JP2011022002A - 抗癌剤候補物質の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の方法に比べて、より臨床病態を反映した評価をすることが可能な抗癌剤候補物質の評価方法を提供する。
【解決手段】非ヒト哺乳類担癌モデル動物としてラットを用いる抗癌剤候補物質の評価方法であって、抗癌剤候補物質の薬効薬理を評価する工程、薬物動態を評価する工程および安全性を評価する工程を同一個体のラットで行うことを特徴とする抗癌剤候補物質の評価方法である。ラットが免疫不全もしくは免疫無防備状態であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、抗癌剤候補物質の評価方法に関し、詳しくは抗癌剤候補物質の薬効薬理を評価する工程、薬物動態を評価する工程および安全性を評価する工程を同一個体のラットを用いて行うことを特徴とする抗癌剤候補物質の評価方法に関する。
新規の抗癌剤の開発においては、図2に示すように、まず、癌細胞などに対するある一定の効果の発現などを基準としてスクリーニング2が行われ、候補物質がピックアップされる。得られた抗癌剤候補物質は、ヒトにおける臨床試験8に移行する前に、マウス、ラット、イヌ、ウサギなどの非ヒト哺乳類を用いた非臨床試験3において、薬効薬理、薬物動態(ADME/PK−PD)および毒性・安全性について試験される必要がある。
非臨床試験において、抗癌剤候補物質の物理化学的性質の分析(化学的分析4)のほか、安全性(毒性試験5)、有効性(薬理試験6)および薬物動態(ADME/PK−PD7)の評価がなされる。具体的には、候補物質の生体内での挙動、発揮する効果の種類と程度、そして、副作用の種類とその程度などが調べられる。非臨床試験の結果は総合的に評価され、臨床試験に移行するかどうかの決定がなされる。非臨床試験において得られたデータ、試験内容および評価項目は、臨床試験に進むための評価資料に用いられる。非臨床試験の具体的な方法は、非特許文献1に詳しく記載されている。また、特許文献1には、ヒトから採取した腫瘍細胞が移植された、造血器腫瘍患者由来の病的特徴を有する免疫不全哺乳動物、および該哺乳動物を用いた、薬剤の評価方法が開示されている。
特開2004−337050号公報
野村護、堀井郁夫、吉田武美編「非臨床試験マニュアル」株式会社エル・アイ・シー 2001年
上記非臨床試験のうち、従来から薬効薬理試験では、癌細胞を有する担癌動物が用いられる一方で、薬物動態試験と安全性試験については、癌細胞を有しない健常動物が用いられている。すなわち、薬効薬理試験、薬物動態試験、安全性試験がそれぞれ別のモデル動物個体を用いて行われるため、従来の非臨床試験では、抗癌剤候補物質の評価をそれぞれの試験から総合的に判断するしかなく、基準に統一性がみられなかった。
また、非臨床試験において、的確な薬剤の評価のためには、臨床病態を反映した動物モデルを使用することが望ましいが、薬効薬理試験において一般的に使用されるマウスでは、臨床病態を反映した動物モデルの作製が困難であり、個体の大きさも小さいことから、薬物動態試験を行うにも、長期間および多数回の採血などに耐えないという問題があった。
さらに、臨床試験では、有効率と延命効果、QOLを併せて評価しているのに対して、現在の非臨床試験においては、ヒト由来の癌が非ヒト哺乳類内において転移を起こしにくく、延命効果を指標としにくい為、腫瘍消失、縮小による有効率のみで評価されている。そのため、非臨床試験における有効性と臨床試験における有効性の間に相関性が見られないことがあるという問題があった。また、特許文献1には、同一個体のラットを用いて、薬効薬理を評価する工程、薬物動態を評価する工程および安全性を評価する工程を行うことについての記載がされてない。また、抗癌剤候補物質の安全性・効果等の検討中に問題が見いだされた場合は、開発が中止される可能性があり、それまでの研究開発投資が無駄になってしまう。これを回避するためには、より早い段階で候補物質を臨床試験に進められるか否かを判断できるデータを得ることが求められている。
そこで本発明の目的は、従来の抗癌剤の評価法と比較して、より臨床病態を反映した評価系を導入することが可能な抗癌剤候補物質の評価方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ヒト癌を移植されたラットを用いて、抗癌剤候補物質の薬効薬理を評価する工程、薬物動態を評価する工程および安全性を評価する工程を同一個体上で行うことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の抗癌剤候補物質の評価方法は、非ヒト哺乳類担癌モデル動物としてラットを用いる抗癌剤候補物質の評価方法であって、抗癌剤候補物質の薬効薬理を評価する工程、薬物動態を評価する工程および安全性を評価する工程を同一個体のラットで行うことを特徴とするものである。
また、本発明の抗癌剤候補物質の評価方法は、前記ラットが、免疫不全もしくは免疫無防備状態であることが好ましい。
さらに、本発明の抗癌剤候補物質の評価方法は、前記ラットが、ヒト由来の癌細胞を同所移植されたラットであることが好ましい。
さらにまた、本発明の抗癌剤候補物質の評価方法は、前記癌細胞が固形癌由来であることが好ましい。
また、本発明の抗癌剤候補物質の評価方法は、前記薬効薬理を評価する工程が、ラットのX線撮影、PET、CTまたはMRIによる腫瘍縮小効果の評価により行われることが好ましい。
さらに、本発明の抗癌剤候補物質の評価方法は、前記X線撮影が、ラットに抗癌剤候補物質を投与した日と、前回のラットのX線撮影日から5日〜28日空けた日毎に、それぞれ行われることが好ましい。
さらにまた、本発明の抗癌剤候補物質の評価方法は、前記安全性を評価する工程が、前記薬効薬理を評価する工程の合間に行われることが好ましい。
また、本発明の抗癌剤候補物質の評価方法は、前記安全性を評価する工程が、ラット一個体あたり、0.02〜0.4mlの血液を採取して行われることが好ましい。
本発明により、抗癌剤開発において、抗癌剤候補物質の薬効薬理、薬物動態および安全性に関して統一的で、より臨床病態を反映した評価をすることが可能になり、また、評価試験のコストや、評価期間の短縮を図ることができる。さらに、図1に示すように、候補物質の非臨床試験に入る前の早期評価系9として本発明に係る方法を採用することも可能である。本発明の方法を早期評価系として用いることで、コストのかかる非臨床試験に移行するか否かの判断材料を、より少ない個体を用いた簡便な方法により短期間で提供することが可能になる。
図1は非臨床試験前の早期評価系の位置づけを示した説明図である。 図2は抗癌剤候補物質のスクリーニングから臨床試験に至るまでを示した説明図である。
本発明において使用されるラットは、癌細胞を移植されたラットであり、非臨床試験、前臨床試験で一般的に使用されるラットであればどのような系統のものでもよく、例えば、BN/CrlCrlj(Brown Norway)、Crl:CD(SD)、Crlj:WI(Wistar)、Crl:WI(Han)、Crlj:ZUC−Leprfa(Zucker)、F344/DuCrlCrlj(Fischer)、LEW/CrlCrlj(Lewis)、SHR/NCrlCrlj、WKY/NCrlCrlj、ZDF−Leprfa/CrlCrlj(ZDF)、Iar:Copenhagen(コペンハーゲンラット)、Wistar−Imamichi系(Iar:Wistar)ラット、WIARラット、Long−Evansラット、ACIラットなどが挙げられる。特に非臨床試験において使用例が多いF344系統のものが、これまでの試験データ蓄積の点から好ましい。
本発明において使用されるラットは、免疫不全であること、もしくは、免疫無防備状態であることが、移植された癌細胞の生着のために好ましい。ヒト癌細胞を移植すると、免疫不全ラットであれば、ラット体内で臨床癌に近い浸潤・転移パターンを示すほか、癌腫により悪疫質、腹膜播種、各臓器のリンパ節への転移等、臨床病態に近い情報を提供しうる。
免疫無防備状態のラットは、先天的に免疫不全であるラット(ヌードラットなど)を用いるほか、ラットを免疫無防備状態にする種々の方法、例えば抗生物質保護下での非致死線量の照射、多量のコロイド懸濁液の静脈内接種による免疫系の遮断、胸腺の除去、腎上体コルチコイド系ステロイド(corticoid over renal steroids)又は抗リンパ球血清又は免疫抑制剤(シクロホスファミドなど)又はシクロスポリンの投与など、異種移植組織に対する特異的な寛容を誘導する免疫反応性抑制薬剤の投与などによって得られる。例えば、体重130g程度のルイスラットに、メチルプレドニゾロンアセテートを、第1週5mg/ラット、第2週4mg/ラット、以後2.5mg/ラットの用量で投与して免疫抑制することにより免疫無防備状態のラットを作製することができる。
本発明において使用されるラットは、ヒト由来の癌細胞が同所移植されたものであることが好ましい。癌細胞には、腫瘍細胞、腫瘍塊や、白血病細胞、骨髄腫などの血液癌なども含まれる。また本発明において使用されるラットは、癌患者から採取した癌細胞を直接移植されたものでも、培養を経た癌細胞を移植されたものでもよい。同所移植とは、腫瘍細胞、癌細胞または腫瘍塊などを、その腫瘍細胞などが由来する部位へ外科的同所移植(SOI)などにより移植もしくは接種することである。具体例としては、ヒトの肺癌由来の癌細胞であればラット気管支もしくは肺内へ移植すること、ヒトの胃癌由来の癌細胞もしくは腫瘍塊であればラットの胃壁へ移植すること、ヒトの大腸癌由来の癌細胞もしくは腫瘍塊であればラットの大腸や盲腸などへ移植すること、ヒトの腎癌由来の癌細胞もしくは腫瘍塊であればラットの腎皮膜下へ移植、接種することなどが挙げられる。骨転移しやすいヒト乳癌、前立腺癌、肺癌であれば、ラットの心臓注入、骨への直接接種することがあげられる。
同所移植されたラットを用いることで、抗癌剤の癌細胞に対する増殖、進行への影響をより的確に評価することができるだけでなく、癌細胞と臓器特異的な微小環境条件における宿主への影響などを、総合的に解析できるという利点があるため好ましい。
本発明で評価される抗癌剤候補物質には、抗癌作用が期待されるあらゆる物質が含まれ、化学合成によるものでも、ペプチド、抗体、RNAなどの生物製剤であってもよい。また、ラットへの処方方法は特に限定されず、例えば、経口、静脈注射などであってもよい。
抗癌剤候補物質の薬効薬理を評価する工程は抗癌剤候補物質の効能・効果を確認、裏付けする為の試験工程である。ラットへの抗癌剤投与方法は、その後の承認申請や臨床試験におけるものと同様にすることが好ましいので、具体的な試験方法は、各候補物質に合わせて異なることになる。例えば、目視、X−線撮影、PET(ポジトロン放出断層撮影)、CT、MRIなどによる腫瘍の縮小効果の観察や、消化器癌に対するCEA(癌胎児性抗原)、前立腺癌に対するPSA(前立腺特異的抗原)などの分子腫瘍マーカーの血中濃度の増減の測定など、あるいはそれらの組み合わせにより、抗癌剤候補物質の抗腫瘍効果を評価する。
標的病変における客観的腫瘍縮小効果の判定基準として、例えば、すべての標的病変の消失を完全奏功(complete response; CR)とし、ベースライン長径和と比較し標的病変の最長径の和が30%以上減少した場合を部分奏功(partial response; PR)とし、治療開始以降に記録された最小の最長径の和と比較し標的病変の最長径の和が20%以上増加した場合を進行(progressive desease; PD)とし、PRとするには腫瘍の縮小が不十分で、かつPDとするには治療開始以降の最小の最長径の和に比して腫瘍の増大が不十分な場合を安定(stable disease; SD)と定義する、WHOハンドブックの基準およびそれを踏襲した固形癌の治療効果判定のためのガイドライン(RECIST)があり、これに準拠して評価する。
また、ヒト由来の癌細胞が同所移植された免疫無防備状態のラットを用いる場合、癌転移に対する抗癌剤候補物質の効果も調べることができ、有効率のみならず、延命効果を評価指標とすることが可能であり、これを用いて評価する。
抗癌剤候補物質の薬物動態を評価する工程には、PK試験(Pharmacokinetic study)とも呼ばれる、ラット体内における抗癌剤候補物質の吸収(absorption)、分布(distribution)、代謝(metabolism)、排泄(excretion)などを検討するADME試験、および、抗癌剤候補物質の用量や薬物濃度と効果との関連を調べることを目的とする薬力学試験(pharmacodynamic study; PD)、および、それらを組み合わせたPK/PD試験が含まれる。薬物動態試験と薬力学試験の手法を組み合わせたPK/PD試験では、血中濃度と薬力学的作用の程度および発現の時間との関係を特徴づけることができる。また、毒性試験と薬物動態を調べることを目的としたTK試験も含まれる。
試験方法の概要の一例を説明すると次のようになる。本発明で使用される担癌ラットに抗癌剤候補物質を投与し、血液、又は他の体液又は組織又は排泄物(尿又は糞)を投与後の異なる時点で採取する。投与した抗癌剤候補物質またはその代謝物の濃度は、HPLCなどの適当な分析法により測定し、次いで、データは通常コンピュータプログラムにより分析する。
また、評価試験項目の具体例として、例えば、全身クリアランス、腎クリアランス、胆汁クリアランス、生物学的利用能、分布容積、最大代謝率、組織と血液または組織と血漿間の分配係数、尿中未変化体排泄率、薬物の代謝産物への全身変換率、排出速度定数、半減期、血球移行、血漿タンパク質結合などが挙げられる。
上記吸収(absorption)とは、投与部位から体循環への抗癌剤候補物質の取り込み過程を意味する。経口吸収と呼ばれる、腸管腔を介した抗癌剤候補物質の移行と、一般吸収と呼ばれる、外部の生理的障壁を介した抗癌剤候補物質の移行などがある。吸収試験の具体例としては、放射性標識をした、あるいは、非標識性の抗癌剤候補物質をラットに投与し、同一個体のラットからの経時採血による血漿中総放射能濃度、未変化体濃度およびその代謝物濃度からファーマコキネティック・パラメーターの測定などが挙げられる。また、消化管ループ法による吸収部位の探索などがある。
上記分布(distribution)とは、抗癌剤候補物質の、投与部位から体循環全体、細胞外液および細胞内液ならびに組織への移行を意味する。分布試験の具体例としては、放射性標識をした、あるいは、非標識性の抗癌剤候補物質をラットに投与し、Tmax、排泄終了までを含むいくつかの経時ポイントにおける各組織内濃度の血漿中濃度に対する比とその経時的変化の測定や、全身オートラジオグラフィーによる全体分布、組織への蓄積性や組織内の放射能の局在の検討、ミクロオートラジオグラフィーによる標的組織における微細レベルの放射能分布の検討などがある。
上記代謝(metabolism)とは、ラットの生体内で生じる、抗癌剤候補物質のの生体内変換に関する全化学反応の総和を意味する。代謝試験方法としては、HPLCやLC−MS/MSなどを用いて、血漿、尿、胆汁および組織中の未変化体、代謝物のプロファイルおよびそれらの存在比率の分析などが挙げられる。
上記排泄(excretion)とは、ラット体内からの抗癌剤候補物質の最終的な排除もしくは消失を意味する。抗癌剤候補物質は、腎臓を介して尿中に、胆汁もしくは腸を介して糞便中に、未変化体で、または代謝産物として排泄される。抗癌剤候補物質が揮発性化合物である場合、肺によって呼気中にも排泄される。排泄試験方法としては、尿、糞、呼気および胆汁中における排泄率の測定、薬物およびその代謝物の排泄経路の検討、吸収率および排泄速度の測定の検討などが挙げられる。
上記薬力学試験(pharmacodynamic study; PD)とは、組織に分布して作用部位に到達した薬物が、生体の機能を修飾し薬理作用を発現する時間的変化を定量的に調べる試験である。上記薬力学試験では、通常、ある時間経過でのラットの体内における抗癌剤候補物質の活性を測定する。活性は、例えば、抗癌剤候補物質のラットへの投与後の腫瘍の縮小の目視による観察、又はPET、MRIなどの撮影による観察などにより分析することができる。該抗癌剤候補物質の活性は生化学的手段によっても測定できる。これは該化合物と標的との相互作用の直接測定か又は薬力学的活性の指標となりうる腫瘍マーカーの測定のいずれかを含む。
抗癌剤候補物質の安全性を評価する工程は、一般に、毒性試験、安全性薬理試験とも称され、ある時間経過での体内の毒性活性を調べる評価・試験工程である。ヒトで行われる臨床試験に移行する前に、安全性を予測するために必要であり、生命維持機能に及ぼす重篤な影響を対象とするコアバッテリー試験とその他の安全性薬理試験が含まれる。これらの試験は候補物質の単回投与反復投与又は、長期間(通常2週間から2年)投与が行われる。投与経路は、予想される臨床経路を可能な限り採用するのが好ましい。投与経路と関係なく、情報が得られる場合には、親化合物および主要代謝物の曝露量は、ヒトで到達する曝露量と同程度かそれ以上とするのが好ましい。投与の後、候補物質の毒性活性を被験ラットの臨床的外観など、病的状態の肉眼的観察によるモニター、死亡率、体重減少又は一般的活動性(例えば、運動、探索的活動、睡眠時間など)の測定、食物や飲水の消費量、尿および/又は糞の外観などにより決定することができる。また、ラットから血液を採取して、血漿中のBUN(Blood urea nitrogen:血液尿素窒素)やクレアチニンを指標に腎毒性を評価することも含まれる。ラットから血液を採取する場合は、ラットへの負担を考慮して、一回当たり0.02〜0.4mlの採取量が好ましい。
上記コアバッテリー試験としては、痙攣、意識障害、運動量、行動変化、協調性、感覚・運動反射反応および体温など、中枢神経機能に及ぼす有害反応に関する試験、不整脈、ショック、血圧、心拍数、心電図など、心血管機能に及ぼす有害反応に関する試験、呼吸数、一回換気量やヘモグロビン酸素飽和度など、呼吸器系に及ぼす有害反応に関する試験、泌尿器系に及ぼす有害反応としての水および電解質代謝に対する作用に関する試験などが挙げられる。
本発明の抗癌剤候補物質の評価方法の工程の概要例を説明する。本発明は、図2に示す、毒性試験5(安全性を評価する工程)、薬理試験6(薬効薬理を評価する工程)およびADME/PK−PD7(薬物動態を評価する工程)を同一個体のラット上で行うことを特徴とするものである。本発明において、薬効薬理を評価する工程が抗癌剤候補物質投与直後から定期的に行う必要があり、最も時間を要するものであるから、試験スケジュールを決定する上で、中心となるものである。安全性を評価する工程および薬物動態を評価する工程は、薬効薬理を評価する工程と並行して行うか、薬効薬理を評価する工程の合間、つまり薬効薬理を評価する工程が行われない日に単発で行うか、もしくは、他の工程が終了した後に行うことになる。各工程は互いの工程と日時が被らないように、また、試験が連続することに依るラットへの負担を考慮した上で適宜行われる。但し、これらの工程を同日に行うことを排除するものではない。
抗癌剤候補物質の薬効薬理を評価する工程は、抗癌剤投与直後から、定期的なX線撮影により行うことがラットへの負担が小さく好ましい。例えば、最初の抗癌剤候補物質の投与直後から、5日〜28日空けた日毎のラットのX線撮影、PET、CTまたはMRIにより、腫瘍の縮小効果を観察することにより薬効を簡便に評価することができる。安全性を評価する工程は、血液を採取して行うのであれば、抗癌剤候補物質投与後、3日〜10日後に血液を採取することが安全性を的確に評価できるため、且つラットへの負担を考慮すると好ましい。安全性を評価する工程を、被験ラットの臨床的外観など、病的状態の肉眼的観察によるモニター、死亡率、体重減少又は一般的活動性(例えば、運動、探索的活動、睡眠時間など)の測定、食物や飲水の消費量、尿および/又は糞の外観などにより決定する場合は、被験ラットに与える負担が小さいので、本発明の評価方法においては、他の評価工程と並行して行うことが可能であり、抗癌剤投与後何日後に行ってもよい。薬物動態を評価する工程は、薬効を評価する工程の合間に、例えば、最初の抗癌剤候補物質の投与直後から経時的に血液を採取して候補物質の血中濃度を測定してもよいし、薬効薬理を評価する工程が終了した後に,改めてラットに抗癌剤候補物質を投与して薬物動態を評価する工程を行ってもよい。
また、図1に示すように、候補物質の非臨床試験に入る前の早期評価系9として本発明に係る方法を採用する場合も上記と同様に各試験を行うことができる。但し、この場合は、素早く簡便に非臨床試験に移行するかどうかの判断材料を得るのが目的になるため、使用するラットは非臨床試験の場合より少なく、好ましくは、10〜20匹である。このように早期評価系として本発明を用いることで、候補物質の安全性・効果等について信頼性のある情報を素早く得ることができ、候補物質に問題がある場合に早期に開発を中止することができるためコスト削減を図ることが可能となる。
[評価方法]
ペントバルビタール麻酔下、8週齢の雄性F344/nu/nuの免疫不全ラットを開腹し、胃壁に2×10個/20μlのヒト胃癌細胞ST−34を移植した(Day0)。移植して7日目に、再開腹し、生着を確認した後、翌日から4日間隔で3回(Day8,12,16))、抗癌剤・シスプラチン(CDDP)3.5mg/kg(0.1ml/100g体重)を尾静脈内に投与した。対照群には5匹、CDDP投与群には10匹を用いた。CDDPの効果は、軟X−線装置を用いて、1回/週の割合で撮影した(Day8,15,22,29,36,43)。安全性試験として、3回投与した5日目(Day21)に鎖骨下静脈より、血液0.2mlを採取して、腎毒性、血液学的検査、血液生化学的検査を行った。また、初回投与日から42日目に、CDDP3.5mg/kgを尾静脈内投与して、経時的(投与直後、1、2、4、6、24時間)に血液を採取して、CDDPの血中濃度を原子吸光法により測定した。さらに、X−線撮影したDay22に、CDDPを投与した半数のラットを麻酔下に安楽死させて各臓器を病理学的検査および臓器分布測定に供し、CDDPの安全性、薬物動態について検討した。同時に胃癌の増殖、進展状況についても検討した。
[評価結果]
1) CDDPのST−34に対する効果を軟X−線を用いて評価した。その結果、初回投与日から2週後、RECIST評価によりPRに至り、以後、3週間、剖検日まで効果が持続した。また、剖検日に胃を取り出して胃癌の増殖状況、他臓器への浸潤・転移状況を肉眼的に観察した。その結果、胃癌の重量は、CDDPを投与した郡のラットにおいて有意に軽く、重量においても効果を確認することができた。また、対照群においては、所属リンパ節並びに肝臓に転移による腫大した結節が認められた。
2) CDDPによる腎毒性を、血漿を用いたBUNを指標にして評価した。その結果、
CDDP投与郡のBUN値は、対照群のBUN値に比べて、有意に上昇し、CDDPの腎障害を認めた。また、胃内の食物事摂取量も多く、嘔吐毒性の指標となることが推定された。血液学的検査では、CDDPによる白血球、赤血球への影響はこの投与スケジュールではみとめられなかったが、血液生化学的検査では、K、Mgなどの無機物に変動が認められたが、その他の生化学的変動は認められなかった。
3) CDDPによる各臓器に及ぼす影響を病理組織学的に検討した。その結果、CDDPは、腎臓、精巣、消化管への障害が認められた。しかしながら、この投与スケジュールでは、重篤な障害は認められなかった。さらに各臓器へのCDDPの分布量を原子吸光法により検討した。血漿中濃度に比べて、腎、肝、皮膚に多く分布し、また、骨への分布量も高かった。
また本実施例において、血液の採取過多など、複数の評価試験を行ったことが原因と思われるラットの死亡例はなかった。

Claims (8)

  1. 非ヒト哺乳類担癌モデル動物としてラットを用いる抗癌剤候補物質の評価方法であって、抗癌剤候補物質の薬効薬理を評価する工程、薬物動態を評価する工程および安全性を評価する工程を同一個体のラットで行うことを特徴とする抗癌剤候補物質の評価方法。
  2. 前記ラットが、免疫不全もしくは免疫無防備状態である請求項1記載の抗癌剤候補物質の評価方法。
  3. 前記ラットが、ヒト由来の癌細胞を同所移植されたラットである請求項2記載の抗癌剤候補物質の評価方法。
  4. 前記癌細胞が固形癌由来である請求項3記載の抗癌剤候補物質の評価方法。
  5. 前記薬効薬理を評価する工程が、ラットのX線撮影、PET、CTおよびMRIからなる群から選ばれる1種以上の方法による腫瘍縮小効果の評価により行われる請求項4記載の抗癌剤候補物質の評価方法。
  6. 前記X線撮影が、ラットに抗癌剤候補物質を投与した日と、前回のラットのX線撮影日から5日〜28日空けた日毎に、それぞれ行われる請求項5記載の抗癌剤候補物質の評価方法。
  7. 前記安全性を評価する工程が、前記薬効薬理を評価する工程の合間に行われる請求項1〜6のうちいずれか一項記載の抗癌剤候補物質の評価方法。
  8. 前記安全性を評価する工程が、ラット一個体あたり、0.02〜0.4mlの血液を採取して行われる請求項1〜7のうちいずれか一項記載の抗癌剤候補物質の評価方法。
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