以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照して遊技機の全体構成について説明する。
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠アセンブリ2、ガラス枠ユニット4、受け皿ユニット6及びプラ枠アセンブリ7(遊技機枠)を備えている。このうち外枠アセンブリ2は、木材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠アセンブリ2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。
その他のガラス枠ユニット4や受け皿ユニット6、プラ枠アセンブリ7は外枠アセンブリ2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
図1中の正面からみてプラ枠アセンブリ7の右側縁部(図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠アセンブリ2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠アセンブリ2に対してガラス枠ユニット4及びプラ枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともにガラス枠ユニット4及びプラ枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
また、受け皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動してプラ枠アセンブリ7とともにガラス枠ユニット4及び受け皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠アセンブリ2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、プラ枠アセンブリ7は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠だけが解除され、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。またガラス枠ユニット4を開放すると、受け皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、受け皿ユニット6をプラ枠アセンブリ7に対して前面側へ開放することができる。
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後(内側)で上記のプラ枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態でプラ枠アセンブリ7に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と遊技盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
受け皿ユニット6は、全体的に外枠アセンブリ2から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また受け皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受け皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
受け皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、CRユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではCR機を例に挙げているが、パチンコ機1はCR機とは別の現金機(CRユニットに接続されない機種)であってもよい。
また、受け皿ユニット6の前面には、上段位置にある上皿6bの手前に上皿球抜きレバー6dが設置されており、そして下皿6cの手前でその中央部には下皿球抜きボタン6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きレバー6dを例えば左方向へスライドさせることで、上皿6bに貯留された遊技球を下皿6cへ流下させることができる。また遊技者は、下皿球抜きボタン6eを例えば押し込み操作することで、下皿6cに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
受け皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。
〔盤面の構成〕
遊技領域8a内には、始動ゲート20や普通入賞口22,24、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が設置されている。遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に始動ゲート20を通過したり、あるいは、普通入賞口22,24や上始動入賞口26、作動時の可変始動入賞装置28に入賞(入球)したりする。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技板に形成された貫通穴を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。
なお、上記の可変始動入賞装置28は、所定の条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で停止表示された場合)に作動し、それに伴って下始動入賞口28aへの入賞を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の可動片28bを有しており、これら可動片28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。すなわち、図示のように先端が上を向いた状態で左右の可動片28bは閉位置にあり、このとき下始動入賞口28aへの入賞は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。一方、可変始動入賞装置28が作動すると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させる。なお、遊技盤8に設置されている障害釘の配列(ゲージ)は、基本的に可変始動入賞装置28に向けて遊技球の流下を案内しやすい態様となっているが、必ず遊技球が可変始動入賞装置28に流入するというわけではなく、あくまで流入は無作為に発生する。
また上記の可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が非当選以外の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入賞を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置(閉止状態)にあり、このとき大入賞口への入賞は常に不能(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する(開放状態)。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が不能ではない状態となり、大入賞口への入賞という事象を発生させることができる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。また、上始動入賞口26や可変始動入賞装置28、可変入賞装置30に入賞した遊技球も含めて、遊技領域8a内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示しないアウト通路アセンブリを通じてパチンコ機1の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
遊技盤8には、例えば窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33と普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が設けられている。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。
図3は、遊技盤8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えばそれぞれ7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。
また、第1特別図柄作動記憶ランプ34a及び第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、例えばそれぞれ2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせにより、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する(記憶数表示手段)。例えば、2つのランプがともに消灯のときは記憶数0個を表示し、1つのランプが点灯すると記憶数1個を表示し、同じ1つのランプが点滅すると記憶数2個を表示し、この状態からもう1つのランプが点灯すると記憶数3個を表示し、そして2つのランプがともに点滅すると記憶数4個を表示する、といった具合である。
第1特別図柄作動記憶ランプ34aは、上記の上始動入賞口26に遊技球が流入すると、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ表示が増え、その入賞を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ表示が減少する。また第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、上記の可変始動入賞装置28(下始動入賞口)に遊技球が流入すると、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ表示が増え、その入賞を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ表示が減少する。なお本実施形態では、第1特別図柄作動記憶ランプ34aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第1特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で上始動入賞口26に遊技球が流入しても表示は増えない。また第2特別図柄作動記憶ランプ35aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第2特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で可変始動入賞装置28(下始動入賞口)に遊技球が流入しても表示は増えない。すなわち、各特別図柄作動記憶ランプ34a,35aの表示数(最大4個)は、その時点で未だ第1特別図柄又は第2特別図柄の変動が開始されていない入賞の回数を表している。
また遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ38a,38b、確率変動状態表示ランプ38c、時短状態表示ランプ38dにそれぞれ対応する4つのLEDが含まれている。
なお本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に取り付けられている。
〔遊技盤のその他の構成:図1を参照〕
また遊技盤8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。
演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ40eの中央位置には球放出路40fが形成されており、このとき転動ステージ40eから球放出路40fに流下した遊技球は、その真下にある上始動入賞口26に流入しやすくなる。その他に演出ユニット40には、演出用の可動体(例えばキャラクターのフィギュア、装飾物等)とともに駆動源(例えばモータ、ソレノイド等)が付属していてもよい。演出用の可動体は、液晶表示器42による画像を用いた演出や発光器による演出に加えて、有形物の動作を伴う演出を実行することができる。
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素としてガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50がガラスユニット8を取り巻くようにして複数の箇所に設置されている。また、受け皿ユニット6には受け皿ランプ52が設置されており、この受け皿ランプ52とガラス枠トップランプ46,48及びガラス枠サイドランプ50とは、外見上、パチンコ機1の前面において一体的につながっているかのようにデザインされている。
上述した各種ランプ46〜52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。またガラス枠ユニット4の上部には、左右一対のガラス枠上スピーカ54とその中央にガラス枠中スピーカ55が内蔵されており、そして受け皿ユニット6には、下皿6cの右側に受け皿スピーカ56が内蔵されている。これらスピーカ54,55,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
また受け皿ユニット6の中央には、上皿6bの手前位置に演出切替ボタン45が設置されている。遊技者は、この演出切替ボタン45を操作することで演出内容(例えば液晶表示部42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出等)を発生させたりすることができる。
〔裏側の構成〕
図2に示されているように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160,161、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図4)に基づいてさらに後述する。
上記の払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aはプラ枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送り出された遊技球を前面側の受け皿ユニット6に向けて案内する。
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図4は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお主制御装置70は、上記の主制御基板ユニット170に内蔵されている。
また主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
また主制御装置70には、入出力(I/O)ポート79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上(又は内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また遊技盤8には、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82及びカウントスイッチ84が装備されている。各始動入賞口スイッチ80,82は、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。またカウントスイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口)への遊技球の入賞を検出し、その数をカウントするためのものである。同様に遊技盤8には、普通入賞口22,24への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。これらスイッチ類78〜86の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお遊技盤8の構成上、本実施形態ではゲートスイッチ78、カウントスイッチ84及び入賞口スイッチ86からの入賞検出信号は、パネル中継端子板87を経由して送信され、パネル中継端子板87には、それぞれの入賞検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、これら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aは、上記のように1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に設置されており、この統合表示基板89には上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を開閉動作(作動)させる。なお、これらソレノイド88,90についても上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
その他に上記のガラス枠ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また上記のプラ枠アセンブリ7にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。ガラス枠ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また外枠アセンブリ2からプラ枠アセンブリ7が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号からガラス枠ユニット4やプラ枠アセンブリ7の開放状態を検出することができる。
パチンコ機1の裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニット172の動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出装置ユニット172の動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。
払出装置ユニット172の図示しない賞球ケース内には、払出モータ102(ステッピングモータ)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、流路ユニット173内の払出流路を通って上記の受け皿ユニット6に送られる。
また、例えば賞球ケースの上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また賞球ケースの上流位置で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。
またパチンコ機1の裏側には、発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている。また、受け皿ユニット6内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111は上述した発射制御基板セット174を構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、受け皿ユニット6内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上記のように遊技領域8に向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
一方、パチンコ機1の表側に位置する上記のグリップユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。またタッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がグリップユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
上記の受け皿ユニット6には受皿中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、受皿中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、受皿中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、受皿中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120に上記のCRユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
また、受け皿ユニット6にはCR基板122が内蔵されており、このCR基板122には上記の球貸ボタン10や返却ボタン12にそれぞれ接続されるスイッチや、度数表示部の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。球貸ボタン10又は返却ボタン12が操作されると、その操作信号がCR基板122から受皿中継端子板118、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに送信される。またCRユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120から受皿中継端子板118を経由してCR基板122に送信される。CR基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。
またパチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。なお演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で上記の裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
また演出制御装置124には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134が装備されている。演出制御CPU126は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134に指令を与えて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53を発光させたり、スピーカ54,55,56から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
ランプ駆動回路132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路132は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記のガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50,受け皿ランプ52の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用の盤面ランプ53が含まれる。盤面ランプ53は上記の演出ユニットに内蔵されるLEDや、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等に内蔵されるLEDに相当するものである。なお、ここでは受け皿ランプ52がガラス枠電飾基板136に接続されている例を挙げているが、受け皿ユニット6に受け皿電飾基板を設置し、受け皿ランプ52については受け皿電飾基板を介してランプ駆動回路132に接続される構成であってもよい。
また音響駆動回路134は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路134は、上スピーカ54及び下スピーカ56を駆動して音響出力を行う。
本実施形態ではガラス枠ユニット4の内面にガラス枠電飾基板136が設置されており、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134からの駆動信号はガラス枠電飾基板136を経由して各種ランプ46〜52やスピーカ54,55,56に印加されている。またガラス枠電飾基板136には、上記の演出切替ボタン45が接続されており、遊技者が演出切替ボタン45を操作すると、その接点信号がガラス枠電飾基板136を通じて演出制御装置124に入力される。なお、ここではガラス枠電飾基板136に演出切替ボタン45を接続した例を挙げているが、上記の受け皿電飾基板を設置する場合、演出切替ボタン45は受け皿電飾基板に接続されていてもよい。その他、遊技盤8にはパネル電飾基板138が設置されており、ランプ駆動回路132からの駆動信号がパネル電飾基板138を経由して盤面ランプ53に印加されている。
上記の液晶表示器42は遊技盤8の裏側に設置されており、遊技盤8に形成された略矩形の開口を通じてのその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤8の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158は液晶表示器42のバックライトに印加される交流電源を生成している。さらに、遊技盤8の裏側には演出表示制御装置144が設置されており、液晶表示器42による表示動作は、演出表示制御装置144により制御されている。演出表示制御装置144には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU146とともに、表示プロセッサであるVDP152を実装した回路基板(演出表示制御基板)が装備されている。このうち表示制御CPU146は、図示しないCPUコアとともにROM148、RAM150等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。またVDP152は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM154やVRAM156等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なおVRAM156は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46〜53等やスピーカ54,55,56を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、表示制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
表示制御CPU146は、VDP152に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP152は、制御信号に基づいて画像ROM154にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM156に転送する。さらにVDP152は、VRAM156上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器42の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
その他、プラ枠アセンブリ7の裏側には電源制御ユニット162が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124、インバータ基板158に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに電力が供給されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。
また、遊技盤8の裏側には盤用外部端子板160が設置されており、そしてプラ枠アセンブリ7の裏側には枠用外部端子板161が設置されている。主制御装置70(主制御CPU72)及び払出制御装置92(払出制御CPU94)は、それぞれ盤用外部端子板160、枠用外部端子板161を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報(特別図柄変動開始情報、賞球払出情報、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中といった遊技ステータス情報)を出力することができる。盤用外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータで集計される。
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。続いて、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
図5及び図6は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
ステップS103:主制御CPU72は、ここでリセット時待機処理を実行する。この処理は、リセットスタート(例えば電源投入)時にある程度の待機時間(例えば数千ms程度)を確保しておき、その間に主電源断検出信号のチェックを行うためのものである。具体的には、主制御CPU72は待機時間分のループカウンタをセットすると、ループカウンタの値をデクリメントしながら主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックする。主電源断検出信号は、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される。そして、ループカウンタが0になる前に主電源断検出信号の入力を確認すると、主制御CPU72は先頭から処理を再開する。これにより、例えば図示しない主電源スイッチの投入と切断の操作が短時間(1〜2秒程度)内に繰り返し行われた場合のシステム保護を図ることができる。
ステップS104:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域に対するアクセスを許可する。具体的には、ワーク領域のRAMプロテクト設定値をリセット(00H)する。これにより、以後はRAM76のワーク領域に対するアクセスが許可された状態となる。
ステップS105:また主制御CPU72、割り込みマスクを設定するためにマスクレジスタの初期設定を行う。具体的には、CTC割り込みを有効にする値をマスクレジスタに格納する。
ステップS106:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS107を実行する。
ステップS107:次に主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS108を実行する。
ステップS108:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。具体的には、主制御CPU72はRAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含むユーザワーク領域)のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全ての領域をサムチェックする。サムチェックの結果が正常であれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS109を実行する。
ステップS109:主制御CPU72は、バックアップ有効判定フラグをリセッ(例えば「0000H」)する。
ステップS110:また主制御CPU72は、前回の電源断発生直前に送信待ちであったコマンドをクリアする。
ステップS111:次に主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、復帰用のコマンド(例えば機種指定コマンド、特別図柄確率状態指定コマンド、作動記憶数コマンド、回数切りカウンタ残数コマンド、特別遊技状態指定コマンド等)を送信する。これを受けて演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、内部確率状態、演出図柄の表示態様、作動記憶数の演出表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させることができる。
ステップS112:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元にRAM76のワーク領域に各種の値をセットし、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。また主制御CPU72は、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧する。
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS106:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS107:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS108:No)、主制御CPU72はステップS113に移行する。
ステップS113:主制御CPU72は、RAM76の使用禁止領域以外の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76のワーク領域及びスタックエリアは全て初期化され、有効なバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS114:また主制御CPU72は、RAM76の初期設定を行う。
ステップS115:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が初期設定後に演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
ステップS116:主制御CPU72は、払出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は払出制御装置92に対して、賞球の払い出しを開始するための指示コマンドを出力する。
ステップS117:主制御CPU72は、CTC初期設定処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期設定を行う。この処理では、主制御CPU72は割込ベクタレジスタを設定し、また、CTCに割り込みカウント値(例えば4ms)を設定する。これにより、次にCTC割り込みが発生すると、主制御CPU72はバックアップされていたPCレジスタのプログラムアドレスから処理を続行することができる。
リセットスタート処理において以上の手順を実行すると、主制御CPU72は図6に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
ステップS118,ステップS119:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックし、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。電源遮断が発生すると、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90に対応する出力ポートをクリアすると、RAM76のワーク領域のうちバックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全体の内容をバックアップし、サムチェックバッファにサム結果値を保存する。そして主制御CPU72はバックアップ有効判定フラグ領域に上記の有効値(例えば「A55AH」)を格納し、RAM76のアクセスを禁止して処理を停止(NOP)する。一方、電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS120を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
ステップS120:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数を含む各種の乱数をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図7中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS120では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS118で割込を禁止した後にステップS120を実行しているのは、別の割込処理(図7中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。
ステップS121,ステップS122:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生し、主制御CPU72が別の割込管理処理(図7)を実行した場合の残り時間で行われる。なお割込管理処理の内容については後述する。
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図7は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ミリ秒)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値を書き込むことができる。
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り決定乱数、大当り図柄乱数、普通図柄当り決定乱数等が含まれる。
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力(I/O)ポート79から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号や、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82、カウントスイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
ステップS204:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。なお、スイッチ入力イベント処理の具体的な内容については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
本実施形態では、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72はそれぞれ第1特別図柄又は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機となる事象(特定事象)が発生したと判定する。またゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS205,ステップS206:主制御CPU72は、割込管理処理中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理(ステップS205)では、主制御CPU72は先に述べた第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
また普通図柄遊技処理(ステップS206)では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は先のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄当り決定乱数)を記憶しておき、この普通図柄遊技処理の中で記憶から乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う(作動抽選実行手段)。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる(可動片作動手段)。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。
ステップS207:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、先の入力処理(ステップS203)において各種スイッチ80,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
ステップS208:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は盤用外部端子板160を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報(特別図柄変動開始情報、賞球払出情報、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中といった遊技ステータス情報)をポート出力要求バッファに格納する。
ステップS209:また主制御CPU72は、試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、普通図柄遊技管理状態、特別図柄遊技管理状態、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中)を表す各種の試験信号を生成し、これらをポート出力要求バッファに格納する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
ステップS210:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、各LEDに対して印加する駆動信号(バイトデータ)を生成し、ポート出力要求バッファに格納する。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
ステップS211:また主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はパチンコ機1の本体(例えばガラス枠ユニット4、プラ枠アセンブリ7)の開放状態を表す枠開放状態信号をポート出力要求バッファに格納する。また出力管理処理において、主制御CPU72はコマンド以外のデータ出力を管理する。具体的には、普通電動役物ソレノイド88や大入賞口ソレノイド90の駆動信号や試験信号をポート出力要求バッファに格納する。
ステップS212:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、コマンドバッファ内に主制御CPU72が演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)があるか否かを確認し、未送信コマンドがある場合は出力対象のコマンドをポート出力要求バッファに格納する。
ステップS213:また主制御CPU72は、その他の出力ポートに対応したポート出力要求バッファをクリアする。
なお本実施形態では、ステップS205〜ステップS212の処理(遊技制御プログラムモジュール)をタイマ割込処理として実行する例を挙げているが、これら処理をCPUのメインループ中に組み込んで実行している公知のプログラミング例もある。
ステップS214:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込終了を指定する値(01H)を割込プログラムカウンタ内に格納し、CTC割込を終了する。
ステップS215,ステップS216:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、次回のCTC割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
〔スイッチ入力イベント処理〕
図8は、スイッチ入力イベント処理(図7中のステップS204)の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
ステップS10:主制御CPU72は、第1特別図柄に対応する上始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12に進んで第1特別図柄記憶更新処理を実行する。具体的な処理の内容については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS14に進む。
ステップS14:次に主制御CPU72は、第2特別図柄に対応する下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS16に進んで第2特別図柄記憶更新処理を実行する。ここでも同様に、具体的な処理の内容については別のフローチャートを用いてさらに後述する。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS18に進む。
ステップS18:主制御CPU72は、大入賞口に対応するカウントスイッチ84から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS20に進んで大入賞口カウント処理を実行する。大入賞口カウント処理では、主制御CPU72は大当り遊技中に1ラウンドごとの可変入賞装置30への入賞球数をカウントする。また主制御CPU72は、小当り発生時において可変入賞装置30への入賞球数をカウントする(ただし、小当り時の1回あたりの開放時間は極短時間であるため、入賞はほとんど発生しない。)。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS22に進む。
ステップS22:主制御CPU72は、普通図柄に対応するゲートスイッチ78から通過検出信号が入力されたか否かを確認する。この通過検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS24に進んで普通図柄記憶更新処理を実行する。普通図柄記憶更新処理では、主制御CPU72は現在の普通図柄作動記憶数が上限数(例えば4個)未満であるか否かを確認し、上限数に達していなければ、普通図柄当り乱数を取得する。また主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数を1インクリメントする。そして主制御CPU72は、取得した普通図柄当り乱数値をRAM76の乱数記憶領域に記憶させる。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72は割込管理処理(図7)に復帰する。
〔第1特別図柄記憶更新処理〕
図9は、第1特別図柄記憶更新処理(図8中のステップS12)の手順例を示すフローチャートである。以下、第1特別図柄記憶更新処理の手順について順を追って説明する。
ステップS30:ここでは先ず、主制御CPU72は第1特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数や大当り図柄乱数等の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は各図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)別で4つのセクション(例えば各2バイト)に分けられており、各セクションには大当り決定乱数及び大当り図柄乱数を1個ずつセット(組)で記憶可能である。このとき、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数のセットの記憶数が4個に達していなければ、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値は4未満であり(Yes)、この場合、主制御CPU72は次のステップS31に進む。
ステップS31:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数を1つ加算する。第1特別図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の作動記憶数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図7中のステップS210)で第1特別図柄作動記憶ランプ34aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS32:そして主制御CPU72は、RAM76の大当り決定乱数カウンタ領域から第1特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、大当り決定乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行われる。またアドレスの指定は、上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り決定乱数値をリードすると、これを第1特別図柄に対応する大当り決定乱数として転送先のアドレスにセーブする。
ステップS33:次に主制御CPU72は、RAM76の大当り図柄乱数カウンタ領域から第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。この乱数値の取得もまた、大当り図柄乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数として転送先のアドレスにセーブする。
ステップS34:また主制御CPU72は、RAM76の変動用乱数カウンタ領域から、第1特別図柄の変動条件に関する乱数値として、リーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数を順番に取得する。これら乱数値の取得も同様に、変動用乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行われる。そして主制御CPU72は、指定したアドレスからリーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数をそれぞれ取得すると、これらを転送先のアドレスにセーブする。
ステップS35:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数をともに第1特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に各乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に各乱数が記憶されていく。なお、乱数記憶領域の読み出しはFIFO形式である。
ステップS36:次に主制御CPU72は、現在の遊技管理状態(内部状態)が時間短縮機能作動中であるか否かを確認する。時間短縮機能が非作動であれば(No)、主制御CPU72は次以降のステップS37,S38を実行し、時間短縮機能が作動中であれば(Yes)、主制御CPU72はステップS37,S38をスキップしてステップS39に進む。本実施形態においてこの判断を行っているのは、第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動を優先して行うこととしており、特に時間短縮機能作動中は可変始動入賞装置28の作動が高頻度で行われるからである。なお、時間短縮機能作動中は特別図柄の変動時間が短縮されることに加えて、普通図柄の抽選が高確率(例えば251分の250程度)になり、また、普通図柄の変動時間が短縮(例えば非作動時で4秒程度→1秒程度に短縮)されるとともに可変始動入賞装置28の開放時間が延長(例えば非作動時で0.5秒程度→1.5秒程度に延長)されるため、第2特別図柄の作動記憶が途切れにくくなっている(いわゆる電チューサポート)。
ステップS37:時間短縮機能が非作動の場合(ステップS36:No)、主制御CPU72は第1特別図柄に関して取得時演出判定処理を実行する。この処理は、先のステップS32〜S34でそれぞれ取得した第1特別図柄の大当り決定乱数、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数に基づいて、事前(変動開始前)に内部抽選の結果を判定し、それによって演出内容を判定(いわゆる「先読み」)するためのものである。なお、具体的な処理の内容については別のフローチャートを参照しながらさらに後述する。
ステップS38:取得時演出判定処理から復帰すると、次に主制御CPU72は、第1特別図柄に関して特図先判定演出コマンドの上位バイト分(例えば「B8H」)をセットする。この上位バイトデータは、コマンド種別が「第1特別図柄に関する特図先判定演出用」であることを記述したものである。なお、特図先判定演出コマンドの下位バイト分は、先の取得時演出判定処理(ステップS37)においてセットされているので、ここでは下位バイトに上位バイトを合成することで例えば1ワード長のコマンドが生成されることになる。
ステップS39:そして主制御CPU72は、第1特別図柄に関して演出コマンド出力設定処理を実行する。この処理は、先のステップS38で生成した特図先判定演出コマンドや、始動口入賞音制御コマンドを演出制御装置124に対して送信するためのものである。
以上の手順を終えるか、もしくは第1特別図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS30:No)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図8)に復帰する。
〔第2特別図柄記憶更新処理〕
次に図10は、第2特別図柄記憶更新処理(図8中のステップS16)の手順例を示すフローチャートである。以下、第2特別図柄記憶更新処理の手順について順を追って説明する。
ステップS40:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。第2特別図柄作動記憶数カウンタについても上記と同様に、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数や大当り図柄乱数等の個数(組数)を表すものである。このとき第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4に達していれば(No)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図8)に復帰する。一方、未だ第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4未満であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS41以降に進む。
ステップS41:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数を1つ加算(第2特別図柄作動記憶数カウンタの値をインクリメント)する。先のステップS31(図9)と同様に、ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図7中のステップS210)で第2特別図柄作動記憶ランプ35aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS42:そして主制御CPU72は、RAM76の大当り乱数カウンタ領域から第2特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する。乱数値を取得する手法は、先に説明したステップS32(図9)と同様である。
ステップS43:次に主制御CPU72は、RAM76の大当り図柄乱数カウンタ領域から第2特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。乱数値を取得する方法は、先に説明したステップS33(図9)と同様である。
ステップS44:また主制御CPU72は、RAM76の変動用乱数カウンタ領域から、第2特別図柄の変動条件に関するリーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数を順番に取得する。これら乱数値の取得もまた、先に説明したステップS34(図9)と同様に行われる。
ステップS45:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数をともに第2特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる。記憶の手法は、先に説明したステップS35(図9)と同様である。
ステップS46:次に主制御CPU72は、第2特別図柄に関して取得時演出判定処理を実行する。この処理は、先のステップS42〜S44でそれぞれ取得した第2特別図柄の大当り決定乱数、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数に基づいて、事前(変動開始前)に内部抽選の結果を判定し、それによって演出内容を判定するためのものである。なお、具体的な処理の内容は後述する。
ステップS47:取得時演出判定処理から復帰すると、次に主制御CPU72は特図先判定演出コマンドの上位バイト分(例えば「B9H」)をセットする。この上位バイトデータは、コマンド種別が「第2特別図柄に関する特図先判定演出用」であることを記述したものである。ここでも同様に、特図先判定演出コマンドの下位バイト分は、先の取得時演出判定処理(ステップS46)においてセットされているので、ここでは下位バイトに上位バイトを合成することで例えば1ワード長のコマンドが生成されることになる。
ステップS48:そして主制御CPU72は、第2特別図柄に関して演出コマンド出力処理を実行する。以上の手順を終えると、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図8)に復帰する。
〔取得時演出判定処理〕
図11は、取得時演出判定処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、先の第1特別図柄記憶更新処理及び第2特別図柄記憶更新処理(図9中のステップS37,図10中のステップS46)においてこの取得時演出判定処理を実行する。上記のように、この処理は第1特別図柄(上始動入賞口26への入賞時)、第2特別図柄(可変始動入賞装置28への入賞時)のそれぞれについて実行される。したがって以下の説明は、第1特別図柄に関する処理に該当する場合と、第2特別図柄に関する処理に該当する場合とがある。以下、各手順に沿って処理の内容を説明する。
ステップS50:主制御CPU72は、特図先判定演出コマンドの下位バイト分(例えば「00H」)をセットする。なお、ここでセットしたバイトデータはコマンドの標準値(はずれ時)を表すものとなる。
ステップS52:次に主制御CPU72は、先判定用乱数値として大当り決定乱数をロードする。ここでロードする乱数は、先の第1特別図柄記憶更新処理(図9中のステップS35)又は第2特別図柄記憶更新処理(図10中のステップS45)でRAM76に記憶されているものである。
ステップS54:そして主制御CPU72は、ロードした乱数が当り値の範囲外であるか否かを判定する。具体的には、主制御CPU72は比較値をAレジスタにセットし、この比較値からロードした乱数値を減算する。なお比較値は、パチンコ機1における内部抽選の当選確率に応じて予め規定されている。次に主制御CPU72は、例えばフラグレジスタの値から演算結果が0又は正の値であるか否かを判別する。その結果、ロードした乱数が当り値の範囲外であれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS70を実行する。
ステップS70:この場合、主制御CPU72は事前リーチ判定乱数をロードする。事前リーチ判定乱数には、先の第1特別図柄記憶更新処理(図9中のステップS35)又は第2特別図柄記憶更新処理(図10中のステップS45)で記憶された図柄別のリーチ判定乱数を用いることができる。
ステップS72:次に主制御CPU72は、事前リーチ判定乱数を比較値と比較し、その値がリーチ変動範囲内にあるか否かを判断する。特にリーチ変動範囲内でなければ(No)、主制御CPU72はここで第1特別図柄記憶更新処理(図9)又は第2特別図柄(図10)に復帰する。これに対し、事前リーチ判定乱数がリーチ変動範囲内であれば(Yes)、主制御CPU72はステップS74を実行する。
ステップS74:この場合、主制御CPU72はリーチ変動パターン判定値(例えば下位バイトが「10H」)をセットする。セットした判定値は、非当選時の先判定演出コマンドとして送信コマンドバッファに転送される。
主制御CPU72がステップS74を実行した場合、ここで第1特別図柄記憶更新処理(図9)又は第2特別図柄記憶更新処理(図10)に復帰する。一方、先のステップS54の判断において、ロードした乱数が当り値の範囲外でなく、範囲内であれば(ステップS54:No)、主制御CPU72は次にステップS56に進む。
ステップS56:この場合、主制御CPU72は次に低確率時(通常時)用比較値をAレジスタにセットする。なお低確率時用比較値もまた、パチンコ機1における低確率時の当選確率に応じて予め規定されている。
ステップS58:次に主制御CPU72は、特別図柄確率状態フラグをロードする。この状態フラグは、現在の内部状態が高確率(確変中)であるか否かを表すものであり、RAM76のフラグ領域内に記憶されているものである。高確率(確変中)であれば、状態フラグとして値「01H」がセットされており、低確率(通常中)であれば、状態フラグの値はリセットされている(「00H」)。
ステップS60:そして主制御CPU72は、ロードした特別図柄確率状態フラグが高確率を表すものでない(≠01H)か否かを確認し、その結果、高確率を表すものであれば(No)、次にステップS62を実行する。
ステップS62:主制御CPU72は、高確率時用比較値をセットする。これにより、先のステップS58でセットされた低確率時用比較値が書き換えられることになる。なお、高確率時用比較値は、パチンコ機1における高確率時の当選確率に応じて予め規定されている。
このように、内部状態が高確率の場合は比較値を書き換えた上で次のステップS64を実行することになる。これに対し、先のステップS60で状態フラグが高確率を表すものでないことを確認した場合(Yes)、主制御CPU72はステップS62をスキップして次のステップS64を実行する。
ステップS64:主制御CPU72は、先のステップS52でロードした乱数が当り値の範囲外であるか否かを判定する。すなわち、主制御CPU72は状態別でセットした比較値から大当り決定乱数値を減算する。そして主制御CPU72は、同様にフラグレジスタの値から演算結果が負の値(<0)であるか否かを判別し、その結果、ロードした乱数が当り値の範囲外であれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS70を実行する。なおステップS70以降の手順は、既に述べたものと同じである。これに対し、ロードした乱数が当り値の範囲外でなく、範囲内であれば(No)、主制御CPU72は次にステップS66に進む。
ステップS66:主制御CPU72は、大当り種別判定処理を実行する。この処理は、さらに大当り図柄乱数に基づいて、そのときの大当り種別(当選種類)を判定するためのものである。例えば、主制御CPU72は先の第1特別図柄記憶更新処理(図9中のステップS35)又は第2特別図柄記憶更新処理(図10中のステップS45)で記憶した図柄別の大当り図柄乱数をロードすると、上記のステップS54と同様に比較値を用いた演算を実行し、その結果から大当り種別として「2ラウンド図柄」又は「15ラウンド図柄」のいずれに該当するかを判別する。主制御CPU72は、このときの判別結果を特別図柄判定値として記憶し、次のステップS68に進む。
ステップS68:主制御CPU72は、特図先判定演出コマンドの下位バイトとして、先のステップS66で記憶した特別図柄判定値をセットする。特別図柄判定値は、例えば「2ラウンド図柄」に該当する場合は「0AH」がセットされ、「15ラウンド図柄」に該当する場合は「01H」がセットされる。いずれにしても、ここで下位バイト分のデータをセットすることにより、先のステップS50でセットした標準の下位バイトデータ「00H」が書き換えられることになる。以上の手順を終えると、主制御CPU72は第1特別図柄記憶更新処理(図9)又は第2特別図柄記憶更新処理(図10)に復帰する。
〔特別図柄遊技処理〕
次に、割込管理処理(図7)の中で実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図12は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、可変入賞装置管理処理(ステップS5000)のサブルーチン(プログラムモジュール)群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別図柄遊技処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を「ジャンプテーブル」から選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾をスタックポインタにセットする。
いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況(特別図柄遊技管理ステータス)によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば(特別図柄遊技管理ステータス:00H)、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば(特別図柄遊技管理ステータス:01H)、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば(特別図柄遊技管理ステータス:02H)、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。
ステップS5000:可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において当りの態様(非当選以外の態様)で第1特別図柄又は第2特別図柄が停止表示された場合に選択される。当りの態様の中でも、第1特別図柄又は第2特別図柄が特別の態様(例えば15ラウンド大当りの態様)で停止すると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な遊技状態)に移行する契機が発生する。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が可変入賞装置管理処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。可変入賞装置管理処理においては、大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、予め設定された連続作動回数(例えば15回)だけ励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる。なお、このように大当り時に可変入賞装置30が開閉動作することを「ラウンド」と称し、連続作動回数が全部で15回あれば、これらを「15ラウンド」と総称することがある。
また、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理において大入賞口開放パターン(ラウンド数と1ラウンドごとの開閉動作の回数)を設定すると、1ラウンド分の可変入賞装置30の開閉動作を終了させるごとにラウンド数カウンタの値を1インクリメントする。ラウンド数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。また主制御CPU72は、ラウンド数カウンタの値を表すラウンド数コマンドを生成する。ラウンド数コマンドは、演出制御出力処理(図6中のステップS119)において演出制御装置124に送信される。ラウンド数カウンタの値が設定した連続作動回数に達すると、主制御CPU72はそのラウンド限りで大当り遊技(大役)を終了する。
そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は遊技状態フラグ(確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグ)に基づいて大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を変化させる。「高確率状態」になると確率変動機能が作動し、内部抽選での当選確率が通常よりも高く(10倍程度に)なる。また「時間短縮状態」になると時間短縮機能が作動し、非当選時の特別図柄の変動時間が通常の状態に比較して全体的に短縮される。なお、「高確率状態」及び「時間短縮状態」については、制御上でいずれか一方だけに移行する場合もあれば、これら両方に合わせて移行する場合もある。
上記の15ラウンド大当り以外に、本実施形態では複数の当選種類として、2ラウンド大当りが設けられている。先の特別図柄停止表示中処理において、第1特別図柄又は第2特別図柄が2ラウンド大当りの態様で停止すると、それまでの通常状態から短期間の大当り遊技状態に移行する契機が発生する。ただし、2ラウンドの大当り遊技は、15ラウンドの大当り遊技に比較して極端に短時間内で終了するため、大入賞口への入賞はほとんど発生することがない。その代わり、大当り遊技の終了後に例えば「確率変動機能」を作動させることで、その結果として「高確率状態」に移行する特典が遊技者に付与される。
また本実施形態では、非当選以外の当選種類として小当りが設けられている。小当りに当選すると、大当り遊技とは別に小当りの遊技が行われて可変入賞装置30が開閉動作する。すなわち、先の特別図柄停止表示中処理において、特別図柄が小当りの態様で停止すると、通常状態の中で小当りの遊技(可変入賞装置30が作動する遊技)が実行される。このような小当りの遊技では可変入賞装置30が特例の回数(例えば2回)だけ開閉動作するものの、2ラウンド大当り遊技と同様に大入賞口への入賞はほとんど発生しない。また小当りの遊技が終了しても、「確率変動機能」が作動することはなく、また、「時間短縮機能」が作動することもないので、「高確率状態」や「時間短縮状態」へ移行する特典は付与されない(そのための前提条件とはならない。)。
〔特別図柄変動前処理〕
図13は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数又は第2特別図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。第1特別図柄及び第2特別図柄の両方の作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図7中のステップS212)において演出制御装置124に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。なお復帰時は、上記のように末尾アドレスに復帰する(以降も同様)。
これに対し、いずれかの作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2200を実行する。
ステップS2200:主制御CPU72は、特別図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)のうち、第2特別図柄に対応する方を優先的に読み出す。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。シフトされた乱数は、RAM76の乱数記憶領域から消去(消費)される。第2特別図柄に対応する乱数が記憶されていない場合のみ、主制御CPU72は第1特別図柄に対応する乱数を読み出して別の共通記憶領域に保存する。共通記憶領域に保存された各乱数は、次の大当り判定処理で内部抽選に使用される。その結果、本実施形態では第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動表示が優先的に行われることになる。なお、このような特別図柄別の優先順位を設けることなく、単純に記憶された順番で乱数が読み出されるプログラムであってもよい。
ステップS2250:次に主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタ(第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかに対応する方)の値を1つ減算し、減算後の値を「変動開始時作動記憶数」に設定する。このとき減算対象となる作動記憶数カウンタは、先のステップS2200で記憶した乱数のシフトを行った方に対応するものである。これにより、上記の表示出力管理処理(図7中のステップS205)の中で第1特別図柄作動記憶ランプ34a又は第2特別図柄作動記憶ランプ35aによる記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は次にステップS2300を実行する。
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、先ず大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(内部抽選実行手段)。このとき設定される大当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なり、高確率状態では通常状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される。そして、このとき読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。なお、ここでは大当り判定処理のより詳細な手順として、例えば先の取得時演出判定処理に挙げた手順(図9中のステップS52〜ステップS64)を適用してもよい。
上記の大当りフラグをセットしない場合、主制御CPU72は同じ大当り判定処理において、次に小当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(内部抽選実行手段)。ここでいう「小当り」は、非当選(はずれ)以外であるが、「大当り」とは異なる性質のものである。すなわち、「大当り」は上記の「高確率状態」や「時間短縮状態」に移行させる契機(遊技の節目)を発生させるものであるが、「小当り」はそのような契機を発生しない。ただし「小当り」は、「大当り」と同様に可変入賞装置30を作動させる条件を満たすものとして位置付けられている。なお、このとき設定される小当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なっていてもよいし、同じでもよい。いずれにしても、読み出した乱数値が小当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は小当りフラグをセットし、次にステップS2400に進む。このように、本実施形態では非当選以外に該当する当り範囲として、大当り値と小当り値の範囲が予めプログラム上で規定されているが、予め状態別の大当り判定テーブル、小当り判定テーブルをそれぞれROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら大当り判定を行ってもよい。
ここで、上記のように大当り決定乱数値は、第1特別図柄又は第2特別図柄で別々に読み出されるため、大当り判定処理(内部抽選)は図柄別に行われることになる。例えば、先のステップS2200で第1特別図柄に対応する方の乱数値を読み出していれば、大当り判定は第1特別図柄に対応して行われることになる。一方、第2特別図柄に対応する方の乱数値を読み出していれば、大当り判定は第2特別図柄に対応して行われることになる。
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2402を実行する。
ステップS2402:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で小当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。小当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。なお、主制御CPU72は大当りフラグと小当りフラグとを別々に用意せずに、共通当りフラグの値によって大当り(例えば01Hを設定)又は小当り(例えば0AHを設定)を判別してもよい。
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。具体的には、先の特別図柄記憶シフト処理で第2特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の記憶を優先してシフトしていた場合、ここで主制御CPU72は第2特別図柄表示装置35による停止図柄番号データをセットする。一方、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数の記憶をシフトしていれば、ここで主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34による停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図5中のステップS115)において演出制御装置124に送信される。
なお本実施形態では、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35にそれぞれ7セグメントLEDを用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を常に1つのセグメント(中央のバー「−」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄又は第2特別図柄について、はずれ時の変動パターン番号を決定する(変動パターン決定手段)。変動パターン番号は、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示の種類(パターン)を区別したり、変動表示にかかる変動時間に対応したりするものである。はずれ時の変動時間は、上記の「時間短縮状態」であるか否かによって異なってくるため、この処理において主制御CPU72は、遊技状態フラグをロードし、現在の状態が「時間短縮状態」であるか否かを確認する。「時間短縮状態」であれば、基本的にリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は短縮された時間(例えば1.5秒程度)に設定される。また「時間短縮状態」でなければ、リーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は例えばステップS2250で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて決定される。なお、はずれ時の図柄の停止表示時間は変動パターンに関わらず一定(例えば0.5秒程度)である。主制御CPU72は、決定した変動時間(はずれ時)の値を変動タイマにセットするとともに、はずれ時の停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。
以上のステップS2404,ステップS2406は、大当り判定結果がはずれ時(非当選以外の場合)の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)又は小当り(ステップS2402:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。先ず、大当りの場合について説明する。
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する(当選種類決定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、今回の内部抽選で当選が得られた第1特別図柄又は第2特別図柄について当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と各図柄別の当選図柄の種類との関係は、予め特別図柄判定データテーブルで規定されている(当選種類規定手段)。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において特別図柄判定テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて図柄別に当選図柄の種類を決定することができる。
〔大当り時の当選図柄〕
本実施形態では、大当り時に選択的に決定される当選図柄として、大きく分けて例えば3種類が用意されている。そのうち1種類は「15ラウンド確変図柄」であり、他の1種類は「15ラウンド非確変図柄」であり、そして残る1種類は「2ラウンド確変図柄」である。
より詳細には、大きな分類として主に3種類の当選図柄があるが、同じ「15ラウンド確変図柄」であっても、例えば「15ラウンド確変図柄A」,「15ラウンド確変図柄B」,「15ラウンド確変図柄C」,・・・のように、さらに細かく複数の当選図柄が規定されており、また同じ「15ラウンド非確変図柄」であっても、例えば「15ラウンド非確変図柄A」,「15ラウンド非確変図柄B」,「15ラウンド非確変図柄C」,・・・のように、さらに細かく複数の当選図柄が規定されている。
また「2ラウンド確変図柄」についても、例えば「2ラウンド確変図柄A」,「2ラウンド確変図柄B」,「2ラウンド確変図柄C」,・・・のように、さらに細かく複数の当選図柄が規定されている。
このような細分類は、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による当選図柄の停止表示を多様化させるためのものである。例えば、同じ「15ラウンド確変図柄」であっても、細分類として「15ラウンド確変図柄A」の場合は第1又は第2特別図柄表示装置34,35において7つのセグメントが全て点灯(例えば「日」字形の態様)し、「15ラウンド確変図柄B」の場合は5つのセグメントが点灯(例えば「己」字形の態様)するといった具合である。ただし、大分類として同じ「15ラウンド確変図柄」であれば、細分類の中でどの図柄が選択されたとしても、その後の遊技を進行させる上で結果(効果)は同じである。なお、これらラウンド数別に設けられている複数種類の当選図柄は、予め上記の特別図柄判定テーブルにより規定されている(当選種類規定手段)。
ステップS2412:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2200でシフトした変動パターン決定乱数に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットするとともに、停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。一般的に大当りリーチ変動の場合、はずれ時よりも長い変動時間が決定される。
ステップS2413:主制御CPU72は、大当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)が「15ラウンド確変図柄」又は「2ラウンド確変図柄」のいずれであっても、遊技状態フラグとして確率変動機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする。さらに、現在の遊技状態が既に確率変動状態(高確率時)である場合、合わせて主制御CPU72は遊技状態フラグとして時間短縮機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする。このような処理の意義は、例えば以下の考え方に基づく。すなわち、先ず通常の状態から「2ラウンド確変図柄」に該当すると、時間短縮機能作動フラグの値(01H)はセットされずに確率変動機能作動フラグの値(01H)だけがセットされる。この場合、演出上でも「高確率状態」を明らかにしないことにより、いわゆる遊技者に認知されにくい「隠し確変状態」となる。ただし、本実施形態では既に「隠し確変状態」になっている状況で重ねて「2ラウンド確変図柄」に該当した場合、いつまでも「隠し確変状態」を続けるのではなく、時間短縮機能を作動させて遊技者に確率変動状態を明示することとしている。これにより、遊技者が内部的な情報を全く知らされないまま遊技が延々と続くことを防止し、過度に遊技者の不興を買うのを防止している。
またステップS2413の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
次に、小当り時の処理について説明する。
ステップS2407:主制御CPU72は、小当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、小当り時の当選図柄の種類(小当り時停止図柄番号)を決定する。ここでも同様に、大当り図柄乱数値と小当り時の当選図柄の種類との関係が予め小当り時特別図柄判定データテーブルで規定されている(当選種類規定手段)。なお本実施形態では、主制御CPU72の負荷を軽減するために大当り図柄乱数を用いて小当り時の当選図柄を決定しているが、別途専用の乱数を用いてもよい。
〔小当り時の当選図柄〕
本実施形態では、小当り時の当選図柄は「2回開放小当り図柄」の1種類だけである。ただし、これ以外に例えば「1回開放小当り図柄」や「3回開放小当り図柄」等の別の種類が用意されていてもよい。上記のように内部抽選の結果としての「小当り」は、その後の状態が「高確率状態」や「時間短縮状態」に変化する契機とはならないため、この種のパチンコ機で必須となる「2ラウンド(2回開放)以上」の規定にとらわれることなく、「1回開放小当り図柄」を設けることができる。
ステップS2408:次に主制御CPU72は、小当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はステップS2200でシフトした変動パターン決定乱数に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する(変動パターン決定手段)。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットし、また停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。なお、本実施形態では小当りの場合にリーチ変動パターンを選択せず、はずれ通常変動時と同等の変動時間が決定される。これは、小当り時にも通常変動を発生させることにより、その変動で小当りになったことを遊技者に気付かせにくくするためである。
ステップS2409:次に主制御CPU72は、小当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は小当り時停止図柄番号に基づき、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(小当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(小当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
ステップS2414:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。また主制御CPU72は、変動パターンに対応する停止図柄表示時間の値を表示タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄変動中処理(ステップS3000)を次のジャンプ先に設定し、特別図柄遊技処理に復帰する。
〔図12:特別図柄変動中処理,特別図柄停止表示中処理〕
特別図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を次のジャンプ先に設定する。
また特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止図柄決定処理(図13中のステップS2404,ステップS2407,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて特別図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
以上のように、パチンコ機1において大当りの内部抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(変動時間)が決定され、第1特別図柄や第2特別図柄による変動表示が行われる(図柄表示手段)。変動表示が停止すると、第1特別図柄又は第2特別図柄はそのときの内部抽選の結果に応じた態様(当選の場合は当選種類に応じた態様)で停止表示される。このときの表示態様により、内部抽選の結果が当選又は非当選のいずれに該当したかが識別可能になるとともに、当選の場合はさらにいずれの当選種類(例えば15ラウンド非確変大当り、15ラウンド確変大当り、2ラウンド確変当り)に該当したかが識別可能となる。ただし、上記のように第1特別図柄や第2特別図柄そのものは7セグメントLEDによる点灯・点滅表示であるため、変動表示も含めてその表示態様は見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、上記のように演出図柄を用いた変動表示演出が行われている。
〔非当選時の演出例〕
先ず、非当選(はずれ)時を例に挙げて説明する。図14は、非当選時に実行される演出例を示す連続図である。この演出例は、演出図柄を用いた変動表示演出と停止表示演出の一例と背景画像の一例を表している。このうち変動表示演出は、特別図柄(ここでは第1特別図柄とするが、第2特別図柄でもよい。)が変動表示を開始してから、停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また停止表示演出は、特別図柄が停止表示されたことと、そのときの内部抽選の結果を演出図柄の組み合わせとして表す演出である。また背景画像は、演出図柄の変動表示が行われる際に表示画面上で背景となる画像である。このような背景画像は、演出上で「ステージ」や「モード」を表すものとして用いることができる。ここでは先ず、制御処理の具体的な内容を説明する前に、本実施形態で採用されている変動1回ごとの変動表示演出と停止表示演出の基本的な流れについて説明する。
〔変動表示前〕
図14中(A):例えば、第1特別図柄が変動を開始する前の状態(デモ演出中でない状態)で、液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が大きく表示されている。演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは画面上で左・中・右に並んで表示される。各演出図柄は、例えば数字の「1」〜「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている。このうち左演出図柄については、数字が「1」〜「9」の昇順に並んだ図柄列を構成しており、中演出図柄と右演出図柄については、いずれも数字が「9」〜「1」の降順に並んだ図柄列を構成している。
また液晶表示器42の画面下部には、第1特別図柄及び第2特別図柄それぞれの作動記憶数を表すマーカ(図中に参照符号M1,M2を付す)が表示されるものとなっている。これらマーカM1,M2は、それぞれの表示個数が対応する第1特別図柄、第2特別図柄の作動記憶数(第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35aの表示数)を表しており、遊技中の作動記憶数の変化に連動して表示個数も増減する。またマーカM1,M2は、視覚的な判別を容易にするため第1特別図柄に対応するマーカM1が例えば円(○)の図形で表示され、第2特別図柄に対応するマーカM2が例えばハートの図形で表示されている。なお図14中(A)の例では、マーカM1が4つとも点灯表示されることで第1特別図柄の作動記憶数が4個であることを表し、マーカM2が全て非表示(破線で示す)になることで第2特別図柄の作動記憶数が0個であることを表している。
〔変動表示演出開始〕
図14中(B):例えば第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される(図柄演出実行手段)。すなわち、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールする(流れる)ようにして変動表示演出が開始される。なお図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。また変動表示中、個々の演出図柄が透けた状態で表示(透過表示)されることにより、このとき表示画面内には演出図柄の背景となる画像(背景画像)が視認しやすい状態で表示されている。
この場合の背景画像は、例えば浴衣を着こなした女性キャラクターが長椅子に腰掛け、夕涼みでもするかのようにリラックスしている風景を表現したものである。このような背景画像(夕涼み画像)は、演出上での滞在ステージが例えば「夕涼みステージ」であることを表現している。なお、この他にも演出上で各種のステージが設けられており、ステージごとに風景や情景の異なる背景画像が用意されている。特に図示していないが、この後、例えば表示画面内にキャラクターやアイテム等の画像を表示させることで、予告演出が行われる態様であってもよい。
また、変動開始に伴って第1特別図柄の作動記憶数が1個分減少するため、それに連動してマーカM1の表示個数が1個分減少されている。例えば、それまでに作動記憶数が4個あったとすると、マーカM1において最も以前(古い)の記憶数表示が1個だけ非表示となり、内部抽選によって消費される演出が合わせて行われる。これにより、第1特別図柄に関して作動記憶が減少したことを演出上でも遊技者に教示することができる。
ここでは特に図示していないが、演出図柄の変動表示中、例えば液晶表示器42の画面下部には第4図柄が表示されている。この第4図柄は、上記の左・中・右演出図柄に続く「第4の演出図柄」であり、演出図柄の変動表示中はこれに同期して変動表示されている。なお第4図柄は、単純なマーク(例えば「□」の図形)に色彩を付しただけのものであり、その表示色を変化させることで変動表示を表現することができる。
〔左図柄停止〕
図14中(C):例えば、ある程度の時間が経過すると、最初に左演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に数字の「8」を表す演出図柄が停止したことを表している。なお、ここでは背景画像の図示を省略している(これ以降も同様)。
〔右演出図柄停止〕
図14中(D):左演出図柄に続いて、その後に右演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に数字の「3」を表す演出図柄が停止したことを表している。この時点で既にリーチ状態が発生しないことは確定しているので、今回の変動が非リーチ(通常)変動であるということが見た目上でほとんど明らかとなっている。なお、ここではすべりパターン等によるリーチ変動を除くものとする。「すべりパターン」とは、例えば一旦は数字の「7」を表す演出図柄が停止した後、図柄列が1図柄分すべって数字の「8」を表す演出図柄が停止し、それによってリーチに発展するというものである。あるいは、一旦は数字の「9」を表す演出図柄が停止した後、図柄列が逆向きに1図柄分すべって数字の「8」を表す演出図柄が停止し、それによってリーチに発展するパターンもある。またその他にも、例えば「3」等の全くかけ離れた数字を表す演出図柄が一旦停止した後、画面上にキャラクターが出現して右演出図柄列を再変動させると、今度は数字の「8」を表す演出図柄が停止してリーチに発展するといったパターンもある。
〔停止表示演出〕
図14中(E):第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する。今回の内部抽選の結果が非当選であって、第1特別図柄が非当選(はずれ)の態様で停止表示される場合、演出図柄も同様に非当選(はずれ)の態様で停止表示演出が行われる。すなわち、図示の例では、画面の中段位置に数字の「1」を表す演出図柄が停止したことを表しており、この場合、演出図柄の組み合わせは「8」−「1」−「3」のはずれ目であるため、今回の変動は通常の「はずれ」に該当したことが演出上で表現されている。このとき第4図柄(図示していない)についても、はずれに対応する態様(例えば白表示色)で停止表示される。
〔非当選時のリーチ演出例〕
次に図15は、非当選(はずれ)時のリーチ演出の流れを示す連続図である。なお、ここではリーチ演出の他に、変動表示演出や停止表示演出及び予告演出が含まれるものとする。
内部抽選の結果が非当選であっても、そのときの第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターンとして「リーチ変動パターン」が選択された場合、演出制御上において演出図柄を用いたリーチ演出が行われる。本実施形態では、非当選時の「リーチ変動パターン」として「ノーマルリーチ変動パターン」、「スペシャルリーチ変動パターン」及び「超スペシャルリーチ変動パターン」が設けられている。これら変動パターンはいずれも、演出制御上で「リーチ変動演出」を指定するものである。ただし、これらの中で「ノーマルリーチ変動パターン」は最も変動時間が短く(例えば20秒〜60秒程度)設定されており、それだけ演出制御上ではリーチ演出の実行時間が短く設定される。一方、「超スペシャルリーチ変動パターン」は最も変動時間が長く(例えば120秒〜180秒程度)設定されているため、それだけリーチ演出の実行時間は長く設定される。残りの「スペシャルリーチ変動パターン」は中間の変動時間(例えば90秒〜100秒程度)の設定であり、リーチ演出の実行時間は中程度に設定される。
またこの他に、非当選時のリーチ演出に関して「擬似連続変動パターン」が含まれていてもよい。この「擬似連続変動パターン」は、第1特別図柄又は第2特別図柄の1回あたりの変動時間内に、演出図柄を用いた変動表示演出と停止表示演出を複数回にわたり行うものであり、その演出態様に何らかの連続性(変動間のつながり)をもたせた上で、リーチ演出に発展するというものである(ただし、常に発展しなくてよい。)。これにより、遊技者の見た目上ではあたかも第1特別図柄又は第2特別図柄の変動が複数回にわたって予告(前触れ)的に行われた後、リーチ変動に発展したかのような印象(リーチ演出に発展しない場合は予告演出のみの印象)を与えることができる。「擬似連続変動パターン」についても、ある程度の長い変動時間(例えば120秒〜180秒程度)を設定することができる。以下、図15において例えば「スペシャルリーチ変動パターン」の場合を例に挙げて説明する。
〔変動表示演出〕
図15中(A):例えば第1特別図柄の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。なお、ここでは図示を省略しているが、背景画像(ステージ演出)として例えば「夕涼みステージ」が選択されている。ここでも同様に、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。
〔リーチ発生前予告演出(1段階目)〕
図15中(B):次に、変動表示演出の比較的初期において、キャラクターの絵柄画像(絵札)を用いた1段階目のリーチ生前予告演出が行われる(リーチ発生前予告演出実行手段)。演出用の絵柄画像は、画面上で変動表示されている演出図柄の手前に位置し、例えば画面の左端からひょっこりと出現するようにして表示される(その他の出現の態様でもよい。)。なお、ここでいう「リーチ発生前予告」とは、いずれかの演出図柄が停止表示される前にリーチの可能性や大当りの可能性を予告するという意味である。このような「リーチ発生前予告演出」を実行することで、遊技者に対して「リーチに発展するかも知れない=大当りの可能性が高まる」という期待感を抱かせる効果が得られる。
〔発生前予告演出(2段階目)〕
図15中(C):さらに2段階目のリーチ発生前予告演出として、先とは違うキャラクターの絵柄画像を用いた演出が行われる(リーチ発生前予告演出実行手段)。具体的には、画面の左端から別の絵柄画像が追加で出現し、先に表示されていた絵柄画像が右側に位置をずらすことで、2つの絵柄画像が画面上に並んで表示されるといった演出の態様である(後から表示される絵柄画像が前面に重なって表示されてもよい。)。このような2つ目の絵柄画像を用いた発生前予告演出(2段階目)は、先の図15中(B)で行われたリーチ発生前予告演出(1段階目)からさらに一歩進んだ発展型である。このように発展していく「リーチ発生前予告演出」の態様を称して、「ステップアップ予告」等と表現することがある。ここではリーチ発生前予告演出で2段階目の絵柄画像が出現する例を挙げているが、3段階目、4段階目、5段階目の絵柄画像が次々と出現して表示される演出態様であってもよい。また、例えば3段階目、4段階目、5段階目の絵柄画像が次々と出現して表示されるごとに、そのサイズが拡大されるものとしてもよい。なお、この段階でも演出図柄の変動表示は継続されている。
〔複数の演出パターン〕
なお、ここではリーチ発生前予告演出として、絵柄画像を用いた演出パターンの一例を示しているが、本実施形態ではその他の演出パターンも用意されている。例えば、背景画像の中を何らかの物体や人物が横切るように通過したり、画面内にキャラクターが出現して何らかの台詞を発したりする演出パターンがある。さらに、上記の演出切替ボタン45の操作(押下)と連動して物体の動作を変化させたり、キャラクターに別の台詞を発せさせたりする演出パターンもある。
またリーチ発生前予告演出として、ここでは変動表示演出の初期に行われるものを例に挙げているが、変動表示演出の開始時(開始直前や開始と同時のタイミングを含む)に行われる予告演出を「リーチ発生前予告演出」としてもよい。例えば、変動表示演出の開始時に演出図柄の表示態様が一瞬変化(キャラクターの表情が変化する、演出図柄が反転する等)したり、各種ランプ46,48,50,52や盤面ランプ53を点灯・点滅させたりすることで予告演出が行われる態様であってもよい。
〔左演出図柄の停止〕
図15中(D):変動表示演出の中期にさしかかり、やがて左演出図柄の変動表示が停止される。なお、この時点で画面の左上段位置に数字の「7」を表す演出図柄が停止し、左下段位置には数字の「8」を表す演出図柄が停止している。
〔リーチ状態の発生〕
図15中(E):左演出図柄に続き、例えば右演出図柄の変動表示が停止される。この時点で、右下段位置には数字の「6」を表す演出図柄が停止しており、画面の右上段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止していることから、画面の上段位置(上ライン)で数字の「7」−「変動中」−「7」の組み合わせが部分的に表示されたことになる。一般に、演出上で同種の演出図柄が3つ揃って停止すると「大当り」であり、ここでは「大当り」まで残りあと中演出図柄の1つだけである。このように、同種の演出図柄を2つまで揃って停止させることで、変動表示演出中に「リーチ状態」を発生させることができる(リーチ状態発生手段)。また、「リーチ状態」が発生して2つの数字が揃うことを「テンパイ(聴牌)」と称する。このとき「リーチ状態」が発生したことを遊技者に教示するため、画面上に「リーチ!」等の文字情報を表示し、合わせて音声を出力する演出が行われる態様であってもよい。
本実施形態では「リーチ状態」の発生後、さらにスペシャルリーチ演出又は超スペシャルリーチ演出に発展すると、例えばテンパイした数字(ここでは「7」)に対応する演出図柄だけが画面上に表示され、それ以外は表示されなくなる。なお、このとき演出図柄が画面の隅に縮小された状態で表示される場合もある。これに対し、ノーマルリーチ演出の場合、テンパイした数字に対応する左・右の演出図柄は図15中(E)に示される状態のままで、例えば中演出図柄だけがゆっくりスクロールするように変動表示されるリーチ演出が行われる。なお「ノーマルリーチ演出」は、上記の「ノーマルリーチ変動」に対応する演出であり、また「スペシャルリーチ演出」及び「超スペシャルリーチ演出」は、それぞれ「スペシャルリーチ変動」及び「超スペシャルリーチ変動」に対応する演出である。
〔リーチ発生後予告演出(1回目)〕
図15中(F):「リーチ状態」が発生して暫くすると、リーチ発生後予告演出(1回目とする)として、「文字予告」が発生する。この演出パターンは、例えば画面上に「チャンス!?」の文字を表示させるものである。このようなリーチ発生後予告演出(1回目)を実行することで、遊技者に対して当選への期待感を抱かせる効果が得られる。
〔リーチ演出の進行〕
図15中(G):リーチ発生後予告演出(1)に続いて、例えば数字の「2」〜「7」を表す画像が画面上で円を描くようにして移動しつつ、「2」、「3」、「4」・・・という順番に画面から数字の画像が消去されていく演出が行われる。なお、このとき画面上でキャラクターが数字を消去していく動作が合わせて表示される態様であってもよい。このようなリーチ演出は、数字の「7」が最後まで消去されずに残ると「大当り」であることを遊技者に示唆(暗示)したり、想起させたりする目的で行われる。したがって、この間、数字の「2」、「3」、「4」・・・と順番に画像が消去されていき、数字の「6」の順番が近付くに連れて、遊技者の緊張感や期待感も高まっていくことになる。この後、例えば画面上で数字の「5」までが消去されたとすると、いよいよ次に数字の「6」が消去されると「大当り」であるため、そこで遊技者の緊張感も一気に高まる。
〔リーチ発生後予告演出(2回目)〕
図15中(H):リーチ演出が大詰めに近付いたところで、突然、画面上にキャラクターの画像が割って入る(カットインする)ようにして表示され、そのキャラクターが何らかの台詞を発するという内容の発生後予告演出(2回目)が行われる(リーチ発生後予告演出実行手段)。この時点で、演出の内容は「数字の「6」が消去されれば「7」−「7」−「7」の大当り」という大詰めの展開である。したがって、このタイミングでキャラクターの画像を出現させることにより、遊技者に対して「いよいよ大当りかもしれない」という期待感を抱かせる効果が得られる。
〔複数の演出パターン〕
リーチ発生後予告演出やリーチ演出についても、それぞれ複数の演出パターンが用意されている。例えばリーチ発生後予告演出の1回目として、リーチ状態の発生後に画面上に「期待せよ!」等の文字情報を表示したり、「50%」等の当り期待度(信頼度)を表示したりする演出パターンもある。またリーチ演出には、画面上で何らかのストーリー(例えば、キャラクターが敵と戦う内容)を進行させながらテンパイした数字(例えば「7」)以外の画像を消去していき、最終的にストーリーに決着が付く(例えば、キャラクターが敵に勝利又は敗北する)と、中演出図柄に対応する数字の画像が表示されるといった演出パターンもある。またリーチ発生後予告演出には、キャラクターの画像がカットインする演出パターンの他に、例えば図示しない可動体を画面の前面側に出現させたり、発光体(LED等)を点灯・点滅させたりするという演出パターンもある。なおいずれの演出パターンについても、スピーカ54,55,56等を用いた音響出力を合わせて実行することができる。
〔停止表示演出〕
図15中(I):第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する。このとき、内部抽選の結果が非当選であって、第1特別図柄又は第2特別図柄がはずれ図柄で停止表示される場合、演出図柄も同様にはずれの態様で停止表示演出が行われる(図柄演出実行手段)。図示の例では、画面上に数字の「6」が消去されずに残ってしまったため、今回の変動では残念ながら「大当り」にならなかったことが演出的に表現されている。
〔大当り時の演出例〕
次に図16は、大当り(当選)時に実行されるリーチ演出の流れを示す連続図である。ここでも上記のように、リーチ演出の他に変動表示演出や停止表示演出及び予告演出が含まれるものとする。大当り時のリーチ演出は、例えば内部抽選の結果が「15ラウンド大当り」に該当し、第1特別図柄表示装置34(第2特別図柄表示装置35でもよい)において大当り時の変動パターンによる変動表示が行われた後、第1特別図柄が当選時の態様(例えば7セグメントLEDの「己」,「ヨ」,「口」,「巳」等)で停止表示されるまでに実行される。なお図16においても、各演出図柄を数字のみに簡略化して示している。またマーカM1,M2については図示を省略している。なお本実施形態では、内部抽選の結果が当選であっても、上記の「2ラウンド確変当り」に該当した場合は大当り時のリーチ変動演出は行われない。この場合、「当選した」ということを遊技者に気付かれにくくするため、非当選時の通常変動(例えば図14)と同様の変動表示演出が行われる。以下、演出の流れに沿って説明する。
〔変動表示演出〕
図16中(A):ここでも第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(例えば上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。
〔リーチ発生前予告演出(1段階目)〕
図16中(B):非当選時と同様に、変動表示演出の比較的初期(リーチ状態の発生前)において1段階目のリーチ発生前予告演出が行われる。なお、ここでは絵札に表示されているキャラクターが非当選時の例と異なる程度であり、特に目立った違いはない。
〔リーチ発生前予告演出(2段階目)〕
図16中(C):次に、非当選時とは異なる演出パターンで2段階目のリーチ発生前予告演出が行われる。具体的には、この演出パターンでは画面の右端から別の絵柄画像が追加で出現し、先に表示されていた絵柄画像の前面に重なって表示される。また、このとき表示される絵柄画像は、先に表示されていた絵柄画像よりもサイズが大きい。そして、絵柄画像で表現されたキャラクターが台詞(例えば「リーチになるよ」等)を発するという、音響出力による演出もあわせて行われる。ここでは2段階目の絵柄画像が出現するまでの例を挙げているが、その他のリーチ発生前予告演出パターンとして、例えば3段階目、4段階目、5段階目の絵柄画像が次々と出現して表示されるごとに、そのサイズが拡大されるものが含まれていてもよい。
〔左演出図柄の停止〕
図16中(D):変動表示演出の中期にさしかかり、やがて左演出図柄の変動表示が停止される。なお、この時点で画面の左上段位置に数字の「7」を表す演出図柄が停止し、左下段位置には数字の「8」を表す演出図柄が停止している。
〔リーチ状態の発生〕
図16中(E):そして左演出図柄に続き、例えば右演出図柄の変動表示が停止される。この時点で、右下段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止しており、画面の右上段位置には数字の「8」を表す演出図柄が停止していることから、画面の対角線上(2本の斜めライン上)に数字の「7」−「変動中」−「7」と「8」−「変動中」−「8」の2種類のリーチ状態が発生している。そして画面上には、対角線上でリーチ状態となる2本の斜めラインを強調する画像が合わせて表示される。また、合わせて「リーチ!」等の音声を出力する演出が行われる。さらに、この例では中演出図柄について数字の「7」と「8」という2つの候補があるため(いわゆるダブルリーチ、ダブルテンパイ)、それだけ期待度の高いリーチ状態である。また、この場合は数字の「7」が揃えば確率変動大当りであり、数字の「8」が揃えば非確変大当りであることから、単なる抽選の当否だけでなく、「確変か、非確変か、はずれか」という多様な緊張感を遊技者に抱かせることができる。
リーチ状態の発生後、当選時のリーチ演出が実行される(ただし、この時点では未だ当選の結果は表出されていない。)。リーチ演出では、テンパイした数字(ここでは「7」と「8」)に対応する演出図柄だけが画面上に表示され、それ以外は表示されなくなる。なお、このとき演出図柄が画面の四隅にそれぞれ縮小された状態で表示される場合もある。
〔リーチ発生後予告演出(1回目)〕
図16中(F):上述した非当選時の演出パターン例では、画面上に「チャンス!?」等の文字が表示されるだけであったが、この演出パターン例では、リーチ状態が発生して暫くすると、例えば「花柄」を表す画像が群をなして画面上を斜めに過ぎっていくリーチ発生後予告演出(1回目)が行われる。この場合、突然、画面上に「花柄群」の画像が流れていくように表示されるため、これによって遊技者に対する視覚的な訴求力を高めることができる。このような視覚的に賑やかなリーチ予告発生後予告演出を実行することで、遊技者に対してさらに大きな期待感を抱かせる効果が得られる。
〔リーチ演出の進行〕
図16中(G):1回目のリーチ発生後予告演出に続いて、例えば数字の「2」〜「9」を表す画像が画面上で立体的な列を構成した状態で表示され、列の先頭(手前)から「2」、「3」、「4」・・・という順番に画面から数字の画像が消去されていく演出が行われる。このような演出もまた、数字の「7」又は「8」のいずれかが最後まで消去されずに残ると「大当り」であることを遊技者に示唆(暗示)したり、想起させたりする目的で行われる。また、数字の「6」まで消去されて「7」が画面手前に残ると「確変大当り」であるが、数字の「7」も消去されて「8」が画面手前に残ると「通常(非確変)大当り」であり、そして数字の「8」も消去されて「9」が最終的に残ると「はずれ」であることを意味する。したがって、この間、数字の「2」、「3」、「4」・・・と順番に画像が消去されていき、数字の「6」の順番が近付くに連れて、遊技者の緊張感や期待感も高まっていくことになる。この後、例えば画面上で数字の「5」までが消去されたとすると、いよいよ次に数字の「6」が消去されると、今度は「確変大当り」又は「通常(非確変)大当り」の可能性が高まるため、そこで遊技者の緊張感も一気に高まる。
〔リーチ発生後予告演出(2回目)〕
図16中(H):リーチ演出が終盤に近付いたところで、突然、画面上にキャラクターの画像が大写しに割って入るようにして表示され、そのキャラクターが何らかの台詞を発するという内容(又は、無言で微笑むという内容でもよい)のリーチ発生後予告演出(2回目)が行われる(リーチ発生後予告演出実行手段)。上述した非当選時の演出パターン例と比較すると、この演出パターン例ではカットインするキャラクター画像が全体的に拡大されている(いわゆる「カットイン大」)点で異なっている。またこの時点で例えばリーチ演出の内容は、「数字の「6」が消去されれば、次に「7」−「7」−「7」の大当りの可能性が高まる」という展開である。また、これに続くリーチ演出で数字の「7」が消去されても、まだ「8」−「8」−「8」の非確変大当りの可能性が残っている。したがって、このタイミングで大きくキャラクターの画像を出現させることにより、遊技者に対して「いよいよ大当りかもしれない」という大きな期待感を抱かせる効果が得られる。
上記とは別のリーチ演出として、例えば「数字の「2」〜「7」までが消去されてしまい、最後に残った数字の「8」が消去されずに残れば、「8」−「8」−「8」の非確変大当りの可能性がある」という展開もある。このようなタイミングでキャラクターの画像を出現させると、遊技者に対して「確変大当りは逃しても、何とか非確変大当りになるかもしれない」という望みを抱かせる効果が得られる。
〔停止表示演出〕
図16中(I):第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示に略同期して、最後の中演出図柄が停止する。このとき、内部抽選の結果が当選に該当していれば、第1特別図柄又は第2特別図柄がそのときの当選種類に対応した当選図柄で停止表示されるため、その当選種類(当選図柄)に応じた態様で演出図柄が停止表示される。図示の例では、当選図柄が「確変図柄」に該当していたため、奇数の「7」の方を表す演出図柄を画面の中央に停止表示させることで、「確変大当り」であることを遊技者に教示する演出が行われている。一方、当選図柄が「非確変図柄」であれば、偶数の「8」の方を表す演出図柄を画面の中央に停止表示させることで、「通常(非確変)大当り」であることを遊技者に教示する演出が行われる。この他に、「確変大当り」であっても偶数の演出図柄を停止表示させておき、再度の変動によって奇数の演出図柄を停止表示させて「確変」に昇格させたり、大当り遊技中の演出で「確変」に昇格させたりする演出が行われる場合もある。また、「2ラウンド確変大当り」の場合は奇数の3つ揃いではなく、例えば「1」−「3」−「5」のような奇数の組み合わせの演出図柄が表示される。これに対し、内部抽選の結果が非当選であれば、第1特別図柄又は第2特別図柄がはずれ図柄で停止表示されるため、演出図柄も同様にはずれの態様で停止表示演出が行われる(図柄演出実行手段)。この場合、画面の中央には「7」や「8」以外の数字「6」や「9」を表示することで、残念ながら今回の変動では大当りにならなかったことを知らせる演出が行われる。
〔他の演出パターン〕
また特に図示していないが、変動表示演出の中で実行される予告演出(リーチ発生後予告演出、リーチ発生前予告演出)に関して、本実施形態では、例えば図16中(B),(C)のキャラクター予告演出や、図16中(F)の花柄群予告演出、図16中(H)のキャラクタカットイン予告演出を含めて、例えば以下に挙げる複数種類の演出パターンが用意されている。
(1)字幕予告演出:この予告演出は、上記の「リーチ発生前予告演出」の一環として行われるものである。例えば、変動表示演出の開始初期に画面が暗転(ブラックアウト)し、画面上に「予告!この変動はリーチである!」や「予告!夜空に花火を打ち上げろ!」といった字幕を大きく表示する演出が行われる。
(2)押しボタン予告演出:この予告演出もまた、「リーチ発生前予告演出」の一環として行われるものである。例えば、変動表示演出の開始初期に、画面上に「ボタンを押せ!」といったメッセージが表示され、これに応じて遊技者が上記の演出切替ボタン45を押下すると、「リーチ発生前予告演出」として特殊な画像やメッセージ(「リーチに期待してね!」等)を表示する演出が行われる。
(3)図柄アニメーション予告演出:この予告演出は、上記の「リーチ発生後予告演出」の一環として行われるものである。例えば、リーチ状態が発生すると、そのときテンパイした数字に対応する演出図柄のキャラクターが動いたり、何らかの台詞を発したりする演出が行われる。あるいは、テンパイした数字に対応する演出図柄(絵札)が画面上で立体的(どんでん返し)に回転したりする演出が行われる。
(4)可動体予告演出:この予告演出は、「リーチ発生前予告演出」、「リーチ発生後予告演出」のどちらにも対応することができる。例えば、上記の遊技領域8a内に演出用の可動体(キャラクターのフィギュアや小道具等の装飾物)が設けられている場合、この可動体をモータやソレノイド等で動作させる演出が行われる。可動体を用いた演出は、存在感のある物体の動作を伴うため、平面的な画像よりも遊技者に対する視覚的な訴求力を高める効果がある。
(5)発光体予告演出:この予告演出もまた、「リーチ発生前予告演出」、「リーチ発生後予告演出」のどちらにも対応することができる。例えば、上記のガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50、受皿ランプ52等について、これらを特殊なパターンで発光させる演出が行われる。発光体を用いた演出は、遊技領域8aの外側に及ぶ広い範囲で演出が繰り広げられるため、それだけ遊技者に対する視覚的な訴求力を高めることができる。
上記以外にも「リーチ発生前予告演出」や「リーチ発生後予告演出」の内容に関して複数の演出パターンが規定されている。また個々の演出パターンには、予め当選又は非当選の少なくともいずれか一方との関連付けがなされている。例えば、「当選」の結果のみに関連付けられている演出パターンであれば、内部抽選の結果が当選に該当する場合にしか出現しないことになる。逆に言えば、そのような演出パターンが出現した場合、最終的な図柄の停止表示を待たずに今回の抽選結果が「当選」に該当することが明らかになる(いわゆる確定パターン)。一方、「当選」及び「非当選」の両方に関連付けられている演出パターンについては、内部抽選の結果がいずれであっても出現する(選択される)可能性がある。
この他に本実施形態では、上記のように背景画像を用いたステージ演出が実行されており、何らかの契機に画面上で背景画像を変化させることにより、以下のように「背景チェンジ演出」を実行することもできる。
〔ステージ演出の例〕
図17は、ステージ演出で用いられる背景画像の例を示した図である。本実施形態では、ステージ演出として上記の「夕涼みステージ」(図14中(B))の他に、例えば以下の背景画像が用意されている。
図17中(B):例えば、別の背景画像として表示画面の中央に浴衣を着こなした別の女性キャラクターの画像が大きく表示される。なお、ここでの背景画像のモチーフは「夕方の風景」のままである。本実施形態ではこのような背景画像を用いたステージ演出を「浴衣ステージ」とする。先の「夕涼みステージ」では、女性キャラクターが小さく表示されていたが、この「浴衣ステージ」では女性キャラクターが大写しとなり、その分だけ視覚的な迫力が高まっている。これにより、「夕涼みステージ」の演出パターンとは異なった印象を遊技者に与えることができる。
図17中(C):また、別の背景画像として例えば「花火を打ち上げる夜空」とともに、表示画面の左側に夜空を見上げる別の女性キャラクターの画像が表示される。本実施形態では、このような背景画像を用いたステージ演出を「花火ステージ」とする。この「花火ステージ」では、背景画像が「夜空」に変化していることから、これまでの「夕涼みステージ」や「浴衣ステージ」とはまた違った印象を遊技者に与えることができる。
図17中(D):さらに別の背景画像として、表示画面内に例えば祭りに関係する背景画像(太鼓、提灯、団扇、花火等の画像を並べたもの)が表示される。なお、ここでの背景画像のモチーフは「夜祭りの風景」である。本実施形態では、このような背景画像を用いたステージ演出を「お祭りステージ」とする。この「お祭りステージ」では、背景画像の内容が賑やかなものであり、それだけ活発な印象を遊技者に与えることができる。
〔背景チェンジ演出〕
また本実施形態では、何らかの契機に背景画像の内容を変化させることにより、背景チェンジ(ステージチェンジ)演出を行うことができる。背景画像の内容を変化させる契機としては、例えば変動表示演出の開始時(開始初期)や終了時を挙げることができる。
図18は、背景チェンジ演出の一例を示す連続図である。以下、背景チェンジ演出の流れについて概略的に説明する。
〔扉閉演出〕
図18中(E):例えば、それまでの背景画像が図17中(A)に示される「夕涼みステージ」であったとすると、図柄変動演出の開始時に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われる。このような扉閉演出は、それまでの表示画面を一旦覆い隠すことで、遊技者の目を惹き付ける目的で行われる。
〔扉開演出〕
図18中(F):次に、閉じていた扉が表示画面の左右に素早く移動して、扉が大きく開かれる動作を表す演出(扉開演出)が行われる。このような扉開演出は、例えば遊技者に対して、扉が開いた先の結果に興味を抱かせる意味で行われる。
〔背景チェンジ演出〕
図18中(G):扉が開かれた段階で、例えば「浴衣ステージ!!」の文字情報とともに、背景画像が上記の「浴衣ステージ」に変化する。このような背景チェンジ(ステージチェンジ)演出を実行することにより、演出上で異なるステージ(又はモード)に変化したことを遊技者に対して視覚的に訴求させることができる。
〔浴衣ステージ演出〕
図18中(H):背景チェンジ(ステージチェンジ)演出に続いて、特別図柄の変動表示に略同期して上記の変動表示演出が実行される。このときの背景画像は既に「浴衣ステージ」に切り替わっている。これにより扉の開閉動作を経て、演出上で「夕涼みステージ」から「浴衣ステージ」に移行したことが遊技者に知らされる。なお、ここでは「夕涼みステージ」から「浴衣ステージ」に移行するパターンを例に挙げているが、その他のステージに移行する場合も同様の流れとなる。
以上は演出図柄を用いた演出(変動表示演出、リーチ発生前予告演出、リーチ演出、リーチ発生後予告演出、停止表示演出)や背景画像を用いた演出(ステージ演出、背景チェンジ演出)の標準的な態様の例である。
〔各種演出パターンの選択〕
本実施形態では、このような演出図柄を用いた演出や背景画像を用いた演出に予め複数の演出パターンが用意されており、各種演出の実行に際しては、演出制御上で複数の演出パターンの中からいずれかを選択する処理が行われている。ただし、上記のように演出パターンには予め内部抽選の結果(当選又は非当選)との関連付けがされているものがあり、特にリーチ発生前予告演出やリーチ発生後予告演出、リーチ演出については、当選結果だけに関連付けられることで、当選時にのみ選択される演出パターンが設けられている。このような演出パターンは、実際にそれが出現(発生)した時点(未だ変動表示中)で当選が確定するものであるから、遊技者に対するインパクトは極めて大きい。ただし、そのような演出パターンをあまり頻繁に出現させてしまうと、当選確定演出パターンとしての価値が希釈化されるため、通常、そのような演出パターンの選択比率は全体の中で低く抑えられている。それだけに、実際に当選確定演出パターンが出現すると、遊技者に対して「当選確定」という満足感を与えることができるのに加えて、「希少な演出パターン(いわゆるプレミア演出)に遭遇した」という別の興趣をも提供することができる。
その一方で希少な演出パターンは、パチンコ機1において数多くの遊技を行ったとしても、場合によっては一度もその演出に遭遇しないまま遊技を終了してしまうという可能性もある。この場合、せっかく数多くの演出パターンが用意されていても、その効果を充分に発揮でているとは言い難い。
そこで本実施形態では、通常の条件では複数ある演出パターンの出現頻度に差を設けておく一方で、特定の条件が満たされると、演出制御上で関連付けのある全ての演出パターンを均等な頻度で出現させることにより、多様な演出パターンを用いた演出効果を充分に発揮させる制御ロジックを採用している。このような制御ロジックを採用することにより、内部抽選の結果に関連付けられた範囲内で全ての演出パターンを均等な頻度で発生させることができる。なお「特定の条件」が満たされるのは、例えば内部抽選に非当選のまま変動回数が所定数(例えば400回程度)以上に達した場合や、ホールの営業開始直後から変動回数が規定数(例えば10回程度)以内である場合、パチンコ機1を商品展示場に設置し、来場者に試打(試射)してもらう場合等を想定することができる。
以下、通常の演出パターンの選択手法とともに、特定の条件を満足した場合に、関連付けのある全ての演出パターンを均等な頻度で発生させる制御手法の例について具体的に説明する。
〔演出制御処理〕
図19は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、例えば図示しないリセットスタート(メイン)処理とは別にタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU126は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば、数ミリ秒周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、演出図柄管理処理(ステップS402)、表示出力処理(ステップS404)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば特図先判定演出コマンド(事前のリーチ変動パターン判定値を含む)、特図別作動記憶数コマンド、始動口入賞音制御コマンド、デモ演出用コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、図柄停止時コマンド、状態指定コマンド、ラウンド数コマンド、エラー通知コマンド等がある。
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出や停止表示演出の内容を制御したり、可変入賞装置30の開閉動作時の演出内容を制御したりする。なお、演出図柄管理処理の内容については別の図面を参照しながらさらに後述する。
ステップS404:表示出力処理では、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、第1特別図柄及び第2特別図柄それぞれの作動記憶数、変動演出パターン番号、予告演出番号、モード番号等)を指示する。これにより、演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する(各種の演出実行手段としての機能を果たす。)。
ステップS406:ランプ駆動処理では、演出制御CPU126はランプ駆動回路132に対して制御信号を出力する。これを受けてランプ駆動回路132は、制御信号に基づいて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
ステップS408:次の音響駆動処理では、演出制御CPU126は音響駆動回路134に対して演出内容(例えば変動表示演出中やリーチ演出中、モード移行演出中、大当り演出中のBGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカ54,55,56から演出内容に応じた音が出力される。
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数や通常の背景チェンジ抽選に用いられる乱数等がある。
ステップS412:その他の処理では、例えば演出用に可動体がある場合、演出制御CPU126は可動体の駆動用ICに対して制御信号を出力する。特に図示していないが、可動体は例えばソレノイドやステッピングモータ等の駆動源によって動作し、液晶表示器42による画像の表示と同期して、又は単独で演出を行うものである。これらソレノイドやステッピングモータ等の駆動源は、例えば図4中のパネル電飾基板138に接続することができる。
以上の演出制御処理を通じて、演出制御CPU126はパチンコ機1における演出内容を統括的に制御することができる。次に、演出制御処理の中で実行される演出図柄管理処理の内容について説明する。
〔演出図柄管理処理〕
図20は、演出図柄管理処理の手順例を示すフローチャートである。演出図柄管理処理は、実行選択処理(ステップS500)、演出図柄変動前処理(ステップS502)、演出図柄変動中処理(ステップS504)、演出図柄停止表示中処理(ステップS506)及び可変入賞装置作動時処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出図柄管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU126は次に実行するべき処理(ステップS502〜ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU126は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして演出図柄管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ変動表示演出を開始していない状況であれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動前処理(ステップS502)を選択する。一方、既に演出図柄変動前処理が完了していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動中処理(ステップS504)を選択し、演出図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として演出図柄停止表示中処理(ステップS506)を選択する。また可変入賞装置作動時処理(ステップS508)は、主制御CPU72において可変入賞装置管理処理(図10中のステップS5000)が選択された場合にのみジャンプ先として選択される。この場合、ステップS502〜ステップS506は実行されない。
ステップS502:演出図柄変動前処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出を開始するための条件を整える作業を行う。その他にも演出制御CPU126は、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態である場合のデモ演出の制御も行う。
ステップS504:演出図柄変動中処理では、演出制御CPU126は必要に応じて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に指示する制御情報を生成する。例えば、演出図柄を用いた変動表示演出を実行中に演出切替ボタン45を用いた演出を行う場合、遊技者による演出ボタンの操作の有無を演出制御CPU126が監視するとともに、その結果に応じた演出内容(ボタン演出)の制御情報を表示制御CPU146に対して指示する。
ステップS506:演出図柄停止表示中処理では、演出制御CPU126は内部抽選の結果に応じた態様で演出図柄や動画像を用いた停止表示演出の内容を制御する。すなわち、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して変動表示演出の終了と停止表示演出の実行を指示する。これを受けて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)は、実際に液晶表示器42の表示画面内でそれまで実行していた変動表示演出を終了させ、停止表示演出を実行する。これにより、特別図柄の停止表示に略同期して停止表示演出が実行され、遊技者に対して内部抽選の結果を演出的に教示(開示、告知、報知等)することができる(図柄演出実行手段)。
ステップS508:可変入賞装置作動時処理では、演出制御CPU126は小当り中又は大当り中の演出内容を制御する。例えば15ラウンドの大当りの場合、演出制御CPU126は液晶表示器42に表示する演出内容として15ラウンド大当り中に専用の演出パターンを選択し、これを演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。また演出制御CPU126は、15ラウンド大当り中の遊技の進行状況(例えば、ラウンドの進行状況)に合わせて演出パターンを選択すると、これらを適宜、演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。これにより、液晶表示器42の表示画面では15ラウンド大当り中に専用の演出画像が表示されるとともに、ラウンドの進行に伴って演出内容が変化していくことになる。
あるいは、「2ラウンド大当り」に該当していた場合、演出制御CPU126は上記の通常変動演出(例えば図14の演出例)を実行させる制御を行う。また「小当り」の場合、同じく演出制御CPU126は通常変動演出と同様の演出を実行させる制御を行う。
〔演出図柄変動前処理〕
次に図21は、上記の演出図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。演出制御CPU126は、この処理において各種演出パターンの選択を行う。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS600:演出制御CPU126は、主制御CPU72からデモ演出用コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、デモ演出用コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、デモ演出用コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS602を実行する。
ステップS602:演出制御CPU126は、デモ選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126はデモ演出パターンを選択する。デモ演出パターンは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態であることを表す演出の内容を規定したものである。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理の末尾のアドレスに復帰する。そして演出制御CPU126はそのまま演出制御処理に復帰し、続く表示出力処理(図19中のステップS404)、ランプ駆動処理(図19中のステップS406)においてデモ演出パターンに基づいてデモ演出の内容を制御する。
一方、ステップS600においてデモ演出用コマンドが保存されていないことを確認すると(No)、演出制御CPU126は次にステップS604を実行する。
〔背景チェンジ抽選〕
ステップS604:演出制御CPU126は、背景チェンジ抽選処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は現在の内部状態(通常状態、高確率状態、時短短縮状態)及び演出制御上の滞在ステージに基づき、背景チェンジ抽選を実行する。例えば、現在の滞在ステージが「夕涼みステージ」であり、背景チェンジ抽選において移行先に「浴衣ステージ」が選択された場合、演出制御CPU126は「夕涼みステージ」から「浴衣ステージ」への背景チェンジ演出パターン番号を選択する。一方、特に移行先として他のステージが選択されなかった場合、演出制御CPU126は現状維持を選択する。なお、演出パターンの選択手法については、抽選テーブルの例を挙げてさらに後述する。
〔変動演出パターン抽選〕
ステップS606:次に演出制御CPU126は、変動演出パターン選択処理を実行する。この処理では、例えば演出制御CPU126は変動パターンコマンドに含まれるMODE値「A0H」〜「A7H」から変動演出パターン選択テーブルのアドレスを指定すると、抽選用乱数値に対して振り分けられた変動演出パターン番号を選択する。なお変動演出パターンの選択手法についても、抽選テーブルの例を挙げてさらに後述する。
〔リーチ発生前予告抽選〕
ステップS608:また演出制御CPU126は、リーチ発生前予告選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126はリーチ発生前予告演出パターン選択テーブルに基づき、抽選用乱数値に対して振り分けられたリーチ発生前予告演出パターン番号を選択する。リーチ発生前予告演出パターンの選択手法については、抽選テーブルの例やフローチャートを挙げてさらに後述する。
ステップS610:次に演出制御CPU126は、今回の変動がリーチ変動であるか否かを確認する。特にリーチ変動に該当していなければ(No)、演出制御CPU126はここで演出図柄管理処理(図20)に復帰する。一方、今回の変動がリーチ変動に該当していれば(Yes)、演出制御CPU126は次のステップS612を実行する。
〔リーチ発生後予告抽選〕
ステップS612:演出制御CPU126は、リーチ発生後予告選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126はリーチ発生後予告演出パターン選択テーブルに基づき、抽選用乱数値に対して振り分けられたリーチ発生後予告演出パターン番号を選択する。なおリーチ発生後予告演出パターンの選択手法についても、抽選テーブルの例を挙げてさらに後述する。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理(図20)に復帰する。
なお、上述した各処理(ステップS604,S606,S608,S612)において、上記のように演出制御CPU126は通常の選択比率を適用して演出パターンの選択抽選を行う場合と、強制的に選択比率を均等化した均等比率を適用して演出パターンの抽選を行う場合の2通りがある。先ず、通常の選択比率を適用して演出パターンの選択抽選を行う場合について説明する。
〔背景チェンジ抽選テーブルの構成例〕
図22は、通常状態夕涼みステージ滞在時背景チェンジ抽選テーブルの構成例を示す図である。また図23は、通常状態浴衣ステージ滞在時背景チェンジ抽選テーブルの構成例を示す図である。演出制御CPU126は、先の背景チェンジ抽選処理(図21中のステップS604)において、これらテーブルを用いて背景チェンジ抽選を実行する。なお、ここでは特に図示していないが、高確率状態及び時間短縮状態においてもそれぞれ状態別のテーブルが設けられている。また状態別のテーブルは、さらに現在選択されている「ステージ演出(背景画像)」別にそれぞれ(例えば合計4つずつ)用意されている。
例えば図22に示される背景チェンジ抽選テーブルは、内部抽選の結果に応じて決定された今回の変動演出パターン(遊技結果)に対し、それぞれ背景チェンジ時の移行先として「夕涼みステージ」、「浴衣ステージ」、「花火ステージ」、「お祭りステージ」の選択比率を規定したものである。テーブル中の数値は、選択比率の分母を例えば「251」としたときの分子(振り分け値)に相当する。
また背景チェンジ抽選テーブルにおいては、今回の変動演出パターンと関連付けがされている移行先(背景チェンジ演出パターン)にのみ、選択比率として0より大きい振り分け値が設定されている。特に今回の変動演出パターンに関連付けされていない移行先(背景チェンジ演出パターン)については、テーブル上で選択比率が設けられておらず、その場合の振り分け値は0(乱数値のデータはブランク)となっている。なお抽選テーブル中、「お祭りステージ」について全ての変動演出パターンとの関連付けがされていない(振り分け値=0)のは、通常状態(低確率・非時短)では演出上で「お祭りステージ」への移行が行われないためである。以下、変動演出パターンごとに説明する。
〔通常(はずれ)変動時〕
例えば、今回の変動演出パターンが「通常(はずれ)変動」に該当している場合、極めて高い選択比率(=251分の250)で「夕涼みステージ」が選択されるが、極めて低い選択比率(=251分の1)で「浴衣ステージ」が選択される場合もある。なお「夕涼みステージ」が選択された場合、背景チェンジ演出として現状維持が選択されたことになる。その他の「花火ステージ」及び「お祭りステージ」の移行先(背景チェンジ演出パターン)については、「通常(はずれ)変動」との関連付けがされておらず、いずれもテーブル中に選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これらが選択されることはない。
〔リーチ変動時〕
また、今回の変動演出パターンが「ノーマルリーチ変動」、「スペシャルリーチ変動」、「超スペシャルリーチ変動」のいずれかに該当する場合、「夕涼みステージ」、「浴衣ステージ」及び「花火ステージ」については、それぞれテーブル中に設定された比率で選択される。この場合も「お祭りステージ」の移行先(背景チェンジ演出パターン)については、いずれの「リーチ変動」とも関連付けがされておらず、テーブル中に選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これが選択されることはない。
〔擬似連続変動時〕
また今回の変動演出パターンが「擬似連続変動」に該当する場合、「浴衣ステージ」及び「花火ステージ」については、それぞれテーブル中に設定された比率で選択される。ただし、この場合は「夕涼みステージ」及び「お祭りステージ」の移行先(背景チェンジ演出パターン)については、いずれも「擬似連続変動」との関連付けがされておらず、テーブル中に選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これらが選択されることはない。
〔15ラウンド非確変当り変動時、15ラウンド確変当り変動時〕
今回の変動演出パターンが「15ラウンド非確変当り変動」又は「15ラウンド確変当り変動」のいずれかに該当する場合、「夕涼みステージ」、「浴衣ステージ」及び「花火ステージ」については、それぞれテーブル中に設定された比率で選択される。ただし、この場合も「お祭りステージ」の移行先(背景チェンジ演出パターン)について、いずれの「当り変動」とも関連付けがされておらず、テーブル中に選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これが選択されることはない。なお、ここでは「非確変当り」と「確変当り」の場合とで共通の選択比率が設定されているが、互いに異なっていてもよい。
〔2ラウンド確変当り変動時〕
そして、今回の変動演出パターンが「2ラウンド確変当り変動」に該当する場合、「浴衣ステージ」及び「花火ステージ」については、それぞれテーブル中に設定された選択比率で選択される。ただし、この場合は「夕涼みステージ」及び「お祭りステージ」の移行先(背景チェンジ演出パターン)について、「2ラウンド確変当り変動」との関連付けがされておらず、テーブル中に選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これが選択されることはない。
上記のように、背景チェンジ抽選テーブルにおいては、そのときの内部状態や滞在中のステージに基づき、変動演出パターンごとに関連付けされている演出パターン(ここでは移行先のステージ)にのみ選択比率(0より大きい振り分け値)が設定されている。そして、特に関連付けされていない演出パターンについては選択比率が設けられていない(振り分け値=0)ことがわかる。
また、選択比率には演出パターンごとにある程度の高低差が設けられており、例えば、「通常(はずれ)変動時」と関連付けられている「夕涼みステージ」と「浴衣ステージ」とを比較すると、圧倒的に「夕涼みステージ」の選択比率(=251分の250)の方が高い。このため(1)通常状態、かつ(2)「夕涼みステージ」滞在中であって、(3)今回の変動演出パターンが「通常(はずれ)変動」に該当した場合、ほとんどの場合で背景チェンジ演出は行われず、現状の「夕涼みステージ」の選択が維持されることになる。
なお、ここでは図22のテーブルについて説明したが、図23のテーブルについても同様に考えることができる。例えば図23のテーブルの最上段においては、背景チェンジ演出パターンとして「夕涼みステージ」、「浴衣ステージ」及び「花火ステージ」が「通常変動時」と関連付けられていることがわかる。このとき選択比率を比較すると、「浴衣ステージ」の選択比率(=251分の200)が最も高く、ここから大きく下がって「夕涼みステージ」の選択比率(251分の26)と「花火ステージ」の選択比率(251分の25)とが設定されている。このため(1)通常状態、かつ(2)「浴衣ステージ」滞在中であって、(3)今回の変動演出パターンが「通常(はずれ)変動」に該当した場合、最も高い比率で現状の「浴衣ステージ」の選択が維持されるが、ある程度の比率で「夕涼みステージ」又は「花火ステージ」へ移行する演出パターンが選択されることになる。
〔演出抽選テーブルアドレス選択テーブル〕
次に図24は、演出抽選テーブルアドレス選択テーブルの一構成例を示す図である。演出抽選テーブルアドレス選択テーブルは、今回の変動パターンコマンドに含まれるMODE値「A0H」〜「A7H」に基づいて、変動演出パターンの選択抽選(図21中のステップS606で実行)に用いられる演出抽選テーブルのアドレスを指定するためのものである。
演出制御装置124(演出制御CPU126)が受信する変動パターンコマンドは、例えばMODE値−EVENT値の2バイト形式で記述されており、ここではその上位バイトであるMODE値を参照して演出抽選テーブルアドレスの選択が行われる。すなわち、図24に示される選択テーブルの左カラムには、比較値となるMODE値「A0H」〜「A7H」が記述されており、演出制御CPU126は今回の変動パターンコマンドに含まれるMODE値を参照し、選択テーブル中の比較値と一致した場合に右カラムのテーブルアドレスを選択するのである。なお、いずれの場合についても、変動パターンコマンドのEVENT値についてはテーブル上で最大値の「FFH」が設定されているため、MODE値が比較値と一致していれば、下位バイトのEVENT値(例えば「00H」〜「97H」)に関わらず、右カラムのテーブルアドレスが適用されることになる。
例えば、今回の変動パターンコマンドがMODE値として「A0H」を含む場合、演出制御CPU126は今回の変動演出パターン選択抽選に用いる演出抽選テーブルのアドレスとして「通常(はずれ)変動時テーブルアドレス」を選択する。あるいは、今回の変動パターンコマンドがMODE値として「A1H」を含む場合、演出制御CPU126は今回の変動演出パターン選択抽選に用いる演出抽選テーブルのアドレスとして、「ノーマルリーチ変動時テーブルアドレス」を選択する。以下同様に、今回の変動パターンコマンドがMODE値として「A2H」を含む場合、演出制御CPU126は今回の変動演出パターン選択抽選に用いる演出抽選テーブルのアドレスとして「スペシャルリーチ変動時テーブルアドレス」を選択し、変動パターンコマンドがMODE値として「A3H」を含む場合、演出制御CPU126は「超スペシャルリーチ変動時テーブルアドレス」を選択し、変動パターンコマンドがMODE値として「A4H」を含む場合、演出制御CPU126は「擬似連続変動時テーブルアドレス」を選択し、変動パターンコマンドがMODE値として「A5H」を含む場合、演出制御CPU126は「15R(ラウンド)非確変当り変動時テーブルアドレス」を選択し、変動パターンコマンドがMODE値として「A6H」を含む場合、演出制御CPU126は「15R(ラウンド)確変当り変動時テーブルアドレス」を選択し、変動パターンコマンドがMODE値として「A7H」を含む場合、演出制御CPU126は「2R(ラウンド)確変当り変動時テーブルアドレス」を選択する。
〔変動演出パターン選択テーブル〕
図25は、変動演出パターン選択テーブルの一例を示す図である。演出制御CPU126は先の変動演出パターン選択処理(図21中のステップS606)において、図24の演出抽選テーブルアドレス選択テーブルを用いてテーブルアドレスを選択すると、次に図25の変動演出パターン選択テーブルを用いて変動演出パターン番号を選択する。すなわち変動演出パターン選択テーブルは、抽選用乱数値に基づいて、そのときの変動演出パターン番号を選択するためのものである。
図25のテーブルは、「MODE値」別にアドレスが区分されている。すなわち、MODE値「A0H」の区分は、上記の「通常(はずれ)変動時テーブルアドレス」に該当する。またMODE値「A1H」の区分は、上記の「ノーマルリーチ変動時テーブルアドレス」に該当する。以下同様に、MODE値「A2H」〜「A7」までの区分は、それぞれ上記の「スペシャルリーチ変動時テーブルアドレス」〜「2ラウンド確変当り変動時テーブルアドレス」に該当する。
例えば、図24のテーブルから「通常(はずれ)変動時テーブルアドレス」を選択している場合、演出制御CPU126は図25のテーブルにおいて、MODE値「A0H」に対応するテーブルアドレスの区分(最上段の区分)を指定する。このとき、抽選用乱数値が例えば「0」〜「149」の範囲内であったとすると、演出制御CPU126は乱数値範囲に対して振り分けられている変動演出パターン番号として「160000」を選択する。あるいは、抽選用乱数値が「150」〜「199」の範囲内であったとすると、演出制御CPU126は乱数値範囲に対して振り分けられている変動演出パターン番号として「160001」を選択する。
その他のMODE値「A1H」〜「A7H」についても同様に、演出制御CPU126はそれぞれのテーブルアドレスの区分内で抽選用乱数値に振り分けられた変動演出パターン番号を選択することができる。なお、図25ではMODE値「A2H」〜「A6H」についてテーブルの記載を省略しているが、テーブル中にはそれぞれ対応する振り分け値及び変動演出パターン番号が全て規定されている。
変動演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出データテーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチ発生の有無、リーチ発生の場合はリーチ演出パターンとリーチ発生タイミング)、停止表示の態様(例えば「7」−「5」−「3」等)を決定する。なお、図示の例では10進数で変動演出パターン番号を設定しているが、これ以外の設定を採用してもよい。また変動演出パターン番号に関しては、番号間の抜けがないようにシリアル番号を設定しておいてもよい。この場合、ROM128内で変動演出パターン選択テーブルの記憶に必要な容量を削減することができる。
〔リーチ発生前予告演出パターン選択テーブル〕
次に図26は、リーチ発生前予告演出パターン選択テーブルの一構成例を示す図である。演出制御CPU126は、先のリーチ発生前予告選択処理(図21中のステップS608)において、このテーブルに基づいてリーチ発生前予告演出パターンの選択抽選を行う。なお、特に図示していないが、このようなリーチ発生前予告演出パターン選択テーブルは、現在選択されている「ステージ演出(背景画像)」別にそれぞれ(例えば合計4つ)用意されている。
例えば、リーチ発生前予告演出パターン選択テーブルは、今回の変動演出パターンに対し、リーチ発生前予告演出パターンとして「予告なし」、「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」の選択比率を規定したものである。テーブル中の数値は、選択比率の分母を例えば「251」としたときの分子(振り分け値)に相当する。
またリーチ発生前予告演出パターン選択テーブルにおいても、今回の変動演出パターンと関連付けがされているリーチ発生前予告演出パターンにのみ、選択比率として0より大きい振り分け値が設定されている。特に今回の変動演出パターンに関連付けされていないリーチ発生前予告演出パターンについては、テーブル上で選択比率が設けられておらず、その場合の振り分け値は0(乱数値のデータはブランク)となっている。なお抽選テーブル中、「第2特定パターン」について非当選の変動時及び2ラウンド確変当り変動時との関連付けがされていない(振り分け値=0)のは、非当選の変動時及び2ラウンド確変当り変動時は演出上で「第2特定パターン」によるリーチ発生前予告演出が行われないためである。以下、変動演出パターンごとに説明する。
〔通常(はずれ)変動時〕
例えば、今回の変動演出パターンが「通常(はずれ)変動」に該当している場合、極めて高い選択比率(=251分の200)で「予告なし」が選択される。これはつまり、今回の変動表示演出において「リーチ発生前予告演出を行わない」ことを意味する。ただし、ある程度の選択比率(=251分の50)で「第1パターン」が選択される場合もあるし、極めて低い選択比率(=251分の1)で「第1特定パターン」が選択される場合もある。その他の「第2パターン」〜「第5パターン」、「第2特定パターン」については、いずれも「通常(はずれ)変動」との関連付けがされておらず、テーブル中に選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これらが選択されることはない。
〔ノーマルリーチ変動時〕
また、今回の変動演出パターンが「ノーマルリーチ変動」に該当している場合、極めて高い選択比率(=251分の250)で「第5パターン」が選択される。ただし、ここでも極めて低い選択比率(=251分の1)で「第1特定パターン」が選択される場合がある。ここでもその他の「第1パターン」〜「第4パターン」、「第2特定パターン」及び「予告なし」については、いずれも「ノーマルリーチ変動」との関連付けがされておらず、テーブル中に選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これらが選択されることはない。
〔スペシャルリーチ変動時〕
また、今回の変動演出パターンが「スペシャルリーチ変動」に該当する場合、「第2パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」については、それぞれテーブル中に設定された比率で選択される。ただし、この場合も「第1パターン」、「第2特定パターン」及び「予告なし」については、いずれも「スペシャルリーチ変動」との関連付けがなく、テーブル中には選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これらが選択されることはない。
〔超スペシャルリーチ変動時〕
一方、今回の変動演出パターンが「超スペシャルリーチ変動」に該当する場合、「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」については、それぞれテーブル中に設定された比率で選択される。ただし、この場合は「第2特定パターン」及び「予告なし」について、いずれも「超スペシャルリーチ変動」との関連付けがなく、テーブル中で選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これらが選択されることはない。
〔擬似連続変動時〕
また今回の変動演出パターンが「擬似連続変動」に該当する場合、「第2パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」については、それぞれテーブル中に設定された比率で選択される。ただし、この場合も「第1パターン」、「第2特定パターン」及び「予告なし」について、いずれも「擬似連続変動」との関連付けがなく、テーブル中で選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これらが選択されることはない。
〔15ラウンド非確変当り変動時、15ラウンド確変当り変動時〕
今回の変動演出パターンが「15ラウンド非確変当り変動」又は「15ラウンド確変当り変動」のいずれかに該当する場合、「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」の全てについて関連付けがされており、全パターンがそれぞれテーブル中に設定された比率で選択される。この場合、「予告なし」は選択されない。なお、ここでは「非確変当り」と「確変当り」の場合とで共通の選択比率が設定されているが、互いに異なっていてもよい。
〔2ラウンド確変当り変動時〕
そして、今回の変動演出パターンが「2ラウンド確変当り変動」に該当する場合、「第2パターン」〜「第5パターン」については、それぞれテーブル中に設定された比率で選択されるが、この場合、「第1特定パターン」及び「第2特定パターン」については関連付けされておらず、テーブル中に選択比率が設けられていないため(振り分け値=0)、これらが選択されることはない。また、この場合に「予告なし」も選択されない。
なお、テーブル中の「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」は、それぞれリーチ発生前予告演出についての異なる演出パターンを表すものである。
〔リーチ発生後予告演出パターン選択テーブル〕
図27は、リーチ発生後予告演出パターン選択テーブルの一構成例を示す図である。演出制御CPU126は、先のリーチ発生後予告選択処理(図21中のステップS612)において、このテーブルに基づいてリーチ発生後予告演出パターンの選択抽選を行う。なお、特に図示していないが、このようなリーチ発生後予告演出パターン選択テーブルもまた、現在選択されている「ステージ演出(背景画像)」別にそれぞれ(例えば合計4つ)用意されている。
図27に示されるリーチ発生後予告演出パターン選択テーブルも同様に、今回の変動演出パターン別に「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」の選択比率を規定したものである。なお、テーブル中の「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」は、それぞれリーチ発生前予告演出(1回目又は2回目)についての異なる演出パターンを表すものである。
〔通常の選択比率を適用した選択例〕
以上の各種テーブルから、通常の選択比率を適用して演出パターンを選択する場合の手法について具体的に説明する。例えば、図26のリーチ発生前予告演出パターン選択テーブルに基づき、通常の選択比率を適用して演出パターンを選択する場合の通常の手法は以下のものとなる。
(1)演出制御CPU126は、今回の変動演出パターンに基づいてテーブル中の行アドレス(1行目〜8行目)を指定する。なお変動演出パターンは、変動パターンコマンドのMODE値「A0H」〜「A7H」に対応しているため、演出制御CPU126は変動パターンコマンドに含まれるMODE値からテーブル中の行アドレスを指定することができる。
(2)次に演出制御CPU126は、テーブル中で指定した行アドレスにおいて、横方向にカラム内の比較値(上限値)を順番に取得すると、この比較値を用いて抽選用乱数値を減算する。そして、減算の結果が0以下になった場合、演出制御CPU126は当該カラム番号に対応する演出パターン番号を選択する。
〔通常(はずれ)変動時の選択例〕
例えば、今回の変動演出パターンが「通常(はずれ)変動」に該当していれば、演出制御CPU126は上記(1)のステップにおいてテーブル中の第1段(インデックス行を除く1行目)に該当する行アドレスを指定する。
次に演出制御CPU126は、上記(2)のステップにおいて第1段(1行目)の左側第1番目のカラムから順に比較値を取得する。この例では、1行目のアドレスにおいて左から1番目のカラムに比較値として「199」が格納されている(乱数の振り分け値は200)。このとき、取得した抽選用乱数値が例えば「100」であったとすると、これを比較値「199」で減算した結果は0以下となるため、演出制御CPU126は1番目のカラムに対応する演出パターンとして「予告なし」を選択する。なお「予告なし」が選択されると、結果的にリーチ発生前予告演出は行われないことになる。このように、抽選用乱数値が「0」〜「199」の範囲内(振り分け値は200)にあれば、それに対応して「予告なし」が選択される。
一方、取得した抽選用乱数値が例えば「210」であったとすると、これを最初の比較値「199」で減算した結果は0以下とならない。この場合、演出制御CPU126は次に2番目のカラムから比較値として「249」を取得し、これを抽選用乱数値から減算する。この減算結果は0以下となるため、演出制御CPU126はここで2番目のカラムに対応する演出パターンとして「第1パターン」を選択する。このように、抽選用乱数値が「200」〜「249」の範囲内(振り分け値は50)にあれば、それに対応して「第1パターン」が選択されることになる。
また、取得した抽選用乱数値が例えば「250」であったとすると、これを2番目の比較値「249」で減算しても結果は0以下とならない。この場合、演出制御CPU126は、選択比率の設定がない(振り分け値が0である)3番目〜6番目までのカラムをスキップし、次に7番目のカラムから比較値「250」を取得する。そして演出制御CPU126は、これを抽選用乱数値から減算すると、その結果は0以下となるため、演出制御CPU126はここで7番目のカラムに対応する演出パターンとして「第1特定パターン」を選択する。なお、7番目のカラムに対応する「特定第1パターン」が選択されるのは、抽選用乱数値が「250」の場合だけとなる(振り分け値は「1」)。
以上のように、通常(はずれ)変動時にはほとんどの場合に「予告なし」又は「第1パターン」のいずれかが選択され、通常の選択比率を適用した場合に「第1特定パターン」が選択される頻度は極めて低いことがわかる(選択比率は251分の1)。
〔ノーマルリーチ変動時の選択例〕
あるいは、今回の変動演出パターンが「ノーマルリーチ変動」に該当していれば、演出制御CPU126は上記(1)のステップにおいてテーブル中の第2段(インデックス行を除く2行目)に該当する行アドレスを指定する。
次に演出制御CPU126は、上記(2)のステップにおいて第2段(2行目)の左側第1番目のカラムから順に比較値を取得する。この例では、2行目のアドレスにおいて左から1番目〜5番目までのカラム内はブランク(=振り分け値が0)であるが、6番目のカラムには最初の比較値として「249」が格納されている(乱数の振り分け値は250)。このとき、取得した抽選用乱数値が例えば「100」であったとすると、これを比較値「249」で減算した結果は0以下となるため、演出制御CPU126は6番目のカラムに対応する演出パターンとして「第5パターン」を選択する。このように、抽選用乱数値が「0」〜「240」の範囲内(振り分け値は250)にあれば、それに対応して「第5パターン」が選択される。また、7番目のカラムには比較値として「250」が格納されているが、この7番目のカラムに対応する「特定第1パターン」が選択されるのは抽選用乱数値が「250」の場合だけとなる(振り分け値は「1」)。
以上のように通常の選択比率を適用した場合、ノーマルリーチ変動時には極めて高い選択比率で「第5パターン」が選択され、「第1特定パターン」が選択されることはほとんどないことがわかる(選択比率は251分の1)。
また、上記のような通常の選択比率を適用した選択は、リーチ発生前予告演出選択処理(図21中のステップS608)やリーチ発生後予告演出選択処理(図21中のステップS612)の他に、背景チェンジ抽選処理(図21中のステップS604)及び変動演出パターン選択処理(図21中のステップS606)においてもそれぞれ採用することができる。
〔均等比率を適用した選択例〕
次に、特定の条件を満足した場合に均等比率を適用して演出パターンの選択を行う手法について説明する。以下、リーチ発生前予告選択処理(図21中のステップS608)を例に挙げて説明する。
図28は、リーチ発生前予告選択処理の手順例を示すフローチャートである。演出制御CPU126は、この処理において通常の選択比率を適用して演出パターンを選択することもできるし、均等比率を適用して演出パターンを選択することもできる。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS700:先ず演出制御CPU126は、演出パターンの選択比率を強制的に均等化するコマンドの設定がされているか否かを確認する。強制均等化コマンドは、例えば今回の変動表示演出について関連付けがされた全ての演出パターンを均等な頻度で出現させる場合に設定することができる。すなわち強制均等化コマンドは、例えば演出切替ボタン45の操作(例えば、予め定められた回数を押下する等)を通じて演出制御装置124に対して設定することができる。あるいは、演出制御CPU126自身が特定の条件(例えば、大当り終了後の変動回数が400回に達した、電源投入後の初当り前の変動100回以内である等の条件)を判断し、これが満たされる場合に演出制御CPU126が強制均等化コマンドを自動的に設定することとしてもよい。いずれにしても設定された強制均等化コマンドは、例えばRAM130のコマンドバッファ領域に保存されている。
〔強制均等化コマンド設定時〕
そして、強制均等化コマンドが設定されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS706以降を実行する。
ステップS706,S708:演出制御CPU126は、抽選データテーブル(図26)を参照し、今回の変動演出パターンに対応する行アドレス内で振り分け値として0より大きい値が設定されている項目数(演出パターン数)をカウントする。具体的には、テーブル上の全項目(「予告なし」、「第1パターン」、「第2パターン」、「第3パターン」、「第4パターン」、「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」の8項目)のうち、0より大きい振り分け値が設定されている項目がいくつあるかをカウントする。ここでカウントされる項目は、上記のように今回の変動パターンと関連付けられている演出パターンであり、これらは今回の抽選対象に該当するものとなる。
ステップS710:次に演出制御CPU126は、0からカウント項目数を1減算した結果までの数値範囲内で均等の抽選を行い、いずれかの数値を取得する。例えば、先のステップS708でカウントした項目数をNとしたとき、「0」〜「N−1」までの数値範囲内でいずれかの数値(整数)を均等な比率(1/N)で取得する。
ステップS712:次に演出制御CPU126は、先のステップS710で取得した数値をインデックス値として、テーブル上で0より大きい振り分け値が設定されている項目を参照する。例えば、取得した数値が「0」であればインデックス値0(=1番目)に対応する項目を参照し、取得した数値が「1」であればインデックス値1(=2番目)に対応する項目を参照し、取得した数値が「2」であればインデックス値2(=3番目)に対応する項目を参照し、・・・取得した数値が「N−1」であればインデックス値N−1(=N番目)に対応する項目を参照する。
ステップS714:そして演出制御CPU126は、先のステップS712で参照した項目から抽選結果値として「00H」〜「07H」のいずれかを取得する。以上の手順を実行すると、演出制御CPU126は演出図柄変動前処理(図21)に復帰する。
〔強制均等化コマンド未設定時〕
なお、先のステップS700で特に強制均等化コマンドが設定されていなければ(No)、演出制御CPU126はステップS702及びステップS704を実行する。この場合、演出制御CPU126は無作為に抽選用乱数値を取得すると(ステップS702)、この乱数値に基づいて抽選データテーブルの項目を参照する。なお、この場合の選択手法は、上述したとおり通常の選択比率によるものとなる。
〔均等比率を適用した選択例〕
図29は、均等比率を適用した場合の選択例を示す概要図である。なお図29中(A)には、先のリーチ発生前予告演出パターン選択テーブル(図26)のうち、今回の変動演出パターンとして「通常(はずれ)変動」に対応する行の抽選データのみ(インデックス行を含む)を抜粋して示している。また図29中(B)には、演出制御CPU126の処理上で生成される各種の内部数値の例を示している。
図29中(A):今回の変動演出パターンが「通常(はずれ)変動」であるとした場合、演出制御CPU126は抽選データテーブルの対応する行(ここでは1行目)を参照する(図28中のステップS706)。
次に演出制御CPU126は、参照した行から0より大きい振り分け値が設定されている項目数をカウントする(図28中のステップS708)。ここでは、図29中(A)に網掛けが施されているセルの数が項目数に該当するため、これらの数として「3」をカウントすることになる。
図29中(B):カウントした項目数は、演出制御CPU126の処理において例えば内部変数として登録される。この例では、内部変数としてのカウント項目数に「3」が登録されることになる。
また演出制御CPU126は、内部変数として均等抽選用全乱数を生成する。全乱数は、カウント項目数(=N)に基づいて「0」から「N−1」までが生成される。したがってこの例では、生成される全乱数は「0」,「1」,「2(=3−1)」となる。そして演出制御CPU126は、生成した全乱数の中からいずれかの数値を取得する(図28中のステップS710)。ここでは、例として数値「2」が取得されるものとする。この数値は上記のインデックス値となる。ここでは全乱数値が0〜2の範囲内でしかないため、いずれの数値を取得しても、その選択比率は3分の1となっている。
演出制御CPU126は、取得した数値をインデックス値とし、テーブル上で0より大きい振り分け値が設定されている項目を参照する(図28中のステップS712)。この例では、インデックス値「2」に対応する項目として、テーブルの左から3番目の「第1特定パターン」に対応する項目が参照されることになる。
そして演出制御CPU126は、参照項目から抽選結果値を取得する(図28中のステップS714)。この例では、「第1特定パターン」の項目に該当する結果値として「06H」が取得されることになる。これにより、通常の選択比率(251分の1)ではなかなか出現することのない演出パターン(第1パターン)についても、3分の1という高い比率で選択されることから、それだけ出現頻度を相対的に向上することができる。
以上は「通常(はずれ)変動時」についての選択例であるが、その他の変動演出パターンについても同様に考えることができる。例えば、図26のリーチ発生前予告演出パターン選択テーブル中、「15ラウンド非確変当り変動時」及び「15ラウンド確変当り変動時」においては、いずれも「第2特定パターン」の選択比率は通常で251分の5と極めて低く設定されているが、均等比率を適用した場合、「第2特定パターン」をその他のパターンと均等の比率(7分の1)で選択することができる。
〔その他の均等比率を適用した選択例〕
以上はリーチ発生前予告演出選択処理についての説明であるが、背景チェンジ抽選処理(図21中のステップS604)や変動演出パターン選択処理(図21中のステップS606)、リーチ発生後予告選択処理(図21中のステップS612)においても同様に均等化した選択比率を適用して演出パターンを選択することができる。
〔背景チェンジ演出パターンの均等比率による選択〕
例えば図22の「通常状態夕涼みステージ滞在時背景チェンジ抽選テーブル」において、ノーマルリーチ変動時に背景チェンジ先として「花火ステージ」が選択される比率は極めて低く(=251分の1)設定されているが、強制均等化コマンドの設定により選択比率を均等化することで、演出制御CPU126は背景チェンジ先として、「花火ステージ」を2分の1の比率で選択することができる。これにより、通常状態での背景チェンジ演出を高頻度に出現(発生)させ、遊技者の目先を変えさせて遊技意欲の減退を抑えることができる。
〔変動演出パターンの均等比率による選択〕
あるいは、例えば図25の「変動演出パターン選択テーブル」において、2ラウンド確変当り変動時に変動演出パターン番号として「166127」の選択比率は極めて低く(=251分の1)設定されているが、強制均等化コマンドの設定により選択比率を均等化することで、演出制御CPU126は変動演出パターン番号として「166127」を7分の1の比率で選択することもできる。
〔強制コマンドの設定による有用性〕
いずれにしても、上述した均等比率を適用した演出パターンの選択手法によれば、通常の設定では関連付けのある演出パターンごとに選択比率の高低差(この例では最大比率が最小比率の200倍)があったとしても、それら全ての抽選対象(演出パターン)を互いに均等な比率で選択することができる。したがって、通常ならばほとんど出現しない演出パターンについても、毎回の選択抽選で等しく選択される可能性が生じるため、全ての演出パターンを均等な頻度で出現させ、その演出効果を充分に発揮させることができる。
これにより、例えば上記のように長らく大当りの機会に恵まれない状況になった場合であっても、そこで効果的に希少な演出パターンを出現させて遊技者の気分を一新し、遊技意欲の減退に歯止めを掛けることができる。あるいは、電源投入後から初当りするまでの最初の数十回以内の変動において希少な演出パターンの出現頻度を相対的に向上することにより、遊技場の営業開始から早期に遊技を開始させようとする動機付けを遊技者に与えることができる。
また、パチンコ機1を商品展示場で展示し、来場者に試打(試射)してもらうような場合においても、上記の均等比率を適用した選択手法を実行することにより、短時間内でパチンコ機1が有する演出機能を存分にアピールすることができる。
さらに本実施形態においては、演出制御CPU126において選択比率を均等化した抽選を行う際に、別途専用の抽選テーブルを使用することなく、通常の選択比率を設定した抽選テーブルをそのまま使用することができる。このため、別途専用の抽選テーブルをわざわざ作成したり、これをROM128に記憶させたりする必要がないことから、それだけ製造コストやデータ容量を削減することができる。
特に、別途専用の抽選テーブルを作成しようとすると、人為的なミスによって本来なら関連付けされるはずのない演出パターンに振り分け値が設定されてしまったり、逆に関連付けされるべき演出パターンに振り分け値が設定されなかったりという不具合が発生しかねない。このような場合、わざわざ専用の抽選テーブルを作成しても、それによって本来発生するはずのない演出パターンが発生してしまったり(非当選であるのに、当り確定の演出が発生する等)、逆に発生するべき演出パターンが全く発生しなかったりといった別の問題を生じることになり、かえって遊技者や来場者への不興を買ってしまう。
この点、本実施形態では通常の選択比率を設定した抽選テーブル(正しく完成されたもの)をそのまま使用しつつ、その中で選択比率を均等化することができるので、上記のような不具合を生じることがないことから、その有用性は極めて高いものとなる。
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。例えば、各種の選択抽選テーブル(図22〜図27)はいずれも一例であり、これら以外のテーブル構成を採用することもできる。
また、各種の演出例であげた画像はあくまで一例であり、これらは適宜に変形することができる。その他、パチンコ機1の構造や盤面構成等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能であることはいうまでもない。