しかし、胸部蓋の下方のトルソ内に位置する組織の処置が必要とされた場合、若しくは、処置が前立腺切除を目的とする場合又は子宮の処置の場合、冠状の面を横切るエネルギの目標方向の成分は、冠状の面に含まれる目標方向の成分に比べて大きい。生命器官や神経等を収容する例えば内側のトルソのような意図しない領域内へのエネルギの放出の危険性を最小化し及び好ましくは無くすために、エネルギ放出器は、処理されるべき組織に対して高い精度及び高い再現性で位置付け及び方向付けされるべきである。エネルギ放出器若しくはトランスデューサの正確な位置付けは、目標の組織にのみ焦点ボリュームを位置付けするために重要である。エネルギ放射器の正確な方向付けは、考えられる危険領域、生命器官や神経等を避けて通るための目標の組織への許容可能な経路にエネルギ放射の焦点軸を合わせるために重要である。処理されるべき異常の領域に対する温度上昇の位置に関して操作者にフィードバックを与えるためにMRI装置を使用することができる。焦点ボリュームの位置付け及び焦点軸の向きは、MRIとしての診断装置との組み合わせで組織の処置を可能とするためにコンパクトなデバイスにより実現されるべきである。この種の装置は、位置付けデバイスを搭載し作動させるために、限られたスペースしか提供しない。一般的に知られているように、MRI装置の走査領域若しくは空洞内の患者に利用可能なスペースは非常に限られており、これは、閉所恐怖症を患う患者に特に苦痛をもたらしうる。特許文献1の位置付けデバイスは、トルソ内の体の領域内へと貫通するエネルギの正確な位置付け及びアライメントに適していない。というのは、特許文献1の位置付けデバイスは、トルソをカバーする胸部組織を通ってトルソ外の冠状の面に主に平行な面内にエネルギを合焦するように構成され、トルソ内へと冠状面を横切る方向若しくは冠状面に略垂直な方向に沿ってエネルギ生成手段及び焦点ボリュームを位置付けるためのものでないためである。特許文献1のデバイスの更なる問題は、デバイスは、後に説明するように構成要素の積み重ねに起因して本来的にスペースを食うものである。環状のフレームは、並進T2を可能とするためにレールのセット間に配置される。特許文献1のデバイスは、並進T1を可能とするために2つの細長い本体を含む。本体は、手動操作用にアクセス可能とするためにMRIのボアの外部にクランクが留まる必要があるので、細長くされる必要がある。また、当該クランクを駆動するために電子機器が使用される場合、電子機器は、MRI装置により生成され解読される磁場であって、エネルギ生成手段の位置及び向きのガイダンス及び制御用のフィードバックを与えるために用いられる磁場、との機器の磁場の干渉及び外乱を防止するため、MRIのボアの外側に留まるべきである。従って、特許文献1のデバイスでは、4つの構成要素は、2つの並進T1,T2を可能とするために必要とされる。環状のフレームの位置付け範囲が最大化される場合、可能な並進T1,T2の範囲は、最大化されるべきである。これは、積層型の直線ガイドにより一般的に実現される。特許文献1のデバイスにおけるT1,T2の最大化の場合、レールが細長い本体に交わることができないので、細長い本体の長手軸により画成される平面と同一平面内に当該レールの長手軸を配置することができない。この理由のため、レールの長手軸を含む平面は、細長い本体の長手軸を含む平面に距離を有するべきである。異なる平面内にレールと本体を積層するのに必要とされる距離は、患者に利用可能なスペースの受け入れられない制限無しでMRI装置の狭いボア内に嵌合されるための平らでコンパクトなデバイスの要求に衝突する。
本発明の目的は、冒頭部に記載した種の組織の熱処置用装置であって、焦点軸に沿ってエネルギの焦点ボリュームを実質的に位置付けるための5つの独立した自由度で、空間を節約する態様で、エネルギ放射器を正確に位置付け及び方向付けることができる熱処置用装置を提供することである。
本発明の組織の熱処置用装置によれば、この目的は、前記マニプレータ伝達ユニットが、前記支持面に略平行な面内で前記サスペンション本体を並進及び回転させる第1の伝達サブユニットと、前記焦点軸に沿って前記エネルギ放出器を移動させると共に前記焦点軸に直角な2つの別の軸まわりに前記エネルギ放射器を回転させる第2の伝達サブユニットとを有することで、実現される。
位置付けデバイスの性能を解析し特徴付けるため、剛体の自由度が用いられるだろう。剛体の自由度は、座標系に対する剛体の位置及び向きを完全に規定する独立した並進及び回転のセットである。剛体の並進は、3つの次元のそれぞれでの剛体の移動能力を表す。剛体の回転は、3つの次元を特徴付ける3つの直交軸まわりの剛体の角度変化の能力を表す。従って、剛体は、最大で6つの独立した自由度を有することができる。特許文献1のデバイスのエネルギ生成手段は、当該手段が懸架される環状フレームに対して2つの自由度R1,R2を有し、環状フレームは、その支持部に対して2つの自由度R1,R2を有する。本発明のマニプレータ伝達装置は、特許文献1のデバイスのレール及び細長い本体に代えて支持面に略平行な面内でサスペンション本体を並進及び回転させる第1のサブユニットを有する。特許文献1のデバイスは、2つのレールと2つの細長い本体である4つの構成要素を用いる。サスペンション本体の併進及び回転を実現する第1のサブユニットに必要な構成要素は、本発明によりコンパクトな装置を実現するために本来的にほとんど搭載スペースが必要とされないように、構成されることができる。更なる効果として、本発明による装置を用いると、サスペンション本体を位置付けるために構成要素の積層が必要とされない。エネルギ放射器は、サスペンション本体から懸架される。第2の伝達サブユニットは、焦点軸に沿ってエネルギ放射器を移動させることができ、焦点軸に垂直な2つの別の軸まわりにエネルギ放射器を回転させることができる。従って、エネルギ放射器は、サスペンション本体に対して3つの独立した自由度を有する。サスペンション本体は、支持面に対して2つの独立した自由度を有する。本発明のエネルギ放射器は、5つの独立した自由度で支持面に対して位置付け及び方向付けされることができる。3つの併進は、焦点ボリュームを位置付けることが可能であり、2つの回転は、支持面に対して焦点軸を方向付けることが可能である。しかし、放射器の最大の操縦性を提供するため、最大の6つの自由度を実現しうる。6つの自由度の実現は、ハードウェアの相当な量の出費を伴う。エネルギは、通常、略円錐形の表面により囲繞されるボリューム内に放出される。焦点軸は、当該円錐面に関して対称な回転軸である。当該焦点軸周りの回転対称により、焦点軸まわりのエネルギ分布の回転は、焦点軸に垂直な2つの別の軸周りの回転よりも重要でないと考えられる。この理由のため、焦点軸まわりの放射器の回転を実現するために必要とされるハードウェアは省略され、放射器は、支持面を横断する方向に移動する能力を含めて5つの独立した自由度で操縦されることができる。支持面に垂直な併進の可能性は、胸部組織の下方の人の胴部内の組織の処置を可能とする。
本発明はコンパクトな実施例を本来的に導くので、構造の剛性に対する構造のジオメトリを最適化するためにより大きい設計自由度が生成される。デバイスの剛性は、放射器の正確で再現性のある操縦を可能とする。変形は、一般的に、MRIからフィードバックを介して制御することが困難である可撓性の構造をもたらす。放射器は、患者の異常部の近傍に、即ちMRIのボア内にあり、その間、モータは、MRI装置により検出されるべき磁気共鳴信号と例えば駆動モータにより生成される磁場との干渉を防止するために走査装置の検出ボリュームの外側に配置されることになるだろう。幾つかの伝達部分は、モータと放射器の間の距離を埋めるために必要とされる。幾何的に剛性の高い構造は、高いヤング率や弾性係数を必ずしも有さない材料の使用を可能とする。更に、これらの部分は、磁気共鳴イメージング用に適した磁気特性を有する材料からなるべきである。広いクラスの合成樹脂は、磁気共鳴イメージング用に適した磁気特性を有する。これらの合成樹脂は、それらの機械的強度を改善するために繊維で補強されることができる。しかし、当該樹脂は、必ずしも高いヤング率を有さない。このため、構造の幾何的な剛性が、繊維で可能な補強がなされた合成樹脂として非磁性材料の使用を可能とすることは、非常に効果的である。幾何的な剛性は、本発明の装置におけるこれらの比較的可撓性のある材料の使用を可能とする。非常に好適なものは、Werkstoff“S”(登録商標)と呼ばれる材料である。これは、適切な磁性特性を有する他、化学物質及び磨耗に対して良好な耐性を有し、水と結合しないので、水の存在下でその形状を保持する。Werkstoff“S”が使用される場合、放射器を位置付ける機構は、耐水性にされ、エネルギ放射器は、超音波を放射するために水内に沈められることができる。摺動特性も好ましく、これは、良好な機械的ヒステリシスのために望ましい。しかし、適切な磁気特性は、セラミック材料の場合のように、必ずしも高い弾性率やヤング率を除外しない。曲げモーメントが付加される構成要素では、セラミック材料を利用することができ、これは、セラミック材料は、形状を保持し、磁気共鳴イメージングと磁気的に互換性があり、高い弾性率を有するためである。セラミック材料の中で、酸化物の材料カテゴリは、酸化アルミニウム(AL2O3)及び酸化亜鉛(ZnO)を含む。炭化珪素(Sic)は、広く市場で入手可能な材料の例といえる。また、より大きい設計自由度は、構造の摩擦を最適化するために生成される。低剛性と高摩擦の組み合わせは、機械的なヒステリシスを起こす。機械的なヒステリシスは、ホルダの回転若しくは変位とドライバの回転角度の変化間の遅れにより現れる。このドライバの作動とホルダの応答の間の遅延は、MRIシステムにより提供されるフィードバックを介した位置付けシステムの正確な制御を阻害する。デバイスの摩擦に対するデバイスの剛性のオーバーオール比は、好ましくは、ヒステリシスに悩まされるのを防止するために高くあるべきである。本発明は、本来的に、限られた数の剛性の高い構成要素を用いてコンパクトな実施例をもたらし、構造内の摩擦は、より容易に最適化されることができる。一方では、接触点の数は、構成要素の限られた数により制限され、他方では、構成要素は、上述の如く設計された剛性であることができる。剛性の高い構成要素は、構成要素の少ない変形を可能とし、協動する構成要素間の良好に画成された接触状況をもたらす。構成要素間の良好に画成された接触状況は、構成要素間のより良好な摩擦の制御をもたらす。
本発明による装置の一実施例では、前記サスペンション本体は、遠い側の部位を含み、前記第1の伝達サブユニットは、可動にガイドされる橋台と橋台ガイドを含み、前記遠い側の部位のそれぞれは、前記可動にガイドされる橋台の少なくとも1つに回転可能に接続され、前記可動にガイドされる橋台のそれぞれは、前記橋台ガイドの少なくとも1つにガイド可能に支持される。サスペンションが可動被ガイド本体に回転可能に接続される場合、予張力及び摩擦は、サスペンション本体の別の部分間及び可動にガイドされる橋台と橋台ガイドの間の接続で最小化されることができる。これは、上述の如く正確で反復性のある位置付けのために効果的である。可動にガイドされる橋台を分離するためにサスペンション本体の近い部位に代えて遠い部位を接続することは、支持面に略平行な面内でのサスペンションの回転で達成可能な精度に対して効果的である。
本発明による装置の一実施例では、前記第1の伝達サブユニットは、前記可動にガイドされる橋台の1つと協動するための少なくとも1つの伝達本体を含み、前記伝達ドライバユニットの別の伝達ドライバに結合される。回転可能な伝達本体の場合、伝達本体は、可動にガイドされる橋台のガイドされた並進へと回転を変換するように構成されることができる。可動にガイドされる橋台は、その橋台ガイドに沿った位置の範囲内で位置付けられることができる。回転可能な伝達本体によって、可動にガイドされる橋台を駆動することにより、別の伝達ドライバと橋台ガイドの間のシステムの全長は、固定された長さに抑えることができる。また、摺動可能な伝達本体は、例えば油圧シリンダとして使用することができる。油圧シリンダは、水で動作されることができ、水は、伝達ドライバの実施例として油圧ポンプにより加圧されることができる。回転可能な伝達本体は、例えばラック&ピニオンの組み合わせによりモータと可動にガイドされる橋台の間の距離を変化できるように構成された摺動可能な構成要素により置換されることができる。伝達本体は、ギア駆動式、ベルト駆動式若しくはチェーン駆動式であってもよい。伝達本体の更なる効果は、伝達駆動ユニットが走査ボリュームの外に維持されることができ、MRI装置に適用された場合、ドライバの電磁場とMRI装置の電磁場との可能な干渉を防止し、若しくは手動操作のためにアクセス可能となることである。回転可能な伝達本体の更なる効果は、ガイドされる本体の位置及びドライバの回転数に関するフィードバックを得るために伝達本体に測定装置を搭載することが容易であることである。
本発明による装置の一実施例では、前記遠い側の部位のそれぞれは、前記遠い側の部位のそれぞれが接続される前記可動にガイドされる橋台に対する第1の回転軸を有し、前記それぞれの可動にガイドされる橋台と協動する前記伝達本体は、前記第1の回転軸に交差する第1の長手軸を有する第1のネジ部を含む。伝達本体の1回転は、ピッチと称される所定の長さに亘り第1のネジ部を介して可動にガイドされる橋台の並進へと伝達される。小さいピッチの適用は、当該軸の交わりにより、横力又は曲げモーメントは、第1のネジ部及び当該第1のネジ部を含む伝達本体に導入されない。横力及び曲げモーメントは、純粋なプッシュプルロッドに関連した変形に比べて比較的大きい変形をもたらす。上述の如く、大きい変形は、サスペンション本体を位置付ける精度及び再現性に対して好ましくない。
本発明による装置の一実施例では、前記可動にガイドされる橋台の少なくとも一部は、前記可動にガイドされる橋台と、前記それぞれの可動にガイドされる橋台と協動する伝達体に含まれる前記第1のネジ部との間に予張力を確立するように弾性変形される。制御された予張力により、機構は、バックラッシュの無いように維持されることができる。ギア若しくは他の機械的部材間の緩い接続に由来する可能な遊びは、急な若しくは乱暴な後方ホイッピング運動を起こしうる。かかる運動は、0.1mmの大きさのオーダーの位置付け精度で放射器を位置付けることに対して有害である。
本発明による装置の一実施例では、前記ホルダは、前記サスペンション本体から可動に懸架される3つのレバーを含む。エネルギ放射器は、好ましくは、変形されるべきでない。エネルギ放射器は、機械的歪を受けないように多数の構成要素を含んでよい。望ましくは、ホルダは、ホルダ内の内部力とエネルギ放射器への反力を決定するために静的な平衡方程式が十分であるような態様で、静的な決定方法でエネルギ放射器を位置付ける。例えば放射器のような静的な決定構造は、外力に釣り合う内部作用を見出すことが可能である場合にこれらの内部作用が独自のものである構造として定義できる。一般的に、特に放射器の一般的な構造の静的な釣り合い式を確立するために必要である。当該6つの式は、放射器に掛かる6つの独立した外力の大きさを定義する。ホルダに含まれる3つのレバーは、これらの3つの外力を負荷する。各レバーは、例えば放射器に2つの垂直な力を負荷してもよい。3つのレバーを適用することによって、放射器の最小変形で放射器を保持することが可能である。3つのレバーのそれぞれは、回転軸上の回転ポイントまわりで回転し、前記サスペンション本体に対して回転軸及び回転ポイントが固定される態様で、前記サスペンション本体から可動に懸架される。レバーは、その回転ポイントの他、2つの特徴的なポイント、即ち2つのレバー端を有し、レバー端は、回転ポイントとは異なる。レバー端では、レバーは他の構成要素に接続される。レバーの一端は、放射器に回転可能に接続されてよい一方、他端は、第2の伝達サブユニットに含まれる機構に回転可能に接続されることができる。第2の伝達サブユニットに含まれる機構に接続されるレバー端は、機構端と称される。レバーは、放射器端と回転ポイントを結ぶラインが、回転ポイントと機構端を結ぶラインに垂直になるように配置されることができる。回転軸は、レバーの2つの端部と回転ポイントを通る面に垂直になるように方向付けられてもよい。レバーは、回転ポイントと機構端を結ぶラインがレバーの基準状態での支持面に垂直になるように、サスペンション本体から懸架されてもよい。かかる回転レバーを用いることによって、機構端の移動は、支持面に略平行である。レバーは剛体であるので、機構端の移動は、支持面を横断する放射器端の動きへと伝達される。このため、レバーは、第1の方向を横断する移動へと、第1の方向の動きを伝達することが効果的である。効果的な構造では、ホルダは、かかる3つのレバーを含む。各レバーは、1つの放射器端を有し、ホルダは、第1、第2及び第3の放射器端と称される3つの放射器端を含む。3つのレバーは、放射器端が放射器面と称される面を画成するように配置されることができる。放射器は、焦点軸に沿ってそのエネルギを放出する。焦点軸は、焦点面と称される、焦点ボリュームを通って走る焦点軸に垂直な面を画成する。放射器は、焦点面が放射器面に平行に留まるようにホルダに搭載されることができる。これで焦点軸は、放射器面に垂直である。第1及び第2の放射器端は、放射器面に第1のラインを画成する。第3の放射器端は、第1のライン上に無いように配置されることができる。この段落の残りでは、並進及び回転が小さいことが仮定される。第3の放射器端は、焦点軸に平行に並進されるがそれと同時に第1及び第2の放射器端を並進せず、放射器面及び放射器は、焦点軸に垂直な第1のラインまわりに回転される。この第1のラインは、従って、放射器の第1の回転軸である。第1及び第2の放射器端が焦点軸に平行に同距離に亘って逆向きに並進されるがそれと同時に第3の放射器端が並進されない場合、放射面及び放射器は、第2の回転軸まわりに回転される。第2の回転軸は、第3の放射器を通り第1のライン上の第4のポイントを通って走り、当該第4のポイントは、第1及び第2の放射器端の間の中間ポイントである。第2の回転軸は、第1の回転軸とは異なり、合焦軸に垂直である。第1及び第2の放射器端が焦点方向に平行に並進されるが同距離に亘るもので無い場合、第4のポイントは、第1のライン上のどこかに配置されるが、必ずしも第1及び第2の放射器端の間でない。第1、第2及び第3の放射器端が同一距離に亘って同一方向に並進される場合、放射器面の向きは、変化しないままであり、放射器は、焦点軸に沿って移動される。3つのレバーは、エネルギ放射器の2つの独立した回転及び併進をエネルギ放射器の機械的歪を最小化しつつ実現できるので、効果的であると、結論付けることができる。
本発明による装置の一実施例では、前記第2の伝達サブユニットは、3つの機構を含み、それぞれの機構は、3つのレバーの1つと協動し、各レバーは、前記3つの機構の1つに可動に接続される。各レバーに別の機構を結合する利点は、ただ1つの伝達装置により作動される1つより多いレバーを有するために、クラッチが必要とされないことである。
本発明による装置の一実施例では、前記伝達ドライバユニットは、3つの更なる伝達ドライバを含み、前記各機構は、前記3つの更なる伝達ドライバの1つに結合され、前記3つの更なる伝達ドライバのそれぞれは、前記3つの機構の1つに結合される。各機構に別々の伝達ドライバを結合する利点は、たった1つのドライバにより駆動される1つより多い機構を有するために、クラッチが必要とされないことである。
本発明は、また、組織の熱処理用の本発明による装置を備えるMRIデバイスに関する。
本発明による装置のこれら及び他の局面は、図面を参照して模範的に教示され説明されるだろう。
図1では、磁気共鳴イメージング(MRI)用のデバイス3の一実施例が概略的に図示されている。MRIデバイス3は、テーブル9と、本発明による装置1000の一実施例を含む。装置1000は、少なくとも患者の体の一部及び伝達ドライバユニット5を支持する支持面1を含む。1つ以上のステップモータ、手動操作用の輪、ロッドと協動する駆動可能なラック、油圧シリンダ等は、伝達ドライバユニット5に含まれる伝達ドライバの可能な実施例といえる。装置1000は、磁気共鳴イメージング(MRI)用デバイス3のボア7の狭い空間内へテーブル9から移動されることができる。支持面1上に配置された患者にとって利用可能なスペースは、支持面1上方のボア7内のスペースに限られる。エネルギ放射器及びエネルギ放射器を位置付けるためのデバイスにとって利用可能なスペースは、支持面1下方のボア7内のスペースに限られる。閉所恐怖に悩みうる患者をできるだけ安心させるために、本発明の位置付けデバイスにより占められるスペースは、できる限り小さく維持されるべきである。伝達ドライバユニット5は、ボアの外側でアクセス可能であるべきであり、また、伝達ドライバユニット5に含まれうる電子デバイスは、磁気共鳴イメージング用デバイス3により使用される磁場と伝達ドライバユニット5の伝達ドライバにより生成される場との干渉を防止するため、ボア7の外側に留まるべきである。
図2は、支持面1に垂直な断面で本発明による装置を示す。断面は、中間面12に平行であり、支持面1に垂直である。支持面1及び患者の体11の冠状面13は、平行であると仮定されるが、支持面に対する患者の体11の異なる位置は可能である。図2に模範的に示すような患者の体11の位置は、本発明の用途の範囲を制限しない。エネルギ放射器50は、ホルダ22上に搭載される。ホルダ22は、サスペンション本体20から懸架される。ホルダ22は、レバー300を含む。レバー300は、機構端320を含む。レバー300は、その機構端320において、機構24に回転可能に接続される。エネルギ放射器50は、焦点ボリューム54内に焦点軸52に沿ってエネルギを方向付ける。焦点軸52の方向は、冠状面13に平行な方向と冠状面13に垂直な方向に分解されることができる。エネルギは、冠状面13を横断する方向に放射される。エネルギ放射器50の向きは、焦点軸52の向きを決め、エネルギ放射器50の位置は、焦点ボリューム54の位置を決める。サスペンション本体20は、サスペンション本体の並進400により変位でき、サスペンション本体の回転軸410まわりにサスペンション本体の回転411により回転でき、回転軸410は、支持面1及び冠状面13を横断する。並進400及び回転411は、支持面1及び冠状面13に略平行な面であって図面に垂直に向く面内である。エネルギ放射器50、ホルダ22、レバー300及び機構24は、サスペンション本体20に結合され、並進400により並進される。エネルギ放射器50、ホルダ22及びレバー300は、また、サスペンション本体22の回転411に追従する。機構24は、エネルギ放射器50及びホルダ22の追加の調整を可能とする。追加の調整は、サスペンション本体20の並進400及び回転411によりエネルギ放射器50の並進400及び回転411に重畳される。機構24は、伝達ドライバユニット5に接続される。患者の処置中、伝達ドライバユニット5は、支持面に対して固定されたままである。このため、伝達ドライバユニット5の一部に接続される機構24の端部も、支持面1に対して固定されたままである。機構24の他端は、レバー300が回転ポイント305まわりに回転しない場合に並進400により並進し、この場合、レバー300は、サスペンション本体20に回転可能に接続される。このため、機構24は、レバー300と伝達ドライバユニット5の間でその長さを変化させるように更に構成される。エネルギ放射器50は、回転軸410から回転半径412で配置される。回転軸410まわりの回転RS411の結果として、エネルギ放射器50は、回転軸410まわりの円形のセグメントを表す。回転軸410まわりの回転411前の放射器50の位置に対する放射器50の最終の位置は、並進413及び併進414で表すことができる。並進413は、患者の体11の中央面12に垂直で図面に垂直である。並進414は、並進400の方向に平行な図の平面内である。ホルダ22、レバー300及び機構24は、第2の伝達サブユニット39に含まれる。第2の伝達サブユニット39は、焦点軸52に沿ってエネルギ放射器50を移動させると共に焦点軸52に垂直な2つの別の軸まわりにエネルギ放射器50を回転させるように構成される。図2の実施例のホルダ22は、1つのレバー300を含む。サスペンション本体20及び伝達ドライバユニット50が支持面1に対して固定されたままである間に機構24が伸長する場合、レバー300の機構端320は、400に略平行な方向にユニット5から離反する方向に移動する。レバー300は、回転ポイント305においてサスペンション本体20から回転可能に懸架される。その結果、レバー300は、回転中心305まわりを回転し、その間、その機構端320は、ドライバユニット5から離反する方向に移動する。回転中心305まわりのレバー300の回転に起因して、ホルダ22は、支持面1の方向、即ち冠状面13を横断する方向に移動する。焦点軸52の向きが変化しないままで焦点ボリューム54が支持面1に垂直な並進を表す場合は、ホルダ22の変位は、支持面1に平行な成分を有さない。このため、レバー300は、回転中心305とホルダ22の間の距離の変化を可能とするために可撓性部位307を含む。エネルギ放射器50を位置付け及び方向付けする更なる手段は、図2に示されていないが、後に教示されるだろう。当該更なる手段は、レバー300に組み込まれてもよいが、ホルダ22の異なる構成により提供されることもできる。
図3は、患者の体11の冠状面に平行な面で本発明による装置を示す。マニプレータ37は、図3には見えないホルダ22及びマニプレータ伝達ユニット38aに搭載される、サスペンション本体20、伝達ドライバユニット5を含むマニプレータ伝達ユニット38aを含む。図3の断面は、支持面1に平行である。伝達ドライバユニット5は、5つの伝達ドライバ5a,5b,5c,5d,5eを含む。伝達ドライバ5a及び5bは、第1の伝達サブユニット38に搭載される。伝達ドライバ5c,5d,5eは、第2の伝達サブユニット39に搭載される。マニプレータ伝達ユニット38aは、第1の伝達サブユニット38及び第2の伝達サブユニット39の双方を含む。機構24は、部分的に指示され、機構24の実施例は後述する。サスペンション本体20は、部分的に見える。サスペンション本体20から懸架されるエネルギ放射器50は、図3では見えない。サスペンション本体20は、遠い側の部位28、29を含む。遠い側の部位28、29は、可動被ガイド橋台32,33に対して回転可能に接続される。遠い側の部位28は、可動被ガイド橋台32に対して回転軸34bまわりに回転する。伝達体34,35は、並進ドライバ5a,5bにそれぞれ接続され、可動被ガイド橋台32,33とそれぞれ協動する。図3の実施例では、伝達体34、35は、ネジ部34a,35aをそれぞれ含む。ネジ部34a,35aのそれぞれは、それぞれ長手軸34c、35cを有する。第1の併進サブユニット38は、可動被ガイド橋台32,33、橋台ガイド30,31及び伝達体34,35を含む。橋台ガイド30,31は、可動被ガイド橋台を可動にガイドし、サスペンション本体20から懸架される構成要素及びサスペンション本体の重量により負荷される。橋台ガイド30,31は、支持面1に対して固定される。図3の実施例の橋台ガイド30,31は、細長い本体である。これらの細長い本体は、それらの変形を最小化するために好ましくは高剛性であるべきである。高剛性の橋台ガイド30,31は、幾何的に高剛性の本体を得るために橋台ガイド30,31の断面の寸法及び形状を調整することにより構成されることができる。しかしながら、これは、むしろ容積の大きい構成要素をもたらすので、常に可能であるわけではない。高いヤング率若しくは弾性率を有し磁性装置との使用に互換性のある磁気特性を有する材料を利用することができる。セラミック材料の中で、酸化物の材料カテゴリは、橋台ガイド30,31での使用に適した酸化アルミニウム(AL2O3)及び酸化亜鉛(ZnO)のような材料を含む。また、炭化珪素(Sic)は、広く市場で入手可能な材料の例である。橋台32,33に対するサスペンション本体20の回転軸34b、35bの位置は、それぞれ橋台32,33及び伝達体34、35間にかかる力及びトルクにとって重要である。回転軸34b、35bが長手軸34c、35cにそれぞれ交わる場合は幾何的な剛性に対して効果的である。
本発明によるマニプレータ37の一実施例は、支持面1に平行な面内で図4に概略的に示される。ホルダ22は、3つのレバー300,301,302を含む。レバー300,301,302は、サスペンション本体20から回転可能に懸架され、それぞれ機構端320,319,321で3つの別の機構24d,24e,24cに回転可能に接続される。機構24c,24d,24eは、コネクティングロッド241乃至246、可動被ガイド本体40,41,42、伝達部材43,44,45、及び、図4に示されない機構ガイド46,47,48を含む。伝達部材43,44,45は、ネジ部43a,44a,45aを含む。レバー241乃至246は、伝達端の可動被ガイド本体に回転可能に接続される。回転軸70,71,72は、当該レバーと可動被ガイド本体の間の接続を特徴付ける。可動被ガイド本体40,41,42は、回転可能な伝達部材43,44,45のネジ部43a,44a,45aと協動する。伝達部材43,44,45は、それぞれ伝達ドライバ5c,5d,5eに接続される。機構24c,24d,24e及びレバー302,300,301間の相互作用はそれぞれ上述したような図2の機構24と図2のレバー300の相互作用に従う。ホルダ22及びエネルギ放射器50は、機構端321,320,319の変位の結果としてサスペンション本体20に対して位置付け及び方向付けされる。サスペンション本体20に対するエネルギ放射器50及びホルダ22の位置及び向きを維持するために、当該レバーの機構端321,320,319は、サスペンション本体20に対して自身の位置を維持すべきである。機構端321,320,319が、コネクティングロッド241乃至246に対して若しくはコネクティングロッド241乃至246の少なくとも第1の端部241a乃至246aに対して固定されるとき、当該コネクティングロッドは、サスペンション本体20に対して自身の位置を維持すべきである。サスペンション本体20が伝達ドライバ5a,5bの回転の結果として図の面内で並進及び回転された場合、機構端321,320,319及び第1の端部241a乃至246a(図6)は、サスペンション本体20の並進及び回転により並進される。ホルダ22及びエネルギ放射器50の位置及び向きをサスペンション本体20に対して変化せずに維持するために、可動被ガイド本体40,41,42及び回転軸70,71,72まわりに配置されるコネクティングロッド241乃至246の第2の部位241b乃至246b(図6)は、サスペンション本体20の並進及び回転により並進されるべきである。このため、伝達ドライバ5c,5d,5eは、サスペンション本体20に対するホルダ22及びエネルギ放射器50の位置及び向きが変化しないままである場合に伝達部材43,44,45を駆動することによって図の面内でのサスペンション本体20の並進及び回転を補償すべきである。第1の伝達サブユニット38を駆動する伝達ドライバ5a,5bの回転は、従って、サスペンション本体20に対するエネルギ放射器50の位置及び向きがサスペンション本体20の並進及び回転中に変化しない場合に、伝達ドライバ5c、5d、5eにより第2の伝達サブユニット39の調整に結合される。
図5では、本発明による装置の一実施例のサスペンション本体20の調整が概略的に示される。伝達ドライバ5aは、回転可能なネジ付伝達体34を駆動する。伝達体34は、可動被ガイド橋台32と協動し、伝達ドライバ5aの回転の結果として可動被ガイド橋台32及びサスペンション本体20の遠い側の部位28は、距離101に亘って橋台ガイド30に沿って並進される。同様に、伝達ドライバ5bは、距離102に亘ってサスペンション本体20の遠い側の部位29の並進を引き起こす。一般的に、距離101は、距離102と等しくなく、サスペンション本体は、回転軸410まわりを回転するだろう。この回転軸410まわり回転411の結果、エネルギ放射器50は、図の面内での橋台ガイド32を横断する並進413により位置付けられる。図5にも示されるのは伝達部材43,44,45である。図5に示す模範的な実施例の伝達部材は、ネジ部43a,44a,45a(図4)を含む。ネジ部はそれぞれ長手軸80,81,82を有する。コネクティングロッド241乃至246は、回転軸70,71,72を有する可動被ガイド本体40,41,42に回転可能に接続される。長手軸80,81、82が回転軸70,71,72と交わる場合は幾何的な剛性に対して有利である。当該状況では、機構24c,24d,24eは、プッシュプル機構として設計される。伝達部材43,44、45の顕著な変形を起こし、可動被ガイド本体を傾けることにより悪い接触状況を起こすせん断力及び曲げモーメントは、最小化されることができる。図5の実施例の更なる利点は、コネクティングロッド241乃至246により対称に負荷されることである。伝達部材40まわりのコネクティングロッドの対称的な配置に起因して、伝達部材40の曲げモーメント及び伝達部材40の変形は、最小化されるだろう。軸80まわりのロッド241及び242の対称的な配置は、軸70,80を通る面に直角な傾斜軸まわりの可動被ガイド本体40の傾斜を防止する。同様のことは、伝達部材41,42に取り付けられたコネクティングロッドに対する伝達部材41,42の空間配列にも言える。同様に、ヒステリシスは、良好な位置付け精度のために最小化される。
図6に概略的に示すような本発明による実施例では、一方の側でのコネクティングロッド241乃至246の位置付けと可動被ガイド橋台32,33の位置との間の相互の影響が、サスペンション本体20のその他の位置及び回転に対して図示されている。同様に、サスペンション本体20に対するエネルギ放射器50の位置及び向きは、図4及び図5と同じであることが仮定され、サスペンション本体20に対するコネクティングロッド241乃至246(及び特に当該ロッド241乃至246の第1の端部241a乃至246a)の位置が図4及び図5と同じであることを暗に意味する。サスペンション本体20は、伝達ドライバユニット5の近くに配置される。コネクティングロッド241及び242の第2の端部端部241b乃至246bは、橋台ガイド30,31に沿ってサスペンション本体20の位置を補償するためにほとんど自身の極限の位置にある。サスペンション本体20は、伝達体34の長手軸34cに対して回転される。この回転を補償するためコネクティングロッド241乃至246の回転軸70,71,72はアラインされない。サスペンション本体20は、可動被ガイド橋台32,33に回転可能に接続される。可動被ガイド橋台32,33間の距離は、サスペンション本体20の回転により変化する。長穴23は、この変化する距離を可能としサスペンション本体20の応力の無い回転を可能とするために、サスペンション本体20に設けられる。
図4に示すようなホルダ22に含まれるレバー301若しくは302の一実施例は、図4に斜視で概略的に示される。レバー301(若しくは302)は、長手軸601を備えるアクスル60から回転可能に懸架される。アクスル60は、可動被ガイド橋台32,33(図7には示されず)に対するサスペンション本体20の回転軸である回転軸34b、35bの軸(図3も参照)に対して固定される。レバー301は、アクスル60の長手軸である回転軸601上の回転ポイント602まわりに回転できるように、サスペンション本体から回転可能に懸架される。レバー301は、2つ以上の特徴ポイント若しくはレバー端603,604を有し、レバー端は、回転ポイント602とは異なる。レバー端では、レバー301は他の構成要素に接続される。レバー301の一端603は、放射器50(図7には示されず)に回転可能に接続される一方、他端604は、機構24eのコネクティングロッド245及び246(図7には示されず)に回転可能に接続される。放射器50に接続されるレバーの端部は、放射器端603と称される。第2の伝達サブユニット39に含まれる機構24eに接続されるレバー301の端部は、機構端604と称される。ライン605は、放射器端603及び回転ポイント602を接続する。ライン606は、機構端604及び回転ポイント602を接続する。レバー301は、ライン606にライン605が垂直になるように配置される。回転軸601は、ライン605,606に垂直になるように方向付けられる。この段落の残りでは、ライン606は、支持面1(図7には示されず)に横断する若しくは略垂直であることが仮定される。この際、支持面1は、回転軸601及びライン605により画成される平面に略平行である。この段落の残りでは、並進及び回転が小さいと仮定される。コネクティングロッド245及び246は、機構端604に並進607を課すことができる。並進607は、支持面1に略平行でライン605に平行である。レバー301は高剛性であるので、並進607は、放射器端603の並進608へと伝達される。並進608は、ライン606に平行であり、支持面1に横断する若しくは略垂直である。従って、レバー301は、放射器端603の並進608へと機構端604の並進607を伝達し、並進607は、並進608に垂直な成分を有すると、結論付けることができる。
図8に概略的に示すような本発明によるホルダ22の一実施例では、ホルダ22は、3つのレバー300,301,302を含む。レバー300,301,302は、放射器端613,603,610及び機構端614,604,611をそれぞれ含む。レバー300,301,302は、回転ポイント601,602,609まわりにそれぞれ回転することができる。レバー300,301又は302の配列及び動作は、図7により説明したものと同様である。しかし、レバー300は、図2に関して説明した長さ変化デバイス若しくは可撓性部位307を有する。図2に示す回転305の中心は、図6に示すような回転ポイント612及び回転軸601に対応する。可撓性部位307は、放射器端613及び回転ポイント612を結ぶラインに沿って可撓性がある。図6でも、エネルギ放射器60及び焦点軸52が示される。エネルギ放射器50は、例えば、ボールジョイントによりレバー300,301,302に搭載されることができる。焦点軸は、放射器面のポイント615においてエネルギ放射器50の面に交わる。放射器端603,610,613は、協動して三角形616を形成する。エネルギ放射器は、放射器端603,610,613においてレバー300,301,302に搭載される。エネルギ放射器50は、高剛性の本体である。このため、三角形616は、レバー300,301,302の向きに無関係にその形状に留まる。焦点軸52は、三角形616に垂直である。図8では、ホルダ22及びエネルギ放射器50は、支持面1に対して基準状態で表される。基準状態では、三角形616は、支持面1に平行であり、焦点軸52は、支持面1を横断する。放射器端610,613,603は、それぞれレバー302,300,301の回転により焦点軸52の方向に平行な方向に並進されることができる。
図9では、図8に示す実施例の詳細が示される。放射器端603,610は、並進されず、これらが接続されるレバー301,302(図8)は、回転されない、即ちレバー301,302は、自身の基準状態に滞在することを仮定する。回転軸601まわりのレバー300の回転(図8)は、放射器端613の小さい並進若しくは変位618を生むだろう。実際、放射器端613は、回転軸617まわりの小さい円形のセグメントを表す。この変位618の方向は、エネルギ放射器50の焦点軸52に平行である。その結果、三角形616及び放射器50は、第1の放射器回転軸617まわりに回転するだろう。放射器端603,610は、回転軸601に対して基準位置に留まる(図8)。回転軸617回りのエネルギ放射器50の回転は、回転ポイント612(サスペンション本体20に対して固定)と放射器端613(図8)の間の距離の拡大を生むだろう。このため、レバー300は、可撓性部位307(図8)を含む。
図10では、図8に示すような実施例の詳細が示される。放射器端613は、並進されず、この放射器端613が接続されるレバー300(図8)は、回転されず、レバー300は自身の基準状態に停止していると仮定する。回転軸601(図8)まわりの同一のレバー301,302の同一の大きさの反対方向の回転は、放射器端603,610の同一の大きさの反対方向の変位619,620をそれぞれ生むだろう。当該変位619,620の方向は、エネルギ放射器50の焦点軸52の方向に平行である。その結果、三角形616及び放射器50は、第2の放射器回転軸621まわりで回転するだろう。レバー301,302は、回転ポイント601,602,609まわりにそれぞれ回転することができる(図8)。レバー300はその基準状態から回転せず三角系616の面は第2の軸621を含むので、第2の回転軸621は回転ポイント612を通って走る。放射器ポイント610,603は、高剛性のエネルギ放射器50に取り付けられているので、自身の距離622を保つ。第2の回転軸621まわりのエネルギ放射器50の回転後、回転軸601に垂直な方向に沿った回転軸601上の投影距離622は、基準状態での回転ポイント602,609間の距離(図8)よりも短い。この作用は、レバー301,302(図8)の変形を起こす。レバー301,302の放射器端610,603は、第2の回転軸621まわりの回転の結果、互いに向かって曲がる。この変形は、レバー301,302の変形の結果として曲げ力及び曲げモーメントが発生するのでエネルギ放射器50にダメージを生じうる。この変形を吸収するために、レバーは、変形の方向、即ち第2の回転軸に垂直で且つホルダ22の基準状態での支持面1に平行な方向に、可撓性があるべきである。
図11では、図8に示すような実施例の詳細が示される。レバー300,301,302が、放射器端613,603,610の最終的な並進618,619,620が同一方向で同一であるように、回転される場合、エネルギ放射器50は、その焦点軸52に沿って並進される。サスペンション本体20及び回転軸601(図8)に対して、エネルギ放射器50は、サスペンション本体20に対するその向きを留めつつ円形セグメントを描く。
図12では、レバー301の一実施例が概略的に示されている。レバー301は、回転軸601の方向に可撓性があり、サスペンション本体20の遠い側の部位28,29を通る軸34b、35bの方向に剛性がある(図3)。レバー301は、また、軸601及び34bに垂直な方向にも剛性がある。剛性の分布は、例えばレバー301の高さ623及び厚さ622により定まる。図12に概略的に示すようなレバー301は、部位308を有する。部位308は、軸601に平行な方向に可撓性がある。回転軸601の方向に沿ったレバー301の可撓性を達成するために、回転ポイント602は、軸601に沿った摺動可能なヒンジとして実現されうる。
図13に概略的に示すような本発明によるホルダ22の一実施例では、ホルダ22は、3つのレバー300,301,302を含む。レバー300,301,302の回転624,625,626に起因して、エネルギ放射器50及び焦点軸52は、冠状面13に対して位置付け及び方向付けされる。
図14aでは、図8に示すような実施例の詳細が、支持面1に垂直な基準ラインX=0 627に対して及び基準面1に対してその基準状態で、示される。図14bでは、図14aと同一の詳細が示されているが、基準状態とは異なる状態で示されている。図14aに示すようなエネルギ放射器50及び焦点軸52は、図14bに示すような支持面1及びサスペンション本体20に対して同一の向きを有する。図14a及び図14bのエネルギ放射器50の間の差異は、サスペンション本体20及び支持面1に対するエネルギ放射器50の位置がエネルギ放射器50の鉛直の並進628に亘って変位(シフト)されている点だけである。X方向で指示されるような、支持面1に平行で図の面内の方向では、エネルギ放射器50は、並進されず、図14aに示すような基準ライン627までの焦点ボリューム54の距離は、図14bと同一である。エネルギ放射器50の鉛直の並進628を実現するために、レバー301は、回転ポイント602まわりに回転する。回転ポイント602は、サスペンション本体20に対して固定され、サスペンション本体と支持面629の間の鉛直方向の距離は、橋台ガイドが固定され支持面に平行であるので(図3の説明参照)、一定である。レバー301は、高剛性であり、従って、回転ポイント602と放射器端604の間の距離は、レバー301の回転中に変化しないままである。このため、記憶媒体20は、補正距離630に亘ってX方向に平行に再び位置付けられる必要がある。コネクティングロッド245,246は、その結果として、シフトされ再び方向付けられる。コネクティングロッドは、レバー301の機構端603に回転可能に接続され、回転軸72において可動被ガイド本体45に回転可能に接続される。回転軸72は、伝達部材45(図4)のネジ部45a(図4)の長手軸82に交わる。長手軸82の位置及び向きは、支持面1に対して固定される。その結果、コネクティングロッド245,246は、レバー301の回転中に組み合わせの並進及び回転を描く。コネクティングロッド245,246の動きは、以下の制約、即ち、コネクティングロッド245,246の一端がレバー301の機構端603に回転可能に接続され回転ポイント604まわりを回転する一方、他端は軸72上のポイントにおいて可動被ガイド本体42に回転可能に接続され軸82の方向に沿って遷移するという、制約から生ずる。可動被ガイド本体42に対するロッド回転の軸72の並進631は、図14に指示されている。伝達ドライバ5eは、並進631を実現する一方、伝達ドライバ5a,5bは、サスペンション本体の並進630を実現する。従って、支持面1に向かうエネルギ放射器50の並進及び焦点ボリューム54の整合する再位置付けが、幾つかの伝達ドライバ5a,5b、5cの結合された協調の作動により実現できることが、示されている。図15に概略的に示すような機構ガイド48は、長手軸82まわりの可動被ガイド本体42の回転を防止する。
図15では、第2の伝達装置の一部の一実施例が概略的に示される。図15に示す断面は、図5に指示するようなXV−XV視による。コネクティングロッド245,246は、可動被ガイド本体42に回転可能に接続される。回転軸72は、回転可能な伝達部材47のネジ部45aの長手軸82と交わる。伝達部材45のネジ部45aと可動被ガイド本体45の協動する内部の間の摩擦は、可動被ガイド本体45上に、そのネジ部45aの長手軸82まわりに摩擦モーメント49を与える。機構ガイド48は、摩擦モーメント49により可動被ガイド本体42の回転を防止する。機構ガイド48は、支持面1に平行である。図15の実施例では、唯一の機構ガイド48は、本体42をガイドする。より多くのガイドは、第2の伝達ユニットの更により高い剛性を得るために適用されることができる。コネクティングロッド245,246は、可動被ガイド本体42及び長手軸82まわりに対称に配置され、傾斜軸73まわりの可動被ガイド本体42の傾斜及び伝達部材45の曲げを防止する。傾斜軸73は、支持面1に垂直で回転軸72に垂直である。同様に、機構ガイド47,48(図示せず)は、それぞれ可動被ガイド本体40,41の回転を防ぐために設けられてよい。図16では、第2の伝達サブユニットの可動被ガイド本体40の一実施例が概略的に示される。可動被ガイド本体40は、回転可能なネジ付伝達部材43から分解されて示されている。組み立て状態では、可動被ガイド本体40は、可撓性部位40b及び2つの剛性部位40d,40eを含む。剛性部位40d,40eは、それぞれメネジ40ad,40aeを備える。メネジ40ad,40aeは、回転可能な伝達部材43のネジ部43aに対応する。ネジ40ad,40ae,43aは、対応するピッチ100を備える。可動被ガイド本体40の可撓性部位40bは、可動被ガイド本体が伝達部材43に搭載されていない状態で長さ40cを有する。可撓性部位40bの長さ40cは、ゼロ以上の全体ピッチ100から距離100aだけ異なる。このため、可撓性部位40bは、圧縮状態で伝達部材43に搭載されるときに、少なくとも100aの距離に亘って変形されるだろう。可撓性部位40bは、また、少なくともピッチ100から距離100aを引いた距離に亘って膨脹されることができる。より大きい予張力は、1以上のピッチに亘った可撓性部位40bの圧縮若しくは膨脹により導入されることができる。予張力は、図16に示すような実施例による装置のその他の場所でも導入されることができる。
本発明は、図面及び上述の説明において詳細に図示され説明されてきたが、かかる図示及び説明は例示的若しくは模範的なものであり、制限的ではない。即ち、本発明は、開示された実施例に限定されない。開示された実施例に対する他のバリエーションは、図面、開示、添付のクレームの調査から、当業者によりクレームされた本発明を実施する際に理解され実行されることができる。クレームにおいて、単語“comprising(含む)”は、他の要素やステップの存在を除外するものでなく、要素に付される単数表現は、かかる要素の複数の存在を除外するものでない。単一の機構若しくは他のユニットは、クレームに記載された幾つかのアイテムの機能を満たしうる。ある手段が、相互に異なる従属項の請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが効果的に使用できないことを意味するものではない。クレーム内の任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきでない。