JP2010536828A - 化学工業用生分解性溶媒 - Google Patents

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Abstract

本発明は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(bmmim)塩のような既存のイミダゾリウム系イオン性液体(IL)に対して生分解性が強化され、毒性が低減した、アルキル−イミダゾリウムカチオンコア含有イオン性液体に基づく化学合成用イオン性液体溶媒に関する。記載するILの多くは、Sturm試験、クローズドボトル試験(OECD301D)またはCOヘッドスペース試験のような生分解性試験により28日間で60%を超える生分解性スコアを提示する。本発明のILは、イミダゾール環の3位に−C=OX−側鎖を有するアルキル置換イミダゾリウムカチオンコア(式中、X=O、NH、NまたはS)および結合対アニオンを含み、−C=OX側鎖は少なくとも1つのエーテル結合を含むことを特徴とする。生分解性で非毒性のILは、化学工業、製薬工業、バイオ燃料工業およびバイオマス工業でグリーン溶媒として使用され得る。

Description

本発明は、化学工業用生分解性溶媒を提供することに関する。より詳細には、本発明は、化学合成およびバイオマス分解のような反応で溶媒として用いる新規イオン性液体(IL)を提供することに関する。より詳細には、本発明のイオン性溶媒は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(bmim)塩のような既存のイミダゾリウム系ILに対して生分解性が強化され、毒性が低減した、アルキル−イミダゾリウムカチオンコアを含むイオン性液体に基づくものである。
イオン性液体(IL)は、様々な合成法および分析法での媒体としてかなり注目される対象である。(1,2)それらは、蒸気圧が低いこと、再利用を促進する回収が容易であること(3)、および触媒法への適用性(4)のために、「グリーンケミストリー」に照らして検討されている。ILは、融点が100℃より低いことを特徴とする。ILは、極性およびイオン導電率が高いこと、電気化学電位窓が広いこと、様々な化学物質に対して高温でも化学的安定性および熱安定性が優れていることなど、複数の興味深い特性を有する。しかし、ILが環境に経時的に蓄積する可能性についての懸念につながったのがこの安定性である。(5)イオン性液体は、早期分解または環境持続性から問題を引き起こす可能性があり、その結果、イオン性液体がその実用にかなうときには、処分が問題となる。焼却および埋め立て廃棄物を減らす圧力が高まると、生分解性である化学物質の必要条件も増える。(6)グリーンケミストリーの分野においては、生態毒性または生物活性が高い廃棄物を大量に出すことは容認できない。(7)イオン性液体を数トン規模で用いる最初の工業法はSeddonによって報告されている。(8)イオン性液体は学術的な関心から進歩したため、イオン性液体を用いる方法を拡大する前にそれらの毒性および生分解を考える必要性が最優先である。
グリーン溶媒としてイオン性液体(IL)を使用することに強い関心が寄せられているが(図1)、生分解性および毒性について知られていることは比較的わずかであり、それらは有機化合物の環境リスクアセスメントにおける基本特性である。
ILの生分解性は、次の標準的な方法を用いて評価することができる:(i)Sturm試験(ii)クローズドボトル試験(OECD301D)(iii)COヘッドスペース試験(ISO14593)。(ii)および(iii)の両試験は、洗浄用界面活性剤の生分解性についての欧州規制(EC)第648/2004号に含まれており、COヘッドスペース試験は、最終生分解性についての実験室試験のための参照方法である。クローズドボトル試験およびCOヘッドスペース試験では、評価されるべき化合物を、廃水微生物を接種した好気性水性媒体に加え、溶存Oの枯渇またはCOの発生を定期的に測定し、理論上の最大のパーセンテージとして報告する。参照物質としてn−ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が通常用いられる。
ILは「易生分解性」であると考えられるため、このような化学物質は、記載した試験の1つによって測定した生分解レベルが28日間で60%より高い場合には、好気条件下で水生環境において迅速かつ完全に分解されているとされる。
IL毒性試験は、生物学的複雑性レベルが異なる系統に基づいている。ILの毒性は、細菌および真菌からゼブラフィッシュ、土壌線虫および淡水産巻貝のような高等生物まで様々な生物で測定されてきた。生物に対するILの毒性の測定値として、LC50値、IC50値、EC50値およびMIC値が用いられる。増殖阻害研究も藻類および陸生植物で行われてきた。このような試験では、生体系内のILが増殖を防止または阻止するレベルが示される。さらに、このような研究のILについてのデータは、一般的な有機溶媒の周知の値と比較することができる。全般的に、これまで試験されたイオン性液体の毒性は、アセトンおよびメタノールのような従来の溶媒の毒性よりも桁違いに高いことが分かっている。イオン性液体の毒性に関する一般的な問題は、長い炭化水素鎖の存在に関連している。ジアルキルイミダゾリウムイオン性液体の毒性には側鎖の長さが影響を及ぼすことが分かっており、鎖長が長いほど毒性が強くなることが証明されている。実際には、Bodorら(9)により、メチルイミダゾールの長鎖エステル誘導体(図3において化合物6として示している)が、ppm濃度で有効な抗微生物活性を示し、このようなILの微生物に対する毒性効果をはっきりと示すことが示されている。
1991年に、Howardら、(10)により、化学構造だけに基づいて有機化合物の好気的生分解性を予測するためのモデルの開発に関する報告が発表された。生分解性に影響を与えることが分かっているか、または生分解性に影響を与えると考えられている特定の構造フラグメントを有する有機化合物を調査した。例えば、エステル官能基を追加することによって生分解性が全般的に高まることが知られている。化合物の多くについて優れた予測結果が得られた。しかし、興味深いことに、ある特定の脂肪族エーテルを含めたある特定の化合物では、急速に生分解するという誤った予測がなされた。
1996年に、Boethlingにより、40年にわたる研究で、分子構造における比較的小さな変化によって生分解に対する化学物質の感受性がかなり変化し得ることが分かったという報告がなされた。このような研究により、生分解性に対する化学構造の影響についていくつかの「経験則」がもたらされた。これらの経験則には、例えば、ハロゲン、鎖の分岐、ニトロ基、複素環残基および脂肪族エーテルのような分子特徴はすべて、好気的生分解性に対する耐性を高めることに全般的につながるということが含まれていた(10)。
2002年に、GathergoodおよびScammellsは、ジアルキルイミダゾリウムカチオンを含むILの生分解性に対する置換基の効果の調査に基づいて、ILの生分解性についての最初の研究を行った(11)。(図1)窒素含有複素環は、微生物による分解には困難な基であることはすでに知られていた(9)。GathergoodおよびScammellsは、イミダゾリウムカチオンコアと、Br、BF 、PF 、NTf もしくはN(CN) のようなアニオンと、非置換直鎖アルキルエステルまたはアルキルアミド側鎖(エチル−オクチル)との特徴の組合せにより、大部分は室温で液体であるILがもたらされることを見出した。限られた数のこれらの化合物は、Sturm生分解性試験(ISO9439:合格は60%発生であり、80%発生は「易生分解性」と見なされる)に供した際、48〜60%の領域においてCOを放出することが分かった。
2004年に、Gathergood、ScammellsおよびGarcia(11)は、ブロモ酢酸の適当なアルキルエステルまたはアミド誘導体によるメチルイミダゾールのアルキル化を含む、イミダゾリウムILを得るための標準的な方法を用いて、イミダゾリウムILを生成した。対イオン交換手法は、代替対イオンの導入および高収率でのILの形成を可能にした。生分解性は、「クローズドボトル試験」(OECD301D)を用い、ドデシル硫酸ナトリウムを参照として評価した。ここで、試験した化合物についての60%より高い生分解性の結果は、その化合物を「易生分解性」と見なすことを意味する。GathergoodおよびGarciaは、一般的に用いられているジアルキルイミダゾリウムIL(BmimX)が、クローズドボトル試験においてごくわずかな生分解性(28日間で0〜2%分解の範囲にある)しか示さないことを報告した。しかし、イミダゾリウムカチオンの側鎖にエステルを組み込むことにより、BmimXと比較して生分解性は著しく高まるが、側鎖にアミドを組み込むとはるかに低い生分解性効果を示し、その結果は28日間で60%の生分解性とは程遠いものであった。3−メチル−1−(ペントキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミドは、この系において最も生分解性が高い化合物であることが証明されており、28日後にちょうど32%の分解結果を提示する。GathergoodおよびGarciaはまた、生分解性は、最も低級のアルキルエステルのアルキル側鎖長が増すとともに少し高まり、後に比較的一定にとどまることも示しており、4を超える鎖長のエステルが最も生分解性が高いものであることが証明されている。エステル結合の酵素的切断によって容易に代謝される断片がもたらされると仮定された。多くの第四級アンモニウム塩が有力な殺生物剤であることが知られており、そこで、ある特定のILが、生分解する微生物の増殖を阻害し得るという議論が提示されていることから、この論文において著者らは、化合物毒性が生分解性に対して及ぼし得る悪影響を簡単に確認した。生分解する微生物に対して毒性が低いILを生成することが望ましいことは明らかである。
他のグループはILの毒性学を調査し(12)、そのような分子の生物学的特性にアルキル鎖の長さが影響を及ぼし、アルキル鎖が長いほど毒性が高いことを見出した。上述のとおり、イミダゾリウム塩の側鎖にエステル基を含む1つの特定の化合物は明らかな毒性効果を有し、実際には、強力な抗菌薬であることが示されている(9)(構造比較については図3参照)。この際、Bodorは、この種の化合物の生物活性を利用するために、医薬化学プロジェクトの一環として化学物質を設計した。
2004年の後半に、Gathergood、ScammellsおよびGarcia(11)は、イミダゾリウム系ILの生分解性および毒性学に対する対アニオンおよびアルキル鎖長の影響を、BmimBr類似体と比較して検討した。Br、BF 、PF 、NTf 、N(CN) およびオクチルOSO のような対アニオンを調査した。オクチルサルフェートアニオンおよびアルキルエステル側鎖を含むILは、クローズドボトル試験により、生分解性が低いことが証明されている一般的に用いられているIL、BmimBFおよびBmimPFと比較して、最も高い生分解性を示した(28日後に49%生分解)。
しかし、これらの研究において開示された化合物はいずれも「易生分解性」と分類され得なかったことに留意しなければならない。淡水産甲殻類および海産細菌での生物検定水生毒性試験では、試験したILの毒性が、アルキル鎖長が増すとともにより顕著になることが示された。毒性は、アセトン、アセトニトリルのような有機溶媒の場合、そして塩素化溶媒の場合よりもはるかに顕著であったが、カチオン性界面活性剤の場合よりも低かった。また、鎖長が増すにつれて、ILおよびカチオン性界面活性剤の毒性の違いが大幅に小さくなることも示された。水生毒性に関する決定因子はアルキル側鎖長であり、無機対アニオンにはわずかな効果しかないことが提示された。
最近になって、Gathergood、ScammellsおよびGarciaは、「クローズドボトル試験」(OECD301D)および「COヘッドスペース試験」(ISO14593)を用いて好気条件下で「易生分解性」と分類することができる最初のILを報告した(11、13、14)。さらに、調査は、ILのイミダゾールユニットへの2−メチル基の追加効果の性質に向けられた。2−メチル置換は、生分解性を高めることにおいて潜在的利益を有すると考えられた。これは、そのような電子供与基の追加により環が活性化されて攻撃されるはずであり、また、カルベンの形成が望ましくない場合には、イミダゾール環を含むILがカルベンを形成する傾向を克服するはずであるからである。1−アルコキシカルボニル−3−メチルイミダゾリウムカチオンおよび1−アルコキシカルボニル−2,3−ジメチルイミダゾリウム類似体を試験した。驚くべきことに、ILへの2−メチル基の追加は、生分解結果に有意な影響を及ぼさなかった。興味深いことに、COヘッドスペース試験データはクローズドボトル試験と一致し、実際には、側鎖にエステル基と、対イオンとしてのオクチルサルフェートとの両方を含む特定のILでは、生分解性結果は60〜67%の範囲であった。クローズドボトル試験の結果と比べて高い結果は、試験物の細胞密度の違いと関係していると考えられる。これらの結果より、IL群を「易生分解性」と初めて分類することができる、言い換えれば、特定のILは、好気条件下で水生環境において迅速に無機化/生分解されると推測することができる。最後に、好気性微生物に対するBmimX化合物の阻害効果の可能性を調査したが、試験濃度では毒性効果は示されなかった。抗菌活性についてスクリーニングされる濃度は、全般的に2μg/ml〜1000μg/mlである。強力な抗菌薬は、この範囲の下限においてMIC値を示し、そしてこの範囲の上限においてMIC値を示す化合物は抗菌活性を示すが、抗菌薬開発に重要なレベルではそうではない。20000μg/mlまでのレベルで抗菌活性不足を示すIL化合物が最も望ましいであろう。このような高濃度において抗菌活性がないことが重要な結果となるであろう。
グリーン溶媒は、遷移金属触媒作用の分野において1つの用途が見出されており、主要な現代の問題の1つが、コストのかかる触媒およびリガンドの非効率的な再利用および再生である。経済効率の良い触媒を用いる場合、通常、選択性は乏しく、結果を改善するためには複雑な毒物または条件が必要である(15)。有機媒体および水性媒体のものと比べた、ILの物理化学的性質から、ILは触媒固定化手段を提供する(16)。非求核性であることから、触媒寿命を延長させることもできる不活性反応媒体を与える(17)。低極性化合物、例えば、ジエチルエーテルおよびn−ヘキサンは、一般的にILに不溶である。前述の有機溶媒およびILの、このさまざまな溶解度によって、二相系触媒作用に好適な環境が提供される。二相系を用いて均一系触媒作用および不均一系触媒作用のプラス面が組み合わされる。このような相系では、触媒はIL中に存在し、基質/生成物は別の相中に存在する。この系は、簡単なデカンテーションにより所望の生成物を成功裏に分離する費用効果の高い方法を実行することができ、触媒はIL中に固定化され、再生のために準備される。IL中での単相系触媒作用については、基質がIL媒体に溶解する場合、ILの低蒸気圧により、簡単な抽出すなわち実際には簡便な蒸留を、IL/触媒系から生成物を分離するための代替法として利用することができる。
多くの一般的なILは、接触水素化用の代替溶媒として調査されている。これらの研究のうち、大半はRMim(R:アルキル鎖)Xという形態の一般的な市販のILに重点を置いている(18)。(図1)
パラジウム炭素は、オレフィン水素化用の汎用触媒として周知であるが、その有効な触媒活性が選択性の低下につながる可能性がある。そのため、例えば、水素化反応のような有機反応に用い得る、代替のグリーン溶媒を提供することが望ましい。特に興味深いのは、市販のPd/C触媒を用いた、トランス−シンナムアルデヒドまたは桂皮酸ベンジルのような化合物の水素化に用いることができる、変換および選択性の優れた制御を可能にするような溶媒である。
よって、非毒性であるか、またはより伝統的なイオン性液体溶媒と比べて低減された毒性を示す、化学合成用の一連の「易生分解性」のイオン性液体溶媒(IL)を提供することを通じて、化学工業における薬物製造のためのグリーン法の開発を手助けすることが望ましい。廃棄物量が少なくなることで処分コストの削減につながり、より環境に優しいという会社のプロフィールにもつながるため、このような生分解性で非毒性のイオン性液体溶媒は非常に望ましい。
望ましい溶媒特性、すなわち生分解性と、反応の特定のニーズ、例えば、生成物の変換および/または選択性の増大に合わせることができる溶媒における配位能力とを組み合わせることが望ましい。本発明におけるイオン性液体により、このような溶媒を調整することが可能になる。
さらに望ましいのは、これらの特徴を有しているが採算の合う強力で薬物の調製に理想的に適合したイオン性液体溶媒のデザイナーライブラリーを提供することである。本発明のイオン性液体は、調整可能なアキラル配位生分解性非毒性溶媒の優れた商業的供給源を与える。
さらに、ほとんどの場合、従来の液体は、生体高分子(例えばセルロース、絹、羊毛およびケラチンの他の形態)を含めた種々の重要な生体分子を溶解することができないため、イオン性液体はバイオマス分解に重要な溶媒として認められている(1)。より小さな炭水化物オリゴマーならびに高分子炭水化物も適当なイオン性液体で可溶化することができる(1)。そのため、非毒性かつ/または生分解性のイオン性液体をバイオマス分解に用いることが非常に望ましい。
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に示すとおり、イミダゾール環の3位に−C=OX−側鎖を有するアルキル置換イミダゾリウムカチオンコア(式中、X=O、NH、NまたはS)および結合対アニオンを含む化合物であって、−C=OX−側鎖が少なくとも1つのエーテル結合を含むことを特徴とする化合物が提供される。よって、本発明は、多数の化学反応でイオン性液体として用いることができる一連の化合物を提供する。従って、本発明の化合物は、イミダゾール環の3位にエステル、アミドまたはチオエステル(−C=OX−;式中、それぞれ、X=O、NH、NまたはS)側鎖を有するアルキル置換イミダゾリウムカチオンコアおよび結合対アニオンを含み、ここで、エステル、アミドまたはチオエステル側鎖は、少なくとも1つのエーテル結合を含む。本発明のイオン性液体化合物の多くは、標準的な生分解性試験に供した場合(例えばCOヘッドスペース試験データまたはクローズドボトル試験)、28日間で少なくとも60%の生分解性を示し、これまでにイオン性液体として用いられていた他の化合物と比べて毒性の低減を示す。驚くべきことに、既に簡単に述べた十分に確立された生分解性経験則に反して、そのようなエーテルまたはポリエーテル含有側鎖により、これまでのILと比べて毒性が大幅に低減し生分解性が増大したIL化合物が生成される。
本発明のILは、長い鎖を含むエステル側鎖、アミド側鎖またはチオエステル側鎖を有し、当該鎖は、少なくとも1つのエーテル結合をさらに含む。特に、鎖に4〜13個の原子を有する側鎖が好ましいが、6〜10個の原子を有する側鎖がより特に好ましい。
一実施形態において、XはOであってよく、−C=OX−基は、エステル基を含む官能基側鎖を表す。
異なる実施形態では、XはSであってよく、その結果、−C=OX−基は、チオエステル基を含む官能基側鎖を表す。
XがNまたはNHRまたはNRであってよいさらに別の実施形態では、−C=OX−基は、アミドを含む官能基側鎖を表す。アミド基は、第二級アミドまたは第三級アミドであってよい。−C=ON−基が、式−CONRの第三級アミドである場合、RおよびRは、C〜C13アルキル基(鎖には1〜13個の原子)であってよく、ここで、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、RおよびRのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのエーテル結合を含み得る。RおよびRが異なっている場合、エーテル結合を含んでいないRおよびRのうちの1つは、C〜Cアルキル基を含んでもよく;あるいはRおよびRは、一緒になって、5〜7個の原子を有する複素環を形成していてよく、ここで、この環は、前記アミド窒素に加えて少なくとも1個の他のヘテロ原子を含み得る。前記ヘテロシリック環は、その環に6個の原子を含むことが好ましい。当該環は、少なくとも1個の酸素原子を含むことが好ましい。
−C=ON−基が第二級アミド基(CONHR)である場合、Rは、側鎖に4〜13個の原子を有し得る。−C=ON−基が第三級アミド基(−CONR)である場合、RおよびRは各々、その鎖に1〜13個の原子を有していてよく、ここで、RおよびR両基は、同一であっても異なっていてもよく、RおよびRの各鎖に1〜3つのエーテル結合を含み得る。RまたはRのいずれか一方がエーテル結合を含む特定の実施形態では、他方のRは、C〜Cアルキル基であってよい。−C=ON−基が、第三級アミド官能基である場合、複素環の一部としてアミド基の窒素を含んでもよく、ここで、環は、少なくとも1個のエーテル酸素を含んでよい。アミドは、シソイドまたはトランソイド回転異性体、あるいはその2つの回転異性体の任意の組合せであってよい。
本明細書において用いられる、アルキル基は、脂肪族炭化水素から誘導される、一連の一般式C2n+Iの一価基のいずれかである。アルキル鎖は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。メチル基(−CH)はCアルキル基を表し、エチル(−C)はCアルキル基を表し、ノニル基はCアルキル基を表し、ドデシル基はC12基を表す等。
エーテル基は、2つの(置換)アルキル基に結合された酸素原子を有する(一般式R−O−R’)。典型的な例は、エトキシエタン(CH−CH−O−CH−CH)である。
本明細書において、アルキル基が少なくとも1つのエーテル結合を含む場合、アルキル鎖の少なくとも1個の炭素(−HCH−)が少なくとも1個の酸素(−O−)で置換されて少なくとも1つのエーテル結合を含むアルキル鎖を与えることを意味する。酸素で置換される炭素原子の数は、鎖に必要なエーテル結合の数によって決まる。
本発明の化合物は、イミダゾリウム環の周りで、少なくとも1つのC〜Cアルキル置換基によってまたは少なくとも1つのハロゲン化アルキル置換基によって置換されていてよいイミダゾリウムコアを有する。好適には、アルキル置換イミダゾリウムコアは、イミダゾリウムコアの1位にC−Cアルキル置換基を有してよい。しかし、1位のC−Cアルキル置換基は、好ましい置換基である。最も有利な置換基は、1位のメチル置換基である。また、イミダゾリウム環上にさらなる置換基を有することもでき、このような追加置換基は、少なくとも1つのC−Cアルキル置換基または少なくとも1つのハロゲン化アルキル置換基、例えばトリフオロメチルであってよい。よって、本発明の化合物は、少なくとも1つの位置において、1−メチル、2−メチル、4−メチル、5−メチル、1−エチル、2−エチル、4−エチル、5−エチル、1−プロピル、2−プロピル、4−プロピル、5−プロピルおよび4−トリフルオロメチルからなる群から選択されるアルキル基で置換されていてよいアルキル置換イミダゾール環を有するIL化合物を含む。しかし、本発明の最も好ましい化合物は、イミダゾリウムコアに1−メチル置換基を含む。
記載した実施形態のすべてにおいて、化合物のすべてに関し、−C=OX−基側鎖は、1〜4つのエーテル結合を含み得る。よって、本発明の化合物は、イミダゾール環の3位にエステル、アミドまたはチオエステル側鎖を含んでもよく、側鎖に少なくとも1つのエーテル結合を有し得る。しかし、エステルまたはアミドまたはチオエステル側鎖は、ポリエーテル結合を含むことが好ましい。好ましくは、−C=OX−側鎖は、1〜4つのエーテル結合を含む。2〜4つのエーテル結合を含む側鎖を有する本発明のILが特に好ましく、2〜3つのエーテル結合を含む側鎖を有するILが最も好ましい。
好適には、本発明の化合物は、2−メトキシエチルエステル、2−エトキシエチルエステル、2−プロポキシエチルエステル、2−ブトキシエチルエステル、2−(2−エトキシエトキシ)エチルエステル、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルエステルおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルエステル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルエステルおよび2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステルからなる群から選択され得るエーテルまたはポリエーテル結合含有エステル側鎖を含み得る。
好適には、本発明の他の化合物は、2−メトキシエチルアミド、2−エトキシエチルアミド、2−プロポキシエチルアミド、2−ブトキシエチルアミド、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアミド、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアミド、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルアミドおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアミド、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、ビス−(2−メトキシエチル)アミドおよびN,N−2−メトキシエチル−2−プロポキシエチルアミドからなる群から選択され得るエーテルまたはポリエーテル結合含有アミド側鎖を含み得る。本発明には、上記アミド置換基のビス置換アミド例(例えば、限定されないが、ビス−(2−メトキシエチル)アミド)および非対称置換アミド誘導体(例えば、限定されないが、N,N−2−メトキシエチル−2−プロポキシエチルアミド)が含まれる。
代替実施形態では、本発明の化合物は、例えば、モルホリン基のような環状エーテルを含む第三級アミド側鎖を含み得る。
異なる実施形態では、本発明の化合物は、エーテルまたはポリエーテル結合含有チオエステル側鎖を含んでもよく、ここで、−C=OS−側鎖は、2−メトキシエチルチオエステル、2−エトキシエチルチオエステル、2−プロポキシエチルチオエステル、2−ブトキシエチルチオエステル、2−(2−エトキシエトキシ)エチルチオエステル、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルチオエステルおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルチオエステル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステル、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステル、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステルおよび2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステルからなる群から選択され得る。
これまで記載したすべての実施形態に関し、本発明の化合物は、Br、Cl、I NTf 、BF 、PF 、N(CN) 、サルフェート、OctOSO 、トシレート、ベンゼンスルホネート、硫酸水素、直鎖アルキルサルフェート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2−(2−メトキシエトキシ)−エチルサルフェート、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィネート、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィネート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロホスフェート、トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスフェート、ジエチルホスフェート、ナイトレート、チオシアネート、トリシアノメタニド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチル)イミド、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、ビス(メタンスルホニル)アミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミドおよびテトラシアノボレート、ビス[オキサラト]ボレート、ビス−[1,2−ベンゼンジオラト(2−)]ボレート、ビス−[サリチラト(2−)]ボレート、ビス−[マロナト(2−)]−ボレート、ビス−[2,2’ビフェニル−ジオラト−(2−)−O,O’]−ボレート、アセテート、トリフルオロアセテート、デカノエート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラクロロアルミネートおよびコバルトテトラカルボニルからなる群から選択され得る対アニオンを含む。直鎖アルキルサルフェートアニオンを含む実施形態に関し、直鎖アルキルサルフェートは、一般式C2n+1OSO (式中、n=1〜8)を有し得る。例えば、直鎖アルキルサルフェートは、メチルサルフェート、エチルサルフェート、プロピルサルフェート、ブチルサルフェート、ペンチルサルフェート、ヘキシルサルフェート、ヘプチルサルフェートまたはトリフルオロエチルサルフェートからなる群から選択され得る。
本発明の最も好ましいIL化合物は、Br、NTf 、BF 、PF 、N(CN) 、OctOSO 、ClまたはI対アニオンを含む。しかし、OctOSO アニオンの使用により最も生分解性が高いイオン性液体がもたらされるため、OctOSO アニオンを有するIL化合物が最も好ましいILである。
エーテルまたはポリエーテル結合含有エステル側鎖を含む本発明のイミダゾール系イオン性液体化合物の生分解性は、臭化物対アニオンを、NTf 、BF 、PF 、N(CN) 、OctOSO 、ClおよびIからなる群から選択される対アニオンに置き換えることによっては大きく低下しない。これらの対アニオンのいずれを本発明のILに導入しても、従来のイオン性液体溶媒(例えばbmimBFおよびbmimPF)と比べて、本発明のイミダゾール系イオン性液体の毒性を低減するという利点がある。
関連実施形態では、本発明のIL化合物を調製する方法が提供され、その方法は:
(i)エーテルまたはポリエーテル基を含むアルコールをハロアセチルハロゲン化物と反応させることにより、ハロエステルアルキル化剤を形成するステップ、および
前記ハロエステルアルキル化剤をイミダゾールと反応させてイミダゾールエステルハロゲン化物塩を形成するステップ、または
(ii)エーテルまたはポリエーテル基を含むチオールをハロアセチルハロゲン化物と反応させることにより、ハロチオエステルアルキル化剤を形成するステップ、および
ハロチオエステルアルキル化剤をイミダゾールと反応させてイミダゾールチオエステルハロゲン化物塩を形成するステップ、または
(iii)エーテルまたはポリエーテル基を含むアミドをハロアセチルハロゲン化物と反応させることにより、ハロアミドアルキル化剤を形成するステップ、および
ハロアミドアルキル化剤をイミダゾールと反応させてイミダゾールアミドハロゲン化物塩を形成するステップ
を含む。
ハロアセチルハロゲン化物は、ブロモアセチルブロミド、クロロアセチルクロリド、ブロモアセチルクロリドおよびクロロアセチルブロミドからなる群から選択され得る。ハロアセチルハロゲン化物は、ブロモアセチルブロミドであることが好ましい。
この方法によって形成されたイオン性液体化合物の性質は、アニオン交換反応においてイミダゾールエステルハロゲン化物塩を好適なアルカリ塩と反応させることを含むさらなる合成ステップを通じて変更することができる。アルカリ塩は、NTf 、BF 、PF 、N(CN) またはOctOSO アニオンを含むことが好ましい。好適には、そのようなアルカリ塩として、限定されないが、LiNTf、NaBF、KPF、NaN(CN)、NaOctOSOが挙げられる。当業者ならば、上述の対アニオンを含む多くの他のアルカリ塩も適宜用いられ得ることを理解するであろう。
本発明の方法のいずれにおいても、ハロエステルアルキル化剤は、2−メトキシエチルエステル、2−エトキシエチルエステル、2−プロポキシエチルエステル、2−ブトキシエチルエステル、2−(2−エトキシエトキシ)エチルエステル、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルエステルおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルエステル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステルから選択され得る。
あるいは、エーテルまたはポリエーテル結合含有ハロアミドアルキル化剤は、2−メトキシエチルアミド、2−エトキシエチルアミド、2−プロポキシエチルアミド、2−ブトキシエチルアミド、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアミド、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアミド、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルアミドおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアミド、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、ビス−(2−メトキシエチル)アミドおよびN,N−2−メトキシエチル−2−プロポキシエチルアミドからなる群から選択され得る。
別の関連実施形態では、エーテルまたはポリエーテル結合含有ハロチオエステルアルキル化剤は、2−メトキシエチルチオエステル、2−エトキシエチルチオエステル、2−プロポキシエチルチオエステル、2−ブトキシエチルチオエステル、2−(2−エトキシエトキシ)エチルチオエステル、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルチオエステルおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルチオエステル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステル、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステル、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステル、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステルからなる群から選択され得る。
よって、本発明はまた、イミダゾール環の3位にエステル、アミドまたはチオエステル側鎖を含むイミダゾールカチオン含有イオン性液体において、当該側鎖に少なくとも1つのエーテル基を導入することにより、当該イオン性液体の生分解性を改善するかまたは毒性を低減する方法も提供する。
別の実施形態では、本発明は、OctOSO 対アニオンを本発明の化合物分子に導入することにより、本発明の化合物の生分解性を改善する手段を提供する。
関連実施形態では、ILの毒性は、イミダゾリウム環の3位にエステル官能基側鎖を導入することにより低減され得、ここで、エステル官能基側鎖は、1〜4つのエーテル結合を含む。2〜4つのエーテル結合を含む側鎖を有する化合物が特に好ましい。
よって、本発明は:
KG38(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG42(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG44(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG35(3−メチル−1−(ペントキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG39(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)および
KG43(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)
からなる群から選択され得る、少なくとも60%の生分解性を有する化合物を提供する。
少なくとも50%の生分解性を有する化合物は:
KG34(3−メチル−1−(ブトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG36(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG37(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG40(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG41(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)および
KG45(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート
からなる群から選択され得る。
緑膿菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、腸球菌属種、クレブシエラ属種、枯草菌、サルモネラ菌属種に対して非毒性であるIL化合物は:
KG7(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG8(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG9(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG10(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG12(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG13(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG14(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG15(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG16(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG18(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG23(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG24(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG25(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG26(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG27(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG28(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG29(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG30(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG32(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG33(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG38(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG42(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG44(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG35(3−メチル−1−(ペントキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG39(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG43(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG34(3−メチル−1−(ブトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG36(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG37(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG40(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG41(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG45(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート、
KG49(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG50(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG51(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG52(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG53(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG54(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG55(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG56(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG58(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG59(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG62(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG63(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG64(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG65(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG66(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG67(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG68(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG69(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG71(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG72(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG75(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG76(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG77(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG78(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG79(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG80(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG81(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG82(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG84(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))および
KG85(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG422(3−メチル−1−[1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムブロミド)
KG405(3−メチル−1−[ビス−1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)および
KG407(3−メチル−1−[ビス−1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムブロミド)
からなる群から選択され得る。
有利なことに、本発明の化合物の多くは、Sturm試験、クローズドボトル試験(OECD301D)またはCOヘッドスペース試験(ISO14593)のような生分解性試験により28日間で60%を超える生分解性スコアを提示する。
関連実施形態では、本明細書に記載の化合物は、化学反応、バイオ燃料調製またはバイオマス分解のための溶媒として用いることができる。本発明のILを用いることができるバイオマス分解反応の例としては、限定されないが、セルロース分解(関連ポリエーテルILで証明されている(19))が挙げられる。本発明のILの微生物毒性および生体適合性が低いことは、分解されたセルロースに対するさらなる生体触媒反応または酵素反応を可能にするのに有利であるため、本発明のILは、バイオマス分解に有利に用いられ得る。セルロースの分解は、本発明のILを用いて、あまり有利でないDCA(ジシアノアミド)対アニオンでも少なくとも0.6質量%のレベルで(例えば、KG81、150℃、30分)達成された。他のグループがセルロース分解を関連ポリエーテルILで証明している(19)]が、特許請求されるILは、その微生物毒性および生体適合性が低いことが、分解されたセルロースに対するさらなる生体触媒反応または酵素反応に有利な性質であるという追加利点を有する。
本明細書に記載の化合物はまた、化学反応で溶媒としてまたは共溶媒としても用いることができる。例として、限されないが、酵素反応および生体触媒反応、中和、酸性化および塩基性化、酸化、水素化反応、還元反応、ラジカル反応、求電子付加、求電子置換、求核付加、求核置換、転位、ペリ環状反応ならびにメタセシス反応(水素化を伴う)が挙げられる。当然のことながら、そのようなメタセシス反応(水素化を伴う)という反応は、エステルまたはアミド結合に全般的に適合可能なものでなければならないが、例えば、水酸化物、複合水素化物、グリニャール試薬またはアルキルリチウム試薬のような求核試薬を必要とする反応は、エステルまたはアミド基に適合可能でないこともある。
本発明のILは、適当な対アニオンと一緒にエーテル酸素をIL側鎖に含めることでアルカリ金属との錯体形成およびヒドロキシル溶媒に対する親和性の増加のような特殊な性質が付与されることから、水素化、ペリ環状反応およびメタセシス反応において特に有用であることが分かった。しかし、水素化反応、ペリシリック反応およびメタセシス反応を含む化学反応において本発明の化合物を使用することが特に好ましい。これに関して注目すべきは、触媒としての水素ガスおよびパラジウム担持炭素の存在下でのトランス−シンナムアルデヒドのヒドロシンナムアルデヒドへの選択的還元における、溶媒としてのIL KG48またはKG51の使用である。
一特定例では、上記の化学反応おいてKG51に対応するILの使用を含むことは、側鎖にエーテル酸素が存在することで生分解性が増加し毒性が低減することから、特に有利であることが分かった。同時に、還元の選択性も、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムオクチルサルフェート(bmimOctOSO)のような従来のILの場合よりもかなり高い(表11および図10)。
化学反応における本発明のILの使用についてのさらなる例では、KG51に対応するILは、水素ガスおよびパラジウム担持炭素を触媒として用いた、桂皮酸ベンジルのカルボニル基と共役している炭素−炭素二重結合の選択的水素化のための溶媒として、特に有用であることが分かった(図6)。このような使用では、水素ガスおよびパラジウム担持炭素を水素化用触媒とする場合、ベンジルエステルの開裂が回避される。このILの使用は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムNTf(bmimNTf)または1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムオクチルサルフェート(bmimOctOSO)のような従来のILの使用よりも驚くほどに優れている。なぜなら、従来のILの使用では、一般に、ベンジルエステルの水素化分解だけでなく、カルボニル基と共役している炭素−炭素二重結合の水素化ももたらされるからである(表13および図11)。
本発明の化合物は、記載した特徴の任意の組合せを組み込み得ることが理解されるであろう。
イオン性液体を示す。 スキームA〜C:標的が配位しているILの三段階合成を示す。 (6)1−[(n−ドデカノイルオキシ)メチル]−3−メチルイミダゾリウムクロリドおよびKG20(3−メチル−1−(デカノキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミドの構造の比較を示す。どちらも強力な抗菌薬である。 強力な抗菌薬であるKG20(3−メチル−1−(デカノキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミドおよび低毒性イオン性液体であるKG15(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)の比較を示す。 反応溶媒として用いるイオン性液体の例を示す。 トランス−シンナムアルデヒドの還元経路を示す。 桂皮酸ベンジルの還元を示す。 桂皮酸アリルの還元を示す。 桂皮酸ビニルの還元を示す。 スキームD〜F:トランス−シンナムアルデヒドおよびトランス−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ)シンナムアルデヒドの選択的水素化を示す。 スキームG〜I:ベンジルエステル基の水素化分解を回避する、トランス−桂皮酸ベンジルのヒドロ桂皮酸ベンジルへの選択的水素化を示す。 表3に対応するCOヘッドスペース試験結果のグラフである。 表4に対応するCOヘッドスペース試験結果のグラフである。 表5に対応するCOヘッドスペース試験結果のグラフである。
本発明は、優れたイオン性液体候補を提供し、これらのイオン性液体候補は、室温において安定しかつ液体であり、易生分解性であり、かつ低い毒性を有し、配位側鎖を含んでいる。
本明細書に提示するILは、粘度、融点、疎水性、毒性および生分解性のような性質に関して調整することができ、これらの性質は、溶媒用途に重要なパラメータである。本発明の化合物の毒性データおよび生分解性データは以下に示しており、それらは、本発明のイオン性液体の一部の使用により高率変換および高生成物選択性が得られる化学反応、例えば水素化反応におけるその使用の例である。セルロース分解データも示している。
ILの調製
イオン性液体群を合成する簡単な方法を開発し、その方法によれば各ステップについて高収率でILが生成される。アキラルILの合成についての典型的な反応スキームを図2に示している(スキームA〜C)。簡潔には、ブロモエステルアルキル化剤3を対象のアルコールから作製する(チオエステル側鎖を有するILまたはアミド側鎖を有するILは、一般に、それぞれ、ハロアミド4またはハロチオエステル5アルキル化剤を使用することにより調製することができる)。次いで、このブロモエステルを対象のイミダゾールと反応させて、2−イミダゾリウムエステルの臭化物塩を形成する。不飽和非置換アルキル種、例えば、1−ブタノールおよび1−ペンタノール、エーテルまたはポリエーテル置換種、例えば、2−エトキシエタノールおよび2−(2−エトキシエトキシ)エタノールなどの様々なアキラルアルコールが、図2に概要を示した合成方法に適合可能であることが分かった(表1)。前者の使用により所望の長さの非置換アルキルエステル側鎖を有するILが生成され、一方、後者の使用によりエーテルまたはポリエーテル含有アルキルエステル側鎖を有する独特なILが生成される。種々の性質を有する広範囲のこれらのタイプのILは、ハロゲン化物から種々の塩LiNTf、NaBF、KPF、NaN(CN)およびNaOctOSOへの最終合成アニオン交換ステップを通じて作製された。当然のことではあるが、所望のアニオンを導入するために他の関連塩も用いてよく、例えば、Na、K、Liおよび適当なアニオンを含むアルカリ金属塩を用いてよい。
ステップI:アルキル化剤の調製
一般に、第1のステップ(i)は、ブロモアセチルブロミドと種々のアルコール、アミンまたはチオールとの反応により得られるアルキル化剤の調製である。ブロモアセチルブロミドおよびアルコールに関する反応を、窒素雰囲気下、−78℃で3時間行った。蒸留による精製後、62〜83%の収率で対応するブロモエステルを得た(表1)。この反応は、1〜1.4当量のブロモアセチルブロミドに対して10mmol〜0.5molの幅広い規模で種々のアルコールを用いて成功裏に実施された。
2−メトキシエチルから2−(ブトキシエトキシ)−エチルまで、すべてのブロモエステルを蒸留により精製した。より高分子量のブロモエステル誘導体は、カラムクロマトグラフィーにより精製する必要はなく、大規模に純粋な形で容易に調製された。
ステップI:アルキル化剤の代替調製
一般に、第1のステップ(i)は、ブロモアセチルブロミドと種々のアルコール、アミンまたはチオールとの反応により得られるアルキル化剤の調製である。ブロモアセチルブロミドおよびアルコールに関する反応を溶媒の不在下で行い、中性アルミナによって促進した。この反応は、Yadavの手法(20)に従い、完了まで一般に1時間を要し、添加中氷浴で冷却した後、RTまで加温し、不活性雰囲気の必要はなかった。粗反応混合物を過剰な固体NaHCOに吸収させ一晩置くことにより精製した後、固体をトルエンで洗浄し、濾過し、濾液を蒸発させ、典型的にはおよそ88%の収率で対応するブロモエステルが得られた(表1)。この反応は、少なくとも2当量のブロモアセチルブロミドを用いる幅広い規模で種々のアルコールを用いて成功裏に実施すされた。
この方法により調製される臭化物は、次のイミダゾールアルキル化を実行するのに十分に純粋であり、カラムクロマトグラフィーにより精製する必要はない。
2−(2−エトキシエトキシ)エチルブロモアセテートの調製
DCM、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(21.0mL、150mmol)およびトリエチルアミン(34.7mL、250mmol)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でブロモアセチルブロミド(17.2mL、200mmol)を滴加した。−78℃で3時間撹拌した後、反応混合物を−20℃まで温め、水(50mL)の添加によりクエンチした。有機相を蒸留水(3×50mL)、飽和塩化アンモニウム(3×50mL)、飽和重炭酸ナトリウム(3×50mL)およびブライン(2×50mL)で洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、回転蒸発により溶媒を除去すると、87%収率で粗生成物が得られた。この粗生成物を蒸留すると(bp 105〜115℃)、71%収率でRTで無色の液体が得られた。
2−(2−エトキシエトキシ)エチルブロモアセテートの代替調製
氷浴で冷却したジエチレングリコールモノエチルエーテル(21.0mL、150mmol)および中性アルミナ[例えばAldrich タイプWN−3](17g、167mmol)にブロモアセチルブロミド(44mL、500mmol)を加えた。氷浴を外し、RTで1時間置いた後、反応混合物を、脱脂綿で栓をしたガラス製濾過漏斗で固体NaHCOに注いだ(起沸)。一晩置いた後、固体を200mlの濾液が採取されるまでトルエンで洗浄した。回転蒸発により揮発性物質を除去すると、88%収率で粗生成物が得られた。この粗生成物は、次のステップを実行するのに十分に純粋であった。
表1は、ブロモエステルアルキル化剤へと変換させたアルコールおよび蒸留後の単離収率を示す。
ステップII:臭化物塩の調製
第2のステップ(ii)は、臭化物塩の調製である。この反応は、1−メチルイミダゾールと事前調製したブロモエステル群(表1)との間で、窒素雰囲気下、ジエチルエーテル溶液中−15℃で3時間、その後室温で18時間行う。生成物は沈澱し、洗浄し生じた溶媒を蒸発させた後に、82〜98%という非常に高い収率で臭化物塩群を得た(表2)。
臭化物塩の大部分は室温で固体であるが、融点は低く(mp<100℃、イオン性液体として定義するための現行の制限)、一部の例は室温付近で融解する(表2)。よって、調製されたエステル、エーテルエステルまたはポリエーテルエステルイミダゾリウム臭化物塩はすべて、イオン性液体として分類することができる。
ステップIII:アニオン交換
最終合成ステップ(iii)はアニオン交換である。この交換は、対応するイオン性液体のバルク溶媒特性に変化をもたらすことから重要である。次の塩は、用いた塩である:LiNTf、NaBF、KPF、NaN(CN)、NaOctOSO。ほとんどの場合、アニオン交換は、とりわけNTf を対アニオンとして用いる場合には、臭化物塩類似体と比べて融点の低下をもたらす。NTf およびN(CN) 誘導体は、粘度も低く、この低粘度は、溶媒用途にとって重要なパラメータである。疎水性イオン性液体は、NTf またはPF 対アニオンを用いることにより作製することができる。生分解性の増加は、OctOSO を対アニオンとして用いることにより達成される。
アニオン交換反応条件
NTfIL:LiNTfと臭化物塩との反応は、水中室温において4〜18時間で実現した。その後、対応する疎水性イオン性液体が沈澱した。種々の洗浄後に、高収率で生成物を得た(表2、第3欄)。生じた液体はすべて、室温で液体である。
3−メチル−1−(エトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf の調製
フラスコに3−メチル−1−(エトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド(2.98g、10.0mmol)および蒸留水(10mL)を投入した。蒸留水(3mL)中のLiNTf(4.59g、16.0mmol)を一度に加え、懸濁液をRTで4時間激しく撹拌した。上部水層を除去し、ILを蒸留水(3×10mL)で洗浄した。次いで、ロータリーエバポレーターそして高真空下で8時間溶媒を除去すると、90%収率でRTで液体が得られた(4.42g、8.97mmol)。
PFIL:NTfILと同じ方法を用いて、KPFとの交換をまず行ったが、反応時間を延長しても収率は悪かった。反応条件の最適化には、アセトン中で4日間の還流が必要であった。得られた収率は非常に高く、ほとんどの場合最大90%であった(表2第5欄)。これらのイオン性液体の中で2つだけが、融点が100℃より低い固体であった。
3−メチル−1−(メトキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF の調製
フラスコに3−メチル−1−(メトキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド(3.51g、11.0mmol)およびアセトン(10mL)を投入した。アセトン(5mL)中のKPF(3.31g、18.0mmol)を一度に加え、懸濁液を還流下で4日間激しく撹拌した。次いで、微細白色沈殿物を濾過し、アセトン(2×5mL)で洗浄した。ロータリーエバポレーターで生成物から溶媒を除去した。さらに、生成物を高真空下で4時間乾燥させ、91%収率でRTで粘性の液体が得られた(3.87g、9.97mmol)。
BFIL:PFをアニオンとして含むイオン性液体の合成で用いた条件と同じ新しい条件を用い、NaBFを用いてアニオン交換を実現した。収率はすべて優れており、最大92%収率を得た。
3−メチル−1−(プロポキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF の調製
乾燥したフラスコに、窒素雰囲気下で3−メチル−1−(プロポキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド(2.94g、8.38mmol)およびアセトン(10mL)を投入した。NaBF(1.11g、10.1mmol)を一度に加え、懸濁液を還流下で4日間激しく撹拌した。微細白色沈殿物を空気中で急速に濾過し、乾燥アセトン(2×3mL)で洗浄した。濾液を洗液と合わせ、回転蒸発その後高真空下で溶媒を除去すると、93%収率でRTで少し粘性のオイルが得られた(2.88g、8.21mmol)。
N(CN)IL:NaN(CN)を用いた交換では、異なる条件を用いた。アセトンをアセトニトリルで置換し、還流が必要でないことが判明した。4日後、溶液を濾過し、洗浄し、沈澱したNaBr塩を除去した。用いた臭化物塩の大部分で高収率が得られた。
3−メチル−1−(ブトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN) の調製
乾燥したフラスコに、窒素雰囲気下で3−メチル−1−(ブトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド(2.52g、11.00mmol)およびアセトニトリル(10mL)を投入した。NaN(CN)(1.42g、16.00mmol)を一度に加え、懸濁液をRTで4日間激しく撹拌した。微細白色沈殿物を空気中で急速に濾過し、乾燥アセトニトリル(2×1mL)で洗浄した。濾液を洗液と合わせ、回転蒸発その後高真空下で溶媒を除去すると、87%収率でRTで黄色のオイルが得られた(2.50g、9.51mmol)。
OctOSOIL:NaOctOSOを用い、反応条件を広範囲にわたって最適化した。文献に従い、臭化物塩およびNaOctOSOを水中60℃で2時間撹拌した。次いで、水をゆっくりと真空除去した。沈澱物をDCMに溶かし、少量の蒸留水で洗浄した。溶媒を蒸発させた後、最大82%の高収率で生成物が得られた。しかし、洗浄中に注意を払わなければ、収率は急激に低下し得る。これは、イオン性液体が水に極めて溶解性であり、後処理中に化合物を失いやすいという事実によって説明される。これらのOctOSOイオン性液体13種のうち3種は、融点が100℃より低いが、室温で固体であるということに留意する。
3−メチル−1−(プロポキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェートの調製
蒸留水(20mL)中の3−メチル−1−(プロポキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド(3.32g、12.0mmol)の溶液に、オクチル硫酸ナトリウム(2.09g、9.00mmol)を一度に加え、60℃で2時間撹拌した。次いで、水をゆっくりと真空除去した。沈澱物をDCM(10mL)に溶解させ、蒸留水(2×5mL)で洗浄した。残った生成物をロータリーエバポレーターその後高真空下で8時間乾燥させると、85%収率でRTで濃黄色のグリースが得られた(3.33g、7.64mmol)。
アミドILの調製
この方法は、エステル誘導体に類似しており、アルコール出発材料がアミンに置き換えられる。
2−ブロモ−N,N−ビス(2−メトキシエチル)アセトアミドの調製
DCM、ビス(2−メトキシエチル)アミン(40.0g、44.0mL、300mmol)およびトリエチルアミン(69.25mL、500mmol)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でブロモアセチルブロミド(34.8mL、400mmol)を滴加した。−78℃で5時間撹拌した後、反応混合物を−20℃まで温め、その後水(60mL)の添加によりクエンチした。有機相を蒸留水(3×30mL)、飽和塩化アンモニウム(3×30mL)、飽和重炭酸ナトリウム(3×30mL)およびブライン(2×30mL)で洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、回転蒸発により溶媒を除去すると、82%収率で粗生成物が得られた(62.3g、245mmol)。さらに、粗生成物を高真空下、170℃で蒸留すると、49%収率で淡黄色の結晶が得られた(35.57g、140mmol)。ジエチルエーテルで粗物質から純粋な生成物を再結晶させることもできる。
(3−メチル−1−[ビス−1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムブロミドの調製
ジエチルエーテル(100mL)中の1−メチルイミダゾール(45.0mmol、3.69g、3.58mL、d:1.030)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下、−15℃で、ジエチルエーテル中の2−ブロモ−N,N−ビス(2−メトキシエチル)アセトアミド(50.0mmol、13.28g)を加えた。反応混合物を−15℃で2時間、その後RTで一晩激しく撹拌した。エーテル上相をデカントし、生成物をエーテル(3×10mL)で洗浄し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、高真空下で8時間乾燥させ、91%収率でRTで白色の粉末を得た(13.7g、40.8mmol)。
(3−メチル−1−[ビス−1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェートの調製
蒸留水(20mL)中の(3−メチル−1−[ビス−1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムブロミドの撹拌溶液に、オクチル硫酸ナトリウム(4.0mmol、0.93g)を一度に加えた。混合物を4時間撹拌し、その後ロータリーエバポレーターで水を蒸発させた。残った生成物をDCM(10mL)に溶かし、水(2×2mL)で洗浄した。次いで、生成物をロータリーエバポレーターそして高真空下で8時間乾燥させると、92%収率でRTで粘性のオイルが得られた(1.36g、2.75mmol)
調製されたILの物理的性質および生分解性溶媒としてのそれらの好適性
表2は、調製された溶媒がすべて、融点が100℃より低いILと特徴付けることができることを示す。表をさらに詳しく調べると、ほとんどすべてが室温で液体であるという見解に至る。これは、これらの材料に重要な性質である。短鎖置換イミダゾリウム化合物から長鎖置換イミダゾリウム化合物までというIL種の幅から、IL化合物の有用性の範囲の大きさが示唆される。
生分解性試験
クローズドボトル試験
試験化合物の生分解性は、「クローズドボトル」試験(OECD301D)を用いて評価した。(12)この方法では、評価する化学物質を、廃水微生物を接種した好気性水性媒体に加え、溶存分子酸素の枯渇を定められた期間測定し、理論上最大の割合として報告する。60%より高い生分解レベルに達する化合物を「易生分解性」とする。参照物質としてn−ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いた。事前にエアレーションした無機媒体で、唯一の有機炭素供給源として2mgL−1の試験イオン性液体および参照化学物質を含む溶液を別々に調製した。次いで、活性汚泥処理プラントから回収した二次処理水をこれらの溶液に接種し、十分に混合した各溶液を一連の生化学的酸素要求量(BOD)ボトルに慎重に入れ、すべてのボトルをいっぱいにした。酸素ブランクを測定するために、接種物を入れるが試験化学物質を入れない対照を同時に行った。各系ごとに二連のボトルを溶存酸素について直ちに分析し、残りのボトルを暗所で20℃±1℃でインキュベートした。28日のインキュベーション期間にわたる溶存酸素分析に関し、すべての系のボトルを二連で回収した。n日後の生分解をBODの化学的酸素要求量(COD)に対する比率として表した(BODおよびCODはいずれも化合物1mg当たりのOのmg数として表した)。化学的酸素要求量は、重クロム酸塩還流法により決定した。(13,21)生化学的酸素要求量の算出では、酸素枯渇決定値をイオン性液体の濃度で割った。
COヘッドスペース試験
試験イオン性液体の生分解性を評価するために、「COヘッドスペース」試験(ISO14593)(14)も用いた。この方法によれば、無機炭素の分析により所定の微生物濃度での水性媒体における有機化合物の最終好気的生分解性の評価が可能である。試験イオン性液体を、炭素およびエネルギーの唯一の供給源として40mgL−1の濃度で無機塩媒体に加えた。これらの溶液に、活性汚泥処理プラントから回収し、洗浄し、使用前にエアレーションした活性汚泥を接種し、空気のヘッドスペースを有する密封容器でインキュベートした。全有機炭素(TOC)レベルの純増加を経時的に測定することにより、生分解(二酸化炭素への無機化)を決定した。
生分解性試験結果
オクチルサルフェートアニオン系アキラルILが最良の生分解試験結果を示した。IL:
KG34(3−メチル−1−(ブトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG36:(3−メチル−1−(メトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG38:(3−メチル−1−(プロポキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG40:(3−メチル−1−(メトキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート).
KG42:(3−メチル−1−(プロポキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)
KG44:(2,3−ジメチル−1−(ブトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート
KG35:(3−メチル−1−(ペントキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG37:(3−メチル−1−(エトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG39:(3−メチル−1−(ブトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG41:(3−メチル−1−(エトキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG43:(3−メチル−1−(ブトキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)および
KG45:(2,3−ジメチル−1−(メトキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート。
KG35、38、39、42、43、44は、COヘッドスペース試験(28日間で少なくとも60%)に合格し、この試験によれば、明らかに「易生分解性」である(表3および表4参照)。KG34、36、37、40、41、45はすべて、著しい生分解特性(COヘッドスペース試験において55〜59%)を示し、bmimBFおよびbmimPFで得られたごくわずかな生分解結果に対して大幅な改善を示す。(9)
KG34:(3−メチル−1−(ブトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG36:(3−メチル−1−(メトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG38:(3−メチル−1−(プロポキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG40:(3−メチル−1−(メトキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)
KG42:(3−メチル−1−(プロポキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)および
KG44:(2,3−ジメチル−1−(ブトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート
図12参照。
KG35:(3−メチル−1−(ペントキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG37:(3−メチル−1−(エトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG39:(3−メチル−1−(ブトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート);
KG41:(3−メチル−1−(エトキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG43:(3−メチル−1−(ブトキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)および
KG45:(2,3−ジメチル−1−(メトキシエトキシエトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)
図13参照。
KG403:3−メチル−1−(ピロリジニルカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート
KG404:2,3−ジメチル−1−(ピロリジニルカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート
KG405:3−メチル−1−(N,N−ジメトキシエチル−カルバミルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート。
図14参照。
調製されたILの毒性
特許請求されるILの抗微生物活性の評価には7種の細菌株を用いた:以下に示す4gの陰性菌および3gの陽性菌。
グラム陰性菌 グラム陽性菌
緑膿菌 黄色ブドウ球菌
大腸菌 腸球菌属種
クレブシエラ属種 枯草菌
サルモネラ菌属種
活性を示したILについて最小発育阻止濃度を測定した。広い濃度範囲を試験した(0〜20000μg/ml)。抗菌活性についてスクリーニングする濃度は、全般的に2μg/ml〜1000μg/mlである(表6)。強力な抗菌化合物は、この範囲の下限においてMIC値を示し、そしてこの範囲の上限においてMIC値を示す化合物は抗菌活性を示すが、抗菌薬開発に重要ではないレベルである。エーテルを含むILについてスクリーニングする濃度範囲は、20000μg/mlまでであった。このような高濃度において抗菌活性がないことは有意な結果である。炭化水素側鎖、または長炭化水素鎖を有するエステルを含むIL例は、強力な抗菌性であることが判明した(表7および参考文献9、12)。
毒性結果
全般的に、本発明のイオン性液体の毒性は、アセトンおよびメタノールのような従来の溶媒の毒性よりも桁違いに低いことが分かる。上述のとおり、イオン性液体の毒性に関する一般的な問題は、長い炭化水素鎖が存在することに関連している。ジアルキルイミダゾリウムイオン性液体の毒性には側鎖の長さが影響を及ぼすことが分かっており、鎖長が長いほど毒性が強くなることが明らかになっている。Bodorら(9)により、メチルイミダゾールの長鎖エステル誘導体(図3において化合物6として示している)は、ppm濃度で有効な抗微生物活性を示すことが示されている。化合物6、図3(9)は、鎖の異なる側がエステル、およびエーテル官能基の含有に関係しているという事実を除いて、本発明のイオン性液体群と類似しているように見える。
表6は、調製されたイオン性液体がすべて、エステルおよびエーテルまたはポリエーテル官能基を含まない誘導体より毒性が著しく低いことを示す(図4)。KG405、422、423および407は、アミド誘導体の側鎖に酸素原子が存在することからも、同様のサイズの炭化水素側鎖を有するILと比べて毒性が低いILとなることを示す(例えばKG407と強力な抗菌性のドデシル置換イミダゾリウム塩)。長い直鎖アルキル鎖を有さない置換アミド基を含むKG403、404、420、421を参照化合物として用いた。これらの結果は、ILの毒性が非常に低いときに、ILの有用性に重要な影響をもたらす。
IL化合物の化学名
KG7(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG8(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG9(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG10(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG12(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG13(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG14(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG15(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)
KG16(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG18(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG23(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG24(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG25(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG26(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG27(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG28(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG29(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG30(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG32(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG33(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
KG38(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG42(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG44(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG35(3−メチル−1−(ペントキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG39(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG43(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG34(3−メチル−1−(ブトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG36(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG37(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG40(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG41(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG45(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート。

KG49(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG50(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG51(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG52(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG53(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG54(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG55(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG56(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG58(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
KG59(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)。

KG62(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG63(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG64(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG65(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG66(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG67(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG68(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG69(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG71(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
KG72(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)。

KG75(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG76(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG77(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG78(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG79(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG80(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG81(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG82(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG84(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
KG85(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))。

KG420(3−メチル−1−(ピロリジニルカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG421(2,3−ジメチル−1−(ピロリジニルカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、

KG403(3−メチル−1−(ピロリジニルカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート、
KG404(2,3−ジメチル−1−(ピロリジニルカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート、

KG405(3−メチル−1−[ビス−1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
KG407(3−メチル−1−[ビス−1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
KG422(3−メチル−1−[1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムブロミド)および
KG423(3−メチル−1−[1−メトキシプロピル]カルバミルメチル)イミダゾリウムブロミド)。
参照データを得るために、長アルキル鎖であることから毒性があることが知られている1−メチル−3−デシルオキシ−カルボニルメチルイミダゾール臭化物塩KG20を用いた試験参照研究を行った。この実験では、同じ側鎖長で、酸素の存在(例えばKG15)が毒性に与える影響を比較する。予想通り、KG20は、スクリーニングした種々の細菌すべてに対して毒性があり(表7参照)、一部のケースでは低濃度でも毒性があった(表7.大腸菌、腸球菌属種および黄色ブドウ球菌)。表7の結果と表6の結果(KG15)とを比較することで、側鎖における酸素の存在が、毒性を抑制するのに非常に重要であることが示される。
エーテルまたはポリエーテル側鎖をイオン性液体構造へ組み込むことにより、イオン性液体の毒性は、アルキル誘導体と比べて低減する。特許請求されるイオン性液体の粘度は、公知のアルキル誘導体より著しく低いことが見られる。側鎖のエステルとエーテルまたはポリエーテル側鎖とを組み合わせることにより、生分解傾向がかなり高いイミダゾリウムイオン性液体がもたらされる。オクチルサルフェート対イオンが存在する場合には、最大限の生分解が見られる。
非毒性ILにおけるセルロース分解
以下の実施例により、セルロース分解における非毒性イオン性液体の有用性を証明する。とりわけ、さらなる生物学的プロセス(例えば酵素変換反応)を分解されたセルロースに対して行う必要があり得る場合には、生物学的に害のない媒体が好ましい。IL KG81(0.84g)を小型ビーカーにおいて小型のテフロン(登録商標)コート磁性ビーズで撹拌しながら150℃に加熱し、セルロース粉末(Avicel(登録商標)PH−101、Fluka)5mgを一度に加えた。30分間撹拌した後、セルロースがイオン性液体に溶解したことが観察された。このように、150℃の温度で30分間KG81を用いて、少なくとも0.6質量%のレベルでセルロース分解が起こり得る。このような分解は、あまり有利でないDCA(ジシアノアミド)対アニオンを用いても起こる可能性がある。他のグループがセルロース分解を関連ポリエーテルILで証明している(19)]が、本発明のILは、その微生物毒性および生体適合性が低いことが、分解されたセルロースに対するさらなる生体触媒反応または酵素反応に有利であるため、これまでに報告されたILでのセルロース分解に対して追加された利点を有する。
非毒性ILにおけるトランス−シンナムアルデヒドの選択的水素化および桂皮酸ベンジルの水素化分解を伴わない水素化
以下の実施例により、選択性の制御が必要である水素化反応、例えば、α,β−不飽和アルデヒド、特にα,β−不飽和カルボニル、例えばトランス−シンナムアルデヒド、桂皮酸ベンジルまたは桂皮酸アリルに関する水素化反応におけるイオン性液体の有用性を証明する。例えば、本発明のイオン性液体は、非毒性溶媒環境で市販のパラジウム触媒を用いてトランス−シンナムアルデヒドをヒドロシンナムアルデヒドへと選択的に水素化するために使用してよい。選択的水素化は桂皮酸ベンジルにまで及ぶが、この場合、エステルは、同様の条件下での水素化分解から保護される。
水素化反応結果
・トランス−シンナムアルデヒド
高度共役系であることから、α,β−不飽和アルデヒドであるトランスシンナムアルデヒドの水素化は、通常、オレフィン部分だけでなくそのカルボニル基の還元ももたらし、アルコールである3−フェニルプロパノールも生じる(図6)。ヒドロシンナムアルデヒドの選択的形成は、学問的に興味深く、精密化学工業にとっても興味深い(22)。
本発明のイミダゾリウムILのペンチル誘導体(KG48)を用いると、選択性は、全般的に90〜100%の範囲であった。得られた最も優れた結果は、ILのジメチル誘導体(KG59)を用いて達成され、この場合、第1回目の再利用では24時間で100%の変換および選択性に達した(表8)。再利用手順中に変換および選択性がわずかに変わるが、第4回目の再利用でほとんど同じ反応効率を見ることができる(変換97%、選択性100%)。(表8)
ILの側鎖長が増しているか、または酸素原子を含む場合、得られる結果は大きく変わらず;変換は100%に一致したままであり、選択性も90%未満に低下することはない。従って、この方法は、ILの側鎖に酸素原子が存在する場合でも適用可能であることが分かる(表9)。
IL側鎖の酸素原子数が1個から2個へと増えても、選択性にはわずかにしか悪影響を及ぼさなかった。しかし、第3回目の再利用による変換では(64%へと)大幅な低下が起こる(表10)。
市販のILを含む市販の溶媒でこの反応を比較するために、トランスシンナムアルデヒドを、[bmim][NTf]、[bmim][OctOSO]またはトルエンを用いて水素化した。得られた結果(表11)は、これらの市販のILでの選択性が、揮発性有機溶媒(トルエン)と同程度であるにすぎないことを示す。
・トランス−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ)シンナムアルデヒド
この方法のさらなる多用途性を証明して、アルデヒドであるトランス−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ)シンナムアルデヒドが、アルコールへの過剰還元(1,2−還元および1,4−還元の両方)による望ましくない生成物に対して100%変換および90%選択性で、対応する4−ヒドロキシ−3−メトキシ−ジヒドロシンナムアルデヒド誘導体(1,4−還元)へと還元された。これは、従来のイオン性液体であるBmimNTfでの還元(74%選択性しか得られない)に比べて勝るとも劣らない(表12)。
・桂皮酸ベンジル
桂皮酸ベンジルのオレフィン部分の選択的水素化をベンジルエステルの水素化分解を伴わずに達成するためには、多くの場合、複雑な条件を必要とする(23)。
複数の市販の溶媒とともに、複数の本発明のILを用いて、桂皮酸ベンジルの水素化の際の触媒添加量の影響ならびに溶媒の影響を調査した(表13)。
100%変換を誘導するのに有効な触媒最小量は0.005gであった。IL(KG51)では、この半値を用いて、24時間後に32%変換しか得られなかった。オクチルサルフェートIL((KG35)および(KG38)は、選択性に関して期待できる結果を与えたが、これは、IL(KG35)については変換が低く、IL(KG38)では最適変換を示すときにのみ達成された。このデータセットから最も有力な結果は、IL(KG51)および(KG38)を用いて得られる。0.005g触媒を用いて、24時間後に、100%変換および選択性が得られた。さらに驚くべきことは、選択性が48時間まで保たれたという事実であり、そのため、このIL系でのこの化合物の水素化分解は不飽和エステルでのみ起こることが示唆される。水素化分解されていない還元生成物(12)を、漸増量の触媒を用いる水素化条件にさらに付すと、この事実の証拠がより多く認められる。水素化分解は観察されない(表14)。この結果の有意性は、IL(KG51)がベンジルエステルの水素化分解を完全に阻止するという事実に基づく。
IL(KG51)を用いて100%選択性を得るために用いられる系は、活性を喪失することなく4回再利用された(表15)。
第4回の再利用後、選択性は変わらないままであるが、変換は再利用7で91%へと少し低下する。再利用8で初めて大幅な変換の低下が見られる(81%)。
IL(KG38)を用いた桂皮酸ベンジルの水素化に関し種々の触媒量を試験した(表16)。
表16に示した結果から分かるように、漸増量の触媒は水素化分解に有利であり、0.005g触媒で最適条件が見られる。
最良の選択性を与えるのがIL(KG51)および(KG38)のカチオンだけであるかどうかを判断するために、カチオン鎖長および側鎖の酸素数の影響を調査した(表17)。
得られた結果から、側鎖長またはその鎖の酸素原子数の違いが反応の選択性に悪い影響を及ぼすことは明らかである。よって、この反応は、ILカチオンに関するIL組成の変化の影響を受けやすい。
IL(KG51)および(KG38)および0.005g触媒を用いて得られた結果からの条件に基づき、この系を用いて、水素化分解可能な官能基を含む他の化合物を試験した。
・桂皮酸アリル
桂皮酸アリルの水素化は、オレフィン結合のいずれかの還元をもたらすことができるか、あるいはアリル官能基の水素化分解も観察される場合がある(図8)。
両方のILを用い、対応するBmimILにおいても一般的な有機溶媒である酢酸エチルにおいても水素化分解は認められないが、IL(KG51)を用いて84%選択性に達した(表18)。
・桂皮酸ビニル
桂皮酸ビニルの水素化分解は、触媒として白金種を用いる場合に起こる傾向が強い(24)。
IL(KG51)および酢酸エチルでは選択性が認められないことに対し、オクチルサルフェートIL、(KG38)を用いて中程度の49%選択性が得られた(表30)。
実験
典型的手順
乾燥した二ツ口丸底フラスコに10%Pd/C(特に断りのない限り5.0mg)を秤量した。次いで、フラスコに、予備乾燥させたIL(2.0mL)、続いて所望の基質(4mmol)を加え、3N/真空サイクルを行った。0.0012mol%の触媒を用いた。反応混合物を10分間または所望の反応温度に達するまで、あるいは基質がすべてILに溶解するまで撹拌した。その後、反応物にバルーンで水素を導入し、反応の進行をHNMRにより24時間間隔および48時間間隔でモニタリングした。反応生成物の定量分析を、生NMRスペクトルピークの積分比を測定することにより行った。これらの値は、多くの場合、さらに、カラムクロマトグラフィーにより生成物を精製し単離収率を計算することによって確認した。反応の終了後、ヘキサン(10×3mL)を用いて生成物を抽出した。ILからの抽出後の質量回収は常に>98%であった。オクチルサルフェートILで行った反応の場合、高真空を用いてILから生成物を蒸留するかまたは簡易カラムを調製してILから生成物を分離した。これらの手順では、カラムで生成物を損失するか、または蒸留手順中に損失するため、全般的により低い質量回収をもたらした(>80%)。NTfILで行ったすべての反応を、オクチルサルフェートILでは55℃および65℃で行った。
再利用手順
ILから生成物を抽出した後、IL(触媒を含んでいる)を乾燥させ、HNMRにより分析した。ILが基質/生成物を含んでおらず、分解を受けていないことを確認した後、系に新たな基質を加え、記載したとおりに反応を再開した。
触媒としての水素ガスおよびパラジウム担持炭素の存在下でのトランス−シンナムアルデヒドのヒドロシンナムアルデヒドへの選択的還元における、溶媒としてのIL KG51の使用。KG51は、側鎖にエーテル酸素が存在し、それにより生分解性が増加し毒性が低減することから好ましい。同時に、還元の選択性も、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムオクチルサルフェート(bmimOctOSO)のような従来のILの場合よりかなり高い(表11および図10)。さらに、水素ガスおよびパラジウム担持炭素を触媒として用いた、ベンジルエステルの開裂が起こらない、桂皮酸ベンジルのカルボニル基と共役している炭素−炭素二重結合の選択的水素化のための溶媒としてのIL KG51の使用。1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムNTf(bmimNTf)または1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムオクチルサルフェート(bmimOctOSO)のような従来のILの使用では、一般に、ベンジルエステルの水素化分解だけでなく、カルボニル基と共役している炭素−炭素二重結合の水素化ももたらされる(表13および図11)。
参考文献

Claims (32)

  1. イミダゾール環の3位に−C=OX−側鎖を有するアルキル置換イミダゾリウムカチオンコア(式中、X=O、NH、NまたはS)および結合対アニオンを含む化合物であって、前記−C=OX−側鎖が少なくとも1つのエーテル結合を含むことを特徴とする化合物。
  2. XがOであり、前記−C=OX−基が、エステル基を含む官能基側鎖を表す、請求項1に記載の化合物。
  3. XがNであり、前記−C=OX−基が、アミドを含む官能基側鎖を表す、請求項1に記載の化合物。
  4. 前記アミド基が第二級アミドまたは第三級アミドである、請求項3に記載の化合物。
  5. 前記第三級アミドが、式−CONR
    (式中、RおよびRは、C〜C13アルキル基であり、ここで、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、RおよびRのうちの少なくとも一方は、少なくとも1つのエーテル結合を含み、
    あるいはRおよびRは、一緒になって、5〜7個の原子を有する複素環を形成し、ここで、前記環は、前記アミド窒素に加えて少なくとも1個の他のヘテロ原子を含む)
    を有する、請求項3に記載の化合物。
  6. およびRが異なっており、エーテル結合を含んでいない、RおよびRの一方が、C〜Cアルキル基を含む、請求項5に記載の化合物。
  7. XがSであり、その結果、前記−C=OX−基が、チオエステル基を含む官能基側鎖を表す、請求項1に記載の化合物。
  8. 前記アルキル置換イミダゾールが、少なくとも1つのC〜Cアルキル基で置換されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. 前記アルキル置換イミダゾール環が、少なくとも1つの位置において、1−メチル、2−メチル、4−メチル、5−メチル、1−エチル、2−エチル、4−エチル、5−エチル、1−プロピル、2−プロピル、4−プロピル、5−プロピルおよび4−トリフルオロメチルからなる群から選択される少なくとも1つのアルキル基で置換されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. 前記−C=OX−基側鎖が、1〜4つのエーテル結合を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
  11. 前記−C=OX−側鎖が、2−メトキシエチルエステル、2−エトキシエチルエステル、2−プロポキシエチルエステル、2−ブトキシエチルエステル、2−(2−エトキシエトキシ)エチルエステル、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルエステルおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルエステル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルエステルおよび2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステルからなる群から選択される、請求項1、2および8から10のいずれか一項に記載の化合物。
  12. 前記−C=OX−が、2−メトキシエチルアミド、2−エトキシエチルアミド、2−プロポキシエチルアミド、2−ブトキシエチルアミド、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアミド、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアミド、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルアミドおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアミド、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、ビス−(2−メトキシエチル)アミドおよびN,N−2−メトキシエチル−2−プロポキシエチルアミドからなる群から選択される、請求項1、3、5、6および8から10のいずれか一項に記載の化合物。
  13. 前記−C=OX−側鎖が、2−メトキシエチルチオエステル、2−エトキシエチルチオエステル、2−プロポキシエチルチオエステル、2−ブトキシエチルチオエステル、2−(2−エトキシエトキシ)エチルチオエステル、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルチオエステルおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルチオエステル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステル、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステル、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステルおよび2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステルからなる群から選択される、請求項1、7および8から10のいずれか一項に記載の化合物。
  14. 前記対アニオンが、Br、Cl、I NTf 、BF 、PF 、N(CN) 、サルフェート、OCtOSO 、トシレート、ベンゼンスルホネート、硫酸水素塩、直鎖アルキルサルフェート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2−(2−メトキシエトキシ)−エチルサルフェート、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィネート、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィネート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロホスフェート、トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスフェート、ジエチルホスフェート、ナイトレート、チオシアネート、トリシアノメタニド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチル)イミド、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、ビス(メタンスルホニル)アミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミドおよびテトラシアノボレート、ビス[オキサラト]ボレート、ビス−[1,2−ベンゼンジオラト(2−)]ボレート、ビス−[サリチラト(2−)]ボレート、ビス−[マロナト(2−)]−ボレート、ビス−[2,2’ビフェニル−ジオラト−(2−)−O,O’]−ボレート、アセテート、トリフルオロアセテート、デカノエート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラクロロアルミネートおよびコバルトテトラカルボニルからなる群から選択され得る、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物。
  15. 前記直鎖アルキルサルフェートが、一般式C2n+1OSO (式中、n=1〜8)を有し、メチルサルフェート、エチルサルフェート、プロピルサルフェート、ブチルサルフェート、ペンチルサルフェート、ヘキシルサルフェート、ヘプチルサルフェート、オクチルサルフェートおよびトリフルオロエチルサルフェートからなる群から選択され得る、請求項14に記載の化合物。
  16. 前記対アニオンがOctOSO であることで特徴づけられる、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
  17. KG7(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG8(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG9(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG10(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG12(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG13(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG14(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG15(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG16(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG18(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG23(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
    KG24(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
    KG25(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
    KG26(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
    KG27(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
    KG28(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
    KG29(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
    KG30(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
    KG32(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
    KG33(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムPF)、
    KG34(3−メチル−1−(ブトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG35(3−メチル−1−(ペントキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG36(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG37(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG38(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG39(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG40(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG41(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG42(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG43(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG44(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート)、
    KG45(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート、
    KG49(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
    KG50(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
    KG51(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
    KG52(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
    KG53(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
    KG54(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
    KG55(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
    KG56(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
    KG58(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
    KG59(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムNTf)、
    KG62(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
    KG63(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
    KG64(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
    KG65(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
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    KG67(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
    KG68(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
    KG69(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
    KG71(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
    KG72(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムBF)、
    KG75(3−メチル−1−(2−[2−メトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
    KG76(3−メチル−1−(2−[2−エトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
    KG77(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
    KG78(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
    KG79(3−メチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
    KG80(3−メチル−1−(2−[2−エトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
    KG81(3−メチル−1−(2−[2−プロポキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
    KG82(3−メチル−1−(2−[2−ブトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
    KG84(2,3−ジメチル−1−(2−[2−ブトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
    KG85(2,3−ジメチル−1−(2−[2−メトキシエトキシ]エトキシカルボニルメチル)イミダゾリウムN(CN))、
    KG405(3−メチル−1−[ビス−1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムオクチルサルフェート]および
    KG407(3−メチル−1−[ビス−1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムブロミド)
    KG422(3−メチル−1−[1−メトキシエチル]カルバミルメチル)イミダゾリウムブロミド)、
    KG423(3−メチル−1−[1−メトキシプロピル]カルバミルメチル)イミダゾリウムブロミド)
    からなる群から選択される化合物。
  18. 請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法であって:
    (i)エーテルまたはポリエーテル基を含むアルコールをハロアセチルハロゲン化物と反応させることにより、ハロエステルアルキル化剤を形成するステップ;および
    前記ハロエステルアルキル化剤をイミダゾールと反応させてイミダゾールエステルハロゲン化物塩を形成するステップ;または
    (ii)エーテルまたはポリエーテル基を含むチオールをハロアセチルハロゲン化物と反応させることにより、ハロチオエステルアルキル化剤を形成するステップ;および
    前記ハロチオエステルアルキル化剤をイミダゾールと反応させてイミダゾールチオエステルハロゲン化物塩を形成するステップ;または
    (iii)エーテルまたはポリエーテル基を含むアミドをハロアセチルハロゲン化物と反応させることにより、ハロアミドアルキル化剤を形成するステップ;および
    前記ハロアミドアルキル化剤をイミダゾールと反応させてイミダゾールアミドハロゲン化物塩を形成するステップ
    を含む方法。
  19. 前記ハロアセチルハロゲン化物が、ブロモアセチルブロミド、クロロアセチルクロリド、ブロモアセチルクロリドおよびクロロアセチルブロミドからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記ハロゲン化物塩が、アニオン交換反応においてアルカリ塩と反応し、ここで、前記アルカリ塩は、NTf 、BF 、PF 、N(CN) またはOctOSO アニオンを含む、請求項18または19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記化合物が、2−メトキシエチルエステル、2−エトキシエチルエステル、2−プロポキシエチルエステル、2−ブトキシエチルエステル、2−(2−エトキシエトキシ)エチルエステル、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルエステルおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルエステル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル、2−メトキシエチルアミド、2−エトキシエチルアミド、2−プロポキシエチルアミド、2−ブトキシエチルアミド、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアミド、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアミド、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルアミドおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアミド、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルアミド、ビス−(2−メトキシエチル)アミドおよびN,N−2−メトキシエチル−2−プロポキシエチルアミド、2−メトキシエチルチオエステル、2−エトキシエチルチオエステル、2−プロポキシエチルチオエステル、2−ブトキシエチルチオエステル、2−(2−エトキシエトキシ)エチルチオエステル、2−(2−プロポキシエトキシ)エチルチオエステル、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルチオエステル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステル、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステル、2−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステルおよび2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチルチオエステルからなる群から選択され得るエーテル結合含有鎖を含む、請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. イミダゾール環の3位にエステル、アミドまたはチオエステル側鎖を含むイミダゾールカチオン含有イオン性液体において、前記側鎖に少なくとも1つのエーテル基を導入することにより、前記イオン性液体の生分解性を改善するかまたは毒性を低減する方法。
  23. さらに、OctOSO アニオンを分子に導入することからなる、請求項22に記載の方法。
  24. 化学反応、バイオマス分解およびバイオ燃料調製からなる群から選択されるプロセスにおける溶媒としての請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  25. 前記バイオマス分解が、セルロース希釈である、請求項24に記載の使用。
  26. 酵素反応および生体触媒反応、中和、酸性化、塩基化、酸化、還元、水素化反応、ラジカル反応、求電子付加、求電子置換、求核付加、求核置換、転位、ペリ環状反応ならびにメタセシス反応からなる群から選択される化学反応のための溶媒または共溶媒としての、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  27. 前記化学反応が水素化反応である、請求項26に記載の使用。
  28. 前記化学反応がメタセシス反応である、請求項26に記載の使用。
  29. 前記化学反応がペリ環状反応である、請求項26に記載の使用。
  30. 前記水素化反応が、水素ガスおよび炭素上に担持されたパラジウムの存在下でのトランス−シンナムアルデヒドのヒドロシンナムアルデヒドへの選択的還元である、請求項27に記載の使用。
  31. 前記水素化反応が、水素ガスおよび炭素上に担持されたパラジウムを用いた、桂皮酸ベンジルのカルボニル基と共役しているアルケン結合の選択的還元である、請求項27に記載の使用。
  32. 前記化合物がKG51である、請求項24から31のいずれか一項に記載の使用。
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