JP2011220986A - 崖崩れ監視用光ファイバ防災センサと装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境の温度変化の影響を受けない、崖崩れ監視装置を提供する。
【解決手段】等しい張力が負荷される1つの光ファイバ3上の温度環境が異なる2点に異なる反射波長をもつ2つの光ファイバブラッググレーティング(FBG)5,7を配置することで、張力の変化の情報が2つのFBG5,7の応答信号において同相であることを利用して張力情報を得ることを、もう1組の参照用FBG6,8を用いることで、スペクトラムアナライザを用いずに実現する。参照用FBGは、センシングFBGと同じ反射波長をもつペアと考え、センシングFBGの反射光をそれぞれ対応する参照用FBGを通過させることで、波長の変化を光パワーの変化に変換し、アナログ信号処理、もしくは、AD変換してデジタル信号化した後、該アルゴリズムのデジタル信号処理により処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、崖崩れが多発し、人命や多くの財産が失われるなど、社会的損失が大きいことに鑑みてなされたもので、崖崩れやその予兆を感知して警報を発する防災センサ技術の分野に属するものであるが、この目的には光ファイバ応用技術のセンサが注目されている。しかし、これを利用するにはコスト負担が大きいという課題があり、それを解決する新技術が求められており、光ファイバセンシング技術の光信号処理技術に属する。
屋外に防災センサを設置しようとする場合、金属性のものは落雷や無線電波などの影響により、誤動作するという問題があり、実用には不適とされており、絶縁物である、光ファイバ歪センサ(FBG)を応用したセンサが用いられる。FBGは屋外での防災センサとしての利用実績があり、また、崖崩れの検知への応用の試みも多くなされている。本発明は光ファイバ歪センサ(FBG)計測技術に基づく。
FBGは光ファイバのコアに回折格子が書きこまれた超小型の光デバイスである。FBGに光が入射すると、回折格子間隔で決まる特定波長の光を反射する(ブラッグ反射と呼ばれる)という性質がある。FBGに外部から張力が加えられ歪が発生すると、その歪の大きさに応じて回折格子の間隔が変化するので、反射される波長もそれにほぼ比例して変化することから、波長を測定することで歪の大きさを計測することが可能となる。つまり、FBGは光方式のストレインゲージということができる。しかし、このようなセンサは高感度であり、センサからの信号はさまざまな不要な情報をも含んでいる。従って、どのようにして取得すべき情報を取捨選択して取り出すかが問題となる。本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。
特願2007−213510「地盤変動モニタリング装置及びこれを用いた地盤変動検知システム」 特許出願2004−116600「光ファイバー歪みセンサーとそれを用いた測定機器」(スペクトラムアナライザを用いなくとも波長変化が検出できる原理を利用した装置の発明がなされており、本発明もこの原理の利点を利用している。しかし、この原理では、温度の影響を2つのセンサを同じ温度環境に置くことを条件としており、このことは本発明が提供しようとしている目的では利用できない。)
藤橋一彦、宮本三智也、奥津晃一、奥津大「光ファイバセンシング技術を用いた防災分野への取り組み」NTT技術ジャーナル、pp.52−56、2007.9(光ファイバを利用する防災センサについて総論的に論じているが、光ファイバ素子であるFBGの利用においては、高価なスペクトラムアナライザ、BOTDRなどの装置を使うことをしており、コスト面での検討が十分でない。)
ホームページ:http://www.cesla.co.jp/saigaiken.htm。(崖崩れや地滑りを予知するのではなく、発生してから、これを遠隔通報するシステムが紹介されている。このようなシステムは実用例は数多い。予知するためには、予兆となるような僅かな地盤の変動を検知することが必要であり、測定技術的にはさらに高感度な感知デバイスが必要である。そのデバイスとしてFBGが使われている。)
土木研究所:共同研究報告書 http://www,pwri.go.jp/team/volcano/hokudaisensor/hokudai−sensor.pdf:「土砂災害の警戒避難支援のための斜面崩壊検知センサの開発」平成21年3月。(崖崩れなどの土砂災害対策のためのさまざまなセンサ方式について研究し、報告しているが、光ファイバを応用する観点では高価なスペクトラムアナライザ、BOTDRなどの装置を使うことをしており、コスト面での検討が十分でない。)
ホームページ:http://www.sinfo−t.jp/pdf/Data/public/N16−300.pdf。(崖崩れに対してさまざまな方策の中で光ファイバを使うことを提案しているが、具体的なデーターの取得技術については言及に至っていない。)
本発明は、光ファイバ技術を応用した崖崩れを監視するための高感度なセンシング装置を提供するもので、崖崩れ土砂災害の初期段階の予兆となるわずかな地盤の変動を高感度に検知することで、崖が本格的に崩れる前にその発生を予知しようとするものである。光ファイバセンサ素子であるFBGは光ファイバに搭載されており、そのような光ファイバをセンシング用光ファイバと称する。
該センサを搭載した光ファイバを崖崩れが憂慮される崖の上部と下部を連結するように敷設して、崖崩れの予兆となる地盤の微小な変化を鋭敏に検出し、警報を発生するものである。FBGは[参考文献1]に述べられているように、歪に対して非常に高感度(〜10−7ストレイン)である。しかし、これを実現するには種々の技術的課題があり、これらの課題を解決する必要がある。つまり、本発明は具体的には、その課題を解決する手段と装置に関するもので、高感度な崖崩れ監視用光ファイバ防災センサと装置を提供するものである。
参考文献1
水間、佐々木「光ファイバの防災センサへの応用」電子情報通信学会誌、第91巻、8号、pp.714−720、2008.8。
本格的な崖崩れの予兆として、崖地盤の上端の僅かな下降と、あるいは、崖地盤の下端の僅かな下降が考えられる。崖崩れ予知センサには、これらは全く逆の信号として検知される。つまり、下端が先に動けば、センサは緊張に相当した信号を発生し、上端が先に動けば、センサは緩みに相当する信号を発生する。緩みは、センサに予め予備的な緊張を与えておくことで検出する。FBGはこのような使い方ができるセンサであるので、崖崩れの現象を正確に捕捉し、高感度な崖崩れ監視用光ファイバ防災センサと装置を提供できる。
発明が解決しようとする課題
しかしながら、FBGは伸縮歪ばかりでなく、温度の変化にも敏感に反応する。そのため、正確に伸縮歪のみを検知するためには、歪の変化と温度の変化を識別して計測するか、計測後、計算により差し引きするか、もしくは温度の変化に不感となるような複雑な対策が必要であった。
従来は、2つのFBGを用い、1つはセンシング用とし、他方を参照用とした。2つのFBGは温度環境は等しくし、応力はセンシング用FBGのみに負荷されるようにした。そのようにすると、センシング用FBGは歪と温度の両者を計測し、参照用FBGは温度のみを計測する。2つのFBGからの信号を個別に測定し、同相の信号である温度による影響を差し引くことで、歪の変化のみを抽出することが一般的に行われていた。
しかしながら、この方法は、FBGからの信号を得るためにスペクトラムアナライザを使う必要があった。スペクトラムアナライザは値段が高く、このことが防災センシングシステム全体のコストを引き上げることとなって、普及の妨げとなっていた。普及させるためにはスペクトラムアナライザを使わずに安価にFBGの波長変化を計測し、温度の影響を除去する技術の開発が不可欠であった。
安価に温度の影響を除去する方法として、[特許文献2][参考文献2]に差動型FBG光学系が提案されているが、2つのFBGを完全に等しい温度環境に設置することに困難があり、崖崩れ監視センサに適さない。
参考文献2
水間幸大、斉藤健一、小林 誠、田中知朗、佐々木一正「光ファイバブラッググレーティング(FBG)を用いた防災センサ用FBG差動光回路の特性」電子情報通信学会技術報告集、OFT2005−24、pp.41−44、2005.8。
また、スペクトラムアナライザを使って高感度にFBGの歪を検知しようとすると、検知器の微小な雑音や、光源の波長の揺らぎなどに起因する不規則な変動がみられる。これらは誤動作の原因となるので、除去するか、無効とするような対策が必要である。本発明は、このような問題を解決し、誤動作のない高感度な崖崩れ監視用光ファイバ防災センサと装置を提供しようとするものである。
課題を解決するための手段
本発明では、2個づつ光の反射波長が同一となるようなFBGをペアとして2組、計4個のFBGを用い、うち2個をセンシングに用い、他の2個を参照用として用いる。つまり、1つのペアは、同じ反射波長を持ち、1個のセンシングFBGと1個の参照用FBGにより構成されている。
それぞれのペアは異なる反射波長となるようにしてあり、2つのペアがあるので、2個のFBGがセンシングに使われていることとなるが、これらは同一ファイバ上の異なる位置に設置する。
そのため、本格的崖崩れの予兆となるような僅かな変動が発生したときは、これら2個のセンシング用FBGは1本の光ファイバに載架されているので、2個のセンシング用FBGに同時に同じ応力が加わることとなる。また、2個のセンシング用FBGが1本の光ファイバに載架されているということは、反射光は同じ経路を辿って戻ってくることとなる。
次に、これらの反射光を光ファイバ分岐器により2つの経路に分岐する。それぞれは2つの波長成分を含んだままであるが、2つの分岐光をそれぞれの分岐ごとに別々の参照用FBGを通過させると、それぞれがペアとして対応しているセンシング用FBGからの反射光にのみ作用し、2つの波長の変化分は独立に光パワーの変化に変換される。これらを独立に検出して2つの出力信号とする。
2つの出力信号においては、上述のように、崖崩れ予知情報は2つのセンシングFBGに同時にしかも同等に作用するので、同相信号となっている。
一方、2つのセンシング用FBG、および、参照用FBGはそれぞれ別々な異なる位置に設置されているので、温度環境は異なると考えられ、温度変化の情報は2つの出力信号においては、異相信号となることは明らかである。また、個々の検出器による雑音についても異相信号であることも疑いの余地がない。
そこで、2つの出力の同相信号のみを取り出すことにより、これが、崖崩れ予知現象を捉えた信号であると言うことができる。もし、波長が長波長側に変化すれば、緊張が大きくなる、つまり、崖の下端が下降してきたことを意味し、波長が短波長側に変化したときは、緊張が緩んできたことであり、崖の上端が下降してきたことを意味する。この原理を実現することが問題解決の手段と言える。
アナログ信号処理では、同相信号を除去することはよく行われるが、異相信号を除去し、同相信号を取り出すことは容易ではない。しかし、デジタル信号処理技術によれば、2つの出力信号をS、Sと置き、次のような信号処理を行うプログラムによるデジタル信号処理を施せば容易に目的が達成される。すなわち、
「もし、2つの信号SとSが、ほとんど同時に閾値を越えて変化し、しかも、両者の変化は誤差範囲で相等しいならば、2つの信号は同相とみなして、崖崩れの予兆を検知したとして警報を発生し、そうでなければ、無視する。」というアルゴリズムを実行する。例えば、Visual Basic を用いた場合には、
If abs(S1−S2)<Er then call Alarm
ここに、Erは誤差の範囲、Alarmは一連の警報を発するサブルーチンである。ただし、上記のプログラムを実行する前に、該当しない条件の場合を検出して取り除いておくなどのプログラム技術上の処置は当然である。
これらのことにより、本発明では、高価なスペクトラムアナライザを使用せず、温度の影響、雑音の影響を除去することに成功している。
発明の効果
本発明により、安価に高感度な崖崩れ予知センサ装置を提供することができる。安価であることは、防災センサを広く普及させ、社会の安心安全を確保する上で欠かすことができない条件である。
また、高感度であることも重要である。つまり、予兆となる現象を検知しても実際に崖崩れが発生するまでの時間が短ければ大きな効果は期待できない。避難や本格的に崖崩れが発生することを防止するための対策に十分な時間的な余裕が必要である。そのためには、早めに予知すること、すなわち、高感度に検知することが重要となる。
本発明による崖崩れ監視装置は危険を警報するばかりでなく、実時間で崖地盤の動的な挙動も監視し、その状況から崖の状態を診断することにも役立てることができる。地震などによる崖崩れでは、普段から、崖の状態を診断していれば、どの程度の地震が発生すれば、崩れる危険性があることを予想することも不可能ではない。
本発明の原理を説明する図である。 図1中、点Aでの、2つのFBG5、7からの反射光のスペクトル 図1中、点Bでの、反射光スペクトルに対するFBG6が作用する様子 図1中、点Cでの、反射光スペクトルに対するFBG8が作用する様子 デジタル信号処理フローチャート センシング用光ファイバを崖に設置し、崖下から測定部に接続して監視する場合の配置図(実施例1) センシング用光ファイバを障害物の回避や、崖面の凹凸のため、途中で曲げる場合、滑車を用いて曲率を与える方法の簡単な説明(用いる滑車の半径は、用いる光ファイバのスペックとして与えられた許容曲率半径以上とする。) センシング用光ファイバを崖に設置し、崖上から測定部に接続して監視を行う場合の配置図(実施例2) センシング用光ファイバを崖面にジグザグに設置し、その屈曲点から支線を伸ばすことで、面的に崖面を覆い、崖面の2次元的監視を行う場合の配置図(実施例3) 本発明は本来デジタル処理により原理を達成することを前提としているが、アナログ回路により、近似的に達成することも全く不可能というわけではない。その一例である。
発明を実施するための形態を図1を用いて説明する。まず、2つの反射波長の異なるFBG5、7を、1本の光ファイバ4に設置し、地盤の変動の影響を共通に受けることができるようにする。さらに、これらのFBGは崖の上下など、光ファイバの違う位置に設置し、温度の影響は差異が生ずるようにする。
このような構成をもつセンシング部18を接続用光ファイバ19を用いて、光源1から光ファイバ3及び、サーキュレータもしくはカプラ2を介して光を導入する。光源としては、ASE光源もしくはLEDなどの光源、もしくは、波長可変レーザー光源を使う。光ファイバとしては、単一モードファイバもしくはマルチモードファイバを用いる。
2つのFBG5、7からの反射光は両者とも、1本の光ファイバ19を逆進してくるので、再度、サーキュレータもしくはカプラ2を介して取り出すことができる。A点で観測すれば、図2に示すように2つのスペクトルが含まれている。
次に、この反射光量を光ファイバ分岐器9により、2分割する。このとき、分岐比がP:P=1:2になるようにする。P成分は、光検出器10により反射光強度を測定することに利用する。これを信号とする。信号強度は、Sとする。分岐比P成分は、さらに、分岐器11により分岐比1:1に分割し、これは、それぞれ、FBG6及びFBG8を通過させる。FBG6はFBG5と、FBG8はFBG7と同じ反射波長を持ったものとする。(図中破線矢印は、対となっているFBG(反射波長が等しい)のペアを示している。)
このように接続すると、図2で得られたスペクトルに対し、図1中B点、C点では、それぞれ、図3及び図4に示すようにFBG6及びFBG8はそれぞれの透過フィルタとして作用するので、対応するスペクトルがずれると透過量が変化し、ずれ量を透過量の変化として測定できるから、それぞれの光強度を光検出器12、13において測定する。
これらの信号を信号、信号とし、それぞれの信号強度をS、Sとする。これらアナログ信号S、S、Sは、それぞれ、AD(アナログ−デジタル)変換機16、14、15により、デジタル信号に変換し、その後のデジタル信号処理に供するため、デジタル信号処理装置17に入力する。
光ファイバの途中での損失や、光源パワーの揺らぎなどはSとして測定されており、これは、信号と信号にも共通して起こるので、Sの値を1として規格化すると、信号及び、信号にはこれらのことによる影響は表れない。また、規格化することで、信号と信号の大きさは、ほぼ、S/S:S/S=0.5:0.5となる。
センシング用光ファイバには緩みも検出できるように予張を与えておく。そのため、規格化された信号と信号は、0.75:0.75程度となる。両者が同時に、これよりも大きい時は歪が大きくなったことであるから、崖の下部が低下して、光ファイバは引張りを受けたこととなり、これよりも小さいときは、崖の上部が低下したか、もしくは全体が緩んで、光ファイバが緩みを受けたことになる。このような変化は、信号及び信号において、同時、かつ、誤差の範囲で一致する大きさであるはずである。それ以外の条件のものは雑音として無視する。
このことを正確に遂行するために、信号処理装置17において、以下のデジタル信号処理を行う。
1)まず、信号と、信号及び信号は、同時か、もしくは、0.5秒以下のほとんど無視できる時間差の範囲でAD変換器からデジタル量をプログラムに値を取りこむ。
2)次に、信号の値で、信号及び、信号の値を規格化する。
DS=S/S、DS=S/S
3)次に、信号及び信号にデジタルフィルタ処理を施し、特徴的周波数での波形の変化成分ΔDSが閾値を越えているものを取り出し、各周波数毎に分けておく。例えば、f、f、及び、fが特徴的周波数として、
f=fにおいての変化成分: ΔDS(t)、ΔDS(t)
f=fにおいての変化成分: ΔDS(t)、ΔDS(t)
f=fにおいての変化成分: ΔDS(t)、ΔDS(t)
を取り出しておく。
4)最後に、それぞれの特徴的周波数で、2つの信号が同相か否かを判断する。つまり、2つの信号の計測誤差の範囲での一致性:
ΔDS(t)=ΔDS(t)±δ (±δは計測誤差の範囲)
を判定する。この比較においては、時間的一致性と信号の大きさの一致性を見る。時間的一致性においては、センシングに設置されている2つのFBGの間の距離をLとすれば、τ(=L/v)の時間差程度での一致性を目安とする。ここで、vは光ファイバを伝搬する音速である。
ここで、特徴的周波数というのは、例えば、ゆっくりとした変動は低い周波数領域であり、急激な変動は高い周波数領域となる。また、少しずつ繰り返し起こる現象も見られる。これらを場合に分けて、アルゴリズムにより識別し、判断する。
5)まず、fにおける比較において、上記4)の判断が、Yes(同相ということ)であれば、警報を発生させる。
6)No(同相でない)であれば、これらを無視し、次にfにおける比較を行い、さらに、fにおける比較を行う。すべてにおいてNoであれば、なにもせず、上記の1)からの動作を繰り返す。
これらをまとめたものが、図5の信号処理フローチャートである。
実施例を、図6を用いて説明する。2つのFBGを載架した光ファイバで構成されるセンシング部18を崖の上下で固定冶具21により固定し、崖の下で観測する。固定位置はFBGの位置の外側とし、予張負荷がFBGに及ぶように設置する。
センシングの光ファイバ4は一直線である必要はなく、障害物があれば、それを回避しながら、予張負荷が全体に均等に行きわたるようにする。光ファイバは曲げ損失が大きいので、曲げるときは図7のように滑車22を利用して光ファイバのスペックとして与えられた許容曲率半径以上の曲率を持たせるように滑車の直径を選択して、固定冶具21とワイヤー23により地面に固定する。
このとき、温度変化により滑車の直径が熱膨張により変化することで、光ファイバの予張が変化する可能性があるが、それをワイヤー23の熱膨張によって相殺する。この場合、滑車22の半径をR、線膨張係数をρとしたとき、
x=πRρ/2ρとなるようなワイヤー23の長さxとする。ここで、ρはワイヤー23の線熱膨張係数である。光ファイバはRの曲率で、90度、向きを変えることを想定している。ちなみに、ρ=ρのとき、Rが2cmであれば、x=3.1cmである。このようにすれば、複数個用いることで、敷設面での障害物を回避したり、凹凸がある場合の経路の選択の自由度を確保することができる。ただし、このような滑車様の冶具による曲げ損失軽減処置が必要なのは光源から一番遠いFBGまでの間であって、それより遠い位置では考慮する必要はないので、直接固定冶具に固定する。
センシングに用いる光ファイバは、アラミド樹脂テンションメンバを内蔵し、外部を耐候性のあるプラスチック製ジャケットで覆ったケーブルとし、テンションメンバごと、数Nの力をかけて、0.1%程度の予張を付与する。金属線は内蔵させない。
もう一つの実施例を図8を用いて説明する。この実施例は、崖の上で観測するものである。このように、崖の下からでも、崖の上からでもセンシング部18に連結部19によって測定部20に接続すれば、測定位置より下にある崖の状況を監視することができる。いずれの場合も、連結部19の部分は地上に露出、電柱架線、もしくは地下埋設する。
監視領域が2次元的な領域25である場合の実施例を図9に示す。これは、図7で示した滑車様冶具22によりセンシング部4に屈曲を与えて崖面24に敷設する場合と類似であるが、ワイヤー23を支線として領域を覆うように延長して張り、先端を固定端21で地面に固定する。これを適宜数増設することで、監視領域を拡大したり、密度を上げた監視を行うことが可能となる。
本発明の原理を理論どおり、正確に達成するには、所定のアルゴリズムによるデジタル処理に依ることが本発明の主意であるが、アナログ的にも本発明の原理を近似的に達成することは全く不可能ではないため、その実施例を図10に示しておく。いま、乗算平滑回路26の入力として、A+b、A+cの2つの信号が入力されることを考える。Aは同相信号であり、b、cは異相信号である。2つの信号の積(A+b)(A+c)=A+A(b+c)+bcを平滑化するとAはAの符号によらず平滑化により消滅することはないが、b、cは符号がランダムであれば、平滑化され、いずれ消滅する。その結果、Aのみが出力される。しかし、信号の性質がこの条件にあてはまらなければこの結果は保証されない。いずれにせよ、アナログ信号処理では、本発明が求める動作を達成することは難しいことは言うまでもない。
1本のセンシング光ファイバに2個のFBGを載架するが、その位置は精密には規定する必要がなく、熱的に条件が異なれば任意の位置でよい。従って、もし、2個のFBGの設置した場所の熱的条件が近い時は、人為的に温度差がつくように一方のFBGに被覆を施して熱伝導に差異をつけて本原理の動作を確実なものになさしめる必要がある。
本発明の光ファイバ防災センシングの原理と装置は、崖崩れなど自然災害の監視ばかりでなく、プラント設備の安全監視、鉄橋やトンネルの振動、崩壊検知、建築構造物の揺れなどの検知にも適用することが可能であり、産業上も、安全安心に貢献できる。
1 光源(ASEもしくはLEDなどの光源、もしくは、波長可変光源)
2 サーキュレータ、もしくはカプラ(3dBカプラ)
3 光ファイバ(単一モードシリカファイバ、もしくはマルチモードシリカファイバ)
4 センシング用光ファイバ(FBG5、7を載架し、両端を崖の上下に固定。FBGは両固定端の内側に載架する)
5 センシング用FBGのうちの1つで、FBG6と同一波長ペアを構成(反射波長λ
6 参照用FBGのうちの1つで、FBG5と同一波長ペアを構成(反射波長λ
7 センシング用FBGのうちの1つで、FBG8とペアを構成(反射波長λ
8 参照用FBGのうちの1つで、FBG7とペアを構成(反射波長λ
9 光ファイバ分岐器:(分岐比 P:P = 1:2)
10 光検出器(2つの反射光パワーの和を測定:光ファイバ分岐器の分岐枝P側に接続)
11 光ファイバ分岐器:(分岐比 P:P = 1:1)(光ファイバ分岐器のP分岐枝に接続され、分岐後はそれぞれ、FBG7、及びFBG8に接続)
12 光検出器(AD変換後、信号Sを発生)
13 光検出器(AD変換後、信号Sを発生)
14 AD変換機(アナログ信号をデジタル信号に変換し、Sを発生)
15 AD変換機(アナログ信号をデジタル信号に変換し、Sを発生)
16 AD変換機(アナログ信号をデジタル信号に変換し、S発生)
17 デジタル信号処理装置(図5のフローチャートに示すアルゴリズムの信号処理を実行し、同相信号を検出する。)
18 崖に設置するセンシング部
19 測定部とセンシング部を接続する連結部
20 測定部
21 センシング用FBGを載架した光ファイバ(センシング用光ファイバ)を固定する固定冶具
22 光ファイバ部に曲率を与えるための滑車
23 滑車を固定冶具に繋ぐワイヤ(温度補償も兼ねる)
24 センシング光ファイバを敷設する崖面
25 2次元面で監視する領域
26 乗算平滑回路

Claims (14)

  1. 光ファイバ方式崖崩れ監視装置において、高感度張力センシング素子であるFBGを崖崩れの兆候を検知するデバイスとして配置するとき、張力は等しく付与されるが温度環境が異なる2つの点を選んで2個のFBGを設置し、該FBGから得られる信号のうち、温度変化の影響は2個のFBGへの温度環境に差異があることから同相信号となりえないが、張力の情報は同相であることを利用して、該同相信号を取得することにより、張力の変化、すなわち崖崩れの兆候を温度変化と識別して検知できることを特徴とする、光ファイバ方式崖崩れ監視装置。
  2. 上記請求項1で述べた光ファイバ方式崖崩れ監視装置において、同じ反射波長をもつペアのFBGを2組の計4個のFBGを用い、該2組のペアのうち、片方の各1個づつのFBG、計2個のFBGをセンシング用光ファイバ上に請求項1で述べたように配置し、ペアのうち、残りの各1個づつ、計2個のFBGを参照用として、それぞれがペアとなっているFBGからの反射光に対する帯域除去フィルタとして作用させることにより、スペクトラムアナライザ、波長計などを使わずにセンサ用の2個のFBGからの波長変動情報を同時計測することを特徴とする、光ファイバ方式崖崩れ監視装置。
  3. 上記請求項1および2で述べた光ファイバ方式崖崩れ監視装置の光学系において、2個のFBGからの反射光パワーを、2個の分岐器を従属的に用いるか、もしくは、3分岐型分岐器を用いて計3分割し、そのうち1つを参照光として用いることで、光源の変動、光ファイバ伝送路の変動などの影響を除去することを特徴とする、光ファイバ方式崖崩れ監視装置。
  4. 上記請求項1〜3で述べた光ファイバ方式崖崩れ監視装置の光学系において、2個のFBGからの反射光パワーを、2個の分岐器を従属的に用いるか、もしくは、3分岐型分岐器を用いて計3分割し、そのうち2つを、上記請求項3で述べたように、それぞれ、2個の参照用FBGを通過させることで、同一の波長のスペクトルのみに作用するから、上記請求項1で述べた、比較すべき2個のFBGからの信号を得ることを特徴とする、光ファイバ方式崖崩れ監視装置。
  5. 請求項1で述べた論理を実行する光ファイバ方式崖崩れ監視装置の信号処理系において、上記請求項4で得た、2つの光信号をそれぞれ光検出器により電気信号とした後、アナログ信号処理、もしくは、これらの信号をAD変換してデジタル信号となして、デジタル処理プロセッサによりデジタル処理することで、同相信号を検出するアルゴリズムを遂行することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ方式崖崩れ監視装置。
  6. 光ファイバ方式崖崩れ監視装置において、センシング素子であるFBGに予め張力を負荷しておくことで、張力の増大とともに、張力の減少も検知できることから、この情報をもとに、崖崩れの発端となる現象、上層部が先に滑落したことで崖崩れが誘発されたのか、下層部が吐出したことで崖崩れに至ったのかなどの状況を分析して通報することを特徴とする光ファイバ方式崖崩れ監視装置。
  7. 請求項1で述べた比較すべき2つの信号を、請求項4で述べた方法でデジタル信号として得た後、それぞれ、特徴的周波数のデジタルフィルタにより分割し、それぞれの周波数帯ごとに発生する信号の波形を比較して同相信号を取得することで、どの周波数帯で同相信号が得られたかによって崖崩れの状況を分析して通報することを特徴とする光ファイバ方式崖崩れ監視装置。
  8. 崖にセンシング光ファイバを敷設するにあたり、屈曲部において、滑車様冶具を用いて、所定の曲率をもたせつつ張ることで、光ファイバの屈曲損失を増大させることなく、障害物を迂回するなど、光ファイバを敷設するにあたり、経路選択の自由度を上げることを特徴とする、請求項1で記載の光ファイバ方式崖崩れ監視装置。
  9. 上記請求項8記載の滑車様冶具の熱膨張による影響の影響を緩和する方法であって、該滑車様冶具を固定するワイヤの熱膨張と相殺することで、熱膨張の影響を小さくすることを特徴とする、請求項1で記載の光ファイバ方式崖崩れ監視装置。
  10. 崖にセンシング光ファイバを敷設するにあたり、請求項9記載のワイヤを延長し、監視領域を覆うように敷設することで、2次元的な監視能力を持つことを特徴とする請求項1で記載の光ファイバ方式崖崩れ監視装置。
  11. 請求項1から請求項7記載の全て、もしくは、一部を利用して作成したことを特徴とする工場、発電所、処理場などのプラント用監視センサとセンシング装置。
  12. 請求項1から請求項7記載の全て、もしくは、一部を利用して作成したことを特徴とする、鉄橋、橋梁、歩道橋、水道橋、アーチ、トンネルなどの湾曲、振動、崩壊監視センサとセンシング装置。
  13. 請求項1から請求項7記載の全て、もしくは、一部を利用して作成したことを特徴とする、建築物の振動、湾曲、崩壊センサとセンシング装置。
  14. 請求項1から請求項7記載の全て、もしくは、一部を利用して作成したことを特徴とする、堤防や水路管の湾曲、崩壊センサとセンシング装置
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