JP2011172547A - アリウム属植物の開花促進方法、自殖種子、交配種子、自殖方法、交配方法、ウイルスフリー個体の作出方法およびウイルスフリー個体 - Google Patents

アリウム属植物の開花促進方法、自殖種子、交配種子、自殖方法、交配方法、ウイルスフリー個体の作出方法およびウイルスフリー個体 Download PDF

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Abstract

【課題】 ニンニクの交配育種等のための開花花器の形成を促進することを可能とする、開花促進方法を提供すること。
【解決手段】 花器形成しにくいニンニク・福地ホワイトに対し、抽苔後に、遮光処理と珠芽除去処理を組み合わせ行うことで花器形成を誘導する。珠芽除去過程は、完全抽苔直後ないし珠芽5mm程度の肥大時期の間に行う。また遮光過程は、水稲育苗用被覆資材を用いることで形成される程度の半遮光状態か、あるいはアルミ箔を用いることで形成される程度の完全遮光状態にて行う。
【選択図】 図3

Description

本発明はアリウム属植物の開花促進方法等に係り、特に、ニンニクの交配育種等のための開花花器の形成を促進することを可能とする、アリウム属植物の開花促進方法等に関する。
青森県は国内におけるニンニク生産の一大産地であり、低コストの外国産ニンニクも流通する中、一層の品質向上と収量増大が求められ、それを高度に実現する栽培技術の開発・確立が求められている。その中で、病害虫抵抗性品種育成技術の開発も重要なテーマであるが、このテーマと関連し、元来栄養繁殖性であるニンニクの交配育種技術開発を目指し、ニンニクの優良種苗である「福地ホワイト(黒石A系統)」等について温度や日長に対する反応の調査なども、従来から実施してきたところである。
後掲非特許文献1は、ニンニクについて、「珠芽除去と温度・日長」処理により花器形成を誘導する技術を開示するものである。ここで示されていることは、短日後の長日処理および中温域条件の組合せによって完全な花序が形成され、高温では珠芽となったという知見である。
また、これまでのニンニクの育種は、専ら既存の系統からの系統選抜、個体選抜により行われており、現在登録されているニンニク品種、たとえば白玉王(住友化学)やサンピンク(ヱスビー食品)も同手法により育成されている。
なお、ニンニクを初めとするアリウム属植物の育種に関しては、従来さまざまな技術が特許出願されてもいる。たとえば後掲特許文献1は、ギョウジャニンニクとニラとの雑種植物体を作出する方法として、ニラの雌しべとギョウジャニンニクの花粉とを交配受粉して得られる受精細胞を含む胚珠を摘出して培地で培養し、生育した幼植物体を移植してさらに生育させて得られた多芽体を植物ホルモン無添加培地で培養する技術を開示している。
また特許文献2は、タマネギとニンニクおよびタマネギとニラの交配に基づく雑種植物体として、タマネギのフレーバー前駆体としてプロペニルシステインスルフォキサイドを葉1g当り0.1〜300mg、ニンニクのフレーバー前駆体としてアリルシステインスルフォキサイドを葉1g当り0.1〜300mg含有する、染色体数が16本であるタマネギ×ニンニク雑種植物体などを開示している。
特開2010−011817号公報「ニラとギョウジャニンニクの雑種植物体の育種方法」 特開2000−350526号公報「タマネギとニンニク又はニラの雑種植物体及びそれらの育種方法、増殖方法」
Environmental control of garlic growth and florogenesis.(J. Amer. Soc. Hort. Sci.; 2004)
さて、上述のとおり、栄養繁殖性であるニンニクの交配育種技術や自殖技術は、特に有料種苗である「福地ホワイト(黒石A系統)」のように、通常の栽培条件下では花器形成しにくい系統を初めとして、重要なテーマである。つまり、優れた形質を有しながらも交配育種の素材となり難い系統について、育種母本利用の可能性を高めることは、極めて有意義なことである。すなわち、たとえば、これまで困難であったニンニク「福地ホワイト」を用いた交配育種が可能となれば、優良な形質を備えかつ栽培適地が広い品種を育成できる可能性が拡大する。交配育種により既存品種を上回る優れた品種が育成されれば、当然ながら生産性も向上する。
また、このことは、栄養繁殖性作物における簡便なウイルスフリー株作出技術に発展する可能性もあり、育種ならびに種苗の安定生産の両面に貢献できる可能性もある。つまり、自殖あるいは交配により得られる種子はウイルスフリーであるから、栄養性作物の簡便なウイルスフリー株の作出も可能となる。
なお以上のことは、ニンニクのみに限定されず、交配育種に困難さのある栄養繁殖性アリウム属植物にも同じくいえることであり、またその他の栄養繁殖性作物にも同じくいえる点がある。
したがって本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点を踏まえ、ニンニク等の交配育種等のための開花花器の形成を促進することを可能とする、アリウム属植物の開花促進方法を提供することである。そして、それに基づく自殖種子や交配種子を得る方法の提供を可能としていくこと、さらには、簡便なウイルスフリー個体の作出方法の提供を可能としていくことである。
そして、ひいてはかかる課題を解決することにより、優良な形質を備えかつ栽培適地が広い品種を育成可能とすること、それにより生産性向上を可能とすることである。
さて本願発明者は、ニンニクの交配育種に向けた開花調節のため、「福地ホワイト(黒石A系統)」等の温度や日長に対する反応を調査し、珠芽や総包の除去反応を調査した試験において、総包のみを除去すると珠芽・花器間の養分競合により花器が退化することを見出した。また、本願出願人研究所内で遺伝資源として経代栽培を実施しているニンニクの中で花器を形成する系統を観察したところ、総包の厚い系統で花器形成が多く認められたことから、花器形成には珠芽・花器間の養分競合に加え、総包による遮光も関与しているとの考察を得た。
さらに「福地ホワイト(黒石A系統)」の中から、完全抽苔するとともに抽苔時期が他より数日早い系統群を研究素材として見出し、これらの系統に対して珠芽除去と遮光処理を施す方法を想到し、これによって花器形成および胚や胚乳の形成に向けた発育が認められたことを確認し、上述課題を解決するための本発明に至った。なお、上述非特許文献1開示技術は、珠芽除去と温度・日長処理の組合せによって花器形成を誘導するものであり、遮光処理を構成要素とする花器形成誘導の発明は、これまでに認められない。
すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
〔1〕 完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とにより開花花器を得る、栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
〔2〕 前記除去過程は、完全抽苔直後ないし珠芽5mm程度の肥大時期の間に行われることを特徴とする、〔1〕に記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
〔3〕 前記遮光過程は、水稲育苗用被覆資材を用いることで形成される程度の半遮光状態ないしアルミ箔を用いることで形成される程度の完全遮光状態の間の遮光状態にて行われることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
〔4〕 前記遮光過程の後に、花器充実のための遮光解除過程を設けることを特徴とする、〔1〕ないし〔3〕に記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
〔5〕 前記栄養繁殖性アリウム属植物はニンニクまたはニンニクと交配可能な近縁種であることを特徴とする、〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
〔6〕 前記栄養繁殖性アリウム属植物はニンニクであって、福地ホワイトなど通常の栽培条件下では花器形成しにくい系統であることを特徴とする、〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
〔7〕 〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法によって得られる、自殖種子。
〔8〕 〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法によって得られる、交配種子。
〔9〕 完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とにより開花花器を得る開花段階と、これに基づき自殖種子を得る自殖段階とを経ることによる、栄養繁殖性植物の自殖方法。
〔10〕 完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とにより開花花器を得る開花段階と、これに基づき交配種子を得交配段階とを経ることによる、栄養繁殖性植物の交配方法。
〔11〕 完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とにより開花花器を得る開花段階と、これに基づき自殖種子を得る自殖段階かまたは交配種子を得る交配段階とを経て、ウイルスフリー個体を得る、ウイルスフリー個体の作出方法。
〔12〕 完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とにより開花花器を得る開花段階と、これに基づき自殖種子を得る自殖段階かまたは交配種子を得る交配段階とを経て得られる、ウイルスフリー個体。
本発明のアリウム属植物の開花促進方法等は上述のように構成されるため、これによれば、ニンニク等の交配育種等のための開花花器の形成を促進することができる。そして、それに基づく自殖種子や交配種子を得ることや、さらには、簡便なウイルスフリー個体を作出することも可能となる。そして、優良な形質を備えかつ栽培適地が広い品種の育成、種苗生産の安定性向上、生産性向上が可能となる。
特に本発明によれば、優良形質を備えた「福地ホワイト(黒石A系統)」など通常の栽培条件下では花器形成しにくい系統について、優れた形質を有しながらも交配育種の素材となり難い系統の育種母本利用の可能性が高まったといえる。
珠芽除去処理した状態を示す写真。 遮光処理(遮光過程)を示す写真。 珠芽除去処理および完全遮光処理条件下で形成された花器を示す写真。 図3の花器の拡大写真。 開花花器の分解調査結果を示す写真。
本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法は、完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とから種として構成されるが、珠芽除去過程における具体的な珠芽除去処理の方法や遮光過程における具体的な遮光方法は、後述する実施例に述べるものに限定されず、従来公知の方法を適宜用いることができる。つまり、珠芽除去の時期・除去用具や技術・除去程度などによって、本発明は限定されず、また遮光開始時期・期間・遮光用の資材やその用い方などによっても、本発明は限定されない。
しかしながら除去過程は、完全抽苔直後か、または珠芽5mm程度の肥大時期か、あるいはその間に行うものとすることができる。また同じく、遮光過程は、シルバーポリトウなどの水稲育苗用被覆資材を用いることで形成される程度の半遮光状態か、またはアルミ箔を用いることで形成される程度の完全遮光状態か、あるいはそれらの間の遮光状態にて行うものとすることができる。また、反射光状態では、たとえば被覆資材の重ね方によって、適切な遮光程度を調節することもできる。また、遮光過程の後に花器充実のための遮光解除過程を設ける場合も、解除時期などの具体的条件は適宜設定することができる。
後述する実施例ではニンニク(福地ホワイト)にて説明するが、本発明の栄養繁殖性アリウム属植物はそれに限らない。もっとも、ニンニクおよびニンニクと交配可能な近縁種を主対象とすることができる。取り分け本発明は、実施例に述べるように、福地ホワイトなど通常の栽培条件下では花器形成しにくい系統のニンニクに、好適に用いることができる。
なお、ニンニク同士の交配育種、あるいは近縁種との交配による簡便な方法による雑種個体作出という新たな育種分野が開拓できる可能性や、交配種子・自殖種子が得られた場合にその種子はウイルスフリーであるために簡便なウイルスフリー個体作出技術として発展する可能性が充分にあることは、上述のとおりである。
以下、本発明を実施例によってさらに説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお実施例としては、ニンニクの花芽形成等に及ぼす珠芽除去、遮光条件等について検討し、本発明に至った経過を示す。
<1.方法>
(1)試験場所:青森県産業技術センター野菜研究所ガラス網室(優良種苗増殖施設)
(2)供試系統:福地ホワイト(黒石A選抜系統)
なお、黒石A選抜系統の概評:同一球由来の兄弟株において、揃って完全抽苔し、かつ抽苔時期が無選抜のものより5〜6日程度早い。
(3)耕種概要:
ア.植付時期;平成20年10月14日
イ.栽植様式;うね幅170cm、株間15cm、4条透明マルチ
ウ.施肥量(kg/a);窒素1.5+0.5、りん酸2.9+0.1、加里1.5+0.5
(4)試験区の構成 下表1のとおり。
なお、各試験区(処理区)における処理は、次のとおり実施した。
1)処理は完全抽苔株に実施した。
2)抽苔直後処理は5月24日に実施した。
3)珠芽5mm程度肥大時期処理は、肥大状況に応じて5月30日〜6月4日に処理した。
4)遮光処理は、完全遮光にアルミ箔、不完全遮光に水稲育苗資材のシルバーポリトウ二重被覆(三重被覆でほぼ完全遮光状態)により行った。
5)収穫時(6月30日)に花茎ごと長めに切り取って水差しし、15℃・12時間日長のグロースキャビネットで1ヶ月程度養生後に花器形成状況を調査した。
6)遮光は花器形成状況調査時まで実施した。
(5)面積・区制:1区10〜15株程度・1区制
<2.結果の概要>
まず、各図を説明する。
図1は、珠芽除去処理した状態を示す写真である。中心部に未発達な花器が認められる。もしこのまま遮光を行わない場合、花器は退化する。
図2は、遮光処理(遮光過程)を示す写真である。珠芽除去処理後、反転させた総包を元の位置に戻し、さらにアルミ箔や遮光シート等で覆って、程度の異なる遮光状態を再現した。
図3は、珠芽除去処理および完全遮光処理条件下で形成された花器を示す写真であり、図4はその拡大写真である。
図5は、開花花器の分解調査結果を示す写真である。胚および胚乳の形成に向けた発育が認められる。
また表2は、処理区別の花器形成状況をまとめたものである。
(1)花器形成数
全処理区において花器形成が認められた。
(2)珠芽除去の効果
珠芽除去を行ったA区、C区、E区のうち、併せて遮光処理したC区とE区において開花花器が形成された。珠芽除去処理のみのA区では開花花器は認められなかった。
(3)遮光の効果
珠芽除去の有無・遮光開始時期が同一で遮光程度が異なる組合わせ(B−1区とD−1区、B−2区とD−2区、C区とE区)では、不完全遮光条件でより多くの開花花器が認められた。
(4)処理時期
珠芽除去の有無・遮光程度が同一で遮光開始時期が異なる組合わせ(B−1区とB−2区、D−1区とD−2区)では、不完全遮光条件では珠芽5mm程度肥大時期に遮光を開始したB−2区でより多くの開花花器が認められた。完全遮光条件では開花花器は認められなかったが、蕾形成株率において同様の傾向が認められた。
(5)花器の充実状況
長期間遮光条件処理下におかれたため、形成された花器は全般に白色・やや脆弱な状態となった。花器充実の方法として、遮光処理期間の短縮(途中で除覆する)等の処理が有効であると考えられた。
(6)種子形成の可能性
開花した花器の一部を分解調査したところ胚および胚乳の形成に向けた発育が認められた。
<3.結果のまとめ>
開花の可能性に着目して選抜したニンニクの選抜系統に対し、珠芽除去と遮光処理を組み合わせて検討したところ、珠芽除去と不完全遮光を行った区でより多くの開花花器が認められた。開花した花器には胚と胚乳の形成に向けた発育が認められた。
以上、実施例で説明したとおり本発明は、開花花器形成能力の異なるニンニクの品種・系統間において、抽苔(とう立ち)した「とう」の総包の厚さが、開花花器形成能力に関連していることに着目し、完全抽苔の直後ないしは所定の時期までのうちに、総包に包まれている珠芽を取り除き、珠芽と花器の養分競合を抑え、さらに「とう」全体を半遮光〜完全遮光状態にして花器の発達を促すことで、開花花器を得られるものである。
特に、通常の栽培条件下では開花花器を形成しにくい「福地ホワイト(黒石A系統)」に対して上記の処理を行うことで、胚や胚乳の形成に向けた発育が認められ、交配育種や自殖ることが明らかとなった。
本技術の応用により、ニンニク同士の交配育種、あるいは近縁種との交配による簡便な方法による雑種個体作出という新たな育種分野が開拓できる可能性がある。また、交配種子・自殖種子が得られた場合、その種子はウイルスフリーであり、簡便なウイルスフリー個体作出技術として発展する可能性もある。したがって本発明は、ニンニク、さらには栄養繁殖性の他の作物におけるの新品種育成においても極めて有意義なものであり、農業分野分野において利用性の高い発明である。

Claims (12)

  1. 完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とにより開花花器を得る、栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
  2. 前記除去過程は、完全抽苔直後ないし珠芽5mm程度の肥大時期の間に行われることを特徴とする、請求項1に記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
  3. 前記遮光過程は、水稲育苗用被覆資材を用いることで形成される程度の半遮光状態ないしアルミ箔を用いることで形成される程度の完全遮光状態の間の遮光状態にて行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
  4. 前記遮光過程の後に、花器充実のための遮光解除過程を設けることを特徴とする、請求項1または2に記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
  5. 前記栄養繁殖性アリウム属植物はニンニクまたはニンニクと交配可能な近縁種であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
  6. 前記栄養繁殖性アリウム属植物はニンニクであって、福地ホワイトなど通常の栽培条件下では花器形成しにくい系統であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法によって得られる、自殖種子。
  8. 請求項1ないし6のいずれかに記載の栄養繁殖性アリウム属植物の開花促進方法によって得られる、交配種子。
  9. 完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とにより開花花器を得る開花段階と、これに基づき自殖種子を得る自殖段階とを経ることによる、栄養繁殖性植物の自殖方法。
  10. 完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とにより開花花器を得る開花段階と、これに基づき交配種子を得交配段階とを経ることによる、栄養繁殖性植物の交配方法。
  11. 完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とにより開花花器を得る開花段階と、これに基づき自殖種子を得る自殖段階かまたは交配種子を得る交配段階とを経て、ウイルスフリー個体を得る、ウイルスフリー個体の作出方法。
  12. 完全抽苔後に総包に包まれている珠芽を除去する珠芽除去過程と、とうを遮光状態にする遮光過程とにより開花花器を得る開花段階と、これに基づき自殖種子を得る自殖段階かまたは交配種子を得る交配段階とを経て得られる、ウイルスフリー個体。
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