JP2011196692A - 増感効果を有する異方性粒子をパターニングした複合膜、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】各種応用技術、利用技術の発展を援助し、支えるのに重要な改良されたプラズモン素子自体、及びそのための、比較的簡単で高性能な製造法を提供することを目的とするものであり、特に、表面プラズモン増強場を高密度にパターニングでき、かつ低コストな表面プラズモン増強場を有する複合膜を提供すること。
【解決手段】表面プラズモン増強場が発生する領域と該表面プラズモン増強場が発生する領域よりも表面プラズモン増強効果が弱い領域とがパターニングされた複合膜であって、前記表面プラズモン増強場が発生する領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を含み、前記表面プラズモン増強効果が弱い領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させた粒子を含むことを特徴とする複合膜。
【選択図】 図1
【解決手段】表面プラズモン増強場が発生する領域と該表面プラズモン増強場が発生する領域よりも表面プラズモン増強効果が弱い領域とがパターニングされた複合膜であって、前記表面プラズモン増強場が発生する領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を含み、前記表面プラズモン増強効果が弱い領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させた粒子を含むことを特徴とする複合膜。
【選択図】 図1
Description
本発明は、増感効果を有する異方性粒子をパターニングした複合膜、及びその製造方法に関し、詳しくは、表面プラズモン増強場が発生する領域と表面プラズモン増強場が発生しない領域とがパターニングされた複合膜に関する。
光反応を増強・増感する手法として、金属表面に励起される表面プラズモン増強場を用いる方法が知られている。
たとえば、微量の試料を、高感度に検出する表面プラズモン顕微鏡を1例として説明する。表面プラズモン増強場は、高屈折率媒体上に成膜された金属薄膜上の表面からたかだか数百nm以下の限られた領域にのみ発生する。この金属薄膜表面に極く薄い膜試料を配置することで、表面プラズモン増強場により、照射された励起光よりも強い光があたったのと同様の効果が得られ、光反応、蛍光の増強が得られることが知られている。金属薄膜の作る増強場は、光の波長程度の空間的広がりを持っており、後述する微粒子による局在プラズモン増強場に比べると1桁近く大きく、光反応の大きな増感効果が期待される。
前記増感効果により高感度な検出は可能であるが、しかし、現実には励起光とのカップリングの制約があるために、前記のような特殊な光学配置を必須としている。即ち、増感効果が得られるエリアは、金属薄膜に沿ったエリアで、かつ、励起光で照明可能範囲(金属薄膜を担持する光屈折率媒体の配置と形状に依存)に限られているために、応用は微量の試料を用いた高感度検出法と言う分野に限られている。代表的なプラズモン増強効果をもつ金属薄膜材料として、銀が用いられている。(特許文献1の特開2004-156911号公報参照)
たとえば、微量の試料を、高感度に検出する表面プラズモン顕微鏡を1例として説明する。表面プラズモン増強場は、高屈折率媒体上に成膜された金属薄膜上の表面からたかだか数百nm以下の限られた領域にのみ発生する。この金属薄膜表面に極く薄い膜試料を配置することで、表面プラズモン増強場により、照射された励起光よりも強い光があたったのと同様の効果が得られ、光反応、蛍光の増強が得られることが知られている。金属薄膜の作る増強場は、光の波長程度の空間的広がりを持っており、後述する微粒子による局在プラズモン増強場に比べると1桁近く大きく、光反応の大きな増感効果が期待される。
前記増感効果により高感度な検出は可能であるが、しかし、現実には励起光とのカップリングの制約があるために、前記のような特殊な光学配置を必須としている。即ち、増感効果が得られるエリアは、金属薄膜に沿ったエリアで、かつ、励起光で照明可能範囲(金属薄膜を担持する光屈折率媒体の配置と形状に依存)に限られているために、応用は微量の試料を用いた高感度検出法と言う分野に限られている。代表的なプラズモン増強効果をもつ金属薄膜材料として、銀が用いられている。(特許文献1の特開2004-156911号公報参照)
このような、カップリング条件の問題を緩和する方法として、金属薄膜の下地基板に凹凸を設け金属薄膜を成膜して、周期構造を導入することにより、通常の伝播光とのカップリングを容易とした構成が開示(特許文献2の特開2007-240361号公報参照)されている。この構成の利点は、光学配置の制約が緩和されることにあるが、励起光波長に合わせた周期構造をもった基板を用意する必要があり、また、波長より小さな構造であるので、通常の成型ではなく、ナノインプリント用な高価なプロセスを必要とし、作成可能な面積も限られる。リソグラフィー技術とエッチングの技術により作成する場合も基板の精度はより高いものが得られるが、さらに高価なプロセスとなる。このような構造の用途として、絶縁層を挟んで特異的結合物を吸着させたバイオセンサー等を主な用途とするプラズモンセンサーが開示されている。
このような金属薄膜型センサーに対し、プラズモン増強場の発生源として、球状の金属微粒子を用いた構成も開示(特許文献3の特開2003-329682号公報)されている。この構成の特徴は、球状の金属微粒子をプラズモン増強場として用いることであり、励起光のカップリングの容易なセンサーが得られる。さらに、この公報には光リソグラフィーによるアレイ化された構成も開示されているが、この構成では、プラズモンによる増強効果を得るには、選択した粒子に合わせた波長を用いる必要があり、粒子の材質により使用波長が決まる。
次に、金属微粒子により励起されるプラズモン増強場を用いる測定について述べる。金属微粒子表面に励起されるプラズモンは、前記特許文献1記載のものよりも広がりが小さい局在プラズモン増強場である。その広がりは金属微粒子の周囲100nm以下の領域に限られている。そのため粒子表面に吸着した試料を高感度に観測可能な微小プローブとして用いるか、若しくは、局在プラズモン増強場が微小な領域に閉じ込められ伝播しない光であることを利用して、金属微粒子を試料近傍で移動することにより、得られる信号と位置との関係から観察像を得る微小プローブ顕微鏡として用いられている。前者の場合には、ガラス表面等に付着若しくは配列した金属微粒子表面に存在する試料からの蛍光等を、金属微粒子表面の局在プラズモン増強場により増強、観察している。後者の場合は、光の放射圧により微粒子を保持する光ピンセットの原理で微粒子を試料表面でスキャンする等の方法が用いられているが、何れも薄膜表面の分析技術と位置付けられている。また、観察に用いる波長を選択するために、球形コアセル構造による共鳴波長のチューニングが提案(特許文献4の特表2001-513198号公報)されているが、コアとセルの寸法比で共鳴波長が決まるため、共鳴波長の揃った粒子を再現性良く得ることは難しい。
さらには、複数の微粒子間の局在プラズモン増強場を結びつけることで、増強効果をより顕著とする目的で、凝集ナノ粒子を用いる方法が提案(特許文献5の特表2004-530867号公報)されている。ここでは、マイクロキャビティー中に凝集ナノ粒子を配置することで、多光子課程を含む高感度観測を行っているが、凝集粒子の凝集塊形状を制御することは難しく、凝集塊の散乱の影響が顕著であることから、マイクロキャビティー中など、微小領域での利用に限られている。
一方で、微小金属球に変わる表面ブラズモン増強場の発生手段として金ナノロッドがある。金ナノロッドは、アスペクト比を変えることにより、共鳴波長を変えることができ、540nm程度から近赤外(1100nm程度)までをカバーすることのできる材料である。製造方法の一例として界面活性剤を含む溶液中での電気化学的反応によって金属ナノロッドを製造することで再現性良く、共鳴波長の揃った粒子が得られることが開示(特許文献6の特開2005−068447号公報)されている。
このように、増強手段や応用技術としてのプラズモンセンサー技術は、従来、幾つか提案されているが、これら応用技術、利用技術の基礎となるプラズモン素子自体の性能、その製造法はまだ充分でなく、増強手段により可能となる、高集積化・微細化あるいは高密度な実装方法は、旧来からのフォトリソグラフィーをベースにしたものがあるのみで、高密度と低コストを両立させる実装方法が求められている。
我々は、プラズモン素子を用いた光増強技術について、鋭意検討を続けてきており、その1つの成果として、既に特許文献7の特開2006−330683号公報にて、表面プラズモン増強の場を点の集合としての二次元的な面の分布から三次元の任意の位置で利用可能な構成を提供することを目的として、高感度のバルクとして利用可能な多光吸収材料として、金属表面に発生する表面プラズモン増強場を発生させる金属微粒子(若しくは金属微粒子で被覆された微粒子)と、多光吸収材料とが、混合されている色素材料を提案している。
我々は、プラズモン素子を用いた光増強技術について、鋭意検討を続けてきており、その1つの成果として、既に特許文献7の特開2006−330683号公報にて、表面プラズモン増強の場を点の集合としての二次元的な面の分布から三次元の任意の位置で利用可能な構成を提供することを目的として、高感度のバルクとして利用可能な多光吸収材料として、金属表面に発生する表面プラズモン増強場を発生させる金属微粒子(若しくは金属微粒子で被覆された微粒子)と、多光吸収材料とが、混合されている色素材料を提案している。
本発明は、前記のような各種応用技術、利用技術の発展を援助し、支えるのに重要な改良されたプラズモン素子自体、及びそのための、比較的簡単で高性能な製造法を提供することを目的とするものであり、特に、表面プラズモン増強場を高密度にパターニングでき、かつ低コストな表面プラズモン増強場を有する複合膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、表面プラズモン増強場を有する複合膜のパターニングについて鋭意検討したところ、表面プラズモン増強場を発生させる材料が、異方性粒子であると熱により容易に変形し、表面プラズモン増強場を発生しなくなることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記(1)〜(13)によって解決される。
(1)「表面プラズモン増強場が発生する領域と該表面プラズモン増強場が発生する領域よりも表面プラズモン増強効果が弱い領域とがパターニングされた複合膜であって、前記表面プラズモン増強場が発生する領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を含み、前記表面プラズモン増強効果が弱い領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させた粒子を含むことを特徴とする複合膜」;
(2)「表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が、表面に存在することを特徴とする前記(1)に記載の複合膜」;
(3)「前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子の向きが一方向に揃っていることを特徴とする前記(1)項または(2)項に記載の複合膜」;
(4)「前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子の向きが直交していることを特徴とする前記(1)項または(2)項に記載の複合膜」;
(5)「前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の複合膜が、複数積層されていることを特徴とする複合膜」;
(6)「前記表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が金ナノロッドであることを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の複合膜」;
(7)「表面プラズモン増強場が発生する領域と、発生しない領域とを有する複合膜の製造方法であって、プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を一面に分散させた膜に光照射し、プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を熱変形させて、表面プラズモン増強場が発生しない領域を作成する工程を有することを特徴とする、表面プラズモン増強場が発生する領域と表面プラズモン増強場が発生しない領域とがパターニングされた複合膜の製造方法」;
(8)「前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を一面に分散させた膜が、樹脂と表面プラズモン増強場を発生させる粒子とを含む樹脂膜であり、前記樹脂の表面に表面プラズモン増強場を発生させる粒子を塗布する工程をさらに有することを特徴とする前記(7)項に記載の複合膜の製造方法」;
(9)「前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を一面に分散させた膜が、樹脂と表面プラズモン増強場を発生させる粒子とを含む樹脂膜であり、前記樹脂膜を延伸させる工程をさらに有することを特徴とする前記(7)項または(8)項に記載の複合膜の製造方法」;
(10)「前記表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を熱変形させる光が、直線偏光光であることを特徴とする前記異(7)項乃至(9)のいずれかに記載の複合膜の製造方法」;
(11)「前記樹脂は、ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする(7)項乃至(10)のいずれかに記載の複合膜の製造方法」;
(12)「表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層、または表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層に隣接する層に2光子吸収色素を配置したものであり、表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層が、前記(1)項乃至(6)のいずれかに記載の複合膜であることを特徴とする光機能素子;
(13)「前記(1)項乃至(6)のいずれかに記載の複合膜を用いた、表面プラズモンセンサーアレイ」。
すなわち、本発明の上記課題は、下記(1)〜(13)によって解決される。
(1)「表面プラズモン増強場が発生する領域と該表面プラズモン増強場が発生する領域よりも表面プラズモン増強効果が弱い領域とがパターニングされた複合膜であって、前記表面プラズモン増強場が発生する領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を含み、前記表面プラズモン増強効果が弱い領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させた粒子を含むことを特徴とする複合膜」;
(2)「表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が、表面に存在することを特徴とする前記(1)に記載の複合膜」;
(3)「前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子の向きが一方向に揃っていることを特徴とする前記(1)項または(2)項に記載の複合膜」;
(4)「前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子の向きが直交していることを特徴とする前記(1)項または(2)項に記載の複合膜」;
(5)「前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の複合膜が、複数積層されていることを特徴とする複合膜」;
(6)「前記表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が金ナノロッドであることを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の複合膜」;
(7)「表面プラズモン増強場が発生する領域と、発生しない領域とを有する複合膜の製造方法であって、プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を一面に分散させた膜に光照射し、プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を熱変形させて、表面プラズモン増強場が発生しない領域を作成する工程を有することを特徴とする、表面プラズモン増強場が発生する領域と表面プラズモン増強場が発生しない領域とがパターニングされた複合膜の製造方法」;
(8)「前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を一面に分散させた膜が、樹脂と表面プラズモン増強場を発生させる粒子とを含む樹脂膜であり、前記樹脂の表面に表面プラズモン増強場を発生させる粒子を塗布する工程をさらに有することを特徴とする前記(7)項に記載の複合膜の製造方法」;
(9)「前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を一面に分散させた膜が、樹脂と表面プラズモン増強場を発生させる粒子とを含む樹脂膜であり、前記樹脂膜を延伸させる工程をさらに有することを特徴とする前記(7)項または(8)項に記載の複合膜の製造方法」;
(10)「前記表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を熱変形させる光が、直線偏光光であることを特徴とする前記異(7)項乃至(9)のいずれかに記載の複合膜の製造方法」;
(11)「前記樹脂は、ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする(7)項乃至(10)のいずれかに記載の複合膜の製造方法」;
(12)「表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層、または表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層に隣接する層に2光子吸収色素を配置したものであり、表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層が、前記(1)項乃至(6)のいずれかに記載の複合膜であることを特徴とする光機能素子;
(13)「前記(1)項乃至(6)のいずれかに記載の複合膜を用いた、表面プラズモンセンサーアレイ」。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、表面プラズモン増強場を精緻で高密度にパターニングでき、かつ低コストな表面プラズモン増強場を有する複合膜を提供できる。
すなわち、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を含む膜において、前記表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させた領域と変形させていない領域が混在することを特徴とする機能性複合膜であることにより、従来のリソグラフィーによるパターニングに比べ、エッチング等、物理的に不要部分を除去する行程がなく、簡便かつ生産性の高い低コストな機能性複合膜、及びその製法が提供される。
また、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形した領域が光照射による熱変形で作成されたものであることにより、上記メリットに加え、光の照射行程のみでパターニングが完了しており、さらに簡便かつ生産性の高い低コストな機能性複合膜、及びその製法が提供される。また一方、光ブローブによるパターニングが可能であり、用途に合わせた柔軟なパターニングが可能である。
さらに、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を熱変形させる光の偏光が直線偏光であることにより、叙上のメリットに加え、分離するための失活領域が、偏光方向により異なり、したがって、完全なデッドスペースとならない効率的な実装が可能となる機能性複合膜、及びその製法が提供され、また、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を熱変形させる光の偏光方向が隣接する領域で直交することを特徴とする機能性複合膜、及びその製造方法であることにより、上記のメリットに加え、隣接領域が互いに直交する偏光方向の光に応答することで、より隣接領域からの光応答による妨害のないセパレーションの良い実装となる機能性複合膜、及びその製法が提供される。
また、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が膜の表面に配置されていることを特徴とする機能性複合膜であることにより、膜の外側にある物質が異方性粒子の発生するプラズモン増強場内に容易に配置されやすく、前記プラズモン増強場と前記膜外にある物質とのカップリングの効率の高いパターニングされた機能性複合材料が得られる。
また、前記機能性複合膜が積層されたことを特徴とする機能性複合膜であるので、2次元でのパターニングから3次元でのパターニングに拡張することにより、より高密度な機能集積が可能となる。
さらに、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が金ナノロッドであるので、吸収波長や増強度の揃った金ナノロッドが比較的低コストで大量に得られることから、低コストに大量生産が可能であると同時に品質の揃った機能性複合膜が得られる。
また、表面プラズモン増強場を発生させる粒子の向きが揃っている機能性複合膜であるので、レーザー光源など、コヒーレントでかつ偏光方向の制御された励起光源で、異方性粒子と前記励起光源のカップリングが効率的に起こり、即ち、高性能な機能性複合膜が得られる。
また、表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む膜が、延伸されたものであることにより表面プラズモン増強場を発生させる粒子の向きをそろえることにより、一つ一つ並べる方法に比較して、低コストでかつ大量生産が可能となる。
またさらに、表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む膜が、ポリビニルアルコールよりなることにより、上記の作用効果に加え、より再現性良く異方性粒子の配向が可能となり、また、表面プラズモン増強場を発生させる粒子が、ポリビニルアルコールよりなる膜の表面に塗布された後、延伸された機能性複合膜ことを特徴とする機能性複合膜、及びその製造方法であるので、叙上の作用効果に加え、機能性複合膜表面に異方性粒子が配置された、より顕著な外部の物質との相互作用が得られる機能性複合膜が得られる。
またさらに、該機能性複合膜に、表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層若しくは隣接する層に2光子吸収色素を配置したことにより、2光子吸収色素の発現する領域としない領域にパターニングされた高機能な光機能素子が得られ、また、機能性複合膜を用いた表面プラズモンセンサーアレイであるので、安価なプロセスを用いて、複数の機能を持つ表面プラズモンセンサーを高密度に実装可能となる。
以下、図面をも参照して、本発明を詳細かつ具体的に説明する。
初めに、本発明の表面プラズモン増強場が発生する領域と該表面プラズモン増強場が発生する領域よりも表面プラズモン増強効果が弱い領域とがパターニングされた複合膜について詳細に説明する。
本発明の機能性複合膜は、例えば図1に1例が模式的に示されるように、異方性粒子を変形させた部分と変形させない部分とが混在する複合膜であって、表面プラズモンによる増強効果の強い部分と弱い部分が混在した複合膜であり、表面プラズモン増強効果が弱い領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させることによって、該異方性粒子のアスペクト比を小さくしてプラズモンによる増強効果を弱くした領域である。
初めに、本発明の表面プラズモン増強場が発生する領域と該表面プラズモン増強場が発生する領域よりも表面プラズモン増強効果が弱い領域とがパターニングされた複合膜について詳細に説明する。
本発明の機能性複合膜は、例えば図1に1例が模式的に示されるように、異方性粒子を変形させた部分と変形させない部分とが混在する複合膜であって、表面プラズモンによる増強効果の強い部分と弱い部分が混在した複合膜であり、表面プラズモン増強効果が弱い領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させることによって、該異方性粒子のアスペクト比を小さくしてプラズモンによる増強効果を弱くした領域である。
前記異方性粒子とは、球形でなく、かつ球形粒子とは異なる共鳴波長を持つ粒子をいい、棒状(ロッド)、板状、テトラポッド型の異方性を有する粒子であり、例えば、棒状(ロッド)の粒子は、前記特許文献6にも記載される(段落[0023])ように、アスペクト比(太さに対する長さの比)が大きいとプラズモンによる増強効果が大きく、アスペクト比が小さくなるとプラズモンによる増強効果も低下する。
異方性粒子はレーザーで変形できるため金ナノロッドであることが好ましい。
異方性粒子はレーザーで変形できるため金ナノロッドであることが好ましい。
本発明では、プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させて(アスペクト比を小さくして)、プラズモンによる増強効果を弱くするため、エッチング等、物理的に不要部分を除去する行程がなく、従来のリソグラフィーによるパターニングに比べ、簡便かつ精緻に、表面プラズモン増強効果が弱い領域を形成でき、したがって、表面プラズモン増強効果が強い領域と弱い領域との境界が非常に明確であるので、容易に識別することができる。また、低コストな、表面プラズモン増強場が発生する領域と表面プラズモン増強場が発生しない領域とがパターニングされた複合膜を作製できる。
前記プラズモンによる増強効果の低下の程度は、複合膜の目的・用途に合致していればわずかでもよく、完全に表面プラズモン増強場が発生しないものでなくてもよい。したがって、異方性粒子を完全に球形まで変形させる必要はなく、また、熱等により蒸発または複合膜内に分散し粒子が失われてもよい。
本発明のパターニングされた複合膜は、異方性粒子が表面に存在するとことが好ましい。異方性粒子により発生する表面プラズモンは、局在表面プラズモンと呼ばれる粒子の極周囲に局在して発生するプラズモンである。したがって、表面プラズモンによって発生する増強効果も局在したものとなる。
例えば、バイオセンサーのような外部の物質との相互作用が必要なアプリケーションの場合には異方性粒子が表面に存在することが、異方性粒子の作る増強場の中に相互作用させようとする物質を配置するために必要となる。前記異方性粒子が表面に存在するとは、膜の最表面に異方性粒子が露出している状態ではなく、異方性粒子の作る増強場の中に相互作用させようとする物質を配置することが可能な場所に異方性粒子が存在することであり、適宜、異方性粒子上に、スペーサー層、アンカー層を有していてもよい。
例えば、バイオセンサーのような外部の物質との相互作用が必要なアプリケーションの場合には異方性粒子が表面に存在することが、異方性粒子の作る増強場の中に相互作用させようとする物質を配置するために必要となる。前記異方性粒子が表面に存在するとは、膜の最表面に異方性粒子が露出している状態ではなく、異方性粒子の作る増強場の中に相互作用させようとする物質を配置することが可能な場所に異方性粒子が存在することであり、適宜、異方性粒子上に、スペーサー層、アンカー層を有していてもよい。
前記スペーサー層とは、プラズモン増強場を発生させる粒子と相互作用させようとする物質との距離を制御するための物理的な分離層であり、また、アンカー層とは、プラズモン増強場を発生させる粒子と前記粒子を担持する膜との固着力を増す目的で設けた、シランカップリング剤等を含む層である。
レーザー光源など、コヒーレントでかつ偏光方向の制御された励起光源と異方性粒子とのカップリング(励起光と異方性粒子の表面電子粗密波との相互関係)が効率的に起こるため、異方性粒子の向きが一方向に揃っていることが好ましい。
一般に、異方性微粒子を分散させた場合には、特に秩序を示すことはなく、異方性粒子の向きはランダムである。この場合、自然光を用いた場合には、ランダム偏光であるので特に励起光と異方性粒子とのカップリングに制約(効率の低下)はないが、レーザー光の場合には、偏光方向に注意が必要となる。
一般に、異方性微粒子を分散させた場合には、特に秩序を示すことはなく、異方性粒子の向きはランダムである。この場合、自然光を用いた場合には、ランダム偏光であるので特に励起光と異方性粒子とのカップリングに制約(効率の低下)はないが、レーザー光の場合には、偏光方向に注意が必要となる。
具体的には、直線偏光のレーザーを用いる場合には、ある特定の方位を向いた光のみがカップリングを示し、他の大部分の粒子は散乱体として働くため感度が低下する。
しかし、偏光方向と異方性粒子の向きが概略一致していれば、効率的なカップリングが可能となり、高感度な複合膜となる。
しかし、偏光方向と異方性粒子の向きが概略一致していれば、効率的なカップリングが可能となり、高感度な複合膜となる。
本発明における前記異方性粒子の変形方法について説明する。
本発明を構成する表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子は、粒子径が10〜10000nmであることが好ましい。この程度の極く細い材料は、微粒子特有の非常に強い表面活性による量子効果のためか、吸収した光の熱緩和により変形する。
本発明を構成する表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子は、前記のように、棒状(ロッド)、板状、テトラポット状等の形状を有しており、このような形状の粒子に強エネルギーの光を照射すると、吸収した光の熱緩和により変形が起こってアスペクト比が小さくなり、究極的には球状になって、表面プラズモン増強場が発生しなくなる。
本発明で用いる未変形の異方性粒子は、粒子径が2〜10000nm、アスペクト比が1.5〜20(アスペクト比が20以上のものはナノワイヤというとのことですので)であることが好ましく、より好ましくは粒子径が5〜5000nm、アスペクト比が2〜20である。この程度に微細な材料は、処理光の強度にもよるが、微粒子特有の非常に強い表面活性度、所謂「量子効果」のためか、炭酸ガスレーザーのような強力レーザーのほか、例えば汎用の光ディスク書き込み用レーザーで、変形させることができる。変形させた粒子は、未変形の異方性粒子とは、アスペクト比が相対的に異なれば(比較、小さくなれば)よく、これは、分光吸収スペクトルのピーク変移により、容易に確認することができる。
本発明を構成する表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子は、粒子径が10〜10000nmであることが好ましい。この程度の極く細い材料は、微粒子特有の非常に強い表面活性による量子効果のためか、吸収した光の熱緩和により変形する。
本発明を構成する表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子は、前記のように、棒状(ロッド)、板状、テトラポット状等の形状を有しており、このような形状の粒子に強エネルギーの光を照射すると、吸収した光の熱緩和により変形が起こってアスペクト比が小さくなり、究極的には球状になって、表面プラズモン増強場が発生しなくなる。
本発明で用いる未変形の異方性粒子は、粒子径が2〜10000nm、アスペクト比が1.5〜20(アスペクト比が20以上のものはナノワイヤというとのことですので)であることが好ましく、より好ましくは粒子径が5〜5000nm、アスペクト比が2〜20である。この程度に微細な材料は、処理光の強度にもよるが、微粒子特有の非常に強い表面活性度、所謂「量子効果」のためか、炭酸ガスレーザーのような強力レーザーのほか、例えば汎用の光ディスク書き込み用レーザーで、変形させることができる。変形させた粒子は、未変形の異方性粒子とは、アスペクト比が相対的に異なれば(比較、小さくなれば)よく、これは、分光吸収スペクトルのピーク変移により、容易に確認することができる。
光の照射は、レーザー光等を集光し走引する光プローブ型(図2)でも、マスクを使った制限一括照射による方法でもよく、干渉等により強度が変調された光を照射してもよい。
また、前記照射光は、直線偏光光であることが好ましい。
また、前記照射光は、直線偏光光であることが好ましい。
表面プラズモン増強場を発生させる異方性を持つ粒子のプラズモン吸収は、照射された光の偏光方向に依存する。例えば、棒状の粒子であれば、長手方向と光の偏光方向が一致していれば相互作用が起こるが、直交している場合には相互作用は弱いため、熱変形させる光が直線偏光光であると光の偏光方向と長手方向が概略一致する粒子のみが熱変形し、直交する粒子は影響を受けず、表面プラズモン増強場を発生させる能力を保持させることができ、偏光方向により、表面プラズモン増強場が発生する領域を分離できるため、失活領域が少なく、完全なデッドスペースとならない効率的な実装が可能となる。
また、照射光が直交する直線偏光光であると、プラズモン増強場を発生させる異方性粒子の向きが直交している複合膜を作製でき、隣接領域を互いに直交する偏光方向の光に応答させることで、隣接領域の光応答により生じるノイズの少ないセパレーションのよい複合膜を形成できる。
[本発明の機能性複合膜の構成・動作]
本発明の機能性複合膜は、前記のように、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を含む膜において、前記表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させた領域と変形させていない領域が混在することを特徴とする機能性複合膜である。
ここで述べる表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子とは、例えば金のナノロッドに代表される形状が球形ではなく、かつ、球形の粒子とは異なる共鳴波長を持つ粒子のことをさしている。このような粒子は、棒状(ロッド)、板状、テトラポッド型などが挙げられる。
本発明の機能性複合膜は、前記のように、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を含む膜において、前記表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させた領域と変形させていない領域が混在することを特徴とする機能性複合膜である。
ここで述べる表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子とは、例えば金のナノロッドに代表される形状が球形ではなく、かつ、球形の粒子とは異なる共鳴波長を持つ粒子のことをさしている。このような粒子は、棒状(ロッド)、板状、テトラポッド型などが挙げられる。
一例として、棒状(ロッド)の増感効果の性質について説明すると、アスペクト比(長さと太さの比)の減少に伴いプラズモンによる増強効果も低下する。即ち、本発明では、プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させて(アスペクト比を小さくして)、プラズモンによる増強効果を弱くする。図1に示すように、前記変形させた部分と変形させない部分とが混在することで、プラズモンによる増強効果の強い部分と弱い部分が混在した機能性複合膜が得られる(図で示したラインアンドスペースのパターニングは構成の一例であり、これに限られるものではない)。
より詳しくは、前記変形させた部分で、そのままの強い増強効果を示す未変形部分を分割若しくは形状・部位等を制限することにより増強効果の発揮される部位がパターニングされている機能性複合膜である。ここで述べる増強度の変化とは、目的に合致していればわずかでも良い。また、究極的には球形まで変形させたものばかりではなく、目的は同一であるので、熱等により蒸発若しくは機能性複合膜内に構成成分が分散して粒子が失われてしまった場合もここで述べる変形に含まれる。
また本発明は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形した領域が、図2に示されるように、光照射による熱変形で作成されたものあることを包含する。上に説明したように、本発明を構成する表面プラズモン増強場を発生させる粒子は、棒状(ロッド)、板状、テトラポット型などがある。このような粒子に強い光エネルギーを照射すると、吸収した光の熱緩和により変形が起こる。例えば棒状(ロッド)の場合には、アスペクト比(長さと太さの比)が変化し、究極的には球状になる。この際、アスペクト比の減少に伴いプラズモンによる増強効果も低下する。即ち、本発明では、光を照射し、プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させて(アスペクト比を小さくして)、プラズモンによる増強効果を弱くする。このような手段により、前記変形させた部分で、そのままの強い増強効果を示す部分を分割若しくは形状・部位等を制限することにより増強効果の発揮される部位をパターニングした機能性複合膜であり得る。
ここで述べる増強度の変化とは、上記の場合と同様に、目的に合致していればわずかでも良い。また、究極的には球形まで変形させるばかりではなく、目的は同一であるので光照射の熱により蒸発若しくは機能性複合膜内に分散して粒子が失われてしまった場合もここで述べる変形に含むものとする。また、光の照射方法は、レーザー光等を集光し走引する光プローブ型(図2)でも、マスクを使った制限一括照射による方法でも良い。さらには、干渉等による照射光そのものの強度変調も、広い意味でのマスクによる露光の範囲に含まれる。
さらに本発明は、前記機能性複合膜の製法において、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を熱変形させる光の偏光が直線偏光であることを特徴とする機能性複合膜の製造方法を包含する。
表面プラズモン増強場を発生せせる異方性を持つ粒子のプラズモン吸収は、照射された光の偏光方向に依存する。例えば、棒状の粒子であれば、長手方向と光の偏光方向が一致していれば相互作用が起こるが、直交している場合には相互作用は弱い。従って、熱変形させる光を直線偏光とし、熱変形させれば、光の偏光方向と長手方向が概略一致する粒子のみが熱変形し、直交する粒子は影響を受けず、表面プラズモン増強場を発生させる能力を保持したままである。
表面プラズモン増強場を発生せせる異方性を持つ粒子のプラズモン吸収は、照射された光の偏光方向に依存する。例えば、棒状の粒子であれば、長手方向と光の偏光方向が一致していれば相互作用が起こるが、直交している場合には相互作用は弱い。従って、熱変形させる光を直線偏光とし、熱変形させれば、光の偏光方向と長手方向が概略一致する粒子のみが熱変形し、直交する粒子は影響を受けず、表面プラズモン増強場を発生させる能力を保持したままである。
本発明の目的は、特定の偏光方向の光に応答する部位を作成する際に、従来の技術とは異なる思想に基く異なる方法で、従来技術ものもとは異なる態様の部位を作製することであるから、叙上の場合と同様、熱変形させるのみならず、粒子を蒸発させるなどの方法によることも含むことができる。
また、この目的のため、照射領域の直交する偏光光に対する応答が弱くなった場合にも、直交する偏光に対する応答が、目的を達する状態を保持できればこの構成に含まれる。
また、この目的のため、照射領域の直交する偏光光に対する応答が弱くなった場合にも、直交する偏光に対する応答が、目的を達する状態を保持できればこの構成に含まれる。
さらにまた本発明は、上記機能性複合膜において、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を熱変形させる光の偏光方向が隣接する領域で直交することを特徴とする機能性複合膜の製造方法を包含する。
上に説明したように、熱偏光させる光を直線偏光とすることで、偏光方向と粒子の長手方向が直交する粒子のプラズモン増強場には影響を与えずに、偏光方向と粒子の長手方向が一致する粒子のみを、熱変形させ表面プラズモン増強場の発生能を失活させることを述べた。請求項4では、隣接する領域を偏光方向が直交する光で熱変形させることで、隣接する領域間で、異なる偏光方向の光に対し、増強効果が発揮されることでパターニングされた機能性複合膜が得られた。
上に説明したように、熱偏光させる光を直線偏光とすることで、偏光方向と粒子の長手方向が直交する粒子のプラズモン増強場には影響を与えずに、偏光方向と粒子の長手方向が一致する粒子のみを、熱変形させ表面プラズモン増強場の発生能を失活させることを述べた。請求項4では、隣接する領域を偏光方向が直交する光で熱変形させることで、隣接する領域間で、異なる偏光方向の光に対し、増強効果が発揮されることでパターニングされた機能性複合膜が得られた。
さらにまた本発明は、上記機能性複合膜において、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が膜の表面に配置されていることを特徴とする機能性複合膜を包含する。
粒子により発生する表面プラズモンは、局在表面プラズモンと呼ばれる粒子の極周囲に局在して発生するプラズモンである。従って、表面プラズモンによって発生する増強効果も局在したものとなる。例えば、バイオセンサーのような外部の物質との相互作用が必要なアプリケーションの場合には膜表面近傍に配置されていることが、粒子の作る増強場の
粒子により発生する表面プラズモンは、局在表面プラズモンと呼ばれる粒子の極周囲に局在して発生するプラズモンである。従って、表面プラズモンによって発生する増強効果も局在したものとなる。例えば、バイオセンサーのような外部の物質との相互作用が必要なアプリケーションの場合には膜表面近傍に配置されていることが、粒子の作る増強場の
ここで述べる膜の表面とは、上記したように、膜の最表面に配置することのみを意味するわけではなく、適宜、スペーサー層、アンカー層を配置可能であることは言うまでもない。ここで述べるスペーサー層とは、プラズモン増強場を発生させる粒子と相互作用させようとする物質との距離を制御するための物理的な分離層を指す。また、アンカー層とは、プラズモン増強場を発生させる粒子と前記粒子を担持する膜との固着力を増す目的で設けた、シランカップリング剤等を含む層を指す。さらには、前記発明のような一様な粒子濃度の作成条件から異方性粒子の分布に、例えば電界泳動等により膜の深さ方向に傾斜を設けることによっても本発明の思想は実現可能であり、このような目的に作成した濃度分布を持つ機能性複合膜も本発明の構成に含まれる。また、表裏両面に配置することも含むことは言うまでもない。本発明を構成する、粒子の変形部位と未変形部位の作成方法には特に制限はないが、例えば、光の照射方法は、前記の場合と同様に、光プローブによる方法でもマスクによる制限一括照射でも良い。
さらにまた本発明は、上記機能性複合膜が、積層されたことを特徴とする機能性複合膜を包含する。
上に述べたように、本発明の機能性複合膜は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が機能性複合膜表面に配置されている。従って、この膜を積層すると、2次元だけでなく、3次元にパターニングされた増強場ができる。パターニングは、積層前でも積層後でも目的に応じて選択可能である。
なお、膜を積層する際には、膜と膜との間に分離層、例えば、稠密の場合の他、ゲル状の場合、パイプやビーズ等を挟むことにより物質移動の可能な空間を設けた場合等が含まれる。
上に述べたように、本発明の機能性複合膜は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が機能性複合膜表面に配置されている。従って、この膜を積層すると、2次元だけでなく、3次元にパターニングされた増強場ができる。パターニングは、積層前でも積層後でも目的に応じて選択可能である。
なお、膜を積層する際には、膜と膜との間に分離層、例えば、稠密の場合の他、ゲル状の場合、パイプやビーズ等を挟むことにより物質移動の可能な空間を設けた場合等が含まれる。
さらにまた本発明は、上記機能性複合膜において、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が金ナノロッドであることを特徴とする機能性複合膜であることを包含する。
金ナノロッドは、現在最も研究の進んだ異方性微粒子である。吸収波長の揃った異方性粒子が再現性良くできると共に、反応容器内でのバッチ処理による大量生産な可能な異方性微粒子である。本発明の機能性複合材料が金ナノロッドを用いることにより大量生産可能となる。
金ナノロッドは、現在最も研究の進んだ異方性微粒子である。吸収波長の揃った異方性粒子が再現性良くできると共に、反応容器内でのバッチ処理による大量生産な可能な異方性微粒子である。本発明の機能性複合材料が金ナノロッドを用いることにより大量生産可能となる。
さらにまた本発明は、上記機能性複合膜において、表面プラズモン増強場を発生させる粒子の向きが揃っていることを特徴とする機能性複合膜であることを包含する。
一般に、微粒子を分散させた場合には、特に秩序を示すことはなく、粒子の向きはランダムである。この場合、自然光を用いたときには、ランダム偏光であるので特にカップリングに制約(効率の低下)はないが、レーザー光のときには、偏光方向に注意が必要となる。
一般に、微粒子を分散させた場合には、特に秩序を示すことはなく、粒子の向きはランダムである。この場合、自然光を用いたときには、ランダム偏光であるので特にカップリングに制約(効率の低下)はないが、レーザー光のときには、偏光方向に注意が必要となる。
具体的には、直線偏光のレーザーを用いる場合には、ある特定の方位を向いた光のみがカップリングを示すこととなり、他の大部分の粒子は微弱ながらも(光の波長より粒子が十分小さいことを想定)散乱体として働くのみで損失が無視できない機能性複合膜となる。しかし、偏光方向と粒子の向きとが概略一致していれば、効率的なカップリングが可能となり、損失の小さな高機能な機能性複合膜となる。粒子の向きをそろえる方法は、溶液の流し込み時の延伸によって樹脂等のバインダー分子の配列により揃えてもよく、また、目的によっては、光ピンセット等の方法によって粒子を配列することも可能である。
上記のように、特定の方位の粒子を変形させることにより、直交する粒子を有意とすることも含む。先にも述べたように、粒子の向きは完全にそろっている必要はなく、コスト、用途によりどの程度を一致させるかの選択が可能であることはいうまでもない。
上記のように、特定の方位の粒子を変形させることにより、直交する粒子を有意とすることも含む。先にも述べたように、粒子の向きは完全にそろっている必要はなく、コスト、用途によりどの程度を一致させるかの選択が可能であることはいうまでもない。
さらにまた本発明は、上記機能性複合膜において、表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む膜を、延伸させることにより表面プラズモン増強場を発生させる粒子の方向をそろえたことを特徴とするパターニングされた機能性複合膜であることを包含する。
図3に示されるように、厚さのほぼ揃った、例えばキャスティングにより作成された異方性粒子が分散ポリマー膜を、一方向に延伸する。この工程により、ポリマー分子は延伸方向に平行に分子が揃うと同時に異方性粒子も同様に分子と平行に揃う(図3)。このような延伸工程により、一方向に粒子の向きが揃った機能性複合膜が得られる。
なお、ここで述べたのは、プラズモン増強場を構成する部分についてのみであり、補強等のために、ガラス基板、他のポリマーシート等との張り合わせが適宜可能であることはいうまでもない。また、ここでは、原理説明のために一軸延伸の説明をしたが、主たる延伸方向に分子を配向させると同時に異方性粒子も配向させるという本発明の思想を逸脱しない限り、二軸延伸等延伸方法に特に制限がないことはいうまでもない。
図3に示されるように、厚さのほぼ揃った、例えばキャスティングにより作成された異方性粒子が分散ポリマー膜を、一方向に延伸する。この工程により、ポリマー分子は延伸方向に平行に分子が揃うと同時に異方性粒子も同様に分子と平行に揃う(図3)。このような延伸工程により、一方向に粒子の向きが揃った機能性複合膜が得られる。
なお、ここで述べたのは、プラズモン増強場を構成する部分についてのみであり、補強等のために、ガラス基板、他のポリマーシート等との張り合わせが適宜可能であることはいうまでもない。また、ここでは、原理説明のために一軸延伸の説明をしたが、主たる延伸方向に分子を配向させると同時に異方性粒子も配向させるという本発明の思想を逸脱しない限り、二軸延伸等延伸方法に特に制限がないことはいうまでもない。
さらにまた本発明は、上記機能性複合膜において、表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む膜が、ポリビニルアルコールよりなることを特徴とする機能性複合膜を包含する。
このような構成について、種々のバインダー樹脂を用い、実施したところ、ポリビニルアルコールよりなる膜を、延伸すると異方性粒子の向きが一方向に揃った膜が、より再現性良く得られた。成膜方法は種々の方法が利用可能であることはいうまでもない。
このような構成について、種々のバインダー樹脂を用い、実施したところ、ポリビニルアルコールよりなる膜を、延伸すると異方性粒子の向きが一方向に揃った膜が、より再現性良く得られた。成膜方法は種々の方法が利用可能であることはいうまでもない。
さらにまた本発明は、上記機能性複合膜において、表面プラズモン増強場を発生させる粒子が、ポリビニルアルコールよりなる膜の表面に塗布された後、延伸されたものであることを特徴とする機能性複合膜、及びその製造方法を包含する。
異方性粒子は、ポリビニルアルコールよりなる膜をキャスティング等の手法により成形後、例えばディッピング等により塗布吸着させることが可能である。
この後、延伸により、ポリビニルアルコール分子が配列するに従い、吸着した異方性分子も同方向に配列する。表面に露出した状態で用いることも可能であるし、保護層を形成することも可能である。尚、機能性複合膜を構成するポリビニルアルコール膜を補強する目的で、他の材質の膜と張り合わせることも可能であることはいうまでもなく、また、延伸前に張り合わせてもよい。
この後、延伸により、ポリビニルアルコール分子が配列するに従い、吸着した異方性分子も同方向に配列する。表面に露出した状態で用いることも可能であるし、保護層を形成することも可能である。尚、機能性複合膜を構成するポリビニルアルコール膜を補強する目的で、他の材質の膜と張り合わせることも可能であることはいうまでもなく、また、延伸前に張り合わせてもよい。
さらにまた本発明は、上記機能性複合膜において、表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層若しくは隣接する層に、図5にその1例が示されるような、2光子吸収色素を配置したことを特徴とする光機能素子を包含する。
ここで述べる2光子吸収色素は、2光子蛍光色素、光重合開始剤、あるいは重合開始剤へのエネルギー移動により光重合反応を促進する光重合反応助剤など多種多様の2光子吸収色素を用途により選択可能である。例えば、重合反応助剤の場合には、3次元にパターニングされた増感領域により、重合反応が制限されることにより3次元造形等が高速になしえる。
ここで述べる2光子吸収色素は、2光子蛍光色素、光重合開始剤、あるいは重合開始剤へのエネルギー移動により光重合反応を促進する光重合反応助剤など多種多様の2光子吸収色素を用途により選択可能である。例えば、重合反応助剤の場合には、3次元にパターニングされた増感領域により、重合反応が制限されることにより3次元造形等が高速になしえる。
さらにまた本発明は、上記機能性複合膜を用いた表面プラズモンセンサーアレイを包含する。
この構成においては、膜表面に異方性粒子が実装させているものが感度が良好である。
図4に示されるように、異方性粒子の表面は、例えば標的となるタンパク質と相補的に結びつくリガンド分子により修飾されていることが望ましく、より望ましくは標的となるタンパク質との結合により蛍光のON/OFFがあるものが望ましい。
この場合には、異方性粒子のアスペクト比の変わった部分はそもそも吸収波長がずれているため、(例えば、アスペクト比4程度の金ナノロッドの吸収波長は800nm程度であるが、球状の粒子は520nm程度である)標的となるタンパク質の吸着によるプラズモン吸収波長のずれも、蛍光発光のいずれも観測されない。即ち、S/N比の高い測定が可能となる。また、3次元のアレイ状にすることも可能で、上記のように、物質移動のチャンネルを設けることで、異方性粒子表面の修飾状態、即ち標的タンパク質の有無を高感度に知ることができる。チャンネルごとに異なるリガンドで修飾した異方性粒子を配置すれば同時に他種類のテストを行うことができる。このような構造の作成精度は、例えば光プローブの分解能により決定され、高密度での実装が可能である。
この構成においては、膜表面に異方性粒子が実装させているものが感度が良好である。
図4に示されるように、異方性粒子の表面は、例えば標的となるタンパク質と相補的に結びつくリガンド分子により修飾されていることが望ましく、より望ましくは標的となるタンパク質との結合により蛍光のON/OFFがあるものが望ましい。
この場合には、異方性粒子のアスペクト比の変わった部分はそもそも吸収波長がずれているため、(例えば、アスペクト比4程度の金ナノロッドの吸収波長は800nm程度であるが、球状の粒子は520nm程度である)標的となるタンパク質の吸着によるプラズモン吸収波長のずれも、蛍光発光のいずれも観測されない。即ち、S/N比の高い測定が可能となる。また、3次元のアレイ状にすることも可能で、上記のように、物質移動のチャンネルを設けることで、異方性粒子表面の修飾状態、即ち標的タンパク質の有無を高感度に知ることができる。チャンネルごとに異なるリガンドで修飾した異方性粒子を配置すれば同時に他種類のテストを行うことができる。このような構造の作成精度は、例えば光プローブの分解能により決定され、高密度での実装が可能である。
以下、実施例により、本発明を更に詳細かつ具体的に説明するが、これら各例は、本発明についての理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するためのものではない。また、以下の記載において、「部」は、別段のことわりない限り、「重量部」を表わす。
先ず、異方性粒子として用いた、金ナノロッドの作成方法の一例である光還元法について説明する。
原料溶液としてCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)水溶液0.18 mol/l,70ml、シクロヘキサン0.36 ml、アセトン1ml、硝酸銀水溶液0.1 mol/l,13mlを加えマグネットスターラーにより攪拌する。更に、塩化金酸溶液0.24mol/ml,2mlを加えた後、アスコルビン酸水溶液0.1mol/l,0.3mlを加え、塩化金酸溶液の色が消えたことを確認する。直径100mmのシャーレーに混合用液を移し、254nmの紫外線を低圧水銀ランプ(アズワン社製、SUV-16)により照射した。約20分照射することにより、吸収の中心波長830nmの金ナノロッド分散液が完成した。
原料溶液としてCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)水溶液0.18 mol/l,70ml、シクロヘキサン0.36 ml、アセトン1ml、硝酸銀水溶液0.1 mol/l,13mlを加えマグネットスターラーにより攪拌する。更に、塩化金酸溶液0.24mol/ml,2mlを加えた後、アスコルビン酸水溶液0.1mol/l,0.3mlを加え、塩化金酸溶液の色が消えたことを確認する。直径100mmのシャーレーに混合用液を移し、254nmの紫外線を低圧水銀ランプ(アズワン社製、SUV-16)により照射した。約20分照射することにより、吸収の中心波長830nmの金ナノロッド分散液が完成した。
この分散液5mlに、界面活性剤であるドデカンチオールのアセトン溶液1vol%,10mlを加え攪拌し、更にシクロヘキサン5mlを加え攪拌後静置した。金ナノロッドはシクロヘキサン中に安定に分散した。
アクリル樹脂BR-75(三菱レーヨン製)の3wt%溶液10mlを作成し、さらに、図5に構造式を示す2光子吸収色素50mgを溶解した後、前記金ナノロッドシクロヘキサン溶液5mlと混合し、ガラス基板上にキャスティングした。膜厚は約10μmであった。
波長780nmの直線偏光レーザー光源を1/4波長板により円偏光に変換し、NA0.55のCD-R用対物レンズを用いた光学系により前記キャスティング膜にパターニングを行い、20μmピッチのラインアンドスペースのパターニングを施した。パターンの確認は、光学顕微鏡での観察により、レーザー光の照射部の金ナノロッドの変形により近赤外(780nm)がアスペクト比の減少により赤紫の吸収が認められたことから確認した。
このパターニングされた構造を、赤外線パルスレーザー(スペクトラフィジックス製、MaiTai,パルス幅100fs)により間欠励起を行い(照射平均パワー7.5mW)、アバランシェフォトダイオードにて2光子蛍光光量を比較したところ、近赤外光の照射によりアスペクト比の減少した部分の2光子蛍光光量は未照射部位と比較して約1/5と減少しており、パターニングの効果が確認された。
実施例1でも用いたパターニング前のキャスティング膜に以下の方法でパターニングを施した。
波長780nmの直線偏光のレーザー光源を、NA0.55のCD-R用対物レンズを用いた光学系により前記キャスティング膜にパターニングを行った。偏光方向をパターンの走引方向と平行とし、20μmピッチのラインアンドスペースのパターニングを施したのち、スペース部分に偏光方向を走引方向と垂直とし、照射を行った。パターンの確認は、光学顕微鏡で偏光観察(オープンニコル)により、レーザー光の照射部の金ナノロッドの変形により近赤外(780nm)がアスペクト比の減少により赤紫の吸収が認められたことから確認した。さらに、ステージを回転させ、パターンが明滅することにより、隣接する領域が偏光に対し、異なる吸収応答を示すことを確認した。また、このパターニングされた構造を、赤外線パルスレーザー(スペクトラフィジックス製、MaiTai,パルス幅100fs)により間欠励起を行い(照射平均パワー7.5mW)、アバランシェフォトダイオードにて2光子蛍光光量を比較したところ、走引方向と垂直な偏光方向の近赤外光の照射により、異なる偏光方向に応答する領域の2光子蛍光光量の比較を行ったところ、2光子蛍光光量の比は約1:5と、パターニングの効果が確認された。また、走引方向と平行な偏光の前記パルスレーザーによる2光子蛍光の計測結果も同様に、約1:5の光量比が得られ、パターニングの効果が確認された。
波長780nmの直線偏光のレーザー光源を、NA0.55のCD-R用対物レンズを用いた光学系により前記キャスティング膜にパターニングを行った。偏光方向をパターンの走引方向と平行とし、20μmピッチのラインアンドスペースのパターニングを施したのち、スペース部分に偏光方向を走引方向と垂直とし、照射を行った。パターンの確認は、光学顕微鏡で偏光観察(オープンニコル)により、レーザー光の照射部の金ナノロッドの変形により近赤外(780nm)がアスペクト比の減少により赤紫の吸収が認められたことから確認した。さらに、ステージを回転させ、パターンが明滅することにより、隣接する領域が偏光に対し、異なる吸収応答を示すことを確認した。また、このパターニングされた構造を、赤外線パルスレーザー(スペクトラフィジックス製、MaiTai,パルス幅100fs)により間欠励起を行い(照射平均パワー7.5mW)、アバランシェフォトダイオードにて2光子蛍光光量を比較したところ、走引方向と垂直な偏光方向の近赤外光の照射により、異なる偏光方向に応答する領域の2光子蛍光光量の比較を行ったところ、2光子蛍光光量の比は約1:5と、パターニングの効果が確認された。また、走引方向と平行な偏光の前記パルスレーザーによる2光子蛍光の計測結果も同様に、約1:5の光量比が得られ、パターニングの効果が確認された。
実施例1で作成した金ナノロッド溶液100ccを、遠心分離器(久保田製作所、7780)で12000rpm、30分の条件で遠心分離し、上澄みを除去後、蒸留水を加え100ccとした。再度同条件で遠心分離を行い、上澄みを除去し、不要な界面活性剤を取り除いた濃縮金ナノロッド溶液10ccを得た。
ポリビニルアルコール(和光純薬製、試薬1級、部分けん化型、重合度3500)6wt%水溶液に、前記濃縮金ナノロッド溶液を10cc加え、ホモジナイザーで拡散分散させた。これを、ガラス基板上にキャスティングし、厚さ約0.5mmの金ナノロッド分散ポリビニルアルコール膜を得た。
この膜をガラス基板から剥離し、長さ4倍に一軸延伸し、一軸延伸膜を得た。直線偏光光に対する吸収を調査した結果、延伸方向と直交方向の吸収率比は約5:1であり金ナノロッドの一方向への配向が確認された。
さらにこの膜に、実施例1と同様に近赤外光によるパターニングを膜表面に焦点を合わせることで施し、表面付近にのみパターニングを施した。この膜の表面に、アクリル樹脂BR75(三菱レーヨン製)0.1wt%THF溶液5ccに、図5に示した2光子蛍光色素30mgを溶解した色素溶液をスピンコートで塗布した。
このパターニングされた構造を、赤外線パルスレーザー(スペクトラフィジックス製、MaiTai,パルス幅100fs)により間欠励起を行い(照射平均パワー7.5mW)、アバランシェフォトダイオードにて2光子蛍光光量を比較した。この際、偏光を直線偏光とし、偏光方向と粒子の方向を一致させた場合には、近赤外光の照射によりアスペクト比の減少した部分の2光子蛍光光量は未照射部位と比較して約1/6と減少しており、パターニングの効果が確認された。また、粒子の方位と直交している場合には、未照射部との優位な差は認められなかった。即ち、直線偏光での励起において、偏光方向依存を確認した。
ポリビニルアルコール(和光純薬製、試薬1級、部分けん化型、重合度3500)5wt%水溶液を作成した。これを、ガラス基板上にキャスティングし、厚さ約0.5mmのポリビニルアルコール膜を得た。
実施例3で作成した濃縮金ナノロッド溶液10ccを、ポリビニルアルコール(和光純薬製、試薬1級、部分けん化型、重合度3500)1wt%水溶液に、前記濃縮金ナノロッド溶液を10cc加え、ホモジナイザーで拡散分散させた。
前記ポリビニルアルコール膜表面に、作成したポリビニルアルコール・金ナノロッド混合液をバーコートし、熱さ約0.5μmの金ナノロッド層付きポリビニルアルコール膜を得た。
前記多層膜をガラス基板から剥離し、長さ4倍に一軸延伸し、一軸延伸膜を得た。直線偏光光に対する吸収を調査した結果、延伸方向と直交方向の吸収率比は約4:1であり金ナノロッドの一方向への配向が確認された。
前記多層膜をガラス基板から剥離し、長さ4倍に一軸延伸し、一軸延伸膜を得た。直線偏光光に対する吸収を調査した結果、延伸方向と直交方向の吸収率比は約4:1であり金ナノロッドの一方向への配向が確認された。
さらにこの膜に、実施例3と同様に近赤外光によるパターニングを膜表面に焦点を合わせることで施し、表面の金ナノロッド含有部位にのみパターニングを施した。この膜の表面に、アクリル樹脂BR75(三菱レーヨン製)0.1wt%THF溶液5ccに、図5に示した2光子蛍光色素30mgを溶解した色素溶液をスピンコートで塗布した。
このパターニングされた構造を、赤外線パルスレーザー(スペクトラフィジックス製、MaiTai,パルス幅100fs)により間欠励起を行い(照射平均パワー7.5mW)、アバランシェフォトダイオードにて2光子蛍光光量を比較した。この際、偏光を直線偏光とし、偏光方向と粒子の方向を一致させた場合には、近赤外光の照射によりアスペクト比の減少した部分の2光子蛍光光量は未照射部位と比較して約1/7と減少しており、パターニングの効果が確認された。また、粒子の方位と直交している場合には、未照射部との優位な差は認められなかった。即ち、直線偏光での励起において、偏光方向依存を確認した。
ポリビニルアルコール(和光純薬製、試薬1級、部分けん化型、重合度3500)5wt%水溶液を作成した。これを、ガラス基板上にキャスティングし、厚さ約0.5mmのポリビニルアルコール膜を得た。
実施例1で得た、金ナノロッドのシクロヘキサン分散液をスピンコートにより塗布した。
実施例1で得た、金ナノロッドのシクロヘキサン分散液をスピンコートにより塗布した。
前記金ナノロッド塗布ポリビニルアルコール膜をガラス基板から剥離し、長さ4倍に一軸延伸し、一軸延伸膜を得た。この膜の表面に、アクリル樹脂BR75(三菱レーヨン製)0.1wt%THF溶液5ccに、図5に示した2光子蛍光色素30mgを溶解した色素溶液をスピンコートで塗布した。
このパターニングされた構造を、赤外線パルスレーザー(スペクトラフィジックス製、MaiTai,パルス幅100fs)により間欠励起を行い(照射平均パワー7.5mW)、アバランシェフォトダイオードにて2光子蛍光光量を比較した。この際、偏光を直線偏光とし、偏光方向と粒子の方向を一致させた場合には、近赤外光の照射によりアスペクト比の減少した部分の2光子蛍光光量は未照射部位と比較して約1/7.5と減少しており、パターニングの効果が確認された。また、粒子の方位と直交している場合には、未照射部との優位な差は認められなかった。即ち、直線偏光での励起において、偏光方向依存を確認した。
実施例3で得た、金ナノロッドの濃縮溶液1ccに、ビオチン(和光純薬製)を10mg溶解させ、24時間静置する。
ポリビニルアルコール(和光純薬製、試薬1級、部分けん化型、重合度3500)5wt%水溶液を作成した。これを、ガラス基板上にキャスティングし、厚さ約0.5mmのポリビニルアルコール膜を得た。このポリビニルアルコール膜を、アミノプロピルメチルジメトキシシラン(和光純薬製)5%アセトン溶液に10分間浸漬し、風乾した。
ポリビニルアルコール(和光純薬製、試薬1級、部分けん化型、重合度3500)5wt%水溶液を作成した。これを、ガラス基板上にキャスティングし、厚さ約0.5mmのポリビニルアルコール膜を得た。このポリビニルアルコール膜を、アミノプロピルメチルジメトキシシラン(和光純薬製)5%アセトン溶液に10分間浸漬し、風乾した。
この表面をシランカップリング処理したポリビニルアルコール膜表面に前記ビオチン処理した金ナノロッド濃縮液を塗布し、20分後に余分な金ナノロッド溶液を除去し、風乾した。ガラス基板から処理済みのポリビニルアルコール膜を剥離し、長さ4倍に一軸延伸し、一軸延伸膜を得た。直線偏光光に対する吸収を調査した結果、延伸方向と直交方向の吸収率比は約4:1であり金ナノロッドの一方向への配向が確認された。
さらにこの膜に、実施例5と同様に近赤外光によるパターニングを膜表面に焦点を合わせることで施し、表面の金ナノロッド含有部位にのみパターニングを施した。
このパターニングされた膜に、アビジン(和光純薬製,卵白由来)の0.1wt%水溶液を塗布した。この操作の間、半導体レーザーを光源として、吸収の変化を測定すると、金ナノロッドを表面に吸着したビオチンは、アビジンと強く結合するため、金ナノロッド表面の吸着構造が変わり、発生するプラズモン吸収波長のシフトが、吸収量の減少として観測された。また、パターニングの際に、光照射された部位は、そもそも吸収がほとんど観測されず、良好な検出部の分離が認められた。以上のように、アレイ化された表面プラズモンセンサーの動作を確認した。
以上、具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、表面プラズモン増強場を精緻で高密度にパターニングでき、かつ低コストな表面プラズモン増強場を有する複合膜を提供でき、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を含む膜において、前記表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させた領域と変形させていない領域が混在する機能性複合膜であることにより、従来のリソグラフィーによるパターニングに比べ、エッチング等、物理的に不要部分を除去する行程がなく、簡便かつ生産性の高い低コストな機能性複合膜、及びその製法が提供されるという極めて優れた効果が発揮される。
Claims (13)
- 表面プラズモン増強場が発生する領域と該表面プラズモン増強場が発生する領域よりも表面プラズモン増強効果が弱い領域とがパターニングされた複合膜であって、前記表面プラズモン増強場が発生する領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を含み、前記表面プラズモン増強効果が弱い領域は、表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を変形させた粒子を含むことを特徴とする複合膜。
- 表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が、表面に存在することを特徴とする請求項1に記載の複合膜。
- 前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子の向きが一方向に揃っていることを特徴とする請求項1または2に記載の複合膜。
- 前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子の向きが直交していることを特徴とする請求項1または2に記載の複合膜。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の複合膜が、複数積層されていることを特徴とする複合膜。
- 前記表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子が金ナノロッドであることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の複合膜。
- 表面プラズモン増強場が発生する領域と、発生しない領域とを有する複合膜の製造方法であって、プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を一面に分散させた膜に光照射し、プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を熱変形させて、表面プラズモン増強場が発生しない領域を作成する工程を有することを特徴とする、表面プラズモン増強場が発生する領域と表面プラズモン増強場が発生しない領域とがパターニングされた複合膜の製造方法。
- 前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を一面に分散させた膜が、樹脂と表面プラズモン増強場を発生させる粒子とを含む樹脂膜であり、前記樹脂の表面に表面プラズモン増強場を発生させる粒子を塗布する工程をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の複合膜の製造方法。
- 前記プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を一面に分散させた膜が、樹脂と表面プラズモン増強場を発生させる粒子とを含む樹脂膜であり、前記樹脂膜を延伸させる工程をさらに有することを特徴とする請求項7または8に記載の複合膜の製造方法。
- 前記表面プラズモン増強場を発生させる異方性粒子を熱変形させる光が、直線偏光光であることを特徴とする請求項7乃至9いずれかに記載の複合膜の製造方法。
- 前記樹脂は、ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の複合膜の製造方法。
- 表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層、または表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層に隣接する層に2光子吸収色素を配置したものであり、表面プラズモン増強場を発生させる粒子を含む層が、請求項1乃至6のいずれかに記載の複合膜であることを特徴とする光機能素子。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の複合膜を用いた、表面プラズモンセンサーアレイ。
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JP2010060481A JP2011196692A (ja) | 2010-03-17 | 2010-03-17 | 増感効果を有する異方性粒子をパターニングした複合膜、及びその製造方法 |
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JP2010060481A JP2011196692A (ja) | 2010-03-17 | 2010-03-17 | 増感効果を有する異方性粒子をパターニングした複合膜、及びその製造方法 |
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JP2014182398A (ja) * | 2013-03-15 | 2014-09-29 | Johnson & Johnson Vision Care Inc | メタ表面素子を組み込んだ眼用装置 |
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2010
- 2010-03-17 JP JP2010060481A patent/JP2011196692A/ja active Pending
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JP2014182398A (ja) * | 2013-03-15 | 2014-09-29 | Johnson & Johnson Vision Care Inc | メタ表面素子を組み込んだ眼用装置 |
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