JP2011240287A - 固体キレート剤とその製造方法、それを用いたコバルト,マンガン,ニッケルの分離方法 - Google Patents

固体キレート剤とその製造方法、それを用いたコバルト,マンガン,ニッケルの分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コバルト,マンガン,ニッケルの類似した遷移金属元素の混合物からコバルトイオンを選択的に回収可能な固体キレート剤、その製造方法、それを用いた分離方法を提供する。
【解決手段】基材の表面に有機スペーサを介して末端に、一級アミノ基または一級アミド基を有する配位子を有する有機鎖が形成されており、コバルト,マンガン,ニッケルの混合液からコバルト,ニッケルを分離することを特徴とする固体キレート剤。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属回収に有効な固体キレート剤とその製造方法、それを用いたコバルト,マンガン,ニッケルの分離方法に関する。
リチウムイオン電池は、家電製品用の二次電池として広く普及しているが、さらにハイブリッド自動車,電気自動車,鉄道等の車載用電池としての開発も進められている。このリチウムイオン電池に用いられる正極材料は、現在コバルト酸リチウム(LiCoO2)が主として用いられている。コバルト酸リチウムは、重量比でも電池の約16%を占めており、さらに価格比では70%を占める。電気自動車用途等では、コバルト酸リチウム中のコバルトをマンガン,ニッケルに置換した系やコバルト,マンガン,ニッケル三元系や、鉄オリビン系,マンガンオリビン系等に移行しつつあるが、コバルトの出荷量は依然伸びている状況である。このような背景の中、コバルト原料の価格は高騰を続けており、高値を維持している。これらの背景から、市場に出回った使用済みリチウムイオン電池を回収し、回収したリチウム電池からコバルト等の有価金属を回収する動きが見られる。
リチウムイオン二次電池からのコバルト回収は、いくつかの企業による特許出願や実際のリサイクル実績がある。現状、コバルトの回収は主として焙焼による乾式精錬や酸溶解液からの溶媒抽出法が主流である。コバルトをリサイクルする際に重要となる課題は、リサイクル時の環境負荷低減である。例えば、現状、焙焼には1000℃程度の高温が用いられており、それによる二酸化炭素排出削減量が増大する。また、溶媒抽出法などで揮発性有機溶剤を大量に使用するような系もまた持続可能な地球環境保全にとって重要な生体系に悪影響を及ぼす恐れがある。従って、これらの負荷を極力抑制したリサイクル法の確立が重要となってくる。
また、上記のように電気自動車などに今後使用されるリチウム電池の正極材料は、コバルト酸リチウムのコバルトサイトにマンガン,ニッケルを添加した系が主流となると予想される。このコバルト,マンガン,ニッケルはいずれも周期律上、非常に近い位置に存在しており、イオン半径や価数,反応性など、化学的に類似した性質をもつ。このことから、この三つの元素からコバルトだけを高純度に分離できる手法の開発が望まれる。そこでこれらの元素を分離補足可能なキレート剤を用いた方法が検討されている。
キレート剤を液体として扱うと、溶媒状態での抽出工程が必要となり、簡便性が損なわれる。そこで、このキレートを樹脂や不織布などの基材に固定化してカラムとし、このカラムに溶液を浸透させることでコバルトを捕捉する手法が望まれる。このような手法による金属イオンの回収は、ウランの回収などで実績のある手法であり、これをコバルトに対して適用できるものと考えられる。
特許文献1,2では、コバルト等の金属をキレート樹脂で回収する方法が開示されている。
特許文献1,2に掲げるキレート樹脂は、コバルトの他ほとんどの金属イオンに配位する特性を有するため、コバルトの他の金属元素が混合状態にある場合、コバルトだけを選択的に捕捉することが難しい。
特開2005−213477号公報 特開2005−103534号公報
本発明の目的は、コバルト,マンガン,ニッケルの類似した遷移金属元素の混合物からコバルトイオンを選択的に回収可能な固体キレート剤とその製造方法、それを用いた分離方法を提供することにある。
本発明の固体キレート剤は、基材の表面に有機スペーサを介して、末端に一級アミノ基または一級アミド基を有する配位子を有する有機鎖が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、例えばリチウム電池の正極材等に使用されるコバルト,マンガン,ニッケルの混合物からコバルト,ニッケル,マンガンを相互に高精度に分離でき、元素の純度を高めることができる。そのため高付加価値でコバルトの回収が可能となり、リサイクルや鉱物資源からのコバルト回収に資することができる。
本発明で作製したキレート樹脂の構造の概念図。 本発明で作製したキレート樹脂の構造を化学式で表記した図。 本発明のキレート樹脂の合成手順を示す図。 キレート修飾前後のFT−IRスペクトル。 本発明で実施した廃リチウム電池からのコバルト,マンガン,ニッケル分離スキームを示す図。 本発明で実施した廃リチウム電池からのコバルト,マンガン,ニッケル分離スキームを示す図。
本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて述べる。
キレート樹脂基材として表面にエポキシ基を有するポリメタクリル酸メチル系の平均粒径45μmの樹脂ビーズを用いた。その樹脂ビーズ表面のエポキシ基にスペーサとしてジエチレントリアミン等のポリアミンを化学反応させて固定化した。さらに配位子としてコバルト,ニッケルを選択的に吸着できる第一級アミン,第一級アミドを有する化合物を化学反応させて固定化する。本発明では、この配位子として3クロロプロピルアミン,2クロロエチルアミン,2アセトアミド等を反応させた。この配位子の塩化物基とスペーサのポリアミン中のアミノ基が反応してスペーサに固定化できる。
このようにして作製したキレート樹脂を、pH1.0〜2.0に調整したコバルト/ニッケル/マンガン水溶液中に分散して撹拌後、回収することにより、コバルト,ニッケルが選択的にキレート樹脂に吸着され、マンガンは吸着されずに残液に残った。樹脂をpH1.0未満の塩酸,硫酸等の酸中に保持することにより、樹脂に吸着されたコバルト,ニッケルが酸中に溶解し、逆抽出することができた。
さらにこの逆抽出液からコバルトとニッケルを分離するためには、この逆抽出液のpHを1.0〜2.0に再調整した後、ニッケルに優先的に配位するマスク材をあらかじめコバルト/ニッケル水溶液中に分散し、4,4′ビピリジンを用いてニッケルマスクを行った後、上記のキレート樹脂を用いて吸着を行うことにより、コバルトのみをキレート樹脂に吸着させ、ニッケルを残液中に残存させ、コバルトとニッケルを分離した。キレート樹脂に吸着したコバルトは、pH1.0未満の塩酸,硫酸などを通液することにより、逆抽出することができた。
次に、実施例を用いて詳細に述べる。
まず、本発明で作成したキレート樹脂の製造方法を詳細に述べる。図1,図2に、本発明のキレート樹脂の構造を示す。図1は本発明で作製したキレート樹脂の構造の概念図であり、図2は構造を化学式で示したものである。図1,図2において、1は基材、2は有機スペーサ、3は配位子である。本発明では、1の基材としてポリメタクリル酸系の多孔質樹脂ビーズを用いた。2の有機スペーサとしてポリアミンを用いた。3の配位子として末端に第一級アミノ基,第一級アミド基を有する有機分子を用いた。
キレート材料は数多くのものが報告されているが、液体のキレートとして有効なものが基材に固定化できるとは限らず、一般的にはそのようなキレート試薬を選別するのは困難である。そこで、本発明では、まずこれらの基材に反応できるスペーサと呼ばれる有機側鎖を基材に固定化した後、この側鎖をカルボキシル基やアミノ基で修飾する手法を用い、キレート剤の固定化を実施した。
以下、この手法を二段階反応法と呼ぶ。この方法では、キレート剤に各種の反応基を有する必要がないためキレート剤の設計が容易になるほか、それぞれの反応物は比較的一般に入手しやすい化合物を用いることができるため、安価である。二段階反応法によるキレート固定化の手順を図3に示す。
以下、図3に従って、キレート樹脂ビーズの作製方法を示す。
(基材の合成)
本発明では、基材の合成は特許文献1(特開2005−213477号公報)に示される方法を用いて行った。グリシジルメタクリレート100g,テトラメチロールメタントリメタクリレート100g,酢酸ブチル180g,イソアミルアルコール120g及びアゾビスイソブチロニトリル0.7gの混合物にイオン交換水1000ml,1%ポリビニアルアルコール水溶液200mlを加えて撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7〜8に調整した。その後、70℃で6時間重合反応を行った。反応物を冷却した後、生成した共重合体粒子を濾取し、メタノール及び水で順次洗浄した。次いで一日風乾し、さらに80℃の真空乾燥機に入れて6時間乾燥した。乾燥粒子を分級して40〜50μm(平均粒径45μm)の多孔性架橋重合体粒子30gを得た。
(ポリアミノ化反応)
スペーサ固定としてのポリアミノ化は、下記の手順で行った。本発明では、ポリアミンとしてジエチレントリアミンを用いた。メタノール20gと純水80gの混合溶媒中にジエチレントリアミン15gを溶解して三口フラスコ中に入れ、そこに上記の多孔性樹脂ビーズ10gを投入してスターラーで撹拌しながらウオーターバス中で60℃、5時間反応させた。三口フラスコの上部にリービッヒ冷却管を設置し、水冷して溶液の蒸発を防いだ。
反応後、ポリアミノ化した樹脂ビーズを濾取し、純水約1000mlで洗浄した。この樹脂ビーズには未反応のエポキシ基が残存している可能性があるため、このビーズを三口フラスコに入れ、30℃の0.25%NH3水溶液25ml中に5時間浸漬して残存エポキシ基をアミノ開環させた。
なお、本実施例ではエポキシ基にアミノ基を化学反応にて結合させる手法を用いたが、この他にもポリエチレン基材上にグラフト重合によりビニル基を有する化学分子を結合する方法や、基材の末端を水酸基で修飾し、これらの末端基と反応するカルボキシル基等を有するキレートを化学反応により固定化手法を用いてもよい。グラフト重合による方法では、例えばポリエチレン不織布に電子線を照射してラジカルを発生させ、このラジカルにビニル基を有するキレート材料を反応させて固定化することができる。
(配位子の合成)
ポリアミノ化,エポキシ基の開環反応後、配位子固定を実施した。本発明では、配位子を形成する有機分子として3クロロプロピルアミン,2クロロエチルアミン,2クロロアセトアミドを用いた。これらの有機分子では、末端に塩化物基(クロロ基)を有するため、このクロロ基とポリアミン中に含まれるアミンが反応して末端にアミン,アミドを有する配位子を形成することができる。
1MのNaOH水溶液中に3クロロプロピルアミン,2クロロエチルアミン,2クロロアセトアミド等の有機分子14gを入れて溶解した後、先に合成したポリアミノ化後の樹脂ビーズを混合し、三口フラスコを用いて40℃で5時間反応させた。得られた樹脂ビーズを濾過して純水約1000mlで洗浄後、60℃で5時間、真空乾燥させ、所望のキレートで修飾された樹脂ビーズを得た。
得られたビーズのキレートによる修飾反応を確認するため、FT−IR(フーリエ変換型赤外吸収スペクトル:DIGILAB社製FTS−3000MX)を用いて、KBr錠剤法を用いて透過にて赤外吸収スペクトルを測定した。図4に、キレート修飾前後のFT−IRスペクトルを示す。
キレート修飾前では910cm-1近傍にエポキシ基の存在を示す吸収のピークが観測された。一方、キレート修飾後のビーズからはこのエポキシ基の存在を示すピークが消失し、1600cm-1付近にアミノ基の存在を示す吸収のピークが発現した。このことから、二段階反応法により、キレートがビーズ表面に修飾されたことが確認できた。
得られたキレート修飾ビーズを用いて、コバルト/ニッケル/マンガンの分離検討を行った。乾燥後のキレート修飾ビーズ1.5gを0.1M酢酸アンモニウム溶液20ml中に入れ、スターラーで10分間撹拌してコンディショニングを行った。純水で洗浄後、このビーズをコバルト,ニッケル,マンガン標準液(1000mg/l)を1mlずつ混合し、さらに純水で全体を4mlとした混合標準液中に入れて室温で所定時間撹拌し、吸着検討を行った。都合、各元素の濃度は混合標準液中で250mg/lとなる。
高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES;パーキンエルマー社製 OPTIMA 3300XL型)を用いて吸着残液中のコバルト,ニッケル,マンガン濃度の定量を行った。比較として、キレート基で修飾していないビーズにて吸着実験を行った際の残液についても同様に分析を行った。
表1に、種々の配位子を用いて作製したキレート樹脂ビーズを用いた場合の各元素の残液中のコバルト,ニッケル,マンガン濃度を示す。吸着の時間を1.5時間とした。
Figure 2011240287
表1において、実施例1は配位子として2クロロエチルアミンを、実施例2は3クロロプロピルアミンを、実施例3は2クロロアセトアミドを用いた場合の結果である。比較例1として、これらのキレート修飾をしない基材ビーズのみの場合と、比較例2として、配位子としてクロロ酢酸ナトリウムを用いた場合についても示す。
比較例1のキレート樹脂で修飾していない樹脂ビーズを用いた場合、各元素の濃度は約150mg/lとなった。これはコンディショニング,洗浄によりビーズが内包している水分により希釈されたためと考えられる。
比較例2のクロロ酢酸ナトリウムを用いた場合、残液のコバルト,ニッケル,マンガン濃度はそれぞれ3.6mg/l,1mg/l未満(ICP発光分析の分析限界以下),5.2mg/lとなり、いずれのイオンもキレート樹脂に補足され、残液中ではほとんど検出されなかった。
実施例1の場合、コバルトが7.4mg/l,ニッケルが3.4mg/lに対し、マンガンが161mg/lと残液中に多く検出され、比較例1の場合と同程度の濃度のマンガンが検出された。これは実施例1の2クロロエチルアミンを用いた場合には、コバルトとニッケルが優先的にキレート樹脂に捕捉され、マンガンは補足されなかったことを示している。実施例2,3の3クロロプロピルアミン,2クロロアセトアミドを用いた場合でも同様の傾向が得られた。特に、3クロロプロピルアミンを用いた場合にはコバルト,ニッケルの残量が少なく、高効率にコバルト,ニッケルを吸着したことが分かる。
また、比較例3,4のように、配位子としてメチルアミン,ブチルアミンを用いた場合には、コバルト,ニッケルとマンガンとの吸着量の優位な差は認められたものの、残液中のコバルト,ニッケルの量が多く、分離比が十分とは言えない値となった。これは、配位子中の炭素数が比較例3の場合には小さく、比較例4の場合には大きかったため、補足するコバルト,ニッケルのイオン半径と整合できないためである。
以上より、コバルト,ニッケルを優先的に捕捉するためには、エチルアミン,プロピルアミン等の第一級アミン、あるいはアセトアミド等の第一級アミドが好ましい。さらにこれらの配位子の炭素数は2ないし3であると、よりマンガンとの分離率を高くできる。
吸着後の実施例1に示すキレート樹脂ビーズの断面の組成を、エネルギー分散型蛍光X線分析装置を有する走査型電子顕微鏡にて分析したところ、ビーズ内部からコバルト,ニッケルが検出され、マンガンは検出されなかった。このことからも、本実施例のビーズがコバルト,ニッケルのみを選択的に補足したことが示された。
以上のように固体キレート剤に捕捉されたコバルトとニッケルの逆抽出実験を行った。逆抽出は、コバルト,ニッケルを補足した固体キレート剤1.5gを5mlの1MのH2SO4中に1.5時間浸漬して撹拌して行った。このときの逆抽出液のpHは0.75であった。撹拌後、固体キレート剤とH2SO4溶液を濾別し、濾液をICP発光分析法により分析した。
表2に、逆抽出の実験結果を示す。表2において、第一行目は表1の実験で用いたコバルト/ニッケル/マンガン混合標準液中のコバルト,ニッケル濃度である。第二行はキレート樹脂で吸着した後の吸着後残液中のコバルト,ニッケル濃度、第三行はキレート樹脂からを逆抽出液で抽出した後の逆抽出液中のコバルト,ニッケル濃度、第四行はさらに新しいコバルト/ニッケル/マンガン混合標準液中の二度目の通液をした後のコバルト,ニッケル濃度、第五行目は二度目の逆抽出後の逆抽出液中の各濃度である。キレート樹脂には表1中の実施例2に示すプロピルアミン配位子のものを用いた。
Figure 2011240287
一度目の吸着後の残液中のコバルト,ニッケル濃度はそれぞれ2.2mg/l,1mg/l未満(ICPの検出限界以下)となり、キレート樹脂による吸着が示された。逆抽出後の逆抽出液中の各濃度は150mg/l,162mg/lとなり、キレート剤からの逆抽出が認められた。さらに二度目の抽出実験においても一度目の場合とほぼ同じ傾向となり、このキレート樹脂は再生して用いることが可能であることが実証できた。
次に、配位子をプロピルアミンとし、スペーサ材料のポリアミンの炭素数を変化させてキレート樹脂を作製し、コバルト,マンガン,ニッケルの吸着特性を評価した。表3に検討結果を示す。
Figure 2011240287
通液下標準液は表1で示したものと同等である。いずれの場合も高い分離性を示したが、スペーサがエチレンジアミンの場合はコバルト,ニッケルの残液中の濃度が高く、捕捉性が他のスペーサの場合に比べて低かった。これはエチレンジアミンに配位できる配位子の数が減少すること、及びスペーサの鎖長が短いため、コバルト等の遷移金属が配位しにくいためと考えられる。また実施例5〜7の場合(実施例5は実施例2と同等)、高い分離性を示すことが分かった。中でも、炭素数6のトリエチレンテトラミンを用いた場合には高いコバルト,ニッケルの捕捉性を得ることができ、分離率も高かった。また実施例7の炭素数が8の場合には、逆にコバルト,ニッケルの捕捉性が低下する傾向が見られた。これは配位子の炭素量が増加することにより、コバルトやニッケルのイオンサイズと整合できなくなるためと考えられる。
以上より、有機スペーサの炭素数としては2以上であればコバルト,ニッケルをマンガンとの混合液から分離することが可能であるが、4〜6であればさらに高い分離性を得ることができた。
次に、実施例1で作製したキレート樹脂を用いて、廃リチウム電池からのコバルト,マンガン,ニッケル分離を行った。図5,図6に本発明で実施した廃リチウム電池からのコバルト,マンガン,ニッケル分離スキームを示す。図5は、リチウム電池解体から正極材酸溶解までのプロセスを、図6は酸溶解された正極材からコバルト,マンガン,ニッケルを分離する工程を示す。本実施例では、正極材としてコバルト,マンガン,ニッケルを含有するLi(Co,Mn,Ni)O2を用いた廃リチウム電池を用いた。
まず、市場から回収した廃リチウム電池の封合部を、カッター等を用いて開缶し、蓋部に溶接されている電極部分を取り外し、電極部を取り出した。電極部の倦回を解いて正極部を取り出した。正極はAl箔上に形成された正極活物質,カーボン導電材,有機バインダより構成される。これを大気中で焼成することにより、Al箔と正極活物質が酸化・還元反応し、正極活物質中のCo,Ni,Mnが還元され、金属的な部位を生成させた。全体を粉砕した後、磁気選鉱工程を通過させることにより、Al,Al23,Cと正極活物質を分離させた。ここで、正極活物質中のCo,Ni,Mnが金属的になることで、Li(Co,Mn,Ni)O2を磁気側に分離させることができた。
この磁気選鉱プロセス後、磁石に付着した正極活物質を酸で溶解し、Li,Co,Ni,Mnイオンを含む溶液を得た。ここにアルカリ溶液を混合することにより、pHを1.5〜2.0程度に調整した(図5)。
次に、さらにアルカリ溶液を混合することにより、pHを7以上とした。これにより、コバルト,マンガン,ニッケルは水酸化物として沈殿物を生じた。リチウムイオンは依然として、イオンとして溶液中に溶解していた。これを濾別し、沈殿を乾燥することによりLiを含む溶液と、コバルト,マンガン,ニッケルを含む固形物が得られた。これにより、リチウムを単離した。このときのリチウムイオンの分離率は、98.6%であった。
沈殿物を再度酸に溶解することにより、Co,Mn,Niを含む溶液を得た。アルカリでpHを2.0程度に調整した後、Niマスクとして4,4′ビピリジンを滴下し、ニッケルに配位させた。その後、表1の実施例2で作製したプロピルアミン配位子を有するキレート樹脂を実施例1と同様にコンディショニング後に添加した。このキレート剤はマスクされたニッケル,マンガンを吸着しないため、ビーズ側にはコバルトが吸着され、溶液中にマンガンとニッケルが残存した。ビーズ側に吸着したコバルトをさらに酸で再溶解することにより、コバルトを単離した。このときのコバルトイオンの分離率は98.7%であった。
残液中のマンガン,ニッケル溶液中に表1の比較例1で示したキレート樹脂を添加することにより、マスクされたニッケルはキレート樹脂に捕捉されず、マンガンのみが吸着された。このマンガンを酸で逆抽出することにより、マンガンを単離できた。このときのマンガン分離率は97.2%であった。また残存するニッケルの分離率は97.4%であった。
以上より、コバルト,マンガン,ニッケルを分離できた(図6)。
1 ビーズ
2 有機スペーサ
3 配位子

Claims (9)

  1. 基材の表面に有機スペーサを介して、末端に一級アミノ基または一級アミド基を有する配位子を有する有機鎖が形成されていることを特徴とする固体キレート剤。
  2. 前記有機スペーサはポリアミンであり、炭素数が2以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体キレート剤。
  3. 前記有機スペーサ中の炭素数は4〜6であることを特徴とする請求項1に記載の固体キレート剤。
  4. 前記有機鎖の炭素数は2〜3であることを特徴とする請求項1に記載の固体キレート剤。
  5. 前記一級アミノ基,一級アミド基が、ポリアミン,アセトアミドであることを特徴とする請求項1に記載の固体キレート剤。
  6. 基材表面に有機スペーサを化学反応で形成した後、この有機スペーサの骨格上に一級アミノ基,一級アミド基を有する有機鎖を形成することを特徴とする固体キレート剤の製造方法。
  7. 前記有機スペーサはポリアミンであることを特徴とする請求項6に記載の固体キレート剤の製造方法。
  8. 前記有機鎖はハロゲン化アセトアミド,ハロゲン化ポリアミンであることを特徴とする請求項6に記載の固体キレート剤の製造方法。
  9. コバルト,マンガン及びニッケルを正極活物質中に含有する廃リチウム電池を回収する工程と、
    開缶,正極取り出し、正極活物質を分離する工程と、
    該正極活物質を酸に溶解したのちpHを1.5〜2.0に調整する工程と、
    ニッケルに選択的に配位するキレート剤を添加してニッケルをマスクする工程と、
    基材の表面に有機スペーサを介して末端に一級アミノ基、または一級アミド基を有する配位子を有する有機鎖が形成された固体キレート剤に通液してコバルトを回収する工程と、
    を含むことを特徴とするコバルト,マンガン,ニッケルの分離方法。
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