JP2011169855A - 検体採取器具、検体採取キットおよび検体採取方法 - Google Patents

検体採取器具、検体採取キットおよび検体採取方法 Download PDF

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由美 村瀬
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Abstract

【課題】被験者に与える不快感や負担を軽減するとともに、十分な量の検体を確実に採取する。
【解決手段】体腔内に挿脱可能な吸収体2aと、該吸収体2aの挿入方向後方に取り外し可能に取り付けられ、吸収体2aの挿入方向前方に配置された噴出口4aから洗浄液Aを噴出させる噴出手段4,5とを備える検体採取器具1を提供する。また、検体採取器具1と、洗浄液Aを収容した洗浄液容器5とを備える検体採取キット100を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、検体採取器具、検体採取キットおよび検体採取方法に関するものである。
従来、子宮頚癌検査などに用いる子宮頚部の細胞を被験者自身が採取する器具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
実用新案登録第1053322号公報
特許文献1の器具は、膣腔内で洗浄液を噴出させて腔壁を洗い流し、その洗浄液を吸収体で吸収することにより、子宮頚部の腔壁から剥がれて分泌液とともに落ちてきた細胞を採取する。しかしながら、これだけの操作では、例えば、被験者の膣腔内の分泌液の分泌量が少なかったり、子宮頚部の奥に存在する子宮体部の細胞を採取しようとしたりする場合、検査に十分な量の細胞を採取することが難しいという問題がある。そこで、より多くの細胞を採取するために吸収体をより長い期間膣腔内に留置しておくことも考えられるが、器具が硬質な材料から構成されているため被験者に与える不快感が大きく、また、姿勢や行動が制限されてしまい被験者にとって負担になるという不都合がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、被験者に与える不快感や負担を軽減することができるとともに、十分な量の検体を確実に採取することができる検体採取器具、検体採取キットおよび検体採取方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、体腔内に挿脱可能な吸収体と、該吸収体の挿入方向後方に取り外し可能に取り付けられ、前記吸収体の挿入方向前方に配置された噴出口から洗浄液を噴出させる噴出手段とを備える検体採取器具を提供する。
本発明によれば、吸収体を体腔内に挿入した状態で噴出手段により噴出口から洗浄液を噴出させることにより、腔壁に付着していた検体を洗い流して洗浄液とともに吸収体に吸収させ採取することができる。
この場合に、体腔内に洗浄液を噴出させた後、噴出手段を吸収体に対して取り外して吸収体のみを体腔内に一定期間留置してから吸収体を体腔内から取り出す。これにより、被験者への不快感および負担を軽減しながら、洗浄液によって洗い流された検体のみならず洗浄後に分泌されたり組織から剥離したりした検体も分泌液などとともに吸収体に吸収させて、十分な量の検体を確実に採取することができる。
上記発明においては、前記吸収体が、膣腔内に挿脱可能なタンポンであってもよい。
このようにすることで、膣腔、子宮頚部または子宮体部の検体を採取することができる。
また、上記発明においては、前記噴出口が、前記吸収体から2〜10mm突出した位置に配置されていることが好ましい。
このようにすることで、噴出口から噴出された洗浄液が直ちに吸収体によって吸収されることを防ぎ、洗浄液により確実に腔壁を洗い流すことができる。
また、上記発明においては、前記噴出手段が、先端に前記噴出口を有し、基端に前記洗浄液を注入する注入器具が接続可能なチューブであり、前記吸収体が、前記チューブの先端部分に取り付けられていてもよい。
このようにすることで、構成を簡易にすることができる。
また、上記発明においては、前記チューブは、先端の角が面取りされていることが好ましい。
このようにすることで、チューブの先端が体腔内で組織に接触しても組織への影響を抑えることができる。
また、上記発明においては、前記チューブが、20cm以上の長さを有することが好ましい。
また、上記発明においては、前記チューブが、少なくともその途中位置から前記接続部までの位置において可撓性を有していることが好ましく、前記チューブが、シリコーンゴムまたは軟性プラスチックからなることがより好ましい。
このようにすることで、吸収体を体腔内に挿入した状態でも操作者が楽な姿勢で注入器具を操作することができる。
また、上記発明においては、前記噴出手段が、前記チューブの基端に接続されたシリンジを備えていてもよい。
このようにすることで、洗浄液を噴出口から勢いよく噴出させて体腔内のより広い範囲において検体を洗い流すことができる。
また、上記発明においては、前記吸収体を一方の端面から出没可能に収納する筒部材と、該筒部材内に該筒部材の他方の端面から挿入され、前記吸収体を前記筒部材の前記一方の端面から押し出す押出部材とを備え、前記チューブが、前記筒部材の側面に沿って設けられていてもよい。
このようにすることで、体腔内に筒部材を挿入した状態で押出部材により吸収体を押し出すことより、吸収体を容易に体腔内に挿入できるとともに筒部材と同時にチューブも吸収体に対して取り外すことができる。
また、上記発明においては、前記吸収体にその挿入方向に沿ってガイド穴が形成され、前記チューブの前記先端部分が、前記ガイド穴内に少なくとも前記吸収体の挿入方向後方に移動可能に挿入されていてもよい。
このようにすることで、構成を簡易にすることができるとともに、チューブを引っ張るだけで容易に吸収体からチューブを取り外すことができる。
また、上記発明においては、前記チューブが、前記先端部分において、その長手方向に対して略垂直にまたはその先端に向かって斜めに側面から突出した突起部を有していてもよい。
このようにすることで、吸収体のチューブに対する挿入方向後方への移動が突起部によって係止され、吸収体からチューブの先端が過剰に突出してしまうことを防ぐことができる。
また、本発明は、上記いずれかに記載の検体採取器具と、洗浄液を収容した洗浄液容器とを備える検体採取キットを提供する。
上記発明においては、前記噴出手段が、3〜10mlの前記洗浄液を噴出させることが好ましい。
このようにすることで、腔壁を十分に洗い流しつつ、洗浄液を体腔内に注入することによる被験者への負担を軽減することができる。
また、本発明は、上記に記載の検体採取器具を備え、前記シリンジに前記洗浄液が充填されている検体採取キットを提供する。
このようにすることで、シリンジ内に洗浄液を充填する操作を不要にして使用方法を簡略にすることができる。
上記発明においては、前記シリンジに、3〜10mlに前記洗浄液が充填されていることが好ましい。
また、本発明は、膣腔内に吸収体を挿入する挿入ステップと、該挿入ステップにおいて挿入された前記吸収体の挿入方向前方から洗浄液を噴出させる噴出ステップと、該噴出ステップの後に、前記吸収体のみを所定期間前記体腔内に留置する留置ステップと、該留置ステップの後に前記吸収体を前記膣腔内から取り出す取り出しステップとを備える検体採取方法を提供する。
本発明によれば、洗浄液により洗浄された検体とともに、洗浄後に分泌されるなどした検体も吸収体に吸収させてから吸収体が取り出されるので、より多くの検体を回収することができる。また、洗浄後は吸収体のみが体腔内に留置されるので、被験者への不快感や負担を軽減することができる。
本発明によれば、被験者に与える不快感や負担を軽減することができるとともに、十分な量の検体を確実に採取することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る検体採取器具を備える検体採取キットの全体構成図である。 図1の検体採取器具の先端部分を示す図である。 チューブの先端を示す図であり、(a)噴出口が1つ設けられた場合と(b)噴出口が複数設けられた場合を示している。 図1の検体採取キットの使用方法を説明する図である。 図1の検体採取器具および検体採取キットの変形例を示す図である。 (a),(b)突起部の例を示す図である。 図1の検体採取器具および検体採取キットのもう1つの変形例を示す図である。 図7の検体採取キットの使用方法を説明する図である。 図7の検体採取器具のチューブの先端部分であり、弁の一例を示す図である。
本発明の一実施形態に係る検体採取器具1および検体採取キット100について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る検体採取キット100は、膣腔内において細胞や分泌物を採取するものであり、図1に示されるように、タンポン2と、該タンポン2を収納するアプリケータ3と、該アプリケータ3から基端側に延びるチューブ(噴出手段)4と、シリンジ(噴出手段、洗浄液容器)5とを備える検体採取器具1を備え、シリンジ5には予め洗浄液Aが充填されている。
タンポン2は、生理用タンポンと同様の構成を有し、吸収体2aと、該吸収体2aから該吸収体2aの挿入方向後方に延びる取り出し用コード2bとを備えている。吸収体2aは、レーヨン、コットンまたはパルプなどの吸湿性材料が円筒状に成形されてなり、0.5〜20mm程度の直径を有している。吸収体2aの吸収可能な液体の重量(吸収量)は、6〜15gである。取り出し用コード2bは、80mm以上の長さを有する。
アプリケータ3は、筒部材6と該筒部材6内に挿入方向後方から挿入された押出部材7とを備えている。筒部材6は、先端面が略半球状に形成されている。また、筒部材6は、図2に示されるように、その先端面に放射状の切り込み6aが設けられるとともに、少なくとも先端面は薄い軟性プラスチックなどで形成されて可撓性を有している。吸収体2aは、筒部材6内において押出部材7よりも挿入方向前方側に配置され、取り出し用コード2bは押出部材7内を挿入方向に沿って移動可能に通って外部に延びている。押出部材7を挿入方向前方に押すと、吸収体2aが筒部材6の先端面を押し開きながら出没して最終的に吸収体2a全体が筒部材6内から押し出され、アプリケータ3が吸収体2aに対して挿入方向後方に取り外されるようになっている。
チューブ4は、筒部材6の内面に沿って設けられている。これにより、アプリケータ3がタンポン2に対して取り外されると同時にチューブ4およびシリンジ5もタンポン2に対して取り外されるようになっている。チューブ4の先端は筒部材6の先端から2〜10mm突出した位置に配置され、チューブ4の先端には噴出口4aが設けられている。噴出口4aは、図3(a)に示されるように、1つでもよく、図3(b)に示されるように、複数でもよい。また、チューブ4は、1本でもよく、複数本(図示する例では2本)でもよい。チューブ4を複数本設ける場合は、シリンジ5と1本で接続されるように、複数本のチューブ4を1本のチューブ4に複合する複合コネクタ8が設けられる。
また、チューブ4は、体腔内で組織と接触しても組織への影響が低減されるように、シリコーンゴムや軟質のプラスチックなど柔軟性のある材質で形成されるとともに、先端面の角が面取りされて丸みを帯びた形状になっている。チューブ4の外径は、3mm以下が好ましい。チューブ4の外径が3mmを超えると、チューブ4を収納するアプリケータ3の外径が大きくなって被験者に与える不快感が大きくなる。
また、チューブ4は、長さが20cm以上であることが好ましい。このようにすることで、平均的な膣の深さが7〜9cmであるので、吸収体2aを膣腔内に挿入した状態においても、膣腔の外側に延びるチューブ4が十分な長さを有する。これにより、被検者自身がシリンジ5を操作する場合でも、楽な姿勢で容易にシリンジ5を操作することができる。
シリンジ5は、予めチューブ4の基端に接続されていてもよく、チューブ4と別々に設けられていてもよい。シリンジ5内から洗浄液Aが漏れないように、シリンジ5が予めチューブ4に接続される場合は、例えば、チューブ4の途中位置がバルブ等によって締め付けられ、シリンジ5がチューブ4と別々に設けられている場合は、シリンジ5の吐出口が栓によって密閉される。シリンジ5をチューブ4に接続した状態でピストン5aを押すことより、収容されている洗浄液Aがチューブ4内を介して噴出口4aから噴出される。
洗浄液Aは、予め滅菌され、生体に与える影響が小さい成分のものであれば特に制限はなく、一般的に検体の採取や保存に用いられている溶液、例えば、生理食塩水やリン酸緩衝液などが用いられる。洗浄液Aは、検査対象とする物質がより効率良く採取されるように適宜薬剤を含んでいてもよい。例えば、細胞を採取する場合には、洗浄液Aが細胞の剥離を促進させる薬剤を含んでいてもよい。また、検体の採取後に検査まで比較的長い時間を要する場合には、膣内常在菌などの増殖を防ぐ防腐剤を含んでいてもよい。また、検査内容に合わせて、例えば、液状細胞診に用いる専用の液などを洗浄液Aとして用いてもよい。
噴出口4aから噴出される洗浄液Aの量は、3〜10mlが好ましい。洗浄液Aの噴出量が10mlを超えると、噴出された洗浄液Aを吸収した後の吸収体2aの残りの吸収量に十分な余裕がなくなり、その後に分泌液とともに吸収される検体の量を十分に確保することができない。一方、洗浄液Aの噴出量が3mlを下回ると、膣腔壁の十分に広い領域を洗浄することができず十分な量の検体を採取できない可能性がある。シリンジ5内に充填される洗浄液Aの量は、所望の噴出量とチューブ4の内容量とを加算した量となる。チューブ4の内容量は、チューブ4の内径とチューブ4の長さとから算出される。
このように構成された検体採取キット100の使用方法および作用について以下に説明する。本実施形態においては、検体採取キット100を用いて被験者自身が検体を採取する場合を例に挙げて説明する。
被験者は、アプリケータ3を先端側から膣腔B内に挿入し(挿入ステップ)、シリンジ5がチューブ4と別々に設けられている場合にはチューブ4の基端にシリンジ5を接続し、ピストン5aを押すことにより噴出口4aから膣腔B内に洗浄液Aを噴出させる(噴出ステップ)。次に、被験者は、図4に示されるように、押出部材7を押すことにより吸収体2aをアプリケータ3内から押し出して膣腔B内に配置するとともにアプリケータ3を膣腔B内から取り出す。
そして、被験者は、タンポン2のみを装着した状態で一定期間過ごした後(留置ステップ)、取り出し用コード2bを引っ張ることにより吸収体2aを膣腔B内から取り出す(取り出しステップ)。取り出したタンポン2は、病院や検査機関等で検査されるまでの間、例えば、密閉容器内に一時的に保存される。吸収体2aに吸収された検体をより適切な条件で保存するために、検査の目的に適した保存液を収容した図示しない保存容器が付属され、該保存容器内でタンポン2を保存することとしてもよい。
タンポン2に吸収された検体は、例えば、被験者によって病院や検査機関等に運ばれて検査される。検査としては、検体中の細胞を顕微鏡観察する細胞診断や、検体に含まれる組織由来の各種成分、例えば、細胞、体液、たんぱく質、核酸、糖鎖、ペプチド、化学物質などの測定が挙げられる。例えば、女性生殖器疾患関連マーカー、癌疾患関連マーカー、感染症マーカーなどの各種疾患マーカーとして知られている抗原、抗体、染色体、生体代謝産物、ホルモン、酵素、細胞数、細胞形態、遺伝子、細菌、原虫の測定を行うことにより、子宮体癌、卵巣癌、子宮頚癌、卵巣膿腫、子宮筋腫、子宮内膜症、胎盤剥離等の女性器疾患や、クラミジア、膣トリコモナス症、膣ガンジタ症、梅毒、子宮頚炎起因菌、卵管卵巣炎起因菌、骨盤腹膜炎起因菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、性器ヘルペス、パピロマウイルス感染などの感染症を検査することができる。
この場合に、本実施形態によれば、洗浄液Aで膣腔B内を洗浄した後にタンポン2を一定期間膣腔B内に留置することにより、膣腔Bの奥に存在する頚管や子宮口まで到達した洗浄液Aも確実に吸収され、また、洗浄後に自然に子宮体部や子宮頚部から落ちてくる分泌液も吸収される。これにより、より多くの検体を確実に採取することができるという利点がある。
また、洗浄液Aの噴出後はアプリケータ3を取り外してタンポン2のみを装着すればよいので、比較的長時間にわたって装着状態にあっても被験者は姿勢や行動が制限されることなく通常通りの生活が可能であり、被験者の負担や不快感を軽減することができるという利点がある。さらに、タンポン2の膣腔B内への挿入と取り出しは生理用タンポンと同様の操作で可能であるので、被験者自身が検体を採取する場合でも容易にかつ適切に使用することができるという利点がある。
なお、上記実施形態においては、チューブ4が、アプリケータ3に一体で設けられてアプリケータ3とともにタンポン2から取り外される構成としたが、これに代えて、図5に示されるように、チューブ4が吸収体2aに取り外し可能に設けられていてもよい。
チューブ4は、吸収体2aの略中心軸線に沿って形成されたガイド穴2c内に貫通して挿入され、その先端はガイド穴2cから2〜10mm突出した位置に配置されている。チューブ4の側面には、吸収体2aの後端の位置においてフランジ(突起部)9が設けられている。これにより、チューブ4は、吸収体2aに対して挿入方向後方には容易に移動可能でありながら、吸収体2aに対して挿入方向前方にはフランジ9によって移動が係止され、吸収体2aからチューブ4の先端が過剰に突出することが防止される。フランジ9は、チューブ4と同様にシリコーンゴムや軟質プラスチックなど適度な柔軟性を有する材料からなることが好ましい。
なお、図5には、チューブ4の側面にフランジ9が設けられた例を示したが、図6(a)および図6(b)に示されるように、ガイド穴2c内においてチューブ4の側面から該チューブ4の長手方向に略垂直または先端に向かって斜め方向に突出した突起(突起部)9aが設けられていてもよい。このようにしても、吸収体2aに対するチューブ4の挿入方向前方の移動は突起9aによって係止しつつ、チューブ4を挿入方向後方に引っ張ったときにはチューブ4を容易にガイド穴2c内から抜き去ることができる。
このように構成された検体採取器具1を備える検体採取キット100を使用するには、フィンガータイプの生理用タンポンを使用するときと同様の要領で被験者が手で吸収体2aを膣腔B内に挿入し、ピストン5aを押して洗浄液Aを噴出させた後、吸収体2aの位置を保持したままチューブ4を引っ張って吸収体2aから取り外す。これにより、タンポン2のみが膣腔B内に留置される。このようにしても、膣腔B内に洗浄液Aを噴出した後はタンポン2のみが装着された状態となるので、被験者の負担や不快感を軽減しながらより多くの検体を採取できる。
また、上記実施形態においては、図7に示されるように、チューブ4の先端部分が吸収体2aに固定され、チューブ4が途中位置において接続コネクタ10により着脱可能になっていてもよい。
このようにすることで、吸収体2aとチューブ4およびシリンジ5とが繰り返し着脱可能になる。これにより、被験者は、図8に示されるように、膣腔B内に第1の噴出液A’を注入した後に接続コネクタ10を取り外し、タンポン2とチューブ4の一部分のみとを装着した状態で一定期間過ごし、その後、再び接続コネクタ10を接続して第2の噴出液A’を注入するなど、任意のタイミングで噴出液A’を複数回噴出させ、各噴出液A’を吸収体2aに吸収させることができる。
噴出液A’は、上述した洗浄液Aと同様に予め滅菌され生体へ与える影響が小さい成分のものであればよく、同一の成分の噴出液A’を複数回噴出させてもよいし、異なる成分の噴出液A’を噴出させてもよい。
例えば、生理食塩水やリン酸緩衝液などの洗浄液を第1の噴出液A’として最初に膣腔B内に噴出させ、膣腔壁に付着している細胞や分泌液などを洗い流して吸収体2aに吸収させる。その後、接続コネクタ10を取り外してタンポン2とチューブ4の先端部分とのみを膣腔B内に留置した状態で一定期間過ごした後、接続コネクタ10を再接続して第1の噴出液A’と同一成分の第2の噴出液A’を膣腔B内に噴出させて再洗浄する。
これにより、1回目の洗浄後に新たに分泌された分泌物が吸収体2aに吸収されるとともに、その間に腔壁に付着するなどして吸収体2aに吸収されにくい細胞などの検体も2回目の洗浄で洗い流して、より多くの検体を採取することができる。
また、例えば、第1の噴出液A’として、細胞の剥離を促進させる薬剤や子宮口を開かせる薬剤を用い、第2の噴出液A’として、洗浄作用のある生理食塩水やリン酸緩衝液などを用いてもよい。
従来の検体採取器具の場合、子宮頚部よりさらに深い位置に存在する子宮体部の細胞や分泌物を採取しようとしても、噴出口4aから距離が離れている上に通常は子宮口が閉じた状態であるので、子宮体部を洗浄液で直接洗い流すことができず、子宮体部から自然に膣腔まで落ちてきた細胞や分泌物を採取する以外なかった。また、一度の洗浄のみで腔壁に接着している細胞を十分な量剥離させることは難しく、細胞の回収効率を向上することが難しかった。
しかしながら、このようにして作用の異なる噴出液A’を多段階で膣腔B内において噴出させることにより、一度の噴出液A’の噴出では難しかった検体も効率良く採取することができる。具体的には、最初に子宮口を開かせる薬剤を噴出させることにより子宮口を開かせ、次に洗浄液を噴出させることにより、子宮体部にも洗浄液を直接接触させて子宮体部の細胞や分泌物を効率良く採取することができる。また、最初に細胞を剥離させる薬剤を噴出させることにより細胞を膣腔壁から剥離させ、次に洗浄液を噴出させることにより、膣腔壁に付着した細胞を効率良く採取することができる。このときに、膣腔B内に噴出液A’を噴出させる回数に特に制限はなく、適宜増やしてよい。また、噴出液A’の種類も適宜変更してよい。
なお、この場合には、1度目の噴出液A’の噴出後に噴出液A’や分泌物が噴出口4aからチューブ4内を介して流出して検体の採取量にロスが生じるのを防ぐために、図9に示されるように、チューブ4内に弁11が設けられていることが好ましい。弁11は、例えばストッパ11aによりチューブ4の基端に向かう方向へは開かないようになっている。
また、複数回噴出される噴出液A’の総量が吸収体2aの吸収量を超えると、吸収体2aに目的の検体が十分に吸収されなくなる。一方、毎回の噴出液A’の量が少なすぎると、腔壁の十分に広い領域に各噴出液A’を作用させることが難しくなる。したがって、毎回の噴出液A’の噴出量は3ml以上であることが好ましく、その総量は10mlより少ないことが好ましい。
1 検体採取器具
2 タンポン
2a 吸収体
2b 取り出しコード
2c ガイド穴
3 アプリケータ
4 チューブ(噴出手段)
4a 噴出口
5 シリンジ(噴出手段、洗浄液容器)
5a ピストン
6 筒部材
7 押出部材
8 複合コネクタ
9 フランジ
9a 突起(突起部)
10 接続コネクタ
11 弁
11a ストッパ
100 検体採取キット
A 洗浄液
A’ 噴出液
B 膣腔

Claims (17)

  1. 体腔内に挿脱可能な吸収体と、
    該吸収体の挿入方向後方に取り外し可能に取り付けられ、前記吸収体の挿入方向前方に配置された噴出口から洗浄液を噴出させる噴出手段とを備える検体採取器具。
  2. 前記吸収体が、膣腔内に挿脱可能なタンポンである請求項1に記載の検体採取器具。
  3. 前記噴出口が、前記吸収体から2〜10mm突出した位置に配置されている請求項1または請求項2に記載の検体採取器具。
  4. 前記噴出手段が、先端に前記噴出口を有し、基端に前記洗浄液を注入する注入器具が接続可能なチューブであり、
    前記吸収体が、前記チューブの先端部分に取り付けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載の検体採取器具。
  5. 前記チューブは、先端の角が面取りされている請求項4に記載の検体採取器具。
  6. 前記チューブが、20cm以上の長さを有する請求項4または請求項5に記載の検体採取器具。
  7. 前記チューブが、少なくともその途中位置から前記基端までの位置において可撓性を有する請求項4から請求項6のいずれかに記載の検体採取器具。
  8. 前記チューブが、シリコーンゴムまたは軟性プラスチックからなる請求項7に記載の検体採取器具。
  9. 前記噴出手段が、前記チューブの基端に接続されたシリンジを備える請求項4から請求項8のいずれかに記載の検体採取器具。
  10. 前記吸収体を一方の端面から出没可能に収納する筒部材と、
    該筒部材内に該筒部材の他方の端面から挿入され、前記吸収体を前記筒部材の前記一方の端面から押し出す押出部材とを備え、
    前記チューブが、前記筒部材の側面に沿って設けられている請求項4から請求項9のいずれかに記載の検体採取器具。
  11. 前記吸収体にその挿入方向に沿ってガイド穴が形成され、
    前記チューブの前記先端部分が、前記ガイド穴内に少なくとも前記吸収体の挿入方向後方に移動可能に挿入されている請求項4から請求項9のいずれかに記載の検体採取器具。
  12. 前記チューブが、前記先端部分において、その長手方向に対して略垂直にまたはその先端に向かって斜めに側面から突出した突起部を有する請求項11に記載の検体採取器具。
  13. 請求項1から請求項12のいずれかに記載の検体採取器具と、
    前記洗浄液を収容した洗浄液容器とを備える検体採取キット。
  14. 前記噴出手段が、3〜10mlの前記洗浄液を噴出させる請求項13に記載の検体採取キット。
  15. 請求項9に記載の検体採取器具を備え、
    前記シリンジに前記洗浄液が充填されている検体採取キット。
  16. 前記シリンジに、3〜10mlに前記洗浄液が充填されている請求項15に記載の検体採取キット。
  17. 膣腔内に吸収体を挿入する挿入ステップと、
    該挿入ステップにおいて挿入された前記吸収体の挿入方向前方から洗浄液を噴出させる噴出ステップと、
    該噴出ステップの後に、前記吸収体のみを所定期間前記体腔内に留置する留置ステップと、
    該留置ステップの後に前記吸収体を前記膣腔内から取り出す取り出しステップとを備える検体採取方法。
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