JP2010518181A - 心血管疾患の処置のためのラノラジンの使用 - Google Patents

心血管疾患の処置のためのラノラジンの使用 Download PDF

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Abstract

ラノラジンの静脈内(IV)注入を投与することを含む心血管疾患を患う患者を処置するための方法を開示する。1つの実施態様では、ラノラジンのIV注入に続いて徐放ラノラジン投薬処方物を経口投与して、患者において治療レベルでヒトラノラジン血漿レベルを維持する。第1の態様では本発明は、急性心血管疾患事象を患う患者を処置するための方法に関する。この態様のさらなる実施態様では、急性心血管疾患事象を患う患者は非ST上昇型急性冠動脈症候群に関連する1つまたはそれより多い症状を呈する。

Description

(技術分野)
本発明は、2007年2月13日に出願された米国仮特許出願第60/889,734号、2007年3月5日に出願された米国仮特許出願第60/893,121号、2007年3月14日に出願された米国仮特許出願第60/894,903号、2007年4月27日に出願された米国仮特許出願第60/914,645号、2007年5月31日に出願された米国仮特許出願第60/941,219号、および2007年7月2日に出願された米国仮特許出願第60/947,613号への優先権を主張し、それぞれの米国仮特許出願の全体は、本明細書中に参考として援用される。
(発明の分野)
本発明はラノラジンを心血管疾患を患う冠動脈患者に投与することを含むこれらの患者を処置するための方法に関する。1つの実施態様では、症候性患者は非ST上昇型急性冠動脈症候群に関連する1つまたはそれより多い症状を患う。別の実施態様では、症候性患者は急性冠動脈事象を経験している。この実施態様の実例では、本発明は静脈内注入スケジュールにより患者を有効血清ラノラジン濃度に用量設定して治療的結果を達成するための方法を提供する。この実施態様のさらなる実例では、本発明は経口ラノラジンでの患者の長期間処置を提供する。なお別の実施態様では本発明は、以前に非ST上昇型急性冠動脈事象のために経口ラノラジンで処置された抗リスク冠動脈患者においてさらなる非ST上昇型急性冠動脈事象を阻止するための方法に関する。さらなる実施態様では本発明は、ラノラジンをこれらの患者に投与することを含む、少なくとも1つの心血管疾患を患う糖尿病、前糖尿病または非糖尿病患者における血漿HbA1cを低下させることによる糖尿病の処置を提供する。組成物の態様では、本発明は前記で記載された静脈内注入スケジュールにおける使用に適当なIV用処方物に関する。
特許文献1(その明細書の全ては本明細書中に参考として援用される)はラノラジン、(±)−N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)−プロピル]−1−ピペラジンアセトアミド、およびその薬学的に許容される塩、ならびに不整脈、異型狭心症、運動誘発性狭心症、および心筋梗塞を含む心血管疾患の処置におけるその使用を開示する。その二塩酸塩形態では、ラノラジンは式:
により表される。
この特許はまたさらにプロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、Tween80および0.9%生理食塩水を含むラノラジン二塩酸塩の静脈内(IV)用処方物をも開示する。
特許文献2(その全ては本明細書中に参考として援用される)は心臓麻痺、心臓または骨格筋または脳組織に対する低酸素または再灌流傷害を含む物理的または化学的侵襲を経験する組織の処置のための、および移植における使用のための、ラノラジンならびにその薬学的に許容される塩およびエステルの使用を開示する。放出制御処方物を含む経口および非経口処方物が開示される。とりわけ特許文献2の実施例7Dは放出制御ポリマーでコーティングされたラノラジンのマイクロスフェアおよび微結晶性セルロースを含むカプセル形態の放出制御処方物を記載する。この特許はまた、低濃度では約5重量%デキストロースを含有するIV用溶液の1mLあたりラノラジン5mgを含むIVラノラジン処方物をも開示する。高濃度では、約4重量%デキストロースを含有するIV用溶液の1mLあたりラノラジン200mgを含有するIV用溶液が開示される。
ラノラジンならびにその薬学的に許容される塩およびエステルに関する現在好ましい投与経路は経口である。典型的な経口投薬形態は圧縮錠剤、粉末混合物もしくは顆粒が充填された硬質ゼラチンカプセル、または溶液もしくは懸濁液が充填された軟質ゼラチンカプセル(ソフトゲル)である。特許文献3(その明細書の全ては本明細書中に参考として援用される)は過冷却された液体ラノラジンを硬質ゼラチンカプセルまたはソフトゲルのための充填溶液として用いる高用量経口処方物を開示する。
特許文献4(その明細書の全ては本明細書中に参考として援用される)は、処方物が胃における酸性環境および腸の間のより塩基性の環境の双方を通過する間に、ラノラジンの満足できる血漿レベルを得る問題を克服し、そして狭心症およびその他の心血管疾患の処置に必要である血漿レベルを提供するのに非常に有効であることが判明している徐放処方物を開示する。
特許文献5(その明細書の全ては本明細書中に参考として援用される)は不整脈、異型および運動誘発性狭心症および心筋梗塞を含む心血管疾患を処置する方法を開示する。
特許文献6(その明細書の全ては本明細書中に参考として援用される)は、ラノラジンが35−50%、好ましくは40−45%ラノラジンで存在する経口徐放投薬形態を開示する。1つの実施態様では、本発明のラノラジン徐放処方物はpH依存性結合剤;pH非依存性結合剤;および1つまたはそれより多い薬学的に許容される賦形剤を含む。適当なpH依存性結合剤には、限定するものではないが、メタクリル酸コポリマーを約1−20%、例えば約3−6%の程度まで中和するのに十分な量の強塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウムで、ある程度中和されたメタクリル酸コポリマー、例えばEudragit(登録商標)(Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100−55のシュードラテックス(pseudolatex)等)が含まれる。適当なpH非依存性結合剤には、限定するものではないがヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、例えばMethocel(登録商標)El0M Premium CRグレードHPMCまたはMethocel(登録商標)E4M Premium HPMCが含まれる。適当な薬学的に許容される賦形剤には、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)pH101)が含まれる。
米国特許第4,567,264号明細書 米国特許第5,506,229号明細書 米国特許第5,472,707号明細書 米国特許第6,503,911号明細書 米国特許第6,852,724号明細書 米国特許出願公開第2006/0177502号明細書
患者が急性心血管疾患事象であるか、またはそれを最近経験しているかのいずれかである急性の、または緊急な状況では、すぐにそして迅速に患者を安定させる必要がある。一度患者が安定すると、長期間にわたって処置を提供することにより患者の安定を維持する必要がある。
それ故に、静脈内(IV)用処方物に続いてヒトにおいて治療上有効なラノラジン血漿濃度を提供する経口処方物でラノラジンを投与することを含む、急性心血管疾患事象を患う患者を処置するための方法が必要とされている。
(発明の要旨)
本発明は一部には、非ST上昇型急性冠動脈症候群に関連する1つまたはそれより多い症状を示す患者への選択された濃度のラノラジンを含むIV用処方物の急速注入が(複数の)症状の迅速な処置に有効であるという発見を志向する。
第1の態様では本発明は、急性心血管疾患事象を患う患者を処置するための方法に関する。この態様のさらなる実施態様では、急性心血管疾患事象を患う患者は非ST上昇型急性冠動脈症候群に関連する1つまたはそれより多い症状を呈する。この態様のさらなる実施態様では、急性心血管疾患事象を患う患者は非ST上昇型急性冠動脈症候群に関連する2つまたはそれより多い症状を呈する。この態様のさらなる実施態様では、急性心血管疾患事象を患う患者は非ST上昇型急性冠動脈症候群に関連する3つまたはそれより多い症状を呈する。
第2の態様では本発明は、選択された濃度のラノラジンを含むIV用溶液を投与することを含む、急性心血管疾患事象を患う患者を安定させるための方法に関する。
第3の態様では本発明は、好ましくは約96時間までの期間、選択された濃度のラノラジンのIV用溶液を投与することを含む、急性心血管疾患事象を患う患者を安定させるための方法に関する。
第4の態様では本発明は、ラノラジンの経口徐放処方物を投与することを含む急性心血管疾患事象を患う安定した患者を処置するための方法に関する。
第5の態様では本発明は、急性心血管疾患事象を患う患者を処置するための方法に関し、該患者は安定しており、そして該患者は安定した後にその心血管疾患を処置し続けなければならない。
第6の態様では本発明は虚血低減量のラノラジンを投与することを含む、患者における再発性虚血を処置するための方法に関する。
第7の態様では本発明は非STE心筋梗塞(NSTEMI)を処置するための方法に関する。
第8の態様では本発明は不安定狭心症(UA)を処置するための方法に関する。
第9の態様では本発明は、以前に急性冠動脈症候群に関連する冠動脈事象に関して経口ラノラジンで処置された冠動脈患者において急性冠動脈症候群に関連するさらなる冠動脈事象を阻害するための方法に関する。
第10の態様では本発明は、急性心血管症状を患う患者を安定させるためのラノラジンの静脈内(IV)注入(投与)、続いて一度患者が安定すると経口ラノラジン徐放処方物の使用に関する。
第11の態様では本発明は急性心血管疾患事象を患う患者を処置することに関し、これは:a)IV用溶液の該患者への投与を開始すること、ここで該IV用溶液は約1.5から約3.0mg/mLの選択された濃度のラノラジンを含む;b):i)約1時間にわたって該患者に送達されるラノラジン約200mgを提供するのに十分な量のIV用溶液;ii)続いて:時間あたりラノラジン約80mgを提供するのに十分な量のIV用溶液;または該患者が腎不全を患っている場合、時間あたりラノラジン40mgを提供するのに十分な量のIV用溶液;のいずれか;を含む、IV用ラノラジン溶液の該患者へのIV投与の用量設定をすること;およびc)典型的には約12から約96時間以内に生じる該患者の安定までb)の用量設定を維持すること;による。
第12の態様では、第11の態様のIV用溶液のpHを生理学的に許容されるpHで維持し、そしてIV用溶液は好ましくは約4.6から約5.2重量%の濃度、およびさらに好ましくは約4.8から約5.0重量%の濃度のデキストロース一水和物、または好ましくは約0.8から約1.0重量%の濃度、およびさらに好ましくは約0.9重量%の濃度の塩化ナトリウムのいずれかをさらに含む。
第13の態様では本発明は急性心血管疾患事象を患う患者を処置することに関し、これは:a)IV用溶液の該患者への投与を開始すること、ここで該IV用溶液は約1.5から約3.0mg/mLの選択された濃度のラノラジンを含む;b):i)約1時間にわたって該患者に送達されるラノラジン約200mgを提供するのに十分な量のIV用溶液;ii)続いて:時間あたりラノラジン約80mgを提供するのに十分な量のIV用溶液;または該患者が腎不全を患っている場合、時間あたりラノラジン約40mgを提供するのに十分な量のIV用溶液;のいずれか;を含む、IV用ラノラジン溶液の該患者へのIV投与の用量設定をすること;c)典型的には約12から約96時間以内に生じる該患者の安定まで前記のb)の用量設定を維持すること;およびd)前記のc)の用量設定の完了後、該患者にラノラジンを経口的に送達すること;による。
第14の態様では、第13の態様のIV用溶液のpHを生理学的に許容されるpHで維持し、そしてIV用溶液は好ましくは約4.6から5.2重量%の濃度、およびさらに好ましくは約4.8から5.0重量%の濃度のデキストロース一水和物、または好ましくは約0.8から1.0重量%の濃度、およびさらに好ましくは約0.9重量%の濃度の塩化ナトリウムのいずれかをさらに含む。
第15の態様では本発明は冠動脈インターベンションの前に患者における虚血を低減させるための方法に関する。この方法では好ましくは虚血低減量の、さらに好ましくはIV用溶液の1mLあたりラノラジン約1.5から約3.0mgのラノラジンの静脈内用処方物を含むIV用溶液をこの患者に投与する。
第16の態様では、第15の態様のIV用溶液のpHは生理学的に許容されるpHであり、そしてIV用溶液は好ましくは約4.6から約5.2重量%の濃度、およびさらに好ましくは約4.8から約5.0重量%の濃度のデキストロース一水和物、または好ましくは約0.8から約1.0重量%の濃度、およびさらに好ましくは約0.9重量%の濃度の塩化ナトリウムのいずれかをさらに含む。
第17の態様では本発明は、冠動脈インターベンションを行っている患者における虚血を低減させるための方法に関する。この方法ではこの患者に虚血低減量のラノラジン、好ましくは1mLあたりラノラジン約1.5から約3.0mgを含むIV用溶液を投与し、ここでIV用溶液の投与を該インターベンションの少なくとも約4時間前、および好ましくは約6時間前に開始し、そしてさらにここでIV用溶液の投与を該インターベンションの後少なくとも約4時間、および好ましくは少なくとも約6時間維持する。
第18の態様では、第17の態様のIV用溶液のpHは生理学的に許容されるpHであり、そしてIV用溶液は好ましくは約4.6から約5.2重量%の濃度、およびさらに好ましくは約4.8から約5.0重量%の濃度のデキストロース一水和物、または好ましくは約0.8から約1.0重量%の濃度、およびさらに好ましくは約0.9重量%の濃度の塩化ナトリウムのいずれかをさらに含む。
第19の態様では本発明は、IV用溶液の1mLあたりラノラジン約1.5から約3.0mgのラノラジン濃度を含むIV用溶液に関する。この態様のさらなる実施態様では、この溶液のpHを生理学的に許容されるpHで維持し、そして等張溶液を提供するために、IV用溶液は約4.6から約5.2重量%、および好ましくは約4.8から約5.0重量%のデキストロース一水和物、または約0.8から約1.0重量%、および好ましくは約0.9重量%の塩化ナトリウム(NaCl)のいずれかをさらに含む。
第20の態様では本発明は、必要な濃度のラノラジンを提供するために標準的なIV用溶液容器に添加され得るラノラジンのストック水溶液を提供する。この態様では、ストック溶液中、溶液の1mLあたりラノラジン約25mgおよびデキストロース一水和物約36mgまたは約0.9重量%塩化ナトリウムを提供するのに十分な塩化ナトリウムのいずれかを含むラノラジンストック溶液を含む20cc容器を提供する。この態様のさらなる実施態様では、ストック溶液のpHは4±0.20である。
第21の態様では本発明はラノラジンと組み合わせて使用される1つまたはそれより多い薬物を提供する。
第22の態様では本発明は、1つまたはそれより多いさらなる疾患をも患う、非ST上昇型急性冠動脈症候群に関連する1つまたはそれより多い症状を呈する患者の処置を提供する。
第23の態様では本発明は、徐脈または徐脈性不整脈低減有効量のラノラジンを投与することを含む、患者における徐脈または徐脈性不整脈を処置する方法を提供する。一例では徐脈は徐脈性エピソードである。
第24の態様では本発明は、心室性頻脈または心室性不整脈低減有効量のラノラジンを投与することを含む、患者における心室性頻脈または心室性不整脈を処置する方法を提供する。
第25の態様では本発明は、心房細動低減有効量のラノラジンを投与することを含む、患者における心房細動を処置する方法を提供する。
本発明の第26の態様は、少なくとも1つの心血管疾患を患う糖尿病、前糖尿病または非糖尿病患者におけるHbA1cの血漿レベルを低下させる方法であり、ここでこの心血管疾患は狭心症である。
本発明の第27の態様は、少なくとも1つの心血管疾患を患う糖尿病、前糖尿病または非糖尿病患者におけるHbA1cの血漿レベルを低下させる方法であり、ここで心血管疾患は慢性狭心症である。
本発明の第28の態様は、治療上有効量のラノラジンを投与することを含む、少なくとも1つの心血管疾患を患う糖尿病、前糖尿病または非糖尿病患者におけるHbA1cの血漿レベルを低下させる方法である。
本発明の第29の態様は、約250mg1日2回から約2000mg1日2回のラノラジンを投与することを含む、少なくとも1つの心血管疾患を患う糖尿病、前糖尿病または非糖尿病患者におけるHbA1cの血漿レベルを低下させる方法である。
本発明の第30の態様は、ラノラジンの投与を含む、糖尿病のネガティブな結果を低減させる方法である。
本発明の第31の態様は、ラノラジンの投与を含む、糖尿病の発症を遅延させるかまたは緩徐化する方法である。
本発明の第32の態様は、ラノラジンの投与を含む、インスリン処置の開始を遅延させる方法である。
本発明の第33の態様は、ラノラジンの投与を含む、低血糖に至ることなく患者におけるHbA1cレベルを低減させる方法である。
本発明の第34の態様は、ラノラジンの投与を含む、少なくとも1つの心血管疾患を患う糖尿病、前糖尿病または非糖尿病患者における高血糖の悪化の発症を遅延させるかまたは緩徐化する方法である。
本発明の第35の態様は、ラノラジンの投与を含む、少なくとも1つの心血管疾患を患う糖尿病、前糖尿病または非糖尿病患者における高血糖の発症を遅延させるかまたは緩徐化する方法である。
いかなる理論にも制限されることなく、本発明の任意の態様のIV用溶液中の選択された濃度のラノラジンは、腎不全が臨床的問題になる場合、ラノラジンの量を減少させるように速やかに用量設定するように、腎不全を有するかまたは腎不全を発症させるこれらの患者を臨床医がモニタリングすることを可能する。
再発性虚血のエピソードなし、エピソード1−2回、およびエピソード>2回を経験する患者についての無作為化からの日数に対する死亡の累積発生率のグラフを示す。 非ST上昇型急性冠動脈症候群を示す糖尿病またはメタボリックシンドロームを有する患者における重症の再発性虚血、心筋梗塞および心血管死亡の発生のグラフを示す。 非ST上昇型急性冠動脈症候群で入院した患者において連続心電図(CECG)モニタリング時に検出されるようなTIMIリスクスコアおよび虚血の存在の関数としての重症の再発性虚血、心筋梗塞および心血管死亡の発生率のグラフを示す。 追跡の日数対事象のない患者の比率として、無作為化からプラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する心血管(CV)死亡、心筋梗塞(MI)または再発性虚血の最初の発症までの時間を示す。このグラフに関するデータを以下に示す:
追跡の日数対累積ハザード比として、プラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する心血管(CV)死亡、心筋梗塞(MI)または再発性虚血の最初の発症に関する累積ハザード比を示す。このグラフに関するデータを以下に示す:
追跡の日数対事象のない患者対象の比率として、無作為化からプラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する心血管(CV)死亡、心筋梗塞(MI)または重症の再発性虚血の最初の発症までの時間を示す。このグラフに関するデータを以下に示す:
追跡の日数対累積ハザード比として、プラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する心血管(CV)死亡、心筋梗塞(MI)または重症の再発性虚血の最初の発症に関する累積ハザード比を示す。このグラフに関するデータを以下に示す:
追跡の日数対事象のない患者の比率として、無作為化からプラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する治療の失敗(CV死亡、MI、再発性虚血、虚血に関してホルター陽性、新たな/悪化した不全のための入院または初期陽性ETT)までの時間を示す。このグラフに関するデータを以下に示す:
追跡の日数対累積ハザード比として、プラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する治療の失敗(CV死亡、MI、再発性虚血、虚血に関してホルター陽性、新たな/悪化した心不全のための入院または初期陽性ETT)に関する累積ハザード比を示す。このグラフに関するデータを以下に示す:
プラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する特徴、その特徴を有する患者の数および1年で事象を有する患者のパーセンテージとして、サブグループによるCV死亡、MI、または再発性虚血の相対リスクを示す。 プラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する特徴、その特徴を有する患者の数および1年で事象を有する患者のパーセンテージとして、サブグループによるCV死亡、MI、または重症の再発性虚血の相対リスクを示す。 プラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する特徴、その特徴を有する患者の数および1年で事象を有する患者のパーセンテージとして、サブグループによる治療の失敗の相対リスクを示す。 追跡の日数対事象のない患者の比率として、無作為化からプラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する全ての原因の死亡までの時間を示す。このグラフに関するデータを以下に示す:
追跡の日数対累積ハザード比として、プラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する全ての原因の死亡に関する累積ハザード比示す。このグラフに関するデータを以下に示す:
月対パーセンテージとしてプラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する経時的なHbA1C(%)のベースラインからの変化(安全−投与された全患者)を示す。 月対糖尿病または非糖尿病に関するパーセンテージとして、プラセボまたはラノラジンを投与した患者に関する登録時の糖尿病状態による経時的なHbA1C(%)のベースラインからの変化(安全−投与された全患者)を示す。 MERLIN−TIMI36試験に関する患者の無作為化を示す。 主要評価項目の事象率のカプラン・マイヤー推定値を示す。図18Aは心血管死亡、MIまたは再発性虚血の評価項目を示す。図18Bは心血管死亡またはMIに関する評価項目を示す。図18Cは再発性虚血に関する評価項目を示す。 主要評価項目の事象率のカプラン・マイヤー推定値を示す。図18Aは心血管死亡、MIまたは再発性虚血の評価項目を示す。図18Bは心血管死亡またはMIに関する評価項目を示す。図18Cは再発性虚血に関する評価項目を示す。 主要評価項目の事象率のカプラン・マイヤー推定値を示す。図18Aは心血管死亡、MIまたは再発性虚血の評価項目を示す。図18Bは心血管死亡またはMIに関する評価項目を示す。図18Cは再発性虚血に関する評価項目を示す。 種々のサブグループでプラセボ群と比較してラノラジン群における主要評価項目に関する事象率のカプラン・マイヤー推定値(12か月)および累積ハザード比を示す。アステリスクを記されたこれらのサブグループはp<0.0497レベルで有意であった。 少なくとも8拍の長さが持続する心室性頻脈のエピソードの最初の発症率のカプラン・マイヤー推定値を示す。 HbA1c(%)の変化を示す。図21Aはこの試験に関する無作為化の前または開始時に真性糖尿病と診断された患者におけるHbA1cの変化パーセンテージ対追跡の月数(16か月)を示す。図21Aは以下を示す:
図21Bはこの試験に関する無作為化の開始時に前糖尿病または非糖尿病のいずれかであった(この試験の開始の前に糖尿病と診断されていなかった)患者におけるHbA1cの変化パーセンテージ対追跡の月数(16か月)を示す。図21Bは以下を示す:
MERLIN−TIMI36において非ST上昇型急性冠動脈症候群の女性におけるラノラジンの有効性および安全性を示す。このグラフはプラセボおよびラノラジンの女性における死亡またはMI、再発性虚血、および主要評価項目転帰事象(12か月%)を示す。 図23Aは12か月での死亡/MIの累積発生率(%)対ベースラインcTnI(μg/L)を示す。図23Bは30日および1年での死亡/MIの累積発生率(%)対ベースラインcTnI(μg/L)を示す。 TIMIリスクスコアおよびCECGにおける虚血の存在による死亡/MI/重症の再発性虚血のパーセンテージ(%)を示す。 CECG記録における虚血の相対リスク(>0.5mm ST低下)対HRを示す。
発明の詳細な説明
前記したように、本発明は心血管疾患を患う冠動脈患者にラノラジンを投与することを含む、これらの患者を処置するための方法に関する。しかしながら、本発明をさらに詳細に記載する前に、最初に以下の用語を定義する。
定義
本明細書において、および以下に続く請求の範囲において、以下の意味を有すると定義されるべき多くの用語が参照されよう。
「ラノラジン」は化合物(±)−N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)プロピル]−1−ピペラジン−アセトアミド、およびその薬学的に許容される塩、ならびにその混合物である。特記しない場合、明細書および実施例において用いられるラノラジン血漿濃度はラノラジン遊離塩基を指す。pH約4では、塩化水素で用量設定された水溶液中で、ラノラジンは大部分がその二塩酸塩として存在する。
「虚血低減量」とは収縮機能を損なわずに、そして心拍数および血圧に影響することなく酸素要求量を低下させ、それにより処置される患者における虚血を阻害するラノラジンの量を指す。冠動脈インターベンションが実施される場合、虚血低減量は好ましくは、時間あたりラノラジン約200mgが、少なくともインターベンションの4時間前後に、そしてさらに好ましくはインターベンションの6時間前後に患者に送達されるようなIV用溶液として投与されるラノラジンの量である。
「徐脈または徐脈性不整脈低減有効量」は徐脈または徐脈性不整脈を処置するラノラジンの量である。
「心室性頻脈または心室性不整脈低減有効量」は心室性頻脈または心室性不整脈を処置するラノラジンの量である。
「心房細動または心房細動低減有効量」は心房細動を処置するラノラジンの量である。
「生理学的に許容されるpH」とはヒト患者への送達に適合する静脈内用溶液のpHを指す。好ましくは生理学的に許容されるpHの範囲は約4から約8.5、および好ましくは約4から7である。いかなる理論にも制限されることなく、体内の多量の血液がこれらの静脈内用溶液を有効に緩衝するので、pH約4から6の静脈内用溶液の使用は生理学的に許容されると考えられる。
「冠疾患」または「心血管疾患」とはいずれか1つの、または1を超える、例えばうっ血性心不全、急性心不全を含む心不全、虚血、再発性虚血、心筋梗塞、不整脈(心房細動を含む)、狭心症(運動誘発性狭心症、異型狭心症、安定狭心症、不安定狭心症を含む)、急性冠動脈症候群、糖尿病および間欠性跛行から生じる心脈管構造の疾患を指す。かかる疾患状態の処置は米国特許第6503911号および第6528511号、米国特許出願第2003/0220344号および第2004/0063717号(その完全な開示を本明細書中に参考として援用する)を含む種々の米国特許および特許出願に開示される。
「間欠性跛行」とは末梢動脈疾患に関連する疼痛を意味する。「末梢動脈疾患」すなわちPADは閉塞性末梢血管疾患(PVD)の1つの型である。PADは心臓および脳の外側の動脈に影響を及ぼす。PADの最も一般的な症状は、歩行、階段の登攀または運動の時の腰、大腿またはふくらはぎにおける有痛性の痙攣である。疼痛は間欠性跛行と称される。間欠性跛行の症状を列挙する場合、PADおよびPVDの双方が含まれることが意図される。
「急性冠疾患事象」とは、患者が緊急な状況において、典型的ではあるが必ずしも必要でない医療行為を求めるまでに顕在化しているかまたは悪化している1つまたはそれより多い冠疾患に関係する任意の症状を指す。
「急性冠動脈症候群」または「ACS」とは一連の急性心筋虚血状態を指す。それは不安定狭心症および非STセグメント上昇型心筋梗塞(UA/NSTEMI)、ならびにSTセグメント上昇型心筋梗塞(STEMI)を包含する。STEMIとは血栓による完全な閉塞を指す。好ましい実施態様では、ACSとは非ST上昇型急性冠動脈症候群(NSTEACS)を有するこれらの患者を指す。NSTEACSとは血栓による部分的な閉塞を指す。NSTEACSはさらに安静時に発症し、10分間以上持続し、心筋虚血と一致し、指標エピソードを含み得る入院の48時間以内の安静時虚血症状(5分間以上)が存在し、以下の中−高リスクの指標の少なくとも1つを有する、胸部不快感または狭心症に同等なものとして定義される:
●心筋トロポニン上昇(局所MI限界を超える)またはCK−MB(>ULN);
●ST低下(水平または下降)≧0.1mV;
●糖尿病(インスリンまたは経口治療を必要とする);
●リスクスコア≧3、ここで1点は以下の変数の各々に割り当てられ、そして全スコアは算術的合計として計算される:
○年齢65歳以上;
○公知のCAD(MIの既往、CABG、PCIまたは血管造影による狭窄≧50%);
○3つまたはそれを超えるリスク因子(DM、コレステロール上昇、高血圧、家族歴);
○24時間前に安静時に1を超える虚血不快感のエピソード;
○症状の発症の前の7日間にアスピリンの長期使用;
○STセグメント低下≧0.05mV;および
○心筋トロポニンまたはCK−MB上昇。
これらのリスク指標はまたTIMI(心筋虚血における血栓溶解)リスク因子とも称され、そしてさらにChaseら、Annals of Emergency Medicine 48(3):252−259(2006);Sadanandanら、J Am Coll Cardiol.44(4):799−803(2004);およびConwayら、Heart 92:1333−1334(2006)(その各々をその全てにおいて本明細書中に参考として援用する)にて論じられる。
「不安定狭心症」すなわち「UA」とは安定狭心症と急性心筋梗塞との間の臨床症状を指す。この定義は種々の病歴を示す多くの患者を包含し、そして異なる時間に、および異なる転帰で作動する複雑な病態生理学的メカニズムを反映する。安静時狭心症、新規狭心症および増悪型狭心症の3つの主な提示が記載されている。
「ECG」とは心電図を指す。
「心血管インターベンション」または「冠動脈インターベンション」とは限定するものではないが、「経皮冠動脈インターベンション」すなわちPCIを含む冠疾患を処置するための任意の侵襲的手技を指す。PCIは心臓の疾患を有する患者を処置するために用いられる多くの手技を包含すると企図される。PCIの例には限定するものではないが、PTCA(経皮経管冠動脈形成術)、ステントの移植、ペースメーカーおよびその他の冠血管装置、CABG(冠動脈バイパスグラフト手術)等が含まれる。
「電気的嵐」とは24時間以内のVT/心室細動(VF)の3つまたはそれより多いエピソードの発生を指し、ここで各エピソードは少なくとも5分の間隔がある。かつて一般的に用いられた電気的嵐の定義は、24時間以内に発生する、通常電気的カルディオバージョンまたは除細動を必要とする血行動態的に不安定化したVT/VFの2つまたはそれより多いエピソードである。公開されたデータにより、ICD(植込み型除細動器)を有する患者のおよそ10−30%がその臨床経過におけるある時点で電気的嵐を経験することが示唆される。電気的嵐を経験する大部分の患者は入院治療を必要とする。
「場合による」および「場合によっては」とは、続いて記載された事象または環境が発生しても、または発生しなくてもよく、そして記載には事象または環境が発生する例および発生しない例が含まれることを意味する。例えば「場合による医薬用賦形剤」は、そのように記載された処方物が具体的に存在すべきと記されたもの以外の医薬用賦形剤を含んでも、または含まなくてもよく、そしてそのように記載された処方物には、場合による賦形剤が存在する例および存在しない例が含まれることを示す。
「処置する」および「処置」とは患者における疾患の任意の処置を指し、そして:疾患にかかりやすいかもしれないが、未だそれを有すると診断されていない対象における疾患の発症を防止すること;疾患を阻害すること、すなわちそのさらなる進行を抑止すること;疾患の症状を阻害すること;疾患を軽減すること、すなわち疾患の退行を引き起こすこと、または疾患の症状を軽減すること;が含まれる。不整脈を処置する場合、不整脈の処置には正常な洞調律への転換が含まれる。「患者」は哺乳動物、好ましくはヒトである。
「緊急」とは最初に患者が医療関係者の診察を受ける急性の状況を指す。緊急状況には限定するものではないが、病院または診療所のような医療施設、病院または診療所のような医療施設の緊急治療室、ならびに警察および/または消防士、救急隊員もしくはその他の医療に熟練した者のような医療関係者を伴う緊急状況が含まれ得る。
「安定した」とは即時的な罹患のリスクがあるとは考えられない患者における症状を指す。
「即時的放出」(「IR」)とはインビトロで急速に溶解する処方物または投薬単位を指し、そして胃または上部胃腸管で完全に溶解および吸収されることが意図される。慣例的に、かかる処方物は投与の30分以内に活性成分の少なくとも90%が放出される。
「徐放」(「SR」)とは約6時間またはそれを超えた期間にわたって胃および胃腸管で緩徐に、および持続的に溶解および吸収される、本明細書にて使用される処方物または投薬単位を指す。好ましい徐放処方物は以下に記載されるように、投与あたり2個以下の錠剤で1日2回だけの投与に適当なラノラジンの血漿濃度を呈するものである。
「静脈内(IV)注入または「静脈内投与」とは静脈内経路により患者に提供される、本明細書にて使用される溶液または投薬単位を指す。患者の心血管症状を安定させるためにかかるIV注入を約96時間まで患者に提供することができる。IV注入の送達のための方法および時機は当業者の裁量の範囲内である。
「腎不全」とは患者の腎臓がもはや健康な正常状態を維持するのに十分な腎機能を有さない場合を指す。腎不全には末期の腎疾患(ESRD)を含む急性および慢性腎不全の双方が含まれる。
糖尿病は本明細書にて定義されるように、高血糖;脂質、炭水化物およびタンパク質の代謝の改変;ならびに血管疾患からの合併症のリスクの増大を特徴とする疾患状態である。
前糖尿病は本明細書にて定義されるように、グルコース値が正常値と糖尿病値の間である耐糖能障害(IGT)を有するヒトが含まれる。この症状はまた前糖尿病またはインスリン抵抗性症候群とも称される。IGTを有するヒトは糖尿病ではないが、糖尿病と診断されるに十分高くはないが、正常より高い血中グルコース値を有する。上記ヒトの身体はさらに多くのインスリンを作成するが、組織がそれに応答しないので、身体は糖を適切に使用できない。
血糖制御は血中グルコース値の調節である。
ヘモグロビンはそのアミノ末端バリン残基でグリコシル化されてヘモグロビンのグルコシルバリン付加物(HbA1c)を形成する。高血糖の毒性効果はかかる非酵素的なグリコシル化生成物の蓄積の結果であり得る。グルコースとヘモグロビンとの共有結合性反応はまた血糖状態の統合的な指標を決定するための都合のよい方法をも提供する。例えば修飾されたヘモグロビンの半減期は赤血球のものと同等である(約120日)。グリコシル化タンパク質の量はグルコース濃度およびタンパク質のグルコースへの暴露時間に比例するので、循環中のHbA1cの濃度は試料採取に先立つ長期間(4から12週間)にわたる血糖状態を反映する。故にHbA1cの5%から10%への上昇は、平均血中グルコース濃度の長期の倍加を示唆する。
本発明の方法
上記のように、1つの態様では、本発明は急性心血管疾患事象を患う患者を処置するための方法を提供する。この態様のさらなる実施態様では、急性心血管疾患事象を患う患者は非ST上昇型急性冠動脈症候群に関連する1つまたはそれより多い症状を呈する。
急性冠疾患事象を示す患者には、限定するものではないが、以下の1つまたはそれより多くを処置されているものが含まれる:安定狭心症、不安定狭心症(UA)、運動誘発性狭心症、異型狭心症を含む狭心症、不整脈、間欠性跛行、非STE心筋梗塞(NSTEMI)を含む心筋梗塞、うっ血性(または慢性)心不全、急性心不全を含む心不全または再発性虚血。
本発明のこの態様の方法は好ましくは、症候性患者に選択された濃度のラノラジンを含むIV用溶液を投与することにより達成される。これまで低濃度のラノラジンを含むラノラジンを含むIV用溶液が当該分野で提供された(例えばKlugeら、米国特許第4567264号参照、ここでこの特許の実施例11では多量のプロピレングリコール(20g/100mL)およびポリエチレングリコール(20g/100mL)の双方を含むIV用溶液中、1mLあたりラノラジン1.4mgの使用が記載される)。プロピレングリコールはポリエチレングリコールのように粘性液体である(例えばthe Merck Index、第12版(1996年)参照)。かかるIV用溶液の使用の結果、粘性が増大し、急性心血管疾患事象を患う患者に対するラノラジンの迅速な送達がさらに厄介になり、そして多量のプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールが同時投与されることが必要となる。
一方、本明細書で使用されるIV用溶液において用いられるものと比較して、高濃度または非常に高濃度のいずれかのラノラジン(5mg/mLまたは200mg/mLのいずれか)を含むラノラジンを含むIV用溶液が当分野では提供された。例えばDowら、米国特許第5506229号を参照されたい。患者が腎不全を患っているかまたは患う危険性のある急性心血管疾患事象では、かかる濃度のラノラジンを使用すると、ラノラジンの血漿レベルがより高くなり得る。したがって、担当医師が処置を開始する前にその患者の腎機能を評価する時間があったとしてもわずかしかないので、かかる濃度の使用は急性心血管疾患事象を示す患者の処置に禁忌である。
本発明の方法ではIV用溶液は、溶液の1mLあたり約1.5から3mg、好ましくは1mLあたり約1.8から2.2mg、およびなおさらに好ましくは1mLあたり約2mgを含む選択された量のラノラジンを有する。Klugeら(前出)とは対照的に、このIV用溶液はプロピレングリコールも、ポリエチレングリコールも全く含有しない。むしろ本発明の組成物はラノラジン、滅菌水、およびデキストロース一水和物または塩化ナトリウムを含む。このように、本発明の組成物はKlugeらに記載されるものよりも粘性が低く、患者のIV用溶液での用量設定をより有効で迅速にすることができる。
本発明のIV用処方物に対して、必要とされ得ず、そして禁忌であり得る賦形剤を注射用処方物は典型的には有するので、本発明のIV用溶液は注射用処方物とは異なる。例えば注射用処方物はグルコン酸のような抗痙攣薬を有し得る。このように、本発明のIV用溶液はかかる抗痙攣薬および特にグルコン酸を含有しない。
本発明のIV用溶液を用いて急性心血管疾患事象を患う患者を安定させる。とりわけ症候性患者は即座にこのラノラジンのIV用溶液を、安定するまでの期間投与される。かかる安定化は典型的には約12から約96時間内に起こる。
好ましい実施態様では、急性心血管疾患事象を患う患者を:
a)該患者へのIV用溶液の投与を開始すること、ここで該IV用溶液は約1.5から3mg/mL、好ましくは約1.8から約2.2mg/mL、およびなおさらに好ましくは約2mg/mLの選択された濃度のラノラジンを含む;
b):i)約1時間にわたって患者に送達されるラノラジン約200mgを提供するのに十分な量のIV用溶液;ii)続いて:時間あたりラノラジン約80mgを提供するのに十分な量のIV用溶液;または該患者が腎不全を患っている場合、時間あたりラノラジン約40mgを提供するのに十分な量のIV用溶液;のいずれか;を含む、IV用ラノラジン溶液の患者へのIV投与の用量設定をすること;ならびに
c)典型的には約12から約96時間以内に生じる患者の安定まで前記のb)の用量設定を維持すること;
により処置する。
1つの実施態様では、ラノラジンの静脈内用処方物の注入は、約2500ng塩基/mL(ここでng塩基/mLは1mLあたりのラノラジン遊離塩基のngを指す)の目標ピークラノラジン血漿濃度を達成するように開始される。
処置に関係すると考えられる有害事象を経験する患者のためのラノラジン注入の下方調節は当業者の知識内であり、そしてIV用溶液中のラノラジンの濃度に基づき、容易に達成される。前記で記載されたものに加えて有害事象には、限定するものではないが、低カリウム血症のようなその他の可逆的因子に起因しない、著しくそして持続的なQTc延長;眩暈;嘔気/嘔吐;複視;知覚異常;錯乱;および起立性低血圧が含まれる。1つの実施態様では、ラノラジンの静脈内用溶液の用量を、限定するものではないが約60mg/時および40mg/時または約30mg/時のような低用量に調整できる。別の実施態様では、ラノラジンの静脈内送達を1−3時間、一時的に中止し、そして次に同一用量、または処置に関係すると考えられる有害事象を経験する患者のために低用量で再開することができる。
好ましい実施態様では、一度安定した患者には次にラノラジンの経口徐放処方物を投与する。具体的には本発明はラノラジンで患者を処置することにより、続発性の急性冠疾患事象を有する冠疾患の高リスクの患者を処置するのに特に有用である。高リスクの冠動脈患者は以前に少なくとも1つの急性冠疾患事象を有したものである。好ましい実施態様では、高リスクの患者は3またはそれより高いTIMIリスクスコアを有する。
1つの実施態様では、ラノラジンの経口用量を、ラノラジンの静脈内注入の終了の約1時間前に投与する。この実施態様の1つの態様では、静脈内から経口用量への移行時に、ラノラジン約80mg/時の静脈内用量に関して、投与される経口用量は1000mg1日1回または1日2回(2×500mg)である。この実施態様の別の態様では、静脈内から経口用量への移行時に、ラノラジン約60mg/時の静脈内用量に関して、投与される経口用量は750mg1日1回または1日2回(2×375mg)である。この実施態様のなお別の態様では、静脈内から経口用量への移行時に、ラノラジン約40mg/時の静脈内用量に関して、投与される経口用量は500mg(1×500mg)である。この実施態様のなお別の態様では、静脈内から経口用量への移行時に、ラノラジン約30mg/時の静脈内用量に関して、投与される経口用量は375mg(1×375mg)である。
処置に関係すると考えられる有害事象事象を経験する患者のため経口用量の下方調整もまた当業者の知識内である。例えばラノラジンの経口用量を新たに発症した重症の腎不全を有する患者に関して調整することができる。その他の有害事象事象には、限定するものではないが、低カリウム血症のようなその他の可逆的因子に起因しない、著しくそして持続的なQTc延長;眩暈;嘔気/嘔吐;複視;知覚異常;錯乱;および起立性低血圧が含まれる。1つの実施態様では、ラノラジンの経口用量を、まだこの用量またはそれ以下でなければ、500mg1日1回または2回に下方調整できる。1つの実施態様では、ラノラジンの経口用量を、限定するものではないが、750mg1日1回もしくは2回、500mg1日1回もしくは2回、または375mg1日1回もしくは2回のようなさらなる低用量に調整できる。
1つの実施態様では、開始経口用量375mg1日1回または2回を、ジルチアゼム>180mg/日、フルコナゾール等のような中等度のCYP3A阻害剤およびベラパミル、シクロスポリン等のようなP−gp阻害剤で処置された患者に投与することができる。1つの実施態様では、約2500ng塩基/mL±1000ng塩基/mLの平均ピークラノラジン血漿濃度を達成するように、ラノラジンの経口用量1000mgを投与する。
1つの実施態様では本発明は、ラノラジンの静脈内用処方物をインターベンションの前少なくとも約4時間から約12時間、および好ましくはインターベンションの前少なくとも約6時間、静脈内投与することを含む、患者における心血管インターベンションに関連する虚血を低減させる方法に関する。この実施態様のさらなる態様では、本発明はさらにインターベンション後約2時間から約12時間の期間、好ましくはインターベンションの完了後、少なくとも約4時間およびさらに好ましくは約6時間、ラノラジンの静脈内投与を続けることを含む。
好ましい実施態様では、患者はインターベンションの前に少なくとも約4時間または少なくとも約6時間静脈内ラノラジンを投与され、そして次にインターベンション後、少なくとも約4時間または少なくとも約6時間静脈内ラノラジンを投与される。
本発明のこれらの実施態様では、静脈内投与されたラノラジンは本明細書に記載される静脈内用処方物である。
本発明の方法が脳虚血、腎虚血、臓器移植に関連する虚血等のようなその他の型の虚血もまた低減させるであろうということも企図される。これらの実施態様では、評価および/または治療には、限定するものではないが、動静脈奇形の処置、腹部大動脈瘤および脳動脈瘤を含む動脈瘤の修復、動脈瘤処置後のエンドリークの修復等が含まれ得る。
治療の前にラノラジンを投与することにより、それらに関連する虚血が低減されることが企図される。虚血を測定するために、患者にホルターモニターを装着する。
本発明の範囲を限定するものではないが、心血管疾患、例えば動脈硬化症、高血圧、不整脈(例えば虚血性不整脈、心筋梗塞による不整脈、心筋気絶、心筋機能不全、PTCA後または血栓溶解後の不整脈等)、狭心症、心肥大、心筋梗塞、心不全(例えばうっ血性心不全、急性心不全、心肥大等)、PTCA後の再狭窄、PTCI(経皮経管的冠動脈インターベンション)、電気的嵐およびショック(例えば出血性ショック、エンドトキシンショック等);腎疾患、例えば真性糖尿病、糖尿病性腎症、虚血性急性腎不全等;虚血または虚血性再灌流に関連する臓器障害、例えば心筋虚血性再灌流関連障害、急性腎不全、またはCABG(冠動脈バイパスグラフティング)手術、血管手術、臓器移植、非心臓手術またはPTCAのような外科的処置により誘発される障害;脳血管疾患、例えば虚血性卒中発作、出血性卒中発作等;脳虚血障害、例えば脳梗塞に関連する障害、続発症のような脳卒中後に引き起こされる障害、または脳浮腫;および移植に用いられたドナー組織において誘発される虚血(ここでドナー組織には限定するものではないが、移植腎、皮膚グラフト、移植心、移植肺、移植角膜および移植肝が含まれる);のような種々の疾患の処置のために本発明の処方物を使用することができる。本発明の処方物をCABG手術、血管手術、PTCA、PTCI、臓器移植または非心臓手術の間の心筋保護のために使用することもできる。
好ましくは本発明の処方物をCABG手術、血管手術、PTCA、臓器移植または非心臓手術の前、間または後の心筋保護のための薬剤として使用することができる。好ましくは本発明の処方物を進行中の心臓事象(急性冠動脈症候群、例えば心筋梗塞または不安定狭心症)または脳虚血事象(例えば卒中発作)を示す患者における心筋保護のために使用することができる。好ましくは本発明の処方物を冠動脈心疾患(例えば心筋梗塞の既往または不安定狭心症)と診断された患者または心筋梗塞に関して高リスクである患者(65歳を超える年齢および冠動脈心疾患に関する2つまたはそれより多いリスク因子)における長期間の心筋保護のために使用することができる。
本発明の組成物
静脈内用処方物
1つの態様では、選択された濃度のラノラジンを含む静脈内(IV)用溶液を提供する。具体的には、IV用溶液は好ましくは薬学的に許容される水溶液の1mLあたりラノラジン約1.5から約3.0mg、さらに好ましくは約1.8から約2.2mg、およびなおさらに好ましくは約2mgを含む。患者へのラノラジンの急速な静脈内流を可能にするために、IV用溶液は好ましくは実例としてはプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコール400)を含む粘性構成成分を含有しない。物質的に粘度を改変しない少量の粘性構成成分が本発明の静脈内用処方物に含まれ得ることは理解される。特定の好ましい実施態様では、IV用溶液の粘度は好ましくは20℃で10cSt(センチストーク)未満、さらに好ましくは20℃で5cSt未満、およびなおさらに好ましくは20℃で2cSt未満である。
1つの実施態様では、IV用溶液は:
IV用溶液mLあたりラノラジン約1.5から約3.0mg;および
約4.8から約5.0重量パーセントデキストロースまたは約0.8から約1.0重量パーセント塩化ナトリウムのいずれか;
を含む。
1つの実施態様では、IV用溶液は:
IV用溶液mLあたりラノラジン約1.8から約2.2mg;および
約4.8から約5.0重量パーセントデキストロースまたは約0.8から約1.0重量パーセント塩化ナトリウムのいずれか;
を含む。
1つの実施態様では、IV用溶液は:
IV用溶液mLあたりラノラジン約2mg;および
約4.8から約5.0重量パーセントデキストロースまたは約0.9重量パーセント塩化ナトリウムのいずれか;
を含む。
本明細書に記載されるIV用溶液を単回使用送達用20mL容器を含むストック溶液から調製することができ、その容器は約25mg/mLの濃度のラノラジンの滅菌水溶液;約36mg/mLデキストロース一水和物または約0.9重量パーセント塩化ナトリウムのいずれかを含み;そしてpH約4である。驚くべきことに、ストック溶液中かかる高濃度のラノラジンおよびデキストロース一水和物またはラノラジンおよび塩化ナトリウムを用いることにより、安定であり、そして好ましくは6か月を超える、十分な有効期限を有する組成物が提供される。
ストック溶液を調製するための方法の実例は実施例2および3にて記載される。
典型的な設定では、本明細書に記載される20mL容器2個を滅菌生理食塩水(0.9重量パーセント(重量%)塩化ナトリウム)またはデキストロース水溶液(5重量パーセントデキストロース一水和物を含有する水)460mLを含有するIV用溶液に注入して、生理学的に許容されるpHを維持する約2mg/mLラノラジンのIV用溶液を提供する。本明細書にて有用な容器には、限定するものではないがバイアル、シリンジ、瓶、IV用バッグ等が含まれる。
別の実施態様では、前記のような静脈内用処方物を使用前に滅菌希釈剤で希釈する。1つの実施態様では、滅菌希釈剤は5%デキストロースまたは0.9重量パーセント生理食塩水である。1つの実施態様では、静脈内用処方物はさらに滅菌希釈剤のバッグ中で希釈される。
経口処方物
1つの実施態様では、ラノラジンの処方物は経口処方物である。1つの実施態様では、ラノラジンの経口処方物は錠剤である。1つの実施態様では、ラノラジンの錠剤は500mgまでである。好ましい実施態様では、ラノラジン錠剤は375mgおよび/または500mgである。
ラノラジンの経口処方物は米国特許第6303607号および米国特許公開第2003/0220344号(その双方共にその全てにおいて本明細書中に参考として援用する)において十分に論じられている。
本発明の経口徐放ラノラジン投薬処方物形態は治療レベルの閾値を超え、そして最大耐用レベルを下まわる血漿ラノラジンレベルを維持するために、24時間の期間中に1回、2回または3回投与され、それは好ましくは患者において約550から7500ng塩基/mLの血漿レベルである。
好ましい実施態様では、ラノラジンの血漿レベルは約1500−3500ng塩基/mLの範囲である。
好ましい血漿ラノラジンレベルを達成するために、本明細書に記載される経口ラノラジン投薬形態を1日1回または2回投与する。投薬形態を1日2回投与する場合、次いで経口ラノラジン投薬形態を約12時間間隔で投与するのが好ましい。
血漿ラノラジンレベルを制御する様式での本発明の経口徐放投薬形態の処方および投与に加えて、血漿ラノラジンレベルのピークと谷との間の差異を最小化することも重要である。ラノラジンピーク血漿レベルは典型的には約30分から8時間で、または最初の投薬形態摂取のさらに後で達成されるが、ラノラジン血漿レベルの谷は次回の予定された投薬形態の摂取時の付近で達成される。ラノラジン谷レベルよりもわずか8倍、好ましくはラノラジン谷レベルよりもわずか4倍、好ましくはラノラジン谷レベルよりもわずか3倍、そして最も好ましくはラノラジン谷レベルよりもわずか2倍のラノラジンピークレベルを可能にする様式で本発明の徐放投薬形態を投与するのが好ましい。
本発明の徐放ラノラジン処方物は、ラノラジン血漿濃度の変動を最小化するが、せいぜい1日2回投与を許容する治療上の利点を提供する。ラノラジンの治療上有効な血漿濃度が迅速に達成されることが望まれる場合、処方物は単独でまたは(少なくとも最初は)、即時放出処方物と組み合わせて、または可溶性IV用処方物および経口投薬形態により投与され得る。
組み合わせ治療
ラノラジンの投与により急性心血管疾患事象に関して処置されている冠動脈患者はしばしばその他の治療薬での処置から利益を享受する疾患または症状を示す。これらの疾患または症状は心血管の性質のものでよいか、または肺障害、代謝障害、胃腸障害等に関係してよい。加えて、ラノラジンの投与により急性心血管疾患事象に関して処置されている冠動脈患者には、抗生物質、鎮痛薬ならびに/または抗うつ薬および抗不安薬である治療薬での処置から利益を享受し得る症状を呈するものもある。
心血管薬組み合わせ治療
ラノラジンとその他の治療薬との組み合わせ処置から利益を享受し得る心血管関連疾患または症状には、限定するものではないが安定狭心症、不安定狭心症(UA)、運動誘発性狭心症、異型狭心症を含む狭心症、不整脈、間欠性跛行、非STE心筋梗塞(NSTEMI)を含む心筋梗塞、うっ血性(または慢性)心不全、急性心不全を含む心不全または再発性虚血が含まれる。
心血管関連疾患または症状を処置するのに適当な治療薬には、抗狭心症薬、心不全治療薬、抗血栓薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、および脂質降下薬が含まれる。
ラノラジンと心血管関連症状を処置するのに適当な治療薬との同時投与により、患者が現在受けている医療水準の強化が可能になる。
抗狭心症薬
抗狭心症薬にはベータ遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、および硝酸塩が含まれる。ベータ遮断薬は作業負荷を低減させることにより心臓の酸素要求を低減させて、結果的に心拍数を低下させ、そして活発な心臓収縮を和らげる。ベータ遮断薬の実例には、アセブトロール(Sectral)、アテノロール(Tenormin)、ベタクソロール(Kerlone)、ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド(Ziac)、ビソプロロール(Zebeta)、カルテオロール(Cartrol)、エスモロール(Brevibloc)、ラベタロール(Normodyne、Trandate)、メトプロロール(Lopressor、ToprolXL)、ナドロール(Corgard)、プロプラノロール(Inderal)、ソタロール(Betapace)およびチモロール(Blocadren)が含まれる。
硝酸塩は動脈および静脈を拡張させ、それにより冠血管血流を増大させ、そして血圧を低下させる。硝酸塩の実例には、ニトログリセリン、硝酸塩パッチ、二硝酸イソソルビドおよびイソソルビド−5−モノニトラートが含まれる。
カルシウムチャンネル遮断薬は心臓および血管の細胞への正常なカルシウムの流れを防御して血管を弛緩させ、それにより心臓への血液および酸素の供給を増大させる。カルシウムチャンネル遮断薬の実例には、アムロジピン(Norvasc、Lotrel)、ベプリジル(Vascor)、ジルチアゼム(Cardizem、Tiazac)、フェロジピン(Plendil)、ニフェジピン(Adalat、Procardia)、ニモジピン(Nimotop)、ニソルジピン(Sular)、ベラパミル(Calan、Isoptin、Verelan)およびニカルジピンが含まれる。
心不全治療薬
心不全を処置するための薬剤には、利尿薬、ACE阻害剤、血管拡張薬および強心配糖体が含まれる。利尿薬は組織および循環中の過剰な液体を排除し、それにより心不全の多くの症状を軽減する。利尿薬の実例には、ヒドロクロロチアジド、メトラゾン(Zaroxolyn)、フロセミド(Lasix)、ブメタニド(Bumex)、スピロノラクトン(Aldactone)およびエプレレノン(Inspra)が含まれる。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤は血管を拡張し、そして血流に対する抵抗性を低下させることにより心臓における作業負荷を低減させる。ACE阻害剤の実例には、ベナゼプリル(Lotensin)、カプトプリル(Capoten)、エナラプリル(Vasotec)、フォシノプリル(Monopril)、リシノプリル(Prinivil、Zestril)、モエキシプリル(Univasc)、ペリンドプリル(Aceon)、キナプリル(Accupril)、ラミプリル(Altace)およびトランドラプリル(Mavik)が含まれる。
血管拡張薬は血管を弛緩および拡張させることによりそれに及ぼす圧力を低減させる。血管拡張薬の実例にはヒドララジン、ジアゾキシド、プラゾシン、クロニジンおよびメチルドパが含まれる。ACE阻害剤、硝酸塩、カリウムチャンネル活性化薬およびカルシウムチャンネル遮断薬もまた血管拡張薬として作用する。
強心配糖体は心臓の収縮の力を増大させる化合物である。これらの化合物は心臓のポンピング能力を強め、そして不規則な心拍の活動を改善する。強心配糖体の実例には、ジギタリス、ジゴキシンおよびジギトキシンが含まれる。
抗血栓薬
抗血栓薬は血液の凝固能力を阻害する。抗血栓薬には3つの主要な型:血小板阻害剤、抗凝固薬および血栓溶解薬がある。
血小板阻害剤は血小板の凝固活性を阻害し、それにより動脈中の凝固を低減させる。血小板阻害剤の実例には、アセチルサリチル酸(アスピリン)、チクロピジン、クロピドグレル(plavix)、ジピリダモール、シロスタゾール、ペルサンチン、スルフィンピラゾン、ジピリダモール、インドメタシンならびに、アブシキシマブ、チロフィバンおよびエプチフィバチド(Integrelin)のような糖タンパク質llb/llla阻害剤が含まれる。ベータ遮断薬およびカルシウムチャンネル遮断薬もまた血小板阻害効果を有する。
抗凝固薬は凝血塊がより大きく成長することを防止し、そして新たな凝血塊の形成を防御する。抗凝固薬の実例には、ビバリルジン(Angiomax)、ワルファリン(Coumadin)、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、ダナパロイド、レピルジンおよびアルガトロバンが含まれる。
血栓溶解薬は既存の凝血塊を分解するために作用する。血栓溶解薬の実例にはストレプトキナーゼ、ウロキナーゼおよびテネクテプラーゼ(TNK)、ならびに組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)が含まれる。
抗不整脈薬
抗不整脈薬を用いて心拍数および調律の障害を処置する。抗不整脈薬の実例には、アミオダロン、キニジン、プロカインアミド、リドカインおよびプロパフェノンが含まれる。強心配糖体およびベータ遮断薬もまた抗不整脈薬として使用される。
血圧降下薬
血圧降下薬を用いて、血圧が一貫して正常よりも高い症状である高血圧を処置する。高血圧はうっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症および凝血塊形成を含む心血管疾患の多くの態様に関連する。血圧降下薬の実例には、プラゾシン(Minipress)、メシル酸ドキサゾシン(Cardura)、塩酸プラゾシン(Minipress)、プラゾシン、ポリチアジド(Minizide)および塩酸テラゾシン(Hytrin)のようなアルファ−1−アドレナリンアンタゴニスト;プロプラノロール(Inderal)、ナドロール(Corgard)、チモロール(Blocadren)、メトプロロール(Lopressor)およびピンドロール(Visken)のようなベータ−アドレナリン作動性アンタゴニスト;塩酸クロニジン(Catapres)、塩酸クロニジンおよびクロルタリドン(Clorpres、Combipres)、酢酸グアナベンズ(Wytensin)、塩酸グアンファシン(Tenex)、メチルドパ(Aldomet)、メチルドパおよびクロロチアジド(Aldoclor)、メチルドパおよびヒドロクロロチアジド(Aldoril)のような中枢性アルファ−アドレナリン作動性受容体アゴニスト;ラベタロール(Normodyne、Trandate)、カルベジロール(Coreg)のようなアルファ/ベータ−アドレナリン作動性アンタゴニストの組み合わせ;グアネチジン(Ismelin)、レセルピン(Serpasil)のようなアドレナリン作動性ニューロン遮断薬;クロニジン(Catapres)、メチルドパ(Aldomet)、グアナベンズ(Wytensin)のような中枢神経系作用性降圧薬;抗アンギオテンシンII薬;ペリンドプリル(Aceon)、カプトプリル(Capoten)、エナラプリル(Vasotec)、リシノプリル(Prinivil、Zestril)のようなACE阻害剤;カンデサルタン(Atacand)、エプロサルタン(Teveten)、イルベサルタン(Avapro)、ロサルタン(Cozaar)、テルミサルタン(Micardis)、バルサルタン(Diovan)のようなアンギオテンシン−II受容体アンタゴニスト;ベラパミル(Calan、Isoptin)、ジルチアゼム(Cardizem)、ニフェジピン(Adalat、Procardia)のようなカルシウムチャンネル遮断薬;利尿薬;ニトロプルシド(Nipride)、ジアゾキシド(HyperstatIV)、ヒドララジン(Apresoline)、ミノキシジル(Loniten)、ベラパミルのような直接的血管拡張薬;ならびにアプリカリム、ビマカリム、クロマカリム、エマカリム、ニコランジルおよびピナシジルのようなカリウムチャンネル活性化薬が含まれる。
脂質降下薬
脂質降下薬を用いて血中に存在するコレステロールまたは脂肪糖(fatty sugars)を低下させる。脂質降下薬の実例にはベザフィブラート(Bezalip)、シプロフィブラート(Modalim)、ならびにアトルバスタチン(Lipitor)、フルバスタチン(Lescol)、ロバスタチン(Mevacor、Altocor)、メバスタチン、ピタバスタチン(Livalo、Pitava)プラバスタチン(Lipostat)、ロスバスタチン(Crestor)およびシンバスタチン(Zocor)のようなスタチン系が含まれる。
本発明では急性冠疾患事象を示す患者はしばしば1つまたはそれより多い代謝障害、肺障害、末梢血管障害または胃腸障害のような二次的な医学的症状を患う。かかる患者は、少なくとも1つの治療薬と組み合わされたラノラジンを患者に投与することを含む組み合わせ治療の処置から利益を享受することができる。
肺障害
肺障害とは肺に関係する任意の疾患または症状を指す。肺障害の実例には、限定するものではないが喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎および肺気腫が含まれる。
肺障害を処置するために用いられる治療薬の実例には、ベータ2アゴニストおよび抗コリン薬を含む気管支拡張薬、コルチコステロイド、ならびに電解質サプリメントが含まれる。肺障害を処置するために用いられる治療薬の具体例には、エピネフリン、テルブタリン(Brethaire、Bricanyl)、アルブテロール(Proventil)、サルメテロール(Serevent、Serevent Diskus)、テオフィリン、臭化イプラトロピウム(Atrovent)、チオトロピウム(Spiriva)、メチルプレドニゾロン(Solu−Medrol、Medrol)、マグネシウムおよびカリウムが含まれる。
代謝障害
代謝障害の実例には、限定するものではないが、I型およびII型糖尿病を含む糖尿病、メタボリックシンドローム、異脂肪血症、肥満、グルコース不耐性、高血圧、血清コレステロール上昇ならびにトリグリセリド上昇が含まれる。
代謝障害を処置するために用いられる治療薬の実例には、前記の「心血管薬組み合わせ治療」の項で記載されたような血圧降下薬および脂質降下薬が含まれる。代謝障害を処置するために用いられるさらなる治療薬にはインスリン、スルホニル尿素系、ビグアニド系、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤およびインクレチン擬似物質が含まれる。
末梢血管障害
末梢血管障害は例えばアテローム性動脈硬化症の結果として内臓器官、腕および脚に血液を供給する動脈が完全に、または部分的に遮断された場合に発症する症状である末梢動脈疾患(PAD)を含む、心臓および脳の外側に位置する血管(動脈または静脈)に関係する障害である。
胃腸障害
胃腸障害とは胃腸管に関連する疾患および症状を指す。胃腸障害の実例には、胃食道逆流症(GERD)、炎症性腸疾患(IBD)、胃腸炎、胃炎および消化性潰瘍、ならびに膵臓炎が含まれる。
胃腸障害を処置するために用いられる治療薬の実例には、パントプラゾール(Protonix)、ランソプラゾール(Prevacid)、エソメプラゾール(Nexium)、オメプラゾール(Prilosec)、ラベプラゾールのようなプロトンポンプ阻害剤;シメチジン(Tagamet)、ラニチジン(Zantac)、ファモチジン(Pepcid)、ニザチジン(Axid)のようなH2遮断薬;ミソプロストール(Cytotec)のようなプロスタグランジン;スクラルファート;および制酸薬が含まれる。
抗生物質、鎮痛薬、抗うつ薬および抗不安薬
急性冠疾患事象を示す患者はラノラジンと組み合わされた抗生物質、鎮痛薬、抗うつ薬および抗不安薬である1つまたは複数の治療薬の投与から利益を享受する症状を示し得る。
抗生物質
抗生物質は細菌および真菌の双方を含む微生物の成長を死滅または停止させる治療薬である。抗生物質の実例には、ペニシリン系(アモキシシリン)、セファゾリン、セフロキシム、セファドロキシル(Duricef)、セファレキシン(Keflex)、セフラジン(Velosef)、セファクロル(Ceclor)、セフロキシムアキセチル(Ceftin)、セフプロジル(Cefzil)、ロラカルベフ(Lorabid)、セフィキシム(Suprax)、セフポドキシムプロキセチル(Vantin)、セフチブテン(Cedax)、セフジニル(Omnicef)、セフトリアキソン(Rocephin)のようなセファロスポリン系、カルバペネム系およびモノバクタムを含むβ−ラクタム抗生物質;テトラサイクリンのようなテトラサイクリン系;エリスロマイシンのようなマクロライド抗生物質;ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシンのようなアミノグリコシド系;シプロフロキサシンのようなキノロン系;バンコマイシン、ストレプトグラミン系、ポリミキシン系のような環状ペプチド;クリンダマイシンのようなリンコサミド;リネゾリドのようなオキサゾリジノン系;ならびにスルフイソキサゾールのようなサルファ剤が含まれる。
鎮痛薬
鎮痛薬は疼痛の軽減に用いられる治療薬である。鎮痛薬の実例にはフェンタニルおよびモルヒネのようなオピエートおよびモルヒネ擬似物質;パラセタモール;NSAID、ならびにCOX−2阻害剤が含まれる。
抗うつ薬および抗不安薬
抗うつ薬および抗不安薬には、不安障害、抑うつを処置するために用いられこれらの薬剤、ならびに鎮静薬およびトランキライザとして用いられるものが含まれる。抗うつ薬および抗不安薬の実例には、ジアゼパム、ロラゼパムおよびミダゾラムのようなベンゾジアゼピン系;エンゾジアゼピン系;バルビツール酸系;グルテチミド;クロラール水和物;メプロバメート;セルトラリン(Zoloft、Lustral、Apo−Sertral、Asentra、Gladem、Serlift、Stimuloton);エスシタロプラム(Lexapro、Cipralex);フルオキセチン(Prozac、Sarafem、Fluctin、Fontex、Prodep、Fludep、Lovan);ベンラファキシン(Effexor XR、Efexor);シタロプラム(Celexa、Cipramil、Talohexane);パロキセチン(Paxil、Seroxat、Aropax);トラゾドン(Desyrel);アミトリプチリン(Elavil);およびブプロピオン(Wellbutrin、Zyban)が含まれる。
したがって、本発明の1つの態様はラノラジンおよび少なくとも1つの治療薬を含む組成物を提供する。代替の実施態様では、この組成物はラノラジンおよび少なくとも2つの治療薬を含む。さらなる代替の実施態様では、この組成物はラノラジンおよび少なくとも3つの治療薬、ラノラジンおよび少なくとも4つの治療薬、またはラノラジンおよび少なくとも5つの治療薬を含む。
本発明の別の態様は、急性心血管疾患事象および少なくとも1つのその他の疾患または症状を患う患者を処置するための方法を提供し、その方法は少なくとも1つの治療薬と組み合わされたラノラジンを患者に投与することを含む。代替の実施態様では、本発明は急性心血管疾患事象および少なくとも2つのその他の疾患または症状を患う患者を処置するための方法を提供し、その方法は少なくとも2つの治療薬と組み合わされたラノラジンを患者に投与することを含む。さらなる代替の実施態様では、本発明は急性心血管疾患事象および少なくとも3つのその他の疾患または症状を患う患者を処置するための方法を提供し、その方法は少なくとも3つの治療薬と組み合わされたラノラジンを患者に投与することを含む。さらなる代替の実施態様では、本発明は急性心血管疾患事象および少なくとも4つの疾患または症状を患う患者を処置するための方法を提供し、その方法は少なくとも4つの治療薬と組み合わされたラノラジンを患者に投与することを含む。なおさらなる代替の実施態様では、本発明は急性心血管疾患事象および少なくとも5つの疾患または症状を患う患者を処置するための方法を提供し、その方法は少なくとも5つの治療薬と組み合わされたラノラジンを患者に投与することを含む。
組み合わせ治療の方法には、ラノラジンおよび1つまたは複数の治療薬を含有する単一の処方物の同時投与、ラノラジンおよび1つまたは複数の治療薬を含む1を超える処方物の本質的に同時の投与、ならびにラノラジンおよび1つまたは複数の治療薬の、任意の順序の連続した投与を含み、ここでラノラジンおよび1つまたは複数の治療薬がその治療効果を同時に奏する期間があるのが好ましい。好ましくはラノラジンを本明細書に記載されるIV用処方物中で投与する。
以下の実施例は本発明を代表するものであるが、その請求の範囲を限定するように意図されるものではない。
実施例1
背景
非STE急性冠動脈症候群(NSTEACS)のために入院した後の再発性虚血は一般的であるが、現代の診療における短期間および長期間の心血管の結果に対するその関係性は十分には定義されていない。連続ECG(CECG)モニタリングは再発性虚血の感受性の高いマーカーである。
方法
2004年10月から2006年5月の間に、NSTEACSで入院した6560人の患者を新規抗虚血薬ラノラジンまたはプラセボに無作為化した。無作為化のときに、3リードCECGモニタリングを開始した(期間の中央値6.9日)。再発性虚血を、ベースラインからのST低下≧1mm、持続≧1分として定義した。提出時に3479人の患者のデータが利用可能であった。臨床追跡期間の中央値は436日であった。
結果
581/3479人の患者(16.7%)において再発性虚血が検出され、289人の患者(8.3%)が>2回エピソードを経験した。虚血エピソードを有した患者のうち、虚血の全期間の中央値は263分であった。虚血のない患者と比較して、ST低下を有する患者は、死亡/心筋梗塞(MI)の率が高く(エピソード>2回、1−2回および0回の患者に関して、各々25.7%対16%対8.6%、p<0.0001)、そして死亡は単独では、は無作為化後最初の7日間に事象を有する患者を除外した場合に類似のパターンを有した(p<0.0001)(図1参照)。高齢の患者(>75歳)はCECGで虚血を有する可能性がさらに高かった(24.7対15.3%、p<0.05)が、診断指標による差異はなかった(NSTEMIに関して18.1%対UAに関して15.5%)。
結論
NSTEACSを有する患者における連続虚血モニタリングのこの大規模研究では、虚血は短期間および長期間死亡率およびMIに強く関連した。
実施例2
ラノラジン注射の20mL1型フリントバイアルを20mL送達用に充填した(ラノラジン濃度1、5または25mg/mL)。
組成:
ラノラジン 1.0、5.0、25.0mg/mL
デキストロース一水和物 55.0、52.0、36.0mg/mL
塩酸 適量pH4.0±0.2まで
水酸化ナトリウム 適量pH4.0±0.2まで
注射用水 適量
容器/密封方式:
バイアル:1型フリント、20cc、20mm仕上げ
栓:ゴム、20mm、West4432/50、グレーブチル、テフロン(登録商標)コーティング
シール:アルミニウム、20mm、フリップトップオーバーシール
製造の方法
以下のような無菌的充填方法によりラノラジンの静脈内用処方物を製造する。適当な容器中、必要量のデキストロース一水和物を最終バッチ重量の約78%の注射用水(WFI)に溶解した。攪拌を続けながら、必要量のラノラジンをデキストロース溶液に添加した。ラノラジンの溶解を促すために、0.1Nまたは1.0N HCl溶液で溶液のpHを目標3.88−3.92に調整した。加えて、溶液を目標pH3.88−3.92にさらに調整するために1N NaOHを利用していてもよい。ラノラジンが溶解した後、バッチをWFIで最終重量に調整した。製造過程の仕様が合致していることを確認したときに、ラノラジン処方物バルク溶液を2つの0.2μm滅菌フィルターを通す滅菌ろ過により滅菌した。続いて、滅菌ラノラジン処方物バルク溶液を滅菌ガラスバイアルに充填し、そして滅菌栓で無菌的に栓をした。次いで栓をされたバイアルを清浄なフリップトップアルミニウムオーバーシールで密封した。次いでバイアルを最終検査に通した。
実施例3
ラノラジン注射の20mL1型フリントバイアルを20mL送達用に充填した(濃度25mg/mL)。
組成:
ラノラジン 25.0mg/mL
デキストロース一水和物 36.0mg/mL
塩酸 pH3.3−4.7に調整
注射用水 適量
容器/密封方式:
バイアル:1型チューブ、未処理、20mL、20mm仕上げ
栓:ゴム、20mm、West4432/50、グレーブチル
シール:アルミニウム、20mm、ブルーフリップオフオーバーシール。
製造の方法
最終バッチ重量の約90%の注射用水(WFI)を適当な容器に入れた。必要量の約90−95%の5N HClを配合容器に添加する。攪拌を続けながら、必要量のラノラジンをゆっくりと添加し、続いてデキストロース一水和物をラノラジン溶液に添加する。ラノラジンを可溶化するために、5N HCl溶液で溶液pHを目標の3.9−4.1に調整する。続いてバッチをWFIで最終重量に調整する。製造過程の仕様が合致していることを確認したときに、ラノラジン処方物バルク溶液を2つの余剰の0.22μm滅菌フィルターを通すろ過により滅菌する。次いで滅菌ラノラジン処方物バルク溶液を20mL滅菌/脱パイロジェン化されたガラスバイアルに充填し、そして無菌的に滅菌/脱パイロジェン化された栓で栓をする。栓をされたバイアルを清浄なフリップトップアルミニウムオーバーシールで密封する。密封されたバイアルを最後に有効な最終滅菌サイクルにより121.1℃で30分間滅菌する。最終滅菌過程の後、バイアルを最終検査に通す。薬剤生成物を光から保護するために、バイアルを個々にダンボール箱に包装する。
実施例4
糖尿病またはメタボリックシンドロームを有する非ST上昇型急性冠動脈症候群(NSTEACS)を示す患者
背景
非ST上昇型急性冠動脈症候群(NSTEACS)で入院した患者の臨床試験から得られたデータを評価して、また糖尿病および/またはメタボリックシンドロームを患うこれらの患者の有病率および転帰を決定した。患者を血糖パラメータの改善に関連しているラノラジンで処置する。米国特許出願公開第2004/0063717号として公開された米国特許出願第10/443314号(その全てを本明細書中に参考として援用する)を参照されたい。
方法
MERLIN−TIMI36で無作為化された、NSTEACSを示す6560人の患者をプラセボまたは抗虚血薬ラノラジン(これはまた血糖パラメータの改善に関連している)のいずれかで処置した。臨床追跡期間の中央値は12か月であった。メタボリックシンドロームは以下のうちのいずれか3つを有するとして定義された:1)胴囲≧102cm(男性)および≧88cm(女性)、2)トリグリセリド(TG)≧150mg/dLまたはTG上昇のための薬物処置、3)高密度リポタンパク質(HDL)<40mg/dL(男性)および<50mg/dL(女性)、またはHDL低下のための薬物処置、4)収縮期血圧(SBP)≧130mmHgもしくは拡張期血圧(DBP)≧85mmHgまたは高血圧のための薬物処置、ならびに5)空腹時グルコース>100mg/dL。
結果
無作為化時に全患者のうち2191人(33.4%)が真性糖尿病(DM)と診断され、そして2628人(40.1%)の患者がメタボリックシンドロームを有した。DMおよびメタボリックシンドロームを有する患者が女性である可能性がより高く、そして冠動脈疾患が分かっており、そして発症時にTIMIリスクスコアが高かったが、NSTEMIの診断指標を有する可能性は低かった(DMに関して44.8%対メタボリックシンドロームに関して51.2%対診断なしに関して62.8%、p<0.001)。血行再建率は全群間で類似した(40.4%対39.7%対37.4%、p=0.11)。重症の再発性虚血、心筋梗塞および心血管死亡のリスクは、DMを有する患者で最高リスク、続いてメタボリックシンドロームを有する患者、そして次にいずれもない患者で最低のリスクで段階的に増加した(図2)。
結論
メタボリックシンドロームおよび糖尿病はNSTEACSを示す患者の中で一般的であり、そして心血管リスクを増大させる。
実施例5
非ST上昇型急性冠動脈症候群で入院した患者におけるベースライン臨床リスクおよび連続ECG(CECG)モニタリングで検出されるような再発性虚血
背景
NSTEACSに関するTIMIリスクスコア(TRS)と連続ECG(CECG)モニタリングで検出される続発性虚血との間の関連性を評価し、そしてラノラジンがこの関係性に影響を及ぼすかどうかを決定する。
方法
MERLIN−TIMI36によりNSTEACSを示す6560人の患者を抗虚血薬ラノラジンまたはプラセボに無作為化した。臨床追跡期間の中央値は12か月であった。無作為化のときに、3リードCECGモニタリングを開始した(期間の中央値6.9日)。CECGにおける再発性虚血を、ベースラインからのST低下>1mm、持続>1分と定義した。TRSは提示する7つの特徴:1)年齢>65歳、2)心臓リスク因子>3、3)確認された冠動脈疾患、4)最近の重症の狭心症、5)ST偏差>0.5mm、6)心臓マーカー上昇、および7)アスピリン使用前歴;の合計として計算され、そして低(0−2)、中(3−4)、または高(>4)リスクに分類される。
結果
予備段階の結果により、全体で30.9%が低リスク(TRS0−2)であり、52.3%が中リスクTRS(3−4)であり、そして16.8%が高リスク(TRS5−7)であったことが示される。1195/6288人(19.0%)の患者においてCECGで虚血が検出され、610人(9.7%)がエピソード>2回を経験した。高TRSを有する患者はさらに任意の虚血エピソード(低TRSで12.9%対中TRSで18.7%対高TRSで31.1%、p<0.001)およびエピソード>2回(5.3%対9.9%対17.3%、p<0.001)を経験する可能性がより高かった。図3を参照されたい。虚血を経験した患者のうち、高TRSの患者は虚血の全持続時間がより長かった(63.4対105対118.5分)。各リスクカテゴリーのうち、CECGで検出された虚血は心血管転帰の悪化に関連した。
結論
CECGで検出されるような再発性虚血はTRSにより決定されるような高い臨床リスクを有する患者の中でさらに高頻度であった。類似のベースラインTRSカテゴリーを有する患者の中でさえ、CECGでの再発性虚血の続発性の発症は長期間の心血管転帰の悪化に関連した。
実施例6
MERLIN−TIMI36の結果
MERLIN−TIMI36研究の結果をここに提示する。
MERLIN−TIMI36研究は以下の表1にて示される登録を有した。
表1
MERLIN−TIMI36:登録
患者
2485人 東欧
2973人 西欧(イスラエルおよび南アフリカを含む)
1102人 北米
720人 アメリカ合衆国
382人 カナダ
研究期間
最初の患者無作為化:2004年10月8日
最後の患者完了:2007年2月14日
平均全追跡時間
プラセボ:347日
ラノラジン346日。
研究の終わりに6560人の患者が無作為化されており、そして以下の表2にて示されるように従った。
6560人の患者に関するデモグラフィックス/ベースライン特徴を以下の表3に示す。
MERLIN−TIMI36患者の心血管疾患歴は以下の表4、5および6である。
MERLIN−TIMI36研究における患者は以下の表7に示されるTIMIリスク因子を有することが見出された。
MERLIN−TIMI36研究における患者は以下の表8に示される適格指標事象を有することが見出された。
MERLIN−TIMI36研究における患者に以下の表9に示されるようなIV速度または最終経口用量(mg)でプラセボまたはラノラジンのいずれかのIV、IV+経口または経口投薬量を与えた。
MERLIN−TIMI36研究に関する治療意図に基づく解析(ITT)および安全性分析データを以下の表10に示す。
MERLIN−TIMI36の主要有効性評価項目(ITT)、無作為化から心血管死亡、心筋梗塞または再発性虚血の最初の発症までの時間のデータを以下の表11(ならびに図4および5)に示す。
MERLIN−TIMI36の主な副次的有効性評価項目(ITT)、無作為化から心血管死亡、心筋梗塞または重症の再発性虚血の最初の発症までの時間のデータを以下の表12(ならびに図6および7)に示す。
MERLIN−TIMI36における副次的有効性評価項目(ITT)の検定に関するp値を以下の表13に示す。
MERLIN−TIMI36からの副次的有効性評価項目、無作為化から治療の失敗(心血管死亡、心筋虚血、再発性虚血、虚血に関するホルター陽性、新たな/悪化した心不全または早期+ETT)までの時間のデータを以下の表14(ならびに図8および9)に示す。
MERLIN−TIMI36からの副次的有効性評価項目(ITT)、30日での心血管死亡、心筋梗塞、重症の再発性虚血の発生率、または虚血に関してホルター陽性のデータを以下の表15に示す。
MERLIN−TIMI36副次的有効性評価項目(ITT)、4か月での狭心症頻度スケールに関するシアトル狭心症質問票スコアを以下の表16で示し、そして身体的制約スケールに関するスコアを以下の表17で示す。
MERLIN−TIMI36研究からの8か月、または早ければ最終の来診でのETT(トレッドミル運動負荷試験)に関する運動持続時間データを以下の表18に示す。
MERLIN−TIMI36からの無作為化と72時間との間のホルターにおける虚血の全持続時間(分)に関するデータを以下の表19に示す。
MERLIN−TIMI36からの無作為化から心血管死亡または心筋梗塞の最初の発症までの時間に関するデータを以下の表20に示す。サブグループによるCV死亡、MIまたは再発性虚血の相対リスクに関しては図10を参照されたい。サブグループによるCV死亡、MIまたは重症の再発性虚血の相対リスクに関しては図11を参照されたい。サブグループによる治療の失敗の相対リスクに関しては図12を参照されたい。
MERLIN−TIMI36からの無作為化から任意の原因からの死亡までの時間に関する安全性評価項目データを以下の表21に示す(無作為化から全ての原因の死亡までの時間に関しては図13、および全ての原因の死亡に関する累積ハザード比に関しては図14を参照されたい)。
MERLIN−TIMI36からの症状が確認された不整脈の発生率に関する安全性評価項目データを以下の表22に示す。
MERLIN−TIMI36からの無作為化から死亡または心血管入院の最初の発生までの時間に関する安全性評価項目データ(投与された全患者)を以下の表23に示す
MERLIN−TIMI36からの7日ホルターモニタリングの間の臨床上有意な不整脈の発生率に関する安全性評価項目データを以下の表24に示す。
MERLIN−TIMI36からの有害事象の概要(安全性−投与された全患者)を以下の表25に示す。
MERLIN−TIMI36からの有害事象の概要(発生率>4%)に関するデータ(安全性−投与された全患者)を以下の表26に示す。
MERLIN−TIMI36からの重症の有害事象(発生率≧1%)に関するデータ(安全性−投与された全患者)を以下の表27に示す。
MERLIN−TIMI36研究におけるHbA1C≧7%を有する患者の比率を以下の表28に示す(そして図15を参照されたい)。
MERLIN−TIMI36研究の間の種々の時間にHbA1C≧7%を有する患者(糖尿病あり、または糖尿病なし)の比率を以下の表29(および図16)に示す。
研究により、狭心症を含む心臓症状、および7%以上のグリコシル化ヘモグロビンレベルもまた有する患者がラノラジン投与時に双方の症状(すなわち心臓症状および糖尿病)に陽性に応答したと考えられる。
実施例7
非ST上昇型急性冠動脈症候群を有する患者における再発性心血管事象に及ぼす新規抗虚血薬ラノラジンの影響
背景
標準的な治療を受けている非ST上昇型ACSの患者の長期間処置の間のラノラジンの有効性および安全性を決定する。非ST上昇型急性冠動脈症候群(ACS)は、心筋の酸素供給および要求における不均衡の原因となり得る複数の可能な病因を有する異質性の症状であり、細胞恒常性の崩壊および心筋細胞エネルギー貯蔵の枯渇を招く。抗血栓治療、冠血管血行再建およびその他の予防的治療の進歩にもかかわらず、この集団において、とりわけ真性糖尿病、STセグメント低下または高TIMIリスクスコアのような高リスクの指標を有するものの中では再発性事象のリスクは依然高いままである。
方法
2004年10月から2006年5月の間に、NSTEACSで入院した6560人の患者を新規抗虚血薬ラノラジンまたはプラセボに無作為化した。無作為化のときに、患者を1:1の比率でラノラジンまたはプラセボのいずれかに割り当てた(図17参照)。薬物の静脈内送達を開始し、そして1時間にわたって200mgで静脈内に投与し、続いて80mg/時で静脈内注入し、それをクレアチニンクリアランスの推定値<30mL/分の患者には40mg/時まで減じ、そして12から96時間続けた。注入の完了時に被験薬物療法(ラノラジンERまたは適合するプラセボ)を1000mg1日2回の用量で研究の終わりまで続けた(約12か月)。
結果
主要評価項目はラノラジン群の696人(21.8%)の患者およびプラセボ群の753人(23.5%)の患者において発症した(HR 0.92;95%CI 0.83−1.02、P=0.11)。ラノラジンを割り当てた338人(10.4%)の患者、およびプラセボに割り当てた343人(10.5%)の患者において、心血管死亡またはMIの複合が発生した(HR 0.99;95%CI 0.85−1.15、P=0.87)。(図18参照、主要評価項目のカプラン・マイヤー推定率[図18A、心血管死亡、MIまたは再発性虚血]、心血管死亡またはMI[図18B]、および再発性虚血[図18C])。再発性虚血はラノラジン(13.9%)において、プラセボ群と比較して有意に低減された(16.1%;HR 0.87;95%CI 0.76−0.99、P=0.030)。症状が実証された不整脈はラノラジン(3.0%)およびプラセボ(3.1%)群間で異ならなかった(P=0.84)。ラノラジンでの全死亡率はプラセボ群と比較して差異はなかった(HR 0.99;95%CI 0.80−1.22;P=0.91)(図19参照、種々のサブグループでプラセボ群と比較した、ラノラジン群における主要評価項目に関するカプラン・マイヤー事象推定値率(12か月)およびハザード比。アスタリスクを記されたこれらのサブグループはp<0.0497レベルで有意であった。しかしながら、統計的な相互作用の決定的な証拠は示されない)。
結論
ACSに関する標準的な処置に対するラノラジンの付加は主要な心血管事象を低減させるのに有意に有効ではなかった。確立された冠動脈疾患を有するこの広範な集団における好ましい全体的な安全性を伴って観察された再発性虚血の低減により、抗狭心症治療としてのラノラジンの使用を導くさらなる証拠が提供される。ラノラジンは無作為化後最初の7日間でのホルター記録により検出された不整脈の頻度の有意な低減に関連した。
MERLIN−TIMI36研究からのさらなる知見を付属書類Bで提示し、その全体は本明細書中に参考として援用される。
実施例8
頻脈性不整脈の発生に及ぼす電気生理学的特性を有する新規抗狭心症薬ラノラジンの影響:MERLIN−TIMI36無作為化比較試験からの結果
背景
ラノラジンは心臓再分極の間の内向きのナトリウム流の遅延相を阻害し、結果的に細胞内ナトリウムおよびカルシウム過負荷を低減させることによると提唱される新規メカニズムにより、冠動脈疾患を有する患者における虚血を低減させる。細胞内カルシウムの増大により、機械的および電気的の双方の筋細胞興奮に至る。QTc間隔の延長(2−5ミリ秒)にもかかわらず、ラノラジンは動物モデルにおける早期後脱分極のような不整脈誘発性の基質を低減させる。しかしながらラノラジンの潜在的な抗不整脈作用は未だにヒトにおいて評価されていなかった。
方法
MERLIN−TIMI36試験は非ST上昇型急性冠動脈症候群で入院した6560人の患者を標準的な医学療法に加えてラノラジンまたはプラセボに無作為化した。無作為化の後最初の7日間に連続ECG(ホルター)記録を実施した。ラノラジンでのQT間隔の延長は知られていたので、予め指定された一連の不整脈の分析が試験の主要な目的であった。TIMI ECGコアラボラトリーで心臓専門医により全ての不整脈が処置および転帰に対して盲検で評価された。
結果
MERLIN−TIMI36における6560人の患者のうち、6351人の患者(97%)が不整脈分析に有効なホルター記録を有した。ラノラジンでの処置の結果、プラセボと比較して頻脈性不整脈の率が有意に低下した(以下の表の上半分で示す)。
具体的には少数の患者が≧8拍持続する心室性不整脈のエピソード(175人[5.5%]対277人[8/7%]、p<0.001)(図20参照)、上室性頻脈(1413人[43.2%]対1752人[53.5%]、p<0.001)または新たな心房細動発症(55人[1.7%]対75人[2.3%]、p=0.09)を有した。加えて、休止≧3秒(97人[3.1%]対136人[4.3%]、p=0.01)および徐脈<45bpmはラノラジンで頻度が低かった(前記表の下半分で示す)。臨床で報告された突然の心臓死もまたラノラジンに割り付けられた群で数値的に低かった(56対65、p=0.43)。
結論
ナトリウム流の遅延相の阻害剤であるラノラジンは、ACSでの入院の後、最初の週の連続ECGモニタリングにより評価されるように抗不整脈効果を有すると思われる。
MERLIN−TIMI36における6560人の患者のうち、NST上昇型心筋梗塞後のcECGモニタリングで検出された心室性頻脈性不整脈の発生率を以下の表に示す。
MERLIN−TIMI36試験における心室性頻脈の発生率を以下の表に示す。
MERLIN−TIMI36試験の患者のサブグループにおける>8拍の心室性頻脈の発生を以下の2つの表に示す。
実施例9
非STセグメント上昇型急性冠動脈症候群後の不整脈の発生に及ぼす電気生理学的特性を有する新規抗狭心症薬ラノラジンの影響:
MERLIN−TIMI36無作為化臨床試験からの結果
背景
ラノラジンは心臓再分極の間の内向きのナトリウム流の遅延相を阻害し、結果的に細胞内ナトリウムおよびカルシウム過負荷を低減させることにより虚血を低減させる。細胞内カルシウムの増大により、機械的および電気的の双方の筋細胞興奮に至る。ラノラジンは
不整脈誘発性の基質を低減させ、そして例えば動物モデルにおける早期後脱分極を誘発する。
方法
MERLIN−TIMI36試験は非ST上昇型急性冠動脈症候群で入院した6560人の患者を標準的な治療に加えてラノラジンまたはプラセボに無作為化した。無作為化の後、最初の7日間に連続ECG(cECGまたはホルター)記録を実施した。コアラボラトリーにより処置および転帰に対して盲検で予め指定された不整脈の分析を評価した。
結果
MERLIN−TIMI36における6560人の患者のうち、6351人の患者(97%)が不整脈分析に有効なcECG記録を有した。ラノラジンでの処置の結果、不整脈の率が有意に低下した。具体的にはより少数の患者が>8拍持続する心室性頻脈のエピソード(166人[5.3%]対265人[8.3%]、p<0.001)、上室性頻脈(1413人[44.7%]対1752人[55.0%]、p<0.001)または新たな心房細動発症(55人[1.7%]対75人[2.4%]、p=0.08)を有した。加えて、休止>3秒もまたラノラジンで頻度が低かった(97人[3.1%]対136人[4.3%]、p=0.01)。
結論
非ST上昇型急性冠動脈症候群で入院した6300人を超える患者において、ラノラジンでの処置の結果、心室性頻脈、上室性頻脈および有意な心室休止の率の有意な低下に至った。
MERLIN−TIMI36研究からのさらなる知見を付属書類Aで提示し、その全体は本明細書中に参考として援用される。
実施例10
MERLIN−TIMI36無作為化比較試験における高血糖に及ぼすラノラジンの影響
背景
急性冠動脈症候群(ACS)における無作為化二重盲検プラセボ比較試験の一部として高血糖に及ぼすラノラジンの影響の予測評価。
方法
HbA1c(%)および高血糖悪化の発症(HbA1c>1%増大)までの時間を比較するために、MERLIN−TIMI36は非ST上昇型ACS有する患者をラノラジンまたはプラセボに無作為化した。HbA1cデータは最小二乗平均として報告される。「糖尿病」として分類された患者は無作為化の前または無作為化のときに糖尿病として診断されていた。「糖尿病なし」として分類された患者は無作為化の前または無作為化のときに糖尿病として診断されていなかった。「糖尿病なし」として特徴付けされた幾人かの患者が試験の間に「糖尿病」として診断されていることもあるが;しかしながらこれらの患者は図4Bでは依然「糖尿病なし」のカテゴリーに列挙されている。
結果
連続測定された4306人の患者の中で、ラノラジンはプラセボと比較して4か月でHbA1cを有意に低減させた(5.9%対6.2%、ベースラインからの変化−0.30対−0.04、p=0.001)。ラノラジンで処置されたDMを有する患者では、HbA1cは7.2から6.8まで低下した(Δ−0.64、p<0.001、図21A参照)。このように、DMを有する患者は、ラノラジンで処置した場合、プラセボに対して、4か月でHbA1c<7%を達成する可能性がさらに有意に高かった(59%対49%、p<0.001)。加えて、追跡の1年までの高血糖の悪化はラノラジンで処置された糖尿病患者において可能性がより低かった(14.2%対20.6%;HR 0.63;95%CI 0.51、0.77、p<0.001)。顕著には、無作為化またはベースラインでDMを有さない患者(空腹時グルコース<100mg/dLおよびHbA1c<6%)では、新たな空腹時グルコース>110mg/dLまたはHbA1c≧6%の発生率もまたラノラジンにより低減された(31.8%対41.2%;HR 0.68;95%CI 0.53、0.88;p=0.003;図21B参照)。DMを有する患者において報告された低血糖は処置群間で類似した(3%対3%)。
結論
ラノラジンはDMを有する患者におけるHbA1cを有意に改善し、そして以前に高血糖の証拠を有さなかったものにおけるHbA1cの新たな増大の発生率を低減させた。
実施例11
MERLIN−TIMI36における非ST上昇型急性冠動脈症候群を有する女性におけるラノラジンの有効性および安全性
背景
心血管疾患の病理学的基盤、そしてしたがって医学療法に対する応答は女性と男性の間で異なり得る。先の研究では、性別に基づく処置の差異がラノラジンで観察され、女性において効果が減じられる可能性があった。加えて、非ST上昇型ACS(NSTE ACS)の後、女性が男性に類似するかまたは男性よりもさらに好ましい転帰を有し得ることが提唱されている。
方法
MERLIN−TIMI36研究では、ラノラジンまたはプラセボに無作為化されたNSTE ACSを有する女性の特徴および臨床転帰を1年間にわたって研究した。
結果
男性(N=4269)と比較して、女性(N=2291)は高齢であり、そして糖尿病、高血圧、心不全の既往および狭心症の既往の率が高かった(各々に関してP<0.001)。発症時に、女性は男性よりもST低下≧0.1mV(40.9対32.0%、P<0.001)およびBNP上昇(47.0対40.2%、P<0.001)を有する可能性がさらに高く、また女性が心外膜CAD(血管造影図で狭窄なし:19.4対8.6%、P<0.001)またはトロポニン上昇(57.1対68.9%、P<0.001)の証拠を有する可能性は低かった。これらの差異にかかわらず、女性および男性はCV死亡、MIまたは再発性虚血の主要評価項目に関してリスクは類似していた(調整HR(女性:男性)1.06、95%CI 0.96−1.18)。全体的な研究分析では主な心血管評価項目では影響はなかったが、予備解析によりラノラジンの抗狭心症効果に関する証拠が提供された。ラノラジンでの処置は女性における再発性虚血の低減により推進される狭心症の悪化の有意な低減に関連した(1年発生率3.9対6.8%、HR 0.61、95%CI 0.42−0.89、P=0.01)(図22参照)。症状が実証された不整脈ではラノラジン対プラセボで処置された女性において差異は観察されなかった(2.6対2.6%、P=0.95)。
結論
ACSに一致する臨床症候群を有する女性は男性よりも閉塞性心外膜CADを有する可能性が低かったが、再発性虚血を含むCV事象のリスクは類似した。
実施例12
心筋トロポニンIに関する新しい超感受性アッセイを用いた心筋トロポニンの低レベルの上昇の予後的意味:
MERLIN−TIMI36試験からの結果
背景
現在の推奨は、対照集団の99パーセンタイルでのトロポニンに関するカットポイントを用いて心筋梗塞(MI)を定義する。新しいさらに感受性の高いアッセイの利用により、ますます低濃度のトロポニンの検出が可能になっており、かかる非常に低レベルの増大の臨床的関連性に関して問題が提起されている。
方法
MERLIN−TIMI36試験でラノラジンまたはプラセボに無作為化された非ST上昇型急性冠動脈症候群(NSTE−ACS)が疑われる4513人の患者においてベースラインで近頃利用可能になった新世代アッセイ(TnI−Ultra、Siemens Medical Solutions)を用いて血清心筋トロポニンI(cTnI)レベルを測定した。99パーセンタイル(0.04μg/L)の決定限界、およびCK−MB(1.5mg/mL)に相対したWHOカットポイントを用いて患者を階層化した。
結果
cTnIベースライン濃度≧0.04μg/L(N=2924)を有する患者は陰性のcTnI結果を有する患者よりも30日での死亡/MIで高リスクであった(6.1対2.0%、p<0.001)。NSTE−ACSに関するTIMIリスクスコアの全てのその他のエレメントに関して調整した後、ベースラインcTnI≧0.04μg/Lは30日での死亡/MIで3.0倍の高リスクに関連した(95%CI 2.0−4.4、p<0.001)。さらに、新しい新世代アッセイで検出可能な非常に低レベルのcTnI増大(0.04−<0.1μg/L)を伴うこれらの患者は、上昇のない患者よりも30日での死亡/MIで有意に高リスクであり(5.0対2.0%、p=0.001)、そしてcTnI≧0.1μg/Lである患者よりもやや低い(6.2%)。この有意な関係は1年間持続した(図23参照)。cTnIの上昇を伴う患者と伴わない患者との間で、プラセボと比較してラノラジンの効果における異質性に関する証拠はなかった。
結論
新しい高度に感受性のアッセイを用いてcTnIにおける低レベルの増大により、死亡またはMIのリスクが有意に増大した患者を同定する。これらの知見はMIを定義するAHA/ACC推奨の現代の進化、およびNSTE−ACSが疑われる高リスク患者の同定における新しいさらに感受性の高いアッセイの価値の上昇を支持する。
実施例13
MERLIN−TIMI36試験における非ST上昇型急性冠動脈症候群を有する患者におけるベースライン臨床リスクおよび連続ECG(CECG)モニタリングで検出されるような再発性虚血
背景
本研究はNSTEACS(US/NSTEMI)に関するTIMIリスクスコア(TRS)とCECGモニタリングで検出された続発性虚血との間の関連性を評価した。
方法
MERLIN−TIMI36研究はNSTEACSを有する6560人の患者を抗虚血薬ラノラジンまたはプラセボに無作為化した。臨床追跡期間の中央値はおよそ12か月であった。無作為化のときに、3リードCECGモニタリングを開始した(中央値6.9日間)。再発性虚血はCECGで、ST低下≧1mm、持続≧1分間として定義された。TRSは提示する7つの特徴(年齢≧65歳、心臓リスク因子≧3、実証されたCAD、最近の重症の狭心症、ST偏差≧5mm、心臓マーカー上昇、ASA使用の前歴)の合計として計算され、そして低(0−2)、中(3−4)または高(>4)として分類された。
結果
全部で30.2%の患者が低リスク(TRS0−2)、52.5%が中リスクTRS(3−4)、そして17.3%が高リスク(TRS5−7)であった。1239人/6355人(19.5%)の患者においてCECGで虚血が検出され、633人(10.0%)がエピソード>2回を経験した。高TRSの患者は任意の虚血エピソード(低TRSで13.5%対、中TRSで19.1%、対高TRSで31.1%、p<0.001)およびエピソード>2回(5.5%対10.1%対17.3%、p<0.001)を経験する可能性がさらに高かった。虚血を経験した患者の中で高TRSを有したものは虚血の全持続時間が長かった(66.5対102.3対115.5分、p<0.001)。全体および各TRSリスクカテゴリー内で、CECGで検出された虚血はCV転帰の悪化に関連した(図24参照)。
結論
CECGで検出された再発性虚血は、TRSにより決定されるような高い臨床リスクを有する患者の中でさらに頻度が高かった。TRSによる類似のベースラインリスクを有する患者の中でさえ、CECGでの続発性再発性虚血が長期間心血管結果の悪化に関連した。
実施例14
MERLIN−TIMI36試験でラノラジンは非ST上昇型ACSを有する患者において連続ECG(ホルター)で検出されるような虚血を低減させる
背景
非STEACSのための入院の後の再発性虚血は一般的であり、そして不良転帰に関連する。慢性CADを有する患者では、新規抗狭心症薬ラノラジンは症状を改善し、そしてストレス試験の間のST低下までの時間を遅延させる。連続ECG(CECG)モニタリングは再発性虚血の感受性の高いマーカーである。
方法
MERLIN−TIMI36試験では、NSTEACSで入院した6560人の患者をラノラジンまたはプラセボに無作為化した。無作為化のときに、6355人の患者(99%)が3リードCECGモニタリングを開始した(持続時間の中央値6.9日間)。CECG主要評価項目はベースラインからのST低下≧1mm、持続≧1分、発症時の心拍数<100bpmの率であった。ST低下≧0.5mmを用いて予備解析をも実施した。
結果
ラノラジンはプラセボと比較して全7日間の記録を通してCECG主要評価項目の率を低減させなかった(19.2対20.5%、RR 0.03、p=0.18)が、無作為化後>72時間の事象を低減させた(11.6対13.6%、RR 0.86、p=0.02)。しかしながら低虚血閾値0.5mmを用いた場合、ラノラジンは事象を低減させた(22.9対25.1、RR 0.91、p=0.039)。この効果は虚血発症時のHRにかかわらず一致したが、低減はHRの上昇でさらに顕著であると思われた(図25参照)。
結論
新規抗狭心症薬ラノラジンは、虚血に関してさらに感受性の高いECGカットポイントを用いてNSTEACSを有する患者においてCECGにより検出されるような、とりわけ無作為化の後数日間の虚血の率、およびHR増大で開始したエピソードを低減させるようであった。これはラノラジンの最大抗狭心症効果が「要求関連」の虚血を減じることになり得ることを示唆している。
付属書類A
非ST上昇型急性冠動脈症候群を有する患者における、新規の抗虚血剤であるラノラジンの再発性心血管事象に対する効果
短い表題:非ST上昇型急性冠動脈症候群におけるラノラジン
非ST上昇型急性冠動脈症候群(MERLIN)−TIMI36調査におけるより軽度の虚血のための、ラノラジンを用いる代謝効率
要旨
背景:ラノラジンは、慢性狭心症を有する患者における虚血を低減させるが、急性冠動脈症候群(ACS)を有する患者においては研究されておらず、また主要な心血管事象の副次的な防止についても研究されていない、新規の抗狭心症剤である。
目的 標準的な処置を受けている非ST上昇型ACSを有する患者の長期間の処置の間のラノラジンの有効性および安全性を決定すること。
設計、設定、および患者 6560人の患者の無作為化、二重盲検、プラセボコントロール、多国籍の臨床治験、ラノラジン(ラノラジンの静脈内投与で開始し、その後1000mgを一日に2回のラノラジンERの経口投与)またそれに匹敵するプラセボを用いて48時間以内の虚血性症候群の処置、MERLIN−TIMI36治験で348日間(中央値)にわたって追跡調査。
主要な結果の測定 研究の終了までの間の主要な評価項目は、心血管死亡、心筋梗塞(MI)、または再発性虚血であった。主要な安全性評価項目は、任意の原因に起因する死亡、および症状が確認された不整脈であった。
結果 主要な評価項目は、ラノラジン群の696人(21.8%)の患者、およびプラセボ群の753人(23.5%)の患者において発生した(HR 0.92;95% CI 0.83−1.02、P=0.11)。心血管死亡またはMIの複合は、ラノラジンを割り当てた338人(10.4%)の患者およびプラセボを割り当てた343人(10.5%)の患者において発生した。再発性虚血は、プラセボ群と比較してラノラジン群(13.9%)で有意に減少した(16.1%;HR 0.87;95% CI 0.76−0.99、P=0.030)。症状が確認された不整脈は、ラノラジン群(3.0%)とプラセボ群(3.1%)とで違いは見られなかった(HR 0.99;95% CI 0.80−1.22、P=0.91)。
結論 ACSのための標準的な処置へのラノラジンの追加は、主要な心血管事象の低減に有効ではなかった。確定した冠動脈疾患を有する広範な集団において、全体的に好ましい安全性を伴って再発性虚血の低減が観察されたことは、抗狭心症剤としてのラノラジンの使用のためにさらなる証拠を与える。
(ClinicalTrail.gov.number,NCT 0099788)
ワード数:300(JAMAに対して最大300)
キーワード:心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈疾患、心筋虚血。
非ST上昇型急性冠動脈症候群(ACS)は心筋の酸素供給および要求における不均衡の原因となり得る複数の可能な病因を有する異質性の症状であり、細胞恒常性の崩壊および心筋細胞エネルギー貯蔵の枯渇を招く。この症候群の現在の緊急的な管理は、心筋酸素要求を低減させるためのインターベンションと組み合わせた、制限された血流の冠状動脈血栓の低減、根底にある閉塞性アテローム性動脈硬化症の血行再建を介する、心筋酸素供給の改善に主に向けられている。慢性的な処置は、さらなる主要血管事象の防止、および再発性虚血症状の低減の2つを目的としている。抗血栓治療、冠血管血行再建およびその他の予防的治療の進歩にもかかわらず、この集団において、とりわけ真性糖尿病、STセグメント低下または高TIMIリスクスコアのような高リスクの指標を有するものの中では再発性事象のリスクは依然高いままである
ラノラジンは、心拍数または血圧へ臨床的に顕著な影響を与えることなく抗虚血作用を発揮するピペラジン誘導体である5,6。臨床的に関連する濃度では、ラノラジンは心臓ナトリウム電流(後期INa)の不活性化成分の阻害剤であり、心筋虚血を伴い、かつ促進させ得る細胞内ナトリウムおよびカルシウムの過剰負荷に関連する有害な効果を低減させ得る7,8。ラノラジンは、慢性狭心症を有する患者に対する抗狭心症剤であるが、ACSを有する患者においては研究されておらず、また確立した冠動脈疾患を有する患者における主要な心血管事象の副次的な防止についても研究されていない。ラノラジンとQT間隔の延長との間の相関性のために、冠動脈疾患を有する患者におけるその使用の指針とするためのさらなる安全性のデータに対する必要性が存在する。非ST上昇型急性冠動脈症候群(MERLIN)−TIMI36治験において、より低減された虚血のためにラノラジンでの代謝効率を設計して、標準治療を受けているACSを有する中程度から高度のリスクの患者において、短期間および長期間に、心血管死亡、心筋梗塞、または再発性虚血を低減させるために、新規のインターベンションとしてのラノラジンの有効性および安全性を評価した。
方法
患者集団
2004年10月8日〜2006年5月24日に、17国の440地点で6560人の患者(図1)を無作為化した(付録を参照)。研究設計の詳細はすでに公表されている。望ましい患者は、少なくとも18歳以上であり、少なくとも10分間持続し、かつ48時間以内に存在する、休息時心筋虚血に合致する症状を有し、中程度〜高度のリスクの死亡または再発性虚血事象の、以下のうちの少なくとも一つの指標を有する患者であった:壊死のバイオマーカーの上昇、ST低下0.1mV、糖尿病、または不安定狭心症/非ST上昇型MIに対する高いTIMIリスク。患者は、以下の主要な除外基準を有する場合、不適格となった:心臓性ショック、持続的なSTセグメントの上昇、無作為化の前の責任狭窄の血管再建の成功、臨床的に有意な肝臓疾患、透析を必要とする末期の腎臓疾患、QT間隔を延長させるための公知の薬剤による治療、虚血のためのホルターモニタリングの解析を妨害するECGの異常、または12カ月未満の余命。プロトコールはすべての会場で治験審査委員会により認可された。書面によるインフォームド・コンセントをすべての患者から得た。
研究プロトコール
上記プロトコールは、患者が非ST上昇型ACSのための標準治療および副次的な予防を受けることを明記した。無作為化の際に宣言された、担当医の意図した初期管理ストラレジー(初期侵襲的対保存的)に従う階層化を用いて、置換ブロック無作為化を用いる中央コンピュータ化システムにより、患者を1:1の割合で、ラノラジンまたはプラセボに1:1の割合でランダムに割り当てた。試験医薬を、ラノラジン200mgとして1時間にわたって静脈内投与し、その後、80mg/hrで静脈内注射し(推定クレアチニンクリアランス<30ml/分の患者は40mg/hrに減少させた)、12時間〜96時間続けた。研究の完了時に、試験医薬(ラノラジンERまたはプラセボ)を、研究の終了までに、100mgの用量で1日に2回経口投与した。上記プロトコールは、新たな腎不全、を有する患者、および処置に関連し得る特定の有害な事象(GT間隔の持続的な延長が挙げられる)を経験する患者に関しては用量を減少させることを指定した。静脈内注射の間に用量調整が行われた患者に関しては、最終注入速度に基づいて、用量750mg1日2回、500mg1日2回、または375mg1日2回で経口投与を開始した。
患者は研究の終了まで、14日後、4ヶ月後、そしてそれ以降は4ヵ月毎に研究のために戻った。追跡訪問の間、患者を有害な事象および生活の質について調査し、血液を現地および/または中央検査室での検査のために採取した。治験の間、試験薬剤を恒久的に中断した患者には電話接触を行った。虚血のための持続的なデジタル心電計(ホルター)(Lifecard CF,Delmaer Reynolds,Irvine,CA)を、無作為化の際に患者に適用し、退院後も含め7日間そのままにした。運動負荷試験を、8ヶ月後、または(8カ月より早い場合は)最後の訪問時に、運動可能な患者において行った。
上記治験は、310人の死亡と730人の主要な心血管事象が調整センターに報告されるまで続行し、その後すべての患者に最後の試験訪問のために再訪を要求した。
評価項目
上記治験の主要な目的は、心血管死亡、心筋梗塞、または再発性虚血の複合の任意の要素の最初の発生であった。主要な第二の目的は、心血管死亡、心筋梗塞、または重症な再発性虚血の複合の任意の要素の最初の発生であった。心筋梗塞は、兆候事象とは異なっていなければならず、American Colledge of Cardiologyにより開発された定義から採用された基準を用いて、心電図、心臓バイオマーカー、または梗塞の病理学的証拠のいずれかに関連する虚血/梗塞を示唆する症状により定義された9、10。再発性虚血は以下のうちのいずれかを含む:(1)心電図の変化を伴う再発性虚血、(2)入院が必要となる再発性虚血、(3)血管再建を促進する再発性虚血、(4)抗狭心症治療の強化を促進する少なくとも一つのCanadian Cardiovascular Societyクラスの狭心症による狭心症/虚血の悪化。再発性虚血は、最初の三つの基準のうちのいずれかを満たす場合重症であるとみなされた。
他の副次的評価項目は、心血管死亡、心筋梗塞、再発性虚血、虚血に対する陽性ホルター、新たな/悪化する心不全のための入院、または運動負荷試験の初期の陽性(12分間の改変Bruceプロトコールまたはそれに相当するプロトコールが完了する前の虚血に対する証拠)の複合と定義された治療の失敗を含んだ。生活の質は、追跡の4ヶ月後に、Seattle Angina Questionnaire11の狭心症頻度および身体的制約評価を用いて二次的評価項目として測定した。30日間にわたる急性期の評価のための予め明記した有効な評価項目は、心血管死亡、心筋梗塞、重症な再発性虚血、または虚血に対する陽性ホルターであった。
安全性評価項目は、任意の原因に起因する死亡、任意の原因に起因する死亡または任意の心血管入院、症状が確認された不整脈、およびプロトコールに関連するホルターモニタリングの間に検出された臨床的に有意な不整脈の複合を含んだ。主要な複合事象、および主要な副次的有効性評価項目、ならびに新たな心不全もしくは悪化する心不全のための入院、および症状が確認された不整脈のすべての要素は、盲検臨床事象委員会により審査された
統計学的分析
有効性評価は、閉検定手順を用いた予め指定した手順での主要な仮説、続いて二次的仮説の階層試験であった。試験結果が有意でないと、後に残った二次的評価項目の分析は調査が必要と考えられた。このプロセスは、すべての閉試験のための意図した全体のI型エラーの保存を確実にするために設計された。治験は、主要な二次的評価項目と比較してラノラジンによる20%の相対リスク低減を検出するように、少なくとも90%の統計学的出力を有するように設計された。
すべての有効性分析は、治療企図解析の原理によって行った。主要な評価項目の分析は、患者の最後の研究訪問までに、無作為化の後に生じることが公知であるすべての有効性事象を含んだ。主要な有効性評価項目および第二の有効性評価項目は、早期の侵襲性戦略を用いることを意図することにより階層化するログランク検定を使用して実施した。ハザード比および95%信頼限界を、コックス比例ハザードモデルを用いて、早期の侵襲性戦略のための治療および意図に対する効果により推定した。事象割合は、12か月のカプランマイヤー失敗率で提示した。全ての安全性分析を患者が実際に受ける処置(単回用量またはそれより多い用量)により実施した。定期的な安全性評価を、独立データ安全性モニタリング委員会(Data Safety Monitoring Board)により実施した。心血管死亡に基づく有効性の一つの計画された中間分析をFleming Harrington O’brien12停止境界を用いて実施した。中間分析に対する補正後の、主要な有効性分析に対する重要な両側P値は、0.0497であった。
上記研究は、治験スポンサーによる見解を有する運営委員会とともに治験を設計したTIMI研究グループによる、調査員主体の治験であった。調査員はデータを自由に、そして完全にアクセスできた。データ管理は、Nottingham臨床研究グループが行った(付録参照)。生のデータベースは、TIMI研究グループのメンバーに提供され、分析は、TIMI研究グループ(そのメンバーはこの報告書を書き、データに対して責任を有する)およびNottingham臨床研究グループ、ならびにスポンサーにより独立して行われた。
結果
二つの群の患者は、ベースライン特性に非常によく適合していた(表1)。合計で96.1%の患者がアスピリンで処置され、90.3%の患者は、未分画ヘパリンまたは低分子量ヘパリンのいずれかで処置され、そして14.6%は、糖タンパク質IIb/IIa受容体アンタゴニストで処置された。症状の発症から無作為化までの時間の中央値は24時間(25%が13時間、75%が34時間)であった。試験薬剤は、中央値23時間(25%が19時間、75%が29時間)の間、99.7%の患者に静脈内投与し、続いて6399人(97.5%)に経口投与した。条件を満たす急性冠動脈症候群は、3966人(60.5%)が内科的療法で治療され、2074人(31.6%)が経皮冠動脈インターベンションで治療され、520人(7.9%)が冠動脈バイパス移植で治療された。治療の間、患者に医薬が以下のように同時投与された:クロピドグレルまたはチクロジピンが64.3%の患者に、ベータ遮断薬が89.2%、カルシウムチャネル遮断薬が30.1%(ジアゼパム(4.8%)およびベパラミル(2.9%)を含む)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤またはアンギオテンシン受容体阻害剤が78.2%に、そしてスタチンが82.4%。患者を中央値348日で、24カ月まで追跡した(25%が236日、75%が460日)。9名(0.1%)の患者については追跡に失敗した。
有効性評価項目
主要な評価項目(心血管死亡、心筋梗塞、または再発性虚血)は、プラセボ群の753人(23.5%)と比較して、ラノラジン群の696人(21.8%)に起こった;ハザード比0.92(95%CI 0.83〜1.02、p=0.11)(図2、パネルA)。一年での主要な評価項目(心血管死亡、心筋梗塞、または重度の再発性虚血)の累積発生率は、ラノラジン群で18.7%であり、対してプラセボ群では19.2%であった(ハザード比0.96、95%CI 0.86〜1.08、p=0.50)。治療の失敗((心血管死亡、心筋梗塞、または再発性虚血、虚血に対する陽性ホルター、新たな/悪化する心不全のための入院、または早期の陽性EET)はラノラジン群で1173人(36.8%)の患者に起こり、対してプラセボ群では1233人(38.3%)の患者に起こった(ハザード比0.94;95%CI 0.87〜1.02、p=0.16)。
30日後および研究の終了時の主要な評価項目および治療の失敗の評価項目の個々の要素が表2に示される。ラノラジンは、心血管死亡またはMI率に対して(個々でまたは複合としても)全く効果がなかった(図2、パネルB)。しかしながら、再発性虚血の累積発生率は、プラセボを割り当てた患者よりも、ラノラジンを割り当てた患者において有意に低減された(図2、パネルC)。ラノラジンによる再発性虚血の早期の低減傾向は、心血管死亡、心筋梗塞、重度の再発性虚血、または虚血に対する陽性ホルターの30日評価項目と比較して明らかであった(p=0.055)。
狭心症へのラノラジンの長期間処置の効果は、いくつかの予め特定した調査評価項目と比較して明白であった。内科的療法の強化を必要とする少なくとも一つのCanadian Cardiovascular Societyクラスによる狭心症の悪化は、プラセボと比較してラノラジン群で有意に低減した(4.2%対5.9%、ハザード比0.77;95%CI 0.62〜0.96、p=0.023)。さらに、抗狭心症療法の増加またはその追加の累積発生率は、プラセボ群(12.2%)と比較してラノラジン群(10.0%)で有意に低減した(ハザード比0.81;95%CI 0.69〜0.94、p=0.006)。ラノラジンでの狭心症頻度のわずかな改善が、Seattle Angina Questionnaireを使用して記録された(ラノラジン群で84.3±22.2、プラセボ群で82.2±23.2、p<0.001)。この差異は、狭心症歴を有して治験を受けた患者でより大きくなった(SAQデータでN=2898;ラノラジン群で79.5±24.1、プラセボ群で75.5±25.3、p<0.0001)。すべての集団(p=0.91)または狭心症歴のある患者(p=0.30)における処置群の間で身体的制限評価に違いは見られなかった。
非侵襲性戦略を意図された患者を含めて、調査した主要なサブグループにわたって、主要な評価項目へのラノラジンの効果の有意な不均質性はなかった(図3)。安定狭心症を有する女性における運動能力の減衰影響を示唆する以前の研究と比較して、主要な評価項目に対するラノラジンの効果は女性においてとりわけ有意であった(N=2291、ハザード比0.83;95%CI 0.70〜0.99)(ラノラジンでの再発性虚血の29%の相対的低減が見られる)が、性別に基づく相互作用の統計学的証拠は決定的ではなかった(p−相互作用=0.12)。
安全性および耐容性
安全性分析集団における任意の原因に起因する死亡は、プラセボで処置した患者とラノラジンで処置した患者とで違いはなかった(ハザード比0.99;95%信頼区間 0.80〜1.22、p=0.91)(表3)。突然の心臓死および任意の理由に起因する死亡または任意の心血管入院の複合は数多く発生したが、ラノラジンで処置した患者で統計学的により少ないということはなかった。すなわち、ラノラジンで処置した患者のそれぞれ56人(1.7%)および1037人(32.8%)、そしてプラセボで処置した患者のそれぞれ65人(1.8%)および1065人(32.8%)。研究の間の症状が確認された不整脈の発生は、プラセボで処置した患者とラノラジンで処置した患者とで類似していた(p=0.84)(表3)。さらに、最初の7日間のホルターモニタリングの間に観察された臨床的に有意な不整脈の頻度は、プラセボ群(83.1%、p<0.001)と比較して、ラノラジン群(73.7%)で有意に低減した。
有害な事象、患者の選択、またはその他の理由に起因する処置の中断は、ラノラジン群で28%、そしてプラセボ群で22%であった(p<0.001)。処置の間に、ラノラジンで処置された患者の2.9%、およびプラセボで処置された患者の1.4%において、有害な事象のために、静脈内投与期の間に試験薬剤の用量を低減させた。経口薬剤の慢性的処置の間に、ラノラジンで処置された患者の10%、およびプラセボで処置された患者の5%において、用量を低減させた(p<0.001)。
4%を超える被験体において起こり、プラセボ群と比較してラノラジン群で頻繁に見られた、評価項目でない最も頻繁な有害事象は、めまい(13%対7%)、吐き気(9%対6%)、および便秘(9%対3%)であった。ラノラジン群において103件(3.2%)の気絶が見られ、プラセボ群では71件であった(2.2%、p=0.014)。ラノラジン群における気絶の症例の方が、調査者により血管迷走神経性失神としてより多く分類された(38件対18件)。
コメント
再発性心血管事象の中程度から高リスクの非ST上昇型ACSを有する患者の、この治験において、1年間の処置のメジアンの間、心血管死、MIまたは再発性虚血の複合的なエンドポイント(composite endpoint)に関して、プラセボと比較してラノラジンの有意な利益は存在しなかった。さらなる分析によって、ラノラジンで処置された患者において、再発性虚血のリスクにおいて有意な14%の相対的な低減、そして他の抗狭心症治療においてより少ない増大が明らかとなり、心血管死またはMIの複合には影響はなかった。
ラノラジンは安全なようだったが、症状が実証された不整脈、突然の心臓死または任意の原因による死の事前に特定された安全性のエンドポイントにおいて、プラセボと認識可能な差異はなかった。実際に、ラノラジンは、無作為化後の最初の7日間の間、ホルターの記録によって検出された不整脈の頻度において有意な低減と関連した。慢性狭心症を有する患者における以前の経験と一致して、ラノラジンを使用して、より多くの失神が報告された
ラノラジンは、ベータ遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬または硝酸塩での処置にもかかわらず、持続性の症状を有する慢性狭心症の選択された患者を処置するために、現在利用可能である。ラノラジンERの先行する研究を、9分間の改変されたBruceのプロトコール5,6の完了前に虚血性のSTセグメントの低下を有するか、またはカルシウムチャンネル遮断薬14の処置にもかかわらず、1週間あたり少なくとも3回の狭心症のエピソードを有する、確立された冠動脈疾患を有する患者において実行された。これらの研究と共に、これらの症状性の高い患者において、ラノラジンが、トレッドミル試験での虚血までの時間を増大させ、運動の持続時間を改善し、そして狭心症の頻度および舌下ニトログリセリンの使用を低減することを実証した。これらの研究からのサブグループの分析(合計で約1500人の患者)は、女性において運動能力に対するラノラジンの処置効果が減少している可能性があることを指摘した13。QT間隔における濃度に関連した増大に起因して、ラノラジンの使用は、他の抗狭心症剤に適切に応答しなかった患者にのみ推奨された。さらに、これらの治験における試料の大きさおよび治療の持続時間は、主要な心血管事象の二次的な予防のための、ラノラジンの効果を評価するために設計されていなかった。実験データは、急性心筋梗塞の動物モデルにおいて、虚血傷害の程度の低減および左心室性能の改善を明らかにした15。しかしながら、ラノラジンは、急性虚血性症候群を有する患者において以前に研究された。
本発明者らは、ACSを有する患者の症状の急性期の間に患者を登録し、ACSの急性管理における新規な適用の可能性ならびに主要な心血管事象および再発性虚血の長期間の予防のための、ラノラジンの効能を調べた。この確実にべき乗され、無作為化された治験(robustly powered、randomized trial)の結果は、ACSの急性管理のためにも、心血管死またはMIの二次的な予防のための疾患改変療法(disease・modifying therapy)としてもラノラジンの使用を支持しなかった。しかしながら、本発明者らの知見は、以前に研究されたものよりも、確立された虚血性心疾患を有する患者の実質的により広い集団において、抗狭心症治療としてのラノラジンの効能および安全性についての証拠を提供する。サブグループの分析は、慎重に示された全般的に中立の結果として解釈されるべきである。それにもかかわらず、運動試験に基づく以前の研究とは対照的に、ラノラジンによる再発性虚血の減少は、確かに、男性よりも女性において少ないわけではないことは注目に値する。
ラノラジンERを使用する既存の安全性の経験を二倍超にするこの大規模な治験において、本発明者らは、プラセボと比較したラノラジンで処置された患者における長期間の追跡の間、過剰な不整脈も過剰な突然の心臓死も存在しなかったことを見出した。最初の7日間の間のホルターのモニタリングで検出された、不整脈における有意な減少の知見は、不整脈誘発性のマーカーの抑制を示す実験データとラノラジンとの可能性のある関連性についての最初の臨床的な証拠を提供する16。ラノラジンの可能性のある抗不整脈性効果は、さらなる調査を保証する。
結論
非ST上昇型ACSのための治療の現行の基準にラノラジンを加えることは、心血管死、MIまたは再発性虚血の複合の速度を低減させることにおいて顕著に有効ではなかった。ACSを提示する患者の広い集団において、再発性虚血の観察された減少は、安定な冠動脈疾患を有する選択された患者での先の証拠と一致する。この知見は、観察された有益かつ全般的な安全性のプロファイルと共に、確立された冠動脈疾患を有する患者における抗狭心症治療としてのラノラジンの使用を導くさらなる証拠を提供する。
謝辞
著者の寄与
Morrow博士およびBraunwald博士は、研究における全てのデータに十分に接触し、データの完全性およびデータ分析の正確さに責任を持つ。
研究の構想および設計:Morrow、Karwatowska−Prokopczuk、Wolff、Skene、McCabeおよびBraunwald。
データの取得:Morrow、Scirica、Skene、McCabeおよびBraunwald。
データの分析および解釈:Morrow、Scirica、Karwatowska−Prokopczuk、Murphy、Budaj、Varshavsky、Wolff、Skene、McCabeおよびBraunwald。
原稿の起草:MorrowおよびBraunwald。
重要な学術的な内容に関する原稿の最終的な修正:Morrow、Scirica、Karwatowska−Prokopczuk、Murphy、Budaj、Varshavsky、Wolff、Skene、McCabeおよびBraunwald。
統計分析:Murphy、Skene。
資金提供の取得:Morrow、McCabe、Braunwald。
経営上、技術上または物質的な支援:Morrow、Scirica、Karwatowska−Prokopczuk、Murphy、Skene、McCabeおよびBraunwald。
研究の監督:Morrow、McCabeおよびBraunwald。
資金提供/支援:MERLIN−TIMI 36は、CV Therapeutics、Palo Alto、CAにより資金提供された。
スポンサーの役割
プロトコールは、運営委員会とともにTIMI研究グループによって開発され、スポンサーによって精査された。スポンサーの従業員は、研究者と共に働き、統計的な分析計画を準備した。全ての主な分析は、TIMI研究グループによって実行され、Nottingham Clinical Researchおよびスポンサーによって検証された。スポンサーの従業員は、共著者ともに原稿を精査し、編集に関して拘束力のない示唆を行った。
業界との関係の開示
TIMI研究グループは、以下から重要な研究助成金の支援を受けた:Accumetrics、Amgen、Astra−Zeneca、Bayer Healthcare、Beckman Coulter、Biosite、Bristol−Myers Squibb、CV Therapeutics、Eli Lilly and Co、GlaxoSmithKline、Inotek Pharmaceuticals、Integrated Therapeutics、Merck and Company、Merck−Schering Plough Joint Venture、Millennium Pharmaceuticals、Novartis Pharmaceuticals、Nuvelo、Ortho−Clinical Diagnostics、Pfizer、Roche Diagnostics、Sanofi−Aventis、Sanofi−SynthelaboおよびSchering−Plough。Morrow博士は、CV TherapeuticsおよびSanofi−Aventisから教育的な発表についての謝礼金を受けた。彼は、GlaxoSmithKlineおよびSanofi−Aventisの顧問として勤務し、Genentechの諮問委員会にあった。Scirica博士は、CV Therapeuticsから教育的な発表について謝礼金を受けた。Karwatowska−Prokopczuk博士は、CV Therapeuticsの従業員であり、その株を所有している。Wolff博士は、以前はCV Therapeuticsの従業員であり、その株を所有している。Braunwald博士は、Bristol Myers Squibb、Merck and Pfizerから謝礼金を受け取り、Bristol−Myers SquibbおよびPfizerのための顧問として勤務した。Budaj博士、Varshavsky博士およびSkene博士ならびにMs MurphyおよびMcCabeは、報告に対してさらなる関係は有していない。
参考文献
図面の説明
図1 患者の処置。
図2 一次的なエンドポイント(パネルA、心血管死、MIまたは再発性虚血)、心血管死またはMI(パネルB)および再発性虚血(パネルC)のカプラン・マイヤー推定比。
図3 種々のサブグループにおけるプラセボ群と比較した、ラノラジン群における一次的なエンドポイントについてのカプラン・マイヤー推定事象率(12ヶ月)およびハザード比。星印で示されたサブグループは、p<0.0497レベルで有意であった。しかしながら、どれも統計的な交互作用の決定的な証拠は示さない。

付属書類B
要約
背景:ラノラジンは心臓再分極の間の内向きのナトリウム流の遅延相を阻害し、結果的に細胞内ナトリウムおよびカルシウム過負荷を低減させることにより虚血を低減させる。細胞内カルシウムの増大により、機械的および電気的の双方の筋細胞興奮に至る。ラノラジンは不整脈誘発性の基質を低減させ、そして例えば動物モデルにおける早期後脱分極を誘発する。しかし、ラノラジンのこの潜在的抗不整脈作用は、未だにヒトにおいては評価される必要がある。
方法:MERLIN−TIMI36試験は非ST上昇型急性冠動脈症候群で入院した6560人の患者を標準的な治療に加えてラノラジンまたはプラセボに無作為化した。無作為化の後、最初の7日間に連続ECG(cECGまたはホルター)記録を実施した。コアラボラトリーにより処置および転帰に対して盲検で予め指定された不整脈の分析を評価した。
結果:MERLIN−TIMI36における6560人の患者のうち、6351人の患者(97%)が不整脈分析に有効なcECG記録を有した。ラノラジンでの処置の結果、不整脈の率が有意に低下した。具体的にはより少数の患者が>8拍持続する心室性頻脈のエピソード(166人[5.3%]対265人[8.3%]、p<0.001)、上室性頻脈(1413人[44.7%]対1752人[55.0%]、p<0.001)または新たな心房細動発症(55人[1.7%]対75人[2.4%]、p=0.08)を有した。加えて、休止>3秒もまたラノラジンで頻度が低かった(97人[3.1%]対136人[4.3%]、p=0.01)。
結論:ナトリウム流の遅延相の阻害剤であるラノラジンは、ACSでの入院の後、最初の週の連続ECGモニタリングにより評価したところ、抗不整脈効果を有すると思われる。抗不整脈剤としてのラノラジンの潜在的役割を評価するために特に設計したさらなる研究が請け負われる。
導入
ラノラジンは、慢性の安定アンギナを有する患者におけるアンギナの頻度を低減し、かつ運動性能を改善する、新規の抗アンギナ剤である。1〜3ラノラジンは、心臓再分極の間、内向きのナトリウム流(INa)の遅延相の阻害を介して患者における心筋虚血を低減すると思われる。4〜6虚血および心不全を含めたいくつかの疾患状態では、INaの遅延相は増強されて継続するので、ナトリウム(Na)の細胞内濃度の増大が促進され、このことは、Na/Ca++交換チャネルを介して細胞質性カルシウム(Ca++)の濃度の増加に至る。6、7増加した細胞内カルシウムは、心臓作用電位を長びかせ、そして不整脈誘発性の誘発物または基質(例えば、早期後脱分極)および経心筋性再分極の分散(これは心室性頻脈を早める)を増加させることにより、機械的弛緩および収縮を損ない得、そして電気的筋細胞興奮を促進し得る。
Naの遅延相を優先的に阻害することにより、ラノラジンは、1細胞および動物モデルにおいて、誘導された虚血、心不全またはINaを長引かせる薬剤によって引き起こされた細胞内NaおよびCa++の過剰量を低減することが示されている。4、8、9さらに、ソタロールのような薬剤とは対照的に、これらの実験モデルにおけるラノラジンの添加は、早期後脱分極および他の不整脈促進性電気生理学的パラメーターを抑制する。しかし、ラノラジンの潜在的抗不整脈作用は、未だにヒトにおいて評価されなければならない。それゆえ、本発明者らは、ランダム化した二重盲検のプラセボを対照とする試験の一部として、連続ECG(cECG)モニタリングにより検出した場合の不整脈の割合を調査した。10、11
方法
非ST上昇急性冠動脈症候群における、より少ない虚血についてのラノラジンでの代謝効率(MERLIN)−心筋梗塞における血栓(TIMI)36試験は、非ST上昇急性冠動脈症候群で入院した6560人の患者を標準的な医薬治療に加えてラノラジンまたはプラセボに無作為化した。手短に述べると、中程度から高度の危険性特徴を有する患者を、それらの最後の虚血症候群の48時間で、静脈内での盲検治療、続いて経口でラノラジンまたは一致するプラセボに対して1:1の様式で無作為化した。完全参入および排除の基準、ならびに研究手順は、以前に公開されている。10、11患者は、現行の処置実施ガイドラインに従って標準的な医療および介入治療を受けた。連続心電図(cECG)すなわちホルターの記録(Lifecard CF,DelMar Reynolds/Spacelabs,Issaqua,WA)を、全ての患者において、無作為化の後の最初の7日間行った。10、11処置の割り当ておよび臨床転帰に対して盲検とされた分析および心臓病専門医は、TIMI ECGコアラボラトリーでの全てのcECG記録において予め指定された不整脈分析を行った。
cECGモニタリングにより検出された場合、臨床的に顕著な不整脈は、長さにおいて少なくとも3打の心室性頻脈(VT)の症状の発現、1分間当たり120打より多く、少なくとも4打続く上室性頻脈(SVT)、新たな心房細動の開始、1分間当たり45打より少なく、少なくとも4打続く徐脈の症状の開始、完全な心臓ブロック、または2.5秒より長い心室性停止として、前もって挙げられ規定された。心室性頻脈は、長さにより(少なくとも4打、少なくとも8打、および[30秒より大])、ならびに8打以上続く症状の発現の形態により(単形性対多形性)、現行のガイドラインに従って、その後分類された。心室性停止は、長さ(3秒以上続く)により、および作用の主な機構(洞房結節機能不全、房室結節機能不全、または他の機構)により、その後分類された。
平均の臨床的継続管理は、約12ヶ月であった。予備知識を与えられていない、臨床結果委員会が、1)証明されそして新しい症状の始まりから60分以内に生じ、心臓血管の他に明白な原因がない;または2)証明されておらず、そして既存の進行性の循環上の機能不全または他の非心臓血管の死の原因なしで、生存が観察されて24時間以内に生じるか、いずれかであった突然の予期せぬ死として規定された突然の心臓死を判定した。
統計分析
全ての不整脈解析は、評価可能なcECGモニターを用いての患者での治療意図による解析に基づいた。連続的なデータが、正規分布変数のためのスチューデントt検定および非−正規データのためのウィルコクソンの順位和検定を用いて比較された。二分変数は、カイ2乗検定を用いて比較された。事故−事象比較は、コックス比例ハザードモデルを用いて実行され、カプラン−マイヤー事象変化率は12ヶ月で示された。
結果
MERLIN−TIMI 36における6560ptsの、6351pts(97%)が、解析のために有効なcECG記録を有した。cECGモニタリングは、105人の患者(1.6%)では実施されず、そして104人の記録(1.6%)は、解析を妨げる技術的欠陥を有した。有効なcECG記録を有す6351患者の基点特性が表1に示され、そしてそれらは、患者数全体に類似した。cECG記録の持続期間の中央値は6.8日であった。
ラノラジンでの処置は、プラセボと比較して不整頻拍の顕著に低い割合を生じた(表2)。特に、ラノラジンに割り当てられた少数の患者は、プラセボと比較して4打以上続くか、または8打以上続く心室性頻脈の症状の発現を有した。(図1)MERLIN−TIMIにおいて、少数の患者が、30秒より長く続く持続性の心室性頻脈、またはcECGモニタリングの間に8打以上続く多形性心室性頻脈のどちらかを経験し、そしてラノラジンまたはプラセボで処置した患者の間に違いはなかった(表2)。持続性の多形性心室性頻脈が、ラノラジンに割り当てられた10人の患者(0.32%)およびプラセボに割り当てられた7人の患者[0.22%]で検出された。ラノラジンで処置した群(56[1.7%])対65[1.8%]の間で突然の心臓死をともなう患者の数に差はなかった。先に心不全、左心室機能の低下、ベースラインでの持続性QTc間隔、および高TIMIリスクスコア(5−7)のある患者を含む高リスクのいくつかのサブグループの中で、突然の心臓死の割合における差のない、ラノラジンで処置された患者において、少なくとも8打続く心室性頻脈の一貫した減少はなかった(表3)。
加えて、ラノラジンで処置された患者は、1分間当たり120打より多い割合で4打以上続く上室性頻脈の症状の発現、新たな心房細動の開始、2.5秒または3秒より長い心室性停止、ならびに4打より多く続き45bpmより少ない徐脈の症状の発現を有さないと思われた(表2および4)。
考察
MERLIN−TIMI36治験において、死または再発の虚血性事象について中程度から高リスクの冠動脈疾患をともなう患者において、INaの後期相の阻害剤であるラノラジンは、入院後最初の週におけるcECGモニタリングにより評価されたように抗不整脈効果を有することを示す。特に、ラノラジンで処置された患者は、少なくとも8打続く心室性頻脈、上室性頻脈、および少なくとも3秒続く心室性停止の症状の発現がより少なかった。
これは、心臓の不整脈の抑制におけるラノラジンの効果の最初の臨床的報告であり、ラノラジンのいくつかの潜在的な抗不整脈特性4、8、13を同定した実験的データを支持する。不整脈の薬物関連抑制または誘導に関する電気生理学的基礎は複雑であり、そして異なるナトリウム、カルシウム、およびカリウムイオンチャンネルに対する薬物の特定の効果と同様に、基礎をなす健康および筋細胞の型の両方に依存する。臨床的に治療に役立つ濃度(2〜6μmol/l)で、ラノラジンは、後期INA(IC50=6μmol/l)、遅延させられたレクティファイヤーカリウム流(IKr)(IC50=12μmol/l)、後期L型カルシウム流(ICa)(IC50=50μmol)を阻害する。IKrの阻害は、筋細胞作用の潜在的持続時間を延長し、一方、INAおよびICaの阻害は、逆の効果を有し、持続時間を短くする。作用可能性の持続時間に対するラノラジンの作用の正味の結果は、INAおよびICa対IKrチャンネルの相対的影響に依存する。心外膜および心内膜の心筋において、IKrは優勢であり、正味効果は、心室心筋細胞において作用可能性持続時間を、ラノラジンが長くするというものである。対照的に、M細胞およびプルキニェ細胞において、INAは優勢であり、そしてラノラジンが実際に作用可能性持続時間を減少させる。ラノラジンでの表面心電図の最終効果は、既知の2〜6msecでのQTcの小さな延長である
しかしながら、QTcの単純な延長は、心室性頻脈およびトルサード=ド=ポワントの特定の促進における、不整脈に対する、心筋のより複雑な基礎をなす電気的感受性を反映し得ない。Antzelevitchらによる報告において、IKrの阻害剤であるソタロールは、作用可能性持続時間を延長し、そしてトルサード=ド=ポワントを促進し得る早期の後脱分極リスクを増加させる。これらの調製物へのラノラジンの添加は、ソタロール誘導性の延長された作用可能性持続時間および早期の後脱分極を減少させることにより、これらの前不整脈マーカーを抑制する。イヌの心室のくさび型調製物において、ソタロールと対照的に14、ラノラジンは、別の前不整脈基質、通壁性の散乱の再分極を減少させた。この実験モデルにおいて、ラノラジンを用いた処置は、トルサード=ド=ポワントを誘導せず、そしてプログラムされた電気的刺激により誘導されるいずれの心室性頻脈も防止しなかった。したがって、ラノラジンがQTc間隔を長くするという注目された観察にもかかわらず、ラノラジンの全体の電気生理学的作用は、ラノラジンが実際に不整脈を抑制し得ることを示唆した。
ほとんどの抗不整脈剤の使用は、生命を脅かす前不整脈のリスクまたは延長された暴露にともなう毒性により制限される。クラスIa、Ic、およびIIIの抗不整脈剤は、心室転位症を抑制するか、または心房細動を減少させるが、いくつかは、特にクラスIaおよびIc剤(例えば、フレカイニドおよびエカイニド)およびクラスIII剤(例えば、ソラロール)は、生命を脅かす不整脈に対する感受性を増大させ得るか14、またはMI後の死のリスクを実際に増大させ得る15−18。対照的に、cECG記録を持つMERLIN−TIMI36での患者において、ラノラジンは、心室性不整脈を減少させた。さらに、統計学的にではないが、数値的に全研究期間をとおしてラノラジンで処置された患者における突然の心臓死のより低い割り合いは、この群におけるラノラジンでの長期間の処置についての重要な安全性データを加える11
ラノラジンの作用(後期INAの阻害)の提示されたメカニズムは、ラノラジンが上室性頻脈および心室性頻脈の両方のリスクを減少させ得ることによる、もっともらしいメカニズムを提供する。徐脈型不整脈の減少を説明するメカニズムは、しかしながら未確定で残っている。ベータ遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、アミオダロン、およびリドカインのような薬剤は、頻脈を抑制するが、しかし典型的に、そしてラノラジンに対して対照的に、心拍数を減少させ、そして実際に徐脈型不整脈を増加させる。心筋の結節性活性に対する影響を試験するさらなる実験的研究が、この臨床上の観察をより良く理解するために必要とされる。
総括すると、非ST上昇急性冠動脈症候群と認められた6300人を超える患者において、ラノラジンでの処置は、心室性頻脈、上室性頻脈、および重大な心室性停止の顕著に低い割り合いに帰結した。抗不整脈剤としてのラノラジンの潜在的な役割りを評価するために特にデザインされたさらなる研究が正当化される。
図面の説明
少なくとも8泊持続する心室性頻脈のエピソードの最初の発生のカプランマイヤー推定比

Claims (26)

  1. ラノラジンを含む静脈内(IV)用溶液を急性冠疾患事象を患う患者に投与することを含む、該患者を処置するための方法。
  2. ラノラジンを含む静脈内用溶液を非ST上昇型急性冠動脈症候群に関連する1つまたはそれより多い症状を顕在化する急性冠疾患事象を患う患者に投与することを含む、該患者を処置するための方法。
  3. 前記急性冠疾患事象を患う患者が狭心症、不整脈、間欠性跛行、急性冠動脈症候群、心不全および再発性虚血からなる群から選択される1つまたはそれより多い冠疾患を患う、請求項1に記載の方法。
  4. 溶液1mLあたり約1.5から約3mgのラノラジンを含むIV用ラノラジン溶液を前記患者に投与する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記患者が安定するまで該患者へのIV用溶液の投与を続ける、請求項1に記載の方法。
  6. IV投与の開始後約約12時間から約96時間までに安定化が生じる、請求項5に記載の方法。
  7. 急性冠疾患事象を患う患者を処置するための方法であって、
    a)約1.5から約3mg/mLの濃度のラノラジンを含むラノラジンのIV用溶液の該患者への投与を開始すること;
    b)i)約1時間にわたって該患者に送達された約200mgのラノラジンを提供するのに十分な量のIV用溶液;
    ii)続いて:時間あたりラノラジン約80mgを提供するのに十分な量のIV用溶液;または該患者が腎不全を患っている場合、時間あたり約40mgのラノラジンを提供するのに十分な量のIV用溶液;のいずれか
    を含む、IV用ラノラジン溶液の該患者へのIV投与の用量設定をすること;および
    c)該患者が安定するまで上記b)の用量設定を維持すること;
    を含む、方法。
  8. 前記患者が非ST上昇型急性冠動脈症候群に関連する1つまたはそれより多い症状を顕在化する急性冠疾患事象を患っている、請求項7に記載の方法。
  9. 前記急性冠疾患事象を患う患者が狭心症、不整脈、間欠性跛行、急性冠動脈症候群、心不全および再発性虚血からなる群から選択される1つまたはそれより多い疾患を患う、請求項7に記載の方法。
  10. 溶液1mLあたり約1.8から約2.2mgのラノラジンを含むIV用ラノラジン溶液を前記患者に投与する、請求項7に記載の方法。
  11. IV投与の開始後約12時間から約96時間内に安定化を生じる、請求項7に記載の方法。
  12. 目標ピークラノラジン血漿濃度約2500ng塩基/mLを達成するようにラノラジンの静脈内用処方物の投与を開始する、請求項7に記載の方法。
  13. 前記患者が安定した後、次にラノラジンの経口徐放処方物を投与することにより患者を静脈内用量から経口用量に移行させる、請求項7に記載の方法。
  14. ラノラジンの静脈内注入の終了の約1時間前にラノラジンの経口用量を投与する、請求項13に記載の方法。
  15. 静脈内用量から経口用量への移行時にラノラジンの静脈内用量約80mg/時に関して投与される経口用量は1000mg1日2回(2×500mg)である、請求項13に記載の方法。
  16. 静脈内用量から経口用量への移行時にラノラジンの静脈内用量約60mg/時に関して投与される経口用量は750mg1日2回(2×375mg)である、請求項13に記載の方法。
  17. 静脈内用量から経口用量への移行時にラノラジンの静脈内用量約40mg/時に関して投与される経口用量は500mg1日2回(1×500mg)である、請求項13に記載の方法。
  18. 静脈内用量から経口用量への移行時にラノラジンの静脈内用量約30mg/時に関して投与される経口用量は375mg1日2回(1×375mg)である、請求項13に記載の方法。
  19. CYP3A阻害剤およびP−gp阻害剤からなる群から選択される1つまたはそれより多い薬物を前記患者にさらに投与する、請求項13に記載の方法。
  20. 続発性急性冠疾患事象を示す高リスクの冠動脈患者にラノラジンを投与することを含む、該患者を処置するための方法。
  21. インターベンションの少なくとも2時間前にラノラジンの静脈内用処方物を投与することを含む、患者における冠動脈インターベンションに関連する虚血を低減させるための方法。
  22. 前記該冠動脈インターベンションが経皮冠動脈インターベンションである、請求項21に記載の方法。
  23. 前記経皮冠動脈インターベンションが経皮経管冠動脈形成術、ステントの移植、ペースメーカー、バルブ、その他の冠動脈装置、および冠動脈バイパスグラフト手術からなる群から選択される請求項22に記載の方法。
  24. 前記インターベンションの完了後少なくとも2時間ラノラジンの静脈内投与を続ける、請求項21に記載の方法。
  25. 溶液1mLあたり約1.5から約3.0mgのラノラジンを含むIV用ラノラジン溶液を前記患者に投与する、請求項21に記載の方法。
  26. 虚血低減量のラノラジンを患者に投与することを含む、該患者における再発性虚血を処置するための方法。
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