JP2011256455A - ナノドットを有する構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波(フォトン)と表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を効率よく、かつ高い頻度で行うことができ、表面プラズモン共振や表面マグノン共振によって吸収、蓄積されるフォトンのエネルギを多くすることができるナノドットを有する構造体を提供する。
【解決手段】支持体10と、支持体10の上に形成された、複数の導電性セラミクスの単結晶22が集合してなる導電性セラミクス層20とを有し、導電性セラミクス層20の表面には、導電性セラミクスの単結晶22の一部からなり、高さ方向に直交する断面の面積が底部から頂部に向かってしだいに減少する形状を有するナノドット24が複数形成された、ナノドットを有する構造体1。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波(フォトン)と表面プラズモンおよび表面マグノンとの間で交換されたエネルギを蓄積できるナノドットを有する構造体に関する。
粒子径が数nm〜数十nmの金属ナノ粒子が複数配列した構造においては、電磁波、すなわちフォトンと、表面プラズモン(金属ナノ粒子の表面に局在した自由電子の集団振動)との間でエネルギ交換が起きることが知られている。また、金属ナノ粒子の表面においては金属の最外殻の対電子の一方が放出されやすく不対電子が存在するため、金属ナノ粒子は、非磁性金属であっても磁性を示す。よって、磁性金属、非磁性金属に関わらず、金属ナノ粒子が複数配列した構造においては、フォトンと、金属ナノ粒子の表面における不対電子によるスピン波、すなわち表面マグノンとの間でエネルギ交換が起きる。
また、フォトンと表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を利用したキャパシタ型蓄電池(特許文献1)や低特性インピーダンス電源・グランドペア線路(特許文献2)が提案されている。これらは、導電体からなる平行に延びる2本の伝送線路に、絶縁体膜を介して導電体膜もしくは半導体膜(特許文献1)または抵抗体層(特許文献2)が対向配置された構造を共通して有する。
該構造において、2本の伝送線路の間に電位差を与えると、2本の伝送線路の間に電場および磁場が生じる。電場が導電体膜もしくは半導体膜または抵抗体層に触れると、表面プラズモン共振によって表面プラズモンが励起し、また、磁場が導電体膜もしくは半導体膜または抵抗体層に触れると、表面マグノン共振によって表面マグノンが励起する。表面プラズモンや表面マグノンが励起する際には、伝送線路を伝播する電磁波(フォトン)のエネルギを吸収する。このようにして、フォトンと、表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でエネルギ交換が起きる。そして、プラズモンやマグノンは電子の振動であるため、表面プラズモンや表面マグノンの伝播速度は格子振動と同じオーダー、すなわち媒質の音速に近い。該速度は、電磁波の速度、すなわち光速に比べ5桁遅いため、この速度差の分だけエネルギ密度が高くなり、表面プラズモン共振や表面マグノン共振によって蓄積される見かけ上のエネルギが多くなる。
国際公開第2009/116668号パンフレット 特開2009−283688号公報
蓄電池の容量を多くしたり、電源・グランドペア線路の特性インピーダンスを低くしたり、伝送線路の流れるパルスの立ち上がり時間(ライズタイム)を短くする、または波長短縮効果を大きく、電気長を長くしたりするためには、フォトンと表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を効率よく、かつ高い頻度で行い、表面プラズモン共振や表面マグノン共振によって吸収、蓄積されるフォトンのエネルギをさらに多くすることが必要である。そのためには、導電体膜もしくは半導体膜、または抵抗体層の表面が、粒子径が数nm〜数十nmの金属ナノ粒子が複数配列した構造に類似した形状を有することが有効であると考えられる。
しかし、特許文献1の導電体膜もしくは半導体膜は、多結晶もしくはアモルファスの薄膜、または直径100nm以上のクラスタが重なった膜であって、導電体膜は、多結晶構造を有する金属膜で金属結合のため等方成長性が強く、方向性を有するナノドット成長は見込めなく、また、半導体膜は、多結晶構造の粒子が平面上に配列したものである。
特許文献2の抵抗体層は、金属もしくは半導体の均質膜またはクラスタ状の結晶粒が重なった膜である。
そのため、これらの膜や層では、フォトンと表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換の効率が低く、表面プラズモン共振や表面マグノン共振によって吸収、蓄積されるフォトンのエネルギをさらに増加させることが難しい。
本発明は、電磁波(フォトン)と表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を効率よく、かつ高い頻度で行うことができ、表面プラズモン共振や表面マグノン共振によって吸収、蓄積されるフォトンのエネルギを多くすることができるナノドットを有する構造体を提供する。
本発明のナノドットを有する構造体は、支持体と、前記支持体の上に形成された、複数の導電性セラミクスの単結晶が集合してなる導電性セラミクス層とを有し、前記導電性セラミクス層の表面には、前記導電性セラミクスの単結晶の一部からなるナノドットが複数形成され、前記ナノドットは、高さ方向に直交する断面の面積が底部から頂部に向かってしだいに減少する形状を有することを特徴とする。
前記ナノドットは、密に配列して、底部から頂部に向かって幅がしだいに増大する断面V字状の谷部を形成していることが好ましい。
前記導電性セラミクスは、過剰の窒素ガスを導入した状態にて金属を蒸着することによって形成された窒化金属であって、該金属が形成し得る窒化金属のうち、金属に対する窒素の割合が最大の窒化金属であることが好ましい。
前記金属は、ニッケル、チタン、ジルコニウム、バナジウムおよびニオブからなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
本発明のナノドットを有する構造体によれば、電磁波(フォトン)と表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を効率よく、かつ高い頻度で行うことができ、表面プラズモン共振や表面マグノン共振によって吸収、蓄積されるフォトンのエネルギを多くすることができる。
本発明のナノドットを有する構造体の一例を示す断面図である。 実施例1の評価用サンプルを示す断面図である。 実施例1の導電性セラミクス層のX線回折データを示すチャートである。 実施例1の導電性セラミクス層の高分解能透過型電子顕微鏡の画像である。 実施例1の導電性セラミクス層の走査型プローブ顕微鏡の画像である。
<ナノドットを有する構造体>
図1は、本発明のナノドットを有する構造体の一例を示す断面図である。
ナノドットを有する構造体1は、支持体10と、必要に応じて支持体10の表面に形成された下地層12と、下地層12(場合によっては支持体10)の表面に形成された、複数の導電性セラミクスの単結晶22が集合してなる導電性セラミクス層20とを有し、導電性セラミクス層20の表面には、導電性セラミクスの単結晶22の一部からなるナノドット24が複数形成されている。
(支持体)
支持体10は、その上に導電性セラミクス層20を形成できるものであればよい。後述する金属クラスタの形成のしやすさ(表面における金属原子の濡れ性の悪さ)、ナノドットを有する構造体1の取扱性、ナノドットを有する構造体1を平行に延びる2本の伝送線路に絶縁体膜(接着剤等)を介して対向配置する際の作業性、蓄電池や電源・グランドペア線路の軽量化や可とう性等を考慮すると、支持体10としては、樹脂フィルムが好ましい。
樹脂としては、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
樹脂フィルムの厚さは、取扱性、可とう性の点から、5〜100μmが好ましい。
(下地層)
下地層12は、支持体10と導電性セラミクスの単結晶22との間に密着性が必要な場合、形成するものである。
下地層12としては、支持体10との密着性および導電性セラミックスとの密着性に優れる点から、ニッケルまたはクロムが好ましく、ニッケルが特に好ましい。
(導電性セラミクス層)
導電性セラミクス層20は、支持体10の表面に対して直行するに向かって成長した柱状の導電性セラミクスの単結晶22が、支持体10の全面にわたって集合、配列してなるものである。導電性セラミクスの単結晶22の先端部分(結晶の成長の末端部分)には、後述するVolmer−Weber型成長モードによってナノドット24が形成される。なお、導電性セラミクスの単結晶22の一部には、隣接する導電性セラミクスの単結晶22との間隔が狭い等の理由によって2次元的な広がりに制約が起き、結晶の成長が途中で止まり、その先端にナノドット24が形成されないものもある。
ナノドットとは、通常、寸法が数nm〜数十nmの導電性結晶であり、ナノドットに閉じ込められた電子は、エネルギ準位が離散的になるため、閉じ込められた電子のエネルギ準位の差を利用してエネルギの吸収(保存)、放出を行う。
ナノドット24は、高さ方向に直交する断面の面積が底部から頂部に向かってしだいに減少する形状を有する。該形状としては、例えば、円錐状、釣鐘状等が挙げられる。
ナノドット24が該形状を有し、ナノドット24同士が隣接するように密に配列されることによって、ナノドット24の間に底部から頂部に向かって幅がしだいに増大する断面V字状の谷部(ナノドット24間のギャップ)が形成されるため、幅広い周波数の範囲の電磁波(フォトン)に対してギャップモードと呼ばれる非常に強い電場等が生じやすく、強い表面プラズモン共振や表面マグノン共振が起きやすい。また、ナノドット24の表面が斜面となるため、伝送線路から生じるあらゆる電場や磁場の傾きに対応できるようになる。その結果、電磁波(フォトン)と、表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を効率よく、かつ高い頻度で行うことができ、ナノドット24にエネルギを保存しやすくなる。
ナノドット24間の平均間隔は、電磁波(フォトン)と、表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を効率よく、かつ高い頻度で行う点から、5〜200nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。
ナノドット24間の平均間隔は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)によってナノドット24の中心とこれに隣接するナノドットの中心との間隔についてプローブ掃引距離1000nmで5箇所の測定を行い、平均したものである。
ナノドット24の高さと底部の幅(最大幅)との比(高さ/最大幅)は、電磁波(フォトン)と、表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を効率よく、かつ高い頻度で行う点から、0.05〜5が好ましく、0.3〜5がより好ましい。
ナノドット24の高さ、最大幅は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)によってプローブ掃引距離1000nmで5箇所の測定を行い、平均したものである。
導電性セラミクス層20の算出平均粗さRaは、電磁波(フォトン)と、表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を効率よく、かつ高い頻度で行う点から、0.1〜30nmが好ましく、0.5〜10nmがより好ましい。
導電性セラミクス層20の算出平均粗さRaは、走査型プローブ顕微鏡(SPM)によって測定する。
ナノドット24の間に底部から頂部に向かって幅がしだいに増大する断面V字状の谷部(ナノドット24間のギャップ)の、長さ1000nmの線上にある個数(線上密度)は、ナノドット24の平均間隔から計算され、5〜200ケ/nmが好ましく、10〜100ケ/nmがより好ましい。
ナノドット24は、導電性セラミクス層20の本体と一体に形成されており、導電性セラミクス層20の本体と導電性を維持した状態にある。また、導電性セラミクス層20の本体は、導電性セラミクスの単結晶22が密に集合したものであるため、支持体10の面方向に導電性を有する。導電性セラミクス層20(ナノドット24を含む。)が充分な導電性を有することによって、ナノドット24間の電位レベルを合わせることができ、表面プラズモン共振や表面マグノン共振によって各ナノドット24に蓄積されるエネルギを均質、安定化することができる。また、ナノドット24の導電性は、ナノドット24の形成時における形成条件として用いることができ、ナノドット24の密度またはナノドット24間のギャップを制御する指標となる。
ナノドット24の表面プラズモン共振や表面マグノン共振による励起エネルギを高めるためには、電荷密度が高く、電荷移動度が高い、すなわち導電率が大きいことが求められ、導電性セラミクスからなるナノドット24(導電性セラミクス層20を含む。)の導電率は、500,000S/m以上が好ましく、3,000,000S/m以上がより好ましい。この値は、半導体とされる上限の10S/m(キッテル固体物理学入門(上)、第6刷、1990年発行)よりも大きいものである。
ナノドット24(導電性セラミクス層20を含む。)の導電率は、導電性セラミクス層20の厚さを500nm以上とし、該厚さと表面抵抗から算出する。
導電性セラミクス層20の表面抵抗は、以上の点から、1000Ω/□以下が好ましく、100Ω/□以下がより好ましい。
導電性セラミクス層20(ナノドット24を含む。)の表面抵抗は、下記のようにして求める。
石英ガラス上に金を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ:10mm、幅:5mm、電極間距離:10mm)を用い、該電極上に被測定物を置き、被測定物上から、被測定物の10mm×20mmの領域を50gの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で電極間の抵抗を測定し、この値を持って表面抵抗とする。
導電性セラミクス層20の厚さは、形状の良好なナノドット24が確実に形成されやすい点から、2〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
導電性セラミクス層20の厚さは、透過型電子顕微鏡を用いて断面を観察し、測定する。
導電性セラミクスとしては、金属と、ホウ素、炭素、窒素、ケイ素、リンおよび硫黄からなる群から選ばれる1種以上の元素とからなる合金、金属間化合物、固溶体等が挙げられる。具体的には、窒化ニッケル、窒化チタン、窒化タンタル、窒化クロム、炭化チタン、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化バナジウム、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化タングステン、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン、ケイ化クロム、ケイ化ジルコニウム等が挙げられる。
導電性セラミクスとしては、原料であるガスが豊富にあり、該ガスを作業性よく用いることができ、ナノドット24を形成しやすく、また、導電性が良好である点から、窒化金属が特に好ましい。また、Volmer−Weber型の単結晶の柱状成長が行われやすい点から、過剰の窒素ガスを導入した状態にて金属を蒸着することによって形成された窒化金属であって、該金属が形成し得る窒化金属のうち、金属に対する窒素の割合が最大の窒化金属がさらに好ましい。金属に対する窒素の割合が最大の窒化金属は、ニッケルの場合、NiNであり、ジルコニウムの場合は、ZrNである。
導電性セラミクスに用いる金属としては、ニッケル、鉄、銅、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、クロム等が挙げられ、導電性が高い導電性セラミクスを形成できる点から、ニッケル、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブが好ましく、ニッケルが特に好ましい。
窒化ニッケルとしては、安定したものとして、Ni8N、NiN(面心立方格子構造)、NiN(面心立方格子構造)があり、ニッケル(面心立方格子構造)の結晶間に多くの窒素が侵入した一方向結晶格子が拡大したNiN(六方最密充填構造)が特に好ましい。NiNは、後述するように、セラミクスとしての結晶性を持ち、なお侵入する窒素の量が多く、単結晶格子の拡大により成長性が高まり、結晶の異方性が高まるため、または窒素含有量が増えることにより等方成長性の金属性が弱まり、融点が高くなるということから、Volmer−Weber型の単結晶の柱状成長が行われると考えられる。
(ナノドットを有する構造体の製造方法)
半導体薄膜の形成においては、分子線エピタキシー法(MBE法)や有機金属気相成長法(MOCVD法)によって結晶を成長させると、臨界膜厚を超えた際にStranski−Krastanov型等の成長モードが起こり、2次元膜構造から3次元島状構造への変化によってナノドットが形成されることが知られている。
しかし、MBE法では、超高真空が必要であり、また、製膜速度が遅いため、量産に向かないという問題がある。また、MOCVD法では、目的の半導体に応じて高価な有機金属化合物を用意する必要があり、原料として安価なバルクな金属(ニッケル等)を用いることができないという問題がある。
本発明においては、支持体10の表面に、必要に応じてニッケルまたはクロムからなる下地層を形成した後、通常の蒸着法によって導電性セラミクスを蒸着させることによって、導電性セラミックスの単結晶22を成長させ、ナノドット24を形成する。
蒸着法によって支持体10の表面に付着した導電セラミクスを構成する原子は、いわゆる固体表面での液体の濡れ方と同様に考えることができ、支持体10との濡れ性が悪い時は、蒸着初期において島状に形成され(Volmer−Weber型成長)、その後蒸着される導電セラミクスを構成する原子は、堆積および単結晶の成長により、2次元方向から3次元膜構造に変化し、成長方向が2次元である結晶成長は成長スペースがなくなり、成長を中止し、3次元方向の残る方向、すなわち膜厚方向に成長する。結晶成長は、宝石のようにファセット(錐面)を有して成長(ファセット的セル状結晶成長)するため、成長が終了すると、このファセットを有したままとなり、高さ方向に直交する断面の面積が底部から頂部に向かってしだいに減少する形状が形成される。
支持体10の表面における金属原子の濡れ性が良すぎると、Volmer−Weber型成長が行われず、支持体の表面において導電セラミクスを構成する原子が移動して島状形状が形成されにくくなり、均質な膜に成長しやすくなるため、支持体10としては、表面における導電セラミクスを構成する原子の濡れ性が悪い樹脂フィルムが好ましい。
樹脂フィルムが十分な濡れ性を有するためには、付着する導電セラミクスを構成する原子のエネルギを減少させるよう、低い温度に維持されることが好ましく、250℃以下がより好ましい。また、樹脂のせん断弾性率が低いと、蒸着初期において導電セラミクスを構成する原子が樹脂とともに振動し、安定しないため十分な島状形成が行われなくなるため、せん断弾性率が高いものが好ましい。具体的には、せん断弾性率が1×108Pa以上のものが好ましい。
せん断弾性率の測定方法としては、以下のような方法が知られている。
(1)JIS K7113に規定されている引張応力と歪との関係から引張り弾性率を求め、これをもとに下記式からせん断弾性率を求める。
せん断弾性率=引張り弾性率/(2×(1+ポアソン比))
ここで2×(1+ポアソン比)の値は、剛直な高分子からゴム状の弾性体まで、おおよそ2.6〜3.0である。
(2)温度特性を把握できる粘弾性率測定装置を用い、試験モードをせん断モードにしてせん断弾性率を測定する。
(3)粘弾性率測定装置を用い、試験モードを引張りモードにして貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”を測定し、下記式から複素弾性率G*を求め、複素弾性率を引張り弾性率として、上記式からせん断弾性率を求める。
G*=√((G’)+(G”)
本発明におけるせん断弾性率は、粘弾性率測定装置として、レオメトリック・サイエンティフィック社製ソリッドアナライザーRSA−IIを用い、せん断モードにて、測定周波数1Hzの条件で測定した値とする。
蒸着法としては、導電性セラミクス層20の形成のしやすさの点から、物理的蒸着法が好ましく、反応性スパッタリング法にて導電性セラミックスの単結晶22を形成しやすい点から、スパッタリング法がより好ましい。
導電性セラミクス層20を形成するためには、金属のスパッタリングと同時に典型非金属元素を導入し、セラミクス化することが必要である。典型非金属元素としては、ガスの状態で導入できる窒素、炭素(低分子炭化水素)が好ましい。本発明においては、反応生成する導電性セラミクス中の典型非金属素の含有量を多くすることが好ましいことから、典型非金属元素は、反応必要量より過剰に導入することが好ましい。導入ガス量は、金属種、装置、運転条件等に応じて決められ、一概にはいえないが、同時に導入するアルゴン等の不活性ガスの分圧の0.01〜5倍で、その分圧は0.05〜10Paである。
(作用効果)
以上説明したナノドットを有する構造体1にあっては、複数の導電性セラミクスの単結晶22が集合してなる導電性セラミクス層20の表面に、導電性セラミクスの単結晶22の一部からなるナノドット24が複数形成され、かつナノドット24が高さ方向に直交する断面の面積が底部から頂部に向かってしだいに減少する形状を有するため、電磁波(フォトン)と表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を効率よく、かつ高い頻度で行うことができ、表面プラズモン共振や表面マグノン共振によって吸収、蓄積されるフォトンのエネルギを多くすることができる。
(用途)
ナノドットを有する構造体1は、特許文献1に記載されたキャパシタ型蓄電池における導電体膜として用いることができ、蓄電池の容量をより多くできる。
また、ナノドットを有する構造体1は、特許文献2に記載された低特性インピーダンス電源・グランドペア線路における抵抗体層として用いることができ、電源・グランドペア線路の特性インピーダンスをより低くできる。
以下、実施例を示す。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(導電性セラミクス層のX線構造解析)
X線回折装置(島津製作所社製、XRD−6100)を用い、薄膜法によって入射角:0.5度の条件にて導電性セラミクス層のX線構造解析を行った。
(ナノドットの寸法)
走査型プローブ顕微鏡(エスエスアイ・ナノテクノロジー社製、SPA300)を用い、ナノドット間の間隔、ナノドットの高さ、最大幅のそれぞれについてプローブ掃引距離1000nmで5箇所で測定し、平均した。
(導電性セラミクス層の厚さ)
透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、H9000NAR)を用いて断面を観察し、導電性セラミクス層の5箇所の厚さを測定し、平均した。
(導電性セラミクス層の算出平均粗さRa)
走査型プローブ顕微鏡(エスエスアイ・ナノテクノロジー社製、SPA300)を用いて導電性セラミクス層の算出平均粗さRaを測定した。
(導電性セラミクス層の導電率)
デジタルマルチメータ(アドバンテスト社製、7351A)を用いて導電性セラミクス層の導電率を測定した。
(導電性セラミクス層の表面抵抗)
石英ガラス上に金を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ:10mm、幅:5mm、電極間距離:10mm)を用い、該電極上に被測定物を置き、被測定物上から、被測定物の10mm×20mmの領域を50gの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で電極間の抵抗を測定し、この値を持って表面抵抗とした。
(比誘電率)
LCRメータ(エヌエフ回路設計ブロック社製、LCRメータ ZM2372)を用い、測定周波数:0.01Hzの条件にて、2つの電極間にサンプルを挟持し、電気容量を測定し、計算により比誘電率を算出した。
(電気長の測定)
図2に示すような、厚さ:0.6mmの絶縁シート32の表面に、長さ:200mm、幅:2.5mm、厚さ:0.035mmの2本の伝送線路34(銅箔の表面にニッケルめっきおよび金めっきを施したもの)が間隙:1.25mmを開けて平行に延びるプリント配線板30を用意した。
ナノドットを有する構造体を裁断し、長さ:196mm、幅:10mmの大きさとした後、ナノドットを有する構造体1を、導電性セラミクス層20が形成された側の表面がプリント配線板30側となるように、両端部の端子部分の2mmを残して2本の伝送線路34をほぼ完全に覆うように、かつプリント配線板30の表面形状に沿うように、厚さ:10μmの誘電体シート40を介して、2本の伝送線路34に対向配置し、評価用サンプル50を得た。
片方の2本の端子部にベクトルネットワークアナライザ(アンリツ社製、37247C)の入力チャンネルを接続し、TDR(タイムドメインリフレクトメトリー)法により電気長の測定を行なった(ディメンジョンは時間)。
〔実施例1〕
250mm×100mm×厚さ25μmのポリイミドフィルム(せん断弾性率2.4GPa)の片面に、マグネトロンスパッタリング法によって、アルゴンガスを導入しながら蒸着質量(膜厚換算)が2nmとなる条件にて、ニッケルを物理的に蒸着させ、下地層を形成した。引き続き、アルゴンガスおよび過剰の窒素ガス(分圧2.7Pa)の導入を開始し、反応性スパッタリング法によって、蒸着質量(膜厚換算)が35nmとなる条件にて、ニッケルを物理的に蒸着させて、窒化ニッケル(NiN)の単結晶を成長させ、導電性セラミクス層を形成し、ナノドットを有する構造体を得た。
導電性セラミクス層のX線構造解析を行ったところ、窒化ニッケル(NiN)の単結晶からなることが確認された。X線回折データを図3に示す。
透過型電子顕微鏡にて導電性セラミクス層の断面を観察したところ、密に柱状に成長した窒化ニッケルの単結晶の先端部分に、断面略三角形、すなわち略円錐状のナノドットが一体に形成されていることが確認された。透過型電子顕微鏡の画像を図4に示す。また、導電性セラミクス層の厚さを表1に示す。
走査型プローブ顕微鏡にて導電性セラミクス層を観察したところ、導電性セラミクス層の表面に無数の略円錐状のナノドットが形成されていることが確認された。走査型プローブ顕微鏡の画像を図5に示す。また、ナノドットの各寸法を表1に示す。
また、導電性セラミクス層の各特性を表1に示す。
2本の伝送線路34の上に誘電体フィルム40を介してナノドットを有する構造体1を設置し、TDR法により電気長を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
ナノドットを有する構造体1を、厚さ:36μmの銅箔に変更した以外は、実施例1と同様にして電気長を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
250mm×100mm×厚さ40μmのポリカーボネートフィルム(せん断弾性率0.8GPa、15質量%のナノカーボン粒子を分散配合、比誘電率:400,000)の片面に、アルゴンガスおよび過剰の窒素ガス(分圧0.7Pa)の導入を開始し、RFスパッタリング法による反応性スパッタリング法によって、蒸着質量(膜厚換算)が25nmとなる条件にて、ニッケルを物理的に蒸着させて、窒化ニッケル(NiN)の単結晶を成長させ、導電性セラミクス層を形成し、ナノドットを有する構造体を得た。
2本の伝送線路34の上にポリカーボネートフィルムの窒化ニッケルが蒸着されていない面を合わせ、ナノドットを有する構造体1を設置し、TDR法により電気長を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
窒素ガスの分圧を0.3Paとしたこと以外は、実施例2と同様にして窒化ニッケル(NiN)の単結晶を成長させ、導電性セラミクス層を形成し、ナノドットを有する構造体を得た。
2本の伝送線路34の上にポリカーボネートフィルムの窒化ニッケルが蒸着されていない面を合わせ、ナノドットを有する構造体1を設置し、TDR法により電気長を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
250mm×100mm×厚さ10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(せん断弾性率0.9GPa)の片面に、アルゴンガスおよび過剰の窒素ガス(分圧0.7Pa)の導入を開始し、RFスパッタリング法による反応性スパッタリング法によって、蒸着質量(膜厚換算)が40nmとなる条件にて、ジルコニウムを物理的に蒸着させて、窒化ジルコニウム(ZrN)の単結晶を成長させ、導電性セラミクス層を形成し、ナノドットを有する構造体を得た。
2本の伝送線路34の上にポリカーボネートフィルムの窒化ニッケルが蒸着されていない面を合わせ、ナノドットを有する構造体1を設置し、TDR法により電気長を測定した。結果を表1に示す。
比較例1に比べ、実施例1〜4の電気長、すなわち表面プラズモン共振や表面マグノン共振によって吸収、蓄積されるフォトンのエネルギが多くなっていることから、実施例1〜4のナノドットを有する構造体は、電磁波(フォトン)と表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を効率よく、かつ高い頻度で行っていることがわかる。
本発明のナノドットを有する構造体は、電磁波(フォトン)と表面プラズモンおよび表面マグノンとの間で交換されたエネルギを蓄積できるプラズモニクスシートとして、フォトンと表面プラズモンおよび表面マグノンとの間でのエネルギ交換を利用したキャパシタ型蓄電池(特許文献1)や低特性インピーダンス電源・グランドペア線路(特許文献2)に用いることができる。
1 ナノドットを有する構造体
10 支持体
12 下地層
20 導電性セラミクス層
22 導電性セラミクスの単結晶
24 ナノドット

Claims (4)

  1. 支持体と、
    前記支持体の上に形成された、複数の導電性セラミクスの単結晶が集合してなる導電性セラミクス層とを有し、
    前記導電性セラミクス層の表面には、前記導電性セラミクスの単結晶の一部からなるナノドットが複数形成され、
    前記ナノドットは、高さ方向に直交する断面の面積が底部から頂部に向かってしだいに減少する形状を有することを特徴とするナノドットを有する構造体。
  2. 前記ナノドットが、密に配列して、底部から頂部に向かって幅がしだいに増大する断面V字状の谷部を形成している、請求項1に記載のナノドットを有する構造体。
  3. 前記導電性セラミクスが、過剰の窒素ガスを導入した状態にて金属を蒸着することによって形成された窒化金属であって、該金属が形成し得る窒化金属のうち、金属に対する窒素の割合が最大の窒化金属である、請求項1または2に記載のナノドットを有する構造体。
  4. 前記金属が、ニッケル、チタン、ジルコニウム、バナジウムおよびニオブからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項3に記載のナノドットを有する構造体。
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