JP2010239895A - 水田の除草方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 1回の作業で除草及び溝切作業を行うことができ、稲苗の生育を妨げない水田の除草方法を提供する。
【解決手段】 水田の除草方法は、稲苗の植付け後に水を湛えた水田において、所定日数経過後に行う水田の除草方法であって、前記水田から水を抜いた後に、当該水田を乾燥させる時間を経過することなく、前記水田の植え付け苗条の間の土を掘り起こして上下反転させつつ前記稲苗の株元に寄せる土寄せ工程を行い、当該土寄せ工程により前記株元に寄せた土の表面が乾燥するまで放置する。
【選択図】図1
【解決手段】 水田の除草方法は、稲苗の植付け後に水を湛えた水田において、所定日数経過後に行う水田の除草方法であって、前記水田から水を抜いた後に、当該水田を乾燥させる時間を経過することなく、前記水田の植え付け苗条の間の土を掘り起こして上下反転させつつ前記稲苗の株元に寄せる土寄せ工程を行い、当該土寄せ工程により前記株元に寄せた土の表面が乾燥するまで放置する。
【選択図】図1
Description
この発明は、水田の除草方法に関し、特に稲苗を植付けた後に水を湛えた水田において、所定日数経過後に行う水田の除草方法に関する。
従来より水稲等の栽培にあっては、水田にコナギやヒエ等の水田雑草が生育して、稲苗の成長を阻害する虞があり、様々な方法でこの水田雑草の除草が試みられてきた。特に、近年では消費者の食の安全への関心の高まりから、除草剤などの農薬を極力使用しないことが求められており、水田に生育する雑草の除草は水稲栽培にとってより重要なものとなっている。
農薬を用いない除草方法としては、例えば、紙製又は布製等のシートを水田に敷いて、水田の表面に日光が到達することを防ぎ、雑草の生育を抑えるマルチ栽培法、水田に合鴨を放って雑草を餌として食させる合鴨農法、田植え後に米ぬかや大豆かすを水田に散布して醗酵させ水田を脱酸素状態にして雑草を枯死させる方法、及び、除草機を用いて稲苗条間の土を攪拌して雑草を埋め込むものや雑草を水面に浮かせて枯死させるもの等の除草機を用いる方法が挙げられる。
しかし、例えばマルチ栽培法においては、シートを使用するためコストが高くなり、また、強い風が吹くとシートが煽られて苗が倒される虞や苗が水田からシートごと剥がれる虞がある。また、合鴨農法においては、合鴨が犬や鳶に襲われないために水田の周辺を囲う網を設置する必要があり、コスト及び設置の労力がかかる。そして、幼い合鴨を水田に放つので気温などによっては、合鴨が死んでしまう虞もある。また、米ぬかや大豆かすを散布する方法においては、散布する量が多く重労働になるうえ、天候によっては米ぬかや大豆かすの醗酵が進まず、雑草を十分に枯死させることができない場合も多い。
また、除草機を用いるものとして、例えば、水田の湛水深さを除草された雑草が浮き上がる程度の深さとし、苗条列の中間位置を苗条列に沿って移動しながら田面にほぼ所定深さ入った状態で除草体を水平方向に往復回動させ、雑草を根部から除去し、湛水面に浮上させる水田の除草方法が提案されている(例えば特許文献1)。この除草方法によると、適切な位置まで往復回動することにより、苗条間13はもとより苗の株間に生育した雑草も湛水面に浮かせることができ、枯死させることができる。
しかし、上述の除草機を用いた除草方法においては、少なくとも雑草が発芽する頃(通常稲苗の植付けから10日以内)には除草作業を行わなければならず、十分に生育していない稲苗を傷つける虞があった。また、一回除草したとしても、例えばヒエ等の雑草は稲苗の茎に対しても活着性があるため湛水面に浮かせたとしても枯死せずに稲の茎に活着する虞があり、コナギ等の雑草についても、湛水面に浮かせてすぐに枯死するわけではない。したがって、雑草が発生する度に何度も除草作業を行う必要があり作業が極めて煩雑なものとなる虞があるとともに、複数回の除草作業により稲苗に傷が付くなど稲苗の生育を妨げる虞もあった。
そこで、本発明は1回の作業で水田雑草の除草を完了することができ、稲苗の生育を妨げることのない水田の除草方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の水田の除草方法は、稲苗の植付け後に水を湛えた水田において、所定日数経過後に行う水田の除草方法であって、前記水田から水を抜いた後に、当該水田を乾燥させる時間を経過することなく、前記水田の植え付け苗条の間の土を掘り起こして上下反転させつつ前記稲苗の株元に寄せる土寄せ工程を行い、当該土寄せ工程により前記株元に寄せた土の表面が乾燥するまで放置することを特徴としている。
請求項2に記載の水田の除草方法は、前記土寄せ工程は、水田の植え付け苗条の全条間に亘って行われることを特徴としている。
請求項3に記載の水田の除草方法は、前記所定日数は、水田に生育した水田雑草の最初の本葉が出始める時期を統計的に算出した日数であることを特徴としている。
請求項4に記載の水田の除草方法は、前記土寄せ工程は、前記植え付け苗条の間をスライド可能な培土機又は溝切機を用いることを特徴としている。
請求項5に記載の水田の除草方法は、前記培土機又は前記溝切機の前方に前記植付け苗条の間隔よりもやや短い間隔に広がって設けられた線状体を有していることを特徴としている。
請求項1に記載の水田の除草方法によると、稲苗の植付けから所定日数経過した水田の水抜きを行った後乾燥させる時間を経過することなく、水田の植え付け苗条の間の土を掘り起こして上下反転させつつ稲苗の株元に寄せる土寄せ工程を行うので、水田の植え付け苗条の間の土に根を張っている水田雑草は、掘り起こされて上下反転されるので枯死させることができる。また、稲苗の株元付近に生えている水田雑草の上には上下反転した土がかぶせられるので枯死させることができる。しかも、上下反転させる土は乾燥されていないので、土がかぶせられた水田雑草を確実に枯死させることができるとともに、その後株元に寄せた土を所定程度乾燥させることで、株元に寄せた土が崩れることなく除草の役割を果たすので、1回の除草で確実に水田雑草を除去することができる。
請求項2に記載の水田の除草方法によると、土寄せ工程は、水田の植え付け苗条の全条間に亘って行われるので、水田の全ての雑草を除去することができる。
請求項3に記載の水田の除草方法によると、土寄せ工程を行うのは、水田に生育した水田雑草の最初の本葉が出始める時期を統計的に算出した日数であるので、水田雑草の根が未だ水田の地中に張り巡らされておらず、スムーズに土寄せ工程を行うことができ、また、水田雑草を根ごと掘り起こして上下反転させることができる。また、水田雑草が絡まって、稲苗の株元の土まで掘り起こして、稲苗を倒す虞も無い。
また、天候や稲の品種にも左右されるが、水田雑草の最初の本葉が出始める時期は、通常は稲苗の植付けから20日前後である。稲苗の植付けから20日程度経過していれば、稲も活着しており分茎も始まっているので、土寄せ工程によって稲が傷つくことを抑制することができ、また、多少傷ついても回復することができる。
また、このように20日程度経過した後に土寄せ工程を行うものであるので、他の要因により水田雑草があまり生育していない場合には、土寄せ工程を行わないという判断も行うことができる。したがって、必要がない場合には、土寄せ工程を行わないので労力の軽減を図ることができる。
請求項4に記載の水田の除草方法によると、土寄せ工程は、従来からある培土機又は溝切機を用いるので、新たな農具の購入によるコストの増大を防ぐことができる。
請求項5に記載の水田の除草方法によると、培土機又は溝切機の前方に植付け苗条の間隔よりもやや短い間隔に広がって設けられた線状体を有しているので、土寄せ工程を行う際に、この線状体により稲苗の根をやや傷つけることにより発根を促進することができ、よりいっそうの稲苗の成長を図ることができる。
以下、この発明における水田の除草方法について、各図を参照しつつ説明する。この水田の除草方法は、図1及び図4に示すように、水田に成苗の稲苗12を植付ける(ステップS1)。なお、本実施形態では成苗を植付けるものであるが、例えば中苗であってもよい。そして次に、稲苗12が除草作業を行うのに十分に成育しているか否か判断する(ステップS2)。なお、ここで稲苗12が十分に成育するとは稲が分けつし始めたこといい、田植え時期、天候、寒暖、品種及び苗齢などの要因により田植えからの日数は変動するが、通常田植えを行ってから20日前後であり、少なくとも田植えを行ってから15日から25日までの時期である。
そして、稲苗12の成育が十分であると判断すると(ステップS2:Yes)、次に、水田雑草から本葉が出始めたか否か判断する(ステップS3)。一方、稲苗12の成育が十分でないと判断すると(ステップS2:No)十分に稲苗12が生育するのを待つ。なおここで水田雑草としては、コナギやヒエを例示することができるが、これに限定されるものではなく、水田に根をはり、稲の生育を妨害する虞のある種々の雑草がこれに該当する。水田雑草は本葉が1から2枚程度出来る頃に地中に根を張り巡らせることとなるので、本葉が出始めたときには未だ地中に十分に根を張り巡らしておらず、比較的容易に土寄せ工程を行うことができる。水田雑草の本葉が出始める頃には、成育の遅いものであっても発芽可能な雑草は全て発芽しており、この後に行われる土寄せ工程により、雑草の全てを土の中に埋めてしまうことができる。
水田雑草の本葉が出始めていないと判断すると(S3:No)、水田雑草の本葉が出始めるのを待つ。一方、水田雑草の本葉が出始めていると判断すると(S3:Yes)、水田の水を抜き(S4)、全ての苗条間13に土寄せ工程を行う(S5)。
土寄せ工程は具体的には、例えば図2及び図3に示すような土寄せ部10を固定した溝切機11を用いて行うことができる。なお、土寄せ工程に使用する農具はこのような溝切機11に限定されるものではなく、例えば特に畑などで作物の株元に土を寄せる作業を行う培土機を用いるものであっても良い。また、土寄せ工程に使用される農具は人力のものであってもエンジン等の動力によるものであっても良い。溝切機11は、例えば田植え機などの牽引車に連結する連結部14と、この連結部14と土寄せ部10とをつなぐ横に延びた支持材15と、支持材15に等間隔に固定される土寄せ部10と、土寄せ部10の前方で、植付け苗条間13の間隔よりもやや短い間隔に広がって設けられた線状体16と、により構成されている。
この土寄せ部10は、底面をV字状に形成するとともに、後方に向かって広がって形成されており、田面に埋め込んでスライドさせることで、田面を掘り起こしつつ略V字状の溝を形成すると共に、掘り起こした土を上下反転させて稲苗12の株元に土寄せすることができるように構成されている。そして、この土寄せ部10相互の間隔は苗条間13の間隔と等しく形成されている。好ましくは土寄せ部10の相互の間隔は調整可能に形成されており、苗条間13の間隔に応じて調整できることが好ましい。なお、図2では、土寄せ部10を4つ設けた構成を記載しているが、土寄せ部10の個数はこれに限られず1又は複数の土寄せ部10を設けることができる。
また、線状体16は、金属で形成された番線状であり、一端が土寄せ部10の前方に固定されるとともに、他端が土寄せ部10を苗条間13の中心にスライドさせるときに苗株の根17付近をスライドするように、外側に広がって形成されている。
このような溝切機11を用いて土寄せ工程を行うときには、水抜きを行った水田で、図4に示すように、土寄せ部10を苗条間13の中心線に沿ってスライドさせる。このとき、線状体16も土寄せ部10にしたがって苗株の根17に当りながらスライドする。図5に示すように土寄せ部10が通過すると、苗条間13の田面を掘り起こしつつ略V字状の溝を形成すると共に、掘り起こした土を上下反転させて稲苗12の株元に土寄せされる。このとき土寄せされ稲苗の株元に形成される土は高さは少なくとも3cmから8cm程度であり、最も好ましくは5cmである。3cm以下になると土中から水田雑草が出てきて成長する虞があり、8cm以上であると稲苗を倒す虞がある。
土寄せ部10が通過して溝状に形成された部分に生育していた雑草はこの土寄せ部10が通過することにより、地中から掘り起こされて稲苗条側に根を上に向けて反転して埋め込まれるので枯死する。また、土寄せ部10が通過することにより田面の泥を稲苗12の株元及び株間に被せることとなり、稲苗12の株元及び株間に生育していた雑草も泥が被さって地中に埋まることとなり枯死する。
図6に示すように、線状体は苗の根17をやや傷つけながらスライドすることとなる。これにより傷つけられた苗の根17は発根を促されることとなり、いっそう稲の成育を促進することとなる。
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
本発明に係る水田の除草方法は、例えば水稲の無農薬栽培などにおいて好適に用いることができる。
10 土寄せ部
13 苗条間
16 線状体
13 苗条間
16 線状体
Claims (5)
- 稲苗の植付け後に水を湛えた水田において、所定日数経過後に行う水田の除草方法であって、
前記水田から水を抜いた後に、当該水田を乾燥させる時間を経過することなく、前記水田の植え付け苗条の間の土を掘り起こして上下反転させつつ前記稲苗の株元に寄せる土寄せ工程を行い、
当該土寄せ工程により前記株元に寄せた土の表面が乾燥するまで放置することを特徴とする水田の除草方法。 - 前記土寄せ工程は、水田の植え付け苗条の全条間に亘って行われることを特徴とする請求項1に記載の水田の除草方法。
- 前記所定日数は、稲苗の植え付けから水田に生育した水田雑草の最初の本葉が出始めるまでの日数であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水田の除草方法。
- 前記土寄せ工程は、前記植え付け苗条の間をスライド可能な培土機又は溝切機を用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の水田の除草方法。
- 前記培土機又は前記溝切機の前方に前記植付け苗条の間隔よりもやや短い間隔に広がって設けられた線状体を有していることを特徴とする請求項4に記載の水田の除草方法。
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JP2009091955A JP2010239895A (ja) | 2009-04-06 | 2009-04-06 | 水田の除草方法 |
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JP2015139449A (ja) * | 2014-01-27 | 2015-08-03 | 訓之 竹内 | 水田除草機 |
CN106973572A (zh) * | 2017-01-22 | 2017-07-25 | 浙江理工大学 | 自动除草机器人及其控制方法 |
JP7373761B1 (ja) | 2023-08-24 | 2023-11-06 | 真吾 立脇 | 除草および田植え方法、除草具、田植機 |
-
2009
- 2009-04-06 JP JP2009091955A patent/JP2010239895A/ja active Pending
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