JP2011139585A - 電力系統計画作成装置および電力系統計画作成方法 - Google Patents

電力系統計画作成装置および電力系統計画作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温作動型二次電池装置のヒータ加熱費用まで考慮したコストを最小化する。
【解決手段】推定総需要電力300と、蓄電池ヒータ特性460を含む発電機・蓄電池特性400の情報の入力を受け付け、最適化手段220、目的関数計算手段230、制約条件計算手段240にて、NAS蓄電池の電池ヒータの稼働コストをも考慮した、最適な発電機運転計画値510および蓄電池充放電計画値520を算出して、出力する演算装置210を備えた発電計画作成システム200である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力系統計画作成装置および電力系統計画作成方法に関する。
いわゆる電力自由化や規制緩和に呼応して、発電コストの一層の削減が求められており、一層的確な発電所運用計画や、複数の電力系統を含む電力系統計画作成技術が求められている。
このため、例えば、第1の従来技術として、非特許文献1には、各種制約を考慮し、燃料費、起動費ならびに融通(買電)費の合計を最小化する発電計画を立案しようとする、翌日運用計画技術が開示されている。
また、第2の従来技術として、特許文献1に開示された技術が知られている。この特許文献1には、「推定総需要電力」から、「固定電力」(原子力など)および「変動電力」(火力など)を差し引いた不足分を、二次電池の総分担電力とする技術が開示されている。
この第2の従来技術では、以下のように個々の二次電池の運転スケジュールと充電量を調整している。すなわち、まず、総分担電力を賄い、さらに変動電力(火力機)の制約を緩和(火力分担電力のフラット化)することにより燃料費を削減し、さらに、これにより「変動電力」の発電計画も修正して効率化を図れる、としている。
特開2006−94649号公報
社団法人電気学会、2008年9月20日発行、「電気学会論文誌」、Vol.128 No.10,2008)、p1227−1234。
上述の第1の従来技術では、以下のような技術的課題がある。すなわち、現在高性能の二次電池(特にNAS(ナトリウム硫黄)蓄電池)が開発されており、二次電池を含めた電力系統は一般的になりつつある。
このような状況下では発電機の運転計画と二次電池の充放電計画の両者が必要であり、これらは相互に関連しあっているため両者を併せて考慮した計画が必要である。
しかしながら、上述の第1の従来技術では、二次電池を含めた運用計画についてはなんら考慮されていない。
また、二次電池を含めた運用計画を行う上述の第2の従来技術場合には、依然として、以下のような技術的課題がある。
すなわち、電力系統に二次電池が含まれる場合には、NAS電池が用いられる場合が多いが、NAS電池の場合、ヒータによりこれを300℃程度に保つ必要がある。
一方、NAS電池は放電時に発熱し、充電時に吸熱するため、ヒータ加熱により昇温・
保温を行う場合も、このNAS電池自体の発熱や吸熱を考慮して行うことにより、ヒータの無駄な加熱を抑制できる余地がある。
従って、NAS電池を含む電力系統の運用には、ヒータによる加熱費用を考慮し、NAS電池の加熱費用を含めた運用コストの最適化(最小化)を実現する発電機の発電計画を策定するする必要がある。
しかし、第2の従来技術では、NAS電池の加熱費用を考慮した発電計画、充放電計画は行われていなかった。
本発明の目的は、高温作動型二次電池装置のヒータ加熱費用まで考慮したコストを最小化することが可能な電力系統計画作成技術を提供することにある。
本発明の第1の観点は、接続された負荷の推定総需要電力に基づいて、内燃力発電装置および高温作動型二次電池装置を備えた電力系統における前記内燃力発電装置の運転計画および前記高温作動型二次電池の充放電計画を行う電力系統計画作成装置であって、
前記運転計画および前記充放電計画の情報から制約項目を計算する制約項目計算手段と、
前記運転計画および前記充放電計画の情報からコスト項目で構成される目的関数を計算する目的関数計算手段と、
前記制約項目を満たす範囲内で前記コスト項目の合計である目的関数を最小化するような前記運転計画および前記充放電計画を求めるコスト最適化手段と、
を具備した電力系統計画作成装置を提供する。
本発明の第2の観点は、接続された負荷の推定総需要電力に基づいて、内燃力発電装置および高温作動型二次電池装置を備えた電力系統における前記内燃力発電装置の運転計画および前記高温作動型二次電池の充放電計画を行う電力系統計画作成方法であって、
前記高温作動型二次電池装置のヒータ加熱費用を含む稼働コストが最小化となるように、前記運転計画および前記充放電計画を作成する電力系統計画作成方法を提供する。
本発明によれば、高温作動型二次電池装置のヒータ加熱費用まで考慮したコストを最小化することが可能な電力系統計画作成技術を提供することができる。
本発明の一実施の形態である電力系統計画作成方法を実施する電力系統計画作成装置の構成の一例を示す概念図である。 本発明の一実施の形態である電力系統計画作成装置が適用される電力系統の構成の一例を示す概念図である。 本発明の一実施の形態である電力系統計画作成方法および電力系統計画作成装置の作用の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態である電力系統計画作成装置が適用される電力系統を構成する高温作動型二次電池装置の吸発熱特性の一例を示す線図である。
本実施の形態では、一態様として、以下のように作用する制約項目計算手段と、目的関数計算手段と、コスト最適化手段を具備した電力系統計画作成技術を開示する。
すなわち、制約項目計算手段では、起動停止、発電出力ならびに充放電計画案から、以下の、需給バランス、発電機出力上下限、出力変化率上下限、発電機最小連続停止/運転時間、充放電上下限、蓄電量上下限、の各制約項目を計算する。
すなわち、制約項目としての需給バランスとは、計画対象期間の各時点において、
推定総需要電力=発電機発電力合計+蓄電池充放電合計+買電電力合計
の関係を維持することを言う。ただし、充電時は充電分をマイナス、放電時は放電分をプラスとする。
制約項目としての発電機出力上下限、出力変化率上下限とは、計画対象期間の各時点、各発電機において、
当該発電機発電力下限≦当該発電機発電力≦当該発電機発電力上限
の関係を維持することをいう。
制約項目としての発電機最小連続停止/運転時間、とは、計画対象期間の各発電機において、
当該発電機連続停止時間≧当該発電機連続停止時間下限
当該発電機連続運転時間≧当該発電機連続運転時間下限
の関係を維持することをいう。発電機があまり頻繁に運転停止を行えず運転を開始したら一定期間は停止できず、停止したら一定期間は起動できないことからくる制約である。
制約項目としての充放電上下限とは、計画対象期間の各時点、各蓄電池において、
当該蓄電池充電量下限≦当該蓄電池充電量≦当該蓄電池充電量上限
当該蓄電池放電量下限≦当該蓄電池放電量≦当該蓄電池放電量上限
の関係を維持することをいう。なお、ここで充電量ならびに放電量は単位時間あたりの充電量ならびに放電量を示す。
制約項目としての蓄電量上下限とは、計画対象期間の各時点、各蓄電池において、
当該蓄電池蓄電量下限≦当該蓄電池蓄電量≦当該蓄電池蓄電量上限
の関係を維持することをいう。なお、ここで蓄電量は蓄電池に充電されている(累積の)蓄電量を示す。
目的関数計算手段では、起動停止、発電出力ならびに充放電計画案から、以下の、発電機燃料費、発電機起動費、NAS電池昇温用ヒータ加熱費用、NAS電池充電ロス、買電コスト(融通電力)、の各コスト項目の合計として目的関数を計算する。
ここで、発電機燃料費は、計画対象期間にわたる各発電機の燃料消費量の積算値合計、である。
発電機起動費は、計画対象期間中の各発電機の起動時の費用合計である。
NAS電池昇温用ヒータ加熱費用は、計画対象期間中の各蓄電値を所要温度に昇温・保温するためのヒータの加熱費用合計である。
NAS電池は充電時に吸熱(冷える)、放電時に発熱(温まる)、自然放熱による放熱(冷める)がある。
これに対して電池の温度が上下限内に維持されるように電池に設置されたヒータを運転する。ヒータの運転方式としてはこの下限を下回ったらヒータを起動し、その後上限を超えたらヒータを停止する運転が行われるのが一般的であるが、より温度を一定値に維持するためにPID制御等による定値追従制御を行ってもよい。
蓄電池充放電計画から蓄電池の吸発熱ならびに自然放熱状況が計算され、蓄電池の保持熱量が計算される。蓄電池の保持熱量から蓄電池の温度が計算され、例えば温度を上下限内に収める場合には、この温度が下限(設定最低温度)を下回ったらヒータを起動し、そ
の後上限(設定最高温度)を超えたらヒータを停止する運転が行われる。
NAS電池充電ロスは、計画対象期間中の各蓄電池の充電量累積値と放電量累積値の差である。蓄電池に蓄電された充電量(充電量累積値)のすべてを放電できるわけではなく、放電できない部分がロスとなる。具体的には、NAS電池充電ロス=充電量累積値−放電累積値、となる。
買電コスト(融通電力)とは、推定総需要電力を、発電機発電量と蓄電池放電量ではまかない切れない場合に不足分を外部から電力を購入してまかなう際の購買電力費用である。
すなわち、購買電力費用の算出の基礎となる買電電力合計は、
買電電力合計=推定総需要電力−発電機発電力合計+蓄電池充放電合計
で表される。
最後に、コスト最適化手段では、制約項目計算手段と目的関数計算手段により、以下のようにして制約条件を満たしつつ、目的関数(コスト項目合計)を最小化するような発電機運転ならびに蓄電池充放電計画の計画変数を決定変数とする最適解を求める。
決定変数の探索による最適化手法は、一般的に設定された決定変数に対して制約条件値と目的関数値を算出し、その結果に基づいて、一般的には決定変数を前回値からより最適値に近づけるような何らかのルールに基づいて決定変数を調整する。調整後の決定変数に基づいて再度制約条件値と目的関数値を計算してその結果を評価することを繰り返しながら決定変数が最適値に近づいていき、計算された制約条件値と目的関数値が最適条件を満たしていれば最終的に最適解に収束したと判断し、処理を終了する。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である電力系統計画作成方法を実施する電力系統計画作成装置の構成の一例を示す概念図である。
図2は、本発明の一実施の形態である電力系統計画作成装置が適用される電力系統の構成の一例を示す概念図である。
図3は、本発明の一実施の形態である電力系統計画作成方法および電力系統計画作成装置の作用の一例を示すフローチャートである。
図4は、本発明の一実施の形態である電力系統計画作成装置が適用される電力系統を構成する高温作動型二次電池装置の吸発熱特性の一例を示す線図である。
まず、図2を参照して、本実施の形態の発電計画作成システム200が適用される電力系統100の構成例について説明する。
本実施の形態の電力系統100は、電力線網110と、これに接続される複数の発電機120(Ga)、複数のNAS蓄電池130(Gb)、負荷140(L)、で構成されている。
個々のNAS蓄電池130(以下、単に蓄電池と記す場合がある)には、電池ヒータ131が設けられ、個々のNAS蓄電池130の動作温度を所望の温度範囲に維持する構成となっている。
また、電力線網110には、電力線181を介して外部電力系統180が接続され、必要に応じて外部電力系統180から電力線181を経由して電力の融通を受けることが可
能になっている。
さらに、本実施の形態の電力系統100の場合、個々の発電機120、NAS蓄電池130は、通信ネットワーク150に接続され、同じく通信ネットワーク150に接続された需給制御システム170を介して、起動/停止、放電/充電等の動作が制御される。
さらに、本実施の形態の場合、通信ネットワーク150には、発電計画作成システム200と、データベース160が接続されている。
データベース160は、例えば、推定総需要電力300、発電機・蓄電池特性400等の情報が格納され、これらの情報を、必要に応じて通信ネットワーク150等を介して発電計画作成システム200に出力することが可能になっている。
発電計画作成システム200は、発電機120の運転計画ならびに、NAS蓄電池130の充放電計画、等の電力系統計画を作成する。
すなわち図1に例示されるように、本実施の形態の発電計画作成システム200は、演算装置210と、演算装置210への情報の入力を行う図示しない入力部ならびに演算装置210からの情報の出力を行う出力部で構成される。
発電計画作成システム200には、演算装置210によって実現される最適化手段220、目的関数計算手段230、制約条件計算手段240を備えている。
すなわち、発電計画作成システム200は、例えばコンピュータで構成され、演算装置210はマイクロプロセッサで構成され、最適化手段220、目的関数計算手段230、制約条件計算手段240の各々の機能は、例えば、演算装置210によって実行される制御プログラムによって実現される。
演算装置210への入力部では通信ネットワーク150を経由して、または、直接的なデータベース160へのアクセスにより演算の基本情報となる以下の、推定総需要電力300、発電機・蓄電池特性400等のデータが入力される。
そして、演算装置210からは処理結果として発電機運転計画値510、蓄電池充放電計画値520が、データベース160に出力される。
需給制御システム170は、データベース160から発電機運転計画値510および蓄電池充放電計画値520の情報を読み出して、発電機120およびNAS蓄電池130等の運用管理を行う。
需給制御システム170は、発電計画作成システム200から得られる発電機運転計画値510および蓄電池充放電計画値520に基づいて、発電機120およびNAS蓄電池130の運用を制御する。
発電計画作成システム200に入力される推定総需要電力300は、例えば、電力線網110における過去の実績や、季節、天候等の情報によって推定される情報である。
一方、本実施の形態の場合、一例として、発電機・蓄電池特性400は、発電機燃料費特性410、発電機起動費特性420、発電機出力上限431および発電機出力下限432、発電機出力変化率上限441および発電機出力変化率下限442、発電機最小連続停止時間451および発電機最小連続運転時間452、蓄電池ヒータ特性460、蓄電池充電ロス特性470、蓄電池充電量上限481および蓄電池充電量下限482、蓄電池放電量上限483および蓄電池放電量下限484、蓄電池蓄電量上限491および蓄電池蓄電量下限492、さらには、買電コスト401、等の情報を含んでいる。
発電計画作成システム200では、上述の推定総需要電力300および発電機・蓄電池
特性400のデータが演算装置210に入力され、演算装置210では、これらのデータを元に制約条件と目的関数値が計算され、これに基づいて最適化計算が行われる。
そして、演算装置210における最適化計算の結果得られる発電機運転計画値510および蓄電池充放電計画値520の情報が出力部を通して、通信ネットワーク150経由、または、直接的なデータベース160への書き込みにより出力される。
以下、本実施の形態の発電計画作成システム200の作用を説明する。
本実施の形態の電力系統計画作成のように、各種の制約を満たしつつ目的関数(コスト項目)を最小化するような計画変数を求めるのは最適化問題である。
これは後述のように混合整数非線形計画問題であり、決定変数である計画変数の探索に基づく最適解求解手法が有効である。
そして、探索に基づく最適化問題の求解手順として、本実施の形態では、図3のフローチャートに例示される、以下の入力処理610、計画変数調整処理620、制約項目計算処理630、目的関数計算処理640、結果評価処理650、出力処理660、の各処理を実行する。
すなわち、「入力処理610」により最適化問題の条件を表すパラメータが入力され、「計画変数調整処理620」にて計画変数値に値が設定(最初は調整ではなく初期値の設定)され、設定された計画変数値に基づいて「制約項目計算処理630」により制約項目の制約条件値が、「目的関数計算処理640」によりコスト項目の合計としての目的関数値が計算される。
この結果を、「結果評価処理650」で評価して計画変数値がより最適な値に近づくように、計画変数調整処理620で、当該計画変数値を調整して探索が行われる。この探索を制約条件値と目的関数値が最適条件を満たすまで繰り返し、得られた結果を、「出力処理660」で出力する。
以下に上記各処理について詳細に説明する。
(入力処理610)
既述のように以下の推定総需要電力300および発電機・蓄電池特性400の入力データが演算装置210に入力される。
発電機・蓄電池特性400は、火力発電機の属性・特性(台数、各発電機属性・特性:発電機燃料費特性410、発電機起動費特性420、発電機出力上限431、発電機出力下限432、発電機出力変化率上限441、発電機出力変化率下限442、発電機最小連続停止時間451、発電機最小連続運転時間452など)と、蓄電池の属性、特性(台数、各蓄電池の特性:蓄電池ヒータ特性460、蓄電池充電ロス特性470、蓄電池充電量上限481および蓄電池充電量下限482、蓄電池放電量上限483および蓄電池放電量下限484、蓄電池蓄電量上限491、蓄電池蓄電量下限492など)と、その他の属性(買電コスト401など)の情報を含んでいる。
(計画変数調整処理620)
制約項目計算処理630、目的関数計算処理640で計算された制約項目値、コスト項目値の結果に基づいて計画変数値を最適に近づけるように調整する処理を行う。
(制約項目計算処理630)
設定された計画変数値に対する制約項目値を、制約条件計算手段240で計算する。
ここで設定された計画変数値とは、初期値または計画変数調整処理620で調整された
計画変数値である。
(目的関数計算処理640)
設定された計画変数値に対するコスト項目値を目的関数計算手段230で計算する。
ここで設定された計画変数値は、初期値または計画変数調整処理620で調整された計画変数値である。
(結果評価処理650)
制約項目計算処理630で計算された制約項目、目的関数計算処理640で計算されたコスト項目を、最適化手段220で評価し、制約条件が満足されているか、コストが最適(最小)となっているかを評価する。
(出力処理660)
結果評価処理650にて最適と判定された計画値が最適な発電機運転・蓄電池充放電計画(発電機運転計画値510、蓄電池充放電計画値520)として、最適化手段220から出力される。
次に、上述のような本実施の形態の電力系統計画作成のための最適化問題における定式化の一例を示す。
発電機120の運転ならびにNAS蓄電池130の充放電の計画問題は、以下の計画変数、目的関数(目的関数計算手段230)、制約条件(制約条件計算手段240)により定式化される。
これは連続値をとる決定変数と整数値をとる決定変数とを含み決定変数に対して非線形な目的関数を含む最適化問題であり、混合整数非線形計画問題となる。
本実施の形態の場合、計画変数としては、
各発電機iの計画対象時間中各時刻tにおける起動停止uit(0:停止、1:運転)
各発電機iの起動の有無Δu(0:起動無し、1:起動あり)
各発電機iの計画対象時間中各時刻tにおける発電出力Pit
各発電機iの計画対象時間中各時刻tにおける放電量HGit
各発電機iの計画対象時間中各時刻tにおける充電量HPit
がある。
この場合、HGit,HPitはいずれもゼロ以上の値をとるものとし、NAS蓄電池130の充電時にはHGit=0,HPit>0、放電時にはHGit>0,HPit=0とする。
目的関数(目的関数計算手段230):
目的関数は以下で表わされ、この各要素がコスト項目であり、目的関数計算手段230により計算される。
目的関数=燃料費(J1)+起動費(J2)+NAS電池ヒータ費用(J3)+充電ロス費用(J4)+買電コスト(J5)
燃料費J1は、次の式(1)で表される。
ここでa,b,cは発電機iの燃料消費特性(発電機燃料費特性410)により定まるパラメータである。
起動費J2は、次の式(2)で表される。
ここでSUCは、発電機iの燃料費特性の係数である。
NAS電池ヒータ費用J3は、以下の式(3)〜式(8)を踏まえて、式(9)で表される。
既述のように、NAS蓄電池130の運転のためには電池を例えば300℃以上の温度に保つ必要があるが、逆にあまり高い温度としても劣化するため例えば360℃以下としている。一方で、蓄電池は、充電時に吸熱し、放電時に発熱するという特性を持つ。これを考慮して、蓄電池に蓄積される熱量は以下のようにして計算される。
蓄電池iの時刻tにおける充放電量を1つの変数Eitで表わすものとする。Eitは充電時は負の値をとり、放電時は正の値をとり、既出の記号を用いて以下のように表わされる。
蓄電池iの時刻tにおける単位時間の発熱量を表す変数をΔQitとする(ΔQitは発熱吸熱共通の変数であり、発熱時に正、吸熱時に負の値をとるものとする)、放電時の発熱特性ならびに充電時の吸熱特性を合わせてEitとΔQitの関係として、図4の線図のように表わすものとする。
このような吸発熱特性は充放電量の各値Eitに対応して吸発熱量ΔQitが定まる、テーブルやグラフとして表されるが、本実施の形態では、これを関数とみなして、これを以下の式(4)のように表わすものとする。
この特性は蓄電池iごとに定まると考えられるので関数fも電池ごとに定まるため添数iを付している。
次に時刻tにおいて蓄電池iから自然放熱により逃げる単位時間当たりの熱量をRDitとする。
RDitは例えば時間によらず一定値としてもよいし、蓄電池温度と周囲温度の差(の絶対値)に比例して放熱が発生するようなモデルを考えてもよい。
一定値の放熱が発生すると考えた場合、以下の式(5)のように定められる。
蓄電池iに時刻tまでに蓄積される熱量Qitは以下の式(6)で表わされる。
ここでQi0は蓄電池iの保持熱量の初期値である。
次に時刻tにおける蓄電池iの温度Titは以下の式(7)のようにして算出される。
ここでMは蓄電池iの質量である。
電池ヒータ131は蓄電池ごとに設置されているものとし、蓄電池iの起動停止は蓄電池iの温度Titに基づいて、以下のように定められる。
なお、ここでは電池ヒータ131は起動(運転)または停止の2状態のみをとるものとし、電池ヒータ131は運転時には電力等の一定のエネルギーを消費して一定量の発熱を行うものとする。電池ヒータ131の運転停止は当該蓄電池の温度に応じて定まるものとし、例えば設定最低温度Tit minを下回ると起動して運転し始め、その後、設定最高温度Tit maxに達すると停止するものとする。
時刻tにおける蓄電池iの電池ヒータ131の運転停止状態hitは、
で計算される。
蓄電池iのヒータ運転時のエネルギー消費量をFとすると、その時刻tにおけるエネルギー消費量はFitと表わされる。
従って、評価対象期間において各蓄電池について合計することにより、電池ヒータ131の費用(NAS電池ヒータ費用J3)は以下の式(9)で表わされる。
また、充電ロス費用J4は、以下の式(10)で表される。
この式(10)は充電量累積値(絶対値)−放電量累積値(絶対値)を表し、充電ロス
に対応する。
買電コストJ5は、次の式(11)で表される。
ただし、R:時刻tにおける買電量、k:買電単価、である。
以上の各コスト項目の合計として目的関数の関数値が算出される。
次に、制約条件について説明する。
制約条件(制約条件計算手段240):
制約条件は以下で表わされ、この各項目について、制約条件計算手段240により計算される。
[需給バランス]:
:推定総需要電力とすると、計画対象期間の各時点において、以下の式(12)の関係が維持される必要がある。
[発電機出力上下限、出力変化率上下限]:
ただし、
min:発電機iの出力下限値(発電機出力下限432)
max:発電機iの出力上限値(発電機出力上限431)
である。
ただし、
ΔP downmax:発電機iの下降側最大変化率(発電機出力変化率下限442)
ΔP upmax:発電機iの上昇側最大変化率(発電機出力変化率上限441)
である。
[発電機最小連続停止/運転時間]:
ただし、mint:発電機iの最小連続停止時間(発電機最小連続停止時間451)である。
ただし、minr:発電機iの最小連続運転時間(発電機最小連続運転時間452)である。
[充放電上下限]:
計画対象期間の各時点、各蓄電池において、放電量上下限の制約として、以下の式(17)および式(18)で表される制約がある。
ただし、式(17)、式(18)において、
HG min:蓄電池iの放電量下限値(蓄電池放電量下限484)
HG max:蓄電池iの放電量上限値(蓄電池放電量上限483)
HP min:蓄電池iの充電量下限値(蓄電池充電量下限482)
HP max:蓄電池iの充電量上限値(蓄電池充電量上限481)
である。
なおここで、充電量ならびに放電量は単位時間あたりの充電量ならびに放電量を示す。
[蓄電量上下限]:
計画対象期間の各時点、各蓄電池において、蓄電量上下限の制約として、以下の式(19)で表される制約がある。
ただし、この式(19)において、
LH min:蓄電池iの蓄電量下限値(蓄電池蓄電量下限492)
LH max:蓄電池iの蓄電量上限値(蓄電池蓄電量上限491)
である。
なお、ここで蓄電量は蓄電池に充電されている(累積の)蓄電量を示す。
(最適化問題の求解)
上述の図3のフローチャートにて説明した探索に基づく最適化問題の求解(最適化処理)として、最適化手段220では、例えば、メタヒューリスティク手法を用いることができる。
具体的には、遺伝的アルゴリズム(GA)とその改良手法、シミュレーティッドアニー
リング(SA)とその改良手法、タブサーチ(以下TSと記す)とその改良手法およびParticle Swarm Optimization(以下PSOと記す)とその改良手法などが用いることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、従来は発電機運転・蓄電池充放電計画においてはNAS電池におけるヒータの運用費用については考慮されずに計画が立てられ、NAS電池のヒータはそれに従属して運転しており、不必要にヒータが運転され非効率になる場合があった。
これに対して本実施の形態の場合には、NAS蓄電池130に備えられた電池ヒータ131の運転を考慮した発電機発電・蓄電池充放電計画を立てることにより、電池ヒータ131のコストまでを網羅した運転コストの削減が図られ、電力系統100における発電機発電・蓄電池充放電が全体で最適的に効率的に行われ、コストの削減が図られると同時に環境負荷の低減も図られる。
すなわち、NAS蓄電池130は放電時に発熱し、充電時に吸熱するため、電池ヒータ131による加熱により昇温・保温を行う場合も、NAS蓄電池130自体の発熱や吸熱を考慮して行うことにより電池ヒータ131の無駄な加熱を抑制できる。
さらに、NAS蓄電池130自体の吸発熱を考慮した充放電を行うことにより、電池ヒータ131の加熱費用を含めた運用コストの最適化(最小化)を実現可能な発電機の発電計画を策定することができる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、高温作動型二次電池装置としては、NAS(ナトリウム硫黄)蓄電池装置に限らず、稼働に際してヒータによる加熱を必要とする二次電池に広く適用できる。
100 電力系統
110 電力線網
120 発電機
130 NAS蓄電池
131 電池ヒータ
140 負荷
150 通信ネットワーク
160 データベース
170 需給制御システム
180 外部電力系統
181 電力線
200 発電計画作成システム
210 演算装置
220 最適化手段
230 目的関数計算手段
240 制約条件計算手段
300 推定総需要電力
400 発電機・蓄電池特性
401 買電コスト
410 発電機燃料費特性
420 発電機起動費特性
431 発電機出力上限
432 発電機出力下限
441 発電機出力変化率上限
442 発電機出力変化率下限
451 発電機最小連続停止時間
452 発電機最小連続運転時間
460 蓄電池ヒータ特性
470 蓄電池充電ロス特性
481 蓄電池充電量上限
482 蓄電池充電量下限
483 蓄電池放電量上限
484 蓄電池放電量下限
491 蓄電池蓄電量上限
492 蓄電池蓄電量下限
510 発電機運転計画値
520 蓄電池充放電計画値
610 入力処理
620 計画変数調整処理
630 制約項目計算処理
640 目的関数計算処理
650 結果評価処理
660 出力処理
J1 燃料費
J2 起動費
J3 NAS電池ヒータ費用
J4 充電ロス費用
J5 買電コスト

Claims (6)

  1. 接続された負荷の推定総需要電力に基づいて、内燃力発電装置および高温作動型二次電池装置を備えた電力系統における前記内燃力発電装置の運転計画および前記高温作動型二次電池の充放電計画を行う電力系統計画作成装置であって、
    前記運転計画および前記充放電計画の情報から制約項目を計算する制約項目計算手段と、
    前記運転計画および前記充放電計画の情報からコスト項目で構成される目的関数を計算する目的関数計算手段と、
    前記制約項目を満たす範囲内で前記コスト項目の合計である目的関数を最小化するような前記運転計画および前記充放電計画を求めるコスト最適化手段と、
    を具備したことを特徴とする電力系統計画作成装置。
  2. 請求項1記載の電力系統計画作成装置において、
    前記制約項目は、
    前記負荷と、前記内燃力発電装置および前記高温作動型二次電池装置の出力との需給バランスと、
    前記内燃力発電装置の出力の上限および下限と、
    前記内燃力発電装置の出力変化率の上限および下限と、
    前記内燃力発電装置の最小連続停止時間および最小連続運転時間と、
    前記高温作動型二次電池装置の充放電上限および充放電下限と、
    前記高温作動型二次電池装置の蓄電量上限および蓄電量下限と、
    を含むことを特徴とする電力系統計画作成装置。
  3. 請求項1記載の電力系統計画作成装置において、
    前記コスト項目は、
    前記内燃力発電装置の稼働に要する発電機燃料費と、
    前記内燃力発電装置の起動に要する発電機起動費と、
    前記高温作動型二次電池装置の昇温用ヒータ加熱費用と、
    前記高温作動型二次電池装置の電池充電ロスと、
    前記電力系統が外部から融通された電力の買電コストと、
    を含むことを特徴とする電力系統計画作成装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の電力系統計画作成装置において、
    前記高温作動型二次電池装置は、NAS(ナトリウム硫黄)蓄電池装置であることを特徴とする電力系統計画作成装置。
  5. 接続された負荷の推定総需要電力に基づいて、内燃力発電装置および高温作動型二次電池装置を備えた電力系統における前記内燃力発電装置の運転計画および前記高温作動型二次電池の充放電計画を行う電力系統計画作成方法であって、
    前記高温作動型二次電池装置のヒータ加熱費用を含む稼働コストが最小化となるように、前記運転計画および前記充放電計画を作成することを特徴とする電力系統計画作成方法。
  6. 請求項5記載の電力系統計画作成装置において、
    前記高温作動型二次電池装置は、NAS(ナトリウム硫黄)蓄電池装置であることを特徴とする電力系統計画作成方法。
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