JP2011245303A - カテーテルベースの器具における正確な顎閉鎖力 - Google Patents

カテーテルベースの器具における正確な顎閉鎖力 Download PDF

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Abstract

【課題】外科手術用器具を提供すること。
【解決手段】ハウジング;組織を外科的に操作するように作動可能なエンドエフェクタであって、対向可能な第一の顎部材および第二の顎部材を備え、該顎部材は、組織を受容するための開構成から、組織を操作するための閉構成へと運動可能である、エンドエフェクタ;該ハウジングと該エンドエフェクタとの間に延びる細長シャフトであって、長手方向軸を規定し、該細長シャフトは、該長手方向軸に対する整列した構成および関節運動した構成をさらに規定する、細長シャフト;ならびに第一のばねおよび駆動ワイヤを備える駆動アセンブリであって、該開構成と該閉構成との間での該顎部材の運動を誘導するように構成され、約3kg/cm〜約16kg/cmの範囲の閉鎖圧を、該整列した構成と該関節運動した構成との間で維持するようにさらに構成される、駆動アセンブリを備える、外科手術用器具。
【選択図】図1

Description

本開示は、関節運動する外科手術用器具の顎部材を遠隔起動するための装置に関する。特に、この装置は、この器具の近位端から遠位端へと力を適切に伝達して、顎部材間に組織を適切にクランプするための、駆動機構を備える。
腹腔鏡外科手術手順において代表的に、小さい切開または穿孔が患者の身体に作製される。次いで、カニューレがこの切開を通して体腔に挿入され、このカニューレは、種々の外科手術用デバイス(例えば、鋏、解剖器具、レトラクタ、または類似の器具)を挿入するための通路を提供する。カニューレを通しての操作性を容易にするために、腹腔鏡外科手術のために適合された器具は代表的に、比較的狭いシャフトを備え、このシャフトは、その遠位端にエンドエフェクタを支持し、そしてその近位端にハンドルを支持する。このような器具のシャフトをこのカニューレに通して配置することによって、外科医は、この近位ハンドルを身体の外側から操作して、この遠位のエンドエフェクタに、離れた内部外科手術部位において外科手術手順を実施させることが可能である。
関節運動する腹腔鏡器具または内視鏡器具は、特定の外科手術手順に適したある種の操作性を外科医に提供し得る。この器具は、このエンドエフェクタが器具の軸と整列してこのカニューレを通る挿入を容易にし得るように、そしてその後、このエンドエフェクタが、組織を適切に係合するために必要であるように関節運動、旋回または軸からずれた動きをし得るように、構成され得る。関節運動する器具のエンドエフェクタが、組織を把持するための1対の顎部材(例えば、電気外科鉗子の顎部材)を備える場合、力伝達機構(例えば、駆動ワイヤ)が、これらの顎部材を開閉させるために提供され得る。例えば、この駆動ワイヤは、この器具のシャフトを通って、ハンドルから顎部材まで延び得、その結果、外科医は、この駆動ワイヤに引きずり力を発生させ得、この引きずり力は、この駆動ワイヤを予め決定された距離だけ近位に引く。この駆動ワイヤの引きずり力は、顎部材に作用する引っ張り力をもたらし、これらの顎部材を、この駆動ワイヤの移動距離により決定される距離だけ互いに閉鎖させるように動かす。その結果、この駆動ワイヤの近位への動きは、これらの顎部材の回転運動に変換される。その結果、これらの顎部材に発生する閉鎖力またはクランプ力は、これらの顎部材に作用する引っ張り力、およびこの駆動ワイヤの移動距離に関連する。
電気外科鉗子などの器具は、通常、観血外科手術手順および内視鏡外科手術手順において使用されて、組織を凝固させ、焼灼し、そして封止する。電気外科鉗子の使用の詳細な議論は、Dycusらに対する特許文献1に見出され得る。このような鉗子は代表的に、標的組織を把持するために外科医により制御され得る、1対の顎部材を備える。これらの1対の顎部材は、電気エネルギーまたはRFエネルギーの印加により、小さい直径の血管、脈管束または任意の2層の組織を凝固させるか、焼灼するか、または封止するために充分な閉鎖力を、これらの顎部材間に発生させる。これらの2つの層は、これらの顎部材によって一緒に把持されてクランプされ得、そして適切な量の電気外科エネルギーが、これらの顎部材を通して印加され得る。この型の手順により代表的に発生する閉鎖力は、関節運動する顎部材を代表的な駆動ワイヤを使用して開閉させる場合に、困難性を提示し得る。
例えば、外科医が顎部材を閉じようとする努力は、この器具の関節運動に起因して、失敗し得る。この器具がその関節運動した構成にある場合、駆動ワイヤは、この器具の関節運動したシャフトと接触し得、従って、これらの顎部材に作用する引っ張り力を減少させる摩擦を発生させ得る。さらに、整列した構成において、これらの顎部材を完全に閉じるために駆動ワイヤが移動する必要がある距離は、関節運動した構成においてのその距離と異なる。
米国特許第7,255,697号明細書
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ハウジング;
組織を外科的に操作するように該ハウジングから作動可能なエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、対向可能な第一の顎部材および第二の顎部材を備え、該顎部材は、組織を受容するための開構成から、組織を操作するための閉構成へと運動可能である、エンドエフェクタ;
該ハウジングと該エンドエフェクタとの間に延びる細長シャフトであって、該細長シャフトは、長手方向軸を規定し、そして該細長シャフトは、該長手方向軸に対する整列した構成および関節運動した構成をさらに規定する、細長シャフト;ならびに
第一のばねおよび駆動ワイヤを備える駆動アセンブリであって、該駆動アセンブリは、該開構成と該閉構成との間での該顎部材の運動を誘導するように構成されており、該駆動アセンブリは、約3kg/cm〜約16kg/cmの範囲の閉鎖圧を、該細長シャフトの該整列した構成と該関節運動した構成との間で維持するようにさらに構成されている、駆動アセンブリ、
を備える、外科手術用器具。
(項目2)
上記第一のばねが、上記整列した構成と上記関節運動した構成との間で一貫した閉鎖圧を維持するような大きさにされたばね定数を規定する、上記項目に記載の外科手術用器具。
(項目3)
上記ばね定数が、上記細長シャフトが上記関節運動した構成にあるときに、上記開構成と上記閉構成との間での上記顎部材の運動を誘導するような大きさにされている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目4)
上記ばね定数が、上記細長シャフトが上記整列した構成にあるときに、上記開構成と上記閉構成との間での上記顎部材の運動を誘導するような大きさにされている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目5)
上記細長シャフトが近位部分および遠位部分を備え、該近位部分は、上記ハウジングから延び、そして該遠位部分は、少なくとも1つの関節運動接合部によって、該近位部分に接続されており、その結果、該遠位部分は、上記整列した構成と上記関節運動した構成との間で運動可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目6)
上記細長シャフトが可撓性材料から作製されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目7)
上記駆動アセンブリが、上記駆動ワイヤの周囲を囲む管をさらに備え、該管は、間隔を空けた複数の突出部を該管の内壁に規定し、該間隔を空けた突出部は、上記細長シャフトが上記関節運動した構成で配置されているときに、該駆動ワイヤの並進中に該駆動ワイヤを該管の中心に維持するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目8)
上記管の内壁の上記間隔を空けた突出部が、上記細長シャフトの摩擦係数よりかなり低い摩擦係数を有する、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目9)
ハウジング;
組織を外科的に操作するように該ハウジングから作動可能なエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、対向可能な第一の顎部材および第二の顎部材を備え、該顎部材は、組織を受容するための開構成から、組織を操作するための閉構成へと運動可能である、エンドエフェクタ;
該ハウジングと該エンドエフェクタとの間に延びる細長シャフトであって、該細長シャフトは、長手方向軸を規定し、そして該細長シャフトは、該長手方向軸に対する整列した構成および関節運動した構成をさらに規定する、細長シャフト;ならびに
第一のばねおよび駆動ワイヤを備える駆動アセンブリであって、該駆動アセンブリは、該開構成と該閉構成との間での該顎部材の運動を誘導するように構成されており、該駆動アセンブリは、約3kg/cm〜約16kg/cmの範囲の閉鎖圧を、該細長シャフトの該整列した構成と該関節運動した構成との間で維持するようにさらに構成されている、駆動アセンブリ、
を備え、該駆動アセンブリは、該駆動ワイヤおよび該エンドエフェクタに接続されたクラッチアセンブリをさらに備え、該クラッチアセンブリは、一貫した閉鎖圧を、該細長シャフトの該関節運動した構成と該整列した構成との間で維持する、外科手術用器具。
(項目10)
上記クラッチアセンブリは、上記対向可能な第一の顎部材および第二の顎部材に対して、一定の閉鎖力を付与する、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目11)
上記クラッチアセンブリは、上記駆動ワイヤに接続されたクラッチ、および該クラッチと上記エンドエフェクタとの間に配置された第二のばねを備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目12)
予め決定された量を超える駆動力が上記クラッチに加えられると、該クラッチが滑る、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目13)
上記クラッチが、上記駆動力を低下した量の被駆動力に変換し、該被駆動力が上記第二のばねに加えられる、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目14)
上記第二のばねが、予め決定された距離だけ伸びるように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目15)
上記クラッチおよび上記第二のばねが、上記エンドエフェクタに対して直線状に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目16)
上記クラッチアセンブリが、上記エンドエフェクタに対して横方向に配置された摩擦プレートおよび第二のばねを備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目17)
ハウジング;
組織を外科的に操作するように該ハウジングから作動可能なエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、対向可能な第一の顎部材および第二の顎部材を備え、該顎部材は、組織を受容するための開構成から、組織を操作するための閉構成へと運動可能である、エンドエフェクタ;
該ハウジングと該エンドエフェクタとの間に延びる細長シャフトであって、該細長シャフトは、長手方向軸を規定し、そして該細長シャフトは、該長手方向軸に対する整列した構成および関節運動した構成をさらに規定する、細長シャフト;ならびに
第一のばねおよび駆動ワイヤを備える駆動アセンブリであって、該駆動アセンブリは、該開構成と該閉構成との間での該顎部材の運動を誘導するように構成されており、該駆動アセンブリは、約3kg/cm〜約16kg/cmの範囲の閉鎖圧を、該細長シャフトの該整列した構成と該関節運動した構成との間で維持するようにさらに構成されている、駆動アセンブリ、
を備え、該駆動アセンブリは、転がり機構をさらに備え、該転がり機構は、該第一のばねに接続されたローラベアリング特徴、該細長シャフトの該遠位端に接続された制御ワイヤ、レバー、および第二のばねを備え、該レバーの第一の端部は、該ローラベアリング特徴に接続されており、該レバーの第二の端部は、該制御ワイヤに接続されており、そして第二のばねの第一の端部は、該ローラベアリング特徴に接続されており、該第二のばねの第二の端部は、該駆動ワイヤに接続されており、該転がり機構は、該細長シャフトの該関節運動した構成と該整列した構成との間で一貫した閉鎖力を維持するように構成されている、外科手術用器具。
(項目18)
前記細長シャフトが前記関節運動した構成にあるときに、前記制御ワイヤが張力を加えられている、上記項目に記載の外科手術用器具。
(項目19)
前記制御ワイヤおよび前記レバーが、前記第一のばねの過剰圧縮に起因する前記駆動ワイヤの近位への移動を制限する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目20)
前記ローラベアリング特徴が、前記駆動ワイヤの近位への移動を容易にする、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(摘要)
外科手術用器具は、ハウジング、エンドエフェクタ、およびこのハウジングとこのエンドエフェクタとの間に延びる細長シャフトを備える。このエンドエフェクタは、開構成と閉構成との間で運動可能である。この細長シャフトは、整列した構成と関節運動した構成との間で運動可能な遠位部分を備える。この外科手術用器具は、駆動アセンブリをさらに備え、この駆動アセンブリは、開構成と閉構成との間でのエンドエフェクタの動きを誘導し、そして約3kg/cm〜約16kg/cmの範囲の閉鎖圧を、この細長シャフトの整列した構成と関節運動した構成との間で維持する。
(要旨)
本開示は、内視鏡外科手術用器具を記載し、この内視鏡外科手術用器具は、ハウジング、エンドエフェクタ、細長シャフトおよび駆動アセンブリを備える。このエンドエフェクタは、組織を外科的に操作するために、このハウジングから作動可能である。このエンドエフェクタは、2つの対向可能な顎部材を備え、これらの顎部材は、これらの顎部材間に組織を受容するための開構成から、組織を操作するための閉構成へと運動可能である。この細長シャフトは、このハウジングとこのエンドエフェクタとの間に延びる。この細長シャフトは、このハウジングに結合された近位部分、このエンドエフェクタに結合された遠位部分、およびこの近位部分とこの遠位部分との間の関節運動接合部を備える。この近位部分は、長手方向軸を規定する。この関節運動接合部は、この遠位部分を、この長手方向軸に対して整列した構成と関節運動した構成との間で動かすように適合される。この駆動アセンブリは、駆動ワイヤに接続された第一のばねを備える。この駆動アセンブリは、開構成と閉構成との間での顎部材の動きを誘導するように構成される。この駆動アセンブリは、約3kg/cm〜約16kg/cmの範囲の閉鎖圧を、この細長シャフトの整列した構成と関節運動した構成との間で維持する。
1つの実施形態において、この第一のばねは、約3kg/cm〜約16kg/cmの範囲の閉鎖圧を、整列した構成と関節運動した構成との間で維持するような大きさにされた、ばね定数を規定する。
別の実施形態において、この駆動アセンブリは、駆動ワイヤとエンドエフェクタとの間に配置されたクラッチアセンブリを備える。このクラッチアセンブリは、この駆動ワイヤに接続されたクラッチ、およびこのクラッチとこのエンドエフェクタとの間に配置された第二のばねを備える。このクラッチアセンブリは、整列した構成と関節運動した構成との間で、一貫した閉鎖圧を付与する。
この駆動アセンブリはまた、この駆動ワイヤの周囲を囲む管を備え得る。この管は、その内壁に、間隔を空けた複数の突出部を規定する。これらの間隔を空けた突出部は、細長シャフトが関節運動した構成に配置されているときに、駆動ワイヤの並進中に、この駆動ワイヤをこの管の中心に維持するように構成される。この管の内壁の間隔を空けた突出部は、細長シャフトの摩擦係数よりかなり低い摩擦係数を有する。
特定の実施形態において、この駆動アセンブリは、転がり機構を備える。この転がり機構は、第一のばねに接続されたローラベアリング特徴、細長シャフトの遠位端に接続された制御ワイヤ、レバーおよび第二のばねを備える。このレバーの第一の端部は、このローラベアリング特徴に接続されており、そして第二の端部は、この制御ワイヤに接続されている。この第二のばねの第一の端部は、このローラベアリング特徴に接続されており、そして第二の端部は、駆動ワイヤに接続されている。この転がり機構は、関節運動した構成と整列した構成との間で、一貫した閉鎖力を維持する。
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、そして以下に与えられる実施形態の詳細な説明と一緒になって、本開示の原理を説明する役に立つ。
図1は、本開示の1つの実施形態に従う、関節運動する外科手術用器具の斜視図である。 図2は、関節運動した構成にある図1の器具の、遠位関節運動セクションの拡大斜視図である。 図3は、内部作業構成要素を示す、図1の関節運動する外科手術用器具の断面である。 図4は、両側性の動きのために構成された外科手術用器具の1つの実施形態のエンドエフェクタの斜視図である。 図5は、片側性の動きのために構成された外科手術用器具の別の実施形態のエンドエフェクタの斜視図である。 図6Aは、開構成にあるエンドエフェクタを示す、図1の関節運動する外科手術用器具の断面である。図6Bは、閉構成にあるエンドエフェクタを示す、図1の関節運動する外科手術用器具の断面である。 図7Aは、駆動ワイヤの近位への移動中の、図1の器具の先行技術の遠位関節運動セクションの拡大斜視図である。 図7Bは、直線経路の分割された成分により近似された、関節運動した経路の概略図である。 図8Aおよび図8Bは、本開示の1つの実施形態に従う駆動ワイヤに接続されたばねの概略図である。 図9Aは、本開示の別の実施形態に従うクラッチアセンブリの概略図である。 図9Bは、クラッチアセンブリの別の実施形態の斜視図の概略図である。 図9Cは、図9Bのクラッチアセンブリの断面の概略図である。 図10は、本開示の別の実施形態に従う駆動ワイヤの周囲を囲む管の概略図である。 図11Aは、本開示の別の実施形態に従う、整列した構成にある駆動ワイヤに接続された転がり機構の概略図である。 図11Bは、関節運動した構成にある、図11Aの転がり機構の概略図である。
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照しながら本明細書中に記載される。図面に示され、そして以下の説明全体に記載されるように、慣用的であるように、物体の相対位置に言及する場合、用語「近位」または「後」とは、その装置の使用者に近い方の端部をいい、そして用語「遠位」または「前」とは、その装置の使用者から遠い方の端部をいう。本開示を不必要な細部において曖昧にすることを割けるために、以下の説明において、周知の機能または構成は、詳細には記載されない。
最初に図1を参照すると、電気外科器具の1つの実施形態が、一般に10として図示されている。器具10は、細長シャフト16を通してエンドエフェクタ14を遠隔的に支持するハウジング12を備える。
細長シャフト16は、ハウジング12から延びる近位部分18、およびエンドエフェクタ14を支持する関節運動する遠位部分20を備える。近位部分18は、長手方向軸A−Aを規定し、そしてエンドエフェクタ14をカニューレ(図示せず)に通して配置するために充分に長い。関節運動する遠位部分20は、1つ以上の接合部22を、細長シャフト16の近位部分18とエンドエフェクタ14との間に規定して、エンドエフェクタ14が長手方向軸A−Aに対して関節運動または旋回することを可能にする。エンドエフェクタ14は、エンドエフェクタ軸B−Bを規定し、このエンドエフェクタ軸は、長手方向軸A−Aと整列して、エンドエフェクタ14をカニューレ(図示せず)に挿入すること、およびその後、エンドエフェクタ14を患者の身体内の外科手術部位に対して配向させるように運動させることを容易にし得る。図1に図示されるように、エンドエフェクタ軸B−Bが近位部分18の長手方向軸A−Aと整列しているとき、細長シャフト16は、整列した構成にある。逆に、図2に図示されるように、エンドエフェクタ軸B−Bが近位部分18の長手方向軸A−Aに対して矢印「R1」により示される方向に旋回しているとき、細長シャフト16は、関節運動した構成にある。細長シャフト16は、硬い材料から作製され得る。あるいは、細長シャフト16は、可撓性材料から作製され得る(例えば、管内型の手順のためのカテーテルベースの器具において)。
図1を続けて参照すると、エンドエフェクタ14は、1対の対向する顎部材30および32を備える。顎部材30および32は、組織を受容するための開構成と、組織をクランプしてこの組織に適切な閉鎖圧を付与するための閉構成との間で運動するように、ハウジング12から操作可能である。エンドエフェクタ14が開構成にある場合、顎部材30および32の各々の遠位部分は、顎部材30および32の他方の遠位部分から間隔を空けている。エンドエフェクタ14が閉構成にある場合、顎部材30および32の遠位部分は、より接近している。エンドエフェクタ14は、両側性の動きのために構成され、この場合、図4に関して以下でさらに議論されるように、顎部材30と32との両方が、エンドエフェクタ軸B−Bに対して、開構成と閉構成との間で運動する。片側性の動きもまた想定され、この場合、図5に関して以下で詳細に議論されるように、顎部材30および32のうちの一方(例えば、顎部材32)がエンドエフェクタ軸B−Bに対して静止したままであり、そして顎部材30および32のうちの他方(例えば、顎部材30)がエンドエフェクタ軸B−Bに対して運動可能である。
図1に最もよく見られるように、器具10は、電気インターフェースまたはプラグ80を備え、この電気インターフェースまたはプラグは、器具10を電気外科エネルギーの供給源(例えば、発電機(図示せず))に接続する。電気ケーブル82が、プラグ80からハウジング12へと延び、このハウジングは、ケーブル82を器具10にしっかりと接続する。電気ケーブル82は、顎部材30および32のうちの少なくとも一方と電気的に連絡しており、その結果、発電機により供給される電気外科エネルギーは、エンドエフェクタ14にクランプされた組織に送達され得る。
ハウジング12は、操作者による操作に応答してエンドエフェクタ14のこれらの動きおよび他の動きを誘導する、種々のアクチュエータを備える。例えば、回転アセンブリ40の起動は、細長シャフト16を回転させ、これは次に、エンドエフェクタ14を時計回り方向または反時計回り方向に回転させて、組織を操作および把持する。ハウジング12は、図3に示されるように、ハンドルアセンブリ50および駆動アセンブリ60をさらに備え、これらは一緒になって、対向する顎部材30および32の、互いに対する運動を付与して、これらの顎部材の間に組織を把持させる。
図3を参照すると、ハンドルアセンブリ50は一般に、以下の要素からなる四棒機械的連結部(four−bar mechanical linkage)として特徴付けられ得る:可動ハンドル51、リンク52、静止ハンドル54により構成されるカム様リンク53およびベースリンク、ならびに1対の旋回点55および56。カム様リンク53は、上カムピストン57、固定旋回軸58およびハンドル旋回軸59を備える。四棒機械的連結部として示されているが、本開示は、当該分野において公知であるような、顎部材30と32との相対運動を行うための、他の連結部を想定する。一旦、起動されると、可動ハンドル51は、ほぼ円弧の様式で静止ハンドル54に向かって移動し、この移動は、リンク52を旋回軸55および56の周りで近位に回転させ、この回転は次に、カム様リンク53を、旋回軸58および59の周りでほぼ近位方向に回転させる。カム様リンク53の移動は、以下でより詳細に説明されるように、駆動アセンブリ60に動きを付与する。
駆動アセンブリ60は、ばねマウント64の頂部に設置されたコイルばね62を備える。ばねマウント64は、その近位端に円形フランジ65を備え、この円形フランジは、一旦、ばね62がハウジング12に入れられると、コイルばね62の近位端を付勢するような寸法にされる。ばねマウント64の遠位端は、圧縮タブ66を有し、この圧縮タブは、コイルばね62の遠位端を付勢するような寸法にされる。一旦、組み立てられると、ばね62は、ハンドルアセンブリ50の起動の際にばねマウント64の頂部で圧縮されるように、釣り合いを取られる。駆動アセンブリ60は、ばねマウント64内にスライド可能に配置された圧縮スリーブ67、およびエンドエフェクタ14とハウジング12との間を接続する細長シャフト16を通って延びる駆動ワイヤ68をさらに備える。圧縮スリーブ67の遠位端は、駆動ワイヤ68の近位端を係合し、その結果、圧縮スリーブ67の近位への移動は、駆動ワイヤ68を近位方向に起動させる。駆動ワイヤ68の近位への移動は、図4および図5に関して以下にさらに説明されるように、顎部材30と32とを組織の周りで閉じさせる。
図3に最もよく見られるように、カムピストン57は、圧縮タブ66と当接する関係で釣り合いを取られ、その結果、ハンドルアセンブリ50の移動は、カムピストン57をコイルばね62に逆らって近位に回転させる。より具体的には、ハンドルアセンブリ50の移動によるカムピストン57の移動は、圧縮タブ66を近位に移動させ、この移動は次に、コイルばね62を圧縮し、そして圧縮スリーブ67を近位に移動するように起動させる。圧縮スリーブ67の近位への移動は、駆動ワイヤ68の近位への移動に変換され、これは次に、顎部材30および32の回転運動に変換される。駆動ワイヤの近位への移動を付与するハンドルアセンブリおよび駆動アセンブリを有する器具のより完全な記載は、Coutureらに対する米国特許第7,083,618号(本明細書中以下で、「Coutureの「618号」特許」)に見出され得る。
図4に図示されるような、エンドエフェクタ14が両側性の動きのために構成される実施例において、顎部材30および32は、旋回ピン71によって細長シャフト16に固定されている。これらの顎部材は、それらの近位端に配置された共通のカムピン72を有し、このカムピンは、細長シャフト16に規定された長手軸方向スロット73を横切って載るように構成される。長手軸方向スロット73を通るカムピン72の長手軸方向での往復運動は、顎部材30および32を、旋回ピン71の周りで、開構成と閉構成との間で回転させる。駆動ワイヤ68の遠位端は、カムピン72を収容するような寸法にされたピンスロット(図示せず)を規定し、その結果、駆動ワイヤ68の長手軸方向での往復運動は、カムピン72を長手軸方向スロット73に沿って並進させ、この並進は次に、顎部材30および32を旋回ピン71の周りで回転させる。より具体的には、駆動ワイヤ68の近位への移動は、顎部材30および32を閉構成にし、一方で、駆動ワイヤ68の遠位への移動は、顎部材30および32を開構成にする。両側性の動きのために構成されたエンドエフェクタを有する器具のより完全な説明は、Coutureの「618号」特許に見出され得る。
図5に図示されるような、エンドエフェクタ14が片側性の動きのために構成されている別の実施例において、顎部材32は、シャフト16に対して固定されており、一方で、他方の顎部材30は、旋回ピン74の周りで旋回して、組織を把持する。旋回する顎部材30は、移動止めまたは突出部76を備え、この移動止めまたは突出部は、顎部材30から、駆動スリーブ68’に形成された長手軸方向スロット75を通って延びる。旋回する顎部材30は、駆動スリーブ68’をシャフト16内で軸方向にスライドさせることによって起動されその結果、長手軸方向スロット75の遠位端77は、旋回する顎部材30の移動止め76に対して当接する。駆動スリーブ68’の近位への移動は、顎部材30および32を、これらの顎部材の間に把持された組織の周りで閉じ、一方で、駆動スリーブ68’の遠位への移動は、顎部材30および32を開く。片側性の動きのために構成されたエンドエフェクタを有する器具のより完全な記載は、Dycusらに対する米国特許第7,156,846号に見出され得る。
上記構成に基づいて、可動ハンドル51の移動は、四棒連結部を起動させ、この起動は次に、駆動アセンブリ60を起動させ、そして引き続いて、顎部材30および32を起動させる。より具体的には、可動ハンドル51が握られると、カム様リンク53が、四棒機械的連結部の機械的利点によって、旋回点58および59の周りでほぼ近位に回転し、その結果、カムピストン57が圧縮タブ66を付勢して、この圧縮タブが、ばね62をばねマウント64の円形フランジ65に対して圧縮する。同時に、図4および図5に関して上で説明されたように、駆動ワイヤ68(または駆動スリーブ68’)が圧縮スリーブ67によって近位に引かれ、これが次に、顎部材30および32を互いに対して閉じる。図1に図示されるように、矢印「T0」の方向への可動ハンドル51の移動は、顎部材30および32の、矢印「T1」の方向への、開構成から閉構成への移動を誘導する。他方で、可動ハンドル51が静止ハンドル54から離れると、顎部材30および32が閉構成から開構成へと移動する。
ハンドルアセンブリ50は、使用者がコイルばね62を特定の距離Δyだけ選択的に圧縮することを可能にし、これは次に、図6Aおよび図6Bに図示されるように、円形フランジ65を距離Δyだけ近位に押す。円形フランジ65の近位への移動は、ばねマウント64の近位への移動をもたらし、この移動は次に、圧縮スリーブ67の近位への移動をもたらし、その結果として、駆動ワイヤ68(または駆動スリーブ68’、本明細書中以下で、簡単にするために、駆動ワイヤ68と称される)の近位への距離Δyの移動をもたらす。駆動ワイヤ68の近位への移動は、図6Aおよび図6Bに図示されるように、カムピン72の、長手軸方向スロット73に沿って近位方向への距離Δyの長手軸方向移動に変換される。図6Aおよび図6Bに示されるように、距離Δyが長手軸方向スロット73の長さに対応する場合、ばね62の圧縮は、カムピン72を長手軸方向スロット73の全長にわたって移動させ、これによって、顎部材を完全に閉じる。さらに、ばね62の圧縮は、特定の負荷を駆動ワイヤ68に加える。図4に図示されるように、駆動ワイヤ68に対する特定の負荷は、最終的に、カムピン72に作用してピン72を近位に駆動する、引っ張り力Fpullingになる。駆動ワイヤ68に対する特定の負荷はまた、カムピン72により顎旋回軸71の周りで顎部材30および32により付与される、閉鎖力Fclosureに変換される。同様に、図5に関して、駆動スリーブ68’に対する特定の負荷は、移動止め76に作用してこの移動止めを近位に移動させる引っ張り力Fpullingになる。駆動スリーブ68’に対する負荷はまた、移動止め76により旋回ピン74の周りで顎部材30および32により付与される閉鎖力Fclosureに変換される。従って、エンドエフェクタ14が両側性の動きのために構成されるか片側性の動きのために構成されるかにかかわらず、駆動ワイヤ68の距離Δyの近位への移動は、対向する顎部材30および32の、開構成から閉構成への回転運動に変換され得、そして同時に、特定の閉鎖力を、対向する顎部材30および32に伝達する。
組織を顎部材30と32との間に効果的にクランプするために、比較的高いクランプ力が、代表的に発生させられて、約3kg/cm〜約16kg/cmの望ましい範囲内で、組織に閉鎖圧を付与する。この閉鎖圧は、2つの要因(すなわち、(1)顎部材30および32が閉構成にあるか否か、ならびに(2)顎部材30および32により付与される閉鎖力)により決定される。上で説明されたように、両方の要因が、駆動ワイヤ68の近位への移動(これは最終的に、ハンドルアセンブリ50によるコイルばね62の圧縮により決定される)により決定される。先行技術において、特に望ましい範囲内の閉鎖圧は、関節運動する器具が整列した構成にある場合、すなわち、図6Aおよび図6Bに図示されるように、駆動ワイヤ68と、細長シャフト16の関節運動する遠位部分20と、エンドエフェクタ14とが、同じ軸に沿って整列している場合に、容易に達成され得る。
しかし、先行技術において、関節運動する器具が図7Aに図示されるような関節運動した構成にある場合、距離Δyでのコイルばね62の圧縮は、もはや所望の閉鎖圧を与え得ない。関節運動に起因して、距離Δyでの直線運動は、関節運動した経路に沿った、新たに規定された距離Δy’での曲線運動に変換される。図7Bに示されるように、直線変位Δyは、無限数の直線セグメントy、y、y、・・・、y、・・・、yに分解され得、その結果、Δyは、以下の等式:
Δy=y+y+y+・・・+y+・・・+y
により定義される。
各直線セグメントyは、関節運動した経路に対する接線を表わす、分割された成分を含む。この関節運動した経路は、互いに接続されたその無限数の接線セグメントによって、近似され得る。従って、直線セグメントy、y、y、・・・、y、・・・、yの分割された成分の全ての合計は、関節運動した経路に沿って新たに規定された距離Δy’を近似する。図7Bに示されるように、各分割された成分は、その直線軸に対して角度θを形成し、従って、各直線変位yは、関節運動した経路に沿った、「y×cosθ」の変位に対応する。従って、関節運動した経路に沿って新たに規定された変位Δy’は、以下の等式:
Δy’=y・cosθ+y・cosθ+y・cosθ+・・・+y・cosθ+・・・+y・cosθ
により定義される。
従って、関節運動した経路に沿ったΔy’での曲線運動は、直線経路に沿ったΔyでの近位への移動よりかなり小さい。その結果、先行技術において、駆動ワイヤ68の近位へのΔyの距離での移動は、最終的に、図4に示されるような両側性エンドエフェクタにおいては長手軸方向スロット73に沿ったΔy’の距離のカムピン72の移動に変換されるか、または図5に示されるような片側性エンドエフェクタにおいては長手軸方向75に沿ったΔy’の距離の移動止め76の移動に変換される。両方の場合において、顎部材30および32はもはや、完全に閉じることができず、すなわち、適切な閉鎖圧で閉じることができない。むしろ、器具10が関節運動した構成にある場合、ばね62の圧縮は、顎部材30および32を、適切な閉鎖圧を生じるために必要とされるには不足である位置まで回転させ、上で確認された望ましい範囲より有意に低い閉鎖圧をもたらす。
さらに、先行技術において、器具10が図7Aに図示されるような関節運動した構成にある場合、駆動ワイヤ68が関節運動する遠位部分20内の表面に接触するので、駆動ワイヤ68は摩擦Ffrictionを受け、この摩擦は、駆動ワイヤ68により運ばれる負荷を減少させる。最終的に、関節運動した構成にある顎部材30および32により付与される閉鎖力Fclosureは、整列した構成における閉鎖力よりかなり低い。同じ理由により、この閉鎖圧は、所望の範囲より有意に低い。
なおさらに、関節運動した構成において、顎部材30および32が閉じそうにない場合、外科医は、大いに過剰量の力をハンドル51に加える傾向があり得る。しかし、ハンドル51の任意の過剰圧縮は、コイルばね62の過剰圧縮をもたらし得、これは、過剰な負荷を駆動ワイヤ68に与え、これは、顎部材30および32の互いに対する過剰な回転ならびに過剰に増加した閉鎖力をもたらし得、最終的に、所望の範囲を超える閉鎖圧をもたらし得る。
本開示は、関節運動した経路により引き起こされる距離および閉鎖力の損失または増加を補うための解決策を提供し、これによって、整列した構成と関節運動した構成との間で、所望の範囲内の一貫した閉鎖圧を維持する。
第一の実施形態において、図8Aおよび図8Bに概略的に図示されるように、コイルばね62は、器具10が可動ハンドル51を介する力の付与の際に関節運動する場合に、コイルばね62が距離ΔLだけ伸び得るようなばね定数を有する。距離ΔLは、関節運動に起因する変位の損失を補う。1つの例において、距離ΔLは、ΔyとΔy’との差に対応する。この構成に基づいて、駆動ワイヤ68は、さらなる距離ΔLだけ近位に動かされ、これによって、図4のカムピン72または図5の移動止め76が、関節運動した構成において、図4の長手軸方向スロット73または図5の長手軸方向スロット75の全長にわたって移動することを可能にし、これによって、顎部材30および32が、適切な圧力下で完全に閉じた構成に達することを可能にする。このばね定数はまた、駆動ワイヤ68の近位への移動中に、駆動ワイヤ68にさらなる負荷を提供するように設計され、これによって、器具10が関節運動した構成にある場合に、駆動ワイヤ68とシャフト16の関節運動する遠位セクション20との間の接触表面における摩擦に起因する、負荷の損失を補う。従って、約3kg/cm〜約16kg/cmの望ましい範囲内の一貫した閉鎖圧が、整列した構成から関節運動した構成で維持され得る。
別の実施形態において、図9Aに概略的に図示されるように、駆動アセンブリ60は、駆動ワイヤ68と顎部材30および32との間に配置されたクラッチアセンブリ83を備える。クラッチアセンブリ83は、クラッチ85およびばね88を備える。クラッチ85は、アナログクラッチ(analog clutch)であっても不連続クラッチ(discrete clutch)であってもいずれでもよい。クラッチ85は、回転旋回軸86を通してエンドエフェクタ14にしっかりと取り付けられる。駆動ワイヤ68が近位への移動で係合する場合、駆動ワイヤ68に対する任意の負荷が、クラッチ85に作用する駆動力Fdrivingを付与する。駆動力Fdrivingが予め決定された特定の値を超える場合、クラッチ85は回転旋回軸86の周りで滑る。クラッチ85が滑る間、駆動力Fdrivingは、複数のクラッチ歯87のうちの1つと遠位で接続するばね88に作用する被駆動力Fdrivenに変換される。クラッチ85は、予め決定された特定の値を超える任意の駆動力Fdrivingが、Fdrivingよりかなり低い特定の範囲内の被駆動力Fdrivenを付与するような設計比を有するように構成される。特定の範囲内の被駆動力Fdrivenは、ばね88を近位方向に予め決定された距離だけ伸ばし、この伸びは次に、顎部材30および32に対する一定の閉鎖力を誘導する。この予め決定された距離は、図4に図示される両側性構成においては、顎部材30および32を開構成から閉構成に移動させる目的でカムピン72が移動する必要がある長手軸方向スロット73の長さに対応するか、または図5に図示される片側性構成においては、顎部材30および32を開構成から閉構成に移動させる目的で移動止め76が移動する必要がある長手軸方向スロット75の長さに対応する。従って、クラッチアセンブリ83は、ばね62の過剰圧縮に起因して駆動ワイヤ68により送達される力のあらゆる増加を除き、これによって最終的に、顎部材30および32に対する一定の閉鎖力を生じさせる。さらに、過剰圧縮に起因する、駆動ワイヤ68による近位方向へのあらゆる過剰な変位もまた、クラッチアセンブリ83により減少させられ、顎部材30および32の互いに対する過剰な回転が回避される。その結果、クラッチアセンブリ83は、顎部材30と32との間にクランプされた組織に対する閉鎖圧が、3kg/cm〜約16kg/cmの望ましい範囲内に常に維持されることを確実にする。
図9Bおよび図9Cは一緒になって、クラッチアセンブリ83の別の実施形態を図示する。この実施形態において、クラッチアセンブリ83は、顎部材30または32にしっかりと取り付けられた、ねじりばね84および摩擦プレート89を備える。図9Aに図示されるクラッチアセンブリ83(顎部材32の近位に直線の様式で配置された要素を有する)とは異なり、摩擦プレート89およびねじりばね84は、図9Cに図示されるクラッチアセンブリ83の断面図に明瞭に示されるように、顎部材32に対して内部で横方向に配置されている。従って、顎部材32の側面の横空間がクラッチアセンブリ83を格納するという利点を利用することにより、この特定の実施形態は、より小さい物理的空間を使用する。ここで、ねじりばね84は、ねじれまたはよじれにより働くばねであり、その結果、このばねは、よじられる場合に機械的エネルギーを保存する。ねじりばね84が付与する力またはトルクの量は、このばねがよじられる量に比例する。すぐ上で議論されたクラッチ85と同様に、摩擦プレート89は、駆動ワイヤ68により送達される力のあらゆる増加に打ち勝つように滑るように設計され、これは次に、ばね84を予め決定された距離だけひねるかまたはひねりを解き、最終的に、顎部材30および32に対する一定の閉鎖力を誘導する。好ましい実施形態において、摩擦プレート89は、120psi(これは約8.437kg/cmである)の閉鎖圧を生じるように滑るように設計される。
図10は、関節運動中の駆動ワイヤに対する力の増加または減少を補うための、本開示の別の実施形態を示す。より具体的には、駆動アセンブリ60は、管90を備え得、この管は、細長シャフト16の長さに沿って延び、そして駆動ワイヤ68の周囲を囲む。管90は、細長シャフト16と駆動ワイヤ68との間の中間層として働く。管90は、細長シャフト16の摩擦係数よりかなり低い摩擦係数を有する材料から作製されて、管90および駆動ワイヤ68が動く際に、管90の内側表面と駆動ワイヤ68との間で、ほとんど無視できる摩擦を生じる。器具10が関節運動した構成にある場合、管90は、駆動ワイヤ68と細長シャフト16との間の直接の接触を防止する。この接触は、管を有さない先行技術において起こる。さらに、管90は、その内壁に、間隔を空けた複数の突出部91を規定し、これらの突出部は、駆動ワイヤ68に向かって内向きに突出する。突出部91は、管90と駆動ワイヤ68との間の接触面積を最小の程度まで減少させ、これによって、駆動ワイヤ68が並進中に受けるあらゆる接触摩擦をかなり減少させる。さらに、器具10が関節運動する場合、突出部91は、駆動ワイヤの並進中に駆動ワイヤ68を管90の中心に維持する。管90の物理的特性に起因して、摩擦に起因する駆動ワイヤ68の負荷の損失が、有意に最小にされる。従って、顎部材30および32により最終的に付与される閉鎖力Fclosureが最大にされる。管90の特徴は、第一の実施形態において議論されたようなばね特徴と組み合わせて実施され得、その結果、これらは一緒になって、器具の関節運動に起因する、変位の損失および顎部材が受ける負荷の損失を補う。
本開示の別の実施形態が、図11Aおよび図11Bに示されている。この実施形態において、駆動アセンブリ60は、ばね62と駆動ワイヤ68との間に配置された転がり機構100をさらに備え得る。転がり機構100は、ローラベアリング特徴102、旋回リンクまたはレバー103、可撓性制御ワイヤ104、およびばね105を備える。ローラベアリング特徴102は、互いに対して垂直な2つの構造体115および116を有する。水平構造体115は、ばね62(図示せず)に接続された近位端107を有する。垂直構造体116は、ばね105にしっかりと接続された頂端部106を規定する。旋回リンク103は、旋回点109においてハウジング12にしっかりと接続される。旋回リンク103は、可撓性制御ワイヤ104に接続された頂端部112、およびローラベアリング特徴102と往復運動可能に係合する底端部110を規定する。具体的には、旋回リンク103は、長手軸方向スロットを規定し、この長手軸方向スロットは、ローラベアリング特徴102のカムピン117とのスライド可能な係合を可能にするように構成され、その結果、カムピン117は、長手軸方向スロット117を横切ってスライドし得る。この構成に基づいて、旋回リンク103の回転運動は、ローラベアリング特徴102の近位への移動を付与および/または抑止し得る。可撓性制御ワイヤ104は、旋回リンク103の頂端部112とシャフト16の遠位端との間を接続する。
細長シャフト16が、図11Bに示されるような関節運動した構成にある場合、ばね62(図示せず)の圧縮は、ローラベアリング特徴102の近位への移動に変換され、これは次に、ばね105を近位に伸ばし、そして同時に、駆動ワイヤ68の近位への移動をもたらす。ばね105の伸長は、図4に示されるカムピン72または図5に示される移動止め76のさらなる近位への変位を提供し、これは、関節運動に起因する変位の損失を補う。さらに、伸長に起因してばね105により付与される力は、駆動ワイヤ68に対するさらなる負荷を提供し、これは、関節運動した構成において、駆動ワイヤ68と細長シャフト16との間の接触表面における摩擦により引き起こされる負荷の損失を補う。
細長シャフト16が関節運動する場合、可撓性制御ワイヤ104には張力が加わっており、旋回リンク103の遠位端112に力を付与し、これは次に、図11Bに図示されるように、旋回リンク103を固定旋回点109の周りで時計回り方向に旋回させる。固定旋回点109と頂端部112との間に規定される距離は、固定旋回点109と底端部110との間に規定される距離よりかなり小さいので、頂端部112における時計回り方向での小さい回転は、底端部110における比較的大きい近位への移動をもたらす。旋回リンク103が時計回り方向に回転すると、旋回リンク103の長手軸方向スロット111は、カムピン117の近位への移動を誘導し、これは次に、ローラベアリング特徴102の近位への移動を容易にする。旋回リンク103とローラベアリング特徴102との間の往復運動する関係に起因して、旋回リンク103がさらに回転し得ない場合に、カムピン117は、その最近位の位置に達し、ローラベアリング特徴102のさらなる近位への移動を防止する。要約すると、旋回リンク103は、ローラベアリング特徴102との係合により、ローラベアリング特徴102の近位への移動を容易にするが、一旦、ローラベアリング特徴102が予め決定された距離だけ近位に移動すると、ローラベアリング特徴102のさらなる近位への移動も防止する。従って、旋回リンク103および可撓性制御ワイヤ104は、一緒になって、ばね102の過剰圧縮に起因してばね105が過剰に伸びることを防止する。この構成は、閉鎖圧が、整列した構成と関節運動した構成との間で、約3kg/cm〜16kg/cmの所望の範囲内に常に維持されることを確実にする。さらに、この特定の実施形態は、より良好なばね設計を可能にし、そしてさらなる摩擦損失を補うための機構を提供する。
本開示の数個の実施形態が、図面に図示され、そして/または本明細書中で議論されたが、本開示は、これらの実施形態に限定されることを意図されない。なぜなら、本開示は当該分野が許容すると同程度に範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
10 電気外科器具
12 ハウジング
14 エンドエフェクタ
16 細長シャフト
18 近位部分
20 遠位部分
22 接合部
30、32 顎部材
A−A 長手方向軸
B−B エンドエフェクタ軸

Claims (16)

  1. ハウジング;
    組織を外科的に操作するように該ハウジングから作動可能なエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、対向可能な第一の顎部材および第二の顎部材を備え、該顎部材は、組織を受容するための開構成から、組織を操作するための閉構成へと運動可能である、エンドエフェクタ;
    該ハウジングと該エンドエフェクタとの間に延びる細長シャフトであって、該細長シャフトは、長手方向軸を規定し、そして該細長シャフトは、該長手方向軸に対する整列した構成および関節運動した構成をさらに規定する、細長シャフト;ならびに
    第一のばねおよび駆動ワイヤを備える駆動アセンブリであって、該駆動アセンブリは、該開構成と該閉構成との間での該顎部材の運動を誘導するように構成されており、該駆動アセンブリは、約3kg/cm〜約16kg/cmの範囲の閉鎖圧を、該細長シャフトの該整列した構成と該関節運動した構成との間で維持するようにさらに構成されている、駆動アセンブリ、
    を備える、外科手術用器具。
  2. 前記第一のばねが、前記整列した構成と前記関節運動した構成との間で一貫した閉鎖圧を維持するような大きさにされたばね定数を規定する、請求項1に記載の外科手術用器具。
  3. 前記ばね定数が、前記細長シャフトが前記関節運動した構成にあるときに、前記開構成と前記閉構成との間での前記顎部材の運動を誘導するような大きさにされている、請求項2に記載の外科手術用器具。
  4. 前記ばね定数が、前記細長シャフトが前記整列した構成にあるときに、前記開構成と前記閉構成との間での前記顎部材の運動を誘導するような大きさにされている、請求項2に記載の外科手術用器具。
  5. 前記細長シャフトが近位部分および遠位部分を備え、該近位部分は、前記ハウジングから延び、そして該遠位部分は、少なくとも1つの関節運動接合部によって、該近位部分に接続されており、その結果、該遠位部分は、前記整列した構成と前記関節運動した構成との間で運動可能である、請求項1に記載の外科手術用器具。
  6. 前記細長シャフトが可撓性材料から作製されている、請求項1に記載の外科手術用器具。
  7. 前記駆動アセンブリが、前記駆動ワイヤの周囲を囲む管をさらに備え、該管は、間隔を空けた複数の突出部を該管の内壁に規定し、該間隔を空けた突出部は、前記細長シャフトが前記関節運動した構成で配置されているときに、該駆動ワイヤの並進中に該駆動ワイヤを該管の中心に維持するように構成されている、請求項1に記載の外科手術用器具。
  8. 前記管の内壁の前記間隔を空けた突出部が、前記細長シャフトの摩擦係数よりかなり低い摩擦係数を有する、請求項7に記載の外科手術用器具。
  9. ハウジング;
    組織を外科的に操作するように該ハウジングから作動可能なエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、対向可能な第一の顎部材および第二の顎部材を備え、該顎部材は、組織を受容するための開構成から、組織を操作するための閉構成へと運動可能である、エンドエフェクタ;
    該ハウジングと該エンドエフェクタとの間に延びる細長シャフトであって、該細長シャフトは、長手方向軸を規定し、そして該細長シャフトは、該長手方向軸に対する整列した構成および関節運動した構成をさらに規定する、細長シャフト;ならびに
    第一のばねおよび駆動ワイヤを備える駆動アセンブリであって、該駆動アセンブリは、該開構成と該閉構成との間での該顎部材の運動を誘導するように構成されており、該駆動アセンブリは、約3kg/cm〜約16kg/cmの範囲の閉鎖圧を、該細長シャフトの該整列した構成と該関節運動した構成との間で維持するようにさらに構成されている、駆動アセンブリ、
    を備え、該駆動アセンブリは、該駆動ワイヤおよび該エンドエフェクタに接続されたクラッチアセンブリをさらに備え、該クラッチアセンブリは、一貫した閉鎖圧を、該細長シャフトの該関節運動した構成と該整列した構成との間で維持する、外科手術用器具。
  10. 前記クラッチアセンブリは、前記対向可能な第一の顎部材および第二の顎部材に対して、一定の閉鎖力を付与する、請求項9に記載の外科手術用器具。
  11. 前記クラッチアセンブリは、前記駆動ワイヤに接続されたクラッチ、および該クラッチと前記エンドエフェクタとの間に配置された第二のばねを備える、請求項9に記載の外科手術用器具。
  12. 予め決定された量を超える駆動力が前記クラッチに加えられると、該クラッチが滑る、請求項11に記載の外科手術用器具。
  13. 前記クラッチが、前記駆動力を低下した量の被駆動力に変換し、該被駆動力が前記第二のばねに加えられる、請求項12に記載の外科手術用器具。
  14. 前記第二のばねが、予め決定された距離だけ伸びるように構成されている、請求項11に記載の外科手術用器具。
  15. 前記クラッチおよび前記第二のばねが、前記エンドエフェクタに対して直線状に配置されている、請求項11に記載の外科手術用器具。
  16. 前記クラッチアセンブリが、前記エンドエフェクタに対して横方向に配置された摩擦プレートおよび第二のばねを備える、請求項9に記載の外科手術用器具。
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