JP2011145228A - ディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム及びそのグリス特性検査方法並びにブレーキパッド - Google Patents

ディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム及びそのグリス特性検査方法並びにブレーキパッド Download PDF

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Abstract

【課題】ディスクブレーキ装置の鳴きの発生を抑えること。
【解決手段】ディスクブレーキ装置のブレーキパッド10に用いられる検査グリス200に対して所定の加振条件で振動を加える加振器110と、その加振条件にて検出されたグリス200の性状に基づいて当該グリス200の振動に対する特性を求めるグリス特性演算装置130と、を設けること。ここで、車両の実走行時における実際の制動動作に基づいて加振条件を求めることで、その加振条件には、加振器自体の振動特性を含ませないようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の制動システムに用いられるディスクブレーキ装置に関するものであり、その鳴き止め用のグリスの特性を把握する為のグリス特性検査システム及びグリス特性検査方法、並びに鳴きの抑制に適したブレーキパッドに関する。
従来、ピストンで押動したブレーキパッドをディスクロータに押し付け、これにより生じた摩擦力によって制動力を発生させるディスクブレーキ装置が知られている。例えば、下記の特許文献1には、この種のディスクブレーキ装置が開示されている。この特許文献1のディスクブレーキ装置は、制動動作時の鳴きの発生を抑えるべく、せん断速度とせん断力とで規定された所定の特性からなるダイラタント流体(グリス)をピストンとブレーキパッド本体の間に介在させている。
ここで、下記の特許文献2には、せん断速度と粘度とで特性を規定したダイラタント流体が開示されている。また、下記の特許文献3には、気孔率と振動に対する減衰性能とが所定の特性に規定された裏金をブレーキパッド本体の摩擦材の保持部として用い、これにより鳴きの発生を抑える技術が開示されている。また、下記の特許文献4には、回転円盤(ディスクロータに相当)と摩擦材(ブレーキパッド本体の摩擦材に相当)とに対してその回転軸を中心とするねじり振動を加え、鳴きが発生した際の摩擦材のねじり振動に対する減衰特性を測定する技術が開示されている。
特開2009−108940号公報 特開2000−297290号公報 特開平11−231872号公報 特開平10−094713号公報
ところで、ディスクブレーキ装置の鳴きの発生を抑える為には、先ず使用候補となる各種グリスの特性を正しく把握することが重要である。そして、その鳴きの抑制の為には、その候補の中から適切な特性を有するものを選択して適用すればよい。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、グリスの特性を正しく把握することが可能なディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム及びそのグリス特性検査方法を提供することを、その目的とする。また、本発明は、鳴きの抑制に適したブレーキパッドを提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明に係るディスクブレーキ装置のグリス特性検査システムは、ディスクブレーキ装置のブレーキパッドに用いられるグリスに対して所定の加振条件で振動を加える加振器と、その加振条件にて検出された前記グリスの性状に基づいて当該グリスの振動に対する特性を求めるグリス特性演算装置と、を設けたことを特徴としている。
ここで、このグリス特性検査システムにおいては、前記加振条件に加振器自体の振動特性を含ませないことが望ましい。
また、このグリス特性検査システムにおいては、車両の実走行時における実際の制動動作に基づいて前記加振条件を求めることが望ましい。
また、このグリス特性検査システムにおいて、前記グリスの振動に対する特性は、前記グリスのせん断方向の減衰係数、粘度、バネ定数又は横弾性係数で表すことが望ましい。
また、このグリス特性検査システムにおいて、前記振動に対する特性が少なくとも鳴きの発生する加振条件のときに他のグリス又は基準グリスよりも一部でも鳴きの発生抑制効果の高いことを示しているグリスを選択し、その選択したグリスを前記ブレーキパッドに用いるグリスの候補とすることが望ましい。
また、このグリス特性検査システムにおいて、前記減衰係数が少なくとも鳴きの発生する加振周波数のときに他のグリス又は基準グリスよりも一部でも大きいグリスを選択し、その選択したグリスを前記ブレーキパッドに用いるグリスの候補とすることが望ましい。
更に、上記目的を達成する為、本発明に係るディスクブレーキ装置のグリス特性検査方法は、ディスクブレーキ装置のブレーキパッドに用いられるグリスに対して所定の加振条件で振動を加え、その加振条件にて検出された前記グリスの性状に基づいて当該グリスの振動に対する特性を求めることを特徴としている。
ここで、このグリス特性検査方法においては、前記加振条件に加振器自体の振動特性を含ませないことが望ましい。
また、このグリス特性検査方法においては、車両の実走行時における実際の制動動作に基づいて前記加振条件を求めることが望ましい。
また、このグリス特性検査方法において、前記グリスの振動に対する特性は、前記グリスのせん断方向の減衰係数、粘度、バネ定数又は横弾性係数で表すことが望ましい。
また、このグリス特性検査方法において、前記振動に対する特性が少なくとも鳴きの発生する加振条件のときに他のグリス又は基準グリスよりも一部でも鳴きの発生抑制効果の高いことを示しているグリスを選択し、その選択したグリスを前記ブレーキパッドに用いるグリスの候補とすることが望ましい。
また、このグリス特性検査方法において、前記減衰係数が少なくとも鳴きの発生する加振周波数のときに他のグリス又は基準グリスよりも一部でも大きいグリスを選択し、その選択したグリスを前記ブレーキパッドに用いるグリスの候補とすることが望ましい。
また更に、上記目的を達成する為、本発明に係るディスクブレーキ装置のブレーキパッドは、グリスに対して所定の加振条件で振動を加え、その加振条件にて検出された前記グリスの性状に基づいて当該グリスの振動に対する特性を求め、その特性が他のグリス又は基準グリスよりも鳴きの発生抑制効果の高いことを示しているグリスを用いたことを特徴としている。
本発明に係るディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム及びそのグリス特性検査方法は、グリスの振動に対する特性を精度良く求めることができる。特に、このディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム及びそのグリス特性検査方法は、加振条件に加振器自体の振動特性が含まれていないので、その加振条件で振動を加えることによって、鳴きが発生するときの振動を高精度に再現でき、グリスの振動に対する特性を精度良く求めることができる。また、本発明に係るディスクブレーキ装置のブレーキパッドは、各種グリスの振動に対する特性の高精度情報に基づいて選ばれたグリスが使われているので、鳴きの発生の抑制効果が高くなっている。
図1は、本発明に係るディスクブレーキ装置のブレーキパッドの一例を示す図であり、上図が組み付け後の状態、下図が組み付け前の状態を表している。 図2は、図1のブレーキパッドをX−X線で切った断面図である。 図3は、本発明に係るディスクブレーキ装置のグリス特性検査システムの一例を示す図である。 図4は、図3の検査グリスと加振部をY−Yで切った断面図である。 図5は、実車の鳴き測定システムの一例を示す図である。 図6は、検査グリスのバネ成分の履歴ループを示す図である。 図7は、検査グリスの減衰成分の履歴ループを示す図である。 図8は、検査グリスの検査結果の一例であり、加振周波数に対するせん断方向の減衰係数について示す図である。 図9は、図2の断面図と同等のものであり、防振部の構成を変更した他形態のブレーキパッドについて示す断面図である。
以下に、本発明に係るディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム及びそのグリス特性検査方法並びにブレーキパッドの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例]
本発明に係るディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム及びそのグリス特性検査方法並びにブレーキパッドの実施例を図1から図8に基づいて説明する。
最初に、ブレーキパッドの構成の一例を図1及び図2に示す。図1及び図2の符号10は、本実施例のブレーキパッドを示している。このブレーキパッド10は、大別するならば、ブレーキパッド本体1とシム5とで構成されている。
ブレーキパッド本体1は、ディスクロータ(図示略)との間に摩擦力を発生させる摩擦部であり、摩擦材2と裏金3とで構成する。その摩擦材2は、板状に成型されており、ディスクロータに接することでディスクロータに対する摩擦抵抗を発生させる。一方、裏金3は、板状に成型された金属製の剛体であり、その摩擦材2を一方の平面で保持する。この裏金3は、ピストン(図示略)の押圧力を受けて摩擦材2と共にディスクロータに向けて押動される。
シム5は、制動動作時のブレーキパッド本体1の振動を抑えて鳴きの発生を抑制させる機能と、制動動作時のブレーキパッド本体1からピストンへの熱の移動を抑える断熱部としての機能と、を有する。このシム5は、第1シム部材6と第2シム部材7と防振部8とで構成する。
第1シム部材6と第2シム部材7は、その主たる部分を裏金3の平面と同等の形状に成型した金属製の薄板である。これら第1シム部材6と第2シム部材7は、その間に防振部8と液密部9とを介装した状態で裏金3における摩擦材2とは反対側の平面に重ね合わせて配設する。第1シム部材6は、その裏金3の平面に添わせて配置する。一方、第2シム部材7は、ピストンと対向する側に配置する。この第2シム部材7は、そのピストンの押圧力を直接受ける。
防振部8は、制動動作時の振動を減衰させることによって、鳴きの発生を抑えるものである。この防振部8は、グリス8aと液密部材8bとで構成する。
そのグリス8aには、振動の減衰が可能なものを用いる。例えば、グリス8aには、ダイラタンシー特性を有するダイラタント流体の適用が考えられる。尚、そのダイラタント流体とは、非ニュートン流体の一種であり、せん断速度の上昇と共にせん断力が急増し、粘度が大きくなっていくものである。従って、このダイラタント流体は、振動が大きくなっても、その振動を減衰させることができる。
液密部材8bは、グリス8aを外に漏らさない為のものである。例えば、この液密部材8bには、Oリングの様な弾性を有する円環部材であって、その内径がピストンと同等の直径を有するものを用いればよい。
この防振部8は、ピストンの第2シム部材7に対する押圧面とグリス封入部材8bの円板面とが第2シム部材7を介して対向する位置に配置される。
本実施例のブレーキパッド10においては、制動動作時の鳴きの抑制に適した防振部8を用いる。その為に、ここでは、様々な種類のグリスの中から鳴きの抑制に適したものを選別すべく、以下に示す装置を用いてグリスの特性を把握する。そのシステム(以下、「グリス特性検査システム」という。)100の構成について図3及び図4を用いて説明する。
このグリス特性検査システム100は、加振器110と、加振条件指示装置120と、グリス特性演算装置130と、演算結果出力装置140と、を備える。
加振器110は、加振器本体111を動作させ、検査対象物たる検査グリス200に対して加振部111aから振動を加えるものである。ここで、制動動作時の防振部8には、鳴きの発生要因となる振動の方向に応じたせん断力が加わっている。これが為、検査グリス200は、軸線方向に往復運動する加振部111aの側面に配置する。
その検査グリス200は、上述した防振部8と同等の状況を再現すべく、液密部材8bと同等の部材で囲むことが望ましい。この検査グリス200は、例えば四角柱の加振部111aの側面に沿わせて配置する。更に、この検査グリス200は、加振部111aにおける対向する夫々の側面に配置し、これらを保持部材201,202で挟み込む。また、その両側面の検査グリス200は、同等の形状及び体積となるようにする。これにより、加振器本体111は、加振部111aの加振方向に対する曲がり(つまりブレ)が抑制されるので、その両側面において加振方向の力の均衡を保つことができ、加振条件に応じた精度の良いせん断力を検査グリス200に対して加えることができる。
ここで、保持部材201,202は、第1シム部材6と第2シム部材7と同等の金属製の薄板で有ることが好ましく、一方を加振器本体111に対して相対移動できぬようにし、他方を加振器本体111に対して相対移動できるようにする。これにより、実際のシム5と同等の構成となり、振動の再現性が高くなる。尚、シム5においては、制動動作時に第1シム部材6と第2シム部材7との間で車輪周方向への相対移動が起きている。
加振器本体111は、加振条件指示装置120から指示された加振条件に基づいて加振部111aを振動させる。その加振条件とは、発生させる振動の加振周波数と加速度のことである。その加振条件は、所定の条件に設定される。このグリス特性検査システム100においては、その加振条件を様々な条件に変更し、振動の形態を変えて検査グリス200の特性を観る。ここで、その加振条件指示装置120は、使用者による加振条件の設定が可能である。例えば、この加振条件指示装置120には、加振周波数を変更させるスイッチと加速度を変更させるボリュームを備えたアンプを用いる。尚、その加振条件は、例えば最も鳴きの発生する条件としてもよい。
ところで、加振器本体111は、その構造や構成に応じた振動特性を持っている。例えば、加振器本体111は、加振方向と重力加速度の向きとが異なる場合、加振部111aが重力加速度の影響を受けて、加振方向のブレが生じる虞がある。これが為、加振器本体111は、重力加速度の影響を避けるべく、加振方向と重力加速度の向きとを一致させるように配置する。これにより、加振方向のブレを抑えることができるので、検査グリス200に対して加振条件に応じた精度の良いせん断力を発生させることができる。
また、例えば加振器本体の振動によって鳴きの発生条件を調べ、その調査結果に基づきグリスによる鳴きの抑制効果を測定する検査システムの場合、その発生条件は、その加振器本体の振動特性の影響を受ける。例えば、その加振器本体の加振部やこれを支える軸受部の素材や形状、構造等に依っては、その加振部等が共振して、鳴き発生時の加振周波数に加振部等による共振周波数(共鳴周波数)が含まれてしまう可能性がある。このような加振器本体の振動特性の影響を受けてしまう検査システムは、実車の鳴きの発生条件を正確に知ることができず、正しい加振条件の設定が難しくなり、グリスの特性を高精度に検査できない虞がある。従って、加振条件に加振器本体111の振動特性を含ませないことが好ましい。これが為、本実施例においては、上述した加振方向と重力加速度の向きとを一致させることに加えて、加振部111aやこれと共に往復運動する部分の質量を極力小さくし、更に加振部111aにおける特に横方向の剛性を高めて加振方向のブレを抑えることが望ましい。
本検査における加振条件については、実車での鳴き及び鳴き発生条件の測定を行い、その測定結果に基づいて設定する。以下に、その実車での鳴き等の測定システム(以下、「鳴き測定システム」という。)300の一例を図5に基づき説明する。
ここで例示する鳴き測定システム300は、実車での鳴きとそのときの鳴き発生条件とを測定し、その測定結果を知らしめるものである。この鳴き測定システム300は、騒音測定装置310と、加速度計測装置320と、ブレーキ液圧計測装置330と、計測結果処理装置340と、出力装置350と、を備える。
騒音測定装置310は、マイクロフォン311を介して入力された音圧を測定するものである。この騒音測定装置310には、例えば騒音計を用いればよい。ここで、マイクロフォン311は、ディスクブレーキ装置の周囲、例えばキャリパ401の近くに配設する。これが為、騒音測定装置310は、ブレーキ操作に伴う実際の制動動作時に発生したディスクブレーキ装置の鳴きの音圧を測定することができる。
加速度計測装置320は、キャリパ401に発生している振動の加速度を計測するものである。ここで、防振部8には、そのキャリパ401の振動と同等のものが発生している。従って、キャリパ401の振動の加速度を観ることによって、防振部8に発生している振動の加速度についても把握できる。
ブレーキ液圧計測装置330は、制動システム内のブレーキ液圧を計測するものである。例えば、このブレーキ液圧計測装置330には、マスタシリンダ411のブレーキ液圧を計測させる。
計測結果処理装置340には、騒音測定装置310の測定結果、加速度計測装置320とブレーキ液圧計測装置330の夫々の計測結果が送信される。この計測結果処理装置340は、入力された測定結果と計測結果をモニタやプリンタ等の出力装置350に送り、その測定結果等を使用者が認識できるようにするものである。この計測結果処理装置340には、電子計算機を利用すればよい。ここで、騒音測定装置310は、鳴き以外の音も拾う。また、加速度計測装置320は、走行時の路面からの入力等に伴う加速度も計測する。ここでは、ブレーキ液圧も計測されるので、そのブレーキ液圧に基づいて制動動作時の計測音や加速度なのかを知ることができる。
使用者は、出力装置350で認識した騒音測定装置310の測定結果に基づいて鳴き発生時か否かを判断する。そして、この使用者は、鳴き発生時に計測した加速度計測装置320の計測結果を加振器本体111で発生させる振動の目標加速度として設定する。また、使用者は、そのときの加速度を例えば周波数解析器等で周波数解析して鳴きの周波数を求めさせ、この鳴きの周波数を加振器本体111で発生させる振動の目標加振周波数として設定する。その周波数解析は計測結果処理装置340に実行させてもよく、この場合は、鳴きの周波数を計測結果処理装置340から出力装置350に送信させればよい。使用者は、その目標加振周波数と目標加速度の組をこの鳴き発生時に対応した加振条件として設定する。ブレーキ操作形態を変えるなどすることで制動動作形態が変わるので、使用者は、様々な制動動作形態に応じた目標加振周波数と目標加速度の設定を出力装置350からの認識情報(測定結果や計測結果)に基づいて行う。尚、この使用者による加振条件の設定については、計測結果処理装置340に実行させてもよい。この場合、計測結果処理装置340は、その加振条件を出力装置350に送り、この出力装置350によって加振条件を使用者に伝えればよい。
この鳴き測定システム300は、鳴きの発生要因となる振動の振動特性(加速度及び周波数)を実車の実走行時における実際の制動動作から正確に把握して、これに基づき加振器本体111の加振条件を設定する。また、上述した加振部111aの質量調整等によって、その振動特性には加振器本体111の振動特性が含まれない又は加振器本体111の振動特性の影響を抑えることができるので、その加振器本体111は、その加振条件で加振部111aを振動させることによって、本システムの測定に用いた実車のグリスを使ったときに鳴きの発生要因となる振動を精度良く再現することができる。
その加振条件は、測定結果等から得られる上記の目標加振周波数と目標加速度の組み合わせのみでもよいが、本システムの測定に用いた実車のグリスを使ったときに鳴きが発生しない領域にまで条件を拡げてもよい。例えば、上記の目標加振周波数よりも周波数帯域の幅を所定量だけ拡げてもよく、また、上記の目標加速度を所定量だけ増減させてもよい。
ここで、検査中の検査グリス200においては、加振部111aの振動に伴い、その加振方向のせん断力Fと変位xが生じる。そのせん断力Fや変位xは、検査グリス200の性状を示すものであり、検査グリス200の特性に応じて変わるものである。これが為、加振器110には、そのせん断力Fを計測するせん断力計測装置112と、その変位xを計測する変位計測装置113と、を設けている。検査グリス200のせん断力Fは、加振器本体111の加振力に相当する。従って、せん断力計測装置112は、検査グリス200のせん断力Fを計測させるものであってもよいが、加振器110に用意されている加振力計測装置(例えばロードセル等)を利用してもよい。また、検査グリス200の変位xは、加振部111aの移動量に相当する。従って、変位計測装置113は、検査グリス200の変位xを計測させるものであってもよいが、加振部111aの移動量の計測が可能なレーザ計測器等を利用してもよい。
グリス特性演算装置130には、そのせん断力計測装置112と加振変位量計測装置113の計測結果が送信される。このグリス特性演算装置130は、そのせん断力Fと変位xとに基づいて、検査グリス200の振動に対する特性を求める。このグリス特性演算装置130には、電子計算機を利用すればよい。その特性の演算結果は、モニタやプリンタ等の演算結果出力装置140に出力される。
その特性の1つであるバネ定数kは、図6に示すバネ成分の履歴ループから求めることができる。その履歴ループは、振動1周期当りのせん断力F−変位x特性を示すものである。このバネ定数kは、その履歴ループで最大振幅になっている点(x1,F1)と原点(0,0)とを結ぶ線の勾配である(k=F1/x1)。
また、検査グリス200の振動に対する特性には、せん断方向の減衰係数cがある。この減衰係数cは、加振周波数に応じて変化するという特徴を持っており、図7に示す減衰成分の履歴ループから求めることができる。その履歴ループは、振動1周期当りのせん断力F−変位速度V特性を示すものである。尚、その変位速度Vは、変位xの微分値である。減衰係数cは、その履歴ループにおける変位速度V=0のときのせん断力F2に基づいて求めることができる。グリス特性演算装置130は、この減衰係数cを加振周波数毎に求め、加振周波数に対する減衰係数cの特性線図(例えば図8)を作成する。この減衰係数cは、その値が大きいほど振動抑制効果(鳴きの発生抑制効果)の高い特性となる。
また、粘度(せん断粘度)μについても、検査グリス200の振動に対する特性を示すものとなる。この粘度μは、例えばレオメータ等の粘度計測器(図示略)で計測することができる。ここで、その粘度計測器は、せん断率に対する粘度μの値を示す。これが為、グリス特性演算装置130には、加振周波数に対する粘度μの特性線図を作成させるべく、バネ成分と減衰成分のベクトルの和を求めることで粘度μに相当する値へと換算させればよい。
また、検査グリス200の振動に対する特性には、横弾性係数Gもある。その横弾性係数Gは、せん断応力τとせん断歪みγから求めればよい。そのせん断応力τは、せん断力Fとせん断方向に直交する検査グリス200の断面積とから求めることができる。また、せん断歪みγは、変位xと検査グリス200の厚さ(例えば加振部111aと保持部材201との間の距離)とから求めることができる。
このグリス特性検査システム100の使用者は、鳴き測定システム300に基づいて設定した加振条件を加振条件指示装置120に入力し、加振器110を動作させる。これにより、加振器110においては、加振器本体111が検査グリス200に対して振動を加え、せん断力計測装置112と変位計測装置113が振動1周期分のせん断力Fと変位xを求める。そして、この加振器110においては、そのせん断力Fや変位x等に基づいてグリス特性演算装置130が検査グリス200の振動に対する特性を求め、その特性を演算結果出力装置140に出力させる。ここでは、上述したバネ定数k等の内の少なくとも1つが演算や出力される。
使用者は、このグリス特性検査システム100が示した検査グリス200の振動に対する特性に基づいて、各種検査グリス200の中からシム5への適用候補として選ぶ。ここでは、その振動に対する特性が少なくとも鳴きの発生する加振条件のときに他のグリス又は基準グリスよりも一部でも鳴きの発生抑制効果の高いことを示している検査グリス200を選択し、その選択した検査グリス200を適用候補とする。これにより、鳴きの発生する加振条件以外でどの様な振動に対する特性を示そうともシム5への適用候補に選ぶことができるので、グリス8aの選択の幅が拡がる。ここで云う他のグリスとは、検査対象となっている他の検査グリス200や、鳴き測定システム300の測定に用いた実車のグリスのことを示す。また、基準グリスとは、検査対象となっている複数の検査グリス200の中から基準として選んだもの、鳴き測定システム300の測定に用いた実車のグリスや鳴きの発生を抑えられないグリス等のことを示す。
例えば、減衰係数が少なくとも鳴きの発生する加振周波数のときに他のグリス又は基準グリスよりも一部でも大きい検査グリス200を選択し、その選択した検査グリス200を適用候補とする。これにより、鳴きの発生する加振周波数以外の帯域でどの様な振動に対する特性を示そうともシム5への適用候補に選ぶことができるので、グリス8aの選択の幅が拡がる。具体例を示すならば、鳴きは、加振周波数が約2kHz〜10kHzの帯域において発生し易い。従って、少なくともその約2kHz〜10kHzの帯域において一部でも振動抑制効果(鳴きの発生抑制効果)の高い特性を示すものを1つ以上選択すればよい。ここで、実際には、その約2kHz〜10kHzの帯域よりも狭い帯域でのみ鳴きが発生する可能性もある。この場合には、少なくともその狭い帯域において一部でも振動抑制効果(鳴きの発生抑制効果)の高い特性を示すものを1つ以上選んでもよく、一律に少なくともその約2kHz〜10kHzの帯域において一部でも振動抑制効果(鳴きの発生抑制効果)の高い特性を示すものを1つ以上選んでもよい。
また、鳴きの発生を抑えることが可能な特性の値を調査し、その値に該当するものを検査結果の中から1つ以上選ばせるようにしてもよい。
図8には、検査グリスA〜Cの減衰係数cについて例示している。例えば、検査グリスBが鳴きの発生を抑えられないものであると仮定する。この場合、検査グリスAは、加振周波数が約2kHz以上の帯域で検査グリスBよりも減衰係数cが大きくなっている。また、検査グリスCは、加振周波数が約3kHz以上の帯域で検査グリスBよりも減衰係数cが大きくなっている。これが為、検査グリスA,Cは、その夫々の帯域において検査グリスBよりも振動を抑えることができ、鳴きの発生の抑制効果が高い。更に、その検査グリスAは、検査グリスCに対して、減衰係数cが大きくなっており、鳴きの発生の抑制効果が高い。従って、この3種類の検査グリスA〜Cの中からシム5への適用対象を選ぶときには、検査グリスC又はより鳴きの抑制に好ましいものとしての検査グリスAを選択すればよい。
ここで、この使用者が行うグリスの選定については、グリス特性演算装置130に実行させるようにしてもよい。
以上示したように、本実施例のディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム及びそのグリス特性検査方法は、実際の振動の状態を正確に再現できるので、グリスの振動に対する正しい特性を把握することができる。また、本実施例のディスクブレーキ装置のブレーキパッドは、その検査に基づいて選んだグリスを用いたものであり、鳴きの発生を抑えることができる。
ところで、上記の検査に基づき決めたグリスは、防振部8に替えて、図9に示す防振部18に適用してもよい。この防振部18は、グリス18aと、このグリス18aを封入させるグリス封入部材18bと、で構成したものであり、液密部材8bを必要としないものである。そのグリス封入部材18bは、中空の円板状に成型された弾性体であり、その円板がキャリパ401のピストンと同等の直径になっている。グリス18aは、その中空部分に封入されている。このような防振部18が実車に適用されている場合、検査グリス200は、その防振部18と同等の状況を再現すべく、グリス封入部材18bと同等の材料で板状に成型した中空容器に検査対象のグリスを封入させて構成することが望ましい。
以上のように、本発明に係るディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム及びそのグリス特性検査方法並びにブレーキパッドは、ディスクブレーキ装置の鳴きの発生を抑える為の技術として有用である。
1 ブレーキパッド本体
5 シム
6 第1シム部材
7 第2シム部材
8 防振部
8a グリス
8b 液密部材
10 ブレーキパッド
18 防振部
18a グリス
18b グリス封入部材
100 グリス特性検査システム
110 加振器
111 加振器本体
111a 加振部
112 せん断力計測装置
113 加振変位量計測装置
113 変位計測装置
120 加振条件指示装置
130 グリス特性演算装置
140 演算結果出力装置
200検査グリス
201,202 保持部材
300 鳴き測定システム
310 騒音測定装置
311 マイクロフォン
320 加速度計測装置
330 ブレーキ液圧計測装置
340 計測結果処理装置
350 出力装置
401 キャリパ

Claims (13)

  1. ディスクブレーキ装置のブレーキパッドに用いられるグリスに対して所定の加振条件で振動を加える加振器と、該加振条件にて検出された前記グリスの性状に基づいて当該グリスの振動に対する特性を求めるグリス特性演算装置と、を設けたことを特徴とするディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム。
  2. 前記加振条件に加振器自体の振動特性を含ませないことを特徴とした請求項1記載のディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム。
  3. 車両の実走行時における実際の制動動作に基づいて前記加振条件を求めることを特徴とした請求項1又は2に記載のディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム。
  4. 前記グリスの振動に対する特性は、前記グリスのせん断方向の減衰係数、粘度、バネ定数又は横弾性係数で表すことを特徴とした請求項1,2又は3に記載のディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム。
  5. 前記振動に対する特性が少なくとも鳴きの発生する加振条件のときに他のグリス又は基準グリスよりも一部でも鳴きの発生抑制効果の高いことを示しているグリスを選択し、該選択したグリスを前記ブレーキパッドに用いるグリスの候補とすることを特徴とした請求項1から4の内の何れか1つに記載のディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム。
  6. 前記減衰係数が少なくとも鳴きの発生する加振周波数のときに他のグリス又は基準グリスよりも一部でも大きいグリスを選択し、該選択したグリスを前記ブレーキパッドに用いるグリスの候補とすることを特徴とした請求項4記載のディスクブレーキ装置のグリス特性検査システム。
  7. ディスクブレーキ装置のブレーキパッドに用いられるグリスに対して所定の加振条件で振動を加え、該加振条件にて検出された前記グリスの性状に基づいて当該グリスの振動に対する特性を求めることを特徴としたディスクブレーキ装置のグリス特性検査方法。
  8. 前記加振条件に加振器自体の振動特性を含ませないことを特徴とした請求項7記載のディスクブレーキ装置のグリス特性検査方法。
  9. 車両の実走行時における実際の制動動作に基づいて前記加振条件を求めることを特徴とした請求項7又は8に記載のディスクブレーキ装置のグリス特性検査方法。
  10. 前記グリスの振動に対する特性は、前記グリスのせん断方向の減衰係数、粘度、バネ定数又は横弾性係数で表すことを特徴とした請求項7,8又は9に記載のディスクブレーキ装置のグリス特性検査方法。
  11. 前記振動に対する特性が少なくとも鳴きの発生する加振条件のときに他のグリス又は基準グリスよりも一部でも鳴きの発生抑制効果の高いことを示しているグリスを選択し、該選択したグリスを前記ブレーキパッドに用いるグリスの候補とすることを特徴とした請求項7から10の内の何れか1つに記載のディスクブレーキ装置のグリス特性検査方法。
  12. 前記減衰係数が少なくとも鳴きの発生する加振周波数のときに他のグリス又は基準グリスよりも一部でも大きいグリスを選択し、該選択したグリスを前記ブレーキパッドに用いるグリスの候補とすることを特徴とした請求項10記載のディスクブレーキ装置のグリス特性検査方法。
  13. グリスに対して所定の加振条件で振動を加え、該加振条件にて検出された前記グリスの性状に基づいて当該グリスの振動に対する特性を求め、該特性が他のグリス又は基準グリスよりも鳴きの発生抑制効果の高いことを示しているグリスを用いたことを特徴とするディスクブレーキ装置のブレーキパッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015072190A (ja) * 2013-10-03 2015-04-16 株式会社アドヴィックス せん断特性測定装置

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