JP2010220035A - 撮像装置、生体認証装置及び電子機器 - Google Patents

撮像装置、生体認証装置及び電子機器 Download PDF

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Yuji Yamanaka
祐治 山中
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伸 青木
Shigeru Ouchida
茂 大内田
Tetsuya Sasaki
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Abstract

【課題】複数のレンズがアレイ配列されたレンズアレイを使用した撮像装置において、被写体の撮像と装置周囲の照度検出を同一レンズアレイ構造で実現して、別途周囲の明るさを検出する構成を不要とし、省スペース化、低コスト化を可能にする。
【解決手段】レンズアレイ3の一部レンズ領域27,28,29に可視光除去フィルタを設け、該可視光除去フィルタが形成されたレンズ7,8,9を通過し、撮像素子10に到達する光を受光することで被写体を撮像し、可視光除去フィルタが形成されていないレンズ領域24,25,26の一部のレンズ5を通過し、撮像素子10に到達する光を利用して装置周囲の照度を検出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、指等の生体などの被写体(例えば、人の指の静脈や皮下にある真皮の指紋)の画像を撮像する撮像装置、撮像された生成画像を利用して個人認証を行う生体認証装置、及び、このような撮像装置や個人認証装置を備えた電子機器に関する。
近年、個人情報保護社会において、高セキュアな個人認証への要請が高く、また、ユビキタス化が進む昨今では、個人認証装置のモバイル機器などの小型電子機器への搭載が強く望まれ、個人認証装置の薄型化が求められている。一方、モバイル機器は、さまざまな明るさの環境で使用されることが要求されるため、機器の周囲の明るさによっては、ディスプレイの視認性を低下させる問題を生じさせる。したがって、小型化の妨げにならず、機器の周囲の明るさを検出したいという要請がある。
個人認証装置の薄型化・小型化を図った従来技術としては、複数のレンズを平面状にアレイ配列したレンズアレイを使用した撮像装置により、生体の静脈像等を撮像して個人認証を行うようにして、高セキュリティを確保しながら装置の薄型化・小型化を可能とした生体認証装置が種々知られている(例えば、特許文献1〜3)。
しかしながら、生体内部の静脈像を精度よく抽出して認証精度を確保するには、周囲の可視光を排除する必要があり、生体認証装置に用いられる撮像装置には、一般に可視光排除フィルタが使用される。したがって、該撮像装置を用いて機器周囲の明るさを検出することは困難であった。機器周囲の明るさを検出するためには、別途そのための構成を追加する必要があり、小型化の妨げとなっていた。
本発明の主な課題は、複数のレンズがアレイ配列されたレンズアレイを使用した撮像装置において、被写体像の撮像機能と装置周囲の照度検出機能を同時に実現することにより、該撮像装置を搭載した電子機器や、該撮像装置を用いた生体認証装置を搭載した電子機器などで、別途機器周囲の明るさを検出する構成の必要性を排除して、省スペース化、低コスト化を図ることにある。
請求項1の発明は、被写体に光を照射する光源と、複数のレンズがアレイ配列され、該複数のレンズのそれぞれにより前記被写体の像を結像させるレンズアレイと、レンズアレイの複数のレンズのそれぞれにより結像される被写体の像の集合である複眼像を撮像する撮像素子とからなる撮像装置において、レンズアレイの一部のレンズ領域に可視光除去フィルタが設けられ、可視光除去フィルタを有さない前記レンズアレイの一部を通過し、撮像手段に到達する光信号に基づき、当該撮像装置周囲の照度を検出する照度検出手段を有することを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、可視光除去フィルタを有さないレンズアレイの他の一部領域を用いて、撮像手段で撮像される被写体の複眼像に基づき、当該撮像装置から被写体までの距離を検出する距離検出手段を更に有することを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載の撮像装置において、距離検出手段による距離検出結果に応じて、光源をオン・オフする光源スイッチ手段を更に有することを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載の撮像装置において、距離検出手段による距離検出結果に応じて、可視光除去フィルタを有する前記レンズアイの領域を用いて、撮像手段で撮像される被写体の複眼像の撮像をオン・オフする撮像切替え手段を更に有することを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項4に記載の撮像装置において、光源スイッチ手段と撮像切替え手段のオン・オフ動作は同期して行われることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、生体としての被写体を撮像する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置と、該撮像装置における可視光除去フィルタを有するレンズアレイの領域を用いて、撮像素子で撮像される生体の像の集合である複眼像をもとに、個人認証処理を行う認識処理手段とからなる生体認証装置を特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置を搭載した電子機器を特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項6に記載の生体認証装置を搭載した電子機器を特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項7または8に記載の電子機器において、撮像装置における前記照度検出手段による照度検出結果に応じて表示部の明るさを調整することを特徴とするものである。
本発明の撮像装置においては、レンズアレイの一部のレンズ領域に可視光除去フィルタを設け、該可視光除去フィルタを有さないレンズアレイの一部のレンズ領域を通過し、撮像手段に到達する光信号に基づき、装置周囲の照度を検出するため、当該撮像装置を生体認証装置に使用することにより、同一の構成で、認証機能と照度検出機能が実現される。これにより、高セキュリティを確保しながら認証装置の薄型化・小型化を図ることができる。また、当該撮像装置あるいは認証装置を搭載した電子機器においては、別途照度検出機構を搭載する必要がなく、省スペース化、低コスト化を図ることができる。
また、本発明の撮像装置においては、可視光フィルタを有さないレンズアレイの他のレンズ領域を通過し、撮像手段に到達する光信号に基づき、当該撮像装置から被写体までの距離を検出するようにし、該距離検出結果に応じて、被写体の照明光源のオン・オフ動作や、可視光除去フィルタを有するレンズアレイの領域を通過し、撮像手段で撮像される被写体像のオン・オフ動作を制御することにより、装置の低消費電力化を図ることができる。さらに、当該制御は、距離検出結果に応じて自動的に行われるため、ユーザ・フレンドリな装置操作を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る撮像装置の撮像部の構成図である。 本発明の一実施形態の撮像装置を適用した生体認証装置の処理系のブロック図である。 被写体距離と個眼像内の画像シフト量との関係を説明する模式図である。 図2の生体認証装置の全体的動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の撮像装置あるいは生体認証装置を搭載した電子機器の一例の模式図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像装置の撮像部(カメラ部)の構成例を示したものである。ここで、図1(a)は該撮像部の断面構造を概略的に示した図、図1(b)は該撮像部を被写体(指など)と対向する側から見た平面構造を概略的に示した図である。
撮像部(カメラ部)2は、複数のレンズをレンズ光軸と略直交する平面内にアレイ配列したレンズアレイ3を有する。ここでは、図1(b)に見られるように6個のレンズ4,5,6,7,8,9が2×3アレイ配列されている。レンズアレイ3の像面側には、各レンズ4〜9により略結像される像をそれぞれ撮像するための撮像素子10を備える。撮像素子10は、その撮像面11に多数の画素が二次元的に配列されたもので、例えば、一般的なCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサを用いることができる。本撮像部2は、被写体として、レンズアレイ3から離れた指等の縮小像を撮像することになるため、撮像面11の小さな安価な撮像素子10を使用し、指等をレンズアレイ3に密着させた状態で撮像する形態に比べ指等の十分広い領域の像を入力可能になる。このことは、撮像部2の小型化、低コスト化を可能にする。
また、撮像部2は、各レンズ4〜9を通過した光線の像面上でのクロストークを防止するための遮光壁部材12を備える。これらのレンズアレイ3、遮光壁部材12、撮像素子10は筐体13により一体的に保持されている。
また、撮像部2は、近赤外帯の直線偏光を指等に照射するための照明手段17を備える。ここに示す例では、照明手段17は、光源としての近赤外発光ダイオード(LED)14と、該近赤外LED14の発した近赤外光を効率的に、より均一な光量で指等へ向けて照射させるための、レンズアレイ3に一体的に設けられた照明用レンズ15と、該照明用レンズ15を通過した近赤外光を所定の偏光方向の直線偏光にするための偏光子としての、レンズアレイ上に設けられた偏光フィルム16とを含む。近赤外帯の光は、生体に対して透過率を有し、また、血液中の還元ヘモグロビンで吸収を受けるため、指内部の静脈の像を入力する目的に好適である。
図1(b)に示されるように、レンズアレイ3は、指等の被写体と対向する側より観察した場合、遮光壁部材12により各レンズ4〜9に対応した四角形の領域24,25,26,27,28,29に区画されている。そして、レンズアレイ3には、レンズ8に対応した領域28に、照明手段17よる照明光の偏光方向と平行な方向の偏光成分のみを通過させる検光子としての偏光フィルム30が設けられ、また、レンズ9に対応した領域29に、照明手段17による照明光の偏光方向と直交する方向の偏光成分のみを通過させる検光子としての偏光フィルム31が設けられている。
なお、偏光フィルム16,30,31に代えて、レンズアレイ3の上面又は下面に微細構造を形成することによって、同様の偏光子又は検光子を実現することも可能である。このような実施形態は、レンズアレイ3に偏光フィルムを貼り付けたり塗布する形態に比べ、生産コストや加工精度の面で一般的に有利である。
ここで、図1には図示されていないが、レンズアレイ3のレンズ7,8,9に対応した領域27,28,29のみに、レンズアレイ3の対応する上面又は下面に成膜された金属薄膜等からなる可視光除去フィルタ(又は近赤外光透過フィルタ)が形成されている。また、レンズアレイ3の各レンズは円形であるので、それら各レンズの有効範囲外の領域からの光の入射を阻止するための金属箔膜等の遮光膜(不図示)が、例えばレンズアレイ3の像面側の面に形成されている。
後述するように、レンズアレイ3において、可視光除去フィルタが形成されていないレンズ4,5,6に対応した領域24,25,26のうち、レンズ5の部分を通過し、撮像素子10の撮像面11に到達する光を受光して、当該撮像装置周囲の照度を検出する。また、レンズ4と6の部分を通過し、撮像素子10の撮像素子の撮像面11に到達する光を受光して、その複眼像における二つの個眼像間の画像シフト量(視差)を算出することにより、当該撮像装置と被写体間の距離を検出する。個人認証は、可視光除去フィルタが形成されているレンズ7,8,9の部分を通過し、撮像素子10の撮像面11に到達する光を受光して得られる個眼像の集合である複眼像を用いて実施する。
このように、図1に示す実施形態の撮像部(カメラ部)を備えた撮像装置によれば、同一レンズアレイ構造で、認証機能と照度検出機能、更には距離検出機能を実現することができる。もちろん、本発明の撮像装置は、その撮像部が図1のような構成に限られるものではない。
図2に、図1の撮像部を備えた撮像装置を用いた生体認証装置の処理系のブロック図を示す。本生体認証装置は、生体部位として手の指を用い、指内部の静脈のパターン情報を利用して個人認証を行うもので、特に図示のように離れた位置にある指1と非接触の状態で、指1の像を撮像できるようにしたものである。ただし、図2は一実施形態であり、適用する生体認証装置は図2の構成に限られるものではない。
図2において、図1と同一の部分に同一符号が付されている。撮像装置は、撮像部(カメラ部)2、光源スイッチ41、撮像領域(A)領域キャプチャ部42、撮像領域(B)キャプチャ部43、照度検出演算部44、ルックアップテーブル(LUT)45、シフト検出演算部46などで構成される。なお、シフト検出演算部46は認証処理系の一部も兼ねている。
光源スイッチ41は、照明手段17の近赤外LED14をオン、オフ制御する手段である。後述するように、光源スイッチ41では、指1と撮像装置2の間の距離を検出する距離検出手段を兼ねるシフト検出演算部46の出力を基に、近赤外LED14をオン、オフする。
撮像領域(A)キャプチャ部42は、撮像素子10より出力される画像データのうち、レンズアレイ3の可視光除去フィルタが形成されていないレンズ4,6,5に対応した領域24,26,25(以下、撮像領域A)の各画像データS1,S2,S3を抽出する。また、撮像領域領域(B)キャプチャ部43は、撮像素子10より出力される画像データのうち、レンズアレイ3の可視光除去フィルタが形成されているレンズ7,8,9に対応した領域27,28,29(以下、撮像領域B)の各画像データI1,I2,I3を抽出する。撮像素子10より取り込まれる画像データS1〜S3,I1〜I3は、レンズ4〜9による個眼像の集合した複眼像データであり、その各個眼像の周囲が遮光壁部材12の影で囲まれている。したがって、複眼像データの画素値を適当な閾値と比較して遮光壁部材12の影部分を検出することにより、各個眼像データを容易に抽出可能である。なお、レンズアレイ3のレンズピッチや遮光壁部材12の寸法等の精度が十分に高い場合には、予め決めた領域を単純に個眼像として切り出すようにしてもよい。
ここで、後述するように、撮像領域(B)キャプチャ部43では、光源スイッチ41と同様に、距離検出手段を兼ねるシフト検出演算部46の出力を基に、画像データI1,I2,I3の抽出動作をオン、オフ制御する。具体的には、光源スイッチ41での近赤外LED14のオン、オフ動作に同期して画像データI1,I2,I3の抽出動作をオン、オフ制御する。すなわち、撮像領域(B)キャプチャ部43は、シフト検出演算部46の出力に応じて、撮像素子10で撮像される被写体としての指1の各個眼像の集合である複眼像の撮像をオン、オフする撮像切替え手段として機能する。
撮像領域(A)キャプチャ部43で抽出された画像データS1,S2,S3のうち、画像データS3は照度検出演算部44に入力される。この画像データS3は、レンズアレイ3の可視光除去フィルタが形成されていないレンズ5を通過して撮像素子11に到達した光信号を撮像したもので、その輝度は当該装置周囲の明るさを反映している。照度検出演算部44は、入力された画像データS3から平均輝度を求め、該輝度の値に対応する照度をルックアップテーブル(LUT)45から取得することで、当該装置周囲の照度を検出する。すなわち、この照度検出演算部44とLUT45は、照度検出手段として機能する。後述するように、本発明の撮像装置や該撮像装置を使用した生体認証装置が搭載された電子機器は、照度検出演算部44で検出された照度に応じて表示部(ディスプレイ)の明るさを調整する。
一方、撮像領域(A)キャプチャ部43で抽出された画像データS1,S2,S3のうち、画像データS1,S2はシフト検出演算部46に入力される。これら画像データS1,S2は、レンズアレイ3の可視光除去フィルタが形成されていないレンズ4,6をそれぞれ通過して撮像素子11に到達した光信号を撮像したもので、位置の異なるレンズ4,6により被写体を結像したものであるから、二つの画像データ(個眼像データ)S1,S2の間には画像シフト(視差)が存在する。視差はレンズアレイ3と指1等の被写体との距離によって変化する。したがって、画像データ(個眼像データ)S1,S2間の画像シフト量を算出することで、撮像装置と被写体の距離を検出することができる。
図3は被写体距離と個眼像間の画像シフト量との関係を説明する模式図である。図3において、図1と同一部分には同一の符号が付されている。ここで、レンズアレイ3のレンズ6の光軸と被写体1の交わる点Pから発した光のうち、レンズ6を通過した光は、当該レンズ6の光軸と撮像素子10の撮像面とが交わる点Oaに結像する。一方、レンズ4を通過した光は、撮像素子10の撮像面上の点P’に結像する。このレンズ4の光軸と撮像素子10の撮像面の交わる点をObとすると、P’Obが、レンズ6,4により結像された単眼像間の画像シフト量である。光学系設計時に既知であるレンズピッチdと、レンズアレイ3と撮像面との距離fを用いると、被写体距離Lと隣接単眼像間の画像シフト量P’Obの間には次式の関係がある。
Figure 2010220035
画像シフト量の算出には例えばパターンマッチングを利用することができる。複眼像からシフトの基準となる個眼像(基準個眼像)を任意に選択し、その個眼像の一部をテンプレートとする。基準個眼像の横方向と縦方向の画像シフト量を(0,0)とする。基準個眼像とシフト量算出の対象となる個眼像(被シフト検出個眼像)との間の類似度あるいは相違度から画像シフト量を算出する。よく知られているように、類似度としては相互相関関数を用いることができ、相違度としてはSSD(画素値の差の二乗和)やSAD(画素値の差の絶対値の和)を利用することができる。SSDを用いてパターンマッチングで算出した相違度の一例を図5に示す。
一般にSSDを用いた相違度は式(2)で表される。
Figure 2010220035
ここで、RはSSDで算出した相違度、Iは被シフト検出個眼像の一部、Tはテンプレートとした基準個眼像の一部である。i,jはそれぞれテンプレートの横方向と縦方向の画素数、x,yはシフトの探索範囲で変化する値である。Rが最小となる(x,y)が2つの個眼像の間の画像シフト量となる。z軸がSSD相違度である。前記(2)式で求まる画像シフト量は画素単位であるが、画素単位で算出した類似度や相違度を関数フィッティングする手法や、テンプレートあるいは被シフト検出個眼像のどちらかを補間してパターンマッチングする手法などにより、サブピクセル単位でのシフト量算出が可能である。
シフト検出演算部46は、レンズアレイ3のレンズ4,6に対応した画像データ(個眼像データ)S1,S2より両個眼像間の画像シフト量(視差)を算出する。例えば、個眼像データS1,S2のうちの一方の個眼像データS2をx方向,y方向にシフトしたものと、もう一方の基準側の個眼像データS1との間の輝度偏差をとり、その二乗和を求める計算を、シフト量を変化させながら繰り返し、輝度偏差の二乗和が最小となったx方向,y方向のシフト量を、それら個眼像間のx方向,y方向の視差とするような演算を行う。
シフト検出演算部46は、算出した画像シフト量(視差)を所定の閾値と比較して、シフト量>閾値の場合、すなわち、撮像装置から被写体までの距離が所定以下になった場合、光源スイッチ41及び撮像領域キャプチャ部43に対して駆動信号を送る。この駆動信号を受信して、光源スイッチ41は近赤外LED14をオンとし、撮像領域(B)キャプチャ部43は、画像データI1,I2,I3の抽出を開始する。すなわち、シフト検出演算部46は、撮像装置から被写体までの距離を検出する距離検出手段として機能する。
なお、シフト検出演算部46は、算出した画像シフト量を光源スイッチ41及び撮像領域(B)キャプチャ部43に送り、光源スイッチ41及び撮像領域(B)キャプチャ部43が、それぞれ当該シフト量を閾値と比較して、近赤外LED14のオン、オフや、画像データI,I2,I3の抽出動作をオン、オフすることでもよい。
撮像領域(B)キャプチャ部43で抽出された画像データI1,I2,I3はシフト調整演算部47に入力される。画像データI1,I2,I3は、レンズアレイ3の可視光除去フィルタが形成されているレンズ7,8,9をそれぞれ通過して撮像素子11に到達した光信号を撮像したもので、これら画像データ(個眼像データ)が認証処理に用いられる。ここで、シフト調整演算部47には、シフト検出演算部46で検出された画像シフト量(視差)も入力される。
シフト調整演算部47は、シフト検出演算部46からの画像シフト量をもとに、レンズ7に対応した個眼像データI1に対する、レンズ8,9の個眼像データI2,I3の視差を打ち消すように像位置を調整(シフト)する視差調整演算を個眼像データにI2,I3に対して実施する。個眼像データS1,S2間の画像シフト量が算出されたならば、レンズピッチ等に基づいて個眼像データI1に対する、個眼像データI2,I3の視差も容易に計算することができる。先の式(1)より、被写体距離と画像シフト量(視差)との間には、被写体距離が増加すると視差が減するという関係があるが、シフト量調整演算部47にて視差調整演算等を施すことにより、レンズアレイから指1までの光軸方向の距離が変化しても正常な認証が可能になる。
補正演算部48は、個眼像データI1に対し、視差調整演算後の個眼像データをI2,I3を用いた補正演算を施す手段であり、演算モード選択信号52に応じて第1の演算モード又は第2の演算モードが選択可能である。なお、演算モード選択信号52は、例えば、当該生体認証装置の備える不図示のスイッチの操作や、当該生体認証装置が搭載された情報端末等の機器の備えるスイッチの操作により設定されたり、あるいは、当該機器で動作するプログラムにより設定される。第1の演算モードが選択された場合、補正演算部46では、個眼像データI1の各画素値に対し、視差調整演算後の個眼像データI2の対応画素値を減算する演算(I1−I2)が行われる。第2の演算モードが選択された場合、個眼像データI1の各画素値に対し、視差調整演算後の個眼像データI2の対応画素値を減算し、また、視差調整演算後の個眼像データI3の対応画素値を加算する演算(I1−I2+I3)が行われる。
補正演算部48による補正演算後の個眼像データは照合/登録切替部49に入力される。照合/登録切替部49には、照合/登録切替信号53も入力される。この照合/登録切替信号50は、例えば、当該生体認証装置の備える不図示のスイッチの操作や、当該生体認証装置が搭載された情報端末等の機器の備えるスイッチの操作により設定され、あるいは、当該機器で動作するプログラムにより設定される。
照合/登録切替信号53が登録側に設定されているときには、照合/登録切替部49は補正演算部48より出力された個眼像データ((I1−I2)又は(I1−I2+I3))を登録データベース(DB)50へ転送し、登録データベース50において、その個眼像データを登録データとして登録させる。また、照合/登録切替信号50が照合側に設定されているときには、照合/登録切替部49は、補正演算部48より出力された個眼像データ((I1−I2)又は(I1−I2+I3))を照合演算部51へ転送し、照合演算部51において、その個眼像データと、登録データベース50の登録データとの照合演算を行わせる。照合演算部51は、登録データベース50とともに、静脈認証を行う手段を構成するものである。
以上に説明した各演算部等は、ハードウェアで実現してもよいし、マイクロプロセッサ等のハードウェア資源を利用してプログラムにより実現してもよい。
なお、登録データベース50において、個眼像データより抽出した静脈走行の分岐点座標等の静脈特徴情報を登録データとして登録させ、照合演算部51において、個眼像データより抽出した静脈特徴情報と、登録データベース50に登録されている静脈特徴情報との照合演算を行わせるようにしてもよい。
図4は、図2に示した生体認証装置の全体的な動作の流れを説明するためのフローチャートである。以下、図4を参照しながら本生体認証装置の動作について説明する。
装置の電源がオンされるなどにより、撮像領域(A)キャプチャ部42は動作を開始して、レンズアレイ3の可視光除去フィルタが形成されていないレンズ4,6,5に対応した画像データS1,S2,S3を出力する(ステップ101)。
照度検出演算部44は、画像データS3を入力し、その輝度平均を算出して、LUT45を参照することで、当該装置周囲の照度を検出する(ステップ102)。
一方、シフト検出演算部46は、画像データ(個眼像データ)S1,S2を入力して、この二つの個眼像データS1,S2間の画像シフト量(視差)を算出して(ステップ103)、この画像シフト量を所定の閾値と比較する(ステップ104)。そして、シフト量>閾値になった場合、すなわち、撮像装置から被写体の指1までの距離が所定以下になった場合、光源スイッチ41及び撮像領域(B)キャプチャ部43に対して駆動信号を送る。
光源スイッチ41は、シフト検出演算部46から駆動信号を受信して近赤外LED14をオンとする(ステップ105)。撮像領域(B)キャプチャ部43は、シフト検出演算部46からの駆動信号を受信して動作を開始し、レンズアレイ3の可視光除去フィルタが形成されているレンズ7,8,9に対応した画像データ(個眼像データ)I1,I2,I3を出力する(ステップ106)。すなわち、この時点で、認証処理が開始する。このように、認証処理時のみ、認証対象の指1の照明をオンとし、認証処理系の動作をオンとすることにより、装置の低消費電力化が実現する。また、照明等のオン、オフ切替えを自動化することにより、ユーザに余計な操作を負わせたり、切替え忘れなどによる無駄な電力の消費といった不具合を防止でき、ユーザ・フレンドリな装置操作が実現する。
シフト調整演算部47は、画像データ(個眼像データ)I1,I2,I3を入力し、また、シフト検出演算部46で算出された画像シフト量(視差)を入力し、画像シフト量をもとに、個眼像データI1に対する個眼像データI2,I3の視差を打ち消すように、個眼像データの像位置を調整(シフト)する(ステップ107)。
補正演算部48は、演算モード選択信号52が第1モードを選択しているならば(ステップ8,第1モード)、個眼像データI1の各画素値から個眼像データI2の対応画素値を減算する補正演算を行い、補正後の個眼像データを照合/登録切替部49へ送る(ステップ109)。演算モード選択信号52が第2モードを選択しているならば(ステップ108,第2モード)、個眼像データI1の各画素値に対し個眼像データI2の対応画素値を減算し、さらに個眼像データI3の対応画像値を加算する補正演算を行い、補正後の個眼像データを照合/登録切替部49へ送る(ステップ110)。
照合/登録切替部49は、照合/登録切替信号53が照合に設定されているならば(ステップ111,Yes)、照合演算部51で該個眼像データと登録データとの照合演算を実行させ(step9)、照合/登録切替信号50が登録に設定されているならば(ステップ112,No)、登録データベース50で当該個眼像データを登録させる(ステップ113)。
ここで、照明手段17による照明光は、指の表面近傍で反射され、あるいは指の内部に進入して反射・散乱されるので、指からレンズアレイ3へ戻る光には、指の表面近傍での反射光と、指の内部で反射・散乱された光とがある。指の表面近傍での反射光は照明光の偏光方向と平行な方向の偏光成分が大きな割合を占めているのに対し、指内部で反射・散乱された光は照明光とは偏光方向が異なった偏光成分が大きな割合を占めている。
レンズ8の領域28に設けられた偏光フィルム(検光子)30は、照明光の偏光方向と平行な方向の偏光成分は通すが、それ以外の方向の偏光成分の通過を阻止するので、もっぱら指表面近傍での反射光による像がレンズ8により結像され、これが個眼像データI2として入力される。
一方、レンズ7に対しては検光子が設けられないため、指内部で反射・散乱された光と指表面近傍での反射光による像がレンズ7により結像され、この像が個眼像データI1として入力される。この個眼像は静脈像であるが、指表面反射光の影響により、その鮮明度は良くない。特に、指をレンズアレイ3から離してかざした場合、指をレンズアレイ3に密着させるような場合に比べて、指の表面近傍での反射光が増加し、また、指位置の変動に伴い照明光の面内強度分布も変化するが、その面内強度分布の変化は主に指表面近傍での反射光に起因するため、静脈認証の場合には指表面近傍での反射光による影響を強く受けやすい。しかし、補正演算部48による第1又は第2の演算モードの補正演算によって、指表面での反射光の影響を効果的に排除し、指内部で反射・散乱した光による鮮明な指静脈像のデータを取得することができるため、これを用いて高精度の静脈認証が可能となるのである。
また、レンズ9に対応して設けられた偏光フィルム(検光子)31は照明光の偏光方向に直交する方向の偏光成分を通すが、この通過する偏光成分は指に照射された直線偏光が静脈により反射されて偏光方向が大きく変化した成分である。したがって、補正演算部48で、レンズ9に対応した個眼像データI3の画素値を加算する第2の演算モードの補正演算を施した場合、静脈のエッジを強調したような静脈像のデータを取得することができる。このようなエッジを強調した静脈像を利用することが静脈認証の精度面でより有利となる場合がある。
なお、検光子としての偏光フィルム31は照明光の偏光方向と非平行な方向の偏光成分を通すものであればよく、その偏光方向は必ずしも照明光の偏光方向と直交する方向でなくともよい。
図5は、本発明に係る撮像装置あるいは該撮像装置を利用した生体認証装置を搭載した電子機器の一実施形態を模式的に示した図である。図5(a)は電子機器として携帯電話を示したもので、60は携帯電話本体、61は該携帯電話に搭載される撮像装置あるいは該撮像装置を利用した生体認証装置の撮像部(カメラ部)である。同図(b)は電子機器としてノートパソコン(PC)を示したもので、70はノートPC本体、71は該ノートPCに搭載される同じく撮像装置あるいは該撮像装置を利用した生体認証装置の撮像部(カメラ部)である。なお、生体認証装置の処理部は携帯電話やノートPC内のCPUなどが兼ねることができる。
先の図1に示したように、カメラ部61,71を複数のレンズアレイ配列されてなるレンズアレイ構造とすることで、撮像装置や該撮像装置を利用した生体認証装置を、小型化・薄型化が要求される携帯電話60やノートPC70に組み込んでも、小型化・薄型化を阻害されることはない。また、本発明では、可視光除去フィルタを有さないレンズアレイの一部レンズを通過し、撮像素子に到達する光信号に基づいて携帯電話60やノートPC70等の周囲の照度を検出することが可能であり、この検出した照度に応じて、該携帯電話60やノートPC70の表示部(ディスプレイ)の明るさを調整することができる。携帯電話60やノートPC70に、別途照度検出部を設ける必要はなく、この点からも携帯電話60やノートPC70の小型化、薄型化が実現しやすくなる。また、照度検出は常時動作していることが求められ、個人認証は必要なときのみ動作させるというように、両者で装置を使用する状況が異なることが予想される。この場合、常に両機能を動作させておくことは、装置の消費電力の面で無駄が多い。本発明では、認証時のみ照明をオンとし、それと同期して認証動作を開始させることで、装置の低消費電力を図ることができる。
なお、図5では、携帯電話及びノートPCを示したが、PDAなど、他の電子機器でも同様であり、本発明に係る撮像装置あるいは該撮像装置を利用した生体認証装置を搭載することで、省スペース化、低コスト化を図ることができる。
1 指
2 撮像部(カメラ部)
3 レンズアレイ
4〜9 撮像用レンズ
10 撮像素子
11 撮像面
12 遮光壁部材
13 筐体
14 近赤外発光ダイオード(LED)
15 照明用レンズ
16 偏光フィルム(偏光子)
17 照明手段
30,31 偏光フィルム(検光子)
41 光源スイッチ
42 撮像領域(A)キャプチャ部
43 撮像領域(B)キャプチャ部
44 照度検出演算部
45 ルックアップテーブル
46 シフト検出演算部
47 シフト調整演算部
48 補正演算部
49 照合/登録切替部
50 登録データベース(DB)
51 照合演算部
特開2008−36058号公報 特開2009−17943号公報 特開2008−212311号公報

Claims (9)

  1. 被写体に光を照射する光源と、複数のレンズがアレイ配列され、該複数のレンズのそれぞれにより前記被写体の像を結像させるレンズアレイと、前記レンズアレイの複数のレンズのそれぞれにより結像される前記被写体の像の集合である複眼像を撮像する撮像素子とからなる撮像装置において、
    前記レンズアレイの一部のレンズ領域に可視光除去フィルタが設けられ、
    前記可視光除去フィルタを有さない前記レンズアレイの一部を通過し、前記撮像手段に到達する光信号に基づき、当該撮像装置周囲の照度を検出する照度検出手段を有することを特徴とする撮像装置。
  2. 前記可視光除去フィルタを有さない前記レンズアレイの他の一部領域を用いて、前記撮像手段で撮像される前記被写体の複眼像に基づき、当該撮像装置から前記被写体までの距離を検出する距離検出手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記距離検出手段による距離検出結果に応じて、前記光源をオン・オフする光源スイッチ手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
  4. 前記距離検出手段による距離検出結果に応じて、前記可視光除去フィルタを有する前記レンズアイの領域を用いて、前記撮像手段で撮像される前記被写体の複眼像の撮像をオン・オフする撮像切替え手段を更に有することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
  5. 前記光源スイッチ手段と前記撮像切替え手段のオン・オフ動作は同期して行われることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
  6. 生体としての被写体を撮像する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置と、
    前記撮像装置における前記可視光除去フィルタを有する前記レンズアレイの領域を用いて、前記撮像素子で撮像される前記生体の像の集合である複眼像をもとに、個人認証処理を行う認識処理手段と、
    からなることを特徴とする生体認証装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
  8. 請求項6に記載の生体認証装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
  9. 撮像装置における前記照度検出手段による照度検出結果に応じて表示部の明るさを調整することを特徴とする請求項7または8に記載の電子機器。
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