JP2010214019A - ノッチシグナルを利用した虚血組織再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】虚血組織において該組織内に存在する細胞のノッチシグナル(Notch signal)を活性化することを特徴とする、虚血組織における組織再生方法、並びに、虚血組織において該組織内に存在する細胞のノッチシグナルを活性化することにより組織再生を行うことを特徴とする、虚血による組織障害の治療方法を提供する。
【選択図】なし
Description
1.虚血組織において該組織内に存在する細胞のノッチシグナルを活性化することにより組織再生を行うことを特徴とする、虚血による組織障害の治療方法、
2.組織内に存在する細胞が、組織内に存在する筋芽細胞である上記治療方法、
3.虚血組織が下肢虚血組織である上記治療方法、
4.虚血組織において該組織内に存在する細胞のノッチシグナルを活性化することを特徴とする、虚血組織における組織再生方法、
5.組織内に存在する細胞が、組織内に存在する筋芽細胞である上記組織再生方法、
6.虚血組織が下肢虚血組織である上記組織再生方法。
1. マウス後肢虚血の作成および末梢血単核球の移植
マウス後肢虚血の作成およびその後の末梢血単核球の移植は公知の方法で実施した(非特許文献3)。一部のマウスには細胞移植治療時に2.4μgのγ−セクレターゼ阻害剤、L-685,458(Chemicon社製)を筋肉内注射により投与した。
単核球移植効果の評価は、虚血組織における血流回復および筋再生領域を評価することにより行った。血流回復の評価は、後肢灌流をレーザー ドップラー パーフュージョン イメイザー システム(laser Doppler perfusion imager (LDPI) system、 Moor Instruments社製)を用いて測定することにより実施し、非虚血後肢に対する虚血後肢の血流比で表した。筋再生領域の評価は、マウスをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で全身灌流後に虚血後肢より内転筋を採取し、その凍結切片を作成してヘマトキシリン・エオジン染色並びに他の免疫学的染色を施し、盲検にて観察することにより実施した。筋組織は高倍率下にて、中心部に核がある再生筋原線維により主に構成される組織(C)と、壊死線維を含む組織(N)に分類し、これら組織学的特性を有する領域を低倍率で撮影した後、NIH−イメージ ソフトウエアを用いて測定した。筋再生領域は、C/(C+N)を算出して得られた値で表した。筋芽細胞の定量にはM−カドヘリン染色を用いた。また、マクロファージの定量には抗GR-1抗体(BD biosciences社製)を用いた免疫学的染色を行った。血流回復および筋再生領域の評価は後肢虚血処置後10日目に実施した。他の評価は末梢血単核細胞移植の24時間後に行った。全ての実験工程は、動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(日本学術会議2006年6月1日)および国立大学法人 千葉大学 動物実験実施規程を厳重に順守して行った。
1. 単核球移植による虚血組織再生に対するγ−セクレターゼ阻害剤の効果
γ−セクレターゼ阻害剤は、虚血組織における単核球移植による血流改善効果および筋組織再生増強効果を抑制した(それぞれ図1-Aおよび図1-B)。末梢血単核球投与群ではPBS投与群と比較して血流比および筋再生領域の増加が認められたが、末梢血単核球と共にγ−セクレターゼ阻害剤を投与した群では、このような増加は認められなかった。
γ−セクレターゼ阻害剤は、末梢血単核球移植による虚血組織内の増殖因子産生増強効果を抑制した(図3)。末梢血単核球投与群では血小板由来増殖因子(PDGF)、インターロイキン-1β(IL-1β)、幹細胞増殖因子(SCF)などの増殖因子の産生増加が、虚血組織の境界部分および中心部分(border/core)で認められたが、末梢血単核球と共にγ−セクレターゼ阻害剤を投与した群ではこのような増加は認められなかった。また、虚血組織から離れた部分(remote)では、増殖因子の産生増加は認められなかった。本結果は、虚血組織における単核球移植効果にはノッチシグナルが不可欠であることを裏付けるものである。
γ−セクレターゼ阻害剤は、末梢血単核球移植による虚血組織内へのマクロファージ浸潤を抑制した(図4)。末梢血単核球投与群では虚血組織内へのマクロファージ浸潤の増加が認められたが、末梢血単核球と共にγ−セクレターゼ阻害剤を投与した群では、このような増加は認められなかった。マクロファージは組織再生を促進することが知られている。本結果は、γ−セクレターゼ阻害剤が、治療的細胞移植による、虚血組織再生の促進を抑制することを示す。
1. ノッチ−1組織特異的ノックアウトマウス
ノッチ−1組織特異的ノックアウトマウスは、Notch-1 loxPマウスとCaggs-Cre ERマウス(Jackson Laboratories)との交配により作成した。ノッチ−1遺伝子の組織特異的ノックアウトは、ポリイノシン・ポリシチジン(polyinosinic・poly(C):pIpC)により誘導した。
後肢虚血の作成は実施例1と同様の方法で実施した。末梢血単核球は、ノッチ−1組織特異的ノックアウトマウスの同腹の野生型マウスから採取し、野生型マウスの虚血後肢およびノッチ−1組織特異的ノックアウトマウスの虚血後肢に移植した。末梢血単核球移植効果の評価は実施例1と同様の方法で実施した。
ノッチ−1組織特異的ノックアウトマウスは、その同腹の野生型マウスと比較して、虚血組織における著しい血流低下および筋障害を示した。ノッチ−1組織特異的ノックアウトマウスの虚血組織では、末梢血単核球移植によっても血流改善および筋再生領域の増加は認められなかった(それぞれ図5-Aおよび図5-B)。これに対し、その同腹の野生型マウスの虚血組織では末梢血単核球移植により血流が改善され、また、筋再生領域も増加した。
1. ノッチリガンド組織特異的ノックアウトマウス
ノッチリガンド組織特異的ノックアウトマウスは、Jagged-1 loxP マウスとMx-Creマウス(Jackson Laboratories)の交配により作成した。以下、作成したマウスをJagged-1組織特異的ノックアウトマウスと称する。このマウスにおけるJagged-1遺伝子の組織特異的ノックアウトは、ポリイノシン・ポリシチジンにより誘導した。
後肢虚血の作成は実施例1と同様の方法で実施した。末梢血単核球は、Jagged-1組織特異的ノックアウトマウスから採取し、野生型マウスの虚血後肢に移植した。また、比較対象として、野生型マウスから末梢血単核球を採取し、野生型マウスの虚血後肢に移植した。末梢血単核球移植効果の評価は実施例1と同様の方法で実施した。
Jagged-1組織特異的ノックアウトマウス由来の末梢血単核球は、野生型マウスの虚血組織に移植しても、骨格筋芽細胞増殖(データ未記載)、血流改善(図6-A)、および筋組織再生(図6-B)にほとんど効果を示さなかった。一方、その同腹の野生型マウス由来の末梢血単核球は、野生型マウスの虚血組織に移植すると、骨格筋芽細胞増殖(データ未記載)、血流改善(図6-A)、および筋組織再生(図6-B)に効果を示した。
1. 細胞およびノッチリガンドの導入
細胞は、マウス骨髄芽球系細胞株Ba/F3を用いた。Ba/F3細胞は虚血組織に移植しても血流改善効果を示さない。また、Ba/F3細胞はその生存および増殖にインターロイキン3(IL-3)を必要とするため、移植組織において増殖および生存することはできない。したがって、ノッチリガンド遺伝子を導入したBa/F3細胞は、虚血組織にノッチシグナルを伝達した後は速やかに局所から一掃される。このことから、ノッチリガンド遺伝子を導入したBa/F3細胞を用いれば、虚血組織においてノッチリガンドを一過性に提示することができる。細胞に導入するリガンドとしてJagged-1を用いた。Ba/F3細胞へのJagged-1遺伝子導入は、レトロウイルスを用いて汎用の方法により実施した。
後肢虚血の作成は実施例1と同様の方法で実施した。Jagged-1遺伝子導入細胞および遺伝子非導入細胞はそれぞれ実施例1と同様の方法でマウスの虚血後肢に移植した。末梢血単核球移植効果の評価は実施例1と同様の方法で実施した。
Claims (6)
- 虚血組織において該組織内に存在する細胞のノッチシグナル(Notch signal)を活性化することにより組織再生を行うことを特徴とする、虚血による組織障害の治療方法。
- 組織内に存在する細胞が、組織内に存在する筋芽細胞である請求項1に記載の方法。
- 虚血組織が下肢虚血組織である請求項1または2に記載の方法。
- 虚血組織において該組織内に存在する細胞のノッチシグナル(Notch signal)を活性化することを特徴とする、虚血組織における組織再生方法。
- 組織内に存在する細胞が、組織内に存在する筋芽細胞である請求項4に記載の方法。
- 虚血組織が下肢虚血組織である請求項4または5に記載の方法。
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