JP2010286343A - レーダ受信機 - Google Patents

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啓藏 西田
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Abstract

【課題】
レーダ受信機の受信信号を小信号と大信号に分けるのみでは、回路内でアナログ的に合成して信号を生成する方法では、ダイナミックレンジは拡大できるものの、受信機の入出力特性における線形性に歪みを生じてしまう。
【解決方法】
気象レーダ用受信機において、方向性結合器によってレーダ受信信号を小信号のIF信号と大信号のIF信号に分離し出力するレーダ受信部と、前記小信号のIF信号と前記大信号のIF信号をデジタル化し復調後に合成するデジタル復調部と、前記デジタル復調部による復調信号を信号処理する信号処理部と、からなる気象レーダ用受信機とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、雨粒などの小さな物体をターゲットとするため、広いダイナミックレンジを必要とする気象レーダ受信機に関する。
レーダ装置は、レーダ送信機がある時刻において電磁波を送信し、レーダ受信機は物標からの反射波を受信した時刻に基づいて電磁波がレーダ装置と物標との間を往復するのに要した時間を算出し、当該時間に基づいて物標までの距離を算出するものである。
一般的なレーダ受信機は、図1に示すように、レーダ送信機から送信されターゲットで反射されアンテナ101で受信されたレーダ波を低雑音増幅器103で増幅し、ミキサ105で局部発信器107から出力する局部発振信号とミキシングすることにより、ビート周波数成分を取り出し、ローパスフィルタ109によりその差分周波数を中間周波数成分(IF信号)として取り出す。
例えば気象レーダ受信機では、ターゲットとする物体が雨粒のような霧状のものであり、受信レベルが非常に小さなものとなる。一般に受信レベルが小さくなるターゲットを扱うレーダ受信機では、低雑音増幅器103を多段にすることによって受信感度を向上させているが、増幅器を多段にすると飽和レベルが下がってしまうため、ダイナミックレンジの劣化が激しくなるという欠点がある。
また、アンテナ101によって受信したレーダ波を大信号ルートと小信号ルートに分岐させ、該大信号ルートのIF信号と小信号ルートのIF信号をアナログ的に合成して信号を生成することによって、トータルのダイナミックレンジの拡大を図る技術が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
特開2000−137071号公報 特開2008−215952号公報
しかるに、前記の方法にように、レーダ受信機の受信信号を小信号と大信号に分け、回路内でアナログ的に合成して信号を生成する方法では、ダイナミックレンジは拡大できるものの、受信機の入出力特性における線形性に歪みを生じてしまう。
つまり、アナログ的に合成して信号を生成する方法では、合成部の電子回路の素子におけるインピーダンスが小信号成分と大信号成分で変動するため、レーダ受信機の入出力特性が直線的では無くなるのである。レーダ受信機においては、ダイナミックレンジの拡大と入出力特性の線形性維持は、いずれも必要な要素であり、両者共に成立させなければならない。
前記課題を解決するために、本発明は、
気象レーダ用受信機において、
方向性結合器によってレーダ受信信号を小信号のIF信号と大信号のIF信号に分離し出力するレーダ受信部と、
前記小信号のIF信号と前記大信号のIF信号をデジタル化し復調後に合成するデジタル復調部と、
前記デジタル復調部による復調信号を信号処理する信号処理部と、
からなる気象レーダ用受信機とする。
本発明では信号レベルによって出力端子を異にするレーダ受信部を用いるため、線形性を維持しつつ、ダイナミックレンジを拡大することができる。
本発明によれば、大信号IFと小信号IFを用いることにより、雨粒などの極小の対象物からの反射波を用いる気象レーダ受信機において、ダイナミックレンジの拡大を実現でき、感度を上げることができる。また、該大信号IFと小信号IFをデジタル信号の状態で合成することによって、強度や距離などを正確に把握するために必要であるところの入出力線形性をも実現することができる。
一般的なレーダ受信部 本発明にかかるレーダ受信部の概略図 本発明にかかるシステムの全体図 ダイナミックレンジの拡大の様子
本発明に関する好適な実施の形態について、図を参照して説明する。
図1は一般的なレーダ受信機の概略図である。レーダ装置はレーダ送信機から送信されたレーダ波が測定対象に反射し、この反射波をレーダ受信機のアンテナで受信し、信号処理することによって、測定対象の位置などの情報を得るものである。
図1に示す一般的なレーダ受信機においては、アンテナ部101で受信したレーダ反射波を増幅器103で増幅し、ミキサ105で局部発振器107から出力する局部発振信号とミキシングすることによりビート周波数成分を取り出し、ローパスフィルタ109により中間周波数信号(IF)として取り出す。
このようにIF出力信号ポートが1系統の場合は、該出力信号ポートから出力される信号のダイナミックレンジ及び線形性(直線性)は、回路内の増幅器の特性に左右され、一般的にダイナミックレンジは80dB、直線性は70dB程度が性能の限界であると言われてきた。
これに対し、図2に示す方法によれば、IF出力信号ポートとして、大電力のものと小電力のものの2系統を持つことが出来る。
つまり、アンテナ101で受信したレーダ反射波を方向性結合器201にて1入力2出力とし、その一方の出力は低雑音増幅器203によって増幅する。以下、従来例と同様にミキサ205及び209で局部発振器211から出力する局部発振信号とミキシングすることによりビート周波数成分を取り出し、ローパスフィルタ213及び215により中間周波数信号(IF1、IF2)として取り出す。
ここでIF1は低雑音でなおかつ増幅率の高い増幅器を伝送されるため、信号電力の、ある一定レベル以上の成分は飽和することになり、変動する信号として取り出されるIF1は元々アンテナ101で受信した信号における小信号成分である。一方のIF2はそれ以外の大信号成分である。
図3は、図2のレーダ受信部を用いた受信装置のシステム概略図である。つまり、レーダ受信部301から小信号のIF信号と大信号のIF信号が取り出され、デジタル復調部303によってそれぞれのIF信号が復調され、同303内のAD変換器によってデジタル信号に変換し、該変換されたデジタル信号の状態のまま合成され、以降の信号処理部305に伝送される。
図4は2系統のIF信号を取り出すことによって、ダイナミックレンジが拡大されることを示した一例である。つまり、例えばダイナミックレンジが52dBの小信号とダイナミックレンジが60dBの大信号があり、その重なり合っている領域が8dBであるとすると、小信号と大信号を併せたダイナミックレンジは両者を加算し、重なり合っている領域を減算すると104dBとなる。
本発明では、前記のようにダイナミックレンジが拡大された状態で、デジタル復調部303内のAD変換器によりデジタル化された信号を合成することによって、アナログ素子による信号の非直線化を防ぎ、ダイナミックレンジの拡大と共に直線性の維持をも実現している。
本発明において、図2は概略図であり、例えば分配器207とミキサ205の間にアッテネータを入れて局部発振信号を減衰させるなど、様々な構成がありうる。
また、前記の小信号と大信号に関して、それぞれの範囲は任意であり、閾値を一義的に定めるものではない。
101…アンテナ、 103…増幅器、
105…ミキサ、 107…局部発振器、
109…LPF、
201…方向性結合器、 203…低雑音増幅器、
205…ミキサ、 207…分配器、
209…ミキサ、 211…局部発振器、
213…LPF、 215…LPF、
301…レーダ受信部、 303…デジタル復調部、
305…信号処理部。

































Claims (1)

  1. 気象レーダ用受信機において、
    方向性結合器によってレーダ受信信号を小信号のIF信号と大信号のIF信号に分離し出力するレーダ受信部と、
    前記小信号のIF信号と前記大信号のIF信号をデジタル化し復調後に合成するデジタル復調部と、
    前記デジタル復調部による復調信号を信号処理する信号処理部と、
    からなる気象レーダ用受信機。


























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