JP2011512484A - タービン強化システム - Google Patents

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Abstract

本発明は、風力タービンの性能を強化するシステム及び方法に関するものであり、乱気流を減少させること、気流の速度を強めること、及び気流の圧力を制限することの少なくとも1つのために、タービンの上流の気流に、ノズルの配列から空気を噴射して、タービンの性能を向上することを含む。
【選択図】図5

Description

本発明は、タービン強化システムと、風力タービンの出力または効率の強化あるいは向上のための方法に関し、特に乱気流を減少させ、または、風圧及び風速を増加させるために、タービンを通過する風を調節するように設計されたシステム及び方法に関する。
現在の地球温暖化情勢や環境意識において、再生可能エネルギーの最も安定した形態である、陸上及び洋上の風力タービンによる再生可能エネルギーは、ますます重要になってきている。風力タービンは電力もしくは他の形態のエネルギーを生み出すための実行可能な方法であることが証明されてきたが、風力タービンには限界がある。風力タービンに関する主な問題の1つは、風力タービンの性能の上限を決定する「ベッツ限界(Betz limit)」として知られる現象である。これは、ブレード(Blade)の真後ろの空気は大気圧より低く(sub-atmospheric pressure)、ブレード正面の空気は大気圧より高いという、タービンのローターを挟んで生じる交差した圧力損失の結果である。このタービン正面の高められた気圧は、タービン周辺の風や上流の空気の一部を偏向させ、この結果タービンにより引き出すことが出来る出力に上限を課す。
しかしながら、風力タービンを使用する際のもう1つの欠点である変動風速により、ほとんどの商業用風力タービンにおいてこのベッツ限界には滅多に到達しない。風速が保証されることはないため、風力タービンにより生み出される電力量は一貫しておらず、これにより、消費電力を供給する際に明らかに問題が生じる。結果として、風力タービンが設置される場所を慎重に選定し、卓越風の風速がより速い地域から場所を選択し、そしてまた、一般に適度な標高の場所を選択する。また、一般的に風速は、地表で受ける抵抗の結果として、高所になるほど速く、そして高所における空気の粘性はより低いため、タービンのブレードは地面からある程度の高さに設置されるのが好ましい。しかし、高さに関わらず、例えばタービンブレードのような固形物を覆った気流中では、乱気流により抵抗や熱伝導が増加する。従って、そのような利用の際、この場合には風力タービンにおいては、ブレードを覆う空気や風の乱気流が大きくなるほど、風からタービンブレードへのエネルギーの転送効率は悪くなる。
独国特許出願DE4323132は、環状(リング)ノズルによって、風の動圧(全圧、ピトー圧、ラム圧、よどみ点圧力)を用いる、ジェットタイプ風力タービン(JWT)を開示している。この場合、環状(リング)ノズルは、入射風を、配列したノズルを通過させることにより加速し、ローターブレード上へ一定の角度に向けるように、ローターの上流に円形状に配設される。
英国特許出願GB2297358は、システムに流れ込む空気または水のラム効果から、電力を生み出すためのタービンシステムを開示している。ラム効果は、空気を導入口スクープ2及びケーシング3に押し込める。そして、空気は反対側のゲートユニット9の扇形の穴、及び、シャフト8に固定されているため、ゲートユニット9とともに回転するタービンホイール6の翼通過帯域へ空気をスムーズにガイドする固定ガイド翼ユニット7、へ流れ込む。バッテリーの充電もしくはモーター駆動が出来る、一組の発電機5の中で出力が生み出される。
英国特許出願GB2230565は、ケーシング(a)と、ステータ翼(c)と、回転翼(d)と、発電機ケーシング(e)と、を含んで構成される軸流風力タービンを開示している。環状ディスク部分(g)は、ケーシングの外側の気流により、装置の下流に低い気圧を生み出す。
本発明は、比較的製造や運転が容易な風力タービンの、効率を向上させるための代替システム及び方法であって、好ましくは、新規な風力タービンに設けるだけでなく、既存の風力タービンにも設置し導入されるシステム及び方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様によれば、タービンのブレードを通過する第2流体を調節する形で、第1流体をタービンの上流の第2流体流に噴射する噴射装置を含んで構成されるタービン強化システムが提供される。
噴射装置は、ここから第1流体の少なくとも1つの噴流を噴射するように設けられるのが好ましい。
タービン強化システムは、第1流体を噴射装置に供給する手段を含んで構成されるのが好ましい。
供給手段は、タービンの上流の第2流体流とは離れた場所から、第1流体を噴射装置に供給するように配設されるのが好ましい。噴射装置は、供給手段が流体連結している導入口と、第1流体が上流の第2流体流へ噴射される噴射口と、を含んで構成されるのが好ましい。
噴射装置は、そこを通過した第1流体が加速するよう成形され、かつ寸法を決められるのが好ましい。
噴射装置は、目標とされたタービンのブレードが掃く領域の全域で、所定の速度プロファイル(velocity profile)を提供するように設けられるのが好ましい。
噴射装置は、ノズルの少なくとも1つの配列を含んで構成されるのが好ましい。
噴射装置は、タービンからの第1距離が確認出来るノズルの第1配列と、タービンからの第2距離が確認出来るノズルの第2配列と、を含んで構成されるのが好ましい。
噴射装置は、目標とされたブレードが掃く領域を覆う第2流体流を調節するように設けられるのが好ましい。少なくともいくつかのノズルは、空気導入ノズルを含んで構成されるのが好ましい。
供給手段は、ファンとモーターを含んで構成されるのが好ましい。
供給手段は、ファンから噴射装置へ延びるダクトを含んで構成されるのが好ましい。
ダクトは、噴射装置の支持部材を含んで構成されるのが好ましい。
強化システムは、噴射装置をタービンに搭載可能とするように設けられた連結装置を含んで構成されるのが好ましい。
連結装置は、タービンのブレードの一組を噴射装置が追跡出来る形で、噴射装置がタービンに対して移動可能となるように設けられているのが好ましい。
供給手段は、タービンにより動力を供給されるよう設けられるのが好ましい。
強化システムは、噴射装置が連動する風力タービンを含んで構成されるのが好ましい。
強化システムは、上流の第2流体流をタービンへ流し込むよう成形され、かつ寸法を決められた第1ガイドを含んで構成されるのが好ましく、第1ガイド内の上流の第2流体流へ第1流体を噴射するよう噴射装置が配設されているのが好ましい。
強化システムは、第1ガイドと協働して、タービンのブレードの掃く領域のうち選択された部分に、上流の第2流体流を集中させる第2ガイドを含んで構成されるのが好ましい。
噴射装置は、第1及び第2ガイドの少なくとも一方の周囲に配設されたノズル配列を含んで構成されるのが好ましい。
第1及び第2ガイドの少なくとも一方の寸法は可変とされるのが好ましい。
第1ガイドは、切頭円錐形のカウルを含んで構成されるのが好ましい。第2ガイドは、カウルとコーンの間に略リング状のチャネルを規定するように、カウル内に同軸に搭載されたコーンを含んで構成されるのが好ましい。
強化システムは、ブレードの下流側から抜け出る第2流体の少なくとも一部をブレードの上流側へと戻して再循環させる手段を含んで構成されるのが好ましい。
供給手段は、噴射装置へ第1流体を供給する機械的誘導を用いるのが好ましい。
本発明の第2の態様によれば、タービンの性能を強化する方法が提供される。この方法は、タービンのブレードを通過する第2流体を調整する形で、タービンの上流の第2流体流へ第1流体を噴射することを含んで構成される。
この方法は、第1流体の噴流の少なくとも1つを上流の第2流体流へ噴射するステップを含んで構成されるのが好ましい。
この方法は、第1流体を、タービンの上流の第2流体流から離れた位置から噴射するために、第1流体を供給するステップを含んで構成されるのが好ましい。
この方法は、第1流体流を上流の気流へ噴射する間に加速させるステップを含んで構成されるのが好ましい。
この方法は、第1流体を第1地点から上流の第2流体流へ噴射するステップを含んで構成されるのが好ましい。
この方法は、第1地点から離れた第2地点から、第1流体を第2流体流へ噴射するステップを含んで構成されるのが好ましい。
この方法は、噴射する第1流体を供給するために、タービンから出力を引き出すステップを含んで構成されるのが好ましい。本明細書において使われる、「噴射する」という言葉は、気流の方向、速度、圧力を修正するために、気流全体が単純にノズルやカウルを通過するのとは対照的に、気流を修正するため既存の気流に対する、例えば空気などの流体の追加供給の導入を意味する。
本明細書において使われる、「上流の気流」もしくは「気流」という言葉は、風という形態だけに限らず、広く、風力タービンを通過し、風の通過に応じたタービンのブレードの回転を通じてそこからエネルギーを引き出す空気の流れを意味する。
本明細書において使われる、「調節」という言葉は、乱気流の低減または速度の増加、及びタービンへ向かい、そして通過する、流体流の圧力、特に、風圧の調整または制御の少なくとも一方を意味する。
本発明によるタービン強化システムの第1実施形態の一部の概略斜視図を示す。 図1に示したシステムの平面図を示す。 本発明によるタービン強化システムの第1実施形態全体の更なる斜視図を示す。 風力タービンのブレードの掃く領域の図に重ね合わされた、強化システムが効果を発揮する領域を示す。 三枚翼風力タービンの前面に搭載された、本発明によるタービン強化システムの第2実施形態の正面斜視図を示す。 図5に示す強化システムの背面図を示す。 図5及び図6に示す強化システムの側面図を示す。 風力タービンの性能を更に向上させるための付加要素を備えた、図5から図7に示された強化システムの断面平面図を示す。
これより、添付図面の図1〜図4について言及する。風力タービンTなどのタービンに据え付けられるか、もしくは一体形成されるように設けられたタービン強化システムの第1実施形態が、10として大まかに図示されている。強化システム10は、風力タービンに直接搭載されるのとは対照的に、既存の風力タービン(図示省略)の上流に設置される独立形装置として設計されてもよい。本発明による強化システム10は、本発明による方法によって動作可能であり、後述する通り、タービンTの性能や出力を強化する。
従来の風力タービンにおいて、風により生み出される出力は、風の速度に大きく依存し、以下の方程式により決定される。
出力=1/2(p×A×V
ここで、pは空気の密度。
Aはブレードの領域。
Vは風速。
風力タービンは出力の一部を引き出す潜在力を有しており、その出力は、上述のようにベッツの法則により59%に制限される。出力が風速の3乗に応じて変化して生み出されることは上記の出力方程式からもわかり、それゆえ、平均風速のわずかな増加はタービンにより生み出される出力の大幅な増加をもたらす。本発明による強化システム10は、卓越風(prevailing wind)の状況に応じて、タービンTを通過する風速を高速度に維持するよう設計され、それにより、システム10の作動に必要な比較的小さなエネルギーの入力に対して、タービンTにより生み出される出力を大幅に増加させる。
システム10は、使用の際に、タービンTのブレードBの上流に配設される、ノズル16の第1配列12及び第2配列14の形式の噴射装置を含んで構成される。ノズル16は、後で詳述するように、例えば空気などの第1流体の高速噴流を、乱気流を減少させること、圧力を制御すること、及び、例えば風などのブレードBを通過する第2流体の速度を増加させること、により気流を調節する速度及び方向でブレードBへ噴射するよう設けられている。それ故、特に以下の強化システム10の作動の説明から、当然のことながら上記の機能性を達成するためにノズル16の単独の配列を使用することが出来る。加えて、ノズル16の数や設計は、要求に応じて、特にブレードBの直径に適合させるために、多様とすることが出来る。事実、ノズル16は、タービンTの上流の風へ空気を噴射可能な他のあらゆる手段と置換可能とすることが出来る。あまり望ましくはないが、ノズル16は空気以外の流体やガスもまた噴射することが出来る。
配列12及び配列14はいずれも、使用の際ノズル16へ空気を供給するよう設けられた、供給手段の一部を形成するそれぞれのダクト18上に支持される。しかし、当然のことながらノズル16の配列12及び配列14には、タービンTのブレードBに対して正しい位置及び方向でノズル16を把持するよう設けられた他のあらゆる適当な支持構造を備えることが出来る。そのような支持構造は、分離した構成要素として提供することが出来る、ノズル16へ空気を供給するダクトのように倍にする必要はない。
図3において、図示された実施形態におけるダクト18の2本のブランチ(branch)は、連結装置22を介してタービンTの支柱Cもしくは他の支持構造(図示省略)に枢動可能に搭載されている共通のブーム20に接続することがわかる。連結装置22は、いずれもノズル16へ空気を供給するよう設けられた供給手段の一部を形成するファン24と、ファン24を駆動させるモーター26と、を支える支持体(図示省略)を含む。当然、ファン24及びモーター26は、ノズル16へ空気を供給可能とする他のあらゆる手段と置換することが出来る。ファン24は、ノズル16へ圧搾された空気を供給するために、ブーム20及びダクト18へ圧搾された空気を供給する。ノズル16は、ダクト18が接続された導入口と、上流の気流へ空気の噴流を噴射するタービンTへ向けられた噴射口と、を含んで構成される。それ故、上流の気流は、上流の気流に対して閉ざされたノズル16を通過しない。
ファン24は上流の気流から離れた位置に設置されるのが好ましく、従って、前記離れた位置からノズル16へ空気を供給する。このように、当該技術分野では周知の、上流の気流自体をノズルやカウルなどを通過させて行う調節とは対照的に、上流の気流に噴射された空気は、上流の気流を調節するために使用される付加的な空気源(source of air)となる。
図示された好ましい実施形態において、モーター26は、タービンTにより生み出された電気の形態のエネルギーから動力を供給されるのが好ましい。しかし、当然のことながらモーター26のために、外部の動力源を使用出来る。風を追う場合には、連結装置22により、配列12及び配列14は、タービンTのブレードBの後を追うために回転可能となる。卓越風の方向を追い、そして支柱C上の連結装置22が対応する変位をとるように、任意の適当な手段を用いることが出来る。それゆえ、連結装置22は風力タービンの固定ヘッドから除くことが可能である。
強化システム10は、タービンTとは独立して搭載される独立形装置として提供することが出来、そのような状況の場合、タービンTは卓越風の方向を向くように回転するため、配列12及び14がタービンTを追跡出来るような手段が提供されると予想される。例えば、風速の変化と、それに関連する制御を用いて、卓越風の効果を最大限に引き出すために、確実にシステム10とタービンTとがともに回転することが可能である。
使用に際して、タービンTが電力を生み出すと、モーター26は、どのような適当な設計でもよいファン24に動力を供給するために作動する。その結果、ファン24は、圧搾空気をブーム20及びダクト18へ送り込み、これにより圧搾空気はノズル16の第1配列12及び第2配列14の両方に供給される。図示された好ましい実施形態において、ノズル16は誘導型であり、ブレードBの掃く領域もしくは掃く領域のうちの目標とする部分へ、加速された空気の噴流を噴射する。初めに突風が第1配列12を吹き抜け、各ノズル16から噴射される空気の噴流が乱気流を減少させることによって空気を調節する一方で、風速を増加させて風を第2配列に向ける。この方向変更(redirection)を最大にするために、個々のノズル16が指す方向は卓越風の状況に適合するように変化してもよいと予想される。また、当然のことながら、第1配列12及び第2配列14のノズルの個数及び配設は、非常に多様であり、局地的な条件またはタービンTのサイズ/設計に適するために多様であることが要求される。
風が第2配列14に到達すると、乱気流は大幅に減少し、一方風速は強まる。ノズル16の第2配列14は再び、乱気流を更に減少させるための高速の空気の噴流を噴射するが、それは主に、望ましいか、または目標とするブレードBの被覆範囲に到達し、これにより、電力または、その他のタービンTから得られる動力を最大化するために、風速を加速させることを意図したものである。ノズル16からの被覆範囲が重ねあわされたブレードBの掃く領域は、図4に示されている。そこを通過する気流の状態を最適化するために、第2配列14のノズル16は向き、圧力、及び速度を個々に調節出来る。
上述の通り、ブレードBを通過するとすぐに、風の乱れ、速度、方向は、図4に図示された通り、タービンTの掃く領域上の望ましい範囲を得る。従って、タービンTに導入すると、強化システム10は可能な限り目標とされたブレードBの掃く領域で望ましい速度プロファイルとなるように調整されるのが好ましい。
第1配列12及び第2配列14の効果を最大化するために、ブレードBの上流の比較的近くにこれらを配設することが必要である。図示された好ましい実施形態において、第1配列12はブレードBから第1距離に配設され、一方第2配列14はブレードBから第2距離に配設されるが、強化システム10の性能を最大化するために、もちろん距離は必要に応じて様々であってよい。
ここでは、添付図面の図5〜図7に関して、本発明によるタービン強化システムの第2実施形態が110として大まかに図示されているが、これは、風力タービンT’に組み込まれるか、または一体形成するように設けられている。この第2実施形態において、類似した構成要素には類似した参照番号を与え、特に指定のない限り、同様の機能を果たす。
システム110は、タービンT’のブレードB’の上流に、使用上ノズル116が環状配列112の形をとった噴射装置を含んで構成される。ノズル116は以下で詳述されるように、ブレードB’を吹き抜ける卓越風の速度を増加させ、圧力を制御し、乱気流を減少させることにより、気流を調節する速度と方向で高速の噴流をブレードB’へ向けて噴射するよう設けられる。当然のことながら、ノズル116の数と配設は、必要に応じて、特にブレードB’の直径にあわせるように、様々であってもよい。実際、ノズル116は、タービンT’の上流の風へ空気を噴射することが出来る他のどのような手段にも置換することが出来る。ノズル116は、あまり望ましいとは言えないが、空気以外の流体やガスを噴射することも出来る。
本発明の第2実施形態と、上記第1実施形態の主な違いは、使用上タービンT’のブレードB’の近傍及び上流に配設される切頭円錐形のカウル30の形式の第1ガイドが提供されることである。システム110はさらに、図示の通り、カウル30の内側に同軸上に配設され、タービンT’のブレードB’にほとんど隣接しているコーン32の形式の第2ガイドを含んで構成される。カウル30及びコーン32は、風が吹き込む方向対し、ブレードB’の上流に配設される。カウル30とコーン32は、それらの間に環状チャネル34を規定する。チャネル34自体はカウル30へ流れ込む空気の噴射口を規定し、それ故、使用に際して、ブレードB’の掃く領域のすぐ正面に並べられる。チャネル34の寸法及び相対的な配設はブレードB’の掃く領域を多かれ少なかれ覆うように変化させてよい。そのため、利用可能な電力のそのほとんどの発生に関与する、風力タービンのそれぞれのブレードには長さの特定の部分が存在することがよく知られている。それゆえ、環状チャネル34はブレードB’の掃く領域のこの部分を覆うように配設され寸法を決められるのが好ましい。
カウル30はそれ故、タービンT’からより多くの動力を引き出すために、大量の上流の気流を捕らえ、それをブレードB’上へ導く役目を果たす。カウル30は、また、発電のためにブレードB’の最も効率的な領域へ上流の気流を集中させる役割を果たすことが出来る。加えて、カウル30は、図示された実施形態において、カウル30の内側表面に装備されるノズル116の環状配列112のための支持部材の役目を果たす。そして、ノズル116は高圧の空気の噴流をカウル30の壁面と略平行に環状チャネル34を通しブレードB’上へ向かわせるのが好ましい。ノズル116は、上記第1実施形態のノズル16と同様の機能を発揮する。すなわち、乱気流を減少させるか、または、気流の速度を増加させることにより空気を調節する。また、ノズル116は、チャネル34を吹き抜けた略全ての空気の適切な調節を確実なものとするために、隣接したノズル116から空気の噴流が環状チャネル34内でわずかに重なるように、方向付けられ、そして十分な数にされるのが好ましい。
ノズル116への供給を行うのは、この第2実施形態においてカウル30の外側に、同軸に装備され、モーター126や他の適切な手段により駆動される適切なファン124から供給されるダクト118の環状部分を含んで構成される供給手段である。ダクト118は、ファン124の末端で閉塞しており、カウル30内のエルボ部36のそれぞれの端部に装備されているノズル116に対応する位置の開口(図示せず)を貫通するエルボコネクタ36により、その長さに沿って多数の位置で穴を開けられている。それ故、ファン124及びモーター126はダクト118を介してノズル116の環状配列へ圧搾空気を供給することが出来る。当然のことながら、示された配列、とりわけダクト118の配設は多様であってよく、それでも尚、上述の機能は達成される。
ブレードB’に向かって流れる気流に対するカウル30及びコーン32の効果を変えるために、カウル30及びコーン32双方の寸法または方向は可変であってよく、これは手動もしくは自動的に行うことが出来る。例えば、カウル30のテーパーの程度は、多様であってよく、タービンT’に間近に接するカウル30の開口端の寸法も多様とすることが出来る。そして同様に、コーン32の、寸法及び方向の少なくとも一方も多様とすることが出来、事実そのカウル30内における配設も多様となっている。これにより、例えば現在吹いている風の状況により適合させるため、あるいはブレードB’の掃く領域の最適な部分をより好ましい状況で被覆するため、環状チャネル34の寸法を多様にすることが可能となる。カウル30及びコーン32の少なくとも一方を搭載するために使用される方法は、必要に応じて様々であるが、図示された実施形態においては、カウル30及びコーン32はフレーム38に搭載されている。例えば、コーン32は、タービンT’とともに回転させるために、タービンT’のハブに搭載することが出来る。カウル32は風力タービンの支柱(図示省略)に、もしくは他の適切な手段によって搭載することが出来る。
当然のことながら、カウル32に関して、ノズルの追加のもしくは第2の配列(図示省略)は、カウル32の周辺に、例えば、配列112の上流や配列112の直径方向内側に提供されてもよい。ノズルの配列(図示省略)は、コーン32の外面に搭載することも出来る。
図8には、ブレードB’の外側先端を囲むように配設され、ブレードB’の先端を事実上完全に包むような環状形状の再循環バッフル40という形態の付加的もしくは随意な機能を含んで構成されるシステム110が示されている。バッフル40は、カウル30を介してブレードB’を通過した風の一部を捕らえ、ブレードB’を再び通過させるためにブレードB’の前方に戻し再循環させる役割を果たす。バッフル40は、ブレードB’の後部もしくは下流側から広がり、ブレードB’のすぐ正面もしくは上流のカウル30の外面近傍で終わる前で、ブレードの掃く領域の外縁に沿って曲がって戻ってくる。従って、バッフル40は、空気をカウル30内へ再循環するのではなく、むしろカウル30の範囲の外側に位置するブレードの最も外側の部分上へ再循環する。バッフル40は、カウルに搭載するか、もしくは、適切な手段により適当な位置に固定することが出来る。
本発明による強化システム10(110)を使用することにより、風力タービンT(T’)はエネルギー生産を増加させる。図示された実施形態において、モータ26(126)はタービンT(T’)からエネルギーを取り出しているが、強化システム10(110)によりもたらされる性能の向上はこれを補って余りあるものである。
タービンT(T’)は掃く領域の単位面積当たりにより多くのエネルギーを生み出すので、ブレードB(B’)はサイズを縮小し、ブレードB(B’)が設置される高さも低くされ、これによりタービンTの初期費用が減少し、そして風力タービンを敷設可能な場所が増加することが指摘される。一般に、風力タービンは、かなりの高度と常に高速の風が吹く土地を必要するため、これに適した場所の数は非常に制限される。本発明による強化システム10(110)は、これまでは不適切な場所と考えられていた多くの場所に風力タービンを設置可能とする。
上記実施形態の両方において、強化システムは、例えば地下駐車場や大きなオフィスビルなどで使用される比較的大型の換気システム(図示省略)の排気口などに設置されるタービンに搭載することが出来る。そして、排気のエネルギーを無駄にするかわりに、発電のためにシステム10(110)の補助のもと、タービンに動力を供給するための使用が可能となる。
それ故、本発明によるシステム10(110)は、風力タービンの性能を向上させるシンプルではあるがきわめて効率の高い手段及び方法を提供する。システム10(110)は、可動部分をほとんど含まないため、コストを最小限に抑えると共に、信頼性の面でも有益となる。システム10(110)の様々な構成要素は、適切ないかなる素材によっても製造することが出来るが、プラスチックや複合材料、その他の素材などの軽量素材により製造されるのが好ましい。

Claims (33)

  1. タービンのブレードを通過する第2流体を調節する形で、第1流体をタービンの上流の第2流体流に噴射する噴射装置を含んで構成されるタービン強化システム。
  2. 前記噴射装置は、ここから前記第1流体の少なくとも1つの噴流を噴射するように設けられる、請求項1に記載のタービン強化システム。
  3. 前記第1流体を前記噴射装置に供給する手段を含んで構成される、前記請求項のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  4. 前供給手段は、前記タービンの前記上流の第2流体流とは離れた場所から、前記第1流体を前記噴射装置に供給するように配設される、請求項3に記載のタービン強化システム。
  5. 前記噴射装置は、前記供給手段が流体連結している導入口と、前記第1流体が前記上流の第2流体流へ噴射される噴射口と、を含んで構成される請求項3又は4に記載のタービン強化システム。
  6. 前記噴射装置は、そこを通過した前記第1流体が加速するよう成形され、かつ寸法を決められる、前記請求項のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  7. 前記噴射装置は、目標とされた前記タービンの前記ブレードが掃く領域で、所定の速度プロファイルを提供するように設けられる、前記請求項のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  8. 前記噴射装置は、ノズルの少なくとも1つの配列を含んで構成される、前記請求項のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  9. 前記噴射装置は、前記タービンからの第1距離が確認出来るノズルの第1配列と、前記タービンからの第2距離が確認出来るノズルの第2配列と、を含んで構成される前記請求項のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  10. 前記噴射装置は、目標とされた前記ブレードが掃く領域を覆う前記第2流体流を調節するように設けられる、前記請求項のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  11. 前記少なくともいくつかのノズルは、空気導入ノズルを含んで構成される、請求項8〜10のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  12. 前記供給手段は、ファンとモーターを含んで構成される、請求項3〜11のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  13. 前記供給手段は、前記ファンから前記噴射装置へ延びるダクトを含んで構成される、請求項12に記載のタービン強化システム。
  14. 前記ダクトは、前記噴射装置の支持部材を含んで構成される、請求項13に記載のタービン強化システム。
  15. 前記噴射装置をタービンに搭載可能とするために設けられた連結装置を含んで構成される、前記請求項のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  16. 前記連結装置は、前記タービンのブレードの一組を前記噴射装置が追跡出来る形で、前記噴射装置がタービンに対して移動可能となるように設けられている、請求項15に記載のタービン強化システム。
  17. 前記供給手段は、タービンにより動力を供給されるよう設けられる、請求項3〜16のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  18. 前記強化システムは、前記噴射装置が連動する風力タービンを含んで構成される、前記請求項のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  19. 前記上流の第2流体流をタービンへ流し込むよう成形され、寸法を決められた第1ガイドを含んで構成され、前記噴射装置が前記第1ガイド内の前記上流の第2流体流へ前記第1流体を噴射するよう前記噴射装置が配設されている、前記請求項のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  20. 前記第1ガイドと協働して、前記タービンの前記ブレードの掃く領域のうち選択された部分に、前記上流の第2流体流を集中させる第2ガイドを含んで構成される、請求項19に記載のタービン強化システム。
  21. 前記噴射装置は、前記第1ガイド及び前記第2ガイドの少なくとも一方の周囲に配設されたノズル配列を含んで構成される、請求項19又は20に記載のタービン強化システム。
  22. 前記第1ガイド及び前記第2ガイドの少なくとも一方の寸法は可変とされる、請求項19〜21のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  23. 前記第1ガイドは、切頭円錐形のカウルを含んで構成される、請求項19〜22のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  24. 前記第2ガイドは、前記カウルと前記コーンの間に略リング状のチャネルを規定するように、前記カウル内に同軸に搭載された前記コーンを含んで構成される、請求項23に記載のタービン強化システム。
  25. 少なくともブレードの下流側から抜け出る前記第2流体の一部をブレードの上流側へ再循環させる手段を含んで構成される、請求項19〜34のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  26. 前記供給手段は、前記噴射装置へ前記第1流体を供給する機械的誘導を用いる、請求項3〜25のいずれか1つに記載のタービン強化システム。
  27. 前記タービンのブレードを通過する前記第2流体を調整する形で、前記タービンの上流の第2流体流へ前記第1流体を噴射することを含んで構成される、風力タービンの性能の強化方法。
  28. 前記第1流体の噴流の少なくとも1つを前記上流の第2流体流へ噴射するステップを含んで構成される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記第1流体を、前記タービンの前記上流の第2流体流から離れた位置から噴射するために、前記第1流体を供給するステップを含んで構成される、請求項27又は28に記載の方法。
  30. 前記第1流体流を前記上流の第2流体流へ噴射する間に加速させるステップを含んで構成される、請求項27〜29のいずれか1つに記載の方法。
  31. 前記第1流体を第1地点から前記上流の第2流体流へ噴射するステップを含んで構成される、請求項27〜30のいずれか1つに記載の方法。
  32. 前記第1地点から離れた第2地点から、前記第1流体を前記第2流体流へ噴射するステップを含んで構成される、請求項31に記載の方法。
  33. 噴射する前記第1流体を供給するために、タービンから出力を引き出すステップを含んで構成される、請求項27〜32のいずれか1つに記載の方法。
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