JP2010510252A - キレート剤を用いるイメージング法 - Google Patents

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Abstract

放射性同位体を含むキレート剤とカップリングした、標的脂質/界面活性剤でコーティングされたナノ粒子のエマルションを用いて、腫瘍と関連する新生血管系を撮像するための方法を記載する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は2006年11月21日に出願された米国仮特許出願第60/860,546号からの優先権を主張する。この文書の内容は参照により全体が本明細書に援用される。
連邦政府により支援を受けた研究のもとでなされた発明に対する権利の明示
この研究は米国政府からの助成金により一部援助を受けた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
本発明は、脂質/界面活性剤でコーティングされたナノ粒子またはリポソームを用いる組成物において放射性同位体または常磁性イオンを送達するためのキレート剤に関する。特に、本発明は脂質または疎水性部分とスペーサーを介してカップリングした窒素含有環系に基づくキレートリガンド、および腫瘍新生血管系を撮像するための方法を提供する。
血管新生はそれ自体、正常な組織成長、発生、および創傷治癒において広範囲にみられるプロセスであり、また糖尿病性網膜症、炎症性疾患および癌をはじめとする多くの病状の中心的な特徴でもある。ヘテロ二量体膜貫通糖タンパク質であるαβ−インテグリンは、特異的なArg−Gly−Asp(RGD)結合部位を介して、ビトロネクチン、オステオポンチン、フィブリノゲン、フォン・ヴィレブランド因子、および変性コラーゲンを含むいくつかの細胞外マトリックスタンパク質リガンドへの細胞の接着を仲介する。αβ−インテグリンは内皮細胞、マクロファージ、血小板、リンパ球、平滑筋細胞、および腫瘍細胞を含む広範囲の細胞型により発現される。血管新生に必須ではないが、増殖内皮細胞と静止内皮細胞におけるαβ−インテグリンの発現上昇の差は、新生血管バイオマーカーとして、ならびに分子イメージングおよび腫瘍の抗血管新生療法の魅力的な標的として使用されることが多い。
血管新生は浸潤性原発性腫瘍および転移の顕著な特徴であり、その理由はおそらく腫瘍の宿主の免疫学的監視からの回避が、増殖する新生血管系と相関し、ICAM−1などの炎症マーカーの内皮発現の減少に起因するためである。内皮アネルギーが認知されたことにより腫瘍新生血管系と宿主免疫応答性との間の関連についてさらなる研究が促され、血管形成を抑制し、他の免疫機構促進剤またはワクチンと組み合わせて宿主免疫反応を再構成する治療法の模索が進められてきた。インテグリン自体ではなく、血管形成の微小解剖学的構造を特異的に検出することにより、浸潤性腫瘍と関連するマーカーおよび減少した宿主免疫応答性が得られ、これらは戦略的な医学的判断の考慮に入れられるべきものである。
したがって、腫瘍新生血管系または血管新生を特異的に撮像できることは、治療の特性を決定する上で重要である。
キレートリガンドは、通常、診断および治療用途において、磁気共鳴映像法における造影剤としての常磁性イオンまたはイメージングおよび治療のための放射性同位体の送達に用いられる。有機分子と複合したキレート剤を、診断または治療対象の組織または臓器と特異的に結合する粒子送達系および/または標的化部分とさらに結合させることができる。多くのキレートリガンドが知られており、複数のこのようなリガンドは、例えば国際公開第2003/062198号に記載されており、この特許にはキレート剤一般についての極めて包括的な式が記載されている。この公報は、αβ標的化ペプチド模倣物についても記載している。例示的実施形態において、1つのこのようなペプチド模倣物はスペーサーを介してリン脂質とカップリングし、脂質/界面活性剤でコーティングされたパーフルオロカーボンナノ粒子と結合している。上記公報に例示されているものを含むさらに一般的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);およびテトラアザシクロドデカン四酢酸(DOTA)ならびにこれらの誘導体が挙げられる。これらのキレート剤は、米国特許第5,652,351号;同第5,756,605号;同第5,435,990号;同第5,358,704号;同第4,885,363号;およびいくつか他のものに記載されているような架橋基を用いてさらなる部分と結合している。加えて、リンカーを介してキレート剤を特定のリン脂質と結合させることは、PCT出願PCT/US2004/002257号およびPCT出願PCT/US2005/019,966号に記載されている。これらの出願においても、リン脂質と脂質/界面活性剤でコーティングされたナノ粒子との結合が記載されている。
αβ−常磁性ナノ粒子を用いた、新生血管に富んだ病変の特異的な高分解能イメージングが多くのインビボの研究で説明されてきたが、磁気共鳴分子イメージング技術には、コイル配置のため、イメージング視野の位置決めのため、ならびに適切なパルスシーケンスおよびゲーティングパラメータを選択するために、病変の場所の情報が必要とされる。したがって、本発明はこの情報をもたらす、腫瘍新生血管系の位置を特定するための高感度・低分解能法を想定している。
本発明は、放射性同位体または常磁性金属イオンを、脂質/界面活性剤により囲まれた粒子状担体と結合させることにより標的組織に送達するために特に有用なキレート剤に関する。ビスピリジルリシンおよびヒスチジルリシンを含むいくつかのキレート剤そのものが知られている。これらの薬剤を含む組成物は、下記のように、診断および治療用途に特に有用である。
本発明のキレート系は、脂質/界面活性剤コーティングを含むナノ粒子エマルションと結合した際インビボで送達可能であるように設計され、これに関連して配合される場合に放射性同位体または常磁性イオンをキレート化する点で特に有効である。以下でさらに詳細に記載するように、本発明の分子のキレート部分は、これに関連して提示される場合、放射性同位体または常磁性イオンの封鎖において、別のキレート剤よりも優れている。これらの薬剤を利用することで、正常な組織と関連する新生血管系に対して腫瘍と関連する新生血管系を特に効果的にイメージングすることが可能になり、腫瘍の高解像度・低感度画像と組み合わせることができる。本発明のキレート剤を含む粒子を含有する放射性・高感度・低分解能製剤は、送達系の粒子特性のために、腫瘍新生血管系に対して比較的特異的である。製剤自体によりもたらされた生体内分布は、腫瘍中への侵入、および非内皮細胞、即ち新生血管系の特徴をもたない細胞上に発現したインテグリンとの相互作用を回避させ、さらに血管が本質的に正常である筋肉における粒子の蓄積も回避させる。蓄積により、腫瘍新生血管系の領域を特定することができ、これによりSPECT−CTなどの高分解能システムを用いてさらに撮像することができる。
したがって、一態様において、本発明は、腫瘍と関連する血管形成の位置を正常組織における血管形成と異なるものとして同定する方法における、αβを標的とし、キレート化放射性同位体を含むナノ粒子のエマルションの使用に関し、この方法は、
αβを標的とする、キレート化放射性同位体を含むナノ粒子のエマルションを、腫瘍を有する対象に投与し、新生血管系の高感度・低分解能画像を得ることと;
任意で、その後、前記腫瘍における新生血管系の高分解能・低感度画像を得ること、を含む。
別の態様において、本発明は、本発明の方法において特に有用なキレート剤であって、式(1)で表わされるものに関する。
Figure 2010510252
(式中、各Xは、独立してCRまたはNであり;
各Rは、独立してHまたは低級アルキルであり;
各Rは、独立してハロゲン、アルキル(1〜6C)、アルケニル(2〜6C)、またはアルキニル(2〜6C)であり;
nは、0、1、または2であり;
スペーサーは、4個以上の炭素を有するアルキレンまたはアルケニレン鎖であり;
スペーサーは、存在する場合、スペーサーを脂質部分に結合させ、親水性の必要に応じて置換されていてもよいアルキレン鎖であり、ここで、1つ以上のCがNまたはOで置換されていてもよく、前記鎖はOR、NR、=O、COOR、CONR、OOCR、および/またはNRCORのうちの1つ以上で置換されていてもよい、ここで各Rは独立してHまたは低級アルキルである;
mは、0または1であり;
脂質は、脂肪酸、リン脂質、スフィンゴ脂質またはステロイドを表す)
本発明の方法および他の状況において用いられる場合、式(1)の化合物は金属イオン、特に放射性同位体、例えば111Inまたは99mTcをキレート化する。
他の態様において、本発明はインビボ投与に適した粒子状キャリアを含む組成物に関し、ここで、粒子状キャリアは、その層中に埋め込まれた式(1)の化合物を各粒子上に複数含む外側脂質/界面活性剤層でコーティングされているか、または他の方法で外側脂質/界面活性剤層が支持されている。この粒子は標的リガンドとさらに結合することができる。
他の態様において、本発明は磁気共鳴画像、放射性同位体により得られる画像を得、本発明の組成物を用いて放射性同位体が介在する治療を施す方法に関する。
図1A−図1Dは、放射性同位体を本発明の組成物として投与した場合の腫瘍の対筋肉カウント比を表すグラフである。図1Aおよび図1Bは、標的化ナノ粒子を含む組成物の用量を比較したものである。図1Cは、標的化および非標的化ナノ粒子エマルションを用い、等しい用量で得られた結果を比較したものである。図1Dは、放射性同位体を含む標的化粒子の、放射性同位体を含まない標的化ナノ粒子との競合を示す。 図2A−図2Fは、ウサギの後四半部の様々なトモグラフィーCT画像を示し、ここで、動物は本発明の組成物をあらかじめ投与され、または投与されていない。図2A−図2Cは、それぞれウサギの後四半部のトモグラフィーCT画像から軸方向、矢状および冠状に再構成したものを示し、本発明の組成物が投与されていない膝窩内の脚、骨、および結節腫瘤が明らかである。膝窩内の組織は、この領域に常に比較的顕著なリンパ節が付随しているため、腫瘍とリンパ節のいずれであるのか識別できない。図2D−図2Fは、2A〜2Cの画像に相当する画像を示し、減衰補正されたSPECT画像と組み合わせて、正常なリンパ節よりも上方に位置する約1cmの組織塊と関連する99mTc αβ標的化ナノ粒子シグナルからの新生血管シグナルの存在を、容易に識別することができる。増加した核シグナルを示す他の領域は成長する骨および睾丸と関連し、これらはすべて左右対称に認められる。骨盤のシグナルは、99mTcの膀胱中への排出を反映している。高解像度CT画像と合わせた高感度分子イメージングの組み合わせは、生理的血管新生または血管系として予想される発生源と、新生血管系の病的な発生源の識別を容易に促進する。 図3Aおよび図3Bは、図1A−1Dと類似した結果を示しているが、111Inをテクニシウムと置換したものである。
本発明は、脂質/界面活性剤コーティングを有し、平均粒径が約100〜500ナノメートル、好ましくは300ナノメートル前後の粒度範囲であるナノ粒子とキレート部分を結合した時に、放射性同位体を捕捉することができる特定の粒子状キレート部分の能力を利用する。これにより、腫瘍新生血管系への選択的送達が可能になり、腫瘍に特異的に関連する微小血管系の高解像度イメージングの局限化が可能になる。粒子状システムを用いた送達により付与される特異性により、正常組織におけるあらゆる血管新生、および新生血管系自体に関連しない腫瘍組織内のαβインテグリンの他の位置と関連するバックグラウンドが最小な状態で、この新生血管系の選択的イメージングが可能である。このインテグリンを標的とするナノ粒子はしたがって腫瘍新生血管系と特異的に関連するので、高感度・低分解能画像を得ることができ、新生血管系の高解像度画像へと導くことができる。
本発明のキレート剤に含まれる実際のキレート部分の一実施形態は、当該技術分野において公知の、ビスピリジルリシンである。しかし、このキレート部分はそれ自体、初期イメージングを成功させるためにナノ粒子と結合していなければならない。
本発明の方法におけるイメージングを行うためのキレート化された金属イオンは、放射性同位体である。特に好ましいのは、111Inおよび99mTcである。これらはいずれも、予備知識無しに初期の新生血管リッチな腫瘍を検出し、位置を特定するために用いられる。
本出願において、「血管新生」および「新生血管系」は場合によっては同義的に使用される。いずれの場合にも、インテグリンαβの発現は上昇し、本発明の標的化ナノ粒子はこの標的に集中する。別の標的を用いることもできるが、これが特に有効であると考えられる。
放射性同位体を含む本発明のキレート剤は、典型的には複数がナノ粒子と結合しており、1つのナノ粒子は4〜20個、好ましくは6〜10個の本発明のキレート剤を含む。ナノ粒子はまた、前述のように、新生血管系を特異的に標的とする。
Vx−2ウサギ腫瘍モデルにおける111In αβ−ナノ粒子の有用性が、その標的特異性の詳細とともに試験されている。蛍光および免疫組織化学的顕微鏡検査により、111In αβ−ナノ粒子は、新生血管リッチな領域中の腫瘍被膜内で濃縮され、血管内皮マーカーのFITC−レクチンと共局在化することが示されている。腫瘍内αβ−ナノ粒子についてはほとんど言及されておらず、どれも壊死性コア、マクロファージまたは腫瘍細胞と関係がなかった。この研究は、フー,G.ら、Int.J.Cancer(2007)120:1951−1957で報告されている。
111In αβ−ナノ粒子は、腫瘍新生血管系からの高感度・低分解能シグナルを提供し、このシグナルは迅速に認識され、数時間持続した。網内皮クリアランス臓器における放射能の蓄積にもかかわらず、放射標識されたナノ粒子は、脳、頭頚部、胸部、ならびに前立腺をはじめとする身体の多くの重要な領域で生じる早期癌を評価できることが期待される。111In αβ−ナノ粒子を用いて、ハイリスク患者における血管新生リッチな潜在的腫瘍または転移についてスクリーニングし、CTまたはMRIによる高分解能イメージングへと導くことができる。しかし、より低価格で、崩壊半減期がより短く、エネルギーγ線放射が好適で、かつ放射線安全域がより広いため、99mTc 放射性同位体が好ましい。
本発明のキレート系は医薬組成物または獣医用組成物、あるいは診断、イメージング、治療または可能な診断法もしくは治療法を評価するための研究に用いられる組成物の形態で投与されるよう設計される。本発明のキレート系は、典型的にはエマルションとして、組成物中に含まれる粒子状担体と結合またはカップリングするように設計される。
本明細書において、「粒子状担体」は、所望のドラッグデリバリーまたはイメージング機能を果たすナノ粒子またはミクロ粒子、あるいは一般に脂質/界面活性剤コーティングまたは層により封入された粒子を意味する。粒子状担体は、例えばリポソーム、ナノ粒子、ミセル、リポタンパク質、または他の脂質ベースの担体であり得る。これらは、気体および/または気体前駆体を含む気泡、炭化水素および/または含ハロゲン炭素化合物を含む粒子、中空または多孔質粒子もしくは固体であってもよい。一般に、粒子状担体は、追加の物質でコーティングされている固体粒子であるか、固体もしくは液体外層により囲まれている液体コアであるか、または固体もしくは液体外層により囲まれている気体もしくは気体前駆体を含み得る固体粒子であってよい。粒子状担体はエマルションの形態で供給することができる。活性組成物中の粒子状担体は、対象中の所望の組織または位置と選択的に結合する標的化部分と結合する。標的化部分は標的組織上に自然に存在する関連物質に特異的なリガンドであるか、または人工的に供給された部分の関連物質、例えばビオチン標識された標的組織と結合するアビジンであり得る。
これらの標的化部分は、抗体またはそれらのフラグメント、ペプチド模倣物、小分子リガンド、アプタマーなどであってもよい。前述のように、これらは典型的にはαβを標的とする。これらは活性組成物中のビヒクルと共有的または非共有的に結合する。
したがって、粒子状担体はそれ自体、固体粒子、液体でコーティングされた固体粒子、液体でコーティングされた液体粒子、および固体または液体でコーティングされた気体粒子をはじめとする様々な物理的状態のものであってもよい。本発明において有用な様々な担体は、標的化成分を活性組成物中のビヒクルと結合させるための手段と同様に当該技術分野において開示されている。このようなビヒクルは、例えば米国特許第6,548,046号;同第6,821,506号;同第5,149,319号;同第5,542,935号;同第5,585,112号;同第5,149,319号;同第5,922,304号;および欧州特許出願公開第727,225号に記載されており、これらの文献はすべて担体の構造に関して参照により本明細書に援用される。これらの文献は単に例示するものであり、本発明において有用な様々な種類の粒子状担体の全てを含むものではない。
いくつかの実施形態の不活性コアは、植物性油、動物性油もしくは鉱油、またはフルオロカーボン化合物(過フッ素化または他の方法でさらに不活性にされたもの)であってよい。鉱油としては、石油由来の油、例えばパラフィン油などが挙げられる。植物性油としては、例えばアマニ油、紅花油、大豆油、ヒマシ油、綿実油、パーム油およびココナツ油が挙げられる。動物性油としては、牛脂、豚脂、魚油などが挙げられる。多くの油はトリグリセリドである。
フッ素化液体もコアとして用いられる。これらは、直鎖、分岐鎖、および環状炭化水素を含み、好ましくは過フッ素化を含む。いくつかの十分にフッ素化、好ましくは過フッ素化された本発明の粒子において有用な有機化合物は、それ自体官能基を含む。過フッ素化炭化水素が好ましい。ナノ粒子コアは、このようなフッ素化物質の混合物を含み得る。典型的には、これらの不活性支持体においては少なくとも50%がフッ素化されていることが望ましい。好ましくは、不活性コアは20℃より高く、より好ましくは30℃より高く、さらにより好ましくは50℃より高く、さらにより好ましくは約90℃より高い沸点を有する。
したがって、本発明の上記ナノ粒子において特に有用なパーフルオロ化合物は、部分的または実質的または完全にフッ素化された化合物を含む。塩素化、臭素化またはヨウ素化形態も使用することができる。
ナノ粒子上の任意のコーティングに関して、比較的不活性なコアは、ナノ粒子自体に本発明のキレート系を固定する働きをする脂質/界面活性剤コーティングを備えている。エマルションが形成されるならば、コーティングは典型的には界面活性剤を含む。典型的には、コーティングは極性部分および非極性部分の両方を含むレシチン型化合物ならびに追加の物質、例えばコレステロールを含む。コーティング中に含められる典型的な物質としては、脂質界面活性剤、例えば天然または合成リン脂質だけでなく、脂肪酸、コレステロール、リソ脂質、スフィンゴミエリン、トコフェロール、糖脂質、ステアリルアミン、カルジオリピン、エーテルまたはエステル結合脂肪酸を有する脂質、重合脂質、および脂質結合ポリエチレングリコールが挙げられる。その他の界面活性剤が市販により入手可能である。
前記物質をアニオン性およびカチオン性界面活性剤と混合することができる。
フルオロケミカル界面活性剤もまた使用することができる。これらは、過フッ素化アルコールリン酸エステルおよびそれらの塩;過フッ素化スルホンアミドアルコールリン酸エステルおよびそれらの塩;過フッ素化アルキルスルホンアミドアルキレン第四アンモニウム塩;N,N−(カルボキシル置換低級アルキル)過フッ素化アルキルスルホンアミド;ならびにこれらの混合物が挙げられる。かかる界面活性剤に関して用いられる場合、「過フッ素化」という用語は、界面活性剤が少なくとも1個の過フッ素化アルキル基を含むことを意味する。
典型的には、脂質/界面活性剤はナノ粒子の0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の合計量で使用される。一実施形態において、脂質/界面活性剤カプセル化エマルションは核酸物質の粒子表面への付着を促進する界面活性剤中のカチオン性脂質と共に配合できる。カチオン性脂質としては、DOTMA、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド;DOTAP、1,2−ジオレオイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン;およびDOTB、1,2−ジオレオイル−3−(4’−トリメチル−アンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロールを使用できる。一般に、脂質/界面活性剤単層中のカチオン性脂質の非カチオン性脂質に対するモル比は、例えば1:1000〜2:1、好ましくは2:1から1:10の間、さらに好ましくは1:1から1:2.5の間の範囲、最も好ましくは1:1(カチオン性脂質のモル量の非カチオン性脂質、例えばDPPCのモル量に対する比)である。様々な脂質は、すでに記載したものに加えて、エマルションエマルション界面活性剤の非カチオン性脂質成分、特にジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジル−エタノールアミンまたはジオレオイルホスファチジルエタノールアミンを含み得る。前述のカチオン性脂質の代わりに、ポリアミンなどのカチオン性ポリマーを有する脂質、例えばスペルミンまたはポリリシンまたはポリアルギニンも脂質界面活性剤中に含めることができ、負に荷電した治療物質、例えば遺伝物質またはその類似体をエマルション粒子の外側と結合させることができる。
他の粒子状ビヒクルも本発明の方法の実施に使用することができる。例えば、粒子はリポソーム粒子、またはリポタンパク質、例えばHDL、LDLおよびVLDLであってもよい。様々な種類のリポソームを記載する文献が膨大にあり、当業者には周知である。一般に、リポソームは1つ以上の両親媒性部分およびステロイド、例えばコレステロールを備える。これらは単層、多層であってよく、様々なサイズであり得る。これらの親油特性を、不活性コアを有するナノ粒子上のコーティングに関して前述したのと類似した方法でキレート剤に結合させるために使用することができ;またはリポソームの成分への共有結合を使用することができる。ミセルは類似の物質からなり、所望の物質、特にキレート剤を結合するための前記手法をこれに同様に適用することができる。脂質の固体形態も使用することができる。
加えて、タンパク質または他のポリマーを使用して粒子状担体を形成することができる。これらの物質は、親油性コーティングを適用した不活性コアを形成できるか、または例えば親和性試薬を粒子状固体支持体に結合させる際に用いられる技術等の技術を用いることにより、キレート剤をポリマー物質に直接結合させることができる。したがって、例えばタンパク質から形成された粒子を、例えばカルボジイミドが介在する脱水反応により、カルボン酸および/またはアミノ基を含む連結鎖分子と結合させることができる。硫黄含有タンパク質を、マレイミド結合を介して、キレート剤が結合した連結鎖を含む他の有機分子と結合させることができる。粒子状担体の性質に応じて、キレート剤の歯状部分と粒子の表面との間を結合して、オフセットを得る方法は当業者に周知である。
さらに、粒子状担体として使用される粒子は、気泡または使用時に気泡を形成する前駆体を含み得る。これらの場合、液体または固体ベースのコーティング中に気体が含まれる。
いくつかの実施形態において、粒子状担体は、フィブリン塊、肝臓、膵臓、ニューロン、腫瘍組織、即ち特定の細胞表面または他のリガンド結合部分を特徴とする任意の組織などの別の標的についての標的化剤を含み得る。この標的化を行うために、好適なリガンドを粒子に直接的または間接的に結合させる。間接的な方法は、参照により本明細書に援用される米国特許第5,690,907号に記載されている。本方法においては、ナノ粒子の脂質/界面活性剤層をビオチニル化し、標的組織を、標的と特異的に結合するリガンドのビオチニル化形態と結合させる。ビオチニル化ナノ粒子は次いで、2つのビオチニル化成分と結合するアビジンの介在によりその標的に到達する。
別法として、特異的リガンド自体を粒子に直接、好ましくは、しかし必ずしもその必要はないが、共有結合的に結合させる。したがって、このような「直接的」結合において、所望の位置に含まれる標的の特異的結合パートナーであるリガンドは、ビオチニル化リガンドが意図される標的にある場合の間接的カップリングと対照的に、それ自体が粒子の成分と結合する。このような直接的結合は、結合分子を介して、または表面成分との直接的相互作用により、行うことができる。ホモ二官能性およびへテロ二官能性結合分子は市販されており、リガンド上に含まれる官能基は、共有結合を行うために使用できる。標的化リガンド上に存在し得る典型的な官能基としては、アミノ基、カルボキシル基およびスルフヒドリル基が挙げられる。加えて、架橋法、例えばグルタルアルデヒドが介在する方法を使用できる。例えば、スルフヒドリル基を結合分子または表面成分の不飽和部分を介して結合させることができ;カルボジイミド等の脱水剤で処理することにより、リガンド上のアミノ基と表面に含まれるカルボキシル基、またはその逆との間にアミドを形成することができる。リガンドを、一般的な粒子成分および一実施形態においては脂質/界面活性剤コーティングで用いられるものなどの成分と直接結合させるための様々な方法が当該技術分野で公知である。
さらに詳細には、標的化リガンドを外層の成分と共有結合させることにより結合させるため、様々な種類の結合剤および連結剤を用いることができる。このような結合を形成するための典型的な方法としては、カルボジイミドを使用したアミドの形成、またはマレイミド等の不飽和成分を使用したスルフィド結合の形成が挙げられる。他の結合剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、プロパンジアールまたはブタンジアール、2−イミノチオランヒドロクロリド、ジスクシンイミジルスベレート等の二官能性N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ジスクシンイミジルタルトレート、ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、例えばN−(5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシ)スクシンイミド、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、およびスクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート等のヘテロ二官能性試薬、例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン、4,4’−ジフルオロ−3,3’−ジニトロジフェニルスルホン、4,4’−ジイソチオシアノ−2,2’−ジスルホン酸スチルベン、p−フェニレンジイソチオシアネート、カルボニルビス(L−メチオニンp−ニトロフェニルエステル)、4,4’−ジチオビスフェニルアジド、エリスリトールビスカーボネート等のホモ二官能性試薬および、例えばジメチルアジピミデートヒドロクロリド、ジメチルスベルイミデート、ジメチル3,3’−ジチオビスプロピオンイミデートヒドロクロリド等の二官能性イミドエステルなどが挙げられる。結合は、アシル化、スルホン化、還元的アミノ化などによっても達成できる。市販の結合系としては、AnorMED(ブリティッシュコロンビア州、ラングレー)から販売されているHYNICリンカー技術が挙げられる。所望のリガンドを外層の1つ以上の成分と共有結合により結合させる多くの方法は当該技術分野において周知である。
例えば、直接的な結合を行う方法は、米国特許第6,676,963号に詳細に記載されており、これらの方法に関して参照により本明細書に援用する。
前述の論議は包括的なものではない。アプタマーを用いる特定の場合において、カチオン性界面活性剤を粒子のコーティングとして使用することにより、アプタマーをナノ粒子とカップリングさせることが有利であり得る。
標的化剤自体は意図される標的部位に特異的な任意のリガンドであり得る。標的部位は標的剤またはリガンドの「同系」、即ち標的化剤またはリガンドと特異的に結合する部分を含む。よく知られている同系対としては、抗原/抗体、レセプター/リガンド、ビオチン/アビジンなどが挙げられる。一般に、このようなリガンドは、抗体またはその部分、目的の標的と結合するように設計されたアプタマー、オピオイドレセプター結合リガンドなどの特異的レセプターの公知のリガンド、特定のレセプターを標的とすることが知られているホルモン、ペプチド模倣物などを含み得る。いくつかの臓器では、公知のリガンドと結合する表面分子を含むことが知られ;好適なリガンドが未知である場合でさえも、標準的技術を用いて抗体を作製および修飾することができ、アプタマーをかかる結合のために設計することができる。
抗体またはそれらのフラグメントを標的化剤として用いることができ、自然にまたは設計によって結合する公知のリガンドを標的が有するかどうかにかかわらず、実質的に任意の標的について作製することができる。モノクローナル抗体の作製をはじめとする抗体作製の標準的な方法は当該技術分野において周知であり、ここで繰り返す必要はない。抗体の結合部分がその可変領域にあることは周知であり、したがってFab、F、およびscF部分などの可変領域のみを含む抗体のフラグメントは「抗体」の定義に含まれる。抗体およびその定義に含まれるこれらのフラグメントの組み換え体産生方法も十分に確立されている。イメージングがヒト対象について行われる場合、標的化リガンドとして働く任意の抗体をヒト化することが好ましい。このようなヒト化の技術も周知である。
イメージングに使用される好適な常磁性金属としては、原子番号58〜70のランタニド元素または原子番号21〜29、42もしくは44の遷移金属、即ち、例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、およびイッテルビウムなどが挙げられ、最も好ましくはGd(III)、Mn(II)、鉄、ユーロピウム、および/またはジスプロシウムである。
放射性核種イメージングおよび治療のために、前述のMRIで使用するために錯体形成された金属イオンと同様の方法で放射性核種をキレート化システム中に含めるか、または別の結合を使用することができる。放射性核種は、治療用または診断用のいずれであってもよく;かかる核種を用いた診断用イメージングは周知であり、放射性核種を望ましくない組織に標的化させることにより治療上の効果を達成することもできる。典型的な診断用放射性核種としては、99mTc、95Tc、111In、62Cu、64Cu、67Ga、および68Gaが挙げられ、治療用核種としては、186Re、188Re、153Sm、166Ho、177Lu、149Pm、90Y、212Bi、103Pd、109Pd、159Gd、140La、198Au、199Au、169Yb、175Yb、165Dy、166Dy、67Cu、105Rh、111Ag、および192Irが挙げられる。
様々な方法であらかじめ形成されたエマルションに核種を備えつけることができる。例えば、99Tc−過テクネチウム酸塩を過剰の塩化第1スズと混合し、ナノ粒子のあらかじめ形成されたエマルション中に組み入れることができる。スズオキシネートは塩化第1スズと置換することができる。加えて、市販のキット、例えばNycomed Amershamにより提供されているCeretek(登録商標)として販売されているHM−PAO(エキサメタジム)キットを使用できる。様々な放射性リガンドを本発明のナノ粒子と結合させるための手段は当該技術分野において理解されている。前述のように、放射性核種は補助材料ではなく、組成物が放射性核種に基づく診断または治療目的で単独で使用される場合に、常時性イオンの代わりにキレート剤を占有する。
本発明のキレート化系に加えて、粒子状担体は治療剤を含み得る。これらの生理活性物質は、例えばタンパク質、核酸、医薬品、放射性核種など様々であってよい。したがって、好適な医薬品は、抗腫瘍薬、ホルモン、鎮痛剤、麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌剤または駆虫剤、抗ウイルス薬、インターフェロン、抗糖尿病薬、抗ヒスタミン剤、鎮咳薬、抗凝固剤などを含む。
本発明のキレート系は式(1)で表わされる化合物である。
Figure 2010510252
(式中、各Xは、独立してCRまたはNであり;
各Rは、独立してHまたは低級アルキルであり;
各Rは、独立してハロゲン、アルキル(1〜6C)、アルケニル(2〜6C)、またはアルキニル(2〜6C)であり;
nは、0、1、または2であり;
スペーサーは、4個以上の炭素を有するアルキレンまたはアルケニレン鎖であり;
スペーサーは、存在する場合、スペーサーを脂質部分と結合させ、親水性の必要に応じて置換されていてもよいアルキレン鎖であり、ここで1つ以上のCがNまたはOで置換されていてもよく、前記鎖は1つ以上のOR、NR、=O、COOR、CONR、OOCR、および/またはNRCORで置換されていてもよい、ここで各Rは独立してHまたは低級アルキルである;
mは、0または1であり;
脂質は、脂肪酸、リン脂質、スフィンゴ脂質またはステロイドを表す)
いくつかの実施形態において、窒素含有環の一つまたは両方が置換されている。このような置換基は、キレート作用を持つよう電子供与対を供給しないように選択される。いくつかの実施形態において、いずれかまたは両方の環の一つのXは窒素であり、他方はCRである。他の実施形態において、両方のXは窒素であり、さらに他の実施形態においては、両方のXはCRである。Rの好ましい実施形態はそれぞれ水素およびメチルまたはエチルである。
ビスピリジル部分によりもたらされる分子のキレート化機能は、所望の正に帯電した金属イオンを捕捉する。組成物をMRIに使用する場合、常磁性金属がキレート化され;低分解能・高感度イメージングの本発明の方法において使用するため、放射性同位体が用いられる。本発明の方法において特に有益なのは99mTcの使用であり、これはリュー,S.らによるBioconjugate Chem.(1997)8:621−636の総説に記載されている。この総説は、医薬において特に有用であるこの同位体(半減期6時間)の様々な形態の調製法を記載している。しばしば用いられる別の実施形態は111Inであり、これは2.8日の半減期を有する。
スペーサーは、4個以上の炭素、場合によっては6個以下の炭素または8個以下の炭素を有するアルキレンまたはアルケニレン鎖と定義される。スペーサーは必要に応じて切断部位を提供し、前述のような官能基をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、水性媒体中での溶解度を高めるポリエチレングリコール部分を導入することができる。スペーサー中に含まれる好ましい官能基はとしては、アミド基およびアミノ基が挙げられる。
スペーサーを疎水性部分、典型的にはリン脂質またはスフィンゴ脂質と結合させる。好ましいリン脂質は、スペーサーと結合するための官能基を含むもの、例えばホスファチジルエタノールアミンである。
スペーサーの一の特定の実施形態において、アルキレン鎖はリシン残基により与えられる。式1の化合物のこの部分は、典型的には当該技術分野において記載されているように、2モルのアルデヒド置換ピリジルを、αアミノ基が保護されたリシン残基と反応させることにより合成することができる。その後のリシン残基のカルボキシル基と、アルコールまたはアミンとの反応の結果、スペーサーが付加される。一つの適切なアルコールはポリエチレングリコールであり、典型的には40〜60モノマー、好ましくは45〜50モノマーを含む。アルコールでない場合はω−アミノカルボン酸などのアミンまたはヒドロキシルカルボン酸である。
前述のように、脂質部分の好ましい実施形態はホスファチジルエタノールアミンである。スペーサー残基の任意のカルボキシル基はホスファチジルエタノールアミンと反応することを容易にしている。ホスファチジルエタノールアミンと結合したアシル基は様々な鎖長を有するものであり得るが、疎水性アンカーを提供するために十分な長さでなければならない。典型的には、アシル基は少なくとも12個の炭素原子を含み、12〜24個の炭素原子の範囲のアシル基が想定される。アシル基は飽和であっても不飽和であってもよいが、好ましくは飽和である。
次の調製および例は説明のために示すものであり、本発明を限定するものではない。
調製A
αβに対する標的化剤の調製
A.DSPE−PEG(2000)マレイミド−メルカプト酢酸付加物
Figure 2010510252
をまず次のように調製する:
1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[マレイミド(ポリエチレングリコール)2000]をDMF中に溶解させ、窒素またはアルゴンを注入することにより脱気する。DIEAを用いて酸素非含有溶液をpH7〜8に調節し、メルカプト酢酸で処理する。出発物質が完全に消費されたことが分析で示されるまで、撹拌を周囲温度で続ける。溶液を次の反応で直接使用する。
次に、DSPE−PEG(2000)マレイミド−メルカプト酢酸付加物を2−[({4−[3−(N−{2−[(2R)−2−((2R)−2−アミノ−3−スルホプロピル)−3−スルホプロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]−2,6−ジメチルフェニル}スルホニル)アミノ](2S)−3−({7−[(イミダゾール−2−イルアミノ)メチル]−1−メチル−4−オキソ(3−ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸と結合させて、以下の化合物(2)を次のように得る。
Figure 2010510252
HBTUおよび十分なDIEAを添加することにより上記の付加物溶液を予備活性化し、pH8〜9を維持する。この溶液に、2−[({4−[3−(N−{2−[(2R)−2−((2R)−2−アミノ−3−スルホプロピル)−3−スルホプロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]−2,6−ジメチルフェニル}スルホニル)アミノ](2S)−3−({7−[(イミダゾール−2−イルアミノ)メチル]−1−メチル−4−オキソ(3−ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸を添加し、溶液を室温、窒素下で、18時間撹拌する。DMFを真空中で除去し、粗生成物を分取HPLCにより精製して、複合体を得る。
B.類似の手順を用いて、式(2A)の誘導化標的剤を得た。
Figure 2010510252
調製B
ナノ粒子の調製
A.一実施形態において、ナノ粒子はフラック,S.ら、Circulation(2001)104:1280−1285に記載されているようにして製造する。簡単に説明すると、ナノ粒子エマルションは、40%(v/v)のパーフルオロオクチルブロミド(PFOB)、2%(w/v)の界面活性剤共混合物、1.7%(w/v)のグリセリンと、残りは水から構成される。
コントロールの界面活性剤、即ち非標的化エマルションは、60モル%のレシチン(
Avanti Polar Lipids,Inc.、アラバマ州アラバスター)、8モル%のコレステロール(シグマケミカル社、ミズーリ州セントルイス)および2モル%のジパルミトイル−ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)(Avanti Polar Lipids,Inc.、アラバマ州アラバスター)を含む。
αβ標的化常磁性ナノ粒子は、前述の方法に従い、60モル%のレシチン、αβ−インテグリンペプチド模倣物アンタゴニストと共有結合した0.05モル%のN−[{w−[4−(p−マレイミドフェニル)ブタノイル]アミノ}ポリ(エチレングリコール)2000]1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(MPB−PEG−DSPE)(Bristol−Myers Squibb Medical Imaging,Inc.、マサチューセッツ州ノースビレリカ)、8モル%のコレステロール、30モル%のGd−DTPA−BOAおよび1.95モル%のDPPEを含む界面活性剤共混合物を用いて調製する。
各ナノ粒子配合物の成分をM110S Microfluidics乳化機(Microfluidics、マサチューセッツ州ニュートン)中、20,000PSIで4分間乳化させる。完成したエマルションをクリンプで密封したバイアル中に入れ、窒素を充填した。
レーザー光散乱サブミクロン粒度アナライザー(Malvern Instruments、英国マルベルン、ウースターシャー)を用いて37℃で粒度を測定し、ナノ粒子の濃度を公称粒度(即ち、球の粒子体積)から計算する。ほとんどの粒子は400nm未満の直径を有する。
パーフルオロカーボン濃度を、炎イオン化検出を用いたガスクロマトグラフィー(Model 6890、Agilent Technologies,Inc.、デラウェア州ウィルミントン)で測定する。エタノール中10%水酸化カリウムおよび2.0mlの内部標準(Freon(登録商標)中0.1%オクタン)と合わせた1mlのパーフルオロカーボンエマルションを激しくボルテックスし、次いでシェーカーで30分間連続して撹拌する。下側の抽出層を、シリカゲルカラムを通して濾過し、分析まで4〜6℃で保存する。初期カラム温度は30℃であり、10℃/分の勾配で145℃まで上昇させる。
B.別の実施形態において、乳化パーフルオロオクチルブロミド(PFOB)ナノ粒子は、ウィンター,P.M.ら、Cancer Res.(2003)63:5838−5843;シュミーダー,A.ら、Magn.Reson.Med.(2005)53:621−627;およびフー,G.ら、Int.J.Cancer(2007)120:1951−1957によりすでに報告されているようにして調製した。これらは20%(v/v)のPFOB(Exfluor Corp.、テキサス州ラウンドロック)、2%(w/v)の界面活性剤、および残りの脱イオン水を含んでいた。インテグリン標的化粒子の界面活性剤共混合物は、3〜5モル%のビスピリジル−リシン−カプロイル−ホスファチジルエタノールアミン、0.1モル%の、式(2)のPEG2000−ホスファチジルエタノールアミンと複合体形成したビトロネクチンアンタゴニスト、および残りの精製卵PC(Avanti Polar Lipids,Inc.)を含んでいた。界面活性剤共混合物をクロロホルム中に溶解させ、減圧下で蒸発させ、50℃真空中で一夜乾燥して、脂質フィルムにした。界面活性剤をパーフルオロオクチルブロミド(PFOB)および蒸留脱イオン水と粗ブレンドし、次いでMicrofluidics M110Sフルイダイザー(Microfluidics)を用いて20,000psiで4分間乳化させた。αβ標的化粒子を、Malvern Dynamic Light Scattering Zetasizer 4 System(Malvern Instruments,Ltd.)を用いて37℃で測定し、典型的には多分散指数0.2で直径270nmであった。αβ標的化ナノ粒子の生物活性を、インビトロでビトロネクチン細胞接着検定により確認および観察した。
調製C
αβ標的化粒子の99mTc放射性同位体による標識(比較例)
比較のために、いくつかの親油性キレートを合成し、放射標識パーフルオロカーボンナノ粒子について評価した。簡単に説明すると、これらの脂質−キレートは、6−ヒドラジノニコチン酸−ホスファチジルエタノールアミン(HYNIC−PE)、ジエチレントリアミンペンタアセテート−カプロイル−ホスファチジルエタノールアミン(DTPA−cap−PE)、Gly−Gly−Gly−カプロイル−ホスファチジル−エタノールアミン(トリGly−cap−PE)、Gly−Gly−Gly−Asp−カプロイル−ホスファチジル−エタノールアミン(トリGly−Asp−cap−PE)、N2S2−ホスファチジルエタノールアミン(N2S2−PE)、およびN2S2−NH−ホスファチジルエタノールアミン(N2S2−NH2−PE)を含んでいた。トリシン中間体シャトルステップを用いた99mTcの酒石酸スズ還元を利用してメタル化の間の99mTcO形成を最小限に抑えた。99mTcを下記のようにトリカルボニル前駆体を介してビスピリジル−リシンと結合させた。
1個のナノ粒子あたり6〜10個の99mTc同位体を高効率(>90%)で結合させるため、いくつかの候補親油性キレートの合成、スクリーニングおよび試験を必要とした。表1はナノ粒子への99mTcの結合の結果および両者を実験するよう選択したものについて遊離キレートに対する結合の結果を簡単にまとめたものである。
式(3)および式(4)のトリデンテートビスピリジル−リシン−ホスファチジルエタノールアミン複合体に続いてビデンテートヒスチジン−ホスファチジルエタノールアミンおよび脂質修飾HYNICキレートを用いた場合最良の結果が得られた。DTPA−PEは機能が不十分であり、2つのトリGly親油性化合物は有効ではなかった。一般に用いられるテトラデンテートN2S2キレートのリン脂質誘導体は、溶液中で99mTcと結合したが、インプロセス条件の様々なpH調節にもかかわらず、ナノ粒子脂質界面活性剤中に組み入れられた場合は機能が不十分であった。
Figure 2010510252
調製D
99mTc−トリカルボニル前駆体および99mTcナノ粒子の調製
660μlの脱イオン水中水素化ホウ素ナトリウムNaBH4(0.53M)、炭酸ナトリウム(0.14M)、および酒石酸ナトリウム(0.24M)をガラスセラムバイアル中で混合した。バイアルを一酸化炭素で20分間パージし、次いで2368MBqの過テクネチウム酸ナトリウム99mTcOを添加し、内容物を100℃で20分間加熱した。大気圧に平衡化した後、反応混合物を0.1Mリン酸塩緩衝液(pH7.4):1M HClの1:3混合物でpH7に調節し、下記のようにしてHPLCにより純度を測定した。反応混合物を水浴中40℃で、30分間、6〜10分子の式(3)または式(4)のキレート部分を含む50〜100μLのナノ粒子と結合させた。ナノ粒子放射標識収率は、0.1M酢酸ナトリウムpH5.18:メタノール:水(20:100:200)で展開させたTLCで測定すると90%を超え、これはナノ粒子1個あたり約6原子の99mTcであった。
Figure 2010510252
ビス−Py−Lysocap−PE
式(3)の化合物に加えて、式(4)の化合物、ビス−Py−Lyso−PEG−cap−PEを使用した。この化合物において、(PEG)45はリシンのカルボキシルおよびω−アミノカプロン酸のアミノ基と結合している。
fac−[99mTc(OH(CO)の形成は、逆相HPLCシステム(Waters Corporation)および検出用ガンマカウンター(PerkinElmer Life And Analytical Sciences,Inc.)により確認した。HPLC条件は次のとおりである:Waters SymmetryShield(商標)RP8 3.5μm、4.6×250mm、逆相カラムならびに0.05Mリン酸トリエチルアンモニウム(TEAP)pH2.68およびメタノール(MeOH)の移動相勾配。適用された勾配は次のとおりであった:A、0から3分 100%TEAP;3から6分、100%から75%TEAP;6から9分 75%から66%TEAP;B、34%から100%MeOH 9から20分、100%MeOH 20から27分、100%MeOHから100%TEAP 27から30分。流速は周囲温度で1mL/分であった。
実施例1
VX−2−ウサギ腫瘍モデル:オスのニュージーランドシロウサギ(約2kg)を筋肉内ケタミンおよびキシラジン投与で麻酔した。各動物の左後肢の毛を剃り、無菌調製し、Marcaine(商標)を染みこませた。2〜3mmのVx−2腫瘍(DCTD Tumor Repository,National Cancer Institute、マサチューセッツ州フレデリック)を膝窩中に小切開を通して約0.5cmの深さで移植した。解剖面を閉じ、1本の吸収性縫合糸で固定した。皮膚をDermabond(商標)皮膚用接着剤で閉じた。ケタミンおよびキシラジンの効果をヨヒンビンで無効にすることにより動物を回復させた。
Vx−2腫瘍移植の12〜16日後に、ウサギを1〜2%のIsoflurane(商標)で麻酔し、挿管し、通気した。放射標識されたナノ粒子を注入するために、静脈内カテーテルを各ウサギの辺縁耳静脈中に留置した。ワシントン大学医学部での動物実験委員会により承認されたプロトコルにしたがって麻酔しながら動物を生理学的にモニターした。
二次元イメージング実験:VX−2腫瘍を移植した21匹のウサギを無作為に5つの治療群に分けて、腫瘍対筋肉比(TMR)対比反応を評価した。選択された治療群(grps)を用いて99mTc αβ−ナノ粒子(grps1〜3)の最適用量を決定し、αβ標的化対非標的化99mTcナノ粒子(grps2対4)を比較し、非標識αβ−ナノ粒子により競合的に阻害された99mTc αβ−ナノ粒子のホーミング特異性を証明した(grps2対5)。
1)11MBq/kg 99mTc αβ−ナノ粒子(n=5)
2)22MBq/kg 99mTc αβ−ナノ粒子(n=4)
3)44MBq/kg 99mTc αβ−ナノ粒子(n=4)
4)22MBq/kg 非標的化99mTc ナノ粒子(n=4)
5)22MBq/kg 99mTc αβ−ナノ粒子、20倍過剰の非標識αβ−ナノ粒子(n=4)と同時投与。
全注入体積(0.3ml/kg)を、コントロールナノ粒子(即ち、非標的化、非標識)を含めて群1〜4について維持した。
二次元イメージング実験のために、ウサギを高エネルギーピンホールコリメータ(開口度3mm)の直ぐ下3cmに配置し、臨床用Genesysシングルヘッドガンマカメラ(Philips Medical Systems)で撮像した。20%ウィンドウカメラを140keV、128×128×16の解像度で用いて、注入後7.5分から始めて2時間にわたって15分間画像を取得した。画像スタックをDICOMフォーマットでLinuxワークステーションにエクスポートし、ImageJソフトウェア(rsb.info.nih.gov/ij/のワールドワイドウェブにある)で処理した。匹敵するサイズの関心領域(ROI)を手作業で腫瘍シグナル、筋肉およびバックグラウンド領域周辺に配置して、平均ピクセル活性を決定した。
99mTc αβ−ナノ粒子注入後の最初の2時間で腫瘍新生血管系から動的に得られた99mTcシグナルは腫瘍−筋肉比として表示する。
11MBq/kgで投与された99mTc αβ−ナノ粒子は、15分後に早期コントラスト促進(TMR)(7.08±0.97)を有し、これは22MBq/kg用量(7.71±1.15)で認められる初期シグナルに匹敵するが、その後、残りの2時間の実験間隔にわたってさらに低い(p<0.05)ままであった(11MBq/kg、7.32±0.12対22MBq/kg、8.56±0.13)(図1A)。
44MBq/kgの99mTc αβ−ナノ粒子を投与されたウサギにおけるTMRは15分での22MBq/kg反応(6.38±0.48)よりも低く(p<0.05)、残りの2時間にわたって低いまま(p<0.05)であった(6.55±0.07、図1B)。これらの結果から、22MBq/kgを超えて投与された99mTc αβ−ナノ粒子は利用可能なαβ−インテグリン結合部位を飽和させ、過剰の循環活性は高度の血管筋肉対照において測定されるバックグラウンドを増加させたことが示唆される。
22MBq/kgで投与された非標的化99mTcナノ粒子は、注入後15分で、22MBq/kg(8.56±0.13、p<0.05)(図1C)または11MBq/kg(7.32±0.12)で投与された99mTc αβ−ナノ粒子よりも低い(p<0.05)新生血管シグナル(TMR)(5.54±0.47)を示していた。この差は2時間の実験間隔中持続した(p<0.05)。
99mTc αβ−標的化ナノ粒子(22MBq/kg)の非標識αβ−ナノ粒子によるインビボにおける競合的阻害は、15分(5.16±0.31)および2時間の実験全体にわたって(5.31±0.06、図1D)、非標的化ナノ粒子と等しいレベルまで腫瘍シグナルを減少させた(p<0.05)。
SPECT−CTイメージング:臨床用Precedence SPECT/CT 16スライススキャナー(Philips Medical Systems)を用いて行った。オスニュージーランドシロウサギ(約2kg)を1〜2%のIsoflurane(商標)で麻酔し、挿管し、通気した。静脈投与を右耳静脈で行い、動物を伏臥位で脚を前にして机の上に載せた。動物に11MBq/kgの99mTc αβ−ナノ粒子を投与した。注射の30分後、2つの重複する長方形のCTおよびSPECT領域を選択して、SPECT画像を減衰補正した(FOV 350mm、マトリックス512×512、CTスライス厚さ3.3mm)。マルチスライスCTセッティングは、120kVで250mAs/スライスであった。SPECT画像取得は、2.19ズームおよび27.3cm×27.3cmマスクの低エネルギー・高分解能コリメータを用いた64、30秒投射(マトリックス128×128ピクセル)により行った。
トモグラフィー射影からのSPECT体積の再構成を、3次元サブセット期待値最大化再構成アルゴリズム、Astonish(Philips Medical Systems)を用いたAutoSPECT Plus3.0ソフトウェアパッケージを有するJETStream Workspace2.5.1ワークステーション(Philips Medical Systems)で行った。このアルゴリズムはCT減衰マップ、散乱および放射性同位体崩壊補正を含んでいた。CTおよびSPECT再構成画像セットのコレジストレーションを、JETStream Workspace上のSyntegra(バージョン2.3.1)パッケージを用いて行った。
図2A〜2Fは、ウサギ後四半部の二次元トモグラフィーCT画像を表し、脚、骨、および膝窩内の結節腫瘤を明らかにしている。膝窩内で左右相称に観察される軟組織塊(図2A)を腫瘍またはリンパ節として識別できなかった。その理由は、常にこの領域は顕著なリンパ節を伴うからである。減衰補正および崩壊補正されたSPECT画像の組み合わせにおいて、上右窩中に位置する約1cmの組織塊と関連する99mTc αβ−ナノ粒子由来の新生血管シグナルの存在は、容易に認識され、隣接するリンパ節と区別できる。増加した核シグナルの他の領域は骨および思春期前の睾丸と関連する。これらのコントラストシグナルは左右相称に観察され、血管形成および血流が多い臓器中にみられる。高感度分子イメージングと高分解能CTイメージングとの組み合わせは、新生血管系の病理学的発生源を、生理学的血管形成の予想される発生源と識別することを容易にした。
組織学:イメージング後、動物を安楽死させ、腫瘍を切除し、秤量し、慣用の組織病理学のためのOCT中で急速に凍結した。2匹の動物で、精索内の新生血管を確認するための陽性コントロールとして精巣を摘出した。アセトン固定し、凍結された組織を切断(5μm)し、通常どおりヘマトキシリンおよびエオジンで染色するか、またはVectastain(登録商標)Elite ABCキット(Vector Laboratories)を用いてαβ−インテグリン(LM−609,Chemicon International,Inc.)について免疫染色し、Vector(登録商標)VIPキットで現像した。Nikon E800研究用顕微鏡を用いて顕微鏡画像を得て、Nikon DXM1200カメラでデジタル化した。
この実験において、Vx−2腫瘍を膝窩から摘出して、その病状および血管形成の特徴を確認し、これらは従来の公開された画像と一致することが証明された。一般に、Vx−2腫瘍は典型的には円形であり、それらの最大寸法は0.6cm〜1.5cm以下であった。新生血管系は末梢腫瘍カプセル内で非対称に分布し、最大密度は筋肉腫瘍界面に沿って認められた。SPECT−CTにより強力な99mTc αβ−ナノ粒子コントラストシグナルを示す睾丸組織を2匹の動物から摘出し、抗αβ−インテグリン抗体(LM609)を用いて血管形成について調べた。αβ−インテグリンによる顕著な免疫染色は、観察されたインビボ核シグナルを明らかに裏付け、独立した陽性コントロール部位を提供した。
統計的分析:分散分析(r−project.orgでワールドワイドウェブにある)およびスチューデントt検定(gnu.org/software/gslでワールドワイドウェブにある、GSLパッケージ)を含む、一般的線型モデルを用いてデータを分析した。LSD法(p<0.05)により平均分離を得た。平均化したデータは特に記載しない限り平均±平均の標準偏差として表す。
実施例2
111Inを用いたイメージング
実施例1において前述したものと類似した手順で、本発明の組成物をウサギVx−2腫瘍モデルにおいて用い、実施例1と同様に放射能の腫瘍対筋肉比を比較した。結果を図3A〜3Bにおける様々な用量および組み合わせについて示す。図3Aは用量として10倍増加させた場合の前期比に対する効果を比較し、図3Bは同じ投与レベルでの標的化ナノ粒子対非標的化ナノ粒子を比較する。

Claims (22)

  1. 正常組織における血管新生と異なるものとして腫瘍と関連した新生血管の位置を特定する方法における、キレート化放射性同位元素を含みαβを標的とするナノ粒子エマルションの使用であって、前記方法が、
    腫瘍を有する対象に、キレート化放射性同位元素を含みαβを標的とする前記ナノ粒子エマルションを投与し、新生血管系の高感度・低分解能画像を得ることと;
    任意に、次に、前記腫瘍の新生血管系の高分解能・低感度画像を得ることを含む使用。
  2. 腫瘍における新生血管系の高感度・低分解能画像を筋肉中の類似した画像と比較することを含む、請求項1に記載の使用。
  3. キレート剤が式(1)で表される化合物である、請求項1に記載の使用
    Figure 2010510252
    (式中、各Xは、独立してCRまたはNであり;
    各Rは、独立してHまたは低級アルキルであり;
    各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル(1〜6C)、アルケニル(2〜6C)、またはアルキニル(2〜6C)であり;
    nは、0、1、または2であり;
    スペーサーは、4個以上の炭素を有するアルキレンまたはアルケニレン鎖であり;
    スペーサーは、存在する場合、スペーサーを脂質部分に結合させ、親水性の必要に応じて置換されていてもよいアルキレン鎖であり、ここで、1個以上のCがNまたはOで置換されていてもよく、前記鎖はOR、NR、=O、COOR、CONR、OOCR、および/またはNRCORのうちの1つ以上で置換されていてもよい、ここで、各Rは独立してHまたは低級アルキルである;
    mは、0または1であり;
    脂質は、脂肪酸、リン脂質、スフィンゴ脂質またはステロイドを表す)
  4. 放射性同位体が99mTcまたは111Inである、請求項1に記載の使用。
  5. 対象における腫瘍に関連する新生血管系の画像を得る方法であって、前記対象における新生血管系の高感度・低分解能画像を得ることを、前記対象の腫瘍における新生血管系の高分解能画像を得ることと組み合わせて含む方法。
  6. 前記高感度・低分解能画像がキレート化放射性同位体を用いて得られ、前記キレート剤が式(1)で表される化合物である、請求項5に記載の方法。
    Figure 2010510252
    (式中、各Xは、独立してCRまたはNであり;
    各Rは、独立してHまたは低級アルキルであり;
    各Rは、独立してハロゲン、アルキル(1〜6C)、アルケニル(2〜6C)、またはアルキニル(2〜6C)であり;
    nは、0、1、または2であり;
    スペーサーは、4個以上の炭素を有するアルキレンまたはアルケニレン鎖であり;
    スペーサーは、存在する場合、スペーサーを脂質部分に結合させ、親水性の必要に応じて置換されていてもよいアルキレン鎖であり、ここで、1個以上のCがNまたはOで置換されていてもよく、前記鎖はOR、NR、=O、COOR、CONR、OOCR、および/またはNRCORのうちの1つ以上で置換されていてもよい、ここで、各Rは独立してHまたは低級アルキルである;
    mは、0または1であり;
    脂質は、脂肪酸、リン脂質、スフィンゴ脂質またはステロイドを表す)
  7. 前記放射性同位体が99mTcまたは111Inである、請求項6に記載の方法。
  8. 式(1)で表される化合物。
    Figure 2010510252
    (式中、各Xは、独立してCRまたはNであり;
    各Rは、独立してHまたは低級アルキルであり;
    各Rは、独立してハロゲン、アルキル(1〜6C)、アルケニル(2〜6C)、またはアルキニル(2〜6C)であり;
    nは、0、1、または2であり;
    スペーサーは、4個以上の炭素を有するアルキレンまたはアルケニレン鎖であり;
    スペーサーは、存在する場合、スペーサーを脂質部分に結合させ、親水性の必要に応じて置換されていてもよいアルキレン鎖であり、ここで、1個以上のCがNまたはOで置換されていてもよく、前記鎖はOR、NR、=O、COOR、CONR、OOCR、および/またはNRCORのうちの1つ以上で置換されていてもよい、ここで、各Rは独立してHまたは低級アルキルである;
    mは、0または1であり;
    脂質は、脂肪酸、リン脂質、スフィンゴ脂質またはステロイドを表す)
  9. 99mT3cまたは111Inを含む部分をキレート化する、請求項8に記載の化合物。
  10. 各RがHである、請求項8に記載の化合物。
  11. 各XがCHを表す、請求項10に記載の化合物。
  12. スペーサーがリシン残基である、請求項8に記載の化合物。
  13. スペーサーが存在し、ポリエチレングリコールを含む、請求項8に記載の化合物。
  14. スペーサーが1つ以上のアミド結合を含む、請求項8に記載の化合物。
  15. 前記脂質がホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリシン、ホスファチジルグリセロール、またはコレステロールである、請求項8に記載の化合物。
  16. ビス−Py−Lys−Cap−PEまたはビス−Py−Lys−PEG−cap−PEである、請求項8に記載の化合物。
  17. ナノ粒子を含む組成物であって、前記ナノ粒子が脂質/界面活性剤外層を有し、前記層中に、式(1)の複数の分子またはビス−Py−Lys−Cap−PEもしくはビス−Py−Lys−PEG−cap−PEが埋め込まれている、組成物。
  18. 式(1)の分子、ビス−Py−Lys−Cap−PEまたはビス−Py−Lys−PEG−cap−PEが、99mTcまたは111Inを含む部分をキレート化する、請求項17に記載の組成物。
  19. 前記ナノ粒子が標的化リガンドとさらに結合している、請求項17に記載の組成物。
  20. 前記ナノ粒子が標的化リガンドとさらに結合している、請求項18に記載の組成物。
  21. 前記標的化リガンドが、αβまたはフィブリンと特異的に結合するペプチド模倣物を含む、請求項19に記載の組成物。
  22. 前記標的化リガンドが親水性リンカーを介して、脂肪酸、リン脂質、スフィンゴ脂質またはステロイドである脂質部分と結合し、前記脂質部分が前記ナノ粒子の脂質/界面活性剤層中に埋め込まれている、請求項19に記載の組成物。
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