以下、図面を参照しながら、本実施例を説明する。
図1に、本実施例の情報分類階層管理装置のブロック構成を示す。
図1の情報分類階層管理装置は、オントロジーDB01、カテゴリDB02、入力受付部03、比較概念選択部04、オントロジー検索部05、経路パターン抽出部06、カテゴリ検索部07、カテゴリ生成部08、カテゴリ制御部09、カテゴリ評価部10、および出力部11を備える。
図1の装置の各要素の構成および動作の振舞いを説明する前に、まず、オントロジー(後述する図2参照)と情報分類階層(後述する図5参照)について説明する。
オントロジーとは、システムが対象とする世界に登場する概念、および概念間の関係を表わしたものである。オントロジーは、データ構造の面からは、概念をノードとし、関係をリンクとするグラフネットワークとして表現することが出来る。
オントロジーの記録方法、および、オントロジーの処理方法については、例えばW3C(World Wide Web Consortium)が策定したオントロジー記述言語OWL(Web Ontology Language)を用いてオントロジーを表現しておき、 Jena(URL:http://jena.sourceforge.net/)やThe OWL API(URL:http://owlapi.sourceforge.net/)などの公知技術を用いて内容を管理・処理することが出来る。
オントロジーはオントロジーDB01に任意の形式および構造で記憶されている。たとえば、オントロジーDB01は、表形式のメモリ構造を用いてオントロジーのネットワークを記録してもよい。または、オントロジーDB01が構造化ドキュメントを保持できるDB(XML DBなど)であれば、当該オントロジーDB01は、OWL記述をそのままDB内で記録してもよい。
図2は、乗物に係わる概念体系、および設計情報に係わる概念体系を表わしたオントロジー100を示したものである。図中の四角は1つの概念に対応しており、四角の中の文字列は概念のラベルを表わしている。
本実施例で用いられるオントロジーで定義されている関係の種類は、「一般−特殊関係」と、「全体−部分関係」の2種類である。関係元概念の種類をそれぞれ「一般」「全体」,関係先概念の種類を「特殊」「部分」とする.なお関係,関係元概念および関係先概念の種類はこれらに限定されず、たとえば「性質−役割」といった他の種類の関係も可能である。
一般−特殊関係の具体例として、自動車(一般側)とガソリン車(特殊側)の間の関係がある。この関係は、ガソリン車が自動車の一種であることを示している。この関係は、「ガソリン車は自動車を特殊化したものである」、および「自動車はガソリン車を一般化したものである」などと表現される。
一方、全体−部分関係が用いられている具体例として、自動車(全体側)と駆動系部品(部分側)の間の関係がある。この関係は、自動車が駆動系部品を部分として持つことを示している。この関係は、「自動車は駆動系部品を全体化したものである」、および「駆動系部品は自動車を部分化したものである」などと表現される。
このように乗物に係わる概念体系では、乗物に関する複数の概念が、一般−特殊関係に従って階層状に結合されている。また乗物に係わる概念体系では、複数の概念の一部が、全体−部分に従って結ばれている。
設計情報に係わる概念体系では、一般−特殊関係の具体例として、設計情報(一般側)と、性能諸元あるいは設計成果物との間の関係がある。全体−部分関係は設定されていない。
設計情報に係わる概念体系では、設計情報に関する複数の概念が、一般−特殊関係に従って階層状に結合されている。つまり、設計情報に係わる各概念を表すノードが、一般−特殊関係を示すリンクにより階層状に接続されている。
なお、オントロジーが前提とするオブジェクト指向の理論に基づき、本実施例では条件(1)および(2)が成り立つとする。
条件(1)は、一般−特殊関係には推移律が成り立つこと、および、全体−部分関係の間には推移律が成り立つ場合がある(成否は定義による)ことである。
条件(2)は、ある2つの概念の間に成立する関係は、各々の概念を特殊化した概念の間、および各々の概念の一方の概念を特殊化した概念の間にも成り立つことである。
(1)の例としては、ガソリン車と設計対象との間の関係がある。「ガソリン車は自動車を特殊化したものである」および「自動車は設計対象を特殊化したものである」ことから、「ガソリン車は設計対象を特殊化したものである」という関係が成り立つものとみなす。
(2)の例として、GC-01とガソリンエンジンとの間の関係がある。「ガソリンエンジンはガソリン車を部分化したものである」および「GC-01はガソリン車を特殊化したものである」ことから、「ガソリンエンジンはGC-01を部分化したものである」ことが成り立つとする。
図5は、乗物に関する設計情報を分類するために構築された情報分類階層200を示す。図中の四角は1つのカテゴリ(情報分類の単位)に対応している。カテゴリの中の文字列は、付与されたタグを示すものである。カテゴリはフォルダと称されることもある。情報分離階層200はカテゴリDB02に記憶されている。
カテゴリのタグは、カテゴリに分類される情報が共通して持つべき内容や属性を表わしたものである。カテゴリのタグは、カテゴリに属するための意味上の制約とも言える。たとえばカテゴリには、当該カテゴリのタグにより示される内容または属性を有する情報コンテンツ(たとえばドキュメント)が分類される。
本実施例において、カテゴリに付与されたタグは、オントロジーの概念に対応するものである。図5ではタグを表わすために、対応する概念のラベルを記載している。
図5では、左に位置するほど階層内の位置が高く(上位のカテゴリである)、右に位置するほど階層内の位置が低い(下位のカテゴリである)。上位のカテゴリはより広い範囲の情報を対象とする。下位のカテゴリは、より限定された範囲の情報を対象とする。
例えば、CA02が示すカテゴリは「自動車を対象とした設計成果物」を対象とする。CA02が示すカテゴリの情報範囲は、上位カテゴリであるCA01の「(対象を限定しない)設計成果物」よりも限定される。
以下では、図1の情報分類階層管理装置の各要素の詳細を説明する。
オントロジーDB01は、上記オントロジー100(図2参照)を、表形式で保持する。オントロジー100は、概念テーブル110と関係テーブル120の2つのテーブルによって表現される。
図3は、概念テーブル110の一例を示す。概念テーブル110は、オントロジー100で定義された概念を保持する。概念テーブル110の概念IDは、各概念が持つ固有の識別子を表わす。ラベルは、概念が指す物を表わす言葉である。
図4は、関係テーブル120の一例を示す。関係テーブル120は、オントロジー100で定義された概念間の関係を保持する。関係テーブル120の関係IDは、各関係が持つ固有の識別子を表わす。関係種類(関係元種類、関係先種類)は、オントロジーで定義された関係の種類を表わす。関係元概念と関係先概念は、関係によって結ばれる概念を表わしている。
なお、関係テーブル120においては、関係元概念と関係先概念を、概念のラベルによって指定している。しかしながら、同等の目的が達成されるのであれば、関係元概念と関係先概念を、他の識別可能な要素(本実施例の場合、例えば概念ID)を用いて指定してもよい。
また、オントロジーDB01の記録形式は表形式に限られず、例えば、オントロジー記述言語であるOWL(Web Ontology Language)で記述されたテキストストリームを記録する形式であってもよいし、XML−DBなどの構造化ドキュメントを階層的に記録する形式であってもよい。
カテゴリDB02は、上記情報分類階層200(図5参照)を、図6に示すカテゴリテーブル210の形式で保持する。カテゴリテーブル210におけるカテゴリIDは、各カテゴリが持つ固有の識別子である。また、タグは、各カテゴリに付与された概念を表わす。また、上位カテゴリIDは、各カテゴリがそれぞれ所属するカテゴリのIDを表わすものである。従って、最上位カテゴリに対して上位カテゴリIDは設定されていない。新規カテゴリフラグおよびパターン適合値は、後述するカテゴリ生成部08、カテゴリ評価部10および出力部11にて用いられるデータであり、当初はデフォルト値(それぞれ「FALSE」と「0」)が設定されている。なお、関係テーブル120と同様、タグ項目における概念は、ラベルでなく、他の識別可能な要素(本実施例の場合、例えば概念ID)を用いて指定してもよい。
入力受付部03は、情報管理の対象としてユーザによる概念の指定を受け付ける。入力受付部03は、指定された概念(ユーザ指定概念)を、比較概念選択部04、経路パターン抽出部06、出力部11に通知する。
本実施例においては、ユーザは、図7に示す管理対象指示画面の概念表示部21に階層状に表示された概念の中から、情報管理の対象とする概念を選択する。つまり、情報管理の対象として新たに追加したい概念を選択する。選択は、管理実行ボタン22を押下することによって行い、選択された概念が、入力受付部03にて受け付けられる。
図7の管理対象指示画面は、オントロジーDB01内のオントロジー100を用いて、作成する。オントロジーDB01へのアクセスは後述するオントロジー検索部05を介して行う。管理対象指示画面の作成方法は、DB01内の概念を表示および選択できれば任意でよい。たとえば一般−特殊関係に従って概念を階層状に配置し、全体−部品の関係にある概念ペアの関係先概念は、関係元概念の下位に属するようにする。
管理対象指示画面を用いた概念の選択は一例であり、ユーザが直接、概念を示す用語または概念IDをキーボード、マウス、タッチパネル等の入力手段で入力してもよい。
比較概念選択部04は、ユーザ指定概念(つまり管理対象)に係わるカテゴリを作成するために参考にする概念(比較概念と称される)を、オントロジー100で定義された概念の中から、選択する。比較概念選択部04は、選択した比較概念を、経路パターン抽出部06に通知する。
ここで、本実施例においては、カテゴリの作成は、事前に定めたカテゴリ分類の一貫性を保持した上で行うものである。当該事前に定めたカテゴリ分類の一貫性は、「(直接・間接を問わず)、ある概念の下位に位置づけられる概念には、同じ分類の仕方が適用されるべきであるという指針により図られる。
比較概念選択部04は、入力受付部03から通知されたユーザ指定概念に対し、比較概念を選択する。本実施例では比較概念として、ユーザ指定概念の兄弟概念(同一の概念(親)を特殊化した概念(子)の集合)を選択する。比較概念は、オントロジー検索部05を用いて、オントロジーDB01から取得する。兄弟概念を比較概念とする場合、上記の指針は、「階層内の位置関係が“兄弟”であるものには、同じ分類の仕方が適用されるべきである」ということもできる。
ユーザ指定概念が「ハイブリッド車」の場合、兄弟概念は、ガソリン車、ディーゼル車である。したがって、これらの概念が、比較概念として、取得される。したがって、本実施例では、この比較概念と同じ情報分類の仕方が適用されるように、ユーザ指定概念に係わるカテゴリを作成するということになる。なお、後述されるように、ディーゼル車のタグを含むカテゴリは情報分類階層200に存在しないため、実際にはガソリン車のみが参考にされる。
なお、比較概念の定め方自体は、取り扱う情報分野やオントロジーのデータ構造に左右されるものであり、上記したような兄弟概念を比較概念とする例に限定されるものではない。
例えば、概念階層における相対的な位置関係を用いて比較概念を取得してもよい。他の方法として、オントロジーの最上位の概念を基準とした絶対的な位置関係から、比較概念を取得しても良い。また、概念間の意味の近さ(距離)を表わす定量的な値を計算しておき、ユーザ指定概念に対し、特定の閾値よりも小さい範囲に含まれる概念を、比較概念として、取得しても良い。また、ユーザの恣意性を反映させるために、ユーザが任意に選択(指定)した概念を受付け、これを比較概念として取得してもよい。
オントロジー検索部05は、上記オントロジーDB01へのアクセスを行う。オントロジー検索部05は、たとえばオントロジーDB01に対する検索処理または推移律の判定を行う。
本実施例においてオントロジーは図3および図4に示す表形式で表現されるため、オントロジー検索部05が行う検索処理および推移律の処理は、関係データベースの検索装置として公知化されている技術(例えば、MySQL(http://www-jp.mysql.com/))を用いることで実現可能である。
また、オントロジー記述言語OWLによる表現であれば、Jena(URL:http://jena.sourceforge.net/)やThe OWL API(URL:http://owlapi.sourceforge.net/)などの公知技術を用いて内容を処理してもよい。また、
XML−DBなどの構造化ドキュメントを階層的に記録した場合は、当該DBの検索技術を用いてもよい。
経路パターン抽出部06は、後述するカテゴリ検索部07を用いて、比較概念選択部04から通知された比較概念がタグとして付与されているカテゴリを少なくとも1つ含む経路を取得する。
経路とは、情報分類階層において、最上位カテゴリから、当該カテゴリを経由し、特定の下位カテゴリまでに含まれる一連のカテゴリのリスト(順序付き集合)である。経路は、情報分類階層を有効グラフネットワークとしたとき、その部分グラフであり、かつ、分岐のない木である。
たとえば、通知された比較概念が「ガソリン車」であり、上記特定の下位カテゴリが、最下位のカテゴリとする場合、図5から、CA01、CA02、CA03、CA04から成る一連のカテゴリのリストが経路に相当する。この経路のデータは、図8のように表現される。
なお、経路を、情報分類階層で最上位のカテゴリから比較概念のタグを付与されたカテゴリまででなく、特定の下位カテゴリまでも含めたカテゴリリストとする理由を説明すると以下の通りである。
本実施例では、ユーザ指定概念に関する情報の分類において、情報分類階層の最上位に位置するカテゴリから、ユーザ指定概念に関する情報が属するカテゴリに至るまでの分類の仕方だけでなく、ユーザ指定概念に関する情報を更に分類する仕方についての一貫性も対象としている。すなわち、本実施例は、例えばユーザ指定概念を分類するカテゴリより、下位側のカテゴリにもカテゴリ生成を拡張することを対象とする。このため、上記経路には、比較概念のタグを含むカテゴリより下位のカテゴリまでも含めている。
ただし、ユーザ指定概念に至るまでの分類の仕方のみを対象とし、ユーザ指定概念に関する情報をさらに分類する仕方は取り扱わない場合は、ユーザ指定概念を分類するカテゴリより下位側にはカテゴリ生成を拡張しないことで、ユーザ指定概念より上位の範囲を対象として、一貫性を管理することも可能である。この場合は、経路には、情報分類階層で最上位のカテゴリから、比較概念のカテゴリまでのリストを含めればよい。
次に、経路パターン抽出部06は、当該経路データにおける分類の仕方を解析し、解析した情報を、当該経路データに追加した経路解析データを生成する。具体的には、経路上で隣接するカテゴリのペア毎に、上位カテゴリに付与されたタグから、下位カテゴリに付与されたタグへの変化(遷移)の仕方を解析し、解析した情報を経路データに追加することで、経路解析データを生成する。
この変化の仕方の種類には、(1)オントロジーによって定義された関係とその方向、(2)維持、および(3)追加、が存在する。
(1)における「関係とその方向」(関係の方向情報)は、本実施例では、「全体−部分の全体」、「全体−部分の部分」、「一般−特殊の一般」、「一般−特殊の特殊」がある。「全体」は関係元種類、「部分」は関係先種類、「一般」は関係元種類、「特殊」は「関係先種類」に対応する(図4参照)。
(2)の「維持」(維持情報)は、下位カテゴリのタグが上位カテゴリに付与されたタグと同じものであることを示す。
(3)の「追加」(追加情報)は、下位カテゴリのタグの変化の元になるタグが、上位カテゴリに存在しないことを示す。
図9に経路解析データ301の一例を示す。経路上で隣接するカテゴリ間で、上位カテゴリに付与されたタグからの変化の種類が、下位カテゴリに付与されたタグに対し表現されている。経路解析データ301は図10のようなテーブル形式で記録される。経路解析データ301の内容およびその生成方法のさらに詳しい説明は後述する。
次に、経路パターン抽出部06は、オントロジー検索部05から通知された比較概念と、入力受付部03から通知されたユーザ指定概念とを用い、経路解析データ301に基づき、経路パターンを生成する。経路パターン抽出部06は、生成した経路パターンを、カテゴリ生成部08に通知する。
経路パターンは、経路解析データが表す経路上のカテゴリに分類される情報範囲の変化の仕方をもとに、ユーザ指定概念に関連する新たなカテゴリを生成するためのベースとなるデータである。経路パターンは、新たに生成したカテゴリ(新たに生成したカテゴリが既存のカテゴリに一致する場合も含む)を評価するためにも用いられるものである。
経路パターンは、経路解析データと同様に、その経路上に含まれるカテゴリ(情報分類階層におけるカテゴリと区別するため、本実施例ではノードと呼ぶこともある)と、隣接するカテゴリ(ノード)間でのタグの変化の種類を含む。経路パターンには、さらに、各タグに対し、抽象度(0以上の整数)と、置換禁止フラグ(FALSEあるいはTRUEの値を取る)が記録される。これら抽象度、置換禁止フラグは、後述するカテゴリ生成部08で用いられるデータである。なお、経路パターンの生成時には、各タグに対し抽象化禁止フラグ(FALSEあるいはTRUEの値を取る)も設定される。
図11および図12に、経路パターンの一例を示す。
図11の例では、図9の経路解析データにおけるガソリン車のタグが、ハイブリッド車のタグに置換された経路パターン(抽象度が0の経路パターン)が示される。
図12の例では、図11の経路パターンにおける設計成果物、仕様書、給油制御ソフトの各タグが、それぞれの1つ上位の概念(抽象度1の概念)である設計情報、設計成果物、制御系ソフトのタグに置換されている(抽象度が1の経路パターン)。
後述のように、ユーザ指定概念であるハイブリッド車と、ハイブリッド車を一般化した自動車には、パターン生成処理の際に、TRUEの抽象化禁止フラグが設定される(抽象化が禁止される)ため、抽象化は行われない。
図11および図12の経路パターンの内容および生成方法のさらに詳しい説明は、後述する。
カテゴリ検索部07は、上記カテゴリDB02(情報分類階層)へのアクセスを行う。カテゴリ検索部07は、経路パターン抽出部06およびカテゴリ生成部08の指示に従って、情報分類階層に含まれるカテゴリに対する検索処理を行い、検索されたカテゴリ等の検索結果を、指示元に返す。
カテゴリ制御部09は、カテゴリDB02へアクセスし、カテゴリDB02に記録された情報分類階層に対する内容の追加・削除・更新等の制御処理を行う。
上述したように、カテゴリDB02内の情報分類階層は、表形式のデータ構造(図6カテゴリテーブル210参照)を有する。従って、カテゴリ検索部07およびカテゴリ制御部09が行う検索処理および制御処理は、関係データベースの検索装置として公知化されている技術(例えば、MySQL(http://www-jp.mysql.com/))を用いることで、実現可能である。
カテゴリ生成部08は、下記のルールA〜Cに従いつつ、経路解析データおよび経路パターンを用いて、カテゴリ生成処理を行う。
カテゴリ生成処理では、経路パターンに含まれるカテゴリ(ノード)のタグを、ルールA〜Cに従って、経路パターン内で最上位ノードから最下位ノードに向けて、別の概念のタグに置き換えることにより、カテゴリ(候補カテゴリ)の生成を行う。
経路パターンにおけるタグ置換の際、先に述べた置換禁止フラグが付された概念を参照するタグの置換は行わない。タグの置き換え方は、リンク種類と、経路パターンの抽象度(抽象化した回数であり,また,抽象化の段数nである)に依存して行われる(詳細は後述)。
(ルールA)リンク種類が「追加」である場合は、置換前の概念を抽象度(抽象化した回数)と同じ回数だけ特殊化した概念を参照するタグに、置換前の概念を表すタグを置き換える。すなわち置換前の概念がn段抽象化されたものである場合は、当該置換前の概念のタグを、n回特殊化した概念のタグに置き換える。
(ルールB)リンク種類が「維持」である場合は、置換前の概念を参照するタグを、リンク元となる上位ノードのタグが表す概念と同じ概念を表すタグに置き換える。
(ルールC)リンク種類が、オントロジーで定義された関係元種類/関係先種類である場合は、リンク元となる上位ノードのタグから、関係元種類/関係先種類によって結ばれている概念を表すタグに置き換える。
タグ置換により生成されるカテゴリ(候補カテゴリ)は、ユーザ指定概念(管理対象となる概念)に関わる情報分類の仕方を表すものである。カテゴリ生成処理で生成されるカテゴリの中には、カテゴリDB02内の既存の情報分類階層に存在しているカテゴリと一致するものも、当該既存の情報分類階層には存在していないカテゴリも含まれる。
カテゴリ生成部08は、生成したカテゴリ(候補カテゴリ)のうち、既存の情報分類階層に存在しないものは、カテゴリ制御部09に通知する。カテゴリ制御部09は、通知されたカテゴリ(候補カテゴリ)を、カテゴリDB02に記録する。具体的に、通知された候補カテゴリを、経路パターンにおける1つ上位のカテゴリから生成された候補カテゴリの下位に配置されるように記録する。
カテゴリ生成部08は、生成したカテゴリの全てを、カテゴリ評価部10に通知する。カテゴリ生成部08は、カテゴリ生成処理が終了した時点で、そのことを出力部11に通知する。
なお、カテゴリ生成においては、カテゴリからの参照を禁止する概念組合せのリストを事前に用意しておき、リストで禁止されている概念組合せを参照するカテゴリの生成を行わないようにしてもよい。すなわち、当該リストで禁止されていない概念組合せを参照するカテゴリのみ生成するようにしてもよい。これにより不要なカテゴリの生成を事前に排除して、管理コストを低減させることが可能である。
カテゴリ生成部08によるカテゴリ生成処理の振る舞いの詳しい説明は後述する。
カテゴリ評価部10は、カテゴリ生成部08により生成されたカテゴリ、および経路パターン内のカテゴリを用い、生成されたカテゴリのパターン適合値(評価値)を算出する(カテゴリ評価処理)。
パターン適合値とは、経路パターンにおける情報範囲の変化の仕方(つまり、タグの変化の仕方)に、生成されたカテゴリが適合している程度を定量的に評価したものである。つまりパターン適合値は、当該カテゴリでの分類の仕方が、既存の情報分類構造に合致している度合いを定量的に評価した値である。
パターン適合値は、経路パターン内のカテゴリの置き換え前のタグの概念(置換前概念)と、置き換えにより生成されたカテゴリのタグの概念(置換後概念)とを比較することによって算出される。
置換前概念と置換後概念が等しいか、置換後概念が置換前概念を特殊化したものである場合に、1点が加えられる。1つのカテゴリ全体のパターン適合値は、カテゴリに含まれるタグ各々について上記の評価を行った結果であり、全てのタグが上記の評価条件を満たしている場合、評価対象となるカテゴリのパターン適合値は、付与されているタグの数と一致する。
複数の経路パターンから同じカテゴリが生成される場合は、各経路パターンに対して評価された値の合計を、当該カテゴリのパターン適合値として計算する。これはパターンを変えても複数回得られるカテゴリはそれだけ情報分類階層に合致したカテゴリと考えられるためである。ただし、抽象度が1以上の複数の経路パターンから生成された同じカテゴリについては、これらの複数の経路パターンのうちのいずれか1つから計算された値のみを用いても良い。この場合、この計算された値は、抽象度0の経路パターンに対して計算された値とのみ合計される。
カテゴリ評価部10によるカテゴリ評価処理の振る舞いの詳しい説明は後述する。
出力部11は、カテゴリ生成部08からカテゴリ生成処理の終了通知を受けると、カテゴリ検索部07を用いて、カテゴリDB02に記録されているカテゴリ全て(情報分類階層全体)を取得する。出力部11は、取得した情報分類階層全体を表示する。
表示の際、表示されるカテゴリが、新規カテゴリか以前から存在するカテゴリであるかが、区別されるようにする。この区別は、新規カテゴリフラグに従って行う。
またパターン適合値を、該当するカテゴリとともに表示する。出力部11は、パターン適合値が付与されているカテゴリを対象にした追加・削除の操作をユーザが行えるようにする。
図19に、出力部11の表示例である情報分類階層管理画面を示す。
当該画面の情報分類階層表示部31に、四角形のカテゴリ表示アイコンを用いてカテゴリが表示される。カテゴリ表示アイコン内には、カテゴリに付与されたタグが表示される。
カテゴリ生成部08により生成されたカテゴリ(新たに生成されたカテゴリ、既存のカテゴリを含む)については、アイコン内の右端にパターン適合値を表示する。
アイコンの領域は実線または破線により規定される。実線は、該当するカテゴリが情報分類階層管理処理(以下、カテゴリ生成処理)の開始前から存在するカテゴリであることを示す。破線は、該当するカテゴリが、カテゴリ生成処理によって新たに生成されたカテゴリであることを示す。
出力部11の出力を通じ、ユーザは、カテゴリ削除承認ボタン32を押すことで、不要なカテゴリ(たとえば情報分類の仕方が他のカテゴリと異なっているカテゴリ)を削除してもよい。このように、不要なカテゴリを排除することで、情報分類階層全体の一貫性を保つことが出来る。パターン適合値の低いカテゴリは、情報分類の仕方が他のカテゴリと異なっている可能性が高いといえ、このパターン適合値を元に、不要なカテゴリの目当てを付けることもできる。
また、管理処理によって新たに追加されたカテゴリを選択し、カテゴリ追加承認ボタン33を押すことで、当該カテゴリの追加を承認してもよい。これにより、既存の情報分類階層には存在しないが一貫性の観点からは存在しているべきだと判断されるカテゴリを追加できる。すなわち、情報分類階層全体の一貫性を保ちつつ、新たなカテゴリを追加出来る。
以下、図1の装置の振舞いの例を詳細に述べる。
図20に、図1の装置における情報分類階層管理フローの動作シーケンスを示す。ここでは、「ハイブリッド車」に関する情報分類の仕方について、一貫性が保たれるよう管理する場合について述べる。
(ステップ0001)入力受付部03が、分類の一貫性を管理する情報の対象として、概念の指定をユーザ入力手段から受け付け、入力されたユーザ指定概念を比較概念選択部04、経路パターン抽出部06、および出力部11に通知する。
より詳細には、ユーザが、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力手段を用いて、図7の管理対象指示画面の概念表示部21において「ハイブリッド車」を選択し、管理実行ボタン22を押下する。
入力受付部03は、ユーザにより選択された「ハイブリッド車」をユーザ指定概念として受け付ける。入力受付部03は、当該ユーザ指定概念の概念ID「C09」もしくはそのラベルを、比較概念選択部04と経路パターン抽出部06と出力部11に通知する。
(ステップ0002)次に、比較概念選択部04は、オントロジー検索部05を用いて、ユーザ指定概念の比較概念を選択する。ここではユーザ指定概念の兄弟概念を選択する。
具体的に、まず“関係先概念”とし、かつ、関係先種類が“特殊”であるレコードに含まれる関係元概念(親)を特定する。
次に、比較概念選択部04は、特定した概念(親)を関係元概念とし、かつ、関係元種類が“一般”であるレコードに含まれる関係先概念を取得する。比較概念選択部04は、取得した関係先概念のうち、入力受付部03で受け付けたユーザ指定概念を除いたものを、比較概念として選択する。比較概念選択部04は、選択した比較概念を。経路パターン抽出部06に通知する。
本例の場合、比較概念選択部04は、「ハイブリッド車」、「ディーゼル車」、「ガソリン車」を、オントロジー検索部05から取得する。比較概念選択部04は、これらの概念のうち、ユーザ指定概念である「ハイブリッド車」を除いた、「ディーゼル車」、「ガソリン車」を、比較概念として選択する。比較概念選択部04は、これらの比較概念を表す概念ID「C05」、「C06」もしくはこれらのラベルを、経路パターン抽出部06に通知する。
(ステップ0003)次に、経路パターン抽出部06が、カテゴリ検索部07を用いて、比較概念選択部04から受け取った比較概念をタグに含むカテゴリを、情報分類階層(カテゴリテーブル)の中から取得する。
経路パターン抽出部06は、取得したカテゴリを含む経路データを生成し、生成した経路データを、所定の記憶手段に記録する。所定の記憶手段は、経路パターン抽出部06の内部バッファでもよいし、経路パターン抽出部06からアクセス可能な記憶装置でもよい。記憶装置は、図1の装置内に存在してもよいし、図1の装置からアクセスできる外部の記憶装置であってもよい。
本例の場合、経路パターン抽出部06は、カテゴリ検索部07を用いて、比較概念(「ガソリン車」、「ディーゼル車」)をタグに含むカテゴリを、カテゴリテーブル210(図6参照)から取得する。「ガソリン車」を含むカテゴリは、CA03のカテゴリであり、一方、「ディーゼル車」を含むカテゴリは存在しない。したがって、経路パターン抽出部06は、「ガソリン車」を含むカテゴリを含む経路データを生成する。ここでは情報分類階層の最上位カテゴリから、「ガソリン車」を含むカテゴリの下位の最下位カテゴリへ至る経路を示す経路データを生成する。したがって、ここで生成される経路データは、「設計成果物」→「自動車 設計成果物」→「ガソリン車 設計成果物」→「給油制御ソフト 仕様書」の経路を示す。図8に、生成された経路データ300を示す。経路データ300は、カテゴリIDのリストの形式を有する。以下、経路データ(リスト)の生成手順を詳細に示す。
最初、リスト(経路データ)には、「ガソリン車」を含むカテゴリのID(CA03)のみが記録される。
次に、カテゴリID CA03を起点として、カテゴリテーブル210のカテゴリIDと上位カテゴリIDの項目を参照しながら、カテゴリ間の所属関係を辿る。そして、上位カテゴリまたは下位カテゴリを順次、追加することで、リスト(経路データ)を拡張する。上位のカテゴリのIDほど、リストの先頭側に記録され、下位のカテゴリのIDほど、リストの末尾側に記録される。
経路データの上位側へは、情報分類階層において最上位のカテゴリ(カテゴリテーブル220において上位カテゴリIDのセルが空欄のカテゴリ)まで拡張する。本例では最上位のカテゴリは、カテゴリIDがCA01の「設計成果物」である。
一方、下位側のカテゴリを取得する範囲は、本実施例では、情報分類階層の最下位のカテゴリ(カテゴリテーブル220において、そのカテゴリのカテゴリIDを上位カテゴリIDとして参照する他のカテゴリがないもの)とする。
あるカテゴリに複数の下位カテゴリが存在する場合、経路を拡張する都度、経路データのコピーを生成し、下位カテゴリの数だけ同じ経路データを生成し、記録するものとする。
また、ある経路データが他の経路データの一部として包含される場合は、包含される側の経路データを破棄するものとする。
上記手順により、カテゴリCA03を起点として、上位側、および下位側へ順次、経路データが拡張される。最終的に「CA01−CA02−CA03−CA04」の経路が特定され、この経路を示す経路データが、図8に示すリストの形で生成される。
(ステップ0004)次に、経路パターン抽出部06は、オントロジー検索部05を用いて、当該経路データにおけるカテゴリに分類される情報範囲の変化の仕方(隣接するカテゴリ間でのタグの変化の仕方)を検出する。経路パターン抽出部06は、検出した情報範囲の変化の仕方を、当該経路データに追加する。これにより経路解析データを生成する。
経路パターン抽出部06は、生成した経路解析データを、所定の記憶手段に記録する。所定の記憶手段は、経路パターン抽出部06の内部バッファでもよいし、経路パターン抽出部06からアクセス可能な記憶装置でもよい。記憶装置は、図1の装置内に存在してもよいし、図1の装置からアクセスできる外部の記憶装置であってもよい。
図9は、生成された経路解析データ301を示す。経路解析データ301は、図10に示す経路解析データテーブル302の形式を有する。
カテゴリCA01に付与されている「設計成果物(T01)」は、カテゴリCA01の上位カテゴリが存在しないため、情報範囲の変化の仕方として、「追加」が設定されている。
カテゴリCA02に付与されたタグ「設計成果物(T02)」は、その上位カテゴリCA01に付与された「設計成果物(T01)」から変化していない。このため、カテゴリCA02に付与されたタグ「設計成果物(T02)」に対して、情報範囲の変化の仕方として、「維持」が設定されている。
カテゴリCA02に付与されている「自動車(T03)」は、その上位カテゴリCA01に変化の元となるタグが付与されていない。このため、カテゴリCA02に付与されている「自動車(AC03)」に対して、情報範囲の変化の仕方として、「追加」が設定されている。
カテゴリCA03に付与されている「ガソリン車(AC05)」は、その上位カテゴリCA02に付与されている「自動車(T03)」を、オントロジーで定義された関係に沿って特殊化したものである。このため、カテゴリCA03に付与されている「ガソリン車(T05)」に対して、「特殊」が設定されている。
他のタグについても上記の例と同様にして、関係が設定される。
経路解析データの生成方法のさらに詳細な手順については、後に図21および図22を用いて述べる。
(ステップ0005)経路パターン抽出部06は、入力受付部03から通知されたユーザ指定概念(ハイブリッド車)「C09」に基づき、ステップ0004で生成された経路解析データ301から、経路パターンを生成する。経路パターン抽出部06は、生成した経路パターンを、カテゴリ生成部08に通知する。
生成された経路パターンの一例を図11および図12に、それぞれ経路パターン400、401として示す。経路パターン400、401は、図13に示す経路パターンテーブル402の形式を有する。
図11の経路パターン400は、図9に示す経路解析データ301のカテゴリ(ノード)CA03のガソリン車(比較概念)のタグT05を、ハイブリッド車のタグPT05に置換したものである。なお、経路パターンのタグIDの値は、経路概念データ301から新たに振り直される。また、同じ概念を示すタグIDであっても、経路パターンが異なれば、異なるIDが設定される。
図12の経路パターン401は、経路パターン400における「自動車」および「ハイブリッド車」以外の他のタグを、1段上位の一般的な概念に置換する(1段の抽象化を行う)ことで作成する。
例えば、経路パターン400のタグPT01により示される設計成果物は、PT11の設計情報に置換されている(図2のオントロジー100により、設計情報は設計成果物を一般化した概念である)。
経路パターン400の生成の際、ユーザ指定概念である「ハイブリッド車」、およびその一般化した概念(上位概念)である「自動車」に対しては、抽象化禁止フラグが、それぞれTRUEに設定される(図13の経路パターンテーブル402参照)。このため経路パターン401の生成の際、これらの概念の抽象化は行われない。
すなわち、TRUEに設定された抽象化禁止フラグは、経路パターン生成時において、一般化(抽象化)による置換を行うことを禁止し、FALSEに設定された抽象化禁止フラグは当該一般化(抽象化)による置換を許容する。このように抽象化の禁止により不要なカテゴリの生成を防止し、一方、一般化を許容することで、カテゴリ生成処理の際には、必要なカテゴリの生成を可能にする(詳細は後に明らかにされる)。
また経路パターン400,401の生成の際、ユーザ指定概念である「ハイブリッド車」、およびその一般化した概念(上位概念)である「自動車」に対しては、置換禁止フラグがTRUEに設定される。
TRUEに設定された置換禁止フラグは、後述のカテゴリ生成の際のタグの置換を行うことを禁止し、FALSEに設定された置換禁止フラグは、当該カテゴリ生成の際のタグの置換を許容するものである。このようにカテゴリ生成の際のタグ置換を禁止することで、前述した指針に合致しない不要なカテゴリの生成を防止する。
また、図13の経路パターンテーブル402に示されるように、1段上位の一般的な概念へ抽象化された置換後のタグには、抽象度1が設定される。抽象化されていないタグ、すなわちTRUEの抽象化禁止フラグが設定されたタグには、抽象度0が設定される。なお、経路パターン400においては、その全てのタグについて、抽象化は行われていないため、抽象度0が設定されている。
経路パターン(経路パターンテーブル)の生成方法の詳細な手順については、後に図23を用いて述べる。
(ステップ0006)次に、カテゴリ生成部08によるカテゴリ生成処理、およびカテゴリ評価部10によりカテゴリ評価処理を行う。ここでは、これらの処理の概要を述べ、これらの処理の手順の詳細については、後に図24および図25を用いて述べる。
まず、カテゴリ生成部08は、カテゴリ制御部09を介して、カテゴリDB02(図6参照)に記録されているカテゴリ全てのパターン適合値を0に初期化し、新規カテゴリフラグをFALSEに初期化する。そして、経路パターンを用いて、カテゴリ(候補カテゴリ)の生成を行う。
カテゴリ生成部08は、カテゴリ(候補カテゴリ)を生成した後、生成したカテゴリが、既存の情報分類階層に存在するか否かを、カテゴリ検索部07を用いて判定する。カテゴリ生成部08は、既存の情報分類階層にないカテゴリのみを、カテゴリ制御部09に通知する。
カテゴリ制御部09は、通知されたカテゴリのレコードを、カテゴリDB02(図6、図18参照)に追加するとともに、当該レコードの新規カテゴリフラグの項目に、TRUEを記録する。また上位カテゴリIDの項目に、上位のカテゴリのIDを記録する。
TRUEの新規カテゴリフラグは、該当するカテゴリが今回新たに生成されたものであることを示す。FALSEの新規カテゴリフラグは、カテゴリが以前から存在したものであることを示す。
また、カテゴリ生成部08は、カテゴリ(候補カテゴリ)を生成する都度、生成したカテゴリと、当該カテゴリを生成する元となった経路パターンのカテゴリあるいはノード(以下、生成元カテゴリまたは生成元ノードと称することがある)を、カテゴリ評価部10に通知する。そして、全ての経路パターンについてカテゴリ生成が終了すると、カテゴリ生成処理が終了した旨を出力部11に通知する。
カテゴリ評価部10は、カテゴリ生成部08により生成されたカテゴリ(候補カテゴリ)のパターン適合値を、当該カテゴリの生成元カテゴリを用いて、算出する(カテゴリ評価処理)。カテゴリ評価部10は、算出したパターン適合値を、カテゴリ制御部09を用いて、カテゴリDB02に記録する。
カテゴリ評価部10は、生成されたカテゴリ(候補カテゴリ)内のタグ毎に、生成元カテゴリ内の対応するタグと同一もしくは特殊の関係にあるときは、タグ1つに付き1点を加算する。これにより、生成されたカテゴリのパターン適合値を計算する。
図18にカテゴリ生成処理およびカテゴリ評価処理が終了した段階のカテゴリDB02の内容の例を示す(詳細は後述する)。
ここで、カテゴリ生成部08およびカテゴリ評価部10の処理の一例を示す(適宜、図18を参照されたい)。
まず、カテゴリ生成部08は、経路パターン400(図11参照)に含まれるカテゴリ(ノード)PN01から、図14に示すカテゴリQN01を生成する。ノードPN01のタグ(設計成果物)に付されたリンクは「追加」である。ルールAに従って、「設計成果物」を0段特殊化する。抽象度が0であるため、設計成果物を0段特殊化すると、設計成果物そのものとなる。したがって、「設計成果物」をタグとするノード(カテゴリ)を生成する。ただし当該生成されたカテゴリは既存のカテゴリCA01と同一であるため、カテゴリDB02(情報分類階層)に、新たなレコードは追加しない。
カテゴリ生成部08は、カテゴリ検索部07を用いて、このカテゴリQN01と、生成元カテゴリPN01をカテゴリ評価部10に通知する。
カテゴリ評価部10は、両カテゴリのタグIDは完全に一致することを決定し、カテゴリCA01のパターン適合値=1(一致するタグ数が1つのため)を算出する。カテゴリ評価部10は、この結果を、情報階層分類におけるカテゴリCA01のパターン適合値に加算する。すなわち、カテゴリ制御部09を用いて、カテゴリDB02内の該当するレコードのパターン適合値の項目に、1を加算する。
次に、カテゴリ生成部08は、経路パターン400のノードPN02からカテゴリQN02を生成する。ノードPN02にはタグPT02(設計成果物)およびタグPT03(自動車)が付与されており、タグPT02のリンクは「維持」、タグPT03のリンクは「追加」である。ただし、タグPT03は、カテゴリ生成の際、置換禁止である(図13参照)。前述のルールA,Bに従って、ノードPN02を処理することで、ノードPN02と同一内容のタグを含むカテゴリQN02が生成される。
具体的に、上位ノードQN01のタグ「設計成果物」を維持し、「自動車」を追加することで、ノードQN02が生成される。つまり、ノードQN02のタグの1つは、上位ノードQN05のタグと同じ「設計成果物」であり、もう一つは、置換禁止のためノードPN02のタグPT03と同じ「自動車」となる。
ただしカテゴリQN02は、既存のカテゴリCA01と同一であるため、カテゴリDB02(情報分類階層)に、新たなレコードは追加しない。
カテゴリ生成部08は、カテゴリ検索部07を用いて、このカテゴリQN02と、生成元カテゴリPN02をカテゴリ評価部10に通知する。
カテゴリ評価部10は、両カテゴリのタグIDは完全に一致することを決定し、カテゴリQN02(CA02)のパターン適合値=2(一致するタグ数が2つのため)を算出する。カテゴリ評価部10は、カテゴリ制御部09を用いて、パターン適合値(=2)を、カテゴリDB02におけるカテゴリCA02のレコードのパターン適合値項目に加算する。
次に、経路パターン400のノードPN03から、図14のカテゴリQN03を生成する。
まずノードPN03にはタグPT04(設計成果物)およびタグPT05(ハイブリッド車)が付与されており、タグPT04のリンクは「維持」、タグPT05のリンクは「特殊」である。ただし、タグPT05は、カテゴリ生成の際、置換禁止である(図13参照)。
前述のルールB,Cに従って、ノードPN03を処理することで、図14のノードQN03が生成される。
具体的に、図14の上位ノードQN02のタグ「設計成果物」を維持し、「ハイブリッド車」を固定することで、ノードQN03が生成される。つまり、ノードQN03のタグの1つは、上位ノードQN02のタグと同じ「設計成果物」である。もう一つは、置換禁止のため生成元ノードPN03のタグPT05と同じ「ハイブリッド車」となる。
ノードQN03は、既存の情報分類階層に存在しないため、カテゴリDB02に、カテゴリQN03の新たなレコードを追加する。なおカテゴリQN03と同じカテゴリは経路パターン401からも生成され、図18では、QN03でなく、経路パターン401に対してこのカテゴリに付与されたID(QN07)が用いられている。カテゴリ生成部08は、このレコードの新規カテゴリフラグの項目にTRUEを記録し、また上位カテゴリIDの項目に、上位のカテゴリのIDを記録する。
また、カテゴリ評価部10は、ノードQN03のパターン適合値を2点として算出する。これは、「設計成果物」は、生成元カテゴリ(生成元ノード)PN03のタグPT04「設計成果物」と同一であり、「ハイブリッド車」は、生成元カテゴリ(生成元ノード)PN03のタグPT05「ハイブリッド車」と同一であるためである。カテゴリ評価部10は、カテゴリ制御部09を用いて、カテゴリQN07(QN03)のパターン適合値(=2)を、カテゴリDB02におけるレコード(QN07)のパターン適合値項目に加算する。
次に、図11のノードPN04からカテゴリ生成を行う。ノードPN04にはタグPT06(仕様書)およびタグPT07(給油制御ソフト)が付与されており、タグPT06のリンクは「特殊」、タグPT07のリンクは「部分」である。
前述のルールCに従って、ノードPN04を処理することで、図16のノードQN04-1〜QN04-6が生成される(後述する経路パターン401からも同じノードが生成され、図示のQN08〜QN13は、経路パターン401から生成されたノードの識別子を示している)。
具体的に、図11の上位ノードQN03のタグ「設計成果物」を特殊化すると、「仕様書」と「図面」が得られる。また上位ノードQN03のタグ「ハイブリッド車」を部分化すると、「給油制御ソフト」、「動力切替ソフト」、「ハイブリッドエンジン」が得られる。よって、前者2つと、後者3つとの間での組合せを取ることで、図16に示すカテゴリQN04-1〜QN04-6(QN08〜QN13)が得られる。
QN04-1(QN08)は「仕様書、給油制御ソフト」、QN04-2(QN09)は「仕様書、動力切替ソフト」、QN04-3(QN10)は「図面、給油制御ソフト」、QN04-4(QN11)は「図面、動力切替ソフト」、QN04-5(QN12)は「仕様書、ハイブリッドエンジン」、QN04-6(QN13)は「図面、ハイブリッドエンジン」である。
これらのカテゴリQN08〜QN13は、情報分類階層に存在しないため、これらのカテゴリのレコードを、カテゴリDB02に記録する。カテゴリ生成部08は、これらのレコードの新規カテゴリフラグの項目にTRUEを記録し、また上位カテゴリIDの項目に、上位のカテゴリのIDを記録する。
カテゴリ評価部10は、カテゴリ制御部09を用いて、カテゴリQN04-1〜QN04-6(QN08〜QN13)のパターン適合値をそれぞれ計算し、カテゴリDB02におけるカテゴリQN08〜QN13のレコードのパターン適合値項目に加算する。各カテゴリのパターン適合値は以下のようになる。
QN04-1(QN08)「仕様書、給油制御ソフト」:2点
QN04-2(QN09)「仕様書、動力切替ソフト」:1点
QN04-3(QN10)「図面、給油制御ソフト」:1点
QN04-4(QN11)「図面、動力切替ソフト」:0点
QN04-5(QN12)「仕様書、ハイブリッドエンジン」:1点
QN04-6(QN13)「図面、ハイブリッドエンジン」:0点
次に、カテゴリ生成部08は、図12の経路パターン401から、図15、図16および図17に示すようにカテゴリを生成する。経路パターン401は一段抽象化されたものである。
まず、図12のノードPN05からカテゴリ生成を行う。ノードPN05のタグ(設計情報)に付されたリンクは「追加」である。したがって、ルールAに従って、「設計情報」を一段特殊化することにより、「設計成果物」、「性能諸元」を取得し、それぞれをタグとするノード(カテゴリ)QN05,QN14を生成する(図15,図17参照)。「設計成果物」は既存のカテゴリCA01と同一であるため、カテゴリDB02に新たにレコードの追加は行われない。「性能諸元」は新たなカテゴリであるため、カテゴリDB02に、対応するレコードが追加される。このレコードの新規カテゴリフラグの項目にTRUEを記録し、また上位カテゴリIDの項目に、上位のカテゴリのIDを記録する。「設計成果物」、「性能諸元」はいずれも「設計情報」の特殊化であるため、カテゴリ評価部10ではそれぞれ1点が計算され、該当するレコード(CA01、QN14)のパターン適合値項目に、計算された点が加算される。
次に、図12のノードPN06からカテゴリ生成を行う。ノードPN06にはタグPT12(設計情報の)およびタグPT13(自動車)が付与されており、タグPT12のリンクは「維持」、タグPT13のリンクは「追加」である。ただし、タグPT13は、カテゴリ生成の際、置換禁止である(図13参照)。
前述のルールA,Bに従って、ノードPN06を処理することで、図15のノードQN06、図17のノードQN15が生成される。
具体的に、上位ノードQN05のタグ「設計成果物」を維持し、「自動車」を追加することで、ノードQN06が生成される。つまり、ノードQN06のタグの1つは、上位ノードQN05のタグと同じ「設計成果物」であり、もう一つは、置換禁止のためノードPN06のタグPT13と同じ「自動車」となる。
ノードQN06は、既存のカテゴリCA02と同じであるため、カテゴリDB02に新たなレコードを追加しない。また、カテゴリ評価部10は、ノードQN06のパターン適合値を2点として算出する。これは、「設計成果物」は、生成元カテゴリ(生成元ノード)PN06におけるタグPT12「設計情報」の特殊化であり、「自動車」は、生成元カテゴリ(生成元ノード)PN06におけるタグPT13「自動車」と同一であるためである。カテゴリ評価部10は、カテゴリ制御部09を用いて、カテゴリQN06(CA02)のパターン適合値(=2)を、カテゴリDB02におけるレコード(CA02)のパターン適合値項目に加算する。
また上位ノードQN14のタグ「性能諸元」を維持し、「自動車」を追加することで、ノードQN15が生成される。つまり、ノードQN15のタグの1つは、上位ノードQN14のタグと同じ「性能諸元」であり、もう一つは、置換禁止のため、生成元ノードPN06のタグPT13と同じ「自動車」となる。
ノードQN15は新たなカテゴリであるため、カテゴリDB02に、カテゴリQN15のレコードが追加される。カテゴリ生成部08は、このレコードの新規カテゴリフラグの項目にTRUEを記録し、また上位カテゴリIDの項目に、上位のカテゴリのIDを記録する。また、カテゴリ評価部10は、ノードQN15のパターン適合値を2点として算出する。これは、「性能諸元」は、生成元カテゴリ(生成元ノード)PN06のタグPT12「設計情報」の特殊化であり、「自動車」は、生成元カテゴリ(生成元ノード)PN06のタグPT13「自動車」と同一であるためである。カテゴリ評価部10は、カテゴリ制御部09を用いて、カテゴリQN15のパターン適合値(2点)を、カテゴリDB02におけるレコード(QN15)のパターン適合値項目に加算する。
次に、図12のノードPN07からカテゴリ生成を行う。ノードPN07にはタグPT14(設計情報)およびタグPT15(ハイブリッド車)が付与されており、タグPT14のリンクは「維持」、タグPT15のリンクは「特殊」である。ただし、タグPT15は、カテゴリ生成の際、置換禁止である(図13参照)。
前述のルールB,Cに従って、ノードPN07を処理することで、図15のノードQN07、図17のノードQN16が生成される。
具体的に、図15の上位ノードQN06のタグ「設計成果物」を維持し、「ハイブリッド車」を固定することで、ノードQN07が生成される。つまり、ノードQN07のタグの1つは、上位ノードQN06のタグと同じ「設計成果物」である。もう一つは、置換禁止のため生成元ノードPN07のタグPT15と同じ「ハイブリッド車」となる。
ノードQN07は、経路パターン400に対して生成されたノードQN03と同じであるため、カテゴリIDをQN03からQN07に更新する。また、カテゴリ評価部10は、ノードQN07のパターン適合値を2点として算出する。これは、「設計成果物」は、生成元カテゴリ(生成元ノード)PN07のタグPT14「設計情報」の特殊化であり、「ハイブリッド車」は、生成元カテゴリ(生成元ノード)PN07のタグPT15「ハイブリッド車」と同一であるためである。カテゴリ評価部10は、カテゴリ制御部09を用いて、カテゴリQN07のパターン適合値(=2)を、カテゴリDB02におけるレコード(QN07)のパターン適合値項目に加算する(4点に更新される)。
また上位ノードQN15のタグ「性能諸元」を維持し、「ハイブリッド車」を固定することで、ノードQN16が生成される。つまり、ノードQN16のタグの1つは、上位ノードQN15のタグと同じ「性能諸元」であり、もう一つは、置換禁止のため生成元ノードPN07のタグPT15と同じ「ハイブリッド車」となる。
ノードQN16は新たなカテゴリであるため、カテゴリDB02に、カテゴリQN16のレコードが追加される。カテゴリ生成部08は、このレコードの新規カテゴリフラグの項目にTRUEを記録し、また上位カテゴリIDの項目に、上位のカテゴリのIDを記録する。また、カテゴリ評価部10は、ノードQN16のパターン適合値を2点として算出する。これは、「性能諸元」は、生成元カテゴリ(生成元ノード)PN07のタグPT14「設計情報」の特殊化であり、「ハイブリッド車」は、生成元カテゴリ(生成元ノード)PN07のタグPT15「ハイブリッド車」と同一であるためである。カテゴリ評価部10は、カテゴリ制御部09を用いて、カテゴリQN16のパターン適合値(2点)を、カテゴリDB02におけるレコード(QN16)のパターン適合値項目に加算する。
次に、図12のノードPN08からカテゴリ生成を行う。ノードPN08にはタグPT16(設計成果物)およびタグPT17(制御系ソフト)が付与されており、タグPT16のリンクは「特殊」、タグPT17のリンクは「部分」である。
前述のルールCに従って、ノードPN08を処理することで、図16のノードQN08〜QN13が生成される。
具体的に、図15の上位ノードQN07のタグ「設計成果物」を特殊化すると、「仕様書」と「図面」が得られる。また上位ノードQN07のタグ「ハイブリッド車」を部分化すると、「給油制御ソフト」、「動力切替ソフト」、「ハイブリッドエンジン」が得られる。よって、前者2つと、後者3つとの間での組合せを取ることで、図16に示すカテゴリ(ノード)QN08、QN09、QN10、QN11、QN12、QN13が得られる。
QN08は「仕様書、給油制御ソフト」、QN09は「仕様書、動力切替ソフト」、QN10は「図面、給油制御ソフト」、QN11は「図面、動力切替ソフト」、QN12は「仕様書、ハイブリッドエンジン」、QN13は「図面、ハイブリッドエンジン」である。
これらのカテゴリQN08〜QN13は、経路パターン400に対して生成されたカテゴリQN04-1〜QN04-6と同じであるため、カテゴリIDを、QN04-1〜QN04-6から、QN08〜QN13へ更新する。また、カテゴリ評価部10は、カテゴリ制御部09を用いて、カテゴリQN08〜QN13のパターン適合値をそれぞれ計算し、カテゴリDB02におけるカテゴリQN08〜QN13のレコードのパターン適合値項目に加算する。各カテゴリのパターン適合値は以下のようになる。
QN04-1(QN08)「仕様書、給油制御ソフト」:2点
QN04-1(QN09)「仕様書、動力切替ソフト」:2点
QN04-3(QN10)「図面、給油制御ソフト」:2点
QN04-4(QN11)「図面、動力切替ソフト」:1点
QN04-5(QN12)「仕様書、ハイブリッドエンジン」:1点
QN04-6(QN13)「図面、ハイブリッドエンジン」:1点
これらの値が、経路パターン400に対して計算されたパターン適合値と加算されるため、更新後の値は以下のようになる。
QN04-1(QN08)「仕様書、給油制御ソフト」:2+2=4点
QN04-1(QN09)「仕様書、動力切替ソフト」:1+2=3点
QN04-3(QN10)「図面、給油制御ソフト」:1+2=3点
QN04-4(QN11)「図面、動力切替ソフト」:0+2=2点
QN04-5(QN12)「仕様書、ハイブリッドエンジン」:1+1=2点
QN04-6(QN13)「図面、ハイブリッドエンジン」:0+1=1点
一方、図17のノードQN16のタグ「ハイブリッド車」を部分化すると、「給油制御ソフト」、「動力切替ソフト」、「ハイブリッドエンジン」が得られるが、タグ「性能諸元」の特殊化はできない。図2のオントロジー100に示されるように、性能諸元の下位概念は定義されていないからである。したがって、ノードQN16の下位のカテゴリは生成されない。
(ステップ0007)出力部11が、カテゴリ検索部07を用いて、カテゴリDB02における情報分類階層のカテゴリを取得し、図19に示すように、情報分類階層管理画面にカテゴリのデータを表示する。
情報分類階層表示部31には、図18のカテゴリテーブル220の内容が表示されている。この後、ユーザがカテゴリを選択し、追加承認ボタン33または削除承認ボタン32によって、情報分類階層の編集(カテゴリの追加承認、カテゴリの削除)を行う。
たとえば追加承認の指示がなされたカテゴリは、カテゴリ制御部09が、カテゴリDB02の新規カテゴリフラグの値をTRUEからFALSEに変更し、また出力部11は、当該カテゴリの枠を点線から実線に変更してもよい。また削除の指示がされたカテゴリは、カテゴリ制御部09が、当該カテゴリに対応するレコードをカテゴリDB02から削除し、出力部11は、画面から当該カテゴリの表示を消去してもよい。
図21を用いて、経路解析データ生成(図20のステップ0004)のフローの動作シーケンスを説明する。ここでは、図8に示す経路データ300から、図9に示す経路解析データ301を生成する過程を例に説明する。この説明において、特別な記述がない限り動作の主体は経路パターン抽出部06である。
(ステップ1001)経路データ300の最上位カテゴリCA01を選択する。
(ステップ1002)選択した最上位カテゴリCA01に対応する、経路解析データのノードCA01を生成する。
(ステップ1003)カテゴリ検索部07を用い、カテゴリCA01に付与されているタグが参照する「設計成果物」を取得し、取得した「設計成果物」と同一の概念を表すタグをノードCA01に付与する。付与したタグのIDを「T01」とする。また、経路IDを「A300」、所属カテゴリIDを「CA01」とする。図10の経路解析データテーブル302に、タグID「T01」、経路ID「A300」、所属カテゴリID「CA01」、参照概念「設計成果物」のレコードを記録する。
(ステップ1004)カテゴリCA01に上位カテゴリが存在するか検査し、存在しないため、ステップ1006に進む。
(ステップ1006)タグT01に設定するリンクの種類として「追加」を決定する。
(ステップ1007)タグT01に対して決定されたリンク種類「追加」を、ノードCA01のレコードのリンク種類項目に記録する。
(ステップ1008)経路データ300に、カテゴリCA01の下位のカテゴリが存在するか検査する。下位のカテゴリCA02が存在するため、ステップ1009に進む。
(ステップ1009)下位のカテゴリCA02を選択する。
(ステップ1002)選択したカテゴリCA02に対応する、経路解析データのノードCA02を生成する。
(ステップ1003)カテゴリ検索部07を用い、カテゴリCA02に付与されているタグが参照する「設計成果物」および「自動車」を取得する。取得した「設計成果物」および「自動車」のそれぞれと同一の概念を参照するタグをノードCA02に、それぞれタグID「T02」、「T03」として付与する。また経路IDを「A300」、所属カテゴリIDを「CA02」と決定する。タグID「T02」、経路ID「A300」、所属カテゴリID「CA02」、参照概念「設計成果物」のレコードと、タグID「T03」、経路ID「A300」、所属カテゴリID「CA02」、参照概念「自動車」のレコードとを、図10の経路解析データテーブル302に記録する。
(ステップ1004)カテゴリCA02に上位カテゴリが存在するか検査する。上位カテゴリとしてカテゴリCA01が存在しているため、ステップ1005に進む。
(ステップ1005)ステップ1003で付与したタグに対してリンク種類を同定する。タグID「T02」のタグが参照する概念「設計成果物」に対しては「維持」が同定される。「T03」のタグが参照する概念「自動車」に対しては、「追加」が同定される。リンク種類同定の手順の詳細は、後に図22を用いて説明する。
(ステップ1007)ステップ1005で同定されたリンク種類を、図10の経路解析データテーブル302に記録する。ここでは、T02のリンク種類として「維持」、T03のリンク種類として「追加」が、経路解析データテーブル302に記録される。
以下、同様に繰り返し、最後に、経路データ300に含まれる末尾のカテゴリCA04を対象に経路解析データテーブル302を更新する。この後、ステップ1008にて、カテゴリCA04の下位カテゴリが存在しないと判断されて、本経路解析データ生成フローが終了する。
図22にリンク種類同定フローの動作シーケンスを示す。ここでは、図9の経路解析データ301におけるノードCA03を対象として、その上位のノードCA02との間でリンク種類を同定する場合を述べる。この説明において、特別な記述がない限り、動作の主体は、経路パターン抽出部06である。
(ステップ2001)リンクを同定するノードとしてノードCA03を受け取り、ノードCA03に付与されたタグのID「T04」と「T05」を取得する。「T04」は設計成果物、「T05」はガソリン車を表す。
(ステップ2002)リンクを同定するノードの上位ノードCA02に付与されたタグのID「T02」と「T03」を取得する。「T02」は設計成果物、「T03」は自動車を表す。
(ステップ2003)上位ノードに付与されたタグの中に、リンクを同定すべきノード(ここではCA03)のタグと同じ概念を参照するものが存在するかを検査する。
T04のタグが参照する概念「設計成果物」は、T02のタグが参照する概念と一致するため、T04のタグについては、ステップ2004に進む。一方、T05のタグが参照する概念「ガソリン車」は、T02のタグが参照する「設計成果物」とも、T03が参照する「自動車」とも異なるので、ステップ2005に進む。
(ステップ2004)T04のタグのリンク種類を「維持」に決定する。
(ステップ2005)オントロジー検索部05を用いて、T05のタグが参照する概念「ガソリン車」を関係元概念または関係先概念として含む関係を、図4の関係テーブル120から取得する。そのような関係が存在しなければ、ステップ2007に進む。
ここでは関係R05、R06、R07、R28、R29が取得される。これらの関係のうち、上位ノードCA02におけるタグ T02が参照する「設計成果物」、もしくはタグ T03が参照する「自動車」を関係先概念または関係元概念として含む関係を検出する。この結果、関係R05が検出される。
(ステップ2006)関係R05において、タグ T05が参照する概念(ガソリン車)に紐付けされている関係種類(ここでは関係先種類)を取得し、取得した関係種類を、タグ T05のリンク種類として決定する。ここでは、関係R05のガソリン車に紐付けされている関係先種類は「特殊」であるため、T05のタグのリンク種類を、「特殊」に決定する。
(ステップ2007)T04とT05の各タグは、それぞれリンク種類が同定されたため、本例では何も行われない。もしステップ2004または2006でリンク種類が同定されなかったタグが存在する場合は、本ステップで、そのタグに対し、リンク種類として、「追加」を決定する。
図23を用いて、経路パターン生成フロー(図20のステップ0005)の動作シーケンスを説明する。ここでは、図9の経路解析データ301から、図11の経路パターン400および図12の経路パターン401を生成する過程を例に説明する。この説明において、特別な記述がない限り動作の主体は経路パターン抽出部06である。
(ステップ3001)経路解析データ300と同じ構成の経路パターンを生成し、生成した経路パターンを所定の記憶手段に記録する。このとき記録する経路パターンには、IDが与えられる。ここではID「P400」が与えられる。既に述べたように、経路パターンは経路パターンテーブル402(図13参照)の形式で記録される。
この段階では、経路パターンとして、テーブルにおける経路パターンIDが「P400」のレコード群(パターンタグIDが「PT01」〜「PT07」の行)が記録される。ただし、この段階において、抽象度と置換禁止フラグと抽象化禁止フラグの値は未定である。また記録されたレコードのうち参照概念が「ハイブリッド車」のレコード(パターンタグIDがPT05のレコード)において、現段階では、参照概念は「ハイブリッド車」ではなく、まだ「ガソリン車」となっている。
(ステップ3002)ステップ3001で記録した経路パターン400で用いられている全てのタグについて、抽象度を0、置換禁止フラグをFALSE、抽象化禁止フラグをFALSEとして、経路パターンテーブル402に記録する。
(ステップ3003)経路パターンで用いられているタグが参照する概念のうち、比較概念になっている概念を、ユーザ指定概念に置き換え、置換禁止フラグをTRUE、抽象化禁止フラグをTRUEに設定する。本例では、T05が示す概念「ガソリン車」が比較概念である。したがって、この「ガソリン車」を、ユーザ指定概念「ハイブリッド車」に置換し、置換禁止フラグをTRUE、抽象化禁止フラグをTRUEに設定する(図13のパターンタグIDがPT05のレコードを参照)。
(ステップ3004)経路解析データに含まれるタグが参照する概念のうち、比較概念の(直接・間接を問わず)下位概念を、ユーザ指定概念に置換し、抽象化禁止フラグをTRUE、置換禁止フラグをFALSEに設定する。ここではそのような下位概念は存在しないため次のステップに進む。ステップ3004に該当する例については後に第2の補足例において述べる。
(ステップ3005)経路解析データ301に含まれる概念のうち、ユーザ指定概念またはその全ての上位概念のうちのいずれかに等しい概念を参照するタグに対して、置換禁止フラグをTRUE、抽象化禁止フラグをTRUEに設定する。本例では、T03が示す概念「自動車」は、ユーザ指定概念「ハイブリッド車」の上位概念であるため、「自動車」のタグに対して、
置換禁止フラグをTRUE、抽象化禁止フラグをTRUEに設定する(図13のパターンタグIDがPT03のレコードを参照)。
(ステップ3006)経路解析データ301に含まれるタグの中で、置換禁止でないタグ(置換禁止フラグがFALSEのタグ)を取得する。ここでは、「設計成果物(T01)」、「設計成果物(T02)」、「設計成果物(T04)」、「仕様書(T06)」、「給油制御ソフト(T07)」が取得される。
(ステップ3007)ステップ3006で取得したタグが参照する概念もしくはその上位概念のうち、ユーザ指定概念もしくはその上位概念と兄弟概念に相当するものが存在するかを検査する。存在する場合は、その概念を検出し、ステップ3008に進み、存在しない場合は、ステップ3009に進む。
本例では、ユーザ指定概念は「ハイブリッド車」であるため、「ハイブリッド車」もしくは上位概念と兄弟概念にあたるものが、「設計成果物(T01)」、「設計成果物(T02)」、「設計成果物(T04)」、「仕様書(T06)」、「給油制御ソフト(T07)」の中に存在するか検査する。本例では存在しないため、ステップ3009に進む。
(ステップ3008)ユーザ指定概念もしくはその上位概念のうち、ステップ3007で検出された概念の兄弟に相当する概念を特定し、ステップ3007で検出された概念を、特定した概念へ置換する。そして置換後の概念に対し、TRUEの抽象化禁止フラグを設定する(置換禁止フラグはFLASEのままである)。ステップ3007,3008に該当する例については後に第1補足例および第2補足例において述べる。
(ステップ3009)現在の経路パターンを、経路パターンテーブル420に記録する。ただし、本ステップの1回目の処理では、ステップ3001で経路パターンが記録済みのため、記録は行わないものとする。
次に、現在の経路パターンの複製を生成する。本例では、経路パターン400の複製として、経路パターン401を生成する。この複製は、パターンタグID「PT01」〜「PT07」を、それぞれ「PT11」〜「PT17」に置き換え、また、経路パターンIDを全て「P401」としたものである。
(ステップ3010)生成した経路パターン401のうち、抽象化禁止フラグがFALSEのタグのIDを取得する。ここでは「PT11」、「PT12」、「PT14」、「PT16」、「PT17」が取得される。
(ステップ3011)取得したタグが参照する概念「設計成果物(PT11)」、「設計成果物(PT12)」「設計成果物(PT14)」、「仕様書(PT16)」、「給油制御ソフト(PT17)」の全ての概念について、これらを一般化した(1段抽象化した)概念が存在するか、オントロジー検索部05を用いて検査する。
(ステップ3012)ステップ3011で存在すると判断されたとき、ステップ3010で取得したタグが参照する概念の全てを、一般化した概念に置き換える。ここでは、上記の「設計成果物(PT11)」、「設計成果物(PT12)」「設計成果物(PT14)」、「仕様書(PT16)」、「給油制御ソフト(PT17)」は、それぞれ「設計情報(PT11)」「設計情報(PT12)」「設計情報(PT14)」「設計成果物(PT16)」「制御系ソフト(PT17)」に置き換えられる。そして、「PT11」、「PT12」、「PT14」、「PT16」、「PT17」の各タグについて抽象度の値に1を加算する(図13参照)。
(ステップ3009)現在の経路パターンを、経路パターンテーブル402に記録する。ここでは、記録される経路パターンは、図12示す経路パターン401である。経路パターン401の内容は、図13に示す経路パターンテーブル402において、パターンタグIDが「PT11」〜「PT17」の行に対応する。
次いで、経路パターン401の複製として、経路パターン402(図示せず)を生成する。この複製は、カテゴリタグIDの「PT11」〜「PT17」を、それぞれ「PT21」〜「PT27」に置き換え、また、経路パターンIDを全て「P402」としたものである。
(ステップ3010)生成した経路パターン402のうち、抽象化禁止フラグがFALSEのタグである「PT21」「PT22」「PT24」「PT26」「PT27」(いずれも図示せず)を取得する。
(ステップ3008)取得したタグが参照する概念について、これらをすべて一般化した概念が存在するかを、オントロジー検索部05を用いて、検査する。しかしながら、「設計情報(PT11, PT12, PT14)」「設計成果物(PT16)」「制御系ソフト(PT17)」のうち、「設計情報」を一般化した概念は定義されていない(図2のオントロジー100を参照)。したがって、オントロジー検索部07からは、「設計情報」を一般化した概念は存在しない旨が返される。
したがって、「PT21」「PT22」「PT24」「PT26」「PT27」の各タグが参照する概念をすべて一般化することは不可能(2段の抽象化は不可能)と判断し、経路パターン生成処理を終了する。
次に、図24を用いて、カテゴリ生成フロー(図20のステップ0006)の動作シーケンスを、説明する。ここでは、図12の経路パターン401からカテゴリを生成する過程を説明する。この説明において、特別な記述がない限り動作の主体はカテゴリ生成部08である。
(ステップ4001)経路パターン最上位のノードを取得する。経路パターン401を用いる本例の場合、ノードPN05が取得される。
(ステップ4002)次に、取得したノードに付与されているタグが参照する概念、当該タグの抽象度、当該タグのリンク種類、およびリンク元タグの概念から、置換候補となる概念を取得する。
本例においては、まずノードPN05に含まれるタグPT11(設計情報)を対象に、置換候補を取得する。タグPT11に対するリンク種類は「追加」であり、リンク元タグは存在せず、抽象度は1(図13参照)であるため、PT11が参照している概念「設計情報」を1回だけ特殊かした概念である「設計成果物」および「性能諸元」を、置換候補として取得する(前述したルールA参照)。
(ステップ4003)取得したノードのタグの中に、置換禁止となっているタグ(置換禁止フラグがTRUEのタグ)が存在するか検査する。存在する場合は、ステップ4004に進み、存在しない場合は、ステップ4005に進む。本例におけるノードPN05の場合、置換禁止となっているタグは存在しないため、ステップ4005に進む。
(ステップ4005)ステップ4002で取得した置換候補のタグを用いて、取得したノードに付与されているタグを置換し、置換後のノードをカテゴリ(候補カテゴリ)として生成および記録する。
本例においてノードPN05からカテゴリを生成する場合、PT11が参照する「設計情報」を置換して生成されるノードは、「設計成果物」のノードQN05(図15参照)と、「性能諸元」のノードQN14(図17参照)である。したがって、ノードQN05、QN14に相当するカテゴリを生成する。ただし、ノードQN05は既に生成されているノードCA01と同一であるため、記録は省略され、ノードQ13に相当するカテゴリのみが記録される。
ノードPN05に付与されているタグは1つであったが、取得したノードに付与されているタグが複数のときは、タグ毎に取得された置換候補のすべての組合せをとり、組合せ毎にカテゴリを生成する。
(ステップ4006)ステップ4002で取得されたノード(カテゴリ)と、その生成元ノード(生成元カテゴリ)とを、カテゴリ評価部10に通知する。カテゴリ評価部10では、当該取得されたノード(カテゴリ)のパターン適合値を算出し、この値を当該ノード(カテゴリ)のパターン適合値に加算する。パターン適合値算出フローの詳細な手順は後述する。
本例ではここでは、まずカテゴリQN05(CA01)と、その生成元ノードPN05とがカテゴリ評価部10に通知される。そして、カテゴリ評価部10で、カテゴリQN05のパターン適合値が算出されて(ここでは1が算出される)、この値がカテゴリQN05(CA01)のパターン適合値に加算される。
同様に、カテゴリQN14と、その生成元ノードPN05とがカテゴリ評価部10に通知される。カテゴリ評価部10で、カテゴリQN14のパターン適合値が算出され(ここでは1が算出される)、この値がカテゴリQN14のパターン適合値に加算される。
(ステップ4007)取得したノードに下位ノードが存在するか検査する。存在しない場合は、カテゴリ生成処理を終了し、存在する場合は、ステップ4008に進む。本例においては、経路パターン401のノードPN05には下位のノードが存在するため、ステップ4008に進む。
(4008)ノードPN05の下位ノードであるノードPN06を取得する。ノードPN06についても、カテゴリ生成およびパターン適合値の計算が行われ(4002〜4006)、次にノードPN07が取得される。
(4002)ノードPN07の各タグPT14、PT15について、置換候補となる概念を取得する。
まずタグPT14(設計情報)を対象に、置換候補を取得する。タグPT14に対するリンク種類は「維持」であり、リンク元タグはPT12の設計情報であるため、同一の概念(設計情報)を置換候補として取得する(前述したルールB参照)。
次に、タグPT15(ハイブリッド車)を対象に、置換候補を取得する。タグPT15に対するリンク種類は「特殊」であり、リンク元タグはPT13の自動車である。従って、自動車を特殊化した概念(ハイブリッド車、ガソリン車、ディーゼル車)を、置換候補として、取得する(前述したルールC参照)。
(4003)ステップ4002で取得したタグPT15の概念(ハイブリッド車)には置換禁止のタグ(置換禁止フラグがTRUEのタグ)が付されているため、ステップ4004に進む。
(ステップ4004)ステップ4002で当該PT15の概念に対して取得した置換候補の中に、置換禁止タグが参照する概念、またはその上位概念が存在するか検査する。存在しない場合は、この時点で、カテゴリ生成処理を終了する。存在する場合は、ステップ4005に進む。ここでは、置換候補(ハイブリッド車、ガソリン車、ディーゼル車)の中に、PT15のハイブリッド車が含まれるため、ステップ4005に進む。
以下、同様の処理を繰り返すことで、図12の経路パターン401からは、図15、図17のようなカテゴリが生成され、その都度、カテゴリテーブル220が更新され、最終的に図18に示す状態になる。
なおステップ4004の意図を簡単に説明する。カテゴリ生成時には、経路パターンの最上位ノードから順にカテゴリを生成してき、上位のノードで生成したカテゴリの概念から変化の仕方(特殊、維持など)を辿って得られる概念を、次の(下位の)カテゴリ生成で利用する。このとき、下位のカテゴリで既に「この概念が用いられなければならない」という制約があれば(すなわちタグ置換が禁止)、この概念が、その制約を満たしているか検査しなければならない。この概念が制約を満たしていなければ(4004のNO)、これ以上のカテゴリ生成は、中止する。
次に、図25を用いて、パターン適合値算出フロー(図24の4004)の動作シーケンスを説明する。ここでは、図12の経路パターン401におけるノードPN08から生成した、図16のカテゴリQN08について、そのパターン適合値を算出する過程を例に説明する。
(ステップ5001)評価対象となるカテゴリとして、図16のカテゴリQN08を、カテゴリテーブル220(図18参照)から取得する。また、カテゴリQN08の生成元ノードとして、図12の経路パターン401におけるノードPN08を経路パターンテーブル402(図13参照)から取得する。
(ステップ5002)評価対象のカテゴリQN08のタグが参照する概念である「仕様書(C22)」と「給油制御ソフト(C17)」を取得する。また、経路パターン401のノードPN08のタグが参照する概念である「設計成果物(C21)」と「制御系ソフト(C16)」を取得する。
(ステップ5003)カテゴリQN08のタグが参照する「仕様書(C22)」について、それと同じもしくは一般化した概念が、経路パターン401のノードPN08に存在するか否かを、オントロジー検索部05を用いて、調べる。
オントロジー100の関係テーブル120によると、「設計成果物(C21)」は「仕様書(C22)」を一般化した概念である。また、「制御系ソフト(C16)」は「給油制御ソフト(C17)」を一般化した概念である。
(ステップ5004)ステップ5003の条件を満たすタグの数(2点)をパターン適合値として計算し、計算した値を、カテゴリテーブル220におけるパターン適合値項目に加算する。
なお、カテゴリQN08(「給油制御ソフト 仕様書」)については、図11の経路パターン400のノードPN04を生成元ノードとするノードQN04からも同一のカテゴリが得られる。したがって、これについても同様にパターン適合値(2点)が計算され、上記と同様にこの値が、カテゴリQN08に対応するパターン適合値項目に加算される。したがって、図18のカテゴリテーブル220に示すように、カテゴリQN08のパターン適合値は、合計4点となる。
(第1補足例)
以下、図23の経路パターンの生成フローに対する理解を深めるため、これまで述べた実施例と異なる例を用いて、説明する。
本第1補足例で用いるオントロジーは、図26に示すオントロジー100Aであるとする。図2のオントロジー100に対し、「ジェット機」の特殊化として、「JA-01」が追加されている。
また本第1補足例で用いる情報分類階層は、図27に示す情報分類階層200Aであるとする。情報分類階層200Aでは、図5の情報分類階層200に対し、カテゴリCA06「飛行機、設計成果物」の下位に、カテゴリCA07「ジェット機、設計成果物」が設けられている。
ユーザ指定概念は、「ハイブリッド車」であるとする。
比較概念は、比較概念選択部04から、ユーザ選択に基づき、「ジェット機」を選択したとする。
経路パターン抽出部06により、経路データとして、{CA01,CA06,CA07}が生成される。従って、この経路データから、経路解析データが、図28に示すように生成される。そして、図28の経路解析データから、図23のフローに従って、抽象度0の経路パターンを生成する。
まず、図23のステップ3001、3002の初期処理を経て、ステップ3003では、経路解析データにおいて、比較概念「ジェット機」のタグが、ユーザ指定概念「ハイブリッド車」のタグに置換される。なお、「ハイブリッド車」のタグは、抽象化禁止および置換禁止に設定される。
ステップ3004では、比較概念「ジェット機」の下位概念{を参照する/に対応する}タグが処理対象の経路に存在しないため、何も行わない。
ステップ3005では、経路解析データに、ユーザ指定概念「ハイブリッド車」と同一概念もしくはその上位概念を参照する概念は存在しないため、何も行わない。
ステップ3006では、経路解析データから、置換禁止でない(置換禁止フラグがFALSEである)タグを取得する。ここでは、先頭ノードの「設計成果物」、2番目のノードの「飛行機」、「設計成果物」、3番目のノードの「設計成果物」が取得される。
ステップ3007では、取得された概念の中に、ユーザ指定概念「ハイブリッド車」もしくはその上位概念に対し、兄弟関係にある概念があるかどうかを検査する。「飛行機」が、「ハイブリッド車」の上位概念である「自動車」と兄弟関係にある。
従って、ステップ3008では、「飛行機」を、「自動車」に置換する。「自動車」のタグには抽象化禁止を設定する(抽象化禁止フラグをTRUEにする。置換禁止フラグはFALSEである)。
これにより図29に示すような抽象度0の経路パターンが生成される。
ここで、ステップ3007、3008で行った置換の基本的な考え方を説明する。
図30に、ステップ3007、3008で行う処理の意味を説明するためのオントロジーを示す。
ステップ3007、3008では、たとえばユーザ指定概念を概念Dとした場合、b1・b2→B、c1・c2・c3→C、d→Dのような置換を、抽象度0の経路パターンの生成時に行うものである。
このような置換を行うとともに、置換後の概念の抽象化を禁止することで、不要なカテゴリの生成を減らし、必要なカテゴリのみの生成を行う可能性を高めることができる。また必要なカテゴリに対して、より高いパターン適合値を得ることが可能になる。
(第2補足例)
本第2補足例では、第1補足例とは別の例を用いた場合を示す。
本第2補足例で用いるオントロジーは、図31に示すオントロジー100Bであるとする。図26のオントロジー100Aに対し、「ハイブリッド車」の特殊化として、「HC-01」が追加されている。
また本第2補足例で用いる情報分類階層は、図32に示す情報分類階層200Bであるとする。情報分類階層200Bでは、図27の情報分類階層200Aに対し、カテゴリCA07「ジェット機、設計成果物」の下位に、カテゴリCA08「JA-01、設計成果物」が設けられている。また情報分類階層200AのカテゴリCA01「設計成果物」が、カテゴリCA10「設計対象、設計成果物」に変更されている。
ユーザ指定概念は、「ハイブリッド車」であるとする。
比較概念は、比較概念選択部04から、ユーザ選択に基づき、「ジェット機」を選択したとする。
経路パターン抽出部06により、経路データとして、{CA10,CA06,CA07,CA08}が生成される。従って、この経路データから、経路解析データが、図33に示すように生成される。そして、図33の経路解析データから、図23のフローに従って、抽象度0の経路パターンを生成する。
まず、図23のステップ3001、3002の初期処理を経て、ステップ3003では、経路解析データにおいて、「ジェット機」のタグが、「ハイブリッド車」のタグに置換される。なお、「ハイブリッド車」のタグは、抽象化禁止および置換禁止に設定される。
ステップ3004では、経路解析データにおいて、比較概念「ジェット機」の下位概念として「JA-01」が存在するため、「JA-01」のタグを、ユーザ指定概念である「ハイブリッド車」に置換する。この「ハイブリッド車」のタグは、抽象化禁止に設定される(置換禁止フラグはFALSEのままである。この理由は後述する)。
ステップ3005では、経路解析データに、ユーザ指定概念「ハイブリッド車」と同一概念もしくはその上位概念を参照する概念が存在するか検査する。「設計対象」が「ハイブリッド車」の上位概念であるため、「設計対象」のタグを、置換禁止および抽象化禁止に設定する(置換禁止フラグおよび抽象化禁止フラグをいずれもTRUEにする)。
ステップ3006では、経路解析データから、置換禁止でない(置換禁止フラグがFALSEである)タグを取得する。ここでは、先頭ノードの「設計成果物」、2番目のノードの「飛行機」、「設計成果物」、3番目のノードの「設計成果物」、4番目のノードの「ハイブリッド車」、「設計成果物」が取得される。
ステップ3007では、取得された概念もしくはその上位概念の中に、ユーザ指定概念「ハイブリッド車」もしくはその上位概念に対し、兄弟関係にある概念があるかどうかを検査する。「飛行機」が、「ハイブリッド車」の上位概念である「自動車」と兄弟関係にある。
従って、ステップ3008では、「飛行機」を、「自動車」に置換する。「自動車」のタグには抽象化禁止を設定する(抽象化禁止フラグをTRUEにする。置換禁止フラグはFALSEである)。
これにより図34に示すような抽象度0の経路パターンが生成される。
ここで抽象度0の経路パターンから、図24のカテゴリ生成フローに従って、カテゴリ生成を行うと、図35に示すようになる。経路パターンの最下位以外の3つのノードからは、それぞれ経路パターンのノードと同一構成のカテゴリが生成される。一方、最下位のノード「ハイブリッド車、設計成果物」から、「HC-01、設計成果物」のカテゴリが生成される。
最下位のノードには置換禁止が設定されたタグは存在しないため(4003のNO)、ステップ4005で、最下位ノードの「ハイブリッド車」を「HC-01」に置換したカテゴリが生成される。このようなカテゴリ生成は、図23のステップ3004で、「JA-01」のタグを、ユーザ指定概念である「ハイブリッド車」に置換した際、「ハイブリッド車」のタグの置換禁止フラグをFALSEにしたから(特殊化を許容したから)、可能になるものである。このようにして必要なカテゴリの生成が達成される。
以上、本実施形態によれば、管理対象としてユーザ入力した概念(ユーザ指定概念)に関する情報分類を、既存の情報分類と共通の仕方で行うことをユーザに支援することが可能になる。
つまり、既存の情報分類階層における情報分類階層の分類構造(フォルダ分類構造)との一貫性を保持しつつ、ユーザ指定概念にかかる情報分類のためのカテゴリ(フォルダ)の追加案を提示できる。特に、特許文献1等の従来技術では、保たれる一貫性の範囲は階層内の1段に限られていたが、本実施形態では、複数階層に渡って、既存の情報分類階層と一貫性を保持しつつ、追加するカテゴリ案を提示することができる。
すなわち、カテゴリの作り方に関する一貫性を保たったまま、情報分類階層を拡張することが可能になる。これにより、ユーザによるフォルダ管理のための意志決定を効率的に支援することができる。
また、本実施形態において、オントロジーで定義された概念は、直接情報を分類する対象としてではなく、情報分類階層のカテゴリが参照する対象として用いられる。本実施形態において、オントロジーで概念を操作することは情報管理で用いることが可能なタグの種類を操作することに相当し,カテゴリを操作することは情報の分類単位を操作することに相当する.したがって、オントロジーの構築・管理作業を、カテゴリ(フォルダ)の構築・管理作業から独立させることができ、情報分類階層の管理コストを低減させることができる。(しかし,オントロジーに相当する概念の階層と情報分類の階層が一体となっている場合,この効果を得る事はできない.)
本実施形態では、0段抽象化パターンおよびn段抽象化パターンを作成したが、必ずしもこれらの両方を作成する必要ななく、いずれか一方のみを作成し、作成した一方のパターンからカテゴリ生成を行ってもよい。すなわち0以上の整数mを用いて、m段抽象化パターンを作成し、m段抽象化パターンからカテゴリを生成してもよい。mを異なる複数の整数に設定して、複数の抽象化パターンを生成してもよい。本実施形態ではmを0と1のそれぞれに設定して、0段抽象化パターンおよびn段抽象化パターンを作成したものである。
また本実施形態では、抽象化禁止フラグを導入し、抽象化パターンの生成の際に、特定の概念については、抽象化を禁止した。これは不要なカテゴリの生成を事前に防ぐためであった。しかしながら、不要なカテゴリが生成されても、最終的にユーザが出力画面で、必要なカテゴリを選択すればよく、抽象化禁止を行わない構成も、十分に意義あるものとして実施可能である。
なお以上に説明した図1の情報分類階層管理装置は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウエアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、図1の装置が備える各要素は、各要素の処理を行う指示を記述したプログラムをコンピュータに実行させることにより実現してもよい。このとき、情報分類階層管理装置は、上記のプログラムをコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、ハードディスク、メモリ装置、光ディスク等の記憶媒体に記憶して、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。また、オントロジーDBおよびカテゴリDBは、上記のコンピュータ装置に内蔵あるいは外付けされたメモリ、ハードディスクもしくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−Rなどの記憶媒体などを適宜利用して実現することができる。