JP2012088178A - 微粒子形状分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】気体中を浮遊する煤微粒子の形状情報を選択的に分析する。また、煤微粒子の吸収断面積を分析する。
【解決手段】光通路1を通過する直線偏光の光にエアロゾルを含む気体を導入する。第1白熱光検出部3は、第1の方向に進む白熱光のS偏光とP偏光とをそれぞれ測定する。第2白熱光検出部4は、第2の方向に進む白熱光のS偏光とP偏光とをそれぞれ測定する。解析部7は、第1白熱光検出部3で検出したS偏光及びP偏光の検出値と、第2白熱光検出部4で検出したS偏光及びP偏光の検出値とを用いて、エアロゾルについての吸収断面積を算出する処理を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば煤などの微粒子の形状を分析するための技術に関するものである。
煤粒子は、化石燃料やバイオマスの燃焼に伴なって発生する。この煤粒子は、太陽放射を効率的に吸収して大気を加熱する。近年の気候変動の研究に依れば、煤粒子は、CO2に次ぐ二番目に大きな正の放射強制力をもたらしている温暖化原因物質と認識されている。煤粒子の光吸収効率は、その形状に大きく依存するため、大気中における煤粒子の形状の理解は重要な課題とされている。
従来、微粒子の形状の測定法としては、電子顕微鏡写真を解析する手法が用いられている。この方法では、エアロゾル(気体中に含まれる微粒子)を、このエアロゾルを含む気体と共にフィルターに衝突させ、これによって取得した微粒子サンプルを電子顕微鏡写真で解析することによって、微粒子形状を測定する。しかしながら、この方法では、所定時間あたりに測定できる粒子の数が非常に少ない(つまり時間分解能が低い)ことや、測定に要する労力の問題がある。このため、この方法では、微粒子形状について統計的に有意なデータを得ることは困難であった。
統計的に有意なデータを得るためには、実時間型の分析法が必要である。実時間型で個々の微粒子の形状を測定するための従来法としては、エアロゾルに照射した光の散乱を利用した手法(下記特許文献1及び非特許文献1)しか存在しない。しかし、この原理は、計測信号から粒子成分を同定することができないため、成分と形状の対応関係を知ることができない。したがって、様々な成分の微粒子が混在している大気中で、煤粒子の形状を分析することは、この方法では困難である。
特開2008−232969号公報
Sachweh et al., J. Aerosol. Sci., 30, 1257-1270, 1999 Tsang, Radio Sci., 19, 966-974, 1984 Moteki et al., J. Aerosol. Sci., 40, 790-801, 2009 Stephens et al., Appl. Opt., 42, 3726-3736, 2003
本発明は、前記の状況に鑑みてなされたものである。本発明は、煤に高選択的に検出感度がある手法を用いて、個々の煤粒子の形状についての実時間測定を行うことを目的としている。
前記した課題を解決する手段は、以下の項目のように記載できる。
(項目1)
光通路と、導入部と、第1白熱光検出部と、第2白熱光検出部と、解析部とを備えており、
前記光通路は、直線偏光の光を通過させる構成となっており、
前記導入部は、前記光通路を通過する前記光に、測定対象であるエアロゾルを含む気体を導入する構成となっており、
前記第1白熱光検出部は、前記光が前記エアロゾルに照射されたことによって生じる白熱光のうち、第1の方向に進む光のS偏光とP偏光とをそれぞれ測定する構成となっており、
前記第2白熱光検出部は、前記光が前記エアロゾルに照射されたことによって生じる白熱光のうち、第2の方向に進む光のS偏光とP偏光とをそれぞれ測定する構成となっており、
前記解析部は、前記第1白熱光検出部で検出したS偏光及びP偏光の検出値と、前記第2白熱光検出部で検出したS偏光及びP偏光の検出値とを用いて、前記エアロゾルについての吸収断面積を算出する処理を行う構成となっている
ことを特徴とする微粒子形状分析装置。
煤(金属微粒子を含む)は、強い光を照射することにより高温に加熱され、白熱光を発する。空間に固定された粒子から放出される白熱光のある特定の方位への放出強度とその偏光状態は、本発明者等の知見によれば、その方位から観測した粒子の吸収断面積と、その吸収断面積の偏光状態依存性に対応する。この白熱光の偏光状態を少なくとも二つの方位において検出することにより、各方位、各偏光成分についての吸収断面積の算出が可能になる。一般に、吸収断面積は、その方向から見た粒子の射影面積で支配的に決まり、吸収断面積の偏光依存性は射影面積についての各偏光方向での長さの比で支配的に決まる。したがって白熱光の放出強度の方位依存性、偏光状態依存性は形状情報を備えている。また、煤以外の微粒子は、一般に、白熱光を放出しないので、白熱光を用いることによって、煤の形状情報を選択的に取り出すことができる。
(項目2)
前記解析部で算出される吸収断面積は、前記S偏光及び前記P偏光に対応した成分をそれぞれ含んでいる
項目1に記載の微粒子形状分析装置。
白熱光の偏光状態を用いて、前記S偏光及び前記P偏光に対応した吸収断面積の成分をそれぞれ算出することができる。
(項目3)
前記第1白熱光検出部は、S偏光を検出する第1S偏光検出部と、P偏光を検出する第1P偏光検出部とを備えており、
前記第2白熱光検出部は、S偏光を検出する第2S偏光検出部と、P偏光を検出する第2P偏光検出部とを備えている
項目1又は2に記載の微粒子形状分析装置。
(項目4)
前記第1の方向と前記第2の方向とは直交している
項目1〜3のいずれか1項に記載の微粒子形状分析装置。
第1の方向と第2の方向とが直交することにより、各方向の情報の独立性が増す。このため、形状情報の抽出可能性を高める事が可能となる。
本発明によれば、個々の煤粒子の形状の実時間測定を行うことが可能になる。
本発明の一実施形態における微粒子形状分析装置の概略的な構成を示す説明図である。 本実施形態の微粒子形状分析装置を用いて微粒子形状の分析を行うための手順を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の微粒子形状分析装置の動作を説明する前提となる座標系を説明するための説明図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る微粒子形状分析装置について説明する。
(本実施形態の構成)
本実施形態の微粒子形状分析装置は、図1に概略的に示されるように、光通路1と、導入部2と、第1白熱光検出部3と、第2白熱光検出部4と、第1散乱光検出部5と、第2散乱光検出部6と、解析部7とを備えている。
光通路1は、直線偏光の光を通過させる構成となっている。この実施形態では、光通路1は、Nd:YVO4レーザを用いた光源(図示せず)から発生した、直線偏光のレーザビームを通過させるための閉鎖空間となっている。
導入部2は、光通路1を通過する光に、測定対象である微粒子を含む気体を導入する構成となっている。導入部2は、本実施形態では、光通路1の内部に微粒子を搬送するためのノズルを用いて構成することができる。また、本実施形態の導入部2は、なるべく単一の微粒子が光通路1を順次通過するように、導入部2の内部における気体通路の直径を絞ることが好ましい。ここで、図1においては、紙面と平行な方向に気体通路を延長しているが、紙面と直交する方向に延長することが好ましい。これは、白熱光及び散乱光の光路と導入部2との干渉を避けるためである。
第1白熱光検出部3は、レーザ光がエアロゾルに照射されたことによって生じる白熱光のうち、第1の方向に進む光のS偏光とP偏光とをそれぞれ測定する構成となっている。
具体的には、この実施形態の第1白熱光検出部3は、第1ロングパスフィルタ31と、第1広帯域偏光ビームスプリッタ32と、第1S偏光検出部33と、第1P偏光検出部34とを備えている。
第1ロングパスフィルタ31は、この実施形態では、波長420nm以上の光を通過させるものとなっている。つまり、このフィルタ31は、広い波長範囲を持つ白熱光を通過させることができるものとなっている。
第1広帯域偏光ビームスプリッタ32は、この実施形態では、420〜680nmの波長を持つ光を、S偏光成分とP偏光成分とに分離する構成となっている。このような偏光ビームスプリッタとしては、既存のものを使用できるので、これについての詳しい説明は省略する。
第1S偏光検出部33は、偏光ビームスプリッタ32で反射されたS偏光を検出する構成となっている。
第1P偏光検出部34は、偏光ビームスプリッタ32を通過したP偏光を検出する構成となっている。
第1S偏光検出部33及び第1P偏光検出部34としては、広い波長範囲の光を検出できる光電子増倍管(PMT)が用いられている。
また、第1白熱光検出部3における光路上には、光束の大きさを適宜に変更するためのレンズが配置されている。
第2白熱光検出部4は、レーザ光がエアロゾルに照射されたことによって生じる白熱光のうち、第2の方向に進む光のS偏光とP偏光とをそれぞれ測定する構成となっている。ここで、この実施形態においては、この第2の方向は、前記した第1の方向とは直交している。第1の方向と第2の方向とが直交することは必須ではないが、直交に近いほうが、2方向から見た粒子の射影面積の違いが顕著になるので、微粒子形状の測定精度の向上が期待できる。
第2白熱光検出部4は、白熱光を取得する方位においては異なるものの、基本的な構成については、前記した第1白熱光検出部3と同様となっている。すなわち、この実施形態の第2白熱光検出部4は、第2ロングパスフィルタ41と、第2広帯域偏光ビームスプリッタ42と、第2S偏光検出部43と、第2P偏光検出部44とを備えている。また、第2白熱光検出部4における第2ロングパスフィルタ41は、波長420nm以上の光を通過させるものとなっている。第2広帯域偏光ビームスプリッタ42は、420〜680nmの波長を持つ光を、S偏光成分とP偏光成分とに分離する構成となっている。第2S偏光検出部43は、偏光ビームスプリッタ42で反射されたS偏光を検出する構成となっている。第2P偏光検出部44は、偏光ビームスプリッタ42を通過したP偏光を検出する構成となっている。また、第2白熱光検出部4における光路上には、光束の大きさを適宜に変更するためのレンズが配置されている。
第1散乱光検出部5は、レーザ光がエアロゾルに照射されたことによって生じる散乱光のうち、第1の方向に進む光のS偏光とP偏光とをそれぞれ測定する構成となっている。なお、散乱光における第1の方向は、白熱光における前記した第1の方向と同じであってもよいが、一般的には、異なる方向となっている。
具体的には、この実施形態の第1散乱光検出部5は、第1バンドパスフィルタ51と、第1狭帯域偏光ビームスプリッタ52と、散乱光用の第1S偏光検出部53と、散乱光用の第1P偏光検出部54とを備えている。
第1バンドパスフィルタ51は、この実施形態では、照射されるレーザ光と同じ1064nmの波長の光を通過させるものとなっている。つまり、このフィルタ51は、微粒子で反射した散乱光を通過させることができるものとなっている。
第1狭帯域偏光ビームスプリッタ52は、この実施形態では、照射されるレーザ光と同じ1064nmの波長の光を、S偏光成分とP偏光成分とに分離する構成となっている。このような偏光ビームスプリッタとしては、既存のものを使用できるので、これについての詳しい説明は省略する。
散乱光用の第1S偏光検出部53は、偏光ビームスプリッタ52で反射されたS偏光を検出する構成となっている。
散乱光用の第1P偏光検出部54は、偏光ビームスプリッタ52を通過したP偏光を検出する構成となっている。
散乱光用の第1S偏光検出部53及び第1P偏光検出部54としては、この実施形態では、散乱光の波長に対して高い感度を持つアバランシェフォトダイオード(APD)が用いられている。
また、第1散乱光検出部5における光路上には、光束の大きさを適宜に変更するためのレンズが配置されている。
第2散乱光検出部6は、散乱光を取得する方位においては異なるものの、基本的な構成については、前記した第1散乱光検出部5と同様となっている。すなわち、この実施形態の第2散乱光検出部6は、第2バンドパスフィルタ61と、第2狭帯域偏光ビームスプリッタ62と、散乱光用の第2S偏光検出部63と、散乱光用の第2P偏光検出部64とを備えている。また、第2散乱光検出部6における第2バンドパスフィルタ61は、照射されるレーザ光と同じ波長の光を通過させるものとなっている。第2狭帯域偏光ビームスプリッタ62は、レーザ光と同じ波長を持つ光を、S偏光成分とP偏光成分とに分離する構成となっている。散乱光用の第2S偏光検出部63は、偏光ビームスプリッタ62で反射されたS偏光を検出する構成となっている。散乱光用の第2P偏光検出部64は、偏光ビームスプリッタ62を通過したP偏光を検出する構成となっている。また、第2散乱光検出部6における光路上には、光束の大きさを適宜に変更するためのレンズが配置されている。
解析部7は、第1白熱光検出部3で検出したS偏光及びP偏光の検出値と、第2白熱光検出部4で検出したS偏光及びP偏光の検出値とを用いて、エアロゾルについての吸収断面積を算出する処理を行う構成となっている。
さらに、この実施形態の解析部7は、第1散乱光検出部5で検出したS偏光及びP偏光の検出値と、第2散乱光検出部6で検出したS偏光及びP偏光の検出値とを用いて、エアロゾルについての散乱断面積を算出する処理を行う構成となっている。
解析部7での処理の詳細については後述する。
(第1実施形態の動作)
以下、図2をさらに参照して、本実施形態における微粒子形状分析装置の動作を説明する。
(図2のステップSA−1)
まず、光通路1に、波長1064nmの、直線偏光とされたレーザ光を通過させる。
(図2のステップSA−2)
ついで、導入部2を介して、微粒子を含む気体を、光通路1の内部に導入する。これにより、気体に含まれる微粒子にレーザ光を照射することができる。レーザ光が微粒子に照射されると、微粒子の性質により、2種類の光が発生する。
微粒子が煤(金属微粒子を含む)である場合、高強度のレーザ光が照射されると、微粒子は白熱光を発する。つまり、照射されるレーザ光の波長よりもかなり広い波長帯域を持つ光(例えば420〜680nmの波長帯域を持つ光)を発する(前記非特許文献4)。これは、煤が、光吸収性を持ち、かつ高沸点(例えば4000K以上)だからである。逆に、このような性質を持ち、かつ空気中を浮遊する微粒子は、現実的には煤のみと考えてよい。さらに、この白熱光の偏光状態は、本発明者等の知見によれば、煤微粒子についての形状情報を備えている(なお、前記非特許文献2及び3参照)。この白熱光の偏光状態を少なくとも二つの方位において検出することにより、吸収断面積の算出が可能になる。また、煤以外の微粒子は、一般に、白熱光を放出しないので、白熱光を用いることによって、煤の形状情報を選択的に取り出すことができる。
一方、微粒子の材質に拘わらず、微粒子にレーザ光が照射されると、微粒子によってレーザ光が散乱される。この散乱光の波長は、一般に、照射されたレーザ光と同じである。散乱光の偏光状態を少なくとも二つの方位において検出することにより、微粒子の散乱断面積の算出が可能になる。
(図2のステップSA−3)
微粒子が煤である場合、第1の方向に進む白熱光は、第1ロングパスフィルタ31を通過して、第1広帯域偏光ビームスプリッタ32によって、S偏光成分とP偏光成分とに分離される。ここで、偏光ビームスプリッタ32は、420〜680nmの光を通過させる一方、レーザ光の波長である1064nmの光は通過させないので、散乱光の影響を排除することができる。
白熱光用の第1S偏光検出部33は、白熱光から分離されたS偏光成分の強度を検出する。同様に、白熱光用の第1P偏光検出部34は、白熱光から分離されたP偏光成分の強度を検出する。
同様にして、第2の方向に進む白熱光は、第2ロングパスフィルタ41を通過して、第2広帯域偏光ビームスプリッタ42によって、S偏光成分とP偏光成分とに分離される。白熱光用の第2S偏光検出部43は、白熱光から分離されたS偏光成分の強度を検出する。同様に、白熱光用の第2P偏光検出部44は、白熱光から分離されたP偏光成分の強度を検出する。
(図2のステップSA−4)
ついで、解析部7は、前記のようにして得た、第1の方向及び第2の方向のそれぞれにおける、S偏光成分とP偏光成分の強度値から、微粒子の吸収断面積を算出する。算出手順の詳細は後述する。本実施形態では、解析部7での算出をコンピュータ処理により行うことができるので、実時間での微粒子形状の分析が可能となる。
(図2のステップSA−5)
ついで、解析部7は、算出結果を出力する。出力先としては、プリンタやディスプレイなどの情報提示装置であってもよいし、あるいは、算出結果をさらに処理するための情報処理装置であってもよい。要するに、出力先は、算出結果を利用可能にするものであればよい。
(図2のステップSA−6)
微粒子での散乱により発生した散乱光のうち、第1の方向に進む散乱光は、第1バンドパスフィルタ51を通過して、第1狭帯域偏光ビームスプリッタ52によって、S偏光成分とP偏光成分とに分離される。ここで、偏光ビームスプリッタ52は、レーザ光の波長である1064nm付近の光のみを通過させるので、散乱光以外の光(つまり外乱)の影響を排除することができる。
散乱光用の第1S偏光検出部53は、散乱光から分離されたS偏光成分の強度を検出する。同様に、散乱光用の第1P偏光検出部54は、散乱光から分離されたP偏光成分の強度を検出する。
同様にして、第2の方向に進む散乱光は、第2バンドパスフィルタ61を通過して、第2狭帯域偏光ビームスプリッタ62によって、S偏光成分とP偏光成分とに分離される。散乱光用の第2S偏光検出部63は、散乱光から分離されたS偏光成分の強度を検出する。同様に、散乱光用の第2P偏光検出部64は、散乱光から分離されたP偏光成分の強度を検出する。
(図2のステップSA−7)
ついで、解析部7は、前記のようにして得た、第1の方向及び第2の方向のそれぞれにおける、S偏光成分とP偏光成分の強度値から、微粒子の散乱断面積を算出する。散乱断面積の算出は、例えば前記した非特許文献1の手法を利用することで実施可能である。解析部7により、微粒子の散乱断面積の算出も、実時間で行うことができる。
(図2のステップSA−8)
ついで、解析部7は、ステップSA−5と同様に算出結果を出力する。このステップSA−8は、ステップSA−5と独立している必要は無く、同時に行われてもよい。
(吸収断面積及び散乱断面積の算出)
ここで、解析部7において実行される、吸収断面積及び散乱断面積の算出について詳しく説明する。
(微小楕円体モデル)
まず、説明の前提として、微小楕円体モデルを説明する。微粒子形状の測定は、微粒子が微小楕円体に近似できるという前提で行われる。
波長に比べて十分小さい楕円体粒子(つまり微小楕円体)について、吸収断面積Cabsと、観測されるS及びP偏光の信号強度との理論的関係を説明する。微分散乱断面積dCsca/dΩとS及びP偏光の信号強度との関係についても合わせて述べる。
モデルとして微小楕円体粒子を用いるのは、粒子の微物理特性(つまり屈折率、形状、3次元方位)と吸収断面積、散乱断面積の間に陽的関係が存在する(おそらく)唯一の非球形モデルだからである。
モデルを構築するうえで、座標系を図3のように定義する。この図において、入射光(つまり、微粒子に照射されるレーザ光)は、±z方向に進行する定在波で、あり、電場はx方向に直線偏光となっている。また、散乱及び白熱についての集光光学系の4つの光軸はy-z平面内に含まれる。エアロゾルの進行方向は−x方向となっている。
微小楕円体粒子では、双極子近似が成り立つため、吸収散乱断面積は分極率テンソルで記述できる。x,y,z軸を主軸にとり、各主方向の分極率がα1 0, α2 0, α3 0の楕円体の分極率テンソルは、下記(1)式で表される。
Figure 2012088178
分極率テンソルの成分は、その楕円体の屈折率と主方向の半径a,b,cとから計算できる。実際の計測では、楕円体は任意に回転しているので、その主軸方向は(xyz)方向から(x'y'z')へとずれている。オイラー角(α,β,γ)で成分表示した回転行列を
Figure 2012088178
とすると、回転後の分極率テンソルは
Figure 2012088178
となる。成分表示では、
Figure 2012088178
である。任意の回転後の配向における微小楕円体の吸収・散乱断面積はこの分極率テンソルの成分で陽的に記述できる。
(吸収断面積の算出)
吸収断面積Cabsと白熱信号強度STEの関係は
Figure 2012088178
と表すことができる。(5)式において[ ]内の添字は、いずれか一方という意味を示す。つまり、[1,2]は、第1又は第2の方向を意味し、[θ,φ]は、S又はP偏光成分を意味する。
式(5)に示すように、白熱信号強度は吸収断面積に比例する。比例定数Scalibは校正実験(キャリブレーション)で決定できる。キャリブレーションには、球形粒子を用いる。具体的には、例えばAlfa Aesar社の球形ガラス状炭素粒子を用いてキャリブレーションを行うことができる。
前記した(1)式の左辺における吸収断面積のθ、φ偏光成分(つまりS、P偏光成分)は、分極率テンソルの成分(4)を用いて、
Figure 2012088178
と表すことができる。
ただし行列Rは(xyz)座標系から(rθφ)座標系への変換行列であり、
Figure 2012088178
で定義される。ここで例えば式(6)におけるR2jは、行列Rにおける2行j列成分を示す。ここで、吸収断面積における方位[1,2]への依存性は、式(9)のθ及びφの値で決定される。
具体的には、第1の方向に進んだ白熱光のS偏光成分は、図3の座標系における単位ベクトルeθに平行であり、P偏光成分は、単位ベクトルeφに平行である。第1の方向に対応するθとφの値を指定すれば、第1の方向における各偏光成分についての吸収断面積を算出できる。同様に、第2の方向に進んだ光のS偏光成分とP偏光成分とを用いて、各偏光成分についての吸収断面積を算出できる。
ここで、吸収断面積はその方向から見た射影面積で支配的に決定されるため、第1の方向と第2の方向が直交していると、多くの形状で射影面積の違いが最大になるため、2方向で観測できる形状に関する情報の独立性を高めることができる。
また、式(6)及び式(7)に示されるように、本実施形態においては、吸収断面積におけるθ方向成分(つまりS偏光成分)とφ方向成分(つまりP偏光成分)とのそれぞれの寄与を、独立して算出することができる。つまり、本実施形態の解析部7で算出される吸収断面積は、S偏光及び前記P偏光に対応した成分をそれぞれ含んでいる。すると例えば、式(6)の値と式(7)の値との比を用いて微粒子の解析を行うことができるという利点がある。
さらに、式(6)及び式(7)に示されるように、この実施形態では、分極率の虚部の値を取り出すことができる。これにより、微粒子形状の特定精度の向上を期すことができる。
さらに、本実施形態では、微粒子に含まれる成分に対して選択的に形状を測定できるという利点もある。すなわち、大気中に存在しかつ白熱光を放出する成分は現実的には煤のみであるため、多成分が混合したサンプルにおいても、煤に対して選択的に形状を測定することができる。
(散乱断面積の算出)
散乱断面積の算出は、前記したとおり、既存の手法を利用可能であるが、以下において概略を述べる。微分散乱断面積dCsca/dΩと散乱信号強度SSCの関係は
Figure 2012088178
で表される。[ ]内の添字はいずれか一方という意味である。[1,2]はいずれかの方位を示し,[θ,φ]はいずれかの偏光成分を示す。
式(10)に示すように、散乱信号強度は微分散乱断面積に比例する。比例定数は校正実験(キャリブレーション)で決定できる。キャリブレーションには、微分散乱断面積が既知のポリスチレンラテックス粒子を用いることができる。
(10)式の左辺における微分断面積のθ、φ偏光成分は、x方向に偏光している入射光については、式(4)に示す分極率テンソルの成分を用いて、
Figure 2012088178
と表すことができる。
ただし
Figure 2012088178
である。
ここでのθ及びφも、前記と同様に、散乱光検出部5及び6で取得したS方向成分及びP方向成分に対応するので、検出したS偏光及びP偏光の値から、各偏光成分についての散乱断面積を算出することができる。
本実施形態の装置は、例えば以下の用途に利用可能である。
・大気環境中の微粒子の物理特性分析
・自動車等の排気ガスから放出される微粒子の物理特性分析
・炎や高温での反応で発生する微粒子の物理特性分析
・宇宙空間に浮遊する微粒子の物理特性分析
なお、本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得るものである。
1 光通路
2 導入部
3 第1白熱光検出部
31 第1ロングパスフィルタ
32 第1広帯域偏光ビームスプリッタ
33 白熱光用の第1S偏光検出部
34 白熱光用の第1P偏光検出部
4 第2白熱光検出部
41 第2ロングパスフィルタ
42 第2広帯域偏光ビームスプリッタ
43 白熱光用の第2S偏光検出部
44 白熱光用の第2P偏光検出部
5 第1散乱光検出部
51 第1バンドパスフィルタ
52 第1狭帯域偏光ビームスプリッタ
53 散乱光用の第1S偏光検出部
54 散乱光用の第1P偏光検出部
6 第2散乱光検出部
61 第2バンドパスフィルタ
62 第2狭帯域偏光ビームスプリッタ
63 散乱光用の第2S偏光検出部
64 散乱光用の第2P偏光検出部
7 解析部

Claims (4)

  1. 光通路と、導入部と、第1白熱光検出部と、第2白熱光検出部と、解析部とを備えており、
    前記光通路は、直線偏光の光を通過させる構成となっており、
    前記導入部は、前記光通路を通過する前記光に、測定対象であるエアロゾルを含む気体を導入する構成となっており、
    前記第1白熱光検出部は、前記光が前記エアロゾルに照射されたことによって生じる白熱光のうち、第1の方向に進む光のS偏光とP偏光とをそれぞれ測定する構成となっており、
    前記第2白熱光検出部は、前記光が前記エアロゾルに照射されたことによって生じる白熱光のうち、第2の方向に進む光のS偏光とP偏光とをそれぞれ測定する構成となっており、
    前記解析部は、前記第1白熱光検出部で検出したS偏光及びP偏光の検出値と、前記第2白熱光検出部で検出したS偏光及びP偏光の検出値とを用いて、前記エアロゾルについての吸収断面積を算出する処理を行う構成となっている
    ことを特徴とする微粒子形状分析装置。
  2. 前記解析部で算出される吸収断面積は、前記S偏光及び前記P偏光に対応した成分をそれぞれ含んでいる
    請求項1に記載の微粒子形状分析装置。
  3. 前記第1白熱光検出部は、S偏光を検出する第1S偏光検出部と、P偏光を検出する第1P偏光検出部とを備えており、
    前記第2白熱光検出部は、S偏光を検出する第2S偏光検出部と、P偏光を検出する第2P偏光検出部とを備えている
    請求項1又は2に記載の微粒子形状分析装置。
  4. 前記第1の方向と前記第2の方向とは直交している
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粒子形状分析装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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