〔パチンコ遊技機の全体構造〕
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図8を参照して実施形態に係るパチンコ遊技機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ機1の外枠2に対して本体枠3を開放し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ遊技機の正面から見た斜視図であり、図3は、パチンコ機1の正面図であり、図4は、パチンコ機1の側面図であり、図5は、パチンコ機1の平面図であり、図6は、パチンコ機1の背面図であり、図7は、パチンコ機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の後方から見た分解斜視図であり、図8は、パチンコ機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の前方から見た分解斜視図である。
図1乃至図8において、本実施形態に係るパチンコ機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域605を遊技者が視認し得る遊技窓101と該遊技窓101の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿としての皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾カバー板15によって被覆されている下部前面板14が固着されている。また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、その裏面下部に打球発射装置650(本発明の発射装置に相当)と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100が取り付けられ、本体枠3の後面開口580(図7参照)を覆うカバー体1250が着脱自在に設けられている。更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300の他に、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット250と、ハンドル装置460とが設けられている。そして、本実施形態の特徴は、扉枠5に設けられる皿ユニット300が1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていたハンドル装置460が扉枠5に設けられ、また、扉枠5と本体枠3とが正面から見てほぼ同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認できなくした点である。以下、パチンコ機1を構成する部材について詳細に説明する。
〔外枠〕
外枠2について、主として図9乃至図13を参照して説明する。図9は、外枠2の正面斜視図であり、図10は、同外枠2の正面から見た分解斜視図であり、図11は、同外枠2の正面図であり、図12は、同外枠2の背面図であり、図13は、図11のB−B断面図(A)と図13(A)のC−C断面図(B)、D−D断面図(C)、E−E断面図(D)である。
図9及び図10において、本実施形態に係る外枠2は、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とを、それぞれの端部を連結するための連結部材19で連結することによって方形状に組み付けられるものである。具体的には、連結部材19は、中央と左右とに段差のある表彰台状に形成され、突出した中央の部分が上枠板10及び下枠板11の両端部中央に形成された係合切欠部20に嵌合され、一段下がった左右の部分の平面に上枠板10の裏面と下枠板11の上面とが当接し且つ一段下がった左右の部分の一側面に側枠板12,13の内側面が当接するようになっている。
そして、その状態で、上枠板10の係合切欠部20の両側方及び下枠板11の係合切欠部20の両側方にそれぞれ形成される挿通穴21と連結部材19の一段下がった左右の部分の平面に形成される複数(図示の場合2個)の連結穴22(図10の上枠板10と側枠板12とを連結する連結部材19に表示するが、他の連結部材19にも存在する)とを一致させて上方又は下方から複数(図示の場合2本)の連結ビス23で止着し、更に、側枠板12,13の上下端部分に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴24と連結部材19の一段下がった左右の部分の側面に形成される複数(図示の場合3個)の連結穴25とを一致させて側方外側から複数(図示の場合3本)の連結ビス26,27で止着することにより、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とが強固に連結固定される。ただし、3本の連結ビス26,27のうち、1本の連結ビス27は、側枠板12,13と連結部材19とを連結するものではなく、上枠板10及び下枠板11と連結部材19とを側方から直接連結するものである。
外枠2を構成する上枠板10と下枠板11、及び側枠板12,13のうち、上枠板10と下枠板11とは従来と同じ木製であり、側枠板12,13は、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板10及び下枠板11を従来と同じ木製で構成した理由は、パチンコ機1を遊技場に列設される島に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くするためである。一方、側枠板12,13をアルミニュウム合金の押出し成型板により構成した理由は、従来の木製に比べ強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することができるため、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の側面壁540〜543(図23参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができる。このため左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができることになり、結果的に遊技盤4の遊技領域605を大きく形成することができるからである。
なお、側枠板12,13をアルミニュウム合金の平板で構成すると、充分な剛性が確保できないため、図13(C)に示すように、側枠板12(側枠板13も全く同じ構造である。)の後方部分内側にリブによって後方が開放した空間部28(側枠板13の空間部28は図12に表示)を形成して後方部分の肉厚h1が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h1は、従来の木製の肉厚と同等若しくは若干薄い寸法となっている。
また、図13(B),(D)に示すように、側枠板12の空間部28の前方には、連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる溝部29(側枠板13の溝部29は図9に表示)が形成されている。側枠板12の溝部29から前端部までは、図13(B)〜(D)に示すように、その内側面が連結部材19の一段下がった左右の部分の他方の部分が当接する平板状をなすものであるが、その平板部に材料軽減のための浅い凹部が形成されている。更に、前記溝部29が形成される反対側の面(外側面)には、図9及び図13(B)に示すように、上支持金具45の垂下片部53が挿入される凹部30(側枠板13の凹部30は図10に表示)が形成されている。
そして、上記のように形成される軸支側の側枠板12には、連結部材19を取り付けるための構成以外に、その上部に上支持金具45の垂下片部53を側枠板12の外側に止着ビス32で止着するための取付穴31が穿設されると共に、その下部に下支持金具66の垂直当接片72に形成される取付穴69と一致させて止着ビス34で止着するための取付穴33が穿設されている。また、取付穴33の下部であって側枠板12の前方部分に側枠板12と下部前面板14とを止着ビス36で止着するための取付穴35が形成されている。
一方、開放側の側枠部13には、連結部材19を取り付けるための構成以外に、その上部に閉鎖用突起38を取付ネジ39で取り付けるための取付穴37が穿設され、その下部に閉鎖用突起41を取付ネジ42で取り付けるための取付穴40が穿設されると共に、さらに最下方に側枠板13と下部前面板14とを止着ビス44で止着するための取付穴43が形成されている。
なお、この閉鎖用突起38,41は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる錠装置1000のフック部1054,1065(図67参照)と係合するものであり、後に詳述するように錠装置1000のシリンダー錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖用突起38,41との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができるものである。
また、下枠板11と左右の側枠板12,13の下部前面に固定される下部前面板14は、閉止時においてその上面に本体枠3が載置されるものであり、下部前面板14の表面及び側面は、装飾カバー板15によって被覆されているが、装飾カバー板15の裏面に、その後端に弾性爪が形成される止着突起16(図12参照)が突設され、その止着突起16が下部前面板14に貫通される止着穴17に貫通させられることにより下部前面板14に取り付けられている。なお、外枠2の装飾カバー板15の開放側の上面には、本体枠3の閉止時に該本体枠3をスムーズに案内するための案内板18が交換可能に装着されている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板10と側枠板12とを連結する機能も兼用する上支持金具45と下部前面板14の一側上面に沿って取り付けられる下支持金具66とが設けられている。上支持金具45には、前方に突出している支持突出片46に該支持突出片46の側方から先端中央部に向かって屈曲して形成された支持鉤穴47が形成されており、この支持鉤穴47に本体枠3の後述する上軸支金具503の軸支ピン504(図25参照)が着脱自在に係合されるようになっている。
また、下支持金具66も前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分に上向きに支持突起68が突設され、この支持突起68に本体枠3の後述する枠支持板506(図26参照)に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具66の支持突起68に本体枠3の枠支持板506に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504を支持鉤穴47に掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる。
また、上支持金具45は、上枠板10の軸支側の上面及び前面に凹状に形成される取付段部49に装着されるものであるが、その装着に際し、上支持金具45に形成される複数(図示の場合2個)の取付穴48と取付段部49に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴50とを一致させて取付ビス51を上方から差し込み、上枠板10の裏面から押し当てられる挟持板52に止着することにより上支持金具45が上枠板10に堅固に固定される。
また、上支持金具45の外側側方には、側枠板12の外側に当接する垂下片部53があり、その垂下片部53にも取付穴が穿設され、この取付穴と前記取付穴31とを止着ビス32で止着することにより、上支持金具45と側枠板12とを固定すると共に、上枠板10と側枠板12とを上支持金具45を介して連結している。
一方、下支持金具66は、前述したように側枠板12の取付穴33と垂直当接片72の取付穴69とを一致させた状態で止着ビス34で止着し、さらに、下支持金具66の水平面の中程に穿設される取付穴70に取付ネジ71を差し込むことにより、前記装飾カバー板15を介して前記下部前面板14の上面に止着されるものである。
上記のように構成される外枠2において、その構成部材である上枠板10と下枠板11と側枠板12,13とを連結部材19で連結することにより、連結部材19が側枠板12,13の内面に密着して止着されると共に連結部材19と上枠板10及び下枠板11が係合した状態で止着されるので、その組み付け強度が高く頑丈な方形状の枠組みとすることができる。上記した連結部材19と上枠板10及び下枠板11との係合状態に加え、連結部材19の側枠板12,13への取り付けに際し、溝部29に連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる構造であるため、連結部材19の側枠板12,13への取り付けが強固となり、これによっても方形状の枠組みの強度を向上することができると共にその位置決めを正確に行うことができる。
また、連結部材19によって上枠板10、下枠板11、側枠板12,13を連結した後、上支持金具45を所定の位置に取り付けたときに、図11及び図12に示すように、各枠板10,11,12,13の外側面(外周面)から外側に突出する部材は存在しないので、パチンコ機1を図示しないパチンコ島台に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する玉貸器)と密着して取り付けることができる。また、下支持金具66を取り付けたときにも、下部前面板14の上面と下支持金具66の上面とがほぼ同一平面となるようになっている。
〔扉枠〕
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図14乃至図19を参照して説明する。図14は、扉枠5の正面図であり、図15は、扉枠5の背面図であり、図16は、図14に表示されるA−A断面図であり、図17は、図14に表示されるB−B断面図であり、図18は、扉枠5の正面から見た分解斜視図であり、図19は、扉枠5の背面から見た分解斜視図である。
図14、図15、図18及び図19に示すように、扉枠5は、方形状に形成される扉枠本体100の上部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、該遊技窓101の前面周囲に扉レンズユニット120が取り付けられ、また、遊技窓101の下方の板状部の前面に扉枠本体100に皿ユニット300が設けられ、その皿ユニット300の一側(開放側)にハンドル装置460の操作ハンドル部461が突設固定されている。また、扉枠本体100の裏面には、遊技窓101の周囲に補強板金210が固定され、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット250が取り付けられると共に、前記遊技窓101の下方の板状部の裏面に、前記操作ハンドル部461に対応するジョイントユニット480、装着台280、及び枠装飾中継基板290がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット250の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー270も装着されている。以下、扉枠5を構成する上記の各構成部材のより詳細な構造について説明する。
<扉枠本体>
図18及び図19に示すように、扉枠本体100は、合成樹脂によって額縁状に形成され、前述したように上方部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、その遊技窓101の下方が板状部となっている。遊技窓101の上部左右には、後述するスピーカ163を貫通させる円形状のスピーカ用開口102が形成され、そのスピーカ用開口102の下方に後述するガラスユニット250の止め片254を係止するための止めレバー108(図15参照)が回動自在に設けられている。なお、本実施形態に係る遊技窓101は、従来に比べて上下方向及び左右方向の寸法が大きくなった遊技盤4が取り付けられるため、遊技窓101の上下方向及び左右方向の寸法も大きくなっている。このため、後述する扉枠レンズユニット120の形状が従来一般的に知られているものと大きく相違する。
一方、遊技窓101の下方の板状部には、軸支側上部に皿ユニット300の賞球連絡樋451が貫通する賞球通過口103が開設され、その斜め中央寄りに後述する側面開口蓋406を脱着するための蓋用開口105が開設され、その蓋用開口105の開放側の隣接する位置に球送りユニット287を装着するための球送り開口104が開設され、さらに球送り開口104のさらに開放側寄りにシリンダー錠1010が貫通するための錠穴106が開設されている。
また、球送り開口104の下方の板状部の裏面側にジョイントユニット480を取り付けるためのジョイントユニット装着凹部107が形成され、同じく下方の板状部の裏面側の遊技窓101の下部左右にガラスユニット250の掛止突片255を掛け止めるための係合受片(図示せず)が形成され、その係合受片の側方に防犯カバー270の後述する装着弾性片273が装着される装着開口部110が形成されている。また、板状部の前面中央には、前方に向って後述する皿ユニット300の案内穴456(図16参照)に挿入される係合突起111が形成されている。更に、扉枠本体100の下辺は、後方に突出した扉枠突片112となっており、後述するように、この扉枠突片112と本体枠3に形成される係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
<扉レンズユニット>
次に、上記した扉枠本体100の前面側の上部に取り付けられる扉レンズユニット120の構成について説明する。扉レンズユニット120は、前面側を反射面とするリフレクタと、リフレクタの前面及び内側に取り付けられる冷陰極管及びLED基板と、リフレクタの前方を覆う光透過性のあるレンズカバー150と、レンズカバー150に取り付けられるスピーカ163と、レンズカバー150のベースとなるレンズベース体121と、から構成されている。
レンズカバー150は、レンズベース体121における上レンズカバー部151と、側方レンズカバー部156,157とが透過性の樹脂によって形成されている。そして、前述したように扉枠本体100に形成される遊技窓101の開口寸法が従来よりも大きく形成されているため、扉枠本体100の外周辺と遊技窓101の内周辺との間の寸法、換言するならば、レンズカバー150が取り付けられるための寸法(特に、左右両側部の寸法)が狭くなっているため、本実施形態におけるレンズカバー150は、上レンズカバー部151と側方レンズカバー部156,157のすべての最大前方突出部において、その基部寸法(扉枠本体100に当接する部分の幅寸法)に対して前方に向って突出する突出寸法が大きくなるような断面楔形状となっている。より詳細に説明すると、上レンズカバー部151及び側方レンズカバー部156,157は、共に白色レンズ部として断面楔状の前方膨出部が合成樹脂で成形され、その白色レンズ部の下部後端の遊技窓101を縁取る内側に着色の異なる合成樹脂で成形された赤色レンズ部を連結して構成されるものである。
ところで、上レンズカバー部151は、内部が空洞で後方が開放した断面楔状に形成されると共に平面視においてブーメラン形状に構成されるものであり、前述した「く」字状に形成される上冷陰極管とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、上レンズカバー部151の楔状先端部外側には、銀色に着色された不透明な先頭モール部材154が固着されており、上レンズカバー部151のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を上冷陰極管で照明している。また、側方レンズカバー部156,157は、内部が空洞で後方が開放して断面楔状に形成される点で上レンズカバー部151と同様であるが、側方視において楔状の突出量が上レンズカバー部151に比べて少なく、また全体としてなだらかな曲線を有するブーメラン形状に構成されるものであり、前述した直線状に形成される側方冷陰極管とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。
また、本実施形態において、扉枠5の前面周囲を装飾する照明手段として冷陰極管を使用している理由は、以下の通りである。扉枠5の前面周囲を装飾する際に、発光源とその発光源の前面に配置されるレンズカバーの距離をあまり大きく取ることができないという制約がある。この制約は、扉枠5は常に開閉されるため、あまり突出量を大きくすると、開放時における作業等に支障を来たすおそれがあるからである。しかして、発光源とレンズカバーとの間の距離があまりとれない状況において、従来のように、発光源として、ランプやLEDを点在させた場合に、レンズカバーを通して視認できる光装飾は、連続した状態の光装飾が視認できるものではなく光が強い部分と弱い部分との斑模様に視認できるに過ぎない。これに対し、本実施形態のように、発光源として連続した冷陰極管を使用した場合に、冷陰極管とレンズカバー150との距離が短くても、レンズカバー150を通して視認できる光装飾は、連続した状態の美しい光装飾が視認できるものである。このため、正に遊技盤4を囲む領域が連続した美しい光装飾により縁取られた状態となるので、従来のパチンコ遊技機にはない装飾効果を奏することができる。なお、発光源とレンズカバーとの距離をある程度とることができる場合には、LED等の点在する発光源を使用しても光が拡散してレンズカバーの全域をあまり強弱がなく照明することができる。
更に、レンズカバー150の側方レンズカバー部156,157の下方に装飾部材取付領域184が形成され、その装飾部材取付領域184に装飾部材185が取り付けられている。この装飾部材185は、上記したスピーカカバー165と類似した形状にして、レンズカバー150を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、レンズカバー150の上部左右と下部左右とがバランスのとれた印象を与えるために取り付けられるものである。なお、上記したスピーカカバー165及び装飾部材185は、上記したように単にスピーカ163の前方を覆ったり、あるいはレンズカバー150の下部を装飾したりするだけではなく、その周囲がLEDで光装飾される構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係るスピーカカバー165及び装飾部材185は、扉枠5の遊技窓101を囲む領域において、前述した冷陰極管及びLED基板による光装飾とは別に四隅を重点的に光装飾するように構成されているので、遊技窓101の下辺を除く全周が漫然と光によって装飾されるのではなく、強弱のある光装飾とすることができる。特に、扉枠5の左右上部における光装飾は、従来、スピーカだけが配置される傾向が強く、そのスピーカ周りの光装飾が行われないため遊技窓101の外周周りの光装飾に斑がある印象を与えていたが、本実施形態のように構成することにより、遊技窓101の下辺を除く全周を効果的に光装飾を行うことができるものである。
<補強板金>
扉枠本体100の前面側には、上記した扉レンズユニット120が取り付けられると共にその下方に皿ユニット300が取り付けられる。ここで、皿ユニット300の構造を説明する前に、扉枠本体100の裏面側に取り付けられる補強板金210、ガラスユニット250、防犯カバー270、装着台280、枠装飾中継基板290、ハンドル装置460について順次説明する。まず、補強板金210について主として図18、図19、及び図15乃至図17を参照して説明する。
補強板金210は、図18及び図19に示すように、扉枠本体100の上辺部裏面に沿って取り付けられる上側補強板金211と、扉枠本体100の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる軸支側補強板金212と、扉枠本体100の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる開放側補強板金213と、扉枠本体100の遊技窓101の下辺裏面に沿って取り付けられる下側補強板金214と、が相互にビス等で締着されて方形状に構成されるものである。
図18に示すように、軸支側補強板金212の上下端部には、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン219を有する上軸支部218と、その下面に軸ピン221(図15参照)を有する下軸支部220と、が一体的に形成されている。そして、上下の軸ピン219,221が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具503及び下軸支金具509に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に設けられるものである。
下側補強板金214は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁が後方に向って折曲した下折曲突片229となっており、上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲した上折曲突片230となっているものの、その両側部の上折曲突片230に挟まれる部分が垂直方向に延設される垂直折曲突片231となっている。下折曲突片229の突出量はあまり大きくなく、この下折曲突片229が溝部や凹部と係合して凹凸係合をなすものではなく、強度を高めるために形成されているのに対し、両側部の上折曲突片230の突出量は下折曲突片229の突出量よりもやや大きく下方からの不正具の侵入を多少防止するが、むしろ、本実施形態における下側補強板金214の構成で最も特徴的な構成は、垂直折曲突片231である。
この垂直折曲突片231は、その上端縁形状が後述するガラスユニット250のユニット枠251の下端形状に合致するように凹状に形成され、ガラスユニット250を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片231の上端片がガラスユニット250のユニット枠251の幅方向のほぼ中央の外周に沿って形成される係合溝261に係合するようになっている(図17参照)。なお、下側補強板金214には、扉枠本体100に形成される賞球通過口103の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部228が形成されている。
<ガラスユニット(透明板ユニット)>
次に、扉枠5の裏面に取り付けられる透明板ユニットとしてのガラスユニット250について説明する。ガラスユニット250は、図18及び図19に示すように、遊技窓101よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長八角形状のユニット枠251と、ユニット枠251の開口の外周前後面に2枚の透明板としてのガラス板262(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を(ホットメルト系接着剤で)接着することにより構成されるものである。なお、図示は省略するが、ユニット枠251には、内部に乾燥剤を封入する乾燥剤封入空間部が形成されている。
<防犯カバー>
次に、上記したガラスユニット250の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与された防犯カバー270について、主として図15、図17、図18、及び図19を参照して説明する。防犯カバー270は、図示するように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金212,213の間のガラスユニット250の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部が遊技盤4の内レール603の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部271として形成されていると共に、その当接凹部271に沿って後方に向って防犯後突片274が突設されている。また、防犯カバー270を取り付けた状態で軸支側裏面には、防犯後端部突片275が斜め状に突設形成されている。一方、防犯カバー270の前面には、防犯カバー270を取り付けた状態で前記ガラスユニット250のユニット枠251の下方形状に沿った防犯前突片272が突設されると共に、下部両端にU字状に形成される装着弾性片273が前方に向けて突設形成されている。
上記のように構成される防犯カバー270は、装着弾性片273を扉枠本体100に形成される装着開口部110に装着することにより、扉枠5の裏面側に着脱自在に取り付けられる。そして、取り付けた状態では、図17に示すように、防犯前突片272がガラスユニット250のユニット枠251の後方下片面と対面するようになっている。また、防犯前突片272の前端は、垂直折曲突片231と当接している。また、防犯後突片274及び防犯後端部突片275は、後方へ突出した状態となっているが、扉枠5を閉じたときに、防犯後突片274の軸支側の半分は、遊技盤4に固定される内レール603の下側面に侵入して対面した状態となるが、防犯後突片274の開放側の半分は、前構成部材601の内レール603に形成されたレール防犯溝607に挿入された状態となり、また、防犯後端部突片275は、本体枠3の軸支側に形成される前記防犯突起608の上面に沿って重合状の位置となる(図30参照)。
而して、防犯カバー270を取り付けて扉枠5を閉じた状態においては、前述した扉枠突片112と係合溝584,585とによる防犯構造、及び後述する防犯突片285と防犯空間586とによる防犯構造に加えて、ガラスユニット250の下方から不正具を侵入させようとしても、防犯前突片272とユニット枠251との重合により、防犯カバー270の前面下方方向からの不正具の侵入が防止され、防犯後突片274と前構成部材601を構成する内レール603との重合により、防犯カバー270の後面下方方向からの不正具の侵入が防止される。特に、扉枠5の軸支側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、防犯突起608と防犯後端部突片275との重合構造によって外レール602への不正具の侵入が阻止され、さらに内レール603と防犯後突片274との重合構造によって遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。
また、同様に、扉枠5の開放側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、前述した開放側補強板金213の二重の折曲突片223,225による防犯構造に加えて、レール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合によりさらに遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。なお、防犯カバー270の裏面側の防犯後突片274と防犯後端部突片275との間の垂直面は、扉枠5を閉じた状態で外レール602と内レール603とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うものであるため、当該誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板262への衝突を防止する機能も有している。
<装着台>
装着台280は、図15、図18、及び図19に示すように、扉枠本体100の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものであり、防犯カバー270と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台280は、発射レール515から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台280の後面と本体枠3の板部511とによって発射レール515を挟持するように形成されるものであり、このため、装着台280の後面に球飛送誘導面286が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台280には、その軸支側上部に下側補強板金214に形成される賞球通過口被覆部228の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口281が形成され、その開放側下部に球送りユニット287を取り付ける球送りユニット取付凹部282が形成されている。この球送りユニット取付凹部282から斜め方向の領域が球飛送誘導面286となっている。
また、球送りユニット取付凹部282に取り付けられる球送りユニット287は、後述する打球発射装置650の打球槌687の往復動差に対応して揺動する球送り部材が設けられ、この球送り部材の揺動動作によって皿ユニット300の誘導通路部の流下端にある球を発射レール515の発射位置に1個ずつ供給するものである。また、装着台280の中程下部に後述する側面開口蓋406を取り外す際に指を入れることができる蓋用開口283が形成されている。更に、装着台280の上辺の一部に垂直に立設される立壁284が形成されている。この立壁284は、図15に示すように、前記防犯カバー270を取り付けたときに、該防犯カバー270の前面と当接して防犯カバー270の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
更に、本実施形態に係る装着台280の特徴は、上述した球飛送誘導面286の下方から賞球通過口用開口281にかけて斜め状に防犯突片285が後方に向って突設される構造である。この防犯突片285は、前述したように、本体枠3の板部511に形成される防犯空間586との間で、扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
<枠装飾中継基板>
上記した装着台280の下部の軸支側には、図15及び図18に示すように、枠装飾中継基板290が取り付けられ、その枠装飾中継基板290の後面を覆う中継基板カバー291が取り付けられている。この枠装飾中継基板290は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管、LED基板、スピーカ163、操作ハンドル部461内に設けられるスイッチ、貸球ユニット327、操作ボタンユニット329等)からの配線が集約して接続され、その枠装飾中継基板290からの配線が本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット1100に組み込まれる扉中継基板1102等を介しての賞球払出制御基板1186や遊技盤4に取り付けられる主制御基板ボックス624の主制御基板1350(図78及び図110を参照)に接続されている。
<皿ユニット>
次に、主として図14、図18及び図19を参照して皿ユニット300の構成について説明する。皿ユニット300は、大きく分けて外観を構成するユニット枠301と、ユニット枠301の内部に取り付けられる下部スピーカユニット340と、下部スピーカユニット340の上部に配置され且つ前記ユニット枠301の上面に臨むように設けられる皿体380と、皿体380に設けられる第二球抜弁の球抜き動作をするための第二球抜きリンクユニット(図示せず)と、ユニット枠301の後面を閉塞する皿蓋板450と、から構成されている。
ユニット枠301には、貸球ユニット327が備えられている。この貸球ユニット327は、パチンコ機1に隣接して球貸し機が設けられている場合に、貸出指令を導出するスイッチや貸出残表示器等が設けられるものである。また、ユニット枠301には、上面の前方中央に操作ボタンユニット329が備えられている。なお、操作ボタンユニット329は、複数(図示の場合は3個)の押ボタン330a,330b,330cを有して構成されているが、この複数の操作ボタン330は、遊技盤4に設けられる液晶表示装置640等で行われる遊技内容に遊技者が参加する際に操作されるものである。
更に、皿ユニット300には、ユニット枠301の上面右側に、第一球抜ボタン316が配置されていると共に、ユニット枠301の中央下部に、第二球抜リンクユニットの一部を構成する第二球抜ボタン421が配置されている。なお、本実施形態において、第一球抜ボタン316と第二球抜ボタン421の2つの球抜ボタン316,421を設けたのは、第一球抜ボタン316の操作によって、皿体380の貯留部381及び誘導通路部に貯留されているすべての球を球抜きすることができるものの、その球抜動作は、誘導通路部382で一列状に整列された球を球抜するために多少時間がかかるのに対し、第二球抜ボタン421の操作によって、皿体380の貯留部381から上流側の球を径の大きな第二球抜開口から素早く球抜することができるため、球抜時間を短くすることができる。このため、遊技者が球抜きにかける時間の長短を選択することができるものである。
また、遊技中に大当りとなった場合に皿ユニット300に大量の球が払出されることになり、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる満タンスイッチ916(図57参照)が機能して払出動作が停止されたり弾発動作が停止されて大当り中であるにもかかわらず遊技が継続できなくなるおそれがあり、このような場合に、第二球抜ボタン421の操作を行うことにより、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に発射位置への球の供給を維持して大当り中の遊技を継続することができるようになっている。
<ハンドル装置>
次に、扉枠5の開放側下部に取り付けられるハンドル装置460について、主に図18、図19、及び図20を参照して説明する。図20は、ハンドル装置460と本体枠3に設けられる打球発射装置650との関係を示す斜視図である。ハンドル装置460は、扉枠5の開放側下部前面に設けられる操作ハンドル部461と、操作ハンドル部461に対応する扉枠5の裏面に組み付けられて操作ハンドル部461の回動操作に応じて回転する回転軸465と連携され且つ回転軸465の回転運動をスライド運動に変化させるジョイントユニット480と、から構成されている。
このハンドル装置460には、図示は省略するが、操作ハンドル部461を回転操作するとONとなるマイクロスイッチと、マイクロスイッチがONとなっている状態で押圧操作するとマイクロスイッチがOFF状態となる単発ボタンと、操作ハンドル部461の外周表面に施された導電性のメッキを介して遊技者の操作ハンドル部461への接触を検知するタッチセンサとを備えている。そして、遊技者が操作ハンドル部461を回動してマイクロスイッチがONとなり且つタッチセンサが接触を検出しているときに打球発射装置650の後述する発射モータ695(図37参照)が回転駆動されるようになっている。また、回転軸465の先端には、勾玉状に形成されたカムが固定されており、このカムが回転することで、ジョイントユニット480のスライド突片492が左右方向に移動するようになっている。
このジョイントユニット480のスライド突片492のスライド移動が、図20に示すように、打球発射装置650のスライド部材710に伝達されて打球発射装置650の付勢バネ684(図37参照)の張力を調節し、もって打球槌687の付勢力の強弱を調整して遊技者の望む打球の弾発力を得ることができる。なお、ハンドル装置460と打球発射装置650との関係については、打球発射装置650についての説明の後で詳細に説明する。
〔本体枠〕
次に、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、打球発射装置650と、賞球を払い出すための賞球タンク720とタンクレール部材740と球通路ユニット770と賞球ユニット800(本発明の払出装置に相当)と満タンユニット900と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う錠装置1000と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100と、後面開口580を覆うカバー体1250と、等の各種の部品が本体枠主体500に装着されることにより構成される本体枠3について、図面を参照して説明する。
まず、図21〜図29を参照して、上記した各種の部品が装着される本体枠主体500及び各種の部品が装着された本体枠3について説明する。図21は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の正面図であり、図22は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の背面図であり、図23は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の側面図であり、図24は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の背面から見た斜視図であり、図25は、部品を取り付けた本体枠3の前方から見た斜視図であり、図26は、部品を取り付けた本体枠3を外枠2に軸支した状態を前方から見た斜視図であり、図27は、部品を取り付けた本体枠3の背面図であり、図28は、部品を取り付けた本体枠3の背面から見た斜視図であり、図29は、パチンコ機1の中程(主制御基板ボックス624部分)の水平線で切断したパチンコ遊技機の断面平面図である。
図21において、本体枠主体500の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具503及び下軸支金具509(共に図25参照)を取り付けるための軸支金具取付段部501,502が形成され、この軸支金具取付段部501,502に上軸支金具503及び下軸支金具509を取り付けた状態では、本体枠主体500の上辺及び側辺が上軸支金具503の上辺及び側辺とほぼ同一平面状となり、本体枠主体500の下辺及び側辺が下軸支金具509の下辺及び側辺とほぼ同一平面状となっている(図27参照)。ここで、上軸支金具503と下軸支金具509について図25と図27を参照して説明する。上軸支金具503は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその上端辺が前方に突出し、その前方に突出した上面に軸支ピン504が立設固定され、その軸支ピン504の側方に扉軸支穴505が穿設されている。
一方、下軸支金具509は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその下端辺及びやや上部に2つの支持板506,507が一体的に突設されている。下方に位置する支持板506は、本体枠3を外枠2の下支持金具66に支持するための枠支持板506を構成するものであり、上方に位置する支持板507は、扉枠5の下軸支部220を本体枠3に支持するための扉支持板507を構成するものである。このため、枠支持板506に外枠2の下支持金具66の支持突起68を挿入するための軸支穴(図示しない)が形成され、扉支持板507に扉枠5の下軸支部220に突設される軸ピン221を挿入するための軸支穴508が穿設されている。
ところで、本体枠主体500は、正面から見た場合に、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部510(図25参照)となっており、その遊技盤設置凹部510の下方のやや奥まった領域が板部511となっている。また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部及び前面開放側辺部は、扉枠5の裏面と対面するように所定幅を有して形成されており、前面上辺部には、横方向に平行状に突設される突起によって上部防犯二重溝581が形成され、正面から見て右側の前面開放側辺部には、外側に側部防犯溝582が形成されると共に内側に後端が第一側面壁540に接続される傾斜面となっている内壁によって形成される防犯凹部583が形成され、正面から見て左側の前面軸支側辺部は、前面上辺部や前面開放側辺部と異なり扉枠5の裏面と対面する所定幅を有するように形成されていないが、本体枠主体500の前面軸支側辺部が前面上辺部や前面開放側面部に比べて前方への突出量が多い軸支辺部587となっている。
より詳細に説明すると、前面上辺部に形成される上部防犯二重溝581は、扉枠5の上辺部裏面に取付固定される上側補強板金211の両長辺端を後方に向って折曲される折曲突片215,216がそれぞれ挿入されるようになっているものである。また、前面開放側辺部に形成される側部防犯溝582及び防犯凹部583は、扉枠5の開放部裏面に取付固定される開放側補強板金213の両長辺端を後方に向って折曲される開放側外折曲突片223及び開放側内折曲突片225がそれぞれ挿入されるようになっているものである。更に、前面軸支側辺部の軸支辺部587には、扉枠5の軸支側裏面に取付固定される軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端部が当接するようになっている。
そして、上記した構造によって扉枠5と本体枠3との当接面の隙間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を防止することができ、特に、最も不正行為が行われやすい開放側辺部や次いで不正行為が行われやすい上辺部における不正行為の防止をはかることができる構造となっている。もちろん、軸支側における軸支側補強板金212と軸支側L字状折曲突片217との当接による不正行為の防止も充分に機能するが、多くの場合、軸支側は、頑丈な支持金具45,66と軸支金具503,509とで本体枠3と扉枠5とが連結されているため、上辺部及び開放側辺部に比べて本体枠3と扉枠5との間に隙間が作り難い。このため、本実施形態においては、二重の防犯構造ではなく、一重の防犯構造としている。これらの点については、後に詳述する。
また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部、前面開放側辺部、及び前面軸支側辺部には、上記した構成以外に前面開放側辺部の上部、中間部、下部に本体枠3の開放側裏面に取り付けられる後述する錠装置1000に設けられる扉用フック部1041(図67参照)を貫通させて前方に飛び出させるための扉用フック穴549が開設されており、また、前面軸支側辺部の内側面に遊技盤4に形成される位置決め凹部611と係合するための盤位置決め突起576が設けられている。更に、前面軸支側辺部の盤位置決め突起576のやや下方位置の内側前方面に、扉枠5を閉じた状態で軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端が挿入される上下2つの規制突起577が突設されている。この規制突起577の作用については前述した通りである。また、図21に示すように、開放側の平面部分と遊技盤設置凹部510との境目の上下に遊技盤4に設けられる遊技盤止め具614の端部が係合される盤止め具挿入穴578が形成されている。
次に、板部511の構成について図21乃至図26を参照して説明する。板部511の上面は、遊技盤4を載置するための遊技盤載置部512となっており、その遊技盤載置部512のほぼ中央に、当該載置部512に遊技盤4を載置したときに遊技盤4に形成されるアウト口606(図30参照)の下面を支持する通路支持突起513が突設されている。また、図21に示すように、板部511の前面の中央部から開放側の端部に向かってレール取付ボス514が所定間隔を置いて突設され、このレール取付ボス514に発射レール515(図25参照)がビス止め固定されている。また、発射レール515の先端位置に対応する板部511の前面には、レール接続部材516が突設され、遊技盤設置凹部510に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の内レール603の下流端である接続通路部609(図30参照)と隣接するようになっている。
また、レール接続部材516の側方位置(発射レール515と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具519(図25参照)の上端部を取り付けるための固定具取付ボス517が突設され、その斜め下方にストッパー518が突設されている。即ち、遊技盤固定具519は、固定具取付ボス517を中心にして回転自在に設けられ、前記遊技盤載置部512に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具519を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。また、遊技盤を取り外す場合には、遊技盤固定具519を反時計方向に回して取り外すことにより、簡単に行うことができる。この場合、遊技盤固定具519はストッパー518により反時計方向の余分な回転ができないようになっている。
また、板部511の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部520が形成されており、この発射装置取付部520に本体枠主体500の裏面から打球発射装置650が固定されている。この点については、後に詳述する。上記した発射装置取付部520の前面壁部分には、前述したジョイントユニット480のスライド突片492と連携されるスライド部材710(図41参照)が収納されるハンドル連結窓522が形成され、該ハンドル連結窓522の隣接する位置に打球槌687の軸受689(図37参照)の端面が臨む軸用穴523が開設されている。また、発射装置取付部520の上壁部分には、打球発射装置650の打球槌687が上方に突出するための槌貫通開口521が切欠形成され、その槌貫通開口521の斜め上方の板部511の前面に錠装置1000のシリンダー錠1010が貫通するシリンダー錠貫通穴526が開設されている。
一方、板部511の裏面には、図22に示すように、軸支側の上部から板部511の中央部分に向けて延設された後下方に向かう球抜排出通路524が形成されている。この球抜排出通路524は、後述する球抜接続通路880(図25参照)から排出される球をパチンコ機1の下方から島の内部に排出するためのものである。また、上述した発射装置取付部520の上方には、円柱状の案内突起525が後方に向かって突設され、この案内突起525に後述する基板ユニット1100の案内孔1212(図73参照)が差し込まれて基板ユニット1100の取付けを容易にしている。また、基板ユニット1100をビスで取り付けるための取付穴部527が板部511の左右上下に形成され、この取付穴部527に基板ユニット1100の取付片1122を対応させてビスで止着する。また、発射装置取付部520の凹状の内部には、打球発射装置650を取り付けるための発射装置取付ボス529が後方に向かって突設され、更に、開放側の最下端部には、図24に示すように、本体枠3を外枠2に対して閉じる際に、装飾カバー板15の上面に当接しながら本体枠3の閉止動作を案内するために先端が先細状で縦長形状の案内突片528が後方に向かって突設されている。
板部511には、以上説明した構成以外に、図24に示すように、軸支側の端部上面に前記球抜排出通路524の上流端の開口である球抜接続開口530が形成されている。この球抜接続開口530に球抜接続通路880の下流端が接続されるようになっている。また、球抜接続開口530に隣接する部分は、後に詳述する満タンユニット900(図25参照)を載置するための満タンユニット載置部531が板部511と直交するように水平状に形成され、その満タンユニット載置部531の前方部分に満タンユニット900の係合片924(図57参照)と係合するユニット係合溝532が形成されている。更に、図25に示すように、満タンユニット載置部531の前方の板部511の前面には、扉枠5の開放時に満タンユニット900の出口921から排出される賞球を堰き止める出口開閉装置579が設けられている。
この出口開閉装置579については、詳細に説明しないが、扉枠5が閉じているときには、扉枠5の裏面に当接するレバーによって開閉板が下降した状態となっているが、扉枠5が開放されるとレバーへの当接がなくなるため開閉板が上昇して出口921を閉塞するものである。このため、扉枠5の開放時においても満タンユニット900内に貯留された賞球が出口921から零れ落ちることがない。また、図25に示すように、板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている。この締結連杆534は、本体枠3からの遊技盤4の取り外しを防止するための機構である。
次に、遊技盤設置凹部510の構成について説明する。遊技盤設置凹部510は、軸支側の内側面及び上記した上辺部及び開放側の鍔面部から後方へ周設される第一側面壁540と、該第一側面壁540から後方に周設される第二側面壁541と、該第二側面壁541から後方に周設される第三側面壁542と、該第三側面壁542から後方に周設される第四側面壁543、とにより、本体枠3の左右側辺及び上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。
なお、第一側面壁540〜第四側面壁543は、背面から見て上辺及び右辺(軸支側の辺)が段差をもって後方に真っ直ぐに延長されるように形成されるのに対し、左辺(開放側の辺)が第一側面壁540から第四側面壁543に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図29参照)に形成される。これは、左辺(開放側の辺)の第一側面壁540から第四側面壁543までを後方に真っ直ぐ形成したときに、本体枠3を開放する際に、第四側面壁543の最後端部が外枠2の側枠板13の内面と当接してスムーズに開放できない場合があるため、開放側の第一側壁面540から第四側面壁543までが内側傾斜状とすることによりスムーズに開放することができるようにしたものである。
また、それと同時に開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取り付けられるが、その取付けを第一側面壁540の後端辺に設けられる錠取付穴547(図63参照)を利用して行うため、その錠取付穴547を形成するためにも開放側の第一側面壁540から第四側面壁543を傾斜段差状に形成したものである。更に、第一側面壁540〜第四側面壁543の段差の寸法も、第一側面壁540と第二側面壁541との段差は、後述する遊技盤4の裏面の周辺と当接する必要があるため、ある程度大きな段差をもって形成されるが、それ以外の段差は、極めて小さな段差となっている。もちろん、第二側面壁541〜第四側面壁543までは段差を形成することなく連続的に形成してもよい。
そして、上記した側面壁540〜543は、図23に示すように、それぞれ奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約135mmとなっている。特に、第一側面壁540の幅寸法d1は、遊技盤4の厚みに相当し、残りの第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間に遊技盤4に設けられる各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。
つまり、第一側面壁540は、遊技盤4の厚さとほぼ同じ奥行寸法を有する前側面壁を構成し、第二側面壁541〜第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部裏面と当接する段差部を有して第一側面壁540から後方に向かってほぼ当該第一側面壁540と平行状に延設され且つ遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁を構成するものである。特に、本実施形態の場合には、図5に示すように、第二側面壁541〜第四側面壁543のすべての部位の後方への突出量が、本体枠3の裏面側上部に固定される賞球タンク720の球を貯留する貯留部728の後面壁722とほぼ同じ位置となるように形成されている。
これにより、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。
また、図22及び図24に示すように、第四側面壁543の後端辺からは背面から見てその左辺(開放側)、上辺及び右辺(軸支側)に、開放側後面壁544、上後面壁545及び後面壁としての軸支側後面壁546がそれぞれパチンコ機の正面と平行となるように内側に向かって突設されている。軸支側後面壁546は、その前面が平板状(図21参照)となっており、その後面に球払出機構を構成する後述の球通路ユニット770と賞球ユニット800とが着脱自在に取り付けられるようになっている。従って、軸支側後面壁546の内側への突出幅寸法は、球通路ユニット770と賞球ユニット800とを取り付ける幅があれば充分である。
また、上後面壁545は、その前面が平板状(図21参照)となっており、その後面に後述するタンクレール部材740が取り付けられるため、その下端辺が傾斜状に形成されている。従って、上後面壁545の内側への突出幅は、傾斜状に取り付けられるタンクレール部材740の高さ幅寸法があれば充分である。更に、開放側後面壁544には、その前面が平板状(図21参照)となっており、その後面に後述するカバー体1250を軸支するカバー体支持筒部575が形成されている。したがって、開放側後面壁544の内側への突出幅寸法は、カバー体支持筒部575を形成する幅寸法があれば充分である。
上述したように、第四側面壁543の後端辺から内側に向かって突設される開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の前面が平板状に形成され、この平板状部分が遊技盤4の周辺部に対応するものであるため、上記したように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の内側は、後面開口580となっており、この後面開口580が後述するカバー体1250によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
次に、遊技盤設置凹部510の更に詳細な構成について説明すると、前述したように、開放側の平面部分には、錠装置1000の扉枠用フック部1041が貫通する扉用フック穴549が上中下の3箇所開設されているが、その上下の扉用フック穴549のさらに上中下に錠装置1000の後述する係止突起1004が係合される錠係止穴548(図22参照)が形成されている。また、開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取り付けられるが、その取付けをビスで行うための錠取付穴547(図22参照)が第一側面壁540の後端部の上部と中程に形成されている。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003と前記シリンダー錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させてビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取り付けられるようになっている。
また、図24に示すように、第一側面壁540の上辺前方の左右には、本体枠3を外枠2に対して閉止する際に、外枠2の上枠板10の内周面と当接する案内円弧突起552が突設され、第一側面壁540の後端辺中央に後述する賞球タンク720の切欠部729と連通する逃げ凹部551が形成され、第一側面壁540と第二側面壁541と接続する垂直面にタンク取付溝550が形成されている。そして、このタンク取付溝550に賞球タンク720の取付鍔部733を取り付けたときには、図28に示すように、賞球タンク720の切欠部729が逃げ凹部551と連通して賞球タンク720内に貯留された球の球圧が増加したときに圧抜きして球詰まりが発生しないように機能する。また、賞球タンク720を本体枠3に取り付けたときには、平面視で賞球タンク720の正面側から見て奥側の後面壁722と第四側面壁543の後端辺がほぼ一致(図5参照)するようになっている。なお、上記した案内円弧突起552は、本体枠3の上辺を外枠2の上枠板10の内周面と当接させることにより、本体枠3を持ち上げて本体枠3の下辺と装飾カバー板15との間に隙間を形成し、その隙間から不正器具を挿入するような不正行為を防止するためのものである。
また、前述した上後面壁545には、タンクレール部材740を取り付けるためのレール係止溝553が後面開口580の開口縁に沿って形成されており、また、第四側面壁543と上後面壁545の屈曲部にレール係止溝554が形成されている。そして、これらレール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750(図45参照)を係止させることにより、タンクレール部材740を本体枠3に取り付けることができる。また、タンクレール部材740を取り付けたときの下流側に対応する上後面壁545の上部には、レール掛止弾性片555が形成され、レール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750を係止させて、タンクレール部材740を本体枠3に取り付けたときに、その係止状態が外れないようにレール掛止弾性片555がタンクレール部材740の下流側上端の上から当接するようになっている。
このタンクレール部材740を取り外すときには、レール掛止弾性片555を後方へ押圧しておいてからレール係止溝553,554と係止突片749,750との係止状態を解除すべくタンクレール部材740を上方に持ち上げればよい。また、レール掛止弾性片555の側方に逃げ穴556が穿設され、レール掛止弾性片555の下方にアース線接続具557形成されている。逃げ穴556は、タンクレール部材740に設けられる整列歯車747の軸ピン748の端部を逃がすために穿設されるものであり、また、アース接続具207は、タンクレール部材740の内部に貼着される金属製の導電板(図示しない)に接触していると共に、電源基板に設けられるアース用コネクタに接続される配線が接続されるものである。
また、軸支側後面壁546には、図22及び図24に示すように、軸支側後面壁546の左右両端に垂直状の立壁560を立設し、その立壁560の間に球通路ユニット770と賞球ユニット800とが取り付けられる。また、左右の立壁560の間の最上流部から中流部よりやや上方まで賞球案内突起561が屈曲状に突設されている。この賞球案内突起561は、軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように後方に向かって突設され、後述する球通路ユニット770を取り付けたときに、該球通路ユニット770の球落下通路772(図50参照)に対応するもので、賞球を一列状に誘導するものである。また、賞球案内突起561の左右には、球通路ユニット770をビスで止着するための通路ユニット取付ボス562、及び位置決めするための位置決めピン574が突設されると共に、後述する球切れスイッチ778(図50参照)に対面するスイッチ対応突起563が突設されている。通路ユニット取付ボス562及び位置決めピン574については、後に詳述する。
更に、左右の立壁560の中流部から下流部にかけて賞球ユニット800の係合部としての鉤状係合部824(図52参照)と係合する係止部としての係合突片565と、賞球ユニット800のボタン挿通係合穴821(図52参照)と係合するロック用弾性爪564と、が形成されると共に、賞球ユニット800のスプロケット807の回転軸808(図52参照)の端部が受け入れられる逃げ穴566が形成されている。また、軸支側後面壁546の下方には、払出モータ用逃げ開口部572が形成されており、この払出モータ用逃げ開口部572に賞球ユニット800の駆動モータとしての払出モータ815が臨むようになっている(図25参照)。そして、賞球ユニット800は、軸支側後面壁546の裏面最下端に形成される係止溝573のその下端を係止して前記係合突片565及びロック用弾性爪564によって軸支側後面壁546に着脱自在に取り付けられるようになっている。この着脱自在の構成については、後に詳述する。
また、軸支側後面壁546の開放側の端部には、そのカバー体1250の開放側の端辺が入り込むカバー体当接溝567が形成されていると共に、該カバー体当接溝567の下方に施錠壁569が突設されている。カバー体当接溝567には、カバー体1250の止め穴1253(図28参照)に対応する止め穴568が形成されており、これら止め穴1253,568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができるようになっている。また、施錠壁569には、平面視U字状の施錠用突出鉤片570が突設され、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570をカバー体1250に形成される貫通穴1254(図28参照)を貫通させ、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
以上、遊技盤設置凹部510及び板部511とからなる本体枠主体500の構成について説明してきたが、上記に説明した以外に、板部511の最下端辺部に、扉枠5を閉じたときに、扉枠本体100の下辺を後方に向けて折曲した扉枠突片112,113(図19参照)が挿入される係合溝584,585(図21参照)が形成されている。係合溝584は、前述した発射装置取付部520の下方に形成される溝であり、係合溝585は、前記係合溝584の一端から軸支側に向って形成される溝である。なお、係合溝585に対応する扉枠突片112は、係合溝584に対応する扉枠突片113の突出量よりも大きくなるように後方に向って突設されている。ただし、開放端下部には、突出量の多い扉枠突片112が僅かに形成されている。そして、上記した扉枠突片112,113と係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
上記のように板部511には、発射レール515や出口開閉装置579が設けられ且つレール接続部材516や発射装置取付部520が突設形成されているが、発射装置取付部520及び発射レール515の板部511における配置位置が開放側に偏り、しかもそれらが板部511の表面よりも突出して形成されている。このため、扉枠5を閉じた状態において、発射装置取付部520及び発射レール515が配置される板部511のほぼ中央部から開放側にいたる領域は、扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面とが密着した状態となるため、前述した扉枠突片112と係合溝585との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具を扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面との間をさらに上手にすり抜けさせて遊技盤4の表面側若しくは遊技盤4の裏面側に到達させることは極めて困難である。
一方、発射装置取付部520及び発射レール515が配置されない板部511のほぼ中央部から軸支側にいたる領域は、板部511の表面に突出した部分がないため、扉枠5を閉じた状態において、扉枠5の裏面と板部511の前面との間に空間586が生じてしまう。このため、前述した扉枠突片112と係合溝584との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具が扉枠5の裏面と板部511の前面との間の空間586を簡単にすり抜けてしまうことができるため、この空間586を不正具が上方に向ってすり抜けないように、扉枠5の裏面下部に取り付けられる装着台280には、扉枠5を閉じた状態で該空間586に侵入する防犯突片285が形成されている。この防犯突片285は、板部511のほぼ中程から軸支側端部までいたるように装着台280に形成されている。したがって、発射レール515及び遊技盤4に取り付けられる外レール602の下方空間は、装着台280に突設される防犯突片285を受け入れる防犯空間586を構成している。そして、この防犯突片285と防犯空間586とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
本体枠3は、上記したように、遊技盤4、打球発射装置650、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、満タンユニット900、錠装置1000、基板ユニット1100及びカバー体1250が取り付けられるが、以下、これらを順次説明する。
<遊技盤の概略構成>
遊技盤4の概略構成について図30乃至図35を参照して説明する。図30は、遊技盤4の正面から見た斜視図であり、図31は、遊技盤4の正面図であり、図32は、遊技盤4の背面図であり、図33は、遊技盤4の平面図であり、図34は、遊技盤4に形成される取り外し防止機構部分の拡大斜視図であり、図35は、遊技盤4の取り外し防止機構に対する本体枠側の構造を示す本体枠3の部分斜視図である。
図30において、遊技盤4は、透明板状の遊技パネル599を保持したほぼ正方形状のパネルホルダ600と、パネルホルダ600の前面に遊技領域605を囲むように取り付けられる前構成部材601と、から構成されている。遊技パネル599の表面には、遊技領域605に各種の遊技装置や多数の障害釘(いずれも図示省略)が植立されている。そして、それらの遊技装置や障害釘が設けられた後に前構成部材601がパネルホルダ600の前面に取り付けられるが、その前構成部材601は、遊技パネル599の周囲を囲むように内部が円形の空洞状に形成され且つ外形がパネルホルダ600の外形に沿った形状に形成されており、その下辺中程から上辺の中心を過ぎた斜め上方までの円弧面が外レール602として形成され、その外レール602の終端に設けられる衝止部620の下部位置から上辺の前記衝止部620の対称の逆流防止部材604が設けられる位置までが内レール603として形成されている。外レール602は、その始端部に前記発射レール515の延長状に設けられたレール接続部材516に連接する接続通路部609が斜め状に形成されており、その接続通路部609に隣接してファール口610が形成されている。また、ファール口610の上流端から衝止部620までの外レール602には、金属製のレールが密着して取り付けられている。
なお、衝止部620は、勢いよく外レール602を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域605の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものであり、逆流防止部材604は、一端発射されて遊技領域605の内側に取り入れられた打球が再度外レール602に逆流しないように防止するものである。更に、外レール602の下部一側には、金属製のレールの一部に沿うように防犯突起608が突設されている。この防犯突起608は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー270に突設される防犯後端部突片275と上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の軸支側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を防止するものである。
また、内レール603の下部中央には、アウト口606が設けられ、そのアウト口606から逆流防止部材604までの内レール603と外レール602との間は、発射された打球が遊技領域605まで誘導される誘導通路を構成するものであるが、遊技領域605に到達せずに外レール602を逆流した打球はファール口610に取り込まれて後述する満タンユニット900のファール球入口923に導かれて再度皿ユニット300に排出されるようになっている。なお、遊技領域605は、実質的に内レール603によって囲まれる領域である。また、内レール603のアウト口606から衝止部620に向かう途中の前構成部材601には、レール防犯溝607が形成されている。このレール防犯溝607は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー270に突設される防犯後突片274の一部が侵入するように溝状に形成されており、このレール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合により、上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の開放側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を最終的に防止するものである。
ところで、遊技盤4の一側には、本体枠3に形成される前記盤位置決め突起576に嵌合する位置決め凹部611が形成され、遊技盤4の他側には、本体枠3に形成される前記盤止め具挿入穴578に挿入される遊技盤止め具614が設けられている。遊技盤止め具614は、押し込み固定したときにその端部が盤止め具挿入穴578に挿入されるようになっている。しかして、遊技盤4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部611が盤位置決め突起576に嵌合するように斜め方向から差し込んだ後、遊技盤4の全体を本体枠3の第一側面壁540に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技盤止め具614を押し込み固定してその端部を盤止め具挿入穴578に挿入して固定する。その後、遊技盤固定具519を回動して遊技盤4の下部前面を固定する。これによって遊技盤4を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技盤4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。
また、本実施形態における遊技盤4は、遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを極めて簡単に防止する構成を有している。即ち、図30及び図34に示すように、遊技盤4の下方の前記通路用切欠部613と反対側の下端部に遊技盤4の前後に貫通する取付用切欠部616を形成し(正確には、前構成部材601に取付用切欠部616が形成されている。)、その取付用切欠部616の下部に水平方向に締結バー617を掛け渡し固定する。締結バー617には、そのほぼ中央に締結バンド619を掛け止めるための帯溝状の締結部618が形成されている。一方、本体枠3に設けられる取り外し防止機構としては、前述したように、本体枠3下方の板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている(図35参照)。
上記のように構成される遊技盤4を本体枠3の遊技盤設置凹部510に収納配置したときには、図34に示すように、締結バー617が遊技盤載置部512に当接して載置した状態になると共に、締結部618と締結連杆534とが一致した状態となる。そして、その状態で締結部618と締結連杆534との一致している部分に対して、締結バー617の上方から一般的に市販されている締結バンド619の先端を取付用切欠部616に差し込んで下方に向けて締結穴533に差し込み前方に導き、その先端を締結バンド619の締結具部分に係合させる。そして、締結バンド619の締結具より前方に飛び出した不必要な先端部分を切断しておく。このようにすれば、締結バンド619を切断しない限り、遊技盤止め具614と遊技盤固定具519等の固定を解除しても、遊技盤4を本体枠3から取り外すことができない。締結バンド619を切断すれば、遊技盤4を本体枠3から取り外すことはできるものの、例えば、締結バンド619をパチンコ店独特のものを使用することにより、異なる締結バンドが締結されていれば、遊技盤4を取り外して何らかの不正行為を行われたことが容易に理解することができるものである。このように極めて簡単な取り外し防止機構により遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを防止することができる。
また、遊技盤4の外形形状は、その上部左右に前記扉枠5の裏面に設けられるスピーカ163の後方突出部分を受け入れるようにスピーカ用切欠部612が形成され、また、ファール口610の側方斜め下に後述する満タンユニット900の前方誘導通路920部分の一部が挿入される通路用切欠部613が形成されている。また、前構成部材601の下方左右には、証明確認用の証紙を貼付する証紙貼付部615が設けられている。
一方、遊技盤4の裏面には、遊技領域605に設けられる各種の遊技装置(例えば、V入口を有した役物や一般入賞口等の入賞口)に入賞した球を下流側に整列して誘導することができる裏箱621が取り付けられており、その裏箱621の裏面に遊技領域605のほぼ中央に配置される表示装置としての液晶表示装置640(図74等参照)の表示を制御する表示装置制御基板が収納される表示制御基板ボックスとしての液晶表示制御基板ボックス622が取り付けられている。
更に、遊技盤4の裏面には、裏箱621の下方に盤用基板ホルダ623が固定されている。この盤用基板ホルダ623は、その前方に裏箱621によって整列誘導された入賞球を集めるように空間部(この空間部は、前後方向の幅が裏箱621の幅よりも比較的広いものとして形成されている。)が形成され、その空間部の底面に落下口629(図29参照)が形成されている。この落下口629は、前記アウト口606の後面部分で合流して後述する基板ユニット1100に形成されるアウト球通路1119(図73参照)に連通するものである。
また、盤用基板ホルダ623には、その裏面に遊技動作を制御する主制御基板1350を収納する主制御基板ボックス624と、後述する基板ユニット1100に設けられる払出制御基板1186や電源基板等と接続するための中継端子板625と、が取付けられている。中継端子板625には、遊技盤4を本体枠3に装着するだけで自動的に前記基板ユニット1100に設けられるドロワコネクタ1200,1202と接続されるドロワコネクタ626,627が設けられている。
更に、盤用基板ホルダ623には、ドロワコネクタ626,627の間から中継端子板625を貫通するように後方に向かって突出する接合案内突起628が形成されている。この接合案内突起628は、後に詳述するように遊技盤4を本体枠3に装着する作業を行ったときに、基板ユニット1100側に設けられるドロワコネクタ1200,1202と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ626,627とが自然に接続されるように基板ユニット1100の枠用基板ホルダ1101に形成される接合案内孔1213に挿入される(図73参照)ものである。なお、これらドロワコネクタの接続については、後に詳述する。
<打球発射装置>
打球発射装置650について図36乃至図41を参照して説明する。図36は、打球発射装置650の全体の斜視図(A),発射モータ部分を取り外した状態の斜視図(B)であり、図37は、打球発射装置650の分解斜視図であり、図38は、打球発射装置650と発射レール515との関係を示す正面図(A),発射モータ部分の斜視図(B)であり、図39は、操作ハンドル部461を操作していない状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図40は、操作ハンドル部461を操作している状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図41は、打球発射装置650に設けられるスライド部材710の平面図(A),正面図(B),正面から見た斜視図(C),正面図(B)のA−A断面図(D)である。
打球発射装置650は、発射ベース枠651に打球槌687を回動自在に軸支すると共に、その打球槌687に往復回動を付与する発射モータ695を発射ベース枠651に取り付け、さらに打球槌687に復帰する付勢力を付与する付勢バネ684の付勢力を調節するスライド杆677及びスライド部材710が発射ベース枠651に設けられることにより構成される。
より詳細に説明すると、図37に示すように、発射ベース枠651は、合成樹脂によって横長な長方形状に成型されるものであり、そのほぼ中心に打球槌687の軸受689が嵌合される軸受筒652が形成され、その上部及び側方に打球槌687の発射原点位置を規制するゴムストッパー部材653,654が取り付け固定されている。即ち、ゴムストッパー部材653,654は、打球槌687が付勢バネ684の付勢力により発射原点位置に戻ったときに打球槌687の衝撃を受け止めるものである。また、発射ベース枠651の後方(発射レール515の下方に対応する部位の反対側)の上方に横長細溝状のスライド案内孔655が形成され、そのスライド案内孔655の下方にスライド部材収納空間656が形成されている。
このスライド案内孔655は、後述するスライド杆677の後端上部に突設される案内係止片678が挿入されてスライド杆677のスライド移動を案内するものであり、スライド部材収納空間656には、スライド部材710が左右方向に移動可能に収納されるものである。なお、スライド杆677の前方部分のスライド案内は、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682によって発射ベース枠651に形成される止め穴662に止着される案内ブッシュ681を貫通させることにより行われる。また、スライド部材収納空間656の底面には、図38に示すように、長方形状の連結開口664が形成されている。
また、発射ベース枠651の上辺の前方部分には、発射ベース枠651の本体に対して庇部が形成されており、前記軸受筒652の上方の庇部に作動片用開口657が穿設されている。この作動片用開口657には、前記扉枠5の皿ユニット300の下流側の打球供給口288(図15参照)に臨んで設けられている供給揺動片289(図15参照)と当接する作動片658が作動片用開口657の開口縁の後方上部に突設されている取付部660に止めピン659によって揺動自在に設けられるものである。作動片658は、「て」字状に形成され、その上辺の後端部が止めピン659によって軸支され、その軸支部から下方の円弧部に打球槌687と一体的に回動するベース板690に突設される作動片当接部693と当接し、打球槌687の往復動作に連動して上辺部が供給揺動片289を揺動させ、供給揺動片289の揺動動作により打球供給口288から流出する打球を1個ずつ発射レール515の発射位置に供給するようになっている。
更に、発射ベース枠651には、発射モータ695を内蔵するモータカバー694を止着するためのモータ取付ボス661が後方下部に2箇所と前方上部に1箇所の合計3箇所に突設されていると共に、前記スライド部材収納空間656の下部後方にスライド杆677をスライドさせるためにスライド部材710と連結される揺動片672の下端の軸穴673が挿入される揺動片用ボス663が突設されている。
上記した発射ベース枠651には、打球発射装置650の剛性を高めるために金属プレート665がほぼ密着するように取り付けられている。このため、金属プレート665には、軸受筒652、下方のゴムストッパー部材653、スライド案内孔655、案内ブッシュ681、及び揺動片用ボス663にそれぞれ対応する貫通孔666,667,668,669,671が形成されていると共に、スライド部材710の連結凸部712が貫通する横長楕円状の貫通孔670も貫通されている。上記のように構成される金属プレート665は、スライド部材710をスライド部材収納空間656に収納した後、それぞれの貫通孔666〜671がそれに対応する部材652,653,655,681,712,663を貫通あるいは一致させるように発射ベース枠651に密着させてビス止めすることにより発射ベース枠651に固定されるものである。
金属プレート665が取り付けられた発射ベース枠651の揺動片用ボス663の先端部分が貫通孔671から頭を出しているが、その頭の部分に揺動片672の軸穴673が挿通されて、揺動片672が下端を中心にして揺動自在に軸支される。揺動片672は、図37に示すように、縦長杆状に形成され、その下端に前記軸穴673が形成され、その中程にスライド部材710の連結凸部712が挿入されるやや縦長穴形状の連結穴674が形成されている。そして、その連結穴674より上方の前方面がスライド杆677の一端(後端)と当接する当接部675となっている。しかして、揺動片672を揺動片用ボス663に挿通し、且つ貫通孔670から頭を出しているスライド部材710の連結凸部712に連結穴674を挿入してワッシャ付きピン676を連結凸部712に止着することにより、揺動片672が発射ベース枠651に取り付けられる。そして、取り付けられた揺動片672は、スライド部材710のスライドに伴って下端を中心にしてその上方部分が揺動するようになっている。
また、金属プレート665の上部前面には、横長杆状のスライド杆677が左右方向にスライド可能に取り付けられる。即ち、スライド杆677の後方上部に突設されるL字状の案内係止片678を金属プレート665の貫通孔668に貫通係合させ、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682を有する案内ブッシュ681を貫通させて止めネジ682を止め穴662に止着する。上記した案内係止片678と貫通孔668、及び案内長孔680と案内ブッシュ681とにより、スライド杆677が金属プレート665を介して発射ベース枠651にスライド可能に装着される。また、スライド杆677には、その一端(後端)に上述した揺動片672の当接部675と当接する被当接部679が形成され、その他端(前端)に付勢バネ684の一端の係止輪685を掛け止めるためのバネ係止部683が突設されている。
金属プレート665が取り付けられた発射ベース枠651の軸受筒652が貫通孔666から突出しているが、その軸受筒652には、打球槌687の軸受689が抜け落ちないように嵌合されている。軸受689の軸には、打球槌687の下端部が固着されると共に同時にベース板690が固着される。ベース板690には、その前方裏面側に前記作動片658と当接する作動片当接部693が突設され、その前方前面に付勢バネ684の他端の係止輪686を掛け止めるためのバネ係止部692が突設され、さらにその後方前面に発射モータ695のモータカム697と係脱するモータ当接突片691が突設されている。打球槌687の上端には、合成樹脂製の槌先688が固着されており、この槌先688が発射レール515の下端部とその上方に固着される発射位置ストッパー702とによって形成される発射位置に突入するように臨んでいる。
一方、発射ベース枠651の前述したモータ取付ボス661には、モータカバー694に収納された発射モータ695が取り付けられる。より具体的には、図38(B)に示すように、モータカバー694は、内部に発射モータ695を収納するように形成された円筒部と、該円筒部の前方に拡大して前記モータ取付ボス661に取り付けるための取付固定穴699が形成される取付部と、が一体的に形成され、円筒部の内部に収納される発射モータ695のモータ軸696の先端に逆回転防止カム698とモータカム697とが固定されている。
この逆回転防止カム698の外周には、多数の逆歯が形成されており、ストッパー片取付ボス701に揺動自在に固定されるストッパー片700(図39参照)と係合して発射モータ695の逆方向の回転を防止している。これは、モータカム697が逆方向に回転してモータカム697とモータ当接突片691とが噛み合って打球発射装置650が駆動できなくなる故障が発生しないように防止するためである。また、モータカム697は、勾玉状に形成されており、発射モータ695の回転に伴いモータ当接突片691と係脱しながら打球槌687を往復動作させる。なお、モータカバー694をモータ取付ボス661に取り付けたときには、図36(A)に示すように、打球発射装置650の主たる構成が後面から見て被覆されたような状態となっている。
ところで、前述したスライド部材収納空間656に収納されてスライド移動するスライド部材710は、図41に示すように、後方が開放した直方体状に形成され、その前面に楕円形状の楕円凸部711が突設され、さらに該楕円凸部711の後方位置に円形状の連結凸部712が突設されている。また、上面及び下面には、スライド部材収納空間656内をスライドし易いように断面円弧状のスライド用当接突部713がその両端に突設されている。一方、直方体状に形成されるスライド部材710の空間は、前記扉枠5の裏面下部に設けられるジョイントユニット480のスライド突片492が挿入される挿入空間714となっている。
そして、この挿入空間714は、スライド方向前方の側壁手前側に第一傾斜面715が形成されると共に、その第一傾斜面715のやや後方寄りに上面及び下面の内側から内部に向かって突設され且つ相互の先端間に所定の間隔が形成される挟持片716が形成されている。挟持片716の手前側にも奥に向かって側方視でハ字状に傾斜する第二傾斜面717も形成されている。しかして、スライド突片492が挿入空間714に挿入された状態では、図41(B)に示すように、スライド突片492の傾斜辺493側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態となっている。なお、スライド部材710の挿入空間714の側方に空間部718が形成されているが、この空間部718は、特に機能を奏しているわけではない。
而して、上記のように構成されるスライド部材710は、スライド部材収納空間656に収納された状態で、図38(A)に示すように、スライド部材収納空間656の底面に形成される楕円形状の連結開口664に挿入空間714が臨むように形成されていると共に、スライド部材710がスライド部材収納空間656の一方の空間内壁に当接した状態(図38(A)では左の空間内壁に当接しているように図示されているが、通常の状態では右の空間内壁に当接した状態となっている。)となっている。
そこで、まず、スライド部材710と打球発射装置650の付勢バネ684の強弱を調整する関係について説明すると、スライド部材710がスライド部材収納空間656の内部の初期位置(図38(A)において右の空間内壁に当接した位置)にあるときには、図39に示すように、該スライド部材710の連結凸部712に連結された揺動片672がほぼ垂直状態となっている。このため、揺動片672と当接しているスライド杆677も付勢バネ684の付勢力により一方向(図39において左側方向)に付勢された状態で揺動片672の当接部675とスライド杆677の被当接部679とが当接した状態となっている。この状態では、付勢バネ684が張力されていないので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動しても、打球槌687の復帰力も弱く、発射位置にある打球が弾発されても遊技盤4の遊技領域605に到達することはない。
一方、スライド部材収納空間656の内部をスライド部材710が初期位置から他方方向に移動したとき(図38(A)において左の空間内壁方向に向かって移動したとき)、図40に示すように、揺動片672が下端の軸穴673を軸として揺動して傾動するため、当接部675と被当接部679との当接によりスライド杆677が他方向(図40において右側方向)に向かってスライド移動する。すると、スライド杆677のバネ係止部683に係止されている付勢バネ684も張力されて伸びた状態となる。この状態では、付勢バネ684が張力されているので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動したときの打球槌687の復帰力が強くなり、発射位置にある打球が強く弾発されて遊技盤4の遊技領域605に到達する。そして、この打球の弾発力の強弱は、スライド部材710のスライド部材収納空間656内でのスライド量に応じて調整することができる。
上記したように、スライド部材710を移動させることにより、打球発射装置650による弾発力を調整することができるが、このスライド部材710の移動は、前述したハンドル装置460の操作ハンドル部461の回動操作部材464の回動操作に応じて移動するジョイントユニット480のスライド体483の移動と連動するようになっている。この点について図20、を参照して説明する。
前述したように、ハンドル装置460の操作ハンドル部461の回動操作部材464を回転させることにより、回転軸465の先端に固着される勾玉状のカム466も回転するため、ジョイントユニット480のスライド体483が収納体481の内部を一方向に向かってスライド移動する。このため、スライド体483の前面に突設されるスライド突片492も同じ方向にスライド移動することになる。スライド体483のスライド突片492は、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態では、本体枠5の発射装置取付部520に形成される連結開口664を貫通してスライド部材710の挿入空間714に挿入されるようになっている。この場合の挿入状態は、前述したようにスライド突片492の傾斜辺493側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態である。したがって、スライド突片492が一方向に向かってスライド移動すると、スライド部材710も同一方向に向かってスライド移動することになる。このとき、前述したように、スライド部材710のスライド移動に伴ってスライド杆677もスライド移動するので、付勢バネ684の付勢力を調整することができる。つまり、ハンドル装置460の回動操作部材464を回動操作することにより、打球発射装置650の打球の弾発力を調整することができるものである。
ところで、本実施形態においては、ハンドル装置460が扉枠5に設けられ、打球発射装置650が本体枠3に設けられているので、扉枠5を開閉する毎にハンドル装置460のスライド突片492と打球発射装置650のスライド部材710とが連携したり離れたりすることになる。しかし、本実施形態においては、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を閉じることにより、スライド突片492がスライド部材710の挿入空間714に自動的に挿入されてハンドル装置460と打球発射装置650とが連携され、逆に、本体枠3に対して扉枠5を開放することにより、スライド突片492が挿入空間714から離れてハンドル装置460と打球発射装置650とを分離することができるので、極めて簡単に扉枠5の開閉に伴ってハンドル装置460と打球発射装置650との連携・分離を行うことができる。特に、スライド突片492が挿入空間714に挿入される際には、スライド突片492の位置が上下方向に多少ずれていても、挿入空間714内に突設される挟持片716の第二傾斜面717によってスライド突片492がスムーズに挟持位置に挿入されるようになっている。
また、時として、操作ハンドル部461の回動操作部材464に遊技者が詰め物を詰めてある程度回動した位置で固定している場合があるが、遊技場の店員がその詰め物を知らずに扉枠5を開閉する場合がある。このような場合でも、扉枠5を開放する場合には、単にスライド突片492が挿入空間714から離れるだけであるので問題はないが、扉枠5を閉める場合に、スライド突片492の位置が多少一方向にずれた状態となっているものの、スライド突片492の傾斜辺493とスライド部材710の第一傾斜面715との協働作用により、扉枠5の閉止動作に伴ってスライド部材710を一方向に移動させながら最終的にスライド突片492とスライド部材710とが係合するようになっている。つまり、本実施形態においては、操作ハンドル部461の回動操作部材464がどのような回動位置で固定されていても、操作ハンドル装置460と打球発射装置650との連携を行うことができるものである。
<賞球タンク>
次に、本体枠3の裏面上部に取り付けられる賞球タンク720について、主として図42を参照して説明する。図42は、賞球タンク720の斜視図(A)、平面図(B)、側面図(C)である。賞球タンク720は、前述したように、本体枠3の裏面上部に形成されるタンク取付溝550(図24参照)に着脱自在に取り付けられるものである。しかして、賞球タンク720は、長方形状の箱状に形成され、パチンコ機1の正面側から見て、その前面壁721に切欠部729が形成され、その底面が上流側壁724から下流側壁723に向かって傾斜する第一傾斜底面726と前面壁721から次に説明する排出口730に向かって傾斜する第二傾斜底面727とによって貯留部728が形成されている。
また、その第二傾斜底面727の傾斜下端に排出口730が形成されるが、この排出口730は、パチンコ機1の正面側から見て賞球タンク720の後面壁722よりも外側に突出するように下流側壁723と後面壁722とをコ字状に連結する排出口突出壁725に囲まれるように形成されている。また、賞球タンク720の前面壁721の両端外側には、前記タンク取付溝550と係合する取付鍔部733が形成されていると共に、賞球タンク720の底面の裏面側に本体枠3の前記第四側面壁543に載置当接する載置当接片731,732が突設され、さらに、賞球タンク720の上流側の後面壁722の下部に後述する球ならし部材744を取り付けるための球ならし取付軸735が突設されている。また、排出口730を除く賞球タンク720の後面壁722及び上流側壁724には、球の跳ね飛びを防止するための溢れ防止部材734が着脱自在に取り付けられるようになっている。
上記のように構成される賞球タンク720においては、本体枠3のタンク取付溝550に対して取付鍔部733を上方から差し込むように取り付け、載置当接片731,732を本体枠3の第四側面壁543に当接させる。これによって、賞球タンク720が本体枠3の裏面側上部に載置して取り付けられるが、この取り付けられた状態においては、図28に示すように、前面壁721の切欠部729を介して貯留部728と本体枠3の裏面に形成された逃げ凹部551とが連通し、また、図5に示すように、排出口730が次に説明するタンクレール部材740の上流端部に臨むようになっている。したがって、賞球タンク720において、球を貯留する貯留部728(第一傾斜底面726及び第二傾斜底面727に対応する貯留空間部分)の前後方向の幅は、本体枠3の第二側面壁541〜第四側面壁543までの前後方向の幅とほぼ同じとなるように形成されると共に、それらの側面壁541〜543までの上部に載置されるようになっている。
また、前述したように、本体枠3の第一側面壁540〜第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部の後方突出空間を覆うように深く形成されているので、その側面壁541〜543の上部に載置される賞球タンク720の貯留部の深さは、従来の貯留タンクにくらべて浅く形成されているものの、賞球が貯留されて重量が増加しても賞球タンク720の全体を本体枠3の側面壁542〜543で支持しているので、傾斜底面726,727が変形することなく貯留された球をスムーズに排出口730に導くことができる。また、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているため、貯留部728に貯留された球の流れが第二傾斜底面727から外側に向かって流れるように構成されている。このため、従来のように傾斜底面の一部に開口を設けて排出口としていた賞球タンクに比べて、排出口近傍の貯留部に球詰まり解消のための球崩し突部を突出形成することなく球詰まりが発生し難い構造とすることができる。
そして、本実施形態においては、前述したように、遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に賞球タンク720の貯留部が載置された状態で、しかも、賞球タンク720の排出口730が貯留部の後面壁722よりも外側に突出して設けられているため、タンクレール部材740が賞球タンク720の貯留部の外側(パチンコ機1の正面から見て奥側)に位置して、タンクレール部材740と賞球タンク720の貯留部728とが上下方向に重複しない位置となっているので、遊技盤4の裏面に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上辺を本体枠3の上辺に近い位置で後方に向って突出させることができ、これにより、遊技装置の後方突出部が遊技盤4の上辺部で突出していても後側面壁541〜543の内部に楽に収納することができる。
更に、賞球タンク720の貯留部728が遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に載置されているか否かに関係なく、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているという構成だけで従来の賞球タンクにはない独特の効果を奏するものである。これについて図43を参考にして説明する。図43は、従来の賞球タンク(A),(B)と本実施形態に係る賞球タンク(C)との排出口部分における球の圧力状態を示す平面図である。図において、通常時、賞球タンク720に貯留される球は、賞球タンク720の貯留部に貯留されて滞留した状態となっている。この場合、従来の賞球タンクのように貯留部の傾斜底面の一部を開口して排出口730Aを形成している場合、例えば、図43(A)に示すように、球崩し突部736Aと反対側に排出口730Aが形成された賞球タンクや、図43(B)に示すように、球崩し突部736Bに隣接して排出口730Bが形成されている場合には、排出口730A,730Bの部分では、貯留された球の圧力とその圧力に基づく賞球タンクの側壁からの反作用により、常に排出口730A,730B部分に四方から球圧がかかった状態となっている。
このため、たまたま球の重合具合によって球同士の圧力が釣り合い、下流側の球が流れ出ても、排出口730A,730B部分で球噛み状態が発生し球詰まりが発生することがあった。これに対し、本実施形態に係る賞球タンク720では、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているので、図43(C)に示すように、排出口730部分における貯留された球の圧力は、貯留部から排出口730方向に向かう作用力とその反作用だけの二方向からの圧力であり、従来のように四方から圧力を受けるわけではない。このため、下流側の球が流れ出ても、排出口730部分における球噛み状態が発生し難く、球詰まりが発生しないという優れた効果を奏することができる。
<タンクレール部材>
上記した賞球タンク720の下方に配置されるタンクレール部材740について主として図44乃至図46を参照して説明する。図44は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の背面側から見た斜視図であり、図45は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の正面側から見た斜視図であり、図46は、タンクレール部材740の下流部と球通路ユニット770の上流部との関係を示す断面図(A)と平面図(B)である。
タンクレール部材740は、前述したように、本体枠3の上後面壁545のレール係止溝553,554(図24参照)に着脱自在に取り付けられるものである。そのため、タンクレール部材740には、その後面側の側面の左右辺及び下辺にレール係止溝553に上から差し込まれる複数の係止突片749が突設されると共に、その後面側側面の上辺中央にレール係止溝554に上から掛け止められる鉤状の係止突片750が突設されている。しかして、タンクレール部材740は、上面が開放した傾斜樋状に形成され、その上流端上面が賞球タンク720の排出口730に臨み、その下流端下面が後に詳述する球通路ユニット770に臨んでいる。また、タンクレール部材740の内部は、図5に示すように仕切壁741によって球が2列に整列して流下する通路742となっている。
なお、通路742の底面は、細溝が切り欠けられており、通路742を球と一緒に転動する異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、通路742の側壁には、静電気を除去するための金属板(図示しない)が貼付されており、この金属板の下流端が前述したアース線接続具557(図22参照)に接続されている。このため、タンクレール部材740を流下する球に帯電していた静電気が金属板からアース線接続具557を介して電源基板のアース用コネクタを経て外部にアースされるようになっている。
また、タンクレール部材740の中流域のやや下流側に重錘を有する卵形状の球ならし部材744が揺動自在に設けられている。この球ならし部材744は、前述した賞球タンク720の球ならし取付軸735に揺動自在に軸支されるものであり、タンクレール部材740の2列のそれぞれの通路742内に向かって垂下され、各通路742を流下する球が上下方向に複数段で流下してきたときに1段となるように整流するものである。また、球ならし部材744の設置位置より下流側のタンクレール部材740の上面が球押え板745によって被覆されている。この球押え板745は、球ならし部材744によって1段とならなかった球を強制的に1段とするように傾斜円弧状に形成されるものである。
更に、タンクレール部材740の下流端部には、それぞれの通路742に臨んで一対の整列歯車747が軸ピン748によって回転自在に軸支されている。この整列歯車747は、外周に複数の歯が形成され、一対の整列歯車747の歯のピッチが半ピッチずつずれるようにして軸ピン748に固定されている。このため、タンクレール部材740の各通路742を流下してきた球の上部が整列歯車747の歯と噛み合いながら下流側に流下するときに2列の通路742の球が交互に1つずつ送られることになる。この場合、図46に示すように、各通路742を流れてきた球は、整列歯車747と噛み合いながら2列の通路742の下部に形成される傾斜面743に沿って中央方向に誘導され、その誘導中に次に説明する球通路ユニット770の球落下通路772の上端入口773に2列の通路742からの球を交互に一列状にして落下するようになっている。なお、整列歯車747は、その上面を円弧状の歯車カバー746によって被覆されている。
<球通路ユニット>
上記したタンクレール部材740から一列状に落下される球を賞球ユニット800に導くための球通路ユニット770について、主として図47乃至図51を参照して説明する。図47は、本体枠3と球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す分解斜視図であり、図48は、球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す背面図であり、図49は、球通路ユニット770の背面から見た斜視図であり、図50は、球通路ユニット770の正面図であり、図51は、球通路ユニット770と賞球ユニット800との連結構造を説明するための側面図である。なお、図48及び図49において、賞球ユニット800部分は、ギヤカバー866、アルミ放熱板841、ユニットサブ板825が削除され、ユニットベース体801に形成された球通路部分をわかりやすく描いたものである。ただし、ギヤ等については、球通路との関係を理解し易くするため、一点鎖線で示してある。
球通路ユニット770は、ほぼ長方形状の板材の裏面(背面から見える面を表面という。)に屈曲した一対の屈曲通路壁771によって球落下通路772が形成されている。この球落下通路772は、図46(A)に示すように、その上流が前後方向(背面から見て奥行方向)に屈曲する前後屈曲通路部772aと、該前後屈曲通路部772aに連通して左右方向(背面から見て左右方向)に屈曲する左右屈曲通路部772bと、該左右屈曲通路部772bに連通してほぼ垂直状となっている垂直通路部772cとからなっている。
この前後屈曲通路部772aは、図46(A)に示すように、上述したタンクレール部材740から落下する上端入口773の位置が前述したように2列の通路742のほぼ中央であるため、本体枠3の上後面壁545及び軸支側後面壁546の表面から背面側に離れた位置となっているので、前後屈曲通路部772aと軸支側後面壁546に突設される前記賞球案内突起561とによって球落下通路772を軸支側後面壁546の表面に近い位置とするように前後方向に屈曲するものである。また、左右屈曲通路部772bは、図50に示すように、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球の勢いを弱めるために球通路ユニット770のほぼ横幅一杯にコ字状に屈曲して形成されるものである。
更に、垂直通路部772cもほぼ垂直状に形成されているものの若干緩やかに湾曲して形成され、その垂直通路部772cを構成する一方の屈曲通路壁771に切欠部775が形成され、その切欠部775に上端が支軸777によって軸支される球切れ検出片776が揺動自在に取り付けられている。この球切れ検出片776の側方には、球切れスイッチ778が取り付けられ、球切れスイッチ778のアクチュエータ779が球切れ検出片776に当接している。球切れ検出片776及び球切れスイッチ778によって垂直通路部772cでの球切れを検出する球切れ検出機構が構成されている。
しかして、垂直通路部772cに球が存在しているときには、垂直通路部772cに存在する球によって球切れ検出片776が押圧されてアクチュエータ779を押して球切れスイッチ778をONとするが、垂直通路部772cに球詰まりや球欠乏により球が存在しなくなると球切れ検出片776が垂直通路部772c内に向かって揺動するので、アクチュエータ779が球切れスイッチ778をOFFとする。球切れスイッチ778がOFFになると、後述する賞球ユニット800の払出モータ815の回転が停止して賞球の払出が停止されるようになっている。
なお、切欠部775の下端部には、球切れ検出片776の通路部と反対側への過剰な揺動を防止するためにストッパー突起780が形成されており、また、球通路ユニット770の球切れ検出片776に対応する垂直通路部772cに球詰まり用挿入溝781が形成されている。この球詰まり用挿入溝781は、球詰まり等で球切れ検出片776の揺動動作が行われ難い場合に、球通路ユニット770の後面側からピンを差し込んで球切れ検出片776部分の球詰まりの解消を図るために設けられるものである。更に、球切れ検出片776に対面する他方の屈曲通路壁771は、若干球切れ検出片776側に向かって膨出状に形成されている。これは、垂直通路部772cに球が存在しているときに確実に球切れ検出片776を押圧して球切れスイッチ778をONにするためである。
また、球通路ユニット770には、上記した球落下通路772を避けた位置に止め穴782と位置決めボス783とが形成されている。位置決めボス783は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される位置決めピン574に係合されるものであり、止め穴782は同じく軸支側後面壁546に形成される通路ユニット取付ボス562に対応するものである。しかして、球通路ユニット770を本体枠3に取り付けるには、図47に示すように、位置決めボス783を位置決めピン574に係合させながら通路ユニット取付ボス562と止め穴782とを一致させ、その状態で止め穴782からビス784を螺着することにより行うことができる。更に、球通路ユニット770には、その一側中程にカバー体1250の係合片と係合するカバー体係合溝785が形成されていると共に、下部に賞球ユニット800と連結するための連結蓋部材786が回動自在に設けられている。
連結蓋部材786は、図49に示すように、長方形状の板材の裏面に円弧状に突設される一対の通路壁790を突設することにより構成されており、球通路ユニット770の下部表面の左右両端部に突設される軸支部としての支持突片787に、連結蓋部材786の両端部から延びる支持片788の先端に突設される回転軸部としての突起軸789を嵌合することにより回動自在に軸支されるものである。また、連結蓋部材786は、閉じることにより球通路ユニット770の下方に延長されて通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通した状態(図51(B)に示す状態)と、開放することにより通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通しない状態(図51(A)に示す状態)と、に回動し得るが、開放した状態から閉じた状態に移行する際に、連結蓋部材786の支持片788を案内する案内突起791が球通路ユニット770の後面下端部に突設されている。
而して、球通路ユニット770を本体枠3の軸支側後面壁546に固定した状態で、しかも、後述するように賞球ユニット800を同じく軸支側後面壁546に装着した状態(図51(A)に示す状態)で、連結蓋部材786を閉じて賞球ユニット800に設けられる係止弾性爪820によってその後面を係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772と賞球ユニット800の屈曲通路803とを通路壁790にて連通して、球通路ユニット770の球落下通路772を落下する球を賞球ユニット800の屈曲通路803に導くことができるものである。このように球通路ユニット770に回動自在な連結蓋部材786を設けた理由は、後述するように賞球ユニット800を本体枠3に対して着脱自在に装着し易くすることと、その着脱自在に装着したことに起因して球通路ユニット770と賞球ユニット800との間に形成される空間が球のスムーズな落下を阻害しないようにするためである。
また、球通路ユニット770に突設される一対の屈曲通路壁771の間に本体枠3の軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように突設される賞球案内突起561を挿入することで、球落下通路772の上端入口773がタンクレール部材740の2列の通路742のほぼ中央下部に位置するように、球落下通路772の上流部を背面からみて前後方向に屈曲する前後屈曲通路部772aとして形成する。これにより、一対の整列歯車747によって2列で流下する球を交互に1個ずつ賞球ユニット800側に送り出す構成において、球落下通路772を通して球を1個ずつスムーズに賞球ユニット800に送り出すことができる。また、この構成によれば、複数の部材の組立体から球落下通路772を構成する必要がないため、球落下通路772を構成する部品点数を削減することができると共に、球落下通路772の組み付け作業性を向上することができる。
また、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球は、左右屈曲通路部772bを通過することでその勢いを弱め、その後、垂直通路部772cを通って賞球ユニット800に送られる。また、勢いが弱められた状態で球が送り込まれる垂直通路部772cには、球切れを検出するための球切れ検出機構(球切れ検出片776及び球切れスイッチ778)が設けられる。これにより、球落下通路772での球切れ、言い換えれば賞球ユニット800に供給する球が切れたこと(球切れ)を確実に検出することができる。
<賞球ユニット>
次に、上記した球通路ユニット770の下流側に配置される賞球ユニット800について、主として図52乃至図55を参照して説明する。図52は、賞球ユニット800の背面側から見た分解斜視図であり、図53は、払出モータ815と払出部材としてのスプロケット807との関係を説明するための背面図であり、図54は、賞球ユニット800の通路と駆動関係を説明するための背面図であり、図55は、図54のA−A断面図である。
図52において、賞球ユニット800は、一対の屈曲通路壁802によって球通路を構成する屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成されるユニットベース体801と、該ユニットベース体801の後面を覆うユニットサブ板825と、該ユニットサブ板825の上部表面(後面側)に取り付けられる中継基板830と、前記ユニットサブ板825のほぼ中央表面領域(後面側領域)に設けられるギヤ群843,844,847及び検出円盤850(回転伝達部材)を被覆するギヤカバー866とから構成されている。以下、これらの構成を順次説明する。
ユニットベース体801は、ほぼ長方形状の板状(この板部分を「底面」という場合がある。)に形成され、その板状のユニットサブ板825側に向かって突設される一対の屈曲通路壁802によって屈曲通路803が形成されている。屈曲通路壁802は、ユニットベース体801の上部中央から下流側のほぼ中程まで球の直径よりもやや大きな間隔で突設されるが、その中程から下流側に大きく左右に分かれて中程から下流端までユニットベース体801の両端辺の側壁を兼ねている。また、中程の屈曲通路壁802が大きく左右に分かれた部分は、球送り回転体としてのスプロケット807が配置される振分空間805を構成し、その振分空間805の下部からユニットベース体801の下流端までに左右に分かれた前記屈曲通路壁802の対をなすように通路区画壁809が突設形成されている。
つまり、中程から下流側の左右の屈曲通路壁802と通路区画壁809とによって振分空間805から左右に2つの通路が構成されることなり、一方の通路が賞球通路810を構成し、他方の通路が球抜通路811を構成している。なお、通路区画壁809も左右に大きく分かれており、その分かれた通路区画壁809の内側に払出モータ815を収納するモータ収納空間814が形成されている。即ち、払出モータ815は、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)を避けた位置であって当該球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納固定される。なお、屈曲通路803は、該通路803内に停留する球のスプロケット807への圧力を弱めるために蛇行状に形成されて振分空間805に到達しているが、その振分空間805の上流側の底面に楕円形状の開口804が形成されている。この開口804は、屈曲通路803内に入った小さなゴミ等を貯留するもので、賞球ユニット800を本体枠3から取り外したときに溜まったゴミ等を取り出すことができるようになっている。
また、上記した振分空間805には、外周に球が嵌り合う複数(図示の場合は、3つ)の凹部が形成された払出部材としてのスプロケット807が回転自在に配置されるが、このスプロケット807が固定される回転軸808の他端を軸支する軸受筒806が振分空間805の底面に形成されている。また、振分空間805の底部を構成する通路区画壁809の上端部は、スプロケット807の回転円弧に沿った凹円弧状に形成され、その一方に形成される賞球通路810の上流部には、払出球検出センサ812が着脱自在に装着されている。
この払出球検出センサ812は、先端部に球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、その後端部の形状と合致するスイッチ嵌合凹部865を屈曲通路壁802で形成することにより、簡単に着脱自在に取り付けられるものである。なお、払出球検出センサ812からの配線(図示しない)は、後述する中継基板830に接続されるようになっている。更に、賞球通路810を構成する屈曲通路壁802の下流側には、ユニットサブ板825と一体的に形成される通路蓋板部859に形成される係止部860と係合する係止爪813が複数形成されている。ただし、複数の係止爪813のうち、通路蓋板部859の下端の一方の係止部860と係合する係止爪813は、通路区画壁809側に形成されている。
また、ユニットベース体801の下方であって賞球通路810と球抜通路811との間には、払出モータ815を収納する円形状のモータ収納空間814が形成されるが、このモータ収納空間814の内部に払出モータ815の円筒状本体が収納されるようになっている。ただし、払出モータ815は、その前面に形成される一対の取付片816によってユニットサブ板825の下方に取り付けられるアルミ放熱板841の裏面側にビス817で固着されるようになっている。そして、払出モータ815がユニットサブ板825のアルミ放熱板841に取り付けられた状態で、払出モータ815のモータ軸818は、アルミ放熱板841に穿設された軸挿通穴842を貫通して第一ギヤ843が固着されるようになっている。
また、ユニットサブ板825及びアルミ放熱板841でユニットベース体801の後面側を被覆することにより、上記した屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成される奥行幅方向の空間内に払出モータ815の円筒状本体部分も収納配置されることになる。そして、払出モータ815を収納するモータ収納空間814と前述したスプロケット807が配置される振分空間805とが、上下方向の極めて近い位置関係に形成されているため、ユニットベース体801の上下方向の長さを短くすることができ、結果的に賞球ユニット800のコンパクト化を図ることができる。
更に、ユニットベース体801には、上記した球抜通路811の最下端に球抜きされた球を賞球ユニット800の裏面側に誘導する誘導突片819が突設され、この誘導突片819に誘導された球が後述する球抜接続通路880に誘導されて最終的にパチンコ機1の外部(島台の下方に設けられる回収樋)に放出されるようになっている。また、ユニットベース体801の上部には、前述した球通路ユニット770の連結蓋部材786を係止する係止弾性爪820が突設されると共に、賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に着脱自在に取り付けるためのボタン挿通係合穴821及び鉤状係合部824と、ユニットベース体801とユニットサブ板825を挟持した状態でギヤカバー866とを連結するための取付ボス823が設けられている。
このボタン挿通係合穴821には、ユニットベース体801の上部一側に設けられて棒状の着脱ボタン822が奥行幅方向に摺動自在に取り付けられるものであり、後述するように、その前方先端が本体枠3の軸支側後面壁546に形成されるロック用弾性爪564に対応している。また、ボタン挿通係合穴821の後端面は、図47に示すように、ロック用弾性爪564の先端部が入り込むように凹状となっている。また、鉤状係合部824は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される係合突片565と係合するもので、賞球ユニット800を軸支側後面壁546に押し当てて下方に押下げることにより、鉤状係合部824と係合突片565とが係合するものである。そして、その係合状態においてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合するので、賞球ユニット800の上方向の移動ができないようになっている。
なお、鉤状係合部824は、ユニットベース体801の上部左右に形成されている。また、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結するための取付ボス823は、後面側に向かって長く突設され、ユニットサブ板825に穿設される貫通穴858を貫通した後、ギヤカバー866の取付穴867に対応させ、そのギヤカバー866の表面からネジ868を螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結している。
上記したユニットベース体801を被覆するユニットサブ板825の構成について説明すると、ユニットサブ板825は、ユニットベース体801の屈曲通路803部分と振分空間805部分と賞球通路810部分とを覆う合成樹脂製の板材に払出モータ815が取り付けられると共に球抜通路811の下流部分とを覆うアルミ放熱板841を取り付けることにより構成されている。そして、ユニットサブ板825の合成樹脂板部の表側(後面側)には、中継基板830を取り付けるための中継基板領域826が上部に形成され、その下方に複数のギヤ843,844,847や検出円盤850が取り付けられるギヤ領域840が形成されている。
この中継基板領域826は、ほぼ正方形状に形成され、その正方形状に沿って中継基板830を載置する載置リブ827が突設され、その一側垂直辺の上下に後述する基板カバー835の係合突起836と係合する係合溝部828が形成され、その他側垂直辺の中央に基板カバー835の係止突部837と係合する係止爪部829が形成されている。また、中継基板領域826には、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴834と中継基板830をビス(図示しない)で止着するための取付ボス部832が形成されている。
上記した中継基板領域826に取り付けられる中継基板830は、賞球ユニット800に設けられる上述した払出球検出センサ812、払出モータ815、及び後述するセンサ855からの配線と、後述する払出制御基板1186(図25及び図72参照)からの配線とを中継するもので、そのために複数のコネクタが設けられると共に、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴833と前記取付ボス部832に対応する取付穴831とが穿設されている。しかして、中継基板830を中継基板領域826の載置リブ827に載置した状態で取付穴831と取付ボス部832とを合致させて図示しないビスで止着することにより中継基板830をユニットサブ板825の表面(後面)に止着することができる。
また、上記のように取り付けられる中継基板830は、基板カバー835によって被覆される。基板カバー835は、ほぼ正方形状の前面側が開放したボックス状に形成され、その一側垂直辺の上下基部に係合突起836と他側垂直辺のほぼ中央側面に係止突部837が形成されている。また、基板カバー835の正方形状の垂直面には、ボタン開口838と接続開口部839とが形成されている。しかして、基板カバー835の係合突起836を中継基板領域826の係合溝部828に差し込んで係合した後、係止突部837と係止爪部829とを係合させることにより、簡単に基板カバー835で中継基板830を被覆することができる。逆に、取り外す場合には、係止爪部829を弾性変形させて係止突部837との係合を解除すると共に基板カバー835を斜め手前側に引いて係合突起836と係合溝部828との係合を解除することができる。なお、基板カバー835を被覆した状態では、ボタン挿通係合穴821に係合されている着脱ボタン822の頭部がボタン挿通穴833,834を挿通してボタン開口838から外部に僅かに臨んでいる。また、中継基板830に接続された配線は、接続開口部839から外部に引き出されるようになっている。
次に、ユニットサブ板825に形成されるギヤ領域840に設けられるギヤ843,844,847、及び検出円盤850について説明する。前述したように、払出モータ815のモータ軸818の先端は、ユニットサブ板825のアルミ放熱板841に穿設される軸挿通穴842を貫通してユニットサブ板825の表面(後面側)に突出しており、その突出した部分に第一ギヤ843(駆動ギヤ)が固着されている。第一ギヤ843の上方には、該第一ギヤ843と噛合する第二ギヤ844(回転伝達ギヤ)がギヤカバー866の裏面(前面側)に一端が圧入され且つアルミ放熱板841に穿設される軸穴846に他端が支持される軸845に回転自在に設けられ、その第二ギヤ844の上方には、該第二ギヤ844と噛合する第三ギヤ847(回転伝達ギヤ)がユニットサブ板825に形成される軸穴849に圧入された軸848に回転自在に設けられている。更に、第三ギヤ847の上方には、該第三ギヤ847と噛合するギヤ部852(従動ギヤ)を有する検出円盤850が前記スプロケット807を軸支する回転軸808に回転自在に設けられている。
なお、図55に示すように、モータ軸818の先端部がギヤカバー866に形成される受穴に遊嵌されている。また、回転軸808は、その一端がユニットベース体801に形成される軸受筒806に圧入されて支持され、その他端がギヤカバー866に形成される軸受穴に支持されるものであるが、ギヤ領域840の中央よりやや下方に形成された軸貫通穴864を貫通して振分空間805においてスプロケット807を回転自在に軸支し、ユニットサブ板825とギヤカバー866とによって形成される空間において検出円盤850を回転自在に軸支している。ただし、図55に示すように、スプロケット807の後端部が検出円盤850の中心前面部と係合した状態となっているので、スプロケット807と検出円盤850とは、回転軸808を中心として一体的に回転するようになっている。したがって、払出モータ815が回転駆動すると、その回転が第一ギヤ843、第二ギヤ844、第三ギヤ847、検出円盤850のギヤ部852を介してスプロケット807を回転するように伝達される。
この検出円盤850の外周は、ギヤ部852の円よりも一回り大きく形成されており、そのギヤ部852よりも外側に突出している外周部分には、スプロケット807の凹部と同じ数(図示の場合には、3個)の検出切欠851が形成されている。この検出切欠851は、ユニットサブ板825の表面に形成される基板取付部857に挟持支持されるセンサ基板854に設けられる投受光方式のセンサ855(回転位置検出手段)によって検出されるものである。そして、センサ855は、払出動作時において所定のインターバル時間内に検出切欠851の検出個数を検出することにより、スプロケット807が正常に回転しているか否かを監視するためのものである。仮に、センサ855により、異常回転が検出されたとき(多くは、スプロケット807による球噛み状態)には、スプロケット807を所定回数正逆回転させて異常状態(例えば、球噛み状態)を解消するものである。なお、実際に払いだされた球の個数は、前述した賞球通路810に設けられる払出球検出センサ812によって検出して計数のために使用している。なお、図55に示すように、センサ基板854の他端辺もギヤカバー866に形成される基板取付部に挟持されるようになっている。
上述したように、ギヤ領域840に設けられる複数のギヤのうち、第二ギヤ844だけがギヤカバー866側に圧入される回転軸845に回転自在に設けられているところ、ギヤ領域840を覆うギヤカバー866には、前記ユニットベース体801に突設されてユニットサブ板825の貫通穴858を貫通する取付ボス823の先端部に対応する位置に穿設される取付穴867が形成されている。そして、ギヤカバー866側に設けられる第二ギヤ844の歯とユニットサブ板825側に設けられる第一ギヤ843及び第三ギヤ847の歯とを噛み合わせながら、取付穴867と取付ボス823とを一致させた状態でギヤカバー866の後面からネジ868で螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持する状態でベースユニット体451とギヤカバー866とが一体的に固定される。また、ギヤカバー866の一側側面には、前記中継基板830に接続される配線(例えば、中継基板830と後述する払出制御基板1186とを接続する配線等)を掛け留めて纏める配線処理片869が突設されている。
以上、賞球ユニット800の構成について説明してきたが、ユニットベース体801とユニットサブ板825と中継基板830と基板カバー835とギヤカバー866とを組み付けた状態においては、図55に示すように、払い出すべき球が導かれる屈曲通路803の下方位置に払出モータ815の円筒状の本体部分が収納されるように位置する。また、ユニットベース体801には、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)内に配置されたスプロケット807と、球通路を避けた位置であって球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納された払出モータ815と、を設け、ユニットサブ板825には、その非閉塞面側に沿って払出モータ815のモータ軸818の回転をスプロケット807の回転軸808に伝達する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)を設け、しかも、払出モータ815と屈曲通路803の振分空間805に配置される払出部材としてのスプロケット807とをユニットサブ板825の後面のギヤ領域840に設けられる複数のギヤ843,844,847,850(852)によって回転駆動するように連結した構造となっている。即ち、ユニットベース体801とユニットサブ板825との間に形成される球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)の奥行き幅内にスプロケット807と払出モータ815とを収納し、しかも、スプロケット807と払出モータ815とを連結する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)をユニットサブ板825の非閉塞面側の所定幅内に沿って設けたので、球通路の外側に払出モータやスプロケットの一部を配置したものに比べて、賞球ユニット800を薄型化することができる。
また、このような賞球ユニット800は、当該賞球ユニット800内の球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)が一条の通路形状で形成されることにより、より一層の薄型化が図られている。即ち、従来のように、払出モータ815を賞球ユニットの前面側又は後面側又は側方側に突出させるものと異なり、本体枠3の軸支側後面壁546の後面側に取り付けたときに、賞球ユニット800のいずれの部分もさらに後方に向かって突出することがない構造とすることができる。なお、図55において、払出モータ815の前端部分がユニットベース体801の後面よりも僅かに突出して構成されているが、この突出部分は、図25に示すように、軸支側後面壁546の下方の払出モータ用逃げ開口部572から本体枠3の前方部分に臨むようになっているため、結果的にその突出寸法から軸支側後面壁546の板厚寸法を差し引いた寸法だけ突出する程度となり、軸支側後面壁546よりも前方に向かう突出量は僅かなものとなっている。また、このような構成をとることにより、本実施形態では、賞球ユニット800が取り付けられる本体枠3の軸支側後面壁546と遊技盤4の裏面との間に、遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部分を収納する収納空間を奥行き幅方向で大きくとることができる。
更に、上記のように構成される賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に取り付けるためには、図47に示すように、鉤状係合部824と係合突片565とを対応させて位置合わせした後、賞球ユニット800の下端を係止溝573に掛け止め且つ鉤状係合部824と係合突片565とを係合させるために賞球ユニット800を軸支側後面壁546に密着させたまま下方に押下げる。このとき、賞球ユニット800の下端部と係止溝573とが係合し且つ鉤状係合部824と係合突片565とが係合しているので、取付自体は完了しているが、賞球ユニット800を上方に移動させることにより簡単に上記のそれぞれの係合状態が解除されてしまうため、これを防止するために、ロック用弾性爪564がボタン挿通係合穴821に係合するようになっている。
つまり、ロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合することにより、取付状態で賞球ユニット800の上方への移動を防止している。このように、賞球ユニット800を取り付けた後に、球通路ユニット770の連結蓋部材786を前述したように回動して係止弾性爪820で係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772下流端と賞球ユニット800の屈曲通路803の上流端とを一対の通路壁790によって構成される通路を介して連通化することができる。また、賞球ユニット800を取り付けた状態では、賞球通路810の下流端と後に詳述する満タンユニット900の賞球入口927とが接続され、球抜通路811の下流端が球抜接続通路880の上流端と接続される。
一方、賞球ユニット800を取り外すときは、係止弾性爪820による係合を解除して連結蓋部材786を手前側に回動し、その後、着脱ボタン822を押圧してロック用弾性爪564を前面側に移動させてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821との係合を解除させ、その後着脱ボタン822を押圧したままの状態で賞球ユニット800を上方に引き上げて賞球ユニット800の下端部と係止溝573との係合及び鉤状係合部824と係合突片565との係合を解除して賞球ユニット800を手前側に引き出すことにより、賞球ユニット800を簡単に取り外すことができる。
<満タンユニット>
上記した賞球ユニット800の下流側に配置される満タンユニット900について、主として図56乃至図62を参照して説明する。図56は、賞球ユニット800と満タンユニット900との関係を示す斜視図であり、図57は、満タンユニット900の斜視図であり、図58は、満タンユニット900の正面から見た分解斜視図であり、図59は、満タンユニット900の背面から見た分解斜視図であり、図60は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す一部破断斜視図であり、図61は、満タンユニット900に設けられる底面揺動板907部分で切断した横断面図であり、図62は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す断面図である。
満タンユニット900は、前述したように本体枠3の満タンユニット載置部531に載置固定されるものであり、図58に示すように、上面が開放したボックス状に形成されるボックス主体901と、該ボックス主体901の上面を覆う蓋体926とから構成されている。ボックス主体901は、賞球通路810の下流端から流入した球が内部をジグザグ状に誘導されて出口921から排出されるようになっている。このため、その上流部に蓋体926に形成される賞球入口927から流入した球を一端から他端に向かって側方に誘導する側方誘導通路902が形成されている。側方誘導通路902の賞球入口927の直下の一端部には、球を側方に向かって誘導するように凹円弧状に形成される側方誘導受部903が設けられ、側方誘導通路902の他端内面に側方誘導通路902を流れてきた球の衝撃を受け止めて該球を下流側に誘導する緩衝部材904が設けられている。
また、側方誘導通路902の他端内面に設けられる緩衝部材904に衝突した球は、向きを下流側に変えた後、側方誘導通路902の球の流れと逆方向に流れるように誘導される逆側方誘導通路905が形成されている。逆側方誘導通路905を流れた球は、その後、前方に向かって形成される前方誘導通路920に導かれて該前方誘導通路920の流下端に形成される出口921から前述した皿ユニット300の賞球連絡樋451に導かれる。
ところで、前記逆側方誘導通路905の上流側の底面には、その底面の全域に亘って開口する底面開口906が形成され、その底面開口906を底面揺動板907が揺動自在に閉塞している。底面開口906は、上面が開放されたほぼ正方形の凹状に形成され、その内部の正面から見て前後方向の側壁に一対の軸支突起911が突設されている。また、底面開口906の凹状の底面にバネ913の下端を位置決めするための円形状のバネ載置凹部912が形成されている。一方、底面開口906を閉塞する底面揺動板907は、ほぼ正方形状に形成され、その裏面下流側に正面から見て前記軸支突起911に嵌合することにより軸支される半円形状の軸受部908が突設形成されている。
また、底面揺動板907の裏面中央には、図61に示すように、バネ913の上端が係止されるバネ係止突起910が下方に向かって突設されている。したがって、底面揺動板907は、バネ913の付勢力によりその上流側が常に上方へ揺動された方向に付勢されている。そして、バネ913は、通常の賞球の払出個数(例えば、15個)が一度に底面揺動板907上に載置したときでも底面揺動板907が下方に揺動せず、賞球の払出個数以上の所定個数の球が底面揺動板907上に載置したときに下方に揺動するようなバネ係数を有するバネ部材によって形成されている。更に、底面揺動板907の上流側に検出突片909が前方に向かって突出されている。この検出突片909は、底面揺動板907の軸受部908を軸支突起911に嵌合軸支したときに、連通孔929を貫通して次に説明するスイッチ収納空間914に位置するようになっている。
また、逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側には、満タンスイッチ916を収納するためのスイッチ収納空間914が一体的に形成されている。スイッチ収納空間914に満タンスイッチ916を取り付けるために、スイッチ収納空間914の上部であって逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側面にスイッチ取付部918が形成され、そのスイッチ取付部918に満タンスイッチ916を保持するスイッチホルダ915の取付片917がネジ919によって止着されている。満タンスイッチ916は、投光器と受光器とからなるスイッチとして構成され、その受光器と投光器との間を検出突片909が上下に揺動することによりON・OFFを検出するものである。
更に、逆側方誘導通路905の下流側の一側方にファール球通路922が形成されている。ファール球通路922は、その上流側のファール球入口923が図60に示すように、前述したファール口610に連通し、その下流側が前方誘導通路920の上流側に連通するように屈曲して形成されている。このため、ファール口610に取り入れられたファール球は、ファール球入口923から屈曲したファール球通路922を通って前方誘導通路920に導かれ、さらに出口921及び賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に戻される。
また、ボックス主体901には、前記出口921の両側方と前記ファール球入口923の一側方に前記満タンユニット載置部531に形成されるユニット係合溝532に係合される係合片924が突設されると共に、蓋体926に形成される掛止片928と係合する掛止突起925が形成されている。この掛止突起925は、ボックス主体901の左右後方の側壁上部に適宜形成されている。
一方、蓋体926は、ボックス主体901の側方誘導通路902、逆側方誘導通路905、前方誘導通路920、及びファール球通路922の上面を覆うような板形状に形成され、前記側方誘導通路902に上流端に対応する位置に正方形状の賞球入口927が開口されている。また、蓋体926の周囲には、ボックス主体901の前記掛止突起925と係合するための掛止片928が下方に向かって突設されている。
上記のように構成される満タンユニット900においては、図56に示すように、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球が賞球入口927から側方誘導通路902の上流側に入って側方誘導受部903によって側方に向かって誘導されて緩衝部材904に衝突する。緩衝部材904に衝突した球は、そのまま下流側に向かって逆側方誘導通路905を前記側方誘導通路902の誘導方向と逆方向に誘導されて前方誘導通路920に導かれ、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。また、ファール球入口923から入ったファール球も屈曲したファール球通路922によって球の勢いを弱められて前方誘導通路920に合流し、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。
そして、通常時、満タンユニット900内を球が自然に流れているときには、側方誘導通路902から逆側方誘導通路905に球が移動する際に、底面揺動板907に落下するが、通常の賞球の払出個数程度では、バネ913の弾発力が強いので、底面揺動板907が揺動することがなく、図61の実線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、皿ユニット300に賞球が貯留されて満タンユニット900内にも球が充満してきたときには、前方誘導通路920及び逆側方誘導通路905の上流側の全域に形成される底面揺動板907上に貯留された球の圧力により底面揺動板907がバネ913の付勢力に抗して下方に揺動し、図61の二点鎖線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ916がONすると、賞球ユニット800の払出モータ815の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。
上記したように、満タンユニット900においては、球が流下する通路(図示の場合には、逆側方誘導通路905)の通路底面の幅とほぼ同じ幅の底面揺動板907によって満タンスイッチ916を作動させるようにすると共に、通常時の球の流れによって揺動せずある程度の球が載置したときに底面揺動板907揺動するように付勢部材(バネ913)で付勢したので、従来のように一部の通路の底面等に球が載置したことにより球詰まりを検出するものに比べて、その一部の通路部分における球の載置が球詰まりによって検出されない事態を確実に防止することができる。このことは、球の満タンを確実に検出することができるものである。
また、本実施形態に係る満タンユニット900においては、本体枠3の満タンユニット載置部531に着脱自在に取り付けるものであるため、従来のように、満タン装置を本体枠に形成された払出通路の内部に組み付けるものに比べて、本体枠に満タン構造のための通路を形成する必要がない。また、満タンユニット900の内部をジグザグ状の通路とすることにより、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球の勢いを弱めながら皿ユニット300に誘導することができるので、払い出された賞球が皿ユニット300から外に飛び出すこともない。更に、本実施形態に係る満タンユニット900は、ファール球を導くファール球通路922が賞球を払い出す前方誘導通路920の途中に球の勢いを弱めて合流するようになっているので、賞球の流れを阻害することなくファール球を合流させることができる。
<錠装置>
次に、本体枠3の開放側の裏側端辺に沿って垂直方向に取り付けられる錠装置1000について主として図63乃至図71を参照して説明する。図63は、錠装置1000と本体枠3との関係を示す背面斜視図であり、図64は、錠装置1000の本体枠3への掛け止め構造を示す拡大側方断面図であり、図65は、パチンコ機1の縦方向中央よりやや下方の位置で水平方向に切断した一部断面図であり、図66は、錠装置1000と本体枠3の側壁540,541との詳細な関係を示す拡大断面図であり、図67は、錠装置1000の側面図(A)、前面側から見た斜視図(B)であり、図68は、錠装置1000の背面側から見た斜視図(A)、錠装置1000のコ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の斜視図(B),(C)であり、図69は、錠装置1000の分解斜視図であり、図70は、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の作用を説明するための正面図であり、図71は、不正防止部材1023,1032の作用を説明するための正面図である。
錠装置1000は、本体枠3の開放側の第一側面壁540に沿って本体枠3のほぼ上端から下端にかけて取り付けられるものであり、図63に示すように、本体枠3の外周側辺と第一側面壁540の立ち上がり部との間の上下端近い部分及び中程に形成される複数(図示の場合、3個)の錠係止穴548と、第一側面壁540の垂直面の上部と中程に切り欠けられて形成される錠取付穴547とシリンダー錠貫通穴526の上部近傍に形成される錠取付穴547と、によって次に説明する錠装置1000のコ字状基体1001が支持固定されるものである。そこで、以下、錠装置1000の構造について詳細に説明する。
図67乃至図69に示すように、錠装置1000は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体1001と、該コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と、前記コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆1050と、該本体枠用摺動杆1050の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体1001の下部に取り付けられる不正防止部材1023,1032と、からなる。
コ字状基体1001は、金属を断面コ字状となるように折り曲げ、その内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設けるものであるが、その横幅寸法は従来の断面L字状に成形された基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これは、前述したように遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしたため、側面壁540と本体枠3の外周辺との間の寸法が極めて小さくなっていることにより、本実施形態に係る錠装置1000の横幅寸法を小さく形成して錠装置1000を本体枠3の裏側に取り付けることができるような取付構造として改良したためである。そして、コ字状基体1001の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態の不正防止構造となっている。
まず、コ字状基体1001の開放側と反対の閉塞側上下に本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065が貫通される長方形状のフック貫通開口1002が開設されると共に、閉塞側であって第一側面壁540と密着する側面1001b(図69参照)上部と中程に水平方向にビス止め部1003が突設され、更に、開放側の第一側面壁540と密着しない側面1001a(図69参照)の上端部及び中間部と、開放側の両側面1001a,1001bの下端部に係止突起1004が突設形成されている。
このビス止め部1003と係止突起1004は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けるためのものであり、係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ(図64参照)、その状態でビス止め部1003と錠取付穴547とが一致するため、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができる。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部1003だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003と前記シリンダー錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させて図示しないビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取り付けられるようになっている。
また、その取り付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中の2箇所に形成されたビス止め部1003及びコ字状基体1001の開放側(前方部)に形成されたビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定し且つ錠装置1000の下方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
換言すると、錠装置1000を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体1001に集約して構成した場合でも、錠装置1000の前方部と後方部との係止及び固定により、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
また、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bの上部、中程、下部に挿通穴1005が形成され、コ字状基体1001に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納した状態で挿通穴1005にリベット1006を差込んでかしめることにより、コ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取り付けることができる。即ち、扉枠用摺動杆1040の上中下の3箇所に形成されるリベット用長穴1042と本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052にそれぞれ1つずつ形成されるリベット用長穴1055,1061にリベット1006を貫通させることにより、扉枠用摺動杆1040が上方に移動できるようにし、本体枠用摺動杆1050が下方に移動できるようになっている。したがって、図68(B)に示すように本体枠用摺動杆1050のリベット用長穴1055,1061の下端部にリベット1006が貫通しており、図68(C)に示すように扉枠用摺動杆1040のリベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通している。
更に、コ字状基体1001の下方部には、その閉塞側面に不正防止切欠部1007が形成されると共に、その開放側の本体枠3の第一側面壁540と密着する側面1001bの前端部にシリンダー錠1010を取り付けるための錠取付片1008が側方に向かって突設され、更に、第一側面壁540と密着する側面1001bに挿入縦開口1020、バネ係止片1021、及び逃げ横穴1022がそれぞれ形成されている。不正防止切欠部1007は、後に説明する第一不正防止部材1023のストッパー片部1027が進退するようになっている。この点については、後に詳述する。また、錠取付片1008は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けた状態で、遊技盤設置凹部510の下端辺よりも下方の位置となるようにコ字状基体1001の側面1001bの前端部から側方に向かって突設されるが、この錠取付片1008には、シリンダー錠1010が貫通する錠挿通穴1009が形成されると共にシリンダー錠1010の錠取付基板1011に形成される取付穴1013をビス1012で取り付けるための取付穴1014が上下2箇所に穿設され、更に、錠装置1000の下部を本体枠3の裏面に取り付けるためのビス止め部1003が穿設されている。
また、挿入縦開口1020は、シリンダー錠1010に固定される係合カム1016の第一係合突片1017及び第二係合突片1018がシリンダー錠1010の回動時に侵入するための開口であり、バネ係止片1021は、不正防止部材1023,1032に設けられるバネ1035が係止されるものであり、逃げ横穴1022は、連結ピン1034の移動の邪魔をしないように逃げ穴を構成するものである。この点については後に詳述する。
上記した錠取付片1008に取り付けられるシリンダー錠1010について説明すると、シリンダー錠1010は、錠取付基板1011の前方に円筒状のシリンダー錠本体が固定され、そのシリンダー錠本体の錠軸1015が錠取付基板1011より後面に出ており、その錠軸1015の後端に係合カム1016がビス1019によって固定されている。係合カム1016は、ブーメラン形状に形成され、その一端辺が回動時に本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合する第一係合突片1017となっており、その他端辺が回動時に扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合する第二係合突片1018となっている。そして、上記のように構成されるシリンダー錠1010は、円筒状のシリンダー錠本体部分を錠挿通穴1009に挿通して錠取付基板1011の上下2箇所に形成される取付穴1013と錠取付片1008の取付穴1014とを一致させてビス1012で螺着することにより、シリンダー錠1010をコ字状基体1001に固定することができる。
次に、コ字状基体1001に取り付けられる不正防止部材1023,1032,について図69を参照して説明する。不正防止部材1023,1032は、シリンダー錠1010を正式な鍵で回動せずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆1050を下降させることを防止するためのものである。しかして、不正防止部材1023,1032は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結した構造となっている。第一不正防止部材1023は、上端の揺動軸穴1025を中心にして揺動自在に構成される縦長の板状に形成され、その揺動軸穴1025を前述したコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取り付けるための挿通穴1005及びリベット1006のうち、最下方の挿通穴1005及びリベット1006によって取り付けられる。
また、第一不正防止部材1023には、その板状面に前記挿入縦開口1020と重複する縦長な突片挿入穴1026が開設され、この突片挿入穴1026に第二係合突片1018が挿入し得るようになっている。つまり、突片挿入穴1026と挿入縦開口1020を第二係合突片1018が貫通することにより、コ字状基体1001の内部に設けられる扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045と第二係合突片1018とが係合するようになっている。また、第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026の開設位置の斜め上方の外形線が傾斜部1024となっている。この傾斜部1024は、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017の後面側と当接するもので、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017と傾斜部1024とが当接することにより第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として揺動(図71(B)において時計回転方向)するようになっている。
更に、第一不正防止部材1023には、前記突片挿入穴1026の斜め下方の外形線上にストッパー片部1027が突設され、そのストッパー片部1027の下方に規制突片1031が突設され、該規制突片1031の前方部にピン穴1029と連結穴1030とが上下に形成されている。ストッパー片部1027は、本体枠用摺動杆1050の施錠時に前記不正防止切欠部1007及び本体枠用摺動杆1050の係合切欠部1066に侵入係合して本体枠用摺動杆1050が不正に摺動しないようにするものである。また、規制突片1031は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とはバネ1035によって連結されるが、そのバネ1035で連結されたときに第二不正防止部材1032の付勢方向への移動を規制するものである。ピン穴1029は、ガイドピン1028が固定されるものであり、ガイドピン1028が第一不正防止部材1023の裏面側からピン穴1029に固定された状態で、そのガイドピン1028を前記挿入縦開口1020の最下端部に形成される横長状開口部に係合させることにより、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001の側面1001bに沿って案内するものである。更に、連結穴1030は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結するためのものである。
上記した第一不正防止部材1023に連結される第二不正防止部材1032は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴1033が形成され、その上部他端にバネ係止穴1036が穿設され、下方端部に当接部1037が設けられている。連結穴1033は、第一不正防止部材1023の連結穴1030と一致させて連結ピン1034で連結するためのものであり、バネ係止穴1036は、一端がコ字状基体1001のバネ係止片1021に係止されるバネ1035の他端を係止するものである。また、当接部1037は、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定される閉鎖用突起41と当接するものである。なお、上記した第一不正防止部材1023及び第二不正防止部材1032の作用については、後に詳述する。
次に、コ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050について説明する。まず、扉枠用摺動杆1040は、縦長の金属製の板状部材から構成され、その一側縦辺の上中下の3箇所に扉枠用フック部1041が前方に向かって一体的に突設されている。この扉枠用フック部1041は、コ字状基体1001内に収納したときに、その開放側から前方に突出しているもので、錠装置1000を本体枠3の裏面に固定したときに、本体枠3に形成される扉用フック穴549(図21及び図22参照)から前方に突出し、扉枠5の裏面に形成されるフックカバー227(図15参照)に係止するものである。なお、扉枠用フック部1041は、下向きの係合爪形状となっているため、扉枠用摺動杆1040を上昇させることにより扉枠用フック部1041とフックカバー227との係止状態を解除することができる。
また、扉枠用摺動杆1040の上中下の側面中央に、前記リベット1006が挿通される縦長のリベット用長穴1042が形成され、該リベット用長穴1042のうちの最上部のリベット用長穴1042の下方及び扉枠用摺動杆1040の最下端にガイド突起1043が突設されている。リベット用長穴1042は、コ字状基体1001の挿通穴1005に挿通されるリベット1006が貫通されるものであり、しかも、このリベット1006が扉枠用摺動杆1040の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。そして、通常状態においては、リベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通当接した状態となっている。また、ガイド突起1043は、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に形成される突片移動穴1056,1064に挿通されるものであり、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の摺動動作を案内するようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040の上端部にスプリングフック部1046が形成され、このスプリングフック部1046にスプリング1048の一端が係止され、そのスプリング1048の他端が本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051に形成されるスプリングフック部1057に係止される。これにより、扉枠用摺動杆1040が下方向に、本体枠用摺動杆1050が上方向に、それぞれ相互に付勢されている。扉枠用摺動杆1040の中程には、当接弾性片1047が凸状に形成されている。この当接弾性片1047は、扉枠用摺動杆1040の一側側面からプレスで打ち出して凸状に形成したものであり、コ字状基体1001の内側面に当接して内部で扉枠用摺動杆1040がガタつかないようにするものである。
更に、扉枠用摺動杆1040の下方部分の側面には、共に縦長な遊び穴1044と上昇係合穴1045とが形成されている。遊び穴1044は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第一係合突片1017の先端部が移動しえる空間を構成するものである。また、上昇係合穴1045は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって扉枠用摺動杆1040が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆1040の縦辺下部後方には、前記不正防止切欠部1007よりも上下方向に大きな切欠である逃げ切欠部1049が形成されている。この逃げ切欠部1049は、第一不正防止部材1023のストッパー片部1027を確実に不正防止切欠部1007及び係合切欠部1066に係合させるために邪魔しないように形成されるものである。
一方、本体枠用摺動杆1050は、金属板製の上フック部材1051と、金属板製の下フック部材1052と、上フック部材1051と下フック部材1052とを連結する連結線杆1053と、から構成されている。つまり、本体枠用摺動杆1050は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されているわけではなく、フック部1054,1065を有する上フック部材1051と下フック部材1052とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材1051と下フック部材1052とを細い金属製の連結線杆1053で連結したものである。このため、狭いコ字状基体1001の空間に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを効率よく収納することができる。
ところで、上フック部材1051には、その上端部に後方に向かってフック部1054が突設され、その板面部にリベット用長穴1055と突片移動穴1056とが形成され、また、その前方の縦辺下端部にスプリングフック部1057と連結穴1058とが形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1059が形成されている。フック部1054は、コ字状基体1001の上方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の上部に設けられる閉鎖用突起38に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。
このリベット用長穴1055は、扉枠用摺動杆1040の上部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1055にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1055の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、上フック部材1051が下方に向かって移動することができるようになっている。突片移動穴1056は、前述したように扉枠用摺動杆1040の上方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。スプリングフック部1057は、前述したようにスプリング1048の他端が係止されるものである。また、連結穴1058は、連結線杆1053の上端が折り曲げられて挿入されるものである。更に、当接部1059は、コ字状基体1001に収納されたときに、該コ字状基体1001の内部側壁に当接して上フック部材1051の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
一方、下フック部材1052には、その下端部に後方に向かってフック部1065が突設され、その板面部の上方から下方にかけてリベット用長穴1061と下降係合穴1062と遊び穴1063と突片移動穴1064とが順次形成され、また、その前方の縦辺上端部に連結穴1060が、その後方の縦辺下部に係合切欠部1066がそれぞれ形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1067が形成されている。フック部1065は、コ字状基体1001の下方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の下部に設けられる閉鎖用突起41に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴1061は、扉枠用摺動杆1040の下部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1061にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1061の最下端部を貫通した状態となっている。
これにより、下フック部材1052が下方に向かって移動することができるようになっている。下降係合穴1062は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって本体枠用摺動杆1050が下降するように係合するためのものである。また、遊び穴1063は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第二係合突片1018の先端部が移動し得る空間を構成するものである。突片移動穴1064は、前述したように扉枠用摺動杆1040の下方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。また、連結穴1060は、連結線杆1053の下端が折り曲げられて挿入されるものである。更に当接部1067は、コ字状基体1001に収納されたときに、該コ字状基体1001の内部側壁に当接して下フック部材1052の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
以上、錠装置1000を構成する各部材について説明してきたが、この錠装置1000を組み付けるには、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051と下フック部材1052とを連結線杆1053で連結し、その状態で扉枠用摺動杆1040のガイド突片1043を上フック部材1051と下フック部材1052の突片移動穴1056,1064に挿入すると共に、相互のリベット長穴1042とリベット用長穴1055,1061を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材1051のフック部1054と下フック部材1052のフック部1065とをコ字状基体1001のフック貫通開口1002に貫通させながら扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001のコ字状の空間に挿入する。その後、挿通穴1005からリベット1006を差し込む。
この際、リベット1006がリベット用長穴1055,1061、1042を貫通するように差し込む。ただし、最下端のリベット1006を差し込むときには、第一不正防止部材1023の揺動軸穴1025にもリベット1006を差し込んで第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に同時に取り付ける必要がある。なお、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に取り付ける前に、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結し且つガイドピン1028をピン穴1029に図示しないビスで止着しておき、さらにガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
更に、リベット1006で扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001内に収納固定した状態で、スプリング1048をスプリングフック部1046,1057相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ1035をバネ係止片(穴)1021,1036に掛け渡して第二不正防止部材1032が規制突片1031に当接した状態とする。その後、錠取付片1008の錠挿通穴1009にシリンダー錠1010の円筒状本体部分を挿入してシリンダー錠1010をビス1012で取付穴1014に固定する。なお、このとき係合カム1016の第一係合突片1017の先端部が傾斜部1024の外側で且つ挿入縦開口1020に僅かに挿入し、係合カム1016の第二係合突片1018の先端部が第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026及び挿入縦開口1020に僅かに挿入した状態となるようにシリンダー錠1010を錠取付片1008に取り付ける。
上記のようにして組み付けた錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けるためには、前述したように、扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041を本体枠3に形成される扉用フック穴549に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、図63に示すように、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
ところで、本体枠3の裏面に取り付けられた錠装置1000の作用について図70及び図71を参照して説明する。まず、図70を参照して本体枠3の開閉動作と扉枠5の開閉動作について説明する。本体枠3が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図70(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止し且つ扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041と扉枠5のフックカバー227とが係止した状態となっている。その状態でシリンダー錠1010に図面示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図70(B)に示すように、第一係合突片1017の先端が本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合してスプリング1048の付勢力に抗して下フック部材1052を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆1053と上フック部材1051も押下げられて下降する。このため、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止状態が解除されるため、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部1054,1065がスプリング1048の付勢力により上昇した状態(図70(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部1054,1065の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部1054,1065の上辺傾斜部が閉鎖用突起38,41の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆1050が下方に下降し、遂には、フック部1054,1065の上向き爪部と閉鎖用突起38,41とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆1050が上昇して係止状態に戻る。
一方、シリンダー錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第二係合突片1018が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図70(C)に示すように、第二係合突片1018の先端が扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合してスプリング1048の付勢力に抗して扉枠用摺動杆1040を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフックカバー227と扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041とが係止状態が解除されるため、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。
なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部1041がスプリング1048の付勢力により下降した状態(図70(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部1041の下辺が外側に向かって上り傾斜しているため、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部1041の下辺傾斜部がフックカバー227の上端部と当接するので、扉枠用摺動杆1040が上方に上昇し、遂には、扉枠用フック部1041の下向き爪部とフックカバー227とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆1040が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の全長とほぼ同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体1001が本体枠3の縦方向の側面のほぼ全長に亘って取り付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部1041が扉枠用摺動杆1040の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているため、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠が確実に行われ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないという利点もある。
上記したように、本実施形態に係る錠装置1000は、シリンダー錠1010に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。この場合、シリンダー錠1010に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させる不正行為が行われることがあるが、本実施形態においては、このような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第一番目が第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とから構成されるロック機構であり、第二番目の不正防止構造がコ字状基体1001の閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050が収納される構造である。
まず、第一番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図71を参照して説明する。まず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態においては、図71(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ1035の付勢力により第一不正防止部材1023が反時計方向に回動してストッパー片部1027が不正防止切欠部1007内に侵入し、ストッパー片部1027が不正防止切欠部1007に対応する位置にある本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052に形成される係合切欠部1066と係合した状態となっている。このため、本体枠用摺動杆1050にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパー片部1027と係合切欠部1066とが係合しているので、本体枠用摺動杆1050を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができない。
一方、シリンダー錠1010に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図71(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入するように回動される。この第一係合突片1017の回動時に、第一不正防止部材1023の傾斜部1024と第一係合突片1017の側面とが当接するため、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパー片部1027も不正防止切欠部1007から退避するように移動する。このため、ストッパー片部1027と係合切欠部1066との係合が解除された状態となる。このとき、第二不正防止部材1032は、バネ1035を伸ばして当接部1037が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム1016を回動させて第一係合突片1017も回動させると、第一係合突片1017の先端が下フック部材1052の下降係合穴1062に係合して本体枠用摺動杆1050の全体を下降させるので、フック部1054,1065と外枠2の閉鎖用突起38,41との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じるときには、第二不正防止部材1032は、規制突片1031に当接した状態となっているため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032との位置関係は、図71(A)に示す状態とほぼ同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが正面から当接し、最終的に図71(A)に示す状態となる。このため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠3を閉じるときに邪魔になることはない。また、本実施形態においては、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠用摺動杆1050の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆1050を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆1040を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆1050に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第一番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第一不正防止部材1023をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体1001の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げようとしても、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係る錠装置1000は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設け且つ錠装置1000を操作するためのシリンダー錠1010のコ字状基体1001への取付位置を遊技盤の下端辺よりも下方となる位置としたので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしても、錠装置1000を本体枠3の裏側に強固に取り付けることができる。そして、断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができない。
また、錠装置1000の取り付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003及びビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
なお、上記した実施形態においては、コ字状基体1001の下方部をビス止めする構造として錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と本体枠3のシリンダー錠貫通穴526の上部近傍に形成した錠取付穴547とを螺着する構造としたが、これに代えて、シリンダー錠1010を錠取付片1008に取り付けるビス1012を利用して、該ビス1012の先端が錠取付片1008を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダー錠貫通穴526の上下に形成する構造でも良い。また、コ字状基体1001の下方部をビス止めしなくても、錠装置1000の後方部のビス止め部1003と錠取付穴547との固定だけでも、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定されることを確認している。
また、上記した実施形態においては、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を左右の側面1001a,1001bを有するコ字状基体1001で完全に被覆するものとしたが、例えば、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を第一側面壁540に密着しない反対側の側面1001aに摺動自在にリベット等で装着し、第一側面壁540に密着する側面1001bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面1001aと第一側面壁540とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納する構造としてもよい。この場合でも、実施形態と同じような取付構造及び不正防止構造とすることができる。
<基板ユニット>
次に、本体枠3の裏面下部に取り付けられる基板ユニット1100について、主として図72及び図73を参照して説明する。図72は、基板ユニット1100を背面側から見た斜視図であり、図73は、基板ユニット1100を前面側から見た斜視図である。
基板ユニット1100は、本体枠3の裏面下部に複数形成されるホルダ用の取付穴部527(図22,図24参照)に取り付けられるものであり、図示すように、合成樹脂成形された枠用基板ホルダ1101に、扉中継基板、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、払出制御基板ボックス1105、主ドロワ中継基板、及び副ドロワ中継基板の各種基板を取り付けることにより構成されている。上記の基板のうち、扉中継基板、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、及び払出制御基板ボックス1105は、枠用基板ホルダ1101の後面側に前後方向に重複して取り付けられ、主ドロワ中継基板及び副ドロワ中継基板は、枠用基板ホルダ1101の前面側に取り付けられるものである。なお、払出制御基板ボックス1105の裏面には、電源基板等からの電磁波の影響を防止するためにシールド板が取り付けられ、また、主ドロワ中継基板及び副ドロワ中継基板は、基板カバー1109に被覆されて取り付けられている。
まず、枠用基板ホルダ1101は、横長状に合成樹脂で成形され、図示すように、その後面側一側部に配線用開口1124が形成され、図示は省略するが、配線用開口1124の内側に扉中継基板を取り付けるための中継基板用凹部が形成されている。この枠用基板ホルダ1101の左右両辺及び下辺には、基板ユニット1100を本体枠3に取り付けるための取付片1122が外側に向かって突設され、該取付片1122を本体枠3の前記取付穴部527(図22参照)に対応させて図示しないビスで止着することにより、基板ユニット1100が本体枠3の背面下部に取り付けられる。なお、取付穴部527は、図24に示すように、取付片1122の外形形状に合致する外周壁を有して形成されている。更に、枠用基板ホルダ1101の他端側(図73の右側)側壁の外側に、配線を係止するための配線掛止片1123が突設形成されている。
また、枠用基板ホルダ1101の前面側のほぼ中央には、アウト球通路1119が逆さL字状に形成されている。このアウト球通路1119は、前述したアウト口606(図31参照)、球抜排出通路524(図22参照)の下流側、及び落下口629(図29参照)と対応するように上方が幅広く形成され、下流側が球を列状に排出するように幅狭く形成されている。したがって、基板ユニット1100を本体枠3に取り付けたときには、図25に示すように、アウト球通路1119の幅広上流部がアウト口606の下面を支持する通路支持突起513の後方に位置するようになっている。そして、アウト球通路1119の下流端からアウト球や入賞球、あるいは球抜き球がパチンコ遊技機の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって放出されるものである。
基板カバー1109には、主ドロワ中継基板に設けられる主ドロワ中継コネクタ1200及び払出制御基板用コネクタ1201と、副ドロワ中継基板に設けられる副ドロワ中継コネクタ1202及び扉枠用コネクタ1203とが基板カバー1109の外側に突出するための長方形状のコネクタ用開口が開設されている。
払出制御基板ボックス1105は、横長の長方形状の払出制御基板が固定されるボックス主体と、ボックス主体に取り付けられて払出制御基板の表面を覆うカバー体と、から構成されている。ボックス主体とカバー体とは、その一側辺を係合させ、その他側辺に分離切断部1183でカシメ固定している。これによってボックス主体とカバー体とを分離するためには、分離切断部1183を切断しないと分離できないようになっている。ただし、分離切断部1183におけるカシメ固定は、複数箇所(図示の場合は、1〜4の数字で示す4箇所)のうち、いずれかをカシメ部材でカシメれば良く、例えば、検査等で分離する必要がある場合には、3回まで行うことができる。もちろん、不正に分離した場合には、切断した痕跡が残ることになるので、不正行為があったか否かを直ちに知ることができるようになっている。
<カバー体>
次に、カバー体1250について、図6、図24及び図28を参照して説明する。カバー体1250は、本体枠3の後面開口580を覆うものであり、その一側の上中下の3箇所に本体枠3の背面一側に形成されるカバー体支持筒部575に上方から挿入される軸支ピン1251が形成され、その他側のほぼ中央に球通路ユニット770に形成されるカバー体係合溝785と係合する係合片1252が形成されている。しかして、カバー体1250の軸支ピン1251をカバー体支持筒部575に差し込むことにより、カバー体1250を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片1252をカバー体係合溝785に係止することにより、カバー体1250を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる各種部品の背面を保護することができる。なお、開放する場合には、係合片1252とカバー体係合溝785との係合を解除すればよい。
また、図示の場合のカバー体1250においては、開放側の係合片1252の上下に止め穴1253が形成され、また、本体枠3の施錠壁569に突設される施錠用突出鉤片570を貫通させる貫通穴1254が形成され、更に詳細に図示しないが、次に説明する第二実施形態に係るカバー体1270と同じように、接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブが形成されている。これら接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブは、第二実施形態に係るカバー体1270の接続操作用開口1283、立壁1284、当接突起1285、補強リブ1286と同じ位置に設けられて同じ機能を奏するものである。そして、カバー体1250を閉じた状態で、カバー体1250の止め穴1253と本体枠3側の止め穴568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができる。そして、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570がカバー体1250の貫通穴1254を貫通しているので、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
<遊技盤の詳細構成>
遊技盤4の詳細な構成について、主に図74乃至図82を参照して説明する。図74は、遊技盤4の正面図であり、図75は、遊技盤4を斜め前から見た斜視図であり、図76は、遊技盤4を斜め後から見た斜視図であり、図77は、図74におけるA−A断面図であり、図78は、図74におけるB−B断面図であり、図79は、遊技盤4を構成する主な部材ごとに分解して斜め前から見た分解斜視図であり、図80は、図79の分解図を斜め後から見た分解斜視図であり、図81は、遊技盤4を主に構成する前構成部材、及び遊技パネルを分解して斜め前から見た分解斜視図であり、図82は、図81を斜め後から見た分解斜視図である。
図74及び図75に示すように、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4は、外レール602及び内レール603を有し、遊技者が操作ハンドル部461(図2参照)を操作することで遊技媒体としての遊技球が打ち込まれる遊技領域605の外周を区画形成する枠状の前構成部材601と、前構成部材601の後側で前構成部材601の枠内を閉鎖するように配置される板状の遊技パネル599と、遊技パネル599の後側に取付けられる裏箱621及び裏箱621の後面側に着脱可能に支持され所定の演出画像を表示可能な演出表示手段としての液晶表示装置640を少なくとも有した裏ユニット2000と、遊技パネル599の後側に固定され裏ユニット200の下部を覆い後側に主制御基板ボックス624(図76参照)が固定される盤用基板ホルダ623とを備えている。
遊技盤4における遊技領域605内には、その略中央に配置されるセンタ役物ユニット1700と、遊技領域605内の左右両サイドに配置される表左サイド部材1500L及び表右サイド部材1500Rからなる表サイド部材1500と、遊技領域605内の外周下部に略沿うように配置される円弧状の始動口ユニット1600とが備えられている。また、遊技領域605内には、表左サイド部材1500L及び表右サイド部材1500Rよりも中央寄りに、遊技球が通過可能とされたチャッカー1510が配設されている。また、前構成部材601における遊技領域605の右斜め下には、遊技領域605の外周に沿って円弧状に配設され複数のLED及び二つの7セグメントLEDからなる特別図柄表示器1530が備えられている。
なお、詳細は後述するが、センタ役物ユニット1700は、特定入球口1823bに向って遊技球を転動させることが可能な特定遊技領域1703と、特定遊技領域1703内への遊技球の進入口となる入賞口1702とを備えている。
始動口ユニット1600は、遊技球を受入可能とされ、左右方向に所定間隔隔てて配置された二つの第一始動口1602と、二つの第一始動口1602の間でアウト口606の直上に配置された一つの第二始動口1604とを備えている。これら第一始動口1602及び第二始動口1604への遊技球の受入れを契機としてセンタ役物ユニット1700の一対の可動片1740aが拡開して入賞口1702への遊技球の受入れが可能となるようになっている。始動口ユニット1600の第二始動口1604には一対の可動片1606が備えられており、チャッカー1510を遊技球が通過することで抽選される普通抽選結果に応じて所定時間一対の可動片1606が拡開して、第二始動口1604への遊技球の入賞確率を変化させることができるようになっている。また、始動口ユニット1600には、左右の第一始動口1602と第二始動口1604との間に夫々配置され、遊技球を受入可能とする一般入賞口1520も備えられている。
図74に示すように、特別図柄表示器1530には、始動口ユニット1600における第一始動口1602への遊技球の始動入賞を契機として抽選される第一特別抽選結果を表示する第一特別図柄表示器1532と、始動口ユニット1600における第二始動口1604への遊技球の始動入賞を契機として抽選される第二特別抽選結果を表示する第二特別図柄表示器1540と、が設けられている。また、特別図柄表示器1530には、チャッカー1510を遊技球が通過することで抽選される普通抽選結果に応じた普通図柄を表示する普通図柄表示器1536、普通図柄表示器1536において遊技球がチャッカー1510を通過することで抽選される普通抽選結果に係る普通図柄を表示することができない場合にチャッカー1510の通過に係る普通抽選結果の普通図柄の表示を保留した保留数を表示する普通図柄保留表示器1538も設けられている。
なお、第一特別図柄表示器1532において第一始動口1602への始動入賞に応じた第一特別抽選結果を示唆する第一特別図柄を表示することができない場合にその始動入賞に係る第一特別図柄の表示を保留した保留数を表示する第一特別図柄保留表示器、および、第二特別図柄表示器1540において第二始動口1604への始動入賞に応じた第二特別抽選結果を示唆する第二特別図柄を表示することができない場合にその始動入賞に係る第二特別図柄の表示を保留して保留数を表示する第二特別図柄保留表示器を備えた遊技機もある。
しかし、本実施形態では、第一特別抽選結果を示唆する第一特別図柄を表示することができない場合に始動入賞したとしても、この始動入賞を無効化(すなわち、取得した乱数を破棄)する。同様に、第二特別抽選結果を示唆する第二特別図柄を表示することができない場合に始動入賞したとしても、この始動入賞を無効化(すなわち、取得した乱数を破棄)する。
なお、第一特別抽選では、センタ役物ユニット1700の可動片1740aが一回のみ所定時間(本実施形態では2秒間)の間、打開状態となる「第一小当り」と、可動片1740aが所定パターンで開閉する有利遊技状態としての「大当り」とのうちいずれかの第一特別抽選結果が抽選されるようになっており、可動片1740aが開状態の時に、入賞口1702への遊技球の入賞が可能となるようになっている。
また、第二特別抽選では、可動片1740aが一回のみ所定時間(本実施形態では2秒間)の間、打開状態となる「第一小当り」と、可動片1740aが二回、所定時間(本実施形態では2秒間)の間、打開状態となる「第二小当り」と、可動片1740aが所定パターンで開閉する「大当り」とのうちいずれかの第二特別抽選結果が抽選されるようになっており、可動片1740aが開状態の時に、入賞口1702への遊技球の入賞が可能となるようになっている。
なお、本実施形態では、特別図柄が、第一特別図柄と第二特別図柄との2つであるが、これに限られず、例えば第一特別図柄のみの1つであってもよい。
また、普通抽選では、その普通抽選結果が「当り」であれば、普通図柄表示器1536において「当り」を示唆する普通図柄が表示されてから所定時間(例えば、15秒〜30秒の間)経過後に、始動口ユニット1600の可動片1606を所定時間(通常遊技状態または後述する微時短遊技常態であれば例えば0.3秒〜1秒の間、時短遊技状態であれば例えば3秒〜4秒の間)開状態として、第二始動口1604への遊技球の入賞確率を高くするようになっている。なお、普通抽選において「当り」となる抽選確率は、250/256とされている。なお、時短遊技状態のとき、始動口ユニット1600の可動片1606が開状態とされる上記の所定時間(3秒〜4秒)は、1回だけ開放されるときの時間が上記所定時間であってもよいし、複数回にわたって通じて開放されるときの時間が上記所定時間であってもよい。
また、特別図柄表示器1530には、第一特別抽選結果、及び第二特別抽選結果が「大当り」の時に、若しくは、第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果を契機として入賞口1702に入賞した遊技球が特定入球口1823bに入球した時に、センタ役物ユニット1700の可動片1740aを所定パターンで開閉させる開閉回数(ラウンド回数)を表示するラウンド表示器1543も備えられている。なお、入賞口1702に入賞した遊技球(ただし、生き残り通路1797に送られた遊技球に限り)が流入口1798に至るまでの時間は、概ね2.5秒である。
特別図柄表示器1530における第一特別図柄表示器1532及び第二特別図柄表示器1540は、夫々7セグメントLEDを有しており、英数字を示す点灯パターンによって第一特別抽選結果及び第二特別抽選結果を示唆する第一特別図柄及び第二特別図柄を表示することができるようになっている。これら第一特別図柄表示器1532及び第二特別図柄表示器1540では、遊技球が第一始動口1602及び第二始動口1604へ始動入賞すると、各7セグメントLEDが点滅することで第一特別図柄及び第二特別図柄が変動表示され、第一特別抽選結果及び第二特別抽選結果に応じた所定時間変動表示した後に、第一特別抽選結果及び第二特別抽選結果を示唆する第一特別図柄及び第二特別図柄に停止表示されるようになっている。
また、特別図柄表示器1530における普通図柄表示器1536は、2色発光可能なLEDを有しており、LEDの発光色によって普通図柄を表示することができるようになっている。また、普通図柄保留表示器1538は、二つのLEDを有しており、この二つのLEDの点灯・点滅・消灯の組合せによって保留された保留数(例えば、最大で四つ)を表示することができるようになっている。更に、ラウンド表示器1543は、2色発光可能なLEDを有しており、LEDの発光色及び点灯パターンによって「3R大当り」、「8R大当り」、「15R大当り」の何れかを表示することができるようになっている。
なお、第一特別抽選において「第一小当り」となる抽選確率は、397.5/398.5とされ、「大当り」となる抽選確率は1/398.5とされている。一方、第二特別抽選において「第一小当り」または「第二小当り」となる抽選確率(第一小当りと第二小当りとの合成確率)は、397.5/398.5とされ、「大当り」となる抽選確率は1/398.5とされている。「第一小当り」の抽選確率は226/251、「第二小当り」の抽選確率は25/251とされている。なお、「大当り」遊技の際のラウンド回数は、各始動入賞時に第一特別抽選結果や第二特別抽選結果に含まれるかたちで抽選されるようになっている。
図示は省略するが、この遊技盤4には、遊技パネル599の前面に複数の障害釘が所定配列で植設されている。遊技パネル599には、前後方向に貫通し内周形状が所定形状とされた開口部599e(図81及び図82等を参照)が複数形成されており、これら開口部599eに対応して、表左サイド部材1500L、表右サイド部材1500R、及び始動口ユニット1600が夫々前側から遊技パネル599に固定されている。
また、遊技パネル599の略中央には、所定形状に開口する開口窓599f(図81及び図82等を参照)が形成されており、センタ役物ユニット1700が開口窓599fの内周に前側から固定されている。
更に、遊技盤4における遊技パネル599の後側に配置される裏ユニット2000は、遊技パネル599の後側で開口窓599fを通して遊技者側から視認可能となるように配置される液晶表示装置640と、液晶表示装置640を遊技パネル599の後面から所定距離後側へ離れた位置に支持すると共に遊技パネル599の後側に取付固定される裏箱621とを備えている。
なお、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4には、パチンコ機1を揺らしたり磁石を用いたりして不正行為が行われたことを検出する振動センサ2538(図76参照)や磁気センサ2302(図130参照)、及びこれらセンサによって不正行為が検出されると点灯する不正行為警告表示器2005(図130参照)が備えられている。この不正行為警告表示器2005は、遊技者から視認し難いようになっていると共に、パチンコ機1の前側に遊技者が着座しても、遊技ホールの係員等が遊技者の後側から不正行為警告表示器を確実に視認することができるようになっている。
前構成部材601は、図81及び図82に示すように、その後面側に、後方へ突出する複数の位置決めボス601a及び位置決め突起601bが備えられている。これら位置決めボス601a及び位置決め突起601bは、後側に配置される遊技パネル599と位置決めできるようになっている。
遊技盤4における遊技パネル599は、その外形が前構成部材601の外形と略同じであり、ベニヤ板等により形成されている。なお、遊技パネル599の板厚は、前構成部材601の厚みと同じ厚さであり、障害釘を植設しても十分に保持可能な厚さ(約20mm)とされている。
また、遊技パネル599には、所定位置に内レール固定孔599dが複数備えられている。この内レール固定孔599dに内レール603の後側から突出する位置決め突起601bを嵌合固定させることで、内レール603を所定の位置に固定することができるようになっている。
更に、遊技パネル599には、表左サイド部材1500L、表右サイド部材1500R、及び始動口ユニット1600等が備えられるように内形が所定形状で前後方向に貫通する開口部599eが複数形成されていると共に、それらを固定するための固定孔が適宜位置に形成されている。また、遊技パネル599には、その略中央に、内形が所定形状で開口部599eよりも大きな開口窓599fが形成されており、開口窓599fの周縁に略沿って前側にセンタ役物ユニット1700が固定されるようになっている。
図76に示すように、盤用基板ホルダ623は、主制御基板ボックス624を支持するとともに、遊技パネル599の後側に取付固定されるものであり、図79に示すように、前方及び上方が開放された箱状とされ、その底部が左右方向の略中央で前側に向かって低くなるように傾斜しており、遊技パネル599の後側に排出された遊技球を受け取った上で、左右方向の略中央から下方へ排出することができるようになっている。
主制御基板ボックス624は、盤用基板ホルダ623の後面に支持されると共に、主制御基板ボックス624の封止部624aがカシメベース部材(図示しない)の被封止部へ封止されるようになっている。そして、この状態で主制御基板ボックス624を盤用基板ホルダ623から取り外す場合、カシメベース部材の被封止部に開封痕が残るようになっており、主制御基板ボックス624が不正に取り外されたか否かが目視で判るようになっている。
また、主制御基板ボックス624を盤用基板ホルダ623に固定した状態では、カシメベース部材を盤用基板ホルダ623へ固定しているビスの頭が、カシメベース部材と主制御基板ボックス624との間に配置されるようになっており、カシメベース部材ごと主制御基板ボックス624が取り外されるのを防止することができるようになっている。また、カシメベース部材が金属板により形成されているので、被封止部によって主制御基板ボックス624の封止部624aを強固に封止することができ、不正行為が行われ難い構造となっている。
表サイド部材である、表左サイド部材1500L及び表右サイド部材1500Rは、図79及び図80に示すように、何れも遊技領域605の外周に沿った円弧状の外形となっている。表左サイド部材1500L及び表右サイド部材1500Rは、互いに異なる形状の装飾体1502,1503を備えており、各装飾体1502,1503は、光透過性のレンズ部や光を透過させない立体形状物を組合せて構成されている。なお、表左サイド部材1500L及び表右サイド部材1500Rの後方には、裏ユニット2000に組み付けられたLED基板(図示しない)が配置されており、レンズ部を通してLED基板から光を放射することにより、遊技状態に応じた発光演出を行うことが可能になっている。
始動口ユニット1600の構造について、主に図79及び図80を参照して説明する。この始動口ユニット1600は、遊技パネル599の前面に当接すると共に遊技パネル599における所定の開口部599eを前側から閉鎖し、遊技領域605の外周に略沿った円弧状の開口被覆部1608と、開口被覆部1608の左右両端付近に配置され上方に開口し遊技領域605内を流下する遊技球を受入可能とする第一始動口1602と、開口被覆部1608の左右方向略中央に配置され上方に開口し遊技領域605内の遊技球を受入可能とする第二始動口1604と、第一始動口1602及び第二始動口1604の間に配置され上方に開口し遊技領域605内の遊技球を受入可能とする一般入賞口1520とを備えている。また、始動口ユニット1600は、第一始動口1602に受入れられた遊技球を後方へ案内する案内部1610と、第二始動口1604の左右両側に配され拡開可能に可動する一対の可動片1606と、一対の可動片1606を可動させ第二始動口1604の後側に支持される始動口ソレノイド1612と、始動口ソレノイド1612を支持すると共に第二始動口1604に受入れられた遊技球を後側へ誘導する誘導部1614と、誘導部1614により誘導された遊技球を検出して下方へ排出する第二始動口センサ1616と、一般入賞口1520に受入れられた遊技球を後側へ誘導する誘導部1609とを備えている。
また、始動口ユニット1600は、開口被覆部1608の後側に遊技パネル599の開口部599eの内周に略沿った形状のリブ1618を備えており、リブ1618によって板状の開口被覆部1608が補強された状態となっている。また、開口被覆部1608の後側からは、案内部1610、誘導部1614、誘導部1609、及びリブ1618が後方へ突出した状態となっており、それら案内部1610や誘導部1614等が遊技パネル599の開口部599e内へ前側から挿入配置されるようになっている。なお、案内部1610及びリブ1618は、その後方への突出量が遊技パネル599の板厚と略同じとされている。
この始動口ユニット1600における一対の可動片1606は、上端側が自由端とされると共に下端側が遊技パネル599のパネル面に対して直角方向に延びる軸周りに回動可能とされ、始動口ソレノイド1612のプランジャ(図示しない)が前後方向へ移動することで図示しない所定のリンク機構を介して一対の可動片1606の下端が回動して、それらの上端が互いに接近したり離反したりするようになっている。この一対の可動片1606は、通常の状態では、略直立した状態で上端同志の間隔が第二始動口1604の開口幅(遊技球の直径よりも若干大きい幅)と略同じ間隔となっており、始動口ソレノイド1612の駆動により一対の可動片1606の上端が互いに離反する方向へ回動して逆ハの字状に開いた状態(拡開した状態)となるようになっている。これにより、第二始動口1604への遊技球の受入確率(入賞確率)が高くなるようになっている。
遊技盤4における裏ユニット2000は、遊技パネル599の後側に取付けられ前側が開放された箱状で後壁621aの略中央に所定形状の開口(図示しない)が形成された裏箱621と、裏箱621の開口を横切るように配置され中央に横長略長方形の開口が形成された裏駆動ユニットベース(図示しない)と、裏駆動ユニットベースの開口を通して遊技者から視認可能な液晶表示装置640を有し、裏箱621の後側に着脱可能に取付けられる液晶表示ユニットと、を備えている。
また、裏箱621内の左右両側には複数のLED基板621Kが配設されており、前方に配置された表左サイド部材1500L及び表右サイド部材1500Rに向って光を照射することにより遊技状態に応じて種々な発光演出ができるようになっている。更に、裏箱621内には、遊技状態に応じて液晶表示装置640の前方に出現可能な可動装飾体1737(図124参照)が配設されるとともに、発光演出や可動演出などを制御する制御基板が収容された各種の基板ボックス(図示しない)や、各基板を接続・中継するための中継端子板(図示しない)等が固定されている。
また、裏箱621の後側には、発光演出を制御するためのランプ駆動基板(図示しない)、及びそれを覆う基板カバー2052と、不正行為によるパチンコ機1の振動を検出する振動センサ2538と、可動装飾体1737との電気的な接続を中継する可動装飾体中継端子板1737a(図127参照)と、ランプ駆動基板2050、振動センサ2538、可動装飾体中継端子板1737a等と電気的に接続され裏ユニット2000側と主制御基板1350との電気的な接続を中継するパネル中継端子板2066とが備えられている。
また、裏駆動ユニットベースに着脱可能に装着される液晶表示ユニットは、液晶表示装置640と、その後側に配置され液晶表示装置640に表示される演出画像等の表示を制御するための液晶表示制御基板2612(図127参照)を装着した液晶制御基板セット部材640aと、後述する周辺制御基板2600(図127参照)を装着した周辺基板セット部材(図示しない)と、周辺制御基板2600を覆う基板カバー2613とを備えて構成されている。
また、裏ユニット2000は、裏箱621における後壁621aの後面側で開口の背面視左側に固定され、液晶制御基板セット部材の一方の側面側を支持する液晶支持部材2030と、液晶支持部材2030とは開口を挟んで反対側に配置され液晶制御基板セット部材の他方の側面側を着脱可能に支持する液晶ロック機構(図示しない)とを更に備えている。
なお、本例の裏箱621には、前面側を遊技パネル599の後面側に当接させた上で、固定孔(図示しない)を介して所定のビスを、遊技パネル599の取付孔(図示しない)にねじ込むことで、裏箱621つまり裏ユニット2000を遊技パネル599の後側に取付固定することができるようになっている。
また、裏箱621には、始動口ユニット1600の一般入賞口1520に受入れられて遊技パネル599の後側に配置された排出部(図示しない)から排出される遊技球を受取って裏箱621の後側へ誘導した後に下方へ誘導して遊技盤4外へ排出する入賞球誘導樋(図示しない)を備えている。この入賞球誘導樋の途中には一般入賞口センサ2532(図126を参照)が備えられており、一般入賞口1520に受入れられた遊技球が受入口部材(図示しない)を介して入賞球誘導樋内の一般入賞口センサ2532に検出されることで一般入賞口1520への入賞が確定するようになっている。
更に、裏箱621には、始動口ユニット1600における第一始動口1602に受入れられて案内部1610から遊技パネル599の後側に放出される遊技球を受取って裏箱621の下面から遊技盤4外へ誘導して排出する第一始動入賞球誘導樋(図示しない)を備えている。この第一始動入賞球誘導樋の途中に第一始動口センサ2534(図126参照)が備えられており、第一始動口1602に受入れられた遊技球が第一始動入賞球誘導樋内の第一始動口センサ2534に検出されることで第一始動口1602への入賞が確定し、始動入賞として所定の第一特別抽選結果が抽選されるようになっている。
<センタ役物ユニットの構成>
次に、センタ役物ユニット1700について説明する。まず、図83乃至図89を参照してセンタ役物ユニット1700の概略構成について説明する。図83は、センタ役物ユニット1700の正面図であり、図84及び図85は、センタ役物ユニット1700を斜め前から見た斜視図であり、図86は、センタ役物ユニット1700を斜め後ろから見た斜視図であり、図87は、図83のA−A断面図であり、図88は、図83のB−B断面図であり、図89は、図83のC−C断面図である。
遊技領域605(図74参照)の略中央に配設されたセンタ役物ユニット1700は、主に、枠状の装飾フレーム1701と、装飾フレーム1701の上部に形成され遊技領域605を流下する遊技球を入賞可能とする入賞口1702と、装飾フレーム1701の下部に配設され遊技球を用いた遊技処理が行われる特定遊技領域1703と、装飾フレーム1701の左側内周面に沿って配置され入賞口1702に入賞した遊技球を下部の特定遊技領域1703に誘導可能な左側誘導経路1704と、装飾フレーム1701の右側内周面に沿って配置され入賞口1702に入賞した遊技球を特定遊技領域1703に誘導可能な右側誘導経路1705と、入賞口1702に入賞した遊技球を左側誘導経路1704及び右側誘導経路1705に振分ける振分装置1707と、を具備して構成されている。また、センタ役物ユニット1700は、振分装置1707と右側誘導経路1705との間に遅延装置1708を備えており、右側誘導経路1705側に振分けられる遊技球を所定時間停留させることにより、右側誘導経路1705を通って特定遊技領域1703に到達するまでの時間を、左側誘導経路1704を通って特定遊技領域1703に到達し且つ特定遊技領域1703で所定の遊技処理が終了するまでの時間よりも遅くなるようになっている。ここで、遅延装置1708が本発明の遅延手段に相当する。
なお、詳細は後述するが、特定遊技領域1703には、入球させることにより遊技者に有利な遊技状態(所謂「大当り」)を発生させる特定入球口1823b(図111参照)が設けられており、特定入球口1823bに入球するか否かが、回転式振分装置1709によって振分けられるようになっている。また、特定遊技領域1703には、回転式振分装置1709の他、遊技球を特定遊技領域1703から排出するための排出部1710や、排出部1710に排出された遊技球を特定遊技領域1703に復活させることが可能な遊技媒体復活手段1711が備えられている。
センタ役物ユニット1700の全体構成について、図90及び図91を参照してさらに詳細に説明する。図90は、センタ役物ユニット1700をユニット単位で分解し斜め前から見た分解斜視図であり、図91は、図90を斜め後から見た分解斜視図である。
センタ役物ユニット1700は、装飾フレーム1701、入賞口1702、左側誘導経路1704、右側誘導経路1705、振分装置1707、及び遅延装置1708等を具備する本体ユニット1720と、入賞口1702を閉鎖可能に設けられ開放時に遊技球を入賞可能とする開閉入賞ユニット1721と、特定遊技領域1703を形成するとともに回転式振分装置1709及び排出部1710等による遊技処理を可能とする遊技領域ユニット1722と、センタ役物ユニット1700の後側に配置され各ユニットを駆動するための信号を中継する中継基板ユニット1723とを備えて構成されている。
(装飾フレーム)
本体ユニット1720における装飾フレーム1701の構成について、図92及び図93を参照して説明する。図92は、本体ユニット1720を分解し斜め前から見た斜視図であり、図93は、本体ユニット1720から入賞口カバー1730及び内周レンズ1731を取り除いた状態を斜め前から見た斜視図である。
装飾フレーム1701は、ベース部材である台板1725と、台板1725前面の左肩部1725aに取付けられた左肩装飾部1726と、台板1725の右肩部1725bに取付けられた右肩装飾部1727と、台板1725の下部1725cに取付けられた下側装飾部1728と、台板1725の上部1725eに取付けられた逆U字形の上側装飾部1724と、を備えている。台板1725は、略円環状に形成されているが、その上部は上方に向って山状に突出するとともに、後述する上部遊技領域1729を視認可能とする大きさの開口1725gが設けられている。左肩装飾部1726は、光透過性を有する有色の左肩レンズ1726aと、金色の不透明な金飾り1726bと、左肩レンズ1726a及び台板1725の間に配置され左肩レンズ1726aを通して光を放射するLED基板(図示しない)とを備えている。また、右肩装飾部1727は、光透過性を有する有色の右肩外側レンズ1727a及び右肩内側レンズ1727bと、金色の不透明な金飾り1727cと、右肩外側レンズ1727a及び右肩内側レンズ1727bと台板1725の間に配置されこれらのレンズ1727a,1727bを通して光を放射するLED基板(図示しない)とを備えている。また、下側装飾部1728は、台板1725の下部1725cを前方から覆う前下カバー1728aと、前下カバー1728aに取付けられ光透過性を有する下レンズ1728bと、前下カバー1728aに取付けられ「レレレ」という文字の輪郭を形成するとともに内部が光透過性を有する文字レンズ1728cと、前下カバー1728a及び台板1725の間に配置され下レンズ1728b及び文字レンズ1728cを通して光を放射するLED基板(図示しない)とを備えている。
また、台板1725の上部の前側には、上部遊技領域1729の前側空間を閉鎖するとともに、側方に開口した一対の入賞口1702の前方を覆い、さらに入賞口1702に入賞した遊技球を誘導する無色透明の入賞口カバー1730が配設されている。また、入賞口カバー1730は、入賞口1702に遊技球が入賞したことを検出する入賞口センサ1741(図93参照)を覆うように配置されており、入賞した遊技球を入賞口センサ1741に向って案内するようになっている。また、入賞口カバー1730の左下端部は台板1725の内周部1725dに沿うように円弧状に延出されており、後述する左側経路形成部材1753との組合せによって左側誘導経路1704を形成している。
台板1725の中央前側には、台板1725の内周部1725dに略沿った外観を呈するとともに、内部を遊技球が通過するかのように断面が円環状に形成された無色透明の内周レンズ1731が配設されている。
なお、上側装飾部1724、左肩装飾部1726、右肩装飾部1727、下側装飾部1728、及び内周レンズ1731は、何れも遊技領域605よりも前方に突出しており、これによりセンタ役物ユニット1700の内部と外部の遊技領域605とを区画している。つまり、遊技領域605を流下する遊技球が、入賞口1702以外の部分からセンタ役物ユニット1700内に飛び込まないようになっている。また、上側装飾部1724の下端と、左肩装飾部1726及び右肩装飾部1727の上端との間には、遊技球が入球可能な大きさの隙間が夫々形成されており、これにより側方に開口した一対の入賞口1702(図93参照)が構成されている。そして、夫々の入賞口1702は開閉入賞ユニット1721の可動片1740aによって閉鎖することが可能になっている。
台板1725の内周部1725dには、左側誘導経路1704の主要部である左側経路形成部材1753と、右側誘導経路1705の主要部である右側経路形成部材1755が配置されており、入賞口1702に入賞した遊技球を台板1725の内周部1725dに沿って特定遊技領域1703に誘導させるようになっている。これらの左側経路形成部材1753及び右側経路形成部材1755の詳細については後述するが、いずれも無色透明の部材で形成されるとともに、内周レンズ1731の後側に配置されており、左側誘導経路1704及び右側誘導経路1705によって誘導される遊技球の挙動を、内周レンズ1731を通して視認させることが可能となっている。
台板1725の後側には、前面が開放された箱状で後壁の略中央に長方形の開口部1734が形成された液晶枠1733が配設されている。液晶枠1733の開口部1734は液晶表示装置640(図78参照)の画面が挿入可能な大きさであり、開口部1734を通して液晶表示装置640を視認させることが可能となっている。液晶枠1733の前面形状は台板1725の前面形状と略一致しているが、液晶枠1733の奥行寸法は台板1725の厚みよりもかなり大きく、内部下側に特定遊技領域1703を配置し、内部上側に各種機構ユニット1736を有する上部遊技領域1729を配置することが可能な大きさとなっている。なお、詳細は後述するが、液晶枠1733の右側周面には、後端から前後方向中央部分にわたって切欠かれた右側切欠部1735が形成されており、裏箱621に設けられた可動装飾体1737(図124参照)を液晶表示装置640の前方に出現させることが可能になっている。
図93に示すように、上部遊技領域1729は、後壁を形成する透明の後レンズカバー1743、及び左右両壁を形成する透明の側面レンズカバー1744等によって囲まれた空間に形成され、その内部に、入賞口1702に入賞した遊技球を左側誘導経路1704及び右側誘導経路1705に振分ける振分装置1707と、右側誘導経路1705に振分けられる遊技球を所定時間停留させることで特定遊技領域1703に誘導されるまでの時間を遅くする遅延装置1708と、遅延装置1708の上方に配置され赤色の光を放射する球状のランプ1742と、が備えられている。また、後レンズカバー1743の前面左側には、遅延装置1708の裏側の様子を反射させて映し出すことが可能な反射シール1745が貼着されている。なお、後レンズカバー1743の右半分は透明であり、その後方に出現可能な装飾役物1746(詳細は後述する)の動作を視認させることが可能となっている。
(開閉入賞ユニットの構成)
開閉入賞ユニット1721の構成について、図93及び図94を参照して詳細に説明する。図94は、開閉入賞ユニット1721を斜め前から見た斜視図である。開閉入賞ユニット1721は、入賞口1702を閉鎖する可動片1740aと、可動片1740aを駆動する駆動機構部1740bとから構成されており、駆動機構部1740bによって一対の可動片1740aが垂直位置(閉鎖状態)から傾斜位置(開放位置)までの間で回動するようになっている。さらに詳しく説明すると、可動片1740aは、左右の入賞口1702を夫々閉鎖可能な左側羽根本体1750a及び右側羽根本体1750cと、それら羽根本体1750a,1750cの前面に配置され装飾された板状の左側羽根前板1750b及び右側羽根前板1750dとから構成されている。なお、左側羽根前板1750b及び右側羽根前板1750dは、左側羽根本体1750a及び右側羽根本体1750cよりも大きく形成されており、羽根本体1750a,1750cを確実に遮蔽するとともに、可動片1740aを遊技者に大きく見せることで入賞口1702への注目を高めている。
駆動機構部1740bは、プランジャ(図示しない)を下方に突出した状態で配設された一対のソレノイド1750eと、プランジャに連結されソレノイド1750eによって上下方向に変位可能な棒状の羽根リンク1750fと、左側羽根本体1750aから後方に延出され台板1725を貫通することで回転可能に支持された左側羽根ピン1750iと、右側羽根本体1750cから後方に延出され台板1725を貫通することで回転可能に支持された右側羽根ピン1750jと、左側羽根ピン1750iの後端及び羽根リンク1750fの左端を連結し連結羽根リンク1750fが上方に移動すると左側羽根本体1750aが反時計方向に回動するように左側羽根ピン1750iを回転させる左側羽根アーム1750gと、右側羽根ピン1750jの後端及び羽根リンク1750fの右端を連結し連結羽根リンク1750fが上方に移動すると右側羽根本体1750cが時計方向に回動するように右側羽根ピン1750jを回転させる右側羽根アーム1750hと、を備えている。つまり、ソレノイド1750eを動作させ羽根リンク1750fを上昇させることにより、一対の可動片1740aを垂直状態(閉鎖位置)から傾斜状態(開放位置)に回動させることが可能になっている。なお、可動片1740aは開放位置で傾斜状態となることから、可動片1740aの上に流下した遊技球は、可動片1740aの傾斜に沿って転動し入賞口1702に向って円滑に誘導される。
(左側誘導経路及び右側誘導経路の構成)
左側誘導経路1704及び右側誘導経路1705の構成について、図95及び図96を参照して詳細に説明する。図95は、左側誘導経路1704の主要部を構成する左側経路形成部材1753を斜め前から見た斜視図であり、図96(a)は、右側誘導経路1705を構成する右側経路形成部材1755及び右側経路カバー1756を斜め前から見た斜視図であり、図96(b)は、右側経路形成部材1755及び右側経路カバー1756を分解して斜め後から見た分解斜視図である。
図95に示すように、左側誘導経路1704における左側経路形成部材1753は、無色透明な樹脂で形成され、入賞口1702(図93参照)に入賞した遊技球が入球される流入部1753dが上面右側に設けられ、特定遊技領域1703(図90参照)に遊技球を流出する流出部1753eが下端に設けられ、流入部1753dから流出部1753eに向って遊技球を誘導するようになっている。左側経路形成部材1753は、流入部1753dから流入した遊技球を装飾フレーム1701(図90参照)の内周面に向って比較的ゆっくりと転動させる緩傾斜の上部転動面1753a、及び装飾フレーム1701の内周面に沿って形成され遊技球を落下させる縦湾曲転動面1753bを、左側誘導経路1704における内周側の壁面として備えるとともに、上部転動面1753a及び縦湾曲転動面1753bに対して略垂直方向に形成された背面部1753cを、左側誘導経路1704における後側の壁面として備えている。なお、左側誘導経路1704における前面側の壁面は、入賞口カバー1730(図92参照)の特に左下に延出された部分によって形成され、左側誘導経路1704における外周側の壁面は台板1725の内周部1725dによって形成されている。また、左側経路形成部材1753の背面部1753cにおける左寄りの部分には、上部転動面1753aと略並行に形成された板状の誘導片1753gが前方に突出して形成されており、この誘導片1753gによって遊技球の転動方向を規制することで遊技球を一層滑らかに誘導することが可能となっている。
ところで、左側誘導経路1704は、装飾フレーム1701の内周面に沿って遊技球を転動させることから、遊技球は略鉛直下方向に落下することになり、一瞬の間に特定遊技領域1703に到達する可能性がある。そしてこの場合、左側誘導経路1704における遊技球の挙動を明瞭に視認させることが困難になったり、特定遊技領域1703での遊技処理が困難となる虞がある。そこで、本例の左側誘導経路1704では、左側経路形成部材1753の背面部1753cから速度低減部1753hを前方に突設させ、遊技球の速度を低下させながら流下させるようにしている。この速度低減部1753hは、左側誘導経路1704を塞ぐように背面部1753cから突出しており、縦湾曲転動面1753bに沿って流下する遊技球を衝突させるとともに遊技球の転動方向を前方(遊技者側)に変化させるようになっている。なお、左側誘導経路1704の前壁を構成する入賞口カバー1730及びその前方に配置された内周レンズ1731には、速度低減部1753hと対向する箇所に開口(図示しない)が設けられ、速度低減部1753hによって方向転換した遊技球を内周レンズ1731の内部に送り込むことが可能となっている。また、内周レンズ1731における速度低減部1753hよりも下方の部位には、内周レンズ1731内を通過する遊技球を左側経路形成部材1753側に誘導するための案内部(図示しない)が形成されており、内周レンズ1731から左側経路形成部材1753に遊技球を戻すことが可能になっている。つまり、速度低減部1753hによって流下速度が低減された遊技球は、速度低減部1753hを迂回するように一旦内周レンズ1731内を通り、その後、左側誘導経路1704の流出部1753eから流出するようになっている。
さらに、背面部1753cにおける流入部1753d付近には、上部側を凹状に切欠かいた上部切欠1753fが形成されており、後述する球受部1760の挿脱を可能にしている。
一方、図96に示すように、右側誘導経路1705は、右側誘導経路1705の主要部を構成する右側経路形成部材1755と、右側経路形成部材1755の後側の開放部分を覆う右側経路カバー1756とから構成されており、右側経路カバー1756の上部に形成された流入通路部1756aから流入された遊技球を、右側経路形成部材1755の下端に形成された流出部1755iまで誘導するように構成されている。右側経路形成部材1755は、流入通路部1756aから流入された遊技球を装飾フレーム1701(図90参照)の内周面に向って転動させる緩傾斜の上部転動面1755a、及び装飾フレーム1701の内周面に沿って形成され遊技球を落下させる縦湾曲転動面1755bを右側誘導経路1705における内周側の壁面として備えるとともに、右側誘導経路1705における外周側の壁面及び前側の壁面となる、外周面部1755d及び前面部1755eを備えている。また、右側経路形成部材1755には、前面部1755eの下端から後方に向って延出された後方延出部1755gが設けられており、装飾フレーム1701の内周面に沿って誘導された遊技球を、特定遊技領域1703(図85参照)の後側上方に配置された案内通路形成部材1789に誘導するようになっている。なお、後方延出部1755gは、遊技球を比較的ゆっくりと転動させるように後方に向って緩やかな下り傾斜となっており、上面(内周面)には、遊技球の転動を安定させるように二本の突条1755hが後方延出部1755gの長手方向(すなわち遊技球の転動方向)に沿って形成されている。
また、右側経路形成部材1755の前面部1755eには、左側経路形成部材1753における速度低減部1753hと同様の構成である速度低減部1755fが突設されており、縦湾曲転動面1755bに沿って流下する遊技球の速度を低下させている。なお、左側経路形成部材1753では、速度低減部1753hによって転動方向が変化した遊技球を一旦内周レンズ1731に通過させることで速度低減部1753hを迂回するように構成されているが、右側経路形成部材1755では、右側経路形成部材1755の内部で迂回するように構成している。具体的には、右側経路形成部材1755の後方を覆う右側経路カバー1756は、右側経路形成部材1755の上部転動面1755aに対向する上部覆い部1756bと、縦湾曲転動面1755bに対向する縦覆い部1756cと、後方延出部1755gに対向する延出覆い部1756dとを備えているが、さらに、速度低減部1755fに対して迂回する通路を確保するように後方に膨出された迂回通路部1756eを備えている。
(上部遊技領域の構成)
振分装置1707及び遅延装置1708を備えた上部遊技領域1729の構成について、図97乃至図102を参照して詳細に説明する。図97は、上部遊技領域1729における主要部の正面図であり、図98は、図97に示す主要部を斜め前から見た斜視図であり、図99は、振分装置1707及び遅延装置1708を斜め前から見た斜視図であり、図100は、振分装置1707及び遅延装置1708の右側面図であり、図101は、入賞口カバー1730を含む上部遊技領域1729の要部を上面から見た平面図であり、図102は、図101のA−A断面図である。
図97及び図98に示すように、上部遊技領域1729には、入賞口1702に入賞した遊技球を受け止めることが可能な球受部1760と、球受部1760の上方に配置され回転可能に支持された略円筒状の回転役物1761と、球受部1760及び回転役物1761を支持するとともに上部遊技領域1729の外壁を形成する支持部材1762とが備えられている。
球受部1760は、長手方向を前後方向として配置されるとともに、先端上面には遊技球の直径よりも僅かに大きな径を有し遊技球を安定した状態で保持する半球状の皿状部1760aと、皿状部1760aの奥側周縁から上方に突出し皿状部1760aに入球する遊技球の挙動を抑制する制動壁1760bとが設けられている。そして、球受部1760は皿状部1760aが左側誘導経路1704内に突出するように、左側経路形成部材1753(図95参照)の上部切欠1753fを貫通して配置されている。また、球受部1760は、軸心方向を左右水平方向とする回動支持ピン1768(図99参照)によって回動可能に軸支されており、皿状部1760aを、入賞口1702に入賞した遊技球を受け止めることが可能となる受止可能位置(下限位置)と、遊技球を受け止めることができない受止禁止位置(上限位置)との間で変位させることが可能になっている。つまり、遊技状態に応じた所定のタイミングで球受部1760を下方に回動させ受止可能位置に変位させることで遊技球を受け止めることを可能とし、その後、球受部1760を上方に回動させ受止禁止位置に変位させることで遊技球の受け止めを禁止するようになっている。
球受部1760を上下方向に変動(回動)させる機構として、本例では、図99及び図100に示すように、プランジャ(図示しない)を下向きに突出させて配置されたソレノイド1766と、プランジャの先端及び球受部1760の後端を連結し上下方向に変位するリフトレバー1767とを備えている。なお、図示しないが、ソレノイド1766にはプランジャを突出側に付勢するスプリングが設けられている。つまり、ソレノイド1766を動作させていない状態では、スプリングの付勢力によってプランジャを突出させることで、回動支持ピン1768を回動軸として球受部1760の後端を下向きに変位させ、ひいては球受部1760の皿状部1760a側を受止禁止位置に保持させ、一方、ソレノイド1766を動作させると、スプリングの付勢力に抗してプランジャを後退させることで、支持ピン1768を回動軸として球受部1760の後端を上向きに回動させ、ひいては球受部1760の皿状部1760aを受止可能位置に変位させるように構成されている。なお、リフトレバー1767には、突出片1767aが設けられており、この突出片1767aの高さをフォトセンサ1769によって検出することにより、球受部1760の状態、すなわち受止可能位置か受止禁止位置かを判別している。
一方、回転役物1761は、軸心方向を左右水平方向とする回転支持軸1774(図99参照)によって回転可能に支持されるとともに、周面の一部(具体的には左右方向の中央部分で且つ周方向の約1/8に相当する部分)に、永久磁石1761aが埋設されている。このため、回転役物1761の回転によって永久磁石1761aが受止禁止位置に変位した球受部1760に対向すると、球受部1760によって受け止められている遊技球(被磁性体からなる)を磁力によって吸引し吸着保持することが可能になる。特に、回転役物1761は球受部1760の上方に配置されているため、回転役物1761の回転によって永久磁石1761aの位置が最下点になると、球受部1760に受け止められている遊技球に最も近づき、遊技球は、回転役物1761の下端位置に吸着保持される。また、回転役物1761は、右側方から見て時計方向に回転するようになっており、回転役物1761に吸着保持された遊技球を、回転役物1761の回転に伴って次第に上昇させるとともに、遊技球が上昇していく様子を遊技者に明瞭に視認させることが可能になっている。
図99及び図100に示すように、回転役物1761を回転させる機構として、本例では、モータ1771と、回転役物1761の回転支持軸1774に外嵌されたギア1772と、モータ1771の回転軸に外嵌されるとともにギア1772に噛合された伝達ギア1773とを備えており、モータ1771に駆動用電力を供給することにより、伝達ギア1773及びギア1772を介して回転役物1761を低速で回転させることが可能になっている。なお、伝達ギア1773には突出片1773aが設けられており、この突出片1773aをフォトセンサ1775によって検出することにより、回転役物1761が回転基準位置に位置しているか否かを判別している。
一方、支持部材1762は、図97及び図98に示すように、上部遊技領域1729の底面を形成する支持ベース1762aと、支持ベース1762aから立設され互いに対向するとともに回転役物1761の回転支持軸1774を支持する一対の側面壁1762bと、各側面壁1762bの上面を繋ぎ上部遊技領域1729を上方から覆う上面部1762cと、上部遊技領域1729の後壁を形成する無色透明の後レンズカバー1743とを備えて構成されており、前面が開放された箱状の形状を呈している。なお、球受部1760の皿状部1760a及び回転役物1761の前側略半分は、支持ベース1762aの前面よりも前方に突出しており、回転役物1761の永久磁石1761aに吸着保持された遊技球のみを支持部材1762で囲まれた上部遊技領域1729内に搬送することが可能になっている。また、支持ベース1762aには、上部遊技領域1729内に搬送され永久磁石1761aから離脱した遊技球を上部遊技領域1729の外部に流出させるとともに、右側誘導経路1705に連通した流出口(図示しない)が設けられている。また、左側の側面壁1762bには、内部に発光手段(図示しない)を有する側面レンズカバー1744が設けられており、上部遊技領域1729内を照らしている。さらに、後レンズカバー1743の前面左側には、回転役物1761の後側の状態を反射により遊技者に視認させる反射シール1745が貼着されており、これにより、遊技球が吸着保持されてから離脱するまでの挙動を全て視認させることが可能になり、回転役物1761による演出効果を高めることが可能になっている。
なお、永久磁石1761aが埋設された回転役物1761の周面(下端)と、支持ベース1762aの上面との間隔は、遊技球の直径よりも狭くなっている。つまり、永久磁石1761aに吸着保持された遊技球は、回転役物1761と支持ベース1762aとの間を通過することができず、支持ベース1762aに当接することで、永久磁石1761aから離脱するようになっている。
このように、球受部1760及び回転役物1761を組合せることにより、球受部1760によって受け止められた遊技球を右側誘導経路1705に送り、一方、球受部1760によって受け止められなかった遊技球を左側誘導経路1704に送ることが可能になる。しかも、右側誘導経路1705に送る場合には、回転役物1761を介することにより右側誘導経路1705に送られるまでの時間を遅延することが可能になる。すなわち、球受部1760及び回転役物1761を組合せることにより、振分装置1707及び遅延装置1708が構成されている。
したがって、入賞口1702に複数の遊技球が同時に入賞し、その一つが右側誘導経路1705に送られることになっても、左側誘導経路1704及び右側誘導経路1705を通して同時に特定遊技領域1703に到達することを防止でき、特定遊技領域1703での遊技球の挙動を順に楽しませることができる。特に、遊技球の停留中も回転役物1761の動作及び回転役物1761による遊技球の回転を視認させることができるため、単に停留状態で停止しているものに比べ、遊技者に安心感を与えるとともに、視覚的な興趣を高めることができる。
ところで、詳しくは後述するが、左側誘導経路1704及び右側誘導経路1705は、特定遊技領域1703における有利性が互いに異なっており、右側誘導経路1705で誘導された場合の方が有利になるようになっている。このため、球受部1760及び回転役物1761への関心を高めるとともに、右側誘導経路1705に送られた場合には、期待感を高め、その後の展開に対してワクワクさせることができる。また、球受部1760が上下に変動することで、遊技球の受け止めが可能な状態と不可能な状態とを視覚的に区別することができ、遊技にメリハリをつけることが可能になる。また、入賞口1702に入賞するタイミングと球受部1760の動作とが関連付けられているため、球受部1760の動作を一層注目させることができる。ここで、左側誘導経路1704が本発明の第一誘導経路に相当し、右側誘導経路1705及び後述する接続通路部1836の組合せが本発明の特別誘導経路に相当する。
また、球受部1760によって受け止められた遊技球は、球受部1760が受止禁止位置に復帰してから回転役物1761の永久磁石1761aに吸引されるため、例えば球受部1760によって遊技球が受け止められた直後に、別の遊技球が入賞しても、受け止められている遊技球が弾かれてしまうことを抑制できる。つまり、球受部1760に停留されている遊技球を安定した状態で吸着させることができ、吸着の際に落下してしまう虞を防止できる。また、受止可能位置での保持時間を、回転役物1761の動作に関係なく任意に設定することができるため、球受部1760で受け止められる確率(すなわち右側誘導経路1705に送られる割合)を適切な値に設定することができる。
また、球受部1760が上側に変位した状態を受止禁止位置とすることにより、回転役物1761を球受部1760の上方に配置することが可能になり、ひいては一連の動作(すなわち遊技球が球受部1760によって受け止られ、回転役物1761に吸着され、回転役物1761と一緒に回転するという一連の動作)を、明瞭に視認させることが可能になる。また、球受部1760の上方から吸引することから、球受部1760を比較的簡単な構成とすることができる。しかも、回転役物1761を球受部1760に接近させることができるため、永久磁石1761aの磁力が比較的弱い場合でも、遊技球を確実に吸引することが可能になる。
また、遊技球を永久磁石1761aから離脱させるための支持ベース1762aが、回転役物1761の後方下部に配置されているため、回転役物1761と一緒に回転する遊技球の移動範囲(回転角度)を比較的大きくすることができ、回転役物1761が比較的小径であっても、適切な遅延時間を確保することが可能になる。
また、球受部1760が受止禁止位置(すなわち遊技球を吸引することが可能になる位置)では、ソレノイド1766に設けられたスプリングによって上方に付勢されており、遊技球が載置された状態(すなわち遊技球の重力が加わった状態)と、球受部1760が空の状態とでは、球受部1760の高さが互いに異なるようになっている。このため、遊技球が永久磁石1761aによって上方に吸引されると、球受部1760もある程度上昇するようになり、あたかも球受部1760によって遊技球が突き上げられたような印象を与えることが可能になる。
また、回転役物1761は、入賞口1702が開放されてから一定時間後に、基準位置を始点として一回転するようになっている。このため、回転役物1761の回転開始位置及び回転停止位置を常に基準位置に合わせることが可能になり、回転役物1761が回転し始めてから遊技球を吸着保持するまでの時間を常に一定とすることができる。したがって、左側誘導経路1704を通って特定遊技領域1703に到達するまでの時間と、右側誘導経路1705を通って特定遊技領域1703に到達するまでの時間と、の差が、短すぎたりあるいは必要以上に長すぎたりすることを防止できる。
ところで、図101及び図102に示すように、上部遊技領域1729の前方には、無色透明の入賞口カバー1730が設けられており、入賞口カバー1730の内側の面(後面)には、入賞口1702に入賞した遊技球を、受止可能位置に位置する球受部1760(図102では点線で示す)の皿状部1760aに案内するガイド部1777が後方に突出して形成されている。つまり、入賞口1702は上部遊技領域1729の両側に設けられているのに対し、球受部1760は上部遊技領域1729の幅方向中央に配置されているため、遊技球が何れの入賞口1702から入賞した場合でも、その遊技球を上部遊技領域1729の側方から中央に向って転動させるようにガイド部1777が設けられている。このため、受止可能位置での球受部1760による遊技球の受止めがさらに確実となり、遊技球の勢いによる影響を受けにくくすることができる。ガイド部1777は、遊技球を転動させる転動面1777aと、前後方向に湾曲した湾曲部1778を有しており、側方の前側から中央の奥方向に遊技球を円滑に誘導させることが可能となっている。また、入賞口カバー1730は無色透明であるため、ガイド部1777を通して球受部1760を視認させることが可能になる。特に、ガイド部1777に形成された湾曲部1778は前後方向に湾曲しているため、レンズとして機能し、拡大された球受部1760の像を視認させることが可能である。したがって、球受部1760の存在を強調し一層注目させることが可能になる。
(特定遊技領域の構成)
続いて、特定遊技領域1703の構成について、図103乃至図105を参照して説明する。図103は、特定遊技領域1703を斜め前から見た斜視図であり、図104は、特定遊技領域1703を上方から見た平面図であり、図105は、特定遊技領域1703のステージ部材1785を斜め前から見た斜視図である。
特定遊技領域1703は、ステージ部材1785上で遊技球による所定の遊技処理を行うものであり、左側誘導経路1704(図95参照)によって誘導された遊技球により第一遊技処理を行う第一特定遊技領域1786と、右側誘導経路1705(図96参照)によって誘導された遊技球、または第一特定遊技領域1786での第一遊技処理によって所定の遊技結果となった遊技球、により第二遊技処理を行う第二特定遊技領域1787とから構成されている。第一特定遊技領域1786は、ステージ部材1785の左側に位置し、遊技球の転動方向を変化させることが可能な可動役物1788や、排出部1710内に配置され排出部1710に排出された遊技球を受取り第二特定遊技領域1787側に送ることが可能な遊技媒体復活手段1711等が備えられている。第二特定遊技領域1787はステージ部材1785の右側に配置され遊技球を後述する特定入球口1823b(図111参照)または普通入球口1823cに振分ける回転式振分装置1709や、遊技媒体復活手段1711によって復活した遊技球または右側誘導経路1705によって誘導された遊技球を回転式振分装置1709の上面に落下させる案内通路形成部材1789等が備えられている。なお、ステージ部材1785の下側には、可動役物1788を動作させる可動役物駆動部1791、遊技媒体復活手段1711を動作させる復活手段駆動部(図示しない)、その他各種の機構部1793、及び特定入球口1823bまたは普通入球口1823cに入球した遊技球を所定の通路に排出する排出通路形成部材1794等が装着されている。
図105に示すように、ステージ部材1785には、左側誘導経路1704(図84参照)の流出部が接続された流入部1801が左前隅部付近に形成され、排出部1710の一部を構成する平面視長方形状の溝状開口部1796が中央よりも左寄りの部位に形成され、さらに回転式振分装置1709(図103参照)が収容される大円形の開口部1799が右側の部分に形成されている。また、ステージ部材1785の上面には、流入部1801と溝状開口部1796とを繋ぐ排出案内路1795と、排出案内路1795における溝状開口部1796の手前側から分岐し回転式振分装置1709の流入口1798に繋がる+が形成されている。さらに詳しく説明すると、排出案内路1795は、流入部1801に誘導された遊技球をステージ部材1785における前側(遊技者側)の縁部に沿って案内する前側通路部1795aと、ステージ部材1785の奥側に形成された溝状開口部1796に向って遊技球を真直ぐ転動させるように前後方向に延出された直進通路部1795bとから構成されており、生き残り通路1797は、排出案内路1795の直進通路部1795bから分岐し、ステージ部材1785の前側縁部に沿うように左右方向(すなわち直線通路部1795bに対して垂直方向)に形成されている。また、排出案内路1795は全体的に下流側に向って僅かに下り勾配となった緩傾斜面を転動面として備えており、流入部1801から送込まれた遊技球を比較的ゆっくりと転動させるようになっている。また、排出案内路1795は遊技球の逸脱を防止するため、両側に壁面を有する樋状となっており、特に前側通路部1795a及び直進通路部1795bの境界部分では、上面から見て壁面が円弧状に形成され、遊技球を滑らかに案内するようになっている。
可動役物1788は、排出案内路1795の直進通路部1795bに突出する突出位置、及び直進通路部1795bに突出しない後退位置の間で変位可能に支持され、突出位置に変位した際、直進通路部1795bを通る遊技球に当接し、該遊技球を生き残り通路1797側に送ることが可能となっている。
生き残り通路1797は、平面視が略円弧状で、下流側に向って僅かに下り勾配となるように形成されており、遊技球を大きく且つ比較的ゆっくりと転動させることが可能になっている。また、生き残り通路1797の流出側に相当する流入口1798は、生き残り通路1797の下流端の高さよりも一段低くなっており、流入口1798に到達した遊技球が生き残り通路1797の上流側に向って逆流しないようになっている。
このように、ステージ部材1785に排出案内路1795及び生き残り通路1797を形成するとともに、その分岐部位に対して遊技球の転動方向を変化させることが可能な可動役物1788を備えることにより、左側誘導経路1704によって誘導された遊技球の有利性を比較的低くしながらも、最後まで期待感を維持することができ、遊技球の挙動を楽しませることができる。特に、可動役物1788の動作によって遊技球を生き残り通路1797側へ転動させるため、可動役物1788が突出位置に変位するタイミングと遊技球の転動位置とを関連付けて遊技球の行方を予想させることができ、ハラハラドキドキしながら可動役物1788の動きを視認させることができる。また、生き残り通路1797を介して遊技球を第二特定遊技領域1787側に案内するため、生き残った遊技球の挙動を堪能させることが可能になる。換言すれば、生き残り通路1797を設けることにより、可動役物1788と回転式振分装置1709とを離間して配置することが可能になり、可動役物1788によって期待感が高まったことの余情を遊技者に持たせることが可能になる。特に、排出案内路1795は前後方向に延出された直進通路部1795bを有し、生き残り通路1797は直進通路部1795bから略垂直方向に延設されているため、排出案内路1795を流下する遊技球が排出部1710に送られるか、あるいは生き残り通路1797を介して回転式振分装置1709側に案内されるかは、可動役物1788の動作のみによって決定されることとなり、可動役物1788の動作、特に排出案内路1795に突出するタイミングに対して一層注目させることが可能になる。また、排出案内路1795を流下する遊技球が生き残り通路1797に移る場合には、遊技球の進行方向が垂直方向に変化するため、急激な変化によって視覚的な興趣を高めるとともに、遊技球の勢い(運動エネルギー)を大幅に低下させ、比較的ゆっくりした速度で転動させることが可能になる。また、生き残り通路1797はステージ部材1785における遊技者側の縁部に沿って形成されているため、生き残り通路1797によって案内される遊技球を目立たせるとともに、特定遊技領域1703の中央部分で行われる他の遊技処理を遮ることなく十分な長さの通路を確保することができる。
(可動役物の構成)
可動役物1788の構成について、図106乃至図109を参照して詳細に説明する。図106は、可動役物1788を斜め前から見た斜視図であり、図107は、可動役物1788の背面図であり、図108は、可動役物1788の右側面図であり、図109は、図108のA−A断面図である。
可動役物1788は、ステージ部材1785(図105参照)の上方に配置され遊技者側から視認可能なキャラクタ体1805及びホウキ1806と、遊技者側から見えないようにステージ部材1785の下方またはキャラクタ体1805の後方に配置されキャラクタ体1805及びホウキ1806を動作させる可動役物駆動部1791とを具備して構成されている。キャラクタ体1805は、漫画の登場人物を立体的に造形したものであり、登場人物の胴体を造形した胴部1805aと、胴部1805aの上方に配置され登場人物の顔や頭を造形した顔部1805bと、胴部1805aの前側に配置され登場人物の腕を造形した腕部1805cとを備えている。胴部1805aは、ステージ部材1785に対して固定された状態で設けられているが、顔部1805b及び腕部1805cは、胴部1805aに対して揺動可能な状態で支持されている。また、顔部1805bは中空に形成されるとともに背面側に開口部1805dが設けられている。
ホウキ1806は、掃除用のホウキを造形したものであり、キャラクタ体1805の腕部1805cに固定状態で取付けられ、胴部1805aに対して腕部1805cと一緒に左右方向に揺動させることが可能になっている。ホウキ1806の下端右側面には、案内路1795を流下する遊技球を生き残り通路1797に向って滑らかに送ることができるように、前側傾斜の平面からなる当接部1806aが形成されている。つまり、当接部1806aは、排出案内路1795を流下する遊技球が当接した際、生き残り通路1797側に跳ね返るように、遊技球の流下方向に対して斜めに形成されている。そして、ホウキ1806の揺動によって当接部1806aが排出案内路1795内に突出する突出位置と、排出案内路1795内に突出しない後退位置との間で変位するようになっている。
可動役物駆動部1791は、キャラクタ体1805の胴部1805aの後側に配置され胴部1805aを支持する裏支持部1808と、ステージ部材1785の下方に配置された支持板1809と、支持板1809の下面に取付けられプランジャ1811が後方を向くように配置されたソレノイド1810と、軸心方向を鉛直方向とする回動支持軸(図示しない)によって回動可能に支持されプランジャ1811の先端とホウキ1806とを連結するリング部1812と、を備えて構成されている。リング部1812は、回動支持軸が貫挿される円筒状の回動中心部1812aと、プランジャ1811に連結された連結部1812bと、連結部1812bに対して垂直方向に延びるように回動中心部1812aから前方に延出されたアーム部1812cと、アーム部1812cの先端に形成されホウキ1806の下端部後面に係止された係止部1812dとを備えている。なお、ソレノイド1810にはプランジャ1811を突出させる側に付勢するスプリング(図示しない)が設けられている。
これによれば、ソレノイド1810を動作させていない状態では、プランジャ1811はスプリングの付勢力によって突出した状態となるため、リング部1812は、回動支持軸を中心に平面視時計方向に回動するように作用し、これによりホウキ1806を後退位置に保持させる。一方、ソレノイド1810を動作させると、プランジャ1811はスプリングの付勢力に抗して前方に移動(後退)するため、リング部1812は、回動支持軸を中心に平面視反時計方向に回動し、これによりホウキ1806を突出位置に変位させる。つまり、ソレノイド1810を動作させたときのみ、当接部1806aを遊技球に当接させることが可能になっている。
また、図109に示すように、キャラクタ体1805には、胴部1805aと顔部1805bとを連結する顔リンク1813と、胴部1805aと腕部1805c(ホウキ1806)とを連結するホウキリンク1814とが、さらに備えられており、顔リンク1813及びホウキリンク1814が互いに連結されている。つまり、可動役物駆動部1791によってホウキ1806が左右方向に揺動すると、その動きがホウキリンク1814及び顔リンク1813を介して顔部1805bに伝達され、顔部1805bを左右方向に揺動させるようになっている。
また、図108に示すように、裏支持部1808には、上方に延出されるとともにその上端から前方に折れ曲がった延出部1808aが形成されており、延出部1808aの先端部分が顔部1805bの背面側から開口部1805dを通して顔部1805bの内部に挿入されている。また、顔部1805bは光透過性の部材であり、延出部1808aの先端部分には、LED等の発光手段1808b(図109参照)が設けられている。つまり、発光手段1808bを点灯させることにより顔部1805b全体またはその一部を光らせて見せることができるように構成されている。
(回転式振分装置の構成)
回転式振分装置1709の構成について、図110及び図111を参照して詳細に説明する。図110は、回転式振分装置1709を斜め前から見た斜視図であり、図111は、回転式振分装置1709を分解し斜め前から見た分解斜視図である。
回転式振分装置1709は、ステージ部材1785(図105参照)の円形開口部1799内に収容され回転可能に支持された回転体1820と、回転体1820の回転中心に設けられ回転体1820から下方に延出された回転体軸ピン1822と、回転体1820を回転させるための機構部を収容する回転体ベース1823と、遊技球の入球状態を検出するための入球検出手段1831等を収容するスイッチケース1824と、回転体1820に入球した遊技球を排出するための通路を形成する下通路形成部材1825と、を備えて構成されている。ここで、円形開口部1799の内周面が本発明の外周壁に相当し、入球検出手段1831が本発明の入球状態検出手段及び入賞状態検出手段に相当する。
回転体1820には、径方向及び平面方向に開口する一つの特定入球域1820a及び複数(本例では7個)の普通入球域1820bが周方向に等間隔(具体的には45度間隔)で形成されており、ステージ部材1785(図105参照)に形成された流入口1798に到達した遊技球を、特定入球域1820aまたは普通入球域1820bに入球させることが可能になっている。つまり、ステージ部材1785における円形開口部1799の内周面が回転体1820の外周を囲う外周壁として作用しているが、その内周面に切欠形成された流入口1798は、回転体1820の回転に伴って特定入球域1820aまたは普通入球域1820bに対して一時的に連通されるように設けられており、流入口1798を介して特定入球域1820aまたは普通入球域1820bに遊技球を入球させ、回転体1820と一緒に軸心回りに回転させることが可能になっている。なお、普通入球域1820bは上下方向に貫通するとともに外周側が完全に開放された平面視切欠形状に形成されているが、特定入球域1820aは普通入球域1820bよりも径方向中心寄りの位置で上下方向に貫通しており外周縁部が残された透孔形状に形成されている。
また、回転体1820には、回転体1820の上面1821に落下した遊技球を誘導するとともに、入球可能な普通入球域1820bの個数を三個に制限する入球規制壁1820cが周方向に断続的に形成されている。すなわち、生き残り通路1797を通って流入口1798に案内され回転体1820の周面側から入球する場合と、回転体1820の上面側から入球する場合とでは、入球可能な入球域全体の個数に対する特定入球域1820aの割合が互いに異なっている。具体的には周面側から入球する場合では1/8であるが、上面側から入球する場合では1/4となり特定入球域1820aに入球する期待値が高くなっている。
また、回転体1820は、第一始動口1602への遊技球の入賞に基づく特別抽選の結果が「第一小当り」であるとき、または、第二始動口1604への遊技球の入賞に基づく特別抽選の結果が「第一小当り」又は「第二小当り」であるときには、第一特別図柄または第二特別図柄の変動表示が行われる都度、「第一小当り」または「第二小当り」である旨を示す画像が表示されたのち(表示されたと同時を含む)の同じタイミングで、時計回りへの回転が開始される。回転体1820の回転速度は、本実施形態では8〔秒/周〕となっている。また、本実施形態では、回転体1820は、変動表示が終了すると同時に(「第一小当り」または「第二小当り」である旨を示す画像が表示されると同時に)、時計回りへの回転が開始される。
なお、回転体1820は、時計回りへの回転を開始するに際して特定入球域1820aが常に同じ位置から回転を開始するように、特定入球域1820aが常に同じ位置にて回転が停止される。詳しくは、回転体1820は、特定入球域1820aが流入口1798と対向する位置(特定位置)にあるときに停止されるとともに、この特定位置から回転が開始される。
回転体ベース1823には、回転体1820を回転させる機構を収容する収容部1823aと、回転体ベース1823の周囲の一部(左奥側)に形成され特定入球域1820aと連通し特定入球域1820aに入球した遊技球を落下させることが可能な平面視円弧状の特定入球口1823bと、回転体ベース1823の周囲の一部(流入口1798の近傍)に形成され普通入球域1820bと連通し普通入球域1820bに入球した遊技球を落下させることが可能な普通入球口1823cと、が形成されている。特定入球口1823b及び普通入球口1823cは、それぞれ特定入球域1820a及び普通入球域1820bに合致するように形成され、特定入球域1820a及び普通入球域1820bと同様、特定入球口1823bが普通入球口1823cよりも径方向中心寄りに位置している。つまり、特定入球域1820aの一部が普通入球口1823cに重なっても特定入球域1820aに入球した遊技球が普通入球口1823cに落下することはなく、また、普通入球域1820bの一部が特定入球口1823bに重なっても普通入球域1820bに入球した遊技球が特定入球口1823bに落下することがないように構成されている。
回転体ベース1823の収容部1823a内には、回転体1820を一定回転数で回転させるモータ1826、モータ1826の回転軸に設けられたモータギア1827、及び回転体1820の回転体軸ピン1822に外嵌されるとともにモータギア1827と噛合した回転体ギア1828等からなる機構部が配設されている。つまり、モータ1826を作動させることによりモータギア1827及び回転体ギア1828を介して回転体軸ピン1822に回転力を付与し、回転体1820を比較的ゆっくりと回転させることが可能になっている。また、収容部1823aには、LED基板1829及びレンズ1830等からなる発光手段や、回転体1820の回転位置を検出する回転位置検出手段(図示しない)等も収容されている。また、スイッチケース1824には、特定入球口1823bまたは普通入球口1823cに遊技球が入球したことを夫々検出するための複数の入球検出手段1831が収容されており、入球検出手段1831を通過した遊技球が下通路形成部材1825によって所定の排出位置へ案内されるようになっている。なお、詳しくは後述するが、入球検出手段1831によって遊技球が特定入球口1823bに入球したことが検出されると、遊技者に有利な有利遊技状態(所謂「大当り」)が発生するようになっている。ここで、モータ1826が本発明の回転駆動手段に相当する。
このように、生き残り通路1797に送られた遊技球が、その後、回転式振分装置1709によって、特定入球域1820aと普通入球域1820bとに振分けられるため、遊技球の挙動をさらに楽しませることができる。また、回転体1820の回転位置と生き残り通路1797を通って流入口1798に入球する遊技球のタイミングとによって、遊技球が特定入球域1820aに入るか普通入球域1820bに入るかが決まるため、生き残り通路1797を転動する遊技球の挙動を回転体1820の回転位置に関連付けることができる。したがって、可動役物1788によって遊技球が生き残り通路1797に送られた場合には、期待感を次第に高めるとともに遊技球の挙動についても注目させることができる。
また、生き残り通路1797によって流入口1798に誘導された場合と、右側誘導経路1705によって回転体1820の上面に誘導された場合とでは、入球域全体の個数に対する特定入球域1820aの割合が互いに異なり、右側誘導経路1705で誘導された遊技球の期待値を相対的に高くすることができる。
(案内通路形成部材の構成)
回転体1820の上面に遊技球を搬送する案内通路形成部材1789、及び案内通路形成部材1789の流出透孔部1840を開閉可能とする開閉部材駆動機構1843について、図112乃至図115を参照して詳細に説明する。図112は、案内通路形成部材1789の平面図であり、図113は、図112のA−A断面図であり、図114は、図112のB−Bの断面図であり、図115は、案内通路形成部材1789及び開閉部材駆動機構1843を分解し斜め前から見た斜視図である。なお、図115ではソレノイドを省略している。
案内通路形成部材1789は、無色透明の樹脂部材からなり、後述する遊技媒体復活手段1711によって復活した遊技球を回転体1820の上面に案内する樋状の復活案内路1834と、右側誘導経路1705によって誘導された遊技球を復活案内路1834に案内する樋状の接続通路部1836とを備え一体成形されている。また、案内通路形成部材1789には、復活案内路1834の流入側(左端)の下方から前方に延出されるとともに回転体1820の周囲に沿うように湾曲した内壁を有する左側脚部1838と、接続通路部1836の流入側(右側)の下方から前方に延出されるとともに回転体1820の周囲に沿うように湾曲した内壁を有する右側脚部1837とが備えられ、右側脚部1837及び左側脚部1838によって復活案内路1834及び接続通路部1836が回転体1820の上面よりも高い位置に支持されている。ここで、復活案内路1834が本発明の第二誘経路に相当し、接続通路部1836が本発明の接続通路に相当する。
このように、復活案内路1834と接続通路部1836とが互いに連通しているため、右側誘導経路1705によって誘導される遊技球には、復活案内路1834によって案内される遊技球と同一の期待値が付与される。したがって、右側誘導経路1705によって誘導される遊技球への期待感を大幅に高めることが可能になる。また、通路の一部を共用することにより、複数の経路が煩雑に配置されることを抑制し、特定遊技領域1703に対する視認性の低下を防止することができる。
ところで、復活案内路1834によって案内される遊技球は、第一特定遊技領域1786における第一遊技処理(具体的には遊技媒体復活手段1711による処理)を経由して送られるのに対し、接続通路部1836によって案内される遊技球は、右側誘導経路1705から直接供給されるため、右側誘導経路1705及び接続通路部1836によって誘導される遊技球の転動時間が相対的に短くなり、右側誘導経路1705に振分けられたことの魅力を遊技者に訴えることが困難となる。つまり、右側誘導経路1705に振分けられたことによる喜びを喚起させる前に流出してしまう可能性があり、これによれば右側誘導経路1705による興趣を低下させる虞がある。
これに対し、本例では、接続通路部1836によって誘導された遊技球は、復活案内路1834に合流した後、復活案内路1834の上流側に向って転動するようになっている。このため、流出されるまでの転動距離を伸ばすことができるとともに、大きく転動させることが可能になる。したがって、右側誘導経路1705に振分けられたことの魅力を遊技者に訴えることが可能になり、しかも、遊技球は復活案内路1834を逆流するため、遊技球の挙動を目立たせることができる。
特に、復活案内路1834及び接続通路部1836の合流部付近には、復活案内路1834から接続通路部1836の上流側に向って遊技球が転動することを阻止する転動方向規制部1839が備えられている。これは、復活案内路1834における合流部の高さよりも接続通路部1836の高さを高くしたことにより形成された段差部からなるものである。このような転動方向規制部1839によって転動方向を規制することにより、復活案内路1834によって案内される遊技球の動きと、接続通路部1836によって案内される遊技球の動きとを異ならせることができ、視覚的な興趣を高めることができる。また、復活案内路1834によって誘導される遊技球は、第一特定遊技領域1786を経由することで転動時間が比較的長くなっているため、復活案内路1834から速やかに流出させることにより、一連の遊技処理にかかる時間が冗長になることを抑制できる。また、段差部によって転動方向規制部1839を構成することにより、極めて簡単な構成で、復活案内路1834から接続通路部1836への転動を規制することができるとともに、接続通路部1836から復活案内路1834へは、遊技球の勢いを低下させることなく円滑に送ることができる。
また、復活案内路1834は、遊技球が流入する流入口から合流部位までの直線状の上流側通路部1835aと、合流部位から流出透孔部1840までの直線状の下流側通路部1835bとからなるとともに、上流側通路部1835a及び下流側通路部1835bが互いに垂直方向となる平面視略L字形の形状を呈しており、一方、接続通路部1836は、上流側通路部1835aの延長線上で直線状に形成されている。このため、接続通路部1836から復活案内路1834の上流側へ遊技球を滑らかに大きく転動させることができる。また、下流側通路部1835bは、上流側通路部1835a及び接続通路部1836に対して垂直方向に延出され、その先端に流出透孔部1840が設けられているため、接続通路部1836から復活案内路1834への転動中に遊技球が流出してしまうことを防止できる。ここで、上流側通路部1835aが本発明の上流側通路に相当し、下流側通路部1835bが本発明の下流側通路に相当する。
さらに、図113に示すように、上流側通路部1835a及び接続通路部1836は、一体成形されており、復活案内路1834の合流点を最下点として上下方向に略円弧状に湾曲している。このように、互いに連続する上流側通路部1835a及び接続通路部1836が、略円弧状に湾曲して形成されているため、遊技球の転動中におけるエネルギーの損失を極力抑制し、一層滑らか転動させることが可能になる。しかも、上流側通路部1835a及び接続通路部1836における合流点側への下り勾配は、極めて緩やかであるため、遊技球を比較的ゆっくりと転動させることも可能である。
また、上流側通路部1835a及び接続通路部1836は樋状に形成され、案内通路形成部材1789の奥側上方に配置されているため、上面側の開放部分を通して遊技球を明瞭に視認させることができるとともに、案内通路形成部材1789によって第二遊技処理の視認性が低下する虞を防止できる。
一方、下流側通路部1835bは前方(遊技者側)に向って直線状に形成されるとともに、図114に示すように流出透孔部1840に向って僅かに下り勾配となっており、上流側通路部1835aから送られた遊技球を、比較的ゆっくりと真直ぐ転動させることが可能となっている。また、下流側通路部1835bにおける転動面の左右縁部には、転動面よりも高くなった規制壁1835cが転動方向に沿って連続的に形成されている。つまり、下流側通路部1835bは、上流側通路部1835aよりも、転動可能な通路幅が狭くなっており、遊技球のぶれを抑制することで流出透孔部1840の中心に向って遊技球を案内するようになっている。
ところで、復活案内路1834の流出透孔部1840から遊技球が勢いよく飛び出した場合には、回転式振分装置1709による第二遊技処理を楽しませることが困難になる虞がある。そこで、本例では、図115に示すように、流出透孔部1840を開閉する開閉部材1842を備え、開閉部材1842を所定のタイミングで開閉動作させるようになっている。具体的には、開閉部材1842は、下流側通路部1835bの下側に配置された板状の部材であり、下ガイド1848によって前後方向に摺動可能に支持されるとともに、開閉部材駆動機構1843によって、流出透孔部1840を閉鎖した状態と開放した状態とに切替わるようになっている。開閉部材駆動機構1843は、プランジャ1844が後方を向くように配置されたソレノイド(図示しない)と、プランジャ1844の先端に連結され前後方向に変位するプランジャヘッド1845と、左右方向に延びる棒状のスライドリンク1847と、鉛直方向の回転軸(図示しない)によって回動可能に支持されるとともにプランジャヘッド1845及びスライドリンク1847の左端を連結しプランジャヘッド1845の前後方向の動きをスライドリンク1847の左右方向の動きに変換する駆動アーム1846と、鉛直方向の回転軸(図示しない)によって回動可能に支持されるとともにスライドリンク1847の右端に連結され、開閉部材1842の側面に形成された噛合部1842aと噛合する歯部1849aを有するギア1849と、を備えて構成されている。なお、ソレノイドには、プランジャ1844を突出させるように付勢するスプリング(図示しない)が備えられている。これによれば、ソレノイドを動作させていない時は、スプリングの付勢力によってプランジャヘッド1845が後方に変位(突出)し、スライドリンク1847が右側に移動し、開閉部材1842を後方にスライドさせた状態、すなわち流出透孔部1840が開放された状態に保持する。一方、ソレノイドを動作させると、スプリングの付勢力に抗してプランジャヘッド1845が前方に変位(後退)することで、スライドリンク1847が左側に移動し、開閉部材1842を前方にスライドさせる。すなわち流出透孔部1840を閉塞された状態とする。
このように、復活案内路1834の流出透孔部1840に開閉部材1842が配設されているため、復活案内路1834または接続通路部1836によって案内された遊技球を、制動してから、回転体1820の上面に落下させることが可能になる。したがって、回転体1820に対し遊技球を静かに放つことができ、回転式振分装置1709による第二遊技処理を安定した状態でゆっくりと行わせることが可能になる。また、復活案内路1834または接続通路部1836によって案内された遊技球が回転体1820に落下するタイミングは、開閉部材1842が開放するタイミングによって決まるため、復活案内路1834および接続通路部1836での遊技球の挙動を、開閉部材1842の動作すなわち流出透孔部1840の開閉状態と関連付けながら視認させることができ、ひいては遊技球への注目をさらに高めることができる。
ところで、詳しくは後述するが、復活案内路1834に遊技球を送る遊技媒体復活手段1711は、排出部1710内で前後方向に変位可能に配置されているため、遊技媒体復活手段1711が復活案内路1834の流入側から離れ、復活案内路1834の流入側が開放された状態となる場合がある。このため、接続通路部1836から復活案内路1834に送られた遊技球が復活案内路1834を逆流する際、その遊技球の勢いが比較的強いと復活案内路1834の流入側から経路の外に飛び出してしまう虞がある。そこで、本例では、復活案内路1834の流入側に突起部1834aを形成し、接続通路部1836から送られた遊技球が流入側から逸脱することを防止している。このため、上流側通路部1835a全体を用いて遊技球を大きく転動させることが可能である。
(遊技媒体復活手段の構成)
遊技媒体復活手段1711について、図103、及び図116乃至図119を参照して詳細に説明する。図116は、特定遊技領域1703から案内通路形成部材1789等を取り除いた状態を斜め前から見た斜視図であり、図117は、遊技媒体復活手段1711を斜め前から見た斜視図であり、図118は、遊技媒体復活手段1711の縦断面図であり、図119は、遊技媒体復活手段1711の球搬送部1862と案内通路形成部材1789との関係を示す斜視図である。
図103に示すように、遊技媒体復活手段1711は、第一特定遊技領域1786の排出部1710内に配置され、排出部1710に排出された遊技球を拾い上げ、当該遊技球を第二特定遊技領域1787の案内通路形成部材1789に送るように構成されている。一般に、排出部1710は特定遊技領域1703から遊技球が排出される箇所、すなわち特定遊技領域1703での遊技処理の終了を意味する箇所であるため、遊技球が排出部1710に排出されると、遊技者は期待感が失われ悲観した気分になってしまうが、本例のように遊技媒体復活手段1711を備えるものでは、遊技球が排出部1710に排出されても遊技媒体復活手段1711によって拾い上げられた場合には、特定遊技領域1703に戻されるようになり、ひいては遊技球を特定入球口1823bに入球させる可能性が再び発生するようになっている。したがって、遊技者を一喜一憂させることができ、高い趣向性を生じさせることが可能になる。
排出部1710は平面視形状が略長方形で前後方向に長くなっており、両側に内壁を有する溝状開口部1796から構成されている。なお、図116では、球搬送部1862を明確に示すため、前述の案内通路形成部材1789及びブロック状の装飾壁体1872を取り除いた状態を示しているが、実際は、図103に示すように、案内通路形成部材1789の左側脚部1838によって溝状開口部1796の右側の壁面の一部(上部側の壁)が形成され、装飾壁体1872によって溝状開口部1796の左側の壁面の一部(上部側の壁)が形成されている。このように排出部1710は前後方向に長いため、排出部1710の横幅が狭くても遊技者側から排出部1710の内部の状態を容易に視認させることができ、排出部1710内における球搬送部1862の動きを楽しませることができる。ここで、装飾壁体1872及び左側脚部1838の対向する面が本発明の内壁に相当する。
また、遊技媒体復活手段1711は、排出部1710内で変位可能に支持され、排出部1710の先端である流入位置において遊技球を受け取るとともに、排出部1710の後端上方部位である放出位置において遊技球を放出する球搬送部1862を備えている。ここで、流入位置は排出部1710における内壁の上面よりも低く、放出位置は内壁の上面よりも高い位置となっている。つまり、球搬送部1862によって搬送された遊技球は、内壁の上面(左側脚部1838の上面)を越えて放出されるようになっている。また、図117に示すように、球搬送部1862は、遊技球を載置するとともに、少なくとも放出位置において案内通路形成部材1789側に向って下り勾配となる底面部1862aと、底面部1862aの先端側(遊技者側)及び後端側から夫々立設され、球搬送部1862が流入位置から放出位置に変位するまでの間、底面部1862aから遊技球が落下することを防止する一対の落下防止壁1862bと、を備えて構成され、案内通路形成部材1789側の側面が開放された側面視凹字形の形状を呈している。
このように球搬送部1862を変位可能に設けることにより、排出部1710に排出された遊技球が球搬送部1862に入球すると、遊技球は静止したまま、放出位置まで搬送される。したがって、遊技球が復活する様子をゆっくりと見せることができ、視覚的な興趣を一層高めることができる。また、球搬送部1862は、溝状の排出部1710内を長手方向に移動するため、遊技球を持ち上げるという上下方向の運動だけでなく、水平方向の運動も加わり、視覚的な興趣を高めることができる。また、球搬送部1862によって搬送された遊技球は、内壁の上面を越えて放出されるようになっているため、遊技球が復活する様子を明瞭に視認させることができるとともに、あたかも崖下に落ちた遊技球が崖をよじ登るような動作を遊技者に見せることで、遊技球の力強さを感じさせ、その遊技球に対する期待感を高めることが可能になる。また、球搬送部1862の底面部1862aは案内通路形成部材1789側に向って下り勾配となっているため、底面部1862aに載置された遊技球を案内通路形成部材1789に向って自然に流出させることが可能になる。つまり、特別な排出機構を備えることなく遊技球を放出させることができるため、遊技媒体復活手段1711の構成を比較的簡単な構成とすることが可能になる。
また、図117に示すように、球搬送部1862には、底面から下方にアーム部1863が延出され、アーム部1863の下端部分から水平方向に延出された回動軸部1864が回転可能に支持されている。つまり、アーム部1863を排出部1710内で回動させ、球搬送部1862を円弧に沿って変位させることが可能となっている。すなわち、球搬送部1862を上昇させながら排出部1710の長手方向に沿って移動させることが可能になっている。
また、排出部1710における流入位置の下方には、球搬送部1862に流入しなかった遊技球を、排出部1710の底面から排出する排出口1710a(図87参照)が形成されており、アーム部1863を回転可能に支持する回動軸部1864は、放出位置の下方に配設されている。これによれば、球搬送部1862に流入することなく落下した遊技球を、アーム部1863や回動軸部1864に接触させることなく排出口から円滑に排出することが可能になる。また、アーム部1863の回動軸部1864が放出位置の下方にあるため、アーム部1863が略鉛直状態となったときに球搬送部1862が放出位置に達するようになる。したがって、放出位置を最も高い位置とすることができるとともに、アーム部1863の長さを極力短くすることができ、遊技媒体復活手段1711の小型化が可能になる。
図117及び図118に示すように、遊技媒体復活手段1711は、球搬送部1862を流入位置と放出位置との間で変位させる機構として、アーム部1863の回動軸部1864を回転可能に支持する筒状の筒部材1868と、正転及び逆転可能なモータ1865と、モータ1865の回転をアーム部1863に伝達するモータリンク1866と、を備えている。これによれば、モータ1865を所定方向に回転させると、モータリンク1866を介してアーム部1863が後方に回動し、球搬送部1862を流入位置から放出位置に向って変位させることができ、一方、モータ1865を反対方向に回転させると、モータリンク1866を介してアーム部1863が前方に回動し、球搬送部1862を放出位置から流入位置に向って変位させることができる。特に、球搬送部1862の位置は復活処理制御手段2586(図128参照)によって制御されるようになっている。具体的には、球搬送部1862に対し、待機ステップ、球受ステップ、及び放出ステップが順に行われるようになっている。待機ステップは所定の遊技状態が発生するまでの工程であり、流入位置と放出位置との間の中間位置において球搬送部1862を待機させる。なお、この工程ではモータ1865への通電は行われておらず、アーム部1863のバネ引掛部1863aに掛止されたバネ1869によって中間位置に保持されるようになっている。また、遊技媒体復活手段1711には、モータリンク1866が所定位置になっていることを検出するフォトセンサ1871が設けられており、これにより球搬送部1862が中間位置か否かを判定することが可能となっている。
一方、球受ステップは所定の遊技状態が発生した後の工程であり、球搬送部1862を中間位置から流入位置に変位させるとともに、流入位置で所定時間停止させる。これにより排出部1710に排出された遊技球を球搬送部1862で受け止めることが可能になる。放出ステップは、球受ステップの終了後に実行される工程であり、球搬送部1862を、流入位置から放出位置に変位させるとともに、放出位置で所定時間停止させる。これにより遊技球を自然に放出させることが可能になる。このように、所定の遊技状態になった場合にのみ、球搬送部1862を流入位置に移動させ、遊技球を受け止めることを可能にするため、球搬送部1862の動きを遊技状態と関連付けて注目させることが可能になる。また、球搬送部1862は中間位置で待機するため、遊技球が衝突することを抑制するとともに、流入位置まで比較的速やかに移動させることができ、一連の処理時間が必要以上に冗長となることを抑制できる。
また、本例では、図119に示すように、球搬送部1862によって放出位置まで搬送された遊技球は、特定遊技領域1703に戻るだけでなく、案内通路形成部材1789によって回転式振分装置1709(図103参照)の上方に案内されるようになっている。このため、復活した遊技球への期待感が高められ、ひいては遊技媒体復活手段1711の動作に対して一層注目させることが可能になる。特に、前述したように、案内通路形成部材1789は、生き残り通路1797よりも、特定入球口1823bに入球する期待値が高く設定されているため、生き残り通路1797に送られなかった場合でも最後まで期待感を持ちつづけさせることができる。
ところで、可動役物1788及び生き残り通路1797は、排出部1710の上流側に配設されているため、遊技媒体復活手段1711が動作し遊技球を期待値の高い状態で復活させることが可能になっても、可動役物1788が突出位置に変位し遊技球を生き残り通路1797側に送った場合には、遊技媒体復活手段1711の利益を受けることができなくなる。そして、この場合には、有利な状態を阻害した可動役物1788の動作に対し腹立たしさを感じさせることが懸念される。
これに対し本例では、遊技媒体復活手段1711が動作する場合、すなわち案内通路形成部材1789によって回転式振分装置1709の上面に遊技球を誘導することが可能な場合には、可動役物1788が突出位置に変位すること、すなわち生き残り通路1797を介して回転式振分装置1709の流入口1798に遊技球を案内することを禁止するようになっている。したがって、期待値の高い側である案内通路形成部材1789への誘導が優先して行われ、可動役物1788への不満を回避することが可能になる。
(進入防止機構の構成)
進入防止機構1851の構成について、図104、図120及び図121を参照して説明する。図120は、進入防止機構1851の正面図であり、図121は、進入防止機構1851を分解し斜め前から見た斜視図である。
ところで、図104に示すように、排出案内路1795から生き残り通路1797を分岐させたものでは、譬え、排出案内路1795に対して生き残り通路1797を垂直方向に形成した場合でも、パチンコ機1に対して外部から衝撃や振動が加えられた際には、可動役物1788が動作していないにもかかわらず、遊技球の転動方向が変化し、生き残り通路1797に入ってしまう虞がある。つまり、生き残り通路1797に強制的に誘導させることを狙って、パチンコ機1を叩くなど不正な行為が行われることが懸念される。
これに対し、本例では、生き残り通路1797の入球側に、上方に向って突出する平面視三角形状の凸部1852aが設けられている。このため、譬えパチンコ機1を叩く等不正な行為が行われても、外部からの衝撃や振動によって遊技球が生き残り通路1797側に送られることを確実に防止できる。また、この凸部1852aは出没可能に支持されるとともに、可動役物1788が突出位置に変位したことに合わせて没入するようになっている。このため、可動役物1788に当接した遊技球を円滑に生き残り通路1797に送ることが可能である。
さらに詳しく説明すると、図120及び図121に示すように、凸部1852aは、側面視が略倒立L字形である凸リンク1852の上面に形成され、生き残り通路1797(図104参照)の入球側底面に穿設された貫通孔(図示しない)を通して生き残り通路1797の上方に突出するように配置されている。なお、凸リンク1852は、リンクカバー1860によって上下方向に摺動可能に支持されるとともに、ソレノイド1854の動作によって昇降するようになっている。具体的には、プランジャ1855が前側(遊技者側)を向くようにソレノイドベース1853に配置されたソレノイド1854と、プランジャ1855の先端に設けられたプランジャヘッド1856と、プランジャヘッド1856及び軸ピン1858の左端側を連結しプランジャヘッド1856の前後方向直線運動を回転運動に変換して軸ピン1858に伝達する第一アーム1857と、軸ピン1858の右端側及び凸リンク1852の下端の連結部1852bとを連結し軸ピン1858の回転運動を凸リンク1852の上下方向直線運動に変換する第二アーム1859と、を備えて構成されている。なお、プランジャヘッド1856の右側面にはソレノイドベース1853に形成された平板状のガイド片1853aを挟み前後方向に摺動可能な摺動部1856aが設けられており、プランジャヘッド1856の摺動方向が案内されるようになっている。また、ソレノイド1854にはプランジャ1855を突出する方向に付勢するスプリング1854aが設けられている。
これによれば、ソレノイド1854を動作させていないときには、スプリング1854aの付勢力によってプランジャヘッド1856が前方に突出し、凸リンク1852を上方に変位した状態で保持させる。一方、ソレノイド1854を動作させると、スプリング1854aの付勢力に抗してプランジャヘッド1856が後退し、凸リンク1852を下降させることが可能になる。
(装飾役物の構成)
装飾役物1746の構成について、図122及び図123を参照して説明する。図122は、装飾役物1746を斜め前から見た斜視図であり、図123は、装飾役物1746の背面図である。装飾役物1746は、上部遊技領域1729(図93参照)の後方に配置され、所定の遊技状態が発生した場合にキャラクタ体1873を出現させるようになっている。具体的に、キャラクタ体1873は垂直方向に設けられた棒状の支持アーム1880によって支持されており、支持アーム1880の下端に設けられ軸心方向を前後方向とする回転軸1880aを中心に、正面から見て反時計方向に回動可能となっている。キャラクタ体1873を回動させる機構として、ソレノイドベース1874に取付けられプランジャ1876を下方に向けた状態で配置したソレノイド1875と、プランジャ1876を突出させる方向に付勢するスプリング1877と、プランジャ1876の先端に連結されたスライダ1878と、スライダ1878の下端部分、及び支持アーム1880における回転軸1880aの上方部位を連結し、スライダ1878の直線運動を支持アーム1880の回動運動に変換するアームピン1879と、を備えている。これによれば、ソレノイド1875の非動作時には、スプリング1877の付勢力によってスライダ1878を下降位置に保持させ、支持アーム1880を鉛直方向に支持させ、ひいてはキャラクタ体1873をソレノイドベース1874の後方である視認不能な位置に保持させることが可能になる。一方、ソレノイド1875を動作させると、スプリング1877の付勢力に抗してスライダ1878が上昇し、支持アーム1880を反時計方向に回動させ、ひいてはキャラクタ体1873を視認可能とする。
<可動装飾体の構成>
可動装飾体1737の構成について、図124及び図125を参照して説明する。図124は、センタ役物ユニット1700の内部に向って可動装飾体1737が突出し遊技者側から視認可能となった状態を示す正面図であり、図125は、可動装飾体1737及びその駆動機構を斜め前から見た斜視図である。
可動装飾体1737は、通常は液晶枠1733の右側に配置されており、遊技者側から視認できないようになっているが、例えば遊技者に有利な特定の遊技状態が発生した場合や、第一始動口1602(図74参照)または第二始動口1604への入球を契機として行われる大当り抽選において大当りへの期待値が高い場合には、液晶枠1733の右側周面に形成された右側切欠部1735(図92)を通して、液晶枠1733の内部に挿入され、液晶表示装置640の手前側に出現するようになっている。
図125に示すように、可動装飾体1737は、風車を立体的に造形した風車装飾部1890と、風車装飾部1890の右側に配置されネコのキャラクタを立体的に造形したキャラクタ装飾部1891とから構成されている。特に、風車装飾部1890は、光透過性の部材で形成され互いに異なる色の二種類のレンズ部1890aと、夫々のレンズ部1890aの輪郭を形成する非透過性の枠部1890bと、レンズ部1890aの後方に配置されレンズ部1890aに向って光を放射可能な発光装置(図示しない)と、を備えている。つまり、発光装置を動作させることにより、レンズ部1890aを通して遊技者側に光を放射することが可能になっている。
可動装飾体1737を可動させる機構として、可動装飾体1737全体を左右水平方向に可動させる水平摺動機構1892と、風車装飾部1890を回転させる風車回転機構1893とが設けられている。水平摺動機構1892は、可動装飾体1737の上方で長手方向を左右方向として配置されたレール状の支持レール1895と、可動装飾体1737の下方に配置され支持レール1895と並行に配置されたガイドレール1896と、上端が支持レール1895に支持されるとともに下端がガイドレール1896に支持され、複数のギア(図示しない)を有するギアベース1897と、ギアベース1897をガイドレール1896に沿って左右方向に可動させる可動ユニット1898と、を備えて構成されている。さらに詳しく説明すると、可動ユニット1898は、モータボックス1899内に配置された摺動用モータ(図示しない)と、その回転軸に取付けられたモータギア1900と、ギアベース1897の上面に形成されたラック1903と噛合しモータギア1900の回転をラック1903の直線運動に変換するピニオン1901とを備えている。つまり、摺動用モータを回転させることにより、ラック1903を有するギアベース1897を左右方向に摺動させることが可能になっている。なお、ギアベース1897の上部側には、左側方向に延出された延出部1906が形成されており、その先端部分に可動装飾体1737が配置されている。このため、可動装飾体1737は、ギアベース1897と一緒に左右方向に可動し、センタ役物ユニット1700に対して出没させることが可能である。
一方、風車回転機構1893は、ギアベース1897の下部に配置されたモータ1905と、モータ1905の回転を減速して風車装飾部1890に伝達する複数のギア(図示しない)とを備えており、モータ1905を動作させることにより、風車装飾部1890を回転させることが可能になっている。なお、ギアベース1897の前面側には複数のギアを覆うベースカバー1904が取付けられている。
このように、遊技状態や抽選結果に基づいて、可動装飾体1737を液晶表示装置640の前方に出現させ、さらに風車装飾部1890を回転させるとともに点灯させるため、視覚的な演出効果を大幅に高めることができる。特に、液晶表示装置640のよる画像演出と可動装飾体1737による演出とを重ねて視認させることで、立体的な演出の興趣を一層高めることができる。
<主基板及び周辺制御基板による制御構成>
本実施形態のパチンコ機1における主基板2500及び周辺制御基板2600による詳細な制御構成について、主に図126及び図127を参照して説明する。図126は、パチンコ機1における主基板周辺の制御構成を概略的に示すブロック図である。図127は、パチンコ機1における周辺制御基板周辺の制御構成を概略的に示すブロック図である。なお、これらの図面において太線の矢印は電源の接続および方向を示し、細線の矢印は信号の接続および方向を示している。
本実施形態のパチンコ機1の制御は、大きく分けて主制御基板1350及び払出制御基板1186を含む主基板2500のグループと、第一装飾制御基板2050及び第二装飾制御基板2054等を含む周辺制御基板2600のグループとで分担されている。主基板2500のグループは遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出、可動役物1788の可動制御、等)を制御しており、周辺制御基板2600のグループは演出動作(発光装飾、音響出力、液晶表示等)を制御している。
図126に示すように、主基板2500の主制御基板1350には、中央演算装置としてのCPU2502、読み出し専用メモリとしてのROM2504および読み書き可能メモリとしてのRAM2506を備えている。このCPU2502は、ROM2504に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺制御基板2600や払出制御基板1186に出力するコマンド信号を作成したりする。また、RAM2506には、主制御基板1350で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。なお、主制御基板1350は、中継端子板625、及び払出制御基板1186を介して電源基板2530に接続されており、電源基板2530から作動用電力が供給されるようになっている。
主制御基板1350の入力インタフェースには、パネル中継端子板2066を介して、チャッカー1510を通過した遊技球を検出する通過センサ1512、一般入賞口1520に入賞した遊技球を検出する一般入賞口センサ2532、第一始動口1602に始動入賞した遊技球を検出する第一始動口センサ2534、第二始動口1604に始動入賞した遊技球を検出する第二始動口センサ1616、センタ役物ユニット1700の入賞口1702に入賞した遊技球を検出する入賞口センサ1741、左側誘導経路1704に振分けられた遊技球を検出する左側経路センサ1704a、右側誘導経路1705に振分けられた遊技球を検出する右側経路センサ1705a、上部遊技領域1729に配置された球受部1760の位置を検出するフォトセンサ1769、回転役物1761の基準位置を検出するフォトセンサ1775、回転式振分装置1709における特定入球口1823b及び普通入球口1823cに入球する遊技球を夫々検出する二つの入球検出手段1831、遊技媒体復活手段1711における球搬送部1862の位置を検出するフォトセンサ1871、所定条件における不正な振動を検出する振動センサ2538、及び不正な磁気を検出する磁気センサ2302、等が接続されている。
更に、主制御基板1350の入力インタフェースには、中継端子板625を介して、遊技球を遊技領域605へ打ち込むための遊技者によって操作される操作ハンドル部461の操作状態を検出する操作センサ2510、本体枠3の開放状態を検出する本体枠開放スイッチ2512、及び扉枠5の開放状態を検出する扉枠開放スイッチ2514も接続されている。
一方、主制御基板1350の出力インタフェースには、パネル中継端子板2066を介して、第二始動口1604への入賞確率を変化させる一対の可動片1606を駆動する始動口ソレノイド1612、センタ役物ユニット1700の入賞口1702を開閉する一対の可動片1740aを開閉駆動するソレノイド1750e、球受部1760を受止可能位置と受止禁止位置との間で変位させるソレノイド1766、回転役物1761を基準位置を始点として一回転させるモータ1771、可動役物1788のホウキ1806等を揺動させ遊技球を生き残り通路1797に送るソレノイド1810、回転式振分装置1709において回転体1820を回転させるモータ1826、遊技媒体復活手段1711において球搬送部1862を流入位置と放出位置との間で変位させるモータ1865、生き残り通路1797の流入側に設けられた凸部1852aを出没させるソレノイド1854、及び、周辺制御基板2600が接続されており、主制御基板1350から駆動信号を出力することができるようになっている。
また、主制御基板1350の出力インタフェースには、パネル中継端子板2066を介して、本体部内前基板1550に取付けられた特別図柄表示器1530が接続されており、特別図柄表示器1530の第一特別図柄表示器1532、普通図柄表示器1536、普通図柄保留表示器1538、第二特別図柄表示器1540、ラウンド表示器1543等へ表示信号を出力することができるようになっている。更に、主制御基板1350の出力インタフェースには、パネル中継端子板2066を介して、不正行為警告表示器2005が接続されており、振動センサ2538や磁気センサ2302からの検出信号に基づいて駆動信号が出力されるようになっている。
一方、払出制御基板1186は、中央演算装置としてのCPU2518、読み出し専用メモリとしてのROM2520および読み書き可能メモリとしてのRAM2522を備えている。そして、払出制御基板1186は、主制御基板1350から入力したコマンド信号を処理し、払出モータ815や、発射制御基板2524に接続された発射モータ695に対して駆動信号を出力する。これにより、払出モータ815は、駆動信号に従って遊技球を払い出し、発射モータ695は駆動信号に従って遊技球を発射させることが可能になる。
なお、払出制御基板1186には、賞球タンク720内に貯留された遊技球が無くなったことを検出する球切れスイッチ778が接続されており、この球切れスイッチ778の検出に基づいて、遊技者及びホール側(ホールコンピュータ)へ球切れの報知がなされる。また、払出制御基板1186には、皿ユニット300の貯留部381に貯留された遊技球が満タンになったことを検出する満タンスイッチ916が接続されており、この満タンスイッチ916の検出に基づいて、「遊技球を貯留部381から取り出して下さい」旨の報知がなされるようになっている。
また、主制御基板1350と払出制御基板1186との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、たとえば主制御基板1350が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板1186から主制御基板1350にACK信号が返されるようになっている。
更に、払出制御基板1186には、外部端子板2526が接続されており、始動口1602,1606等への入球状態、普通図柄・特別図柄の変動状態及び特別抽選結果や普通抽選結果等の各抽選結果に基づく遊技状態、不正行為の検出等の各種情報が、遊技施設に設けられたホールコンピュータ等へ出力されるようになっている。
一方、周辺制御基板2600は、図127に示すように、CPU2602をはじめROM2604やRAM2606等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することが可能となっている。また、周辺制御基板2600には、音声や音楽の基となる音源を記憶したROM2608と、ROM2608に記憶された音源を基に、演出内容等に応じた音声や音楽を出力する音源IC2610とが設けられている。なお、上記の主制御基板1350と周辺制御基板2600との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板1350から周辺制御基板2600へのコマンド送信はあっても、その逆は行われないようになっている。また、周辺制御基板2600に対しても主制御基板1350を介して電源基板2530から作動用電力が供給されるようになっている。
なお、周辺制御基板2600を構成する第一装飾制御基板2050及び第二装飾制御基板2054の何れにもCPU2602や音源IC2610を備えるようにしても良いし、何れか一方のみにCPU2602や音源IC2610を備えるようにしても良い。
この周辺制御基板2600には、液晶表示装置640での演出画像の表示を制御する液晶表示制御基板2612が接続されている。この液晶表示制御基板2612には、液晶表示装置640が接続されており、液晶表示制御基板2612で周辺制御基板2600から送信されたコマンド信号を処理し、液晶表示装置640に対して駆動信号を出力する。詳しく説明すると、液晶表示制御基板2612には、CPU2614、RAM2616、ROM2618、VDP2620及び画像ROM2622が備えられている。
液晶表示制御基板2612のCPU2614は、周辺制御基板2600から送られてきたコマンド信号を、入出力インタフェースを介して受信すると共に、そのコマンドを基に演算処理を行って、VDP2620の制御を行う。RAM2616は、CPU2614の作業領域を提供すると共に、表示コマンドに含まれる情報を一時的に記憶する。また、ROM2618は、CPU2614用(表示制御用)のプログラムを保持する。
また、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)2620は、液晶表示装置640に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する描画回路である。VDP2620の内部には、レジスタが設けられており、VDP2620の動作モードや各種表示機能の設定情報等を保持しておくことが可能となっている。そして、このレジスタに保持される各種情報をCPU2614が書き換えることにより、液晶表示装置640における表示態様を種々に変化させることが可能となる。画像ROM2622は、各種の画像データを記憶する不揮発性メモリであり、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データおよび背景画像用のJPEG形式画像データ等が記憶されている。
なお、周辺制御基板2600と液晶表示制御基板2612との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。また、液晶表示制御基板2612に対しても、周辺制御基板2600及び主制御基板1350を介して電源基板2530から作動用電力が供給されるようになっている。
また、周辺制御基板2600には、枠装飾中継端子板290を介して、扉枠5に備えられた扉枠装飾ランプ2624、及びスピーカ163等が接続されており、周辺制御基板2600から、これらランプやスピーカ163等に対して駆動信号が出力されるようになっている。
また、周辺制御基板2600には、枠装飾中継端子板290を介して、扉枠5の前面に配置された三つの押ボタン330a,330b,330c(符号は左から順)からなる操作ボタン330が夫々接続されており、各押ボタン330a,330b,330cの操作信号が入力されるようになっている。
更に、周辺制御基板2600には、表サイド部材1500内に配置され後面にLEDが実装され表サイド部材1500の上側を発光装飾させる上延出部内基板1554、表サイド部材1500の下側を発光装飾させる下延出部内基板1556が接続されており、駆動信号を出力することで各基板に備えられたLEDを所定の発光色で点灯・点滅・消灯させることができるようになっている。
また、周辺制御基板2600には、始動口ユニット1600を発光装飾させる始動口ユニット装飾基板2630、センタ役物ユニット1700の右肩装飾部1726、左肩装飾部1727、及び下側装飾部1728等を夫々発光装飾させる複数の発光装飾基板2632が接続されており、駆動信号を出力することで各基板に備えられたLEDを所定の発光色で点灯・点滅・消灯させることができるようになっている。
また、周辺制御基板2600には、可動装飾体中継端子板1737aを介して可動装飾体1737の摺動用モータやモータ1905が接続されており、駆動信号を出力することで、可動装飾体1737の水平移動及び可動装飾体1737の一部である風車装飾部1890の回転を行わせることが可能となっている。
<遊技内容>
本実施形態のパチンコ機1における遊技内容について、主に図126乃至図130を参考にして説明する。図128は、主制御基板での機能的な構成を示すブロック図であり、図129は、周辺制御基板での機能的な構成を示すブロック図である。また、図130は、主制御基板における不正行為警告表示器の表示に係る機能的な構成を示すブロック図である。
まず、主制御基板1350での遊技演出制御に係る機能的な構成について、図128等を参考に説明する。なお、遊技球の払出しに係る機能的な構成については省略する。本例の主制御基板1350では、ROM2504に予め格納された所定のプログラムをCPU2502によって実行することで各種の遊技制御や演出制御等が具現化されるようになっている。この主制御基板1350には、通過センサ1512から遊技球の検出信号が入力されると、所定の普通乱数を発生させる普通乱数発生手段2550と、普通乱数発生手段2550により発生した普通乱数と対応する普通図柄変動パターンを、ROM2504に格納された所定の普通図柄変動パターンテーブルから選択する普通図柄変動パターン選択手段2552と、選択された普通図柄変動パターンを一時的に記憶して保留する普通図柄保留手段2554とを備えている。
上述の普通図柄変動パターン選択手段2552は、時短機能が作動しているか否かを判断し、この判断結果に基づいて、所定時間(例えば、通常遊技状態では50sec,時短遊技状態では5sec)にわたって普通図柄の変動表示を行い、その後、取得した普通乱数(普通抽選結果)に基づいた普通図柄を停止表示する。このように、普通図柄変動パターン選択手段2552は、通常遊技状態制御手段、時短遊技状態制御手段または微時短遊技状態制御手段としても機能する。
上述の普通図柄保留手段2554は、普通図柄表示器1536において普通図柄が変動表示中に、通過センサ1512からの遊技球の検出信号を契機として選択された普通図柄変動パターンを所定数(例えば、四つ)まで記憶して保留してその保留数を普通図柄保留表示器1538に表示させると共に、普通図柄の変動表示が可能となるまで記憶した普通図柄変動パターンの実行を保留するものである。そして普通図柄保留手段2554で保留された普通図柄変動パターン(普通乱数)が実行されると、その普通図柄変動パターン(普通乱数)に基づいて普通図柄表示器1536の普通図柄が変動表示された後に停止表示され、停止表示された普通図柄が「普通当り」であると始動口ソレノイド1612を駆動して一対の可動片1606を拡開させて第二始動口1604への入賞確率を高くするようになっている。
また、主制御基板1350には、第一始動口1602への始動入賞により第一始動口センサ2534で検出された検出信号に基づいて所定の第一特別乱数を発生(取得)させる第一特別乱数発生手段2556と、第一特別乱数発生手段2556において取得した第一特別乱数に基づいて抽選を行う第一特別図柄抽選手段2558と、を備えている。さらに、この第一特別図柄抽選手段2558は、第一特別乱数発生手段2556において発生した第一特別乱数と対応する第一特別図柄変動パターンを、ROM2504に予め記憶された所定の特別図柄変動表示パターンテーブルから選択する第一特別図柄変動パターン選択手段2559と、第一特別乱数発生手段2556において取得した第一特別乱数に基づいて当落を判定する第一特別図柄当落判定手段2560と、を有している。そして、第一特別図柄変動パターン(第一特別乱数)が変動表示されると、その第一特別図柄変動パターンに基づいて第一特別図柄表示器1532の第一特別図柄が変動表示された後に停止表示されて、「第一小当り」と「第二小当り」と「大当り」とのうちいずれかを示唆することができるようになっている。
更に、主制御基板1350には、第二始動口1604への始動入賞により第二始動口センサ1616で検出された検出信号に基づいて所定の第二特別乱数を発生(取得)させる第二特別乱数発生手段2562と、第二特別乱数発生手段2562において取得した第二特別乱数に基づいて抽選を行う第二特別図柄抽選手段2564と、を備えている。さらに、この第二特別図柄抽選手段2564は、第二特別乱数発生手段2562において発生した第二特別乱数と対応する第二特別図柄変動パターンを、ROM2504に予め記憶された所定の特別図柄変動表示パターンテーブルから選択する第二特別図柄変動パターン選択手段2565と、第二特別乱数発生手段2562において取得した第二特別乱数に基づいて当落を判定する第二特別図柄当落判定手段2566と、を有している。そして、第二特別図柄変動パターン(第二特別乱数)が実行されると、その第二特別図柄変動パターンに基づいて第二特別図柄表示器1540の第二特別図柄が変動表示された後に停止表示されて、「第一小当り」と「第二小当り」と「大当り」とのうちいずれかを示唆することができるようになっている。
上述した第一特別図柄変動パターン及び第二特別図柄変動パターンには、「第一小当り」、「第二小当り」及び「大当り」の他に、「第一小当り」、「第二小当り」または「大当り」の際の入賞口1702(図74参照)を開閉する可動片1740aの開閉回数、「大当り」遊技の際のラウンド回数、第一特別図柄や第二特別図柄の変動時間、等が含まれており、これら第一特別図柄変動パターンや第二特別図柄変動パターンに含まれた種々の情報が始動入賞による抽選結果として後述する可動片1704a等の動きや、液晶表示装置640、スピーカ163、等による演出画像や演出音響等の演出の選択に用いられるようになっている。
また、主制御基板1350には、回転体1820の特定入球域1820aに遊技球が入球することで入球検出手段1831から検出信号が出力された場合、又は、第一始動口1602や第二始動口1604への始動入賞による第一特別乱数(第一特別図柄変動パターン)や第二特別乱数(第二特別図柄変動パターン)が「大当り」を示唆する場合に、「大当り」遊技等の有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段2568と、有利遊技状態発生手段2568による有利遊技状態の発生、又は、第一始動口1602若しくは第二始動口1604への始動入賞による第一特別乱数(第一特別図柄変動パターン)若しくは第二特別乱数(第二特別図柄変動パターン)が「第一小当り」若しくは「第二小当り」を示唆する場合、ソレノイド1750eの駆動により可動片1740aを開閉動作させて入賞口1702への遊技球の受入れを可能とする入賞口開閉制御手段2570と、を備えている。
更に、主制御基板1350には、少なくとも入賞口開閉制御手段2570により入賞口1702が受入可能となると、受止禁止位置に支持された球受部1760を、ソレノイド1766の駆動により受止可能位置(下限位置)に変位させ所定時間だけ保持させるという動作を複数回(例えば二回)行う球受部駆動制御手段2581と、特別図柄の変動が停止してから不変の一定時間経過後、モータ1771の駆動により、回転役物1761を基準位置から一回転または二回転させることで、球受部1760によって受け止められた遊技球を永久磁石1761aに吸着させるとともに、回転役物1761とともに回転させる回転役物駆動制御手段2582と、が備えられている。これにより、球受部1760によって受け止められた遊技球を右側誘導経路1705に送り、一方、球受部1760によって受け止められなかった遊技球を左側誘導経路1704に送ることが可能になる。しかも、右側誘導経路1705に送る場合には、回転役物1761を介することにより右側誘導経路1705に送られるまでの時間を遅延することが可能になる。したがって、入賞口1702に複数の遊技球が同時に入賞し、その一つが右側誘導経路1705に送られることになっても、左側誘導経路1704及び右側誘導経路1705を通して同時に特定遊技領域1703に到達することを防止でき、特定遊技領域1703での遊技球の挙動を順に楽しませることができる。特に、遊技球の停留中も回転役物1761の動作及び回転役物1761による遊技球の回転を視認させることができるため、単に停留状態で停止しているものに比べ、遊技者に安心感を与えるとともに、視覚的な興趣を高めることができる。
また、主制御基板1350には、入賞口1702が受入可能となってから所定時間経過後、ソレノイド1810の駆動により、可動役物1788(図106参照)のホウキ1806を動作させ、ホウキ1806の当接部1806aを一定短時間だけ排出案内路1795に突出させるという動作を複数回(例えば4回)連続的に行う可動役物駆動制御手段2583が備えられている。これにより、左側誘導経路1704によって誘導された遊技球の有利性を比較的低くしながらも、最後まで期待感を維持することができ、遊技球の挙動を楽しませることができる。特に、可動役物1788の動作によって遊技球を生き残り通路1797側へ転動させるため、可動役物1788が突出位置に変位するタイミングと遊技球の転動位置とを関連付けて遊技球の行方を予想させることができ、ハラハラドキドキしながら可動役物1788の動きを視認させることができる。
また、可動役物駆動制御手段2583は、遊技媒体復活手段1711が動作する場合、すなわち復活案内路1834によって回転体1820の上面に遊技球を誘導することが可能な場合には、可動役物1788が突出位置に変位すること、すなわち生き残り通路1797を介して回転体1820の流入口1798に遊技球を案内することを禁止する。したがって、期待値の高い側である復活案内路1834への誘導が優先して行われ、可動役物1788への不満を回避することが可能になる。
なお、主制御基板1350には、機能的構成として進入許可制御手段2584も備えられており、可動役物1788におけるホウキ1806の初回始動と同期して、ソレノイド1854を駆動させることにより、凸リンク1852を下降させ、ホウキ1806の当接部1806aに当接した遊技球を生き残り通路1797に送ることを可能にしている。
また、主制御基板1350には、第一特別図柄変動パターン選択手段2559によって選択された第一特別図柄変動パターン、または第二特別図柄変動パターン選択手段2565によって選択された第二特別図柄変動パターンが、「第二小当り」である場合、入賞口1702の2回目の開放動作により入賞口1702が受入可能となってから遊技媒体復活手段1711を動作させる復活処理制御手段2586が備えられている。この復活処理制御手段2586は、モータ1865を駆動することにより、排出部1710に排出された遊技球を拾い上げ、特定遊技領域1703に戻すようになっている。具体的には、球搬送部1862に対し、待機ステップ、球受ステップ、及び放出ステップが順に行われ、流入位置と放出位置との間の中間位置において待機中の球搬送部1862を流入位置に変位させるとともに、流入位置で所定時間停止させ、排出部1710に排出された遊技球を球搬送部1862で受け止めることを可能にする。その後、球搬送部1862を、流入位置から放出位置に変位させるとともに、放出位置で所定時間停止させることにより、案内通路形成部材1789に向って遊技球を自然に放出させる。このように、特別図柄変動パターンが「第二小当り」となり、且つ入賞口1702の2回目の開放動作時のみ、球搬送部1862を流入位置に移動させ、遊技球を受け止めることを可能にするため、球搬送部1862の動きを抽選結果と関連付けて注目させるとともに、「第二小当り」における期待感を大幅に高めることができる。
また、主制御基板1350には、入賞口1702が受入可能となってから所定時間経過後、ソレノイド1844aの駆動により、開閉部材1842(図115参照)を動作させ、案内通路形成部材1789の流出透孔部1840を閉鎖し、さらに所定時間後に開放する、という動作を所定回数(例えば三回)繰り返す貯留制御手段2585が備えられている。これにより、復活案内路1834または接続通路部1836によって案内された遊技球を、制動してから、回転体1820の上面に落下させることが可能になり、回転体1820に対し遊技球を静かに放つことができ、回転式振分装置1709による第二遊技処理を安定した状態でゆっくりと行わせることが可能になる。なお、本例では3回目における流出透孔部1840の閉鎖時間は、1回目及び2回目の閉鎖時間よりもかなり長くなるように設定されているため、入賞口1702の3回目の開放によって入球した遊技球が遊技媒体復活手段1711によって復活する場合であっても、流出透孔部1840から流出する遊技球を開閉部材1842によって確実に停留させることが可能である。ここで、貯留制御手段2585が本発明の開閉制御手段に相当する。
また、主制御基板1350には、普通乱数、第一特別乱数、第二特別乱数に応じた、普通図柄変動パターン、第一図柄変動パターン、第二図柄変動パターン、及び各センサからの検出信号、入賞口開閉制御手段2570、有利遊技状態発生手段2568、及びセンタ役物ユニット1700における各駆動制御手段2581〜2586、等からの制御信号等に基づいて所定の制御用のコマンドを生成して周辺制御基板2600へ送信するコマンド送信手段2576を更に備えている。
また、主制御基板1350には、図130に示すように、振動センサ2538及び磁気センサ2302からの検出信号に基づいて、不正行為等の異常が発生したか否かを判定する異常判定手段2578と、異常判定手段2578によって異常が発生したと判定されると遊技を緊急停止させる遊技停止手段2580とを更に備えている。この異常判定手段2578では、磁気センサ2302からの検出信号を常時受付けるようになっていると共に、振動センサ2538からの検出信号は入賞口センサ1741での遊技球の検出信号を契機として受付けるようになっている。
また、異常判定手段2578によって異常が発生したと判定されるとLEDからなる不正行為警告表示器2005が所定態様で発光するようになっていると共に、その発光態様によって振動センサ2538及び磁気センサ2302の何れのセンサにより異常が検出されたのかが判るようになっている。
なお、異常判定手段2578では、振動センサ2538や磁気センサ2302からの検出信号に対して所定のしきい値が設定されており、検出信号が所定のしきい値を越えたか否かによって異常の発生を判定するようにしている。
また、異常判定手段2578により異常が発生したと判定されると、コマンド送信手段2576によって所定のコマンドが周辺制御基板2600へと送信され、異常判定手段2578によって異常が発生したと判定されてから所定時間経過、或いは、所定時間の間に複数回異常が発生したと判定されると、液晶表示装置640に所定の警告画像が表示されると同時に、後述する扉枠装飾ランプ2624が赤色系に点滅発光して視覚的に異常(不正行為)が発生したのを遊技者や遊技ホールの係員等に認識させるようになっていると共に、スピーカ163から所定の警告音(サイレン、警告音声、等)が発せられて聴覚的にも認識できるようになっている。
一方、図129に示すように、周辺制御基板2600には、主制御基板1350から送信される制御用のコマンドを受信するコマンド受信手段2650と、コマンド受信手段2650で受信されたコマンドに基づいて、ROM2604に格納された演出パターンを選択する演出パターン選択手段2652と、演出パターン選択手段2652で選択された演出パターン等に基づいて、上延出部内基板1554、下延出部内基板1556、始動口ユニット装飾基板2630、及び発光装飾基板2632等に備えられたLEDの発光駆動を制御することで発光装飾体を発光演出させる発光演出制御手段2654と、液晶表示装置640に演出パターン選択手段2652で選択された演出パターン等に基づいて所定の演出画像を表示させる演出表示制御手段2656と、演出パターン選択手段2652で選択された演出パターン等に基づいて、スピーカ163を駆動して所定の音楽や効果音等による音響演出を制御する音響演出制御手段2658と、を備えている。
また、周辺制御基板2600には、主制御基板1350から送信される制御用のコマンドから、可動片1740aの開閉動作による入賞口1702の開情報を取得する入賞口開情報取得手段2662と、遊技球が左側誘導経路1704及び右側誘導経路1705のいずれによって誘導されるのかを示す経路情報を取得する経路情報取得手段2664と、遊技媒体復活手段1711の球搬送部1862によって遊技球が受け止められたか否かを示す復活情報を取得する復活情報取得手段2666と、をさらに備えている。
また、周辺制御基板2600には、演出パターン選択手段2652で選択された演出パターンに基づいて、演出画像及び演出音響からなる入賞口開演出を制御する入賞口開演出制御手段2668と、入賞口開情報取得手段2662で取得された開情報に基づいて、入賞口開演出制御手段2668による役物入賞口開演出を継続(延長)させる役物入賞口開演出継続手段2670と、を更に備えている。
更に、周辺制御基板2600には、演出パターン選択手段2652で選択された演出パターン、及び経路情報取得手段2664で取得された経路情報(すなわち右側誘導経路1705によって誘導させること)に基づいて、所定の演出画像及び演出音響からなる期待大演出を行う期待大演出制御手段2672と、演出パターン選択手段2652で選択された演出パターン、及び復活情報取得手段2666で取得された復活情報(すなわち遊技球が球搬送部1862によって受け止められたこと)に基づいて、演出画像及び演出音響からなる復活演出を制御する復活演出制御手段2674と、を更に備えている。
続いて、上述の機能的構成を有した本実施形態のパチンコ機1における遊技内容について、具体的に説明する。本実施形態のパチンコ機1は、扉枠5の右下に配置された操作ハンドル部461を遊技者が回転操作することで、皿ユニット300の貯留部381に貯留された遊技球が、透明な遊技パネル599の前面に配置された遊技領域605内の上部へと打ち込まれて、遊技球による遊技が開始されるようになっている。遊技領域605内の上部へ打ち込まれた遊技球は、図74に示すように、その打込強さによってセンタ役物ユニット1700の左側或いは右側の遊技領域605内を流下することとなる。なお、遊技球の打込強さは、操作ハンドル部461の回転量によって調整することができるようになっており、時計回りの方向へ回転させるほど強く打ち込むことができるようになっている。また、遊技領域605内には、適宜位置に所定のゲージ配列で複数の障害釘が遊技パネル599の前面に植設されており、遊技球がその障害釘に当接することで、遊技球の流下速度が抑制されると共に、遊技球に様々な動きが付与されて、その動きを楽しませられるようになっている。
センター枠1700の側面側を流下する遊技球が、遊技領域605内に配置されたチャッカー1510を通過して通過センサ1512により検出されると、その検出信号に基づいて主制御基板1350では、普通抽選に用いられる普通乱数が取得される。そして、上述したように、その普通乱数に基づいて、特別図柄表示器1530における普通図柄表示器1536の普通図柄が変動表示され、変動表示されてから所定時間(例えば、通常遊技状態50秒間、後述する微時短遊技状態では48秒間、時短遊技状態では5秒間)経過後に、取得した普通乱数(普通抽選結果)に基いた普通図柄が停止表示される。この普通図柄の変動表示は、普通乱数に応じた普通図柄変動パターンに基づいて行われるようになっている。
そして、当りを示唆する普通図柄が停止表示されると、第二始動口1604の左右に直立した一対の可動片1606が、所定時間(例えば、0.3秒〜3秒の間)逆ハ字状となるように拡開して、第二始動口1604への遊技球の入賞確率を高くすることができるようになっている。
また、本例では、普通図柄表示器1536において普通図柄が変動表示中に、通過センサ1512で遊技球の通過が検出されると、変動中の普通図柄が停止して先に取得された普通乱数の結果が確定するまでの間、通過センサ1512からの検出信号に基づいて取得した普通乱数(普通図柄変動パターンを含む)を一時的に記憶してその表示を保留するようになっており、その記憶された普通乱数の数(保留数とも言う)を、普通図柄保留表示器1538で表示するようになっている。この普通図柄保留表示器1538は、二つのLEDからなっており、消灯・点灯・点滅する各LEDの発光状態の組合わせによって記憶数を示唆するようになっており、本例では、四つまで記憶して表示するようになっている。なお、記憶数が四つを越えた場合は、通過センサ1512の検出信号に基づいて取得された普通乱数が破棄されるようになっている。
ところで、この実施の形態では、大当り遊技(有利遊技状態)が終了したのちの所定期間、時短機能が作動する時短遊技状態に制御される。この時短遊技状態では、上述したように、普通図柄の変動時間が通常遊技状態に制御されているときよりも短縮される(50秒→5秒)とともに、始動口ユニット1600の可動片1606が開状態とされる時間が長期化(0.3秒〜1秒→3秒〜4秒)されるので、通常遊技状態と比べて第二始動口1604に遊技球が格別に入賞しやすい状態となり、大当り遊技が繰り返し実行される期待感が高められうる。
なお、例えば、時短遊技状態の実行回数(時短遊技状態において特別図柄の変動(特別図柄の抽選)が行われる回数)が4回の場合、すなわち特別図柄の変動(特別図柄の抽選)が4回行われると時短遊技状態が終了する場合において、大当り遊技が実行される理論上の確率は以下のとおりである。
時短遊技状態における1回目の「第一小当り」または「第二小当り」において、入賞口1702に入賞した遊技球が生き残り通路1797に送られる確率は2分の1、生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aに入球する確率は8分の1であるから、1回目の「第一小当り」または「第二小当り(1回目の入賞口1702開放時)」において大当り遊技が発生する確率は概ね16分の1である。
また、2回目の「第一小当り」または「第二小当り」において、大当り遊技が発生する確率(1回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時にて大当り遊技が発生せず、且つ2回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時に大当り遊技が発生する確率)は256分の15であるから、1回目または2回目の「第一小当り」または「第二小当り(1回目の入賞口1702開放時)」において大当り遊技が発生する確率は概ね256分の31である。
また、3回目の「第一小当り」または「第二小当り」において、大当り遊技が発生する確率(1回目および2回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時にて大当り遊技が発生せず、且つ3回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時に大当り遊技が発生する確率)は4096分の225であるから、1回目〜3回目の「第一小当り」または「第二小当り(1回目の入賞口1702開放時)」において大当り遊技が発生する確率は概ね4096分の481である。
さらに、4回目の「第一小当り」または「第二小当り」において、大当り遊技が発生する確率(1回目〜3回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時にて大当り遊技が発生せず、且つ4回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時に大当り遊技が発生する確率)は65536分の3615であるから、1回目〜4回目の「第一小当り」または「第二小当り(1回目の入賞口1702開放時)」において大当り遊技が発生する確率は概ね65536分の7711である。
ただし、「第二小当り」に1回当選すると、この「第二小当り」の当選に基づく2回目の入賞口1702の開放時にこの入賞口1702に遊技球が入賞し、且つ入賞口1702に入賞した遊技球が生き残り通路1797に送られなかった場合には、遊技媒体復活手段1711により大当り遊技が発生する可能性が残る。したがって、上記1回目〜4回目において大当り遊技が発生する理論上の確率は、上述した理論上の確率に、遊技媒体復活手段1711により大当り遊技が発生する確率を加味した確率となる。
なお、通常遊技状態における特別抽選の結果が「第一小当り」または「第二小当り」であるとき、入賞口1702に入賞した遊技球が生き残り通路1797に送られる確率は2分の1、生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aに入球する確率は8分の1であるから、「第一小当り」または「第二小当り(1回目の入賞口1702開放時)」において大当り遊技が発生する理論上の確率は16分の1となる。ただし、この場合も、特別抽選の結果が「第二小当り」であるときには、遊技媒体復活手段1711により大当り遊技が発生する確率が加味された確率となる。
また、遊技領域605内に打ち込まれた遊技球が、始動口ユニット1600における一般入賞口1520に入賞して、一般入賞口センサ2532に検出されると、その検出信号に基づいて主制御基板1350では払出制御基板1186に対して所定の払出コマンドを送信し、その払出コマンドに応じて払出制御基板1186が賞球ユニット800の払出モータ815を制御して所定数(例えば、10個)の遊技球が、貯留部381へ払出されるようになっている。
また、始動口ユニット1600における左右両端に配置された第一始動口1602に入賞したことが第一始動口センサ2534によって検出されると、その検出信号に基づいて主制御基板1350では払出制御基板1186に対して所定の払出コマンドを送信し、その払出コマンドに応じて払出制御基板1186が賞球ユニット800の払出モータ815を制御して所定数(例えば、3個)の遊技球が貯留部381へ払出されるようになっている。また、遊技球が始動口ユニット1600の左右方向中央に配置された第二始動口1604に入賞したことが第二始動口センサ1616によって検出されると、その検出信号に基づいて主制御基板1350では払出制御基板1186に対して所定の払出コマンドを送信し、その払出コマンドに応じて払出制御基板1186が賞球ユニット800の払出モータ815を制御して所定数(例えば、4個)の遊技球が貯留部381へ払出されるようになっている。
また、遊技球が第一始動口1602や第二始動口1604に始動入賞して第一始動口センサ2534や第二始動口センサ1616に検出されると、その検出信号に基づいて主制御基板1350では、第一特別抽選に用いられる第一特別乱数や、第二特別抽選結果に用いられる第二特別乱数が取得される。そして、取得した第一特別乱数や第二特別乱数に基づいて、第一特別図柄変動パターン選択手段2559や第二特別図柄変動パターン選択手段2565で所定の第一特別図柄変動パターンや第二特別図柄変動パターンが選択され、選択された変動パターンに応じて、特別図柄表示器1530における第一特別図柄表示器1532や第二特別図柄表示器1540に表示される第一特別図柄や第二特別図柄の変動表示が開始された後に、取得した第一特別乱数や第二特別乱数と対応する第一特別図柄や第二特別図柄が、第一特別抽選結果や第二特別抽選結果として停止表示されるようになっている。
この第一始動口1602での始動入賞による第一特別抽選結果としては、所定の確率で「第一小当り」と「大当り」とのうちいずれかが抽選されるようになっている。そして、第一特別抽選結果が「第一小当り」の場合には、所定のインターバルを経て、センタ役物ユニット1700における入賞口1702を閉鎖する一対の可動片1740aが所定時間(例えば本実施形態では2秒間)可動して入賞口1702への遊技球の入賞が一回可能となる。また、第一特別抽選結果が「大当り」の場合には、「小当り」としての遊技が行われることなく(つまり、小当りとして一対の可動片1740aが可動することなく)、入賞口1702を閉鎖する一対の可動片1740aが所定のパターンで可動する有利遊技状態(所謂、「大当り」遊技)が発生するようになっている。つまり、入賞口1702を複数回開放させることで、遊技者に特定の利益を付与することが可能になっている。因みに、本例では、ラウンド数として、3ラウンド(3R)、8ラウンド(8R)、15ラウンド(15R)の三種類のラウンド数が用意されており、そのラウンド数の間、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させるようになっている。
一方、第二始動口1604での始動入賞による第二特別抽選結果としては、所定の確率で「第一小当り」と「第二小当り」と「大当り」とのうちいずれかが抽選されるようになっている。第二特別抽選結果が「第二小当り」の場合には、所定のインターバルを経て、センタ役物ユニット1700における入賞口1702を閉鎖する一対の可動片1740aが所定時間(例えば本実施形態では2秒間)の間、可動して入賞口1702への遊技球の入賞が可能となり、その後再び可動片1740aが所定時間(たとえば本実施形態では2秒間)の間、可動して入賞口1702への遊技球の入賞が可能になる。すなわち、入賞口1702への遊技球の入賞が二回可能となる。なお、第二特別抽選結果における「第一小当り」及び「大当り」については、第一特別抽選結果における「第一小当り」及び「大当り」と同じ処理が行われるようになっている。
そして、入賞口1702が開状態の時に遊技球が入賞して、入賞口センサ1741により検出されると、主制御基板1350からの払出コマンドに基づいて賞球ユニット800から役物入賞した一つの遊技球につき所定数(例えば、13個)の遊技球が貯留部381へ払い出されるようになっている。
図84等に示すように、センタ役物ユニット1700の入賞口1702に入賞した遊技球は、振分装置1707である球受部1760によって左側誘導経路1704と右側誘導経路1705とに振分けられる。そして、左側誘導経路1704に振分けられた遊技球は、装飾フレーム1701の左側内周面に沿って転動し、特定遊技領域1703に向って誘導される。一方、右側誘導経路1705に振分けられた遊技球は、装飾フレーム1701の右側内周面に沿って転動し、特定遊技領域1703に向って誘導される。
なお、右側誘導経路1705側の遊技球は遅延装置1708である球受部1760及び回転役物1761の組合せによって所定時間停留させられる。具体的には、球受部1760と右側誘導経路1705との間には、一部に永久磁石1761aを有する回転役物1761が配設されており、回転役物1761の回転位置が所定角度になると、球受部1760によって受け止められた遊技球は、永久磁石1761aの磁力によって吸引され回転役物1761に吸着保持される。そして、吸着保持された遊技球は回転役物1761と一緒に回転することになるが、所定の位置まで回転すると回転役物1761から離脱する。そして、回転役物1761から離脱した遊技球は右側誘導経路1705に送られ、右側誘導経路1705を通して特定遊技領域1703に誘導される。
左側誘導経路1704によって誘導された遊技球は、第一特定遊技領域1786に設けられた排出案内路1795に到達し、排出案内路1795によって排出部1710に案内される。ただし、排出案内路1795における排出部1710の上流側には生き残り通路1797が分岐して設けられ、さらに、その分岐部分には排出案内路1795を通る遊技球に当接可能な可動役物1788が設けられているため、排出案内路1795によって案内される遊技球は、可動役物1788に当接することにより生き残り通路1797に移る場合がある。そしてこの場合には、生き残り通路1797を通って流入口1798に案内される。
生き残り通路1797を通って流入口1798に到達した遊技球は、回転体1820の特定入球域1820aまたは普通入球域1820bに向かって流入可能な状態となる。そして、特定入球域1820aに入球した遊技球は特定入球口1823bに流出し、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる。一方、普通入球域1820bに入球した遊技球は特定入球口1823bに到達することなく、特定遊技領域1703から排出される。
一方、右側誘導経路1705によって誘導された遊技球は、回転体1820の上面に落下する。回転体1820の上面に落下した遊技球は、特定入球域1820aまたは普通入球域1820bに入球することになるが、回転体1820の上面には入球規制壁1820cが形成されているため、入球可能な普通入球域1820bの個数が制限される。
また、遊技球が排出部1710に排出されても、その遊技球が遊技媒体復活手段1711によって拾い上げられた場合には、特定遊技領域1703に戻される。遊技媒体復活手段1711によって復活した遊技球は、特定遊技領域1703に戻るだけでなく、復活案内路1834によって回転体1820の上面に案内されるため、復活した遊技球への期待が高められる。また、右側誘導経路1705と復活案内路1834とが連通しているため、遊技媒体復活手段1711によって復活した遊技球には、右側誘導経路1705によって誘導された遊技球と同一の期待値が付与される。
ところで、本実施形態における主制御基板1350のCPU2502は、第一特別抽選結果が「第一小当り」であること、または、第二特別抽選結果が「第一小当り」あるいは「第二小当り」であることに基づいて、インターバルに要する時間を決定するインターバルパターン決定手段2572を備えている。インターバルとは、特別図柄の変動が停止して「第一小当り」または「第二小当り」である旨を示す画像が液晶表示装置640に表示されたときを起点として、センタ役物ユニット1700の一対の可動片1740aが拡開して入賞口1702への遊技球の受入れが可能となるまでの時間である。また、インターバルパターン決定手段2572は、通常決定手段2573とチャンス決定手段2574とを有している。
ここで、図131は、インターバルパターン決定手段2572によってインターバルパターンが決定される際に参照されるインターバルパターンテーブルである。このインターバルパターンテーブルは、主制御基板1350のROM2504に記憶されている。
通常遊技状態では、図131のインターバルパターンテーブルが参照されて、通常決定手段2573によって、インターバル時間が異なる8パターンのインターバルパターンのうちいずれか1パターンが選択される。このとき、8パターンのインターバルパターンのうちいずれのパターンが選択されるかについては、各インターバルパターンのいずれも、256分の32の確率で選択される。
また、時短遊技状態では、通常遊技状態時と同様に、通常決定手段2573によって、インターバル時間が異なる上記8パターンのインターバルパターン(図131参照)のうちいずれか1パターンが選択される。このとき、8パターンのインターバルパターンのうちいずれのパターンが選択されるかについても通常遊技状態時と同様に、各インターバルパターンのいずれも、256分の32の確率で選択される。
ここで、8パターンのインターバルパターンは、第1パターン(1秒)、第2パターン(2秒)、第3パターン(3秒)、第4パターン(4秒)、第5パターン(5秒)、第6パターン(6秒)、第7パターン(7秒)、第8パターン(8秒)の8パターンである。なお、括弧内はインターバルの時間である。
また、インターバルパターンのパターン数(8パターン)は、回転式振分装置1709に形成されている特定入球域1820aと7個の普通入球域1820bとを合算した数の逆数と一致している。回転体1820の回転速度は8〔秒/周〕であるから、8パターンのインターバルパターンのうち、一のインターバル時間と他のインターバル時間との間で最も小さい時間差分(1秒間)の間に、特定入球域1820aまたは普通入球域1820bの1個分のキョリだけ、回転体1820が回転することになる。
このようにして、8パターンのインターバルパターンのうち特定の一のインターバルパターンが選択されたときに限り、入賞口1702に入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球が、特定入球域1820aに入球されるようになっている。そして、上記特定の一のインターバルパターンを除く他の七のインターバルパターンのうちいずれかのインターバルパターンが選択されたときには、入賞口1702に入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球は、普通入球域1820bに入球されることとなる。すなわち、入賞口1702に入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aへの入球確率は、第一始動口1602(図74参照)または第二始動口1604への入賞タイミングに拘わらず、常に8分の1となる。つまり、入賞口1702に入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aに入球するか否かは、8パターンのインターバルパターンのうちいずれのインターバルパターンが選択されたかのみによって決定される。
なお、入賞口1702に入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aへの入球確率が常に8分の1となるためには、特定入球域1820aへの入球確率の逆数とインターバルパターンのパターン数とが必ずしも同じ数である必要はなく、選択決定されるインターバルパターンのパターン数が特定入球域1820aへの入球確率の逆数の整数倍であれば良い。
このように、本実施形態では、通常遊技状態または時短遊技状態における特別抽選の結果が「第一小当り」または「第二小当り」であるとき、複数のインターバルパターン(インターバルの時間が互いに異なる8パターン)のうちのいずれのインターバルパターンに選択決定されたかによって、特別図柄の変動が終了してから入賞口1702を閉鎖する一対の可動片1606が駆動されるまでのインターバルの時間が異なる。ここで、8パターンのインターバルパターンのうち当選インターバルパターンは1パターンだけである。また、複数のインターバルパターンのうちいずれのインターバルパターンが選択決定されるかについては、いずれのインターバルパターンについても同じ確率で選択決定される(すなわち、いずれのインターバルパターンについても選択決定される確率が8分の1である)。
しかも、回転体1820の作動は、特別図柄の変動が終了したときに開始される。したがって、入賞口1701に入賞した遊技球が特定入球域1820aに入球するか否かは、複数のインターバルパターン(本実施形態では8パターン)のうちいずれのインターバルパターンに選択決定されたかに大きく依存することとなる。
ところで、本実施形態では、回転体1802の回転が開始されたときを起点として、8秒経過する毎に、特定入球域1820aと流入口1798とが1秒間対向する。すなわち、入賞口1702に入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aに入球するタイミングは、回転体1802が回転している限り、8秒経過する都度、1秒間ずつ到来することとなる。ここで、入賞口1702に入賞した遊技球が、生き残り通路1797に送られて流入口1798に至るまでの時間は概ね2.5であるから、特定入球域1820aと流入口1798とが対向し始める2.5秒〜3.5秒前に、入賞口1702に遊技球を入賞させることができれば、大当り遊技が発生するチャンス大となる。
ところで、本実施形態のように、特定のタイミング(本実施形態では、特定入球域1820aと流入口1798とが対向する約2.5前)で、入賞口1702に遊技球を入賞させることができれば、大当り遊技が発生するチャンス大となるような遊技機では、入賞口1702への入賞タイミングを狙うことによって、特定入球域1820aへの遊技球の入球確率を高めることができる可能性がある。
ところが、本実施形態では、インターバル時間が異なる8パターンのインターバルパターンが記憶されている。即ち、特別図柄の変動が終了してから入賞口1702が開放されるまでの時間が、選択決定されるインターバルパターンによって異なることとなる。また、回転体1820の回転速度が一定である場合の特定入球域1820aへの入球確率の逆数と、インターバルパターンのパターン数とが同じある。また、8パターンのインターバルパターンのうちいずれか一つのインターバルパターンの時間は、回転体1820の回転が開始されてから、特定入球域1820aと流入口1798とが対向するまでの時間に合致するように設定されているので、第一始動口1602(図74参照)または第二始動口1604への入賞タイミングに拘わらず、特定入球域1820aへの入球確率は常に一定の8分の1となる。これにより、通常遊技状態および時短遊技状態では、特定入球域1820aに遊技球が受け入れられることを狙って遊技を行なうことが不可能となるので、遊技者の技量に拠らず、誰が遊技を行っても、特定入球域1820aへの入球確率が変わることはない。
ところで、従来では、本実施形態の入賞口1702のような開口部に遊技球が入賞すると、例えば回転式役物の内部に形成された複数の入球域の周りを遊技球が転動する等によって、遊技球が特定の入球域に受け入れられて当選となるか否かの機械的な抽選処理を行なうことが一般的であった。このような従来の遊技機では、実際にいずれかの入球域に遊技球が受け入れられるまで抽選結果を予測することが非常に困難であり、逆にいえば、遊技者が機械式抽選に当選するか否かを予測するという楽しみを完全に損ねていた。
この点、本実施形態では、入賞口1702に遊技球が入賞したタイミングによって、この遊技球が特定入球域1820aに入球するか否かを、特定入球域1820aに遊技球が入球するよりも先にある程度予測可能である。つまり、遊技者は機械的抽選の当落を予想するという楽しみを有することが可能となる。
[チャンスゾーンにおける遊技内容について]
ところで、本実施形態では、時短遊技状態の終了を起点として、チャンスゾーンに突入する。このチャンスゾーンは、時短遊技状態が終了してから所定期間(例えば、特別図柄の変動が所定回数(例えば5回)行なわれるまでの間)、再び大当り遊技が発生する期待感が高められるゾーン(期間)である。なお、時短遊技状態が終了するのは、上述したとおり、時短遊技状態中に大当り遊技が発生しなかったとき、または、所定数の遊技球が獲得されたことによって強制的に時短機能の作動が停止したとき等である。
このチャンスゾーンでは、時短機能の作動は停止するものの、時短機能に代えて微時短機能が作動する微時短遊技状態となる(この微時短遊技状態がチャンスゾーンである)。微時短機能が作動すると、普通図柄の変動時間が通常遊技状態における普通図柄の変動時間よりも極僅かに短くなる(普通図柄の変動時間は、通常遊技状態では50秒であるのに対し微時短遊技状態では48条である)。ただし、チャンスゾーンでは、普通図柄の変動時間が通常遊技状態と比べて短くなるとはいえ、その差は遊技者が意図的に計時しなければ把握できない程度に微差(本実施形態では2秒)であるため、微時短機能が作動したとしても、遊技者から見た外観上は、微時短機能が作動しているのか通常遊技状態であるのかを把握できない。また、通常遊技状態および微時短遊技状態において、普通抽選結果が「当り」のとき、始動口ユニット1600の可動片1606の開放時間は0.3〜1秒と同じである。このようにして、微時短機能が作動していたとしても、外観上は、通常遊技状態中であると認識しうるようにされている。
上述したように、通常遊技状態における特別抽選または時短遊技状態における特別抽選において「第一小当り」または「第二小当り」に当選した場合には、8パターンのインターバルパターンのうちいずれか1パターンが、8分の1の確率で選択決定されることによって、入賞口1702に入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aに入球する確率が8分の1となるように構成されている。
これに対して、チャンスゾーンでは、特別抽選において「第一小当り」または「第二小当り」に当選した場合には、図131のインターバルパターンテーブルが参照されて、チャンス決定手段274によって、常に特定のインターバルパターン(本実施形態では第5パターン)に選択決定される。すなわち、特別抽選の結果が「第一小当り」または「第二小当り」であるときには、特別図柄の変動が終了してから(すなわち、回転体1820の回転が開始されてから)入賞口1702が開放されるまでのインターバル時間は、常に、5秒となる。
また、上述したように、回転体1820は、特定入球域1820aが流入口1798と対向した状態(より詳しくは、回転体1820の回転開始から1秒間は流入口1798にある遊技球が特定入球域1820aに入球しうる状態)で停止している。さらに、特定入賞口1702の開放時間は2秒であり、入賞口1702に入賞した遊技球のうち生き残り通路1797に送られた遊技球が、入賞口1702に入賞してから流入口1798に至るまでの時間は概ね2.5秒である。
したがって、特別抽選の結果が「第一小当り」または「第二小当り」であるときには、特別図柄の変動が終了してから(すなわち、回転体1820の回転が開始されてから)、「第一小当り」または「第二小当り」に基づいて開放(「第二小当り」については1回目の開放に限る)された入賞口1702に入賞した遊技球が(生き残り通路1797に送られた遊技球に限る)流入口1798に至るまでの時間は、概ね7.5秒〜9.5秒となる。ここで、回転体1820の回転が開始されてから8秒〜9秒の間が、流入口1798にいたった遊技球が特定入球域1820aに入球しうる期間であるので、チャンスゾーンにおける特別抽選において「第一小当り」または「第二小当り」に当選した場合には、入賞口1702に入賞した遊技球が生き残り通路1797にさえ送られれば、この遊技球が特定入球域1820aに入球する可能性が非常に高くなる(すなわち、大当り遊技が発生する可能性が非常に高くなる)。
このように、本実施形態では、微時短遊技状態としてのチャンスゾーンにおいて「第一小当り」または「第二小当り」に当選したとき、インターバルパターン決定手段2572は、常に、第5パターン(5秒)に選択決定する。すなわち、微時短遊技状態において「第一小当り」または「第二小当り」に1回当選すると、この「第一小当り」または「第二小当り」の当選に基づいて入賞口1702が開放(「第二小当り」については1回目の開放に限る)されたときにこの入賞口1702に遊技球が入賞し、且つ入賞口1702に入賞した遊技球が生き残り通路1797に送られる限り、「第一小当り」または「第二小当り」の当選1回につき、概ね2分の1の確率で大当り遊技が発生することとなる(上記の7.5秒〜9.5秒のうち8秒〜9秒がチャンス期間であるから概ね2分の1の確率となる)。
ここで、回転式振分装置1709は、可動役物駆動制御手段2583によって、通常遊技状態または時短遊技状態であるか微時短遊技状態であるかにかかわらず同じ作動態様で作動されており、また、微時短遊技状態では、チャンス決定手段2574によって決定されたインターバルパターンに基づいて、入賞口開閉制御手段2570により入賞口1702が開放されて、このタイミングで開放された入賞口1702に遊技球が進入すると、通常遊技状態や時短遊技状態よりも大当り遊技が発生しやすい態様(遊技者に有利な態様)で、回転式振分装置294による役物抽選が行われることとなる(上述したように、通常遊技状態および時短遊技状態では、「第一小当り」または「第二小当り」の当選1回につき、入賞口1702に入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aに入球する確率は8分の1となる)。つまり、このような遊技者に有利な態様で役物抽選が行われるチャンスゾーン(高期待状態)は、チャンス決定手段2574、入賞口開閉制御手段2570及び可動役物駆動制御手段2583によって作り出される。
しかも、回転体1820の作動態様は、通常遊技状態や時短遊技状態にあるときと微時短遊技状態にあるときとで同じであるから、回転式振分装置1709による役物抽選が遊技者に有利であるか否かを、回転体1820の作動態様を視認しただけでは、把握することが困難となっている。また、入賞口1702が開放されたタイミングで入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aに入球されるか否かは、入賞口1702が開放されたときの特定入球域1820aの位置(すなわち、インターバルの時間)によってほぼ決まる。これにより、微時短遊技状態では、回転体1820の作動態様を外観上視認しただけでは遊技者に把握されないかたちで、通常遊技状態や時短遊技状態にあるときと比べて大当り遊技を発生させる確率を高めることが可能となる。
なお、回転式振分装置1709の作動態様はチャンスゾーンであるときと非チャンスゾーンであるときとで何ら変わらないので、非チャンスゾーンにおいても、通常決定手段2573によって第5パターン(5秒)に選択決定されたときには、「第一小当り」または「第二小当り」の当選に基づいて入賞口1702が開放(「第二小当り」については1回目の開放に限る)されたときにこの入賞口1702に遊技球が入賞し、且つ入賞口1702に入賞した遊技球が生き残り通路1797に送られると、「第一小当り」または「第二小当り」の当選1回につき、概ね2分の1の確率で大当り遊技が発生する。
なお、本実施形態では、時短遊技状態が終了したのちのチャンス状態は、特別図柄の変動(特別図柄の抽選)が4回行われるまで継続する。
ここで、チャンス状態における1回目の「第一小当り」または「第二小当り」において、入賞口1702に入賞した遊技球が生き残り通路1797に送られる確率は2分の1、生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aに入球する確率は2分の1であるから、1回目の「第一小当り」または「第二小当り(1回目の入賞口1702開放時)」において大当り遊技が発生する確率は概ね4分の1である。
また、2回目の「第一小当り」または「第二小当り」において、大当り遊技が発生する確率(1回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時にて大当り遊技が発生せず、且つ2回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時に大当り遊技が発生する確率)は16分の3であるから、1回目または2回目の「第一小当り」または「第二小当り(1回目の入賞口1702開放時)」において大当り遊技が発生する確率は概ね16分の7である。
また、3回目の「第一小当り」または「第二小当り」において、大当り遊技が発生する確率(1回目および2回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時にて大当り遊技が発生せず、且つ3回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時に大当り遊技が発生する確率)は64分の9であるから、1回目〜3回目の「第一小当り」または「第二小当り(1回目の入賞口1702開放時)」において大当り遊技が発生する確率は概ね64分の37である。
さらに、4回目の「第一小当り」または「第二小当り」において、大当り遊技が発生する確率(1回目〜3回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時にて大当り遊技が発生せず、且つ4回目の「第一小当り」または「第二小当り」の当選時に大当り遊技が発生する確率)は256分の27であるから、1回目〜4回目の「第一小当り」または「第二小当り(1回目の入賞口1702開放時)」において大当り遊技が発生する確率は概ね256分の175である。
ただし、上述したように、「第二小当り」に1回当選すると、この「第二小当り」の当選に基づく2回目の入賞口1702の開放時にこの入賞口1702に遊技球が入賞し、且つ入賞口1702に入賞した遊技球が生き残り通路1797に送られなかった場合には、遊技媒体復活手段1711により大当り遊技が発生する可能性が残るので、上記1回目〜4回目において大当り遊技が発生する理論上の確率は、上述した理論上の確率に、遊技媒体復活手段1711により大当り遊技が発生する確率を加味した確率となる。
このように、通常遊技状態または時短遊技状態にあるときと微時短遊技状態にあるときとでは回転体1820の作動態様が同じであるにも拘わらず、微時短遊技状態において「第一小当り」または「第二小当り」に当選したときは、入賞口1702に入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aに入球する確率を、通常遊技状態および時短遊技状態よりも高めることが可能となる。しかも、入賞口1701に入賞し且つ生き残り通路1797に送られた遊技球が特定入球域1820aに入球しなかったとしても、この特定入球域1820aの両側に隣接する2つの普通入球域1820bのうちいずれかの領域に受け入れられるといった、遊技者にとって惜しい状態となる。
本実施形態の回転式振分装置1709のような機械式の抽選(役物抽選)が行われる場合には、内部抽選とは異なり遊技者自身が抽選の過程を視認しうることから、役物抽選において遊技者に有利な態様で抽選が行われると、該抽選が遊技者に有利であることを一見して遊技者に把握されてしまう。しかしながら、本実施形態では、通常遊技状態または時短遊技状態にあるときと微時短遊技状態にあるときとで回転体1820による抽選構造が同じであるにもかかわらず(回転体1820の作動態様が同じであるにもかかわらず)、微時短遊技状態では、回転式振分装置1709による役物抽選が通常遊技状態や時短遊技状態よりも遊技者に有利な態様で抽選が行われる。
これにより、回転体1820の作動態様を視認しただけでは回転体1820による抽選が遊技者に有利であるか否かを遊技者が把握し難いものの、微時短遊技状態では、入賞口1702に入賞した遊技球が生き残り通路1797にさえ送られれば、常に、特定入球域1820aまたはこれに隣接する普通入球域1820bに入球するので、「何故だか分からないが、時短遊技状態が終了したのちのしばらくの間は、大当りが発生しやすい?」と遊技者が感じられるような状態を作り出すことが可能となる。すなわち、抽選の過程を視認できる回転式振分装置1709による役物抽選が採用されながらも、遊技者に気付かれることなく、所定の当選確率で抽選が行われる低確状態(通常遊技状態、時短遊技状態)と、この低確遊技状態よりも遊技者に有利な態様で抽選が行われる高確遊技状態(チャンスゾーン)とを作り出すことが可能となる。
なお、「回転体1820の作動態様が同じ」について、本実施形態では、通常遊技状態にあるときと、時短遊技状態にあるときと、微時短遊技状態にあるときとで作動態様が同じであるが、遊技者から見て外観上同一に見える程度であれば良い。「作動態様が同じ」とは、等速回転であれば回転速度が同じことが相当し、一定周期で非等速回転であれば周期が同じことが相当する。
また、再び大当り遊技が行われる期待度合いの高いチャンスゾーンを設けたとしても、遊技者のみがメリットを享受できるのではなく、ホールにとってもメリットがある。なぜならば、時短遊技状態が終了すると時短機能が作動しないので、第二始動口1604への遊技球の入賞頻度が時短遊技状態と比べて極めて少なくなり(通常遊技状態とほぼ同じが僅かに多い程度)、しかも大当り遊技が終了したとしても遊技者が遊技を継続する可能性が高まり、ホールの稼働率がアップするからである。
また、時短遊技状態が終了したのちに、常に、チャンスゾーン(高期待状態)とする必要はない。例えば、チャンスゾーンとする条件が成立したときに限り、時短遊技状態が終了したのちの微時短遊技状態においてチャンスゾーンにするようにしてもよい。この場合、チャンスゾーンでは、遊技球が特定入球域1820aと普通入球域1820bとのうちいずれに入るかといった抽選過程を視認できるかたちで役物抽選が行われるにもかかわらず、特定入球域1820aが変位される作動態様(すなわち回転式振分装置1709の作動態様)からは、チャンスゾーンであるか否かを把握することが困難となるようにされている。これにより、遊技者の遊技意欲がそがれることがない。
また、たとえ通常遊技状態であったとしても、チャンスゾーンとする条件が成立したときには、時短遊技状態が終了した微時短遊技状態であるか否かにかかわらず、通常遊技状態の途中から、チャンスゾーンとするようにしてもよい。こうすることで、遊技者は、常にチャンスゾーンではないかといった期待感を抱きながら遊技を行うことが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、時短遊技状態が終了したのちの微時短遊技状態に限らず、チャンスゾーンとする条件が成立したときにチャンスゾーンとする遊技機にあっては、回転式振分装置1709の作動態様をみただけでは、入賞口1702から進入した遊技球が特定入球域1820aに入りやすい状態であるのか否かを、遊技者が把握することは困難である。したがって、これと同様に、回転式振分装置1709の作動態様をみただけでは、遊技者は、入賞口1702から進入した遊技球が特定入球域1820aに入りやすいチャンスゾーンと、入賞口1702から進入した遊技球がチャンスゾーンと比べて特定入球域1820aに入り難い追い非チャンスゾーンとの間での状態変更についても把握することは困難である。これにより、役物抽選それ自体に対して遊技者に不信感を与えることなく、抽選内容にメリハリをもうけることが可能となる。しかも、上記の状態変更を遊技者から知得され難いので、たとえ非チャンスゾーンであったとしても、チャンスゾーンであることの期待感を遊技者に与えることが可能となる。
以上、本実施形態のパチンコ機1について説明したが、本実施形態のパチンコ機1によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本実施形態のパチンコ機1は、ソフトウェア制御により内部的に行われる抽選処理とは違って、遊技球が特定入球域1820aと普通入球域1820bとのうちいずれに入るかといった抽選過程を視認できるので、抽選処理に対して遊技者に与える不信感を軽減できるだけでなく、有利遊技状態が発生するまでの過程に面白みを持たせることができる。しかし、役物抽選(機械式抽選)が行われたときには、毎回同じように行われる役物抽選に当選しなければ有利遊技状態が発生しないとなると、遊技が単調となりかねず、興趣が低下するおそれがある。
そこで、本遊技機では、回転式振分装置1709の作動態様に変化をもたせることなく、通常遊技状態において遊技球が特定入球域1820aに入る期待値よりも高い期待値をもって、入賞口1702から進入した遊技球が特定入球域1820aに入るように役物抽選が行われるチャンスゾーンを作り出すことを可能にした。
しかしながら、役物抽選の抽選処理に対して遊技者に不信感を与えないようにする観点からいえば、ただ単に、入賞口1702から進入した遊技球が特定入球域1820aに入りやすくするだけではなく、回転式振分装置1709の作動態様をみただけでは、入賞口1702から進入した遊技球が特定入球域1820aに入りやすい状態であるのか否かを、遊技者に把握されないかたちでチャンスゾーンに制御する必要がある。また、遊技者は、遊技球が特定入球域1820aと普通入球域1820bとのうちいずれに入るかといった抽選過程を視認できるので、上記チャンスゾーンに入ると、チャンスゾーンであることが一見して遊技者に把握されてしまい、チャンスゾーンでない非チャンスゾーンでの興趣が低下してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態のパチンコ機1では、回転式振分装置1709をチャンスゾーンと非チャンスゾーンとで同じような態様で作動させることで、遊技球が特定入球域1820aと普通入球域1820bとのうちいずれに入るかといった抽選過程を視認できるかたちで役物抽選が行われるにもかかわらず、回転式振分装置1709の作動態様からは、チャンスゾーンであるか否かを把握し難くすることで、チャンスゾーンにあることが秘密裡にされるようにしている。そして、このようにチャンスゾーンであるか否かにかかわらず、役物抽選を行うに際し、特別図柄抽選手段2559,2564による抽選結果が第一小当りまたは第二小当りである旨を示す画像が表示される都度、毎回、変動表示の終了タイミングで、同じ位置から特定入球域1820aの変位が開始されるように、回転式振分装置1709の回転を開始する。そしてさらには、チャンスゾーンであっても通常遊技状態と同じような周期的な動きをもって特定入球域1820aが変位するので、回転式振分装置1709の作動態様からは、チャンスゾーンであるか否かを把握することが難しくされている。
また、振分装置1707によって右側誘導経路1705に振分けられた場合には、第一特定遊技領域1786を通らずに第二特定遊技領域1787に直接誘導されるため、期待感を高め、その後の展開に対してワクワクさせることができる。また、左側誘導経路1704に振分けられた場合でも、遊技媒体復活手段1711によって復活した場合には、復活案内路1834を介して第二特定遊技領域1787に誘導されるため、最後まで期待感を維持させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、復活案内路1834と接続通路部1836とが互いに連通しているため、右側誘導経路1705によって誘導される遊技球に、復活案内路1834によって案内される遊技球と同一の期待値を付与することができる。したがって、右側誘導経路1705によって誘導される遊技球への期待感を大幅に高めることができる。また、通路の一部を共用することにより、複数の経路が煩雑に配置されることを抑制し、第一特定遊技領域1786及び第二特定遊技領域1787への視認性の低下を防止することができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、接続通路部1836によって誘導された遊技球は、復活案内路1834に合流した後、復活案内路1834の上流側に向って転動するため、流出されるまでの転動距離を伸ばすことができるとともに、大きく転動させることができる。したがって、右側誘導経路1705に振分けられたことの魅力を遊技者に訴えることが可能になり、しかも、遊技球は復活案内路1834を逆流するため、遊技球の挙動を目立たせることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、復活案内路1834によって誘導される遊技球の動きと、接続通路部1836によって誘導される遊技球の動きとを異ならせることができ、視覚的な興趣を高めることができる。特に、復活案内路1834によって誘導される遊技球は、第一特定遊技領域1786を経由することで転動時間が長くなっているため、復活案内路1834から速やかに流出させることにより、一連の遊技処理にかかる時間が冗長になることを抑制できる。また、極めて簡単な構成で、復活案内路1834から接続通路部1836への転動を規制することができるとともに、接続通路部1836から復活案内路1834へは、遊技球の勢いを低下させることなく円滑に送ることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、復活案内路1834の上流側通路部1835aと接続通路部1836とが平面視直線状となるように形成されているため、接続通路部1836から上流側通路部1835aへ遊技球を滑らかに大きく転動させることができる。また、下流側通路部1835bは、上流側通路部1835a及び接続通路部1836に対して垂直方向に延出され、その先端に流出透孔部1840が設けられているため、接続通路部1836から復活案内路1834への転動中に遊技球が流出してしまうことを防止できる。また、上流側通路部1835a及び接続通路部1836は樋状に形成されているため、上面側の開放部分を通して、遊技球を明瞭に視認させることができる。また、上流側通路部1835a及び接続通路部1836が第二特定遊技領域1787の奥側上方に配置されることで、第二特定遊技領域1787における第二遊技処理の視認性が低下する虞を防止できる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、復活案内路1834の流出透孔部1840に開閉部材1842が配設されているため、復活案内路1834または接続通路部1836によって誘導された遊技球を、制動してから、第二特定遊技領域1787に流出させることができる。したがって、第二特定遊技領域1787に対し遊技球を静かに放つことができ、第二遊技処理を安定した状態で行わせることができる。また、復活案内路1834または接続通路部1836によって誘導された遊技球が第二特定遊技領域1787に流出するタイミングは、開閉部材1842が開放するタイミングによって決まるため、復活案内路1834および接続通路部1836での遊技球の挙動を、開閉部材1842の動作すなわち流出透孔部1840の開閉状態と関連付けながら視認させることができ、ひいては遊技球への注目をさらに高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、排出部1710に排出された遊技球が球搬送部1862によって放出位置まで搬送されるため、遊技球が復活する様子をゆっくりと見せることができ、視覚的な興趣を一層高めることができる。また、球搬送部1862は、溝状の排出部1710内を長手方向に移動するため、遊技球を持ち上げるという上下方向の運動だけでなく、水平方向の運動も加わり、視覚的な面白みを高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、復活案内路1834の流入側に突起部1834aが設けられているため、接続通路部1836側から送られた遊技球が流入側から逸脱することを防止できる。したがって、復活案内路1834の上流側通路部1835a全体を用いて遊技球を大きく転動させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、生き残り通路1797及び可動役物1788の組合せによって第一特定遊技領域1786における興趣がさらに高められ、遊技球の挙動を楽しませることができる。特に、可動役物1788の動作によって遊技球を生き残り通路1797側へ転動させるため、可動役物1788が突出位置に変位するタイミングと遊技球の転動位置とを関連付けて遊技球の行方を予想させることができ、ハラハラドキドキしながら可動役物1788の動きを視認させることができる。また、生き残り通路1797を介して第二特定遊技領域1787に案内するため、生き残った遊技球の挙動を堪能させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、復活案内路1834に送られる遊技球(すなわち遊技媒体復活手段1711によって復活した遊技球)の方が、生き残り通路1797に送られる遊技球よりも、特定入球口1823bに入球する期待値が高くなるように設定されているため、生き残り通路1797に送られなかった場合でも最後まで期待感を維持させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、回転式振分装置1709によって、特定入球域1820aと普通入球域1820bとに振分けられるため、遊技球の挙動をさらに楽しませることができる。また、回転体1820の回転位置と流入口1798に送られる遊技球のタイミングとによって、遊技球が特定入球域1820aに入るか普通入球域1820bに入るかが決まるため、第二特定遊技領域1787を転動する遊技球の挙動を回転体1820の回転位置に関連付けることができ、遊技球の挙動について一層注目させることができる。また、生き残り通路1797を介して流入口1798に案内された場合と、復活案内路1834によって回転体1820の上面に案内された場合とでは、入球域全体の個数に対する特定入球域1820aの割合が互いに異なり、復活案内路1834で誘導された遊技球の期待値を相対的に高くすることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、左側誘導経路1704、右側誘導経路1705、復活案内路1834、及び接続通路部1836は何れも光透過性の部材で形成されているため、各誘導経路によって誘導される遊技球の挙動を明瞭に視認させることができる。したがって、遊技球の挙動を目立たせ、遊技球の行方を注目させることができる。
さらに、本実施形態のパチンコ機1によれば、左側誘導経路1704及び右側誘導経路1705に振分けられた遊技球を装飾フレーム1701の内周面に沿って転動させることから、装飾フレーム1701で囲まれた開口部内の可動役物1788、または液晶表示装置640等を遮ることなく、遊技球を特定遊技領域1703まで誘導させることができる。特に、装飾フレーム1701の上部に入賞した遊技球を左右方向に振分けて誘導するため、十分な長さの経路を確保することができるとともに、いずれの経路においても遊技球を自然に流下させることができる。また、振分けられた遊技球を夫々装飾フレーム1701の内周面に沿って相反方向に転動させるため、どちらの通路に振分けられたのかを明瞭に視認させることができ、ひいては振分装置1707の動作を注目させることができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、左側誘導経路1704によって遊技球を第一特定遊技領域1786に誘導し、右側誘導経路1705によって遊技球を第二特定遊技領域1787に誘導するものを示したが、これとは逆に、左側誘導経路1704によって第二特定遊技領域1787に誘導し、右側誘導経路1705によって第一特定遊技領域1786に誘導するように構成してもよい。これによれば、右側誘導経路1705が本発明の第一誘導経路に相当し、右側誘導経路1705が本発明の特別誘導経路に相当することとなる。
また、上記実施形態では、特定遊技領域1703に回転式振分装置1709を備え、回転式振分装置1709によって特定入球口1823bと普通入球口1823cとに振分けるものを示したが、他の構成の振分装置によって振分けるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1に適用したものを示したが、これに限定するものではなく、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機に、適用しても良く、この場合でも、上記と同様の作用効果を奏することができる。
上記の発明を実施するための形態で説明したパチンコ機1は、以下の技術思想としてあらわすことができる。なお、以下では、上記の発明を実施するための形態で記載した用語を上位概念化して記載するとともに、この「上位概念化した用語」と上記の「発明を実施するための形態に記載された用語」との対応付けを行うべく、「上位概念化した用語」に相当する上記の「発明を実施するための形態に記載された用語」を括弧内に記載している。ただし、「上位概念化した用語」に相当する上記の「発明を実施するための形態に記載された用語」を一旦括弧内に記載したのちは、重複記載を回避すべく、その後の記載において省略している。
技術思想1に記載の遊技機は、遊技領域を流下する遊技球を受け入れ可能な受入口と、前記受入口への遊技球の受け入れに基づいて所定の進入抽選を行う進入抽選手段と、前記進入抽選手段にて特定の結果がえられたことに基づいて、常には閉鎖されている所定の進入口を開放することによって、当該所定の進入口への遊技球の進入を許容する進入許容制御手段と、前記所定の進入口から進入した遊技球を用いて、所定の態様で作動して行われる役物抽選を、その抽選過程を視認できるかたちで行う役物抽選手段と、前記役物抽選に当選したことに基づいて、大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、を備え、通常状態では、当選確率が所定の確率でしかないように前記役物抽選が行われる遊技機であって、さらに、前記通常状態よりも高い頻度で前記役物抽選手段による前記役物抽選が行われうる高頻度抽選状態、及び、該高頻度抽選状態よりも低い頻度でしか前記役物抽選手段による前記役物抽選が行われえない低頻度抽選状態、を含む遊技状態のうちいずれかに制御する抽選状態制御手段と、前記役物抽選がその抽選過程を視認できるかたちで行われるにもかかわらず、前記低頻度抽選状態においては、当該役物抽選の当選確率を把握することが困難なかたちで、前記通常状態における前記所定の確率よりも高い確率で当選されるように前記役物抽選手段を作動させる秘密裡低頻度高期待制御手段とを備えるものである。
本遊技機は、遊技領域に受入口(第一始動口1602、第二始動口1604)が備えられており、遊技領域605を流下する遊技球が受入口に受け入れられると、当該受入口への遊技球の受け入れに基づいて所定の進入抽選が進入抽選手段(第一特別図柄変動パターン選択手段2558、第二特別図柄変動パターン選択手段2564)によって行われる。そして、この進入抽選にて特定の結果(第一小当り、第二小当り)がえられると、常には閉鎖されている所定の進入口(入賞口1702)が進入許容制御手段(入賞口開閉制御手段2570)により開放されて、当該進入口からの遊技球の進入が許容される。
また、本遊技機は、所定の画像が表示される表示手段(液晶表示装置640)を備えており、少なくとも進入抽選の結果を示す画像が表示されるように、表示制御手段(液晶表示制御基板2612)により表示制御される。進入抽選の結果が特定の結果であるときには、遊技者を鼓舞する演出を行うようにするとよい。そして、進入抽選の結果が特定の結果である旨を示す画像が表示手段に表示されてから、所定の待機時間(インターバルパターン決定手段2574により決定されたインターバル時間)を経て、所定の進入口が開放される。
さらに、本遊技機は、所定の進入口から進入した遊技球を用いた役物抽選を行う役物抽選手段(回転式振分装置1709)を備えている。この役物抽選手段は、当り口(特定入球域1820a)とハズレ口(普通入球域1820b)とを有しており、所定の進入口から進入して所定の受入位置(流入口1798)にいたった遊技球を、当り口またはハズレ口に受け入れる役物抽選を行うものである。所定の進入口から進入して所定の受入位置にいたった遊技球が当り口に受け入れられると、当選と判定されて、大当り遊技実行手段(有利遊技状態発生手段2568)により大当り遊技が行われる。一方、ハズレ口に受け入れられると、遊技機外に排出される(このとき、大当り遊技は行われない)。このような抽選過程は、外部から(例えば遊技者が)視認できるようになっている。
役物抽選は、受入口(第一始動口1602、第二始動口1604)への遊技球の受け入れに基づいて行われる進入抽選(第一特別図柄変動パターン選択手段2558、第二特別図柄変動パターン選択手段2564)にて特定の結果(第一小当り、第二小当り)がえられて、所定の進入口(入賞口1702)から遊技球が進入したときに限り行われるので、通常状態(有利遊技状態としての大当り遊技中でなく且つ時短状態でも微時短遊技状態でもない通常遊技状態)では、所定の頻度でしか役物抽選が行われない。
なお、役物抽選手段は、少なくとも当り口が所定の周期的な動きをもって変位するように作動しており、通常状態では、所定の進入口から進入して所定の受入位置にいたった遊技球が、所定の確率でしか当り口に受け入れられないようになっている。
ここで、本遊技機の役物抽選手段について詳述すると、当り口が常には同じ位置(特定位置)で停止しており、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、当り口が所定の周期的な動きをもって変位するように、同じタイミング(つまり、特定の結果がえられたことを示す画像が表示されたとき、または当該画像が表示されたときを起点として一定時間が経過したとき)で役物抽選手段の作動が開始される。そして、役物抽選が終了すると、当り口が上記特定位置にあるときに役物抽選手段の作動が停止する。そして、役物抽選の結果が、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示手段に表示されてから所定の進入口から遊技球が進入するまでの時間に依存しうるように役物抽選が行われる。つまり、当り口が常には特定位置に位置するかたちで作動が停止している役物抽選手段は、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示されると、常に同じタイミングで作動を開始するから、所定の役物から進入した遊技球が当り口に受け入れられるか否かは、当該所定の進入口から遊技球が進入したタイミングに依存することとなる。なお、進入口から進入した遊技球が受入位置にいたるまでの時間についても、当該遊技球が当り口に受け入れられるか否かの重要なファクターとなるが、本遊技機では、所定の進入口から進入した遊技球が受入口にいたるまでの時間は、ほぼ一定となっている。
また、本遊技機では、上記の役物抽選を行うにあたり、通常状態では、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示手段に表示されてから、都度異なる所定の待機時間を経たのちに所定の進入口が開放されることで、進入口から進入した遊技球が所定の確率でしか当り口に受け入れられないようにされている。
詳しくは、上述したように、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示手段に表示される都度、当り口が所定の周期的な動きをもって変位するように、同じタイミングで役物抽選手段の作動が開始される。そして、とくに通常状態では、複数の待機時間のなかからいずれか一の待機時間が選択されて、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示手段に表示されたときを起点として、当該起点から選択された一の待機時間が経過したときに、所定の進入口が開放される。なお、複数の待機時間のなかからいずれか一の待機時間が選択される確率には偏りがなく、いずれの待機時間についても同じ確率で選択されうる。
例えば、役物抽選手段が有する当り口の数が1つ、同じく役物抽選手段が有するハズレ口の数がN個(Nは自然数)であるとき、選択されうる待機時間の数が(N+1)の整数倍(この数をMとする)であることが好ましい。通常状態では、このM個の待機時間が、それぞれ、(N+1)個の抽選口(当り口及びハズレ口)のうちいずれか一つに均等に割り当てられる。詳しくは、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示手段に表示されると、選択された待機時間が経過したのちに所定の進入口が開放されるので、通常状態では、所定の進入口が開放されると、当該進入口から進入した遊技球は、(N+1)分の1の確率で、(N+1)個の当り口及びハズレ口のうちいずれかの口に受け入れられることとなる。こうすることで、通常状態では、(N+1)分の1の確率でしか当り口に受け入れられないこととなる。このように、所定の進入口から進入した遊技球が(N+1)個の抽選口のいずれか一つに受け入れられる確率が均等であるときには、当り口とハズレ口との比率は1対3以上であることが好ましく、さらには1対4以上であることが好ましい(理由は後述する)。
なお、遊技領域を流下する遊技球が上記受入口に受け入れられたことに基づいて大当り抽選を行い、この大当り抽選に当選したときには、上記役物抽選を行うことなく(または役物抽選を行って当該役物抽選の結果がハズレであったとしても)、大当り遊技が実行されるようにしてもよい。このとき、上記受入口への遊技球の受け入れに基づいて大当り抽選が行われ、当該大当り抽選の結果がハズレであるときに、上記進入抽選が行われるようにするとよい。また、進入抽選が行われたときには、常に、特定の結果がえられるようにしてもよい。
このように、本遊技機は、ソフトウェア制御により内部的に行われる抽選処理とは違って、役物抽選の抽選過程を視認できるので、抽選処理に対して遊技者に与える不信感を軽減できるだけでなく、大当り遊技が行われるまでの過程に面白みを持たせることができる。
さらに、本遊技機は、通常状態の他に、高頻度抽選状態(時短遊技状態)と低頻度抽選状態(微時短遊技状態)とを含む遊技状態のうちいずれかに制御する抽選状態制御手段(通常遊技状態制御手段、時短遊技状態制御手段または微時短遊技状態制御手段として機能する普通図柄変動パターン選択手段2552)を備えている。高頻度抽選状態は、通常状態よりも高い頻度で役物抽選手段による役物抽選が行われうる状態であり、低頻度抽選状態は、高頻度抽選状態よりも低い頻度でしか役物抽選手段による役物抽選が行われえない状態である。なお、「通常状態よりも高い頻度で役物抽選手段による役物抽選が行われうる」手法としては、例えば、受入口への遊技球の受け入れが通常状態よりも容易化されること等が考えられる。
また、本遊技機は、役物抽選がその抽選過程を視認できるかたちで行われるにもかかわらず、低頻度抽選状態では、役物抽選手段の作動態様に変化をもたせることなく、役物抽選の当選確率を把握することが困難なかたちで、通常状態における所定の確率よりも高い確率で当選されるように役物抽選手段が作動される高期待状態(高期待状態を実現する時短時決定手段2574、入賞口開閉制御手段2570及び可動役物駆動制御手段2583によって制御される遊技者に有利な状態)に制御する秘密裡低頻度高期待制御手段(状態に応じてインターバル時間の決定方法を変えるインターバルパターン決定手段2572、および、状態が異なっても回転式振分装置1709を同じような態様で作動させる可動役物駆動制御手段2583の両方を含む概念)を備えている。
上記の低頻度抽選状態は、高頻度抽選状態が終了したのちに、所定の期間に限って制御するようにするとよい。高頻度抽選状態は、例えば大当り遊技が終了したのちの所定期間に限って制御される状態であり、大当り遊技が終了したとしても、この高頻度抽選状態の間に再び大当り遊技が行われることを期待して遊技を行う遊技者が多い。言い換えると、高頻度抽選状態の間に大当り遊技が発生することなく当該高頻度抽選状態が終了すると、遊技者は、遊技意欲を喪失してしまいかねない。この点、高頻度抽選状態が終了したのちに、高頻度抽選状態と比べて役物抽選が行われうる頻度が少なくなるものの通常状態よりも高い確率で役物抽選が行われるようにすると、遊技者は、たとえ高頻度抽選状態が終了したとしても、遊技意欲の喪失を抑制することが可能となる。しかも、上述したように、低頻度抽選状態では、役物抽選の当選確率を把握することが困難なかたちで高期待状態に制御されるので、低頻度抽選状態の終期を把握することが困難となる。つまり、役物抽選における当選確率が高められた高期待状態となる低頻度抽選状態が終了して通常状態にいたったとしても、遊技者は、高期待状態が未だ継続しているのではないかといった期待感を持って遊技を行うことができる。なお、低頻度抽選状態では、高頻度抽選状態よりも高い確率で当選されるように役物抽選手段が作動されるようにすると、高頻度抽選状態が終了したとしても遊技者に与えうるガッカリ感を軽減できる点においてより好ましい。
このように、本遊技機の低頻度抽選状態において、役物抽選手段を通常状態と高期待状態とで同じような態様で作動させることで、抽選過程を視認できるかたちで役物抽選が行われるにもかかわらず、役物抽選手段の作動態様からは、高期待状態にあるか否かを把握し難くして、高期待状態にあることを秘密裡にしうる秘密裡低頻度高期待制御手段(状態に応じてインターバル時間の決定方法を変えるインターバルパターン決定手段2572、および、状態が異なっても回転式振分装置1709を同じような態様で作動させる可動役物駆動制御手段2583の両方を含む概念)を有している。この秘密裡低頻度高期待制御手段は、高期待状態にあるか否かにかかわらず、役物抽選を行うに際し、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、同じタイミングで同じ位置から当り口の変位を開始する。そしてさらには、高期待状態であっても通常状態と同じような周期的な動きをもって当り口を変位させる。このようにして、役物抽選手段の作動態様からは、高期待状態にあるか否かを把握することが難しくされている。
また、秘密裡低頻度高期待制御手段は、所定の進入口から進入した遊技球が当り口に受け入れられる確率が高められるように、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示手段に表示されてから特定の待機時間が経過したのちに、進入許容制御手段により所定の進入口が開放されるようにしている。上記の特定の待機時間は、上記の複数の待機時間のうち、所定の進入口から進入した遊技球が当り口に受け入れられる確率が他の待機時間よりも高められる時間である。すなわち、役物抽選が行われるに際し、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、同じタイミング(進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示されたタイミング)で同じ位置(特定位置)から当り口の変位が開始されるにもかかわらず、進入口から進入した遊技球が通常状態における所定の確率((N+1)分の1)よりも高い確率で当り口に受け入れられるようになる。このように、役物抽選が行われるに際し、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、同じタイミングで同じ位置から当り口の変位が開始されるにもかかわらず、進入口から進入した遊技球が通常状態における所定の確率よりも高い確率で当り口に受け入れられる理由は、以下のとおりである。
すなわち、上述したように、通常状態では、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示されたときを起点として、複数の待機時間のうち選択されたいずれかの待機時間が経過したときに、上記の所定の進入口が開放される。これにより、通常状態では、所定の進入口が、都度異なるように変化をもたせて開放されることとなる。これに対し、高期待状態では、上記複数の待機時間のうち特定の待機時間のみが選択されることとなる。この高期待状態において選択されうる特定の待機時間は、上記の所定の進入口が開放されたときに進入した遊技球が、当り口に受け入れられる確率が高められる時間である。例えば、1つの当り口とN個(3以上の自然数が好ましい)のハズレ口とのうち、1つの当り口及び当該当り口に隣接する2つの当り口のうちいずれかの口に、上記所定の進入口から進入した遊技球が受け入れられるように待機時間が選択されると、上記所定の進入口から進入した遊技球が当り口に受け入れられる確率は、通常状態では(1+N)分の1であったものが、高期待状態では3分の1に高められることとなる。これが、上述した当り口とハズレ口との比率が1対4以上であることが好ましい理由である。つまり、通常状態では、所定の進入口から遊技球が進入した時点で、当り口に受け入れられないことを、所定の進入口に遊技球が進入したタイミングに基づいて容易に察知できることがありえる。ただし、本実施形態のパチンコ機1によると、高期待状態では、役物抽選手段の作動態様からは通常状態にあるか高期待状態にあるかを把握し難いにもかかわらず、所定の進入口から進入した遊技球は、当り口または当該当り口に隣接するハズレ口に受け入れられる(すなわち、たとえハズレであったとしても当り口に隣接するハズレ口に受け入れられる)可能性が高くなり、興趣の低下を抑制できる。
このように、本遊技機では、抽選過程を視認できるかたちで役物抽選が行われるにもかかわらず、当り口が変位される作動態様(すなわち役物抽選手段の作動態様)からは、高期待状態にあるか否かを把握することが困難となるようにされている。これにより、遊技者の遊技意欲がそがれることなく、遊技者は、常に高期待状態にあることに期待感を抱きながら遊技を行うことが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。とくに、大当り遊技が終了したのちの有期の高頻度抽選状態が終了したのちの低頻度抽選状態において高期待状態とされる遊技機では、高頻度抽選状態において大当り遊技が発生することなる当該高頻度抽選状態が終了したとしても、遊技意欲ひいては大当り遊技が実行される期待感の喪失が軽減されるので、遊技機全体における興趣の低下を抑制することができる。
また、上記の技術思想1は、本遊技機の技術思想と核となる部分をあらわしたが、上記に説明した本遊技機は、さらに詳しくは、例えば以下の技術思想2のようにあらわすことができる。
技術思想2に記載の遊技機は、所定の画像が表示される表示手段と、遊技領域を流下する遊技球を受け入れ可能な受入口と、前記受入口への遊技球の受け入れに基づいて所定の抽選を行う抽選手段と、前記抽選手段にて特定の結果がえられたことに基づいて、常には閉鎖されている所定の進入口を開放することによって、当該所定の進入口への遊技球の進入を許容する進入許容制御手段と、前記表示手段にて少なくとも前記進入抽選の結果を示す画像が表示されるように制御する表示制御手段と、所定の態様で作動し、前記所定の進入口から進入した遊技球を受け入れ可能な受入位置にて、当該所定の進入口から進入した遊技球を、通常状態では所定の確率をもって受け入れうる当り口に受け入れたときに当選とされる役物抽選を、その抽選過程を視認できるかたちで所定の頻度で行いうる役物抽選手段と、前記所定の進入口から進入した遊技球が前記当り口に受け入れられたことに基づいて、大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段とを備える遊技機であって、前記役物抽選手段は、前記進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、当該画像が表示されたのちの同じタイミングで作動を開始するとともに、前記進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が前記表示手段に表示されてから前記所定の進入口から遊技球が進入するまでの時間に、前記役物抽選の結果が依存しうるように当該役物抽選を行い、当該役物抽選を行うにあたり、前記通常状態では、前記進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が前記表示手段に表示されてから、都度異なる所定の待機時間を経たのちに前記所定の進入口が開放されることで、前記進入口から進入した遊技球が所定の確率でしか前記当り口に受け入れられないようにするものであり、さらに、前記通常状態よりも高い頻度で前記役物抽選手段による前記役物抽選が行われうる高頻度抽選状態、及び、該高頻度抽選状態よりも低い頻度でしか前記役物抽選手段による前記役物抽選が行われえない低頻度抽選状態、を含む遊技状態のうちいずれかに制御する抽選状態制御手段と、前記役物抽選がその抽選過程を視認できるかたちで行われるにもかかわらず、前記低頻度抽選状態においては、当該役物抽選の当選確率を把握することが困難なかたちで、前記通常状態における前記所定の確率よりも高い確率で当選されるように前記役物抽選手段が作動される高期待状態に制御する秘密裡低頻度高期待制御手段とを備え、前記秘密裡低頻度高期待制御手段は、前記所定の進入口から進入した遊技球が前記当り口に受け入れられる確率が高められるように、前記進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が前記表示手段に表示されてから特定の待機時間が経過したのちに、前記進入許容制御手段により前記所定の進入口が開放されるようにし、前記抽選過程を視認できるかたちで前記役物抽選が行われるにもかかわらず、前記低頻度抽選状態においては、前記高期待状態にあるか前記通常状態にあるかを把握することが困難なかたちで前記高期待状態に制御されるようにしたものである。