JP2010508890A - 調整される磁力システムを使うデバイス、システムおよび方法 - Google Patents

調整される磁力システムを使うデバイス、システムおよび方法 Download PDF

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Abstract

システムおよび方法は、磁気相互作用のために異なる組織領域の中または表面上に第一の構造および第二の構造を配設する。前記第一の構造は少なくとも一つの強磁性コンポーネントを有し、前記第二の構造は磁性コンポーネントのアレイを有する。前記第一および第二の構造は、使用の間、ある距離によって離間される。距離は前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の間隔として定義される。前記距離は、前記第一および第二の構造が配設されている組織領域の自然な動きの結果としてある機能範囲内で変化する。本システムおよび方法は、前記磁性コンポーネントおよび前記強磁性コンポーネントの大きさおよび配向を、前記機能範囲内での両構造間の比較的一定な磁場を維持するよう設定し、それにより身体機能の通常の発揮における組織領域の相対的な動きを受け容れられる。

Description

〈関係する出願〉
本願は、2006年4月4日に出願された同時係属中の「組織内または組織上で磁力システムを使う装置、システムおよび方法」という名称の米国特許出願第11/397,744号の一部継続出願である。同出願は、2004年3月22日に出願された同時係属中の「咽頭導管のような身体の領域内の組織を固定するための装置、システムおよび方法」という名称の米国特許出願第10/806,372号の一部継続出願である。同出願は、2003年11月20日に出願された同時係属中の「咽頭導管のような身体の領域内の組織を固定するための装置、システムおよび方法」という名称の米国特許出願第10/718,254号の一部継続出願である。同出願は、2003年9月6日に出願された同時係属中の「咽頭導管内の組織崩壊に抵抗するための磁力装置、システムおよび方法」という名称の米国特許出願第10/656,861号の一部継続出願である。同出願はさらに、2003年1月22日に出願された米国仮特許出願第60/441,639号および2003年3月20日に出願された米国仮特許出願第60/456,164号の利益を主張するものであり、2002年9月6日に出願された同時係属中の「上部呼吸器系における組織を移動および/または拘束するためのシステムおよび方法」という名称の米国特許出願第10/236,455号の一部継続出願である。本願はまた、2005年11月23日に出願された米国仮特許出願第60/739,519号および2005年12月29日に出願された米国仮特許出願第60/754,939号の利益を主張するものである。
〈発明の分野〉
本発明は、閉塞性睡眠時無呼吸およびいびきを含む睡眠呼吸障害の治療のための装置、システムおよび方法に向けられる。
〈I.睡眠時無呼吸の特性〉
1965年に初めて記述された睡眠時無呼吸は、睡眠中の呼吸の短い中断(10秒またはそれ以上)によって特徴付けられる呼吸障害である。睡眠時無呼吸は普通に見られるが深刻であり、潜在的には生命の危険もある状態であり、1800万もの米国人が患っている。
睡眠時無呼吸には二つの型がある:中枢性と閉塞性である。中枢性睡眠時無呼吸は比較的まれで、脳が適切な信号を呼吸を開始するための呼吸筋に送り損なうときに起こり、たとえば脳幹の傷害または損傷の結果として起こる。継続した呼吸を保証するために利用可能な唯一の処置は機械的な換気である。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA: obstructive sleep apnea)はずっと普通に見られる。通常、喉の上部の筋肉が気道を開いた状態に保ち、肺への空気の流入を許容する。軟口蓋、舌根および口蓋垂(喉の奥の中央から垂れ下がる小さな肉組織)の筋肉が弛緩してたるむと、呼吸の際にそれらの組織を空気が通過する際に弛緩した組織が振動することがあり、いびきにつながる。いびきは男性の約半分、女性の約25パーセントに見られ、その大半は50歳以上である。
より深刻な場合には、気道が遮られて呼吸が困難になり、あるいは呼吸が完全に止められてしまう。所与の夜に、不随意呼吸停止すなわち「無呼吸イベント」の数は1時間当たり20ないし30またはそれ以上にもなりうる。これらの呼吸停止にはほとんど常に、無呼吸エピソードの間のいびきが伴う。ただし、いびきをかく全員がこの状態をもつわけではない。睡眠時無呼吸はまた、窒息感によっても特徴付けることができる。
肺への空気取り入れがないと、血中の酸素レベルが低下し、二酸化炭素レベルが上昇する。無呼吸イベントに際して、眠っている人は通常の呼吸機能を続けることができず、血中の酸素飽和レベルが低下する。脳はその状態を感知し、眠っている人にもがき、空気を求めてあえぐようにさせる。次いで呼吸が再開し、しばしばその後継続的に無呼吸イベントが起こる。血圧の急激な強制的振れのため、心臓や血管に潜在的に危険な影響がある。各イベントに際して、眠っている人は睡眠から部分的に起こされ、睡眠の質が大幅に低下し、日中の疲労感につながる。深い快復力のある睡眠が頻繁に中断されると、しばしば早朝の頭痛、日中の過度な眠気、気鬱、いらだちならびに学習および記憶の困難につながったりする。
医学界は中程度または重度の閉塞性睡眠時無呼吸患者において心臓発作、高血圧および卒中の事例が増すことに気づいた。睡眠時無呼吸の患者の50パーセントまでもが高血圧であると推定される。
若干の無呼吸イベントはすべての人および哺乳類において正常であるが、閉塞の頻度が病気の深刻さおよび健康障害の可能性を決定する。閉塞の事例が頻繁なときは、矯正措置を取るべきである。
〈II.上気道の解剖学〉
図1に示すように、上気道は、鼻の先端に位置する鼻弁に始まり、喉頭(larynx)まで延びる導管(conduit)からなる。喉頭は声帯を収めているので声箱とも呼ばれる。咽頭(英語のpharynxはギリシア語で「のど」を意味する)は上気道における円錐形の通路で、頭部の口腔および鼻腔から食道および喉頭につながる。咽頭は呼吸機能および消化機能の両方に役立つ。咽頭壁と呼ばれるこの器官の壁には、輪状筋および縦走筋の両方が存在する。輪状筋は、食物を食道に向けて押しやり、空気が飲み込まれるのを防ぐのを助ける収縮をなす。一方、縦走筋は飲み込みの間、咽頭の壁を持ち上げる。
咽頭は、三つの主分画からなる。前部分は咽頭鼻部であり、鼻腔の後の区画である。咽頭鼻部は峡部と呼ばれる通路によって第二の領域、咽頭口部につながっている。咽頭口部は口腔の奥で始まり、のどを通って喉頭蓋まで続く。喉頭蓋は、肺への空気の通路を覆って食物を食道に導く弁状の組織である。口領域と鼻領域をつなぐ峡部は、人が鼻または口のどちらを使っても呼吸することを許容する。第三の領域は、咽頭喉頭部である。これは喉頭蓋に始まって、食道まで続く。その機能は、空気の肺への通過、食物の食道への通過を制御することである。鼻腔からの空気は喉頭に流入し、口腔からの食物は直接、喉頭の背後の食道に向けられる。軟骨性の葉状の弁である喉頭蓋は、喉頭の蓋として機能し、飲み込む動作の間、空気および食物の交通を制御する。
口腔は消化管の開始をマークする。卵形で、二つの部分からなる:前庭と口腔本体である。
前庭はより小さな外側部分であり、外側は唇および頬によって、内側は歯肉および歯によって区切られる。前庭は口裂すなわち口の開口部を通じて身体表面とつながっている。前庭は鼻下唾液腺の分泌物を受け、あごが綴じられたときに、親知らずの背後の両側の開口および向かい合う歯の狭いすき間によって口腔本体とつながる。
口腔本体は、舌を含み、横と前は歯槽弓およびそこに含まれる歯によって区画される。口腔本体は、下顎および舌下唾液腺からの分泌物を受領する。口腔本体は、口腔峡部と呼ばれる収縮された開口によって咽頭とつながっている。
舌は可動な筋肉器官であり、多様な形および位置を取ることができる。舌は、舌骨および下顎に取り付けられている比較的固定した下部をもつ。舌の残りの部分は舌体と呼ばれる。それは本質的には、大半が粘膜で覆われている筋肉の塊である。舌の筋肉は孤立してはたらくのではない。一部の筋肉は複数のはたらきをし、一つの筋肉の諸部分が独立して異なる、時に拮抗するはたらきを生じる。
舌は部分的には口腔内にあり、部分的には咽頭内にある。安静時には、舌は本質的に口腔全体を占める。舌の後部は口腔の後側の境界を画定する。その粘膜は厚く、自由に動ける。
舌は咀嚼、味覚、調音および口腔洗浄に関わる。その二つの主要な機能は発話の際に単語を形成することと、飲み込む際に食物を咽頭に押し込むことである。
口蓋は口腔(口)の弓状の屋根および鼻腔(鼻)の床をなす。口蓋は口腔を鼻腔および咽頭鼻部から分離する。口蓋は二つの領域からなる――前方の硬口蓋および後方の軟口蓋である。
硬口蓋は湾曲しており、舌が安静な時に舌によって満たされる空間を画定する。硬口蓋は硬い骨質の骨格であり、そのためにその名がある。
軟口蓋は骨質の骨格をもたず、そのためにその名がある。軟口蓋は硬口蓋の後の境界から懸垂され、曲がった自由なマージンとして後方および下方に延び、そこから口蓋垂と呼ばれる円錐状突起が垂れ下がる。頭蓋の基部から筋肉が盛り上がり、軟口蓋中に下がる。筋肉は、嚥下の際、軟口蓋が上げられて咽頭後壁に接触することを許容する。該筋肉は、嚥下の際、軟口蓋が下方に引かれて舌の後部と接触することも許容する。
それにより、軟口蓋は非常に動的かつ可動である。人が飲み込むとき、まず軟口蓋が緊張させられ、食物の塊を口の後部に押しやるために舌が軟口蓋に押しつけられることを許容する。次いで軟口蓋は後方および上方に持ち上げられて咽頭壁に押しつけられ、鼻腔を塞ぎ、食物が鼻腔にはいるのを防ぐ弁のはたらきをする。
〈III.睡眠および上気道の解剖学〉
この導管に沿ったすべての組織は動的であり、呼吸サイクルに応答するが、咽頭、特に鼻咽腔(軟口蓋および咽頭壁の領域)および口腔咽頭(舌根および咽頭壁の領域)だけが完全につぶすことができる(collapsible)。咽頭構造およびこの領域内の個々の解剖学的構成要素は咽頭壁、舌根、口蓋垂をもつ軟口蓋および喉頭蓋を含む。
上気道の断面積は呼吸サイクルのフェーズ(phase)とともに変化する。吸気の開始(フェーズI)では、気道は拡張をはじめ、次いで吸気の残りの間を通じて比較的一定のままとなる(フェーズII)。呼気の開始時(フェーズIII)には、気道は拡張をはじめ、最大直径に達し、次いでサイズが減少して呼気の終わりには最も狭くなる。これは上気道拡張筋が最も活動が少なく、正の管腔圧が最小になる時に対応する。したがって、上気道は、呼気終了においてつぶれ(collapse)および閉鎖(closure)のための最大の潜在力をもつ(非特許文献1参照)。
睡眠は、上気道拡張筋活動の低下によって特徴付けられる。閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)および可能性としては閉塞性睡眠呼吸障害(SDB: sleep-disordered breathing)と呼ばれる実体の群の多くを含む他の障害をもつ患者にとっては、筋機能のこの変化が咽頭を狭め、つぶれさせているものと考えられている。OSA患者におけるこの現象について二つの可能性のある理由付けが理論化されている。一つは、これらの個人は、睡眠の間、無呼吸のない人よりも気道拡張筋緊張を低下させているというものである(神経説)。もう一つは、すべての個人は睡眠時に拡張筋活動の同じ低下を経験するが、無呼吸症の人は構造的に安定性が低い咽頭をもつというものである(解剖構造説)。いずれの説も実際にOSAへの寄与となりうるが、現在の研究はOSA患者が本来的に構造上狭められ、よりつぶれやすい咽頭をもつことを支持しているようである(非特許文献2参照)。この現象はしばしば口蓋帆咽頭レベルのような特定部位において強調されるが(非特許文献2)、閉鎖圧の研究(非特許文献2)は、狭まりとつぶれは通例、咽頭の長さ全体に沿って起こることを示す動的高速MRI撮像(非特許文献3)を支持している。
〈IV.治療オプション〉
今日まで、上気道全体に沿ったつぶれに対処する唯一のモダリティは、連続的正気道圧(CPAP: continuous positive airway pressure)機のような機械的な正圧力の呼吸デバイスである。さまざまな外科的手順および口腔器具のような他のすべてのモダリティは、その性質により、気道の特定の区画(口蓋、舌根および舌骨レベルのような)に対処するが、咽頭壁の部分は処置されないままである。これは、OSAの制御において、手術や器具に対してCPAPの成功率が著しい高いことを説明しうる。本質的には呼吸サイクルのために気道副え木(airway splint)としてはたらくCPAPは成功率が高いものの、著しい欠点もいくつかある。それは、装着することおよび装着したまま移動するのがわずらわしいことがあり、社会的なレベルにおいて受け入れるのが難しいことがあり、多くの者によって耐えられない(閉所恐怖症、顔面および鼻のマスク圧力の痛み(sores)、気道炎症といった理由のため)。これらの因子は、比較的貧弱な長期の遵守率につながった。ある研究は、患者の65%がCPAP処置を6か月で放棄することを示している。
OSAに対する現行の他の処置は、オトガイ舌の前進(GA: genioglossal advancement)および上下顎の前進(MMA: maxillomandibular advancement)を含む。これらの処置は、きわめて侵襲的な外科的手順および長い回復時間に関わり、したがって患者にとっての魅力は比較的低い。
R・J・シュワブ(Schwab)、A・N・ゴールドバーグ(Goldberg)、「上気道評価:放射線および他の撮像技法(Upper airway assessment: radiographic and other imaging techniques)」、Otolaryngol Clin North Am、1998年、第31巻、第932‐968頁 S・イソノ(Isono)、J・レンマーズ(Remmers)、A・タナカ(Tanaka)、Y・ショー(Sho)、J・サトー(Sato)、T・ニシノ(Nishino)、「閉塞性睡眠時無呼吸症患者および正常の被験者における咽頭の解剖構造」、J Appl Physiol、1997年、第82巻、第1319‐1326頁 F・G・シェロック(Shellock)、C・J・シャッツ(Schatz)、P・ジュリエン(Julien)、J・M・シルヴァーマン(Silverman)、F・スタインバーグ(Steinberg)、T・K・F・フー(Foo)、M・L・ホップ(Hopp)、P・R・ウェストブルック(Westbrook)、「閉塞性睡眠時無呼吸症における咽頭気道の閉塞および狭まり:超高速スポイルGRASS MR撮像による評価(Occlusion and narrowing of the pharyngeal airway in obstructive sleep apnea: evaluation by ultrafast spoiled GRASS MR imaging)」、Am J of Roentgenology、1992年、158巻、第1019‐1024頁
睡眠呼吸障害イベントを減らすまたは防止するための単純でコスト効率のよいデバイスおよび方法に対する必要性は残っている。
本発明は、磁気的相互作用のために身体の組織領域の中または上に構造を配設するシステムおよび方法を提供する。本システムおよび方法は、身体機能の正常な発揮の際の組織領域の自然な動きによって定義される機能範囲内において前記構造間の比較的一定の磁場を維持するよう、前記構造によって担持される磁性および/または強磁性コンポーネントの大きさおよび配向を設定する(titrate)。
本発明のある側面は、磁気相互作用のために異なる組織領域の中または上に第一の構造および第二の構造を配設するシステムおよび方法を提供する。前記第一の構造は、質量中心をもち、第一の組織領域の中または上に配設されるような大きさおよび構成にされた少なくとも一つの強磁性コンポーネントを有する。前記第二の構造は、質量中心をもち、前記第一の構造と所望の関係において第二の組織領域中の組織の中または上に配設するような大きさおよび構成にされた磁性コンポーネントのアレイを有する。前記第一および第二の構造は、使用の間、ある距離によって離間される。距離は前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の間隔として定義される。前記距離は、前記第一および第二の組織領域それぞれの自然な動きの結果としてある機能範囲(working range)内で変化する。本システムおよび方法は、前記機能範囲内での前記距離の変動に起因する磁力の変動が
(FNEAR/FFAR)≦(δFAR 2NEAR 2
という関係を維持するよう前記磁性コンポーネントおよび前記強磁性コンポーネントの大きさおよび配向を設定する。
ここで、δFARは前記第一および第二の磁性構造が前記機能範囲内で最も遠く離れて離間されているときの前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の(センチメートル単位で表された)距離であり、
δNEARは前記第一および第二の磁性構造が前記機能範囲内で最も近接して離間されているときの前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の(センチメートル単位で表された)距離であり、
FNEARは前記距離がδNEARであるときの磁力システムの(グラムの単位で表した)磁力であり、
FFARは前記距離がδFARであるときの磁力システムの(グラムの単位で表した)磁力である。
ある代表的な実施形態では、前記第一の構造は、口腔内で舌および/または軟口蓋および/または口蓋垂および/または舌骨筋の領域の組織の中または上に配設されるような大きさおよび構成にされることができる。この構成形態において、前記第二の構造は、口腔内に、および/または口腔外の首および/または顎および/または顎先に、前記第一の構造と所望の関係で配設するような大きさおよび構成にされることができる。前記第一および第二の構造間の磁気相互作用は、舌および/または軟口蓋および/または口蓋垂(前記第一の構造の配設に依存する)の所望の配向を安定化する。
ある代表的な実施形態では、前記第二の構造は、前記強磁性材料との磁気相互作用が望まれないときには外され、逆に、磁気相互作用が望まれるときには装着されることができる。
人間の上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎先および首を示す図である。 口腔の解剖学的な正面図であって、舌が前方に引き出されており、硬口蓋(手前)および軟口蓋(奥)からなる口の屋根〔口蓋〕を示す図である。 軟口蓋に関わるある形の睡眠時無呼吸を患う人間の、一部の区画が分解され断面にされた解剖学的な側面図であって、舌根、軟口蓋および口蓋垂がどのように咽頭壁にもたれかかって事実上、気道を閉鎖し、無呼吸イベントを生じるかを示す図である。 舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁力システムの代表的な実施形態を図的な仕方で示す図であって、舌の諸領域に植え込まれた強磁性構造の、気道の外側に(たとえば顎先および/または顎に)担持される磁性構造との磁気相互作用を示す図である。 舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁力システムの代表的な実施形態を図的な仕方で示す図であって、舌の諸領域に植え込まれた強磁性構造の、気道の内側に(たとえば口腔内に)担持される磁性構造との磁気相互作用を示す図である。 舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁力システムの代表的な実施形態を図的な仕方で示す図であって、舌の諸領域に植え込まれた強磁性構造の、気道の外側に(たとえば顎先および/または顎に)担持される磁性構造との磁気相互作用を示す図である。 舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁力システムの代表的な実施形態を図的な仕方で示す図であって、舌の諸領域に植え込まれた強磁性構造の、気道の内側に(たとえば口腔内に)担持される磁性構造との磁気相互作用を示す図である。 舌のつぶれに抵抗する追加的な反発力を提供する舌システムの代替的な実施形態を示す図である。 舌のつぶれに抵抗する追加的な反発力を提供する舌システムの代替的な実施形態を示す図である。 軟口蓋/口蓋垂の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁力システムの代表的な実施形態を図的な仕方で示す図であって、軟口蓋/口蓋垂に植え込まれた強磁性構造の気道の外側に(たとえば顎先および/または顎に)担持されている磁性構造との磁気相互作用を示す図である。 軟口蓋/口蓋垂の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁力システムの代表的な実施形態を図的な仕方で示す図であって、軟口蓋/口蓋垂に植え込まれた強磁性構造の気道の内側に(たとえば口腔内に)担持されている磁性構造との磁気相互作用を示す図である。 軟口蓋/口蓋垂のつぶれに抵抗する追加的な反発力を提供する軟口蓋システムの代替的な実施形態を示す図である。 軟口蓋/口蓋垂のつぶれに抵抗する追加的な反発力を提供する軟口蓋システムの代替的な実施形態を示す図である。 舌および軟口蓋/口蓋垂の両方の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁力システムの代表的な実施形態を図的な仕方で示す図であって、舌および軟口蓋/口蓋垂に植え込まれた強磁性構造の気道の外側に(たとえば顎先および/または顎に)担持されている磁性構造との磁気相互作用を示す図である。 舌および軟口蓋/口蓋垂の両方の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁力システムの代表的な実施形態を図的な仕方で示す図であって、舌および軟口蓋/口蓋垂に植え込まれた強磁性構造の気道の内側に(たとえば口腔内に)担持されている磁性構造との磁気相互作用を示す図である。 舌および軟口蓋/口蓋垂のつぶれに抵抗する追加的な反発力を提供する複合システムの代替的な実施形態を示す図である。 舌および軟口蓋/口蓋垂のつぶれに抵抗する追加的な反発力を提供する複合システムの代替的な実施形態を示す図である。 A〜Cは、図4A、図4C、図5Aおよび図6Aに示される仕方で気道内に、たとえば舌および/または軟口蓋/口蓋垂の中または上に担持される一つまたは複数の磁性構造と磁気的に相互作用する、気道の外側の顎および/または顎先に装着されるような大きさおよび構成にされた磁性構造の代表的な実施形態を示す図である。 A〜Bは、図4A、図4C、図5Aおよび図6Aに示される仕方で気道内に、たとえば舌および/または軟口蓋/口蓋垂の中または上に担持される一つまたは複数の強磁性構造と磁気的に相互作用する、気道の外側の首のまわりに装着されるような大きさおよび構成にされた磁性構造の代表的な実施形態を示す図である。 A〜Eは、図4B、図4D、図5Bおよび図6Bに示される仕方で気道内に、たとえば舌および/または軟口蓋/口蓋垂の中または上に担持される一つまたは複数の強磁性構造と磁気的に相互作用する、気道内に、たとえば口腔内で歯に装着されるような大きさおよび構成にされた磁性構造の代表的な実施形態を示す図である。 図4A〜4Dまたは図5Aもしくは5Bまたは図6Aもしくは6Bに示される磁力システムの一部としての植え込みのための大きさおよび構成にされた強磁性材料の斜視図である。 図4A〜4Dまたは図5Aもしくは5Bまたは図6Aもしくは6Bに示される磁力システムの一部としての植え込みのための大きさおよび構成にされた担体中の強磁性材料のアレイの斜視図である。 人間の上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎先および首を示し、さらに、図4Aまたは4Cに示される型の代表的な磁力システムであって、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために気道の外側に(たとえば顎先および/または顎に)担持される磁性構造と相互作用する、舌のある領域に植え込まれた強磁性構造を有する磁力システムを示す図である。 図12Aに示されるシステムの一部を形成する、舌のある領域に植え込まれるような大きさおよび構成にされた強磁性構造の斜視図である。 図12Aに示されるシステムの一部を形成する、気道の外側に(たとえば顎先および/または顎に)装着されるような大きさおよび構成にされた磁性構造の斜視図である。 図12Aに示されるシステムの一部を形成する、気道の外側に(たとえば顎先および/または顎に)装着されるような大きさおよび構成にされた磁性構造の側面図である。 口腔の解剖学的な正面図であって、舌、硬口蓋および軟口蓋を示しており、さらに、図12Aに示される磁力システムであって、舌内の強磁性構造が舌の中心線のまわりに略対称的に延在し、顎先および/または顎に装着される磁性構造が口腔の横の両側に磁石を含む磁力システムを示しており、この配置における舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力をさらに示す、図である。 口腔の解剖学的な正面図であって、舌、硬口蓋および軟口蓋を示しており、さらに、図12Aに示される磁力システムであって、舌内の強磁性構造が舌の中心線のまわりに略対称的に延在し、顎先および/または顎に装着される磁性構造が口腔の横の片側のみに磁石を含む磁力システムを示しており、この配置における舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力をさらに示す、図である。 人間の上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎先および首を示し、さらに、図4Bまたは4Dに示される型の代表的な磁力システムであって、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために気道の内側に(たとえば口腔内に)担持される磁性構造と相互作用する、舌のある領域に植え込まれた強磁性構造を有する磁力システムを示す図である。 口腔の解剖学的な正面図であって、舌、硬口蓋および軟口蓋を示しており、さらに、図12Gに示される磁力システムであって、舌内の強磁性構造が舌の中心線のまわりに略対称的に延在し、口腔内に装着される磁性構造が口腔の横の両側に磁石を含む磁力システムを示しており、この配置における舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力をさらに示す、図である。 人間の上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎先および首を示し、さらに、図4Bまたは4Dに示される型の代表的な磁力システムであって、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために気道の内側に(たとえば口腔内に)担持される磁性構造と相互作用する、舌のある領域に植え込まれた強磁性構造を有する磁力システムを示す図である。 図13Aに示されるシステムの一部を形成する、舌のある領域内に植え込まれるような大きさおよび構成にされた強磁性構造の斜視図である。 図13Aに示されるシステムの一部を形成する、気道内に、たとえば口腔内で歯に装着されるような大きさおよび構成にされた磁性構造の斜視図である。 口腔の解剖学的な正面図であって、舌、硬口蓋および軟口蓋を示しており、さらに、図13Aに示される磁力システムであって、舌内の強磁性構造が舌の中心線のまわりに略対称的に延在し、口腔内で歯に装着される磁性構造が口腔の横の両側に磁石を含む磁力システムを示しており、この配置における舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力をさらに示す、図である。 人間の上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎先および首を示し、さらに、図6Bに示される型の代表的な磁力システムであって、舌および軟口蓋/口蓋垂の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために気道の内側に(たとえば口腔内に)担持される磁性構造と相互作用する、舌および軟口蓋/口蓋垂のある領域に植え込まれた強磁性構造を有する磁力システムを示す図である。 図14Aに示されるシステムの一部を形成する、舌および軟口蓋/口蓋垂のある領域内に植え込まれるような大きさおよび構成にされた強磁性構造の斜視図である。 図14Aに示されるシステムの一部を形成する、気道内に、たとえば口腔内で歯に装着されるような大きさおよび構成にされた磁性構造の斜視図である。 口腔の解剖学的な正面図であって、舌、硬口蓋および軟口蓋を示しており、さらに、図14Aに示される磁力システムであって、舌および軟口蓋/口蓋垂の中の強磁性構造が舌および軟口蓋の中心線のまわりに略対称的に延在し、口腔内で歯に装着される磁性構造が口腔の横の両側に磁石を含む磁力システムを示しており、この配置における舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力をさらに示す、図である。 磁力が距離に対して感応する様子(曲線SM)および磁力場の設定(titration)(曲線MM)が力‐距離関係の感度を下げ、舌および軟口蓋/口蓋垂の正常な解剖学的機能の間に定義される所定の作業スペースをもつ様子を示すグラフである。 舌または軟口蓋/口蓋垂に植え込まれた強磁性構造と相互作用する、気道の外側の顎先もしくは顎に、または気道内の歯に担持された設定される(titrated)磁性構造を図的に示し、さらにこの配置において、力‐距離関係の感度に対する設定によって磁気的引力がどのように調整され、舌および軟口蓋/口蓋垂の正常な解剖学的機能の間に定義される所定の作業スペースをもつかを示す図である。 舌または軟口蓋/口蓋垂に植え込まれた強磁性構造と相互作用する、気道の外側の首のまわりに装着される、設定される(titrated)磁性構造を図的に示し、さらにこの配置において、力‐距離関係の感度に対する設定によって磁気的引力がどのように調整され、舌および軟口蓋/口蓋垂の正常な解剖学的機能の間に定義される所定の作業スペースをもつかを示す図である。 舌または軟口蓋/口蓋垂に植え込まれた強磁性構造と相互作用する、気道の外側の顎先もしくは顎に、または気道内の歯に担持された設定される(titrated)磁性構造を図的に示し、さらにこの配置において、力‐距離関係の感度に対する設定によって磁気的引力がどのように調整され、舌および軟口蓋/口蓋垂の正常な解剖学的機能の間に定義される所定の作業スペースをもつかを示す図である。 舌または軟口蓋/口蓋垂に植え込まれた強磁性構造と相互作用する、気道の外側の首のまわりに装着される、設定される(titrated)磁性構造を図的に示し、さらにこの配置において、力‐距離関係の感度に対する設定によって磁気的引力がどのように調整され、舌および軟口蓋/口蓋垂の正常な解剖学的機能の間に定義される所定の作業スペースをもつかを示す図である。 図16A/16Bおよび図17A/17Bに示される型の設定される磁性構造について磁束線を示す有限要素解析を図的に示し、力‐距離関係の感度に対する設定によって磁気的引力がどのように調整され、舌および軟口蓋/口蓋垂の正常な解剖学的機能の間に定義される所定の作業スペースをもつかを示す図である。 図16A/16Bおよび図17A/17Bに示される型の設定される磁性構造について磁束線を示す有限要素解析を図的に示し、力‐距離関係の感度に対する設定によって磁気的引力がどのように調整され、舌および軟口蓋/口蓋垂の正常な解剖学的機能の間に定義される所定の作業スペースをもつかを示す図である。 ヒトの上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎および首を示し、さらに図4Aに示される型の代表的な磁力システムであって、舌および軟口蓋/口蓋垂の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために、舌のある領域に植え込まれた強磁性構造が、気道の外側に(たとえば顎先および/または顎に)担持される磁性構造と相互作用する可動な強磁性材料を含むシステムを示す図である。 AおよびBは、ヒトの上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎および首を示し、さらに図4Bに示される型の代表的な磁力システムであって、舌および軟口蓋/口蓋垂の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために、舌のある領域に植え込まれた強磁性構造が、気道の内側に(たとえば口腔内で歯に)担持される磁性構造と相互作用する可動な強磁性材料を含むシステムを示す図である。 ヒトの上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎および首を示し、さらに図4Aに示される型の代表的な磁力システムであって、舌および軟口蓋/口蓋垂の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために、舌のある領域に植え込まれた強磁性構造が、気道の外側に(たとえば顎先および/または顎に)担持される可動な磁性材料を含む磁性構造と相互作用するシステムを示す図である。 図21Aに示されるシステムの一部を形成する、気道内に、たとえば口腔内で歯に装着されるような大きさおよび構成にされた、可動磁性材料を含む磁性構造の代表的な実施形態の斜視図である。 図21Aに示されるシステムの一部を形成する、気道内に、たとえば口腔内で歯に装着されるような大きさおよび構成にされた、可動磁性材料を含む磁性構造の代表的な実施形態の斜視図である。 図21Aに示されるシステムの一部を形成する、気道内に、たとえば口腔内で歯に装着されるような大きさおよび構成にされた、可動磁性材料を含む磁性構造の代表的な実施形態の斜視図である。 図21Aに示されるシステムの一部を形成する、気道内に、たとえば口腔内で歯に装着されるような大きさおよび構成にされた、可動磁性材料を含む磁性構造の代表的な実施形態の斜視図である。 図21Aに示されるシステムの一部を形成する、気道内に、たとえば口腔内で歯に装着されるような大きさおよび構成にされた、可動磁性材料を含む磁性構造の代表的な実施形態の斜視図である。 ヒトの上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎および首を示し、さらに図5Bに示される型の代表的な磁力システムであって、舌および軟口蓋/口蓋垂の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために、軟口蓋/口蓋垂のある領域に植え込まれた強磁性構造が、気道の内側に(たとえば口腔内で歯に)担持される可動な磁性材料を含む磁性構造と相互作用するシステムを示す図である。 図22Aに示されるシステムの一部を形成する、気道内に、たとえば口腔内で歯に装着されるような大きさおよび構成にされた、可動磁性材料を含む磁性構造の代表的な実施形態の斜視図である。 図22Aに示されるシステムの一部を形成する、気道内に、たとえば口腔内で歯に装着されるような大きさおよび構成にされた、可動磁性材料を含む磁性構造の代表的な実施形態の斜視図である。 ヒトの上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎および首を示し、さらに図4Aに示される型の代表的な磁力システムであって、舌および軟口蓋/口蓋垂の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために、舌のある領域に植え込まれた強磁性構造が、気道の外側に(たとえば顎先および/または顎に)担持される磁性構造と相互作用する可動な強磁性材料を含むシステムを示す図である。 図23Aに示されるシステムの一部を形成する、舌のある領域に植え込まれるような大きさおよび構成にされた、可動な磁性材料を含む強磁性構造の代表的な実施形態の斜視図である。 図23Aに示されるシステムの一部を形成する、舌のある領域に植え込まれるような大きさおよび構成にされた、可動な磁性材料を含む強磁性構造の代表的な実施形態の斜視図である。 A〜Cは、図19、図20Aおよび20B、図21Aないし21F、図22Aないし22Cまたは図23Aないし23Cに示されるシステムの一部を形成することのできるさまざまな形および形状の可動な強磁性材料の代表的な図的な実施形態を示す図である。 舌および咽頭導管を示す口腔の解剖学的な俯瞰図であって、さらに、舌に植え込まれる強磁性構造であって概して非対称的に舌の一方の側方にのみ延びるものを示し、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態をも示す、図である。 図25に示されたのと同様の口腔の解剖学的な俯瞰図であって、舌に非対称的に植え込まれた強磁性構造が、口腔の両方の横側に磁石をもつ気道内の(たとえば口腔内の歯にある)磁性構造と相互作用し、さらに、この配置において、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力を示す、図である。 図25に示されたのと同様の口腔の解剖学的な俯瞰図であって、舌に非対称的に植え込まれた強磁性構造が、舌内の前記非対称的な強磁性構造とは反対側の口腔の一方の横側にのみ磁石をもつ気道内の(たとえば口腔内の歯にある)磁性構造と相互作用し、さらに、この配置において、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力を示す、図である。 図25に示されたのと同様の口腔の解剖学的な俯瞰図であって、舌に非対称的に植え込まれた強磁性構造が、該強磁性構造と向かい合う咽頭壁に植え込まれた磁性構造と相互作用し、さらに、この配置において、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的反発力を示す、図である。 舌および咽頭導管を示す口腔の解剖学的な俯瞰図であって、さらに、舌に植え込まれた強磁性構造であって概して非対称的に舌の一方の側方にのみ延びるが舌の反対の横側に延びる強磁性材料がない付属部(appendage)を含む強磁性構造を示し、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態をも示す、図である。 図28に示されたのと同様の口腔の解剖学的な俯瞰図であって、非強磁性付属部をもつ舌に非対称的に植え込まれた強磁性構造が、口腔の両方の横側に磁石をもつ気道内の(たとえば口腔内の歯にある)磁性構造と相互作用し、さらに、この配置において、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力を示す、図である。 図28に示されたのと同様の口腔の解剖学的な俯瞰図であって、非強磁性付属部をもつ舌に非対称的に植え込まれた強磁性構造が、舌内の前記非対称的な強磁性構造とは反対側の口腔の一方の横側にのみ磁石をもつ気道内の(たとえば口腔内の歯にある)磁性構造と相互作用し、さらに、この配置において、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力を示す、図である。 図28に示されたのと同様の口腔の解剖学的な俯瞰図であって、非強磁性付属部をもつ舌に非対称的に植え込まれた強磁性構造が、該強磁性構造と向かい合う咽頭壁に植え込まれた磁性構造と相互作用し、さらに、この配置において、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的反発力を示す、図である。 構造をさらに安定化し、気道の内側か外側かあるいは両方かを問わず磁気構造の磁気相互作用に応答してより多くの組織を動かすための非強磁性のラダー型構造を含む非強磁性付属部を有する非対称強磁性構造のある代表的な実施形態の斜視図である。 構造をさらに安定化し、気道の内側か外側かあるいは両方かを問わず磁気構造の磁気相互作用に応答してより多くの組織を動かすための非強磁性のラダー型構造を含む非強磁性付属部を有する非対称強磁性構造のある代表的な実施形態の上面図である。 舌および咽頭導管を示す口腔の解剖学的な俯瞰図であって、さらに、舌に植え込まれた図31Aおよび31Bに示される強磁性構造を示し、また舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態をも示す、図である。 図31Cに示されたのと同様の口腔の解剖学的な俯瞰図であって、図31Cに示される強磁性構造が、舌内の非対称的な強磁性構造とは反対側の口腔の一方の横側にのみ磁石をもつ気道内の(たとえば口腔内の歯にある)磁性構造と相互作用し、さらに、この配置において、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力を示す、図である。 反対の磁気極性をもつ互いに反対側の腕領域と、構造をさらに安定化し、気道の内側か外側かあるいは両方かを問わず磁気構造の磁気相互作用に応答してより多くの組織を動かすための中間の非磁性ラダー型構造とを有する磁性構造のある代表的な実施形態の斜視図である。 反対の磁気極性をもつ互いに反対側の腕領域と、構造をさらに安定化し、気道の内側か外側かあるいは両方かを問わず磁気構造の磁気相互作用に応答してより多くの組織を動かすための中間の非磁性ラダー型構造とを有する磁性構造のある代表的な実施形態の上面図である。 舌および咽頭導管を示す口腔の解剖学的な俯瞰図であって、さらに、舌に植え込まれた図31Aおよび31Bに示される強磁性構造を示し、また舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態をも示す、図である。 図33に示されたのと同様の口腔の解剖学的な俯瞰図であって、図33に示される強磁性構造が、口腔の一方の横側にのみ磁石をもつ気道内の(たとえば口腔内の歯にある)磁性構造と相互作用し、さらに、この配置において、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力を示す、図である。 図33に示されたのと同様の口腔の解剖学的な俯瞰図であって、図33に示される強磁性構造が、口腔の一方の横側にのみ磁石をもつ気道内の(たとえば口腔内の歯にある)磁性構造と相互作用し、さらに、この配置において、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力を示す、図である。 図33に示されたのと同様の口腔の解剖学的な俯瞰図であって、図33に示される強磁性構造が、該強磁性構造と向かい合う咽頭壁に植え込まれた磁性構造と相互作用し、さらに、この配置において、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗する磁気的引力および反発力を示す、図である。 舌、軟口蓋/口蓋垂および咽頭壁の解剖学的な矢状断面図であって、夜間には睡眠中、舌の咽頭壁に対するつぶれに抵抗し、それでいて覚醒時または睡眠時の通常の活動の間、発話、嚥下または飲むことに影響しない、最適な治療的な力F-magを与える力F-sepおよびF-natの分解を示す図である。 舌、軟口蓋/口蓋垂および咽頭壁の解剖学的な矢状断面図であって、夜間には睡眠中、軟口蓋/口蓋垂の咽頭壁に対するつぶれに抵抗し、それでいて覚醒時または睡眠時の通常の活動の間、発話、嚥下または飲むことに影響しない、最適な治療的な力F-magを与える力F-sepおよびF-natの分解を示す図である。 インプラント力スケーリング戦略を実行するチャートである。 ヒトの上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎および首を示し、さらに図4Cに示される型の代表的な磁力システムであって、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために、気道の外側に(たとえば顎に)担持される磁性構造と相互作用する、舌の下方の下領域(lower, inferior region)に植え込まれた強磁性構造を有し、該強磁性構造が、該強磁性構造を外部の顎にマウントされた磁性構造に近接して安定化させるための単一つなぎ係留組立体(single tethered anchoring assembly)を含む、システムを示す図である。 ヒトの上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎および首を示し、さらに図4Cに示される型の代表的な磁力システムであって、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために、気道の外側に(たとえば顎に)担持される磁性構造と相互作用する、舌の下方の下領域(lower, inferior region)に植え込まれた強磁性構造を有し、該強磁性構造が、該強磁性構造を外部の顎にマウントされた磁性構造に近接して安定化させるための複数つなぎ係留組立体(multiple tether anchoring assembly)を含む、システムを示す図である。 ヒトの上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎および首を示し、さらに図40Aおよび40Bに示される型の別の代表的なつながれた(tethered)磁力システムであって、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために、気道の外側に(たとえば顎先に)担持される磁性構造と相互作用する、舌のより前方の領域(more anterior region)に植え込まれた強磁性構造を有し、該強磁性構造が、該強磁性構造を外部の顎先にマウントされた磁性構造に近接して安定化させるための単一つなぎ係留組立体(single tethered anchoring assembly)を含む、システムを示す図である。 ヒトの上気道の解剖学的な横断面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎および首を示し、さらに図40Aおよび40Bに示される型の別の代表的なつながれた(tethered)磁力システムであって、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態の発生に抵抗するために、気道の外側に(たとえば顎先に)担持される磁性構造と相互作用する、舌のより前方の領域(more anterior region)に植え込まれた強磁性構造を有し、該強磁性構造が、該強磁性構造を外部の顎先にマウントされた磁性構造に近接して安定化させるための複数つなぎ係留組立体(multiple tether anchoring assembly)を含む、システムを示す図である。 植え込みのために畳まれ、植え込み部位内の現場で拡張する傘状のアンカーを含む代表的なつなぎ係留組立体の斜視図である。 張力を調節および制御するために調節可能およびロック可能である、代表的なつなぎ係留組立体の斜視図である。 外部磁性構造、たとえば口腔内に担持されるマウスピースまたは顎の表面上もしくは顎の下または首のまわりに配設される外部担体と近接して、舌の前領域または尾前領域に、あるいは顎舌骨筋に植え込まれる強磁性構造の代表的な実施形態を示す図である。 外部磁性構造、たとえば口腔内に担持されるマウスピースまたは顎の表面上もしくは顎の下または首のまわりに配設される外部担体と近接して、舌の前領域または尾前領域に、あるいは顎舌骨筋に植え込まれる強磁性構造の代表的な実施形態を示す図である。 外部磁性構造、たとえば口腔内に担持されるマウスピースまたは顎の表面上もしくは顎の下または首のまわりに配設される外部担体と近接して、舌の前領域または尾前領域に、あるいは顎舌骨筋に植え込まれる強磁性構造の代表的な実施形態を示す図である。 負荷のもとで所定の仕方で変形し、付加が外されると初期形状を回復するような大きさおよび構成にされた一つまたは複数の弾性コンポーネントに取り付けられた一つまたは複数の強磁性構造からなるデバイスを示す図である。 負荷のもとで所定の仕方で変形し、付加が外されると初期形状を回復するような大きさおよび構成にされた一つまたは複数の弾性コンポーネントに取り付けられた一つまたは複数の強磁性構造からなるデバイスを示す図である。
本明細書は、開いた気道を維持するために磁気的引力を使うさまざまな磁気インプラントおよび外部デバイス、システムおよび方法を開示する。たとえば、本発明のさまざまな側面は、身体内の通路のような身体内および/または身体周辺における組織つぶれ(tissue collapse)の制約を要求する処置において応用がある。本発明の特徴を具現するデバイス、システムおよび方法はまた、組織ベースの応用に制約されないデバイス、システムおよび方法との使用のために適応可能である。
本デバイス、システムおよび方法は、睡眠時無呼吸を含む睡眠呼吸障害を治療するのに特に好適である。この理由で、本デバイス、システムおよび方法はこの背景で記載される。それでも、開示されるデバイス、システムおよび方法が身体の他所における、必ずしも睡眠障害関係ではない他の機能不全の治療における使用のためにも適用可能であることは理解しておくべきである。
〈I.舌および軟口蓋〉
〈A.解剖学〉
図2は、口腔の解剖学的な図であって、舌が手前に引き出されている。図2は、舌と口部の屋根、すなわち口蓋を示している。口蓋については先述し、図1にも示してある。図2は、やはり先述した口蓋の二つの部分を示している。すなわち、硬口蓋(手前)および軟口蓋(奥)である。
硬口蓋は前および横では歯槽弓および歯肉と境を接しており、後では軟口蓋と境を接している。骨膜および口の粘膜によって作られる密な構造が硬口蓋を覆っている。線状の縫線が硬口蓋の中央線に沿ってある。
軟口蓋は、硬口蓋の後の境界から垂れ下がる可動の折り畳み部であり、口と咽頭との間の不完全な分割線(中隔)を形成する。軟口蓋は筋繊維を取り囲む粘膜、腱膜、血管、神経、アデノイド組織および粘液腺を含む。
軟口蓋が弛緩されて垂れているとき、前面は凹状であり、口部の屋根と同じ線をたどる。軟口蓋の後面は凸状であり、鼻腔の底部を覆う粘膜の継続である。軟口蓋の上の境界は硬口蓋に付いており、両側は咽頭の一部となり、下の境界は自由である。垂れ下がって口と咽頭を分離する下の境界は口蓋帆として知られる。下の境界の中央では、小さい肉質の円錐形の突起が口蓋垂と呼ばれている。口蓋垂から横および下に弓状部が位置している。これらの弓状部は口蓋舌弓(前弓)および咽頭口蓋弓(後弓)と呼ばれる。口蓋腱膜は薄く、堅い繊維で満たされた薄板〔ラメラ〕であり、筋肉に支持を与え、軟口蓋を丈夫にしている。
舌は口腔の床部の上方に位置する。人間では舌は多様な動きをする器官である。その理由の一つは、発話、摂食および嚥下を含む幅広い範囲の活動に関わるからである。人が目覚めているとき、舌は通常上前位置において動く。人が眠っているときは、舌の筋肉は弛緩し、舌は一層広い範囲の方向に動くことができる。この動きは、横に、後に、前に、頭方に、尾方に、転がるように、あるいはそれらの任意の組み合わせにおいて生じることができる。
摂食および嚥下の過程の間、口蓋垂が食物が鼻咽腔にはいることを防ぎ、軟口蓋の筋肉が食物を咽頭中に押し下げる。舌は他の構造と関連して(すなわち、舌と咽頭壁が一緒になって、あるいは舌と口蓋が一緒になって)、あるいは他の構造とは独立して(すなわち口蓋、咽頭壁、喉頭蓋の動きなしでの舌の動き)動くことができる。
〈B.舌/軟口蓋と睡眠時無呼吸〉
睡眠時無呼吸は気道が閉塞されるときに起こり、呼吸低下は気道が部分的に閉塞されるときに起こる。睡眠時無呼吸は多くの形をとる。気道の閉鎖は気道に沿ったいくつもの解剖学的構造において生じることができ、その場所は舌、軟口蓋、喉頭蓋および咽頭壁の任意の組み合わせを含みうる。たとえば、舌が咽頭壁に関してつぶれることがありうるし、あるいは舌根と咽頭壁の両方が同時につぶれることもありうる。同様に、軟口蓋/口蓋垂が咽頭壁および/または舌に関してつぶれることもありうるし、軟口蓋/口蓋垂および/または舌および/または咽頭壁が同時につぶれることもありうる。このように、睡眠時無呼吸は、独立して舌、咽頭壁、軟口蓋/口蓋垂のつぶれを防ぐことによって、および/または同時に舌根、咽頭壁および/または軟口蓋/口蓋垂の一つまたは複数のつぶれを防ぐことによって治療されうる。
図1は、正常な患者における上気道系の解剖学的な側面図であって、鼻腔、口腔、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口部、顎先および首を示す図である。図3は、同時に舌、咽頭壁および軟口蓋/口蓋垂に関わる睡眠時無呼吸の一つの形を患う患者の解剖学的な側面図を示している。図3に示されるように、舌根、軟口蓋および口蓋垂が咽頭壁にもたれかかって事実上、気道を閉鎖する。結果として、無呼吸エピソードが発生しうる。
〈II.磁気引力システム〉
〈A.概要〉
〈1.舌のつぶれに対する抵抗(舌システム)〉
図4Aないし図4Dは、舌の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態に少なくとも部分的に抵抗する磁力システム10aの代表的な実施形態を図的な仕方で示す。さまざまな実施形態における本システム10aは、略して舌システムと呼ばれることになる。舌システム10aは、二つの構造の間に磁気的な引力を生成するために一つの磁性構造12および一つの磁性構造14を含む。この磁気引力が、図4A、4B、4C、4Dが示すように、舌を、咽頭後壁から離間された位置に維持する。磁力場は睡眠中の舌の後方移動に抵抗し、気道を開いたままに保つ。無呼吸エピソードが回避される。
図4A、4Bに示される代表的な実施形態では、磁性構造12は舌の中または上に位置される。より具体的には、磁性構造12は、舌の前領域または後領域に位置されることができる。図4Aでは、磁性構造12が相互作用する相手の磁性構造14が気道の外側に(たとえば顎先に)位置されている。一方、図4Bでは、磁性構造14は気道内に(たとえば口腔内に)位置されている。
図4C、4Dに示される代表的な実施形態では、磁性構造12は下顎と舌骨の間の概略的な領域内において、舌骨筋(たとえば下顎下骨筋、オトガイ舌骨筋もしくは茎突舌骨筋のような舌骨上筋または顎二腹筋の一つまたは複数)の中または上に、あるいは皮膚の下に位置されている。図4Cでは、磁性構造12が相互作用する相手の磁性構造14は、気道の外側に(たとえば顎先に)位置されている。一方、図4Dでは、磁性構造14は気道内に(たとえば口腔内に)位置されている。
〈2.軟口蓋のつぶれに対する抵抗(軟口蓋システム)〉
図5Aおよび図5Bは、軟口蓋/口蓋垂の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態に少なくとも部分的に抵抗する磁力システム10bの代表的な実施形態を図的な仕方で示す。さまざまな実施形態における本システム10bは、略して軟口蓋システムと呼ばれることになる。軟口蓋システム10bは、磁力場を生成するために一つの磁性構造12および一つの磁性構造14を含む。この磁力場が、図5A、5Bが示すように、軟口蓋/口蓋垂を、咽頭後壁から離間された位置に維持する。磁力場は睡眠中の軟口蓋/口蓋垂の後方移動に抵抗し、気道を開いたままに保つ。無呼吸エピソードが回避される。
図5A、5Bに示される代表的な実施形態では、磁性構造12は軟口蓋/口蓋垂の中または上に位置される。図5Aでは、磁性構造12が相互作用する相手の磁性構造14が気道の外側に(たとえば顎先に)位置されている。一方、図5Bでは、磁性構造14は気道内に(たとえば口腔内に)位置されている。
〈3.舌および軟口蓋のつぶれに対する抵抗(複合システム)〉
図6Aおよび図6Bは、舌および軟口蓋/口蓋垂の両方の咽頭壁に対するつぶれに関わる図3に示された組織状態に少なくとも部分的に抵抗する磁力システム10cの代表的な実施形態を図的な仕方で示す。さまざまな実施形態における本システム10cは、略して複合システムと呼ばれることになる。複合システム10cは、二つの磁性構造12a、12bおよび一つの磁性構造14を含み、これが両者の間の磁力を生成する。この磁力が、図6A、6Bが示すように、舌および軟口蓋/口蓋垂の両方を、咽頭後壁から離間された位置に維持する。磁力場は睡眠中の舌および軟口蓋/口蓋垂の両方の後方移動に抵抗し、気道を開いたままに保つ。無呼吸エピソードが回避される。
図6A、6Bに示される代表的な実施形態では、磁性構造12aは軟口蓋/口蓋垂の中または上に位置され、磁性構造12bは舌の後部(奥部)の中または上に位置される。図6Aでは、磁性構造12a、12bが相互作用する相手の磁性構造14が気道の外側に(たとえば顎先に)位置されている。一方、図6Bでは、磁性構造14は気道内に(たとえば口腔内に)位置されている。磁性構造12bが代替的に、図6Aおよび6Bにおいて破線で示されているように、図4Cおよび4Dにおいて先に示されたように下顎と舌骨の間の概略的な領域内において、筋(たとえば下顎下骨筋、オトガイ舌骨筋または顎二腹筋)の中または上に、あるいは皮膚の下に位置されていてもよいことは理解しておくべきである。
〈B.強磁性構造の配設〉
磁力システム10a、10bおよび10cはさまざまな仕方で構築できる。図示した構成では、すべての磁力システム10a、10bおよび10cはその最も基本的な形において、二つの構造12および14を含む。一方の構造12は比較的可動で拘束されなければつぶれやすい組織の中または上に配設される。他方の構造14は、つぶれの方向に対して相対的に言えば不動である組織の上または中に配設される。
構造12および14は強磁性材料を含む。構造12および14の強磁性材料は、構造12と14の間に磁力を発達させることによって磁気的に相互作用するように大きさを決められ、選択され、配置される。磁力は、可動な組織の中または上の構造12を比較的不動な組織の中または上に向けて磁気的に引きつける少なくとも一つのベクトルまたは成分を含む。それにより、比較的可動な組織の無呼吸性または低呼吸性の閉塞または狭隘化につながりうる後方移動または他の動きに抵抗する。
〈1.第一の構造〉
第一の構造12は、治療の目標とされる気道内の比較的可動な組織の中または上に内的に配設される。舌システム10a(図4Aないし4D)では、目標とされる組織は舌組織であり、特に咽頭壁に面する舌の後部(基部)もしくはその近くの組織(図4Aおよび4B)、あるいは、下顎と舌骨の間の概略的な領域内において、筋(たとえば下顎下骨筋、オトガイ舌骨筋または顎二腹筋)の中または上、あるいは皮膚の下の組織である(図4Cおよび4D)。軟口蓋システム10b(図5Aおよび5B)では、目標とされる組織は気道を介して咽頭壁に面する軟口蓋/口蓋垂である。複合システム10c(図6Aおよび6B)では、目標とされる組織は気道を介して咽頭壁に面する、舌組織(あるいは代替的に、下顎と舌骨の間の概略的な領域内において、筋(たとえば下顎下骨筋、オトガイ舌骨筋または顎二腹筋)の中または上、あるいは皮膚の下の組織)および軟口蓋/口蓋垂である。
その内的配置のため、強磁性構造12は、組織中に比較的長期間配設または埋め込みするのに望ましいような大きさおよび構成にされる。
〈2.第二の構造〉
先述のように、第二の構造14は、気道の外側の比較的不動な組織の中または表面上に外的に配設されることも、あるいは気道内の比較的不動な組織の中または表面上に内的に配設されることもできる。構造14は、構造12および14上の強磁性材料の間に磁力を生じることによって、構造12と磁気的に相互作用するように配設される。その磁力は、可動組織の中または上の構造12を相対的にそれほど可動でない組織の中または上の構造14のほうに磁気的に引きつける少なくとも一つのベクトルまたは成分を含むようにされる。
舌システム10a(図4Aないし4D)では、二つの強磁性構造12と14の間の磁気的引力が、咽頭後壁に向かう舌の後方移動またはその他の動きに抵抗する。軟口蓋システム10b(図5Aおよび5B)では、二つの強磁性構造12と一つの強磁性構造14の間の磁気的引力が、咽頭後壁に向かう軟口蓋/口蓋垂の後方移動またはその他の動きに抵抗する。複合システム10c(図6Aおよび6B)では、二つの強磁性構造12と強磁性構造14の間の磁気的引力が、咽頭後壁に向かう舌および軟口蓋/口蓋垂両方の後方移動に抵抗する。すべてのシステム10a、10bおよび10cにおいて、磁力が完全にまたは部分的に、図3に示される気道を閉塞する組織条件の発生を防止する。図4Aないし4D、図5Aおよび5B、図6Aおよび6Bが示すように、第一および第二の強磁性構造12、強磁性構造14の間の磁力は、睡眠中、気道を開いたままに保つはたらき(すなわち気道確保)をする。
強磁性構造14は、その配置のため、望ましくは取り外し可能な大きさおよび構成にされる。それにより、より恒久的な強磁性構造12と関わるよう一時的に配設され、その後望まれるときには関わりから取り外されることができる。このように、強磁性構造14は、磁力場の存在が望まれるとき、たとえば睡眠の際に内部強磁性構造12との関わりに置かれることができ、他の時には取り外すことができる。取り外し可能な構造14は、簡単かつ精確に設定(すなわち、システムの性能を最適化するための磁力の増減)されるという利点もある。この設定(titration)は、臨床担当者もしくはユーザーによってさまざまな強度の異なる強磁性材料を切り換えることによって、および/または内部構造12に対する取り外し可能な構造14の相対位置または距離を調節することによって達成できる。
〈a.体外配設〉
図4A、4C、図5Aおよび図6Aでは、第二の構造14は気道の外側に外的に、比較的不動な組織上に配設されて示されている。より具体的には、図4A、4C、図5Aおよび図6Aでは、第二の構造14は体外に、顎先または下顎の上または下に配設されて示されている。構造14をこの位置に配設するさまざまな方法が可能である。
たとえば、図7Aに示されるように、外部強磁性構造14は、たとえば頭の上にフィットするストラップ32を有するヘッドギアによって顎関節のレベルで固定できる担体28としての形、大きさ、構成にされることができる。のちにより詳細に述べるように、担体28は舌、軟口蓋/口蓋垂またはその両方の中または上に位置された内部用構造12の強磁性材料を引きつけるよう位置され、構成された一つまたは複数の強磁性材料のアレイを含む。
あるいはまた、図7Bに示されるように、外部強磁性構造14の担体28は、さらなる安定性および快適さを加えるために、顎先にフィットするカップ34を有するような形にされることができる。この構成では、ヘッドギア・ストラップ32は担体28および顎先カップ34に顎関節のレベルで付いていて、ヘッドギアの位置を固定化するのを助けている。
図7Cが示すように、担体28は、顎の下で舌の下方に、ある測った最小距離にわたって(たとえば少なくとも4cm)延在する延長部をもつ顎先カップ34としての形、大きさおよび構成にされることができる。この構成では、延長部は少なくとも一つの強磁性材料26を担持し、これが舌の中または上に位置される内部用構造12の強磁性材料と相互作用する。この実施形態では、ヘッドギア・ストラップ32は頭の上にフィットし、顎先カップおよび顎の下のその延長部の両方に取り付けられることができる。この実施形態は、治療目的が主として舌の後方移動への抵抗を目標とする場合には特に有用である。
代替的な構成では、第二の構造14は首のまわりに配設されることができる。図8Aに示されるように、第二の構造14は、一つまたは複数の強磁性材料26のアレイを含む担体28を有する。担体28は首カラー(collar)38を含む。この首カラー38が、舌、軟口蓋/口蓋垂またはその両方の中または上に位置される内部用構造12の強磁性材料を引きつけるよう強磁性材料18を位置させ、配向させるはたらきをする。
図8Bに示される実施形態では、顎の下にフィットする首カラーの前部分が後頭部の下にフィットする後部分よりも高くなっている。この構成は、顎のレベルを上げ、頭部を後方に傾けて顎を上げることによって首を伸ばすはたらきをする。図8Bに示される実施形態は、CPRの際に実施される首の伸張を模倣する。この伸張は、磁力場に対する機械的な向上を加え、気道を確保するまたはさらに開くのを助けることができる。
体外磁気デバイスを使うことの利点は次のことを含む。(1)口の中に植え込まれたり口の中に装着される器具に固定されたりすることができるよりも大きく強い磁石が使用できる(のちにより詳細に述べる)。(2)外部デバイスは簡単に取り外せるので、与えられる力は患者が眠りたいときにのみ経験される必要があり、食事や発話の際には必要でなく、これによりこうした活動に対する磁力の効果を最小限にできる。(3)外科的介入の必要なく、磁力の大きさおよび方向が変更できる。これは、磁石の型およびサイズを交換することによって、および外部デバイス内の磁石の位置を変えることによって達成される。
〈b.体内配設〉
あるいはまた、第二の構造14は気道内で、たとえば口腔内で内的に、前記第一の構造12(これは望ましくは舌および/または軟口蓋/口蓋垂の中または上に配設される)に近接して比較的不動な組織の中または上に配設されることができる。たとえば(図9A、9B、9C、9D、9Eが示すように)、第二の構造14は、口の内部において下の歯の内端または外端に沿った、あるいは下または上の歯の頂部を覆うさまざまな位置においてフィットされるような形、大きさおよび構成にされることができる。第二の構造は概略的に舌と整列される、舌の上にあるまたは舌の下にある磁性材料をも有する。この構造は、原理的には上の歯に配設されることもできる。
たとえば、図9Aでは、第二の強磁性構造14は、下の歯の内端に沿ってフィットするマウスピース40の形をとる担体28を有する。のちにより詳細に述べるように、一つまたは複数の強磁性材料26のアレイが担体28によって担持される。図示した実施形態では、マウスピース40は下の歯に好適な仕方で、たとえば図のようなフック42で、取り付けられている。
図9Bは代替的な構成を示している。この構成では、第二の強磁性構造14は、下の歯の外端に沿って好適な仕方で、たとえば図のように二つのフック42で、フィットするマウスピース40の形をとる担体28を有する。のちにより詳細に述べるように、一つまたは複数の強磁性材料26のアレイが担体28によって担持される。
図9Cはもう一つの代替的な構成を示している。この構成では、第二の強磁性構造14は、下の歯にフィットしてこれを覆うようモールディングによって事前形成されたマウスピース40の形をとる担体28を有する。のちにより詳細に述べるように、一つまたは複数の強磁性材料26のアレイが担体28によって担持される。
図9Dおよび9Eは、図9Cに示した型のマウスピース40の他の代替的な実施形態であり、下の歯の上にフィットする。図9Dおよび9Eでは、マウスピース40は一つまたは複数の、歯から中央に向かって(medially)口腔内に延びる突出部43を含む。図9Dでは、その一つまたは複数の突出部は舌の上に延在する。図9Eでは、その一つまたは複数の突出部43′は舌の下に延在する。突出部は一つまたは複数の強磁性材料26のアレイを担持する。このようにして、強磁性材料26は、舌内の第一の構造12内の強磁性材料26と緊密な上位整列(図9D)または下位整列(図9E)において、および/または軟口蓋/口蓋垂内の第一の構造12内の強磁性材料26と緊密な下位整列において、配設されることができる。
担体28が上の歯の上にフィットするような、図9Aないし9Dに示されるマウスピース40に対する代替的な実施形態も構想されている。
図9A、9B、9C、9Dおよび9Eにおけるさまざまなマウスピース40の構成および配置は、物理的に、第二の強磁性構造14の強磁性材料26を、舌および/または軟口蓋/口蓋垂の中または上に配設された強磁性構造12に対して比較的密接して位置付ける。近接性は、所望の治療効果を達成するために必要な気道内での磁場の大きさを増す。こうして、近接性は、構造12および14の両方において、カラー、ヘッドギアまたは他の位置における外部の第二の磁性構造に比較して、比較的より小さな強磁性材料の使用を可能にする。
〈C.強磁性構造の構成〉
図10に見られるように、その最も基本的な形では、磁力システム10の磁性構造12および14はそれぞれ少なくとも一つの強磁性材料を有する。磁性構造12の強磁性材料は参照符号16によって同定されることにし、強磁性材料14についての強磁性材料は参照符号18によって同定されることにする。第一の構造12の強磁性材料16は、目標とされる組織領域(舌および/または軟口蓋/口蓋垂)の中または上に配設される。第二の構造14の強磁性材料18は顎先、下顎の下に、下の歯の内端もしくは外端に沿って、または下の歯の上に、上の歯の内端もしくは外端に沿って、または上の歯の下に配設される。磁力システム10a、10bおよび10cを形成する磁性構造12および14の強磁性材料16および18は、舌および/または軟口蓋/口蓋垂と磁気的に相互作用し、これを安定化させ、それにより睡眠時に舌および/または軟口蓋/口蓋垂と咽頭壁との間の気道における組織のつぶれに抵抗するよう配設される。
〈1.磁極の配向〉
各強磁性材料16および18は永久磁石であってもよい。永久磁石は、いったん磁化されたら外部の消磁力に抵抗を示す物質として特徴付けられる。すなわち、永久磁石の残留磁気を除去するためには、高い外部磁場が必要とされる。別の言い方をすれば、永久磁石は非常に高い固有の保持力をもつ。保持力は消磁に対する抵抗の目安である。
永久磁石は互いに反対極性の極を有する。磁極は磁石の(通例磁石の端にある)、外部磁場が最も強くなる領域である。地球の磁極に対して磁石が自由に回転できれば、一方の磁極が地球の磁北極を指し、よって磁石の北極と呼ばれ、これは図面においてはNによって示され、N極とも呼ばれる。反対の磁極は磁石の南極と呼ばれ、これは図面においてはSによって示され、S極とも呼ばれる。
物理法則によれば、同じ極性の磁極どうし(NとNまたはSとS)は磁力によって互いに反発する。逆に、反対の極性の磁極どうし(NとSまたはSとN)は磁力によって互いに引きつけ合う。このように、永久磁石を組み込む構造12および14は、構造12および14の同種の磁極(NとNまたはSとS)が互いに面するよう配向されるときは互いに反発し、同様に、構造12および14の反対の磁極(NとSまたはSとN)が互いに面するよう配向されるときは互いに引きつけ合うことになる。磁気的な引力または反発力の大きさは、磁石の強さおよび磁極間の距離に依存する。
既知の永久磁石材料の例としては、ネオジム‐鉄‐ホウ素(NdFeB)の合金、アルミニウム‐ニッケル‐コバルト(AlNiCo)の合金およびサマリウム・コバルト(SmCo)が含まれる。永久磁石の代わりに電磁石(導線のコイルを流れる電流)を使うこともできる。
図4Aないし4D、図5Aおよび5B、図6Aおよび6Bにそれぞれ示される磁力システム10a、10b、10cにおいて、磁性材料16および18は、反対の磁極(NとSまたはSとN)が下顎を介してまたは舌組織を介して概略的に互いに面するよう配向される。こうして、第一および第二の磁性構造12および14は反対の極性をもっていると言われる。構造12および14は、両者の間に磁力を生成することによって磁気的に相互作用する。この磁力の性質は、異なる極性の磁極間の相互作用に関わるので、一般に、略して説明のために、「引きつけ合う」磁力と呼ばれる。しかしながら、構造12と14の間に生成される磁力がトルク力(すなわち、舌および/または軟口蓋/口蓋垂のより可動な組織中の内部用構造12をある軸のまわりに回転させる傾向のある力または力のモーメント)および/または偏心力(すなわち、舌および/または軟口蓋/口蓋垂内の内部用構造12を左または右にオフセットする傾向のある、やはり目標とされる可動組織領域に依存する、横方向すなわち側面から側面への方向の力)または二つ以上の引きつけ合う力、トルク力および偏心力の組み合わせを含むことができることは理解しておくべきである。これらの磁力の一つまたは複数がまとまって、(目標とされる可動組織領域に依存して)舌および/または軟口蓋が後方方向に動き、咽頭導管または気道を閉鎖、閉塞または制約するのを防止することができる。引きつけ合うシステムの主要な利点の一つは、OSAを治療する際の反発する磁気システムに見られる著しくかつ問題となる偏心力およびトルク力を減少させるかなくすかできることである。
より可動な目標とされる組織領域内の構造12が、それ自身は磁化されていないがそれにもかかわらずそれほど可動ではない目標とされる組織領域内の構造14の磁化されている強磁性材料18に引きつけられる強磁性材料16を含むことができることは理解しておくべきである。したがって、構造12の強磁性材料(単数または複数)は磁化されていない材料、たとえば鉄板を含むことができる。それに対して構造14の磁化された強磁性材料18が磁気的引力を及ぼすのである。したがって、本明細書において使用される「強磁性」材料の用語は必ずしも磁気的性質を示す物体(すなわち磁化されているオブジェクト)に限定されず、それ自身は磁化されていないが磁化されている別の物体に引きつけられる物質からできている物体をも包含する。
〈2.磁性構造(Magnetic Structures)〉
一般的な言辞で先述したように、第一の構造12の強磁性材料16は磁化されていても磁化されていなくてもよい。しかしながら、好ましくは恒久的に磁化されており、したがって「磁性(magnetic)」と記述される。磁性材料16は気道内の組織の中または上に配設される。「中または上に(in or on)」配設されるという用語は、磁性材料16が組織の表面上に配設されても組織内に植え込まれてもよいことを意味する。長い寿命と快適さのためには、材料16は望ましくは組織内に植え込まれる。図示した実施形態では、目標とされる組織は舌のある領域、軟口蓋/口蓋垂のある領域またはその両方を含むことができる。
先に一般的に述べたように、第二の構造14の強磁性材料18も望ましくは恒久的に磁化されており、したがって「磁性」と記述される。磁性材料18は顎先または下顎の下において気道の外部に、あるいは下の歯の内端もしくは外端に沿って、歯の上にまたは舌の上もしくは下において気道内に内的に配設される。先述したように、外部に位置されるとき、磁性材料18は望ましくは、個別にフィッティングされた顎ストラップまたは首カラーの中にマウントまたは担持される。内部に位置されるとき、磁性材料18は望ましくは、下の歯にフィッティングされた口腔マウスピースの中にマウントまたは担持される。このようにして、磁性材料18は、下顎の下において外部に、あるいは下の歯の内端もしくは外端に沿って、歯の上にまたは舌の上もしくは下において内的に位置されて、舌のある領域、軟口蓋/口蓋垂のある領域またはその両方において組織の上に配設されるまたは組織内に植え込まれる材料16と磁気的に相互作用することができる。
永久磁性材料16および18はそれぞれさまざまな仕方で構成されることができ、さまざまな形、たとえば円筒形、正方形、長方形または他の多角形といった形をとることができる。所与の内部コンポーネント、インプラント12または外部コンポーネント14の所与の磁性材料16または18は、所与の所望の極配向をもつ単一のまたは離散的な磁気源を含むことができる。たとえば、所与の磁性材料16または18は、図10に示されるように単一の永久磁石であってもよい。接合された永久磁石を使ってもよい。接合された磁石は柔軟でも剛性でもよく、粉末状のNdFeB、フェライトまたはSmCo永久磁石材料を、たとえばゴム、ニトリル、ポリエチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニル、シリコーン、ゴムまたはナイロンの柔軟または剛性の基板において接合したものからなっていてもよい。接合磁石の形成は、押し出し成形、圧縮モールディング、注入モールディング、カレンダー(calendering)または印刷によって達成されることができる。接合磁石(bonded magnet)は、他の仕方では達成が難しい独特な柔軟な設計および耐久性があり許容度(tolerance)の高い形状を可能にする。
あるいはまた、図11に示されるように、複数の永久磁石材料16または18が、支持担体24上にユニットとして担持されたアレイ22として配設するために位置されたり、あるいは他の仕方で一緒に直接リンクされたりすることができる。担体24は、たとえばポリマーまたはファイバーまたは織物または非鉄金属材料でできた、たとえば編まれた、形成されたまたはモールディングされた構造を有することができる。磁性材料16/18自身と同様、アレイ22は、意図された組織領域への植え込みのために(第一の構造12について)または外部または内部の組織との関連での配設のために(第二の構造14について)、さまざまな形、大きさおよび構成にできる。
図11に示される構成では、複数の磁性材料16/18は、N極およびS極が概して同じ方向を向くようにして担体24上に配設される。図11では、N極配向が矢印によって示され、したがってS極は逆向きに配向している。このようにして、比較的似た磁気的配向(すなわち極性)をもつ同様の永久磁石16/18のアレイ22が、担体24上でユニットとしての配向のために集められることができる。
第一の構造12に関し、複数の永久磁石材料16(または磁性材料に引きつけられる磁化されていない材料)が、柔軟またはしなやかなアレイ22内に組み込まれて、支持担体24上のユニットとして(図11に示されるように)組織内への植え込みのために担持されることができる。第二の構造14に関しては(図7Aないし7C、図8Aおよび8B、図9Aないし9Eに示した構成)、複数の永久磁石材料18は、支持担体28上にユニットとして担持される、より剛性のアレイ26内に組み込まれることができる。支持担体28は、顎の表面上または顎の下におけるその配設を安定化させるヘッドギア(図7Aないし7C)、首のまわりでのその配設を安定化させる首ピース(図8Aおよび8B)または口腔内でのその配設を安定化させるマウスピース(図9Aないし9E)と個々に関連付けられることができる。磁性材料16/18自身と同様、アレイ26はさまざまな形、大きさおよび構成にできる。
いずれの構成(図10では個別に示され、図11ではアレイ上に示されている)でも、磁性材料(単数または複数)16または18は望ましくは、組織の中もしくは上への配設またはそれぞれの安定化デバイス(ヘッドギア、首ピースまたはマウスピース)内への配設に先立って、それぞれ選択された保護材料20または30でコーティング、めっき、カプセル化または蒸着される。保護材料20/30は、腐食耐性かつ生体適合性の界面を提供し、磁性材料16/18と組織または体液との間の相互作用を防止するよう選択される。保護材料20/30はまた、望ましくは、耐久性のある組織界面を形成し、システム・コンポーネントに長寿命を与え、それにより構造疲労および/または破損への抵抗性を与えるようにも選択される。
これらの所望される物理的および生理学的恩恵を与えるよう選択されると、保護材料20およびその材料16への適用は、望ましくは、構造12に追加された硬さを賦与することを回避し、組織内への植え込みによるその好ましい配設を補完するようにも選択される。しかしながら、構造14(これは望ましくは植え込まれることは意図されない)に関しては、材料18に使用される保護材料30は、構造14に硬さを加え、比較的柔軟な構造12と比較的不動でそれほど柔軟でない構造14との間の引力を最大化するよう選択されることができ、またそれが望ましい。材料18と16の間の引力が効率的であるほど、強磁性材料16および18の大きさが小さくなり、よって構造12および14がより軽く、より快適になることができる。
保護材料20/30は、所望される生体適合性、腐食抵抗性および耐久性を与えると知られているさまざまな種類の材料のうちから選択できる。たとえば、保護材料20/30はめっき、蒸着または他の仕方で磁性材料16/18上にコーティングされたチタンまたは他の金属材料を含むことができる。もう一つの例としては、保護材料20/30はパリレン・コーティングを含むことができる。他の例としては、保護材料20/30は、シリコーン・ポリマー、非毒性エポキシ、医療品質ポリウレタンまたは紫外線硬化性医療アクリル共重合体を含むことができる。保護材料20/30はまた、抗凝固剤および/または抗生物質および/または組織の内方成長(in-growth)プロモーターを組み込んでいてもよい。
〈D.磁性構造の代表的システム〉
〈1.舌システム〉
図12Aは、図4Aに示される型の代表的な舌システム10aを示している。システム10aは、先述したように、比較的似た引きつけ合う配向で配置されている強磁性材料16および18を有する。図12Aでは、舌システム10aは、舌の中に植え込むような大きさおよび構成にされた図11に示される型の第一の磁性アレイ22を有する第一の磁性インプラント12を含む。舌システム10aはまた、やはり図11に示されている型のものだがさらに図7Cに示される型の顎下配向に組み込まれている第二の磁性アレイ26を有する第二の磁性コンポーネント14をも含んでいる。
図12Bに示されるように、第一の構造12のアレイ22は担体24を有し、担体24の上に強磁性材料(単数または複数)16(望ましくは一つまたは複数の永久磁石からなる)のアレイ22が配列されている。図12Aおよび12Bが示すように、担体24は、その幅よりも長い長さをもつよう、長手軸に沿って形作られている。この細長い形状のアレイ22は、それぞれ舌および気道の前後軸に沿って植え込まれるような大きさおよび構成にされる。図12Aおよび12Bに示されるように、アレイ22の長手軸は舌の縫線に沿って延びる。
図12Cに示されるように、第二の構造14のアレイ26は担体28を有し、担体28の上に強磁性材料18(やはり永久磁石)のアレイ26が配列されている。担体28は、図7Cに示される顎カップを有する。図12Cでは、アレイ26は馬蹄形である(ただし、他の多くの構成が構想される)。馬蹄形アレイ26は顎先および下顎の下に配設される。複数の磁性材料18の比較的似たまたは同じ配向が、アレイ26を首ピースと関連させることによって(図8Aおよび8Bに示されるように)、あるいは該アレイを口腔内に装着されるマウスピースと関連させることによって(図9Aないし9Eに示されるように)達成できることは理解できる。
図12Cに示されるように、磁性材料18の馬蹄形のアレイは、前方から後方へと口腔の曲がった解剖構造全体をなぞる。該アレイは、後磁性領域18a(舌の両側に位置される)、前磁性領域18c(口腔の曲がった前領域に沿って位置される)および中央磁性領域18b(口腔の前および後領域の間で舌の両側に位置される)を有する。図12Dは馬蹄形アレイに対する代替的な実施形態を示している。この実施形態では、磁性材料18は顎の下18a、18bおよび18cならびに顎の隣18dの両方に配設される。
図12Eが示すように、植え込まれたとき、第一のインプラント12の磁性材料16の磁極は、外部コンポーネント14の磁性材料18の反対の磁極と気道を介して略整列するよう配向される。すなわち、N極とS極またはS極とN極のいずれかが下顎を介してまたはマウスピース・アレイの場合は舌組織を介して略整列される。結果として、磁性外部コンポーネント14は、磁性の舌インプラント12を引きつけることによって(図12Eでは向かい合う矢印によって示されている)相互作用する。インプラント12と構造14の間の引力Aのため、舌組織は、睡眠の間、咽頭導管に向かってつぶれることができず、こうして気道は開いたままとなる。しかしながら、無呼吸患者が起きているときは、磁力は嚥下、発話、咳、くしゃみなどによって克服されうる。あるいはまた、外部磁石18を睡眠の目的のためにのみ位置させ、装着することもできる。それにより、睡眠時により大きな、より治療効果のある力が許容され、日中は通常の嚥下および発話機能を許容するよう簡単にその力を取り除ける。
図12Fに示されるある代替的な実施形態では、磁性材料18のアレイは、後から前へと口腔の曲がった解剖構造全体を対称的になぞりはしない。その代わり、アレイは後磁性領域18a、前磁性領域18cおよび中央磁性領域18bを、舌の一方の側のみに沿って非対称的に有する。この構成では、舌に植え込まれたインプラント12と顎、首または歯によって担持される片側の磁性構造14との間の磁性引力に応答して、磁石18から最も遠い舌の側の気道が開く。舌のその側はもはや咽頭壁に向かってつぶれはせず、無呼吸エピソードが防止される。
さらにもう一つの代替的な実施形態では、図12Gおよび12Hに示されるように、舌インプラント12′がマウスピース構造/外部コンポーネント14と平行な配置に整列される。舌インプラント12′と外部コンポーネントとの間の磁性引力は舌を前方向に押しやる。この特定の実施形態は、舌インプラントとマウスピース構造との間のより短い距離のため、これまでの実施形態より大きな力を生成できうる。
〈2.軟口蓋システム〉
図13Aは、図5Bに示される型の代表的な軟口蓋システム10bを示している。システム10bは、先述したように、引きつけ合う配向で配置されている強磁性材料16および18を有する。図13Aでは、軟口蓋システム10bは、軟口蓋に植え込むような大きさおよび構成にされた図11に示される型の第一の磁性アレイ22を有する第一の磁性インプラント12を含む。軟口蓋システム10bはまた、やはり図11に示されている型のものだがさらに図9Bに示される型のマウスピース配向(下の歯の外側に配設される)に組み込まれている第二の磁性アレイ26を有する第二の磁性コンポーネント14をも含んでいる。
図13Bに示されるように、第一の構造12のアレイ22は担体24を有し、担体24の上に強磁性材料(単数または複数)16(望ましくは一つまたは複数の永久磁石からなる)のアレイ22が配列されている。図13Aおよび13Bが示すように、担体24は長手軸に沿って形作られている。この細長い形状のアレイ22は、それぞれ軟口蓋および気道の前後軸に沿って植え込まれるような大きさおよび構成にされる。図13Aおよび13Bに示されるように、アレイ22の長手軸は軟口蓋または口蓋垂の中線に沿って延びる。
図13Cに示されるように、第二の構造14のアレイ26は担体28を有し、担体28の上に磁性材料18(やはり永久磁石)のアレイ26が配列されている。担体28は、図9Bに示されるマウスピースを有する。図13Cでは、アレイ26は下の歯のプロファイルに一致するよう馬蹄形である。磁性材料18の同じ配向が、アレイ26をヘッドギア(図7Aおよび7Bに示されるように)、顎カップ(図7Cに示されるように)または首ピース(図8Aおよび8Bに示されるように)と関連させることによって、あるいはアレイを口腔内に装着される他のマウスピースと関連させることによって(図9Aおよび9Cないし9Eに示されるように)、達成され、安定化されることができることは理解できる。
図13Dが示すように、植え込まれたとき、第一のインプラント12の磁性材料16の磁極は、外部コンポーネント14の磁性材料18の反対の磁極と気道を介して略整列するよう配向される。すなわち、N極とS極またはS極とN極のいずれかが舌組織を介してまたは顎カップまたは首ピース・アレイの場合は下顎を介して略整列される。結果として、磁性外部コンポーネント14は、磁性の軟口蓋インプラント12を引きつけることによって(図13Dでは引き合う矢印によって示されている)相互作用する。
インプラント12と構造14の間の引力のため、軟口蓋は、睡眠の間、咽頭導管に向かってつぶれることはなく、こうして気道は開いたままとなる。しかしながら、無呼吸患者が起きているときは、磁力は嚥下、発話、咳、くしゃみなどによって克服されうる。あるいはまた、睡眠の目的のためにのみ口腔磁石18を位置させ、装着することができる。それにより、睡眠時により大きな、より治療効果のある力が許容され、日中は、通常の嚥下および発話機能を許容するよう簡単にその力を取り除ける。
〈3.複合システム〉
図14Aは、図6Bに示される型の代表的な複合システム10cを示している。システム10cは、先述したように、引きつけ合う配向で配置されている強磁性材料16および18を有する。図14Aでは、複合システム10cは、第一の強磁性インプラント12aおよび12bの対を含む。インプラント12aおよび12bのそれぞれは、それぞれ舌および軟口蓋に植え込むような大きさおよび構成にされた図11に示される型の強磁性アレイ22を有する。複合システム10cはまた、やはり図11に示されている型のものだがさらに図9Bに示される型のマウスピース配向(下の歯の外側に配設される)に組み込まれている第二の磁性アレイ26を有する第二の磁性コンポーネント14をも含んでいる。
図14Aおよび14Bに示されるように、第一の構造12aおよび12bのアレイ22のそれぞれは担体24を有し、担体24の上に強磁性材料16(望ましくは一つまたは複数の永久磁石からなる)のそれぞれのアレイ22が配列されている。図14Aおよび14Bが示すように、各構造12aおよび12bの担体24は長手軸に沿って形作られている。構造12bの細長い形状のアレイ22は、舌の前後軸に沿って植え込まれるような大きさおよび構成にされる。構造12aの細長い形状のアレイ22は、軟口蓋の前後軸に沿って植え込まれるような大きさおよび構成にされる。
図14Cに示されるように、第二の構造14のアレイ26は担体28を有し、担体28の上に磁性材料18(やはり永久磁石)のアレイ26が配列されている。担体28は、図9Bに示されるマウスピースを有する。図14Cでは、アレイ26は下の歯のプロファイルに一致するよう馬蹄形である。磁性材料18の同じ配向が、アレイ26をヘッドギア(図7Aおよび7Bに示されるように)、顎カップ(図7Cに示されるように)または首ピース(図8Aおよび8Bに示されるように)と関連させることによって、あるいはアレイを口腔内に装着される他のマウスピースと関連させることによって(図9Aおよび9Cないし9Eに示されるように)、達成され、安定化されることができることは理解できる。
図14Dが示すように、植え込まれたとき、両方のインプラント12aおよび12bの磁性材料16は、外部コンポーネント14の磁性材料18に略引きつけられる(図14Dでは引き合う矢印Aによって示されている)。インプラント12aおよび12bのそれぞれと構造14の間の引力Aのため、舌および軟口蓋は、睡眠の間、咽頭導管に向かってつぶれることに抵抗し、こうして気道は開いたままとなる。しかしながら、無呼吸患者が起きているときは、磁力は嚥下、発話、咳、くしゃみなどによって克服されうる。あるいはまた、口腔磁石18を睡眠の目的のためにのみ位置させ、装着することもできる。それにより、睡眠時により大きな、より治療効果のある力が許容され、日中は、通常の嚥下および発話機能を許容するよう簡単にその力を取り除ける。
上記のようなさまざまな磁力システム10a、10bおよび10cはエレガントでコスト効率のよい睡眠時無呼吸の治療を提供する。舌、軟口蓋または口蓋垂の組織の中または上に配設されることで、強磁性構造12はその相手となる強磁性構造14とともに、よく耐容され、CPAPの設備より著しく快適かつユーザーフレンドリーであり、他の高度に侵襲的な外科的治療オプションよりも望ましいものである可能性が高い。磁気システム10a、10bおよび10cは洗練された、それでいて使用が簡単であり、のちにより詳細に述べるように個別的な解剖学的および生理学的要求に基づいて患者の個人の必要性に合わせた形、構成および磁気設定にされることができる設計を提供する。
〈III.動的な組織領域において力‐距離関係力を調整する〉
〈A.概要〉
図12Aないし12E、図13Aないし13Dおよび図14Aないし14Dに示されるシステム10a、10bおよび10cにおいて、引きつけ合う磁力場を生成するために磁性コンポーネント12および14は望ましくは互いから下顎を介してまたは舌組織を介して垂直に整列される。現実には、磁性材料16と18の間に理論的に「完璧な」磁気的整列があることはまれである。これは、気道内における舌および軟口蓋の動的な性質のためである。舌と軟口蓋の間、それに舌および軟口蓋のそれぞれと下顎との間の距離および配向は、患者ごとの解剖学的な変動のほか睡眠時および覚醒時の舌および軟口蓋の絶えざる動きに起因して変動する。幾何学的に「完璧な」平行関係が気道内のこれらの組織構造の間にあることはまれである。さらに、睡眠中に舌または軟口蓋が横に、後に、前に、頭方に、尾方に、転がるように、あるいはそれらの任意の組み合わせにおいて動くと、その動きが、引き合う磁性材料16および18の間の配向および整列を刻々と著しく変えることがある。
インプラント(または磁石または他の任意の物体)を介した力の変動はトルクとして現れることもあり、完全な整列状態にないいかなる磁気システムにおいても存在する。引力か反発力かによらず、トルクはあらゆるシステムに存在する。磁石が「完璧な」整列状態にないとき、角度または位置による増加した整列乱れがあるところでは、トルクが磁石の整列を正そうとする。すなわち、磁石は引力を最大化する整列状態に向かって回転する。磁石は、可能な最大の引力状態において完璧に整列されようとする。換言すれば、N極をS極に対向させて最良の整列になろうとするのである。
気道中の可動な解剖学的構造の中または上に配設された磁性構造が、NとSまたはSとNの引きつけ合う磁極の理論的に「完璧な」あるいは理想的な整列状態を許容する仕方で配向されていることは、たとえあったとしてもめったにない。引きつけ合う磁性材料の整列が理論的に「完璧」または理想的であることはまれであり、絶えざる変化にさらされる。本稿で開示される治療目的のために舌を効果的に操ることができるのは、磁気システムに内在するトルクを理解し、制御することによってである。
〈B.設計上の考察〉
舌および/または軟口蓋に関わるいかなる引力磁気システムも、望ましくは少なくとも三つの考察を考慮に入れ、バランスする。一つの考察は解剖学的なものである――(i)個別的な上呼吸系解剖構造および軟口蓋に対する舌の自然な動きまたは舌もしくは軟口蓋のいずれかの下顎に対する相対的な動きのため、舌と軟口蓋の間、および舌および軟口蓋のそれぞれと下顎の間の距離が変動し、完璧な平行整列がないこと;(ii)インプラントを互いに最も望ましい配向に配設できること;(iii)引きつけ合う磁石の間の距離および結果として生じる力も考慮に入れる必要がある。すなわち、距離を比較的短く保ち、オフセット位置においては力を加えるためのつなぎ(tether)を与えるシステムである。
所与の引きつける舌構造または軟口蓋構造は望ましくは、舌、軟口蓋または口蓋垂のような他の構造と最大引力の位置に維持され、下顎に対して動くべきである。たとえば、睡眠の間、舌は、下顎に対して、幅広い多様な動きおよび角度配向の変化をすることを認識しておくべきである。
所与の舌または軟口蓋構造は望ましくは、インプラントを、下顎に対して正常時および異常時に遭遇されるあらゆる角度整列および変動する距離において最大引力に近い状態に維持するための特徴を含むが、それでもたとえば嚥下のような睡眠中の自然な身体機能の実行を許容するべきである。
〈C.設定される磁性アレイ(Titrated Magnetic Arrays)〉
磁力は磁性構造の間の距離の二乗にほぼ反比例する。したがって、磁力は距離に非常に敏感である。したがって、引き合う磁性構造の間の距離が少し増えると、両者の間の磁力の劇的な低下につながることがある。図15における曲線SMの傾きは、逆二乗関係のために、二つの単一磁石構造(図10に示されるような)の間の磁力場の大きさ(y軸)が両者の間の距離(x軸)の比較的小さな増加で著しく減少する様子を例証している。
舌および/または軟口蓋の正常な解剖学上の機能の間のシステム10a、10bおよび10c内の磁性構造12と14の間の距離の範囲は、略して「機能範囲(working range)」と呼ぶことにする。システム10a、10bおよび10cのコンテキストでは、機能範囲は約3cmないし4cmの範囲にあると考えられる。所与のシステム10a、10bまたは10cについては、磁性構造12および14の大きさおよび構成は、望ましくは、少なくとも機能範囲の境界内では構造12と14の間の距離の変動に起因する磁力の変動が緩和されるよう磁力場の大きさおよびフラックス分布が設計または選択されるようにされる。少なくとも機能範囲の境界内では、設定された磁力場によって与えられる磁場力の距離に対する変動は、図15の曲線SMの傾きよりも小さな大きさをもつ傾きを呈する。やはりまた、機能範囲の境界内では、磁力場の傾きは著しく低下し、それにより力‐距離関係の感度が低下する。図12Aないし12D、図13Aないし13Dおよび図14Aないし14Dに示されるシステム10a、10bおよび10cにおいて、磁性構造14は、望ましくは、身体機能の正常な実行における舌、軟口蓋または口蓋垂の相対的な動きにもかかわらず、磁性構造14が内部構造12と比較的一定した磁場および引力を維持するよう一つまたは複数の場の方向を与えるような大きさおよび構成にされる。
身体機能の正常な機能の間、構造12および14の質量中心間の間隔は、機能範囲内で、構造12および14の質量中心どうしが最も遠く離れている距離δFAR(センチメートル単位で表す)から構造12および14の質量中心どうしが最も近く位置される距離δNEAR(センチメートル単位で表す)までの間で変動する。距離δFARとδNEARでは、磁力システムの結果として得られる磁力、それぞれFFAR(グラム単位で表す)およびFNEAR(グラム単位で表す)は、機能範囲のそれぞれ遠い距離および近い距離の二乗、すなわちそれぞれ(1/δFAR 2)および(1/δNEAR 2)にほぼ反比例して変動する。磁性構造12および14は望ましくは、互いに、機能範囲内での磁性構造12および14の間の距離の変動に起因する磁力の変動が関係
(FNEAR/FFAR)≦(δFAR 2NEAR 2
を維持するような大きさおよび配置にされる。
このようにして、磁性構造14は、身体機能の正常な実行における機能範囲内での舌、軟口蓋または口蓋垂の相対的な動きにもかかわらず、内部構造12と、比較的一定した磁場および引力を維持する。
この目的を達成するため、システム10a、10bおよび10cは、望ましくは、図11に示されるような磁石のアレイを有する磁性構造12および14を含む。磁性材料16および18のアレイは、所望される機能範囲内で、磁場および内部構造12との引力のより一様な分布を与える。磁性材料16および18のアレイはまた、機能範囲内での力‐距離関係の感度を緩和するために構造16と18の間の磁場の大きさおよび分布を制御することをも可能にする。磁性材料16および18のより大きな、より小さな、あるいは異なるアレイを使うことで、内部構造12および外部磁石14による一様な引力を設定することができる。
たとえば、図16Aおよび16Bに示される磁性構造14は、異なる極性をもつ相異なる空間的磁性領域18a、18bおよび18cを有する磁石のアレイを含む。磁性領域18a、18bおよび18cは、舌システム10aまたは軟口蓋システム10bまたは複合システム10cを形成するために植え込まれた磁性構造12との関連において使用するための大きさおよび構成にされる。図16Aおよび16Bでは、磁性構造12も、舌または軟口蓋/口蓋垂または舌および軟口蓋/口蓋垂の両方に植え込まれた磁性領域16a、16bおよび16cのアレイを有する。
図16Aおよび16Bに示されるように、空間的に相異なる磁性領域16a、16bおよび16cはそれぞれ単一の磁石を有していてもよいし、あるいは担体上に配列された共通の極性の個別磁石のアレイ(図11に示されるような)を有していてもよい。空間的に相異なる磁性材料16a、16bおよび16cのアレイは、後から前への口腔の曲がった解剖構造をたどるような大きさおよび構成にされることができる。
構造14は、後磁性領域18a(舌の両側に位置される)、前磁性領域18c(口腔の曲がった前領域に沿って位置される)および中央磁性領域18b(口腔の前および後領域の間で舌の両側に位置される)を有する。図16Aに示される磁性領域18a、18bおよび18cのアレイは、特に、先に論じ、図7Aないし7Cおよび図9Aないし9Eにおいてそれぞれ示した顎取り付け式またはマウスピース構成における使用のための大きさおよび構成にされている。図16B示される磁性領域18a、18bおよび18cのアレイは、特に、先に論じ、図8Aおよび8Bにおいて示した首ピース構成における使用のための大きさおよび構成にされている。
図16Aおよび16Bに示されるように、ヘッドギア、顎カップ、マウスピースまたは首アレイ内の磁性領域18a、18bおよび18cのN極は、互いに対して、かつ気道中で舌および/または軟口蓋に植え込まれた磁性材料16のS極に対してそれぞれ異なる配向にされている。磁性領域18a、18bおよび18cのN極の相互に異なる配向は、機能範囲内での磁性材料16と18の間の力対距離の関係の感度を緩和する設定された磁場力を与える。
より具体的には、図16Aおよび16Bが示すように、空間的に相異なる磁性領域18a、18bおよび18cのN極の配向は、後から前へと、磁性領域16a、16bおよび16cのS極に対して変動する。図16Aおよび16Bが示すように、前磁性領域18c(口腔の前部にわたる)は口腔のほうに向けられ、磁石領域16a、16bおよび16cのS極と対向関係にあるN極配向をもつ。領域18cは前口腔の曲がった解剖構造に一致するよう曲がっているので、磁性領域18cのN極の配向も同様に、常に磁性領域16a、16bおよび16cのS極のほうに向かって内側を向くよう変化する。構造14の前磁性領域18cと構造12の前磁性領域16a、16bおよび16cの間のN‐S配向は、口腔の前領域において引き合う磁場(引き合う矢印A)を生成する。引き合う磁場Aは、舌および/または軟口蓋/口蓋垂の後方移動に抵抗する。これが望まれた治療目的である。
構造14の後磁性領域(口腔の奥で舌の両側に位置される)は、口腔のほう向かってN極配向をもつ。したがって、磁性領域18aは、舌および/または軟口蓋/口蓋垂の後部に位置される磁性領域16a、16bおよび16cのN極と略対向する関係に配向されたN極を呈する。構造14の後磁性領域18aと構造12の後磁性領域16a、16bおよび16cとの間のN‐N配向は、口腔の後領域において反発する磁場(反発する矢印R)を生じる。アレイの磁束が相互作用し合って前向きの力を生じ、これはインプラントが内側‐外側方向によく整列しているところでは比較的安定である。
この構成では、構造14の中央磁石領域18b(後磁性領域および前磁性領域18aおよび18cの間で舌の両側に、口腔の側面に沿ってある)は前磁性領域18cのほうに向いたN極配向をもつ。口腔の前領域中の引きつける磁場と口腔の後領域中の反発する磁場との間に隣接しての中央磁性領域18bのこのN極配向は、舌および/または軟口蓋に対して著しい不安定化させる横方向の引力を課すことなく、前磁性領域18c(口腔の前領域において舌および/または軟口蓋/口蓋垂を引きつける)と後磁性領域18a(口腔の後領域において舌および/または軟口蓋/口蓋垂を反発する)の間の磁場において磁束を方向付ける。磁性領域18a、18bおよび18cは、インプラント12が位置されると期待される機能範囲において、比較的一定した磁束または比較的一定した磁束勾配を作り出すような大きさおよび構成にされている。
図16Aおよび16Bに示される磁性領域18a、18bおよび18cは、さまざまに構築できる。たとえば、図17Aおよび17Bは、七つの別個の永久磁石18(1)ないし18(7)を有する磁性アレイの解説的な例である。永久磁石のN極性が印されている。図17Aは、図16Aのような顎マウント式またはマウスピース構造に向けられている。図17Bは、図16Bのような首カラー構造に向けられている。
磁石18(1)および18(7)はそれぞれ後磁性領域18aをなす。磁石18(3)、18(4)および18(5)はまとめて前磁性領域18cをなす。磁石18(2)および18(6)はそれぞれ中央磁性領域18bをなす。図17Aおよび17Bに示されるように、磁場は、磁石自身の方向を変えることによって操作できる。
図15は、たった今述べた図16A/Bおよび図17A/Bに示されるようなアレイ12と14の間の力対距離の関係を示している(曲線MM)。図15における曲線MMの傾きは、二つのアレイ12と14(図16A/Bまたは図17A/Bに示されるような)の間の磁力場の大きさ(y軸)が、機能範囲(x軸)の境界内で著しく低下しない様子を例証している。曲線MMはさらに、傾きが機能範囲の境界内で実質的に減衰することを例証している。
図18Aは、図16A/Bおよび図17A/Bに示した型の磁性アレイについて、磁束方向線を示す有限要素解析の図的な表現である。図18Bは、これらの磁性アレイ16a/16b/16cおよび18(1)ないし18(7)について磁場力の分布を示す有限要素解析のもう一つの図的な表現である。図18Bにおいて見られるように、アレイは、3cmないし4cmの機能範囲にわたって比較的一定した力F3を生成する力をもつ設定された磁場F1/F2/F3を生成する。この比較的一定した磁場力F3は、舌、軟口蓋または口蓋垂に植え込まれた構造12が、構造14に対する磁気的引力を著しく失うことなく、正常な機能に起因して機能範囲内でその位置を変えることを許容する。
〈D.つながれた磁性構造(Tethered Magnetic Structures)〉
図39Aおよび39Cは、先述の磁性構造14、たとえば口腔内に担持されるマウスピースまたは顎の表面上か顎の下もしくは首の回りに配設される外部担体の近傍において舌の前領域に植え込まれたつながれた強磁性構造(tethered ferromagnetic structure)120の代表的な実施形態を示している。図解の目的のため、図39Aは、顎の下に外的に装着された磁性構造14を示している。一方、図39Cでは、磁性構造14は顎カップの一部である。図39Aおよび39Cに見られるように、強磁性構造120は、それぞれ舌の下にあるまたは舌の前領域にある組織内に植え込まれた、一つまたは複数の永久磁石または強磁性材料を含む。使用においては、舌内の強磁性構造120は磁気的に磁性構造14と相互作用する。舌を前方に引くよう、および/または気道を閉塞するような舌の後方移動に抵抗するよう、強磁性構造120および磁性構造14は引きつけ合う配向に構成される。
強磁性構造120が磁性構造14に比較的密に近接しているため、磁力場の大きさが最大化される。さらに、比較的強い磁力場の存在時に組織内で強磁性構造120が移動するのに抵抗するため、強磁性構造120はさらに係留(anchoring)システム122を含む。係留システム122は、バンド、縫合糸または他の取り付け手段126によって強磁性構造120につながれた(tethered)非磁性の保持または係留構造124を有する。係留システム122の存在は、磁性構造14との磁気相互作用の結果として組織内で強磁性構造120が移動するのに抵抗する。さらに、係留システムは、舌のつぶれを防ぐために、後舌組織を前方向に引っ張る。係留システム122はまた、舌のような比較的大きな軟らかい組織塊内において強磁性構造120を安定化させるはたらきをしうる。
図39Aおよび39Cに示されるように、係留構造124は、強磁性構造120から離間され、強磁性構造120より後方において、たとえば舌の奥において組織塊に植え込まれる。係留構造124はたとえば、不快さや発話または嚥下への影響を防ぐ十分な柔軟性を示しつつ劣化に抵抗する、ポリマーまたはファイバーまたは布または非鉄金属材料からできた、生体適合性の製織、形成またはモールディングされた構造を有することができる。図39AおよびCに示されるように、保持構造124は穿孔128を含んでいてもよい。穿孔128は保持構造124の柔軟性を高める。穿孔128はまた、組織の内方成長を受け入れ、組織内への植え込みをさらに確固にする。あるいはまた、(図39Eに示されるように)係留構造124は、植え込みのためにたたまれ(図39Eで実線で示されるように)、植え込み部位の現場で展開される(図39Eの点線で示されるように)、拡張可能な傘のような構造142を含むことができる。
取り付け(attachment)手段126は、強磁性構造120を保持または係留構造124に結合させる(couple)またはつなぐ(tether)。取り付け手段126は、概略的に非弾性的な材料、たとえば非吸収性縫合糸材料、他の製織生体適合性レーシング(lacing)もしくは布またはナイロンもしくはアセタールのような非製織ポリマー・ストリップまたはニッケル・チタン合金(ニチノール(登録商標))のような生体適合性の金属材料を有していてもよい。取り付け手段は、組織の内方成長を許容するための穿孔をもつ生体適合性の幹部を有していてもよく、つながれた強磁性構造をさらに安定化するために幹部から展開するとげまたはフックをも含んでいてもよい。あるいはまた(図39Fに示されるように)、取り付け手段は、係留構造124の開口144を通されるまたは貫くような大きさおよび構成にされ、たとえば縫合糸ロック146または結び目を使って張力の位置に固定されてもよい。この構成は、初期植え込みの間または初期植え込み後またはその両方において、インプラント内の張力を調整および制御することを可能にする。
ある代替的な実施形態では、取り付け手段126は、しなやかさを与え、患者にとって快適さを増すためにより弾性的な材料を有していてもよい。たとえば、嚥下の際、舌は後方向に動く。弾性があれば、睡眠から起こすことを防止でき、さらに強磁性構造120の移動を回避しうる。係留構造124は望ましくは取り付け手段126より幅が広く、それにより植え込まれた強磁性構造120が近くの磁性構造14との磁気相互作用の際に植え込まれた組織領域を通じて引っ張られるまたは引き出されることに対する所望される抵抗を与える。
図39B、39D、39Eおよび39Fに示されるように、強磁性構造120は、二つ以上の係留構造124にそれぞれの取り付け手段126によって個々につながれてもよい。
この構成では、所望の生理的応答(気道組織のつぶれに対する抵抗)は、磁性構造14(たとえば先述のようにヘッドギアまたはマウスピースにある)が、舌の尾前(caudal anterior)(正面)セクションまたは舌の下に植え込まれた、つながれた強磁性構造120と相互作用する磁場を生成することによって達成される。植え込まれた強磁性構造120は、磁性構造14の磁気配向と反対の磁気配向をもつ。反対の磁気配向の間の磁力は引力を作り出す。この引力の結果として、舌は前方に、口腔の正面に向けて引かれ、舌の基部における気道の閉塞に抵抗する。
磁性構造120に取り付けられたつなぎ(tether)は、構造120の動きまたは移動を効率的に舌の基部(閉塞部位)に移転させる(transfer)はたらきをする。つなぎの使用は、外部磁石14の適用によって動かされるよう位置された舌の中の磁石が前方に動かされるがその動きが咽頭壁における舌根の動きに変換されない状況を回避するよう考案されている。
〈E.前舌/舌骨筋磁性構造〉
図40Aは、舌の前または尾前領域に、あるいは舌骨上筋のような一つまたは複数の舌骨筋、たとえば下顎下骨筋および/もしくはオトガイ舌骨筋および/もしくは茎突舌骨筋のような舌骨上筋および/または顎二腹筋に、先述した構造14、たとえば口腔内に担持されるマウスピースまたは顎の表面上もしくは顎の下または首のまわりに位置される外部担体に近接して植え込まれた強磁性構造120の代表的な実施形態を示している。図解の目的のため、図40Aは、顎の下に外的に装着される構造14を示しているが、構造14は口腔内で歯にかぶせてフィッティングされるまたは口の前庭に位置される取り外し可能な口腔器具であることもできる。図40Aに見られるように、強磁性構造120は、それぞれ舌の下にあるまたは舌の前領域にある組織内に植え込まれた、一つまたは複数の永久磁石または強磁性材料16を含む。使用においては、舌内の強磁性構造120は磁気的に構造14と相互作用する。舌を前方に引くよう、および/または気道を閉塞するような舌の後方移動に抵抗するよう、強磁性構造120および構造14は引きつけ合う配向に構成される。
図40Bに示される代替的な実施形態では、前に配設される強磁性構造16は後に配設される強磁性構造より大きさが小さい。後に配設される強磁性構造16のほうが大きいのは、強磁性構造120は、舌がつぶれて気道を綴じるのを防ぐよう、前側よりも後側により強い力を及ぼす必要があるからである。さらに、強磁性構造120の後端は開口121をも含み、この開口を通じて該構造が舌骨に取り付けられるまたは係留されることができる。図40Cに見られるように、もう一つの代替的な実施形態は、片側でなめらかであり、反対側からは埋め込まれた強磁性構造が突出する強磁性構造120を有する。
図40Aないし40Cに見られるように、強磁性構造120の構造14への比較的密接した近接性および強磁性構造120によってカバーされる大面積のため、磁力場の大きさが最大化される。
この構成では、所望の生理的応答(気道組織のつぶれに対する抵抗)は、構造14(たとえば先述のようなヘッドギアまたはマウスピースにある)が、舌の尾前(caudal anterior)(正面)セクションまたは舌の下に植え込まれた強磁性構造120と相互作用する磁場を生成することによって達成される。植え込まれた強磁性構造120は、構造14の磁気配向と反対の磁気配向をもつ。反対の磁気配向の間の磁力は引力を作り出す。この引力の結果として、舌は前方に、口腔の正面に向けて引かれ、舌の基部における気道の閉塞に抵抗する。
〈IV.動的な組織領域のための他の代表的磁性構造〉
〈A.自己センタリング(self-centering)磁性構造〉
図19は、二つの磁性構造12および14を含む磁気システムを図的な仕方で示している。先述したように、これらの構造は、両構造の間に磁気相互作用を生成する相互に整列された配向において、互いに離間した組織領域の中または上に配設されるような大きさおよび構成にされている。両構造12および14の極性に依存して、磁気相互作用は、前記二つの組織領域を互いから遠ざける動きに抵抗する両構造の間の磁気的引力、あるいは前記二つの組織領域の互いに向かう動きに抵抗する両構造の間の磁気的反発力、あるいはこれらおよびその他の力の組み合わせであることができる。
先述したように、構造12および14が理論的に理想的な仕方で整列されない限り、次記相互作用は構造のうち最も可動なもの(図19では構造12)を動かして構造のうち可動性が少ないもの(図19では構造14)との、理論的に理想的な位置に最も近い整列を指向させる。これらの状況のもとで、構造12と14がよく整列しているほど、磁力の損失が少なく、最も可動な構造が経験するトルクも小さくなる。解剖学的および外科的視点の両方から実際的なことを言うと、組織の中または上に担持される磁性構造の理論的に理想的な整列を達成および維持するのは困難である。この困難から、外科的に植え込まれた磁気システムは、整列不良のために、意図される磁力の一部または大半を散逸してしまうことがありうる。
図20Aに示されるシステムでは、構造12または14の少なくとも一つは自己センタリング磁性構造130である。自己センタリング磁性構造130は、カプセルまたはコンテナ134に囲まれた少なくとも一つの可動磁石132を有する。カプセルまたはコンテナ134に対する可動磁石132の形は、他方の構造14との整列乱れのある磁気相互作用に応答してカプセルまたはコンテナ134の境界内で可動磁石132が自由に並進または移動することを許容するような構成および大きさにされる。たとえば、図20Aに示されるように、自己センタリング構造130と他方の構造14との間の整列乱れが生じるとき、自己センタリング構造130内の可動磁石132は、カプセルまたはコンテナ134の境界内で並進または移動し(図20Bに示されるように)、他方の構造14に対する理論的に理想的な整列を指向する。相対的な組織配向が動的に変わるにつれて、可動磁石132もカプセルまたはコンテナ134の境界内で動的に並進または移動し、他方の構造とのできうる最良の整列を維持しようとする。カプセルまたはコンテナ134の境界は、可動磁石が比較的妨害されずに機動して他方の構造とのできうる最良の整列を指向できる開いたスペース136の領域を与える。図20Aおよび20Bでは、例示の目的のために舌システム10aが示されている。図20Aおよび20Bに示されるように、舌システム10aは、内部磁性アレイ14と相互作用する自己センタリング磁性舌インプラント130を有する。
図21Aに示されるように、自己センタリング磁性構造130は、先述したような、たとえば顎にまたは首のまわりに装着される担体を含む、気道の外側で組織の中または上に配設されるような大きさおよび構成にされた磁性構造14を有していてもよい。この構成では、自己センタリング磁性構造は、気道内で組織の中または上に、たとえば舌、軟口蓋/口蓋垂または両方の上に配設されるような大きさおよび構成にされた別の磁性構造12と関連させられることが意図される。合わせて、該自己センタリング構造および他方の構造12は、先述したようなシステム10a、10bおよび10cをなす。図21Aには、舌システム10aが図解の目的のために示されている。図21Aに示されるように、舌システム10aは、外部の自己センタリング磁性構造130と相互作用する舌インプラント12を有する。
図21Bに示されるように、自己センタリング磁性構造130は、少なくとも一つの可動磁石132を収容している少なくとも一つのカプセル134を含む担体26を有することができる。図21Bに示される実施形態では、カプセル134は、図解のために二つの空間的に別個のゾーンZ1およびZ2に区画化されており、各ゾーンが少なくとも一つの可動磁石132を収容している(ほぼ図12Cに示された後領域および中間領域18aおよび18bに対応する)。この構成では、最も前の磁性領域(図12Cでは領域18c)は可動でない一つまたは複数の磁石を有することができる。逆もまたしかりである。図21Cに示される実施形態では、カプセル134は、図解のために三つの別個のゾーンZ1、Z2およびZ3に区画化されており(ほぼ図12Cに示された領域18a、18bおよび18cと同様)、各ゾーンが少なくとも一つの可動磁石132を収容している。ゾーンZ1、Z2およびZ3は、別個のカプセル134と見ることもできる。図21Bおよび21Cに示されるように、各ゾーンまたはカプセルは、可動磁石が自由に動き、カプセル内で他方の構造12と整列できるような、そのゾーンまたはカプセルの利用可能な容積に見合った、複数のより小さな可動磁石を含んでいてもよい。別個のゾーンZ1、Z2およびZ3またはカプセル134は、可動磁石132が一つの位置に集まってしまうことがないよう、空間的ゾーン内に可動磁石132を保持する。各ゾーンZ1、Z2およびZ3またはカプセル134は、その境界内に収容される可動磁石(単数または複数)132の許容できる、定義され、制御された動きを受け入れるような大きさおよび構成にされる。あるいはまた、図21Dに示されるように、ゾーンZ1、Z2またはZ3またはカプセル134のうちのいずれかまたはすべてが単一の、より大きな可動磁石132を含んでいてもよい。
図21Eおよび図21Fに示されるように、自己センタリング磁性構造130は、使用中、本質的に舌の下にセンタリングされて位置される単一のゾーンまたはカプセルを含むことができる。ゾーンまたはカプセル134は単一のより大きな可動磁石132(図21Eに示されるように)を、あるいは、本質的に舌の下に位置される、センタリングされて位置されたゾーンまたはカプセル134内の二つ以上のより小さな可動磁石132(図21Fに示されるように)を受け入れることができる。
図21Aないし21Fに示される自己センタリング磁性構造130は外部組織に配設されることが意図されているので、ゾーンまたはカプセルの内部容積は比較的大きくでき(組織内に植え込まれることが意図されている構造中のカプセルと比較して)、よって収容している可動磁石について動きの比較的大きな自由度を与えることができる。
あるいはまた、図22Aに示されるように、自己センタリング磁性構造130は、すでに述べたように、口腔内に、たとえば下または上の歯の内側、外側または上部に配設するような大きさおよび構成にされることができる。この構成では、自己センタリング磁性構造130は、気道内の組織の中または上に、たとえば舌、軟口蓋/口蓋垂またはその両方に配設されるような大きさおよび構成にされた別の磁性構造(図22Aでは磁性構造12)と関連させられることが意図される。一緒になって、該自己センタリング構造と他方の構造12は、先述したようなシステム10a、10bまたは10cを形成する。図22Aでは、軟口蓋システム10bが解説の目的のために示されている。図22Aの軟口蓋システム10bは、内部の自己センタリング磁性構造130と相互作用する軟口蓋インプラント12を有する。
この実施形態では、図21Aないし21Fに示された実施形態と同様、自己センタリング磁性構造130は、少なくとも一つの可動磁石132を収容している少なくとも一つのカプセル134を有する。図21Bと同様、図22Bでは、カプセル134は、図解のために二つの別個の空間的ゾーンZ1およびZ2に区画化されており、各ゾーンがその境界内における少なくとも一つの可動磁石132の妨害されない動きを受け入れるような大きさおよび構成にされている。先述のように、ゾーンZ1およびZ2は、別個のカプセル134と見ることもできる。別個のゾーンZ1およびZ2またはカプセル134は、可動磁石132が一つの位置に集まってしまうことがないよう、空間的ゾーン内に可動磁石132を保持する。図22Bに示される構造は、気道内に配設されることが意図されているので、ゾーンZ1およびZ2またはカプセル134の内部容積は、体外に装着されることが意図されている図21Bのような構造中のカプセルと比較して比較的小さくなる。それでも、ゾーンZ1およびZ2またはカプセル134およびそれらが収容している可動磁石132は、可動磁石132について動きの比較的大きな自由度を与えるような相互の大きさおよび構成されることができる。図22Bに示されるように、各ゾーンZ1およびZ2またはカプセル134は、単一の可動磁石を含んでいてもよいし、あるいはまた図22Cに示されるように、各ゾーンまたはカプセル134は区画化されて、複数のより小さな可動磁石132を含んでいてもよい。図21Aないし21Fに示されるように、ゾーンおよび/または可動磁石の数は変えることができる。また、先述のように、所与の構造14は可動磁石132および非可動磁石18(たとえば図21Bに示される18c)の両方を含むことができる。多くの変形が考えられる。
図23Aに示されるように、自己センタリング磁性構造130は、すでに述べたように、たとえば舌および/または軟口蓋/口蓋垂の中または上に配設される担体を含む、気道内の組織の中または上に配設されるような大きさおよび構成にされた、すでに述べたもののような磁性構造12を有していてもよい。この構成では、自己センタリング磁性構造130は、気道外(顎または首)、あるいは気道内(下の歯)の組織の中または上に配設されるような大きさおよび構成にされた別の磁性構造14と関連させられることが意図される。一緒になって、該自己センタリング構造と他方の構造12は先述したようなシステム10a、10bまたは10cを形成する。図23Aでは、舌システム10aが解説の目的のために示されている。図23Aの舌システム10aは、外部の磁性構造14と相互作用する自己センタリング舌インプラント構造130を有する。この構成では、自己センタリング舌インプラント構造130と外部構造14との間の相互作用は、舌にトルクを加える。他の構造14も、図21A/B/C/D/E/Fに示された型の自己センタリング外部構造または図22A/B/Cに示された型の自己センタリング内部構造を有していてもよいことは理解しておくべきである。
この実施形態では、図21A/B/C/D/E/Fおよび図22A/B/Cに示された実施形態と同様、自己センタリング磁性構造130は、少なくとも一つの可動磁石132を収容している少なくとも一つのカプセル134を有する。図21Bと同様、図23Bでは、カプセル134は、別個の空間的ゾーンZ(N)に区画化されており、各ゾーンがその境界内における少なくとも一つの可動磁石132の妨害されない動きを受け入れるような大きさおよび構成にされている。図23Bでは、8つのゾーンが示されている(すなわち、N=8)。これらのゾーンZ(N)は、別個のカプセル134と見ることもできる。先述のように、別個のゾーンZ(N)またはカプセル134は、可動磁石132が一つの位置に集まってしまうことがないよう、空間的ゾーン内に可動磁石132を保持する。図23Bに示される構造130は、舌または軟口蓋内に配設されることが意図されているので、ゾーンZ(N)またはカプセル134の内部容積は、体外に装着されることが意図されている図21Bのような構造中のカプセルと比較して比較的小さくなる。それでも、ゾーンZ(N)またはカプセル134およびそれらが収容している可動磁石132は、可動磁石132について動きの比較的大きな自由度を与えるような相互の大きさおよび構成されることができる。図23Bに示されるように、ゾーンZ(N)またはカプセル134の任意のものまたは全部が単一の可動磁石132を含んでいてもよいし、あるいはまた図23Cに示されるように、ゾーンZ(N)またはカプセル134の任意のものまたは全部が区画化されて、複数のより小さな可動磁石132を含んでいてもよい。図21Aないし21Fに示されるように、ゾーンおよび/または可動磁石の数は変えることができる。また、先述のように、所与の構造14は可動磁石132および非可動磁石18(たとえば図21Bに示されるもののような)の両方を含むことができる。多くの変形が考えられる。
図24A/24B/24Cに示されるように、所与のカプセル134またはゾーン内に収容されている可動磁石132はさまざまな形を有することができる。たとえば、可動磁石132は円板状または球状構成(図24A)または円柱状構成(図24B)または三角形状構成(図24C)をもってもよい。形は、可動磁石132がカプセル内で動くまたは並進する仕方に影響するよう選択できる。たとえば、可動円柱状磁石132(図24B)は、適正な位置に整列するためにカプセル134内で簡単に転がることができる。可動三角形磁石132(図24C)は、所望の方向に磁束を向けるのを助けるよう、三角形の頂点より強い磁束をもつ底辺をもつことができる。
〈B.偏心磁性構造〉
舌の側面の組織は、その厚さが減っているため、舌の中線に沿った組織よりも動かしやすいことがある。こうして、舌の一方の側のみで組織の中または上に配設される磁性構造は、咽頭壁の中または上の対応して位置された磁性インプラントに効果的に反発できる。
図25は、無呼吸エピソードを引き起こすのに十分なつぶれた咽頭導管(collapsed pharyngeal conduit)の、図3と同様だが別の視点からの断面を示している。図25はまた、植え込まれた磁性構造70をもつ舌をも示している。磁性舌構造70は、舌の中線に実質的に垂直な同じ方向に配向された少なくとも二つの磁石16を有する。図25に見られるように、磁性舌構造70の位置は、舌の縫線に対して略垂直であり、偏心している。すなわち、図25の実施形態が示すように、構造70の全体が縫線について舌の片側を占めている。本質的に、構造70のどの部分も(したがってどの磁石も)縫線を横切って舌の反対側までは延びない。
図26Aは、舌システム10aのある実施形態をなす偏心(off-center)磁性舌構造70と図12C/Eに示される型の外部磁性構造14との間の相互作用に起因する、舌の(図25に比して)新しい位置を示している。図26Aの偏心構造70と構造14の間の磁気的引力は、偏心構造70を咽頭壁に向かって前方に引っ張り、咽頭気道の片側を開き、無呼吸エピソードを防ぐに十分である。
図26Bは、舌システム10aの別の実施形態をなす偏心磁性舌構造70と図12Fに示される型の外部磁性構造14との間の相互作用に起因する、舌の(図25に比して)新しい位置を示している。図26Bの偏心構造70と構造14の間の磁気的引力は、偏心磁性構造70を該偏心磁性構造70の位置に対して舌の反対側に向かって前方に引っ張り、咽頭気道の片側を開き、無呼吸エピソードを防ぐに十分である。
図27は、偏心磁性舌構造70と、該偏心磁性構造70が植え込まれている舌の領域に対向して咽頭後壁の中または上に配設された内部磁性構造14′との間の相互作用に起因する、舌の(図25に比して)新しい位置を示している。内部磁性構造14′は、偏心磁性構造70と同じ極性を気道に面してもつ一つまたは複数の磁石18を担持する。偏心磁性構造70は、咽頭壁構造14と反発によって磁気相互作用する。図27における偏心構造70と構造14の間の磁気的反発力は、磁性舌構造70を口に向かって前方に押し、咽頭気道の片側を開き、無呼吸エピソードを防ぐに十分である。
〈C.ラダー型磁性構造〉
図28は、無呼吸エピソードを引き起こすのに十分なつぶれた咽頭導管(collapsed pharyngeal conduit)の、図3と同様だが別の視点からの断面を示している。図28はまた、植え込まれたラダー(rudder)型の磁性構造72をもつ舌をも示している。磁性構造72は、舌の中線を横切るのと同じ方向に配向された少なくとも二つの磁石16を担持する第一の領域またはアーム74を有する。図28に見られるように、アーム74内での磁石18の位置は、図25に関して先述したように、舌の縫線に対して偏心しており、略垂直である。しかしながら、図25の実施形態と異なり、磁性構造72は、縫線を横切って舌の反対側まで延びる第二の領域またはアーム76を含んでいる。領域またはアーム76は、磁石がないまたは本質的には磁石がない。よって、舌のこの領域は本質的には磁石によって占められていない。
磁石16によって占められていない舌の位置まで延びる、磁石のない領域またはアーム76は、ラダーとしてはたらく。図28に示される型のラダー型の磁性構造72は、図25に示される偏心磁性構造70の変形である。ラダー76の存在は、図25に示される偏心構造70より多くの軟らかい組織を動かし、および/または使用の間、構造72をさらに安定化させるはたらきをする。
図29Aは、舌システム10aのある実施形態をなすラダー型磁性舌構造72と図12Cおよび12Eに示される型の外部磁性構造14との間の相互作用に起因する、舌の(図28に比して)新しい位置を示している。図29Aのラダー型構造72と構造14の間の磁気的引力は、舌構造72の磁性部分を口に向かって前方に引っ張る。これは、構造72の磁石16がS極性を口腔の正面(前)に向かってもち、構造14の磁石18が口腔に向かって内向きに逆のN極性をもつからである。これは逆でもよい。ラダー部分76は、本質的には磁石がなく、磁気的に引きつけられはしないが、縫線を横切って舌の反対側にある組織に植え込まれたままである。結果として、構造72はラダー部分76を中心として外部磁性構造14に向かって枢動する。ラダー部分76の追加的な表面領域はより多くの組織を中心の方向に引き、また、構造72に全体的な安定性を与える組織アンカーとしてのはたらきもする。磁気相互作用は咽頭気道の片側を開き、無呼吸エピソードを防ぐに十分である。
図29Bは、舌システム10aの別の実施形態をなすラダー型磁性舌構造72と図12Fに示される型の外部磁性構造14との間の相互作用に起因する、舌の(図25に比して)新しい位置を示している。図29Bのラダー型構造72と構造14の間の磁気的引力は、舌構造72のラダー型磁性部分の磁性部分76を、構造72の磁性部分の位置に関して舌の反対側に向かって引っ張る。これは、構造72の磁石16がS極性を口腔の正面(前)に向かってもち、構造14の磁石18が口腔に向かって内向きに逆のN極性をもつからである。これは逆でもよい。ラダー部分76は、本質的には磁石がなく、磁気的に引きつけられはしないが、縫線を横切って舌の反対側にある組織に植え込まれたままである。結果として、構造72はラダー部分76を中心として外部磁性構造14に向かって枢動する。ラダー部分76の追加的な表面領域はより多くの組織を中心の方向に引き、また、構造72に全体的な安定性を与える組織アンカーとしてのはたらきもする。磁気相互作用は咽頭気道の片側を開き、無呼吸エピソードを防ぐに十分である。
図30は、ラダー型磁性構造72と、該ラダー型磁性構造72が植え込まれている舌の領域に対向して咽頭後壁の中または上に配設された内部磁性構造14との間の相互作用に起因する、舌の(図28に比して)新しい位置を示している。内部磁性構造14は、ラダー型磁性構造72と同じ極性を気道に面してもつ一つまたは複数の磁石18を担持する。ラダー型磁性構造72は、反発によって、咽頭壁構造14と磁気相互作用する。図30におけるラダー型構造72と構造14の間の磁気的反発力は、舌構造72の磁性部分74を口に向かって前方に押す。これは、構造72の磁石16が気道に面するN極性をもち、構造14の磁石18が同じN極性を気道に面してもつからである。これは逆でもよい。ラダー部分76は、本質的には磁石がなく、磁気的に引きつけられはしないが、縫線を横切って舌の反対側にある組織に植え込まれたままである。結果として、構造72はラダー部分76を中心として内部磁性構造14から離れる向きに枢動する。ラダー部分76の追加的な表面領域はより多くの組織を中心の方向に押し、また、構造72に全体的な安定性を与える組織アンカーとしてのはたらきもする。磁気相互作用は咽頭気道の片側を開き、無呼吸エピソードを防ぐに十分である。
ラダー型磁性構造72のラダー部分はさまざまな大きさおよび構成にされることができる。たとえば、図31A/B/Cに示されるように、構造72の本体78は、ラダー部分76から所望の角度(たとえば45°ないし90°)外向きに突出する付属部92(図31Aおよび31B参照)を設けることによって増加される表面積をもつラダー部分76を含むことができる。すなわち(図31Aおよび31B参照)、前記構造の本体78が長手軸84に沿っているため、付属部92の軸82は長手軸84とはある角度をなす。付属部92は、磁場の方向における全体としてのインプラントのより大きな深さを与える。一般に、より大きな深さをもつ磁性インプラントは、増加した表面積および質量のため、より大きな力を組織に加える。こうして、付属部92はインプラントに、より大きな力および安定性を加えるはたらきをする。さらに、付属部92は埋め込まれた磁気源をも担持していてもよい。その場合、付属部は、磁性構造12とそれが相互作用する外部磁性構造14との間の距離を下げることにもなる。
図31Cおよび31Dが示すように、植え込まれたときの磁性インプラント72の位置は、望ましくは、縫線に中心を合わされ、本体の長手軸84は縫線を横切って延び、ラダー付属部92の軸82は縫線と略平行に延びる。図31Cが示すように、インプラント72は舌の縫線によって二つの部分に分割される。縫線の一方の側88では、少なくとも二つの磁石16が構造70によって担持されている。縫線の他方の側86では、付属部92をもつラダー部分76があり、これは望ましくは磁性材料がないまたは本質的にはない。図31Dが示すように、部分76とその付属部92は、インプラントの磁石担持側88と先述した型の別の磁性構造との間の磁気的な引力および/または反発力の結果としてより多くの舌組織を動かすのを助けるためのラダーとしてはたらく。
図32Aおよび32Bは、舌内への配設のための大きさおよび構成にされたラダー型磁性構造98の代替的な実施形態を示している。この実施形態では、ラダー型磁性構造98は長手軸104をもつ本体100を有する。本体100は、一つまたは複数の磁石16(1)の第一のアレイを担持する第一の領域106と、一つまたは複数の磁石16(2)の第二のアレイを担持する第二の領域108とを有する。図32Aおよび32Bが示すように、第一のアレイ16(1)内の磁石の極性は、第二のアレイ16(2)の極性と概して反対である。本体100はさらに、前記第一および第二の領域106および108の間に、長手軸104からある角度で突出する軸102をもつ中間ラダー付属部112を有する。ラダー付属部112は望ましくは磁石がないまたは本質的にはない。図示した実施形態では(図32Aおよび32B参照)、第一のアレイ16(1)の磁石はN極性をラダー付属部112の方向に面してもち、第二のアレイ16(2)の磁石はS極性をラダー付属部112の方向に面してもつ。
図33は、無呼吸エピソードを引き起こすのに十分なつぶれた咽頭導管(collapsed pharyngeal conduit)の、図3と同様だが別の視点からの断面を示している。図33はまた、舌に植え込まれた、図32A/Bに示されるラダー型構造98をも示している。図33に見られるように、本体100は、その長手軸104が舌の縫線を略垂直に横切り、第一の領域106が縫線の一方の側に位置し、第二の領域108が縫線の反対側に位置するように延びるよう、植え込まれている。ラダー付属部112は、第一および第二の領域の間で縫線を占め、ラダー付属部112の軸102は縫線と略平行に延在する。
図34Aは、舌システム10aのある実施形態をなす、図32A/Bに示されるラダー型構造98と図12C/Eに示される型の外部磁性構造14との間の相互作用に起因する、舌の(図33に比して)新しい位置を示している。構造14は磁石18を担持し、磁石18の口腔に面する極性は第二のアレイ16(2)の磁石の極性と反対であり、第一のアレイ16(1)の磁石の極性と同じである。図示した実施形態では、磁石18はN極性を口腔に面してもつ。結果として、構造14と第二のアレイ16(2)との間に磁気的引力が発生し、一方、構造14と第一のアレイ16(1)との間には磁気的反発力が生成される。引力は構造98の第二の部分108を口に向かって前方に引っ張り、一方、反発力は構造98の第一の部分106を咽頭壁に向かって後方に押しやる。ラダー付属部112は本質的には磁石がなく、磁気的に引きつけられも反発されもしないが、舌の両側の間の縫線の領域内の組織に植え込まれたままである。ラダーは異なる磁気相互作用の押しおよび引っ張りを安定化させる。磁気相互作用は、咽頭気道の片側を開き、無呼吸エピソードを防ぐに十分である。
図34Bは、舌システムの別の実施形態をなす、図32A/Bに示されるラダー型構造と図12Eに示される型の外部磁性構造14との間の相互作用に起因する、舌の(図33に比して)新しい位置を示している。構造14は、舌の、第一のアレイ16(1)によって示される側にのみ磁石18を担持する。磁石18の口腔に面する極性は、第一のアレイ16(1)の磁石の極性と同じであり、第二のアレイ16(2)の磁石の極性と反対である。引力は構造98の第二の部分108を舌の反対側に向かって引っ張り、一方、反発力は前記構造の第一の部分106を咽頭壁に向かって後方に押しやる。ラダー付属部112は本質的には磁石がなく、磁気的に引きつけられも反発されもしないが、舌の両側の間の縫線の領域内の組織に植え込まれたままである。結果として、構造98の第二の部分108は外部磁性構造14に向かって枢動し、構造98の第一の部分106は外部磁性構造14から離れる向きに枢動する。ラダー付属部112は異なる磁性相互作用の押しおよび引っ張りを安定化し、より多くの組織を枢動中心の方向に引く。磁気相互作用は、咽頭気道の片側を開き、無呼吸エピソードを防ぐに十分である。
図35は、図32A/Bに示されるラダー型構造と、該構造の第一のアレイが植え込まれている舌の領域に対向して咽頭後壁の中または上に配設された内部磁性構造14との間の相互作用に起因する、舌の(図33に比して)新しい位置を示している。内部磁性構造14は一つまたは複数の磁石18を担持し、磁石18の気道に面する極性は、第二のアレイ16(2)の磁石と同じであり、第一のアレイ16(1)の磁石と反対である。結果として、構造14と第二のアレイ16(2)の間には磁気的反発力が発生し、構造14と第一のアレイ16(1)との間には磁気的引力が発生する。反発力が構造98の第二の部分108を口腔に向かって押し、引力が前記構造の第一の部分106を咽頭後壁に向かって後方に引っ張る。ラダー付属部112は本質的には磁石がなく、磁気的に引きつけられも反発されもしないが、舌の両側の間の縫線の領域内の組織に植え込まれたままである。結果として、構造98の第二の部分108は内部磁性構造14から離れる向きに枢動し、構造98の第一の部分106は内部磁性構造14に向かって枢動する。ラダー付属部112は異なる磁気相互作用の押しおよび引っ張りを安定化し、組織を枢動中心の方向に引く。磁気相互作用は、咽頭気道の片側を開き、無呼吸エピソードを防ぐに十分である。
〈D.弾性コンポーネントをもつ強磁性体〉
ある代替的な実施形態では、図41Aおよび41Bに示されるように、舌、軟口蓋または口蓋壁において使用される植え込み可能な強磁性構造136は、一つまたは複数の弾性コンポーネントに結合された強磁性材料138であることができる。強磁性材料138に結合された弾性コンポーネントは、荷重のもとで所定の仕方で変形し、荷重が除去されたときに初期形状を回復するような大きさおよび構成にされる。図41Aおよび41Bに示されるように、弾性コンポーネント140はばねを含む。
弾性コンポーネント140のばねの形はさまざまでありうる。たとえば、図41Aに示されるようにワイヤをねじに似たコイル状に巻いた、螺旋状の引張りばねまたは圧縮ばねであってもよい。あるいはまた、弾性コンポーネント140は、固定された板要素をもつ板ばねであってもよい。さらにまた、弾性コンポーネント140は、強磁性材料138のまわりに巻いた平坦なストリップまたはワイヤでできた渦巻きばねであってもよい。さらにまた、弾性コンポーネント140はねじり棒ばねであってもよい。
強磁性材料138は望ましくは一つまたは複数の永久磁石を含む。強磁性材料138の形は、図41Aに示されるように円柱状である必要はない。立方体、角錐、四面体およびさまざまな多面体を含め、他の大きさ、形および構成が使われることもできる。
図41Aに示されるように、弾性コンポーネント140は、金属またはポリマー、望ましくは剛性のポリマー材料からできていてもよい。弾性コンポーネント140は単一のピースからなっていてもよいし、あるいは複数の弾性コンポーネントの構造体であってもよい。ばねの形において、弾性コンポーネント140の形状は(図41Aに示されるような)螺旋状である必要はなく、荷重のもとで変形できる他の構成を使うこともできる。ばね形の弾性コンポーネント140のセットアップは、強磁性材料138の周部に複数のばねまたは弾性コンポーネントが取り付けられたトランポリンに似ていてもよい。ばね形弾性コンポーネント140はまた、ピッチ、巻き数、厚さおよびばねの「円錐(cone)」における全体的な角度を修正することによって、必要とされるいかなる力の大きさに調整されることもできる。
図41Bに示されるように、ばね形弾性コンポーネント140の構成は、ねじりによって強磁性材料138を軟組織中に取り付けることのできるアンカーとしての使用を可能にする。このように、ばね形弾性コンポーネント140の存在は、軟組織に対する前記構造136の取り付け(attachment)のために縫合糸を使う必要をなくすことができる。ばね形弾性コンポーネント140はまた、骨構造に固定されることもでき(たとえば骨ねじ(bone screw)のように)、この構成では、強磁性構造138についてのつなぎデバイス(tethering device)としてもはたらく。どんな形であれ、弾性コンポーネント140は、シリコン・マトリクスもしくは軟らかい材料中に埋め込まれたり、シリコン・マトリクスもしくは軟らかい材料でコーティングされたりしてもよい。強磁性材料138も同様でありうる。強磁性構造136上に弾性コンポーネントが存在することは、強磁性インプラントを組み込むシステムにおいてトルクを安定化するのを助けることができる。トルクの安定化は、強磁性インプラントにおけるさらなる予測可能性をもたらす。
〈E.舌システム、軟口蓋システムおよび複合システムに対する代替的な実施形態〉
ある種の場合には、上記の舌、軟口蓋および複合システムは、気道を開いておくのに十分な磁気的引力を与えないことがありうる。そうした状況のもとでは、各システムは望ましくは、開いた気道を維持するために磁気的引力を補足する磁力を与える相互作用をする少なくとも一つの追加的構造を含む。
〈1.補足的舌システム〉
図4Eおよび4Fは、舌のつぶれ(collapse)にさらに抵抗するために補足的な磁力を与える舌システムの代替的な実施形態を示している。図4Eおよび4Fに示される代表的実施形態では、磁性構造12は先述したように舌の中または上に位置される。より具体的には、磁性構造12は、舌の前領域または後領域に位置されることができる。図4Eでは、磁性構造12が引力によって相互作用する磁性構造14(先述したような)は、気道の外に(たとえば顎に)位置される。一方、図4Dでは、磁性構造14は気道内に(たとえば口腔内に)位置される。
さらに、図4Eおよび4Fに示されるように、舌のつぶれにさらに抵抗するための補足的磁力を提供するため、舌システムは、咽頭後壁の中または上において舌の中または上の磁性構造12の略反対側に位置される磁性構造15を含む。磁性構造15は少なくとも一つの磁性材料19を担持する。磁性材料19は、構造12との磁気相互作用によって、舌の可動組織の中または上にある構造12を咽頭壁の相対的にそれほど可動でない組織の中または上にある構造15から離すように磁気的に反発する少なくとも一つのベクトルまたは成分を含む磁力を発生させる。図示した実施形態では、構造15の磁性材料19は、気道をはさんで面している磁性構造12の極性と同じ極性をもつ。それにより磁性構造15は、気道をはさんで向かい合う磁性構造12と、反発力によって相互作用する。後部気道における磁性構造15と磁性構造12の間の反発する磁気相互作用は、睡眠中に、舌を安定させ、咽頭壁に対して舌がつぶれることに抵抗するはたらきをする。後部気道における構造12と15の間の反発する磁気相互作用は、同様に舌の咽頭後壁への後方移動または他の移動に抵抗するはたらきをする前部気道における構造12と14の間の引きつけ合う磁気相互作用を補足する。この補足的な磁力は、図3に示される気道を閉塞する組織状態を完全にまたは部分的に防止する。第一および第二の強磁性構造12および14の間の磁力は、強磁性構造12と15の間の磁力と結合されて、両者相俟って睡眠中に気道を開いておく(気道確保)。
〈2.補足的軟口蓋システム〉
図5Cおよび5Dは、軟口蓋/口蓋垂のつぶれ(collapse)にさらに抵抗するために補足的な磁力を与える軟口蓋システムの代替的な実施形態を示している。図5Cおよび5Dに示される代表的実施形態では、磁性構造12は先述したように軟口蓋/口蓋垂の中または上に位置される。図5Cでは、磁性構造12が引力によって相互作用する磁性構造14(やはり先述したような)は、気道の外に(たとえば顎に)位置される。一方、図5Dでは、磁性構造14は気道内に(たとえば口腔内に)位置される。
さらに、図5Cおよび5Dに示されるように、軟口蓋/口蓋垂のつぶれにさらに抵抗するための補足的磁力を提供するため、軟口蓋システムは、咽頭後壁の中または上において軟口蓋/口蓋垂の中の磁性構造12の略反対側に位置される磁性構造15を含む。磁性構造15は少なくとも一つの磁性材料19を担持する。磁性材料19は、構造12との磁気相互作用によって、軟口蓋/口蓋垂の可動組織の中または上にある構造12を咽頭壁の相対的にそれほど可動でない組織の中または上にある構造15から離すように磁気的に反発する少なくとも一つのベクトルまたは成分を含む磁力を発生させる。図示した実施形態では、構造15の磁性材料19は、気道をはさんで面している磁性構造12の極性と同じ極性をもつ。それにより磁性構造15は、気道をはさんで向かい合う磁性構造12と、反発力によって相互作用する。咽頭壁の中または上における磁性構造15と軟口蓋/口蓋垂の中または上にある磁性構造12の間の反発する磁気相互作用は、睡眠中に、軟口蓋/口蓋垂を安定させ、咽頭壁に対して軟口蓋/口蓋垂がつぶれることに抵抗するはたらきをする。後部気道における構造12と15の間の反発する磁気相互作用は、同様に軟口蓋/口蓋垂の咽頭後壁への後方移動または他の移動に抵抗するはたらきをする前部気道における構造12と14の間の引きつけ合う磁気相互作用を補足する。この補足的な磁力は、図3に示される気道を閉塞する組織状態を完全にまたは部分的に防止する。第一および第二の強磁性構造12および14の間の磁力は、強磁性構造12a/12bと15a/15bの間の磁力と結合されて、両者相俟って睡眠中に気道を開いておく(気道確保)。
〈3.補足的複合システム〉
図6Cおよび6Dは、舌および軟口蓋/口蓋垂のつぶれ(collapse)にさらに抵抗するために補足的な磁力を与える複合システムの代替的な実施形態を示している。図6Cおよび6Dに示される代表的実施形態では、先述したように磁性構造12bは舌の中または上に位置され、磁性構造12aは軟口蓋/口蓋垂の中または上に位置される。より具体的には、磁性構造12bは、舌の前領域または後領域に位置されることができる。図6Cでは、磁性構造12aおよび12bが引力によって相互作用する磁性構造14(やはり先述したような)は、気道の外に(たとえば顎に)位置される。一方、図6Dでは、磁性構造14は気道内に(たとえば口腔内に)位置される。
さらに、図6Cおよび6Dに示されるように、舌および軟口蓋/口蓋垂のつぶれにさらに抵抗するための補足的磁力を提供するため、複合システムは、磁性構造15aおよび磁性構造15bを含む。磁性構造15aは、咽頭後壁の中または上において軟口蓋/口蓋垂の中または上の磁性構造12aの略反対側に位置される。磁性構造15bは、咽頭後壁の中または上において舌の中または上の磁性構造12bの略反対側に位置される。各構造15aおよび15bは少なくとも一つの磁性材料19を担持する。磁性材料19は、対応する構造、それぞれ12aおよび12bとの磁気相互作用によって、軟口蓋/口蓋垂もしくは舌の可動組織の中または上にあるそれぞれの構造12aおよび12bを咽頭壁の相対的にそれほど可動でない組織の中または上にある構造15から離すように磁気的に反発する少なくとも一つのベクトルまたは成分を含む磁力を発生させる。図示した実施形態では、構造15の磁性材料19は、気道をはさんで面している磁性構造12aおよび12bの極性と同じ極性をもつ。それにより磁性構造15aおよび15bは、気道をはさんで向かい合う磁性構造、それぞれ12aおよび12bと、反発力によって相互作用する。咽頭壁の中または上における磁性構造15aと軟口蓋/口蓋垂の中または上にある磁性構造12aの間の反発する磁気相互作用は、睡眠中に、軟口蓋/口蓋垂を安定させ、咽頭壁に対して軟口蓋/口蓋垂がつぶれることに抵抗するはたらきをする。同様に、咽頭壁の中または上における磁性構造15bと舌の中または上にある磁性構造12bの間の反発する磁気相互作用は、睡眠中に、舌を安定させ、咽頭壁に対して舌がつぶれることに抵抗するはたらきをする。後部気道における構造12a/12bと15a/15bの間の反発する磁気相互作用は、同様に軟口蓋/口蓋垂および/または舌の咽頭後壁への後方移動または他の移動に抵抗するはたらきをする前部気道における構造12a/12bと14の間の引きつけ合う磁気相互作用を補足する。この補足的な磁力は、図3に示される気道を閉塞する組織状態を完全にまたは部分的に防止する。第一および第二の強磁性構造12および14の間の磁力は、強磁性構造12a/12bと15a/15bの間の磁力と結合されて、両者相俟って睡眠中に気道を開いておく(気道確保)。
〈V.開いた気道を維持するために必要とされる力〉
図36および図37が図的に示すように、所与の個人について、舌組織(図36)または軟口蓋/口蓋垂組織(図37)の咽頭後壁からの離間(separation)を維持し、それにより無呼吸エピソードの際の気道のつぶれに抵抗するために要求される力に対して、大きさを割り当てることができる。この力は、図36および図37ではF-sepと示されており、所与の個人の物理的な測定によって得ることができ、あるいは死体研究の際に行われた測定に基づいていることができ、あるいはある人口集団の個人について一般的な解剖学的考察またはこれらおよびその他の考察の組み合わせに基づいて経験的に選択されることができる。
所与の個人について、拮抗する力(図36および図37ではF-natと示されている)にも大きさが割り当てられることができる。拮抗する力(counterbalancing force)は、通常の気道機能の際に嚥下、咀嚼または発話を可能にするために舌(図36)または軟口蓋/口蓋垂(図37)に対して自然な(natural)筋肉活動によって加えられる力を表す。力F-natも、所与の個人の物理的な測定によって得ることができ、あるいはある人口集団の個人について一般的な剖学的考察またはこれらおよびその他の考察の組み合わせに基づいて経験的に選択されることができる。
図36および図37に示されるように、所与のシステム10が発達させる磁力(F-mag)は、F-sepおよびF-natの関数として、すなわちF-mag=f(F-sep,F-nat)と表せる。磁力は引力(すなわち、舌もしくは軟口蓋/口蓋垂と顎もしくは首もしくは口腔内の歯に装着される引きつける磁性構造との間の本質的に前後方向の力)、反発力(すなわち、舌内の反発する磁性構造と咽頭後壁との間の本質的に前後方向の力)および/またはトルク力(舌または軟口蓋/口蓋垂をある軸のまわりに回転させる傾向のある力または力のモーメント)および/または偏心力(すなわち、舌または軟口蓋/口蓋垂を左または右にオフセットする傾向のある本質的に側方向または横方向の力)またはこれらの力のうちの二つまたはそれ以上の組み合わせを含むことができる。磁力F-magは、所望される治療効果に依存して、舌と咽頭後壁との間の(図36)、あるいは口蓋垂と咽頭後壁との間の(図37)、あるいは両者の組み合わせの離間を維持する。
前記関数は望ましくは、F-sep≦F-natという前提を組み込む。それにより、F-natがF-sepを克服することができ、通常の気道機能が保持される。実際、F-natは、効果的なOSA療法を達成するためにF-sepが超えるべきではない、使用される力の大きさの上限である。前記関数はまた、望ましくはF-mag≧F-sepという前提をも組み込む。それにより、舌と咽頭後壁との間の所望される離間が維持される。夜間にのみ有効にされるシステムの場合、F-natは必然的に大きさがより大きくなる。睡眠中に継続できる必要がある活動は飲み込みと咳だけであり、これらの活動は発話よりも大きな力を要求するものだからである。
前記関数はF-sepとF-natを分解して、夜間、当該システムが作動されるときに、睡眠中に舌または軟口蓋/口蓋垂が咽頭壁に対してつぶれるのに抵抗するが、それでいて通常の活動の際の発話、嚥下または飲むことに影響しない最適な治療力を与える。
前記関数はまた、望ましくは、耐容性(tolerance)因子ΔTolを含む。これは、個人はF-magに対する耐容性を発達させるので、F-natが植え込み後の時間とともに上昇できることを考慮に入れるものである。それにより、その個人がF-magの存在下で通常の気道機能を維持するために、嚥下または発話の際により大きな力をかけるよう自らを訓練するので、F-natは植え込み後の時間とともに上昇できる。耐容性因子ΔTolの性質は、所与の個人の物理的な測定によって得ることができ、あるいはある人口集団の個人について一般的な剖学的考察またはこれらおよびその他の考察の組み合わせに基づいて経験的に選択されることができる。
さらに、舌についてのF-sepの絶対的な大きさ(咽頭壁に対してか口蓋垂に対してかまたはその両方に対してかによらず)に到達する際、舌についてのF-sepは二つの成分をもちうることが発見された。第一の成分が、前後方向に発達する所望される治療的な力F(z)である。これは舌が咽頭後壁または口蓋垂に倒れ込むことを防ぐ。第二の成分は、舌インプラントのエッジにおける磁力の不連続性に起因して加えられうる望まれない、偏心性の横負荷力F(y)である。磁性舌インプラントのエッジが他の磁性構造(顎または首または歯または口蓋垂の)と整列が乱れ始めると、舌インプラントのエッジにある磁石が、より所望される引力配置に配向しようとしてねじれはじめることがありうる。これは舌インプラントに、ねじれたりひっくり返ったりさせることがありうる。偏心横負荷力F(y)は、舌を側方に、すなわち横方向に動かすこれらのエッジ不連続の帰結である(四方のうち三方で解剖学的に係留されている軟口蓋/口蓋垂は、本質的に後側でしか係留されていない舌よりも、横負荷力に対して著しく抵抗性がある)。
所望される治療力の大きさF(z)は、エッジ不連続が緩和されない場合、望ましくないほど舌を横に動かすことがありうる。エッジ不連続の大きさ、すなわちF(y)の大きさは、他方の磁性構造の設計によって、たとえば図16A/Bに示されるように当該構造の後および中領域の磁場を前領域の磁場の方向に対してある角度をもたせることによって、設定および制御されることができる。さらに、先述した仕方で、たとえば図28ないし図35に示されるラダーの存在によってまたは図21ないし図23に示される可動磁石の使用によって舌インプラントを安定化させることによって、F(y)の不安定化効果も打ち消すことができる。
図38に示されるようなインプラント力スケーリング戦略は、これらの考察の理解に基づくことができる。図38では、所望される治療効果を達成するために必要な舌上で前後方向に加えられる力の大きさ(すなわちF-sep)がAで示されている。前に示されたように、これは舌組織を咽頭後壁もしくは口蓋垂またはその両方から離間させ、それにより無呼吸エピソードの間の気道のつぶれに抵抗するために必要とされる力である。力F-sep(図36にも示される)は、物理的な測定によって得ることができ、あるいはある人口集団の個人についての一般的な剖学的考察またはこれらおよびその他の考察の組み合わせに基づいて経験的に選択されることができる。
図38では、外部横負荷に応答して内側への偏心した所与の舌の抵抗(resistance)(F-res)の大きさがBで示されている。F-resの個別的な大きさは、所与の個人の物理的な測定によって得ることができ、あるいは死体研究に基づくこともでき、あるいはある人口集団の個人について一般的な剖学的考察またはこれらおよびその他の考察の組み合わせに基づいて経験的に選択されることができる。図38において、F-res(B)の大きさは、F-sep(A)の百分率として表されている。すなわち、y軸上で、F-sep(A)は100%として表されており、F-res(B)は60%として表されている。F-sepとF-resの間の具体的な関係は、解剖学的考察に基づいて変わることができる。
図38では、所与の引きつける磁性構造(顎または首または歯または口蓋垂内またはそれらの組み合わせにある)によって生成される前後方向の力F(z)の大きさがCによって示されている。図38がCの傾きによって示すように、F(z)のこの大きさは引きつける磁性構造と舌インプラントとの間の距離の関数として、また舌インプラント自身の特定の構造上の特性および安定化の関数として変わる。
図38において、所与の咽頭壁インプラントによって生成される横負荷力F(y)の大きさがDによって示されている。Dの傾きおよび大きさは、先述したように、咽頭壁インプラントまたは口蓋垂インプラントの設計に基づいて、特にエッジ不連続の緩和に関して変わる。Dの傾きおよび大きさは、舌インプラント自身の特定の構造上の特性および安定化にも依存する。
舌に影響する所与の磁力システムについて、F(y)の大きさに対するF(z)の大きさはインプラント・スケーリング因子(F-スケール)を表す。F-スケールは、F(z)のF(y)に対する比として表せる。すなわち、F-スケール=F(z)/F(y)である。舌に影響する所与の磁力システムについてのF-スケールの大きさは、そのシステムが舌を偏心させることなく所望される治療効果を達成しそうであることを示す。
舌に影響する所与の磁力システムについて、F-スケール≧1が望ましいことが発見されている。舌に影響する所与の磁力システムについて、F-スケール<1ということは、舌の偏心が起こり、これが所望される治療効果を相殺することを示す。F-スケール<1ということは、引きつける磁性構造(顎または首または歯にある)のエッジ不連続が削減または緩和されるべきであるということ、および/または舌インプラントを安定化させる手段が保証されているということを示す。
図38は、インプラント力スケーリング戦略にも資する。CおよびDのAおよびBとの交点が舌に影響する磁力システムについての最適な動作領域Eを画定する。領域Eでは、F(z)は所望される治療効果を達成する大きさまたはそれ以上であるが、F(y)は横負荷(すなわち、舌の偏心)が生じる大きさにはない。
実験的に、舌に影響する磁力システムを使って死体で気道を開いておくために必要とされそうな力F-magは高々1000gであることが判別された。磁性舌インプラント・システムは、開放気道を維持するために約2ないし約750gを要求すると考えられる。より特定的には、約5ないし約600gの範囲の力が、所望される治療上の恩恵を、顎もしくは首もしくは歯にある他方の磁性構造におけるエッジ不連続の制御および舌インプラント自身の安定化とともに、与えると考えられる。
口蓋に影響する磁力システムについてのF-magも高々1000gであるはずだとも信じられる。より特定的には、口蓋に影響する磁力システムについて、約3ないし約800gの力F-magが、気道の通常の機能に悪影響を与えることなく治療上の恩恵を提供すると信じられる。
〈VI.結語〉
本開示は当業者が本発明を実施できるようにするために詳細であり、厳密であるが、本稿に開示される物理的な実施形態は単に発明を例示するものであって、発明は他の個別的な構造において具現されてもよい。好ましい実施形態について述べてきたが、本発明から逸脱することなく詳細が変更されてもよい。本発明は、請求項によって定義されるものである。
本発明の上記の実施形態は単にその原理を説明するものであって、限定されるものではない。本発明の範囲はむしろ、等価物をも含めた付属の特許請求の範囲から決定されるべきものである。

Claims (18)

  1. 磁力システムであって、
    質量中心をもち、口腔内で舌および/または軟口蓋および/または口蓋垂および/または舌骨筋の領域の組織の中または表面上に配設されるような大きさおよび構成にされた少なくとも一つの強磁性コンポーネントを有する第一の構造と、
    質量中心をもち、前記第一の構造と磁気相互作用するよう前記第一の構造と所望の関係において、口腔内に、および/または口腔外の首および/または顎および/または顎先に配設するような大きさおよび構成にされた、磁性コンポーネントのアレイを有する第二の構造とを有しており、
    前記第一および第二の構造は、使用の間、ある距離によって離間され、前記距離は前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の間隔として定義され、前記距離は、嚥下および/または飲むことおよび/または発話の際の舌および/または軟口蓋および/または口蓋垂および/または舌骨筋の領域の自然な動きの結果としてある機能範囲内で変化し、前記第一および第二の構造の大きさおよび配向は、前記機能範囲内での前記距離の変動に起因する磁気相互作用の磁力の変動が:
    (FNEAR/FFAR)≦(δFAR 2NEAR 2
    という関係を維持するよう選択され、
    ここで、δFARは前記第一および第二の磁性構造が前記機能範囲内で最も遠く離れて離間されているときの前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の(センチメートル単位で表された)距離であり、
    δNEARは前記第一および第二の磁性構造が前記機能範囲内で最も近接して離間されているときの前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の(センチメートル単位で表された)距離であり、
    FNEARは前記距離がδNEARであるときの磁力システムの(グラムの単位で表した)磁力であり、
    FFARは前記距離がδFARであるときの磁力システムの(グラムの単位で表した)磁力である、
    システム。
  2. 前記第一の構造および前記第二の構造は、嚥下および/または飲むことおよび/または発話の際の舌および/または軟口蓋および/または口蓋垂および/または舌骨筋の領域の自然な範囲の動きの間に、前記強磁性材料と前記磁性材料の間の実質的に相互に引きつけ合う配向を維持するような大きさ、構成および配置にされる、請求項1記載のシステム。
  3. 前記第二の構造が、前記強磁性材料との磁気相互作用が望まれないときに前記第二の構造を選択的に解放し、磁気相互作用が望まれるときに前記第二の構造を装着することを許容する解放可能な担体を含む、請求項1記載のシステム。
  4. 前記強磁性コンポーネントが磁化された材料を含む、請求項1記載のシステム。
  5. 前記強磁性コンポーネントが磁化されていない材料を含む、請求項1記載のシステム。
  6. 前記第一の構造および前記第二の構造のうち少なくとも一つがたわみを受け容れられる、請求項1記載のシステム。
  7. 質量中心をもち、口腔内で舌および/または軟口蓋および/または口蓋垂および/または舌骨筋の領域の組織の中または表面上に配設されるような大きさおよび構成にされた少なくとも一つの強磁性コンポーネントを有する第一の構造を提供し、
    質量中心をもち、前記第一の構造と磁気相互作用するよう前記第一の構造と所望の関係において、口腔内に、および/または口腔外の首および/または顎および/または顎先に配設するような大きさおよび構成にされた、磁性コンポーネントのアレイを有する第二の構造を提供し、前記第一および第二の構造は、使用の間、ある距離によって離間され、前記距離は前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の間隔として定義され、前記距離は、嚥下および/または飲むことおよび/または発話の際の舌および/または軟口蓋および/または口蓋垂および/または舌骨筋の領域の自然な動きの結果としてある機能範囲内で変化し、
    前記磁性コンポーネントおよび前記強磁性コンポーネントの大きさおよび配向を、前記機能範囲内での前記距離の変動に起因する磁気相互作用の磁力の変動が:
    (FNEAR/FFAR)≦(δFAR 2NEAR 2
    という関係を維持するよう設定する、
    ことを含む方法であって、
    ここで、δFARは前記第一および第二の磁性構造が前記機能範囲内で最も遠く離れて離間されているときの前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の(センチメートル単位で表された)距離であり、
    δNEARは前記第一および第二の磁性構造が前記機能範囲内で最も近接して離間されているときの前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の(センチメートル単位で表された)距離であり、
    FNEARは前記距離がδNEARであるときの磁力システムの(グラムの単位で表した)磁力であり、
    FFARは前記距離がδFARであるときの磁力システムの(グラムの単位で表した)磁力である、
    方法。
  8. 前記第一の構造および前記第二の構造は、嚥下および/または飲むことおよび/または発話の際の舌および/または軟口蓋および/または口蓋垂および/または舌骨筋の領域の自然な範囲の動きの間に、前記強磁性材料と前記磁性材料の間の実質的に相互に引きつけ合う配向を維持するような大きさ、構成および配置にされる、請求項7記載の方法。
  9. 前記強磁性材料との磁気相互作用が望まれないときに前記第二の構造を解放することをさらに含む、請求項7記載の方法。
  10. 磁力システムであって、
    質量中心をもち、第一の組織領域で組織の中または表面上に配設されるような大きさおよび構成にされた少なくとも一つの強磁性コンポーネントを有する第一の構造と、
    質量中心をもち、前記第一の構造と所望の関係において、第二の組織領域で組織の中または表面上に配設するような大きさおよび構成にされた、磁性コンポーネントのアレイを有する第二の構造であって、前記強磁性コンポーネントを引きつけることによって前記強磁性コンポーネントと磁気相互作用する第二の構造とを有しており、
    前記第一および第二の構造は、使用の間、ある距離によって離間され、前記距離は前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の間隔として定義され、前記距離は、前記第一および第二の組織領域それぞれの自然な動きの結果としてある機能範囲内で変化し、前記第一および第二の構造の大きさおよび配向は、前記機能範囲内での前記距離の変動に起因する磁気相互作用の磁力の変動が:
    (FNEAR/FFAR)≦(δFAR 2NEAR 2
    という関係を維持するよう選択され、
    ここで、δFARは前記第一および第二の磁性構造が前記機能範囲内で最も遠く離れて離間されているときの前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の(センチメートル単位で表された)距離であり、
    δNEARは前記第一および第二の磁性構造が前記機能範囲内で最も近接して離間されているときの前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の(センチメートル単位で表された)距離であり、
    FNEARは前記距離がδNEARであるときの磁力システムの(グラムの単位で表した)磁力であり、
    FFARは前記距離がδFARであるときの磁力システムの(グラムの単位で表した)磁力である、
    システム。
  11. 前記第二の構造が、前記強磁性材料との磁気相互作用が望まれないときに前記第二の構造を選択的に解放し、磁気相互作用が望まれるときに前記第二の構造を装着することを許容する担体を含む、請求項10記載のシステム。
  12. 前記強磁性コンポーネントが磁化された材料を含む、請求項10記載のシステム。
  13. 前記強磁性コンポーネントが磁化されていない材料を含む、請求項10記載のシステム。
  14. 前記第一の構造および前記第二の構造のうち少なくとも一つがたわみを受け容れられる、請求項10記載のシステム。
  15. 質量中心をもち、第一の組織領域で組織の中または表面上に配設されるような大きさおよび構成にされた少なくとも一つの強磁性コンポーネントを有する第一の構造を提供し、
    質量中心をもち、前記第一の構造と所望の関係において、第二の組織領域で組織の中または表面上に配設するような大きさおよび構成にされた、磁性コンポーネントのアレイを有する第二の構造を提供し、
    前記第一および第二の構造は、使用の間、ある距離によって離間され、前記距離は前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の間隔として定義され、前記距離は、前記第一および第二の組織領域それぞれの自然な動きの結果としてある機能範囲内で変化し、
    前記磁性コンポーネントおよび前記強磁性コンポーネントの大きさおよび配向を、前記機能範囲内での前記距離の変動に起因する磁力の変動が:
    (FNEAR/FFAR)≦(δFAR 2NEAR 2
    という関係を維持するよう設定する、
    ことを含む方法であって、
    ここで、δFARは前記第一および第二の磁性構造が前記機能範囲内で最も遠く離れて離間されているときの前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の(センチメートル単位で表された)距離であり、
    δNEARは前記第一および第二の磁性構造が前記機能範囲内で最も近接して離間されているときの前記強磁性コンポーネントと前記磁性コンポーネントの質量中心間の(センチメートル単位で表された)距離であり、
    FNEARは前記距離がδNEARであるときの磁力システムの(グラムの単位で表した)磁力であり、
    FFARは前記距離がδFARであるときの磁力システムの(グラムの単位で表した)磁力である、
    方法。
  16. 前記強磁性材料との磁気相互作用が望まれないときに前記第二の構造を解放することをさらに含む、請求項15記載の方法。
  17. 請求項1記載のシステムを提供することを含む、睡眠呼吸障害イベントを軽減または防止する方法。
  18. 請求項10記載のシステムを提供することを含む、睡眠呼吸障害イベントを軽減または防止する方法。
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