JP2012078201A - 強磁場中顕微鏡観察装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気力場中での結晶成長の観察を可能とし、個別のタンパク、個別の成長条件において常に最短の時間で実験を終了することができようにし、効率的な高品位結晶の生成を可能とする強磁場中顕微鏡観察装置を提供する。
【解決手段】超伝導マグネット1が形成する超強磁場に設置され軸方向の移動操作及び軸回りの回転操作が可能な中空軸11と、中空軸11内に設置されたCCDイメージセンサ、傾斜鏡12、対物レンズ13及び結像レンズ14とを備え、結晶生成容器3の中央部に設けられた透孔内に挿通されて設置され、CCDイメージセンサは、中空軸11の側面に開設された観察窓5を通じて、傾斜鏡12、対物レンズ13及び結像レンズ14を介して、中空軸11の周囲の結晶生成容器3内を観察した画像の画像信号を出力する。
【選択図】図3

Description

本発明は、超強磁場内の磁気無重力環境下で結晶生成を行う結晶生成装置において使用される強磁場中顕微鏡観察装置に関する。
生命現象は、生体を構成し生体内で作用する各種タンパク質の機能と深く関わっている。それぞれのタンパク質の機能はその立体構造にも大きく依存しており、それを知ることは、生命現象の解明のみならず、人体の仕組みを明らかにしたり、病気に対する的確な治療薬を開発する、といった成果につながると期待され、ポストゲノムとして世界中で戦略的に取り組まれている。その場合、対象とするタンパク質の立体構造を1オングストローム台の分解能で精密に(超高分解能で)決定することが可能になれば、その有用度は飛躍的に向上する。
例えば、創薬分野においては、疾患関連タンパク質の立体構造を高精度に決定することによりはじめて立体構造に基づくドラッグデザイン(Structure-based drug design: SBDD)が可能となり、創薬プロセスの大幅な迅速化が期待される。また、有用タンパク質の立体構造に基づいて酵素機能の改変(安定性、反応特異性、反応速度の向上等)を行うことにより、高機能なタンパク質の創製が可能になれば、低コストで、環境に対して低負荷で、高効率、省スペースの工業プロセスを構築することが可能となる。
このようなタンパク質の立体構造解析を行うために現在最も一般的に用いられているのはX線回折法である。X線構造解析ではタンパク質分子を結晶化させることで整列させ、それに対してX線を照射しタンパク質結晶からの回折パターンを観測して分子構造を決定する。このとき良好な解析結果を得るためには結晶の大きさが重要であり、現在の技術では結晶の大きさが0.1mm程度は必要であるとされている。
しかし、多くの重要タンパク質の結晶化は非常に困難であり、たとえ結晶が得られても品質が悪く、構造解析が可能な分解能のX線回折データが取得できない場合が多い。すなわち、結晶化の段階がタンパク質のX線結晶構造解析のボトルネックになっている。
これを解決する一手段として、宇宙の微小重力環境を利用した結晶化が行われ、高分解能のX線回折像を与える(高品位の)タンパク質結晶生成に有効であることが示されてきた。しかし、宇宙実験は実験機会が限られており、多種多様なタンパク質の構造解析への網羅的な適用は難しい。また、実験衛星では、軌道修正時に無重力状態が崩れるため、必ずしも理想的な無重力とはいえない。
近年、図7に示すように、地上において超伝導マグネットを利用した磁気力浮揚により擬似的な微小重力環境を創り出し、その中でタンパク質結晶を生成するアプローチが注目されている。磁気力浮揚を利用した結晶化はわが国を中心に研究され、タンパク質結晶の品位を向上させることも実証されてきた。
また、均一磁気力場発生用超伝導マグネットとして、920MHzNMRマグネットをはじめとする種々の強磁場超伝導マグネットの開発が行われている。
磁気力浮揚による擬似的な微小重力環境中に結晶化プレートを設置し、この結晶化プレートにおいてタンパク質の結晶化を行えば、品質の良い、構造解析が可能な分解能のX線回折データが取得できる結晶が得られるはずである。
J.S.Brooks, et al., J. Appl. Phys. 87 (2000) 6194-6199) 尾崎修、森田裕、藤平潤一、小柳圭、松本真二、木吉司、和田仁、「均一磁気力場発生用NbTi超伝導マグネットの開発」:低温工学36(2002)271.
ところで、磁気力浮揚による擬似的な微小重力環境において、タンパク質結晶を効率よく生成し、また、これを観察する手法が十分に確率されていない。
すなわち、超伝導マグネット内部での結晶成長を確認するために、結晶化プレートを外部に取り出すと、その時点で無重力環境が崩れるので、たとえ観察後にプレートを再び超伝導マグネット内部に戻したとしても、無重力環境で結晶成長させたことにならない。
したがって、実験では、結晶成長時間のバラツキのうちその最大値を目安に超伝導マグネット内部へ滞在させなければならない。
しかし、これは未知のタンパク質開発という目的と本質的に矛盾している。未知のタンパク質では結晶成長時間は不明であるから、明確な根拠のないまま、ほとんどの結晶について意味もなく、徒に長時間を結晶成長のために当てなければならない。
そこで、本発明者らは、超強磁場内の観察装置について開発経験があることを踏まえ、超伝導マグネットが発生する磁気力場中での結晶成長のその場観察を可能とし、個別のタンパク、個別の成長条件において常に最短の時間で実験を終了することができようにして、効率的に高品位結晶を生成することができる結晶生成装置において使用される強磁場中顕微鏡観察装置を提供しようとする。
本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置は、上述の課題を解決するため、以下の構成のいずれか一を有するものである。
〔構成1〕
超強磁場を形成する超伝導マグネットと超伝導マグネットが形成する超強磁場内に設置される結晶生成容器とを有し超強磁場内の磁気無重力環境下で結晶を成長させる結晶生成装置において結晶生成容器内における結晶生成の過程をその場観察するための強磁場中顕微鏡観察装置であって、超強磁場に設置され軸方向の移動操作及び軸回りの回転操作が可能となされた中空軸と、中空軸内に設置されたCCDイメージセンサ、傾斜鏡、対物レンズ及び結像レンズとを備え、結晶生成容器の中央部に設けられた透孔内に挿通されて設置され、CCDイメージセンサは、中空軸の側面に開設された観察窓を通じて、傾斜鏡、対物レンズ及び結像レンズを介して、中空軸の周囲の結晶生成容器内を観察した画像の画像信号を出力することを特徴とするものである。
〔構成2〕
構成1を有する強磁場中顕微鏡観察装置において、対物レンズのみを光軸方向に移動させることによる撮像位置の焦点調整が可能であることを特徴とするものである。
本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置においては、観察機構により結晶生成の過程をその場観察することにより結晶が成長したことを知り、その時点で結晶生成容器を取り出すことにより、作業時間を短縮することができる。
すなわち、この強磁場中顕微鏡観察装置によれば、狭い空間に配置された物体を拡大撮像できる。
この強磁場中顕微鏡観察装置によれば、狭い空間に配置された物体を側方から観察できる。
この強磁場中顕微鏡観察装置によれば、狭い空間に配置された物体を観察するにあたり焦点面を動かすことなく光軸方向の位置決めが可能である。
この強磁場中顕微鏡観察装置によれば、狭い空間に配置された物体を円周方向に回転位置決めして観察できる。
この強磁場中顕微鏡観察装置によれば、狭い空間に配置された物体を観察するにあたり観察位置に影響を及ばさないで焦点調節できる。
この強磁場中顕微鏡観察装置によれば、超強磁場下でも磁場を乱すことなく観察できる。
この強磁場中顕微鏡観察装置によれば、温度制御用空気の流路を確保することができる。
すなわち、本発明によれば、結晶成長をその場観察可能であるから、個別のタンパク、個別の成長条件において常に最短の時間で実験を終了することができ、極めて効率的である。
また、結晶生成容器は複数の個室を有し、これら個室ごとに結晶生成条件を変えられ、また、温度を安定化し、任意の温度で結晶生成を行うことができる。
すなわち、本発明は、超伝導マグネットが発生する磁気力場中で高品位結晶を効率よく生成するための結晶生成装置を提供し、また、生成したタンパク質結晶の効率的な評価を行うことができる結晶生成装置において使用される強磁場中顕微鏡観察装置を提供することができるものである。
本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置の構成を示す模式図である。 均一磁気力発生用超伝導マグネットのコイル配置を示す模式図である。 本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置の構成を示す分解斜視図である。 本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置の構成を示す縦断面図である。 本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置の要部の構成を示す縦断面図である。 本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置の観察機構の構成を示す斜視図である。 超伝導マグネットを利用した磁気力浮揚により擬似的な微小重力環境を創り出す装置の構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置は、高品位タンパク質結晶を高効率で生成する装置であり、プロテオーム研究やドラッグデザイン等に必要不可欠な様々なタンパク質の立体構造と機能を、迅速、かつ、精密(高分解能)に解明することを可能とする。特に、解析困難とされてきたGPCRをはじめとする生活習慣病やガンなどの疾患に関連するタンパク質の精密構造解析に有効であり、医薬品設計に大きく貢献することが期待できる。また、食品・環境分野で有用酵素の機能向上への貢献も期待される。
本発明に係る結晶生成装置は、「タンパク質結晶を高品位化」し、さらに、「タンパク質結晶の生成過程を可視化」することができる装置である。
図1は、本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置の構成を示す模式図である。
本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置は、図1に示すように、「タンパク質結晶の高品位化」のために、均一磁気力場発生用の円環状の超伝導マグネット1を備えている。この超伝導マグネット1の均一磁力空間は、直径が40mm、高さが15mm程度であり、空間内の磁場不均一性は±5%以下である。この超伝導マグネット1が生成する均一磁気力空間においては、純水に対して100%の重力キャンセル(1400T/m程度)が可能である。
また、この結晶生成装置は、「タンパク質結晶生成過程の可視化」のために、観察機構(結晶化過程観察機構)2及び結晶生成容器(結晶化用セル)3を備えている。結晶生成容器3内には、多検体用結晶化プレートが設置されている。観察機構2は、超伝導マグネット1による磁気力場中において、結晶生成過程のin−situ観察が可能な自動結晶観察機構である。この観察機構2は、使用温度範囲が4°C〜30°C程度(精度±0.5°C)で、画像計測技術を利用し、多検体用結晶化プレート上のタンパク質液滴を逐次観察できるものである。多検体用結晶化プレートは、直径が40mm、高さが50mm程度の空間において、複数を多段に積層して設置できる設計となっており、50条件程度の多検体用結晶化プレートである。
(1)タンパク質結晶の高品位化について
宇宙空間における微小重力環境では、溶液の重力対流と結晶の沈降が抑制される。すなわち、高度に静的な溶液環境が作り出され、タンパク質の結晶化は拡散のみによって進行することから、タンパク質分子配向の規則性を最大限に高めることが可能となる。その結果、微小重力場中で得られた結晶は、X線回折能が飛躍的に向上すると考えられる。
タンパク質のような反磁性を示す物質に、重力と逆向きの磁気力が発生するように磁場を印加すると、微小重力環境を得ることができる。磁場の強さHの中で単位質量当りの磁化率χの物質が受ける磁気力Fは、以下のように示される。
F=χH・gradH=(χ/μ)B・gradB(μは物質の透磁率、Bは磁束密度)
ここで、物質に依存しないBとその勾配gradBの積「B・gradB」を「磁気力場」と定義する。重力場が空間的に極めて均一であるのに対して、磁気力場は、一般には極めて不均一である。タンパク質の結晶生成プロセス等に磁気力を利用するためには、磁気力場がある空間範囲で均一になることが望ましい。しかし、従来の超伝導マグネット内で、磁気力場が均一な場所はごく狭く、微小重力環境が得られる範囲は、わずか0.1mmに過ぎない。
図2は、均一磁気力発生用の超伝導マグネットのコイル配置を示す模式図である。
非線形計画法をもちいた均一磁気力場発生用コイル配置技術が開発されており、サンプル空間(直径10mmx長さ10mm)の内部に均一度〜2%の磁気力場を発生することができる。この超伝導マグネットは、図2に示すように、試料の両側にNbSnコイル1bを配置し、これらの両側にNbTiコイル1aを配置し、さらに、試料近傍にNbSn反転コイル1cを配置することにより、大電磁力を発生するように構成したものである。
なお、この型の超伝導マグネットには、反転磁場による磁束勾配の増強、局部に集中する10tonレベルの電磁力の制御など多くの新たな課題がある。その後、磁気力を局所的に増強する磁気力ブースタも提案されている。
磁場反転コイルを装着した15T超伝導マグネット(磁気力場均一度が、直径30mmx高さ15mmにて±5%以内)において、タンパク質結晶の高品位化に及ぼす磁気力場の効果が調べられている。その結果、〔表1〕に示すように、多数(13種類)のトライアルの中から、現在までに4種類のタンパク質において結晶の高品位化が確認されている。
Figure 2012078201
(2)タンパク質結晶生成過程の可視化について(結晶化過程観察機構、多検体用結晶化結晶プレート)
(1)磁気力場中で結晶生成過程のin−situ観察が可能な自動結晶観察機構
強磁場中で効率よく高品位の結晶を得るためには、結晶生成のプロセスをその場(in−situ)観察する必要がある。しかし、磁場空間の大きさは限られ、また、構造体には磁性材料を使用することができないため、通常の顕微鏡などの可視化機構は使えない。
本発明者らは、強磁場中での可視化技術に関し、CCD素子を用いた可視化機構(分解能20μm程度)、特殊な光学エクステンションを用いたレーザ顕微鏡(分解能800nm以上)を開発してきた。
タンパク質の構造決定を行うX線回折装置に必要な結晶の大きさは約100μm以上といわれている。このような結晶が生成されたことを確認する装置に求められる分解能は、5〜10μm程度であり、この分解能は通常の接写装置では不十分である。一方、これまでの光学エクステンションを利用したレーザ顕微鏡では、磁場空間の直径が100mm必要であり、また、対象となる試料の数は5個程度以下に限られる。本発明におけるハイスループットのタンパク質結晶生成には、10Tを超える強磁場中に置かれた数百個の試料を、試料を動かすことなく観測できる機構が必要である。
図3は、本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置の構成を示す分解斜視図である。
本発明においては、図3に示すように、円環状の超伝導マグネット1が形成する直径50mmの円筒型磁場空間の中央の15〜20mm程度に、観察機構(CCDカメラ)2を設置し、その周囲に配置した試料容器(スタックされた結晶化プレート)3中の結晶生成過程を観測する。観察機構2を中心に置くことにより、単純な軸回転のみで周辺に置かれた試料を観測できるシンプルな構造とすることができる。また、試料の位置を面内の中心に近くすることにより、均一度の高い磁気力場を利用することができる。
図4は、本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置の構成を示す縦断面図である。
この結晶生成装置においては、図3及び図4に示すように、観察機構となるCCDイメージセンサ2が、中空軸(アウタースリーブ)11内に設置されており、この中空軸11が円筒型磁場空間の中央に挿入されている。中空軸11の上端側は、非磁性回転機構6及び非磁性二重上下動機構7によって支持されている。中空軸11の下端側は、軸受け10によって支持されている。この中空軸11は、軸方向(上下方向)に移動操作可能であり、また、軸回りの回転操作が可能である。
CCDイメージセンサ2は、中空軸11の側面に開設された観察窓5を通じて、中空軸11内に設置された傾斜鏡12、対物レンズ13及び結像レンズ14を介して、中空軸11の周囲を観察した画像の画像信号を出力する。ここで、中空軸11の軸方向の移動操作及び軸回りの回転操作がなされることにより、CCDイメージセンサ2は、中空軸11の周囲のあらゆる位置を観察することができる。
中空軸11の周囲には、試料容器3であるスタックされた結晶化プレート4が配置される。この試料容器3は、複数の円盤状の結晶化プレート4が多段に積層配置(スタック)されたものである。
結晶化プレート4の中央部には、中空軸11が貫通するための透孔が開設されている。結晶化プレート4は、非磁性の透明材料により形成されている。結晶化プレート4には、結晶生成用の複数の個室が設けられている。これら各個室は、結晶化プレート4の周縁位置に配列されている。
スタックされた結晶化プレート4の周囲、すなわち、超伝導マグネット1の内周面には、結晶化プレート4を照明するためのバックライト15が設置されている。
この結晶生成装置においては、効率を増すために結晶化プレート4を多段式にした場合も、観察系を中心軸上で平行移動させるだけで観測が可能であり、試料数の増加に対応できる。
また、円筒型磁場空間には、温調用エア導入口9より、温度調節用の空気(外気)が導入される。この温度調節用の空気は、温調用エア排出口8より、円筒型磁場空間の外に排出される。
図5は、本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置の要部の構成を示す縦断面図である。
円筒型磁場空間内においては、図5に示すように、温度調節用の空気は、バックライト15と結晶化プレート4の外周面との間、及び、中空軸11と結晶化プレート4の内周面との間を通って、温調用エア排出口8に向かう、この温度調節用の空気の流量及び通過位置を調節することにより、各結晶化プレート4の複数の個室ごとに結晶生成条件を変えることができる。
図6は、本発明に係る強磁場中顕微鏡観察装置が使用される結晶生成装置の観察機構の構成を示す斜視図である。
観察機構2は、図6に示すように、中空軸11の側面に開設された観察窓5からの入射光が、中空軸11内に設置された傾斜鏡12、対物レンズ13及び結像レンズ14を介して、CCDイメージセンサ2に到達するように構成されている。
対物レンズ13は、プッシュロッド16によって光軸方向(中空軸11の軸方向)に移動操作可能となっている。プッシュロッド16は、結像レンズ14を移動させずに対物レンズ13のみを移動させることにより、CCDイメージセンサ2の撮像位置を調整する。この撮像位置とは、中空軸11からの距離の調節であり、すなわち、結晶化プレート4の径方向の調節である。
なお、観測方式としては、以下の2種類が採用可能である。
a)CCD素子を磁場中に入れ、その前方に配置する光学系を設計することにより高倍率観測を可能にする方式。
b)光源としてレーザを使用し、レンズ、偏光子等の光学系のみを磁場中に入れることにより、偏光観察などのより高コントラストな映像を得る方式。
(2)多検体用結晶化プレート
通常、1つのタンパク質の最適結晶化条件の探索には、数百〜千程度の条件検討が必要であり、横13cm×縦9cm×高さ1.5cm程度のプラスチック製の結晶化プレート4を数枚から10枚程度用いる。本発明においては、マグネットボア内の限られた空間(直径40mm×高さ50mm程度)で結晶化実験を実施する。高品位結晶の生成の高効率化(ハイスループット)のためには、この限られた空間内で一度に数百条件の結晶化スクリーニングをすることが必要である。そのため、ボアの大きさ、形状に則した多検体(50条件程度)用の専用プラスチック製の結晶化プレート4を設計、作製し、これを複数枚重層して設置する。
本発明においては、純水に対してほぼ100%の重力キャンセルができる1400T/m程度の磁気力場を発生させる超伝導マグネット1により±5%程度の均一磁気力空間を、直径40mm、高さ〜15mmに発生する。この超伝導マグネット1に、温度範囲4〜30°C(±0.5°C)の結晶生成系及び結晶生成過程のin−situ自動結晶観察機能を組み合わせている。さらに、ハイスループット化への対応として、複数の結晶化プレート4の同時処理を行う。
(3)まとめ
以上のように、本発明においては、磁場中で起こる現象をin−situに観察することができる。また、本発明者らは、これまでの磁気力場中結晶化実験において、ボア径に応じた小検体(12条件)用プラスチック製の結晶化プレート4を開発し、結晶化に有用であることを示した。本発明においては、ハイスループットを実現するため、新規に多検体用の結晶化プレート4を開発した。このような磁気力場マグネット使用に特化した多検体用の結晶化プレート4の開発は、これまでに全く例がなく、新規なものである。
本発明は、超強磁場内の磁気無重力環境下で結晶生成を行う結晶生成装置において使用される強磁場中顕微鏡観察装置に適用される。
1 超伝導マグネット
2 観察機構
3 結晶生成容器
4 結晶化プレート
11 中空軸
12 傾斜鏡
13 対物レンズ
14 結像レンズ

Claims (2)

  1. 超強磁場を形成する超伝導マグネットと、この超伝導マグネットが形成する超強磁場内に設置される結晶生成容器とを有し、超強磁場内の磁気無重力環境下で結晶を成長させる結晶生成装置において、前記結晶生成容器内における結晶生成の過程をその場観察するための強磁場中顕微鏡観察装置であって、
    前記超強磁場に設置され軸方向の移動操作及び軸回りの回転操作が可能となされた中空軸と、
    前記中空軸内に設置されたCCDイメージセンサ、傾斜鏡、対物レンズ及び結像レンズとを備え、
    前記結晶生成容器の中央部に設けられた透孔内に挿通されて設置され、前記CCDイメージセンサは、中空軸の側面に開設された観察窓を通じて、傾斜鏡、対物レンズ及び結像レンズを介して、中空軸の周囲の前記結晶生成容器内を観察した画像の画像信号を出力する
    ことを特徴とする強磁場中顕微鏡観察装置。
  2. 前記対物レンズのみを光軸方向に移動させることによる撮像位置の焦点調整が可能である
    ことを特徴とする請求項1記載の強磁場中顕微鏡観察装置。
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