JP2012039911A - siRNAおよびこれを用いたC2GnT−IRNA合成阻害方法ならびに癌治療剤 - Google Patents

siRNAおよびこれを用いたC2GnT−IRNA合成阻害方法ならびに癌治療剤 Download PDF

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力 大山
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Abstract

【課題】正常組織に対しても毒性を有する抗癌剤とは異なる作用機序によって、より副作用の軽い癌治療に資する方法を提供する。
【解決手段】癌細胞の悪性度関連糖鎖コア2Ο−グリカンを合成する糖転移酵素core2−N−acetylglucosaminyltransferase−I:C2GnT−I)のRNA合成を阻害するsiRNA(C2GnTのsiRNA)を癌治療剤に用いる。C2GnTのsiRNAのDNA配列、およびそのantisenseのDNA配列が導入されたプラスミド等のベクターを細胞に導入して、細胞内でsiRNAを産生することができる。
【選択図】図1

Description

本発明はsiRNAおよびこれを用いたC2GnT−IRNA合成阻害方法ならびに癌治療剤に係り、特に、正常組織に対しても毒性を有する抗癌剤とは異なる作用機序によって、副作用の軽い治療を可能とする、siRNAおよびこれを用いたC2GnT−IRNA合成阻害方法等に関する。
抗癌剤は癌細胞を死滅させるための薬剤であり、そのほとんどが化学療法剤である。抗癌剤の作用機序は、癌細胞のDNA合成を抑制したり、増殖を抑制するというものであり、現在、癌治療に広く用いられている。しかし抗癌剤は、正常細胞に対しても細胞毒性があるため、副作用を避けられない。それ故、癌の種類によっては、投与量の限界から、激しい副作用があるにも関わらず、満足のいく治療効果が得られない場合もある。また、比較的治療効果の高い種類の癌であっても、激しい副作用を回避できないことには変わりがない。
また、癌の種類に関わらず、抗癌剤の投与で減数した癌細胞が、抗癌剤継続中であっても再び増加してくることがある。これは、癌細胞が抗癌剤に対して耐性を帯びたためであるが、この場合、抗癌剤投与効果が無くなるだけではなく、逆に命を縮めることにもなりかねない。多剤併用等により耐性を抑える方法も使われているが、効果には限界がある。
したがって一般的には、癌抗癌剤は積極的に採用されているというよりも、他に効果的な治療法が無いために、激しい副作用にも関わらず用いられているというのが現状である。特に広範囲に浸潤した癌や転移した癌、外科手術その他の方法では根治不可能な部位に発生した癌の場合は、延命を図るには抗癌剤治療に頼るしかない。
特許第3456704号公報「新規β1→6N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、そのアクセプター分子であるロイコシアリン、および酵素活性を有するタンパク質のクローニング方法」 なお、ここに開示された技術については、追って本発明との関連で言及する。
このように、激しい副作用を伴う抗癌剤に大きく依存せざるを得ない癌治療の現状を踏まえ、本発明が解決しようとする課題は、正常組織に対しても毒性を有する抗癌剤とは異なる作用機序によって、より副作用の軽い癌治療方法を提供することである。
さて本願発明者らは、上記課題について研究を重ねた結果、癌細胞の悪性度の源になる悪性度関連糖鎖を同定し、その糖鎖を合成する糖転移酵素(core2−N−acetylglucosaminyltransferase−I:C2GnT−I)のRNA合成を阻害するsiRNAを得ることにより、本発明の完成に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
〔その1〕 癌細胞の悪性度関連糖鎖コア2Ο−グリカンを合成する糖転移酵素core2−N−acetylglucosaminyltransferase−I:C2GnT−I)のRNA合成を阻害する、siRNA。
〔その2〕 下記(1)ないし(3)のいずれかの塩基配列からなることを特徴とする、〔その1〕に記載のsiRNA。
(1)5’−GAAUCCUAGUAGUGAUAUU−3’
(2)5’−GUAAAGCUUGAGAUCCUAA−3’
(3)5’−CAAUAGCAUAUUCUAUAGU−3’
〔その3〕 〔その1〕または〔その2〕に記載のsiRNAを用いた、C2GnT−IRNA合成阻害方法。
〔その4〕 〔その1〕または〔その2〕に記載のsiRNAによる癌治療剤。
〔その5〕 〔その1〕または〔その2〕に記載のsiRNAのDNA配列および該siRNAのantisenseのDNA配列が導入されたベクター。
なお、siRNA(small interfering RNA)は、RNA干渉に関与する低分子二本鎖RNAであり、RNA合成を阻害するRNAである。つまり、mRNAの破壊によって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。
ところで、前掲特許文献1にはC2GnTの塩基配列およびアミノ酸配列が開示されている。しかしながら、RNA干渉の利用、つまり転写したmRNAを分解することによって翻訳レベルでC2GnTの発現を抑制する方法については何ら開示されておらず、本願発明において初めて公に提供されるものである。
本発明のsiRNAおよびこれを用いたC2GnT−IRNA合成阻害方法ならびに癌治療剤は上述のように構成されるため、これによれば、抗癌剤とは全く異なる作用機序によって、より副作用の軽い癌治療を行うことができる。また、抗癌剤との併用によって、副作用の軽減効果および治療効果がさらに優れた癌治療を実現することができる。
YTSC2KDなど各細胞株におけるC2GnTおよびGAPDHの各mRNA量を示すグラフである。 YTSC2KD、YTS各細胞株におけるC2GnT酵素活性を示すグラフである。 YTSC2KD、YTS各細胞の増殖曲線を示すグラフである。 YTSC2KD、YTS各細胞の肺転移アッセイ結果を示すグラフである。 YTSC2KD、YTS各細胞の細胞障害活性の測定結果を示すグラフである。
本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明を構成する発明群の中で、その基礎となる原理的発明は、癌細胞の悪性度関連糖鎖コア2Ο−グリカンを合成する糖転移酵素core2−N−acetylglucosaminyltransferase−I:C2GnT−I)のRNA合成を阻害するsiRNA、つまり「C2GnTのsiRNA」である。その作用機序は、下記<1>〜<3>のとおりである。
<1 悪性度の高い癌細胞>
悪性度の高い癌細胞では、悪性度関連糖鎖を合成する糖転移酵素であるところのC2GnTの発現によって合成された悪性度関連糖鎖コア2Ο−グリカンが、細胞表面に大量に存在する。C2GnTを発現した癌細胞は悪性度が高く、さらに合成されたコア2Ο−グリカンには、NK細胞による攻撃から癌細胞を防御する働きがある。このためコア2Ο−グリカンを持つ癌細胞は、本来浸潤能が高く、さらに宿主のNK細胞による攻撃から逃れる性質があるため、体内で生存しやすくなり、総じて悪性度が高くなる。
<2 C2GnTのsiRNAを投与>
かかるコア2Ο−グリカンが存在する癌細胞に、C2GnTに対するsiRNAを与える。すると、当該癌細胞の細胞核の中で、C2GnTのsiRNAはRNA干渉の現象を起こす。つまり、siRNAはC2GnTのmRNAを分解し、C2GnTの発現を抑制する。その結果この癌細胞は、コア2Ο−グリカンを合成することができなくなる。
<3 癌細胞の悪性度低下と癌細胞死滅>
コア2Ο−グリカンを合成することができなくなった癌細胞は、浸潤能や転移能を失う。さらに、それだけではなく、宿主のNK細胞の攻撃から逃れることができなくなり、結局、癌細胞はNK細胞の攻撃により死滅する。以上が、本発明「C2GnTのsiRNA」の作用機序である。
本発明「C2GnTのsiRNA」は、具体的には、下記(1)ないし(3)のいずれかの塩基配列のものを用いることができる。
(1)5’−GAAUCCUAGUAGUGAUAUU−3’
(2)5’−GUAAAGCUUGAGAUCCUAA−3’
(3)5’−CAAUAGCAUAUUCUAUAGU−3’
本発明「C2GnTのsiRNA」により、C2GnT−IRNA合成阻害方法は、具体的には当該siRNAを用いた癌治療剤により実現できる。また、siRNAの産生については、C2GnTのsiRNAのDNA配列、およびそのantisenseのDNA配列が導入されたプラスミド等のベクターを細胞に導入して、細胞内でsiRNAを産生させればよい。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明がかかる実施例に限定されるものではない。なお実施例は、本願発明者による実験の概要を記すものである。
<1 実験方法>
<1−1 C2GnTのRNA干渉のための塩基配列>
候補配列として、以下の3種類を選択した。
(1)5’−GAAUCCUAGUAGUGAUAUU−3’
(2)5’−GUAAAGCUUGAGAUCCUAA−3’
(3)5’−CAAUAGCAUAUUCUAUAGU−3’
また、siRNA効果の検討のためには、以下の2本鎖RNAを細胞に導入して、C2GnTの発現の抑制を調べた。
5’−GAAUCCUAGUAGUGAUAUUTT−3’
3’−TTCUUAGGAUCAUCACUAUAA−5’
なお、両鎖の3’末端のTTは、additional配列である。
安定発現株の樹立に際しては、
GATCCGAATCCTAGTAGTGATATTTAGTGCTCCTGGTTGAATATCACTACTAGGATTCTTTTTTA
というDNAの配列をもったプラスミドを細胞に導入して、細胞内でsiRNAを産生させた。この配列中、最初の下線が付されている部分は、上述の候補配列(1)のDNA配列であり、また2番目の下線が付されている部分は、候補配列(1)のantisnseのDNA配列である。
ちなみに、対照のsiRNA(sense配列)は、次のとおりである。
5’−CAGUAAAAUGCGGUUCUCG−3’
<1−2 高転移性膀胱癌細胞株YTS−1のC2GnT発現抑制株、およびそのコントロール細胞株の作製>
6ウェルプレートにYTS−1細胞5x10個/ウェルで細胞を播種し、24時間培養したのち、TA0470−1プラスミド(C2GnT siRNA発現プラスミド)、および、pBAsi hU6 Neoプラスミド(scrambled control siRNA発現プラスミド)を、Lipofectamine2000試薬を用いて細胞に導入した。24時間後、細胞を回収し、1/20 〜 1/640量の細胞を新しい6cmディッシュに播種した。5時間培養したのち、選択薬剤Geneticinを最終濃度200μg/mlになるように添加し、薬剤選択を開始した。以後、3〜4日ごとに培地交換しながら、遺伝子導入細胞の選択を行った。薬剤選択開始13日目から、増殖してきた細胞のコロニーをクローニングリングによりピックアップした。各遺伝子導入細胞は、2〜4x10個まで増殖させたのち、凍結保存液を用いて細胞ストック、および、リアルタイムPCR解析用サンプルの調製を行い、−80℃保存した。
<1−3 高転移性膀胱癌細胞株YTS−1のC2GnT発現抑制株、およびそのコントロール細胞株におけるC2GnTmRNAのRT−PCRによる定量>
YTS−1細胞の各安定発現株細胞3〜5x10cellsより、FastPure RNAキットを用いてtotal RNAを抽出した。約50μlのRNA溶液を得た。各total RNAサンプルを10ng/μlに調製し、これらを鋳型にrandomプライマーを用いて逆転写反応を行い、cDNAを得た。得られた各cDNAサンプルを鋳型にCore2GnT遺伝子、および、GAPDH遺伝子に対するReal Time−PCRプライマーを用いてリアルタイムPCR装置Thermal Cycler Dice Real Time Systemにて定量リアルタイムPCR測定を行った。リアルタイムPCRの結果から、Core2GnT遺伝子、および、GAPDH遺伝子の発現相対量を求めた。YTS−1(parent)細胞における各遺伝子の相対発現量を100とし、YTS(scramble control siRNA発現株)、および、YTSC2KD(C2GnT siRNA発現株)における、GAPDH遺伝子の発現相対量、および、Core2GnT遺伝子の発現相対量を求めた。
<1−4 コア2b−1,6−N−アセチルグルコサミニルトランスフェレース(C2Gnt)活性の測定>
C2GnT活性測定は、HでラベルされたUDP−[H]−N−acetylglucosamine(UDP−[H]−GlcAc)を基質とし、パラニトロフェノール標識オリゴ糖(p−nitrophenyl−Galb1−3GalNAc)への[H]−GlcAcの転移反応を測定することで行った。
細胞を、0.4%TritonX−100、15mMNaClで破砕し、16000gで遠心分離した後、その上清を粗酵素抽出液とした。反応液の組成は、
50mM MES、
pH7.0,18.5GBq UDP−[H]−N−acetylglucosamine(UDP−[H]−GlcAc)(PerkinnElmer)、
1mM UDP−GlcNAc、
0.1M GlcNAc、
10mM EDTA、
1mM p−nitrophenyl−Galb1−3GalNAc(Toronto Research Chemicals)
であり、これに、粗酵素抽出液(250mg protein)を加え、37℃で1時間反応を行った。反応後、反応液をSepPakC18カラム(Waters)に通し、反応生成物であるp−nitrophenyl−Galb1−3([H]−GlcNAcb1−6)GalNAcをカラムに吸着させ、その後、メタノールで生成物を溶出させ、溶出画分の放射活性を液体シンチレーションカウンターによって測定した。酵素活性は、粗酵素抽出液の1mgタンパク質が、1時間に転移したGlcNAcのモル数で表した。
<1−5 高転移性膀胱癌細胞株YTS−1のC2GnT発現抑制株、およびそのコントロール細胞株の増殖能の測定>
細胞数は、Cell Counting Kit−8(同仁化学)を用いて計数した。この測定法は、生細胞の脱水素酵素活性に基づく。各細胞を、96穴プレートに1000cells/wellで播種した。その後、各時間毎に脱水素酵素活性を測定した。
細胞を含む96穴プレートのウェルに10mlのCell Counting Kit−8の測定用溶液(CCK−8溶液)を加え、4時間呈色反応を行い、マイクロプレートリーダーEIA READER Model12550(BIO−RAD)で450nmの吸光度を測定した。脱水素酵素活性(吸光度)と細胞数は比例関係にあるため、細胞の増殖を吸光度の増加で表した。
<1−6 マウスを用いた肺転移アッセイ>
細胞をserum−freeのRPMI−1640培地に、2×10cells/mlの濃度で懸濁した。細胞懸濁液100ml(2×10cells)を、日本クレア社の7週齢のメスのBalb/cヌードマウス(nu/nu)に、マイクロシリンジ(NIPRO0.5ml)と、23G×13mm(NIPRO)の注射針を使って、尾静脈から注入した。3週間後、各マウスの体重を測定後、マウスをサクリファイスし、肺を摘出し、重量を測定した。その後、肺を10%ホルマリンで固定した。培地のみを注入したマウスの肺重量を対照とし、細胞を注入した各マウスの肺重量の対照に対する増加分を計算し、これを各細胞の肺転移として表した。
<1−7 NK細胞による細胞障害活性の測定>
細胞障害活性は、Promega社のキット、CytoTox 96 Non−Radioactive Cytotoxicity Assayを用いて行った。このキットは、NK細胞によって障害を受けたターゲット細胞から漏出してくるLactate Dehydrogenase(LDH)の活性を測定することで、細胞障害活性を評価するものである。
末梢血50mlから、Ficoll(Pharmacia)の密度勾配遠心によって単球画分を得た。この単球画分をグラスウールカラム(和光)に通し、吸着しなかった画分を回収し、この画分に含まれるNK細胞を0.2mg/mlのIL−2(和光)で3日間刺激して、エフェクター細胞として用いた。エフェクター細胞と、ターゲット細胞である膀胱癌細胞を96穴プレートで37℃、4時間インキュベートした。インキュベート後、上清を回収し、上清中に細胞から漏出してきたLDHの活性をCytoTox 96 Non−Radioactive Cytotoxicity Assayを用いて測定した。ターゲット細胞中の全LDH活性に対し、細胞障害によって漏出してきたLDH活性の割合を計算し、細胞障害活性を表した。
<2 実験結果>
<2−1 高転移性膀胱癌細胞株YTS−1のC2GnT発現抑制株、およびそのコントロール細胞株の作製>
上記<1−2>に述べた方法により、各遺伝子導入細胞の細胞ストックおよび、リアルタイムPCR解析用サンプルを調製、凍結保存した。
<2−2 高転移性膀胱癌細胞株YTS−1のC2GnT発現抑制株、およびそのコントロール細胞株におけるC2GnTmRNAのRT−PCRによる定量>
図1は、YTSC2KDなど各細胞株におけるC2GnTおよびGAPDHの各mRNA量を示すグラフである。図示するように、C2GnTに対するsiRNA(siC2GnT)を発現する細胞株、コントロールのsiRNA(siControl)を発現する細胞株、および、親株であるYTS−1(Parent)、それぞれの間で、ハウスキーピング遺伝子であるグリセロアルデヒド脱水素酵素(GAPDH)のmRNA量には、有意な差は認められなかった。
これに対し、C2GnTに対するsiRNA(siC2GnT)を発現する細胞株では、コントロールのsiRNA(siControl)、および親株YTS−1(Parent)を発現する細胞株に比べて、C2GnTのmRNA量が著しく低下していた。C2GnTに対するsiRNA(siC2GnT)は、C2GnT発現を効率よく抑制したことがわかった。C2GnTに対するsiRNAを発現する細胞株の代表として一つを選び、コントロールのsiRNAを発現する細胞株としてはNega.poolを選び、それぞれを、YTSC2KD、YTSと呼び、以下の実験に用いた。
<2−3 コア2b−1,6−N−アセチルグルコサミニルトランスフェレース(C2Gnt)活性の測定>
図2は、YTSC2KD、YTS各細胞株におけるC2GnT酵素活性を示すグラフである。図示するように、YTSC2KDではYTSに比べて、C2Gnt活性が著しく低下していた。このことによって、C2GnTに対するsiRNA(siC2GnT)がC2GnT発現を効率よく抑制したことが、C2GnT活性によっても確認された。
<2−4 高転移性膀胱癌細胞株YTS−1のC2GnT発現抑制株、およびそのコントロール細胞株の増殖能の比較>
図3は、YTSC2KD、YTS各細胞の増殖曲線を示すグラフである。図示するように、両者の増殖には有意な差は見られなかった。C2GnTの発現量は、細胞の増殖能には全く影響を及ぼしていないことがわかった。
<2−5 マウスを用いた肺転移アッセイ>
図4は、YTSC2KD、YTS各細胞の肺転移アッセイ結果を示すグラフである。図示するように、細胞をマウス尾静脈から注入した場合、YTSC2KDはYTSC2KDに比べて肺転移が低かった。このことは、YTSC2KDの方がYTSに比べてマウス内で生き残りにくいことを意味し、C2GnTの発現を抑えると、YTSC2KDはマウスの免疫システムによって排除されやすくなることがわかった。
<2−6 NK細胞による細胞障害活性の測定>
図5は、YTSC2KD、YTS各細胞の細胞障害活性の測定結果を示すグラフである。図示するように、YTSC2KDはYTSに比べて、NK細胞による細胞障害活性が高かった。膀胱癌細胞では、C2GnTの発現を抑えるとNK細胞の攻撃による障害を受けやすくなることがわかった。このことが、YTSC2KDの方がYTSに比べて肺転移が低くなる主要な原因であると考えられる。
本発明のsiRNAおよびこれを用いたC2GnT−IRNA合成阻害方法等によれば、激しい副作用を伴う抗癌剤に大きく依存せざるを得ない従来の癌治療の現状を改善することができる。つまり、副作用の軽い癌治療が可能となるため、医療関連産業上の利用性が高い発明である。

Claims (5)

  1. 癌細胞の悪性度関連糖鎖コア2Ο−グリカンを合成する糖転移酵素core2−N−acetylglucosaminyltransferase−I:C2GnT−I)のRNA合成を阻害する、siRNA。
  2. 下記(1)ないし(3)のいずれかの塩基配列からなることを特徴とする、請求項1に記載のsiRNA。
    (1)5’−GAAUCCUAGUAGUGAUAUU−3’
    (2)5’−GUAAAGCUUGAGAUCCUAA−3’
    (3)5’−CAAUAGCAUAUUCUAUAGU−3’
  3. 請求項1または2に記載のsiRNAを用いた、C2GnT−IRNA合成阻害方法。
  4. 請求項1または2に記載のsiRNAによる癌治療剤。
  5. 請求項1または2に記載のsiRNAのDNA配列および該siRNAのantisenseのDNA配列が導入されたベクター。













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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9227956B2 (en) 2013-04-17 2016-01-05 Pfizer Inc. Substituted amide compounds

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