質的に先に詳細に記載されるような、転写仲介増幅を用いる(米国特許第5,399,491号、第5,480,784号、第5,554,516号、第5,766,849号、第5,786,183号、第5,824,518号、および第5,888,779号)。簡潔には、転写仲介増幅は、2つのプライマー(1つはRNAポリメラーゼ用のプロモーター配列を含有するプロモーター−プライマー)、DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、RNAポリメラーゼ、およびヌクレオシド(デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸)を、適切な塩および緩衝剤と共に、溶液中で用いて、核酸テンプレートから多数のRNA転写物を産生する。まず、プロモーター−プライマー(P1プライマーとも称される)が標的配列に特異的にハイブリダイズし、そして逆転写酵素が、プロモーター−プライマーの3’端の伸長によって、第一鎖cDNAを生成し、そしてそのRNアーゼH活性がRNA:cDNA複合体中のRNA標的鎖を消化する。第一鎖cDNAは、プロモーター−プライマー配列の3’の位置で第二のプライマー(P2プライマーとも称される)とハイブリダイズし、そして逆転写酵素が、P2プライマーの3’端の伸長によって新規DNAコピーを生成し、それにより一端に機能するプロモーター配列を有する二本鎖DNAを生成する。RNAポリメラーゼが機能するプロモーター配列に結合し、そして転写して、多数の転写物(増幅産物または単位複製配列)を産生する。各転写物は、別の周期の複製のテンプレートとして働くことが可能であり、すなわちP2プライマーが単位複製配列に結合し、そして逆転写酵素がcDNAを生成し、このcDNAにP1プロモーターが結合し、そして逆転写酵素が、一端に機能するプロモーターを持つ二本鎖DNAを作成し、このプロモーターがRNAポリメラーゼに結合してより多くの転写物を産生する。したがって、実質的に等温の条件下で、転写仲介増幅は多くの単位複製配列、すなわち単一のテンプレートから約100から約3,000のRNA転写物を産生する。実施例に記載する態様は、T7 RNAポリメラーゼに認識されるプロモーター配列が含まれるP1プロモーター−プライマーを用いるが、当業者は、プロモーター配列およびその対応するRNAポリメラーゼのいかなる組み合わせも使用可能であることを認識するであろう(例えばT3ポリメラーゼ)。
転写仲介増幅のための増幅反応混合物は、一般的に、1−2.5mM Mg+2、18−40mM Tris(pH8)、0.5−3.5mM ATP、1.75−7.0mM UTP、5−16mM GTP、1.75−5.6mM CTP、0.75mM dNTP、25−37.5mM KCl、最適な量の各プライマー、2600−3000U逆転写酵素および2600−3600U T7 RNAポリメラーゼを含有する。典型的な反応混合物には、1mM Mg+2、32.5mM Tris(pH8)、0.5−1.0mM ATP、5.0mM UTP、5−9mM GTP、5mM CTP、0.75mM dNTP、37.5mM KCl、プライマー、並びに各3000Uの逆転写酵素およびT7 RNAポリメラーゼが含まれる。
増幅産物の検出は、1以上のプローブ配列への単位複製配列の特異的ハイブリダイゼーションを検出する、いかなる工程も使用可能である。標識プローブが単位複製配列にハイブリダイズするならば、標識は、好ましくは、均質系で検出可能なもの(すなわち、結合したプローブの検出のため、未結合プローブが単位複製配列:プローブ複合体から分離されることを要しないもの)である。いくつかの態様において、標識はAE化合物であり、該化合物から、先に詳細に記載されるように検出される、化学発光シグナルが生じる(米国特許第5,283,174号、第5,656,744号および第5,658,737号)。あるいは、単位複製配列またはその断片は、DNAチップ上のようなプローブアレイにハイブリダイズさせることが可能であり、そして単位複製配列に特異的にハイブリダイズするプローブを検出して、単位複製配列を産生するHIV−1標的に関する配列情報を提供する。当業者は、1より多い方法を用いて、単一の増幅反応から生じる増幅産物を検出可能であることを認識するであろう。例えば、増幅反応の一部を、陽性または陰性反応を提供する標識プローブハイブリダイゼーション法に供して、反応中のHIV−1特異的増幅産物の存在または非存在を示し、それによって、試料がHIV−1に関して陽性であるかまたは陰性であるかを示すことが可能である。陽性に試験された反応に関しては、DNAプローブアレイへのハイブリダイゼーションを用いて、増幅反応の別の一部をさらにアッセイして、試料に存在するHIV−1に関する配列情報を提供し、それによってさらにより詳細な診断情報を提供することが可能である。
開示する増幅オリゴマーを用いることによって増幅されるgagおよびpol領域のいずれか1つを検出して、試料に関する診断情報を提供することが可能であるが、1より多い領域の増幅および検出は、例えば薬剤耐性に関連する多数の遺伝子マーカーを検出することによって、潜在的に、より多くの診断情報を提供する。個々のgagおよびpol領域は別個に増幅し、そしてその後、検出のため、単位複製配列をプールすることが可能であるが、アッセイを単純にするため、多重反応で、多数の領域を増幅した。すなわち、各多重反応は、多数の増幅オリゴマーを含み、単一反応容器中で多数のHIV−1標的領域を増幅する。
多重反応は、それぞれの標的配列へのハイブリダイゼーションに関する増幅オリゴマー間の潜在的な干渉または比較的小さい単位複製配列の産生を回避しながら、多数の標的配列を増幅するように設計した。例えば、図1を参照すると、RT1およびRT3と標識した標的領域は重複し、RT3およびRT4標的領域も同様である。したがって、多重反応が、重複する標的用の増幅オリゴマーを含む場合、例えば配列番号9または配列番号15(RT3のP1プライマー)および配列番号22(RT4のP2プライマー)の組み合わせの使用から、比較的小さい標的領域が増幅される可能性がある。したがって、多重反応は、多くの診断情報を提供しないが増幅中に基質を消費する、小さい単位複製配列を産生しないであろうプライマーの組み合わせを含むように設計した。(1)1つの容器において、Gag1、RT1およびRT4標的領域を増幅する増幅オリゴマー、並びに別の容器において、Gag2、PrtおよびRT3標的領域を増幅する増幅オリゴマー、(2)1つの容器において、Gag1、Gag2およびRT3標的領域を増幅する増幅オリゴマー、並びに別の容器において、Prt、RT1およびRT4標的領域を増幅する増幅オリゴマー(図1に例示される)、並びに(3)1つの容器において、Gag2、RT1およびRT4標的領域を増幅する増幅オリゴマー、並びに別の容器において、Gag1、PrtおよびRT3標的領域を増幅する増幅オリゴマー(図2に例示される)を含む、異なる組み合わせの増幅オリゴマーを多重反応で試験した。これらの多重組み合わせの反応各々は、1kbを超えるHIV−1標的核酸を増幅し、そして各組み合わせに関して2つの多重反応を組み合わせると、累積して2.5kbを超えるHIV−1配列が増幅される。
本発明のいくつかの態様は、以下の実施例によって例示される。これらの実施例において、核酸増幅に用いるHIV−1 RNAは、ウイルスサブタイプA、BまたはCに感染したリンパ球培養の上清に存在するウイルス、培養上清から単離した精製HIV−1 RNA、クローニングしたHIV−1配列から産生した転写物、またはHIV−1感染患者から得た血漿由来であり、血漿由来の場合、ウイルスサブタイプは、配列決定によって、または血漿中のウイルスのウイルスエンベロープに存在する抗原によって決定した。
実施例1
HIV−1の異なるサブタイプからのGag標的配列の増幅および検出
3つの異なるサブタイプ(A、BおよびC)由来のHIV−1 RNAの既知の量を含有する試料を調製し、その後、転写仲介増幅反応において、Gag1標的領域に特異的なプライマーを用いて増幅した。増幅後、Gag1単位複製配列の2つの異なる標識プローブ、および2つの異なる標識プローブの混合物を用いることによって、増幅産物を検出した。
第一の試験では、HIV−1サブタイプB RNAを水と混合して、反応試験管あたり500コピーを達成し、そしてHIV−1サブタイプAウイルス上清を緩衝液(400mM HEPES、pH7.6、10%(w/v)ラウリル硫酸リチウム(LLS)、350mM LiOH、783mM LiCl)と混合して、反応試験管あたり500コピーを達成した。増幅のため、各反応は、反応混合物(40mM Tris、pH7.5、17.5mM KCl、20mM MgCl、5%ポリビニルピロリドン、各1mM dNTP、各4mM rNTP)中に、試料、並びに配列番号5(T7プライマー−プロモーターまたはP1プライマー)および配列番号17(P2プライマー)を有する増幅オリゴマー各々7.5pmolを含有した。反応混合物を不活性油の層(200μl)で覆って蒸発を防ぎ、そして60℃で10−15分間、そしてその後、41.5−42℃で5分間、インキュベーションした。各反応混合物に関して、各々約3000Uの逆転写酵素およびT7 RNAポリメラーゼを添加し、混合し、そして標的HIV−1核酸は、41.5−42℃で2時間増幅した。
増幅後、増幅されたGag標的領域は、配列番号23、配列番号24を有するAE標識プローブ、またはこれらのプローブの混合物(各0.05−0.1pmol)を用いることによって検出し、そして先に記載される方法(米国特許第5,658,737号、第25欄、27−46行;Nelsonら, 1996, Biochem. 35:8429−8438の8432)を用いて、結合したプローブからの化学発光を検出した。検出した化学発光は、相対光単位(RLU)で表した。陰性対照は同様に処理したが、HIV−1標的核酸をまったく含有しなかった。
表1は、各プローブに関して検出されたRLU結果を示す(「プローブ混合物」に関して、陰性対照アッセイが1回であったのを例外として、三つ組アッセイの平均)。これらの結果は、Gag1標的領域用の増幅オリゴマーを用いて、HIV−1の両方のサブタイプが増幅されたが、配列番号23のプローブは、サブタイプBから増幅されたGag1産物のみを検出し、一方、配列番号24のプローブは、サブタイプAおよびBから増幅された産物両方を検出したことを示す。プローブ混合物を用いて得た結果は、2つのサブタイプ用の個々のプローブで得た結果を付加したものに見える。
表1:HIV−1サブタイプAおよびサブタイプB Gag1標的領域の増幅および検出(RLU)
Figure 2012105648
別の試験において、反応あたり250、50または25コピーのウイルスRNAのHIV−1サブタイプA、BおよびCを用いて、そしてプローブ混合物(配列番号23および配列番号24)を用いて、同様のアッセイを行った。サブタイプBおよびCに関しては、HIV−1 RNAが標的であり、そしてサブタイプAに関してはウイルス上清が標的核酸を含有した。表2は、この試験の結果を示す(各条件に関して6試料の平均RLU)。陰性対照、すなわちHIV−1標的が存在しないものは、1.37x10RLUを生じた(二つ組アッセイの平均)。
表2:標識プローブ混合物を用いることによる、増幅されたGag1標的領域の検出
Figure 2012105648
これらの結果は、増幅オリゴヌクレオチドが、HIV−1サブタイプA、BおよびCに関してGag1標的領域を増幅し、そして増幅された配列をプローブが検出したことを示す。アッセイ系は、すべてのサブタイプに関して、少なくとも標的50コピーの感度を有した。反応あたり25コピーの標的では、反応の少なくとも半数で、すべてのサブタイプが増幅され、そして検出された(陰性対照より、少なくとも10倍多いRLUを生じた)(データ未提示)。これらの結果は、本発明の方法を用い、生物学的試料において、HIV−1が容易に検出可能であることを示す。
増幅される他の個々の標的配列(Gag2、Prt、RT1、RT3およびRT4)各々の増幅オリゴマーの組み合わせを用いて、同様の実験を行った。プローブオリゴマーはまた、同様の均質検出アッセイで、それぞれの標的各々に特異的にハイブリダイズして、増幅反応で生じる増幅された産物の量に比例した、検出可能発光シグナルを生じた。
実施例2
サブタイプA、BおよびCのHIV−1標的配列検出の感度
本実施例は、増幅オリゴマーが、世界中で最も蔓延しているHIV−1の3つのサブタイプである、サブタイプA、B、およびCから、標的配列を効率的に増幅可能であることを示す。これらの実験において、ウイルスRNA、クローニングしたHIV−1配列からのRNA転写物または血漿に存在するウイルスから得たHIV−1標的RNAを、反応あたり25、50、100、250、500または1000コピーで、転写仲介増幅反応に用いた。個々の標的配列(Gag1、Gag2、Prt、RT1、RT3およびRT4)を別個の反応で増幅し、そして実質的に実施例1に記載した条件を用いて、AE標識プローブとのハイブリダイゼーションによって検出した。これらの実験のいくつかの結果(各サブタイプに関するRLU)を表3に示す(1回の試験からの結果である、血漿ウイルス検出に関して報告したPrt結果を例外として、少なくとも三つ組反応から得た平均RLUを報告する)。感度は、増幅した試料に存在する標的(ウイルス(「V」)、転写物(「T」)または感染血漿(「P」)の異なる供給源に関する)のコピー数によって示す。
表3:AE標識プローブを用いて増幅されたHIV−1標的領域検出の感度
Figure 2012105648
これらの結果は、3つのサブタイプすべてで、検出感度が少なくとも標的100コピーであり、そしてしばしば100コピー未満であったことを示す(例えば、3つのサブタイプすべてのGag1に関してウイルス25−50コピー)。他のHIV−1標的領域に関して同様の結果が得られ(データ未提示)、本発明の増幅オリゴマーおよび検出プローブを用いて行ったアッセイの大部分で、3つのサブタイプに関して、すべて、少なくとも標的200コピーの検出感度を有した。
実施例3
多重反応中のHIV−1標的配列の検出
この実験では、各々3つのHIV−1標的領域を増幅する、2つの別個の多重反応を用いて、個々の標的領域を増幅して検出可能単位複製配列を産生可能であることを示した。各増幅試験管は、200コピーのHIV−1サブタイプB RNAおよび実質的に実施例1に記載するような増幅試薬を含有した。増幅試験管1は、Gag2、RT1およびRT4領域を増幅するプライマー(配列番号6および配列番号18、配列番号8の3’遮断オリゴマーを含む、配列番号8および配列番号20、並びに配列番号10および配列番号22)を含有した。増幅試験管2は、Gag1、PrtおよびRT3領域を増幅するプライマー(配列番号5および配列番号17、配列番号7および配列番号19、並びに配列番号9および配列番号21)を含有した。これらのプライマー各々の反応あたりの量は、以下のとおりであった:試験管1において、各4pmolの配列番号6、配列番号10、配列番号18および配列番号22、2.4pmolの配列番号8、12pmolの配列番号20および9.6pmolの3’遮断配列番号8;そして試験管2において、1pmolの配列番号5、4pmolの配列番号17、4.5pmolの配列番号7、各5pmolの配列番号9および配列番号19、並びに9.85pmolの配列番号21。反応各組に関して、5つの個別の試験管を調製し、そして増幅した。増幅反応は、実質的に実施例1に記載したように行い、そしてその後、反応の半量(すなわち標的HIV−1 RNA100コピーから産生される単位複製配列と同等なもの)を検出工程に用いた。
検出は、実質的に先に記載されるような(米国特許第5,658,737号、第25欄、27−46行;Nelsonら, 1996, Biochem. 35:8429−8438の8432)均質検出アッセイを用い、AE標識プローブを用いて行い、そして化学発光は、較正した発光測定装置(LEADER(登録商標)HC450、Gen−Probe Incorporated、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて、各増幅反応に関して、そして各プローブに関して、RLUとして検出した。用いた標識プローブ(0.1pmol/反応)は:Gag1を検出する配列番号24、Gag2を検出する配列番号69、Prtを検出する配列番号26、RT1を検出する配列番号70、RT3を検出する配列番号28、およびRT4を検出する配列番号29であった。検出用のプローブの比活性を最適化するため、プローブ試薬は、一般的に、プローブオリゴマー各々に関して、標識および未標識プローブの混合物であった。
各条件に関して5つの反応の平均として報告する、これらの試験の結果は、表4に示す(陰性対照は示さない)。これらの結果は、3つの標的配列すべてが、多重反応各々で増幅され、増幅された配列に特異的な、対応するプローブによって特異的に検出される単位複製配列を生じたことを示す。
表4:標識プローブハイブリダイゼーションによって検出された、多重増幅反応産物(RLU)
Figure 2012105648
他の実験において、上で試験したのと同一の多重の組み合わせで、異なる比率の増幅オリゴマーを用いて、同様の増幅結果を提供した。例えば、別の多重の組み合わせは、反応試験管1あたり、以下の量のプライマーを用いた:各4pmolの配列番号6、配列番号10、および配列番号22、3pmolの配列番号18、2.4pmolの配列番号8、各9.6pmolの配列番号20および3’遮断配列番号8.
実施例4
臨床試料からのHIV−1標的配列の検出
本実施例は、症状によって、感染が薬剤耐性になったことが示される(薬剤治療中のウイルスリバウンド)HIV−1患者から採取した生物学的試料に存在するHIV−1標的配列の検出を記載する。多重増幅反応を用いて、検出のための単一反応試験管において、多数の標的から増幅された核酸を産生する。該方法は、DNAプローブのアレイにハイブリダイズした、増幅された産物を検出して、Gag、プロテアーゼおよびRT領域中のHIV−1薬剤耐性に共通して関連する残基のアミノ酸情報を提供した。
ウイルス負荷の増加を経験している、薬剤併用治療中の3人のHIV陽性患者から血漿を収集した。患者1および2は、どちらも、1種類の薬剤併用(d4T、3TCおよびネルフィナビルTM)で治療され、そしてそれぞれ6,130および10,000コピー/mlのウイルス負荷を有し;患者3は、別の薬剤併用(アバカビルTM、エファビレンツTMおよびネルフィナビルTM)で治療され、そして10,000コピー/mlのウイルス負荷を有した。各患者から、0.5mlの血漿を2つの別個の試験管に分配し、そして0.5mlの溶解緩衝液(0.4M HEPES、pH7.6、0.35M LiOH、0.22M LLS)と混合し、そして60℃で20分間インキュベーションした。混合に添加した3つの捕捉オリゴヌクレオチド(各3.5pmol/試験の配列番号30および配列番号32、並びに10pmol/試験の配列番号31)および磁気粒子上に固定したdT14オリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることによって、他の試料構成要素から遊離したウイルスRNAを精製し;混合物を55−60℃で15−20分間、そしてその後、18−25℃で10−15分間インキュベーションした。磁場を用いて磁気粒子をペレット化し、そして未結合試料構成要素を吸引し;結合したHIV−1 RNAを含む磁気粒子を2回洗浄した(1.5mlの洗浄緩衝液)。洗浄した粒子を75μlの増幅緩衝液(50mM HEPES、pH7.5、MgCl、KCl、グリセロール、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、ATP、CTP、GTP、UTPおよび増幅オリゴヌクレオチド)に懸濁した。各標的領域用の増幅オリゴヌクレオチドは:Gag1用の配列番号33および配列番号17;Gag2用の配列番号34および配列番号60;プロテアーゼ用の配列番号41および配列番号19;RT1用の配列番号41および配列番号20;RT3用の配列番号9および配列番号21;並びにRT4用の配列番号10および配列番号22であった。増幅反応試験管1は、Gag1、プロテアーゼおよびRT3標的を増幅するプライマーを含有し;そして増幅反応試験管2は、Gag2、RT1およびRT4標的を増幅するプライマーを含有した。増幅反応混合物は、60℃で10分間インキュベーションし、そしてその後、各々約3000Uの逆転写酵素およびT7 RNAポリメラーゼを添加し(25μl中、8mM HEPES、pH7.5、170mM Tris、70mM KCl、0.01%フェノールレッド、10%TRITON(登録商標)X−100、0.08%TRITON(登録商標)X−102、20%グリセロール、0.04mM EDTA、50mM N−アセチルL−システイン、0.04mM 酢酸亜鉛、0.08%トレハロース)、そして混合物を42℃で1時間インキュベーションした。
増幅反応を各患者に関してプールし(試験管1および2各々から50μl)、そして先に記載された方法を用いて、増幅された産物を標識した(PCT第WO99/65926号および第PCT/IB99/02073号)。簡潔には、増幅産物を標識試薬と混合し(150μlの総体積中、60mM MnCl、6mMイミダゾール、2mMブロモフルオレセインの最終濃度)、そして60℃で30分間インキュベーションし、そしてその後、15μlの0.5M EDTAを添加した。標準的カラムクロマトグラフィー(QIAVACTM、Qiagen、SA、Courtaboeuf、フランス)を用いて標識核酸を精製し、そして100μl体積中で溶出し、これを400μlのハイブリダイゼーション緩衝液(0.06M HEPES、pH7.5、0.9M NaCl、3Mベタイン、5mM DTAB、500μg/mlサケ精子DNA、0.06%消泡剤、5x10−4nmol/試験の対照オリゴヌクレオチド)と混合した。混合物を固定DNAプローブのアレイと35℃で30分間インキュベーションした(流体状態のDNA−ChipTM(DNA−ChipTM in a Fluidic Station)、Affymetrix, Inc.、カリフォルニア州サンタクララ;Lipshutzら, BioFeature 3:442−447(1995);米国特許第5,744,305号)。未結合材料をアレイから2回洗い流し(HEPES、NaCl、TRITON(登録商標)X−102溶液を用いる)、そしてアレイ上のハイブリダイゼーション結果を検出して、患者試料に問題のHIV−1配列が存在するかどうかを決定した(Lipshutzら, BioFeature 3:442−447(1995);PCT第WO95/11995号)。この系は、薬剤耐性と関連する180の突然変異を含む、1005の多型HIV−1 gagおよびpol配列を検出可能である(フランス政府機関Nationale de la Recherche sur le SIDAに決定された薬剤耐性コドン)。検出工程には、アレイ上の各プローブ部位に関して、蛍光強度を測定し(Affymetrix共焦点レーザー読み取り装置を用いる)、そしてアルゴリズム(Affymetrix GeneChipソフトウェア)を用いて、最も強いシグナルに対応する塩基を決定し、これを用いて、該コドンに関して存在する可能性があるアミノ酸(類)を決定した。3人の患者試料各々に関して、この方法を用いて得た、選択した位の予測されるアミノ酸を、RTコドンに関して表5に、そしてプロテアーゼコドンに関して表6に、一文字アミノ酸暗号を用いて示す(「チップ」列)。比較のため、各患者試料のHIV−1配列を独立に決定し(米国特許第5,795,722号に記載されるようなRT−PCR後の標準的配列決定法を用いて)、そしてハイブリダイゼーション解析によって決定されるものに対応するコドン各々に関して予測されるアミノ酸を表に示す(「配列」列)。報告される位各々で、第一列(「WTおよび位」)に、野生型(非薬剤耐性)アミノ酸を示し;「nd」は、未測定を意味する。
これらの結果は、DNAプローブにハイブリダイズした、増幅されたHIV−1配列が、薬剤耐性と関連するアミノ酸に影響を与える突然変異(太字で示す突然変異)に関する情報を提供し、そしてハイブリダイゼーション結果が、135の解析したコドンの配列決定によって決定した予測されるアミノ酸と、概して一致する(98.5%)ことを示す。2つの場合で、プローブハイブリダイゼーションが突然変異配列を検出する一方、DNA配列決定が野生型および突然変異配列の混合を検出した。しかし、突然変異体の検出は、診断のため、臨床的に重要である。
表5:3人の患者由来の増幅されたHIV−1 RNAから予測されるRTコドン
Figure 2012105648
表6:3人の患者由来の増幅されたHIV−1 RNAから予測されるプロテアーゼコドン
Figure 2012105648
他の実験において、以下の組み合わせの増幅オリゴマーを用い、HIV−1標的配列の増幅を同様に行って、検出可能産物を産生した:Gag1に関して(配列番号33および配列番号59)、Gag2に関して(配列番号36および配列番号60)、Prtに関して(配列番号37または配列番号38および配列番号19、配列番号61または配列番号62)、RT1に関して(配列番号39または配列番号40および配列番号20、配列番号63、配列番号64または配列番号65)、RT3に関して(配列番号42または配列番号43および配列番号66)、およびRT4に関して(配列番号44または配列番号45および配列番号67または配列番号68)。
実施例5
PCR増幅および増幅されたHIV−1プロテアーゼおよびRT1標的配列の検出
本実施例では、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用いて、HIV−1標的配列(PrtおよびRT1)を増幅し、そして増幅された配列をその後、標準的DNA配列決定と比較して、先の実施例に記載するようなDNAチップ解析を用いることによって、検出した。ウイルスRNAは、92BR020単離体(米国国立衛生研究所、メリーランド州ベセスダから)の組織培養上清から、標準的RNA精製法(QIAMPTMウイルスRNAミニキット、Qiagen、SA、Courtaboeuf、フランス)を用いて精製して、5x10コピー/mlを含有する溶出液を産生した。RT−PCRは、標準法(ACCESSTM RT−PCRキット、Promega、ウィスコンシン州マディソン)を用い、別個の試験管中で行うPrtおよびRT1標的配列の増幅に関して、先の実施例に記載するプライマー(Prtに関して、配列番号37および配列番号19;RT1に関して、配列番号41および配列番号20)を用いて行った。増幅後、1.5%アガロースゲルを通過させ、エチジウムブロミド染色した電気泳動を用い、標準分子サイズマーカーと比較して結果をチェックした。期待されるサイズを持つ増幅された核酸のバンドは、RT1に関して、5コピー/mlの標的を含有する試験管で、そしてプロテアーゼに関して、500コピー/mlの標的を含有する試験管で見られた。
増幅後、標準的DNA配列決定法を用いて、各試験管由来のアリコットを配列決定した。チップ上のDNAプローブアレイへのハイブリダイゼーションのため、標準法でT7 RNAポリメラーゼを用いた転写(AMBION MEGASCRIPTTM T7キット、Clinisciences、フランス・モンルージュ)に、増幅された材料10μlをテンプレートとして用いた。転写後、実質的に先の実施例に記載するように、8μlのRNA産物をブロモフルオレセインで標識した。先の実施例に記載するように示した、PrtおよびRT1増幅配列の多様な位に関して予測されるアミノ酸結果を表7に示す。
これらの結果は、別の増幅法(RT−PCR)を用いることによって、増幅オリゴマーが単位複製配列を産生可能であり、そして産物、または増幅産物から産生される転写物が、プローブアレイへのハイブリダイゼーションによって、そして配列決定によって、突然変異に該当する配列情報を提供することを示す。結果は、解析した45のコドンに関して、概して一致した(91.1%)。
表7:プロテアーゼおよびRT1の増幅された配列から予測されるアミノ酸
Figure 2012105648

Claims (8)

  1. 生物学的試料において、薬剤耐性に関連する突然変異を含むかもしれないHIV−1遺伝子を検出する方法であって:
    HIV−1核酸を含有する生物学的試料を提供し;
    gag遺伝子内に含有されるGag1と呼ばれる1つのHIV−1標的配列を特異的に増幅する、2つの増幅オリゴマー;pol遺伝子内に含有されるPrtと呼ばれる1つのHIV−1標的配列を特異的に増幅する、2つの増幅オリゴマー;およびpol遺伝子内に含有されるRT3と呼ばれる1つのHIV−1標的配列を特異的に増幅する2つの増幅オリゴマーと、試料とを混合し、
    ここで前記Gag1標的配列に特異的な前記2つの増幅オリゴマーは、配列番号5および配列番号17の組み合わせ;ならびに配列番号33および配列番号17の組み合わせからなる群より選択され、
    ここで前記Prt標的配列に特異的な前記2つの増幅オリゴマーは、配列番号7および配列番号19;ならびに配列番号41および配列番号19の組み合わせからなる群より選択され、
    そしてここで前記RT3標的配列に特異的な前記2つの増幅オリゴマーは、配列番号9および配列番号21であり;
    Gag1、Prt、およびRT3標的配列を多重増幅反応中で増幅して、Gag1、Prt、およびRT3標的配列の増幅産物を産生し;そして
    Gag1、Prt、およびRT3標的配列から産生された増幅産物に相補的なプローブ配列を用いて、Gag1、Prt、およびRT3標的配列の増幅産物の存在を検出する
    工程を含んでなる、前記方法。
  2. 増幅工程が、実質的に等温条件下で行う転写仲介増幅法を用いる、請求項1の方法。
  3. 検出工程が:
    前記Gag1標的配列の増幅産物にハイブリダイズする、配列番号23;
    HIV−1サブタイプAからの前記Gag1標的配列の増幅産物にハイブリダイズする、配列番号24;および
    前記Gag1標的配列の増幅産物にハイブリダイズする配列番号23およびHIV−1サブタイプAからの前記Gag1標的配列の増幅産物にハイブリダイズする配列番号24の混合物
    からなる群より選択される標識オリゴヌクレオチドであるプローブを用いる、請求項1または2の方法。
  4. 検出工程が、前記増幅されたGag1遺伝子標的配列の一部と特異的にハイブリダイズする核酸プローブアレイへの、前記Gag1遺伝子標的配列の増幅産物のハイブリダイゼーションを検出する、請求項1または2の方法。
  5. HIV−1核酸を含有する試料と、HIV−1核酸に特異的にハイブリダイズする、少なくとも1つの捕捉オリゴヌクレオチドとを接触させ、こうしてHIV−1核酸が含まれるハイブリダイゼーション複合体を形成し、そして他の試料構成要素から該ハイブリダイゼーション複合体を分離する工程をさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項の方法において、前記Gag1標的塩基配列の増幅産物を検出するための標識オリゴヌクレオチドであって、
    前記Gag1標的配列の増幅産物を検出するための、配列番号23;
    HIV−1サブタイプAからの前記Gag1標的配列の増幅産物を検出するための、配列番号24
    からなる群より選択される、標識オリゴヌクレオチド。
  7. 標識が、均質検出系で検出可能な発光シグナルを生じる化合物である、請求項6に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  8. 請求項6または7に記載のオリゴヌクレオチドであって、前記核酸主鎖が1以上の2’−メトキシ連結、ペプチド核酸連結、ホスホロチオエート連結、メチルホスホネート連結またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、オリゴヌクレオチド。
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