JP2011055717A - 細胞培養方法及び細胞培養装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体試料等の試料中の有核細胞、特に幹細胞を効率よく、かつ簡便に培養する方法、及び当該方法に用いられる装置の提供。
【解決手段】試料中の有核哺乳細胞を培養する方法であって、(a)被検試料から有核細胞画分を調製する工程と、(b)前記工程(a)において調製された有核細胞画分を、0〜25℃で所定時間静置する工程と、(c)前記工程(b)の後、前記有核細胞画分中の細胞を培養する工程と、を有することを特徴とする細胞培養方法、及び、試料中の有核細胞を培養するために用いられる装置であって、被検試料から有核細胞画分を調製する調製機構と、前記被検試料から前記有核細胞画分を選択的に回収する回収機構と、前記有核細胞画分中の細胞を培養する培養機構と、を備えることを特徴とする、細胞培養装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、生体試料中の有核哺乳細胞、特に幹細胞を効率よく培養する方法、及び当該方法に用いられる装置に関する。
現在までに、生体から細胞を取り出し、試験管等の生体外容器中で培養を行う細胞培養が広く行われている。生体外に取り出した細胞を用いることにより、生体そのものを使用せずに多くの生物学的な実験を行うことができる。例えば、生体外で培養した細胞を用いることにより、実験動物の命を奪うことなく薬剤耐性の検査や毒性検査等を行うことが可能となる。また、生体内には極めて微量にしか存在しないインターフェロンやエリスロポイエチン等の生体分子を生産するため、培養細胞を用いることも行われている。例えば、培養タンク等を用いて大量に培養した細胞から、所望の生体分子を分離・回収することにより、工業的な規模で生産することが可能となっている。このように、細胞分離技術と細胞培養技術は、基礎的な研究だけではなく、治療薬の生産や安全性試験等の幅広い産業領域で利用されている。
近年、生体外容器中において、培養した幹細胞を所望の生体組織へと分化誘導し、得られた組織を生体へ移植する、いわゆる再生医療の研究が活発に行われている。また、幹細胞のみならず、その他の種類の細胞の利用も検討されており、今までにない新しい応用技術が生み出されることが期待されている。そのためにも、目的とする細胞をさらに効率良く分離、培養する技術開発が求められている。
生体は、多種多様な細胞により構成されており、所望の細胞を効率よく分離し培養するための様々な技術が開発されている(例えば、非特許文献1及び2等参照。)。また、色々な血球のみならず、組織中の分化した細胞への分化能を有する血液幹細胞や間葉系幹細胞を得るため、これらの幹細胞が比較的多く含まれている骨髄や臍帯血が広く用いられている。これらの骨髄液や臍帯血、あるいは末梢血は、遠心分離機や磁性粒子分離装置等によって処理され、目的とする有核細胞成分、特にCD34抗原陽性の幹細胞画分が分離され使用されている。その他にも、例えば、末梢血中あるいは骨髄の単核球から血液内皮前駆細胞(EPC:endothelial progenitor cell)を分離する方法として、EPCの表面マーカーであるCD34等に対する抗体を用いた免疫法により分離回収する方法がある(例えば非特許文献3参照。)。
前述したように、血液中には比較的多くの幹細胞が含まれているものの、通常の状態では血液中の幹細胞は微量であり、全有核細胞の0.001〜0.1%しか含まれていない。そこで、末梢血から幹細胞を効率よく得るために、末梢血中の幹細胞含有量を増大させる方法として、例えば、被験者に増殖因子であるG−CSFを予め投与し、その数日後に採血された末梢血が、幹細胞の材料として用いられている(例えば、特許文献1、非特許文献3、及び非特許文献4等参照。)。具体的には、被験者にG−CSFを注射し、その数日後に、骨髄から末梢血へ動員された単核球をアフェレーシスで採血した後に、CD34等に対する抗体を用いて幹細胞を分離回収する。
分離された幹細胞は、そのまま研究や治療に用いられる場合もあるが、増殖因子やフィーダー細胞が入ったシャーレの中で一旦培養された後に、診断や治療等の目的に使用されることもある(例えば非特許文献3参照。)。例えば、血液中から分離回収された幹細胞を、生体外容器中で培養する方法として、幹細胞の増殖をサポートするストローマ細胞も、幹細胞と共に骨髄中の有核細胞から誘導、増殖させ、これらを共培養する骨髄の長期培養法が開示されている(例えば、非特許文献5参照。)。このように、幹細胞のみを分離回収するのではなく、フィーダー細胞となるストローマ細胞を同時に回収して共培養することにより、効率よく血液幹細胞を試験管内増殖させることができる。
特許第2838867号公報
許南浩、外1名編集、黒木登志夫監修、「培養細胞実験ハンドブック第2版−基本から最新の幹細胞培養法まで完全網羅!(実験医学別冊24)」、2008年12月、羊土社。 井出利憲著、無敵のバイオテクニカルシリーズ特別編−細胞培養入門ノート、1998年12月、羊土社。 川本篤彦、外1名著、再生医療(日本再生医療学会雑誌)、2009年2月、第8巻第1号、第61〜66ページ。 大戸斉、外1名著、小児輸血学、中外医学社、2006年5月。 ペッテンゲル(Pettengell)、外6名、ブラッド(Blood)、1994年、第84巻第11号、第3653〜3659ページ。
研究や治療に用いるために十分量の幹細胞を得るために、予めG−CSF等の増殖因子を投与し、生体中、特に血液中の幹細胞量を増大させることは、被験者への負担が大きく、特に治療に用いる場合に、被験者となる患者の病態によっては、そもそも増殖因子を投与することができない場合もある。また、アフェレーシスには長時間を要し、かつ手間のかかる処置が必要であるという問題もある。G−CSF等を投与することなく、末消血から目的とする幹細胞を効率良く分離回収し、さらに増幅することが出来れば、白血病患者の治療などに大きな福音となる。
一方で、他の生物種由来の細胞に比べて、哺乳類由来の細胞、特に幹細胞の生体外培養は困難であり、分離回収された幹細胞をそのまま培養したとしても、効率よく培養することはできない場合が多い。例えば非特許文献5に記載の方法のように、幹細胞を効率よく培養する方法も幾つか開示されているものの、異なる種類の細胞を適当に共培養することは、培養操作が煩雑であり、より簡便な方法が求められている。そして、このような問題は、幹細胞以外の細胞を分離回収する場合にも、同様に存在している。
本発明は、上記した状況をふまえ開発したものであり、生体試料等の試料中の有核哺乳細胞、特に幹細胞を効率よく、かつ簡便に培養する方法、及び当該方法に用いられる装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、生体外容器中で培養する前に、生体試料中の有核哺乳細胞を濃縮した状態で、0〜25℃で所定時間静置することによって、生体試料中の所望の有核哺乳細胞を、効率よく培養し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1) 試料中の有核哺乳細胞を培養する方法であって、(a)被検試料から有核細胞画分を調製する工程と、(b)前記工程(a)において調製された有核細胞画分を、0〜25℃で所定時間静置する工程と、(c)前記工程(b)の後、前記有核細胞画分中の細胞を培養する工程と、を有することを特徴とする細胞培養方法、
(2) 前記工程(c)が、下記工程(c’)であることを特徴とする前記(1)記載の細胞培養方法;(c’)前記工程(b)の後、前記被検試料から前記有核細胞画分を回収した後、当該有核細胞画分中の細胞を培養する工程、
(3) 前記工程(b)が、下記工程(b’)であることを特徴とする前記(1)記載の細胞培養方法;(b’)前記被検試料から前記工程(a)において調製された有核細胞画分を回収した後、当該有核細胞画分を、0〜25℃で所定時間静置する工程、
(4) 前記被検試料が血液であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか記載の細胞培養方法、
(5) 前記有核細胞画分が、バッフィーコートであることを特徴とする前記(4)記載の細胞培養方法、
(6) 前記工程(a)が、下記工程(a’)であることを特徴とする前記(1)記載の細胞培養方法;(a’)被検試料を多孔質部材に通し、当該多孔質部材上に残留した有核細胞を回収することにより、有核細胞画分を調製する工程、
(7) 前記工程(b)における前記有核細胞画分を静置する時間が、6時間以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか記載の細胞培養方法、
(8) 前記工程(b)における前記有核細胞画分を静置する温度が、4〜20℃であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか記載の細胞培養方法、
(9) 前記工程(c)における細胞の培養を、3次元培養により行うことを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか記載の細胞培養方法、
(10) 前記工程(c)における細胞の培養に用いる培地に、前記被検試料が採取された生物個体の血清が添加されていることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか記載の細胞培養方法、
(11) 血液中の幹細胞を培養する方法であって、(1−a)採血された血液試料を遠心分離処理し、赤血球層とバッフィーコートと液体成分層に分離する工程と、(1−b)前記工程(1−a)の後、分離状態を保持したまま、当該血液試料を、0〜25℃で所定時間静置する工程と、(1−c)前記工程(1−b)の後、前記血液試料からバッフィーコートを回収し、当該バッフィーコート中の細胞を培養する工程と、を有することを特徴とする血液中の幹細胞の培養方法、
(12) 前記工程(1−b)が下記工程(1−b’)であり、前記工程(1−c)が下記工程(1−c’)であることを特徴とする前記(11)記載の血液中の幹細胞の培養方法;(1−b’)前記工程(1−a)において回収されたバッフィーコートを、0〜25℃で所定時間静置する工程と、(1−c’)前記工程(1−b’)の後、当該バッフィーコート中の細胞を培養する工程、
(13) 試料中の有核細胞を培養するために用いられる装置であって、被検試料から有核細胞画分を調製する調製機構と、前記被検試料から前記有核細胞画分を選択的に回収する回収機構と、前記有核細胞画分中の細胞を培養する培養機構と、を備えることを特徴とする細胞培養装置、
(14) 前記細胞培養装置が、さらに、前記有核細胞画分を0〜25℃で保持する静置機構を備えることを特徴とする前記(13)記載の細胞培養装置、
を、提供するものである。
本発明の細胞培養方法を用いることにより、生体外容器中において、被検試料中の有核哺乳細胞、特に生体から採取された試料中の有核哺乳細胞を、簡便かつ効率よく培養することができる。
また、本発明の血液中の幹細胞の培養方法を用いることにより、血液中の幹細胞を、簡便かつ効率よく培養することができる。
本発明の血液中の幹細胞の培養方法のうち、工程(1−a)〜(1−c)を有する方法の一態様を示したフローチャートである。 本発明の細胞培養装置の一態様を示した図である。 実施例1において、静置処理を4℃において行った採血管中のバッフィーコートを培養したプレート中の細胞の顕微鏡画像である。 実施例1において、ヒトCD34抗原を発現している細胞数(蛍光染色された細胞数)を計測し、細胞数全体に対する割合を算出した結果を示した図である。 実施例1において、静置処理を4℃において行った採血管中のバッフィーコートを培養したプレート中の細胞を、ヒトCD34抗原に対する蛍光標識抗体希釈液を用いて蛍光免疫染色した細胞の蛍光染色画像である。
本発明の細胞培養方法に供される試料としては、有核哺乳細胞を含有する試料であれば、特に限定されるものではない。ここで、「有核哺乳細胞」とは、核を有する哺乳細胞を意味する。本発明においては、哺乳動物から採取された生体試料であることが好ましく、ヒトや、マウス、ラット、ウサギ等の実験動物、イヌ、ネコ等のペット類、ウシ、ブタ、ウマ等の家畜類から採取された生体試料であることがより好ましく、ヒトから採取された生体試料であることがさらに好ましい。特に、臨床検査等に用いられるためにヒトから採取された生体試料であることが好ましい。該生体試料として、例えば、血液、骨髄液、髄液、リンパ液、腹水、胸水、唾液、滲出液、羊膜液、器官洗浄液等がある。
本発明の細胞培養方法に供される生体試料として、どの組織から採取された生体試料を用いるかは、所望の有核哺乳細胞の種類を考慮して、適宜決定することができる。例えば、培養したい目的とする哺乳細胞が幹細胞である場合には、幹細胞の含有量が比較的多い血液、骨髄液、髄液、リンパ液、腹水、羊水等を用いることが好ましく、採取が容易であることから、血液を用いることがより好ましい。
本発明の細胞培養方法に供される試料は、哺乳細胞を含む環境から採取された状態の試料であってもよく、採取後に調製した試料であってもよい。該調製の方法は、該試料中に含有されている有核哺乳細胞を損なわない方法であれば、特に限定されるものではなく、通常、生体試料に対してなされている調製方法で行うことができる。該調製方法として、例えば、生理食塩水やセリンプロテアーゼ阻害剤等を含有するバッファー等を用いた希釈、標的物質の分離又は濃縮等がある。また、生体試料が血液である場合には、ヘパリン、EDTA等のキレート剤等の抗凝固剤を含有する採血管に採血したものであってもよい。
本発明の細胞培養方法は、被検試料中の有核哺乳細胞を生体外において培養する前に、当該被検試料中に含まれている有核哺乳細胞を濃縮した状態で、至適培養温度よりも低い温度で所定時間静置することを特徴とする。濃縮した状態の有核哺乳細胞を低温環境下で静置することにより、当該処理を行わず、有核哺乳細胞をそのまま生体外容器中で培養した場合よりも効率よく有核哺乳細胞を培養し得る。本発明の細胞培養方法により、特に、被検試料中の幹細胞を効率よく培養することができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、被検試料中に元々含まれている多種多様な有核細胞を濃縮し静置することにより、細胞間の直接的な相互作用や、エンドクリン、パラクリン等の間接的な相互作用が十分に行われるためと推察される。さらに、低温環境下で静置することにより、細胞増殖等の生命活動が抑制されているため、静置による細胞へのダメージも抑制されていることも、一因と推察される。
具体的には、本発明の細胞培養方法は、試料中の有核哺乳細胞を培養する方法であって、下記工程(a)〜(c)を有することを特徴とする。
(a)被検試料から有核細胞画分を調製する工程と、
(b)前記工程(a)において調製された有核細胞画分を、0〜25℃で所定時間静置する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記有核細胞画分中の細胞を培養する工程。
以下、工程ごとに説明する。
まず、工程(a)として、被検試料から有核細胞画分を調製する。ここで、「有核細胞画分」とは、有核細胞の濃度が被検試料中よりも高くなるように、被検試料中の有核細胞が濃縮された画分を意味し、有核細胞以外の他の成分を含有していてもよい。有核細胞画分の調製は、試料中の有核細胞の種類や大きさ、細胞以外の成分の種類等を考慮して、細胞を含む試料中から細胞を分離回収する際に用いられる公知の方法の中から適宜選択して用いることができる。
例えば、適当な大きさの孔径を有する多孔質部材を用いることにより、被検試料中に含まれている有核細胞と液体成分とを分離して回収することにより、有核細胞画分を調製することができる。具体的には、被検試料を、有核細胞が透過することができない大きさの孔径を有する多孔質部材に通すことにより、液体成分は当該多孔質部材を透過するが、有核細胞は当該多孔質部材上に残留する。このため、この多孔質部材表面上の残留分を、有核細胞画分として回収することができる。このような多孔質部材としては、例えば、細胞培養等の分野で汎用されているニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、不織布等のフィルターを用いることができる。
また、被検試料中に含まれている有核細胞とその他の固形成分とが、大きさにおいて明確に区別することができる場合には、さらに、有核細胞は透過することができるがその他の固形成分は透過することができない大きさの孔径を有する多孔質部材を用いることにより、有核細胞よりもはるかに大きなその他の成分を除去した有核細胞画分を調製することができる。
例えば、血液を、血液中の幹細胞やリンパ球等の有核細胞が透過できない大きさの孔径を有するフィルターに通すことにより、血漿や血清等の液体成分のみが透過し、当該フィルターの表面上に、有核細胞と赤血球が残留する。この残留物を、有核細胞画分として回収することができる。有核細胞画分中に残存する赤血球は、工程(c)における細胞培養前に、後述するフィコール等を用いた遠心分離処理によって、有核細胞画分から分離することができる。
なお、被検試料に含まれるタンパク質量等が低い場合には、有核細胞の多孔質部材表面上に残留する残留率が不十分となる傾向がある。このため、必要に応じて、多孔質部材に通す前の被検試料に、当該被検試料の粘度を向上させる物質を添加してもよい。このような物質として、例えば、アルブミン等が挙げられる。なお、コンタミネーションを防止するため、被検試料には、適当な滅菌処理が予め施された物質を添加する。さらに、細菌の繁殖を防止するため、ストレプトマイシン等の抗生物質を適宜追加することが好ましい。
また、遠心分離法を利用することにより、有核細胞画分を調製することができる。例えば、被検試料を適当な条件で遠心分離処理することにより、有核細胞を沈殿させることができ、この沈殿物を、有核細胞画分として回収することができる。特に、被検試料中に含まれている有核細胞とその他の固形成分とが、大きさにおいて明確に区別することが難しい場合であっても、両者の比重が異なる場合には、遠心分離法により分離し、有核細胞画分を調製することができる。有核細胞とその他の固形成分との比重差が比較的小さい場合には、適当な密度を有する比重液を添加した状態で遠心分離処理を行うことにより、両者を分離することができる。比重液としては、例えば、適当な比重に調整されたフィコール、パーコール等の細胞分離剤等が挙げられる。その他、ショ糖等を用いた比重密度勾配遠心法を行うことによっても、有核細胞とその他の固形成分とを分離することができる。また、有核細胞の回収率を向上させるため、密度勾配遠心分離を行う前に、室温もしくは37℃で5分間程度インキュベートする等の操作を加えても良い。
被検試料が血液であった場合には、例えば、当該血液を遠心分離処理することにより、赤血球層とバッフィーコートと液体成分層に分離することができる。このバッフィーコートが、本発明の細胞培養方法における「有核細胞画分」に該当する。この際、例えばフィコールやパーコール等の適当な密度を有する比重液を添加することにより、赤血球層とバッフィーコートとをより明確に分離することができる。
工程(a)において、有核細胞画分の調製を遠心分離法により行った場合には、遠心分離処理により形成された分離状態を保持したまま工程(b)を行ってもよく、有核細胞画分のみをその他の成分から分離して回収し、これを工程(b)に用いてもよい。例えば、血液を遠心分離処理して赤血球層とバッフィーコートと液体成分層に分離した場合に、この分離状態を保持したまま工程(b)を行ってもよく、当該バッフィーコートを常法により分離回収した後、バッフィーコートのみに対して工程(b)を行ってもよい。
工程(a)において、調製された有核細胞画分をその他の成分とは分離して回収した場合には、当該有核細胞画分に、バッファー等の溶液を添加してもよい。適量の液体成分が存在しない場合には、有核細胞がダメージを受けるおそれがあるためである。添加する液体の量は、添加後の有核細胞画分の有核細胞の濃度が、被検試料中の有核細胞の濃度よりも高くなる量であればよいが、有核細胞の乾燥等を防止するために必要十分量であればよく、過剰量を添加しないほうが好ましい。添加する液体としては、有核細胞を損なわないものであれば特に限定されるものではなく、一般的に細胞溶液の調製に用いられる液体の中から適宜選択して用いることができる。このような液体として、例えば、生理食塩水、リン酸バッファー、ハンクスバッファー、CPD(クエン酸−リン酸、デキストラン)等のバッファー等が挙げられる。
工程(a)において調製された有核細胞画分は、被検試料中に予め含まれていた多種多様な有核細胞の大部分を含むものである。すなわち、被検試料中に複数種類の有核細胞が含まれており、特定の種類の有核細胞の培養を目的とする場合に、工程(a)において有核細胞画分を調製する方法には、目的の有核細胞を含む特定の種類の細胞のみを選択的に濃縮する方法は含まれない。例えば、血液中の幹細胞の培養を目的とする場合に、遠心分離法により得られたバッフィーコートは、本発明の細胞培養方法における有核細胞画分に相当する。バッフィーコートには、幹細胞のみならずその他の大部分のリンパ球(有核細胞)、例えば、線維芽細胞、マクロファージ、T細胞、B細胞、樹状細胞等も濃縮されているためである。一方で、幹細胞の細胞表面抗原であるCD34に対する抗体を用いた免疫法により、CD34を有する細胞を特異的に濃縮して得られた画分は、本発明の細胞培養方法における有核細胞画分に相当しない。
次いで、工程(b)として、工程(a)において調製された有核細胞画分を、0〜25℃で所定時間静置する。なお、静置する際の温度は、0〜25℃の範囲内であればよく、一定温度に制御された環境下で静置してもよいが、温度制御がなされていない環境下で静置してもよい。本発明においては、所定時間静置する際の温度としては、4〜20℃であることが好ましく、4〜15℃であることがより好ましい。
工程(b)において有核細胞画分を静置する時間は、工程(b)を行うことなく工程(c)を行った場合、すなわち静置することなく回収した有核細胞画分をそのまま培養した場合に比べて、工程(b)を行った場合のほうが有核細胞の培養効率が良好となる時間であれば特に限定されるものではなく、静置する際の温度や有核細胞画分の状態等を考慮して、適宜決定することができる。本発明においては、6時間以上静置することが好ましく、18〜96時間静置することがより好ましい。
特に、有核細胞画分に含まれている細胞のうち、培養したい目的の有核細胞が哺乳細胞、中でもヒト由来の細胞である場合には、当該有核細胞画分を、4〜20℃、好ましくは4〜15℃で、6〜96時間、好ましくは18〜72時間静置することが好ましい。
その後、工程(c)として、静置後の有核細胞画分中の細胞を培養する。ここで、工程(a)において有核細胞画分の調製を遠心分離法により行った場合であって、遠心分離処理により形成された分離状態を保持したまま工程(b)を行った場合には、工程(b)の後に、有核細胞画分を、被検試料のその他の成分から分離して回収した後、当該有核細胞画分中の細胞を培養する。
工程(c)における細胞の培養は、常法により行うことができる。例えば、細胞の培養において用いられる培地、培養温度、気体中の二酸化炭素濃度、生体外容器の種類等は、当業者であれば、培養したい目的の有核細胞の種類等を考慮して、適宜決定することができる。例えば、iPS細胞(induced pluripotent stem cells;人工多能性幹細胞)では、低酸素状態によって回収率が向上することが知られているため、培養環境は低酸素状態としてもよい。
生体外容器中において細胞を培養する場合には、一般的に培地に適量の血清を添加する。被検試料がヒト等の動物から採取された生体試料であった場合に、工程(c)における細胞培養において培地に添加する血清として、当該被検試料が採取された生物個体の血清を用いることも好ましい。例えば、治療等の目的により、生体外容器中で培養された細胞を、再度、当該細胞が採取された個体に移植する場合に、自己血清を用いて生体外容器中の培養を行うことにより、異種感染や拒絶反応等の危険を回避することができる。
また、本発明においては、工程(c)における細胞の培養を、3次元培養により行うことも好ましい。生体の内部では、細胞は、細胞を取り囲むマトリックス(間質、あるいは細胞外基質)とよばれる繊維状の物質と密接に接着して存在しており、複雑な3次元的な構造体を形成している。生体外容器において3次元培養を行うことにより、より生体内の環境に近い環境で細胞を培養することが可能となる。3次元培養は、例えば、ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、メチルセルロース等の細胞間のマトリックスを構成する材料を培地に添加し、これらの材料によりゲル状の3次元的マトリックスを形成することにより行うことができる。近年、効率的な3次元細胞培養技術のため、専用の培養用品も開発されており、例えば、細胞の分化あるいは増殖機能を向上するような細胞抽出物を多く含むMatrigel(BD Bioscience社製)等を用いることにより、より効率よく3次元培養を行うことができる。
本発明の細胞培養方法を用いることにより、生体から採取された生体試料から、目的とする細胞集団を効率よく分離、培養、そして増幅することが可能になる。その結果、様々な細胞種を用いた検査や治療等を効率よく行うことができる。また、細胞を生産機械として利用することによる微量のタンパク質の生産も可能となる。さらに、再生医療等に有用な幹細胞等を大量に得ることも期待できる。
本発明の細胞培養方法は、特に、血液中の幹細胞を効率よく培養するために用いることが好ましい。この理由は明らかではないが、有核細胞を高濃度に密集した状態(有核細胞画分)で一定期間静置することにより、血液中に元々含まれていた細胞のストローマ細胞への分化誘導も効率よく行われ、この有核細胞画分を培養することにより、煩雑な分化誘導処理等を要することなく、ストローマ細胞と幹細胞を共培養することができるためと推察される。
具体的には、本発明の血液中の幹細胞の培養方法として、下記工程(1−a)〜(1−c)を行うことにより、血液中の幹細胞を培養することができる。
(1−a)採血された血液試料を遠心分離処理し、赤血球層とバッフィーコートと液体成分層に分離する工程と、
(1−b)前記工程(1−a)の後、分離状態を保持したまま、当該血液試料を、0〜25℃で所定時間静置する工程と、
(1−c)前記工程(1−b)の後、前記血液試料からバッフィーコートを回収し、当該バッフィーコート中の細胞を培養する工程。
なお、0〜25℃で所定時間静置前に、遠心分離処理により赤血球等と分離されたバッフィーコートを回収してもよい。具体的には、前記工程(1−b)が下記工程(1−b’)であり、前記工程(1−c)が下記工程(1−c’)であってもよい。
(1−b’)前記工程(1−a)において回収されたバッフィーコートを、0〜25℃で所定時間静置する工程と、
(1−c’)前記工程(1−b’)の後、当該バッフィーコート中の細胞を培養する工程。
工程(1−a)や工程(2−a)において遠心分離処理される血液試料は、採血された血液そのものであってもよく、予めヘパリンやキレート剤等の抗凝固剤入りの採血管に採血された血液であってもよい。その他、工程(1−a)〜(1−c)、工程(2−a)〜(2−c)は、それぞれ、前述の工程(a)〜(c)と同様にして行うことができる。
所定時間静置後にバッフィーコートを回収して細胞を培養する場合には、回収されたバッフィーコートの懸濁液をフィコール等の比重液の上に重層し、比重密度勾配遠心法を行うことにより、赤血球の持ち込みが十分に低減されたバッフィーコートを細胞培養に用いることができる。一方、回収されたバッフィーコートを所定時間静置する場合には、静置前又は静置後培養前に、同様に比重密度勾配遠心法を行うことにより、細胞培養時の赤血球の持ち込みを抑制することができる。
また、所定時間静置後のバッフィーコート中の細胞を培養する際に、培養用の培地に添加する血清としては、血液を遠心分離処理した際に、バッフィーコートの上層にある液体成分層を用いることが好ましい。細胞培養において汎用されている牛胎児血清(FBS)等に代えて、自己血血清を用いることにより、他種動物由来の成分の混入を低減することができる。
図1は、本発明の血液中の幹細胞の培養方法のうち、工程(1−a)〜(1−c)を有する方法の一態様を示したフローチャートである。なお、本発明の血液中の幹細胞の培養方法が、当該態様に限定されるものではないことは言うまでもない。まず、ステップ1として、被検者から採血された血液が含まれている採血済みの採血管を遠心分離処理し、バッフィーコートを形成する。次いで、ステップ2として、当該採血管を0〜25℃で所定時間静置する(静置処理)。さらに、ステップ3として、静置処理後の採血管からバッフィーコートを分取し、再度フィコール等を用いて遠心分離処理を行って赤血球を除去した後、培養用の培地に分注する。最後にステップ4として、常法により細胞培養を行う。
本発明の細胞培養方法や本発明の血液中の幹細胞の培養方法は、試料中の有核細胞を培養するために用いられる装置であって、これらの工程を実現可能な一の細胞培養装置を用いて行うことができる。具体的には、例えば、被検試料から有核細胞画分を調製する調製機構と、前記被検試料から前記有核細胞画分を選択的に回収する回収機構と、前記有核細胞画分中の細胞を培養する培養機構と、を備える細胞培養装置を用いることにより、簡便かつ迅速に本発明の細胞培養方法や本発明の血液中の幹細胞の培養方法を行うことができる。
被検試料から有核細胞画分を調製する調製機構としては、例えば、多孔質部材を備えたろ過機構や、遠心分離機構を用いることができる。また、回収機構としては、先端のノズルから有核細胞画分を吸引する溶液吸引排出ノズルを備える溶液吸引排出機構を用いることができる。培養機構としては、培養容器を設置する部位を備えており、かつ温度制御可能な恒温機構を用いることができる。なお、培養機構には、二酸化炭素濃度等の気体成分の濃度の制御機構も備えていることが好ましい。
また、本発明の細胞培養装置は、さらに、有核細胞画分を0〜25℃で保持する静置機構を備えていてもよい。静置機構としては、例えば、0〜25℃に制御可能な恒温機構を用いることができる。
図2は、本発明の細胞培養装置の一態様を示した図である。なお、本発明の細胞培養装置が、当該態様に限定されるものではないことは言うまでもない。当該態様においては、調製機構として遠心分離機構を、回収機構として溶液吸引排出ノズルの一種であるサンプリングプローブを備える溶液吸引排出機構を、培養機構として温度と二酸化炭素濃度を制御可能なインキュベーターを備える。また、インキュベーター中で細胞を培養する際に用いる生体外容器として、フラスコ、シャーレ、あるいはマイクロプレートを用いる。被検試料として血液を用いた場合を想定して、当該細胞培養装置を説明する。まず、採血された抗凝固剤を含んだ採血管等の容器2aを、細胞培養装置1中の遠心分離機構3に設置して遠心分離処理し、赤血球層とバッフィーコートと液体成分層に分離する。遠心分離処理後そのままの状態で、室温で所定時間静置した後、容器2中に形成されたバッフィーコートをサンプリングプローブ4によって吸引し、容器2aとは別の容器であって、遠心分離機構3に設置されている容器2bに排出する。この容器2bに、さらにフィコールを添加し、遠心分離処理を行い、赤血球とバッフィーコートとを完全に分離した後、このバッフィーコートをサンプリングプローブ4によって吸引し、インキュベーター5中に設置されたマイクロプレート6に吐出する。そして、当該マイクロプレート6中において、バッフィーコート中の細胞を培養する。このマイクロプレート6には、一般的な細胞培養用の培地に加え複数の増殖因子や自己血清等が添加され、目的とする細胞が効率よく増殖するように調整されていることが好ましい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
健常人から注射器を用いて末梢血を採血した。採血された血液は、抗凝固剤が予め分注されている採血管(テルモ社製、商品名:Venoject II)4本にそれぞれ等量ずつ移し、1000×rpmで5分間程度の遠心分離処理を行った。この処理によって、赤血球の上にバッフィーコートが形成された。遠心分離処理を行った採血管のうちの3本を、室温、15℃、又は4℃で、それぞれ24時間静置した。その後、各採血管からバッフィーコートを回収し、この回収されたバッフィーコートを血球分離剤(GEヘルスケア社製、商品名:Lymphoprep)の上部に静かに添加し、遠心分離処理を行うことによって、バッフィーコートから赤血球を除いた。残る1本の採血管は、遠心分離処理後ただちにバッフィーコートを回収し、血球分離剤を用いて同様にしてバッフィーコートから赤血球を除いた。その後、各採血管中のバッフィーコートを、それぞれ、メチルセルロース(R&Dシステムズ社製、製品番号:HSC001)を1/3量加えた培養液と混合させた後、細胞培養用の培養プレート(BD Falcon 3047)2枚に、それぞれ添加した。なお、培養液としては、MF培地(東洋紡株式会社製、製品番号:TMMFM−001)を用いたが、これに代えて、牛胎児血清を10%濃度で添加したD’MEM培地(Invitrogen社製)を用いてもよい。この細胞培養用プレートを37℃のCOインキュベーター(ESPEC社製、製品番号:BNA−121D)に設置し、14日間培養した。
培養後の培養プレート中の細胞の状態を、倒立型顕微鏡(オリンパス社製、製品番号:IX−71)を用いて観察した。図3は、静置処理を4℃において行った採血管中のバッフィーコートを培養した培養プレート中の細胞の顕微鏡画像である。図3(A)が培養開始時の顕微鏡画像であり、図3(B)が14日間の培養終了時の顕微鏡画像である。この結果、培養開始時には小さな細胞が点在している状態であったが(図3A)、培養終了時にはプレート底面に敷き詰められたストローマ細胞(図中、矢印βで示した箇所)とその上に形成されたコロニー(図中、矢印αで示した箇所)が観察された(3B)。
次に、フローサイトメーターを用いて、培養プレート中のCD34陽性細胞の計測を行った。まず、2枚の培養プレートのうちの1枚をPBS(リン酸バッファー)によって洗浄し、0.5%のトリプシン−EDTA(Gibco社製、製品番号:#15400)を加えて37℃で15分間インキュベートすることにより、細胞をプレートから遊離させた。ヒトCD34に対する蛍光標識抗体を用いて、遊離した細胞の細胞表面にあるヒトCD34抗原を標識した。細胞表面の染色方法は標準的な免疫染色マニュアル(Dako immunohistochemical Staining Methods,第4版)に従った。具体的には、まず、遊離した細胞を、10%のマウス血清が添加されたヒトCD34抗原に対する蛍光標識抗体希釈液と撹拌し、蛍光染色を行った。なお、蛍光標識抗体として、マウスのモノクローナル蛍光標識抗体(Exbio Pharma社製、製品番号:1F−297−T100)を用い、これを1/20濃度となるように希釈した。次いで、PBSによって細胞を3回洗浄した後、1mLの1%マウス血清含有PBSに懸濁した。染色された細胞懸濁液を、フローサイトメーター(ベクトンディキンソン社製、製品名:FACSCalibur)を用いて計測した。なお、陰性コントロールとして、CD34抗原が発現していない骨髄性リンパ腫由来の株化細胞(K562株)を用いた。
各培養プレート中の細胞のうち、ヒトCD34抗原を発現している細胞(CD34陽性細胞)の数(蛍光染色された細胞数)を計測し、細胞数全体に対する割合を算出した結果を図4に示す。図4中、「当日」は、遠心分離処理後ただちにバッフィーコートを回収し細胞培養を行った場合の結果を、「室温」は、遠心分離処理後24時間室温で静置した後バッフィーコートを回収した場合の結果を、「15℃」は遠心分離処理後24時間15℃で静置した後バッフィーコートを回収した場合の結果を、「4℃」は遠心分離処理後24時間4℃で静置した後バッフィーコートを回収した場合の結果を、それぞれ示す。この結果、遠心分離処理後24時間静置して培養を行った場合には、遠心分離処理後ただちにバッフィーコートを回収した場合よりも、CD34抗原を発現している細胞の割合が高かった。
血液中に含まれる幹細胞の多くは、細胞表面にCD34抗原を発現している。すなわち、これらの結果から、血液中には微量にしか存在していない幹細胞が、本発明の細胞培養方法を用いて培養することにより、その含有割合が増大することが確認された。ここで、総細胞数も増大していたことから、本発明の細胞培養方法を用いて培養することにより、幹細胞を効率よく培養し得るため、良好に増殖したためと推察される。
一方、2枚の培養プレートのうちの残る1枚を、フローサイトメーターを用いた場合と同じヒトCD34抗原に対する蛍光標識抗体希釈液を用いて蛍光免疫染色を行い、蛍光測定ユニットを接続した倒立型顕微鏡(オリンパス社製、製品番号:IX−71)を用いて観察した。図5に、静置処理を4℃において行った採血管中のバッフィーコートを培養したプレート中の細胞を蛍光免疫染色した染色画像を示す。図5(A)は位相差照明による細胞画像を示し、図5(B)は同一視野のFITCによる蛍光画像を示す。画像中央部分のコロニーがFITCによって強く染まっており、当該コロニーが、CD34抗原陽性細胞のコロニーであることが確認された。これらの蛍光染色画像の結果からも、本発明の細胞培養方法を用いて培養することにより、血液幹細胞が有意に増加していることが明らかである。
本発明の細胞培養方法により、生体試料等の試料中の有核細胞、特に幹細胞を効率よく、かつ簡便に培養することが可能であることから、学術研究分野のみならず、細胞を利用したタンパク質等の生体成分の製造分野や、再生医療等の医療分野においても利用が可能である。
1…細胞培養装置、2…容器、3…遠心分離機構、4…サンプリングプローブ、5…インキュベーター、6…マイクロプレート。

Claims (14)

  1. 試料中の有核哺乳細胞を培養する方法であって、
    (a)被検試料から有核細胞画分を調製する工程と、
    (b)前記工程(a)において調製された有核細胞画分を、0〜25℃で所定時間静置する工程と、
    (c)前記工程(b)の後、前記有核細胞画分中の細胞を培養する工程と、
    を有することを特徴とする細胞培養方法。
  2. 前記工程(c)が、下記工程(c’)であることを特徴とする請求項1記載の細胞培養方法。
    (c’)前記工程(b)の後、前記被検試料から前記有核細胞画分を回収した後、当該有核細胞画分中の細胞を培養する工程。
  3. 前記工程(b)が、下記工程(b’)であることを特徴とする請求項1記載の細胞培養方法。
    (b’)前記被検試料から前記工程(a)において調製された有核細胞画分を回収した後、当該有核細胞画分を、0〜25℃で所定時間静置する工程。
  4. 前記被検試料が血液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の細胞培養方法。
  5. 前記有核細胞画分が、バッフィーコートであることを特徴とする請求項4記載の細胞培養方法。
  6. 前記工程(a)が、下記工程(a’)であることを特徴とする請求項1記載の細胞培養方法。
    (a’)被検試料を多孔質部材に通し、当該多孔質部材上に残留した有核細胞を回収することにより、有核細胞画分を調製する工程。
  7. 前記工程(b)における前記有核細胞画分を静置する時間が、6時間以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の細胞培養方法。
  8. 前記工程(b)における前記有核細胞画分を静置する温度が、4〜20℃であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の細胞培養方法。
  9. 前記工程(c)における細胞の培養を、3次元培養により行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の細胞培養方法。
  10. 前記工程(c)における細胞の培養に用いる培地に、前記被検試料が採取された生物個体の血清が添加されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の細胞培養方法。
  11. 血液中の幹細胞を培養する方法であって、
    (1−a)採血された血液試料を遠心分離処理し、赤血球層とバッフィーコートと液体成分層に分離する工程と、
    (1−b)前記工程(1−a)の後、分離状態を保持したまま、当該血液試料を、0〜25℃で所定時間静置する工程と、
    (1−c)前記工程(1−b)の後、前記血液試料からバッフィーコートを回収し、当該バッフィーコート中の細胞を培養する工程と、
    を有することを特徴とする血液中の幹細胞の培養方法。
  12. 前記工程(1−b)が下記工程(1−b’)であり、前記工程(1−c)が下記工程(1−c’)であることを特徴とする請求項11記載の血液中の幹細胞の培養方法。
    (1−b’)前記工程(1−a)において回収されたバッフィーコートを、0〜25℃で所定時間静置する工程と、
    (1−c’)前記工程(1−b’)の後、当該バッフィーコート中の細胞を培養する工程。
  13. 試料中の有核細胞を培養するために用いられる装置であって、
    被検試料から有核細胞画分を調製する調製機構と、
    前記被検試料から前記有核細胞画分を選択的に回収する回収機構と、
    前記有核細胞画分中の細胞を培養する培養機構と、
    を備えることを特徴とする細胞培養装置。
  14. 前記細胞培養装置が、さらに、前記有核細胞画分を0〜25℃で保持する静置機構を備えることを特徴とする請求項13記載の細胞培養装置。
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