JP2012092256A - シリコンインゴットスライス用含水切削液 - Google Patents
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Abstract
【課題】 シリコン等のインゴットの切削工程において、シリコンウエハ表面のシリコンと反応して被膜膜を形成するため、切削部分の温度が高くても優れた潤滑性を維持できるシリコンインゴットスライス用含水切削液を提供する。
【解決手段】 水混和性溶媒(A)、シリコンと反応する反応被膜型潤滑剤(B)、および水(W)を必須成分として含有することを特徴とするシリコンインゴットスライス用含水切削液であり、該反応被膜型潤滑剤(B)の含有量は、使用時の水混和性溶媒(A)と水(W)の合計量に対して0.01〜10重量%が好ましく、該反応被膜型潤滑剤(B)としてはシランカップリング剤が好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 水混和性溶媒(A)、シリコンと反応する反応被膜型潤滑剤(B)、および水(W)を必須成分として含有することを特徴とするシリコンインゴットスライス用含水切削液であり、該反応被膜型潤滑剤(B)の含有量は、使用時の水混和性溶媒(A)と水(W)の合計量に対して0.01〜10重量%が好ましく、該反応被膜型潤滑剤(B)としてはシランカップリング剤が好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、シリコンインゴットを切削するときに使用する含水切削液に関する。
さらに詳しくは、シリコン表面と反応性が高い潤滑剤を含有するために、切削部分の温度が極度に高くても潤滑性に優れる含水切削液に関する。
さらに詳しくは、シリコン表面と反応性が高い潤滑剤を含有するために、切削部分の温度が極度に高くても潤滑性に優れる含水切削液に関する。
ワイヤーソーを用いて、シリコンインゴットの切削加工を行なう際に、従来からの切削液を使用した場合、シリコンインゴットが硬質であることや切削液の潤滑性が不足するため、ウエハの表面精度が不十分である。
従来、切削液の潤滑性を改良するために、物理吸着型の潤滑添加剤を配合した切削液が開発されている(例えば特許文献1)。
しかし、切削加工時間の短縮をした場合、ワイヤーとシリコン間の接触加工負荷は大きくなり、切削面は非常に高い温度となる。この場合、物理吸着型の潤滑添加剤では、切削面の潤滑性を維持できない場合がある。
従来、切削液の潤滑性を改良するために、物理吸着型の潤滑添加剤を配合した切削液が開発されている(例えば特許文献1)。
しかし、切削加工時間の短縮をした場合、ワイヤーとシリコン間の接触加工負荷は大きくなり、切削面は非常に高い温度となる。この場合、物理吸着型の潤滑添加剤では、切削面の潤滑性を維持できない場合がある。
一方で、シリコン以外の金属の切削には、チオカルバメート類や硫化エステル類などの含硫黄系極圧添加剤を配合した潤滑性に優れる切削液が使用されており、切削面が極度に高い温度になっても潤滑性を損なわない(例えば特許文献2)。
しかし、これらの含硫黄系極圧添加剤はシリコンとの反応性が低いために、鉄や銅などの金属を切削加工する場合に限られる。
しかし、これらの含硫黄系極圧添加剤はシリコンとの反応性が低いために、鉄や銅などの金属を切削加工する場合に限られる。
そこで、本発明は、切削時の接触部分に大きな荷重負荷がかかり、その結果温度が高くなっても潤滑性に優れる含水切削液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、水混和性溶媒(A)、シリコンと反応する反応被膜型潤滑剤(B)、および水(W)を必須成分として含有することを特徴とするシリコンインゴットスライス用含水切削液;このシリコンインゴットスライス用含水切削液を用いてシリコンインゴットをスライスして製造されたシリコンウエハ;並びにこのシリコンウエハを用いて製造された電子材料である。
すなわち、本発明は、水混和性溶媒(A)、シリコンと反応する反応被膜型潤滑剤(B)、および水(W)を必須成分として含有することを特徴とするシリコンインゴットスライス用含水切削液;このシリコンインゴットスライス用含水切削液を用いてシリコンインゴットをスライスして製造されたシリコンウエハ;並びにこのシリコンウエハを用いて製造された電子材料である。
本発明の含水切削液は、シリコンウエハ表面のシリコンと反応して被膜膜を形成するため、切削部分の温度が高くても優れた潤滑性を維持できる効果を奏する。
本発明のシリコンインゴットスライス用含水切削液は、水混和性溶媒(A)、シリコンと反応する反応被膜型潤滑剤(B)、および水(W)を必須成分として含有する。
水混和性溶媒(A)は、任意の割合で水に溶解する溶媒であれば特に差しつかえなく、例えばメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられ、作業性の観点からプロピレングリコールが好ましい。
水混和性溶媒は1種類でもよく、2種類以上の混合物であってもよい。
水混和性溶媒(A)は、任意の割合で水に溶解する溶媒であれば特に差しつかえなく、例えばメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられ、作業性の観点からプロピレングリコールが好ましい。
水混和性溶媒は1種類でもよく、2種類以上の混合物であってもよい。
水混和性溶媒(A)の使用時の含有量は、含水切削液の重量に基づいて、通常20〜90重量%、好ましくは30〜80重量%である。
シリコンと反応する反応被膜型潤滑剤(B)としては、シランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤は、下記一般式で表される。
一般式 YnSiX4−n
式中、nは0〜3の整数である。Yは、炭素数1〜25の炭化水素基、及び炭素数1〜25の炭化水素基と置換基から構成される有機官能基である。
該置換基としては、エステル基、エーテル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基、カルボニル基、アミド基、メルカプト基、スルホニル基、スルフェニル基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、ハロゲン原子、及び水酸基が挙げられる。
Xは加水分解性基及び/又は水酸基であり、該加水分解基としてはアルコキシ基、アルケニルオキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基及びアミド基が挙げられる。n個のY又は(4−n)個のXは、それぞれ同種でも異種でもよい。
シランカップリング剤は、下記一般式で表される。
一般式 YnSiX4−n
式中、nは0〜3の整数である。Yは、炭素数1〜25の炭化水素基、及び炭素数1〜25の炭化水素基と置換基から構成される有機官能基である。
該置換基としては、エステル基、エーテル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基、カルボニル基、アミド基、メルカプト基、スルホニル基、スルフェニル基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、ハロゲン原子、及び水酸基が挙げられる。
Xは加水分解性基及び/又は水酸基であり、該加水分解基としてはアルコキシ基、アルケニルオキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基及びアミド基が挙げられる。n個のY又は(4−n)個のXは、それぞれ同種でも異種でもよい。
上記において炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、ナフチル基、シクロアルキル基等が挙げられる。
本発明で好ましく用いられるシランカップリング剤は、Yがアルキル基であり、Xがアルコキシ基を有するシラン系カップリング剤である。
具体的なシラン系カップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、トリエトキシメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン及びトリブチルシラノールが挙げられ、ヘキシルトリメトキシシラン及びトリブチルシラノールが特に好ましい。
本発明で好ましく用いられるシランカップリング剤は、Yがアルキル基であり、Xがアルコキシ基を有するシラン系カップリング剤である。
具体的なシラン系カップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、トリエトキシメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン及びトリブチルシラノールが挙げられ、ヘキシルトリメトキシシラン及びトリブチルシラノールが特に好ましい。
該反応被膜型潤滑剤(B)の含有量は、使用時の水混和性溶媒(A)と水(W)の合計量に対して0.01〜10重量%が好ましい。
本発明の含水切削液の必須成分である水の含有量は、粘度の観点から、含水切削液の重量に基づいて、通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%である。
本発明の含水切削液は、さらに、その他の潤滑剤添加剤(C)を含有してもよい。その他の潤滑剤添加剤(C)としては、カルボン酸類が挙げられる。具体的には、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オレイン酸及び亜鉛ジブチルジチオカルバメートが挙げられ、好ましくはアゼライン酸、セバシン酸である。
(C)の含有量は、含水切削液の重量に基づいて、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%である。
(C)の含有量は、含水切削液の重量に基づいて、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%である。
本発明の含水切削液のpHは、シリコンとの反応性の観点から通常5.0〜9.0であり、好ましくは5.0〜8.0である。
本発明の含水切削液の粘度は、作業性の観点から通常5〜50mPa・sであり、好ましくは5〜40mPa・sである。
本発明の含水切削液は、ワイヤーソーによりシリコンインゴットをスライス加工する際に好適に使用できる。
シリコンインゴットをスライス加工する方法として、遊離砥粒及び固定砥粒ワイヤーを用いる方法が挙げられる。本発明の含水切削液はどちらの方法でも使用できるが、固定砥粒ワイヤーを用いたシリコンインゴットのスライジング加工に特に適している。
本発明の含水切削液を用いてシリコンインゴットをスライスして製造されたシリコンウエハを用いて製造される電子材料としては、例えばメモリー素子、発振素子、増幅素子、トランジスタ、ダイオード、CCD
、太陽電池、IC、LSI等が挙げられる。
、太陽電池、IC、LSI等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
実施例1〜4及び比較例1〜3
表1記載の配合比(重量部)で各成分を配合し、実施例1、2及び比較例1、2の含水切削液を調製した。
表1記載の配合比(重量部)で各成分を配合し、実施例1、2及び比較例1、2の含水切削液を調製した。
なお、表中の水はイオン交換水を用いた。
得られた含水切削液について、下記の潤滑性の評価試験を行った。結果を表1に示す。
<潤滑性試験>
摩擦係数はピン(ボール)・オン・ディスクタイプの摩擦磨耗試験機(レスカ製、FRP−2000)を使用し、含水切削液20gに浸したシリコンウエハと鋼球間の摩擦係数を測定して潤滑性を評価した。
シリコンウエハ;40mm×40mm
荷重;1000g
線速度;5.23cm/s
測定温度;25℃
摩擦係数はピン(ボール)・オン・ディスクタイプの摩擦磨耗試験機(レスカ製、FRP−2000)を使用し、含水切削液20gに浸したシリコンウエハと鋼球間の摩擦係数を測定して潤滑性を評価した。
シリコンウエハ;40mm×40mm
荷重;1000g
線速度;5.23cm/s
測定温度;25℃
通常、シリコンインゴッドのスライスは高荷重下で行われるため、ウエハの摩擦係数は0.40以下が要望され、摩擦係数が高いと潤滑性が不足するため、ウエハの表面精度が不十分になる。
表1で明らかなように、シランカップリング剤を潤滑性分として用いた実施例1、2の本発明の含水切削液はいずれも摩擦係数が小さく、潤滑性に優れている。
一方、物理吸着型の潤滑添加剤を用いた比較例1の含水切削液と、含硫黄系極圧添加剤を用いた比較例2の含水切削液は、高荷重下では摩擦係数が高く、潤滑性が不十分である。
一方、物理吸着型の潤滑添加剤を用いた比較例1の含水切削液と、含硫黄系極圧添加剤を用いた比較例2の含水切削液は、高荷重下では摩擦係数が高く、潤滑性が不十分である。
本発明の含水切削液はシリコンインゴットの切削工程において、シリコンウエハ表面のシリコンと反応して被膜膜を形成するため、従来品と比較して、切削部分の温度が高くても優れた潤滑性を維持できるシリコンインゴットスライス用含水切削液として有用である。
Claims (6)
- 水混和性溶媒(A)、シリコンと反応する反応被膜型潤滑剤(B)、および水(W)を必須成分として含有することを特徴とするシリコンインゴットスライス用含水切削液。
- 該反応被膜型潤滑剤(B)の含有量が、使用時の水混和性溶媒(A)と水(W)の合計量に対して0.01〜10重量%である請求項1記載のシリコンインゴットスライス用含水切削液。
- 該反応被膜型潤滑剤(B)がシランカップリング剤である請求項1または2記載のシリコンインゴットスライス用含水切削液。
- 請求項1〜3のいずれか記載のシリコンインゴットスライス用含水切削液を用いて固定砥粒によりシリコンインゴットを切断する工程を含むシリコンインゴットをスライスする製造方法。
- 請求項1〜3いずれか記載のシリコンインゴットスライス用含水切削液を用いてシリコンインゴットをスライスして製造されたシリコンウエハ。
- 請求項5に記載のシリコンウエハを用いて製造された電子材料。
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---|---|---|---|
JP2010241979A JP2012092256A (ja) | 2010-10-28 | 2010-10-28 | シリコンインゴットスライス用含水切削液 |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
US9803156B2 (en) | 2012-12-06 | 2017-10-31 | Dow Global Technologies Llc | Aqueous cutting fluid composition |
-
2010
- 2010-10-28 JP JP2010241979A patent/JP2012092256A/ja not_active Withdrawn
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