JP2010188257A - 粉粒体帯電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉粒体の平均帯電量あるいは帯電量分布を含めた帯電状態を、環境条件や耐久磨耗・汚染による粒子や帯電材の特性変動が発生しても、安定して定量的に帯電制御し得る粉粒体帯電装置を提供する。
【解決手段】気流中に含まれる帯電対象の粉粒体が衝突接触する面として、表面電界強度が互いに異なる帯電面を有し、当該帯電面に対して粉粒体を接触通過させ、前記粉粒体の帯電量を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、粉粒体帯電装置に関する。
粉粒体の帯電は、静電粉体塗装、電子写真、粉体流量計測等の様々な技術に利用されている。気相系で粉粒体を取り扱う場合、凝集、付着等の様々な事項が取り扱い上の阻害要因として作用する。そのため、気相系で粉粒体を取り扱う技術において、帯電量やその分布等の粉粒体の帯電状態を制御することが要請されている。
非特許文献1には、粉体を帯電する粉体帯電装置として、粉体を気流に乗せ、帯電機能材料に衝突接触させて帯電させる粉体帯電装置が開示されている。粉粒体の帯電量は、伝統的なファラデーケージを用いて測定されてきたが、近年、個々の粒子の大きさと帯電量を同時に測定し得る装置が開発され、統計的に処理することによって帯電量分布の解析が可能となっている。この装置は、非特許文献1には、Electorical-single particle aerodynamic relaxation time analyzer、と記されている。以下「E−spartアナライザ」と略記する。また、特許文献1には、仕事関数の異なる複数の帯電部材を設け、粉体を当該帯電部材に接触させて粉体を帯電する装置の開示がある。また、特許文献2には、複数の帯電付与面を備え、帯電付与面に電極を設けた静電被膜形成用ガンの開示がある。
M.K.Mazumder、R.E.Ware,Y.Yokoyama,b.J.Rubin,D.Kamp,"Mearsurement of particles size and electrostatic charge distribution on toners using E-SPART analyzer",IEEE Trans. Indust. Appl.27.1991,p611-619
国際公開WO2006/115122 特開平10−34027号公報
ところで、上記のように粉粒体の帯電状態を制御することが要請されているが、上記のE−spartアナライザは、粉体を帯電し得るが、その帯電状態を定量的に制御することは、平均帯電量あるいは帯電量分布においても可能となっていない。
粉粒体は衝突接触する帯電材と接触部において電荷を交換することにより、初期帯電量に対して、電荷を得るかもしくは失い、その帯電量は変化する。粉粒体の帯電量を増減させる駆動源となるものは、粉粒体と帯電材との接触部に生じる有効接触電位差である。有効接触電位差により電荷移動が始まり、電荷の充放電により粉粒体の表面電位は変化する。接触部で両者の有効接触電位差が0となった時点で電荷移動は終了し、粉粒体は最終帯電量に達する。
ここで、粉粒体と帯電材との間の接触電位差は安定した絶対量ではなく、温度・湿度等の環境状態や表面状態によって、各々変動し得る値である。したがって、それらの接触摩擦から得られる飽和比電荷量自体も変動し、決して安定なものではない。通常環境で一般に安定した帯電制御を行うには、その変動補正を含めた制御方法が必要とされる。
特許文献1の記載の、粉体帯電装置の場合、異なる仕事関数の材料を設ける必要がある。そのため、粉体を異なる帯電量に制御したい場合に、帯電部材を入れ替える必要があり不便である。また、特許文献1のように、仕事関数の異なる複数の帯電部材に接触させて帯電を行う場合、温度や湿度により材料から粉体に与えられる電荷量が異なるため、環境によって得られる粉体の帯電量が変化してしまうという問題がある。
また、特許文献2の図1に示されるような内部部材と外周面とに接触させて粉体の帯電を行う場合、粉体が内部部材と外周部にそれぞれ良好に接触しないと帯電量を制御できない。また、特許文献2の図7のように外周面を分割して帯電面を形成し、帯電面に電圧を印加した場合、帯電面と対向する面との距離が変化するため、帯電面の表面における電界強度が変わり、粉体の帯電を効率よく行うことができない。
本発明は、上記事情に鑑みて為された発明である。本発明の目的は、粉粒体の平均帯電量あるいは帯電量分布を含めた帯電状態を、環境条件や耐久磨耗・汚染による粒子や帯電材の特性変動が発生しても、安定して定量的に帯電制御し得る粉粒体帯電装置を提供することである。
上記の目的を達成するための本発明に係る粉粒体帯電装置の代表的な構成は、気流を発生させる気流発生装置と、前記気流により搬送される粉粒体と接触する同じ仕事関数の材料で設けられた第1の帯電面及び第2の帯電面と、前記第1の帯電面と等距離に配置された対向面と、前記第2の帯電面と等距離に配置された対向面と、前記第1の帯電面と前記第1の帯電面に対向する面との間に形成される第1の電界の大きさ及び前記第2の帯電面と前記第2の帯電面に対向する面との間に形成される第2の電界の大きさを制御する制御手段と、を備え、前記気流発生装置の発生させる気流により粉粒体を搬送させ、前記粉粒体を前記第1の帯電面と、前記第2の帯電面に交互に接触させることを特徴とする。
本発明によれば、粉粒体の帯電状態を、環境条件や耐久磨耗・汚染による粉粒体や帯電材の特性変動に依らず、安定して定量的に帯電制御し得る。
本発明に係る主要な粉粒体帯電装置の実施構成図。 実施形態における粉粒体帯電装置の電界特性説明図(その1)。 実施形態における粉粒体帯電装置の電界特性説明図(その2)。 二重円筒形状の帯電制御部内部の概形と粉粒体軌道説明図。 逆円錐台形状の帯電制御部内部の概形と粉粒体軌道説明図。 (a)は逆円錐台面(外側)上の粉粒体軌道を上面から見た図、(b)は逆円錐台面(外側)の展開図、(c)は円筒面(外側)の展開図、(d)は円筒形状と逆円錐台形状における粉粒体の周回角度と接触軌道距離の関係。 単一有効接触電位差による粉粒体帯電装置の実施構成図。 本発明の全体構成説明図。 双曲線特性領域における除電原理説明図。 双曲線特性領域における電界特性説明図。 交互接触帯電法による粉粒体の帯電量の収束効果説明図。 単一電極との繰り返し衝突による粉粒体の帯電量変遷の図。 交互接触帯電法による粉粒体帯電量変遷の図。 交互異電界中接触による粉粒体の帯電量収束の説明図。 円筒形状と逆円錐台形状における粉粒体の帯電量収束の比較説明図。 帯電量分布の収束効果説明図。 帯電量分布の標準偏差収束の概要図。 交互電極配置の別法。 (a)は周方向での多数電極配置例1、(b)は周方向での多数電極配置例2。 軸方向での多数電極配置例。 初期電圧設定の一方法の説明図。 異種電極交互配置・配線例。 (a)は帯電制御部の電極電流検知によるフィードバック制御の構成例1、(b)は帯電制御部の電極電流検知によるフィードバック制御の構成例2。 (a)は流出後の最終帯電量値によるフィードバック制御説明図、(b)は帯電制御部の電流値によるフィードバック制御説明図。 装置断面の電界状態の説明図。(a)は従来例の分割電極構成における電界状態。(b)は従来例の2重電極構成における電界状態。(c)は外側電極を分割した2重電極構成における電界状態。(d)は内側電極を分割した2重電極構成における電界状態。 (a-1)従来例の分割電極構成における帯電面電極表面を接触・衝突しつつ移動する粉粒体に及ぼされる電界の垂直方向の変化と(a-2)円周方向(気流回転方向)の変化。 (b-1)従来例の2重電極構成における帯電面電極表面を接触・衝突しつつ移動する粉粒体に及ぼされる電界の垂直方向の変化と(b-2)円周方向(気流回転方向)の変化。 (c−1)外側電極を分割した2重電極構成における帯電面電極表面を接触・衝突しつつ移動する粉粒体に及ぼされる電界の垂直方向の変化と(c-2)円周方向(気流回転方向)の変化。 (d−1)内側電極を分割した2重電極構成における帯電面電極表面を接触・衝突しつつ移動する粉粒体に及ぼされる電界の垂直方向の変化と(d-2)円周方向(気流回転方向)の変化。 (a)外側電極を分割した2重電極構成における流入部近傍の装置断面図及び(b)流出部近傍の装置断面図。 (a)内側電極を分割した2重電極構成における流入部近傍の装置断面図及び(b)流出部近傍の装置断面図。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(1)概要説明
〔有効接触電位差の発生〕
本発明の一態様に係る粉粒体帯電装置は、まず粉粒体に帯電付与もしくは除電を行う手段を備える必要がある。その手段として、気流中に含まれる帯電対象の粉粒体が衝突接触する面に、互いに粉粒体と帯電材(もしくは電極材)との間で複数値、少なくも2準位の有効接触電位差を発生させる手段を備える必要がある。しかし、これらは各々単独では一般環境下で粉粒体帯電量を安定制御し得るものではないことは先に述べた通りである。
〔帯電量制御〕
そこで、本発明者らは、これら2準位の有効接触電位差発生手段からの影響を適当な頻度で交互に粉粒体に作用させ、その影響を時系列的に合成して粉粒体の帯電量を収束制御した。これにより、みかけ上、個々の帯電材固有の帯電特性とは別の帯電特性が存在するかのように、粉粒体への帯電制御を実現することが可能であるという着想に至った。すなわち、粉粒体の初期帯電量が如何様であっても、2準位の有効接触電位差発生手段より個別に得られる平衡値としての粉粒体の各飽和比電荷量を上下限として、その範囲内の値となるように、粉粒体の比電荷量を収める。さらにそれらが個別に生み出す粉粒体の最終飽和比電荷量の範囲内である任意の比電荷量に、粉粒体の最終比電荷量ならびに比電荷量分布を安定して収束制御させる方法を見出した。ここで、元の各飽和比電荷量が変動しても、制御目標とする帯電量が両者の範囲にある限り、その範囲の任意の帯電量に制御可能である。また、2準位の飽和比電荷量の帯電状態についても、それらに電位あるいは電界による変動補正を行い、安定した帯電制御を与える。
本発明では、粉粒体帯電量を制御するために、少なくも粉粒体の飽和帯電量の発生手段を2準位必要とし、その2準位の飽和帯電量の間の任意の帯電量に粒子帯電量を収束制御させるものである。したがって、まず帯電量を制御するために、少なくも2準位の有効接触電位差の発生手段を有することが必要である。飽和帯電量を与える離間二電位差による中間電位状態の帯電制御において、与える電流量は電位差に比例することから、中間状態からより離れた電位の作用は、一接触電位差による収束を待つより、帯電量の応答性が高い。そのため、より短時間での収束操作が可能である。したがって、粉粒体の摩擦接触する軌道長を短縮して、帯電制御装置の小型化に適するものである。なお、粉粒体に与える帯電としては、2準位が正負の異極性を与える組合せであっても、同極性となる組合せであっても、いずれでも差し支えない。
〔有効接触電位差の発生要因〕
本発明者らは、粉粒体と帯電材との接触部に有効接触電位差を発生させる物理要因を分析し、実験結果と照合した結果、次の(式1)のように4種の電位差発生要因が複合して有効接触電位差が生み出されていると結論した。
V=Vc−Ve−Vb+Vex・・・・(式1)
即ち、1)物質間の仕事関数の違いにより発生する真の接触電位差Vc。2)帯電材に対し粉粒体の持つ電荷が生み出す鏡像力電界により発生する電位差Ve。3)着目粒子に対し、周囲の粉粒体の空間電荷効果により発生する電位差Vb。4)外部電界Eexにより発生する電位差Vex。上記1)〜4)の4つである。但し、外部電界の符号は粉粒体と帯電材の接触部から粉粒体中心に向かう方向を正とする。言い換えれば、これらの要因を制御することにより、粉粒体と帯電材との接触部に発生する有効接触電位差を制御することが可能である。このうち自由な安定制御が可能な要因は1)、2)、4)である。3)の要因は、粉粒体間の平均間隔が粉粒体の粉粒径の1桁以上に相当する粉粒体と空気の質量流量比(混合比)が0.001程度のように比較的低濃度の粉粒体を扱う条件下では、周囲粒子による電界の影響は無視して良い。
〔外部電界作用〕
外部電界による有効接触電位差の変化は、粉粒体のフェルミ準位が、電界により粉粒体と帯電材間の界面に発生する電位差分だけ、電極との接触点のフェルミ準位に対し、相対的に変化することにより起こるものと考えられる。本発明における外部電界による粉粒体の帯電量の制御効果はこの原理に基づく。
〔帯電収束作用の説明〕
まず、ある有効接触電位差を粉粒体と電極との接触部に作用させた後、別の有効接触電位差を粉粒体と電極との接触部に繰り返し作用させるうちに、a)粉粒体の比電荷量を個別の飽和帯電量の中間状態の比電荷量の範囲内に収めることが可能である。たとえ、粉粒体の初期帯電量が2準位の飽和帯電量に挟まれる範囲より高いかあるいは低い状態であっても、両者と接触する過程で次第にこの範囲に収まってくる。次に、b)今の過程を各々の接触時間の割合を制御する等の適当な条件下で連続して繰り返した場合、交互接触により粉粒体の最終比電荷量を任意の比電荷量に収束させつつ、帯電制御することが可能である。
〔有効接触電位差による粉粒体帯電制御方法〕
以上のことから、粉粒体帯電装置は例えば、以下の手法A又はBにより達成される。A:表面電界強度の異なる第1の帯電面及び第2の帯電面を有し、接地した帯電制御部を備える事を特徴とする。第1の帯電面及び第2の帯電面に対し、粉粒体が、それらの間を交互に繰り返し衝突接触する。B:仕事関数の異なる第1及び第2帯電材を有し、接地した帯電制御部を備える第1及び第2帯電材に対し、粉粒体を、適度な頻度でそれらの間を交互に繰り返し衝突接触させる。
本発明ではAの構成により粉粒体の帯電制御を行う。粉粒体帯電量の量的制御は、各電極への印加電圧もしくは各電極との接触時間の割合のいずれを制御することによって行う事ができる。粉粒体帯電装置においては、以下の様態の帯電制御部中で上述の手法を行うことが好ましい。気流を生成する気流生成部と、粉粒体を供給する粉粒体供給部と、前記気流生成部で生成した気流に前記粉粒体供給部から供給される粉粒体を含ませて粉粒体を含む気流を前記帯電制御部に導入する粉粒体含有気流生成部とを備える。そして、前記帯電制御部は、側面が接地され、前記側面に対し電位を持つ電極をさらに内蔵する。なお、ここで帯電対象の粉粒体とは、サブミクロン単位から約5ミリ以下の大きさの球形、紡錘形、円筒形、円錐台形及び平板形等の任意形状の粉体及び粒体をいう。

(2)粉粒体帯電装置の全体構成の説明
図6は、本実施形態における粉粒体帯電装置1の全体構成を示す。この装置1は、気流生成部11と、粉粒体供給部12と、粉粒体含有気流生成部13と、帯電制御部14とを備えて構成される。気流発生装置である気流生成部11は、気流を生成する機器であり、本実施形態では、例えば、装置外から空気を取り入れ、この取り入れた空気から塵等の異物を除去するフィルタ111を備えている。また、フィルタ111からの空気に圧力を加えて圧縮することによって空気の流れ(気流)を生成するコンプレッサ112と、コンプレッサ112からの空気の湿度を低減するコンデンサ113を備えている。また、コンデンサ113からの空気に水の粒子(霧、ミスト)が含まれている場合にこれを空気から分離して除去し、このミストを除去した空気を粉粒体含有気流生成部13に供給するミストセパレータ114を備えている。本実施形態では、気流を生成する際に空気を用いたが、空気に代えて、帯電状態を制御された粉粒体の用途に応じた気体を用いてよい。粉粒体供給部12は、帯電対象の粉粒体を供給する機器であり、本実施形態では、例えば、一定量、連続的に粉粒体を供給するテーブルフィーダ18を備えて構成される。
粉粒体含有気流生成部13は、気流生成部11で生成した気流に粉粒体供給部12から供給される粉粒体を含ませて、その気流により粉粒体を帯電制御部14に搬送する機器である。粉粒体含有気流生成部13は、本実施形態では、例えば、気流生成部11のミストセパレータ114から供給される気流によって生じる負圧を利用して粉粒体供給部12のテーブルフィーダ18から一定量の粉粒体を吸い込む。そして、この吸い込んだ粉粒体をミストセパレータ114から供給される気流中に分散させてエアロゾル流を生成する。そして、この生成したエアロゾル流を帯電制御部14に供給するエジェクタを備えて構成される。帯電制御部14は、気流中に含まれる帯電対象の粉粒体を互いに有効接触電位差が異なる状態の単数もしくは複数の帯電材に衝突接触させることによって粉粒体の帯電状態を制御する機器である。気流中に含まれる粉粒体が衝突接触する面に、互いに有効接触電位差が異なる状態を有する単数もしくは複数の帯電材を有し、接地した部材を備える。帯電材は、粉粒体が接触することによって、これらの表面電荷が正負に分離して粉粒体を帯電させる帯電機能を持つ材料である。
(3)帯電制御部14の詳細説明
〔接線流入・流出円筒状構成〕
最初に、帯電制御部14を通過する粉粒体の流路について、実施例を説明する。帯電制御部14は、気流中に含まれる帯電対象の粉粒体が衝突接触する面として、表面電界強度が互いに異なる帯電面を有し、少なくもその一部に帯電基準面を備える。そして、粉粒体を含む気流が流入する流入部から気流が流出する流出部までの粉粒体の通過軌道上において、粉粒体を表面電界強度が互いに異なる帯電面に対して一定接触順序で衝突接触を伴いつつ通過させ、粉粒体の帯電量を制御する。図3Aに示す形態では、帯電制御部14は、外筒(外円筒、外側円筒様形状)152dと、外筒と同軸の内筒(内円筒、内側円筒様形状)153dと、上板154dと、下板155dとで構成された円筒缶14dを主体としている。この円筒缶14dが同軸二重円筒様構造部(同軸二重円筒様形状)である。外筒152dと内筒153dは導電性を有する材料から成る。この外筒152d及び内筒153dに粉粒体を衝突接触させる帯電面(電極:第1の帯電面及び第2の帯電面)及び対向電極を備える。外筒152dの側面の一方端(上端部)と他方端(下端部)には粉粒体を含む気流が流入する流入口(流入部)143dと流出する流出口(流出部)144dが形成されている。流入口143dは粉粒体含有気流生成部13と流入管151dを介して接続されていて、粉粒体含有気流生成部13で生成された粉粒体含有気流が流入管151dを通って流入口143dから円筒缶14d内に流入する。流出口144dには流出管156dが接続されている。流入口143dから円筒缶14dに流入した粉粒体を含む気流が流出口144dから流出管156dを通して流出する。流入管151dと流入口143dは、外筒152dの側面の接線方向で粉粒体を含む気流が円筒缶14dの内部に流入するように設けられている。また、流出口144dと流出管156dは、外筒152dの側面の接線方向で粉粒体を含む気流が円筒缶14dの内部から流出するように設けられている。円筒缶14dは接地Gされている。同軸二重円筒による圧力損失は、外筒のみの場合と比較して、ほとんど差はなく、帯電制御部14に効率よく粉粒体を流す事ができる。粉粒体は、外筒152dの内面電極に沿う周回時に遠心力により外筒内面電極に効果的に押付けられ、その界面にて電荷を交換して、帯電される。
図3Bに示す形態では、帯電制御部14は、同軸逆円錐台形状(二重逆円錐台形状、同軸逆二重円錐台形状)の円筒缶14eを主体としている。即ち、円筒缶14eの粉粒体流入側半径を粉粒体流出側半径より大きくした構成である。円筒缶14eは、外側の逆円錐台筒(以下、外筒と記す)152eと、内側の逆円錐台筒(以下、内筒と記す)153eと、上板154eと、下板155eとで構成された逆円錐台形状の構造体である。外筒152eと内筒153eは導電性を有する材料から成る。外筒152e及び内筒153eに粉粒体を衝突接触させる帯電面(電極)及び対向電極を備える。外筒152eの側面の一方端(上端部)と他方端(下端部)には粉粒体を含む気流が流入する流入口(流入部)143eと流出する流出口(流出部)144eが形成されている。流入口143eは粉粒体含有気流生成部13と流入管151eを介して接続されていて、粉粒体含有気流生成部13で生成された粉粒体含有気流が流入管151eを通って流入口143eから円筒缶14e内に流入する。流出口144eには流出管156eが接続されている。流入口143eから円筒缶14eに流入した粉粒体を含む気流が流出口144eから流出管156eを通して流出する。流入管151eと流入口143eは、外筒152eの側面の接線方向で粉粒体を含む気流が円筒缶14eの内部に流入するように設けられている。また、流出口144eと流出管156eは、外筒152eの側面の接線方向で粉粒体を含む気流が円筒缶14eの内部から流出するように設けられている。円筒缶14eは接地Gされている。
この逆円錐台形状の帯電制御部は、円筒形状の帯電制御部に対して、より帯電効率の向上が見られた。これは下流部での流速低下分を、半径の小径化により、遠心力を維持することで、帯電効率を向上させた要因が大きいと考えられる。図4の(a)は、逆円錐台形状の外筒152eの内面上の電極面(帯電面)における粉粒体の流路を逆円錐台上面側から見た様子をあらわす。ここでは粉粒体が流入口143eから流入後、経路上で2回周回して流出口144eから流出していく場合を示す。(b)は逆円錐台形状における外筒152eの内面上の電極面の展開図であり、矢印にて粉粒体の接触軌道を表す。(c)は円筒形状の場合の外筒152dの内面展開図を、同様に2回周回する場合を示したものである。(d)のグラフは軸中心から見て流入口143e(143d)を基点として、横軸に回転角度と縦軸に粉粒体の接触軌道距離の概形を示したものである。これからわかるように、円筒形状と異なり、逆円錐台形状では、電極を通る毎に各々の接触通過長は徐々に減少していく。しかし、円筒形状と比較しても、帯電量の収束性にはほとんど影響がなく、むしろ帯電効率の向上が見られた。二重円錐台での圧力損失も、外円錐台のみの場合と比較して、ほとんど差はなく、帯電制御部には効率よく粉粒体を流す事ができる。
本願発明の説明の前に、粒子を帯電する上で影響を与える、粒子が接触する面における電界の影響、及び粒子が接触する面の材料の影響(材料の仕事関数の影響)について説明をする。以上説明した、同軸二重円筒あるいは同軸逆円錐台構成の中心軸に垂直な断面図を図5に示す。まず、ここでは外筒152側の電極(帯電面)と内筒153側の電極(対向電極)とも1枚電極の場合を示す。外筒152側の電極と内筒153側の電極の間に電源162により、電圧を印加すると、両者の間隙に電界が発生する。両者の間隙は軸位置によらず一定に保たれるように配置されており、電極間には一様電界が形成される。電界は粉粒体の帯電量に応じた電界力を与えると同時に、粉粒体と電極間の有効接触電位を変化させ、帯電量の変化をもたらす。なお、粉粒体が電極と実電荷を交換するためには、粉粒体が局所的に電極と接触・分離を行うことが必要である。粉粒体が外筒152の内面電極上を周回する際には、粉粒体表面の各点が電極表面と衝突しながら電荷を交換しており、電界が印加された状態下では、その際に電界効果による有効接触電位差の効果が働くものと考えられる。
〔電界−帯電量N字型特性〕
外部電界を変えたときの帯電量は、金属酸化物粒子を用いた場合には、一般に図2AのようにN字型の電界−帯電量特性を示す。この電界−帯電量特性は領域(L)におけるリニア特性(線形近似特性)と、その両側の双曲線形状の特性(反比例近似特性)をもつ領域(H1)および領域(H2)より成っている。図2Bには、粉粒体として、粒径10μm、粒子密度4000kg/mのアルミナ粒子を用いた結果を示す。このとき、外筒電極と内筒電極の材質は真鍮であり、両者間のクリアランスは一様に5mm間隔とした。電界はここでは円筒内向きのものを正、円筒外向きのものを負として定義している。この特性の由来を両側の双曲線特性領域H1,H2と中央のリニア特性領域Lとに分けて説明する。
〔双曲線特性領域〕
グラフの横軸は電界、縦軸は比電荷量である。領域(H1)の第3象限と領域(H2)の第1象限における双曲線は、二重円筒もしくは二重逆円錐台構成の対向電極間にて粉粒体に働く気流の周回運動による遠心力と電界力(=帯電量×電界)の釣り合った状態を示す。遠心力が一定の条件下では、電界と帯電量は反比例関係となる。電界と比電荷量で考えた場合には、反比例定数は粉粒体の流速と筒径で決まる。粉粒体の質量をm(粒子質量m)、粉粒体の帯電量をq(粒子帯電量q)、粒子の円周方向の気流速度をvとする。また、粒子と外筒内面の接触点における外筒半径をR1、その接触点から円筒軸に対して垂直に結んだ線が対向面上と交わる点における内筒半径をR2、内筒電位をV2、外筒電位をV1、中心軸からの半径をR、そのときの電界E(R)とする。そうすると、二重円筒内部で粉粒体の遠心力と電界力が釣り合う条件として、(式2)が成立する。

図7(a)、(b)、(c)、(d)に内・外筒の二重電極間の粒子に作用する力の関係及び粉粒体の運動挙動を簡略化した形で示す。図7(a)は外筒電極を接地、内筒電極を負電位に設定した状態で、正帯電の粉粒体が円筒内向きに静電気力を受ける様子を示す。粉粒体の円周方向の回転によって遠心力は外筒電極に作用している。次の(式3)のように
粉粒体の正帯電量が(式2)を満たす釣り合い条件を満たす正帯電量より大きければ、円筒内向きの静電気力が円筒外向きの遠心力より大きくなるため、負極である内筒電極にへと進み、そこに衝突して保持していた電荷を除電される。この過程は粉粒体の正帯電量が(式2)を満たす釣り合い条件を満たす正帯電量以下に除電されるまで続く。しかし、粉粒体の正帯電量が(式2)を満たす釣り合い条件を満たす正帯電量より小さければ、粉粒体は円筒内向きの静電力を上回る遠心力によって外筒電極へと進み、衝突し、粉粒体と外筒電極との接触電位差による帯電がなされる。図7(b)は外筒電極を接地、内筒電極を正電位に設定した状態で、正帯電の粉粒体が円筒外向きに静電気力を受ける様子を示す。この場合、粉粒体に働く静電気力は遠心力と同方向の円筒外向きであるため、粉粒体は外筒電極へと進み、衝突する。図7(c)は外筒電極を接地、内筒電極を負電位に設定した状態で、負帯電の粉粒体が円筒内向きに静電気力を受ける様子を示す。この場合も、粉粒体にはたらく静電気力は遠心力と同方向の円筒外向きであるため、粉粒体は外筒電極へと進み、衝突する。図7(d)は外筒電極を接地、内筒電極を正電位に設定した状態で、負帯電の粉粒体が円筒内向きに静電気力を受ける様子を示す。粉粒体の負帯電量が(式2)を満たす釣り合い条件を満たす負帯電量の絶対値より大きければ、円筒内向きへの静電気力が円筒外向きの遠心力より大きくなるため、正極である内筒電極へと進み、衝突する。この過程は粉粒体の負帯電量が(式2)を満たす釣り合い条件を満たす負帯電量の絶対値以下に除電されるまで続く。しかし、(式2)を満たす釣り合い条件を満たす負帯電量の絶対値より小さければ、粉粒体は円筒内向きの静電気力を上回る遠心力によって外筒電極へと進み、衝突する。しかし、粉粒体の正帯電量が(式2)を満たす釣り合い条件を満たす負帯電量の絶対値より小さければ、粉粒体は円筒内向きの静電気力を上回る遠心力によって外筒電極へと進み、衝突する。逆帯電の粉粒体でも、逆電界下では内側への電界力が働くため、同様に逆電位の電極に衝突して保持していた電荷を除電される。正負の高電界領域になるにつれ、帯電量のより低い粉粒体に同様のことが起こり、さらに帯電量が減少している。
図8(a)、(b)、(c)は、電極間のクリアランス間隔を5mmとして、アルミナ粒子(粒径10μm)に対して、正、0、負の3種類の電界を、内・外筒の二重電極間に印加する。このような印加により、帯電制御を行った場合に、装置流出口より最終的に得られる粉粒体集団の帯電分布状態を示す。グラフの横軸は比電荷量(mC/kg)を、縦軸は粒子頻度(kg/mC)を表わす。図8(a)は内筒電極に負電位−2kV、外筒電極を接地した場合のアルミナ粒子の帯電分布状態である。両極間には電界−400kV/mが発生している。平均比電荷量−0.9mC/kgを中心とした、シャープな帯電分布が得られる。図8(b)は内筒電極、外筒電極のいずれも接地した場合のアルミナ粒子の帯電分布の状態である。両極間には電界は発生していない。粉粒体の帯電は主としてアルミナ粒子と外筒電極との接触電位差により与えられ、平均帯電量−1.7mC/kgを中心に広がった帯電分布を得る。図8(c)は内筒電極に正電位+2kV、外筒電極を接地した場合のアルミナ粒子の帯電分布状態である。両極間には電界+400kV/mが発生している。平均比電荷量+0.2mC/kgを中心とした、シャープな帯電分布が得られる。このように、帯電量分布でも無電界時に比較して、正負方向の印加電界のどちらにおいても高電界領域では、平均比電荷量から離れる比電荷量をもつ粒子の頻度は低下し、結果としてシャープな帯電分布が得られる。
〔リ二ア特性領域〕
リニア制御可能な領域(L)は原点付近の中央部に存在する。ここでは粉粒体は装置外向きの遠心力に対して、原点を除いてはやはり内向きの電界力を受けている。但し、電界力よりは遠心力の方が大きい状態であるため、外筒内面に沿って接触・衝突しつつ、周回している状態を維持している。
粉粒体の質量をm、粉粒体の帯電量をq、粒子の円周方向の気流速度をv、粒子と外筒内面の接触点における外筒半径をR1、その接触点から円筒軸に対して垂直に結んだ線が対向面上と交わる点における内筒半径をR2とする。また、内筒電位をV2、外筒電位をV1、中心軸からの半径をR、そのときの電界E(R)とする。外筒接触条件として以下の関係がある。粉粒体の遠心力と電界力の関係より、次の(式4)が成立する。そして、(式4)と(式5)より(式6)が成立する。
なお、以上の説明から明らかなように(式6)で不等号が逆になった場合は外筒非接触条件を表わす。帯電制御装置としては、二重円筒間の全ての粉粒体は壁面に摺擦されねばならない。このことから、帯電効率及び精度を上げるためには、粉粒体の目標帯電量に対して、リニア領域(L)では、(式6)のような粉粒体の目標比帯電量と円筒半径、電圧の関係が成立していることが重要である。但し、粉粒体が初期にこれより大きい比電荷量を持ち、対向電極に向かう場合でも、対向電極との衝突によって除電され、やがては上記範囲内でリニア特性にしたがい、帯電制御される。
さて、外筒内面への接触効率は、原点に近くなるほど、電界力が弱いので遠心力の押付け効果が強く現れるため、高くなるものと考えられる。したがって、帯電量はそれに伴い、原点に近づくほど大きくなるものと通常は考えられる。しかし、実際の帯電量は第1象限、第3象限とも原点に近づくほど低下しているため、この効果では説明できない。ここでは外部電界の影響で有効接触電位差自体が変化して、リニアな特性をもたらしていると考えられる。つまり、外部電界により粉粒体のフェルミ準位が変化して、それに伴い有効接触電位差も変化する。その電位差の変化により、粉粒体は衝突・接触した電極から充電される飽和帯電量も変化する。外部電界による粉粒体のフェルミ準位はほぼリニアに変化すると考えられ、それにより帯電量も外部電界に対してリニアな特性を示す。粉粒体と電極との間に本来存在する接触電位差よりもこの効果は大きく現れ、粉粒体の帯電も電界により正負に変化している。
特性が原点からはずれる理由は、無電界時でも存在する接触電位差による縦軸方向のシフト分と二重円筒内の遠心力と電界力のバランスによると考えられる。このリニア領域での電界作用を利用して粉粒体の帯電量を制御する場合には、帯電基準面である外筒内面と対向電極である内筒外面との間に印加する印加電圧を、印加電圧と粒子帯電量とが線形近似特性である範囲内の電圧値に収まるように、可変制御すればよい。すなわち、円筒内向きの電界力が働く状態において、必要な粉粒体の目標比帯電量q/mに対し、(式6)を満たす範囲で粉粒体と装置構成、電圧値の各パラメータを設定すればよい。以上の電界による粉粒体の帯電特性効果に基づき、より小型化可能な制御性の高い構成について説明する。
〔異なる交互接触電位差による粉粒体帯電量の収束効果〕
まず、交互接触電位差を用いた帯電量収束の効果について説明する。ここでは帯電性の違いを生み出す有効接触電位差の差が、異なる表面材料の電極A、Bと粉粒体の間に元々存在する接触電位差により生み出される場合をまず説明する。つまり、電極A、Bの仕事関数が異なる場合の説明をする。帯電装置の内面を分割して、粉粒体との接触時に2種類の接触電位差をもたらす電極AとBを交互に並べて接地したときの粉粒体の帯電モデルを考える。金属Aが装置の内面を占める比率をrA、金属Bのそれをrとおく(r+r=1)。粉粒体は帯電装置内を螺旋状に旋回するので、粉粒体は2種類の電極と交互に接触する。図9に、この状態を模式的に示す。粉粒体が金属A,Bと接触するときのそれぞれの有効接触長さを定数ΔL,ΔLで与えられるものとし、AとBから成る一組の有効接触長さをΔL(=ΔL+ΔL)とおく。帯電装置内にはn組が直列に並ぶことになり、その途中のk組目の終点における粉粒体の移動距離をL(=kΔL)とおく。

なお、図20に、粉粒体を連続供給する電極配置・配線の例として、異種電極A・Bを直線状に交互に繰り返し配置した構成を示す。電荷授受のため各電極は接地されており、電極と接地間には電位調整用の可変バイアスが設けられている。
本発明の粉粒体帯電制御における粉粒体と金属A,Bとの接触による比電荷量の変遷の様子を説明する。まず、1種類のみの有効接触電位差を用いる場合として、粉粒体と帯電材Aを同じ接触頻度で何回も繰り返し衝突させた場合における粉粒体の衝突毎の比電荷量の変遷を図10に示す。グラフの横軸はk−1回目の衝突時の帯電量、縦軸はk回目の衝突時の帯電量を表す。粉粒体への帯電材Aが与える帯電特性は、実線nで表される。初期帯電量q0の粉粒体は、帯電材との衝突・接触を繰り返しながら、一定の飽和帯電量qに次第に収束していく。階段状の矢印群で示されるように、k−1回目の衝突時の帯電量qk―1とk回目の衝突時の帯電量qの差は次第に小さくなり、極限においてはqk−1=qとなる飽和帯電量qに収束する。飽和帯電量の位置は、グラフ上で実線nとqk−1=qの交点であるが、実線Lをqk−1=qに対して対称に変換した実線n’との交点でもある。粉粒体へ帯電材Aが与える帯電特性は、漸化式の形で表現すれば以下の(式12)に従って表される。

次に、2種類の有効接触電位差を交互に用いて、粉粒体と2種類の帯電材を繰り返し衝突させた場合における粉粒体の衝突毎の比電荷量の変遷を説明する。図11に粉粒体と金属A,Bとの交互接触による比電荷量の変遷の様子を示す。なお、ここでは、金属A、Bの表面積比ra、rbは一定とした例を示している。グラフの横軸はk−1回目の衝突時の帯電量、縦軸はk回目の衝突時の帯電量を表す。粉粒体へ帯電材Aが与える帯電特性は、以下の漸化式(式13)に従って実線naで表される。
粉粒体へ帯電材Bが与える帯電特性は、実線naとは以下の漸化式(式14)に従い、異なる傾きと切片を持つ実線nbで表される。

初期帯電量q0の粉粒体が最初に帯電材Aと衝突する場合には、図11に示されるように帯電材A、Bとの衝突・接触を繰り返しながら、階段状の矢印群のように帯電量が変遷していく。最終的にqakは、Aとの飽和帯電量qa∞やBと飽和帯電量qb∞とは異なる一定の飽和帯電量qab∞に次第に収束していく。k−1回目の衝突時の帯電量qk−1とk回目の衝突時の帯電量qの差は次第に小さくなる。極限においては、実線laと実線lbをqk−1=qに対して対称に変換した点線lb’との交点Xである飽和帯電量qab∞に収束する。帯電材の分割を小さくしたΔL→0の極限では、交点Xは次第にqk−1=qの線上に近づいていく。帯電材Bに先に衝突した場合にも、そこで発生する交点(図示せず)は同様にふるまい、ΔL→0の極限では、先の交点Xと同一の位置、同一の値に収束する。その飽和帯電量qab∞の値は、(式11)と(式12)の連立漸化式を満たすqakもしくはqbkの値とみなせ、その解は以下のように(式15)で与えられる。
このように異なる帯電材との交互接触により、単独接触の場合の収束値とは別の収束値に収束制御できることがわかる。すなわち、固有の帯電材としては存在しない帯電特性であっても、あたかも新たな第3の固有帯電特性が存在するかのように、粉粒体に作用させることができる。帯電材A、Bとの接触比率を変えることで、qab∞はqa∞とqb∞の範囲内のどの値にも制御可能である。図11を考察すればわかるように、帯電量の初期値が2つの単独収束値、すなわちA,Bとの平衡比電荷の範囲内であっても、範囲外であっても、(式12)と(式13)で表される2直線の交点が存在すれば、収束が可能である。但し、2金属が粉粒体に与える帯電量が正と負の異なる極性でかつ同量で打ち消しあう場合には、この限りではない。しかし、そういった状態にならないように、2つの帯電材の材質に応じて、接触距離の比率を変えて対応することができる。2金属A、Bとの有効接触距離の比が例えば1:1であれば、(式11)においてr=rであり、両者の交互作用により生み出される帯電特性定数LAB0は
ABO=LAOBO/(LAO+LBO
となって、元の2つの帯電特性定数LA0,LB0からの調和平均によって与えられる。さらに、これらが仮に帯電特性定数がほぼ等しいLA0≒LB0のような材料同士であれば、複合作用による帯電特性定数はLAB0≒LA0/2≒LB0/2となって、元の帯電特性定数LA0,LB0の1/2程度の値となる。
つまり、一定速度気流下であって帯電面と粉粒体の接触確率が同等であるとき、帯電特性定数は、有効接触距離と比例する。そのため、単一帯電面での有効接触距離と比較して、それより短い区間で交互に2つの帯電面を通過した場合には、1/2程度の移動距離で同程度の収束効果を生み出すことが、以前の式からも予測される。なお、粉粒体が帯電材Bに最初に衝突すると、収束点はq=qk−1の関係を表す線に対して対称な点に移ってしまうので、全ての粉粒体を最初にどちらか片方、例えば帯電材Aに正確に衝突させることが重要である。
図28(a)に外側電極を分割した2重電極構成における流入口近傍の装置断面図を示す。太い矢印は粉粒体を含んだ気流の進行方向を表す。電極のギャップ近傍においては、円周方向に電界の歪みが生じており、その一例における電気力線を細い矢印で表す。この電界によって粉粒体にかかる静電力の向きは粉粒体の初期帯電量によって変わってくるが、この局所的に乱れた電界による粉粒体の散乱によって最初にいずれの電極に衝突するかが確定しがたい状況が発生し得る。これを避けるためには、絶縁体(g1、g2)を介した電極のギャップ近傍に流入口143eからの気流が直接当たらないように配置するのが良い。ここでは電極の中央部に流入口143eを配置しているが、ギャップの電界の歪みの影響を受けない位置であれば良く、ある程度帯電面に沿って粉粒体の帯電量が安定した状態になってから、電極のギャップ上を通過するのが望ましい。次に、図28(b)は流出口近傍の装置断面図である。流入口ほどの影響はないものの、流出口をギャップ近傍に設けると、粉粒体が最後に接触する電極がA、Bのいずれかによって最終帯電量が不安定になる。最後に確実にいずれかの電極に接触するように2つの電極のギャップからは離れた位置に流出口144eを設けている。図29(a)に内側電極を分割した2重電極構成における流入口近傍の装置断面図を示す。絶縁体gの上に設けられた2つの電極のギャップは対向面に存在するため、図28(a)ほどの影響は受けないものの、同様の理由から対向面の電極のギャップの位置から離れた位置に流入口143eを設けるのが望ましい。図29(b)は流出口近傍の装置断面図であり、絶縁体gの上に設けられた2つの電極のギャップは対向面に存在する。そのため、こちらも図28(b)ほどの影響は受けないものの、同様の理由から対向面の電極のギャップの位置から離れた位置に流出口144eを設けるのが望ましい。
先にも述べたように、電極分割数を増やすことにより、ΔLの値は小さくなり、ΔL→0の極限におけるq=qk−1の関係を表す線上の点に向かって、第1衝突が帯電材Aの場合とBの場合のときの2つの収束点はしだいに近づいていく。そのため、電極分割の細分化は、初期衝突がAとBの状態が同時に発生した場合にも帯電量分布を安定させる効果をもたらす。制御帯電部14内において、粉粒体の帯電状態として平均帯電量を制御するのみならず、帯電量分布をなるべくシャープな分布形状とする。そのためには、(式11)、(式12)における初期状態の第1衝突がAの場合とBの場合の混合状態の比率もしくは衝突確率を考察する。そして、(式13)の理想状態と比較した上で、帯電目標値を達成するように第1帯電材A141a及び第2帯電材B142aの表面積の割合r、r及び帯電特性定数ΔLa0、ΔLb0を決定して、設計することができる。より正確には、A,B各々の領域を通過する際の周回毎の接触軌道長の比を考慮して形状を設計するのが良い。
〔帯電材としての電極材料〕
帯電特性をもった帯電材としての電極材料・構成について説明する。交互電極を各々違う帯電特性をもった材料とすることでも、粒子帯電量に影響を与えることができるので、その場合は電極材を隙間なく同電位で連結しても良い。図9及び図16におけるような2種の帯電材、第1帯電材A及び第2帯電材Bは、金属あるいは樹脂等の基材に対して、例えばメッキ法によってコーティング(被覆)される。また、同じく両帯電材は、例えば蒸着によってコーティング(被覆)され、あるいは第1帯電材Aを含むペースト(又はペイント)及び第2帯電材Bを含むペースト(又はペイント)を内面に塗布することによってコーティングされる。また両帯電材は、例えば、第1帯電材Aの板(例えば薄板)及び第2帯電材Bの板(例えば薄板)を内面に接着剤で貼ることによってコーティングされる。第1帯電材A及び第2帯電材Bの材料厚さあるいはコーティング厚さは、基材を構成する材料の影響が及ばないように設定することが好ましい。たとえ基材を構成する材料の影響が及んだとしても、第1帯電材Aの部分と第2帯電材Bの部分との仕事関数WA、WBに相違があるように設定される。第1帯電材A及び第2帯電材Bは、帯電機能を有し、互いに仕事関数WA、WBが異なれば、どのような材料でもよい。例えば、ステンレス鋼、真鍮、窒化チタン、白金、ニッケル、カーボンを混入したPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)及びカーボンを混入したナイロン等を挙げることができる。PTFEやナイロンにカーボンを混入するのは、粉粒体を帯電させた結果、帯電材及び基材に帯電した電荷を基準電位もしくは接地へと逃がすためであり、この目的を達するように混入するカーボンの量が設定される。したがって、基材も金属のような高い導電性を有する材料であることが望ましい。
このような材料の仕事関数を大きい順に並べると、本発明者らの実測によると、白金>ステンレス鋼、窒化チタン>真鍮、ニッケル、カーボン混入PTFE>カーボン混入ナイロン、の順であった。また、粉粒体の帯電は、粉粒体の材料と帯電体の材料とに依存する。例えば、粉粒体がアルミナの場合では、発明者らの実測によると、帯電材がステンレス鋼の場合には粉粒体は正に帯電し、帯電材が真鍮の場合には粉粒体は負に帯電する。ここで、各材料の仕事関数は、各種理科年鑑や学術文献等に開示されてはいるが、購入した各材料の原材料や基材の内面に実際に配置された原材料は、汚染等の何らかの原因によって、仕事関数Wが文献値としばしば異なることがある。そのため、仕事関数Wを実測した上で用いることが好ましい。仕事関数Wは、公知の任意の測定法によって計測すればよい。例えば、導電性の容器とこの容器に電気的に接続した基準電極(例えば金Au)とを用意する。そして、仕事関数Wを測定する粉粒体を容器に詰めて、容器と基準電極とを対抗させ、容器と基準電極との電位差を測定する。このように、仕事関数Wを求める接触電位差測定法によって計測する。
[実施例1]
〔帯電特性変動時の帯電量収束作用について〕
以上のように、異なる接触電位差を粉粒体に対して、時間的に交互に作用させることによって、粉粒体の最終飽和帯電量を金属A、Bとの接触により、粉粒体のA、Bとの平衡比電荷とは異なる中間の新たな飽和帯電量の値に収束制御させることが可能である。その収束値は、金属A、Bの組より成る有効接触長さを各々が占める割合あるいは有効接触時間を変えることにより操作できる。上記のように有効接触電位差の起源として、材料と粉粒体の間に発生する固有の接触電位差を用いた場合、粒子の目標電荷量を変更したい場合、材料を変更する等の作業が必要となる。本願発明では、接触電極上で印加される電界効果を加えることで、各電極における平衡値比電荷は各々制御可能となり、上述した収束操作が同一材料電極の構成にても行う事ができる。また、長さ以外にも与える印加電圧により電界強度を変えて、有効接触長さの比が固定された電極構造であっても収束値を変化させることができる。環境変動等でqa∞、qb∞が変動しても、2つの値の範囲に帯電目標値が含まれていれば、その値への収束制御が可能である。
複数の別材料電極を用いて帯電する場合には、材料毎に粉粒体との接触電位差は、温度もしくは湿度の環境条件において異なる変動を示す。この事から、粉粒体の別材料での交互帯電による最終的な帯電量収束値と各材料単体での帯電量収束値との上下関係もしくは比率関係も変動する。後者のいずれかの単体帯電量収束値が交互帯電収束値に近くなった場合には、交互帯電による収束性向上の効果は低減する。また、場合によっては材料単体での帯電量収束値の上下関係が相互に入れ替るか、粉粒体に与える帯電極性が反転することもしばしばあり得る。このように材料固有の帯電特性に装置の帯電作用が大きく依拠する場合には、通常環境下で粉粒体の安定した帯電制御を行うことは困難である。この問題には、複数の別材料電極に対して接地に対する共通のベース電位を制御するのみでは対応できない。本願発明の構成では、同一材料電極の構成にても粉粒体に対して任意の帯電量に帯電付与・制御を行うことができるので、環境による接触電位差の変動からもたらされる粉粒体の帯電量の変化は少なく、それに対する電位補正も一材料に対して行えば良い。また、帯電面と対向面との距離を等距離にしており、一帯電面における表面の電界強度が一様に等しくなっている。そのため、帯電した粉粒体が一帯電面上を衝突・接触する際に受ける静電力は一様であり、したがって、粉粒体の帯電面への押し付け力も等しく一様である。つまり、粉粒体と一帯電面との接触性が一様に等しいため、帯電制御は流入する全ての粉粒体に対して一様に行う事ができる。結果として、流出部から得られる粉粒体の帯電分布をシャープに揃えることが可能である。また、円周方向の静電気力も例え変化したとしても不連続的な変化でなく、連続的な変化に収めることができるため、帯電面上での粉粒体の密度のバラツキや滞留の発生が防止され、一層安定した帯電制御を行うことができる。図23を用いて装置断面における電極間に生じる電界の状態を説明する。まず、図23(a)は従来例において、単純に円周面上に絶縁部gを介して複数電極A、Bを設け、両者間に電圧を印加した場合に生じる電界の状態を示す。電極面とほぼ同様の向きに並ぶのが等電位線であり、電極表面から垂直に始まり等電位線に対して交差するのが電気力線である。
矢印は電極表面に発生する電界強度を示す。電極A、Bのいずれにおいても電界強度は一様ではなく、電極A,Bの境目のところでは、電界強度は強く、各々の電極の中央部では弱くなっている。したがって、粉粒体は電極上の通過位置によって帯電付与特性が常に変動している。しかも、電極Aと電極Bにおいて表面の電界の方向は逆向きになっているので、電極Aと電極Bにおいては電界による粉粒体への帯電付与促進効果は相殺される形となっており、帯電効率が低下していることがわかる。図24(a−1)にこの構成の帯電面表面を接触・衝突しつつ移動する粉粒体に及ぼされる電界の垂直方向の変化を示しておく。粉粒体は図4(a)〜(d)において説明したように帯電面表面をらせん状に移動する。粉粒体が軸のまわりの角度を気流回転方向に1回転すると、電極のギャップ部において電界方向の急峻な変化と反転が発生する。図24(a−2)は円周方向(気流回転方向)の変化であるが、電極のギャップ部において気流回転方向と同方向及び逆方向に乱れを生じている。図23(b)は従来例の二重電極構成である。この場合は外側電極152eにおける電界強度は一様であるものの、粉粒体に対する複数電極による帯電分布収束の効果を与えることはできない。図25(b−1)にこの構成の帯電面表面を接触・衝突しつつ移動する粉粒体に及ぼされる電界の垂直方向の変化を示しておく。図25(b−2)は円周方向(気流回転方向)の変化である。どちらも不均質な状態は生じていない。図23(c)は外側電極を分割した帯電分布収束を行う構成である。この構成は外側電極A、Bと内側電極Cとの間に各々異なる電界強度の領域を生じさせる。この図では電極A−C間に高電圧、電極B−C間に低電圧をかけた状態を示している。外側電極A、Bの表面では、電界強度は端部近傍を除いては各々一様に等しくなっている。この電界強度はそれぞれ独立に制御を行う事ができる。なお、外側電極A、Bの境目の絶縁部近傍において等電位線は連続していない。したがって、周方向に対して電気力線が傾き、粉粒体の周方向運動に対し、若干の不連続的な影響を与える。図26(c−1)にこの構成の帯電面表面を接触・衝突しつつ移動する粉粒体に及ぼされる電界の垂直方向の変化を示しておく。一帯電面のうちでは大部分一様な電界強度であるものの、ギャップにおいては若干電界の変動が発生する。図26(c−2)は円周方向(気流回転方向)の変化であるが、電極のギャップ部において気流回転方向と同方向及び逆方向に若干の乱れを生じている。図23(d)は外側電極152eの内部に、内側電極E、Fを絶縁体G上に並べて配置した構成を示す。この構成においても図23(c)の構成とほぼ同様に外側電極152eと内側電極E、Fとの間に各々異なる電界強度の領域を生じさせる。またほぼ同様に電極152e−E間に高電圧、電極152e−F間に低電圧をかけた状態を示している。但し、外側電極152e上では図23(c)の構成と異なり、等電位線は電極表面に対して連続しており、電気力線の傾きも小さく、外側電極152eの表面上に物理的にも電気的にも継目あるいは境目がない。そのため、粉粒体は電極上を見掛密度のムラや滞留を生ずることなく、周方向にスムースに衝突・接触しながら通過できることがわかる。したがって、粉粒体全体に対する帯電制御の精度がより向上し、帯電分布をシャープなものとすることができる。図27(d−1)にこの構成の帯電面表面を接触・衝突しつつ移動する粉粒体に及ぼされる電界の垂直方向の変化を示しておく。帯電面表面に電極のギャップを設けていないため、低電界領域と高電界領域の境目でも乱れは小さい。図27(d−2)は円周方向(気流回転方向)の変化であるが、対向電極のギャップ部の近くにおいても気流回転方向と同方向及び逆方向に乱れはほとんど生じない。次に、印加電圧による帯電収束制御の具体構成例を示す。
〔軸方向電極分割〕
まず、簡単のために2分割電極構成を例にとって、説明する。
〔等電位面上での交互異電界〕
図1の(a)は外筒152eの内面上に電極D(外筒内面電極)を1種、内筒153eの外面上に電極E、F(内筒外面電極)を2種設けた例を断面図として示す。電極E、F間は絶縁材gにより互いに絶縁されている。(a’)は同構成の斜視図を示す。
電極D上には、対向する電極Eとの間では印加電圧/両者間距離により定まる電界強度が作用する領域D−Eがつくられる。また、対向する電極Fとの間では異なる印加電圧/両者間距離により定まる電界強度が作用する領域D−Fがつくられる。即ち、領域D−Eと領域D−Fの2つの異なる電界領域(第1の電界と第2の電界)がつくられる。この時、粉粒体は外筒内面電極外筒上の電極D上を周回しながらも、連続した同一面上に接触・衝突する。そのために、材料による接触電位差は常に等しく、異なる電界の静電力による接触効率の変化があるとは言え、単純には両者間で飽和帯電量は等しく、違いは発生しないはずである。しかし、外部電界による粉粒体のフェルミ準位の変化により、領域D−Eと領域D−Fにおける電極Dとの有効接触電位差は変化し、粉粒体は両者に対し、各々異なった飽和帯電量を与えられるような作用を受ける。この作用が交互に続くことにより、粉粒体の帯電量はその範囲内に収まり、D−E間電位差とD−F間電位差に応じた値に制御される。電界による有効接触電位差の変化を直接効果として検証する構成と言える。この構成の利点は、遠心力による接触側の電極面を継ぎ目のない1枚電極Dとして利用できるため、粉粒体接触軌道上(粉粒体の通過軌道上)で電極間の継ぎ目の影響を与える事を防ぐ事ができる点である。
〔別電位面上での交互異電界〕
図1の(b)は外筒内面上に電極A、B(外筒内面電極)を2種、内筒外面上に対向電極C(内筒外面電極)を1種設けた例を断面図として示す。図1の(b’)は同構成の斜視図を示す。電極A、B間は絶縁材gにより互いに絶縁されている。AとC及びBとCの電極間隔は一定となるように配置されており、その間隙において、均一な電界を生み出す。電極Aと電極C、電極Bと電極Cの間にはそれぞれ異なる電圧が印加され、異なる電界が発生する。流入口143eから流入した粉粒体は、図3Aあるいは図3Bの場合と同様に内外筒間を螺旋状に周回しながら、下流の流出口144eの方向に進み、数周後に流出口144eから流出する。その間、粉粒体は遠心力と電界力の作用を受けつつ、外筒内面上の電極A・Bと衝突・接触して、進行する。2種の電界領域A−C、B−Cを交互に通過するに伴い、外面の電極上では各々異なる有効接触電位差を交互に受けて、帯電制御される。なお、交互電界による収束効果を得るためには、各領域A−C、B−Cにて粒子は電極A・Bと接触・分離を繰り返し行い、確実に電極と実電荷を受け渡す必要があり、単なる電界要因のみでは粉粒体の実電荷に影響を及ぼさない。
〔分割電極による帯電制御の原理〕
分割電極E・F又はA・Bと対向電極D又はC間には、粉粒体接触軌道の進行方向に向かって、異なる電界(第1の電界と第2の電界)が交互に形成されている。したがって、円筒形状構成の場合には、外円筒内で粉粒体は一定速度で進行した場合、接触軌道距離の増加に伴って、電極と接触・分離を繰り返しつつ、図12の(a)のような電圧下で、図12の(b)のように一連の電界変化を受ける。それによる粉粒体の帯電量変化の様子を図12の(c)に示す。粉粒体は帯電量制御部14に流入する以前に、すでに供給過程において何らかの初期帯電を有している場合がしばしばある。また、それまでに初期帯電をほとんどもっていなくても、流入部付近での衝突により大きな帯電を帯びてしまう場合がある。そういった時に、もし粉粒体の初期帯電量が、目標帯電量を挟んだ2つの平衡帯電量の範囲外にある場合でも、交互に異なる有効接触電位差を与えられた状態で電極との間で接触・分離を繰り返して、電荷を受け渡す。これによって、粉粒体の帯電量は2つの平衡帯電量の範囲内にしだいに収まってくる。そうすると、その間に収まった粉粒体の帯電量は、交互に異なる電界強度を受けながら、さらにある目標値に収束するように帯電制御されていく。この値は各々の電界強度が予め決まっていれば、それらの有効接触距離の比によって決められる。各々の電界強度は制御範囲の上下限値を決定し、それらを与える有効接触距離の比により粉粒体の最終帯電量が決定される。帯電量の変遷過程は、以前に示した図11と同様である。また、逆円錐台構成の場合には、各電極への通過区間長さは上流側から下流側に進むにつれて、次第に短くなっていくが、粉粒体の帯電量の収束効果は円筒形状の場合と同様に起る。その様子を図13の(a)の円筒構成と比較して、図13の(b)に示す。同等の収束効果でも円筒形状よりも接触軌道長を短縮できる。
金属材料粒子でなく、樹脂材料粒子の場合も、電界効果により電極と接触する粉粒体の帯電量は変化し、同様に帯電制御が可能である。但し、金属材料粒子とは異なり、外部電界に対しても固有の帯電極性を保持する傾向を示すこともあり、帯電特性が正負の一方に偏ったV字あるいは逆V字特性となる場合もある。以上のように2つの準位を利用した収束制御は次のように設定できる。図19のように、比帯電量の目標値qから離れ、しかもその目標値を挟むように、それと異なる2つの飽和比帯電量q、qを与えるような2つの作用電界E、Eを用意する必要がある。そのため、飽和比帯電量qを最終的に与えるような作用電界Eを対向電極間に発生させる作用電圧V及び、飽和比帯電量qを最終的に与えるような作用電界Eを対向電極間に発生させる作用電圧Vを設定する。
目標比帯電量qと飽和比帯電量q、qの差は、分割された接触軌道長さをΔL、帯電特性係数をLとしてΔL/Lのオーダー程度とするのが良い。ここではL/ΔLに係数αをかけて、
飽和比帯電量q、q=目標比帯電量q・(1±α・L/ΔL)
のような設定にした場合を示す。しかし、αの値は0.1〜10ぐらいの範囲とするのが良い。作用両者に対しては同一の係数としても良いし、収束値を予想の上で重み付けを与えても良い。また、目標比帯電量と対向電極間のクリアランスは、分割電極区間を通過する際の接触軌道長さ以上であることが望ましい。設定に際しては、電界強度が別位置で異なる値とできるように分割された構成においても、まず全電極に同一電圧を印加して、図2Aのような電界強度と粒子の比帯電量の特性データを予め取得しておく。これにより、例えば作用電圧ΔV及び作用電圧ΔVのリニア領域内で得られる任意の比帯電量に制御が可能である。
すべての電極が同一材料である場合に、予めそれらすべてを同一電位にした場合の飽和比帯電量のデータはすでに図2Aのような形で計測されているものとする。このデータから、目標帯電量Qを挟む形で飽和帯電量Q、Qを与えるような電圧の値を2点選択して、電圧Vおよび電圧Vを与える。電圧V、目標帯電量に相当する飽和帯電量を与えるような電位Vと電圧Vの関係は、VがVからVの値の範囲内にあり、V、V、Vの順に単調減少あるいは単調増加を行うものであって、一意的な関係となるように設定するのが望ましい。さらに、データ範囲に帯電量の極大値・極小値が存在する場合には、データ範囲から帯電量の極大値Qと目標帯電量Q、もしくは帯電量の極小値Qsと目標帯電量Qとの差の絶対値|Q−Q|と|Q−Q|を比較する。そして、そのうち小さい方の差の値を与えるような電位差ΔVsを選び、さらにそれより小さい値で目標帯電量Qに対し、それを挟むような値V、V=V±β・ΔVs(但し、β<1)のようにV及びVを決めることができる。なお、図11の説明の際に既に述べたように、粉粒体が帯電材Aでなく、帯電材Bに最初に衝突すると、収束点はq=qk−1の関係を表す線に対して対称な点に移ってしまう。そのため、全ての粉粒体を最初にどちらか片方、例えば帯電材Aに正確に衝突させることが重要である。
このため、電極と流入口及び流出口の配置関係について以下に注意を述べておく。図28(a)に外側電極を分割した2重電極構成における流入部近傍の装置断面図を示す。太い矢印は粉粒体を含んだ気流の進行方向を表す。電極のギャップ近傍においては、円周方向に電界の歪みが生じており、その一例における電気力線を細い矢印で表す。この電界によって粉粒体にかかる静電気力の向きは粉粒体の初期帯電量によって変わってくるが、この局所的に乱れた電界による粉粒体の散乱によって最初にいずれの電極に衝突するかが確定しがたい状況が発生し得る。これを避けるためには、絶縁体(g1、g2)を介した電極のギャップ近傍に流入口143eからの気流が直接当たらないように配置するのが良い。ここでは電極の中央部に流入口143eを配置しているが、ギャップの電界の歪みの影響を受けない位置であれば良く、ある程度帯電面に沿って粉粒体の帯電量が安定した状態になってから、電極のギャップ上を通過するのが望ましい。次に、図28(b)は流出口近傍の装置断面図である。流入口ほどの影響はないものの、流出口をギャップ近傍に設けると、粉粒体が最後に接触する電極がA、Bのいずれかによって最終帯電量が不安定になる。最後に確実にいずれかの電極に接触するように2つの電極のギャップからは離れた位置に流出口144eを設けている。図29(a)に内側電極を分割した2重電極構成における流入口近傍の装置断面図を示す。絶縁体gの上に設けられた2つの電極のギャップは対向面に存在するため、図28(a)ほどの影響は受けないものの、同様の理由から対向面の電極のギャップの位置から離れた位置に流入口143eを設けるのが望ましい。図29(b)は流出口近傍の装置断面図であり、絶縁体gの上に設けられた2つの電極のギャップは対向面に存在する。そのため、こちらも図28(b)ほどの影響は受けないものの、同様の理由から対向面の電極のギャップの位置から離れた位置に流出口144eを設けるのが望ましい。以上の構成とする理由を言い換えて説明する。流入口近傍において、粉粒体が最初に衝突する帯電材が、帯電材Aと帯電材Bのいずれかに定まらず、両者に衝突する粉粒体が混在する。この場合には、全体の最終的な帯電収束値は、帯電材Aに最初に衝突した場合の帯電収束値と帯電材Bに最初に衝突した場合の帯電収束値との混合状態となってしまい、帯電分布は2つの分布が重なって広がった状態となってしまう。そのため、帯電制御に不都合である。同様に、流出口近傍においても、粉粒体が最後に衝突する帯電材が、帯電材Aと帯電材Bのいずれかに定まらず、両者に衝突する粉粒体が混在する。この場合には、全体の最終的な帯電収束値は、帯電材Aに最初に衝突した場合の帯電収束値と帯電材Bに最初に衝突した場合の帯電収束値との混合状態となってしまい、帯電分布は2つの分布が重なって広がった状態となってしまう。そのため、帯電制御に不都合である。以上の構成のように、これらの混在状況を防止することが、帯電収束安定性の面から必要である。
〔帯電量分布の収束効果〕
しかしながら、前述した配置構成のように流入部で最初に衝突する帯電材もしくは表面上の電界強度の異なる電極が複数の種類のうちのいずれかに決定されている本発明においては、帯電量分布もある程度において収束制御することが可能である。即ち、平均帯電量のみでなく、帯電量分布もある程度において収束制御することが可能である。図14を用いて説明する。見やすくするために、帯電材A、Bもしくは表面上の電界強度の異なる電極による一連の作用を右上→右下→左下→左上→右上と1周するようにグラフ上で表現した。例えば帯電材Aによる作用が右下、帯電材Bによる作用が左上である。左下と右上は値を受け渡しているだけで実際の作用はしていない。粉粒体がその帯電量に関わらず、帯電材から同等に接触による作用を受ける場合に、帯電材A、Bもしくは表面上の電界強度の異なる電極による一連の作用は、粉粒体は以前に説明したように持っている帯電量に従い、帯電制御される。そのために、作用後の帯電量分布は、ra,rbが一定の場合には作用前の帯電量分布に線形変換を施した形になっている。このとき、帯電量分布の標準偏差は作用前より小さく設定することが可能である。これを繰り返すと、元の帯電量分布に対して、接触距離分進んだ影響を連続して受けることになり、図15のように指数的減衰で標準偏差は減少していく。したがって、2つの帯電材もしくは表面上の電界強度の異なる電極を用いていながらも、帯電量分布は初期帯電量が一山の分布をしていれば、個々の帯電材の作用による二山の帯電量分布の重ね合わせではなく、やはり一山の帯電量分布のまま、帯電制御される。しかも、その平均値のみでなく、分布自体も収束させ得ることがわかる。前述した配置構成のように流入部で最初に衝突する帯電材もしくは表面上の電界強度の異なる電極が複数の種類のうちのいずれかに決定されている。このことに加え、さらには最後に接触する帯電材もどちらかに決定して、混合状態が発生しないようにして、帯電分布のばらつきを押さえることを説明した。さらにつけ加えると、電極の分割数を増やすことによって、帯電量分布をシャープな形状にする効果が得られる。もっとも、実際の粉粒体には粒度分布が存在するため、仮に全ての粉粒体表面が有効接触電位差により、十分に等電位に飽和したとしても分布は依然として存在するため、収束性には限界がある。その他、なお粉粒体表面での気中放電限界の変動要因も影響するので、必ずしも材料の理想的な帯電分布を達成することを保証するものではない。
〔別構成〕
気流回転型の電極構成は前に提示したが、粉粒体と接触する電極数をより多くすることも可能である。帯電制御電極の多数分割構成例をこれから述べる。電極の分割数を単純に増やした場合にも、漸化式の比例係数自体は変わらない。そのため、流入口から流出口までの粉粒体の接触軌道長が同じであれば、必ずしも分割数の増加による収束性の大幅な向上があるわけではないが、粒子帯電量の収束はやはり同様に起こる。多数分割の利点は、帯電制御の後半において、粉粒体の帯電量がある程度目標値に近づいた場合に、流出部付近の気流の乱れ等で有効接触距離が影響を受けた際の帯電量のゆらぎの振れ幅が小さくなることにある。したがって、分割方法として粉粒体の接触軌道長において、粉粒体が接触する電極の有効接触長さが流入部から流出部に進むに従い、次第に小さくなっていくようにすると良い。この分割の仕方は、図16の(a)の同距離分割ではなく、例えば等比数列に基づいて、一定距離毎に分割数が増すような図16の(b)、図16の(c)に示すような方法がある。予め非常に多数に分割した電極群の中から、配置したい帯電特性に合わせて、電界を与える方法は自由度が高く、粒子の粒径等に合わせて設定変更が可能なので良い。なお、分割の仕方は必ずしも等比数列でなく、その他の収束数列等に基づくものであっても良い。その点、丁度、逆円錐台構成では、粉粒体の接触軌道上で粉粒体が電極間を何度も周回しつつ、流入口へ進む。そして、流入口へ進むにつれ、電極枚数自体は少ない分割数であっても、逆円錐形状に基づき、粉粒体に異なる有効接触電位差を与える有効接触長さが次第に短く交替を繰り返す作用を実現しており、配線も単純化された構成となっている。以上のような変形例は、他にも無数に可能である。次に、円筒形状や逆円錐台形状等のような気流回転構成における電極配置を形状との方向性をからめて、具体的に説明する。
〔周方向多数電極分割〕
電極分割の方法として、例えば周方向分割として、図17の(a)のように外筒電極の二電位領域A(1)・A(2)、B(1)・B(2)を交互に配置して、4分割した構成も可能である。分割数を多くすることで、先に述べたように帯電制御後半での収束変動をより細かく抑える効果がある。同様に分割数を6分割、8分割というようにさらに増やしても良い。分割数を増やした場合でも、粒子帯電量の収束効果は同様に得られる。2準位の有効接触電位差を生み出す手段として、異電界領域の交互配置の代わりに、2種の帯電材を交互に配置することによっても同様の収束効果は得られる。図17の(b)に内筒電極を4分割E(1)・E(2)、F(1)・F(2)とする構成を示す。さらに、これより多数の分割構成が可能なことは明らかである。分割数を増やした構成では、個別電極への接触長さが小さくなることから、流出口近くにおける粉粒体と最終接触電極との当たり具合による粉粒体の帯電量の変動が抑えられる効果がある。
〔軸方向電極分割〕
軸方向分割として、例えば図18のように、異なる帯電付与特性を与える電極もしくは電界領域を軸方向に交互に配置しても良い。この構成においても、粉粒体が流出口144eに向かうにつれて、電極との有効接触距離は次第に小さくなるように配置することが可能である。望めば、上流から下流にかけての粉粒体接触経路のうちで、場所による接触効率の差を調整することも可能である。この他にも多数の分割方法が存在する。
〔除電後帯電制御〕
除電後に帯電制御を行う構成も可能である。粉粒体は帯電制御装置に流入する以前に、すでにある程度の初期帯電を有している場合が多く、帯電制御装置による帯電安定性を乱す変動要因となる。粉粒体の帯電分布を帯電制御前に0値近傍にシャープに揃えておくと安定した制御を行うことができて、好ましい。そこで、図18のような軸方向電極分割構成においても、予め上流側前段で双曲線領域の電界強度範囲でできる限り大きな電界をかけ、粉粒体の除電を行っておくと良い。その後、下流側後段にてリニア領域の電界強度範囲内で精密な帯電制御を行うと、粉粒体の初期帯電による変動影響を防止し、帯電効率及び制御精度を向上させることができる。以上のように電極への印加電圧により、粉粒体の帯電量が自由に制御できることを説明した。次に粉粒体の帯電量をモニターしつつ、電極へ適正な印加電圧を与えることにより帯電量を制御する手段が必要である。図21の(a)は、外筒内面の電極Dと接地G間の関係を示す。粉粒体が電極Dとの間で電荷を受渡しすることで電極Dと接地G間には電流が発生する。外筒内面の電極Dと接地G間に流れる電流値を電流計A0にてモニターしておく。そこから粒子帯電量を推定して、目標帯電量より多いか少ないかを判断し、いずれかの電界領域を形成する電極電圧をその帯電量の差分を減少させるように制御するように図22(a)のような機能を果たすフィードバック回路を設けたものである。なお、別体としての粉粒体帯電量測定機を本発明の粉粒体排出経路の後段につけて、粉粒体の帯電量を計測する場合には、図22の(b)のように粉粒体の帯電量の信号をフィードバック回路に送るだけでよい。必ずしも本装置内で電流値のモニターを行う必要はない。帯電制御部14から流出した粉粒体をサンプリングし、このサンプリングした粉粒体の径及び帯電量をE−SPARTアナライザ(ホソカワミクロン製)やファラデーケージ法等の帯電量計測装置を後段に用いて測定した帯電量の値をフィードバックすれば良い。しかし、前者のようにそういった機能を含んだ構成では、帯電制御装置として装置システム全体を小型化できる利点がある。
図21の(b)のように複数電極A・Bと接地G間の電流値を複数の電流計A0・A2にてモニターしておき、粉粒体の平均帯電量を推定してこれを一定値に制御することも可能である。ここで外筒内面電極は分割A・Bされており、外筒内面上では互いに絶縁物gで絶縁されている。帯電制御部に粉粒体が時間当たりに送られる供給量は、前述した粉粒体供給部12のテーブルフィーダ18から一定量の粉粒体を吸い込むことにより既に制御されている。あるいは、市販の粉体流量計にはいくつかの方式がある。毎秒数g程度の低濃度の供給量であれば、供給口143eに入る手前の供給管151eの側面に例えば微小粒子から数mm程度の粒体まで計測できるマイクロ波を用いたインラインの粉体流量計等を設置しても良い。帯電制御部の中で粉粒体が時間あたりに帯電面から与えられる平均帯電量を知るためには、電流値計測の手法を用いる事ができる。外筒内面電極A・Bの各々と接地G間の電流値をモニターすることで、個々の電極A・Bの印加電界に対する粉粒体の重量当たりの帯電量への寄与率を知ることができる。電極表面特性が異なる電極を用いる場合には、両者の電流量が同等になるような電界強度差をつくり、そこから電極材料自体の帯電特性に対する比較評価を行う事も可能である。また、電極材料が同一材料であっても、同一電界中で両者の電流量が同等かを調べ、粉粒体の帯電性に差がないかをチェックすることができる。
以上説明したように、本発明は粉粒体の帯電制御装置として、目標帯電量に対して、接触・衝突時に予め設定可能な2つの異なる帯電特性を粉粒体に交互に与える。これにより、単一帯電特性による帯電制御に対して、より早く帯電を収束させるものである。したがって、粉粒体の装置内電極との接触軌道長さを短縮でき、装置の小型化が可能である。また、環境変動や電極の表面汚染による有効接触電位差と帯電特性の変化に対しても、電圧設定を調整することで、帯電量の補正を行う事が出来、目標帯電量を安定制御できる。
中でも遠心力で外筒内面電極に粒子を押付ける構成においては、接触効率は著しく高められ、結果として高い帯電効率を得る。温度・湿度等の環境条件による帯電材並びに粉粒体の摩擦帯電特性の個別変化に依らず、粉粒体の帯電量及び分布を目的値に対して、自在に収束させるよう安定した制御を行う。粉粒体の平均帯電量あるいは比電荷量分布を含めた帯電状態を、環境条件や耐久磨耗・汚染による粉粒体や帯電材の特性変動に依らず、安定して定量的に帯電制御し得る。
1・・粉粒体帯電装置、11・・気流生成部、12・・粉粒体供給部、13・・粉粒体含有気流生成部、14・・帯電制御部、14d・14e・・円筒缶、152d・152e・・外筒、153d・153e・・内筒、143d・143e・・流入口、144d・144e・・流出口、A・B・C・D・E・F・・電極、162・・直流電源G・・接地、g・・絶縁体

Claims (7)

  1. 気流を発生させる気流発生装置と、前記気流により搬送される粉粒体と接触する同じ仕事関数の材料で設けられた第1の帯電面及び第2の帯電面と、前記第1の帯電面と等距離に配置された対向面と、前記第2の帯電面と等距離に配置された対向面と、前記第1の帯電面と前記第1の帯電面に対向する面との間に形成される第1の電界の大きさ及び前記第2の帯電面と前記第2の帯電面に対向する面との間に形成される第2の電界の大きさを制御する制御手段と、を備え、前記気流発生装置の発生させる気流により粉粒体を搬送させ、前記粉粒体を前記第1の帯電面と、前記第2の帯電面に交互に接触させることを特徴とする粉粒体帯電装置。
  2. 同軸二重円筒様構造部を備え、前記同軸二重円筒様構造部の外筒の内面、又は内筒の外面に前記第1の帯電面と前記第2の帯電面を備え、前記気流発生装置は、前記外筒と前記内筒との間に粉粒体を搬送することを特徴とする請求項1に記載の粉粒体帯電装置。
  3. 前記同軸二重円筒様構造部は、接線方向で前記粉粒体を含む気流が流入するように側面の一方端に設けられた流入部と、前記流入部から流入した前記粉粒体を含む気流が接線方向で流出するように前記側面の他方端に設けられた流出部を備えることを特徴とする請求項2に記載の粉粒体帯電装置。
  4. 前記流入部は、前記外筒と前記内筒との間に搬送されてきた粉粒体が最初に前記第1の帯電面又は前記第2の帯電面の一方に接触するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の粉粒体帯電装置。
  5. 前記同軸二重円筒様構造部は、二重逆円錐台形状であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の粉粒体帯電装置。
  6. 粉粒体の接触軌道において、前記粉粒体が前記第1の帯電面及び前記第2の帯電面を接触通過する際の時間は、粉粒体の接触軌道上の上流側から下流側に移動するにつれて、次第に短くなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の粉粒体帯電装置。
  7. 前記第1の帯電面又は第2の帯電面と、接地との間に流れる電流値を計測し、前記電流値に基づいて前記第1の電界又は前記第2の電界を制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の粉粒体帯電装置。
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