JP2011139683A - 昆虫の分化および成長の制御法ならびにそのための組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記課題は、ローヤルゼリーにおいて昆虫の分化誘導能および成長刺激能を担う成分がロイヤラクチンであることを同定し、ロイヤラクチンを用いる昆虫の分化および成長の制御法およびそのための組成物を提供することによって、解決された。
【選択図】なし
Description
(項目1) 雌性の内翅群昆虫の分化および成長を促進する方法であって、該方法は、(i)該雌性昆虫の幼虫にロイヤラクチンまたはその改変体を投与する工程、を包含し、ここで、該ロイヤラクチンまたはその改変体が、以下:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1または数個の欠失、置換、または付加を含むポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して90%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;ならびに、
(f)配列番号1に記載の核酸配列を含む核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
からなる群から選択される、方法。
(項目2) 項目1に記載の方法であって、ここで、前記ロイヤラクチンまたはその改変体が、以下:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1または数個の欠失、置換、または付加を含むポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して90%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;ならびに、
(f)配列番号1に記載の核酸配列を含む核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
からなる群から選択される、方法。
(項目3) 前記ロイヤラクチンまたはその改変体が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドである、項目1に記載の方法。
(項目4) 前記EGFRが、配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、および、配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目5) 前記昆虫が双翅目昆虫または膜翅目昆虫である、項目1に記載の方法。
(項目6) 前記昆虫がDrosophila属の昆虫またはApis属の昆虫である、項目5に記載の方法。
(項目7) 前記昆虫がDrosophila melanogasterまたはApis melliferaである、項目6に記載の方法。
(項目8) 前記雌性の内翅群昆虫の分化および成長の促進が、羽化までの発生に要する時間の減少、羽化時の成体の重量の増加、卵巣サイズの増大、卵巣あたりの卵巣小管数の増加、幼若ホルモンの分泌の増加、女王蜂への分化、体長の伸長、体重の増加、翅の面積の増大、蛹サイズの増大、および、産卵数の増加、からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目9) 雌性の内翅群昆虫の分化および成長を促進するための組成物であって、該組成物はロイヤラクチンまたはその改変体を含有し、ここで、該ロイヤラクチンまたはその改変体が、以下:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1または数個の欠失、置換、または付加を含むポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して90%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;ならびに、
(f)配列番号1に記載の核酸配列を含む核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
からなる群から選択される、組成物。
(項目10) 項目9に記載の組成物であって、ここで、前記ロイヤラクチンまたはその改変体が、以下:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1または数個の欠失、置換、または付加を含むポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して90%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;ならびに、
(f)配列番号1に記載の核酸配列を含む核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
からなる群から選択される、組成物。
(項目11) 前記ロイヤラクチンまたはその改変体が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドである、項目9に記載の組成物。
(項目12) 前記EGFRが、配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、および、配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、からなる群から選択される、項目9に記載の組成物。
(項目13) 前記昆虫が双翅目昆虫または膜翅目昆虫である、項目9に記載の組成物。
(項目14) 前記昆虫がDrosophila属の昆虫またはApis属の昆虫である、項目13に記載の組成物。
(項目15) 前記昆虫がDrosophila melanogasterまたはApis melliferaである、項目14に記載の組成物。
(項目16) 前記雌性の内翅群昆虫の分化および成長の促進が、羽化までの発生に要する時間の減少、羽化時の成体の重量の増加、卵巣サイズの増大、卵巣あたりの卵巣小管数の増加、幼若ホルモンの分泌の増加、ビテロゲニン発現の増加、女王蜂への分化、体長の伸長、体重の増加、翅の面積の増大、蛹サイズの増大、および、産卵数の増加、からなる群から選択される、項目9に記載の組成物。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
Tm(℃)=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)−600/N−0.72(%ホルムアミド)
ここで、Nは、形成される二重鎖の長さであり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション溶液または洗浄溶液中のナトリウムイオンのモル濃度であり、%G+Cは、ハイブリッド中の(グアニン+シトシン)塩基のパーセンテージである。不完全に一致したハイブリッドに関して、融解温度は、各1%不一致(ミスマッチ)に対して約1℃ずつ減少する。
M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および20%ホルムアミド、37〜50℃である。例として、0.015Mナトリウムイオン中、50℃の「中程度にストリンジェントな」条件は、約21%の不一致を許容する。
(2) BLASTNでヌクレオチドのクエリー配列をヌクレオチド配列データベースと比較;
(3) BLASTXでヌクレオチドのクエリー配列(両方の鎖)を6つの読み枠で変換した概念的翻訳産物をタンパク質配列データベースと比較;
(4) TBLASTNでタンパク質のクエリー配列を6つの読み枠(両方の鎖)すべてで変換したヌクレオチド配列データベースと比較;
(5) TBLASTXでヌクレオチドのクエリー配列を6つの読み枠で変換したものを、6つの読み枠で変換したヌクレオチド配列データベースと比較。
(実施例1−1:インビトロでの幼虫の飼育)
第1齢の幼虫を、ミツバチ(Apis mellifera)の巣房から取り出した。幼虫は、室温、96%湿度でプレート上に1時間放置し、良好に摂食する幼虫を選択した。食餌は、以下のとおりである(単位は、幼虫の重量あたりの重量%):ローヤルゼリー(50.0%)、水(37.0%)、D−グルコース(6.0%)、D−フルクトース(6.0%)および酵母エキス(1.0%)。使用したローヤルゼリーは、40℃で 7日間保存したローヤルゼリー(40−7d RJ)、40℃で14日間保存したローヤルゼリー(40−14d RJ)、40℃で21日間保存したローヤルゼリー(40−21d RJ)、および、40℃で30日間保存したローヤルゼリー(40−30d RJ)である。精製したロイヤラクチン、E.coliにて組換え発現した後に精製したロイヤラクチン、または、ローヤルゼリー由来の精製450kDaタンパク質を、40−30d RJを含む食餌に、0.5%(w/w)、1.0%(w/w)、または、2.0%(w/w)で添加した。幼虫を、食餌を含む60mmのプレートに配置し、34℃±1℃、96%湿度で飼育した。飼育開始の4日目に、幼虫を、24ウェルのマイクロタイタープレートに移した。幼虫の間に、24時間毎に、幼虫を新鮮な食餌を含むプレートに移した。幼虫が排便を開始した後、付着する食餌をキムワイプで取り除き、幼虫を、6ウェルのマイクロタイタープレート(底部にフィルターペーパーを敷いている)に移した。蛹の期間は、34℃±1℃、76%湿度で飼育した。羽化するまで、蛹を、同一条件で飼育した。
(実施例1−2:女王蜂および働き蜂の測定)
女王蜂および働き蜂の以下の特徴を測定した。女王蜂の特徴:働き蜂よりも早く羽化する(発生のための時間が短い)、突出した腹部を有する大きな身体(重い重量)、分散した体毛を伴う大きな後脚附節隣接部、ノッチのある下顎、および、卵巣あたり120〜180の卵巣小管。働き蜂の特徴:女王蜂よりも遅く羽化する(発生のための時間が長い)、小さな身体(軽い重量)、分散した体毛を伴わない小さな後脚附節隣接部、ノッチのない下顎、および、卵巣あたり2〜6の未発達の卵巣小管。本実施例に記載の実験では、形態学的特徴と、卵巣のサイズが非常に良好に相関していた。そのため、本実施例においては、卵巣のサイズの結果のみを記載し、形態学的特徴については、記載しなかった。
(実施例1−3:ビタミン、脂肪、および、糖の定量)
ローヤルゼリー中のビタミンB1、B2及びCは、L−column ODS(4.6×150mm),Cosmosil C18 Econopak column(4.6×150mm)またはSilica 2150−N column(4.6×100mm)をそれぞれ備えたHPLCを用いて定量的に分析した。ローヤルゼリー中のビタミンB6、B12及び葉酸は、Saccharomyces cerevisiae ATCC9080,Lactobacillus delbrukii subsp. lactis ATCC7830 及びLactobacillus rhamnosus ATCC7469をそれぞれ用いた微生物定量によって分析した。パントテン酸、ニコチン酸及びビオチンは、Lactobacillus plantarum ATCC8014を用いた微生物定量によって分析した。10ハイドロキシデセン酸は、Nucleosil 5C18(4.6×150mm)を備えたHPLCを用いて定量的に分析した。ローヤルゼリー中のグルコースおよびフルクトースを、Wakosil 5NH2(4.6×250mm)を備えたHPLCを用いて定量的に分析した。ローヤルゼリー中の脂肪酸を、DB−23(0.25×300mm)を備えたガスクロマログラフィーを用いて、定量的に分析した。脂肪酸の検出限界は、100gのローヤルゼリーあたり10mgであった。
(実施例1−4:ローヤルゼリータンパク質の定量)
ローヤルゼリー中のタンパク質の定量分析を、5〜20%のグラジエントポリアクリルアミドゲルでのネイティブPAGEによって行った。0.15gのローヤルゼリーのサンプルを、20%のグリセリンを含む50mM Tris−HCl(pH7.0)緩衝液5ml中に懸濁し、5000×g 10分間遠心した。懸濁液をネイティブPAGEに供した。40℃の種々の条件下で保存したローヤルゼリー中の、450kDaタンパク質、170kDaタンパク質、および、ロイヤラクチンをブロットし、デンシトメトリーでのスキャンによって定量した。HPLCでのローヤルゼリータンパク質の定量の結果、450kDaタンパク質、170kDaタンパク質、および、ロイヤラクチンの濃度は、100gローヤルゼリーあたり、それぞれ、4.5g、0.77g、および、2.1gであった。これらの値に基いて、種々の条件下で保存されたローヤルゼリー内の各タンパク質の残存割合を計算した。ブロットのバンドを、NIH Image Ver.1.62(NIH,U.S.A.)を用いて定量した。
(実施例1−5:ローヤルゼリー中のタンパク質の精製)
ロイヤラクチンをDEAE−Toyopearl 650M columnとHiLoad(登録商標)16/10 Superdex 200 columnを用いて精製し、精製ロイヤラクチンを、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥した。450kDaタンパク質の精製では、ローヤルゼリーを、0.15M NaClを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)(緩衝液A)で平衡化したHiLoad 16/10 Superdex200ゲルろ過カラムに供した。次に、カラムを、同一緩衝液を用い、1.0ml/分の速度で溶出し、450kDaタンパク質を含む画分を回収し、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥した。
(実施例1−6:組換えロイヤラクチンの発現および精製)
配列番号1の核酸配列を有する、シグナルペプチドを欠く成熟全長ロイヤラクチンをコードするcDNAを、pET19bベクター(Novagen)にサブクローニングした。このサブクローニングによって生成したプラスミドを含むE.coli BL21株(DE3)pLysS細胞(Novagen)を、A600nmが約0.8になるまで、アンピシリン(50μg/ml)を含むLB培地中、37℃で3時間増殖させた。イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.5mM)を添加して、ロイヤラクチン発現を誘導し、37℃で17時間、培養を続けた。次に、細胞を遠心分離によって回収し、50mM NaClおよび1mM EDTAを含む50mM Tris−HCl(pH8.0)に懸濁し、Tomy超音波発生機を用いて、20kHz 80Wで80秒間破壊した。超音波処理した溶液を、20,000×g 30分間 4℃で遠心し、上清を、His−Bindレジン親和性カラムに供し、イミダゾールを用いて溶出した。組換えロイヤラクチン(E−ロイヤラクチン)を収集し、HiPrep(登録商標)16/60Sephacryl S−200カラムに供した。次にカラムを緩衝液Aで、10ml/分の流速で溶出し、1.0mlの画分を収集した。E−ロイヤラクチンを含む画分をプールし、蒸留水に対して透析して、凍結乾燥した。
(実施例1−7:幼若ホルモンの定量)
ミツバチの3齢幼虫を回収し、血リンパ液を採取した。血リンパ液中に含まれる幼弱ホルモンをヘキサンで2回抽出し、真空乾燥の後、メタノールに溶解させた。幼若ホルモンはMightysil RP−18 MS 150−4.6 (4.6×150mm)を備えた高分解能を有すLC−MS、micrOTOF−Q(Bruker Daltonics)を用いて定量した。
(実施例1−8:リアルタイムPCR)
総RNAを、RNeasyミニキット(QIAGEN)を用いて、3齢の幼虫から調製した。逆転写酵素反応を、PrimeScript RT試薬キット(Takara)を用いて行った。使用したプライマーは、以下のとおりである:
アクチンフォワードプライマー:5’−TGCCAACACTGTCCTTTCTG−3’(配列番号9)、
アクチンリバースプライマー:5’−AGAATTGACCCACCAATCCA−3’(配列番号10)、
ビテロゲニン(vg)フォワードプライマー:5’−CCCACGTTGATCTCCAACTACA−3’(配列番号11)、および、
ビテロゲニン(vg)リバースプライマー:5’−CCGCTTGTCTTGGTCAACTTTA−3’(配列番号12)。
(実施例1−9:統計学的処理)
実験結果を、平均±S.E.M.として示した。ダネット多重比較試験を用いるANOVAによって、データを分析した。p<0.05を統計学的有意か否かの規準として用いた。
(結果)
ローヤルゼリーに含まれる単一の成分がローヤルゼリーと同様に昆虫の分化誘導能および成長刺激能を担うか否かは不明であったが、ローヤルゼリーと同様に昆虫の分化誘導能および成長刺激能を担う成分を決定するために、本発明者は、ローヤルゼリーの生理学的活性に対する、保存の影響を決定した。
(実施例2:ショウジョウバエモデルを利用した実験結果)
(実施例2−1:ローヤルゼリー含有培地の調製)
ローヤルゼリー含有培地、ならびに、その比較対照としての、カゼイン含有培地、および、コントロール培地を以下の組成で調製した。なお、培地の調製においては、寒天をそのままペースト状で使用することで足場を確保し、培地として機能することを可能にした。また、ローヤルゼリーはpHが約4.0であることから、Trisを用いてpHを7.0に調整した。
(1)20%ローヤルゼリー含有培地:蒸留水 100ml、酵母エキス 8g、グルコース 10g、および、ローヤルゼリー 20gをよく混和し、Tris−HCl(pH7.0)緩衝液を用いてpHを7.0に調製し、バイアル当たり10mLの培地を添加し、さらに、粉末の寒天を添加して、よく攪拌した。これらの操作を無菌下で行った。
(2)カゼイン含有培地(ローヤルゼリー含有培地と摂取カロリーが同程度になるように、カゼインを中心として種々の成分を用いて調製した培地):蒸留水 100ml、酵母エキス 8g、グルコース 11.3g、カゼイン 2.8g、フルクトース 1.3g、コーンスターチ 0.4g、および、大豆油 0.76gをよく混和し、Tris−HCl(pH7.0)緩衝液を用いてpHを7.0に調製し、バイアル当たり10mLの培地を添加し、さらに、粉末の寒天を添加して、よく攪拌した。これらの操作を無菌下で行った。
(3)コントロール培地:蒸留水 100ml、酵母エキス 8g、および、グルコース 10gをよく混和し、Tris−HCl(pH7.0)緩衝液を用いてpHを7.0に調製し、バイアル当たり10mLの培地を添加し、さらに、粉末の寒天を添加して、よく攪拌した。これらの操作を無菌下で行った。
(実施例2−2:野生型ショウジョウバエにおける体長、体重、細胞サイズ、および、細胞数の変化)
上記の結果は、以下の表1〜5のとおりである。
ローヤルゼリーの添加によって、雌性の寿命は有意に伸長したが、雄性の寿命に有意な変化は見られなかった。また、上記に示した雌性ショウジョウバエの形質変化は、次世代へは遺伝しなかった。
(実施例2−3:ショウジョウバエでのロイヤラクチン強制発現による表現型の変化)
ショウジョウバエでのロイヤラクチン形質転換体を作成し、Gal4/UAS系を用いて組織特異的にロイヤラクチンを強制発現させたときの表現型の変化について測定した。
(実施例2−4:ショウジョウバエの変異体における、ローヤルゼリーの影響)
次に、各種変異型ショウジョウバエにおける、ローヤルゼリーの影響について検討した。結果を次の表7に示す。表中、ローヤルゼリーによる体長伸長および体重増加が有意な結果の数値を斜体として下線を付した。
(実施例2−5:ロイヤラクチンによるシグナルの伝達:タンパク質のリン酸化)
次にロイヤラクチンがEGFRに作用するとき、直接作用しているかどうかを確認するため、ショウジョウバエ由来S2細胞に、ショウジョウバエ由来のEGFRであるEGFR−A(配列番号3および4)、または、EGFR−B(配列番号5および6)、または、ミツバチのEGFR(配列番号7または8)を発現させ、細胞内のシグナル活性化を確認した。
(実施例2−6:ローヤルゼリーが野生型ショウジョウバエの幼若ホルモン分泌及びエクダイソン分泌に及ぼす影響)
ミツバチを含む社会性昆虫は、幼若ホルモンにより女王個体へと分化する。そこで、ショウジョウバエの幼若ホルモンやエクダイソンがローヤルゼリーによりどのような影響を受けているかどうかについて検討した。孵化後2−5日後の野生型ショウジョウバエの幼虫を回収し、ヘキサンで2回抽出の後、真空乾燥させ、メタノールに溶解さた。サンプル中の幼若ホルモンは、Mightysil RP−18 MS 150−4.6(4.6×150mm)を備えた高分解能を有すLC−MS、micrOTOF−Q(Bruker Daltonics)を用いて定量した。一方、エクダイソン定量は、抗ウサギIgG抗体をコートしてある96穴プレート(コスモバイオ)にサンプル或いは標準液50μl、HRP標識エクダイソン(コスモバイオ)50μl、抗エクダイソン抗体(コスモバイオ)50μlを添加し、室温で3時間静置する。その後、PBSで3回洗浄の後、o−フェニレンジアミン溶液で発色させ、492nmの吸光度を測定することでエクダイソンを定量した。その結果、ローヤルゼリーの摂取により、ショウジョウバエの孵化後4日目に著しく幼弱ホルモンが増加し、孵化後3日目にエクダイソンが増加していた。また、ロイヤラクチン形質転換体においても分析したところ、ppl>RがUAS−Rに比べ、孵化後4日目に幼弱ホルモンが、孵化後3日目にエクダイソンが同様に増加していた。更に、各種変異体を対象に同様の試験を行った結果、幼若ホルモン、及びエクダイソンの分泌には、脂肪体のEGFRが関与していることが明らかとなった。
(実施例2−7:ロイヤラクチンシグナルの伝達:遺伝子発現の誘導)
これまでに報告のある発生に関与する遺伝子38個(Wntシグナル関連遺伝子として、wnt−1、wnt−2、wnt−4、wnt−5、wnt−10、wn、hh、dpp、sal、Ubx、vg/sd、および、exd;JH関連遺伝子として、JHAMET、および、Met;卵黄形成関連遺伝子として、yp−1、yp−2、および、yp−3;エクダイソンシグナル関連遺伝子として、EcR、USP、DHR3、DHR4、BR−C、E74A、E74B、E75A、E75B、FTZ−F1、DHR38、E78C、dib、および、phm;EGFRシグナル関連遺伝子として、EGFR、Spitz、および、Gruken;ならびに、インスリンシグナル関連遺伝子として、InR、Il−1、Il−2、および、Il−3)について、幼虫期の発現変動をリアルタイムPCRを用いて解析した。その結果、孵化後4日目にwinglessシグナル(wnt1,wnt2,en,hh)、エクダイソンレセプターシグナル(DHR38,E78C)、幼弱ホルモン(JH)関連因子(JHAMET(JH合成酵素),met(JH受容体))、卵黄形成(yp−1,yp−2,yp−3)の遺伝子発現がローヤルゼリーにより上昇した。さらに、孵化後3日目にエクダイソン合成に関与するdib,phmの遺伝子発現がローヤルゼリーにより上昇した。これらの結果はホルモンの動態とよく一致していた。次に、発現変動が見られた因子の変異体を対象とした、ローヤルゼリー含有培地による飼育試験の結果から、ローヤルゼリーによる体サイズの増加には、wnt1とmetが関与していることが新たに明らかとなった。さらに、EGFR、wnt1、metとの関係を調べた結果、ロイヤラクチンが脂肪体のEGFRに作用した後、その下流でJHが分泌され、met(JH受容体)に作用し、その下流で脂肪体のwnt1の発現が増加され、体サイズの増加や産卵数の増加に関与していることが明らかとなった。
(実施例2−8:ローヤルゼリーによるショウジョウバエの羽化までの発生に要する時間の変化)
ミツバチのカースト分化において女王蜂は働き蜂より早く羽化する特徴をもつ。この変化は、ショウジョウバエをローヤルゼリー含有培地で飼育した場合にも見られる。実施例2−7においてローヤルゼリーによる発現変動が見られる因子のうち、この表現型の変化に関与する因子を調べた。その結果、唾腺でのDHR38の発現増加がローヤルゼリーによるショウジョウバエの体サイズの増加には関与せず、羽化までの発生に要する時間の短縮に関与していることが分かった。さらに、脂肪体でのEGFRの変異体では、この唾腺でのDHR38の発現誘導と孵化後3日目にエクダイソンの分泌が抑制されていた。同様の結果が、ロイヤラクチンを脂肪体で強制発現させた系統であるppl>Rでも観察された。これらの結果から、ロイヤラクチンが脂肪体のEGFRに作用した後、エクダイソンの分泌を促進させ、エクダイソンにより発現が誘導されるDHR38の唾腺での発現を誘導し、羽化までの発生に要する時間を短縮させたものと判断された。
(実施例2−9:ミツバチのRNAi試験)
ミツバチ由来amInR(インスリン受容体)、amEGFR、amwnt1、amS6K、amHR38とGFP(緑色蛍光タンパク質)のcDNAを鋳型としてLA−Taq(Takara)を用いてPCRを行い、末端にT7 promoter primerのついた断片を増幅させた。使用したプライマーは、以下のとおりである:
amInR-T7フォワードプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGGGAGCTGAGAGAGATCACCG−3’(配列番号13)、
amInR−T7リバースプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGTTTCTGTCGCAGATTCGTTG−3’(配列番号14)、
amEGFR−T7フォワードプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGGTGAACAGTGCGAAGACGAA−3’(配列番号15)、
amEGFR−T7リバースプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGCGTTTCCAAAAGCACCGTA−3’(配列番号16)、
amwnt1−T7フォワードプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGATGATTGCATTCGATCGTCA−3’(配列番号17)、
amwnt1−T7リバースプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGGAAACCGTAGCCGATGTTGT−3’(配列番号18)、
amS6K−T7フォワードプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGTGCTTACAGGTTCACCACCA−3’(配列番号19)、
amS6K−T7リバースプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGAAAACCACGCATATTGCCTC−3’(配列番号20)、
amHR38−T7フォワードプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGGTGAGGACGGATTCCTTGAA−3’(配列番号21)、
amHR38−T7リバースプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGGCTACGCTGACACTGTTCCA−3’(配列番号22)、
GFP−T7フォワードプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGACGTAAACGGCCACAAGTTC−3’(配列番号23)、
GFP−T7リバースプライマー:5’−TAATACGACTCACTATAGGGTGTTCTGCTGGTAGTGGTCG−3’(配列番号24)。
次にこの断片を鋳型として、MEGAscript RNAi Kit(Ambion)を用いてdsRNAを合成させる。幼虫飼育の培地に150μg/mlの濃度でdsRNAを添加し、孵化後2日目、3日目の幼虫に投与した(amHR38は孵化後2−4日目の間投与した)。尚、GFPは核酸添加のための影響がないかを確認するためのネガティブコントロールとして用いた。ミツバチにおけるRNAi飼育試験においては、核酸の影響は見られなったので、GFP培地は、女王蜂に分化する培地となる。RNAiの確認はリアルタイムPCRにより行った。使用したプライマーは、以下のとおりである:
アクチンフォワードプライマー:5’−TGCCAACACTGTCCTTTCTG−3’(配列番号9)、
アクチンリバースプライマー:5’−AGAATTGACCCACCAATCCA−3’(配列番号10)、
amInR−フォワードプライマー:5’−AGAGGGAGTGTGCCAAAGCA−3’(配列番号25)、
amInR−リバースプライマー:5’−TAGTCGGCATCCCTTCAGTCTT−3’(配列番号26)、
amEGFR−フォワードプライマー:5’−CAACGACCATGTACCTGAAGGA−3’(配列番号27)、
amEGFR−リバースプライマー:5’−GCCCCTGCTCTAGAGGACTCA−3’(配列番号28)、
amwnt1−フォワードプライマー:5’−GCGAACGTGGTCGAAATCTAC−3’(配列番号29)、
amwnt1−リバースプライマー:5’−CGGACATGCCGTGACACTT−3’(配列番号30)、
amS6K−フォワードプライマー:5’−GCATCCTTTCATCGTAGACCTTATG−3’(配列番号31)、
amS6K−リバースプライマー:5’−CGATAGATAGAAGCAAGCAGTTTCTTC−3’(配列番号32)、
amHR38−フォワードプライマー:5’−GCCTGGCCGAGAAAGCTT−3’(配列番号33)、
amHR38−リバースプライマー:5’−TCCTCACCACTTCCTTCACCAT−3’(配列番号34)。
(実施例2−10:変異ロイヤラクチンの評価)
ロイヤラクチンに種々の変異を導入し、野生型ロイヤラクチンと同等の活性を有する変異体を得ることが可能である。変異ロイヤラクチンの活性は、例えば、以下の方法によって評価することができる。
(1:MAPキナーゼ、または、S6キナーゼのリン酸化を指標とする評価)
実施例2−5において実証したように、ロイヤラクチンは、EGFRに結合し、EGFRをリン酸化する。EGFRリン酸化の後、EGFRの下流にあるMAPキナーゼおよびS6キナーゼもまたリン酸化される。そのため、実施例2−5に記載の方法を用いて、EGFR、MAPキナーゼ、または、S6キナーゼのいずれかのリン酸化を指標として、変異ロイヤラクチンが野生型ロイヤラクチンと同様の活性を保持するか否かを決定することができる。
(2:EGFRのリン酸化を指標とする評価)
実施例2−5において実証したように、ロイヤラクチンは、EGFRに結合し、EGFRをリン酸化する。そのため、以下に記載の方法を用いて、EGFRのリン酸化を指標として、変異ロイヤラクチンが野生型ロイヤラクチンと同様の活性を保持するか否かを決定することができる。
(3:EGFRのインターナリゼーションを指標とする評価)
実施例2−4において実証したように、ロイヤラクチンは、EGFRに結合し、EGFRをリン酸化する。リン酸化されたEGFRはインターナリゼーションされることから、EGFRのインターナリゼーションを指標として、変異ロイヤラクチンが野生型ロイヤラクチンと同様の活性を保持するか否かを決定することができる。
(4:LSMでの解析を指標とする評価)
上記(1)〜(3)ではウェスタンブロットを用いたが、ウェスタンブロットに替えて、共焦点レーザー顕微鏡を用いることも可能である。孵化後2〜6日後のショウジョウバエまたはミツバチの幼虫を回収し、目的の組織を摘出の後、4%パラホルムアルデヒドで固定し、一次抗体で1時間処理後、0.02%tween20含有PBS(PBST)で洗浄し、二次抗体で1時間反応させる。さらに、PBSTで洗浄した後、スライドガラスにマウントして共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss LSM510)で観察する。一次抗体は、ウエスタンの項で述べたものと同一のものを用いる。二次抗体としては、例えばTexasRed−IgGなどを用いる。また、染色の際、FITC−phalloidinなどにより細胞骨格(アクチン)を染色しておくと細胞の発現分布についても解析できる。
配列番号2:ミツバチ(Apis mellifera)のロイヤラクチンのアミノ酸配列
配列番号3:ショウジョウバエEGFR−Aの核酸配列
配列番号4:ショウジョウバエEGFR−Aのアミノ酸配列
配列番号5:ショウジョウバエEGFR−Bの核酸配列
配列番号6:ショウジョウバエEGFR−Bのアミノ酸配列
配列番号7:ミツバチ(Apis mellifera)EGFRの核酸配列
配列番号8:ミツバチ(Apis mellifera)EGFRのアミノ酸配列
配列番号9:アクチンフォワードプライマー
配列番号10:アクチンリバースプライマー
配列番号11:ビテロゲニンフォワードプライマー
配列番号12:ビテロゲニンリバースプライマー
配列番号13:amInR-T7フォワードプライマー
配列番号14:amInR-T7リバースプライマー
配列番号15:amEGFR-T7フォワードプライマー
配列番号16:amEGFR-T7リバースプライマー
配列番号17:amwnt1-T7フォワードプライマー
配列番号18:amwnt1-T7リバースプライマー
配列番号19:amS6K-T7フォワードプライマー
配列番号20:amS6K-T7リバースプライマー
配列番号21:amHR38-T7フォワードプライマー
配列番号22:amHR38-T7リバースプライマー
配列番号23:GFP-T7フォワードプライマー
配列番号24:GFP-T7リバースプライマー
配列番号25:amInR-フォワードプライマー
配列番号26:amInR-リバースプライマー
配列番号27:amEGFR-フォワードプライマー
配列番号28:amEGFR-リバースプライマー
配列番号29:amwnt1-フォワードプライマー
配列番号30:amwnt1-リバースプライマー
配列番号31:amS6K-フォワードプライマー
配列番号32:amS6K-リバースプライマー
配列番号33:amHR38-フォワードプライマー
配列番号34:amHR38-リバースプライマー
Claims (16)
- 雌性の内翅群昆虫の分化および成長を促進する方法であって、該方法は、(i)該雌性昆虫の幼虫にロイヤラクチンまたはその改変体を投与する工程、を包含し、ここで、該ロイヤラクチンまたはその改変体が、以下:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1または数個の欠失、置換、または付加を含むポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して90%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;ならびに、
(f)配列番号1に記載の核酸配列を含む核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
からなる群から選択される、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記ロイヤラクチンまたはその改変体が、以下:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1または数個の欠失、置換、または付加を含むポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して90%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;ならびに、
(f)配列番号1に記載の核酸配列を含む核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
からなる群から選択される、方法。 - 前記ロイヤラクチンまたはその改変体が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
- 前記EGFRが、配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、および、配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記昆虫が双翅目昆虫または膜翅目昆虫である、請求項1に記載の方法。
- 前記昆虫がDrosophila属の昆虫またはApis属の昆虫である、請求項5に記載の方法。
- 前記昆虫がDrosophila melanogasterまたはApis melliferaである、請求項6に記載の方法。
- 前記雌性の内翅群昆虫の分化および成長の促進が、羽化までの発生に要する時間の減少、羽化時の成体の重量の増加、卵巣サイズの増大、卵巣あたりの卵巣小管数の増加、幼若ホルモンの分泌の増加、ビテロゲニン発現の増加、女王蜂への分化、体長の伸長、体重の増加、翅の面積の増大、蛹サイズの増大、および、産卵数の増加、からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 雌性の内翅群昆虫の分化および成長を促進するための組成物であって、該組成物はロイヤラクチンまたはその改変体を含有し、ここで、該ロイヤラクチンまたはその改変体が、以下:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1または数個の欠失、置換、または付加を含むポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して90%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;ならびに、
(f)配列番号1に記載の核酸配列を含む核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドであって、EGFRに対する結合活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのインターナリゼーションを促進する活性、EGFRを発現する細胞に適用した場合にMAPキナーゼのリン酸化を促進する活性、および、EGFRを発現する細胞に適用した場合にS6キナーゼのリン酸化を促進する活性、からなる群から選択される活性を有するポリペプチド;
からなる群から選択される、組成物。 - 請求項9に記載の組成物であって、ここで、前記ロイヤラクチンまたはその改変体が、以下:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列に1または数個の欠失、置換、または付加を含むポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して90%の同一性を有するポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;ならびに、
(f)配列番号1に記載の核酸配列を含む核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドであって、EGFRを発現する細胞に適用した場合にEGFRのリン酸化を促進する活性を有するポリペプチド;
からなる群から選択される、組成物。 - 前記ロイヤラクチンまたはその改変体が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項9に記載の組成物。
- 前記EGFRが、配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、および、配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
- 前記昆虫が双翅目昆虫または膜翅目昆虫である、請求項9に記載の組成物。
- 前記昆虫がDrosophila属の昆虫またはApis属の昆虫である、請求項13に記載の組成物。
- 前記昆虫がDrosophila melanogasterまたはApis melliferaである、請求項14に記載の組成物。
- 前記雌性の内翅群昆虫の分化および成長の促進が、羽化までの発生に要する時間の減少、羽化時の成体の重量の増加、卵巣サイズの増大、卵巣あたりの卵巣小管数の増加、幼若ホルモンの分泌の増加、ビテロゲニン発現の増加、女王蜂への分化、体長の伸長、体重の増加、翅の面積の増大、蛹サイズの増大、および、産卵数の増加、からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
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