JP2012097872A - Retainer for bearing - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、相手部材との間で生じる発熱及び摩耗を低減させると共に、トルク損失を低減させることを可能にする軸受用保持器に関する。 The present invention relates to a bearing retainer that can reduce heat generation and wear generated with a mating member and reduce torque loss.
従来、例えば自動車のオートマチックトランスミッション(AT)やトルクコンバータをはじめ部材相互が相対回転する部分には、各種の軸受が適用されている。その一例として、例えば特許文献1には、主にアキシアル荷重(或いは、アキシアル荷重及びラジアル荷重の双方の荷重)を支えて回転するスラストころ軸受が開示されている。
2. Description of the Related Art Conventionally, various bearings have been applied to portions where members rotate relative to each other such as an automatic transmission (AT) of an automobile and a torque converter. As an example, for example,
特許文献1のスラストころ軸受において、保持器には、相手部材(例えば、内外輪)と摺接する部分に、例えばダイヤモンドライクカーボン被膜材又はセラミック系被膜材によるコーティングが施されている。これにより、当該保持器と相手部材との間で生じる発熱及び摩耗等の低減が図られている。
In the thrust roller bearing of
ところで、上記した特許文献1の軸受を含めた各種の軸受では、軸受回転中にトルク損失が生ずることが知られている。ここで、トルク損失を引き起こす要因の割合としては、保持器と転動体との転がり抵抗が60%、保持器と潤滑剤との攪拌抵抗が20%、保持器と相手部材(例えば、内外輪)との摩擦抵抗が20%程度と考えられている。
By the way, in various bearings including the bearing of the above-mentioned
そこで、耐摩耗性及び耐摺動性を維持・向上させると共に、上記したトルク損失の割合を軽減することを可能にする軸受用保持器の開発が要望されている。具体的には、保持器に対して表面硬化処理を施すことで、保持器と転動体との転がり抵抗、並びに、保持器と相手部材(例えば、内外輪)との摩擦抵抗を軽減し、これら各抵抗によるトルク損失を引き起こす要因の割合(合計:80%)を軽減することが要望されている。この場合、表面硬化処理では、耐摩耗性及び耐摺動性を維持・向上させつつ、低コスト化を図ることも要望されている。 Therefore, there is a demand for the development of a bearing cage that can maintain and improve the wear resistance and sliding resistance and can reduce the above-mentioned ratio of torque loss. Specifically, by subjecting the cage to surface hardening treatment, the rolling resistance between the cage and the rolling element and the frictional resistance between the cage and the counterpart member (for example, inner and outer rings) are reduced. It is desired to reduce the ratio of factors causing torque loss due to each resistance (total: 80%). In this case, in the surface hardening treatment, there is a demand for cost reduction while maintaining and improving wear resistance and sliding resistance.
本発明は、このような要望に応えるためになされており、その目的は、耐摩耗性及び耐摺動性を維持・向上させると共に、トルク損失の割合を低減させることを可能にする低コストの軸受用保持器を提供することにある。 The present invention has been made to meet such demands, and its purpose is to maintain and improve wear resistance and sliding resistance, and to reduce the rate of torque loss. The object is to provide a bearing cage.
このような目的を達成するために、本発明は、相手部材に沿って配列された複数の転動体を1つずつ回転可能に保持する複数のポケットを有し、これら各転動体と共に相手部材に沿って公転する軸受用保持器であって、当該保持器には、その表面全体のうち、少なくとも相手部材及び各転動体に対向する部位に表面硬化処理が施されており、表面硬化処理において、保持器の該当部位には、スズ或いはスズを含有する金属材料をコーティングして、厚さ1〜20μmの範囲の被膜が形成されている。
本発明において、上記した軸受用保持器は、スラスト軸受或いはラジアル軸受に適用され、複数の転動体を回転可能に保持する。
In order to achieve such an object, the present invention has a plurality of pockets for rotatably holding a plurality of rolling elements arranged along the mating member one by one, and the mating member is attached to each of the rolling elements. A bearing cage that revolves along the surface, and the cage has been subjected to a surface hardening treatment at least in a portion facing the counterpart member and each rolling element of the entire surface. The corresponding part of the cage is coated with tin or a metal material containing tin to form a film having a thickness in the range of 1 to 20 μm.
In the present invention, the bearing cage described above is applied to a thrust bearing or a radial bearing, and holds a plurality of rolling elements in a rotatable manner.
本発明によれば、耐摩耗性及び耐摺動性を維持・向上させると共に、トルク損失の割合を低減させることを可能にする低コストの軸受用保持器を実現することができる。 ADVANTAGE OF THE INVENTION According to this invention, while maintaining and improving abrasion resistance and sliding resistance, the low-cost bearing retainer which makes it possible to reduce the ratio of torque loss is realizable.
以下、本発明の一実施形態に係る軸受用保持器について説明する。
本実施形態では、相手部材に沿って配列された複数の転動体を1つずつ回転可能に保持する複数のポケットを有し、これら各転動体と共に相手部材に沿って公転する軸受用保持器を想定する。ここで、軸受用保持器は、スラスト軸受或いはラジアル軸受に適用され、複数の転動体を回転可能に保持する。この場合、転動体としては、ころ又は玉を適用することができるが、ここでは一例として、ころを適用したスラストころ軸受用保持器を想定する。
Hereinafter, a bearing cage according to an embodiment of the present invention will be described.
In the present embodiment, a bearing retainer that has a plurality of pockets that rotatably hold a plurality of rolling elements arranged along the mating member one by one, and revolves along the mating member together with the rolling elements. Suppose. Here, the bearing cage is applied to a thrust bearing or a radial bearing, and holds a plurality of rolling elements in a rotatable manner. In this case, a roller or a ball can be applied as the rolling element, but here, as an example, a thrust roller bearing retainer to which the roller is applied is assumed.
また、スラストころ軸受用保持器の仕様の一例としては、図1(a)に示すように、相対回転可能に対向配置された中空円環状の一対のレース2,4(軌道盤ともいう)相互間に当該保持器6を組み込む第1仕様形態と、図1(b)に示すように、例えば自動車のオートマチックトランスミッション(AT)などに設けられた各種の回転部材8に当該保持器6を直接組み込む第2仕様形態とを想定することができる。
As an example of the specifications of the thrust roller bearing cage, as shown in FIG. 1 (a), a pair of hollow
ここで、図1(a)の第1仕様形態において、相手部材としては一対のレース2,4となり、一方、図1(b)の第2仕様形態において、相手部材としては回転部材8となるが、以下では、第1仕様形態に係る一対のレース2,4相互間に組み込まれたスラストころ軸受用保持器6について説明する。
Here, in the 1st specification form of Drawing 1 (a), it becomes a pair of
この場合、第2仕様形態に係るスラストころ軸受用保持器6(図1(b))は、第1仕様形態に係るスラストころ軸受用保持器6(図1(a))と同様の構成を有しているため、後述する第1仕様形態に係るスラストころ軸受用保持器6の各構成に付された参照符号を、第2仕様形態に係るスラストころ軸受用保持器6の各構成に付すことにより、当該第2仕様形態に係るスラストころ軸受用保持器6についての説明は省略する。 In this case, the thrust roller bearing retainer 6 (FIG. 1B) according to the second specification form has the same configuration as the thrust roller bearing retainer 6 according to the first specification form (FIG. 1A). Therefore, the reference numerals given to the respective configurations of the thrust roller bearing retainer 6 according to the first specification form described later are given to the respective configurations of the thrust roller bearing retainer 6 according to the second specification form. Thus, the description of the thrust roller bearing cage 6 according to the second specification form is omitted.
図1(a)及び図2(a)〜(c)に示すように、第1仕様形態に係るスラストころ軸受用保持器6は、一対のレース2,4相互間に構成された中空円環状の軸受内部空間に沿って配列された複数の転動体(ころ)10を1つずつ回転可能に保持しながら、これら各転動体(ころ)10と共に軸受内部空間に沿って公転する。なお、図面では一例として、一対のレース2,4において、図中向って左側のレースを内側レース(内側軌道盤)2と称し、一方、図中向って右側のレースを外側レース(外側軌道盤)4と称する。
As shown in FIG. 1 (a) and FIGS. 2 (a) to (c), a thrust roller bearing retainer 6 according to a first specification form is a hollow ring formed between a pair of
転動体10としての「ころ」は、例えば、その直径が小さく、長さが直径の3〜10倍という細長いものを適用する。また、保持器6としては、複数の転動体(ころ)10を軸受内部空間に沿って1つずつ回転可能に保持できるものであれば、その種類(形状、形式など)は問わないが、ここでは一例として、径寸法の異なる断面L字状の第1及び第2中空円環部材6a,6bを2つ用意し、これら中空円環部材6a,6bを互いに被せ合わせて一体化させた保持器6を適用する。
As the “roller” as the
ここで、第1中空円環部材6aは、中空円板状の第1円環部本体60と、第1円環部本体60の径方向両側から当該第1円環部本体60に対して垂直方向に立ち上げられ、かつ互いに平行に対向して周方向に沿って連続した一対の第1フランジ部60fとを備えて構成されている。また、第1円環部本体60には、矩形状に開口された複数の第1ポケット構成部60pが周方向に沿って所定間隔(例えば、等間隔)で形成されている。
Here, the first
一方、第2中空円環部材6bは、中空円板状の第2円環部本体62と、第2円環部本体62の径方向両側から当該第2円環部本体62に対して垂直方向に立ち上げられ、かつ互いに平行に対向して周方向に沿って連続した一対の第2フランジ部62fとを備えて構成されている。また、第2円環部本体62には、矩形状に開口された複数の第2ポケット構成部62pが周方向に沿って所定間隔(例えば、等間隔)で形成されている。なお、第1ポケット構成部60pの数と第2ポケット構成部62pの数とは、互いに同一に設定されている。
On the other hand, the second
この場合、第1中空円環部材6aの一対の第1フランジ部60fと、第2中空円環部材6bの一対の第2フランジ部62fとを相互に重ね合わせ、かつ第1ポケット構成部60pと第2ポケット構成部62pとを互いに正対(対向)させることで、第1及び第2ポケット構成部60p,62p相互間に1つのポケット6pが構成される。これにより、当該保持器6には、周方向に沿って所定間隔(例えば、等間隔)で複数のポケット6pが構成され、各転動体(ころ)10は、各ポケット6pに1つずつ回転可能に保持される。
In this case, the pair of
なお、図面では一例として、第1及び第2中空円環部材6a,6bを互いに被せ合わせて一体化させた保持器6において、一対の第1フランジ部60fが一対の第2フランジ部62fの外側に配置構成される場合を示したが、これとは逆に、一対の第1フランジ部60fが一対の第2フランジ部62fの内側に配置構成されるようにしてもよい。以下、一対の第1フランジ部60fが一対の第2フランジ部62fの外側に配置構成された保持器6が、一対のレース2,4相互間(内側レース2と外側レース4との間)に組み込まれている場合を想定して説明を続ける。
In the drawing, as an example, in the cage 6 in which the first and second
まず、内側レース2は、中空円板状の内側レース本体部2aと、内側レース本体部2aの内周縁から連続し、軸受内部空間(保持器6)を覆うように外側レース4に向けて延出した内側リップ部2bとを有している。内側レース本体部2aには、特に参照符号は付さないが、その内周面(外側レース4に対向する対向面)に、周方向に沿って連続した内側軌道面(複数の転動体(ころ)10が転動する面)が形成されている。また、内側リップ部2bの延出端には、その一部を軸受内部空間(保持器6)に向けて折り曲げて一体成形された内側係止片2tが周方向に沿って所定間隔で設けられている。
First, the
一方、外側レース4は、中空円板状の外側レース本体部4aと、外側レース本体部4aの外周縁から連続し、軸受内部空間(保持器6)を覆うように内側レース2に向けて延出した外側リップ部4bとを有している。外側レース本体部4aには、特に参照符号は付さないが、その内周面(内側レース2に対向する対向面)に、周方向に沿って連続した外側軌道面(複数の転動体(ころ)10が転動する面)が形成されている。また、外側リップ部4bの延出端には、その一部を軸受内部空間(保持器6)に向けて折り曲げて一体成形された外側係止片4tが周方向に沿って所定間隔で設けられている。
On the other hand, the
このようなスラストころ軸受(スラストニードル軸受ともいう)では、内側レース2と外側レース4との間に転動体(ころ)10を保持器6で保持しつつ組み立てた状態において、上記した内側係止片2t及び外側係止片4tが、保持器6に一部係合する(具体的には、保持器6を両側から抱きかかえるように係合する)ことにより、その軸受構成(内側レース2、外側レース4、保持器6、各転動体(ころ)10)は、互いに分離すること無く一体化し、組み立てた状態(非分離状態、バレ止めされた状態)に維持される。
In such a thrust roller bearing (also referred to as a thrust needle bearing), in the state where the rolling elements (rollers) 10 are held between the
そして、スラストころ軸受を相対回転する部材(図示しない)相互間に組み込んだ状態において、保持器6で保持された複数の転動体(ころ)10は、内側レース2と外側レース4との間に沿って接触しつつ回転可能となる。この状態で、双方の部材が相対回転し、これに伴って内側レース2と外側レース4とが相対回転すると、複数の転動体(ころ)10が、内側レース2と外側レース4との間に沿って転動することで、保持器6は、各転動体(ころ)10と共に相手部材(即ち、一対のレース2,4)に沿って公転する。
In a state where the thrust roller bearings are assembled between members (not shown) that relatively rotate, the plurality of rolling elements (rollers) 10 held by the cage 6 are interposed between the
ところで、第1仕様形態に係る保持器6には、上記したような当該保持器6の公転中において、その耐摩耗性及び耐摺動性を維持・向上させると共に、トルク損失の割合を低減させるための技術思想が施されている。即ち、当該保持器6には、その表面全体のうち、少なくとも相手部材(一対のレース2,4)及び各転動体(ころ)10に対向する部位に表面硬化処理が施されている。
By the way, the cage 6 according to the first specification form maintains and improves its wear resistance and sliding resistance during the revolution of the cage 6 as described above, and reduces the ratio of torque loss. The technical idea for it is given. That is, the retainer 6 is subjected to a surface hardening treatment on at least a portion of the entire surface facing the counterpart member (the pair of
保持器6が、相手部材(一対のレース2,4)及び各転動体(ころ)10に対向する部位としては、例えば、内側レース2の内側レース本体部2aに対向する第1中空円環部材6a(第1円環部本体60)の外表面60s、内側レース2の内側リップ部2bに対向する第1中空円環部材6a(一方の第1フランジ部60f)の内径面60r、外側レース4の外側レース本体部4aに対向する第2中空円環部材6b(第2円環部本体62)の外表面62s、外側レース4の外側リップ部4bに対向する第1中空円環部材6a(他方の第1フランジ部60f)の外径面60t、及び、各転動体(ころ)10を1つずつ回転可能に保持する各ポケット6pを構成する第1及び第2ポケット構成部60p,62pの矩形状の開口面60h,62hなどを想定することができる。
As a part where the cage 6 faces the mating member (a pair of
表面硬化処理において、保持器6の該当部位には、スズ(Sn)或いはスズを含有する金属材料をコーティングして、厚さ1〜20μmの範囲の被膜が形成されている。なお、被膜の形成方法としては、例えばメッキ、塗装など既存の方法を適用することができる。要するに、厚さ1〜20μmの範囲の被膜を形成することができる方法であればよい。なお、スズを含有する金属材料において、当該スズの含有量は、当該保持器6の使用環境や使用目的に応じて設定されるため、ここでは特に限定しない。要するに、その耐摩耗性及び耐摺動性を維持・向上させると共に、トルク損失の割合を低減させることができる程度のスズが含有されていればよい。 In the surface hardening process, the corresponding part of the cage 6 is coated with tin (Sn) or a metal material containing tin to form a film having a thickness in the range of 1 to 20 μm. In addition, as a formation method of a film, the existing methods, such as plating and coating, can be applied, for example. In short, any method that can form a film having a thickness in the range of 1 to 20 μm may be used. In addition, in the metal material containing tin, since content of the said tin is set according to the use environment and the intended purpose of the said holder | retainer 6, it does not specifically limit here. In short, it is sufficient that tin is contained to such an extent that the wear resistance and sliding resistance can be maintained and improved and the ratio of torque loss can be reduced.
この場合、保持器6(第1及び第2中空円環部材6a,6b)の表面全体に、上記したような表面硬化処理を施してもよい。なお、第2仕様形態に係るスラストころ軸受用保持器6(図1(b))では、相手部材(回転部材8)及び各転動体(ころ)10に対向する部位として、例えば、回転部材8に対向する第2中空円環部材6b(第2円環部本体62)の外表面62s、回転部材8に対向する第1中空円環部材6a(他方の第1フランジ部60f)の外径面60t、及び、各転動体(ころ)10を1つずつ回転可能に保持する各ポケット6pを構成する第1及び第2ポケット構成部60p,62pの矩形状の開口面60h,62hなどを想定することができる。
In this case, the entire surface of the cage 6 (first and second
ここで、第1仕様形態に係る保持器6を適用したスラストころ軸受において、当該保持器6(第1及び第2中空円環部材6a,6b)の表面全体、又は、上記した該当部位に、例えばスズ(Sn)をコーティングした場合における動トルク値、並びに、スズ被膜の状態変化の測定を行った。かかる測定では、2種類のスラストころ軸受を各複数用意し、当該各軸受に対する荷重を700N(ニュートン)、特殊な摩擦調整剤などを含んだ特殊な潤滑油(ATFオイル)を80℃に維持しつつ1分間に50mL(ミリリットル)の割合[50mL/min]で軸受内に充填しながら、当該軸受(レース2,4相互)の回転数を1分間に1000〜9000回転[rpm]までに変化させた際の測定結果を得た。
Here, in the thrust roller bearing to which the cage 6 according to the first specification form is applied, the entire surface of the cage 6 (first and second
2種類のスラストころ軸受(第1及び第2の軸受)において、第1の軸受としては、軸受外径を75mm、軸受内径を58mm、軸受幅を4.6mmとし、直径が3mmで長さが3.6mmの転動体(ころ)10をレース2,4相互間に47本組み込んで、これら各転動体(ころ)10を第1仕様形態に係る保持器6で保持したものを5つ((1)−1〜5)用意した。一方、第2の軸受としては、軸受外径を75mm、軸受内径を58mm、軸受幅を4.6mmとし、直径2mmで長さ3.6mmの転動体(ころ)10をレース2,4相互間に34本組み込んで、これら各転動体(ころ)10を第1仕様形態に係る保持器6で保持したものを5つ((2)−1〜5)用意した。
In the two types of thrust roller bearings (first and second bearings), the first bearing has a bearing outer diameter of 75 mm, a bearing inner diameter of 58 mm, a bearing width of 4.6 mm, a diameter of 3 mm, and a length. 47 rolling elements (rollers) 10 of 3.6 mm are incorporated between the
そして、これら第1及び第2の軸受を実施形態((1)−1〜3、(2)−1〜3)と、比較形態((1)−4,5、(2)−4,5)とに分け、比較形態においては、保持器6にスズ被膜をコーティングしないもの((1)−4、(2)−4)と、厚さ30μmのスズ被膜をコーティングしたもの((1)−5、(2)−5)とした。また、実施形態においては、保持器6に厚さ1〜20μmの範囲でスズ被膜をコーティングした(下記の表1参照)。なお、表1には一例として、実施形態((1)−1〜3)では、スズ被膜の厚さを2,5,10μmに設定した場合、また、実施形態((2)−1〜3)では、スズ被膜の厚さを1,5,20μmに設定した場合が示されている。 And these 1st and 2nd bearings are compared with embodiment ((1) -1-3, (2) -1-3) and comparative form ((1) -4,5, (2) -4,5). In the comparative embodiment, the cage 6 is not coated with a tin film ((1) -4, (2) -4) and the tin film with a thickness of 30 μm is coated ((1)- 5, (2) -5). In the embodiment, the cage 6 was coated with a tin film in a thickness range of 1 to 20 μm (see Table 1 below). As an example in Table 1, in the embodiment ((1) -1 to 3), when the thickness of the tin coating is set to 2, 5, 10 μm, the embodiment ((2) -1 to 3) ) Shows the case where the thickness of the tin coating is set to 1,5,20 μm.
以上、本実施形態に係る測定結果によれば、保持器6の表面全体、又は、上記した該当部位にスズ(Sn)をコーティングした場合における軸受の動トルク値[N・m]を、スズ被膜が無い場合における軸受の動トルク値[N・m]に比べて大幅に低減させることができることが確認された。この場合、スズ被膜の厚さを1〜20μmの範囲に設定することで、厚さ30μmのスズ被膜をコーティングしたものよりも、その動トルク値を大幅に低減させることができることが確認された。 As described above, according to the measurement result according to the present embodiment, the dynamic torque value [N · m] of the bearing when tin (Sn) is coated on the entire surface of the cage 6 or the above-described corresponding portion is represented by the tin coating. It was confirmed that the dynamic torque value [N · m] of the bearing can be significantly reduced in the absence of the torque. In this case, it was confirmed that the dynamic torque value can be significantly reduced by setting the thickness of the tin coating in the range of 1 to 20 μm as compared with the case where the tin coating with a thickness of 30 μm is coated.
図3には一例として、厚さ2μmでスズ(Sn)をコーティングした保持器6を適用した軸受((1)−1)と、厚さ5μmでスズ(Sn)をコーティングした保持器6を適用した軸受((2)−2)と、スズ被膜が無い保持器6を適用した軸受((1)−4、(2)−4)とにおいて、その回転数と動トルク値との関係が示されている。 In FIG. 3, as an example, a bearing ((1) -1) to which a cage 6 coated with tin (Sn) with a thickness of 2 μm is applied and a cage 6 coated with tin (Sn) with a thickness of 5 μm are applied. The relationship between the rotational speed and the dynamic torque value is shown in the bearing ((2) -2) and the bearing ((1) -4, (2) -4) to which the cage 6 without the tin coating is applied. Has been.
これによれば、軸受回転数2000[rpm]時において、スズ被膜有り軸受((1)−1、(2)−2)の動トルク値は、0.05〜0.07[N・m]の範囲となり、スズ被膜無し軸受((1)−4、(2)−4)の動トルク値0.10〜0.15[N・m]に比べて大幅に低くなっている。これにより、上記した表1の測定結果が裏付けられることとなる。 According to this, the dynamic torque value of the bearing with the tin coating ((1) -1, (2) -2) is 0.05 to 0.07 [N · m] at a bearing rotational speed of 2000 [rpm]. This range is significantly lower than the dynamic torque values of 0.10 to 0.15 [N · m] of the bearings without tin coating ((1) -4, (2) -4). This confirms the measurement results in Table 1 above.
これにより、上記したような表面硬化処理を保持器6に施すことで、従来一般的に用いられている表面硬化材(例えば、ダイヤモンドライクカーボン被膜材、セラミック系被膜材)と同様に、その耐摩耗性及び耐摺動性を維持・向上させることができ、その結果、当該保持器6と相手部材(一対のレース2,4)との間で生じる発熱及び摩耗等の低減を図ることができる。
As a result, the surface hardening treatment as described above is performed on the cage 6, so that the same resistance as that of a conventionally used surface hardening material (for example, diamond-like carbon coating material, ceramic coating material) is obtained. Abrasion and sliding resistance can be maintained and improved. As a result, it is possible to reduce heat generation and wear generated between the cage 6 and the mating member (the pair of
更に、上記したような表面硬化処理を保持器6に施すことで、保持器6と複数の転動体(ころ)10との転がり抵抗、並びに、保持器6と相手部材(一対のレース2,4、回転部材8)との摩擦抵抗を軽減し、これら各抵抗によるトルク損失の割合を大幅に軽減することができる。
Furthermore, by subjecting the cage 6 to the surface hardening treatment as described above, the rolling resistance between the cage 6 and the plurality of rolling elements (rollers) 10, and the cage 6 and the mating member (a pair of
具体的に説明すると、トルク損失を引き起こす要因の割合としては、保持器6と複数の転動体(ころ)10との転がり抵抗が60%、保持器6と潤滑剤との攪拌抵抗が20%、保持器6と相手部材(一対のレース2,4、回転部材8)との摩擦抵抗が20%程度と考えられているが、上記したような表面硬化処理を保持器6に施すことで、少なくとも、転がり抵抗(60%)と摩擦抵抗(20%)との合計80%に亘るトルク損失の割合を軽減することができる。
Specifically, the ratio of the factor causing torque loss is 60% rolling resistance between the cage 6 and the plurality of rolling elements (rollers) 10, 20% stirring resistance between the cage 6 and the lubricant, The frictional resistance between the cage 6 and the mating member (the pair of
また、上記したような表面硬化処理では、従来一般的に用いられている表面硬化材(例えば、ダイヤモンドライクカーボン被膜材、セラミック系被膜材)に比べて、低価格なスズ(Sn)或いはスズを含有する金属材料を用いることができるため、低コストで軸受用保持器6を実現することができる。 Further, in the surface hardening treatment as described above, tin (Sn) or tin which is less expensive than a surface hardening material (for example, a diamond-like carbon coating material or a ceramic coating material) generally used conventionally is used. Since the metal material to be contained can be used, the bearing cage 6 can be realized at a low cost.
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、以下の変形例に係る技術思想も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記した実施形態では、スラストころ軸受用保持器6を想定して説明したが、これに代えて、ラジアル軸受用保持器に対して、上記したような表面硬化処理を施しても同様の作用効果を実現することができる。この場合、転動体としては、ころ又は玉を適用することが可能であり、当該転動体の種類に応じた保持器が構成される。
In addition, this invention is not limited to above-described embodiment, The technical thought concerning the following modifications is also contained in the technical scope of this invention.
For example, in the above-described embodiment, the thrust roller bearing retainer 6 has been described. However, instead of this, the radial bearing retainer may be subjected to the same surface hardening treatment as described above. An effect can be realized. In this case, a roller or a ball can be applied as the rolling element, and a cage corresponding to the type of the rolling element is configured.
また、上記した実施形態では、第1及び第2中空円環部材6a,6bを互いに被せ合わせて一体化させた保持器6を想定したが、これに限定されることはなく、例えば第1中空円環部材6a又は第2中空円環部材6bのいずれか一方から成る1枚保持器6とし、当該保持器6に対して、上記したような表面硬化処理を施しても同様の作用効果を実現することができる。
In the above-described embodiment, the cage 6 in which the first and second hollow
2,4 レース(相手部材)
6 保持器
6p ポケット
8 回転部材(相手部材)
10 転動体(ころ)
2,4 race (partner)
6
10 Rolling elements (rollers)
Claims (2)
当該保持器には、その表面全体のうち、少なくとも相手部材及び各転動体に対向する部位に表面硬化処理が施されており、
表面硬化処理において、保持器の該当部位には、スズ或いはスズを含有する金属材料をコーティングして、厚さ1〜20μmの範囲の被膜が形成されていることを特徴とする軸受用保持器。 A bearing retainer that has a plurality of pockets for rotatably holding a plurality of rolling elements arranged along a mating member one by one, and revolves along the mating member together with each of the rolling elements,
The retainer is subjected to a surface hardening treatment on at least a portion facing the counterpart member and each rolling element, of the entire surface,
In the surface hardening treatment, a bearing cage is characterized in that tin or a metal material containing tin is coated on a corresponding portion of the cage to form a film having a thickness in the range of 1 to 20 μm.
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