JP2011528243A - 層状接着剤構造を含む身体排泄物捕集機器 - Google Patents

層状接着剤構造を含む身体排泄物捕集機器 Download PDF

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Abstract

【課題】身体排泄物捕集機器を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの接着剤層を含有し、2つの層は、皮膚に対面する接着剤層が、皮膚に対面しない接着剤層よりも性質上、軟質且つ高散逸性である点で異なっている、人間の皮膚に捕集パウチを取り付けるための粘着剤構造を含む身体排泄物捕集機器。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも2つの軟質接着剤層を含有する、人間の皮膚に捕集パウチを取り付けるための粘着剤構造を含む身体排泄物捕集機器に関する。
人間の皮膚に捕集機器を付着させるとき、考慮されるべき必要のある主要な状況は次の通りである:
1) 接着剤の取り付け:接着剤は所定の位置にとどまるべきであり、皮膚又は身体の運動によって外れたり剥がれ落ちたりするべきではない。
2) 接着剤の取り外し:接着剤は、結果として過度の痛み又は皮膚の損傷を招くことなしに容易に取り外されるべきである。
これは、接着剤は所定の位置に良好にとどまるべきであるが、しかし取り外しも容易に行われるべきであるというパラドックスである。今日の解決手段は、両方の状況を受け入れる接着特性において妥協することである。
欧州特許第0437944号明細書には、少なくとも3つの層を備えた層状接着剤構造が開示されている。1つの層は、バッキング層であり、皮膚対面層は接着剤であり、その間の層は任意には接着剤であってよい。この構造の目的は、包帯全体の水蒸気透過率を最大化することであり、重度の浸出液及び外部源からの湿分を有する創傷に使用するのに有利である。
欧州特許第0300620号明細書には、架橋シリコーンの2層構造であって、皮膚対面層が接着剤であるものが開示されている。1つの層だけが接着特性を有しているのに対して、他方の層は弾性的であり、ひいては接着剤の剥離強度に関与することはない。本質的に、架橋シリコーンの第2層は、接着剤のためのバッキングとして作用する。
欧州特許第1527789号明細書には、オストミーのための層状ハイドロコロイド接着ウエハーが開示されている。ウエハー内の接着剤層は両方とも、層内に分散されたかなりな量のハイドロコロイド(HC)粒子を有しており、接着剤層を硬質にするか又は層に高いモジュラスを与えている。
今や驚くべきことに、上記2つの状況を別々に切り離すことにより、所定の位置にとどまる接着剤の能力が、取り外し易さによってさほど影響されないようにする方法が見いだされた。
本発明は、人間の皮膚に捕集パウチを取り付けるための、少なくとも2つの接着剤層を含有する粘着剤構造を含む身体排泄物捕集機器に関する。今や驚くべきことに、2つ又は3つ以上の接着剤層を使用することによって、剥離力と、接着剤の所定の位置にとどまる能力との結びつきを切り離し得ることが判った。これら2つの層は、皮膚に対面する接着剤層が、皮膚に対面しない接着剤層よりも性質上、軟質且つ高散逸性である点で異なっている。図面を参照しながら本発明をさらに詳しく開示する。
図1は、好ましい層状接着ウエハー構造を示す側面図である。
本発明の詳細な説明
本発明の目的は、捕集機器が所定の位置にとどまるように、しかもこの場合、同時に剥離力を高めることなしに、ひいて接着剤を取り外すときに使用者が不快感を持つことなしに、捕集機器を人間の皮膚に固定するための接着剤の能力を高めることである。本発明の捕集機器の粘着剤構造は、少なくとも2つの接着剤層、すなわち皮膚対面層及び中間層を含んでいる。これら2つの層は、両方の層が水蒸気透過性接着剤を含むことで特徴づけられるが、しかし、皮膚対面接着剤層が中間接着剤層よりも軟質である点で異なっている。
接着剤を取り外すために必要とされる剥離力は、基本的には2つの要因に分けることができる:
1) 皮膚と接着剤との間の表面間相互作用エネルギーの放出。このエネルギーは通常小さい。
2) 表面間相互作用放出エネルギーを増幅する接着材料の粘弾性損失。この因数分解は、Gent及びSchultzによって公式化されている:
W=W(1+Φ(T,v))
上記式中、Wは単位界面当たりの接着破壊エネルギーであり、Wは、ゼロ速度における破壊エネルギーであり、そしてΦは、粘弾性損失を特徴づける項である。Tは温度であり、vは剥離速度である。粘弾性損失項Φは、v=0においてΦ=0であり、そうでない場合には正、普通はΦ>>1である。
「所定の位置にとどまる」状況と剥離状況とをこのような文脈で解釈することが可能である。すなわち、接着剤が所定の位置にとどまるためには、剥離は発生しておらず(v=0)、所定の位置にとどまる接着剤の能力は、v=0においてΦ=0として表面間相互作用パラメータWによってのみ支配される。他方では、剥離中、剥離力は、適宜のvにおいてΦ>>1としてWΦ(v,T)によって支配される。このようにこの文脈では、望まれるものは、所定の位置にとどまる良好な能力に対応するための高いWであり、そして比較的低い剥離力を達成するための比較的低いΦである。
粘着剤(PSA)の場合、2つの因子W及びΦは互いの関数であり、同じ材料では独立してコントロールすることはできない。PSAを設計する上での重要なパラメータは、接着剤の軟度であり、Φを低減するためには、接着剤が剥離中にあまり変形しなくなるように、より硬質の、より低散逸性の接着剤が必要となる。しかし、接着剤がより硬質になると、その接着剤はまた強靱になり、支持体(皮膚)に適合しにくくなり、その結果Wが低くなる。
今や驚くべきことに、皮膚対面層が中間層よりも軟質であることを特徴とする、少なくとも皮膚対面接着剤層と中間接着剤層とを含む層状接着剤を構成することにより、所定の位置にとどまる接着剤の能力と、剥離力との結びつきを切り離すことが可能であることが判った。
上記の点から見て、皮膚対面層は皮膚−接着剤相互作用の項Wを支配し、また中間層は、粘弾性損失の項Φを支配する。このように、2つ又は3つ以上の接着剤層を使用することにより、剥離力と、所定の位置にとどまる接着剤の能力の結びつきをかなり低減することができる。
本発明の重要な特徴は、中間層がまだ接着特性を有することである。中間層が接着剤にとって特徴的な機械的散逸特性を欠いていると、その構造は、運動中の身体と一緒に構造が動いている動的状況において所定の位置にとどまる能力を欠くことになる。従って、接着剤層は両方とも、1hzにおいてtan δ>0.25であることを特徴とする接着特性を有していなければならない。
1実施態様によれば、本発明は、身体排泄物捕集機器であって、捕集パウチと、身体に取り付けるための接着ウエハーとを含み、前記接着ウエハーは、バッキング層、少なくとも1つの中間接着剤層、及び皮膚対面接着剤層を含み、該中間接着剤層及び該皮膚対面接着剤層は、不透液性の透湿性軟質接着剤を含み、該皮膚対面接着剤層は、該中間接着剤層よりも高いtanδを有している、身体排泄物捕集機器に関する。
他に指定のない限り、tanδは、0.01hz及び32℃で測定した、損失弾性率と貯蔵弾性率との比である。
身体排泄物捕集機器は、所定の時間にわたって捕集物品内に排出物を捕集して保持することができる機器を意味する。機器は皮膚接着剤によって皮膚に固定することができ、身体排泄物はバッグによって捕集することができる。
不透液性の透湿性層は、液体が層を貫通するのを許さないが、しかし湿分が層を貫通するのは許す層である。
軟質接着剤とは、1hz及び32℃で測定して50000Pa未満の弾性率(モジュラス)Gを有する接着剤を意味する。
本発明の1実施態様の場合、皮膚対面接着剤層及び中間接着剤層は、1hz及び32℃で測定して、50000Pa未満の、好ましくは20000Pa未満の弾性率Gを有している。
本発明の別の実施態様の場合、皮膚対面接着剤層は、0.01hz及び32℃で測定して、中間接着剤層のtanδよりも10%高い、好ましくは20%高いtanδを有している。
tanδは、どの程度良好に接着剤が流動するかの測定値であり、0.01hzで測定される。高いtanδは、より液体様の挙動に相当するのに対して、低いtanδはより弾性的な挙動に相当する。液体様の挙動は、接着剤が皮膚に向かってより良好に流動するのを可能にし、これによりこの接着剤を、より弾性的な挙動を有する接着剤と比較して、皮膚とより良好に接触させる。
本発明の1実施態様によれば、不透液性の透湿性接着剤組成物から成る皮膚対面接着剤層は、ポリアルキレンオキシド、ポリウレタン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、ポリアクリレート、及びこれらの混合物から成る群から選択された透過性ポリマーを含む。
本発明の1実施態様によれば、不透液性の透湿性接着剤組成物から成る中間接着剤層は、ポリアルキレンオキシド、ポリウレタン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、ポリアクリレート、及びこれらの混合物から成る群から選択された透過性ポリマーを含む。
本発明の機器内に使用される接着剤層は、高い水蒸気透過率、好ましくは100g/m/24時間を上回るMVTRを有している。このような高い水蒸気透過率は、接着剤層を呼吸可能にし、そして皮膚に対して極めて優しいものにする。接着剤の高い水蒸気透過率は、医療機器が長時間、例えば数日間にわたって皮膚に取り付けられていなければならない場合に特に有利である。
本発明の1実施態様の場合、不透液性の透湿性接着剤組成物から成る皮膚対面接着剤層及び/又は中間接着剤層の水蒸気透過率は、100g/m/24時間より高く、好ましくは200g/m/24時間よりも高い。
本明細書中に使用される透過性ポリマーとは、平衡状態における吸収率が8重量%未満、好ましくは4%未満であり、そして水蒸気透過率が、150μm厚のポリマー材料膜上で測定して100g/m/24時間よりも高く、好ましくは200g/m/24時間よりも高いポリマーを意味する。
本発明の1実施態様によれば、透過性ポリマーは低吸収性であり、そして平衡状態で8重量%未満、好ましくは4%未満を吸収する。
低吸収性とは、湿分に曝されたときに接着特性を維持するために、接着剤が湿分を少量だけしか吸収してはならないことを意味する。乾燥状態から、生理食塩水との平衡状態に至るまでの重量増加は、本明細書中に開示された方法を用いて測定して、8%未満、好ましくは4%未満であるべきである。
本発明の1実施態様の場合、中間層は、皮膚対面層内に使用される透過性接着剤組成物と同じタイプのポリマー成分を基剤としている。
本明細書中に使用される架橋結合とは、マクロ分子(ポリマー鎖構造)における小さな領域であって、この領域から2つよりも多い鎖が生じるものを意味する。結合は共有結合、物理的結合、又はイオン結合であってよい。
本発明の1実施態様によれば、皮膚対面層及び中間層の透過性接着剤組成物が架橋されている。
架橋メカニズムは2つの層内で同じであってよい。
本発明の別の実施態様において、皮膚対面層の接着剤の架橋度が、中間層の接着剤の架橋度よりも低い。
架橋度は、純粋ポリマー相の永久弾性率Gに対する影響を通して定義され割り出される。架橋結合数nは、等式G=nRTによって定量化される。ここで永久弾性率Gは、低周波数、例えばf=0.001hzで複素弾性率Gを用いて推定される。Rは気体定数であり、Tは温度である。
さらに別の実施態様によれば、皮膚対面層及び中間層の架橋は、同じ架橋化学特性を有している。
架橋化学特性又は化学架橋とは、共有結合による架橋を意味する。
本発明の1実施態様の場合、接着剤組成物は、皮膚に対面する表面に対して垂直の方向に、架橋度の勾配を有している。
接着剤の皮膚対面表面に対して垂直の方向に架橋度の勾配を導入することにより、剥離力を著しく高めることなしに、所定の位置にとどまる良好な能力を得ることが可能であることが今や判った。
1実施態様によれば、本発明は、身体排泄物捕集機器であって、捕集パウチと、身体に取り付けるための接着ウエハーとを含み、前記接着ウエハーは、バッキング層、少なくとも1つの中間接着剤層、及び皮膚対面接着剤層を含み、中間接着剤層及び皮膚対面接着剤層の両方が、化学架橋されており、そして皮膚対面接着剤層は、中間接着剤層よりも低い架橋度を有している、身体排泄物捕集機器に関する。
本発明の好ましい実施態様の場合、接着剤はエチレンビニルアセテートを含む。
エチレンビニルアセテートを含む接着剤は好適には、当業者に知られている接着剤、例えば国際特許出願第PCT/DK2008/050146号明細書に開示されているもののような接着剤組成物であってよい。
本発明の機器の接着剤層は、本発明の好ましい実施態様の場合、ポリアルキレンオキシドポリマー及びオルガノシロキサンを基剤とする架橋接着剤系を含む。
本発明の1実施態様によれば、ウエハーの接着層は、
付加反応触媒の存在において実施される、
(i)1つ又は2つ以上の不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーと、
(ii)1つ又は2つ以上のSi−H基を含むオロガノシロキサンと
の反応の生成物を含む。
本発明の別の実施態様によれば、機器の接着剤組成物は、炭素原子数3又は4以上の重合アルキレンオキシド分から成る、ポリアルキレンオキシドポリマーの90% w/w超を含む。
本発明の別の実施態様によれば、機器の接着剤組成物は、
付加反応触媒の存在において実施される、
(i)少なくとも2つの不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーであって、ポリアルキレンオキシドポリマーの90% w/w超が、炭素原子数3又は4以上の重合アルキレンオキシド分から成る、ポリアルキレンオキシドポリマーと、
(ii)3つ又は4つ以上のSi−H基を含むポリシロキサン架橋剤と、任意には
(iii)最大2つのSi−H基を含むポリシロキサン鎖延長剤と
の反応の生成物を含む。
本発明の好ましい実施態様によれば、付加反応触媒は、Ptビニルシロキサン錯体である。
本発明の好ましい実施態様によれば、ポリアルキレンオキシドポリマーはポリプロピレンオキシドである。
本発明の更なる好ましい実施態様によれば、前記反応生成物中のポリアルキレンオキシドの重量パーセントは60%以上である。
1つ又は2つ以上の不飽和基を有するポリアルキレンオキシドポリマーは、分枝状又は線状であってよい。
しかし、好適には、ポリアルキレンオキシドポリマーは線状であり、2つの不飽和末端基を有している。
本発明の1つの具体的な実施態様の場合、ポリアルキレンオキシドポリマーはポリプロピレンオキシドである。
不飽和末端基を有するポリプロピレンオキシドは、式
CH=C(R)−(Z)−O−(X)−(W)−C(R)=CH (Ia)
又は
CH(R)=CH−(Z)−O−(X)−(W)−CH=CH(R) (Ib)
の化合物であってよく、
上記式中、R及びRは独立して、水素及びC1−6−アルキルから選択されており;Z及びWはC1−4−アルキルであり;Xは−(CH)−O−又は−CH−CH(CH)−O−であり;そしてnは1〜900、より好ましくは10〜600、又は最も好ましくは20〜600である。
不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドの数平均分子量は、好適には500〜100000、より好ましくは500〜50000、そして最も好ましくは1000〜35000である。
不飽和末端基を有するポリプロピレンオキシドは、米国特許第6,248,915号明細書及び国際公開第05/032401号パンフレットに記載されているように、又はこれらの文献に記載された方法と同様に調製することができる。他のポリアルキレンオキシドポリマーを同様に調製することもできる。
3つ又は4つ以上のSi−H基を含むポリシロキサン架橋剤は、好適には、式
R−SiO(R,R)−(SiO(R,R))−Si−(R,R,R) (II)
を有する化合物であり、
上記、基Rのうちの少なくとも3つは水素であり、そして基Rの残余は、それぞれ独立して、C1−12−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C6−14−アリール、及びC7−12−アリールアルキルから選択されており;そしてmは5〜50、又は好ましくは10〜40である。GPCによって測定される数平均分子量は、好適には500〜3000である。
式(II)の1種又は2種以上の架橋剤が、架橋反応において使用されてよい。
本発明の1実施態様の場合、3つ又は4つ以上のSi−H基を含む式(II)の1種又は2種以上の架橋剤と、最大2つのSi−H基を含むポリシロキサン鎖延長剤との混合物が、架橋反応において使用される。
ポリシロキサン鎖延長剤は好適には、式
−SiO(R,R)−(SiO(R,R))−Si−(R,R,R) (III)
を有する化合物であり、
上記式中、基Rのうちの最大2つは水素であり、そして基Rの残余は、それぞれ独立して、C1−12−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C6−14−アリール、及びC7−12−アリールアルキルから選択されており;そしてmは0〜50である。GPCによって測定される数平均分子量は、好適には200〜65000、最も好ましくは200〜17500である。
本明細書中に使用されるC1−12−アルキルは、炭素原子数1〜12の線状又は分枝状アルキル基を意味し、C1−8−アルキルは、炭素原子数1〜8の線状又は分枝状アルキル基を意味し、そしてC1−6−アルキルは、炭素原子数1〜6の線状又は分枝状アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルを意味する。
本明細書中に使用されるC1−4−アルキレンは、炭素原子数1〜4の線状又は分枝状二価アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン及びイソブチレンを意味する。
本明細書中に使用されるC3−8−シクロアルキルは、炭素原子数3〜8の環状アルキル基、例えばシクロペンチル及びシクロヘキシルを意味する。
本明細書中に使用されるC6−14−アリールは、任意にはC1−6−アルキルで置換されたフェニル又はナフチル基、例えばトリル及びキシリルを意味する。
本明細書中に使用されるC7−12−アリールアルキルは、C1−6−アルキル基に結合されたアリールを意味し(C1−6−アルキル基及びアリールは上記の通りである)、例えばベンジル、フェネチル及びo−メチルフェネチルである。
式(II)の化合物及び式(III)の化合物において、水素ではない基R及びRは好適には、それぞれ独立して、基C1−6−アルキル、C6−14−アリール又はC7−12−アリールアルキルの一員から選択される。
Si−H基は、式(II)の化合物のどちらかの末端に配置されていてよい。しかしながら、少なくとも1つのSi−H基は、式(II)の化合物の(SiO(R,R))鎖内部に位置することが好ましい。
ポリシロキサン架橋剤及び鎖延長剤は、特開2002−224706号公報及び国際公開第05/032401号パンフレットに記載されているように、又はこれらの文献に記載された方法と同様に調製することができる。
付加反応は最も簡単に言えば、元素又は化合物の元素が、有機化合物中の二重結合又は三重結合と、これらの結合のうちの1つを開き、これに結合するようになることにより反応する、化学反応である。付加反応は、多重結合された原子を有する化合物に限定される。ヒドロシリル化は、例えば化合物中の炭素間二重結合と、水素シロキサンからの反応性水素との付加反応である。
好適な付加反応触媒は、任意のヒドロシリル化触媒、好ましくは白金(Pt)触媒である。二成分シーラントの第1部分のためのPt触媒が、米国特許第6,248,915号明細書に記載されている。毒性ポテンシャルを考えると、Ptがゼロの原子価状態にあるPt錯体が好ましい。好ましい触媒は、白金−ビニルシロキサン錯体及び白金−オレフィン錯体、例えばPt−ジビニルテトラメチルジシロキサンである。
反応は好適には、25℃〜150℃の温度でニートに行われる。反応のために溶媒を使用することは必要でない。このような反応は接着剤にとって、しかし特に皮膚への適用にとって有利である。
好適には、反応条件下でSi−H基と反応性の、ポリプロピレンオキシド中の不飽和基の数に対する、ポリシロキサン架橋剤中の反応性Si−H基の数の比は、0.2〜1.0である。
架橋のために使用されるポリシロキサンの量は好適には、不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーの量の15% w/w未満であり、より好ましくは10% w/w未満である。
架橋反応は、全てのポリアルキレンオキシドポリマーの完全な架橋をもたらすわけではない。接着剤は、架橋されたポリアルキレンオキシドポリマーと、架橋されていないポリアルキレンオキシドポリマーとの混合物を含む。
本発明による機器の接着剤組成物は、接着剤組成物のための他のコンベンショナルな成分、例えば粘着付与剤、増量剤、非反応性ポリマー、油(例えばポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドプロピレンオキシドコポリマー、鉱物油)、可塑剤、充填剤、及び界面活性剤を含有していてよい。これらの任意の成分は、架橋反応中に反応混合物中に存在してよい。
接着剤が吸収性粒子を含むと有利な場合がある。粒子は、接着剤が皮膚から湿分を吸収するように、無機塩、ハイドロコロイド、マイクロコロイド、又は超吸収剤のような吸収性粒子であってよい。
吸収性粒子の好ましい粒度は、より小さな粒子である。それというのも、粒子は小さくなるほど、肉眼で見るのが難しくなり、見場が良い製品をもたらすからである。粒度の上限は、接着剤の最小寸法のサイズである。従って、300μm厚の接着剤は、直径が300μmを上回る粒子を含有するべきではない。凝集するという吸湿性粒子の傾向があり、このような効果は、粒度が小さくなるほど高くなる。従って、好ましい粒度は10〜300μmとなる。また、粒子は、小さな粒子の凝集を低減するための凝集防止剤を含有していてもよい。
マイクロコロイド粒子は、例えば国際公開第02/066087号パンフレットから当業者によく知られており、ここに開示された接着剤組成物はマイクロコロイド粒子を含む。マイクロコロイド粒子の粒度は20ミクロン未満であってよい。
本発明の機器内に使用される疎水性接着剤のようにイオン不透過性マトリックス内部に塩が含有される場合には、塩は吸収剤として使用するのに有利であることがある。塩化ナトリウムのようないくつかの塩は、皮膚の温度において約75%の平衡蒸気圧を有しており、そして蒸気圧の差により、皮膚及び排出物からの水を吸収することになる。
本発明の1実施態様の場合、接着剤は無機塩粒子を含む。塩は、1〜50% w/wの量、より好ましくは5〜25% w/wの量で存在してよい。
本発明の1実施態様の場合、接着剤は非吸収性粒子を含む。非吸収性粒子の存在は、接着性のレオロジー特性を改質することができる。
吸収性接着剤層は、1〜40% w/wのハイドロコロイド(HC)、マイクロコロイド、又は超吸収性粒子(SAP)、より好ましくは5〜30% w/wの粒子を含んでいてよい。
捕集パウチは、カップリングシステムによって接着ウエハーから取り外すことができ、或いはパウチとウエハーとは、例えば溶着によってウエハーと一体化されていてよい。2つのバージョンは、オストミーのためのワンピース又はツーピース器具として知られている。
本発明の1実施態様によれば、捕集機器はオストミー器具である。
本発明の別の実施態様によれば、捕集機器は便捕集機器である。
本発明の別の実施態様によれば、捕集機器はフィステル(瘻)捕集機器である。
好ましい実施態様の説明
本発明の好ましい実施態様を示す図1を参照しながら、本発明を以下に説明する。
本発明の捕集機器の粘着剤構造の1実施態様は、少なくとも2つの接着剤層、すなわち、皮膚対面層(1)及び中間層(2)を含んでいる。これら2つの層は、両方の層が水蒸気透過性接着剤を含むことで特徴づけられるが、しかし、皮膚対面接着剤層が中間接着剤層よりも軟質である点で異なっている。接着剤層はバッキング(3)上に載置されている。
接着剤層(1)及び(2)は、皮膚に優しいいかなる接着剤であってもよい。好ましい接着剤は化学架橋接着剤であり、その一例としては、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアルキレンオキシド、又はシリコーン接着剤である。特に好ましい接着剤は、ポリアルキレンオキシドポリマー、及びオルガノシロキサンを基剤とする架橋接着剤系である。
層(1)及び(2)は、層内の成分が互いに移動するのを回避するために、同様の化学組成を有することが好ましい。このような拡散は、時間とともに接着特性を変化させることがある。
皮膚対面層は少なくとも、これが対面する皮膚の粗さに匹敵する厚さを有するべきである。従って、皮膚対面層の厚さは少なくとも25μm、好ましくは50μmを上回るべきである。
皮膚対面接着剤(1)及び中間接着剤(2)の特性を適正に切り離すために、皮膚対面層は中間接着剤層よりも厚くあるべきではない。好ましくは、皮膚対面層(1)は、中間層の厚さの50%未満である。
好ましいバッキング層(3)は、ポリウレタン膜である。
材料及び方法
方法
吸水率の測定
測定吸収率と人間様環境における実際の性能とのより良好な相関を得るために、ISO 62基準の改訂版を使用した。すなわち、1x25x25mmの接着剤片を、両面接着剤を使用してガラス片上に固定し、そしてこれらの構造を32℃の生理食塩水(脱塩水中0.9%のNaCl)中に浸した。24時間後、試料を取り出して注意深く濡れたまま乾かし、秤量した。重量の変化を記録し、接着剤の元の乾燥重量のパーセントで重量増加分として報告した。以下に、この値をw24hと呼ぶ。
水蒸気透過率(MVTR)の測定
反転パディントン・カップ法を用いて24時間にわたって、1平方メートル当たりのグラム(g/m)で、MVTRを測定した(British Pharamacopoeia, 1993, Addendum 1996, 第1943頁, HMSO London)。すなわち、開口を有する、水及び水蒸気を通さない容器又はカップを使用した。容器内に20mlの食塩水(脱塩水0.9%のNaCl)を入れ、そして開口を試験接着膜でシールした。容器を複製とともに、電気的に加熱された湿潤キャビネット内に入れ、そして水が接着剤と接触するように、容器又はカップを逆さにした。キャビネットを37℃及び15%相対湿度(RH)で維持した。約1時間後、容器が周囲と平衡状態にあるものと考え、これらの容器を秤量した。最初の秤量から24時間後、容器を再び秤量した。重量差は、接着膜を通った蒸気の蒸発に起因するものであった。この差を用いて、水蒸気透過率又はMVTRを計算した。MVTRは、24時間後の重量損失を、カップの開口面積(g/m/24時間)で割り算したものとして計算した。接着膜が水の重量を支持できない場合には、極めて高い透過性を有する支持膜を支持体として使用した。材料のMVTRは材料の厚さの線形関数である。従って、材料を特徴づけるためにMVTRを報告するときには、MVTRが報告される材料の厚さを知らせることが重要である。我々は基準として150μmを用い、そして材料を特徴付けるために用いられる全てのMVTR測定は、この厚さを有するポリマー膜上で実施するものとする。
所定の位置にとどまる能力の測定
患者の胃の所定の位置にとどまる接着剤の能力を定量化しようと、接着剤が取り付けられている間の腹部皮膚の伸長を模倣する試験を構成した。
試験を次のように行う:被検接着ウエハーをカットして75mmx10mmのストリップにした。各被検接着ウエハー毎に2片の接着剤ストリップをカットした。各ストリップに対して、ポリウレタン(PU)発泡体から成る直方体ブロックを寸法130mmx25mmx4mmでカットした。接着剤ストリップを再現可能に、PUブロックの頂面上に付着させ、2kgの金属シリンダー(直径7cm)を接着剤上で2回転がすことにより、接着剤とPU発泡体ブロックとの良好な接触を確保した。ここで発泡体ブロックの端部にクリップを取り付け、そしてブロックを20%伸長させた。こうして、クリップのジョーの範囲を除く120mm長のストリップは、144mm長になった。このような伸長は、接着剤ストリップ内のかなりな量の応力を招き、これらの接着剤ストリップは端部で滑ろうとするようになる。この滑りを、接着剤が支持体と接触している場所にマークを付けることによって、5分後に記録した。次いで、PUブロックの変形を解放し、そして接着剤がまだ支持体と接触している場所のマーク間の長さを測定した。変形後の接触距離を初期の接触距離(75mm)で割り算したものとして、所定の場所にとどまる接着剤の能力を測定した。試験は室温(23℃)で行った。
及びtanδの測定
“Dyanamics of polymeric liquids”, Vol 1, 第2版, 1987, Bird, Armstrong and Hassager, John Wiley and Sons inc.に定義されたパラメータtan δ及びGを、接着剤の硬さの尺度として使用した。G及びtan δを次のように測定した:非発泡接着剤材料から成る板を圧縮して1mm厚の板にした。直径25mmの円形試料を切り出し、そしてThermo ElectronのRheoStress RS600レオメータに入れて走査した。適用されたジオメトリは平行な板25mmであり、そして変形を1%に固定することにより、測定値が線形領域内にあることを保証した。測定は32℃で実施した。上記周波数をカバーする周波数範囲で測定を行った。あらゆる混同を避けるために述べておくが、本明細書中のGは、複素弾性率Gの絶対値を意味する。
剥離力の測定
300mm/分及び角度90度でInstron内で剥離測定を行った。剥離ストリップは25mm幅及び100mm長であった。測定された力は剥離中に記録されたものであり、報告された剥離力は、末端効果を含まない剥離力の平均であった。剥離力はN/25mmで報告した。ステンレス鋼板を支持体として使用した。
材料
本発明による粘着剤及び比較のための粘着剤組成物を調製するために、下記材料を使用した:
ACS003、Kanekaのアリル末端ポリエーテル(ポリプロピレンオキシド)粘度16Pa。
白金触媒Pt-VTS。Pt-VTSは、IPA中のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサン(Pt 0.3wt%)である。
CR600、Kanekaから入手可能な架橋剤。
バッキング層−−ScapaのBioflex 130、25mm厚。
剥離ライナー。
結果
先ず、ポリマーACS003及び架橋剤CR600をPt触媒とともに混合することにより、異なる架橋レベル、ひいてはtanδを有する、接着剤TA1-3から成る3つの薄層を製造し、そしてこれらを剥離ライナー上に塗布した。試料を1時間にわたって100℃で硬化した。各試料毎に、tanδを測定するために、1mm厚の試料も製造した。用いられた異なる調製法を表1に示す:
Figure 2011528243
ポリマーと、架橋剤と、触媒とを混合することにより、第4の接着剤混合物を調製した。混合物を薄膜上に注いだ。それぞれの頂面上に、PU膜を支持紙と一緒に置いた。これらの接着剤構造を前硬化のために1分間にわたって100℃でホットプレス内に入れ、そして後で、1時間にわたって100℃で後硬化させた。こうして3つの接着ウエハー(AW1〜3)を製造した。ウエハーを下記表2に要約し、そして特性及び性能データを書き入れた。
Figure 2011528243
皮膚対面層のtanδが上昇する結果、所定の位置にとどまる接着ウエハーの能力が著しく改善することが判る。同時に、剥離力は、皮膚対面層の特性によって事実上影響されない。

Claims (20)

  1. 身体排泄物捕集機器であって、
    − 捕集パウチと、
    − 身体に取り付けるための接着ウエハーであって
    − バッキング層、
    − 少なくとも1つの中間接着剤層、
    − 皮膚対面接着剤層
    を含む、前記接着ウエハーと
    を含み、
    該中間接着剤層及び該皮膚対面接着剤層は、不透液性の透湿性軟質接着剤を含み、該皮膚対面接着剤層は、該中間接着剤層よりも高いtanδを有している、身体排泄物捕集機器。
  2. 該皮膚対面接着剤層及び該中間接着剤層が、1hz及び32℃で測定して、50000Pa未満の、好ましくは20000Pa未満の弾性率Gを有している、請求項1に記載の捕集機器。
  3. 該皮膚対面接着剤層が、該中間接着剤層のtanδよりも10%高い、好ましくは20%高いtanδを有している、請求項1又は2に記載の捕集機器。
  4. 不透液性の透湿性接着剤組成物から成る該皮膚対面接着剤層が、ポリアルキレンオキシド、ポリウレタン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、ポリアクリレート、及びこれらの混合物から成る群から選択された透過性ポリマーを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の捕集機器。
  5. 不透液性の透湿性接着剤組成物から成る該中間接着剤層が、ポリアルキレンオキシド、ポリウレタン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、ポリアクリレート、及びこれらの混合物から成る群から選択された透過性ポリマーを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の捕集機器。
  6. 該透過性ポリマーの水蒸気透過率が、150μmの膜上で測定して、100g/m/24時間を上回り、好ましくは200g/m/24時間を上回る、請求項4又は5に記載の捕集機器。
  7. 該透過性ポリマーが低吸収性であり、そして平衡状態で8重量%未満、好ましくは4%未満を吸収する、請求項4から6までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  8. 不透液性の透湿性接着剤組成物から成る該皮膚対面接着剤層及び/又は該中間接着剤層の水蒸気透過率が、100g/m/24時間よりも高く、好ましくは200g/m/24時間よりも高い、請求項1から7までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  9. 該中間層が、該皮膚対面層内に使用される透過性接着剤組成物と同じタイプのポリマー成分を基剤としている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  10. 該皮膚対面層及び中間層の透過性接着剤組成物が架橋されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  11. 該皮膚対面層の接着剤の架橋度が、該中間層の接着剤の架橋度よりも低い、請求項1から10までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  12. 該皮膚対面層及び該中間層の架橋が、同じ架橋化学特性を有している、請求項1から11までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  13. 該接着剤組成物が、皮膚に対面する表面に対して垂直の方向に、架橋度の勾配を有している、請求項1から12までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  14. 該皮膚対面接着剤層の厚さが少なくとも25μmであり、好ましくは50μmを上回る、請求項1から13までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  15. 該中間接着剤層が、該皮膚対面接着剤層よりも厚い、請求項1から14までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  16. 該皮膚対面接着剤層は、該中間接着剤層の厚さの50%未満である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  17. 該捕集機器がオストミー器具である、請求項1から16までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  18. 該捕集機器が便捕集機器である、請求項1から17までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  19. 該捕集機器がフィステル捕集機器である、請求項1から18までのいずれか1項に記載の捕集機器。
  20. 身体排泄物捕集機器であって、
    − 捕集パウチと、
    − 身体に取り付けるための接着ウエハーであって
    − バッキング層、
    − 少なくとも1つの中間接着剤層、
    − 皮膚対面接着剤層
    を含む、前記接着ウエハーと
    を含み、
    該中間接着剤層及び該皮膚対面接着剤層の両方が、化学架橋されており、そして該皮膚対面接着剤層は、該中間接着剤層よりも低い架橋度を有している、身体排泄物捕集機器。
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