JP2011067772A - 被処理水の殺菌方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】経済性に優れ、かつ環境汚染などのおそれのない被処理水の殺菌方法及びその装置を提供する。
【解決手段】この方法は、被処理水の一例としてのバラスト水に衝撃圧を加えることにより、該バラスト水を殺菌する方法であって、バラスト水に微小気泡を混入させる第一工程と、前記微小気泡を混入させたバラスト水に衝撃圧を繰り返し発生させて、該バラスト水の高圧状態を維持する第二工程とを備え、これにより経済性に優れ、かつ環境汚染などのおそれのない方法を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被処理水の殺菌方法及びその装置に関するものであって、例えば船舶のバラスト水の殺菌方法及びその装置に好適である。
近年、船舶の安定制御に不可欠なバラスト水が、海洋微生物の越境移動を招き、海洋生態系破壊をもたらしているとして、国際的に問題視されている。国際海事機関(IMO)は、2004年に船舶バラスト水の水質に厳しい基準を設定し、船舶排水量に対応した段階的な条約の実施を進め、各国に条約の遵守を求めている。そのため、IMO基準を満たす様々なバラスト水処理方法が開示されている。
水中に存在する大腸菌やコレラ菌などを含む特定の水生生物に対して衝撃圧を加えると、その細胞膜が壊れて死滅させることができる。そこで、例えば特許文献1では、複数箇所での水中放電によって誘起された衝撃波同士を干渉させて得られた衝撃圧をバラスト水に加えることにより、水生生物を死滅させる方法が開示されている。また、バラスト水中の殺菌を目的とするものではないが、特許文献2では、液中放電により生じさせた衝撃波で気泡がキャビテーション崩壊し、その崩壊時の衝撃圧が前記衝撃波と相乗効果をもたらすことが開示されている。その他、光触媒殺菌、キャビテーション作用と脱酸素殺菌の併用、電磁力にキャビテーション作用とオゾン殺菌の併用、電磁力による菌体の吸着除去などによるバラスト水処理方法も知られている。
ところで、水中の菌類を死滅させるには、衝撃圧を加えるだけでなく、その水中におけるフリーラジカルの存在がかなり大きく寄与するものと考えられる。しかしながら、前記特許文献1では、衝撃圧を加えるだけであるので、殺菌効果は十分でない。また、前記特許文献2では、気泡雰囲気で液中にはフリーラジカルが存在するものの、そのフリーラジカルの存在による殺菌効果についてはまったくふれていない。したがって、前記特許文献1,2では、いずれも船舶のバラスト水のように大量の水に対する殺菌効果を保障しえない。
また、前記特許文献1,2では、いずれも水中(液中)放電を利用しているため、装置構成が大掛かりなものとなり、同放電を利用しない他の方法に比べてエネルギー消費量が大きいといった問題があった。
さらに、前記特許文献1,2では、いずれも水中(液中)放電を利用しているため、電極の消耗によるメンテナンス性や環境汚染の問題もあった。その他の方法についても、導入費用や維持管理費などの経済性などに、未だ改善すべき課題を多く残している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、経済性に優れ、かつ環境汚染などのおそれのない被処理水の殺菌方法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明は、被処理水に衝撃圧を加えることにより、該被処理水を殺菌する方法であって、被処理水に気泡を混入させる第一工程と、前記気泡を混入させた被処理水に衝撃圧を繰り返し発生させて、該被処理水の高圧状態を維持する第二工程とを備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、被処理水に気泡が混入され、前記気泡が混入された被処理水に衝撃圧が繰り返し発生されて、該被処理水の高圧状態が維持されるので、その衝撃圧に加えて、気泡の収縮・再膨張の繰り返しによりフリーラジカルが長時間にわたって存在し、これらにより大量の被処理水を効率よく殺菌することができる。また、本発明では、水中(液中)放電を利用していないため、装置構成が簡単なものとなり、エネルギー消費量も小さくて済む。また電極の消耗によるメンテナンス性や環境汚染の問題もまったくない。
請求項2記載の発明のように、前記第二工程は、狭隘な場所に前記気泡を混入させた被処理水を通過させる間に、該気泡を混入させた被処理水に前記衝撃圧を繰り返し発生させることが好ましい。
請求項2記載の発明によれば、前記第二工程で、狭隘な場所に前記気泡を混入させた被処理水を通過させる間に、該気泡を混入させた被処理水に前記衝撃圧を繰り返し発生させるので、狭隘な場所での反射波を利用して、殺菌に必要な衝撃圧の確保と、気泡の収縮・再膨張の繰り返しにより発生するフリーラジカルの維持が容易となる。
請求項3記載の発明のように、前記第二工程は、前記気泡を混入させた被処理水にガス圧による衝撃力を加えることにより、該気泡を混入させた被処理水に前記衝撃圧を繰り返し発生させることが好ましい。
請求項3記載の発明によれば、前記第二工程で、前記気泡を混入させた被処理水にガス圧による衝撃力を加えることにより、該気泡を混入させた被処理水に前記衝撃圧を繰り返し発生させるので、簡単な構成で、殺菌に必要な衝撃圧の確保と、気泡の収縮・再膨張の繰り返しにより発生するフリーラジカルの維持が容易となる。なお、ガスとしては、例えば空気、窒素ガスなどを利用することができる。
請求項4記載の発明のように、前記ガス圧は、コンプレッサで発生させることが好ましい。
請求項4記載の発明によれば、前記ガス圧は、コンプレッサで発生させるので、より簡単な構成で、衝撃圧を得ることができる。
請求項5記載の発明のように、前記第一工程は、被処理水に旋回流を生じさせることで、該被処理水に加えた空気を微細化することが好ましい。
請求項5記載の発明によれば、前記第一工程で、被処理水に旋回流を生じさせることで、該被処理水に加えた空気を微細化するので、より簡単な構成で、気泡を作ることができる。
請求項6記載の発明は、被処理水に衝撃圧を加えることにより、該被処理水を殺菌する装置であって、被処理水に気泡を混入させる第一手段と、前記気泡を混入させた被処理水に衝撃圧を繰り返し発生させて、該被処理水の高圧状態を維持する第二手段とを備えたことを特徴とするものである。
請求項6記載の発明によれば、本発明と同様の作用効果を奏する。
本発明によれば、被処理水に気泡が混入され、前記気泡が混入された被処理水に衝撃圧が繰り返し発生されて、該被処理水の高圧状態が維持されるので、その衝撃圧に加えて、気泡の収縮・再膨張の繰り返しによりフリーラジカルが長時間にわたって存在し、これらにより大量の被処理水を効率よく殺菌することができる。また、本発明では、水中(液中)放電を利用していないため、装置構成が簡単なものとなり、エネルギー消費量も小さくて済む。また電極の消耗によるメンテナンス性や環境汚染の問題もまったくない。
本発明の基本原理を調べるための実験装置の全体構成図である。 本実験装置により発生させた気泡のサイズの分布図である。 初期直径50μmの気泡の観察結果を示す説明図である。 気泡の直径の時間変化を示す説明図である。 初期直径50μmの気泡に、1〜5MPaの圧力を不連続的に負荷した場合の気泡半径の時間変化を示すグラフである。 初期直径50μmの気泡に、1〜5MPaの圧力を不連続的に負荷した場合の圧力の時間変化を示すグラフである。 初期直径10,30,50μmの気泡の周囲液体圧と一回目の収縮で得られる極値との関係を示すグラフである。 撮影結果を示す説明図である。 拡大視野での撮影結果を示す説明図である。 起爆点から20mmの位置で得られた円筒衝撃波の圧力変動(気泡なしの結果)を示すグラフである。 起爆点から20mmの位置で得られた円筒衝撃波の圧力変動(気泡を注入した場合の結果)を示すグラフである。 起爆点から20mmの位置で得られた円筒衝撃波の圧力変動(周波数解析の結果)を示すグラフである。 初期直径10,30μmの単一気泡に、図10の過剰圧を作用させた場合の気泡運動方程式の解析結果(R/R0の時間変化)を示すグラフである。 初期直径10,30μmの単一気泡に、図10の過剰圧を作用させた場合の気泡運動方程式の解析結果(圧力の時間変化)を示すグラフである。 本発明の一実施例に係る船舶のバラスト水処理装置の全体構成図である。
図1は本発明の基本原理を調べるための実験装置100の全体構成図、図2は本実験装置100により発生させた気泡のサイズの分布図である。本実験装置100は、図1に示すように、水槽1に外付けのポンプ2により気泡発生器4内に旋回水流を生成し、その旋回水流中心部に生じる圧力低下によりレギュレータ3を介して外部空気を自然吸引する。気泡発生器4の内部に吸引された空気は、空気渦柱を形成し、この気柱が、気泡発生器4の出口部で旋回水流の速度変化に伴うせん断力作用を受けて微細化され、微小空気泡が生成される。本実験装置100の経験的な最適作動条件は、ポンプ2の吐出量17L/min、レギュレータ3の空気供給量1L/minである。
図1では、被処理水の一例としてのバラスト水を模擬した濃度約3%の塩水(約27L)を入れた水槽1内で発生した気泡の様子を示す。塩水の場合、装置起動後約30秒に水槽1内全体が白濁する。装置構成は、水槽1内の塩水をポンプ2で吸い込み、気泡発生器4を通して気泡と共に水槽1へ吐出する循環方式であるため、水槽1内のポンプ2の吸入口付近に浮遊する気泡は、再びポンプ2に吸い込まれる。したがって、気泡発生器4に吸入される正確な空気量は明らかでない。
また、装置作動中は気泡発生器4の出口からの水流によって水槽1内に流れが生じるため、水槽1内のボイド率分布は均一ではない。なお、水槽1内の数箇所から試料水を採取して計測した結果、平均ボイド率1.1%を得た。
気泡発生器4で得られた気泡の直径分布は、気泡にレーザー光を照射したときの散乱光のドップラー信号や回折パターン信号を利用した粒径計測装置(不図示)で計測した。計測結果は、図2に示すように、10μm程度の気泡直径が分布の極値であること、全体の約85%が直径20μm以下の範囲に分布しており、ほぼ均一直径の気泡生成が認められた。
2枚のプレパラートで構成した300μmの間隙に気泡を閉じ込め、正立型顕微鏡により気泡直径の変化を観察した。図3は、初期直径50μmの気泡の観察結果であり、最小3μmの気泡直径まで確認できた。初期直径50μmの微小気泡が、直径3μmまで収縮するのに要した時間は約650秒であった。また、このとき気泡の再膨張現象は確認されなかった。
図4は、気泡の直径の時間変化を示しており、縦軸は気泡直径(μm)、横軸は時間(s)で、縦軸上の値は初期直径である。黒丸は計測値、実線は気泡消滅の実測時間から初期気泡内外圧力差を理論的に見積り、それが常に一定であるとした仮定の下で、圧縮性、粘性および表面張力を無視したRayleigh−Plessetの単一球状気泡方程式から得た解析解である。計測限界直径に達する時間は、当然のことながら初期直径が大きいほど長く、初期直径65μmの気泡が限界直径に達するまでに約1300秒を要した。
一方、解析解の曲線の傾きの変化は、気泡半径の減少に伴う単位体積当たりの気泡表面積増加に起因した気泡表面速度の増加を示している。気泡は完全に潰れ、再膨張は生じない。実験計測結果は、解析解とほぼ一致しており、再膨張現象が生じないことから、熱平行を保ちながら気液界面で生じる拡散現象により収縮したと判断される。
高橋らは、このようにゆっくりとした気泡の収縮が微小気泡独特の圧壊現象であり、スピントラップ剤を使用した電子スピン共鳴法(ERS)による実験から、外圧作用なしで消失した気泡でもフリーラジカルを発生すると報告している(非特許文献1,2参照)。しかし、気泡の自然圧壊で発生するフリーラジカルの量は不明である。本発明者らが過去に実施した海洋ビブリオ属細菌に対する気泡のみの細菌不活性化効果の確認実験では、10Lの海水に12時間気泡を供給した場合、菌体不活性効果は高々70%程度であった(非特許文献3参照)。これは、気泡の自然圧壊のみによる殺菌処理効果が極めて低いことを意味し、気泡で実用可能な不活性化効果を発現させるためには、外圧負荷等による積極的な気泡再膨張の促進が必要であることがわかる。
ここで、外圧作用で積極的に気泡群の再膨張運動を誘起し、細菌不活性化効果を顕著に発現できる高圧発生を確認するためには、高速度撮影と高精度の圧力計測が必須である。気泡群のそれぞれの気泡運動を誘起するため、アジ化銀10mgを水中爆発させて得られる球状衝撃波を作用させた。アジ化銀ペレットは、直径0.6mmの光ファイバー先端に接着され、QスイッチNd:YAGレーザー光(20mJ/パルス、パルス幅7ns)を導光して起爆した。なお、アジ化銀の総エネルギーの約1/3が球状衝撃波の駆動に費やされ、衝撃波発生の再現性と時間制御は良好である。図1において、10はアジ化銀ペレット、11はNd:YAG、12はトリガーユニットである。
可視化の光学系配置を前記図1に示す。視野幅を拡大し、気泡群の存在による光透過性の悪化を避け、崩壊過程を十分な精度で解像するために、縦110mm×横110mm×奥行き幅10mmの薄型の試験水槽5を使用した。観測窓はアクリル樹脂製である。
試験水槽5中心にアジ化銀を配置し、水中衝撃波を発生させた。水中衝撃波の圧力減衰特性については、過去の予備実験で検定されている。起爆直後、球状衝撃波が形成されるが、直ちにアクリル樹脂の窓面で反射し、円筒衝撃波となる。また、気泡は、別の水槽1で発生させ、必要に応じて試験水槽5へ移送した。水循環で水槽1内に誘起された水流の影響を除去するため、気泡の注入後、直ちにポンプを停止させ、10〜20秒放置して流れの静止を目視確認した後、アジ化銀を起爆した。画像の記録には、最高2億コマ/秒の撮影が可能なイメージコンバーターカメラ14を用いた。可視化の視野幅は56mm、拡大視野幅は10mmであった。
圧力計測には、光ファイバー圧力変換機7を使用した。圧力変換機7の受圧部は、直径0.1mmの光ファイバー13である。レーザー光を測定部に導光し、水の密度変化に伴う屈折率の変化によって変調された光信号を検知し、それを参照光と比較して屈折率変化を求め、密度を推定して圧力を求める原理である。ピエゾ素子の圧力変換機と比較して計測圧力範囲が広く、電磁的雑音に影響されないなどの特徴を有する。また、立ち上がり時間3nsの高速応答が可能であり、気泡群の再膨張過程の圧力変動にも追従できる。機器構成を前記図1に示す。図1において、8はフォトデテクター、9はオシロスコープである。試験水槽5内に起爆用のファイバーブローブを同軸上に配置し、起爆点からの距離を変化させて計測を繰り返した。
本発明者らは過去に、10mgアジ化銀の水中爆発により生成した水中球状衝撃波と直径1.7mmの気泡との干渉現象を二重露光ホログラフィ干渉計法で可視化観測すると共に、その干渉縞分布の画像解析から衝撃波背後の圧力分布を得ている(非特許文献4参照)。それらの結果は、衝撃波面が気泡を通過した直後、気泡界面で反射膨張波が発生し、気泡周囲に波頭が拡大伝播すると共に、気泡の収縮運動に伴う局所的な圧力上昇を誘起し、その高圧部を中心とした再膨張衝撃波の発生と、マイクロジェットの生成を示した。
基本的に、微小気泡と衝撃波の干渉時においても、同様の現象が生じると考えられるが、気泡群との干渉の場合、個々の気泡運動に伴う圧力波が相互に干渉し、現象はさらに複雑な様相を呈すると推測される。しかしながら、この様な波動現象が関与する複雑な三次元微小気泡運動を解析することは容易でないことから、まず、簡易的に一次元の気泡運動方程式による単一微小気泡の解析を行い、気泡崩壊条件および発生する再膨張撃圧の大まかな見積もりを行った。
熱的効果と拡散効果を無視した圧縮性流体中の球状気泡運動方程式を解いて、無限境界液体中に存在する単一気泡に、不連続的な圧力上昇を負荷する場合の気泡の直径と内圧の時間変動を求めた。初期直径50μmの気泡に、1〜5MPaの圧力を不連続的に負荷した場合の解析結果を図5、図6に示す。先に述べたように、実際には単一気泡に平面衝撃波が作用するのに対し、解析モデルは一次元的であり、必ずしも現実と一致しないが、気泡運動を推定するには十分であると考えた。
図5より、1MPa以上の不連続的圧力負荷に対し、再膨張は、圧力作用後1μs以内に生じ、周期は作用圧力の増加に伴って短くなることがわかる。また、図6より、一回目の気泡収縮時の気泡内圧が最も高く、その最大圧は周囲作用圧力が高いほど増加し、2MPa以上の作用圧力で数百MPaに達することがわかる。
図7は、初期直径10,30,50μmの気泡の周囲液体圧と一回目の収縮で得られる極値との関係である。初期気泡直径の違いによる極値の顕著な差は認められない。先のアルミニウム容器に封入された海洋細菌の不活性化実験で完全不活性化効果が得られた衝撃圧力200MPaに相当する再膨張圧を得るためには、約3MPaの不連続的過剰圧を負荷しなければならないことがわかる。
図8に視野幅56mm、撮影速度50万コマ/秒(コマ間隔2μs)、露光時間50nsで撮影した画像を示す。気泡群の光吸収で全体的に画像が暗く、また、直接画像から確認できる気泡直系は600〜800μmであった。起爆により、発生する球状衝撃波は、窓面で反射して円筒衝撃波(CS)に移行する。図8から、爆発生成気体、円筒衝撃波面およびアクリル樹脂窓材中の弾性応力波(ES)の影を確認することができる。各波面の到達位置から見積もられる伝播速度は、円筒衝撃波が約1500m/s、窓材料中応力波が約2100m/sであった。起爆から約12mm右の位置に確認される直径約700μmの気泡(B)に注目すると、衝撃波(RS)を発生する様子が認められた。しかし、図8から直径100μm以下の微小気泡は判別し難いので、微小気泡の再膨張運動は、画像診断できなかった。
図9に拡大視野での撮影結果を示す。撮影速度は100万コマ/秒(コマ間隔1μs)、露光時間は50nsである。図9(a)は初期画像であるが、図9(b)〜(i)には、左から右に伝播する水中衝撃波面が認められ、衝撃波の右側に、粒子状の影として多数の微小気泡が認められる。図9(b)、(e)では、これらの影が衝撃波面通過直後に消滅し、同時にその領域において屈折率変化を示す明るい揺らぎが認められる。図9(f)以降では、気泡再膨張のため、画像は左から暗くなる。
また、図9(j)〜(l)では、気泡の影が拡大して、より明確になる。これらの可視化結果は、気泡群が水中衝撃波通過直後に収縮を開始し、最小体積に達した後、膨張に転じる一連の過程を示している。本可視化結果から、気泡が衝撃波作用を受けた後に再膨張に到る時間は、1μs以下の短い時間であると見なせる。また、衝撃波照射で気泡は連鎖反応的に崩壊するため、再膨張衝撃波の発生とそれらの相互干渉により複雑さを増すが、衝撃波の運動に支配されたコヒーレントな反応が生じていると推定できる。これらを定量的に明らかにするためには、さらなる拡大撮影と高速画像記録が必要である。
図10〜図12に起爆点から20mmの位置で得られた円筒衝撃波の圧力変動を示す。図10は、気泡なしの結果である。水中衝撃波の圧力変動は明確に判断でき、最大過剰圧は約50MPaである。円筒衝撃波背後の圧力値は、測定部窓面での反射の影響により、自由空間を伝播する場合より高く、圧力減少は緩やかになる。一方、入射衝撃波直前には、約5MPaの圧力変動が200ns間程度認められ、アクリル窓中を先行伝播する応力波により水中に生じた斜め衝撃波の影響が現れている。
図11は、微小気泡を注入した場合の結果で、圧力波形は、気泡なしとは全く異なる。まず、先行斜め衝撃波による20〜30MPaの圧力変動が生じ、その約1μs後に、入射衝撃波と引続く反射波の到達による約60MPaと100MPaの過剰圧が発生したと考えられる。さらに約4μs後、圧力は200MPaに上昇し、約150MPaの値を中心とした振動が数十マイクロ秒後間にわたり持続する。図10と比較して、発生圧力値は著しく高く、微小気泡群の再膨張衝撃波による過剰圧が原因であると判断できる。また、波形には200MPaを超える極大値が周期的に現れる傾向が認められる。
図12に、周波数解析の結果を示す。縦軸は頻度、横軸は周波数である。約164kHzにスペクトルの極値が現れている。水中衝撃波の伝播速度を1500m/sと仮定すると、測定部幅10mmの距離を衝撃波が繰り返し反射する周期は、150kHzとなり、解析結果の値とほぼ一致する。また、微小気泡の再膨張応答時間は、ナノ秒オーダーであることから、衝撃波作用で気泡は直ちに崩壊して再膨張衝撃波を発生し、それが同位相で測定部を繰り返し伝播した結果として、高周波数の極値が多数現れたと考えられる。さらに、気泡群は、一回の崩壊で完全に消滅することなく、繰り返し励起されて完全に消滅するまで応答を持続したと考えられる。
以上の知見は、再膨張衝撃波の効果を利用する殺菌装置の設計指針として、気泡群を広い空間に分布させて外圧負荷する方が、比較的長い時間、高圧を繰り返し発現できることを示唆する。
初期直径10,30μmの単一気泡に、図10の過剰圧を作用させた場合の気泡運動方程式の解析結果を図13、図14に示す。横軸は、円筒衝撃波の圧力上昇の瞬間を原点とした時間である。図13より、最初の再膨張には、直径10μmの気泡で約100ns、30μmの気泡で約250nsを要し、図14より、再膨張圧は、共に約400MPaである。以上の解析結果は、微小気泡の最初の再膨張が、外圧負荷後数百ナノ秒の短い時間内に生じ、最大数百MPaの過剰圧が発生することを示し、得られた実験事実とほぼ一致した。
ここでは、光学可視化と高速撮影法および微小空間の圧力変動を高い時間分解能で計測することにより、限局された狭空間の気泡群に衝撃波圧力作用を与えた結果、気泡なしの場合で得られる入射衝撃波過剰圧の数倍に相当する200MPaを超える再膨張衝撃圧を数十マイクロ秒の比較的長い時間、繰り返して発生できることを示した。これらは、微小気泡を利用する殺菌技術である船舶のバラスト水処理の一方法として応用できる。
図15に本発明の一実施例に係るバラスト水処理装置200を含む船舶の水処理系統図を示す。船舶の水処理系は、バラストタンク210からのバラスト水を、吸引ライン211を介してバラストポンプ212で吸引する。そして、バラストポンプ212から吐き出されたバラスト水を吐出ライン213を介してバラスト水処理装置200に導入する。
バラスト水処理装置200は、入口ヘッダ201に外付けのポンプ202により気泡発生器204内に旋回水流を生成し、その旋回水流中心部に生じる圧力低下によりレギュレータ203を介して外部空気を自然吸引する。気泡発生器204の内部に吸引された空気は、空気渦柱を形成し、この気柱が、気泡発生器204の出口部で旋回水流の速度変化に伴うせん断力作用を受けて微細化され、気泡が生成される(第一手段に相当し、これにより第一の工程が実行される)。
入口ヘッダ201には、複数本の横向き細管からなる細管群(狭隘な場所に相当する。)205が接続されており、細管群205内を通過する気泡を混入させたバラスト水に、コンプレッサ206で発生させたガス圧による衝撃力を加える。これにより、該気泡を混入させたバラスト水に衝撃圧を繰り返し発生させることができる(第二手段に相当し、これにより第二工程が実行される)。細管群205の出口は出口ヘッダ207に接続されている。なお、細管群205は、縦向きであってもよい。
バラスト水処理装置200で殺菌処理されたバラスト水は、排出ライン214及び切替弁215を介して船舷216の開口部などから外部に排出される。或いは、切替弁215及び戻りライン217を介して、元のバラストタンク210(又は別のバラストタンク)に戻されて、繰り返し殺菌処理がなされる。
ポンプ202、レギュレータ203、コンプレッサ206、バラストポンプ212及び切替弁215の各動作は、すべてコントローラ208で制御される。具体的には、コントローラ208は、バラストタンク210から吸引ライン211を介してバラストポンプ212で吸引されたバラスト水を、バラスト水処理装置200で殺菌するように、ポンプ202、レギュレータ203及びコンプレッサ206を制御する。最初は殺菌が十分に行われていないと考えられるので、バラスト水処理装置200で殺菌されたバラスト水を、排出ライン214を介して元のバラストタンク210(又は別のバラストタンク)に戻すように切替弁215を制御する。これを繰り返して殺菌が十分に行われるようになってから、バラスト水処理装置200で殺菌されたバラスト水を、戻りライン217を介して船舷216の開口部などから外部に排出するように切替弁215を制御する。
このバラスト水処理装置200によれば、バラスト水に気泡が混入され、前記気泡が混入されたバラスト水に衝撃圧が繰り返し発生されて、該バラスト水の高圧状態が維持されるので、その衝撃圧に加えて、気泡の収縮・再膨張の繰り返しによりフリーラジカルが長時間にわたって存在し、これらにより大量の被処理水を効率よく殺菌することができる。また、ここでは、水中(液中)放電を利用していないため、装置構成が簡単なものとなり、エネルギー消費量も小さくて済む。また電極の消耗によるメンテナンス性や環境汚染の問題もまったくない。
なお、上記実施形態では、被処理水が船舶のバラスト水である場合を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、例えば魚洗浄水などのその他の被処理水の殺菌方法などに幅広く応用できることはもちろんである。
100 実験装置
1 水槽
2 ポンプ
3 レギュレータ
4 気泡発生器
5 試験水槽
200 バラスト水処理装置
201 入口ヘッダ
202 ポンプ
203 レギュレータ
204 気泡発生器(第一手段に相当し、これにより第一工程が実行される。)
205 細管群(狭隘な場所に相当する。)
206 コンプレッサ(第二手段に相当し、これにより第二工程が実行される。)
207 出口ヘッダ
208 コントローラ
210 バラストタンク
212 バラストポンプ
215 切替弁
216 船絃
特開2005−246178号公報 特開平10−57832号公報
Takahashi,M.,Chiba,K.,Li,P.,Free−Radical Generation from Collapsing Microbubbles in the Absence of a Dynamic Stimulus,J.Phys.Chem.B,Vol.111,No.6,(2007),pp.1343−1347. Takahashi,M.,Chiba,K.,Li,P.,Formation of Hydroxyl Radicals by Collapsing Ozone Microbubbles under Strongly Acidic Conditions,J.Phys.Chem.B,Vol.111,No.39,(2007),pp.11443−11446. Abe,A.,Kanai,H.,Mimura,H.,Nishio,S.,Ishida,H.,Study on application of shock waves generated by microbubbles to the treatment of ships’ ballast water,Proc.26th International Symposium on Shock Waves,(2007),pp.869−874. Abe,A.,Shock waves refraction and flow from an open−ended shock tube(in Japaneses),Doctoral thesis,Graduate School of Tohoku University,(1991),pp.42−44.

Claims (6)

  1. 被処理水に衝撃圧を加えることにより、該被処理水を殺菌する方法であって、
    被処理水に気泡を混入させる第一工程と、前記気泡を混入させた被処理水に衝撃圧を繰り返し発生させて、該被処理水の高圧状態を維持する第二工程とを備えたことを特徴とする被処理水の殺菌方法。
  2. 前記第二工程は、狭隘な場所に前記気泡を混入させた被処理水を通過させる間に、該気泡を混入させた被処理水に前記衝撃圧を繰り返し発生させることを特徴とする請求項1記載の被処理水の殺菌方法。
  3. 前記第二工程は、前記気泡を混入させた被処理水にガス圧による衝撃力を加えることにより、該気泡を混入させた被処理水に前記衝撃圧を繰り返し発生させることを特徴とする請求項1又は2記載の被処理水の殺菌方法。
  4. 前記ガス圧は、コンプレッサで発生させることを特徴とする請求項3記載の被処理水の殺菌方法。
  5. 前記第一工程は、被処理水に旋回流を生じさせることで、該被処理水に加えた空気を微細化して前記気泡を作ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の被処理水の殺菌方法。
  6. 被処理水に衝撃圧を加えることにより、該被処理水を殺菌する装置であって、
    被処理水に気泡を混入させる第一手段と、前記気泡を混入させた被処理水に衝撃圧を繰り返し発生させて、該被処理水の高圧状態を維持する第二手段とを備えたことを特徴とする被処理水の殺菌装置。
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