JP2010274223A - 高分子系廃棄物の熱分解方法、炭化物の回収方法、並びに炭化物、ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

高分子系廃棄物の熱分解方法、炭化物の回収方法、並びに炭化物、ゴム組成物及びタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】高分子系廃棄物の熱分解後に残る炭化物の酸化を抑えることが可能な高分子系廃棄物の熱分解方法を提供する。
【解決手段】熱交換器1内で無酸素ガスを加熱する工程と、高分子系廃棄物5を収容する熱分解炉2内に加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物5を該無酸素ガスと直接に接触させ、熱分解ガスを発生させる工程とを含む高分子系廃棄物の熱分解方法において、前記熱分解炉2内に導入される無酸素ガスのガス流量を0.0015m3/s[ntp]〜0.0095m3/s[ntp]の範囲内に制御することを特徴とする高分子系廃棄物の熱分解方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、高分子系廃棄物の熱分解方法、該高分子系廃棄物からの炭化物の回収方法、該熱分解方法又は回収方法より得た炭化物、該炭化物を配合してなるゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤに関し、特には、高分子系廃棄物の熱分解後に残る炭化物の酸化を抑えることが可能な高分子系廃棄物の熱分解方法に関するものである。
従来、機能性の材料を開発する目的で、ゴム材料や樹脂材料等、様々な高分子系材料の工業化がなされているが、一方で、高分子工業の発展は、汎用材料の大量生産、大量消費をもたらし、高分子系廃棄物の処理は解決すべき課題となっている。そして、この課題を解決するためには、高分子系材料の再利用化、リサイクル化等が重要となる。例えば、ゴム材料であるタイヤは、汎用材料として大量生産、大量消費がなされ、使用済みタイヤの数も多いことから、使用済みタイヤのリサイクル化の研究が進められている。
特開2004−277687号公報(特許文献1)では、廃タイヤを乾留処理して得た炭化物を微粉砕して、これを密閉容器中で500℃以上に加熱し結晶化させ、タイヤへの添加剤としてリサイクルできることが報告されている。しかしながら、高温処理により炭化物が黒鉛化することはよく知られており、また、特開2004−277687号公報に記載の電子顕微鏡像は、カーボンブラックではなく黒鉛化した微粉末のものであると判断できる。従って、特開2004−277687号公報に記載の炭化物が、ゴム用配合剤として適していないことは明らかである。
特開2006−349224号公報(特許文献2)では、廃タイヤをマイクロ波照射により予備加熱し、これをキルン型加熱炉内で熱分解し、得られる炭化物を活性炭として利用できることが報告されている。しかしながら、該炭化物がゴム用配合剤として利用できるとの記載はなく、更に特開2006−349224号公報に記載の加熱炉の構造から、空気が比較的容易に加熱炉内に流入し、得られる炭化物の酸化が進み多孔質となるため、活性炭として利用できるものと思われる。従って、特開2006−349224号公報に記載の炭化物は、ゴム用配合剤として適していないことは明らかである。
特開2007−70167号公報(特許文献3)では、回転式の乾留炉内で廃タイヤを500〜560℃にて2〜3時間加熱することで、ガラス状炭素が得られることが報告されているが、該ガラス状炭素はゴム成分に対する相互作用が殆ど無いので、ゴム用配合剤として適さない。
国際公開第2007/121166号(特許文献4)では、使用済みタイヤからカーボンブラックをリサイクルする目的で、タイヤを350°F(177℃)〜850°F(566℃)で熱分解し、次いで得られた炭化物をスクリューにて空気が導入された管中を通して上昇させるときに900°F(482℃)〜1200°F(648℃)で加熱し揮発分の除去を行う方法と、その装置とが報告されている。しかしながら、管中に空気が導入され且つ加熱温度が高いため、表面が酸化されたカーボンブラックを回収する可能性があり、ゴム用配合剤として適さないと思われる。
以上のように、表面が酸化されたカーボンブラックをゴム組成物に配合した場合、ゴム組成物の引張応力や強度が顕著に低下するため、該カーボンブラックがゴム用配合剤として不適であることが広く知られている。また、カーボンブラックが高温で且つ長時間の熱履歴を受けると黒鉛化が進行し、ゴム組成物に配合すると、同様に引張応力や強度を顕著に低下させることも広く知られている。
一方、米国特許第5037628号(特許文献5)では、スクラップゴムを熱分解した炭化物を温和な粉砕条件で粉砕し、風力分級機を用いてカーボンブラックを含む凝集粒子(agglomerated particle)を分離する方法が報告されている。ここで、分離されたカーボンブラックのゴム材料への適合性は、熱分解条件に大きく影響を受けることになるのだが、米国特許第5037628号においては、熱分解に関する記載がなく、ゴム用配合剤として適当であるか否かの判断をすることができない。
最近では、高分子系廃棄物から有用物質として利用可能な成分を回収する油化設備として、無酸素ガスを加熱するための熱交換器、内部に高分子系廃棄物を収容する熱分解炉と該熱分解炉を外部から加熱する外部加熱手段とを有する熱分解装置、該熱分解装置で発生した熱分解ガスを冷却して、凝縮した油分を回収するための油分回収装置、及び該油分回収装置で油分を回収した後の残ガスを、無酸素ガスとして上記熱交換器に循環させるための循環路とを備えた循環型の油化設備が報告されている(特開2008−285523号公報(特許文献6)参照)。しかしながら、熱分解後の炭化物を好適なゴム用配合剤として回収する観点から、熱分解条件を最適化する試みはなされていない。
特開2004−277687号公報 特開2006−349224号公報 特開2007−70167号公報 国際公開第2007/121166号 米国特許第5037628号 特開2008−285523号公報
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、高分子系廃棄物の熱分解後に残る炭化物の酸化を抑えることが可能な高分子系廃棄物の熱分解方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、品質が劣化せず、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持できる熱分解回収炭化物を得ることが可能な回収方法を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、上記熱分解方法又は回収方法により得た炭化物、該炭化物を配合してなるゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、高分子系廃棄物を加熱された無酸素ガスと直接に接触させ、熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解炉内に導入される無酸素ガスのガス流量を0.0015m3/s[ntp]〜0.0095m3/s[ntp]の範囲内に制御することによって、熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物の酸化を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の高分子系廃棄物の熱分解方法は、
熱交換器内で無酸素ガスを加熱する工程と、
高分子系廃棄物を収容する熱分解炉内に加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物を該無酸素ガスと直接に接触させ、熱分解ガスを発生させる工程と
を含む高分子系廃棄物の熱分解方法において、
前記熱分解炉内に導入される無酸素ガスのガス流量を0.0015m3/s[ntp]〜0.0095m3/s[ntp]の範囲内に制御することを特徴とする。
なお、「ガス流量」とは、高分子系廃棄物100kg当たりに送るガスの流量を指す。また、ntpは、基準状態を意味し、ガス流量が0℃、1気圧での体積を基準にして表される。
本発明の高分子系廃棄物の熱分解方法は、前記熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解時の温度を300〜600℃に制御するのが好ましい。この場合、熱分解後に残る炭化物の酸化をより確実に抑制することができる。
本発明の高分子系廃棄物の熱分解方法は、前記無酸素ガス中の酸素濃度を1容量%以下に制御することが好ましい。この場合、熱分解後に残る炭化物の酸化をより確実に抑制することができる。
本発明の高分子系廃棄物の熱分解方法に用いる熱分解装置は、内部に高分子系廃棄物を収容する熱分解炉と、該熱分解炉を外部から加熱する外部加熱手段とを備えることが好ましく、該熱分解装置内の酸素濃度が1容量%以下であるのが好ましい。
また、本発明の炭化物の回収方法は、
熱交換器内で無酸素ガスを加熱する工程と、
高分子系廃棄物を収容する熱分解炉内に加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物を該無酸素ガスと直接に接触させ、熱分解ガスを発生させる工程と、
前記熱分解ガスを冷却し、凝縮した油分を回収する工程と
前記高分子系廃棄物の熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物を回収する工程と
を含む炭化物の回収方法において、
前記熱分解炉中に導入される無酸素ガスのガス流量を0.0015m3/s[ntp]〜0.0095m3/s[ntp]の範囲内に制御することを特徴とする。
この「炭化物」とは有機物を含む物質を原料とし、この原料を加熱による熱分解反応によって原料中のガス体及び液体成分を放出した後に、生成されて残った固体を指し、例えば灰分として無機物を含むこともある。
本発明の炭化物の回収方法は、前記熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解時の温度を300〜600℃に制御するのが好ましい。この場合、炭化物の品質を劣化させることなく、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持することが可能な炭化物をより確実に得ることができる。
本発明の炭化物の回収方法は、前記無酸素ガス中の酸素濃度を1容量%以下に制御することが好ましい。この場合、炭化物の品質を劣化させることなく、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持することが可能な炭化物をより確実に得ることができる。
本発明の炭化物の回収方法に用いる熱分解装置は、無酸素ガスを加熱するための熱交換器と、内部に高分子系廃棄物を収容する熱分解炉及び該熱分解炉を外部から加熱する外部加熱手段を有し、高分子系廃棄物を熱分解させて熱分解ガスを発生させるための分解装置と、該分解装置で発生した熱分解ガスを冷却して、凝縮した油分を回収するための油分回収装置とを備えることが好ましく、更に該油分回収装置で油分を回収した後の残ガスを無酸素ガスとして上記熱交換器に循環させるための循環路を備えることが更に好ましい。また、上記熱分解装置内の酸素濃度は、1容量%以下であるのが好ましい。
更に、本発明の炭化物は、上記の熱分解方法又は回収方法によって得た炭化物であることを特徴とし、その全酸性度が0.1meq/g以下であることが好ましく、更に、粉砕工程及び分級工程のうち少なくとも一方の工程を経て得た微細炭化物であることが更に好ましい。また更に、本発明のゴム組成物は、該炭化物を配合してなることを特徴とし、本発明のタイヤは、該ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、高分子系廃棄物の熱分解方法における高分子系廃棄物を加熱された無酸素ガスと直接に接触させ、熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解炉内に導入される無酸素ガスのガス流量を0.0015m3/s[ntp]〜0.0095m3/s[ntp]の範囲内に制御することによって、高分子系廃棄物の熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物の酸化を抑えることができる。また、高分子系廃棄物の熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物の酸化が抑えられることで、品質が劣化せず、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持できる炭化物を得ることが可能な回収方法を提供することができる。更に、上記熱分解方法又は回収方法により得た炭化物、該炭化物を配合してなるゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。
本発明の高分子系廃棄物の熱分解方法及び本発明の炭化物の回収方法の概略図である。 無酸素ガスのガス流量と全酸性度との関係を示す図である。 ゴム組成物のゴム特性と全酸性度との関係を示す図である。
以下に、図を参照しながら、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の高分子系廃棄物の熱分解方法及び本発明の炭化物の回収方法の概略図である。本発明の熱分解方法及び回収方法においては、まず、熱交換器1内で無酸素ガスを加熱する。熱交換器1で加熱した無酸素ガスを熱分解炉2に供給することで、熱分解炉2内の高分子系廃棄物を熱分解させる。ここで、無酸素ガスは、酸素及び酸化物以外のガス体であり、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや、水素、メタン、プロパン等の可燃性ガス等が挙げられ、該無酸素ガスを使用することで、高分子系廃棄物の熱分解後の熱分解炉2内に残る炭化物の酸化を防止することができる。なお、本発明の熱分解方法及び回収方法において、熱交換器1は、特に限定されるものではないが、スパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器等を使用することができる。また、熱交換器1に無酸素ガスを供給するには、非循環型の無酸素ガス供給源3から送る他、後述する循環路4を介して、油分回収装置11で回収した後の残ガスを無酸素ガスとして熱交換器1に循環させてもよい。
次に、本発明の熱分解方法及び回収方法においては、高分子系廃棄物5を収容する熱分解炉2内に加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物5を該無酸素ガスと直接に接触させ、熱分解ガスを発生させる。高分子系廃棄物5を無酸素ガスと直接に接触させることで、無酸素状態での熱分解が可能となる。熱分解炉2は、特に限定されるものではないが、通常の釜式熱分解炉、流動床式熱分解炉、キルン式熱分解炉等が使用される。また、高分子系廃棄物5は、主として有機系廃棄物を指し、具体的には、タイヤ(例えば、スピュー、バフ粉、4〜32分割されたタイヤ)、ゴムホース、チューブ、コンベアベルト等のゴム材料廃棄物や、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン等の樹脂材料廃棄物等が挙げられる。更に、本発明の熱分解方法及び回収方法に用いる分解装置6は、内部に高分子系廃棄物5を収容する熱分解炉2の他、該熱分解炉2を外部から加熱する外部加熱手段7を備えるのが好ましい。分解装置6が外部加熱手段7を備えることで、熱分解炉2内の高分子系廃棄物5を熱分解炉2の外側から間接的に加熱することができるため、無酸素ガスのガス流量を低減することが可能となる。これによって、熱分解炉2内から舞い上げられガス中に混入して該ガスと共に装置内を循環する固形ダスト分(高分子系廃棄物由来の微細浮遊物)の発生を抑え、窒素酸化物等の発生をも抑制することができる。外部加熱手段7は、特に限定されるものではないが、例えば、熱分解炉2を囲んで配設される外熱炉等が好ましい。また、外部加熱手段7に使用される熱媒体は、高分子系廃棄物5を熱分解炉2の外側から間接的に加熱するため、無酸素ガスに限定されず、種々の物質を利用することができる。
ここで、本発明の熱分解方法及び回収方法においては、上記熱分解炉2内に導入される無酸素ガスのガス流量を0.0015m3/s[ntp]〜0.0095m3/s[ntp]の範囲内に制御することを要する。本発明の熱分解方法及び回収方法は、熱分解後の熱分解炉2内に残る炭化物の酸化を抑制し、ゴム用配合物として好適な炭化物を回収することを目的としている。炭化物の酸化の度合いを評価する指標には、「全酸性度」があり、この値が大きいと、炭化物の表面が酸化されていることを意味し、該炭化物はゴム用配合剤として適さないことを意味する。本発明の熱分解方法及び回収方法においては、上記無酸素ガスの流量を上記特定した範囲内に制御し、温和な条件で熱分解を行うことで、その後に回収される炭化物の全酸性度を0.1meq/g以下に抑えることができる。該全酸性度が0.1meq/g以下であれば、その回収炭化物を純カーボンブラック(100%カーボンブラック)に混合した場合、ゴム組成物の物性低下を5%以内に抑えることができ、回収した炭化物を再利用することが可能となる。また、熱分解炉2内に導入される無酸素ガスのガス流量が0.0015m3/s[ntp]未満では、熱分解により発生する熱分解ガスの移動が遅延するため、熱分解反応の効率が低下し、一方、0.0095m3/s[ntp]を超えると、加熱された無酸素ガスと高分子系廃棄物の接触が多くなり過ぎ、上記固形ダスト分の発生や窒素酸化物等の酸化物の発生が起こり得るので好ましくない。なお、図2は、無酸素ガスのガス流量と全酸性度との関係を示す図であり、図3は、ゴム組成物のゴム特性と全酸性度との関係を示す図である。図3の縦軸は、GPF級カーボンブラックのみが配合されたゴム組成物の300%伸び時における引張応力を100として指数表示した場合において本発明の熱分解方法又は回収方法で得た回収炭化物20質量%とGPF級カーボンブラック80質量%との混合物を配合したゴム組成物の300%伸び時における引張応力の指数値を示し、図3の横軸は、ゴム組成物に用いる回収炭化物の全酸性度を示す。図2及び3から、上記熱分解炉2内に導入される無酸素ガスのガス流量は、0.003m3/s[ntp]〜0.007m3/s[ntp]の範囲であるのが望ましい。この理由としては、熱分解ガスの移動による熱分解反応効率は無酸素ガスのガス流量が0.003m3/s[ntp]付近で最大となるため、無酸素ガスのガス流量を0.003m3/s[ntp]以上にすることが好ましく、一方、無酸素ガスのガス流量を0.007m3/s[ntp]以下にすることで、回収された炭化物の全酸性度が0.07meq/g以下に抑えられ、ゴム組成物に用いた際の物性低下が殆ど見られないためである。
上記全酸性度の測定方法は、次のとおりである。まず、カーボンブラック1gを精秤し、これを平底フラスコに移して0.002NのNaOH水溶液50mlを加え、超音波で分散させる。その後、該平底フラスコに冷却管を付け、還流させながら2時間煮沸する。該分散液を冷却し、定溶した後、その一部を0.002NのNaOH水溶液で滴定し、反応せずに残ったNaOHの残量からカーボンブラック1gにつき中和反応に使用されたNaOH量を求める。単位は、単位質量当たりのミリ当量(meq/g)で表される。
また、本発明の熱分解方法及び回収方法は、上記熱分解炉2内に導入される無酸素ガスのガス流量を制御するため、ガス流量を測定するための流量計8、その開度でガス流量を調整するためのダンパ9、ガス流量を一定に保つための送風機10等を利用することができる。例えば、図1に示すように、無酸素ガス供給源3から無酸素ガスを供給するために無酸素ガス供給源3と熱交換器1とを接続する配管中に、流量計8、ダンパ9及び送風機10を設けてもよいし、油分回収装置11で回収した後の残ガスを無酸素ガスとして熱交換器1に循環させるための循環路4中に、流量計8、ダンパ9及び送風機10を設けてもよい。
本発明の熱分解方法及び回収方法は、高分子系廃棄物5と無酸素ガスとから熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解時の温度を300〜600℃に制御するのが好ましい。熱分解時の温度が上記特定した範囲内にあれば、高分子系廃棄物が安定で且つ連続的な熱分解を行うことができる。該熱分解時の温度が300℃未満では、熱分解反応が十分に進行せず、これによって、分解されるべき成分が完全に除去されない炭化物を生成するおそれがあり、他方、600℃を超えると、生成した炭化物とガス中に含まれ得る成分との間で望ましくない改質反応や賦活反応が起こり、炭化物中の全酸性度を上昇させたり、又は多孔性でゴムへの補強効果に悪影響を及ぼし得る炭化物を生成するおそれがある。ここで、熱分解時の温度を制御するには、上述した、熱交換器1内で加熱される無酸素ガスの流量や、熱分解炉2を外部から加熱する外部加熱手段7等を利用すればよい。
次に、本発明の回収方法においては、上記熱分解ガスを冷却し、凝縮した油分を回収する。このため、本発明の回収方法に用いる熱分解装置においては、分解装置6で発生した熱分解ガスを冷却して、凝縮した油分を回収するため、一つ又はそれ以上の油分回収装置11を備えるのが好ましい。図1に示すように、複数の油分回収装置11を利用すれば、分解装置6で発生した熱分解ガスを、その沸点に応じて回収される油分に分けることができる。詳細には、ガス流路の上流側にある第一の油分回収装置11aと、ガス流路の下流側にある第二の油分回収装置11bとを備える。ガス流路の下流側にある第二の油分回収装置11bは、第一の油分回収装置11aと同様な構成をとるが、第一の油分回収装置11aが対象とする油分の沸点と比べて低い領域の沸点を有する油分を回収する。このように、複数の油分回収装置11を設置することで、組成が一定で品質の安定した油分を高い回収率で回収することができる。また、各油分回収装置11は、例えば、その下部で配管を通して回収タンク12に接続され、回収した油分を貯蔵することができる。更に、油分回収装置11の下流側に凝縮装置等を設け、該凝縮装置内で凝縮される油分を回収することもできる。
また、本発明の回収方法に用いる熱分解装置は、循環路4を備えるのが好ましく、該循回路4は、油分回収装置11で油分を回収した後の残ガスを、無酸素ガスとして前記熱交換器1に供給するため、油分回収装置11と熱交換器1とを配管で接続してなる。なお、図1では、第二の油分回収装置11bのみに循環路4が設置されるが、本発明においては、これに限定されず、第一の油分回収装置11aに循環路4を設置してもよいし、凝縮装置が設置される場合には該凝縮装置に循環路4を設置してもよい。また、本発明の熱分解方法及び回収方法において、余剰のガスは、排風機13を介して排ガス処理装置14で処理された後、大気中に放出することができる。
次に、本発明の回収方法においては、高分子系廃棄物の熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物を回収する。例えば、熱分解ガスを発生させ、該熱分解ガスを凝縮した油分を回収すると、熱分解炉2内には、熱分解後の炭化物が残るため、該炭化物を回収することができる。なお、上述の回収方法により炭化物が得られるが、一般的には塊状物として回収されるので、例えば、粉砕機等を用いた粉砕工程によって回収された炭化物を微細に壊砕し、更に分級機等を用いた分級工程によって特定の粒度を持つ炭化物を抽出することができる。
本発明の熱分解方法及び回収方法においては、酸素濃度を1容量%以下に制御するのが好ましい。これは、本発明の熱分解方法及び回収方法に用いる熱分解装置内の酸素濃度が1容量%以下に制御されることを意味する。該熱分解装置内の酸素濃度が1容量%以下であれば、熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物の酸化をより確実に抑制でき、品質が劣化せず、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持できる炭化物をより確実に得ることができる。本発明の熱分解方法又は回収方法に用いる熱分解装置には、上述の分解装置6や油分回収装置11の他、これらに加えて、熱交換器1、無酸素ガス供給源3、循環路4、流量計8、ダンパ9、送風機10、回収タンク12、排風機13、排ガス処理装置14等を適宜選択して備える熱分解装置も含まれる。なお、熱分解装置内の酸素濃度は、例えば、固体電解質ジルコニアベースの酸素濃淡セルを用いるジルコニア式酸素センサー等により測定できる。
次に、本発明の炭化物を詳細に説明する。本発明の炭化物は、上述の熱分解方法又は回収方法によって得た炭化物であって、その全酸性度が0.1meq/g以下であることが好ましく、0.07meq/g以下であることが更に好ましい。該炭化物の全酸性度が0.1meq/g以下であれば、上述の通り、回収された炭化物をゴム補強用充填剤として再利用することができる。また、本発明の炭化物は、更に、粉砕工程及び分級工程のうち少なくとも一方の工程を経て得られる微細炭化物であるのが好ましい。上述の通り、炭化物は一般に塊状物として回収されるため、粉砕機等を用いた粉砕工程を経て炭化物を微細に壊砕したり、分級機等を用いた分級工程を経て炭化物の粒度を選別することで、炭化物の品質を向上させることができる。
次に、本発明のゴム組成物及びタイヤを詳細に説明する。本発明のゴム組成物は、上述の熱分解方法又は回収方法によって得た炭化物を配合してなることを特徴とする。本発明のゴム組成物には、例えば、上記炭化物及びゴム成分の他、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、充填剤、軟化剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、上記ゴム組成物は、ゴム成分に、上記炭化物と共に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
なお、本発明のゴム組成物に用いることができるゴム成分としては、特に制限はなく、天然ゴム(NR)の他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等の合成ゴムを使用することができ、これらゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
また、本発明のゴム組成物には、上述の熱分解方法又は回収方法によって得た回収炭化物を純カーボンブラックと組み合わせて配合することができる。該回収炭化物を純カーボンブラックと組み合わせることで、ゴム組成物の物性低下を5%以内に抑えることができる。該回収炭化物と純カーボンブラックとの合計に占める回収炭化物の含有量は、1〜20質量%の範囲が好ましい。該回収炭化物の含有量が上記に特定した範囲内にあれば、ゴム組成物の物性低下を確実に抑制することができる。
本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いたことを特徴とし、高分子系廃棄物から回収した炭化物が再利用されているにもかかわらず、タイヤの物性低下を軽減することができる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す熱分解装置を用いて、廃トラック用タイヤから炭化物を回収した。なお、熱分解装置は、図1に示すように、熱交換器1、熱分解炉2、無酸素ガス供給源3、循環路4、高分子系廃棄物5、外部加熱手段7、流量計8、ダンパ9、送風機10、第一の油分回収装置11a、第二の油分回収装置11b、回収タンク12、排風機13及び排ガス処理装置14を備える。
詳細には、熱分解炉2(容量0.5m3)内に廃トラック用タイヤの裁断品(高分子系廃棄物5)約100kgを投入し、熱分解炉2内を窒素ガスで置換した後、熱分解装置内の窒素ガスを循環させながら熱交換器1によりガス温度を約500℃まで上昇させて、この温度を保持した。なお、熱分解炉2内に導入される窒素ガスのガス流量は0.005m3/s[ntp]に設定され、0.0045m3/s[ntp]〜0.0055m3/s[ntp]の範囲に制御し、熱分解装置系内での酸素濃度は1容量%以下の範囲に制御された。ここで、熱分解装置内の酸素濃度の測定には、ジルコニア式酸素センサー等を用いた。熱交換器1による加熱を開始してから1時間で、熱分解ガスが油分回収装置11aに溜出し始め、熱交換器1による加熱の開始から約4時間後に溜出が止まった。溜出の停止は熱分解反応が完了したことを示し、熱交換器1を止めて約12時間放置冷却した。その後、熱分解炉2から炭化物を取り出した。該炭化物中には、タイヤ材料であるスチールコード等が含まれるため、余分なタイヤ材料をマグネットセパレーターで除去した。余分なタイヤ材料が除去された炭化物をハンマー式の粉砕機で粒径が1mm以下の細粉に粉砕し、この粉砕物を、回転羽を有する風力分級機により分級することにより、粒径が50μm以上の粗粉を除去し、ゴム配合用微細炭化物を回収した。
次に、回収したゴム配合用微細炭化物に対して、全酸性度を上記の方法により測定したところ、0.0594meq/gであった。
(実施例2)
熱分解炉2内に導入される窒素ガスのガス流量を0.008m3/s[ntp]に設定し、0.0075m3/s[ntp]〜0.0085m3/s[ntp]の範囲に制御した以外は、上記実施例1と同様にして熱分解反応を行った。なお、この例でのガス流量は、実施例1より高いため、熱交換器1による加熱を開始してから45分後に溜出が始まり、熱交換器1による加熱の開始から3時間後に溜出が止まった。
次に、回収した後、粉砕・分級を行って得たゴム配合用微細炭化物に対して、全酸性度を上記の方法により測定したところ、0.0908meq/gであった。
(実施例3)
熱分解炉2内に導入される窒素ガスのガス流量を0.002m3/s[ntp]に設定し、0.0015m3/s[ntp]〜0.0025m3/s[ntp]の範囲に制御した以外は、上記実施例1と同様にして熱分解反応を行った。なお、この例でのガス流量は、実施例1より低いため、熱交換器1による加熱を開始してから1.5時間後に溜出が始まり、熱交換器1による加熱の開始から6時間後に溜出が止まった。
次に、回収した後、粉砕・分級を行って得たゴム配合用微細炭化物に対して、全酸性度を上記の方法により測定したところ、0.0365meq/gであった。
(比較例1)
熱分解炉2内に導入される窒素ガスのガス流量を0.011m3/s[ntp]に設定し、0.0105m3/s[ntp]〜0.0115m3/s[ntp]の範囲に制御した以外は、上記実施例1と同様にして熱分解反応を行った。なお、この例でのガス流量は、実施例1より高いため、熱交換器1による加熱を開始してから40分後に溜出が始まり、熱交換器1による加熱の開始から2.5時間後に溜出が止まった。
次に、回収した後、粉砕・分級を行って得たゴム配合用微細炭化物に対して、全酸性度を上記の方法により測定したところ、0.104meq/gであった。
(比較例2)
熱分解炉2内に導入される窒素ガスのガス流量を0.013m3/s[ntp]に設定し、0.0125m3/s[ntp]〜0.0135m3/s[ntp]の範囲に制御した以外は、上記実施例1と同様にして熱分解反応を行った。なお、この例でのガス流量は、実施例1より高いため、熱交換器1による加熱を開始してから35分後に溜出が始まり、熱交換器1による加熱の開始から2.5時間後に溜出が止まった。
次に、回収した後、粉砕・分級を行って得たゴム配合用微細炭化物に対して、全酸性度を上記の方法により測定したところ、0.145meq/gであった。
(比較例3)
熱分解炉2内に導入される窒素ガスのガス流量を0.0010m3/s[ntp]に設定し、0.00095m3/s[ntp]〜0.00105m3/s[ntp]の範囲に制御した以外は、上記実施例1と同様にして熱分解反応を行った。なお、この例でのガス流量は、0.0015m3/s[ntp]を下回っており、熱交換器1による加熱を開始してから2時間経過しても、少量の溜出物のみが認められるだけで、ほとんど熱分解反応は進行しなかったため、途中で中止した。
実施例1〜3及び比較例1〜2から得られたゴム配合用微細炭化物を用いて、表2に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物の未加硫時及び加硫後のゴム特性を上記の方法により測定した。結果を表3〜5に示す。
(1)未加硫時のゴム特性
(a)ムーニー粘度
JIS K6300−1:2001に準拠し、ムーニー粘度計を用いて、130℃でのムーニー粘度[ML1+4(130℃)]を測定し、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物のムーニー粘度を100として指数表示した。指数値が小さい程、加工性に優れることを示す。
(b)スコーチタイム
JIS K6300−1:2001に準拠し、ムーニー粘度計を用いて、ムーニー粘度−時間曲線を測定し、ムーニー粘度の最低値(Vm)から5ポイント上昇した時間(t5)を求め、これをスコーチタイム(分)とした。ここで、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物のスコーチタイムを100として指数表示した。指数値が100に近い程、加硫時間が適正で、作業性に優れることを示す。
(2)加硫後のゴム特性
(a)硬さ
140℃で30分間加硫して得た加硫ゴムに対して、JIS K6253:2006に準拠し、デュロメータ硬さ試験機(タイプA)を用いて評価した。詳細には、加硫ゴムのゴム試験片の表面に押針を3秒間押し込み、その押針の押込み深さから該ゴム試験片の硬さを求めた。ここで、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物の硬さを100として指数表示した。指数値が大きい程、ゴム組成物の硬さが高いことを示す。
(b)引張応力
140℃で30分間加硫して得た加硫ゴムに対して、JIS K6251:2004に準拠し、室温で100%伸び時及び300%伸び時における引張応力を測定し、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物の引張応力を100として指数表示した。指数値が大きい程、引張応力が大きく、弾性率が高いことを示す。
(c)引張強さ
140℃で30分間加硫して得た加硫ゴムに対して、JIS K6251:2004に準拠し、室温での引張強さ(Tb)を測定し、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物の引張強さを100として指数表示した。指数値が大きい程、破壊対する耐性が高く、補強性に優れることを示す。
(d)切断時伸び
140℃で30分間加硫して得た加硫ゴムに対して、JIS K6251:2004に準拠し、室温での切断時伸びを測定し、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物の切断時伸びを100として指数表示した。指数値が大きい程、配合される充填剤成分のゴム組成物への補強効果が高いことを示す。
*1 油展ゴム,ゴム成分100質量部に対して27.3質量部のアロマオイルで油展,JSR(株)製,商品名:SBR 1723.
*2 JSR(株)製,商品名:BROMOBUTYL 2255.
*3 実施例1〜3及び比較例1〜2のうちいずれかのゴム配合用微細炭化物20質量%とGPF級カーボンブラック80質量%との混合物.
*4 フレキシス社製,商品名:サントフレックス 6PPD.
*5 大内新興化学工業(株)製,商品名:ノクセラー DM−P.
*6 大内新興化学工業(株)製,商品名:ノクラック 224.
*7 大内新興化学工業(株)製,商品名:ノクセラー D.
*8 大内新興化学工業(株)製,商品名:ノクセラー NS.
表3〜5から、実施例により回収された炭化物は、熱分解炉内に導入される無酸素ガスのガス流量が0.0015m3/s[ntp]〜0.0095m3/s[ntp]の範囲内に制御されることで、ゴムへの補強性等の基準となる全酸性度が0.1meq/g以下となり、これによって、該炭化物がGPF級カーボンブラックと共に配合された実施例1〜3のゴム組成物(全補強充填剤中のゴム配合用微細炭化物の割合:20質量%)は、GPF級カーボンブラックのみが配合されたゴム組成物と比較し、未加硫ゴム及び加硫ゴムの各種ゴム特性に対していずれも5%以上低減することがなかった。これに対し、比較例1〜2により回収されたゴム配合用微細炭化物は、熱分解炉内に導入される無酸素ガスのガス流量が0.0095m3/s[ntp]を超えることで、その全酸性度は0.1meq/gを超えることになり、これによって、比較例のゴム組成物は、未加硫ゴム及び加硫ゴムの各種ゴム特性のいずれかの特性で5%以上低下したゴム特性を有することが確認された。
1 熱交換器
2 熱分解炉
3 無酸素ガス供給源
4 循環路
5 高分子系廃棄物
6 分解装置
7 外部加熱手段
8 流量計
9 ダンパ
10 送風機
11 油分回収装置
12 回収タンク
13 排風機
14 排ガス処理装置

Claims (11)

  1. 熱交換器内で無酸素ガスを加熱する工程と、
    高分子系廃棄物を収容する熱分解炉内に加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物を該無酸素ガスと直接に接触させ、熱分解ガスを発生させる工程と
    を含む高分子系廃棄物の熱分解方法において、
    前記熱分解炉内に導入される無酸素ガスのガス流量を0.0015m3/s[ntp]〜0.0095m3/s[ntp]の範囲内に制御することを特徴とする高分子系廃棄物の熱分解方法。
  2. 前記熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解時の温度を300〜600℃に制御することを特徴とする請求項1に記載の高分子系廃棄物の熱分解方法。
  3. 前記無酸素ガス中の酸素濃度を1容量%以下に制御することを特徴とする請求項1に記載の高分子系廃棄物の熱分解方法。
  4. 熱交換器内で無酸素ガスを加熱する工程と、
    高分子系廃棄物を収容する熱分解炉内に加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物を該無酸素ガスと直接に接触させ、熱分解ガスを発生させる工程と、
    前記熱分解ガスを冷却し、凝縮した油分を回収する工程と、
    前記高分子系廃棄物の熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物を回収する工程と
    を含む炭化物の回収方法において、
    前記熱分解炉中に導入される無酸素ガスのガス流量を0.0015m3/s[ntp]〜0.0095m3/s[ntp]の範囲内に制御することを特徴とする炭化物の回収方法。
  5. 前記熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解時の温度を300〜600℃に制御することを特徴とする請求項4に記載の炭化物の回収方法。
  6. 前記無酸素ガス中の酸素濃度を1容量%以下に制御することを特徴とする請求項4に記載の炭化物の回収方法。
  7. 請求項1〜3に記載の熱分解方法及び請求項4〜6に記載の回収方法のいずれかによって得られた炭化物。
  8. 全酸性度が0.1meq/g以下であることを特徴とする請求項7に記載の炭化物。
  9. 更に、粉砕工程及び分級工程のうち少なくとも一方の工程を経て得た微細炭化物であることを特徴とする請求項7又は8に記載の炭化物。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の炭化物を配合してなるゴム組成物。
  11. 請求項10に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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