JP2012026781A - 地盤変形解析装置、地盤変形解析方法、プログラム - Google Patents

地盤変形解析装置、地盤変形解析方法、プログラム Download PDF

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慶太 阿部
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Abstract

【課題】地下水の影響を考慮した地盤の大変形解析を可能とする地盤変形解析装置等を提供する。
【解決手段】地盤の変形解析を粒子法を用いて行うための地盤解析装置1は、要素領域の要素情報、土粒子と間隙水粒子の粒子情報を記憶する記憶手段と、土粒子と間隙水粒子に対応する要素領域を算出する要素領域算出手段と、節点の土の第1の速度、節点の間隙水の第1の速度を算出する節点速度算出手段と、土粒子と間隙水粒子の位置、ひずみ増分、随伴ひずみ増分を算出する位置・ひずみ増分算出手段と、土粒子のひずみ、土粒子と間隙水粒子の間隙率を算出するひずみ・間隙率算出手段と、土粒子と間隙水粒子の密度、土粒子の間隙水の密度、随伴密度増分を算出する密度算出手段と、土粒子と間隙水の間隙水圧を算出する間隙水圧算出手段と、土粒子の応力を算出する応力算出手段と、を具備する。
【選択図】図3

Description

本発明は地盤変形についての解析を行うための地盤変形解析装置、地盤変形解析方法、プログラムに関する。
堤防や山間地の集水地形では、高い地下水面を有する地盤が多く存在する。これらの地盤では、地震時や豪雨時において、地下水圧の急激な上昇に伴う脆性的な浸透破壊や液状化が生じ、地盤の大変形を伴う災害が多発する。その際、周辺環境の安全性を確保するためには、それらの災害による被害程度を予測することが重要になる。これらの被害予測には、地盤の変形解析が不可欠である。
このような地盤の変形解析に際しては、従来、有限要素法による変形解析が行われている。このような例が、特許文献1に記載されており、土の構成則の体積変形に抵抗する水の作用を簡便にモデル化し、砂地盤等に対する液状化の影響を考慮した地震応答解析を行うことが記載されている。
特開2006−038455公報
しかしながら、従来用いられているような有限要素法では、地盤の大変形解析に対応できないという問題がある。例えば有限要素法では、要素を形成する節点の移動により地盤の変形を表現するが、要素の大変形により計算の破綻を生じるなどの問題から、地盤が大きく変位する上記のような大変形時の解析に用いることが難しい。
一方、近年、粒子法と呼ばれる、物体の大変形解析に対応可能な手法が開発されてきている。ここでは、粒子法について概略を簡単に説明する。図10は、粒子法のうち、MPM(Material Point Method)と呼ばれる手法の概要を模式的に示した図である。
粒子法は陽解法の時刻歴解析法である。図10(a)に示すように、粒子情報としての物質情報(ラグランジュ変数)を有する個別の粒子100(ラグランジュ粒子)は、空間の要素105上、あるいは要素105間を移動する。粒子100がもつラグランジュ変数である物質情報は、一定時間刻み毎に粒子100の存在する要素105の節点120に内挿関数等を通して集約される。そして、この節点120に対し運動方程式を解いて次ステップでの節点120の速度増分を求める。
この時点で、図10(b)で示すように、節点120の移動により要素105は粒子100を載せながら変形し、粒子100が移動する。また、節点120の物質情報より内挿関数等を通して粒子100の物質情報が更新される。そして、図10(c)に示すように、変形した要素105は次ステップに備え、移動した粒子100を残して再び元の位置に戻される。以上の過程を繰り返し、粒子100は位置を移動するとともに、その物質情報が更新されてゆく。
但し、上記のような地下水の影響を考慮した場合に、粒子法をそのまま用いることはできない。地盤の液状化および圧密等、地下水の影響を考慮した解析では、固液二相系の運動方程式を用いる必要がある。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、地下水の影響を考慮した地盤の大変形解析を可能とする地盤変形解析装置等を提供することを目的とし、本発明者らが鋭意検討し考案した、飽和土または不飽和土を固体と液相の連続体の重ね合わせで表現した式をMaterial Point Method(MPM)を用いて離散化する手法を用いることで、従来のFEM解析では不可能であった大変形時での液状化解析等を行うことを可能としたものである。
前述した目的を達するための第1の発明は、地盤の変形解析を粒子法を用いて行うための地盤解析装置であって、要素領域の要素情報として、少なくとも前記要素領域の識別情報、前記要素領域を形成する節点の位置を記憶し、土粒子および間隙水粒子の粒子情報として、少なくとも粒子の識別情報、位置、質量、密度、応力、間隙水圧、間隙率を記憶する記憶手段と、前記要素情報と、前記土粒子と前記間隙水粒子の位置を基に、前記土粒子と前記間隙水粒子に対応する要素領域を算出する要素領域算出手段と、前記要素領域内について、土の内挿関数を用いて前記土粒子の質量を基に算出した前記節点の土の質量と、土の内挿関数と土の勾配関数を用いて前記土粒子の質量、密度、応力、間隙水圧と接触応力を基に算出した前記節点の土の節点力より、前記節点の土の加速度を算出し、前記節点の土の加速度を基に前記節点の土の第1の速度を算出し、間隙水の内挿関数と間隙水の勾配関数を用いて前記間隙水粒子の質量、密度、間隙水圧、間隙率を基に算出した前記節点の土に対する間隙水の相対速度と、前記節点の土の第1の速度を基に、前記節点の間隙水の第1の速度を算出する節点速度算出手段と、前記要素領域内について、土の内挿関数を用いて、前記節点の土の加速度と前記節点の土の第1の速度を基に前記土粒子の位置、速度を算出し、間隙水の内挿関数を用いて前記節点の間隙水の第1の速度を基に前記間隙水粒子の位置を算出し、土の内挿関数を用いて、前記土粒子の質量、速度、前記節点の土の質量を基に前記節点の土の第2の速度を算出し、前記節点の土の第2の速度と前記節点の土に対する間隙水の相対速度を基に前記節点の間隙水の第2の速度を算出し、土の勾配関数を用いて前記節点の土の第2の速度を基に前記土粒子のひずみ増分を算出し、間隙水の勾配関数を用いて前記節点の間隙水の第2の速度を基に前記間隙水粒子のひずみ増分を算出し、土の勾配関数と間隙水の勾配関数を用いて、前記節点の土の第2の速度と前記節点の土に対する間隙水の相対速度を基に随伴ひずみ増分を算出する位置・ひずみ増分算出手段と、前記要素領域内について、前記土粒子のひずみ増分を基に前記土粒子のひずみを算出し、前記土粒子の体積ひずみを基に前記土粒子の間隙率を算出し、前記土粒子の間隙率と前記土粒子の数を基に前記間隙水粒子の間隙率を算出するひずみ・間隙率算出手段と、前記要素領域内について、前記土粒子と前記間隙水粒子のひずみ増分を基に前記土粒子と前記間隙水粒子の密度を算出し、前記間隙水粒子の密度と前記間隙水粒子の数を基に前記土粒子の間隙水の密度を算出し、前記随伴ひずみ増分、前記間隙水粒子の密度、前記土粒子の間隙水の密度、前記土粒子の密度を基に随伴密度増分を算出する密度算出手段と、前記要素領域内について、前記土粒子の間隙水の密度、前記土粒子の間隙率、前記間隙水粒子の密度と間隙率、前記随伴密度増分を基に、前記土粒子と前記間隙水の間隙水圧を算出する間隙水圧算出手段と、前記要素領域内について、前記土粒子のひずみ増分を基に前記土粒子の応力を算出する応力算出手段と、を具備することを特徴とする地盤変形解析装置である。
前記随伴ひずみ増分は、前記節点の土の速度より前記間隙水の勾配関数を用いて算出される、土の変形に伴う前記間隙水粒子のひずみ増分である第1のひずみ増分と、前記節点の土に対する間隙水の相対速度より前記土の勾配関数を用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による土粒子のひずみ増分である第2のひずみ増分と、前記節点の土に対する間隙水の相対速度より前記間隙水の勾配関数を用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による間隙水粒子のひずみ増分である第3のひずみ増分とを含み、前記随伴密度増分は、前記第2のひずみ増分と前記土粒子の間隙水の密度とを用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみによる土粒子の間隙水の密度増分である第1の密度増分と、前記第3のひずみ増分と前記間隙水粒子の密度とを用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみによる間隙水粒子の間隙水の密度増分である第2の密度増分と、前記土粒子のひずみ増分と前記土粒子の間隙水の密度を用いて算出される、土のひずみ増分による土粒子の間隙水の密度増分である第3の密度増分と、前記第1のひずみ増分と前記間隙水粒子の密度を用いて算出される、土のひずみ増分による間隙水粒子の間隙水の密度増分である第4の密度増分とを含む。
前述した目的を達するための第2の発明は、要素領域の要素情報として、少なくとも前記要素領域の識別情報、前記要素領域を形成する節点の位置を記憶し、土粒子および間隙水粒子の粒子情報として、少なくとも粒子の識別情報、位置、質量、密度、応力、間隙水圧、間隙率を記憶する記憶手段を具備し、地盤の変形解析を粒子法を用いて行うための情報処理装置が、前記要素情報と、前記土粒子と前記間隙水粒子の位置を基に、前記土粒子と前記間隙水粒子に対応する要素領域を算出する要素領域算出ステップと、前記要素領域内について、土の内挿関数を用いて前記土粒子の質量を基に算出した前記節点の土の質量と、土の内挿関数と土の勾配関数を用いて前記土粒子の質量、密度、応力、間隙水圧と接触応力を基に算出した前記節点の土の節点力より、前記節点の土の加速度を算出し、前記節点の土の加速度を基に前記節点の土の第1の速度を算出し、間隙水の内挿関数と間隙水の勾配関数を用いて前記間隙水粒子の質量、密度、間隙水圧、間隙率を基に算出した前記節点の土に対する間隙水の相対速度と、前記節点の土の第1の速度を基に、前記節点の間隙水の第1の速度を算出する節点速度算出ステップと、前記要素領域内について、土の内挿関数を用いて、前記節点の土の加速度と前記節点の土の第1の速度を基に前記土粒子の位置、速度を算出し、間隙水の内挿関数を用いて前記節点の間隙水の第1の速度を基に前記間隙水粒子の位置を算出し、土の内挿関数を用いて、前記土粒子の質量、速度、前記節点の土の質量を基に前記節点の土の第2の速度を算出し、前記節点の土の第2の速度と前記節点の土に対する間隙水の相対速度を基に前記節点の間隙水の第2の速度を算出し、土の勾配関数を用いて前記節点の土の第2の速度を基に前記土粒子のひずみ増分を算出し、間隙水の勾配関数を用いて前記節点の間隙水の第2の速度を基に前記間隙水粒子のひずみ増分を算出し、土の勾配関数と間隙水の勾配関数を用いて、前記節点の土の第2の速度と前記節点の土に対する間隙水の相対速度を基に随伴ひずみ増分を算出する位置・ひずみ増分算出ステップと、前記要素領域内について、前記土粒子のひずみ増分を基に前記土粒子のひずみを算出し、前記土粒子の体積ひずみを基に前記土粒子の間隙率を算出し、前記土粒子の間隙率と前記土粒子の数を基に前記間隙水粒子の間隙率を算出するひずみ・間隙率算出ステップと、前記要素領域内について、前記土粒子と前記間隙水粒子のひずみ増分を基に前記土粒子と前記間隙水粒子の密度を算出し、前記間隙水粒子の密度と前記間隙水粒子の数を基に前記土粒子の間隙水の密度を算出し、前記随伴ひずみ増分、前記間隙水粒子の密度、前記土粒子の間隙水の密度、前記土粒子の密度を基に随伴密度増分を算出する密度算出ステップと、前記要素領域内について、前記土粒子の間隙水の密度、前記土粒子の間隙率、前記間隙水粒子の密度と間隙率、前記随伴密度増分を基に、前記土粒子と前記間隙水の間隙水圧を算出する間隙水圧算出ステップと、前記要素領域内について、前記土粒子のひずみ増分を基に前記土粒子の応力を算出する応力算出ステップと、を行うことを特徴とする地盤変形解析方法である。
前記随伴ひずみ増分は、前記節点の土の速度より前記間隙水の勾配関数を用いて算出される、土の変形に伴う前記間隙水粒子のひずみ増分である第1のひずみ増分と、前記節点の土に対する間隙水の相対速度より前記土の勾配関数を用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による土粒子のひずみ増分である第2のひずみ増分と、前記節点の土に対する間隙水の相対速度より前記間隙水の勾配関数を用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による間隙水粒子のひずみ増分である第3のひずみ増分とを含み、前記随伴密度増分は、前記第2のひずみ増分と前記土粒子の間隙水の密度とを用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみによる土粒子の間隙水の密度増分である第1の密度増分と、前記第3のひずみ増分と前記間隙水粒子の密度とを用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみによる間隙水粒子の間隙水の密度増分である第2の密度増分と、前記土粒子のひずみ増分と前記土粒子の間隙水の密度を用いて算出される、土のひずみ増分による土粒子の間隙水の密度増分である第3の密度増分と、前記第1のひずみ増分と前記間隙水粒子の密度を用いて算出される、土のひずみ増分による間隙水粒子の間隙水の密度増分である第4の密度増分とを含む。
前述した目的を達するための第3の発明は、情報処理装置を、第1の発明の地盤変形解析装置として機能させるためのプログラムである。
上記構成により、土粒子と間隙水粒子の2種類の粒子を用いて粒子法により地盤変形の解析を行う。粒子法を用いることにより地盤の大変形解析を行うことが可能になり、土粒子と間隙水粒子の2種類の粒子を用いることで、水面の任意の形状を表現することが可能になる。各粒子の粒子情報は、時刻暦計算において上記の処理を行うことにより順次更新され、その結果により、地下水も含む地盤の挙動を明らかにすることができる。これにより、従来の手法では困難であった、地下水の影響を考慮した地盤の大変形解析を行うことができる。
本発明により、地下水の影響を考慮した地盤の大変形解析を可能とする地盤変形解析装置等を提供することができる。
地盤変形解析装置1のハードウェア構成を示す図 土粒子100aと間隙水粒子100bについて示す図 地盤変形解析装置1による地盤変形解析方法の全体の流れを示すフローチャート 地盤変形解析装置1による地盤変形解析方法の流れを示すフローチャート 地盤変形解析装置1による地盤変形解析方法の処理について示す図 地盤変形解析装置1による地盤変形解析方法の流れを示すフローチャート 地盤変形解析装置1による地盤変形解析方法の流れを示すフローチャート 地盤変形解析装置1による地盤変形解析の例を示す図 地盤変形解析装置1による地盤変形解析の例を示す図 粒子法の概要を示す図
以下、図面を参照しながら、本発明の地盤変形解析装置等の実施形態について説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態の地盤変形解析装置1のハードウェア構成について説明する。
地盤変形解析装置1は、例えば、制御部11、記憶部13、メディア入出力部15、周辺機器I/F部17、通信部21、入力部23、表示部25等がバス19を介して接続されて構成される情報処理装置である。
制御部11は、CPU、ROM、RAM等により構成される。CPUは、記憶部13、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス19を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部11が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
記憶部13は、ハードディスクドライブであり、制御部11が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、オペレーティング・システム等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部11により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。記憶部13には、後述する地盤変形解析処理に係るプログラム、データ等が格納される。
メディア入出力部15(ドライブ装置)は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行う。
周辺機器I/F(インタフェース)部17は、周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部17を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部17は、USB等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
通信部21は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク等との通信を媒介する通信インタフェースであり、通信制御を行う。
入力部23は、例えば、キーボード、マウス等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、入力されたデータを制御部11へ出力する。
表示部25は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部11の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。
バス19は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
前述したように、高い地下水面を有する地盤では、地震時や豪雨時において、地下水圧の急激な上昇に伴う脆性的な浸透破壊や液状化が生じ、地盤の大変形を伴う災害が多発する。これらの被害予測には、地盤の変形解析が不可欠であり、従来、有限要素法による変形解析が行われている。しかし、地盤の変形解析に従来用いられているような有限要素法では、地盤の大変形解析に対応することが困難である。
本発明の地盤変形解析装置1は、上記のような問題を解決し、粒子法の一種であるMPMを地下水の影響を考慮した地盤の大変形解析に適合させ、地盤の浸透破壊や液状化等にも適用可能な処理を行うものである。以下、その処理について図2等を用いて説明する。以下示す各処理は、予め記憶部13等に記憶されたプログラム、データ等を制御部11のCPUが読み出すことにより、地盤変形解析装置1により実行される。
本実施形態の地盤変形解析装置1の行う処理においては、図2(a)に示すように節点120により形成されるオイラー格子内の領域である要素105の要素領域、および土を表す粒子100aと間隙水を表す粒子100bを用いて地盤の固液二相系のモデル化を行う。当該モデルにおいて図3等のフローに示す計算処理を行うことにより、水面の任意の形状を表現することを可能としている。また、土、間隙水の各粒子100a、100bは、ラグランジュ変数である粒子情報110として、図2(b−1)に示すように、粒子の識別情報である粒子番号と紐付いて、粒子の位置する要素番号、位置、速度、応力、ひずみ、密度、質量、間隙水圧、間隙率等の情報を有し、この粒子情報110がRAMまたは記憶部13に記憶されている。
図3に示す全体のフローでは、特に、間隙水を表す粒子がもつ間隙水圧から求めた圧力勾配より格子点での間隙水の流速をダルシー則より求め、次に、格子点での間隙水の流速より各粒子のひずみを求める。この際、体積ひずみについては各格子の中心点で求める選択積分法を用いることで解析を安定化させることができる。各粒子のひずみより圧力変化量を求め,次ステップに向け圧力を更新する。最後に更新した各粒子の圧力を格子点での内力に含むことで間隙水圧の影響を考慮した解析を行うことが可能となる。
図3に地盤変形解析装置1による地盤変形解析方法におけるアルゴリズムの全体のフローを示す。なお、以降の下付き文字について、sは土を、wは間隙水を表すものとする。
図3に示すように、まず、ステップS100において、計算に必要な初期値の入力など、計算に係る初期条件の設定を行う。
即ち、はじめに時刻歴計算を始める前の処理が必要となる。ここでは、位置X(k)={x(k)、y(k)}(kは時刻ステップ数を表す)、速度v(k)={vxp(k)、vyp(k)}、応力σ(k)=σij p(k)、ひずみε(k)=εij p(k)および密度ρ(k)、間隙水圧p(k)、質量m等の初期値(k=0)を各粒子100a、100bを示す識別情報である粒子番号と紐付けて入力し、これらをRAM、あるいは記憶部13に記憶する。
なお、質量mについては、
の関係がある。V=L/n であり、Lは要素領域(オイラー格子内領域)の面積、nはオイラー格子一辺あたりの粒子の個数である。質量mは時刻歴計算中不変の値となる。
なお、後述する計算処理に必要な定数や、弾塑性モデル等履歴依存性をもつモデルを用いた場合はそれに必要な係数等の初期値も同様にステップS100で設定しRAM等に記憶する。
また、各要素105の要素領域の設定も行われている。各要素領域は、節点120により形成され、例えば図2(b−2)に示すように、この要素領域を形成する節点120を識別する節点番号が、各要素領域を識別する要素番号、および各要素領域についての後述する局所節点番号と紐付けて記憶される。また、各節点番号は、図2(b−3)に示すように、その位置と紐付けて記憶される。以上の情報は、要素情報111としてRAMや記憶部13等に記憶される。なお、本実施形態では、各節点120はオイラー格子を形成し、要素領域は矩形状の領域となっている。
次に、ステップS110では、粒子の位置にかかる諸計算が行われる。ステップS110における処理を示したものが、図4(a)である。
まず、ステップS111において、土粒子および間隙水粒子の位置と要素情報に基づき、土粒子および間隙水粒子のそれぞれに対応する要素領域(要素番号)を算出し、これを粒子情報110として記憶、または更新する。これにより各要素領域に位置する粒子が特定され、例えば要素番号と紐付けて粒子番号を記録することもできる。
例えば図5(a)に示すように、座標位置x、yの粒子の要素番号は、x、y方向について、それぞれ(x−X)/L+1、(y−Y)/L+1を計算し、その整数部分として算定できる。各粒子について、この要素番号を記録する。ここで、X、Yは要素番号(1、1)の要素領域の左下の節点の座標、L、Lはx、yそれぞれの方向の要素領域長さである。
また、ステップS112において、要素領域内の土粒子および間隙水粒子の数が算出される。例えば、所定の要素番号を有する粒子の数を集計し算出することにより、各要素領域に含まれる粒子の数が算出される。
ここで、以降の処理において用いる、各粒子の粒子情報に基づき節点の物理情報を求める、あるいはその逆の計算を行うための内挿関数および勾配関数について説明する。
今、粒子pがある要素領域に存在しているとする。図5(b)に示すように、内挿関数等の計算を行うために、全体座標系(x、y軸)より局所座標系(ζ、η軸)への変換を行い、変換後の要素をアイソパラメトリック正方要素とすることを考える。局所座標系に変換した要素領域の局所節点番号は図5(b)や図2(b−2)の番号1〜4に示すように各要素領域について予め定められており、粒子pの座標X(k)={x(k)、y(k)}の関数として内挿関数S(X(k))(=Sip(k))およびその勾配関数∇Sip(k)(=Gip(k)={Gxip(k)、Gyip(k)})が次式に示すように計算される。ここで、iは、局所節点番号である。
ここで、
である。x、yはそれぞれ、アイソパラメトリック正方要素の局所座標系の原点の全体座標系における位置を示す。l、lはそれぞれ、アイソパラメトリック正方要素の全体座標系におけるx軸方向、y軸方向の長さの1/2の値である。以上の内挿関数ならびに勾配関数は、上記した各粒子の粒子位置ならびに各粒子が位置する要素領域の要素情報に基づき求めることができる。
図3に戻って、ステップS120では、要素領域内について、節点の物理情報として、節点の土の加速度を算出し、これにより節点の土の第1の速度を算出する。ステップS120における処理を示したものが、図4(b)である。
まず、ステップS121において、土粒子について求めた内挿関数である土の内挿関数を用いて、要素領域内の土粒子の質量より節点の土の質量を算出する。
即ち、節点の土の質量msi(k)を、要素領域内の土粒子の質量msp(土)より形状関数Nsip(k)を用いて次式で求める。なお、ここでは、節点の間隙水の質量mwi(k)も同様にして求めている。
ここで、Nsip(k)=N(Xsp(k))=Ssip(k)、Nwip(k)=N(Xwp(k))=Sw ip(k)であり、それぞれ土粒子、間隙水粒子の要素領域についての形状関数を示し、ここではアイソパラメトリック正方要素に基づき計算される内挿関数に等しい。そのため、以降記号NsipやNwipについて内挿関数ということがある。また、N(Nsp、Nwp)は各要素領域に含まれる粒子(土、間隙水)の総数である。Xsp(k)とXwp(k)は、それぞれ土粒子、間隙水粒子の座標である。
また、ステップS122において、土の内挿関数、および、土粒子について求めた勾配関数である土の勾配関数を用いて、土粒子の質量、密度、応力、間隙水圧より節点の土の節点力を算出する。
即ち、土の節点力として、fsi int(k)(内力)およびfsi ext(k)(外力)を土粒子の質量msp、密度ρsp(k)、有効応力σsp(k)、間隙水圧psp(k)より、土の内挿関数、土の勾配関数を用いて次式で求める。
sip(k)が土の勾配関数であり、
である。また、gは粒子の重力加速度であり、τ(k)はMPMにおける粒子の接触応力であり、例えば上載圧のデータに基づき求めることができる。hは接触応力τ(k)が作用している粒子が存在する領域の深さである。
続いて、ステップS123において、節点の土の質量と土の節点力より節点の土の加速度を算出する。即ち、土の節点力である内力および外力、および節点の土の質量を用いて節点の土の加速度asi(k)を以下の運動方程式
により求める。
そして、ステップS124において、節点の土の加速度より節点の土の第1の速度vsi を次式により算出する。Δtは時刻暦計算における各時刻ステップの時間長さであり、予め適切な長さに定めておくことができる。
一方、ステップS130では、要素領域内について、ダルシー則より求めた節点の土に対する間隙水の相対速度v wdi(k)を、間隙水粒子の質量、密度ρwp(k)、間隙水圧pwp(k)、間隙率nwp(k)より、間隙水の内挿関数、間隙水の勾配関数、土の透水係数kを用いて算出する。間隙水の内挿関数、勾配関数は、それぞれ前述のように間隙水粒子について求めた内挿関数、勾配関数である。
即ち、ステップS130では、次式を用いてダルシー則より節点の土に対する間隙水の相対速度v wd i(k)を算出する。
wip(k)が間隙水の勾配関数であり、
である。
次に、ステップS140において、要素領域内について、節点の間隙水の第1の速度vwi を、節点の土の第1の速度vsi と、ダルシー則より求めた節点の土に対する間隙水の相対速度v wd i(k)により次式で算出する。
続いて、ステップS150では、要素領域内について、土、間隙水の粒子の位置、ひずみ増分を算出する。ステップS150における処理を示したものが、図6(a)である。
図6(a)に示すように、まずステップS151において、節点の土の第1の速度、加速度より、土の内挿関数を用いて土粒子の位置Xsp(k+1)、速度vsp(k+1)を次式で算出し、更新する。
また、ステップS152において、節点の間隙水の第1の速度より、間隙水の内挿関数を用いて、間隙水粒子の位置Xwp(k+1)を次式で算出し、更新する。
さらに、ステップS153において、土粒子の質量、速度、節点の土の質量より、土の内挿関数を用いて節点の土の速度(第2の速度)vsi(k+1)を次式により算出し、更新する。
続いて、ステップS154において、節点の間隙水の速度(第2の速度)vwi(k+1)を、節点の土の速度と、節点の土に対する間隙水の相対速度を用いて次式により算出し、更新する。
次に、ステップS155において、土粒子のひずみ増分Δεsp(k+1)を、節点の土の速度より土の勾配関数を用いて算出し、間隙水粒子のひずみ増分Δεwp(k+1)を、節点の間隙水の速度より間隙水の勾配関数を用いて算出する。
即ち、土粒子、間隙水粒子のひずみ増分を次式で算出する。
また、ステップS156において、随伴ひずみ増分として、間隙水粒子の土の変形に伴うひずみ増分(第1のひずみ増分)Δεws p(k+1)を、節点の土の速度と、間隙水の勾配関数を用いて次式より算出する。
さらに、ステップS157において、随伴ひずみ増分として、ダルシー則より求めた土に対する間隙水の相対速度による土粒子のひずみ増分(第2のひずみ増分)Δε swd p(k+1)を、ダルシー則より求めた節点の土に対する間隙水の相対速度v wd i(k)より、土の勾配関数を用いて算出する。
また、ダルシー則より求めた土に対する間隙水の相対速度による間隙水粒子のひずみ増分(第3のひずみ増分)Δε wd p(k+1)を、ダルシー則より求めた節点の土に対する間隙水の相対速度v wd i(k)より、間隙水の勾配関数を用いて算出する。
即ち、ダルシー則より求めた土に対する間隙水の相対速度による土粒子、間隙水粒子のひずみ増分Δε swd p(k+1)、Δε wd p(k+1)を、それぞれ次式より算出する。
ステップS160では、要素領域内について、土粒子のひずみと間隙率を算出する。ステップS160における処理を示したものが、図6(b)である。
まず、ステップS161で、土粒子のひずみεsp(k+1)を、土粒子のひずみ増分Δεsp(k+1)より次式で算出し、更新する。ここでは、間隙水粒子のひずみεwp(k+1)についても、間隙水粒子のひずみ増分Δεwp(k+1)を用いて次式で算出し、更新する。
次に、ステップS162で、土粒子の間隙率nsp(k+1)を土粒子の体積ひずみεsv p(k+1)より次式で算出し、更新する。土粒子の体積ひずみεsv p(k+1)は、例えば土粒子のひずみεsp(k+1)により求めることができる。
続いて、ステップ170では、要素領域内について、間隙水粒子の間隙率nwp(k+1)を、土粒子の間隙率nsp(k+1)と土粒子の数Nspより次式で算出し、更新する。
また、ステップS180において、要素領域内について、土粒子と間隙水粒子の密度、密度増分を算出する。ステップS180における処理を示したものが、図7(a)である。
まず、ステップS181において、土粒子の密度ρsp(k+1)を土粒子のひずみ増分より、間隙水粒子の密度ρwp(k+1)を間隙水粒子のひずみ増分より、それぞれ次式で算出し、更新する。
続いて、ステップS182において、土粒子の間隙水の密度ρsw p(k+1)を、間隙水粒子の密度と、要素領域内の間隙水粒子の数Nwpより、次式で算出する。
また、ステップS183において、随伴密度増分として、ダルシー則より求めた土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみから求まる土粒子の間隙水の密度増分(第1の密度増分)Δρ swd p(k+1)を、土粒子の間隙水の密度と、ダルシー則より求めた土に対する間隙水の相対速度による土粒子のひずみ増分(第2のひずみ増分)Δε swd p(k+1)を用いて算出する。
また、ダルシー則より求めた土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみから求まる間隙水粒子の間隙水の密度増分(第2の密度増分)Δρ wd p(k+1)を、間隙水粒子の密度と、ダルシー則より求めた土に対する間隙水の相対速度による間隙水粒子のひずみ増分(第3のひずみ増分)Δε wd p(k+1)を用いて算出する。
即ち、ダルシー則より求めた土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみから求まる土粒子、間隙水粒子の間隙水の密度増分Δρ swd p(k+1)、Δρ wd p(k+1)をそれぞれ次式より算出する。
一方、ステップS184において、随伴密度増分として、土のひずみ増分から求まる土粒子の間隙水の密度増分(第3の密度増分)Δρsws p(k+1)を、土粒子のひずみ増分と、土粒子の間隙水の密度より算出する。また、土のひずみ増分から求まる間隙水粒子の間隙水の密度増分(第4の密度増分)Δρws p(k+1)を、土の変形に伴う間隙水粒子のひずみ増分(第1のひずみ増分)Δεws p(k+1)と、間隙水粒子の密度を用いて算出する。
即ち、土のひずみ増分から求まる土粒子、間隙水粒子の間隙水の密度増分Δρsws p(k+1)、Δρws p(k+1)を次式より算出する。
次に、ステップS190において、要素領域内について、土粒子、間隙水粒子の間隙水圧を、土粒子の間隙水の密度、土粒子の間隙率、間隙水粒子の密度、間隙率、随伴密度増分(Δρ swd p(k+1)、Δρ wd p(k+1)、Δρsws p(k+1)、Δρws p(k+1))より間隙水の体積圧縮係数を用いて算出する。ステップS190における処理を示したものが、図7(b)である。
まず、ステップS191において、土粒子の間隙水圧増分Δpsp(k+1)を、土粒子の間隙水の密度、随伴密度増分(Δρ swd p(k+1)、Δρsws p(k+1))、土粒子の間隙率より間隙水の体積圧縮係数を用いて算出する。
また、間隙水粒子の間隙水圧増分Δpwp(k+1)を、間隙水粒子の密度、随伴密度増分(Δρ wd p(k+1)、Δρws p(k+1))、間隙水粒子の間隙率より間隙水の体積圧縮係数を用いて算出する。
即ち、土粒子、間隙水粒子の間隙水圧増分Δpsp(k+1)、Δpwp(k+1)を次式より求める。
が間隙水の体積圧縮係数、Iは単位行列である。
次に、ステップS192において、土粒子の間隙水圧psp(k)、間隙水粒子の間隙水圧pwp(k)を、それぞれ土粒子の間隙水圧増分、間隙水粒子の間隙水圧増分より次式で算出し、更新する。
次に、ステップS200において、要素領域内について、土粒子の有効応力σsp(k+1)を算出する。ステップS200における処理を示したものが、図7(c)である。
まず、ステップS201において、土粒子の有効応力増分Δσsp(k+1)を土粒子のひずみ増分より、土粒子の剛性を用いて次式により算出する。
が土の剛性マトリックスである。
続いて、ステップS202において、有効応力増分Δσsp(k+1)により次式で土粒子の有効応力を算出し、更新する。
以降、全時刻ステップでの計算を終えるまで(ステップS210のNo)、kの値をインクリメントした後(ステップS220)、ステップS110に戻って次の時刻暦計算を行う。この処理の過程で、各粒子のもつラグランジュ変数である粒子情報が更新される。例えば、各粒子の位置は、ステップS151、152で更新される。このようにして予め定めた時刻ステップ数だけ時刻暦計算を繰り返して前記時刻暦計算を終了すると(ステップS210のYes)、地盤解析を終了し、表示部25に粒子の位置やひずみ、応力等、各粒子についての諸値を色分けするなどして表示する。なお、1つの時刻ステップにおいて上記の一連の処理を終了すると、上記したようにステップS110に戻り、再度ステップS111で各粒子の位置する要素番号を算出し各要素領域内の粒子を特定するが、この際、各粒子の(元の)要素番号を用いて、各要素領域について、その近傍の要素領域の要素番号を有する粒子のみ当該処理を行うことができ、これにより計算量の低減につながる。
また、上記の一連の処理に適用可能な固液二相系MPMでの境界条件について示す。土粒子に対しては、従来のMPMと同様に境界上での節点の土の速度および加速度を制御する。間隙水粒子に対しては、ダルシー則より求めた節点の土に対する間隙水の相対速度V wdi(k)と節点の間隙水の速度vwi(k)を用いて制御することができる。非排水条件を設定する際は以下の式を境界上の節点で用いる。
ここで、n は境界内側方向を正とする境界に対する法線ベクトルである。排水条件を設定する際は、上式に示した節点の間隙水の速度に対する制御を行わないことで表現できる。
次に、本地盤変形解析手法により、固液二相系MPMを用いた解析例を示す。図8は、本地盤変形解析手法により盛土の浸透破壊の再現解析を行った例である。ここでは、地下水面を有した盛土の大変形解析を行っている。図8において(a)は浸透破壊開始前の状態、(b)は浸透破壊開始より3.0秒後、(c)は浸透破壊開始より5.0秒後、(d)は浸透破壊開始より10.0秒後の解析結果であり、地下水面内に生じる浸透流による水圧の上昇により盛土内の地盤抵抗が減少し、崩壊時に確認される円弧状のせん断ひずみ帯が、時間とともに発達して盛土が大変形する様子が再現されている。
また、図9は、地震時での液状化による開削トンネルの浮き上がりに関する3次元動的解析を行った例である。即ち、地震の際、開削トンネル周辺の地盤に水圧が発生し液状化すると、開削トンネルに浮力が発生し浮き上がる現象が生じる。そこで、本地盤変形解析手法により,地盤内の水圧の影響を加味した解析を行い、地震発生とともに開削トンネルが浮き上がる様子を解析した。図9で(a)は地震前の状態、(b)は地震発生から7.0秒後、(c)は地震後の解析結果であり、従来の解析手法では取扱困難な地表面が盛り上がる大変形領域まで解析できていることがわかる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る地盤変形解析装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………地盤変形解析装置
100………粒子
100a………土粒子
100b………間隙水粒子
105………要素
110………粒子情報
120………節点

Claims (5)

  1. 地盤の変形解析を粒子法を用いて行うための地盤解析装置であって、
    要素領域の要素情報として、少なくとも前記要素領域の識別情報、前記要素領域を形成する節点の位置を記憶し、土粒子および間隙水粒子の粒子情報として、少なくとも粒子の識別情報、位置、質量、密度、応力、間隙水圧、間隙率を記憶する記憶手段と、
    前記要素情報と、前記土粒子と前記間隙水粒子の位置を基に、前記土粒子と前記間隙水粒子に対応する要素領域を算出する要素領域算出手段と、
    前記要素領域内について、土の内挿関数を用いて前記土粒子の質量を基に算出した前記節点の土の質量と、土の内挿関数と土の勾配関数を用いて前記土粒子の質量、密度、応力、間隙水圧と接触応力を基に算出した前記節点の土の節点力より、前記節点の土の加速度を算出し、前記節点の土の加速度を基に前記節点の土の第1の速度を算出し、間隙水の内挿関数と間隙水の勾配関数を用いて前記間隙水粒子の質量、密度、間隙水圧、間隙率を基に算出した前記節点の土に対する間隙水の相対速度と、前記節点の土の第1の速度を基に、前記節点の間隙水の第1の速度を算出する節点速度算出手段と、
    前記要素領域内について、土の内挿関数を用いて、前記節点の土の加速度と前記節点の土の第1の速度を基に前記土粒子の位置、速度を算出し、間隙水の内挿関数を用いて前記節点の間隙水の第1の速度を基に前記間隙水粒子の位置を算出し、土の内挿関数を用いて、前記土粒子の質量、速度、前記節点の土の質量を基に前記節点の土の第2の速度を算出し、前記節点の土の第2の速度と前記節点の土に対する間隙水の相対速度を基に前記節点の間隙水の第2の速度を算出し、土の勾配関数を用いて前記節点の土の第2の速度を基に前記土粒子のひずみ増分を算出し、間隙水の勾配関数を用いて前記節点の間隙水の第2の速度を基に前記間隙水粒子のひずみ増分を算出し、土の勾配関数と間隙水の勾配関数を用いて、前記節点の土の第2の速度と前記節点の土に対する間隙水の相対速度を基に随伴ひずみ増分を算出する位置・ひずみ増分算出手段と、
    前記要素領域内について、前記土粒子のひずみ増分を基に前記土粒子のひずみを算出し、前記土粒子の体積ひずみを基に前記土粒子の間隙率を算出し、前記土粒子の間隙率と前記土粒子の数を基に前記間隙水粒子の間隙率を算出するひずみ・間隙率算出手段と、
    前記要素領域内について、前記土粒子と前記間隙水粒子のひずみ増分を基に前記土粒子と前記間隙水粒子の密度を算出し、前記間隙水粒子の密度と前記間隙水粒子の数を基に前記土粒子の間隙水の密度を算出し、前記随伴ひずみ増分、前記間隙水粒子の密度、前記土粒子の間隙水の密度、前記土粒子の密度を基に随伴密度増分を算出する密度算出手段と、
    前記要素領域内について、前記土粒子の間隙水の密度、前記土粒子の間隙率、前記間隙水粒子の密度と間隙率、前記随伴密度増分を基に、前記土粒子と前記間隙水の間隙水圧を算出する間隙水圧算出手段と、
    前記要素領域内について、前記土粒子のひずみ増分を基に前記土粒子の応力を算出する応力算出手段と、
    を具備することを特徴とする地盤変形解析装置。
  2. 前記随伴ひずみ増分は、前記節点の土の速度より前記間隙水の勾配関数を用いて算出される、土の変形に伴う前記間隙水粒子のひずみ増分である第1のひずみ増分と、前記節点の土に対する間隙水の相対速度より前記土の勾配関数を用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による土粒子のひずみ増分である第2のひずみ増分と、前記節点の土に対する間隙水の相対速度より前記間隙水の勾配関数を用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による間隙水粒子のひずみ増分である第3のひずみ増分とを含み、
    前記随伴密度増分は、前記第2のひずみ増分と前記土粒子の間隙水の密度とを用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみによる土粒子の間隙水の密度増分である第1の密度増分と、前記第3のひずみ増分と前記間隙水粒子の密度とを用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみによる間隙水粒子の間隙水の密度増分である第2の密度増分と、前記土粒子のひずみ増分と前記土粒子の間隙水の密度を用いて算出される、土のひずみ増分による土粒子の間隙水の密度増分である第3の密度増分と、前記第1のひずみ増分と前記間隙水粒子の密度を用いて算出される、土のひずみ増分による間隙水粒子の間隙水の密度増分である第4の密度増分とを含むことを特徴とする請求項1記載の地盤変形解析装置。
  3. 要素領域の要素情報として、少なくとも前記要素領域の識別情報、前記要素領域を形成する節点の位置を記憶し、土粒子および間隙水粒子の粒子情報として、少なくとも粒子の識別情報、位置、質量、密度、応力、間隙水圧、間隙率を記憶する記憶手段を具備し、地盤の変形解析を粒子法を用いて行うための情報処理装置が、
    前記要素情報と、前記土粒子と前記間隙水粒子の位置を基に、前記土粒子と前記間隙水粒子に対応する要素領域を算出する要素領域算出ステップと、
    前記要素領域内について、土の内挿関数を用いて前記土粒子の質量を基に算出した前記節点の土の質量と、土の内挿関数と土の勾配関数を用いて前記土粒子の質量、密度、応力、間隙水圧と接触応力を基に算出した前記節点の土の節点力より、前記節点の土の加速度を算出し、前記節点の土の加速度を基に前記節点の土の第1の速度を算出し、間隙水の内挿関数と間隙水の勾配関数を用いて前記間隙水粒子の質量、密度、間隙水圧、間隙率を基に算出した前記節点の土に対する間隙水の相対速度と、前記節点の土の第1の速度を基に、前記節点の間隙水の第1の速度を算出する節点速度算出ステップと、
    前記要素領域内について、土の内挿関数を用いて、前記節点の土の加速度と前記節点の土の第1の速度を基に前記土粒子の位置、速度を算出し、間隙水の内挿関数を用いて前記節点の間隙水の第1の速度を基に前記間隙水粒子の位置を算出し、土の内挿関数を用いて、前記土粒子の質量、速度、前記節点の土の質量を基に前記節点の土の第2の速度を算出し、前記節点の土の第2の速度と前記節点の土に対する間隙水の相対速度を基に前記節点の間隙水の第2の速度を算出し、土の勾配関数を用いて前記節点の土の第2の速度を基に前記土粒子のひずみ増分を算出し、間隙水の勾配関数を用いて前記節点の間隙水の第2の速度を基に前記間隙水粒子のひずみ増分を算出し、土の勾配関数と間隙水の勾配関数を用いて、前記節点の土の第2の速度と前記節点の土に対する間隙水の相対速度を基に随伴ひずみ増分を算出する位置・ひずみ増分算出ステップと、
    前記要素領域内について、前記土粒子のひずみ増分を基に前記土粒子のひずみを算出し、前記土粒子の体積ひずみを基に前記土粒子の間隙率を算出し、前記土粒子の間隙率と前記土粒子の数を基に前記間隙水粒子の間隙率を算出するひずみ・間隙率算出ステップと、
    前記要素領域内について、前記土粒子と前記間隙水粒子のひずみ増分を基に前記土粒子と前記間隙水粒子の密度を算出し、前記間隙水粒子の密度と前記間隙水粒子の数を基に前記土粒子の間隙水の密度を算出し、前記随伴ひずみ増分、前記間隙水粒子の密度、前記土粒子の間隙水の密度、前記土粒子の密度を基に随伴密度増分を算出する密度算出ステップと、
    前記要素領域内について、前記土粒子の間隙水の密度、前記土粒子の間隙率、前記間隙水粒子の密度と間隙率、前記随伴密度増分を基に、前記土粒子と前記間隙水の間隙水圧を算出する間隙水圧算出ステップと、
    前記要素領域内について、前記土粒子のひずみ増分を基に前記土粒子の応力を算出する応力算出ステップと、
    を行うことを特徴とする地盤変形解析方法。
  4. 前記随伴ひずみ増分は、前記節点の土の速度より前記間隙水の勾配関数を用いて算出される、土の変形に伴う前記間隙水粒子のひずみ増分である第1のひずみ増分と、前記節点の土に対する間隙水の相対速度より前記土の勾配関数を用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による土粒子のひずみ増分である第2のひずみ増分と、前記相対速度より前記間隙水の勾配関数を用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による間隙水粒子のひずみ増分である第3のひずみ増分とを含み、
    前記随伴密度増分は、前記第2のひずみ増分と前記土粒子の間隙水の密度とを用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみによる土粒子の間隙水の密度増分である第1の密度増分と、前記第3のひずみ増分と前記間隙水粒子の密度とを用いて算出される、土に対する間隙水の相対速度による粒子のひずみによる間隙水粒子の間隙水の密度増分である第2の密度増分と、前記土粒子のひずみ増分と前記土粒子の間隙水の密度を用いて算出される、土のひずみ増分による土粒子の間隙水の密度増分である第3の密度増分と、前記第1のひずみ増分と前記間隙水粒子の密度を用いて算出される、土のひずみ増分による間隙水粒子の間隙水の密度増分である第4の密度増分とを含むことを特徴とする請求項3記載の地盤変形解析方法。
  5. 情報処理装置を、請求項1または請求項2に記載の地盤変形解析装置として機能させるためのプログラム。
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