JP2011054498A - 有機機能デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上に形成された有機機能デバイスに侵入する水蒸気や酸素などの気体に対するバリア性を高めた構造を有するための簡便な有機機能デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に有機発光層17を含む下地層を準備する第1工程と、当該下地層の上面に所定の薄膜形成法を用いて第1の無機物膜20Aを形成する第2工程と、第1の無機物膜20Aの表面は、平面領域、段差凸部を有する非平面領域、及び前記非平面領域に近接する近接領域を有し、これらの領域をスパッタリングする第3工程とを含む有機機能デバイスの製造方法であって、第3工程においては、平面領域のスパッタレートA1、非平面領域のスパッタレートA2との関係がA1<A2であることを利用して、スパッタリングによりエッチングされた非平面領域の部材を第2の無機物膜20Bとして上記近接領域に堆積させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、有機機能デバイスの製造方法に関し、特に、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:以下ELと記す)装置の製造方法に関する。
有機EL素子は、少なくとも一方が透明または半透明の一対の電極間に、有機発光材料からなる発光層を含む有機発光層が挟まれた構造を有する。このような構造を有する有機EL素子の一対の電極間に電圧を印加すると、発光層には陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入され、これらが発光層で再結合する。そして、このときに生じるエネルギーにより、発光層中の発光材料が励起され、発光層が発光する。
有機EL素子に代表される有機機能デバイスは、水蒸気や酸素にさらされると劣化してしまう。そのため、有機EL素子では、例えば、ガラス基板などの基板上に、陽極と、発光層を含む有機EL層と、陰極とを順に積層して有機EL素子を形成した後に、窒化珪素や酸窒化珪素などからなる無機物膜を形成する。さらに、無機物膜の表面上に、樹脂からなる樹脂封止膜を形成して有機EL素子全体を被覆することにより、有機EL装置を形成している(特許文献1参照)。
特許文献1では、外界からの水蒸気や酸素の封止を無機物膜で行うとし、無機物膜に存在するピンホール欠陥起因の封止については、樹脂封止膜を無機物膜の上面に形成して、無機物膜上の欠陥を覆うことで、水蒸気や酸素などの気体の透過経路を遮断し、全体のバリア性を向上させて、有機EL素子の劣化を防止するとしている。
特開2000−223264号公報
しかしながら、特許文献1に記載された無機物膜と樹脂封止膜との単純な組み合わせでは、十分な封止性が得られない。
図8を用いて特許文献1に記載された有機EL装置の課題について以下に説明する。図8は、特許文献1に記載された有機EL装置の構造断面図である。同図に記載された有機EL装置100は、反射陽極101、有機発光層102、電子輸送層103、及び透明陰極104がこの順で形成された後、無機物封止膜105が形成されている。さらに、上述した無機物封止膜105までの層とCF基板107とを接合するために、無機物封止膜105の上に樹脂封止膜106が形成されている。この封止構造では、組み合わせで用いられている樹脂封止膜106からの脱ガス成分が存在する為に、無機物封止膜105に存在するピンホール121に起因の気体の透過経路が存在してしまう。また、無機物封止膜105が形成される前の工程で付着した異物122(いわゆるパーティクル)等により、異物周囲の無機物封止膜105に封止欠陥123が存在し、これが発生した気体の透過経路となってしまう。これらの場合には、樹脂封止膜106からの脱ガス成分である気体に対するバリア性を得ることができない。
また、無機物封止膜105に存在するピンホール121や封止欠陥123を修復するため、さらに無機物封止膜105の表面に、無機物封止膜108を形成することが考えられる。
図8は、無機物封止膜の表面に、更なる無機物封止膜を形成した従来の有機EL装置の構造断面図である。同図に記載された無機物封止膜108は、下地層である無機物封止膜105と同じ方法(プラズマCVD法もしくはスパッタリング法)で形成されている。そのため、ピンホール121や封止欠陥123における無機物封止膜105の不連続性は、そのまま反映される。そのため、ピンホール121の内側や異物122の周辺では、無機物封止膜108の被覆性が悪く、ピンホール121や異物122の形状によっては、ピンホール121の内側や異物122の周囲における無機物封止膜108が不連続となり、スリット状の封止欠陥124が発生する。これらの部分は外部からのガスの侵入を許容する為、封止欠陥124の直下及びその周辺部の有機発光層102や透明陰極104が劣化してしまう。
また、通常作製される有機機能デバイスでは、無機物封止膜の形成工程以前に多くの工程があるため、下地層上に異物が多く存在する。よって、無機物封止膜の形成の際にはピンホールなどの欠陥が存在することを前提とする必要がある。そのため、十分な封止性を備えた有機機能デバイスを形成するためには、無機物封止膜のピンホール及び異物に起因する気体の透過経路をなくす必要がある。
上記課題に鑑み、本発明は、基板上に形成された有機機能デバイスに侵入する水蒸気や酸素などの気体に対するバリア性を高めた構造を有する簡便な有機機能デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る有機機能デバイスの製造方法は、基板上に有機機能層を含む下地層を準備する第1工程と、前記下地層の上面に所定の薄膜形成法を用いて平坦膜を形成する第2工程と、前記平坦膜をスパッタリングする第3工程とを含み、前記平坦膜の表面は、平面領域、段差凸部を有する非平面領域、及び前記非平面領域に近接する近接領域を有し、前記第3工程では、前記平面領域のスパッタレートA1、前記非平面領域のスパッタレートA2との関係がA1<A2であることを利用して、前記スパッタリングによりエッチングされた前記非平面領域の部材を前記近接領域に堆積させることを特徴とする。
本発明の有機機能デバイスの製造方法によれば、極めて簡易な工程により、平坦膜を形成する部材を用いて平坦膜に発生した封止欠陥を被覆できる。その結果、上記封止欠陥を介して外部の酸素や水分が有機機能層に侵入するのを防止し、有機機能デバイスの特性を維持し、信頼性、寿命に優れた有機機能デバイスを実現することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る有機EL装置の断面概略図である。 本発明の実施の形態に係る有機EL装置の封止層付近の構造断面図である。 (a)は、領域の形状によりスパッタリングの膜除去効率が異なることを説明する構造断面図である。(b)は、段差近傍における、スパッタリングによる膜除去と膜堆積を説明する構造断面図である。 スパッタリングによる膜除去効率のアルゴンイオン入射角依存性を表すグラフである。 アルゴンイオンが基板面に対して垂直に入射した場合の段差付近のスパッタレート及び堆積レートを表すグラフである。 本発明の実施の形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する工程断面図である。 本発明の有機機能デバイスの製造方法が用いられるTVの外観図である。 特許文献1に記載された有機EL装置の構造断面図である。 無機物封止膜の表面に、更なる無機物封止膜を形成した従来の有機EL装置の構造断面図である。
本発明の一態様に係る有機機能デバイスの製造方法は、基板上に有機機能層を含む下地層を準備する第1工程と、前記下地層の上面に所定の薄膜形成法を用いて平坦膜を形成する第2工程と、前記平坦膜をスパッタリングする第3工程とを含み、前記平坦膜の表面は、平面領域、段差凸部を有する非平面領域、及び前記非平面領域に近接する近接領域を有し、前記第3工程では、前記平面領域のスパッタレートA1、前記非平面領域のスパッタレートA2との関係がA1<A2であることを利用して、前記スパッタリングによりエッチングされた前記非平面領域の部材を前記近接領域に堆積させる。
有機機能デバイス(有機ELディスプレイでは有機EL層、有機半導体では有機半導体層、有機太陽電池では有機光電気変換層)の有機機能層は酸素や水分と反応して、その特性が劣化する。そのため、有機機能層の上方に形成された電極層を、平坦膜である封止層にて被覆して外部からの酸素や水分を遮断する。
しかし、前記電極層を前記封止層にて被覆する際、前記電極層の表面にはごみ等の異物、あるいはピンホール、クラックなどの異常形状部分が存在する。この異物または異常形状部分が存在する状態で、スパッタリング成膜又はCVD成膜法を用いて前記封止層を形成した場合、前記異物または異常形状部分の存在のため、前記異物または異常形状部分により段差形状を有する領域に近接する近接領域には、その他の平面領域と比較して、前記封止層を同じ膜厚で均一に形成することが困難である。即ち、前記封止層は、完全に前記電極層を覆うことにはならず、前記近接領域における前記封止層の欠陥部を残した状態で前記電極層を被覆することになる。
その結果、前記近接領域における前記封止層の欠陥部を介して外気、あるいは封止樹脂からの酸素や水分が前記有機機能層に侵入し、前記デバイスの特性、信頼性が劣化し、デバイス寿命が短くなるという問題がある。
本態様によると、前記下地層の上面に所定の薄膜形成法を用いて平坦膜を形成した後には、前記平坦膜の表面には、平面領域、異物や形状異常部分により段差凸部形状を有する非平面領域、及び前記非平面領域に近接する近接領域が存在しており、スパッタリングによりこれら領域をエッチングする。前記平面領域のスパッタレートA1、前記非平面領域のスパッタレートA2との関係がA1<A2であるので、これを利用して、前記非平面領域は優先的にエッチングされ、該優先的にエッチングされた非平面領域の部材を前記近接領域に堆積させている。
これにより、前記近接領域における前記平坦膜の欠陥部を、上記優先的にエッチングされた非平面領域の部材で被覆することになる。そのため、前記平坦膜を形成する部材を用いて前記欠陥部を埋めるので、前記欠陥部を埋めるための別部材を用意する必要がなく、極めて簡易な工程により、前記下地層を前記平坦膜にて被覆できる。その結果、前記近接領域における前記平坦膜の欠陥部を介して外部の酸素や水分が前記有機機能層に侵入するのを防止し、前記有機機能デバイスの特性を維持し、信頼性、寿命に優れた有機機能デバイスが実現できる。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は、請求項1に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記第3工程では、前記平面領域のスパッタレートをA1、前記非平面領域のスパッタレートをA2、及び前記近接領域のスパッタレートをA3とした場合、A1からA3の関係が、A3<A1<A2であることを利用して、前記エッチングされた前記非平面領域の部材を前記近接領域に堆積させるものである。
本態様によると、前記平面領域のスパッタレートA1、前記非平面領域のスパッタレートA2、及び前記近接領域のスパッタレートA3の関係がA3<A1<A2であるので、これを利用して、前記エッチングされた非平面領域の部材を前記近接領域に堆積させている。
これにより、前記平坦膜の非平面領域をエッチングしたときに生ずる部材にて、前記近接領域における前記平坦膜の欠陥部を埋めることになる。そのため、前記平坦膜を形成する部材を用いて前記欠陥部を埋めるので、前記欠陥部を埋めるための別部材を用意する必要がなく、極めて簡易な工程により、前記下地層を前記平坦膜にて完全に被覆できる。その結果、前記近接領域における前記平坦膜の欠陥部を介して外部の酸素や水分が前記有機発光層に侵入するのを防止し、前記有機発光層の特性を維持し、有機機能デバイスの長寿命化を図ることができる。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は、請求項1に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記第3工程では、前記平面領域のスパッタレートA1がほぼ零となるようなスパッタリング条件でエッチングされた前記非平面領域の部材を、前記近接領域に選択的に堆積させるものである。
本態様によると、前記平面領域のスパッタレートA1がほぼ零であるので、平面領域の表面性形状や組成比などを変化させることなく、前記エッチングされた非平面領域の部材を前記近接領域に堆積させている。また、前記平面領域のスパッタレートA1がほぼ零であるようなスパッタリング条件により、非平面領域でエッチングされた部材の散乱エネルギーも小さいので、当該エッチングされた部材を、選択的に近接領域に堆積させることが可能となる。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記近接領域は、前記平面領域と前記非平面領域との間にあって前記平坦膜の欠陥部を有する領域、または、前記非平面領域で囲まれ前記平坦膜の欠落した領域である。
本態様によると、前記近接領域は、異物などの存在により形成された段差凸部形状を有する非平面領域と平面領域との間であって、前記平坦膜が不連続となっている欠陥部を有する領域であってもよい。また、前記近接領域は、前記平坦膜中に発生したピンホールであってもよい。つまり、当該ピンホールの外周に形成された前記平坦膜端部の段差凸部形状を有する非平面領域で囲まれたピンホール領域であってもよい。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記下地層は、有機機能層である。
本態様によると、前記下地層は、有機機能層そのものであってもよい。該機能層の上にはデバイスとして動作させるためのITOなどの電極が形成されるが、該機能層の上に前記のような異物があった場合でも、本態様によれば電極を均一に成膜できることができる。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記下地層の上面は、前記有機機能層の上方に形成された電極層である。
本態様によると、前記下地層の上面は、前記有機機能層の上方に形成された電極層であってもよい。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は、請求項5に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記有機機能層と前記電極層との間に中間層が介在する。
本態様によると、前記下地層の上面が、前記有機機能層の上方に形成された電極層である場合、前記有機機能層と前記電極層との間に中間層が介在してもよい。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記有機機能層は、一対の電極の間に介在する有機EL発光層である。
本態様によると、前記有機発光層は、一対の電極の間に介在する有機EL発光層であってもよい。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記所定の薄膜形成法は、スパッタリング又はCVD(Chemical Vapor Deposition)法である。
本態様によると、前記所定の薄膜形成法は、スパッタリング又はCVD法であってもよい。スパッタリングまたはCVD法による薄膜形成方法によれば、湿式による塗布膜形成方法、あるいは真空蒸着法による膜と比較して緻密な膜を形成することが可能であり、有機機能デバイスのパッシベーション膜を形成する方法として好適である。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記第3工程は、前記スパッタリングにより前記平坦膜の非平面領域の局部をエッチングするものである。
本態様によると、前記第3工程にて、前記スパッタリングにより前記平坦膜の非平面領域の局部をエッチングさせてもよい。ここに「局部」とは、典型的には角部を示し、このような角部ではスパッタレートが最大となるため、本願発明を実施する上では特に好適な態様である。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記第3工程にて用いられるスパッタリングは、不活性ガスのプラズマ、あるいは、イオンを用いたスパッタリングである。
本態様によると、前記第3工程にて用いられるスパッタリングは、不活性ガスのプラズマ、あるいは、イオンを用いたスパッタリングであってもよい。不活性ガスは、スパッタされた前記下地層の原子、分子と化合物を作る作用がなく、また、それ自体が化学的に不活性であるため、機能デバイスの特性に悪影響を与えることがない。
また、本発明の一態様である有機機能デバイスの製造方法は、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法において、前記平坦膜は、無機物層である。
本態様によると、前記平坦膜は、無機物層であってもよい。このように、前記平坦膜を無機物層とすると、この無機物層の一部をエッチングした部位により、前記近接領域における前記平坦膜の欠陥部を埋めることになるので、前記欠陥部を埋めた部材は水分を含まず、また、アウトガスを発生させることもない。そのため、前記欠陥部を埋めた部材が原因で、前記有機機能層を劣化させるのを防止できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る有機EL装置の断面概略図である。同図に記載された有機EL装置1は、陽極、陰極及び当該両極で挟まれた有機発光層を有する有機EL素子を備えた有機機能デバイスである。有機EL装置1は、一例として、駆動用の薄膜トランジスタ(TFT)などを含むTFT基板11、絶縁性の有機材料からなる平坦化層12、APC(Ag、Pd、Cu合金)からなる反射陽極13、ITO(Indium、Tin、Oxide)からなる下部透明電極14、酸化タングステンからなる正孔注入層15、感光性樹脂からなるバンク16、電界発光可能な有機材料を含む有機発光層17R、17G及び17B、電子輸送層18、ITOからなる透明陰極19、封止層20、樹脂層21及びCF基板22を、この順に積層して構成される。
有機発光層17R、17G及び17Bは、それぞれ、赤色発光する層、緑色発光する層及び青色発光する層であり、例えば、下層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)が60nm、上層としてAlq3(tris−(8−hydroxyquinoline)aluminum)が70nm積層された構造となっている。以降、有機発光層17R、17G及び17Bを、総称して有機発光層17と記す。
透明陰極19は、例えば、下層としてバリウムが10nm、上層としてITOが100nm積層された構造となっている。
上記の反射陽極13/有機発光層17/透明陰極19の構成は、有機EL素子の基本構成であり、反射陽極13と透明陰極19との間に適当な電圧を印加することにより、反射陽極13側から正孔、透明陰極19側から電子がそれぞれ有機発光層17に注入される。これらの注入された正孔及び電子が有機発光層17で再結合して生じるエネルギーにより、有機発光層17中の発光材料が励起され発光する。
正孔注入層15は、正孔注入性の材料を主成分とする層である。正孔注入性の材料とは、反射陽極13側から注入された正孔を安定的に、又は正孔の生成を補助して有機発光層17へ注入する機能を有する材料である。
電子輸送層18は、電子輸送性の材料を主成分とする層である。電子輸送性の材料とは、電子アクセプター性を有し陰イオンになりやすい性質と、発生した電子を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、透明陰極19から有機発光層17までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。
なお、正孔注入層15及び電子輸送層18の材料は本発明では限定されるものではなく、周知の有機材料または無機材料が用いられる。
また、有機EL装置1の構成として、正孔注入層15と有機発光層17との間に、正孔輸送層があってもよいし、電子輸送層18と透明陰極19との間に、電子注入層があってもよい。正孔輸送層とは、正孔輸送性の材料を主成分とする層である。正孔輸送性の材料とは、電子ドナー性を持ち陽イオン(正孔)になりやすい性質と、生じた正孔を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、反射陽極13から有機発光層17までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。また、電子注入層とは、電子注入性の材料を主成分とする層である。電子注入性の材料とは、透明陰極19から注入された電子を安定的に、又は電子の生成を補助して有機発光層17へ注入する機能を有する材料である。
また、下部透明電極14は、膜厚を最適化することにより、有機発光層と反射陽極表面との間の光学的距離を調整する機能を有する。これにより、キャビティ効果に基づいて直接光と反射光とを合わせた出射光が、望ましい強度および色度を持つようにすることができる。ここで、直接光とは、有機発光層17で発生した光の一部が透明陰極19を通して直接出射した光であり、反射光とは、有機発光層17で発生した光の一部が反射陽極で反射した後、透明陰極19を通して出射した光である。
なお、下部透明電極14は、有機EL素子として使用する材料及び性質により、なくてもよい場合がある。
封止層20は、下層である有機発光層17や透明陰極19を水蒸気や酸素から遮断する機能を有する。有機発光層17そのものや透明陰極19が、水蒸気や酸素にさらされることにより劣化(酸化)してしまうことを防止するためである。
樹脂層21は、アクリルまたはエポキシ系の樹脂であり、上述したTFT基板から封止層20までの一体形成された層と、後述するCF基板22とを接合する機能を有する。
CF基板22は、発光パネルの発光表面を保護する基板であり、例えば、厚みが0.5mmである透明の無アルカリガラスである。
カラーフィルタ22R、22G及び22Bは、それぞれ、赤色サブ画素、緑色サブ画素及び青色サブ画素の発光領域を覆うようにCF基板22の下面に形成されており、赤、緑及び青の色調整を行う機能を有する。
次に、本発明の主要部である封止層20について、詳細に説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る有機EL装置の封止層付近の構造断面図である。同図に記載された構造断面図は、図1に記載された断面図の領域Aを拡大したものである。
図1に記載された封止層20は、第1の無機物膜20Aと、第2の無機物膜20Bと、第3の無機物膜20Cとを有する。
第1の無機物膜20Aは、透明陰極19の表面に形成され、上述したように、有機発光層17や透明陰極19を水蒸気や酸素から遮断し保護する機能を有する。第1の無機物膜20Aは、例えば、水蒸気や酸素を透過しない材料である窒化珪素(SiXY)からなり、膜厚は500nmである。特に、第1の無機物膜20Aは、透明陰極19の表面に接して形成されているので、保護膜としての条件を厳しくすることが好ましく、上述したSiXYに代表されるような非酸素系無機物が好ましい。
しかしながら、一般的に、無機物膜の形成をプラズマCVD法(化学的気相成長法)もしくはスパッタリング法により行う場合、第1の無機物膜20A中には、膜の欠落した領域であるピンホール23がわずかながら存在する。ピンホール23は外部からのガスの侵入を許容する為、ピンホール23の直下およびその周辺部の有機発光層17や透明陰極19は、劣化してしまう。
また、有機EL素子は複数の工程から作成される為、工程途中で異物が付着していることが常である。例として、図2中には、透明陰極19を形成する際に付着した異物24が有機発光層17上に位置している。
前述したように、無機物膜の形成がプラズマCVD法もしくはスパッタリング法の場合、段差被覆能力が十分ではない。その為、異物24の周辺では第1の無機物膜20Aの被覆性が悪く、異物24の形状によっては、異物24の周囲に第1の無機物膜20Aが形成されていない部分や、第1の無機物膜20Aが不連続となりスリットが形成される欠陥部が生じる。これらの欠陥部を総称して封止欠陥25と呼ぶ。封止欠陥25はピンホール23と同様に外部からのガスの侵入を許容する為、封止欠陥25の直下およびその周辺部の有機発光層17や透明陰極19が劣化してしまう。
本実施の形態では、第1の無機物膜20Aに形成されているピンホール23の内部及び異物24に起因する封止欠陥25の上部にのみ、第2の無機物膜20Bが配置されている。第2の無機物膜20Bの存在により、ピンホール23や異物24に起因する封止欠陥25を物理的に塞ぐ、もしくは、スリット形成を中断させることが可能となり、有機EL素子は外部からのガス侵入より保護される。
さらに、保護性を十分なものとするために、第1の無機物膜20A及び第2の無機物膜20Bの上には、第3の無機物膜20Cが形成されている。第3の無機物膜20Cは、例えば、窒化珪素(SiXY)からなり、膜厚は500nmである。また、第3の無機物膜20Cは、例えば、酸化珪素(SiXY)や酸窒化珪素(SiXYZ)のような酸素系無機物であってもよい。
また、第3の無機物膜20Cの上には、樹脂層21及びCF基板22が配置されており、有機EL素子を物理的に保護している。
なお、第1の無機物膜20A及び第2の無機物膜20Bの形成により、有機発光層17や透明陰極19を水蒸気や酸素から十分遮断し保護することが可能であれば、第3の無機物膜20Cは、形成しなくてもよい。
ここで、第2の無機物膜20Bが、第1の無機物膜20Aに形成されているピンホール23内部および異物24に起因した封止欠陥25の上部にのみ、第2の無機物膜20Bが形成されている点について、以下に説明する。
第2の無機物膜20Bは、第1の無機物膜20Aまでが形成された基板を、不活性ガス(本実施の形態ではアルゴン)プラズマでスパッタリングすることにより形成される。以下、図3を用いて、第2の無機物膜20Bがスパッタリングにより形成される現象を説明する。
図3(a)は、領域の形状によりスパッタリングの膜除去効率が異なることを説明する構造断面図である。同図に記載されたように、有機機能層を含む下地層が段差を有する場合、当該下地層の表面に積層される平坦膜についても、段差付近にて平坦化されず段差を生じる。しかも、平坦膜の段差付近では、例えば、膜の結晶成長方向が異なることなどによりスリットが発生し、連続した膜成長が抑制された欠陥部を有する領域が形成される。
ここで、段差の発生していない平坦な領域を平面領域と定義し、段差の発生している凸部領域を非平面領域と定義し、上記欠陥部を有する領域、つまり非平面領域に近接し、平面領域と非平面領域との間の領域を近接領域と定義する。
スパッタリング法では、スパッタリングによる膜除去効率(いわゆるスパッタリングイールド)が、平面領域に比べて、段差先端形状部である非平面領域の方が高くなる。これはエネルギーを持ったイオン化粒子の入射範囲が平面領域では180°である(図3の入射範囲P)のに比べて、非平面領域では180°以上(図3の入射範囲Q)となることに起因する。つまり、イオン化粒子の入射範囲が広い領域ほど、イオン化粒子と領域表面との衝突機会が多くなり、このイオン化粒子の衝突により当該領域の膜成分が空間へたたき出される量が多くなる。このため、イオン化粒子の入射範囲が、平面領域より非平面領域の方が広いことに起因して、膜除去効率が平面領域より非平面領域の方が高くなる。
また上記観点から、近接領域では、イオン化粒子の入射範囲が、180°以下(図3の入射範囲R)であり最も狭いので膜除去効率は最低となる。つまり、イオン化粒子の入射範囲は、近接領域<平面領域<非平面領域となる。
ここで、スパッタリングを、平面領域ではほとんどスパッタリングされず、非平面領域のみでスパッタリングされるような条件で実施すると、図3(b)に記載されたような、段差付近における平坦膜の再構成が行われる。
図3(b)は、段差近傍における、スパッタリングによる膜除去と膜堆積を説明する構造断面図である。同図は、平面領域ではスパッタリングされず、平坦膜の非平面領域においてスパッタリングにより除去された膜成分(図中の斜線領域)が、その近傍である近接領域に堆積したことを示している。
図3(b)に記載された非平面領域の膜除去及び近接領域の膜堆積は、図2に記載されたピンホール23及び異物24の近傍において実現される。まず、ピンホール23に接する第1の無機物膜20Aの端部Yや、異物24の周囲に形成された第1の無機物膜20Aの傾斜部Xのみがイオン化粒子によりスパッタリングされる。次に、スパッタリングされた第1の無機物膜20Aの端部Y及び傾斜部Xの構成物である窒化珪素は、スパッタリングされた近傍の下方に再付着(いわゆるリデポジション)し、これが、第2の無機物膜20Bを構成する。第2の無機物膜20Bは、ピンホール23内部及び異物24に起因する封止欠陥25の上部にのみ形成される。
次に、イオン化粒子の入射角度により膜除去効率が変化し、この膜除去効率のイオン化粒子入射角度依存性により、非平面領域における膜除去及び近接領域における膜堆積が実現されることを、図4及び図5を用いて説明する。
図4は、スパッタリングによる膜除去効率のアルゴンイオン入射角依存性を表すグラフである。同図に記載されたグラフは、Cuターゲットにアルゴンイオンを入射したときの膜除去効率を、2体衝突近似に基づくモンテカルロシミュレーションにより導出したものである。
同図に記載されたように、膜除去効率は、アルゴンイオンの入射角が下地平面に対して45°近傍で最高となる。また、下地平面に対してアルゴンイオンが平行入射した場合に、膜除去効率は最低となる。
図5は、アルゴンイオンが基板面に対して垂直に入射した場合の段差付近のスパッタレート及び堆積レートを表すグラフである。
スパッタレートについては、アルゴンイオンが斜め入射する非平面領域においてスパッタレートが最高となる。一方、アルゴンイオンが垂直入射する平面領域においては、スパッタレートは低い。また、近接領域においては、平面領域に比べて、アルゴンイオンの斜め入射成分があるものの、非平面領域から除去された膜成分が堆積されるため、スパッタレートは最低となる。
また、堆積レートについては、平面領域でほとんどスパッタリングされず非平面領域のみでスパッタリングされるようなスパッタリング条件を設定することにより、近接領域でのみ膜堆積が起こる状態が実現される。
また、図2に記載されたピンホール23においては、その外周部は平坦膜の段差凸部が発生している領域であり、当該領域を非平面領域と定義する。また、ピンホール23自体を、平坦膜の連続した膜成長が抑制された欠陥部を有する領域、つまり非平面領域に近接した近接領域と定義する。この場合、近接領域は、非平面領域で囲まれ平坦膜の欠落した領域である。
ピンホール23付近においても、図3〜図5で説明した現象が生じている。つまり、ピンホール23付近では、その外周部である非平面領域のスパッタレートは高く、またピンホール23付近から離れた平坦膜の平面領域ではスパッタレートは低い。このスパッタリングを、平面領域ではほとんどスパッタリングされず、非平面領域のみでスパッタリングされるような条件で実施すると、図2に記載された領域Yが除去され、領域Yの部材が近接領域であるピンホール23に堆積し、ピンホール23内における平坦膜の再構成が行われる。
次に、本発明の実施の形態に係る有機EL装置の製造方法について、図6を用いて説明する。
図6は、本発明の実施の形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する工程断面図である。
まず、図6(a)に示すように、APCからなる反射陽極13、ITOからなる下部透明電極14、酸化タングステンからなる正孔注入層15を、この順に積層する。なお、図示していないが、反射陽極13の下層として、TFT基板11上に、絶縁性の有機材料からなる平坦化層12が形成されている。そして、平坦化層12の上に反射陽極13が形成されている。ここで、反射陽極13は、例えば、まずスパッタリング法により銀合金APCを150nm成膜し、その後、フォトリソグラフィーとウエットエッチングによるパターニング工程を経ることにより形成される。なお、TFT基板11、平坦化層12、下部透明電極14及び正孔注入層15の形成工程は、本発明により限定されるものではない。
次に、正孔注入層15の上に、例えば、真空蒸着法によりα−NPDを60nm、続いてAlq3を70nm積層し、有機発光層17を形成する。
次に、有機発光層17の上に、例えば、真空蒸着法によりバリウムを10nm堆積し、そのまま大気曝露させることなく、スパッタリング法によりITOを100nm積層して透明陰極19を形成する。
透明陰極19の形成の際に、例えば、ITOからなる異物24が発生する。
また、図示していないが、正孔注入層15の形成工程と有機発光層17の形成工程との間に、表面感光性樹脂からなるバンク16が画素間に形成されている。
図6(a)に記載された構成要素及びその形成工程により、発光素子としての機能をもつ有機EL素子が形成される。
なお、正孔注入層15及び電子輸送層18の材料は本発明では限定されるものではなく、周知の有機材料または無機材料が用いられる。また、正孔注入層15及び電子輸送層18は、反射陽極13、有機発光層17及び透明陰極19の材料の組み合わせにより、省略することも可能である。
また、正孔注入層15と有機発光層17との間に、正孔輸送層があってもよいし、電子輸送層18と透明陰極19との間に、電子注入層があってもよい。また、下部透明電極14は、なくてもよい。
次に、図6(b)に示すように、透明陰極19の上に、例えば、プラズマCVD法により窒化珪素を500nm堆積し、第1の無機物膜20Aを形成する。特に、第1の無機物膜20Aは、透明陰極19の表面に接して形成されているので、保護膜としての必要条件を厳しくすることが好ましく、上述した窒化珪素に代表されるような非酸素系無機物が好ましい。
第1の無機物膜20Aの形成の際に、窒化珪素堆積中に発生した膜欠陥であるピンホール23が発生する。
また、異物24の周囲に、段差被覆性が不十分な為に生じる封止欠陥25が発生する。
この状態では、ピンホール23や封止欠陥25を介して、外界からのガスの侵入を許容してしまう為、有機EL素子の封止性が確保できていない。
次に、図6(c)に示すように、ピンホール23を埋めるように、また、封止欠陥25の直上に、第2の無機物膜20Bを形成する。第2の無機物膜20Bの形成工程は、前述したように、図3(b)及び図5に記載した発生原理によるものである。具体的な形成工程は、例えば、以下の通りである。
第1の無機物膜20Aが形成された後、大気曝露させることなく、アルゴンプラズマを用いたスパッタリング法により、第1の無機物膜20Aの平面領域はほとんどスパッタリングされず、段差先端形状部である非平面領域のみがスパッタリングされるような条件でスパッタリングを実行する。例えば、ICP型ドライエッチング装置(チャンバ容積10L)を使用した場合の条件としては、ICPソースとして周波数13.56MHz及び電力1500W、基板バイアスとして周波数3.2MHz及び電力250W、圧力10mTorr、アルゴン流量300sccmで、200secの処理を行う。これにより、ピンホール23に接する第1の無機物膜20Aの端部Y及び異物24上の第1の無機物膜20Aの傾斜部分Xが選択的にスパッタリングされる。
スパッタリングされた第1の無機物膜20Aの構成物である窒化珪素は、スパッタリングされた近傍の下方に再付着し、第2の無機物膜20Bが形成される。
次に、図6(d)に示すように、第1の無機物膜20A及び第2の無機物膜20Bの上に、例えば、プラズマCVD法により窒化珪素を500nm堆積し、第3の無機物膜20Cを形成する。また、第3の無機物膜20Cは、例えば、酸化珪素(SiXY)や酸窒化珪素(SiXYZ)のような酸素系無機物であってもよい。
次に、第3の無機物膜20Cの表面に、樹脂層21となる封止用樹脂21Aを塗布する。
次に、カラーフィルタ22R、22G及び22Bが形成された面を下方にして、CF基板22を、塗布された封止用樹脂21A上に配置する。
最後に、CF基板22の上面側から下方に加圧し、熱またはエネルギー線を付加して、CF基板22と第3の無機物膜20Cとを接着する樹脂層21を形成する。
なお、第1の無機物膜20A及び第2の無機物膜20Bの形成により、有機発光層17や透明陰極19を水蒸気や酸素から十分遮断し保護することが可能であれば、第3の無機物膜20Cは、形成しなくてもよい。
また、本発明の有機EL装置の製造方法において、第2の無機物膜20Bを形成する工程は、図6(c)で説明したスパッタリング条件に限定されるものではない。平面領域がスパッタリングされず、非平面領域が選択的にスパッタリングされるような条件であれば、スパッタ装置や、適用する有機機能デバイスの構造に応じて、スパッタリング条件のパラメータを最適化することが好ましい。
但し、平面領域のスパッタレートを増加させる方向の条件については、有機機能デバイス自体の損傷を発生させる恐れがあるので留意することが好ましい。例えば、この条件としては、基板バイアスを増加させる方向の条件、例えば、(1)基板バイアスを低周波バイアスもしくはDCバイアスにする、(2)基板バイアス電力を増加させる、などが該当する。
なお、図6(c)で説明したスパッタリングによる第2の無機物膜20Bを形成せず、第3の無機物膜20Cを形成して、封止性向上を目論んだ場合には、本発明の製造方法を実行して得られる有機機能デバイスの封止性は得られない。この場合、第1の無機物膜20Aと第3の無機物膜20Cとは同じ成膜方法(プラズマCVD法もしくはスパッタリング法)で形成されている。そのため、ピンホールや封止欠陥における第1の無機物膜20Aの不連続性は、そのまま第3の無機物膜20Cに反映される。そのため、ピンホールの内側や異物の周辺では、第3の無機物膜20Cにおいても被覆性が悪く、ピンホールや異物の形状によっては、ピンホールの内側や異物の周囲における第3の無機物膜20Cが不連続となり、スリット状の封止欠陥が発生する。これらの部分は外部からのガスの侵入を許容する為、封止欠陥の直下及びその周辺部の有機発光層や透明陰極が劣化してしまう。
以上のように、本発明の実施の形態に係る有機機能デバイスの製造方法によると、有機機能素子である下地層の上面に所定の薄膜形成法を用いて平坦膜を形成した後には、当該平坦膜の表面には、平面領域、異物や形状異常部分により段差凸部形状を有する非平面領域、及び前記非平面領域に近接する近接領域が存在しており、スパッタリングによりこれら領域をエッチングする。このとき、平面領域のスパッタレートA1、非平面領域のスパッタレートA2との関係がA1<A2であるので、これを利用して、非平面領域は優先的にエッチングされ、該優先的にエッチングされた非平面領域の部材を近接領域に堆積させている。
これにより、近接領域における平坦膜の欠陥部を、上記優先的にエッチングされた非平面領域の部材で被覆することになる。そのため、平坦膜を形成する部材を用いて欠陥部を埋めるので、当該欠陥部を埋めるための別部材を用意する必要がなく、極めて簡易な工程により、下地層を平坦膜にて被覆できる。その結果、近接領域における平坦膜の欠陥部を介して外部の酸素や水分が有機機能層に侵入するのを防止し、有機機能デバイスの特性を維持し、信頼性、寿命に優れた有機機能デバイスが実現できる。
なお、本発明に係る有機機能デバイスの製造方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。上述した実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る表示装置及び表示評価装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
例えば、本発明の有機機能デバイスの製造方法は、上述した実施の形態のように、透明陰極などの電極層の上に形成された封止膜の封止性を向上させるために適用されるだけでなく、電極層自体の被覆性を向上させるために適用することが可能である。つまり、ITOなどの金属酸化物薄膜を用いた電極層には、封止層と同様に、ピンホールや下地層である有機機能層の段差による欠陥部が存在し得る。この場合、例えば、電極層形成後に、当該電極層を大気曝露させることなく、アルゴンプラズマを用いたスパッタリング法により、平面領域はほとんどスパッタリングされず、段差先端形状部である非平面領域のみがスパッタリングされるような条件でスパッタリングを実行する。これにより、有機機能層を電極層にて被覆できる。その結果、欠陥部を介して外部の酸素や水分が有機機能層に侵入するのを防止し、有機機能デバイスの特性を維持し、信頼性、寿命に優れた有機機能デバイスが実現できる。
また、上述した実施の形態では、第1〜第3の無機物膜として、SiXY、SiXY、及びSiXYZを例示したが、当該無機物膜として、SiC、SiXYZ、SiXYZも含まれる。
また、本発明は、実施の形態で説明した有機EL素子を有する有機EL装置だけでなく、有機半導体及び有機太陽電池にも適用される。有機半導体の場合には、実施の形態で説明した有機発光層17を有機半導体層とし、当該層の上に無機物からなる封止層を形成する際に、本発明の有機機能デバイスの製造方法を適用する。
また、有機太陽電池の場合には、実施の形態で説明した有機発光層17を有機光電気変換層とし、当該層の上に無機物からなる封止層を形成する際に、本発明の有機機能デバイスの製造方法を適用する。
つまり、有機半導体及び有機太陽電池においては、図6に記載された本発明の実施の形態に係る有機機能デバイスの製造方法の工程断面図において、図6(a)及び図6(d)は、各デバイスの構成及び機能に応じて異なるが、本発明の主要部である図6(b)及び図6(c)は共通である。
また、例えば、本発明に係る有機機能デバイスの製造方法は、図7に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明に係る有機機能デバイスの製造方法により、信頼性、寿命に優れた有機ELディスプレイを備えた薄型フラットTVが実現される。
本発明は、特に有機EL装置を内蔵する有機ELフラットパネルディスプレイ及び有機光電気変換装置を内蔵する有機太陽電池の製造方法に有用であり、高品質及び長寿命が要求される有機機能デバイスの製造方法として用いるのに最適である。
1、100 有機EL装置
11 TFT基板
12 平坦化層
13、101 反射陽極
14 下部透明電極
15 正孔注入層
16 バンク
17、17B、17G、17R、102 有機発光層
18、103 電子輸送層
19、104 透明陰極
20 封止層
20A 第1の無機物膜
20B 第2の無機物膜
20C 第3の無機物膜
21 樹脂層
22、107 CF基板
22B、22G、22R カラーフィルタ
23、121 ピンホール
24、122 異物
25、123、124 封止欠陥
105、108 無機物封止膜
106 樹脂封止膜

Claims (12)

  1. 基板上に有機機能層を含む下地層を準備する第1工程と、
    前記下地層の上面に所定の薄膜形成法を用いて平坦膜を形成する第2工程と、
    前記平坦膜をスパッタリングする第3工程とを含み、
    前記平坦膜の表面は、平面領域、段差凸部を有する非平面領域、及び前記非平面領域に近接する近接領域を有し、
    前記第3工程では、前記平面領域のスパッタレートA1、前記非平面領域のスパッタレートA2との関係がA1<A2であることを利用して、前記スパッタリングによりエッチングされた前記非平面領域の部材を前記近接領域に堆積させる
    有機機能デバイスの製造方法。
  2. 前記第3工程では、
    前記平面領域のスパッタレートをA1、前記非平面領域のスパッタレートをA2、及び前記近接領域のスパッタレートをA3とした場合、
    A1からA3の関係が、A3<A1<A2であることを利用して、前記エッチングされた前記非平面領域の部材を前記近接領域に堆積させる
    請求項1に記載の有機機能デバイスの製造方法。
  3. 前記第3工程では、
    前記平面領域のスパッタレートA1がほぼ零となるようなスパッタリング条件でエッチングされた前記非平面領域の部材を、前記近接領域に選択的に堆積させる
    請求項1に記載の有機機能デバイスの製造方法。
  4. 前記近接領域は、
    前記平面領域と前記非平面領域との間にあって前記平坦膜の欠陥部を有する領域、または、前記非平面領域で囲まれ前記平坦膜の欠落した領域である
    請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法。
  5. 前記下地層は、有機機能層である
    請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法。
  6. 前記下地層の上面は、前記有機機能層の上方に形成された電極層である
    請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法。
  7. 前記有機機能層と前記電極層との間に中間層が介在する
    請求項5に記載の有機機能デバイスの製造方法。
  8. 前記有機機能層は、一対の電極の間に介在する有機EL発光層である
    請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法。
  9. 前記所定の薄膜形成法は、スパッタリング又はCVD(Chemical Vapor Deposition)法である
    請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法。
  10. 前記第3工程は、前記スパッタリングにより前記平坦膜の非平面領域の局部をエッチングする
    請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法。
  11. 前記第3工程にて用いられるスパッタリングは、不活性ガスのプラズマ、あるいは、イオンを用いたスパッタリングである
    請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法。
  12. 前記平坦膜は、無機物層である
    請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機機能デバイスの製造方法。
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