JP2011189074A - 医療機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検者7の気管支9に挿入された挿入部2Aの先端部2Cの位置および方向を高い精度で検出する医療機器1を提供する。
【解決手段】気管支9に挿入される挿入部2Aと、挿入部2Aに配設される複数のFBGセンサ部21と、予め取得した気管支9の3次元画像データを記憶する記憶部11と、FBGセンサ部21のデータから挿入部の形状を測定する形状測定部20と、記憶部11に記憶される3次元画像データから気管支9の芯線Cを算出する芯線算出部12と、形状測定部20が測定する形状と芯線算出部12が算出する芯線Cとをもとに、挿入部2Aの位置を算出する位置算出部30と、を具備する。
【選択図】図2

Description

本発明は、被検体の管腔に挿入する挿入手段を有する医療機器に関し、特に前記管腔の3次元画像データと前記挿入手段の形状とをもとに操作支援を行う医療機器に関する。
医療機器に関する。
近年、3次元画像データを用いた診断/処置が広く行われている。例えば、X線CT(Computed Tomography)装置により被検体の断層像を撮像することにより被検体内の3次元画像データを得て目標部位の診断等が行われている。
CT装置では、X線照射位置および検出位置を連続的に回転させつつ被検体を移動することにより、被検体を螺旋状に連続ヘリカルスキャンする。そして、連続した被検体の多数の2次元断層画像から、3次元画像データが得られる。
診断/処置に用いられる3次元画像データの1つに、気管支の3次元画像データがある。気管支の3次元画像データは、例えば肺癌が疑われる異常部の位置を3次元的に把握するのに利用される。そして、異常部を生検によって確認するために、気管支に内視鏡を挿入して内視鏡の先端部から生検針等の処置具を突出して目標部位である異常部のサンプルが取得される。
気管支のように、複数の分岐部を有する管腔では、処置具を目標部位まで短時間に正確に挿入させることが容易ではないことがある。このため、例えば、特開2008−6108号公報には、被検体の3次元画像データにもとづいて管腔の3次元画像を形成し、3次元画像上で管腔に沿った目標点までの経路を求め、さらに経路に沿った管腔の仮想内視鏡画像を形成し表示することによって、挿入操作のナビゲーションを行うナビゲーション装置が開示されている。
一方、管腔に挿入された内視鏡の形状を測定する装置として、ソースコイル等を用いた内視鏡形状検出装置が知られている。例えば、特開2004−251779公報に開示された内視鏡形状検出装置は内視鏡のチャンネルに磁界発生ソースコイルを有するプローブを挿通しソースコイルが発生した磁界を外部の既知の位置に配置したセンスコイルにより検出しソースコイルが設置された位置を検出する。
また、特開2004−251779公報には、ファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating:以下、「FBG」という。) センサを用いる内視鏡形状検出装置が開示されている。FBGセンサは、光ファイバのコア部に屈折率が変化するグレーティング部を作成したものであり、入射光に対してグレーティング部で所定波長の光を反射する。この所定波長を、ブラッグ(Bragg)波長という。FBGセンサはグレーティング部の長手方向に伸び縮みがあるとブラッグ波長が変化する。
しかし、公知の3次元画像データを用いたナビゲーション装置および内視鏡形状検出装置のいずれも、より高い精度化が求められていた。すなわち、被検体の管腔内に挿入された挿入部の位置を、より高い精度で検出する医療機器が求められていた。
特開2008−6108号公報 特開2004−251779公報
本発明は、被検体の管腔内に挿入された挿入部の所定部の位置および方向を高い精度で検出する医療機器を提供することを目的とする。
本発明の実施の形態の医療機器は、被検体の管腔内に挿入される挿入手段と、予め取得した前記管腔の3次元画像データを記憶する記憶手段と、前記挿入手段の形状を測定する形状測定手段と、前記記憶手段に記憶される前記3次元画像データから、前記管腔の芯線を算出する芯線算出手段と、前記形状測定手段が測定する前記形状と前記芯線算出手段が算出する前記芯線とをもとに、前記挿入手段の所定部の前記管腔内における位置および方向を算出する位置算出手段と、を具備する。
本発明は、被検体の管腔内に挿入された挿入部の所定部の位置および方向を高い精度で検出する医療機器を提供することができる。
第1の実施の形態の医療機器による内視鏡の気管支への挿入を説明するための模式図である。 第1の実施の形態の医療機器の構成を説明するための構成図である。 第1の実施の形態の医療機器の芯線算出部の動作を説明するための図であり、(A)は3次元画像データをもとにした画像を、(B)は3次元画像データをもとにした分岐部を、(C)は算出された芯線を示している。 第1の実施の形態の医療機器の動作を説明するための図であり、(A)は形状測定部が測定した3次元曲線を、(B)は芯線と3次元曲線とのフィッティングの様子を、(C)は3次元画像データをもとにした画像と3次元曲線との重畳画像を示している。 第1の実施の形態の医療機器の表示部の表示画面を示す図である。 第1の実施の形態の医療機器における芯線と3次元曲線とのフィッティング動作処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第1の実施の形態の医療機器における芯線と3次元曲線とのフィッティング動作を説明するための説明図である。 第1の実施の形態の医療機器の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第2の実施の形態の医療機器の構成を説明するための構成図である。 第2の実施の形態の医療機器の芯線補正部の動作を説明するための図である。 第2の実施の形態の医療機器の位置算出部の動作を説明するための図である。 第2の実施の形態の医療機器の芯線補正部の動作を説明するための図である。 第3の実施の形態の医療機器の構成を説明するための構成図である。 第4の実施の形態の医療機器の構成を説明するための構成図である。 第4の実施の形態の医療機器の位置算出部の動作を説明するための図である。 第5の実施の形態の医療機器の位置算出部の動作を説明するための図である。
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態の医療機器1について説明する。最初に、図1は被検者7の気管支9に挿入された内視鏡装置2の挿入部2Aのチャンネル2Eに、処置具4を挿通し、気管支末端の目標部位9Gを処置具4の先端部4Cを用いて、生検する様子を示す模式図である。なお後述するように挿入部2Aに配設されている複数のFBGセンサ部21は光ファイバセンサ21Aの一部である。
図1に示すように、気管支9は複数の分岐部を有する。このため挿入された内視鏡装置2の先端部2Cの気管支9内における位置および方向(以下、単に「位置」ともいう)を把握することは重要である。後述するように医療機器1は光ファイバセンサ21Aによる挿入部2Aの形状情報と、気管支9の3次元画像データと、をもとに、先端部2Cの気管支9内における位置を検出することができる。
次に図2の構成図を用いて医療機器1の構成について説明する。図2に示すように、医療機器1は、内視鏡装置2と、処置具4と、本体部3と、を有する。内視鏡装置2は操作部2Bと気管支9に挿入される挿入手段である挿入部2Aとを有する。本体部3は、記憶手段である記憶部11と、形状測定部20と、芯線算出手段である芯線算出部12と、位置算出手段である位置算出部30と、画像処理手段である画像処理部13と、全体の制御を行う制御部10と、を有し、表示部5および入力部6と接続されている。表示部5は内視鏡画像等を表示する表示手段であり、入力部6は術者が医療機器1にデータ等を入力する入力手段である。形状測定部20はカプラ23、反射器24、光源22および検出部25等を用いて形状を測定する形状算出手段であり、位置算出部30とともに、広義の形状測定部である形状測定ブロック20Aを構成している。なお本体部3の構成要素は、内視鏡装置2の各種処理を行う図示しない構成要素と共通であってもよい。
挿入部2Aは、先端部2Cに撮像手段であるCCD2Gを有し、内部には処置具4が挿通されるチャンネル2Eと、形状測定センサである複数のFBGセンサ部(以下、「センサ部」ともいう))21を有する光ファイバセンサ21Aと、が配設されている。なお光ファイバセンサ21Aはチャンネル2Eに挿入されていてもよい。
形状測定ブロック20Aはセンサ部21が配設された複数の箇所の光ファイバセンサ21Aの変形量、すなわち挿入部2Aの変形量を算出することにより、挿入部2Aの3次元形状を算出する。形状測定ブロック20Aの動作については後に詳述する。
記憶部11は、被検者7のX線断層像を撮像する図示しない公知のCT装置で生成された、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)形式の3次元画像データを、図示しない受信部を介して受信し、記憶する半導体記憶装置または磁気記録装置等である。
芯線算出部12は記憶部11に記憶された3次元画像データから、被検者7の気管支9の芯線を算出する。ここで図3(A)は3次元画像データをもとにした気管支9の3次元画像であり、図3(B)は気管支9の3次元画像をもとにした分岐部の位置に相当するノードNの位置を示しており、図3(C)は3次元画像データをもとに芯線算出部12が算出した芯線Cを示している。図3(B)に示すように、芯線Cは気管支9を構成する複数の分岐部SXを有する管腔の延伸方向を結ぶ、複数の分岐部を有する曲線の集合体であり、所定の断面積を有する管腔の略中心線である。なお芯線Cとして、管腔断面の重心を結んだ線を用いてもよい。
図3(B)に示すように、芯線算出部12は複数のノード(曲線上の点)Nを設定し、図3(C)に示すように、ノードNをつなぐ線をスプライン補間処理することにより芯線Cを算出する。このとき、芯線算出部12は、芯線Cの始点は、管腔の中心部にノードN0を設定する。それぞれの分岐部Jに設定するノードNについては、芯線算出部12は予め管腔の断面の重心点をつなぐ重心線を算出することにより分岐部を明確にしておく。
次に、形状測定ブロック20Aの動作について説明する。すでに説明したようにFBGセンサ部21はブラッグ波長の変化により配設された測定箇所の伸縮量を検出する。例えば、光周波数領域リフレクトメトリ多重方式の光ファイバセンサ21Aでは、同じブラッグ波長の複数のFBGセンサ部21が1本の光ファイバに作成されている。そして全反射終端である反射器24からの反射光を参照光として光ファイバセンサ21Aからの反射光とを干渉させることにより、それぞれのFBGセンサ部21がどの程度変形したか、言い換えれば、どの程度の歪みを生じたかを検出する。3次元形状を計測する場合には、それぞれの測定箇所の3次元の変形を測定する必要があり、このため測定箇所には、それぞれ3個のFBGセンサ部21が配設されている。
図2に示すように、医療機器1の本体部の形状測定ブロック20Aは、形状測定部20の算出処理のために、光源22と反射器24とカプラ23と検出部25とを有する。光源22は波長が連続的に変化する広帯域光を出射する。カプラ23は、光源22から出射した光を光ファイバセンサ21Aと、反射手段である反射器24とへ供給するため分割する光分割機能を有し、かつ、反射器24から反射した光と光ファイバセンサ21Aの各FBGセンサ部21が反射した光とを干渉する干渉機能を有する。検出部25は干渉光を周波数帯域毎に電気信号に変換し検出する、例えば光スペクトルアナライザである。
形状測定部20は、検出部25が検出した信号から各FBGセンサ部21の波長シフト量(FBGセンサ部21が存在する部分の変形がないときの波長と、変形があったときの波長との差)を算出し、算出した波長シフト量からFBGセンサ部21の変形量を求め、各FBGセンサ部21の変形量から光ファイバセンサ21Aの3次元形状を算出する。
ここで、図4(A)は形状測定ブロック20Aが測定した光ファイバセンサ21Aの3次元形状、すなわち挿入部2Aの3次元形状を示す1本の3次元曲線Kの一例である。なお、形状測定は磁界発生ソースコイルとセンスコイルとを用いてもできる。
そして、図4(B)に示すように、位置算出部30は形状測定部20が測定した1本の3次元曲線Kと芯線算出部12が算出した芯線Cとをもとに、挿入部2Aの先端部2Cの気管支9内における位置および方向、正確には3次元画像データにもとづく気管支画像中における位置および方向を算出する。すなわち位置算出部30は、3次元曲線Kと、最も類似している芯線Cを選択する。より具体的には、位置算出部30は3次元曲線Kの湾曲部W0〜W4等の特徴部を検出し、芯線Cの特徴部との類似度を判断する。言い換えれば分岐部を有する芯線の集合体の中から3次元曲線Kと最もよくフィッティングする芯線Cを抽出する。
ここで、図6および図7を用いて、さらに好ましい芯線抽出方法、すなわちフィッティング方法について、さらに説明する。以下、図6のフローチャートに従い説明する。
<ステップS1>
図7(A)に示すように、位置算出部30は、3次元曲線Kと、最も類似している、言い換えれば形状にフィットする芯線Cを選択する。そして選択した芯線C上の分岐部をノードとして特定する。
<ステップS2>
位置算出部30は、特定したそれぞれのノードと、3次元曲線Kとの最短距離ベクトルを算出する。そして所定値以上にずれの大きいノードのうち、最も基端部側のノードを特定する。図7(A)においては、ずれがベクトルS1のノードN12が特定されたノードである。
<ステップS3>
図7(B)に示すように、特定したノードN12が3次元曲線Kと重なる位置までベクトルS1だけシフト補正される。
<ステップS4>
さらに、特定したノードN12よりも先端部側の全てのノード、N122、N1221が、ベクトルS1だけシフト補正される。
<ステップS5>
位置算出部30は、特定したノードN12よりも先端部側の全てのノード、N122、N1221と、3次元曲線Kとの最短距離ベクトルを算出する。
<ステップS6>
そして位置算出部30は、所定値以上にずれの大きいノードがあるか判断する。あった場合(S6:Yes)には、ステップS3からの処理を繰り返す。例えば。図7(B)においては、ずれがベクトルS2のノードN122が特定されたノードで、ずれはベクトルS2ある。このためノードN122、N1221がベクトルS2だけシフト補正される。さらに図7(C)においては、ずれがベクトルS3のノードN1221が特定され、N1221がベクトルS3だけシフト補正される
所定値以上にずれの大きいノードがない場合(S6:No)には、フィッティング処理は終了する。
形状測定部20が測定する形状における分岐部の位置に合わせて、芯線算出部12が算出した芯線の分岐部の位置を基端部側の分岐部を基準として順にシフト補正処理する位置算出部30を有する医療機器1は、より正確に挿入部2Aの所定部、例えば先端部2Cの位置および方向を算出することができる。
そして、図4(C)に示すように、芯線Cを抽出することにより位置算出部30は挿入部2Aの所定部、例えば先端部2Cの位置を算出することができる。位置算出部30が算出する所定部は先端部2Cのチャンネル開口部またはCCD2Gであってもよい。例えば、チャンネル開口部の位置および方向が判明すると、チャンネル開口部から突出して処置を行う処置具4の先端部の位置および方向も判明する。
そして、医療機器1では制御部10の制御により、画像処理部13が3次元画像データをもとにした気管支9の3次元画像と位置算出部30が算出した先端部2Cの位置および方向とを重畳表示する処理を行い、表示部5に重畳画像を表示する。例えば、図5に示すように、制御部10はCCD9Gが撮像した内視鏡画像5Aに加えて、気管支9の3次元画像と先端部2Cの位置を含む挿入部2Aの画像5Bとの重畳画像を表示部5に表示する。
ここで、図8は、すでに説明を行った、医療機器1の処理の流れを示すフローチャートである。
以上の説明のように、医療機器1では被検体の管腔内に挿入された挿入部の所定部の位置および方向を高い精度で検出し、表示することができる。
なお、記憶部11に記憶された3次元画像データの座標系と、形状測定部20が測定した挿入部2Aの形状を示す3次元曲線Kの座標系とは異なる。例えば図3(C)に示した芯線算出部12が算出した芯線Cの座標系は被検者7が座位で手前の方向を向いている場合であり、紙面の右方向であるX軸+方向が被検者7の左方向に相当し、紙面の下方向であるZ軸―方向が被検者7の下方向に相当している。これに対して実際の被検者7がベッド上で仰臥位の場合には形状測定部20が測定した挿入部2Aの形状を示す3次元曲線Kの座標系では、例えば紙面垂直方向の奥行き方向が被検者7の左方向に相当し紙面の右方向が被検者7の下方向に相当することになる。また被検者7がどのような姿勢であるかの情報は位置算出部30には不明である。
このため、位置算出部30が行う位置算出処理が困難となることがある。例えば形状測定部20が測定した3次元曲線Kの最初の湾曲方向が紙面垂直方向の奥行き方向であったとしても先端部2Cが左側の肺の気管支管腔に挿入されたとは限らない。すなわち、被検者7がベッド上で腹臥位の場合には、形状測定部20が測定した3次元曲線Kの湾曲方向が紙面垂直方向の奥行き方向となるのは、先端部2Cが右側の肺の気管支管腔に挿入された場合である。
ここで医療機器1では形状測定ブロック20Aは気管支9に挿入されていない挿入部2Aの形状も測定する。すなわち形状測定ブロック20Aは被検者7の口腔部7Aからの挿入部形状を測定する。このため挿入部2Aの形状の最初の湾極部は被検者7の口腔部7Aから気管支9への管腔である気道である。すると位置算出部30は形状測定ブロック20Aが測定した3次元曲線Kの最初の湾極部に到達する前の部分が被検者7の顔面側であり、湾曲後の方向が被検者7の下方向であることを検出できる。
このため位置算出部30は被検者7に挿入されていない挿入部2Aの形状情報をもとに、3次元画像データの座標系と形状測定部20が測定した3次元曲線の座標系との間の座標系のフィッティング処理を行うことができる。このため、医療機器1では位置算出部30が行う位置算出処理が容易となる。
なお、上記説明では気管支9に挿入済みの挿入部2Aの先端部2Cの位置を算出する場合を例に説明したが、挿入操作時に、逐次、先端部2Cの位置を算出してもよい。この場合には、位置算出部30は挿入部2Aの挿入操作が開始され先端部2Cが最初の分岐部J1を通過すると、先端部2Cが挿入された管腔が分岐部J11に通じる管腔であるか、分岐部J12に通じる管腔であるかを判断する。すなわち、形状測定ブロック20Aが測定した3次元曲線Kの湾曲方向等と類似しているのが、分岐している芯線の分岐後の2方向のいずれであるかにより、位置算出部30は先端部2Cがいずれの管腔内に位置するかを算出する。そして次の分岐部(例えばJ12)においても同様に先端部2Cが分岐部J121またはJ122のいずれに通じる管路であるかを判断する。
分岐部SXは、方向だけでなく、その前の分岐部からの長さ等を含めて形状に関する情報量が多い。このため、位置算出部30の処理にとって管腔が多数の分岐部を有していることは処理精度向上のためには重要である。しかし、分岐部が1箇所であったとしても特徴ある分岐部、例えば分岐方向が大きく異なっている分岐部の場合には位置算出部30は精度の高い処理が可能となる。
挿入操作時に位置算出部30が行う位置算出処理は、挿入済みの挿入部2Aの先端部2Cの位置を算出する場合に比べて簡単であるため高速処理が可能である。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態の医療機器1Aについて説明する。本実施の形態の医療機器1Aは第1の実施の形態の医療機器1と類似しているため同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
図9に示すように、本実施の形態の医療機器1Aは本体部3Aが、芯線算出部12が算出した芯線Cを補正する芯線補正手段である芯線補正部12Aを有し、位置算出部30が算出に用いる芯線は、芯線補正部12Aが補正した補正芯線CHである。
気管支9に挿入される挿入部2Aの太さは管腔の太さよりも細い場合がある。また気管支9は複数の分岐部Jを有する。このため挿入部2Aが管腔に挿入されたとき、挿入部2Aは管腔の略中心線である芯線C上を経由して挿入されるとは限らない。このため、挿入部2Aの3次元形状を示す3次元曲線Kと芯線Cとは、ずれが生じることがある。
芯線補正部12Aは、図10(A)に示す上記ずれを修正するために、図10(B)に示すように、芯線算出部12が算出した芯線Cと、形状測定部20が測定した3次元曲線(形状)Kとを、n本の仮想弾性体の紐(ひも)Wを用いてn箇所で仮想的に接続する(nは2以上の整数)。紐Wは、所定の弾性率kにて長さが変形し、長さが0の時にエネルギーが最小となる、引っ張りバネのような仮想弾性体である。このとき、紐Wmを結んだ、形状K上の点(Xm)と芯線C上の点(Ym)とは最初は所定の距離だけ離して設定する(mはn以下の整数)。すなわち、紐Wmに所定のエネルギーがある状態とする。このときの紐WmのエネルギーWmは、Wm=(1/2)・k・(Xm―Ym)で表すことができる。そして、n本の紐の総エネルギーはΣWm(m=1〜n)となる。
なお、形状Kおよび芯線Cは剛体すなわち形状は変化しないものと仮定するため、形状Kおよび芯線Cは変形はしないが、3次元座標の位置が移動する。芯線補正部12Aは、n本の紐の総エネルギーが最小となる状態を平衡状態とし、その状態をもとに、補正芯線CHを算出する。図10(C)に、移動後の、紐Wnで結ばれた補正形状KH上の点(Xmx)、補正芯線CH上の点(Ymx)、を示す。
位置算出部30は、補正芯線CHと移動後の形状KHとをもとに、挿入部2Aの先端部2Cの位置および向きを算出する。このため、医療機器1Aは医療機器1が有する効果に加えて、より精度の高い先端部2Cの位置および方向を算出することができる。
さらに、医療機器1Aの位置算出部30は、よりいっそう精度の高い先端部2Cの位置および方向を算出するために、サーフェスレタリング情報Sを用いて、先端部2Cの位置および方向をさらに修正してもよい。サーフェスレタリング情報Sは、気管支9の3次元画像データから算出する気管支9の管腔の壁面情報である。すなわち、図11(A)に示すように、位置算出部30は、管腔のサーフェスレタリング情報Sを、補正芯線CHおよび形状Kと重畳する。なお、図11(B)は図11(A)の部分拡大図である。そして、位置算出部30は、先端部2Cの位置および向きをサーフェスレタリング情報Sに対して自然な形状、すなわち物理法則に従った状態、に修正する。
なお、芯線補正部12Aが行う補正芯線CH算出方法としては、芯線Cを所定の弾性率を有するワイヤと仮定する方法を用いることもできる。
この場合には、図12(A)に示すように、最初に芯線算出部12がノードNを接続してスプライン補間処理した芯線Cを作成する。次に、芯線補正部12Aは挿入部2Aが挿入されたときの形状を推定する。例えば、図12(B)のN1においては、芯線補正部12Aは挿入部2Aが、より管壁に近い位置を通過すると推定する。そして芯線補正部12AはノードN1をより管壁に近い位置であるNH1に移動する。すると芯線を、所定の弾性体を有するワイヤと仮定しているため、芯線Cは、ノードN1近傍部分が大きく移動するだけでなく、ノードN1から遠い部分にまで、その影響が及ぶ。補正芯線CHで示す形状に変化する。同様に、挿入経路にあるノードN11をノードNH11の位置に移動することにより芯線Cは補正される。
上記処理を行う芯線補正部12Aは、芯線Cを所定の弾性体を有するワイヤと仮定するため、物理法則に従った自然な形状に芯線Cを補正し補正芯線CHを算出することができる。
そして、位置算出部30は補正芯線CHと形状測定ブロック20Aが測定した挿入部2Aを示す3次元曲線Kとのフィッティング処理、すなわち類似性判断処理を行う。このため、医療機器1Aは医療機器1が有する効果に加えて、より精度の高い先端部2Cの位置を算出することができる。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態の医療機器1Bについて説明する。本実施の形態の医療機器1Bは第1の実施の形態の医療機器1と類似しているため同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
図13に示すように、医療機器1Bの挿入手段はCCDを有していないカテーテル等の処置具4である。しかし、術者は表示部5に表示される、気管支9の3次元画像と先端部4Cの位置を含む処置具4の画像との重畳画像を見ながら、目標部位の処置を行うことができる。
また、医療機器1Bを先端部に撮像部を有する内視鏡装置のチャンネル内を挿通し先端部から突出する処置具として用いることもできる。
医療機器1Bは医療機器1が有する効果に加えて、構成が簡単であり、さらに挿入部2Aよりも細い処置具4のみを用いて処理を行うことができる。
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態の医療機器1Cについて説明する。本実施の形態の医療機器1Cは第1の実施の形態の医療機器1と類似しているため同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
図14に示すように、本実施の形態の医療機器1Cは、挿入部2Aの形状情報を測定するために、挿入部2Aが気管支9に挿入された、被検者7のX線断層像を撮像するCT装置40を有している。形状測定ブロック20A1の形状測定部20Cは、CT装置40のデータをもとに、リアルタイムで気管支9のサーフェスレタリング情報SKおよび挿入部2Aの形状K情報を取得できる。しかし、被検者7の被曝の問題から、CT装置40では分解能の高いデータを取得することはできない。すなわち、リアルタイムでCT装置40から得られる形状情報は、事前に取得し、記憶部11に記憶されている3次元画像データに比べると精度が低い。
このため、医療機器1Cでは、位置算出部30は、図15(A)に示すCT装置40により取得した形状Kと、図15(B)に示す、事前に取得した3次元画像データから算出した芯線Cと用いて、図15(C)に示すようにフィッティング処理を行い、挿入部2Aの所定部、例えば先端部2Cの位置および方向を算出する。
なお、形状測定手段としては、リアルタイムで気管支9の形状情報が測定可能であれば、他の方法を用いてもよい。例えば、核磁気共鳴画像法(MRI)を用いてもよい。
本実施の形態の医療機器1Cは、医療機器1と同様に、被検体の管腔内に挿入された挿入部2Aの所定部の位置および方向を高い精度で検出し、表示することができる。
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態の医療機器1Dについて説明する。本実施の形態の医療機器1Dは第1の実施の形態の医療機器1と類似しているため同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
図16(A)に示すように、予め取得した3次元画像データのサーフェスレタリング情報Sから芯線Cを算出するのは、医療機器1Dにおいて、すでに説明した医療機器1と同じである。しかし、医療機器1Dにおいては、分岐部SXではなく、湾曲点MをノードNとして特定する。湾曲点Mは、例えば、芯線C上の、ある点Aを中心とする半径Rの球と芯線Cとの交点B、Cを設定し、線分ABと線分ACとのなす角度が所定角θよりも大きい点とする。言い換えれば、湾曲点Mは、曲線上で所定間隔で算出した接線ベクトルの変化量が所定値Pよりも大きい点である。そして、図16(C)に示すように、位置算出部30は、湾曲点Mをもとに、芯線Cと形状Kとのフィッティング処理を行う。なお、図16(A)および図16(B)には、ここで示した湾曲点Mを全て表示している。
本実施の形態の医療機器1Dは、分岐部のない管腔、例えば、大腸、膵胆管、尿管、または血管への挿入部の挿入支援を行うことができる。
本発明は、上述した実施の形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。例えば、複雑な内部構造を有する航空機エンジンの内部を検査する場合にも、位置算出部は、予め取得した3次元CADデータと、形状測定ブロック20Aの測定した3次元形状とをもとに、挿入部等の所定の位置を算出することが可能である。
1、1A〜1D…医療機器、2…内視鏡装置、2A…挿入部、2B…操作部、2C…先端部、2E…チャンネル、3…本体部、4…処置具、4C…先端部、5…表示部、6…入力部、7…被検者、7A…口腔部、9…気管支、9G…目標部位、10…制御部、11…記憶部、12…芯線算出部、12A…芯線補正部、13…画像処理部、20…形状測定部、20A…形状測定ブロック、21…FBGセンサ部、21A…光ファイバセンサ、22…光源、23…カプラ、24…反射器、25…検出部、30…位置算出部、40…CT装置

Claims (12)

  1. 被検体の管腔内に挿入される挿入手段と、
    予め取得した前記管腔の3次元画像データを記憶する記憶手段と、
    前記挿入手段の形状を測定する形状測定手段と、
    前記記憶手段に記憶される前記3次元画像データから、前記管腔の芯線を算出する芯線算出手段と、
    前記形状測定手段が測定する前記形状と、前記芯線算出手段が算出する前記芯線と、をもとに、前記挿入手段の所定部の前記管腔内における位置および方向を算出する位置算出手段と、を具備することを特徴とする医療機器。
  2. 前記挿入手段に配設される複数の形状測定センサを具備し、
    前記形状測定手段が、前記形状測定センサのデータから前記挿入手段の形状を測定することを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
  3. 前記挿入手段の前記管腔内に挿入されたときの形状を推定し、推定した推定形状をもとに、前記芯線を補正し補正芯線を算出する芯線補正手段を有し、
    前記位置算出手段が算出に用いる前記芯線が、前記芯線補正手段が補正した補正芯線であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の医療機器。
  4. 前記芯線補正手段が、前記芯線と前記形状とを複数の仮想弾性体を用いて複数の箇所で接続することにより前記補正芯線を算出することを特徴とする請求項3に記載の医療機器。
  5. 前記芯線補正手段が、前記芯線を所定の弾性率を有するワイヤと仮定して前記補正芯線を算出することを特徴とする請求項3に記載の医療機器。
  6. 前記形状測定手段が、前記管腔の前記3次元画像データから前記管腔の壁面情報をもとに、前記所定部の前記位置および前記方向を修正することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の医療機器。
  7. 前記位置算出手段が、算出する前記管腔における前記所定部の前記位置および前記方向を、前記3次元画像データをもとにする画像に重畳表示するための処理を行う画像処理手段を具備することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の医療機器。
  8. 前記挿入手段が、先端部に撮像手段を有する内視鏡装置の挿入部であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の医療機器。
  9. 前記挿入手段が、処置具であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の医療機器。
  10. 前記挿入手段が、先端部に撮像手段を有する内視鏡装置のチャンネル内を挿通し前記先端部から突出する処置具であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の医療機器。
  11. 前記管腔が、複数の分岐部を有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の医療機器。
  12. 前記管腔が、気管支であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の医療機器。
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